JP2009201891A - 吸引カテーテル - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 先端に閉塞物を吸引する吸引口5を形成している吸引口形成部材4を先端側シャフト3の先端に取り付け、先端側シャフト3及び吸引口形成部材4を所定の角度で折り曲げ形成して、その吸引口5が基端側シャフト2の管軸方向と異なる方向を向いているように構成する。これにより、血管内に存在する閉塞物を広範囲に吸引することができるとともに、湾曲している血管であっても容易に挿入することができる。
【選択図】 図1
Description
これらのカテーテルの先端部はストレートに構成されているため、先端の吸引口の向きはカテーテルの管軸方向と一致している。このため、カテーテルよりも太い血管の閉塞物を吸引する場合、管軸方向に存在している閉塞物(カテーテルが通る位置に存在している血栓)を、カテーテル直径の範囲で吸引することができるが、カテーテルの管軸方向と異なる方向に存在している閉塞物については吸引することができない(例えば、特許文献1を参照)。
図1はこの発明の代表的な実施の形態1による吸引カテーテルを示す構成図であり、図1において、吸引カテーテルのカテーテルチューブ1は可撓性を有する長尺管であり、主に基端側シャフト2と先端側シャフト3から構成されている。カテーテルチューブ1は主に内筒部分、補強用のワイヤ、外筒部分、及び剛性補強用のフィルムの4層構造で構成されているが、補強用のワイヤや外筒部分、または剛性補強用のフィルムの全部又は一部を省略して構成することも可能である。
上記カテーテルチューブ1の素材については、本発明の目的が達成できうるものであれば如何なるものでも用いることが出来るが、例えば、前述の剛性補強用のフィルムや、カテーテルの内筒部分、及び外筒部分に使用する素材等が挙げられる。カテーテルチューブ1の有効長さとしては、血管内に挿入し、目的部位に到達した吸引口を、カテーテルシャフトを通し遠隔操作することが目的であり、その長さは5cm以上200cm以下が好ましく、特に30cm以上150cm以下が良い。また、基端側シャフト2と先端側シャフト3の構成割合は、特に限定されるものではないが、図1においては、先端側シャフト3を1とした場合、基端側シャフト2は1から10倍の長さであることが良く、さらに基端側シャフト2は1.2から7倍であることが特に好ましい。
接続部材8は基端側シャフト2の最外部に位置し、操作部材7と基端側シャフト2の接続部において、急激な剛性の変化を軽減する目的で取り付けられている部材である。
例えば、太い血管(例えば、腕の血管)内に存在している血栓やデブリなどの閉塞物を吸引する場合、本発明における図1に示された吸引カテーテルを先端側から血管内に挿入する。
ここでは、説明の単純化のため吸引カテーテルが血栓を吸引するものとして説明する。
図2は吸引カテーテルを用いて、血管12(直線状の血管)内の血栓13を吸引している様子を示す説明図である。特に、図2(a)は従来の吸引カテーテル14(先端部位がストレートのタイプ)を用いて、血管12内の血栓13を吸引している様子を示し、図2(b)は本発明における図1に示された吸引カテーテル15(先端部位が折り曲げられているタイプ)を用いて、血管12内の血栓13を吸引している様子を示している。尚、図2(b)においては2箇所で折れ曲がっているカテーテルについて図示したが、折れ曲がりの位置や折れ曲がり箇所については、本発明の目的が達成できる限りは特に限定されるものではなく、1箇所で折れ曲がっていても3箇所以上で折れ曲がっていても、または連続して変化していく形をとっても良い。
図3は吸引カテーテルを用いて、血管12(湾曲している血管)内の血栓13を吸引している様子を示す説明図である。
特に、図3(a)は従来の吸引カテーテル14(先端部位がストレートのタイプ)を用いて、血管12内の血栓13を吸引している様子を示し、図3(b)は本発明における図1に示された吸引カテーテル15(先端部位が折り曲げられているタイプ)を用いて、血管12内の血栓13を吸引している様子を示している。
尚、これらの図3(b)、(c)においては2箇所で折れ曲がっているカテーテルについて図示したが、折れ曲がりの位置や折れ曲がり箇所については、本発明の目的が達成できる限りは特に限定されるものではなく、1箇所で折れ曲がっていても3箇所以上で折れ曲がっていても、または連続して変化していく形をとっても良い。
特に、図4(a)は従来の吸引カテーテル14(先端部位がストレートのタイプ)を挿入している様子を示し、図4(b)は本発明における図1に示された吸引カテーテル15(先端部位が折り曲げられているタイプ)を挿入している様子を示している。
尚、図4(b)においては2箇所で折れ曲がっているカテーテルについて図示したが、折れ曲がりの位置や折れ曲がり箇所については、本発明の目的が達成できる限りは特に限定されるものではなく、1箇所で折れ曲がっていても3箇所以上で折れ曲がっていても、または連続して変化していく形をとっても良い。
したがって、血管の内壁に傷をつける可能性を大幅に低減することができる。
図5は本発明における図1に示された吸引カテーテル15を高度に狭窄している血管(例えば、動脈硬化血管)に挿入する様子を示す説明図である。
本発明における図1に示された吸引カテーテル15は、先端側シャフト3及び吸引口形成部材4が柔軟であるために、図5の(a)、(b)、(c)に示すように、高度に狭窄している血管においても柔軟に変形し、血管12を傷つけることなくカテーテルチューブ1の挿入が可能となる。
一般に、圧力とは「物体の単位面積あたりにかかる力」であり、血管の圧力もそれに相当する。
一方、材料力学で一般に定義されるヤング率E(縦弾性係数)は、E=σ/ε(出典2)で求めることができる。尚、σは応力、εはひずみを示す。応力は「物体の連続体内部に定義した微小面積に作用する単位面積あたりの力」であり、圧力と同様であると考えることができ、生体材料の様に材料物性を測定しにくいものの場合の代用特性として血管などでは、Ep値が使用される。上記によれば、正常血管のEpはその部位にもよるが、0.16〜6.08×105N/m2程度であると考えることが可能である。(1N/m2=1Pa)つまり0.016〜0.608MPa程度となる。更に、血管壁の見掛けの弾性を表すスティッフネスパラメータβで比較する場合、冠状動脈血管においては他の血管に対して約3〜5倍のβ値を示す(出典1)という報告もある。ここで、スティッフネスパラメータβは(ΔP/P)/(ΔR0/R0)で計算することができ(出典1)(出典3)、ΔPとΔR0はそれぞれ血管内圧P、血管外半径R0における内圧と外半径の増加分である。このスティッフネスパラメータβを考慮すると、正常血管のEpはおよそ0.016〜3.04MPaの範囲であると考えられる。
出典1:「バイオメカニクス」初版 林 絋三郎著 (株)コロナ社
出典2:「基礎演習シリーズ 材料力学」第6版 菊池正紀,澤芳昭,町田賢司著 (株)裳華房
出典3:「動脈硬化をいかに定量化するか」増田 善昭 Arterial Stiffness動脈壁の硬化と老化 No.2 2002
また、一般的に動脈硬化はその名の通り、血管壁の硬さを増加させるものと考えられているが、確かにこれを裏付けるように見掛けの硬さ(β,Epなど)は増えるとする報告は多い(出典1)とされており、Epは動脈硬化によっていずれの血管でも2倍以上に増加(出典1)するとされており、家兎での結果ではあるがβ値において10倍程度になったとのデータ(出典1)もある。
従って、計測される部位にもよるが動脈硬化血管(高度に狭窄している血管)のEpは0.2〜30.4MPa程度と考えることが可能だろう。
出典4:「超音波による血管壁の弾性率断層像イメージング」長谷川 英之,金井 浩 生体医工学 43(1); 17−23, 2005
断面2次モーメントI=π(d2 4−d1 4)/64(チューブ形状の場合)
d1:チューブ(血管)内径
d2:チューブ(血管)外径
例えば、チューブ内径d1を3mm、チューブ外径d2を3.5mmとした場合のIは以下である。
I=3.4×10−12m4
正常血管のE×Iを計算するにあたり、Eの代用値として、ここではEpを使用すると、Ep×Iは以下となる。
正常血管:Ep×I=5.4×10−8〜1.0×10−5N・m2
一方、動脈硬化血管のEp×Iは以下となる。
動脈硬化血管:Ep×I=6.8×10−7〜1.0×10−4N・m2
数式の出典:「材料力学 考え方解き方」第3版 萩原国男著 東京電機大学出版局
「基礎演習シリーズ 材料力学」第6版 菊池正紀、澤芳昭、町田賢司著 (株)裳華房
そこで、本発明における図1に示された吸引カテーテル15における先端側シャフト3または吸引口形成部材4の曲げ剛性は、仮にカテーテルを使用する血管の内径を3mm、外径を3.5mmとした場合、少なくとも動脈硬化を含む血管の曲げ剛性Ep×I(またはE×I)よりも低いことが良く、1.0×10−4N・m2以下が好ましく、7.0×10−5N・m2以下であることが更に良いということができる。
また、吸引口形成部材4は先端側シャフト3と同等の曲げ剛性であっても良いが、更に血管に接触する可能性が高いことを考慮すると、7.0×10−5N・m2以下であることが特に好ましい。
一方、基端側シャフト2は、カテーテルを目的部位に導くための機能も担っており、先端側シャフト3の曲げ剛性に比して少なくとも同等あるいはそれ以上高い曲げ剛性であることが必要である。そのような条件を満たす曲げ剛性E×Iである場合、1.0×10−7N・m2以上であることが好ましい。
上記実施の形態1では、先端側シャフト3が位置Pにおいて、20度の角度で折り曲げ形成され、吸引口形成部材4が位置Qにおいて、40度の角度で折り曲げ形成されているものについて示したが、位置P,Qにおける折り曲げ角度は任意の角度でよく、20度や40度に限るものではないが、基端側シャフト2の管軸方向に対して吸引口5の角度が180度より浅い角度であることが好ましい。位置Pにおける折り曲げ角度は、基端から伸びる長尺管軸に対して5度から80度が好ましいが、10度から40度が特に好ましく、位置Qにおける折り曲げ角度は、第一折曲げ部Pから先端側に伸びる管軸に対して5度から100度が好ましいが、20度から90度が特に好ましい。
また、位置P,Qの2箇所で折り曲げられているものについて示したが、折り曲げ箇所は2箇所に限るものではなく、1箇所で折り曲げられていてもよいし、3箇所以上で折り曲げられていてもよく、更には位置Pから吸引口5の間で連続的に角度が変化しているものでも良いが、吸引口5から位置Qまでの長さに対し、位置Qから位置Pまでの長さが0.5倍以上であることが好ましい。
上記実施の形態1では、操作部材7、接続部材8、または基端側シャフト2からトルクが加えられるものについて示したが、吸引口5の向きを変える際の操作性が高い吸引カテーテルを得る観点から、操作部材7、接続部材8、または基端側シャフト2から加えられたトルクが高効率で先端に伝わることが理想である。
一方、図5に示すような高度狭窄部分がある血管に図1の吸引カテーテルを挿入する際には、血管壁を傷つけないために先端側シャフト3の曲げ剛性(E×I)が血管に対して低いことが好ましいことを説明してきたが、Iはカテーテル断面形状で決定される定数であることから、ヤング率Eを小さくする必要がある。
数式の出典:「材料力学 考え方解き方」第3版 萩原国男著 東京電機大学出版局 「基礎演習シリーズ 材料力学」第6版 菊池正紀、澤芳昭、町田賢司著 (株)裳華房
2 基端側シャフト
3 先端側シャフト
4 吸引口形成部材
5 吸引口
6 マーカー
7 操作部材
8 接続部材
9 先端部位
10 長尺管軸
11 軸
12 血管
13 血栓(閉塞物)
14 従来の吸引カテーテル(先端部位がストレートのタイプ)
15 吸引カテーテル
Claims (6)
- 先端に閉塞物を吸引する吸引口を有する可撓性の長尺管と、上記長尺管の基端に取り付けられ、トルクを上記長尺管に加える操作部材とを備えた吸引カテーテルにおいて、上記長尺管の先端部位が所定の角度で折り曲げ形成されており、上記吸引口が上記長尺管の管軸方向と異なる方向を向いていることを特徴とする吸引カテーテル。
- 上記長尺管の先端が血管の内壁と接触すると、上記長尺管の先端部位が変形することを特徴とする請求項1記載の吸引カテーテル。
- 上記長尺管の先端部位の2箇所が折り曲げられていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の吸引カテーテル。
- ヤング率の0.05倍以上の横弾性係数である長尺管から構成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の吸引カテーテル。
- 上記所定の角度で折り曲げられている折り曲げ部は、基端側にある第1折り曲げ部において、基端から伸びる長尺管軸に対して5度から80度、先端側にある第2折り曲げ部は第1折り曲げ部から先端側に伸びる管軸に対して5度から100度の角度に折り曲げ形成されていることを特徴とする請求項1から4のうちいずれか1項記載の吸引カテーテル。
- 基端から伸びる長尺管軸より垂直に計測した場合の吸引口までの距離が、使用される血管の内径の3倍以下である請求項1から5のうちいずれか1項記載の吸引カテーテル。
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