JP2009203367A - 吸引力可変材料およびその製造方法、ならびに電気レオロジー素子 - Google Patents

吸引力可変材料およびその製造方法、ならびに電気レオロジー素子 Download PDF

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Koji Sakurai
宏治 櫻井
Hidenobu Anzai
秀伸 安齋
Kazuyuki Mitsui
和幸 三井
Sumitaka Terasaka
澄孝 寺阪
Shuji Sakurai
修次 櫻井
Hidenari Doi
英成 土井
Yujiro Koike
裕次郎 小池
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Abstract

【課題】一旦成形した後でも、所望の形状に再成形できる吸引力可変材料の提供。
【解決手段】ハイドロジェンシリコーン架橋体を含む電気絶縁性媒体中に、電気レオロジー粒子が分散した吸引力可変材料であって、前記電気絶縁性媒体は、プローブタックテスターを用い、押し込み速度1mm/秒で測定された応力が0.20N以下であり、かつ直径30mm、高さ35mmの円柱状の容器内に、該容器内の上面から15mmの位置まで当該電気絶縁性媒体を充填した後、容器を90°に横転させて24時間経過した後の電気絶縁性媒体表面と鉛直面とがなす傾斜角が20°未満であることを特徴とする吸引力可変材料。
【選択図】なし

Description

本発明は、電圧印加による電極との吸引力および剪断応力が可変な、吸引力可変材料およびその製造方法、ならびに吸引力可変材料を備えた電気レオロジー素子に関する。
電圧を印加することにより見かけの粘度(以下、単に「粘度」という。)が上昇する、いわゆる電気レオロジー(以下、「ER」という。)効果を利用したER素子は、クラッチ、バルブ、ダンパ、アクチュエータ、ロボット制御、振動制御などの各種装置への応用が期待される。
このようなER素子として、一対の電極の間にERゲルが配されたER素子が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
ER素子に用いられるERゲルは、通常、ERゲルを構成するシリコーンオイルなどの分散媒に、ER粒子が分散した分散液を少なくとも一対の電極を配した型などに注入し、分散液を硬化させて製造する。ERゲルの製造の際に使用した型、および得られるERゲルは、そのままER素子として用いる場合が多い。
特開2003−322196号公報
しかしながら、特許文献1に記載のようなER素子に用いられるERゲルは、硬化させた際の形状を保持するので、一旦成形されるとその形状を変形しにくく、他の装置へ再利用するのが困難であった。また、元の装置から取り出す際に破壊することがあり、再利用するには元の形状に復元したり、他の形状に変形したりする必要があるが、ERゲルは一旦破壊されると再成形が困難であり、再利用には不向きであった。
本発明は上記事情を鑑みてなされたもので、一旦成形した後でも、所望の形状に再成形できる吸引力可変材料を提供することを目的とする。
本発明の吸引力可変材料は、ハイドロジェンシリコーン架橋体を含む電気絶縁性媒体中に、電気レオロジー粒子が分散した吸引力可変材料であって、前記電気絶縁性媒体は、プローブタックテスターを用い、押し込み速度1mm/秒で測定された応力が0.20N以下であり、かつ直径30mm、高さ35mmの円柱状の容器内に、該容器内の上面から15mmの位置まで当該電気絶縁性媒体を充填した後、容器を90°に横転させて24時間経過した後の電気絶縁性媒体表面と鉛直面とがなす傾斜角が20°未満であることを特徴とする。
ここで、前記電気絶縁性媒体は、シリコーンオイルを含み、かつ前記ハイドロジェンシリコーン架橋体と、前記シリコーンオイルとの質量比が、80:20〜100:0であることが好ましい。
さらに、前記電気レオロジー粒子を、当該吸引力可変材料100質量%中、60〜90質量%含有することが好ましい。
また本発明の吸引力可変材料の製造方法は、前記吸引力可変材料の製造方法であって、電気絶縁性媒体中に、電気レオロジー粒子を複数回に分けて徐々に混練することを特徴とする。
また、本発明の電気レオロジー素子は、前記吸引力可変材料と、該吸引力可変材料に電界を生じせしめる少なくとも一対の電極を備えたことを特徴とする。
本発明の吸引力可変材料によれば、一旦成形した後でも、所望の形状に再成形できる。
従って、本発明の吸引力可変材料であれば、再利用が可能となる。
以下、本発明について詳細に説明する。
[吸引力可変材料]
本発明の吸引力可変材料は、電気絶縁性媒体中に電気レオロジー粒子(以下、「ER粒子」という。)が分散している。
前記電気絶縁性媒体は、ハイドロジェンシリコーン架橋体を含む。また、電気絶縁性媒体は、プローブタックテスターを用い、押し込み速度1mm/秒で測定された応力が0.20N以下である。
上記のようにして測定される応力は、電気絶縁性媒体の硬さを示す指標であり、応力が0.20N以下であれば、電気絶縁性媒体が適度な弾性を有するようになり、得られる吸引力可変材料を粘土状に保持することができる。応力が0.20Nを超えると、電気絶縁性媒体が硬くなる傾向にあるので、後述するER粒子を混練することが困難となる。応力は0.1N以下が好ましい。
プローブタックテスターとしては、例えばテスター産業社製の「TE−6001」などを用いることができる。
ところで、吸引力可変材料を粘土状に保持するためには、電気絶縁性媒体が適度な弾性と粘性を有するのが好ましく、硬すぎても柔らかすぎても吸引力可変材料を粘土状に保持するのが困難になる。
そこで、本発明においては、電気絶縁性媒体として傾斜角が20°未満であるものを用いる。傾斜角とは、図1に示すように、直径Lが30mm、高さHが35mmの円柱状の容器1内に、該容器1内の上面aから15mmの位置Pまで当該電気絶縁性媒体を充填した後(図1(a))、容器1を90°に横転させて24時間経過した後の電気絶縁性媒体表面bと鉛直面cとがなす角αのことである(図1(b))。
上記のようにして測定される傾斜角は、電気絶縁性媒体の柔らかさを示す指標であり、傾斜角が20°未満であれば、電気絶縁性媒体が適度な粘弾性を有するようになり、得られる吸引力可変材料を粘土状に保持することができる。また、後述するER粒子を高配合できる。傾斜角が20°を超えると、電気絶縁性媒体が柔らかくなる傾向にあり、吸引力可変材料のER効果が発現しにくくなる。傾斜角は10°以下が好ましく、0°となるのが最も好ましい。なお、傾斜角が0°とは、電気絶縁性媒体が流動せず(排出されず)、容器内に留まることを意味する。
ハイドロジェンシリコーン架橋体としては、シロキサン鎖のケイ素原子に結合した水素原子を有するアルキルシロキサンと、不飽和基含有化合物とを白金等の触媒を用いてヒドロシリル化させた反応物などが挙げられる。そのような反応物としては、例えば東レ・ダウコーニング社製の「SE1880」、「SE1885」、「SE1886」等、信越化学工業社製の「KE1056」、「KE1051」、「KE104Gel」等が挙げられる。また、絶縁性であれば、熱硬化性樹脂を硬化させて得られる硬化物を電気絶縁性媒体として用いてもよい。
熱硬化性樹脂としては、例えばシリコーン樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂、シリコーン変性アクリル樹脂、シリコーン変性ウレタン樹脂、シリコーン変性ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、変性アクリル樹脂などが挙げられる。
電気絶縁性媒体は、ハイドロジェンシリコーン架橋体のみからなってもよく、シリコーンオイルをさらに含んでいてもよい。
シリコーンオイルをハイドロジェンシリコーン架橋体(以下、「架橋体」という。)と併用することで、電気絶縁性媒体の硬さが調節しやすくなる場合がある。また、吸引力可変材料のハンドリング性がより調節しやすくなる。
シリコーンオイルをさらに含む場合、架橋体と、シリコーンオイルとの質量比は、架橋体:シリコーンオイル=80:20〜100:0が好ましく、90:10〜100:0がより好ましい。質量比が上記範囲内であれば、得られる吸引力可変材料を一旦成形した後でも再成形が可能となり、元の形状に復元したり、他の形状に変形したりでき、再利用が可能となる。
シリコーンオイルとしては、例えばジメチルシリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、フェニル変性シリコーンオイルなどが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
電気絶縁性媒体は、上述した架橋体、およびシリコーンオイル以外にも、必要に応じてシリカ、炭酸カルシウム、マイカ、クレー等の無機微粒子、ポリ4フッ化エチレン樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、アクリル系樹脂等の有機微粒子などを含んでもよい。
電気絶縁性媒体の含有量は、吸引力可変材料100質量%中、10〜40質量%が好ましく、15〜40質量%がより好ましく、20〜35質量%が特に好ましい。電気絶縁性媒体の含有量が10質量%以上であれば、十分なバインダー力を有し、吸引力可変材料の形状を維持できる。一方、電気絶縁性媒体の含有量が40質量%以下であれば、必要以上に粘着力が強くならず、電場応答性を維持できる。
通常、ER素子に用いられるERゲルは、粘着力が強くなると電圧を印加しなくても電極に吸着してしまい、電場応答性が低下しやすくなる傾向にある。しかし、本発明の吸引力可変材料であれば、電気絶縁性媒体の含有量を上記範囲内とすることで、粘着力を適度に調整できるので、電場応答性を維持できる。
ER粒子としては、上述した電気絶縁性媒体と共に使用され、ER効果を発現可能なものであれば特に制限されないが、例えばシリカゲルなどの無機粒子;セルロール、でんぷん、大豆カゼイン、ポリスチレン系イオン交換樹脂などの有機粒子;有機高分子化合物からなる芯体と、電気半導体性無機物粒子からなる表層とから形成された電気レオロジー流体用複合粒子(以下、「ER複合粒子」という。)や、ER複合粒子の表層に親和性表面処理が施され、電気絶縁性媒体との親和性が高められている電気レオロジー流体用複合粒子(以下、「親和性ER複合粒子」という。)などの複合粒子等が挙げられる。
なお、カーボン粒子は取り扱い性に劣る粒子であるため、本発明においては、カーボン粒子を徐いたER粒子を用いるのが好ましく、中でも複合粒子をER粒子として用いるのが好ましい。
ER粒子の含有量は、吸引力可変材料100質量%中、60〜90質量%が好ましく、65〜80質量%がより好ましい。ER粒子の含有量が上記範囲内であれば、得られる吸引力可変材料を粘土状に保持することができる。また、ER粒子を高濃度に含有しつつ、かつER粒子と電気絶縁性媒体の配合バランスが良好なものとなるので、吸引力可変材料に電圧を印加した際の剪断応力が向上し、電極との摩擦力が増加するのと共に、電極への吸引力をも付与することができる。なお、ER粒子の含有量が増加するに連れて剪断応力や吸引力も向上する傾向にあるが、ER粒子の含有量が必要以上に多くなると吸引力可変材料が粘土状になりにくくなったり、ER粒子と電気絶縁性媒体の配合バランスが崩れ、電気絶縁性媒体のバインダー力が低下して凝集破壊が発生したりする場合があるので、ER粒子の含有量は上記範囲とするのが好ましい。
なお、本発明によれば、上述した特定の電気絶縁性媒体を用いるので、ER粒子を高濃度に含有させることができる。
本発明の吸引力可変材料には、上述した電気絶縁性媒体およびER粒子以外にも、その他の成分を含有させてもよい。
その他の成分としては、例えば粘度調整剤、分散安定剤、湿潤剤、硬化遅延剤などが挙げられる。
その他の成分の含有量は、吸引力可変材料100質量%中、0〜15質量%が好ましく、0〜10質量%がより好ましい。
本発明の吸引力可変材料は、上述した電気絶縁性媒体にER粒子を加え、練り込む(混練する)ことで製造できる。その際、ER粒子は少量ずつ複数回に分けて電気絶縁性媒体に練り込みながら加えるのが好ましい。具体的には、電気絶縁性媒体中に、電気レオロジー粒子を2〜10回に分けて徐々に混練するのが好ましい。
なお、ER粒子を複数回に分けて加える場合、各回のER粒子の添加量は同じであってもよく、異なっていてもよい。ただし、添加の回数が増えるに連れてER粒子は練り込みにくくなる傾向にあるので、添加の序盤では添加量を増やし、中盤から終盤にかけて添加量を減らすようにするのが好ましい。
このように電気絶縁性媒体にER粒子を練り込むことで、粘土状の吸引力可変材料が得られる。また、ER粒子を複数回に分けて添加すれば、結果的に短時間でより均一に混練できるようになる。
本発明によれば、電気絶縁性媒体にER粒子を練り込むといった、簡便な操作で吸引力可変材料を製造できると共に、高濃度のER粒子を電気絶縁性媒体に配合できる。
ところで、従来のER素子はERゲルを用いているので、硬化させた際の形状を保持するので、一旦成形されるとその形状を変形しにくく、他の装置へ再利用するのが困難であった。また、元の装置から取り出す際に破壊することがあり、再利用するには元の形状に復元したり、他の形状に変形したりする必要があるが、ERゲルは一旦破壊されると再成形が困難であり、再利用には不向きであった。
しかし、本発明の吸引力可変材料は粘土状であるので、形状を自由に変形することができる。従って、電極を配した様々な形状の容器に吸引力可変材料を詰め込んでも、容器の形状に合わせて吸引力可変材料が充密されるので、電極とERゲルとの間に空隙が生じる恐れがなく、安定したER効果を得られる。さらに、一旦破壊しても元の形状はもちろんのこと、所望の形状に自由に変形できるので、再利用が可能である。
また、ERゲルは、通常、シリコーンオイルなどの分散媒に、ER粒子が分散した流体状の形態であるため、長期間静置しておくとER粒子が沈降・凝集することがあった。ER粒子の沈降・凝集は剪断応力のバラツキを誘発させることがある。
しかし、本発明の吸引力可変材料は、粘土状であるため、長期間静置させてもER粒子の沈降・凝集は起こりにくい。
以上説明したように、本発明の吸引力可変材料は、特定の電気絶縁性媒体を用いているので、粘土状に保持できる。従って、ER素子の容器の形状を限定することなくER素子に用いることができ、その際、電極との間で空隙を生じさせることなく容器に充密できる。
また、上述したように本発明の吸引力可変材料は、ER粒子を高濃度で含有できるので、電極への吸引力を向上できる。
[ER素子]
本発明のER素子は、上述した本発明の吸引力可変材料と、該吸引力可変材料に電界を生じせしめる少なくとも一対の電極を備えた構成となっている。
一対の電極は吸引力可変材料を介して対向するように配置してもよく(両側電極)、例えば櫛歯電極などを用い吸引力可変材料上に配置してもよい(片側電極)。
また、電極と吸引力可変材料を配するER素子の容器の形状としては、特に制限されず、様々な形状の容器を用いることができる。
本発明のER素子は、電極と吸引力可変材料との間で空隙が生じることがないので、安定したER効果を得られる。
また、ER素子に用いる吸引力可変材料は電極への吸引力に優れるため、吸引力可変材料に電圧を印加すると、電極に接している部分の吸引力可変材料が吸引力の作用により電極に吸い付きやすくなる。その結果、電極との間での摩擦力が増加し、ER効果がより顕著に現れる。
このようなER素子は、例えばクラッチ、バルブ、ダンパ、アクチュエータ、ロボット制御、振動制御、固定装置、研磨装置など、従来検討されている様々なERデバイスに使用することができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
[試験1:摩擦力の測定1]
<実施例1>
(ER粒子の調製)
アンチモンドーピング酸化錫(石原産業社製、「SN−100P」、電気伝導度:1.0×10Ω−1/cm)30gと、水酸化チタン(石原産業社製、一般名:含水チタン、C−II、電気伝導度:9.1×10−6Ω−1/cm)10gと、アクリル酸ブチル300gと、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート100gと、重合開始剤(アゾビスイソバレロニトリル)2gとを混合し、混合物を得た。
得られた混合物を、第三リン酸カルシウム25gを分散安定剤として含む水1800ml中に分散し、60℃で1時間撹拌下に懸濁重合を行い、得られた生成物を酸処理し、水洗後、脱水乾燥し、無機・有機複合粒子を得た。この粒子200gに鉄フタロシアニン(山陽色素社製、「P−26」)1.5gを加え、ボールミルにて50時間複合化処理を行い、次いでこれを、ジェット気流処理機(三井鉱山社製、「メカノハイブリッド」)を用いて周速100m/秒で30分間ジェット気流処理を行い、ER複合粒子を得た。
(電気絶縁性媒体)
電気絶縁性媒体として、ハイドロジェンシリコーン架橋体(架橋体A:東レ・ダウコーニング社製、「SE1885」)を用いた。
電気絶縁性媒体の応力および傾斜角を以下のようにして求めた。結果を表1に示す。
応力;
プローブタックテスター(テスター産業社製、「TE−6001」)を用い、荷重受台に直径30mm、高さ20mmの円柱状の容器内に充填した電気絶縁性媒体14gを、直径5mmのプローブに接触するように配置し、前記容器の上に900gの分銅を乗せ、1分間静置した後、押し込み速度1mm/秒の条件で電気絶縁性媒体を押し込んだ場合と引き上げた場合のロードセルの値を読み取り、これを応力とした。
傾斜角;
直径30mm、高さ35mmの円柱状の容器内に、該容器内の上面から15mmの位置まで電気絶縁性媒体を充填した後(充填量:14g)、容器を90°に横転させて、24時間経過した後の電気絶縁性媒体表面と鉛直面とがなす角を測定し、これを傾斜角とした。
(吸引力可変材料の製造)
電気絶縁性媒体30質量部に、添加量の合計が70質量部になるようにER複合粒子を4回に分けて徐々に混練し、ER複合粒子の含有量が70質量%の吸引力可変材料を得た。なお、1回目から4回目にかけて、添加量が減少するようにER複合粒子を電気絶縁性媒体に添加した。
(評価1:成形性の評価)
得られた吸引力可変材料が粘土状になるものを「○」、粘土状にならない場合やER複合粒子の全量を混練できなかった場合を「×」とした。結果を表1に示す。
(評価2:摩擦力の測定)
摩擦力の測定には、図2に示す摩擦力測定装置10を用いた。摩擦力測定装置10は、吸引力可変材料を支持する下部装置11と、上部装置12と、ロードセル13とを有している。
まず、先に得られた吸引力可変材料14を下部装置11に配置し、さらに吸引力可変材料14上に上部装置12を乗せ、吸引力可変材料に接するように、かつ電極間隔が2mmになるように、下部装置11および上部装置12の所定の位置にアルミニウム電極15を各々取り付けた。なお、吸引力可変材料14の電極接触面積を80×40mmとした。
ついで、下部装置11を架台16に固定し、上部装置12が移動速度0.1mm/sで水平方向にスライドできるように、ロードセル13に取り付けた押し棒13aを上部装置12のねじ部12aに接触させた。電極間に電界強度1.0kV/mmの電圧を印加した状態で上部装置12を200秒間スライドさせたときの摩擦力を測定した。測定値を表1に示す。なお、吸引力可変材料が電極に張り付き、測定不能となった場合を「粘着不可」、吸引力可変材料が電極に張り付き、さらに亀裂が生じて測定不能になった場合を「破壊不可」とした。
<実施例2〜4、比較例1〜6>
表1、2に示す配合量(質量部)の架橋体A、下記式(1)で示されるアルキルシロキサン、下記式(2)で示される不飽和基含有化合物、0価の白金触媒、およびシリコーンオイル(オイル:東レ・ダウコーニング社製、「SH−200」、粘度100cSt)からなる電気絶縁性媒体を用いた以外は、実施例1と同様にして硬さの異なる吸引力可変材料を製造し、評価を行った。結果を表1、2に示す。
なお、電気絶縁性媒体は、各成分をプロペラ型撹拌機に投入し、回転速度250rpmで2分間撹拌した後、室温で12時間静置させて調製した。また、アルキルシロキサン、不飽和基含有化合物、および白金触媒が含まれる場合は、ヒドロシリル化反応により電気絶縁性媒体中で反応物(架橋体B)として存在する。
Figure 2009203367
Figure 2009203367
Figure 2009203367
表1、2から明らかなように、各実施例で得られた吸引力可変材料は粘土状であり、適度な摩擦力を有していた。
一方、応力が0.20Nを超えた電気絶縁性媒体を用いた比較例1の吸引力可変材料は、粘土状ではあったが、電気絶縁性媒体の弾性がやや不十分であったため、摩擦力の測定の際に吸引力可変材料が電極に張り付いてしまい、吸引力可変材料に亀裂が生じた。
応力が0.30N以上の電気絶縁性媒体を用いた比較例2、5、6の場合は、電気絶縁性媒体が硬く、ER複合粒子の全量を混練することが困難であった。そのため、摩擦力の測定は行わなかった。
傾斜角が90°の電気絶縁性媒体を用いた比較例3、4の吸引力可変材料は、粘土状ではあったが、電気絶縁性媒体が柔らかすぎ、比較例3の場合は吸引力可変材料が電極に張り付き、摩擦力を測定できなかった。一方、比較例4の場合は、吸引力可変材料が電極に張り付き、さらに亀裂が生じて摩擦力を測定できなかった。これらの結果は、ER効果を発現しないことを意味する。
[試験2:摩擦力の測定2]
<吸引力可変材料の製造>
以下のようにして、吸引力可変材料に使用する電気絶縁性媒体を調製した。
シリコーン樹脂(東レ・ダウコーニング社製、「SE1885」)200gと、硬化速度調整剤(東レ・ダウコーニング社製、「LTV用遅延剤3」)5gとを混合し、30℃で10時間硬化させて、電気絶縁性媒体を得た。得られた電気絶縁性媒体は応力が0.1N、傾斜角が0°であった。電気絶縁性媒体の応力および接触角の測定方法は、試験1の実施例1と同様である。
ついで、電気絶縁性媒体30質量部に、添加量の合計が70質量部になるようにER粒子を4回に分けて徐々に混練し、ER粒子の含有量が70質量%の吸引力可変材料を得た。なお、1回目から4回目にかけて、添加量が減少するようにER粒子を電気絶縁性媒体に添加した。また、ER粒子としては、試験1の実施例1で調製したER複合粒子を使用した。
<摩擦力の測定>
試験1の実施例1と同様にして、吸引力可変材料の摩擦力を測定した。なお、電極15間には、0kV/mmから1.5kV/mmまで、0.25kV/mm刻みの電界強度にて電圧を印加した。各電圧における、時間の経過による摩擦力の変化を図3に示す。なお、0kV/mmの電圧の場合を試験例2−1とし、以降順に試験例2−2、2−3、2−4、2−5、2−6、2−7とする。
その結果、図3から明らかなように、吸引力可変材料に電圧を印加しない0kV/mmの場合(試験例2−1)は、摩擦力は発生せず、上部装置12はスライドしやすいことが分かった。
一方、電圧を印加すると(試験例2−2〜2−7)、電界強度が大きくなるに連れて摩擦力が増加した。これは剪断応力の増加を意味し、ER効果が発現されていることが分かった。また、各電界強度においても、時間の経過と共に摩擦力が一定に保持されることも分かった。
[試験3:摩擦力の測定3]
<試験例3−1>
ER粒子の含有量が60質量%になるように、ER粒子を電気絶縁性媒体に練り込んだ以外は、試験2と同様にして吸引力可変材料を製造し、該吸引力可変材料に各電圧を印加して摩擦力を測定した。
各電界強度の電圧における摩擦力の最大値を求め、その値を図4にプロットした。
<試験例3−2>
ER粒子の含有量が65質量%になるように、ER粒子を電気絶縁性媒体に練り込んだ以外は、試験2と同様にして吸引力可変材料を製造し、該吸引力可変材料に各電圧を印加して摩擦力を測定した。
各電界強度の電圧における摩擦力の最大値を求め、その値を図4にプロットした。
<試験例3−3>
試験2で測定した各電界強度の電圧における摩擦力の最大値を求め、その値を図4にプロットした。
<試験例3−4>
ER粒子の含有量が75質量%になるように、ER粒子を電気絶縁性媒体に練り込んだ以外は、試験2と同様にして吸引力可変材料を製造し、該吸引力可変材料に各電圧を印加して摩擦力を測定した。
各電界強度の電圧における摩擦力の最大値を求め、その値を図4にプロットした。
<試験例3−5>
ER粒子の含有量が80質量%になるように、ER粒子を電気絶縁性媒体に練り込んだ以外は、試験2と同様にして吸引力可変材料を製造し、該吸引力可変材料に各電圧を印加して摩擦力を測定した。
各電界強度の電圧における摩擦力の最大値を求め、その値を図4にプロットした。
<試験例3−6>
ER粒子の含有量が85質量%になるように、ER粒子を電気絶縁性媒体に練り込んだ以外は、試験2と同様にして吸引力可変材料を製造し、該吸引力可変材料に各電圧を印加して摩擦力を測定した。
各電界強度の電圧における摩擦力の最大値を求め、その値を図4にプロットした。
図4より明らかなように、各試験例において、吸引力可変材料に印加する電圧の電界強度が大きくなるに従い、摩擦力(剪断応力)が増加した。なお、ER粒子の含有量が70質量%の場合(試験例3−3)が最も大きな剪断応力を発現することが分かった。これは、ER粒子の含有量が70質量%からさらに増えるに連れて、電気絶縁性媒体のバインダー力が僅かに低下して凝集破壊が部分的に発生したものと推測できる。
試験3の結果より、試験2、3で製造した吸引力可変材料の場合、ER粒子の含有量が70質量%のときに、ER粒子と電気絶縁性媒体の配合バランスが最適な状態であることが示唆できた。
[試験4:摩擦力の測定4]
図2に示す摩擦力測定装置10において、上部装置12に取り付けたアルミニウム電極15の代わりに、鏡面加工を施し、表面抵抗を軽減させたアルミニウム電極を用いた以外は試験2と同様にして吸引力可変材料を製造し、該吸引力可変材料に各電界強度の電圧を印加して摩擦力を測定した。
各電界強度の電圧における摩擦力の最大値を求め、その値を図5にプロットした。
その結果、図5より明らかなように、吸引力可変材料に電界強度1.5kV/mmの電圧を印加したときに、最大0.9kgfの摩擦力が得られた。この結果は先の(試験例3−3)には若干劣るものの、ER素子として何ら遜色のないER効果を発現できた。
試験4の結果より、本発明の吸引力可変材料によれば、電極表面の粗さに関係なく、電圧を印加することで摩擦力を発生させ、優れたER効果を発現できることが示唆できた。
[試験5:吸引力の測定]
吸引力可変材料の吸引力を測定した。吸引力可変材料としては、試験2で作製した吸引力可変材料を、100×100×1mmの板状に形成したものを用いた。また、吸引力の測定には図6に示す吸引力測定装置20を用いた。該吸引力測定装置20は、吸引力可変材料を支持する容器21と、上部電極部22と、ロードセル23とを有している。
図6に示すように、容器21の下部に電極25(下部アルミニウム電極25a)を取り付け、下部アルミニウム電極25a上に吸引力可変材料24を配した。一方、電極25(上部アルミニウム電極25b)を備えた上部電極部22と、ロードセル23とを絶縁性の電極棒26を介して接続した。ついで、吸引力可変材料24の上に、上部アルミニウム電極25bが接触するように上部電極部22を配置した。なお、吸引力可変材料24の電極接触面積は100×100mm、上部アルミニウム電極25bと下部アルミニウム電極25aの電極間距離は1mmである。
電極間に電圧を印加した状態で、上部電極部22を移動速度0.1mm/sで引き上げたときに発生する吸引力を測定した。なお、電極間には、0kV/mmから2.5kV/mmまで、0.5kV/mm刻みの電界強度にて電圧を印加した。
各電圧における吸引力の最大値を求め、その値を図7にプロットした。
上記測定を3回実施し、再現性を確認した。なお、図7において、1回目の測定結果を試験例5−1、2回目の測定結果を試験例5−2、3回目の測定結果を試験例5−3とする。
その結果、図7より明らかなように、吸引力可変材料に電圧を印加しない0kV/mmの場合は、吸引力は発生しなかったが、電圧を印加すると、電圧の電界強度が大きくなるに連れて吸引力が増加する傾向にあった。この傾向は、再現あるものであった。
傾斜角を説明する説明図である。 摩擦力測定装置の概略図である。 各電界強度の電圧における、時間の経過による摩擦力の変化を現すグラフである。 ER粒子の含有量の変化させたときの、各電界強度の電圧における摩擦力の最大値をプロットしたグラフである。 鏡面加工を施したアルミニウム電極を用いたときの、各電界強度の電圧における摩擦力の最大値をプロットしたグラフである。 吸引力測定装置の概略図である。 各電界強度の電圧における吸引力の最大値をプロットしたグラフである。
符号の説明
10:摩擦力測定装置、11:下部装置、12:上部装置、13:ロードセル、14:吸引力可変材料、15:電極、16:架台、20:吸引力測定装置、21:容器、22:上部電極、23:ロードセル、24:吸引力可変材料、25:電極、26:電極棒。

Claims (5)

  1. ハイドロジェンシリコーン架橋体を含む電気絶縁性媒体中に、電気レオロジー粒子が分散した吸引力可変材料であって、
    前記電気絶縁性媒体は、プローブタックテスターを用い、押し込み速度1mm/秒で測定された応力が0.20N以下であり、かつ直径30mm、高さ35mmの円柱状の容器内に、該容器内の上面から15mmの位置まで当該電気絶縁性媒体を充填した後、容器を90°に横転させて24時間経過した後の電気絶縁性媒体表面と鉛直面とがなす傾斜角が20°未満であることを特徴とする吸引力可変材料。
  2. 前記電気絶縁性媒体は、シリコーンオイルを含み、かつ前記ハイドロジェンシリコーン架橋体と、前記シリコーンオイルとの質量比が、80:20〜100:0であることを特徴とする請求項1に記載の吸引力可変材料。
  3. 前記電気レオロジー粒子を、当該吸引力可変材料100質量%中、60〜90質量%含有することを特徴とする請求項1または2に記載の吸引力可変材料。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の吸引力可変材料の製造方法であって、
    電気絶縁性媒体中に、電気レオロジー粒子を複数回に分けて徐々に混練することを特徴とする吸引力可変材料の製造方法。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の吸引力可変材料と、該吸引力可変材料に電界を生じせしめる少なくとも一対の電極を備えたことを特徴とする電気レオロジー素子。
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