JP2009201234A - 電磁アクチュエータ - Google Patents

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Abstract

【課題】摩擦の小さい軸受け構成を有している電磁アクチュエータを提供すること。
【解決手段】第1固定子枠1と第2固定子枠2とは、外側にコイル8を巻回して一体的にされ、内部に収容室を構成しており、第1固定子枠1の外側には円筒形のヨーク9が嵌装されている。収容室には、セラミック製のボール3,4、回転子5、合成樹脂製の浮動部材6、磁性体部材7が収容されているが、浮動部材6と磁性体部材7は一体化されている。回転子5は合成樹脂製の回転軸部5a,腕部5b,出力ピン5cと、永久磁石5dとからなっていて、出力ピン5cを収容室外へ張り出しており、永久磁石5dとヨーク9との配置関係によって磁力で上方へ吊り上げられ、ボール3を介して回転軸部5aの上端を第1固定子枠1に軸受けされている。浮動部材6は、磁性体部材7と共に永久磁石5dの磁力で吊り上げられ、ボール4を介して回転軸部5aの下端を軸受けしている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、永久磁石を有している回転子を、所定の角度範囲内でだけ往復回転させるようにし、該回転子と一体的に回転する出力ピンによって、被駆動部材を駆動するようにした電磁アクチュエータに関する。
本発明で対象としている電磁アクチュエータは、下記の特許文献1に記載されているタイプのものである。即ち、この種の電磁アクチュエータは、筒状部の一端を閉塞壁で塞いだ形状の固定子枠と、その筒状部の他端を塞ぐようにしたもう一つの固定子枠との間で収容室を構成し、その収容室内に、永久磁石を有する回転子を配置しているが、その回転子は、一体的に回転する出力ピンを有していて、その出力ピンを収容室外において被駆動部材に連結させるようになっている。また、上記の二つの固定子枠の外側には、両者にわたって一連となるように環状凹溝が形成されており、そこにコイルを巻回したあと、上記の筒状部の外側に、略円筒形をしたヨークを嵌装させている。そして、回転子は、そのコイルに対する電流の供給方向に対応した方向へ、所定の角度範囲内でだけ回転させられるようになっている。
また、この種の電磁アクチュエータは、コイルの非通電時においては、回転子の停止状態が極めて不安定になることが知られている。そのため、特許文献1に記載されている電磁アクチュエータのように、コイルを一つだけ巻回した構成の場合には、電流の制御だけによって、回転子の回転を、回転途中位置で停止させ、その停止状態を安定的に保つようにすることが困難である。そこで、それを可能にするために、2種類のコイルを巻回しておき、一方のコイルに対しては、回転子を順方向へ回転させるための電流を供給し、他方のコイルに対しては、回転子を逆方向へ回転させるための電流を供給するようにし、それらの供給電流のバランスを変えることによって、回転子を所定の方向へ回転させ、所定の位置で停止させ、且つその停止状態を安定的に得られるようにしたものも知られている。
また、特許文献1に記載されている電磁アクチュエータの場合は、回転子に出力ピンが一つだけ設けられているが、回転子の異なる径方向に延伸させて複数の出力ピンを設け、それらによって、夫々異なる被駆動部材を同時に駆動するようにしたものも知られている。更に、この種の電磁アクチュエータの回転子としては、主に2種類の構成が知られており、その一つは、回転軸部と出力ピンを合成樹脂製にし、その回転軸部の周囲に円筒状の永久磁石を一体化したものであり、他方は、出力ピンも含めて回転子全体を永久磁石製としたものである。本発明は、これらのような構成をした電磁アクチュエータに関するものであるが、この種の電磁アクチュエータは、カメラに内蔵されるレンズシャッタ装置,フォーカルプレンシャッタ装置,絞り装置,フィルタ装置,バリア装置などの駆動源として用いることが可能であるほか、施錠装置などのカメラ関係以外の各種の小型装置の駆動源としても用いることが可能なものである。
実開平6−15041号公報
ところで、この種の電磁アクチュエータは、ステップモータなどと比較して、小型化、低コスト化の点では極めて優れているが、駆動力の点では若干不利である。そのため、回転子の良好な起動と安定した回転を得ることができるようにするためには、回転子の軸受け構成を検討する必要がある。これまで現に実施されてきた従来の軸受け構成は、特許文献1にも記載されているように、回転子に円柱状をした二つの回転軸部を設けていて、それらの一方を上記の第1固定子枠の円形孔に嵌合させ、他方を上記の第2固定子枠の円形孔に嵌合させているのが普通である。即ち、二つの回転軸部は、それらの外周面を夫々の孔の内周面に面接触させている。そのため、摩擦が大きくて、回転子の良好な起動性と安定した回転を得るためには不向きな構成をしている。
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、特許文献1に記載されているタイプの電磁アクチュエータにおいて、摩擦が小さい軸受け構成を有していて、回転子の良好な起動性と安定した回転が得られるようにした電磁アクチュエータを提供することである。
上記の目的を達成するために、本発明は、筒状部と該筒状部の一端を塞いだ閉塞壁とを有している第1固定子枠と、前記筒状部の他端を塞ぎ前記第1固定子枠との間に収容室を構成している第2固定子枠と、少なくとも円周部が永久磁石製であって回転軸を前記閉塞壁に垂直にし前記収容室内に配置されている略円柱形をした回転子と、前記閉塞壁の略中央部を通り前記二つの固定子枠の外周にわたって一連に形成された凹溝に巻回されている少なくとも一つのコイルと、前記回転子と一体であって前記収容室外に延伸して前記回転軸と平行になるように形成されている少なくとも一つの出力ピンと、筒状をしていて前記第1固定子枠の外側に嵌装されているヨークと、を備えた電磁アクチュエータにおいて、前記回転子は、前記回転軸の一端が、前記閉塞壁に対し第1のボールを介して軸支され、前記回転軸の他端が、前記第2固定子枠の孔に前記回転軸の軸方向へ移動可能に組み付けられた浮動部材に対し第2のボールを介して軸支されていて、前記ヨークとの間に作用する前記永久磁石の磁力によって前記回転軸の前記一端が前記第1のボールに押し付けられており、前記浮動部材は、磁性体であって、前記永久磁石の磁力によって吸引され、前記第2のボールを前記回転軸の前記他端に押し付けているようにする。
その場合、前記孔が、円形孔であって、前記浮動部材は、該円形孔に対し、回転可能でもあるようにして組み付けられているようにしてもよい。また、前記浮動部材には磁性体部材が一体化されていて、前記浮動部材は、非磁性体材料で製作されているようにしてもよく、さらにその場合には、前記浮動部材と前記磁性体部材とが別体であって、前記浮動部材は、前記永久磁石の吸引力によって吸引される前記磁性体部材に押され、前記第2のボールを前記回転子に押し付けているようにしてもよい。更に、前記二つのボールが、非磁性体材料で製作されているようにすると、磁性体材料で製作したものよりは、回転子の回転がスムーズになる。
本発明の電磁アクチュエータは、特許文献1に記載されているタイプの電磁アクチュエータにおいて、回転子の軸受けを二つのボールで行うと共に、一方のボールと回転子との接触は回転子の永久磁石と固定子のヨークとの間に作用する吸引力によって維持され、他方のボールと回転子との接触は回転子の永久磁石と浮動部材との間に作用する吸引力によって維持されるようにしたものであるから、極めて効率的な軸受け構成をしており、且つ摩擦が小さくて、回転子の良好な起動性と安定した回転が得られるという利点がある。
本発明の実施の形態を、図示した実施例によって説明する。また、上記したように、本発明の電磁アクチュエータは、各種の小型製品の駆動源として採用することの可能なものであるが、そのような小型製品の代表的なものに、単独で製品化されるカメラや、携帯電話,パソコンなどの情報端末機器に内蔵されるカメラに組み込まれる各種のコンポーネントがある。そこで、実施例の電磁アクチュエータの説明をした後、それらのコンポーネントの一つであるレンズシャッタ装置(以下、単にシャッタ装置という)に採用されたときの態様も、図面を用いて簡単に説明する。尚、図1は、実施例の電磁アクチュエータを示す断面図であり、図2は、実施例の分解斜視図である。また、図3は、実施例の電磁アクチュエータをカメラ用のシャッタ装置に採用した状態を示した平面図であり、図4は、実施例の電磁アクチュエータをカメラ用の絞り装置に採用した状態を示した平面図である。
先ず、本実施例の構成を説明する。第1固定子枠1は、合成樹脂製であって、筒状部1aと、その軸方向の一端を塞いだ閉塞壁1bとによって、全体としてコップ状に形成されており、閉塞壁1bの内面中央部には、円錐形をした凹部1b−1が形成されている。また、この第1固定子枠1の外側には、閉塞壁1bの略中央部を通っている溝1cが、筒状部1aの他端まで続き、全体としてコ字状に形成されている。更に、筒状部1aの他端の縁には、溝1cの形成箇所を間にして、肉厚部1a−1と切欠き部1a−2とが形成されており、肉厚部1a−1の下方の端面には位置決めピン1a−3が立設されている。
第2固定子枠2は、合成樹脂製であって平板状をしており、貫通していない円形の孔2aを有している。そして、この第2固定子枠2は、その孔2aに上記の位置決めピン1a−3を挿入することによって、第1固定子枠1との間に収容室を構成し、上記の切欠き部1a−2との間に開口窓を形成している。また、この第2固定子枠2には、収容室の反対側となる面に直線状の溝2bが形成されていて、その中央部には貫通した円形の孔2cが形成されている。そして、その溝2bは、第2固定子枠2が第1固定子枠1との間に収容室を構成した状態のとき、第1固定子枠1の溝1cと共に四角い環状をした一連の凹溝を形成するようになっている。更に、この第2固定子枠2には、種々の装置へ取り付けることを可能にするための孔2dも形成されている。
尚、本実施例においては、位置決めピン1a−3を第1固定子枠1に設け、孔2aを第2固定子枠2に設けているが、位置決めピンの方を第2固定子枠2に設け、孔の方を第1固定子枠1に設けるようにしてもよい。また、このような位置決めピンと孔は、一つずつではなく、二つずつ設けるようにしてもよい。
このようにして構成されている収容室には、二つのボール3,4と、回転子5と、浮動部材6と、ドーナツ状をした磁性体部材7とが収容されている。先ず、ボール3,4は、本実施例の場合、セラミック製である。また、浮動部材6は、合成樹脂製であって、頭部には円錐形をした凹部6aが形成されており、軸部6bを磁性体部材7の孔に貫通させた態様にして磁性体部材7を一体化させており、その軸部6bの先端を、第2固定子枠2の上記の孔2cに対して回転可能に嵌合させている。
回転子5は、回転軸となる回転軸部5aと、その回転軸部5aから径方向へ延伸して上記の切欠き部1a−2から収容室外へ突き出ている腕部5bと、その腕部5bの先端に形成された出力ピン5cとが合成樹脂で一体成形されており、回転軸部5aの周囲には、円筒形をしていて径方向に2極に着磁された永久磁石5dが固定されている。また、回転軸部5aの一端には円錐形をした凹部5a−1が形成され、他端にも円錐形をした凹部5a−2が形成されている。そして、上記のボール3は、第1固定子枠1の凹部1b−1と回転軸部5aの凹部5a−1との間で、それらの凹部1b−1,5a−1に対し線接触するようにして配置されており、ボール4は、浮動部材6の凹部6aと回転軸部5aの凹部5a−2との間で、それらの凹部6a,5a−2に対し線接触するようにして配置されている。
尚、本実施例においては、ボール3,4をセラミック製にしているが、本発明は、セラミック製に限定されず、合成樹脂製にしても金属製にしても構わない。しかし、セラミック製にしておくと、永久磁石5dの磁力の影響を受けないし、線接触によって生じる摩擦を小さくすることが容易であるため、回転子5を滑らかに回転させるためには極めて好適である。また、本実施例の回転子5は、回転軸部5aと、腕部5bと、出力ピン5cとを合成樹脂製にしているが、それらを永久磁石製にしても構わない。しかしながら、そのようにした場合には、ボール3,4を、非磁性体にする必要がある。
このようにして、二つのボール3,4と、回転子5と、浮動部材6と、磁性体部材7とを収容室に収容した後、上記の二つの溝1c,2bによって形成された環状凹溝に、コイル8が巻回されることによって、第1固定子枠1と第2固定子枠2とは、相互に取り付けられた状態にされている。そして、その後、第1固定子枠1に、筒状のヨーク9を、肉厚部1a−1の上方の面に当接するまで嵌装させたことによって、本実施例の電磁アクチュエータが得られている。
尚、周知のように、この種の電磁アクチュエータの場合は、第1固定子枠1の所定箇所に、磁性体棒(鉄ピン)を埋設しているのが普通であり、それによって、コイル8に通電されていないときでも、その磁性体棒と永久磁石5dとの間に作用する磁力によって、回転子5に回転力を与えておき、その回転を適宜なストッパで阻止することによって、回転子5の停止位置を安定的に維持させ得るようにしている。そのため、本発明は、そのような構成にしても構わない。また、同じような効果は、ヨーク9の形状を工夫することによっても得られることが知られている。更に、回転子5の腕部5bと、出力ピン5cとを永久磁石製にした場合には、上記の磁性体棒と同じ役目をする磁性体部材を、第2固定子枠2や、電磁アクチュエータを採用する装置側に設けることも知られている。
このような本実施例の構成の特徴点は、次のとおりである。図1から分かるように、本実施例においては、永久磁石5dの上下方向の中間位置がヨーク9の上下方向の中間位置よりも第2固定子枠2側になるように構成されている。そのため、回転子5は、永久磁石5dとヨーク9との間に作用する永久磁石5dの磁力によって、閉塞壁1b側へ引き寄せられ、凹部5a−1によってボール3を凹部1b−1に押し付けている。他方、浮動部材6は、一体化されている磁性体部材7と永久磁石5dとの間に作用する永久磁石5dの磁力によって、永久磁石5d側へ引き寄せられ、凹部6aによってボール4を凹部5a−2に押し付けている。本実施例は、このような軸受け構成をしているため、回転子5は、永久磁石5dの磁力のみによって、二つのボール3,4との線接触状態を維持することが可能になり、摩擦が小さくて、極めて良好な起動性と安定した回転が得られるようになっている。
尚、上記したように、本実施例の場合には、浮動部材6は、軸部6bの先端を、第2固定子枠2の孔2cに対して回転可能に嵌合させている。このような構成の場合は、ボール4との接触圧などの影響で、軸部6bが回転させられたり回転させられなかったりすることがある。そこで、そのような現象の発生を回避したい場合は、軸部6bと孔2cの形状を、軸部6bが軸方向へは移動できるが回転はできない形状にすればよい。
また、本実施例では、浮動部材6と磁性体部材7を一体化しているが、そのようにした理由は、組立作業がし易くなるからである。しかしながら、そのような配慮をしなくてもよい場合は、浮動部材6と磁性体部材7とを一体化せず、別部材として組み付けるようにしても構わない。また、本実施例のように、ボール4が非磁性体の場合には、浮動部材6も磁性体材料で製作したり、一体化されている浮動部材6と磁性体部材7とを、磁性体材料で一部品として製作しても構わない。しかしながら、軽量化や低コスト化を考慮すると本実施例のように構成する方が有利である。また、本実施例の場合は、磁性体部材7がドーナツ状をしているが、それを浮動部材6と一体成形された合成樹脂製の円盤部とし、その円盤部の一部に磁性体部材を取り付ける構成にしても構わない。
更に、本実施例の回転子5は、出力ピン5cを一つだけ備えているが、二つ以上の被駆動部材を同時に駆動するようにしたい場合は、腕部5bと出力ピン5cに相当する部位を複数設けるようにしてもよい。そして、そのようにする場合には、周知のように、複数の出力ピンを、回転軸を中心にした等角度間隔位置に設けるのが理想である。
本実施例の作動は、この種の周知の電磁アクチュエータの場合と同じであって、回転子5は、コイル8に対して一方方向へ電流を供給すると、所定の角度範囲内で、第1位置から第2位置まで回転し、その後、電流の供給方向を逆にすると、回転子5は、第2位置から第1位置まで逆回転するようになっている。ところが、この種の電磁アクチュエータの場合は、回転子5が途中位置まで回転したときに、コイル8に対する通電を断つと、回転子5は、その途中位置で安定した停止状態を維持することができなくなってしまう。そのため、この種の電磁アクチュエータは、このままの構成では、被駆動部材を途中位置で停止させたい場合に、採用することができない。
そこで、回転子5を途中位置で確実に停止させられるようにするために、二つの方法が知られている。その一つは、第1固定子枠1とヨーク9との間にホール素子などの磁気感応素子を取り付けておき、回転子5が所定の回転位置に達したことを検出すると、コイル8に対する電流値や電流の供給方向を制御して、見かけ上は停止しているようにすることである。そのため、本発明の電磁アクチュエータは、そのような磁気感応素子を取り付けるようにしても構わない。
もう一つの方法は、コイル8のほかに、もう一つのコイルを環状凹溝に巻回しておき、コイル8には回転子5に第2位置に向けて回転する力を与えるように電流を供給し、他方のコイルには回転子5に第1位置へ向けて回転する力を与えるように電流を供給するようにすることである。そして、両者の回転力に差を生じさせることによって回転子5をいずれか一方へ回転させるようにするとともに、両者の回転力をバランスさせることによって所定の途中位置で停止状態を維持し得るようにする。そのため、本発明の電磁アクチュエータは、第1固定子枠と第2固定子枠とにわたって一連に形成されている環状凹溝に、このような二つのコイルを巻回するようにしても構わない。
次に、図3を用いて、本実施例の電磁アクチュエータが、カメラ用のシャッタ装置に採用されたときの一例を説明する。図3に示されているカメラ用のシャッタ装置は、一般にレンズシャッタと言われているタイプのシャッタ装置である。地板11は、比較的厚い部材であって、略中央部には、被写体光路となる円形の開口部11aを有している。また、図示していないが、地板11の背面側には、所定の間隔を空けて、地板11と略同じ形状をしているカバー板が取り付けられていて、両者の間に羽根室を構成している。
本実施例の電磁アクチュエータは、羽根室外において、第2固定子枠2の孔2dを利用し、ビス12によって地板11に取り付けられており、その取付状態では、回転子5の出力ピン5cを、地板11の大きな孔11bから羽根室内に臨ませている。また、羽根室内においては、シャッタ羽根13が、地板11に立設された羽根取付軸11cに対して回転可能に取り付けられていて、シャッタ羽根13に設けられた長孔13aに、回転子5の出力ピン5cが嵌合している。
このようなシャッタ装置は、フィルムを使用するカメラにもデジタルカメラにも採用することが可能であるが、それらのうちデジタルカメラに採用された場合の作動を簡単に説明しておく。図3に示されている状態は、シャッタ羽根13が開口部1aを全開にしている撮影待機状態である。そのため、被写体光が開口部1aを通過して固体撮像素子に当たっており、撮影者は、モニターによって、被写体像を観察することが可能になっている。撮影に際してカメラのレリーズボタンが押されると、露光制御回路からの信号によって固体撮像素子に蓄積されていた電荷が放出され、その後、あらたに撮影のための電荷の蓄積が開始(撮影のための露光開始)される。
被写体の輝度に対応した所定の時間が経過すると、露光制御回路からの信号によって、コイル8に順方向の通電が行われ、回転子5が反時計方向へ回転させられる。そのため、出力ピン5cが、シャッタ羽根13を時計方向へ回転させ、開口部11aを閉じさせる。シャッタ羽根13の閉じ作動が終了すると、固体撮像素子で光電変換された撮像情報が記憶装置に転送される。その転送が終了すると、コイル8に対して、先ほどとは逆方向の通電が行われる。そのため、回転子5は時計方向へ回転させられ、出力ピン5cによって、シャッタ羽根13に開き作動を行わせる。そして、シャッタ羽根13が開口部11aを全開にして停止した後、コイル8に対する通電が断たれると、図3に示された撮影待機状態に復帰したことになる。
尚、この構成例は、本実施例の電磁アクチュエータを、1枚のシャッタ羽根13を備えたシャッタ装置の駆動源として採用したものである。しかし、地板11に、もう一つの羽根取付軸を立設し、そこに、もう1枚のシャッタ羽根を回転可能に取り付けるようにして、出力ピン5cを、そのシャッタ羽根の長孔にも嵌合させた構成にすれば、2枚のシャッタ羽根を備えたシャッタ装置の駆動源になる。その場合、二つの羽根取付軸と出力ピンとの配置関係により、2枚のシャッタ羽根を、相反する方向へ回転させるようにすることも、同じ方向へ異なる速度で回転させるようにすることも知られている。また、前者の場合には、さらに、少なくとも一方のシャッタ羽根を複数枚に分割し、それらを同じ方向へ異なる速度で回転させるようにすることも知られている。そして、それらのように構成された装置は、そのまま、撮影レンズを保護するためのレンズバリア装置として使用することが可能であることも知られている。
次に、図4を用いて、本実施例の電磁アクチュエータが、カメラ用の絞り装置に採用されたときの一例を説明する。この場合における地板21は、上記したシャッタ装置の地板11と実質的に同じであり、開口部21aと孔21bを有していて、図示していないカバー板との間に羽根室を構成している。また、地板21に対する本実施例の電磁アクチュエータの取り付け方も同じであって、第2固定子枠2の孔2dを利用し、ビス22によって取り付けられている。また、羽根室内においては、絞り羽根23が、地板21に立設された羽根取付軸21cに対して回転可能に取り付けられている。そして、この絞り羽根23は、地板21の開口部21aよりも直径の小さな開口部23aと長孔23bを有していて、その長孔23bには、回転子5の出力ピン5cが嵌合している。
この種の絞り羽根を備えた絞り装置は、上記したシャッタ装置と共に一つのユニットとして構成されて、主にスチルカメラに構成されることが多いが、デジタルスチルカメラに採用される場合には、このように、絞り装置だけでユニット化されることもある。そこで、この絞り装置の作動も簡単に説明しておく。図4は、絞り羽根23が開口部21aから退いている撮影待機状態を示したものである。撮影に際してカメラのレリーズボタンが押されると、先ず、測光装置によって被写体光の光量を減じて撮影するか、減じないで撮影するかが判断される。そして、被写体光の光量を減じないで撮影をすると判断された場合には、絞り羽根23を作動させることなく、図4に示された状態のままで直ちに撮影が行われる。
他方、測光装置によって被写体光の光量を減じて撮影をすると判断された場合には、コイル8に順方向に通電され、回転子5が反時計方向へ回転させられる。そのため、出力ピン5cが、絞り羽根23を時計方向へ回転させ、開口部21aに進入させていく。そして、絞り羽根23は、その開口部23aの中心が地板21の開口部21aの中心と一致したところで停止させられ、その直後に撮影が行われる。撮影が終了すると、コイル8に対して、先ほどとは逆方向へ通電が行われるため、回転子5は時計方向へ回転させられ、出力ピン5cによって、絞り羽根23を反時計方向へ回転させ、開口部21aから退かせていく。そして、絞り羽根23を開口部21aから完全に退かせた後、コイル8に対する通電が断たれると、図4に示された状態に復帰したことになる。
尚、この構成例は、本実施例の電磁アクチュエータを、絞り装置の駆動源として採用した例であるが、この絞り装置の絞り羽根23に、開口部23aを覆うNDフィルタシートを取り付ければ、カメラ用のフィルタ装置になる。そのため、本実施例の電磁アクチュエータは、フィルタ装置の駆動源とすることも可能である。
実施例の電磁アクチュエータを示す断面図である。 実施例の分解斜視図である。 実施例の電磁アクチュエータをカメラ用のシャッタ装置に採用した状態を示した平面図である。 実施例の電磁アクチュエータをカメラ用の絞り装置に採用した状態を示した平面図である。
符号の説明
1 第1固定子枠
1a 筒状部
1a−1 肉厚部
1a−2 切欠き部
1a−3 位置決めピン
1b 閉塞壁
1b−1,5a−1,5a−2,6a 凹部
1c,2b 溝
2 第2固定子枠
2a,2c,2d,11b,21b 孔
3,4 ボール
5 回転子
5a 回転軸部
5b 腕部
5c 出力ピン
5d 永久磁石
6 浮動部材
6b 軸部
7 磁性体部材
8 コイル
9 ヨーク
11,21 地板
11a,21a,23a 開口部
11c,21c 羽根取付軸
12,22 ビス
13 シャッタ羽根
13a,23b 長孔
23 絞り羽根

Claims (5)

  1. 筒状部と該筒状部の一端を塞いだ閉塞壁とを有している第1固定子枠と、前記筒状部の他端を塞ぎ前記第1固定子枠との間に収容室を構成している第2固定子枠と、少なくとも円周部が永久磁石製であって回転軸を前記閉塞壁に垂直にし前記収容室内に配置されている略円柱形をした回転子と、前記閉塞壁の略中央部を通り前記二つの固定子枠の外周にわたって一連に形成された凹溝に巻回されている少なくとも一つのコイルと、前記回転子と一体であって前記収容室外に延伸して前記回転軸と平行になるように形成されている少なくとも一つの出力ピンと、筒状をしていて前記第1固定子枠の外側に嵌装されているヨークと、を備えた電磁アクチュエータにおいて、
    前記回転子は、前記回転軸の一端が、前記閉塞壁に対し第1のボールを介して軸支され、前記回転軸の他端が、前記第2固定子枠の孔に前記回転軸の軸方向へ移動可能に組み付けられた浮動部材に対し第2のボールを介して軸支されていて、前記ヨークとの間に作用する前記永久磁石の磁力によって前記回転軸の前記一端が前記第1のボールに押し付けられており、前記浮動部材は、磁性体であって、前記永久磁石の磁力によって吸引され、前記第2のボールを前記回転軸の前記他端に押し付けていることを特徴とする電磁アクチュエータ。
  2. 前記孔が、円形孔であって、前記浮動部材は、該円形孔に対し、回転可能でもあるようにして組み付けられていることを特徴とする請求項1に記載の電磁アクチュエータ。
  3. 前記浮動部材には磁性体部材が一体化されていて、前記浮動部材は、非磁性体材料で製作されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電磁アクチュエータ。
  4. 前記浮動部材と前記磁性体部材とが別体であって、前記浮動部材は、前記永久磁石の吸引力によって吸引される前記磁性体部材に押され、前記第2のボールを前記回転子に押し付けていることを特徴とする請求項3に記載の電磁アクチュエータ。
  5. 前記二つのボールが、非磁性体材料で製作されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電磁アクチュエータ。
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