JP2009203867A - 内燃機関の燃料噴射量を制御するための装置 - Google Patents

内燃機関の燃料噴射量を制御するための装置 Download PDF

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Abstract

【課題】より良好な精度で燃料噴射量を決定する。
【解決手段】スロットル弁の開度を制御するスロットル弁アクチュエータを備える内燃機関において、燃料噴射量を制御するための制御装置は、スロットル弁の実スロットル開度(TH)を検出する手段を備え、該検出された実スロットル開度を、所定の時定数(τp)で目標スロットル開度(THCMD)に向けて収束するように所定の制御周期でフィードバック制御する。目標スロットル開度および実スロットル開度の差に所定のゲイン(C)を乗算した値を該実スロットル開度に加算することにより、次の制御周期のスロットル開度の予測値(HTH)を算出する。該スロットル開度の予測値に基づいて、吸気管圧力の予測値(HPB)を求め、該吸気管圧力の予測値に基づいて、燃料噴射量を算出する。該ゲインは、該制御周期の長さおよび上記時定数に基づいて算出される。
【選択図】図3

Description

この発明は、内燃機関の燃料噴射量を制御するための装置に関する。
燃料噴射量を決定する際に、吸気管圧力が用いられることがある。燃料噴射時期と吸気管圧力の検出との間には時間的な遅れがあるので、従来は、定常状態における内燃機関の回転数と吸気管圧力の推定値の関係を予めマップに記憶し、現在の回転数に基づいて該マップを参照して吸気管圧力の推定値を求め、該推定値に基づいて燃料噴射量を決定していた。また、下記の特許文献1では、吸気バルブのバルブタイミングが変化する過渡的な運転条件で、バルブタイミングとスロットル開度と内燃機関の回転速度とに基づいて目標吸入負圧を算出し、算出した目標吸入負圧と実際の吸入負圧との差に基づいて燃料噴射量を調整する。これにより、吸入負圧の変動分を補償するよう燃料噴射量が決定される。
特開2003−83116号公報
スロットル弁の作動速度のばらつき等により吸気管圧力の挙動は変化するので、上記のような吸気管圧力の推定値が実際値と不一致を起こすおそれがあり、また、目標吸入負圧への実際の吸入負圧の追従速度がばらつくおそれがある。このように、吸気管圧力の予測の精度が低くなると、所望の量の燃料が供給されず、空燃比が目標値からずれるおそれがある。これは、加速性能の低下およびエミッションの低下を招くおそれがある。
したがって、より良好な精度で吸気管圧力を予測することにより燃料噴射量を制御する手法が望まれている。
本願発明の一つの側面によると、スロットル弁の開度を制御するスロットル弁アクチュエータを備える内燃機関において、燃料噴射量を制御するための制御装置は、スロットル弁の実スロットル開度(TH)を検出する手段と、該検出された実スロットル開度を、所定の時定数(τp)で目標スロットル開度(THCMD)に向けて収束するように所定の制御周期でフィードバック制御する手段と、目標スロットル開度および実スロットル開度の差に所定のゲイン(C)を乗算した値を該実スロットル開度に加算することにより、次の制御周期のスロットル開度の予測値(HTH)を算出する予測スロットル開度算出手段と、該スロットル開度の予測値に基づいて、吸気管圧力の予測値(HPB)を求める予測吸気管圧力算出手段と、該吸気管圧力の予測値に基づいて、燃料噴射量を算出する燃料噴射量算出手段と、を備える。ここで、該ゲインは、該制御周期の長さおよび上記時定数に基づいて算出される。
吸気管圧力はスロットル開度によって変動する。この発明によれば、次の制御周期のスロットル開度が予測され、該予測値に基づいて吸気管圧力の予測値が算出され、該吸気管圧力の予測値に基づいて燃料噴射量を決定する。したがって、燃料を噴射する制御周期においては、実スロットル開度が予測スロットル開度に到達すると共に、実吸気管圧力が該吸気管圧力の予測値に到達することとなり、よって、該実吸気管圧力に適した量の燃料を噴射することができる。また、時定数は、実スロットル開度が目標スロットル開度に収束する速度を表す指標であるが、該時定数に基づいてスロットル開度の予測値が算出されるので、スロットル開度の予測値の精度を向上させることができ、よって吸気管圧力の予測値の精度を向上させることができる。
この発明の一実施形態によると、実スロットル開度とスロットル開度の予測値とに基づいて、該実スロットル開度から該予測値にスロットル弁の開度が変化した時に該スロットル弁を通過する空気量(ΔDBW)を算出する。実吸気管圧力(PB)を検出する手段が設けられる。内燃機関の運転状態に基づいて、吸気管圧力と吸入空気量の間の相関を表す相関係数(A)を算出する。該通過空気量および該相関係数に基づいて、実吸気管圧力が目標吸気管圧力に収束する時の時定数を、第2の時定数(τ_PB)として求める。目標吸気管圧力および実吸気管圧力の差に所定の第2のゲイン(C_PB)を乗算した値を該実吸気管圧力に加算することにより、上記吸気管圧力の予測値を算出する。ここで、該第2のゲインは、吸気管圧力の予測値を算出する制御周期の長さおよび上記第2の時定数に基づいて算出される。一実施例では、通過空気量、相関係数、第2の時定数の間の相関を規定したマップを、上記算出された通過空気量および相関係数に基づいて参照することにより、該第2の時定数を求める。
吸気管圧力は、たとえばモータによって直接駆動される制御量ではないので、吸気管圧力の制御について時定数を算出することが従来困難であったが、本願発明では、この時定数を推定する手法を提案する。すなわち、本願発明では、実際の吸気管圧力が目標吸気管圧力に向かう速度は、スロットル弁を通過する空気量に基づいて決めることができるという知見に基づき、実スロットル開度が予測スロットル開度に達するまでに該スロットル弁を通過する空気量に基づいて、吸気管圧力の時定数を推定する。また、吸気管圧力と吸入空気量の間の相関は、運転状態に応じて変化することがあるので、該運転状態をも考慮して該時定数を決定することにより、時定数の精度を上げる。時定数が決まることにより、次の制御周期の吸気管圧力を予測することができる。
この発明の一実施例によると、内燃機関の回転数、吸気バルブのリフト量、該吸気バルブの位相、および相関係数の相関を規定したマップを記憶する手段を備え、上記相関係数算出手段は、現在の回転数、位相およびリフト量に基づいて該マップを参照して、対応する相関係数を求める。こうして、内燃機関の運転状態に応じた相関係数を求めることができる。
この発明の一実施形態によると、p回前の制御周期の目標スロットル開度を求める。スロットル弁が静止状態から作動状態に遷移するまでの無効時間に基づいて該pの値を求める。スロットル弁が静止状態から作動状態に遷移したことが判定されたならば、スロットル開度の予測値算出には、該p回前の制御周期の目標リフト量を用いる。
この発明によれば、スロットル弁の無効時間に基づいて、予測値算出に用いる目標スロットル開度が決定されるので、スロットル弁が静止状態から作動状態に遷移した時の予測値を、より良好な精度で算出することができる。
この発明の一実施形態によると、スロットル弁が作動していることが判定されたならば、スロットル開度の予測値算出には、今回の制御周期で決定された目標スロットル開度を用いる。こうして、スロットル弁が作動している最中には、スロットル弁の無効時間を考慮しなくてもよいようにする。
この発明の一実施形態によると、スロットル弁の作動速度を検出する手段と、該検出された作動速度に従って、スロットル弁が静止状態から作動状態に遷移したか、またはスロットル弁が作動しているか、を判定する。こうして、予測値を算出するのに無効時間を考慮すべきかどうかを判断することができる。
この発明の一実施形態によると、実スロットル開度と上記スロットル開度の予測値の差を算出する。所定の基準大気圧および基準吸気温度の基準状態におけるスロットル開度とスロットル弁の通過空気量との間の関係を表すマップを記憶する記憶手段が設けられる。上記差に基づいて該マップを参照することにより、基準状態におけるスロットル弁の通過空気量を算出する。該基準状態におけるスロットル弁の通過空気量を、現在の大気圧および現在の吸気温度における上記通過空気量に換算する。
この発明によれば、現在の大気圧および現在の吸気温度におけるスロットル弁の通過空気量を求めるのに、基準状態についてのマップを記憶するだけでよく、他の大気圧および吸気温度についてのマップを記憶する必要がない。したがって、マップの設定工数および記憶すべきデータ数を削減することができる。
この発明の一実施形態によると、さらに、内燃機関の吸気の粘性を表すパラメータ、および、吸気管の開口面積に対する、スロットル弁の予測値に相当する開口面積の比に基づいて、上記換算された通過空気量を補正する。こうして、吸気の粘性および開口面積比に基づいてさらに補正されるので、より良好な精度で通過空気量を求めることができる。
この発明の一実施形態によると、上記粘性を表すパラメータは、レイノルズ数であり、検出された吸入空気量、吸気管の開口面積、該吸気管の内径および該吸気の粘性係数に基づいて、レイノルズ数を算出する。一実施形態では、現在の吸気温度に基づいて、該粘性係数を算出する。
この発明の一実施形態によると、上記吸気管の予測値および検出された内燃機関の回転数に基づいて、内燃機関の吸入空気量を求め、該求めた吸入空気量に基づいて、燃料噴射量を求める。こうして、吸気管の予測値を用いることにより、該予測値に対応する吸入空気量を求めることができ、よって、より良好な精度で燃料噴射量を求めることができる。
次に図面を参照してこの発明の実施の形態を説明する。図1は、この発明の一実施形態に従う、内燃機関(以下、エンジンと呼ぶ)およびその制御装置の全体的な構成図である。
電子制御ユニット(以下、「ECU」)という)1は、中央演算処理装置(CPU)およびメモリを備えるコンピュータである。メモリには、車両の様々な制御を実現するためのコンピュータ・プログラムおよび該プログラムの実施に必要なデータ(マップを含む)を格納することができる。ECU1は、車両の各部から信号を受取ると共に、該メモリに記憶されたデータおよびプログラムに従って演算を行い、車両の各部を制御するための制御信号を生成する。
エンジン2は、たとえば4気筒を有するエンジンである。エンジン2には、吸気管3および排気管4が連結されている。吸気管4には、スロットル弁5が設けられている。スロットル弁5は、ECU1からの制御信号に応じてアクチュエータ(図示せず)によって駆動されるドライブバイワイヤ(drive by wire:DBW)式のスロットル弁である。スロットル弁5には、スロットル弁の開度を検出するスロットル弁開度(θTH)センサ6が連結されており、この検出値は、ECU1に送られる。
燃料噴射弁7が、エンジン2とスロットル弁5との間であって、エンジン2の吸気バルブ(図示せず)の少し上流側に、気筒ごとに設けられている。燃料噴射弁7は、図示しない燃料ポンプに接続されている。燃料噴射弁7の燃料噴射時期および燃料噴射量は、ECU1からの制御信号に従って変更される。代替的に、燃料噴射弁を、エンジン2の気筒内に臨むように取り付けてもよい。
スロットル弁の上流には、吸気管3を流れる空気の量を検出するエアフローメータ(AFM)8が設けられている。
スロットル弁5の下流には、吸気管内絶対圧(PBA)センサ10が設けられており、吸気管内の圧力を検出する。また、吸気管内絶対圧センサ10の下流には吸気温(TA)センサ11が設けられており、吸気管内の温度を検出する。これらの検出値は、ECU1に送られる。また、エンジン2には、エンジンの水温TWを検出するためのエンジン水温センサ12が設けられており、該センサの検出値は、ECU1に送られる。
エンジン2には、吸気バルブおよび排気弁のリフト量を連続的に変更することができる可変リフト機構と、吸気バルブを駆動するカムのクランク軸を基準とした位相を連続的に変更する可変位相機構とを有する弁作動特性可変装置20を備える。
可変リフト機構は、任意の既知の手法により実現することができる。例えば、カム、リフト可変リンク、アッパーリンク、ロアリンクから構成され、ロアリンクの角度をアクチュエータなどで変更して、バルブの最大リフト量を制御する手法が提案されている(たとえば、特開2004−036560号を参照)。
可変位相機構は、任意の既知の手法により実現することができる。たとえば、電磁的に吸気バルブの位相を進角または遅角に制御する手法が提案されている(たとえば、特開2000―227033号を参照)。
なお、代替的に、可変リフト機構および可変位相機構を一体的に構成してもよい。また、本願発明は、リフト量および位相を連続的に変更可能なこれら機構に限定されるわけではなく、リフト量および位相を段階状に変更可能な機構にも適用可能である。
ECU1には、エンジン1のクランク軸の回転角度を検出するクランク角センサ13およびエンジン1の吸気バルブを駆動するカムが連結されたカム軸の回転角度を検出するカム角センサ14が接続されており、これらのセンサの検出値はECU1に供給される。クランク角センサ13は、所定のクランク角度(たとえば30度)毎に1パルス(CRK信号)を発生し、該パルスにより、クランク軸の回転角度位置を特定することができる。また、カム角センサ14は、エンジン2の特定の気筒の所定クランク角度位置でパルス(CYL信号)と、各気筒の吸入行程開始時の上死点(TDC)でパルス(TDC信号)を発生する。これらのパルスは、燃料噴射時期、点火時期等の各種の制御タイミングおよびエンジン回転数NEの検出に使用される。なお、カム角センサ14より出力されるTDC信号と、クランク角センサ13より出力されるCRK信号との相対関係から、吸気バルブのカム軸の実際の位相CAINが検出される。
弁作動特性可変装置20には、吸気バルブのリフト量を制御する制御軸の回転角度位置を検出するための制御軸回転角度センサ(CSA)センサ15が設けられている。該センサ15の検出値から、吸気バルブのリフト量を検出することができる。
ECU1は、上記各種センサからの入力信号に応じて、メモリに記憶されたプログラムおよびデータ(マップを含む)に従い、エンジン2の運転状態を検出すると共に、スロットル弁5、燃料噴射弁7、弁作動特性可変装置20を制御するための制御信号を生成する。
図2を参照して、スロットル弁5の制御について説明する。図2(a)を参照すると、スロットル弁5およびそのアクチュエータ22を備えるスロットル機構21が示されており、これが、ECU1の制御対象(プラント)となる。スロットル弁5の制御軸26には、ギア25を介して、アクチュエータ22に設けられたモータ23の出力軸24が連結される。ECU1からの制御信号に従って、モータ23は、該制御軸26を回転させ、これにより、スロットル弁5の開度(開口面積)を変更する。
図2(b)は、図2(a)に対応するブロック図であり、ECU1に実現されるスロットルコントローラ51は、プラントであるスロットル機構21に対し、後述される制御手法に従い、スロットル弁5の実スロットル開度を目標スロットル開度に収束させるための操作量を算出する。スロットルアクチュエータ22のモータ23は、該操作量に従って、スロットル弁5の開度を変更する。変更されたスロットル開度は、実スロットル開度としてスロットル弁開度センサ6によって検出され、スロットルコントローラ51にフィードバックされる。
図3は、本願発明の一実施形態に従う制御装置の機能ブロック図である。本願発明の最終的な目的は、燃料噴射量を算出することであり、そのために、吸気管圧力の予測値を用いる。予測値は、次の制御周期の吸気管圧力を表している。或る制御周期において算出された該予測値に基づいて燃料噴射量を算出する。次の制御周期には、実際の吸気管圧力が該予測値に達しており、よって、それに適した量の燃料を噴射させることができる。
吸気管圧力はスロットル開度によって変化するので、吸気管圧力の予測値を求めるため、次の制御周期のスロットル開度を予測する。そのため、予測スロットル開度算出部41は、スロットル弁開度センサ6によって検出された実スロットル開度と目標スロットル開度に基づいて、スロットル開度の予測値HTHを求める。
通過空気量差分算出部42は、予測スロットル開度HTHに基づいて、今回の制御周期と次の制御周期との間で、スロットル弁5を通過する空気量がどの程度変化するかを表す通過空気量差分ΔDBWを算出する。他方、吸気管圧力と吸入空気量の間には相関関係があり、相関係数算出部43により、エンジンの運転状態に基づいて、該相関を表す係数Aが算出される。この実施例では、運転状態を表すパラメータとして、エンジンの回転数、吸気バルブのリフト量、および吸気バルブの位相が用いられる。
予測吸気管圧力算出部44は、通過空気量差分ΔDBWと相関係数Aに基づいて、吸気管圧力の予測値HPBを求める。燃料噴射量算出部45は、該予測吸気管圧力HPBに基づいて、燃料噴射量を求める。
以下、図3に示す各機能ブロックを詳細に説明する。
1.予測スロットル開度(HTH)算出部
図4を参照して、予測スロットル開度の算出についての原理を説明する。スロットル開度、吸気管圧力および燃料噴射量の制御は、所定の制御周期に従って実行される。各制御周期において、エンジンの運転状態(たとえば、アクセルペダルの開度等)に応じて目標スロットル開度が決定される。図には、或る気筒について、3個の制御周期n〜(n+2)にわたる目標スロットル開度、実スロットル開度、および本願発明の手法に従って算出される予測スロットル開度の挙動が示されている。1制御周期の長さは、この図ではStimeで表されている。以下の実施例では、制御周期は、固定した時間間隔で実現され、よって制御周期の長さStimeは一定である(たとえば、10ミリ秒)。
代替的に、制御周期をTDC信号に同期させ、TDC信号に応じて制御が実行されるようにしてもよい。この場合、制御周期の長さStimeは、エンジン回転数に基づいて算出されることができる。たとえば、TDC信号が吸入行程の上死点で出力され、今回の制御周期nにおいて検出されたエンジン回転数がNE(rpm)である場合、該制御周期nの長さは、以下のように算出されることができる。
Figure 2009203867
各制御周期において、スロットルコントローラ51は、実スロットル開度を目標スロットル開度に向けてスロットル弁5を制御する。制御周期nを参照すると、目標スロットル開度はX(度)であり、実スロットル開度はZ(度)である。目標スロットル開度および実スロットル開度に基づいて算出される予測スロットル開度はY(度)である。制御周期nにおいて、次の制御周期(n+1)で噴射すべき燃料噴射量は、該予測スロットル開度に基づいて決定される。制御周期(n+1)において、実スロットル開度は、制御周期nで算出された予測スロットル開度の値Yにほぼ到達するので、当該周期(n+1)で実現された実スロットル開度に適した量の燃料噴射量が噴射されることとなる。
このように、燃料噴射量は、噴射時期よりも1制御周期前に算出されるので、制御周期nにおいて検出された実スロットル開度で燃料噴射量を算出すると、実際の噴射が行われる制御周期(n+1)の実スロットル開度に適した量の燃料が噴射されないおそれがある。これは、空燃比のずれを招くおそれがある。本願発明によれば、1制御周期後のスロットル開度を予測し、該予測スロットル開度に基づいて燃料噴射量を算出するので、実際の噴射が行われる時の実スロットル開度に適した量の燃料を供給することができる。
予測スロットル開度は、以下の式に従って算出されることができる。
HTH(n)=C(THCMD(n)―TH(n))+TH(n)
制御周期の長さStime/(時定数τp+制御周期の長さStime)
(1)
ここで、TH(n)は、制御周期nにおいて検出された実スロットル開度を示す。THCMD(n)は、制御周期nにおいて決定された目標スロットル開度を示す。Cはゲインであり、制御周期の長さStimeおよびスロットルコントローラ51によるスロットル開度制御の時定数τpに基づいて算出される。HTH(n)は、制御周期nにおいて算出された予測スロットル開度を示す。予測スロットル開度は、目標スロットル開度と実スロットル開度の偏差にゲインを乗じた値を、実スロットル開度に加算することにより算出される。
本願発明では、上記式(1)に従い、制御周期nにおいて予測スロットル開度HTH(n)を算出し、該予測スロットル開度に従って、次の制御周期で供給すべき燃料噴射量を決定する。
以下、上記式(1)の根拠を説明する。
図5は、図3に示すスロットルコントローラ51の詳細なブロック図である。この実施例では、スロットルコントローラ51は、スロットル弁の位置制御すなわちスロットル開度の制御にPD制御を採用し、速度制御すなわちスロットル弁を動かす速度にPI制御を採用し、操作量を算出する。PD制御ブロックが符号54により表され、PI制御ブロックが符号55により表されている。Kppは比例ゲインを示し、Kpdは微分ゲインを示す。Kvpは比例ゲインを示し、Kviは積分ゲインを示す。1/zは遅延要素を示す。Stimeは、前述したように、制御周期の長さを示す。
ブロック54では、目標スロットル開度と実スロットル開度の差に対して比例ゲインKppが乗算された項と、該差を微分して制御周期の長さの逆数(1/Stime)および微分ゲインKpdを乗算した項とが加算される。ブロック55では、実スロットル開度の今回値と前回値との差(1制御周期あたりのスロットル開度の変化量を示す)と、ブロック54の出力との差をとり、該差に対して比例ゲインKvpが乗算された項と、該差を積分して制御周期の長さStimeおよび積分ゲインKviを乗算した項とが加算される。
他方、本願発明者の知見によれば、スロットル機構21(プラント)について、モータ23に印加される電圧Uを入力とし、結果として生じる制御軸26の角度θcsを出力とすると、プラント21の運動方程式は、ラプラス演算子sを用いて式(2)のような伝達関数で表現されることができる。
Figure 2009203867
ここで、Jallは、モータ23から制御軸26に至る系のイナーシャ要素を示し、モータ23のイナーシャおよび制御軸26のイナーシャを含む。Ballは、モータ23から制御軸26に至る系の粘性抵抗を示し、モータ23の粘性抵抗、制御軸26の粘性抵抗およびトルク定数、モータの抵抗、減速比およびギア効率等を含む。
図6(a)は、リフトコントローラ51(図5)およびプラントであるスロットル機構21を、ラプラス演算子sを用いた伝達関数で表したブロック図である。ブロック71はPD制御ブロックを示し、ブロック72はPI制御ブロックを示す。ブロック73は、プラント21を示し、上記式(2)が示されている。
ここで、PDおよびPI制御の各ゲインは、以下のように、時定数を用いて設定される。時定数τpは、位置制御(PD制御)の時定数であり、時定数τωは、速度制御(PI制御)の時定数を示す。
Kpp=1/τp
Kpd=τω/τp
Kvp=Jall/τω
Kvi=Ball/τω
時定数τpおよびτωは、所望の値に設定されることができる。時定数τpが一定となる位置制御を実現するため、ブロック71〜73の合成伝達関数が、単一の時定数τpの一次遅れ系となるように、上記ゲインKpp〜Kviは設定される。ここで、時定数τpが一定であるとは、実スロットル開度が、目標スロットル開度の約63%に達するのに要する時間が一定、ということを示す。
ブロック71〜73の合成伝達関数を求める。上記時定数τpおよびτωの定義を用いると、図6の(a)は、図6(b)のように表される。
次に、図6(b)のPI制御ブロック72とプラント73の伝達関数を合成すると、図6(c)のブロック75により示される伝達関数が得られる。ブロック75に、ラプラス演算子sのフィードバック(ブロック74で表される)を合成すると、図7(a)のブロック76により示される伝達関数が得られる。さらに、ブロック71とブロック76を合成すると、図7(b)のブロック77により示される伝達関数が得られる。実リフト量から目標リフト量のフィードバックラインをさらに合成すると、図7(c)のブロック78により示される伝達関数が得られる。こうして、スロットルコントローラ51とプラント21の合成伝達関数Hは、以下の式(3)のように表される。この合成伝達関数は、時定数τpの一次遅れ系を表している。こうして、上記のようにゲインKpp〜Kviを決めることにより、合成伝達関数Hからは、速度制御の時定数τωは消去され、位置制御の時定数τpのみが残る。前述したように、時定数τpは所望の値に設定され、該τpに基づいてゲインKppおよびKpdが設定されるので、時定数τpが一定であるようリフト量を制御することができる。
合成伝達関数H=1/(τp・s+1) (3)
次に、図8を参照して、式(3)の合成伝達関数Hから上記式(1)が導出される根拠を説明する。
図8の(a)のブロック78は、式(3)の伝達関数Hを表している。離散化を行うため、ブロック78を分解すると、(b)に示されるブロック81および82が得られる。伝達関数が実行される制御周期の長さをStimeとすると、積分(1/s)の離散表現は、1/(1−z―1)であるから、符号83に示すように、遅延要素zを用いて表すことができる。ブロック84のStimeは、積分時間を表している。ブロック81、83、および84を合成すると、(d)に示されるブロック85により表される。Stime/τpをkとおいて、一巡伝達関数(Loop Transfer Function)H’(z)を求める(z表現で表される)。
Figure 2009203867
C=k/(1+k)とおくと、式(4)は、以下のように表される。
Figure 2009203867
式(5)は、図8の(d)のように表され、これを、入力をUおよび出力をYとする差分方程式に変換すると、以下のように展開される。
Figure 2009203867
式(6)のY(n)を予測スロットル開度HTH(n)とし、Y(n−1)を実リフト量TH(n)とし、U(n)を目標リフト量THCMD(n)とおけば、上記の式(1)が導出される。
なお、この実施例では、位置制御をPD制御で実現し、速度制御をPI制御で実現しているが、このような制御形態に限定されず、また、速度制御は必ずしも必要とされない。本願発明では、スロットル開度の制御について、伝達関数で表現可能な制御手法であればよく、たとえば、PI制御、PD制御、PID制御、H∞制御を用いることができる。また、プラントへの外乱を推定して外乱の影響を除去するようプラントを制御する外乱オブザーバによる制御を含めてもよい。これらの制御は、制御パラメータによって、制御の周波数特性(ゲイン特性および位相特性)を決定することができるので、周波数整形(frequency shaping)を実施することのできる制御手法といえる。たとえば、PI制御では、比例ゲインおよび積分ゲインという制御パラメータにより、該PI制御のゲイン特性および位相特性を決定することができる。こうして、本願発明は、スロットル開度の制御に用いる制御パラメータが時定数を用いて設定されることにより、合成伝達関数が該時定数の一次遅れ系で表され、これにより、該時定数が一定であるようスロットル開度を制御可能な制御形態に適用されうる。
図9は、この発明の一実施形態に従う、予測スロットル開度(HTH)算出部41のより詳細な機能ブロック図である。
好ましくは、目標スロットル開度デシメーション部91が設けられ、これは、スロットル弁の無効時間を制御周期の長さStimeで除算することにより、値pを得る。目標スロットル開度の過去値(以前の制御周期で算出された目標スロットル開度)は、ECU1のメモリに記憶されている。制御周期Stimeは、この実施例では一定であり、ECU1のメモリに記憶されている。デシメーション部91は、p回前の制御周期(n−p)において算出された目標スロットル開度を出力する。
スロットル機構21において、スロットル弁が静止状態から作動状態に遷移するのに無効時間が発生する。すなわち、スロットルコントローラ51は、目標スロットル開度に応じてスロットル弁の開度を制御するための操作量を図2のアクチュエータ22に出力するが、該操作量に従って実際にスロットル弁が動き出すまでには、無効時間分の遅れがある。したがって、実スロットル開度と目標スロットル開度の正確な対応づけを行うため、上記のようなデシメーション処理を行う。
たとえば、無効時間が30msであり、制御周期が10msであるとすると、3個前の制御周期(n−3)において算出された目標スロットル開度が出力される。この場合、スロットル弁の今回の制御周期の作動開始は、3個前の制御周期の目標値に基づいている、ということを表している。無効時間は、スロットル機構に依存して、シミュレーション等によって予め算出し、ECU1のメモリに記憶しておくことができる。
作動判定部92は、今回の制御周期nにおいて、スロットル弁が静止状態から作動状態に遷移したかどうかを判定する。より具体的には、作動判定部92は、スロットルセンサ6を介して検出された今回の制御周期nの実スロットル開度と前回の制御周期(n−1)の実スロットル開度との差を算出し、該差を、制御周期の長さStimeで除算する。該除算により得た値は、スロットル弁の作動速度を表している。該作動速度が所定値以上ならば、スロットル弁が作動している最中であると判定し、値1の作動フラグを出力する。該作動速度が該所定値より小さければ、前回の制御周期ではスロットル弁が静止しており、今回の制御周期においてスロットル弁が作動を開始したと判定し、ゼロ値の作動フラグを出力する。
切換え部93は、作動フラグの値を調べ、該作動フラグの値が1ならば、目標スロットル開度THCMD(n)として、今回の制御周期nで決定された目標スロットル開度の値を採用する。目標スロットル開度は、前述したように、エンジンの運転状態に応じて、既知の任意の手法で決定されることができる。該作動フラグの値がゼロならば、目標スロットル開度THCMD(n)として、デシメーション部91から渡されたp回前の目標スロットル開度の値を採用する。こうして、スロットル弁が作動中ではなく、静止状態から作動状態に遷移した時には、無効時間が生じていることを示すので、p回前の目標スロットル開度を用いるようにする。
このように、スロットル弁が作動中であるときには、無効時間は実質的に発生しないと考えることができる。代替的に、スロットル弁が作動中であるとき、より厳格な意味においては無効時間がわずかながら生じることがある。たとえば、スロットルコントローラ51が算出した操作量がスロットル機構21のアクチュエータ22に到達するまでには、通信ラインを介しているので、このような無効時間が生じるおそれがある。したがって、スロットル弁が作動中であるときにも無駄時間を考慮するようにしてもよい。その場合には、無効時間を予めシミュレーション等を介して計測してECU1のメモリに記憶しておき、デシメーション部91は、該無効時間を制御周期で除算した値p’を算出し、p’回前の制御周期で決定された目標スロットル開度を出力する。切換部93は、作動フラグの値に従い、p’回前の制御周期の目標スロットル開度またはp回前の制御周期の目標スロットル開度を、今回の制御周期の目標スロットル開度THCMD(n)として選択する。
ゲイン算出部94は、制御周期の長さStimeおよび時定数τpに基づいて、前述した式(1)に従い、ゲインCを算出する。時定数τpは、前述したように、所望の値に設定されることができ、ECU1のメモリに予め記憶しておくことができる。
予測スロットル開度算出部95は、上記の式(1)に、ゲインC、今回の制御周期nにおいてスロットルセンサ6によって検出された実スロットル開度TH(n)、切換え部93により選択された目標スロットル開度THCMD(n)を代入し、予測スロットル開度HTH(n)を算出する。
なお、制御がTDC信号に応じて実行される場合のように、制御周期の長さStimeが一定でない場合について補足する。まず、前記pの値の算出についてであるが、この場合、制御周期の時間長の過去値をECU1のメモリに記憶しておく。デシメーション部91は、無効時間が、何個の制御周期に相当するかを見極める。たとえば、無効時間が30msであり、制御周期(n−1)の長さが9ms、(n−2)の長さが11ms、(n−3)の長さが12msである場合には、無効時間30ms遡った所が制御周期(n−3)に相当するので(30−9−11−12がゼロ以下になる)、p=3を得ることができる。制御周期の長さの過去値を記憶する代わりに、エンジン回転数の過去値を記憶してもよい。前述したように、制御周期nで検出されたエンジン回転数から、該制御周期nの長さを求めることができる。
また、前回の実スロットル開度は前回のTDC信号に応じて検出され、今回の実スロットル開度は今回のTDC信号に応じて検出されるので、作動判定部92は、作動速度を算出するのに、前回の制御周期n−1の長さを用いるのが好ましい。また、ゲインCは、今回のTDC信号に応じて検出された実スロットル開度が、次のTDC信号に応じたスロットル開度検出時までにどれほど変化するかを予測するための値であるので、ゲイン算出部94は、今回の制御周期nの長さStimeを用いてゲインCを算出するのが好ましい。
2.スロットル通過空気量差分(ΔDBW)算出部
図9は、図3の通過空気量差分算出部42の詳細な機能ブロック図である。基準通過空気量差分算出部101は、図9を参照して説明した予測スロットル開度HTHを受け取り、該予測スロットル開度HTHと、スロットルセンサ6により検出された実スロットル開度THとの間の差分を算出する。該算出部101は、所定の基準状態、すなわち基準となるゲージ圧、大気圧、および吸気温度における吸入空気量と、スロットル開口面積との関係を表すマップを、該算出した差分に基づいて参照し、該基準状態下における吸入空気量ΔGAIRTH_BASEを求める。吸入空気量ΔGAIRTH_BASEは、基準状態下において、スロットル開度がTHからHTHに変化したことに応じて、スロットル弁5を通過する空気量の変化量を表している。なお、スロットル開度(deg)とスロットル開口面積(mm)との間には、1対1の関係があるので、上記マップの参照は、上記差分(deg)を開口面積に換算して行われる。
図11に、このような相関マップの一例を示す。この例では、ゲージ圧が50mmhg(6.666kPa)、大気圧が1気圧(760mmHgすなわち101.32kPa)、吸気温度が25度である基準状態下における吸入空気量とスロットル開口面積との関係を表している。ゲージ圧は、吸気管内絶対圧の大気圧に対する差圧を示す。該相関マップは、ECU1のメモリに記憶されることができる。基準状態は、上記のような数値に限定されず、他の値のゲージ圧、大気圧および吸気温度を持つ状態を基準状態に設定してもよい。
通過空気量差分算出部102は、現在のゲージ圧PBGA、現在の吸気温度TA、現在の大気圧PAに基づいて、基準状態下の基準通過空気量差分ΔGAIRTH_BASEを補正し、現在の状態下の通過空気量差分ΔGAIRTHに換算する。この補正は、ベルヌーイの定理から導出された補正式を用いて次式のように行なわれる。
Figure 2009203867
ここで、PBGA_STDは、上記基準状態下の基準ゲージ圧であり、TA_STDは、基準状態下の基準吸気温度であり、PA_STDは、基準状態下の基準大気圧であり、前述したように、本実施形態では、それぞれ、50mmHg(6.666kPa)、25℃、および760mmHg(101.32kPa)である。なお、式において、温度の単位としてケルビンを用いるので、TAおよびTA_STDに273が加算されている。
ここで、図12を参照して、上記式の導出根拠を説明する。図には、スロットル弁5が配置された吸気管3に関する各種パラメータが表されている。吸気管3の流路開口面積およびボア径(内径)は予め決められており、それぞれ、AおよびDによって表される。スロットル弁5が配置された所の面積すなわちスロットル開口面積は、Aで表される。スロットル弁5の上流の圧力は大気圧PAで表され、下流の圧力は、吸気管圧力センサ10(図1)により検出され、PBで表される。ゲージ圧PBGAは、PA−PBにより算出される。空気密度は、ρで表される。図では、ΔGAIRTHの流量の吸入空気量が、スロットル弁5を通過している様子を示している。
一般に、圧力(ここでは、大気圧)PAの領域から、断面積Aの経路を介して圧力PBの領域へ、流量ΔGAIRTHの空気が流入する場合、流量ΔGAIRTHは、ベルヌーイの定理に基づいて、次式のように表される。
Figure 2009203867
ここで、Cは、流量係数(流出係数と呼ばれることもある)である。
同様に、基準ゲージ圧PBGA_STD、基準吸気温度TA_STD、基準大気圧PA_STDの基準状態下において、断面積Aの経路を介して流量ΔGAIRTH_BASEの空気が流れるとき、流量ΔGAIRTH_BASEは次式のように表される。ここで、ρ’は、この状態下における空気密度である。
Figure 2009203867
式(9)より、流量係数Cは次のように表される。
Figure 2009203867
式(10)を式(8)に代入すると、以下のように展開できる。
Figure 2009203867
ここで、ρ/ρ’は空気密度の比であり、既知の気体の状態方程式(PV=nRT)に基づいて次のように表される。
Figure 2009203867
式(12)を式(11)に代入すると、現在のゲージ圧PBGA、吸気温度TA、大気圧PAにおける通過空気量差分ΔGAIRTHを求めるための(7)式が導出される。
上で算出した通過空気量差分ΔDBWは、流量係数Cが一定であることを前提としている。しかしながら、たとえばJIS等の規格で定められた標準のオリフィス流量計について図13のような関係が周知されているように、流量係数Cは、レイノルズ数および開口面積比に依存して変動しうる。
たとえば、基準状態下すなわち式(9)中の流量係数CをCbaseで表すとする。現在の状態下すなわち式(8)中の流量係数CがCbaseに等しくない場合には、式(10)および(11)から明らかなように、補正式(7)で求めた通過空気量差分ΔGAIRTHには誤差が含まれるおそれがある。C=Cbase×Kcと表すと、ΔDBWは、補正式(7)にKcを乗算したものとなる。たとえばCがCbaseより小さいとき(Kc<1)、現在の状態は、基準状態に比べて、スロットル弁を介して空気が流れにくくなっていることを示しているので、式(7)で算出される通過空気量差分を小さくするよう補正するのが好ましい。以下、この補正手法を述べる。
図10の粘性係数算出部104は、吸気温センサ11(図1)により検出される吸気温TAに基づいて、吸気の粘性係数μを決定する。より具体的には、粘性係数算出部104は、吸気温TAに基づいて図14に示すようにマップを参照することにより、対応する粘性係数μを求める。該マップは、ECU1のメモリに記憶されることができる。気体の粘性係数は、温度によって変動する特性を有しており、温度が高くなるほど、粘性係数は大きくなる。
レイノルズ数算出部105は、吸気についてのレイノルズ数Reを算出する。周知の如く、レイノルズ数は、流体の密度、速度、および長さの積を、流体の粘性係数で除した値であり、流体の粘性および慣性についての指標となる。レイノルズ数が小さいほど、相対的に粘性作用が強い流れを示し、レイノルズ数が大きいほど、相対的に慣性作用が強い流れを示す。
ここで、再び図12を参照し、レイノルズ数の算出について説明する。ここでは、スロットル弁5を、AFM8(図1)で検出される吸入空気量GAIRが流れているとする。
前述したように、吸気のレイノルズ数Reは、空気流の密度ρ、速度Vおよび長さと、粘性係数μに基づいて算出されることができる。ここで、管内を流れる流体についての「長さ」には、該管の内径すなわち上記吸気管の内径Dが用いられる。したがって、レイノルズ数Reは、以下の式(13)に従って算出されることができる。
AFM8により検出される吸入空気量GAIRは、単位時間あたりの空気量を表しているので、式(13)中の空気密度ρ(kg/m)×速度V(m/s)は、GAIR(kg/s)/A(m)で置き換えることができる。したがって、吸入空気量GAIRについてのレイノルズ数Reは、式(14)に示すように、吸入空気量GAIRと、吸気管の開口面積Aおよび内径Dと、粘性係数算出部104により求められた粘性係数μとに基づいて算出されることができる。
Figure 2009203867
開口面積比算出部106は、式(15)に従い、吸気管の開口面積Aに対する予測スロットル開度HTHの開口面積の比mを算出する。
m=予測スロットル開度HTHの開口面積/A (15)
上で述べたように、流量係数は、開口面積比およびレイノルズ数と相関を有しているので、開口面積比およびレイノルズ数に対応する流量係数は、たとえば図13に示すようなマップを参照することにより、決定されることができる。こうして決められた流量係数Cに応じて、予測スロットル開度HTHの開口面積に基づく通過空気量差分ΔGAIRTHを補正する補正係数Kcが決定される。補正係数Kcは、前述したように、上記求めた流量係数Cの、基準状態下の流量係数Cbaseに対するずれを補正するための係数である。こうして、開口面積比およびレイノルズ数に応じた補正係数Kcを、予めマップに規定してECU1のメモリに記憶しておくことができる。
このようなマップの一例を、図15に示す。該マップには、開口面積比m毎のレイノルズ数Reと補正係数Kcとの関係が表されている。
補正係数Kcが1の状態は、現在のレイノルズ数Reおよび開口面積比mに基づく流量係数Cが、基準状態下の流量係数Cbaseに等しく、よって、予測スロットル開度HTHに基づく通過空気量差分ΔGAIRTHの補正は行われないことを示す。
開口面積比mが小さくなるほど、補正係数Kcは小さくされる。これは、開口面積比mが小さくなるほど、流量係数Cは小さくなり、空気流がスロットル弁を通過しにくくなるので、通過空気量差分ΔGAIRTHを小さくするよう補正するためである。
また、同じ開口面積比の下では、レイノルズ数が大きくなるほど、補正係数Kcは小さくされる。これは、レイノルズ数が大きくなるほど、流量係数Cは小さくなるので、よって、通過空気量差分を小さくなるよう補正するためである。
補正係数算出部107は、レイノルズ数算出部105および開口面積比算出部106により算出されたレイノルズ数Reおよび開口面積比mに基づいて図15に示すようなマップを参照し、対応する補正係数Kcを求める。
なお、図に示すマップは一例であり、レイノルズ数について3個の値のみ規定しているが、当然ながらこれに限定されず、さらに多数のレイノルズ数の値について規定してよい。また、レイノルズ数算出部105により算出されたレイノルズ数が、或る値と他の値の間にある場合には、周知の補間計算により、該算出されたレイノルズ数に対応する補正係数Kcを算出することができる。
補正部109は、こうして算出された補正係数Kcを、通過空気量差分算出部102により算出された通過空気量差分ΔGAIRTHに乗算することにより、補正済み通過空気量差分ΔDBWを算出する。補正係数Kcは、前述したように、吸気の粘性およびスロットル開口面積比mに基づく値であるので、この補正により、現在の状態下において、実スロットル開度THと予測スロットル開度HTHの間におけるスロットル弁を通過する空気量の差分を、より良好な精度で算出することができる。
3.相関係数算出部、予測吸気管圧力算出部および燃料噴射量算出部
図3の相関係数算出部43、予測吸気管圧力算出部44および燃料噴射量算出部45について説明する。
或るエンジン回転数、吸気バルブのリフト量、および吸気バルブの位相における吸気管圧力PBと吸入空気量GAIRとは、相関関係を有しており、一般に、以下のような関係式(16)で近似することができる。ここで、Bは定数であり、Aは、相関係数と呼ばれる。
PB=A×GAIR+B (16)
相関係数算出部43は、CRKセンサ13を介して検出されたエンジン回転数、CSAセンサ15により検出された吸気バルブのリフト量、およびCRKセンサ13およびCAMセンサ14を介して検出された吸気バルブの位相に基づいて、相関係数Aを算出する。より具体的には、エンジン回転数、リフト量および位相ごとに相関係数Aを規定したマップが、シミュレーション等によって予め作成されECU1のメモリに記憶されている。相関係数算出部43は、検出されたエンジン回転数、リフト量および位相に基づいて該マップを参照し、対応する相関係数Aを求める。
現在の運転状態における相関係数Aが求められたので、予測吸気管圧力算出部44は、通過空気量差分ΔDBWおよび相関係数Aに基づいて、吸気管圧力の予測値HPBを算出する。
吸気管圧力はスロットル開度に応じて変化するので、スロットル開度の目標スロットル開度に向かう挙動と同様の挙動を呈する。したがって、吸気管圧力の予測値についても、スロットル開度に関する式(1)と同様に、以下のように表すことができる。
HPB(n)=C_PB×(PBCMD(n)−PB(n))+PB(n)
C_PB=Stime/(時定数τ_PB+Stime) (17)
ここで、PB(n)は、制御周期nにおいて検出された実吸気管圧力を示す。PBCMD(n)は、制御周期nにおいて決定された目標吸気管圧力であり、運転状態に応じて、既知の任意の手法で決められることができる。C_PBはゲインであり、制御周期の長さStimeおよび時定数τ_PBに基づいて算出される。HPB(n)は、制御周期nにおいて算出された予測値を示す。予測値は、目標吸気管圧力と実吸気管圧力の偏差にゲインを乗じた値(制御周期nから(n+1)への吸気管圧力度の変化量を示す)を、実吸気管圧力に加算することにより算出される。
目的は、時定数τ_PBを求めることである。時定数τ_PBは、通過空気量差分ΔDBWおよび相関係数Aに基づいて決定することができる。通過空気量差分ΔDBWは、今回の制御周期nにおける実スロットル開度TH(n)と、次の制御周期(n+1)の実スロットル開度の予測値HTHとの間にスロットル弁を通過する空気量を表している。したがって、通過空気量差分ΔDBWと、実吸気管圧力が目標吸気管圧力に向かう速度との間には相関がある。通過空気量差分ΔDBWが大きいほど、吸気管圧力の変化は大きくなり、よって該速度が速くなることを示す。
また、吸気管圧力と吸入空気量の関係は運転状態に依存して変化する。同じ通過空気量差分ΔDBWであっても、運転状態に応じて、該通過空気量差分ΔDBWが吸気管圧力に反映される度合いが異なる。相関係数Aが大きいほど、吸気管圧力の変化は大きくなり、よって、上記速度が速くなることを示す。このように、予めシミュレーション等を介して、通過空気量差分ΔDBW、相関係数Aおよび時定数τ_PBの関係を調べ、これをマップに規定してECU1のメモリに記憶しておくことができる。
該マップの一例を、図16に示す。通過空気量ΔDBWが大きくなるほど、実吸気管圧力の目標吸気管圧力に向かう速度が大きくなるので、時定数τ_PBは小さくなる。相関係数Aが大きくなるほど、該速度が大きくなるので、時定数τ_PBは小さくなる。予測吸気管圧力算出部44は、通過空気量差分ΔDBWおよび相関係数Aに基づいて該マップを参照し、対応する時定数τ_PBを求める。該算出部44は、該求めた時定数τ_PBを用い、上記式(17)に従って予測吸気管圧力HPBを算出する。
なお、時定数τ_PBを相関係数Aに基づいて求める理由を簡単に説明すると、前述した式(16)中のGAIRは気筒に流入する空気量を表しており、エンジンの過渡状態を考慮すると、該GAIRは、スロットル弁を通過する空気量ΔDBWに一致しないことがある。したがって、ΔDBWを式(16)のGAIRに代入しても、良好な精度で吸気管圧力を求めることは難しい。そこで、本願発明では、相関係数A、時定数τ_PBおよび通過空気量差分ΔDBWの間の予め求められた相関に基づき、今回算出された通過空気量差分ΔDBWおよび相関係数Aから時定数τ_PBを求め、該時定数τ_PBを介して吸気管圧力の予測値HPBを求めるようにしたものである。
燃料噴射量算出部45は、予測吸気管圧力HPBに基づいて、燃料噴射量を算出する。より具体的には、エンジン回転数に対応する吸入空気量を、吸気管圧力毎に規定したマップを、予めシミュレーション等を介して作成してECU1のメモリに記憶することができる。燃料噴射量算出部45は、予測吸気管圧力HPBに基づいて該マップを参照し、検出されたエンジン回転数に対応する吸入空気量を求める。該吸入空気量は、予測吸気管圧力HPBが実現された場合に吸入される空気量を表している。該マップの一例を、図17(a)に示す。回転数が高いほど、また吸気管圧力が高いほど、吸入空気量が増加する。
さらに、吸入空気量に対応する燃料噴射量を規定したマップを、予めシミュレーション等を介して作成してECU1のメモリに記憶することができる。燃料噴射量算出部45は、上記求めた吸入空気量に基づいて該マップを参照し、対応する燃料噴射量を算出する。該マップの一例を、図17(b)に示す。吸入空気量が増えるほど、燃料噴射量は増やされる。
こうして、燃料噴射量算出部45は、今回の制御周期nにおいて、予測吸気管圧力HPB(n)に基づいて燃料噴射量を算出する。該燃料噴射量は、ECU1に実現される燃料コントローラ(図示せず)に渡され、該コントローラにより、次の制御周期(n+1)において該燃料噴射量が噴射されるように燃料噴射弁が駆動される。
なお、この実施例では、簡略化のため、式(17)に従って吸気管圧力の予測値を算出する制御周期の長さを、上記「1.」で述べたスロットル開度を制御する(よって、スロットル開度の予測値を算出する)制御周期の長さStimeと同じとしているが、両者の制御周期の長さは異なっていてもよい。この場合、上記の式(17)のStimeには、吸気管圧力の予測値を算出する制御周期の長さStime_PBが設定されることとなる。
4.制御フロー
図18〜図24を参照して、本願発明の一実施例に従う、制御フローを説明する。
図18は、メインフローを示し、該フローに示されるプロセスは、前述した制御周期Stimeに従ってECU1により実行され、より具体的には、図3に示される機能ブロックによって実現される。
ステップS1において、予測スロットル開度HTHを算出するプロセスを実行する。ステップS2において、通過空気量差分ΔDBWを算出するプロセスを実行する。ステップS3において、相関係数Aを算出するプロセスを実行する。ステップS4において、予測吸気管圧力HPBを算出し、燃料噴射量を算出するプロセスを実行する。
前述したように、吸気管圧力の予測値を算出する制御周期の長さStime_PB(式17参照)は、スロットル開度の予測値を算出する制御周期の長さStime(式1参照)と異なってもよい。この場合、ステップS1(予測スロットル開度の算出プロセス)およびステップS2(通過空気量差分ΔDBWの算出プロセス)は、Stimeの周期で実行され、ステップS3(相関係数Aの算出プロセス)およびステップS4(予測吸気管圧力の算出および燃料噴射量の算出プロセス)は、Stime_PBの周期で実行される。
図19は、図18のステップS1で実行されるプロセスのフローチャートを示す。ステップS11において、無効時間に基づいて、p回前の目標スロットル開度を求める。ステップS12において、スロットル弁の作動速度を算出することにより、今回の制御周期においてスロットル弁が静止状態から作動状態に遷移したと判定したならば、作動フラグにゼロを設定し、今回の制御周期にわたってスロットル弁が作動していると判定したならば、作動フラグに1を設定する。
ステップS13において、作動フラグが、スロットル弁の作動中を示す値1であれば、今回の制御周期で決定された目標スロットル開度を、目標スロットル開度THCMD(n)に設定する(S14)。作動フラグが、スロットル弁が静止状態から作動状態に遷移したことを示す値ゼロであれば、p回前の制御周期で決定された目標スロットル開度を、目標スロットル開度THCMD(n)に設定する(S15)。
ステップS16において、制御周期の長さStimeおよび時定数τpに基づいて、前述した式(1)に従い、ゲインCを算出する。ステップS17おいて、該ゲインCと、スロットル弁開度センサ6によって検出された実スロットル開度TH(n)、および目標スロットル開度THCMD(n)を用い、上記式(1)に従って予測スロットル開度HTHを算出する。
図20は、図18のステップS2において実行されるプロセスのフローを示す。ステップS21において、予測スロットル開度HTHと実スロットル開度THの差を算出する。ステップS22において、該差に基づいて、図11に示すようなマップを参照し、基準通過空気量差分ΔGAIRTH_BASEを算出する。ステップS23において、前述した式(7)に従って、通過空気量差分ΔGAIRTHを算出する。
ステップS24において、吸気温センサ11により検出された吸気温度TAに基づき、図14に示すようなマップを参照して、粘性係数μを算出する。ステップS25において、AFM8により検出された吸入空気量GAIRおよびステップS24で求めた粘性係数μを用い、式(14)に従ってレイノルズ数Reを算出する。ステップS26において、予測スロットル開度HTHの開口面積を用い、式(15)に従って開口面積比mを算出する。
ステップS27において、ステップS25および26で算出したレイノルズ数Reおよび開口面積比mに基づいて図15に示すようなマップを参照し、補正係数Kcを求める。ステップS28において、該補正係数Kcを、ステップS23で算出した通過空気量差分ΔGAIRTHに乗算することにより、補正済み通過空気量差分ΔDBWを算出する。
図21は、図18のステップS3で実行されるプロセスのフローチャートである。前述したように、相関係数Aを求めるためのマップには、エンジン回転数、吸気バルブの位相、および吸気バルブのリフト量ごとに、相関係数Aが設定されている。このようなマップの一例を、図22に示す。図22(a)は、第1の位相CAIN1に対応するマップを示し、図22(b)は第2の位相CAIN2に対応するマップを示し、図22(c)は第3の位相CAIN3に対応するマップを示す。第1の位相<第2の位相<第3の位相の関係にある。
まず、ステップS31において、(a)に示すような第1の位相CAIN1に対応するマップを選択し、該マップを、検出された回転数および検出されたリフト量に基づいて参照し、対応する相関係数A_Lを算出する。ステップS32において、(b)に示すような第2の位相CAIN2に対応するマップを選択し、該マップを、検出された回転数および検出されたリフト量に基づいて参照し、対応する相関係数A_Mを算出する。ステップS33において、(c)に示すような第3の位相CAIN3に対応するマップを選択し、該マップを、検出された回転数および検出されたリフト量に基づいて参照し、対応する相関係数A_Hを算出する。
こうして、第1の位相CAIN1に対応する係数A_L、第2の位相CAIN2に対応する係数A_M、第3の位相CAIN3に対応する係数A_Hが得られる。これらをプロットすると、例えば図23に示されるようになる、現在の位相CAINに応じた相関係数Aを求めるために、補間計算を行う。たとえば、図に示すように、第1の位相CAIN1と第2の位相CAIN2との間に現在の位相CAINがあれば、線形補間により、以下の式(18)によって、現在の位相CAINに対応する相関係数Aを求めることができる。
Figure 2009203867
この例では、3個の位相を用いているが、用いる位相の数は、これに限定されず、任意の数の位相をマップ上に規定しておくことができる。
図24は、図18のステップS4において実行されるプロセスのフローチャートである。
ステップS41において、通過空気量差分ΔDBWおよび相関係数Aに基づいて、図16のようなマップを参照し、時定数τ_PBを求める。ステップS42において、制御周期の長さStimeおよび時定数τ_PBに基づいて、式(17)に従ってゲインC_PBを算出し、さらに、該ゲインC_PBと、目標吸気管圧力PBCMDおよびPBセンサ10によって検出された実吸気管圧力PBを用い、上記式(17)に従って予測吸気管圧力HPBを算出する。
なお、前述したように、吸気管予測値の算出がStimeとは異なるStime_PBの制御周期で実行される場合には、該式(17)には、Stime_PBが代入される。
ステップS43において、検出されたエンジン回転数および予測吸気管圧力HPBに基づいて図17(a)のようなマップを参照し、対応する吸入空気量を求める。ステップS44において、ステップS43で求めた吸入空気量に基づいて図17(b)のようなマップを参照し、燃料噴射量を算出する。
この発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
上記実施形態は、汎用の(例えば、船外機等の)内燃機関に適用可能である。
この発明の一実施例に従う、内燃機関およびその制御装置を概略的に示す図。 この発明の一実施例に従う、スロットル機構およびスロットルコントローラの構成を概略的に示す図。 この発明の一実施例に従う、燃料噴射量を算出する制御装置の機能ブロック図。 この発明の一実施例に従う、予測スロットル開度を算出する原理を説明するための図。 この発明の一実施例に従う、スロットルコントローラの機能ブロック図。 この発明の一実施例に従う、スロットルコントローラおよびプラントの伝達関数を示す図。 この発明の一実施例に従う、スロットルコントローラおよびプラントの合成伝達関数を求める手法を説明するための図。 この発明の一実施例に従う、合成伝達関数に基づいて予測値を算出する式を求める手法を説明するための図。 この発明の一実施例に従う、予測スロットル開度算出部の機能ブロック図。 この発明の一実施例に従う、通過空気量差分算出部の機能ブロック図。 本発明の一実施形態に従う、基準状態下における吸入空気量とスロットル開口面積との関係を表す相関マップ。 本発明の一実施形態に従う、吸気管に関する各種パラメータを示す図。 JIS規格のオリフィス流量計における流量係数、レイノルズ数および開口面積比の相関を表すマップ。 本発明の一実施形態に従う、粘性係数を求めるためのマップ。 本発明の一実施形態に従う、補正係数を求めるためのマップ。 本発明の一実施形態に従う、時定数τ_PBを求めるためのマップ。 本発明の一実施形態に従う、燃料噴射量を求めるためのマップ。 本発明の一実施形態に従う、燃料噴射量を算出するためのメインフロー。 本発明の一実施形態に従う、予測スロットル開度を算出するプロセスのフローチャート。 本発明の一実施形態に従う、通過空気量差分を算出するプロセスのフローチャート。 本発明の一実施形態に従う、相関係数を算出するプロセスのフローチャート。 本発明の一実施形態に従う、相関係数を求めるためのマップ。 本発明の一実施形態に従う、相関係数算出のための補間計算を示す図。 本発明の一実施形態に従う、燃料噴射量を算出するプロセスのフローチャート。
符号の説明
1 ECU 2 エンジン
3 吸気管 15 CSAセンサ
20 弁作動特性可変装置
22 アクチュエータ
23 モータ 26 制御軸

Claims (12)

  1. スロットル弁の開度を制御するスロットル弁アクチュエータを備える内燃機関において、燃料噴射量を制御するための制御装置であって、
    スロットル弁の実スロットル開度を検出する手段と、
    前記検出された実スロットル開度を、所定の時定数で目標スロットル開度に向けて収束するように所定の制御周期でフィードバック制御する手段と、
    前記目標スロットル開度および前記実スロットル開度の差に所定のゲインを乗算した値を、該実スロットル開度に加算することにより、次の制御周期のスロットル開度の予測値を算出する予測スロットル開度算出手段であって、該ゲインは前記制御周期の長さおよび前記時定数に基づいて算出される、予測スロットル開度算出手段と、
    前記スロットル開度の予測値に基づいて、吸気管圧力の予測値を求める予測吸気管圧力算出手段と、
    前記吸気管圧力の予測値に基づいて、燃料噴射量を算出する燃料噴射量算出手段と、
    を備える、制御装置。
  2. 前記予測吸気管圧力算出手段は、
    前記実スロットル開度および前記スロットル開度の予測値に基づいて、該実スロットル開度から該予測値に該スロットル弁の開度が変化した時に該スロットル弁を通過する空気量を算出する通過空気量算出手段と、
    実吸気管圧力を検出する手段と、
    前記内燃機関の運転状態に基づいて、吸気管圧力と吸入空気量の間の相関を表す相関係数を算出する相関係数算出手段と、
    前記通過空気量および前記相関係数に基づいて、前記実吸気管圧力が目標吸気管圧力に収束する時の時定数を、第2の時定数として求める時定数算出手段と、
    前記目標吸気管圧力および前記実吸気管圧力の差に所定の第2のゲインを乗算した値を、該実吸気管圧力に加算することにより、前記吸気管圧力の予測値を算出する予測吸気管圧力算出手段であって、該第2のゲインは、該吸気管圧力の予測値を算出する制御周期の長さおよび前記第2の時定数に基づいて算出される、予測吸気管圧力算出手段と、
    を備える、請求項1に記載の制御装置。
  3. 前記時定数算出手段は、前記通過空気量、前記相関係数および前記第2の時定数の間の相関を規定したマップを、前記算出された通過空気量および前記算出された相関係数に基づいて参照することにより、前記第2の時定数を求める、請求項2に記載の制御装置。
  4. 内燃機関の回転数、吸気バルブのリフト量、該吸気バルブの位相、および前記相関係数の間の相関を規定したマップを記憶する手段を備え、
    前記相関係数算出手段は、現在の回転数、該吸気バルブの現在の位相、および現在のリフト量に基づいて該マップを参照することにより、前記相関係数を求める、請求項2および3のいずれかに記載の制御装置。
  5. さらに、
    p回前の制御周期の目標スロットル開度を求める手段であって、前記スロットル弁が静止状態から作動状態に遷移するまでの無効時間に基づいて、該pの値を求める手段と、を備え、
    前記スロットル弁が静止状態から作動状態に遷移したことが判定されたならば、前記予測スロットル開度算出手段は、前記目標スロットル開度として、前記p回前の制御周期の目標スロットル開度を用いる、
    請求項1に記載の制御装置。
  6. 前記スロットル弁が作動していることが判定されたならば、前記予測スロットル開度算出手段は、今回の制御周期で決定された目標スロットル開度を、前記目標スロットル開度に用いる、
    請求項5に記載の制御装置。
  7. 前記スロットル弁の作動速度を検出する手段と、
    前記検出された作動速度に従って、前記スロットル弁が静止状態から作動状態に遷移したか、またはスロットル弁が作動しているか、を判定する手段と、
    を備える、請求項6に記載の制御装置。
  8. 前記通過空気量算出手段は、
    前記実スロットル開度および前記スロットル開度の予測値の差を算出する手段と、
    所定の基準大気圧および基準吸気温度の基準状態におけるスロットル開度およびスロットル弁の通過空気量との間の関係を表すマップを記憶する手段と、
    前記差に基づいて前記マップを参照することにより、前記基準状態における前記通過空気量を算出する手段と、
    前記基準状態における通過空気量を、現在の大気圧および現在の吸気温度における前記通過空気量に換算する手段と、を備える、
    請求項2に記載の制御装置。
  9. さらに、
    前記内燃機関の吸気の粘性を表すパラメータ、および、吸気管の開口面積に対する、前記スロットル開度の予測値に相当する開口面積の比に基づいて、前記換算された通過空気量を補正する手段を備える、
    請求項8に記載の制御装置。
  10. 前記粘性を表すパラメータは、レイノルズ数であり、
    検出された吸入空気量、前記吸気管の開口面積、該吸気管の内径、および前記吸気の粘性係数に基づいて、前記レイノルズ数を算出する手段を備える、
    請求項9に記載の制御装置。
  11. さらに、現在の吸気温度に基づいて前記粘性係数を算出する手段を備える、請求項10に記載の制御装置。
  12. 前記燃料噴射量算出手段は、
    前記吸気管圧力の予測値および現在の内燃機関の回転数に基づいて、吸入空気量を求める手段と、
    前記求めた吸入空気量に基づいて、前記燃料噴射量を算出する手段と、
    を備える、請求項1に記載の制御装置。
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