JP2009199782A - 色素増感型太陽電池及びその製造方法 - Google Patents

色素増感型太陽電池及びその製造方法 Download PDF

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浩也 石川
Keizo Furusaki
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Abstract

【課題】製造時に半導体電極への伝熱が抑制され、増感色素の熱劣化を最小限に抑えることができる色素増感型太陽電池及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の色素増感型太陽電池101は、透光性基板1(ガラス基板等)と、その一面に設けられた透光性導電層11(FTO等からなる。)と、その表面に設けられ、且つ増感色素(金属錯体色素等)を有する半導体電極3(多孔質チタニア等からなる。)と、透光性導電層11の表面に対向して配置された対極基板2(樹脂基板、セラミック基板等)と、その一面側に該半導体電極3に対向して設けられた触媒電極4(白金等からなる。)と、半導体電極2と触媒電極4との間に充填された電解液5(電解質及び溶媒等が含有される。)と、透光性基板1及び対極基板2の各々の側端面の外方に設けられた電解液漏洩防止部61(アイオノマー樹脂等からなる。)と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、光エネルギーを電気エネルギーに直接変換する色素増感型太陽電池及びその製造方法に関する。更に詳しくは、製造時に半導体電極への伝熱が抑制され、増感色素の熱劣化を最小限に抑えることができ、且つ電池製造に用いる部材の材質に対する制約も少ない色素増感型太陽電池及びその製造方法に関する。
現在、太陽光発電では、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコン及びこれらを組み合わせたHIT(Heterojunction with Intrinsic Thin−layer)等を用いた太陽電池が実用化され、主力技術となっている。これらの太陽電池では光電変換効率も20%に近く優れているが、このシリコン系太陽電池は素材製造にかかるエネルギーコストが高く、環境負荷などの面でも課題が多く、価格及び材料供給等における制限もある。一方、Gratzel等により提案された色素増感型太陽電池が安価な太陽電池として注目されている(例えば、特許文献1及び非特許文献1参照。)。
色素増感型太陽電池は、増感色素を担持させたチタニア多孔質電極と対極との間に電解液を介在させた構造を有し、光電変換効率は必ずしも十分に高いとはいえないものの、材料、製法等の面で大幅なコストダウンが可能である。しかし、色素増感型太陽電池では、基板の周縁を封止するときに、基板の全面ではなく封止部の上下のみを加熱したとしても、セルの構成部材への伝熱により増感色素や電解液等が熱劣化するという問題があり、封止後、電解液が漏洩し、耐久性が低下することもあって、長期信頼性が未だ十分ではない。そのため、増感色素や電解液等の熱劣化を抑制することができ、且つ電解液の漏洩を十分に防止することができる封止技術の開発が必要とされている。
上記のような封止技術として、枠状の封止部が、透明電極と対電極との間に電解質を注入するための電解質注入部を備え、電解質注入後、電解質注入部が封止材で封止されている光電変換素子が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。また、電解液の漏洩を防止するためのホットメルト材の貼り合わせ条件を特定することにより、例えば、温度250℃、時間30秒とすることにより、電解液保持率を向上させ、信頼性を向上させることが提案されている(例えば、非特許文献2参照。)。
特開平1−220380号公報 特開2006−4827号公報 Nature誌(第353巻、pp.737−740、1991年) 松下電工技報(Vol.54 No.4 69−73頁)
特許文献2には、上記の構成とすることにより、長期間電解質をセル内部に保存でき、安全性及び高耐久性を有する光電変換素子を提供することができると説明されている。しかし、この封止方法では、電解液注入後に再度熱圧着工程を行うため、封止時に電解液が滲み出してホットメルト材が封止不良を起こす可能性がある。また、半導体電極に近接した位置で熱圧着工程が繰り返されるため、増感色素や電解液等が熱劣化し、光電変換効率が低下することがある。更に、非特許文献2には、電解液の漏洩による素子の劣化が抑制されると説明されているが、この封止方法では、半導体電極に近接した位置でホットメルト材が高温で圧着されるため、増感色素や電解液等が熱劣化し、光電変換効率が低下することが考えられ、耐熱性の観点から使用材料が制限されることもある。
本発明は、上記の状況に鑑みてなされたものであり、製造時にセルの構成部材への伝熱が抑制され、増感色素や電解液等の熱劣化を最小限に抑えることができ、且つ基板等が直接加熱されないため、電池製造に用いる部材の材質に対する制約も少ない色素増感型太陽電池及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は以下のとおりである。
1.透光性基板1と、該透光性基板1の一面に設けられた透光性導電層11と、該透光性導電層11の表面に設けられ、且つ増感色素を有する半導体電極3と、該透光性導電層11の該表面に対向して配置された対極基板2と、該対極基板2の一面側に該半導体電極3に対向して設けられた触媒電極4と、該半導体電極2と該触媒電極4との間に充填された電解液5と、該透光性基板1及び該対極基板2の各々の側端面の外方に設けられた電解液漏洩防止部61と、を備えることを特徴とする色素増感型太陽電池。
2.一面の内周側が上記透光性導電層11の上記表面の周縁部に接合され、他面の内周側が上記対極基板2の上記一面側の周縁部に接合され、且つ外周側に上記電解液漏洩防止部61が形成された枠体6を備える上記1.に記載の色素増感型太陽電池。
3.上記枠体6の、上記透光性基板1及び上記対極基板2の各々の上記側端面より外方部が、該透光性基板1の該側端面及び該対極基板2の該側端面のうちの少なくとも一方に接合されている上記2.に記載の色素増感型太陽電池。
4.厚さ方向の一方側の内周面が上記透光性基板1の上記側端面に接合され、厚さ方向の他方側の内周面が上記対極基板2の上記側端面に接合され、且つ該透光性基板1及び該対極基板2の各々の上記側端面より外方側に上記電解液漏洩防止部61が形成された枠体6を備える上記1.に記載の色素増感型太陽電池。
5.上記外方側が、上記枠体6の、上記透光性基板1の上記側端面に接合された上記内周面と反対側の外周面及び上記対極基板2の上記側端面に接合された上記内周面と反対側の外周面のうちの少なくとも一方に接合されている上記4.に記載の色素増感型太陽電池。
6.請求項1乃至3のうちのいずれか1項に記載の色素増感型太陽電池の製造方法であって、第1枠体621の一面の内周側を上記透光性導電層11の上記表面の周縁部に接合し、第2枠体622の一面の内周側を上記対極基板2の上記一面側の周縁部に接合する枠体接合工程と、該第1枠体621の他面と該第2枠体622の他面とを対向させて積層する積層工程と、該第1枠体621の該他面と該第2枠体622の該他面とを、電解液注入口形成部を除いて、該透光性基板1及び該対極基板2の各々の上記側端面の上記外方において接合する接合工程と、該電解液注入口形成部に形成された電解液注入口8から電解液を注入する電解液注入工程と、該電解液注入口8を封止する封止工程、とを備えることを特徴とする色素増感型太陽電池の製造方法。
7.上記第1枠体621の上記他面と上記第2枠体622の上記他面との間に、電解液注入口形成用剥離材7を介装させて接合し、その後、該電解液注入口形成用剥離材7を除去し、形成された電解液注入口8から電解液5を注入する上記6.に記載の色素増感型太陽電池の製造方法。
8.上記電解液漏洩防止部61を、上記透光性基板1の上記側端面及び上記対極基板2の上記側端面のうちの少なくとも一方に圧着させる圧着工程を備える上記7.に記載の色素増感型太陽電池の製造方法。
9.上記1.、4.又は5.に記載の色素増感型太陽電池の製造方法であって、第1枠体621の厚さ方向の一方側の内周面を上記透光性基板1の上記側端面に接合し、第2枠体622の厚さ方向の一方側の内周面を上記対極基板2の上記側端面に接合する枠体接合工程と、該第1枠体621の厚さ方向の他方側の内周面と、該第2枠体622の厚さ方向の他方側の内周面とを積層する積層工程と、該第1枠体621の厚さ方向の該他方側の該内周面と、該第2枠体622の厚さ方向の該他方側の該内周面とを、電解液注入口形成部を除いて接合する接合工程と、該電解液注入口形成部に形成された電解液注入口8から電解液を注入する電解液注入工程と、該電解液注入口8を封止する封止工程、とを備えることを特徴とする色素増感型太陽電池の製造方法。
10.上記第1枠体621の厚さ方向の上記他方側の上記内周面と、上記第2枠体622の厚さ方向の上記他方側の上記内周面との間に、電解液注入口形成用剥離材7を介装させて接合し、その後、該電解液注入口形成用剥離材7を除去し、形成された電解液注入口8から電解液5を注入する上記9.に記載の色素増感型太陽電池の製造方法。
11.上記電解液漏洩防止部61を、上記枠体6の、上記透光性基板1の上記側端面に接合された上記内周面と反対側の外周面及び上記対極基板2の上記側端面に接合された上記内周面と反対側の外周面のうちの少なくとも一方に圧着させる圧着工程を備える上記10.に記載の色素増感型太陽電池の製造方法。
本発明の色素増感型太陽電池では、半導体電極と触媒電極との間に充填された電解液の漏洩を防止するための電解液漏洩防止部が、透光性基板と対極基板の各々の側端面より外方に形成されており、増感色素や電解液等の熱劣化が最小限に抑えられ、耐久性の高い電解液漏洩防止部が形成されるとともに、信頼性の高い色素増感型太陽電池とすることができる。
また、一面の内周側が透光性導電層11の表面の周縁部に接合され、他面の内周側が対極基板2の一面側の周縁部に接合され、且つ外周側に電解液漏洩防止部61が形成された枠体6を備える場合、及び厚さ方向の一方側の内周面が透光性基板1の側端面に接合され、厚さ方向の他方側の内周面が対極基板2の側端面に接合され、且つ透光性基板1及び対極基板2の各々の側端面より外方側に電解液漏洩防止部61が形成された枠体6を備える場合は、セルの構成部材への伝熱が容易に、且つ効率よく抑制され、増感色素や電解液等の熱劣化が抑えられるとともに、より優れた耐久性を有する電解液漏洩防止部とすることができ、より信頼性の高い色素増感型太陽電池とすることができる。
更に、枠体6の、透光性基板1及び対極基板2の各々の側端面より外方部が、透光性基板1の側端面及び対極基板2の側端面のうちの少なくとも一方に接合されている場合、及び外方側が、枠体6の、透光性基板1の側端面に接合された内周面と反対側の外周面及び対極基板2の側端面に接合された内周面と反対側の外周面のうちの少なくとも一方に接合されている場合は、透光性基板と対極基板とが互いにより強固に固定され、電解液の漏洩もより十分に防止され、より信頼性の高い色素増感型太陽電池とすることができる。
本発明の色素増感型太陽電池の製造方法、及び他の本発明の色素増感型太陽電池の製造方法によれば、半導体電極と触媒電極との間に充填された電解液の漏洩を防止するための電解液漏洩防止部が、透光性基板と対極基板の各々の側端面より外方に形成されている。即ち、枠体を、基板を介してではなく、直接加熱することにより電解液漏洩防止部が形成されている。そのため、伝熱が容易であり、従前より低温、短時間で電解液漏洩防止部を形成することができ、増感色素や電解液等の熱劣化を最小限に抑えることができる。一方、セルの構成部材への伝熱が抑制されるため、より高温、長時間の加熱が可能となり、より耐久性の高い電解液漏洩防止部を形成することができる。更に、電池製造に用いる部材の材質に対する制約も少なく、ガラス及びセラミックなどに比べて耐熱性が低い樹脂等の材料を何ら問題なく使用することができる。
また、第1枠体621の他面と第2枠体622の他面との間に、電解液注入口形成用剥離材7を介装させて接合し、その後、電解液注入口形成用剥離材7を除去し、形成された電解液注入口8から電解液5を注入する場合、及び第1枠体621の厚さ方向の他方側の内周面と、第2枠体622の厚さ方向の他方側の内周面との間に、電解液注入口形成用剥離材7を介装させて接合し、その後、電解液注入口形成用剥離材7を除去し、形成された電解液注入口8から電解液5を注入する場合は、電解液の注入が容易であり、その漏洩も十分に抑えられ、且つ透光性基板と対極基板とが互いにより強固に固定されて信頼性の高い色素増感型太陽電池とすることができる。
更に、電解液漏洩防止部61を、透光性基板1の側端面及び対極基板2の側端面のうちの少なくとも一方に圧着させる圧着工程を備える場合、及び電解液漏洩防止部61を、枠体6の、透光性基板1の側端面に接合された内周面と反対側の外周面及び対極基板2の側端面に接合された内周面と反対側の外周面のうちの少なくとも一方に圧着させる圧着工程を備える場合は、電解液の漏洩が十分に防止され、且つ透光性基板と対極基板とが互いにより強固に固定されてより信頼性の高い色素増感型太陽電池とすることができる。
以下、本発明を、図1〜18を参照し、詳細に説明する。
本発明の色素増感型太陽電池(以下、「太陽電池」ということもある。)は、透光性基板1と、透光性基板1の一面に設けられた透光性導電層11と、透光性導電層11の表面に設けられ、且つ増感色素を有する半導体電極3と、透光性導電層11の表面に対向して配置された対極基板2と、対極基板2の一面側に半導体電極3に対向して設けられた触媒電極4と、半導体電極2と触媒電極4との間に充填された電解液5と、透光性基板1及び対極基板2の各々の側端面の外方に設けられた電解液漏洩防止部61と、を備える。
尚、対極基板2の一面とせず、一面側としているのは、対極基板2の一面に正極側集電電極が設けられ、この正極側集電電極の表面に触媒電極4が設けられる場合があるためである。
[1]色素増感型太陽電池
(1)必須の構成部材
(A)透光性基板
上記「透光性基板1」としては、ガラス、樹脂シート等からなる基板が挙げられる。この樹脂シートは特に限定されず、ポリエチレンテレフタレート及びポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリエチリデンノルボルネン、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリカーボネート、ポリスルフォン等を用いて作製された樹脂シートが挙げられる。この透光性基板1の厚さは材質によっても異なり、特に限定されないが、ガラス基板では1〜4mm、樹脂基板では30〜500μmとすることができる。また、透光性基板1は、下記の透光性により表される可視光透過率が60〜99%、特に85〜99%となる厚さであることが好ましい。
透光性とは、波長400〜900nmの可視光の透過率が10%以上であることを意味する。この可視光透過率は60%以上、特に85%以上であることが好ましい。
透光性(%)=(透光性基板を透過した光量/透光性基板に入射した光量)×100
(B)透光性導電層
上記「透光性導電層11」は透光性基板1の一面に設けられ、透光性及び導電性を有する。この透光性導電層11は特に限定されず、導電性酸化物からなる薄膜、炭素薄膜等が挙げられる。導電性酸化物としては、酸化インジウム、スズドープ酸化インジウム(ITO)、酸化スズ、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)等が挙げられる。この透光性導電層11の厚さは材質によっても異なり、特に限定されないが、表面抵抗が100Ω/cm以下、特に1〜10Ω/cmとなる厚さであることが好ましい。
この透光性導電層11の透光性の意味及び好ましい可視光透過率は、透光性基板1の場合と同じである。
透光性導電層11は、導電性酸化物及び必要に応じて炭素等の微粒子を含有するペーストを、透光性基板1の一面に塗布して形成することができる。この塗布方法としては、ドクターブレード法、スキージ法、スピンコート法等の各種の方法が挙げられる。更に、この透光性導電層11は、スパッタリング法、蒸着法等により、透光性基板1の一面に導電性酸化物等を堆積させて形成することもできる。
(C)半導体電極
上記「半導体電極3」は、多孔質電極基体と、この多孔質電極基体に付着した増感色素とを有する。多孔質電極基体は、金属酸化物、金属硫化物等により形成することができる。金属酸化物としては、チタニア、酸化スズ、酸化亜鉛、五酸化二ニオブ等の酸化ニオブ、酸化タンタル及びジルコニア等が挙げられる。更に、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸バリウム等の複酸化物を用いることもできる。また、金属硫化物としては、硫化亜鉛、硫化鉛、硫化ビスマス等が挙げられる。多孔質電極基体の作製方法は特に限定されず、例えば、金属酸化物、金属硫化物等の微粒子を含有するペーストを、透光性導電層11の表面に塗布し、焼成することにより作製することができる。ペーストの塗布方法も特に限定されず、スクリーン印刷法、ドクターブレード法、スキージ法、スピンコート法等が挙げられる。このようにして作製された多孔質電極基体は微粒子が集合してなる集合体の形態で形成される。
多孔質電極基体は、透光性導電層11の表面に、金属酸化物、金属硫化物などの微粒子及び少量の有機高分子等が分散されたコロイド溶液を塗布し、その後、乾燥し、次いで、加熱して有機高分子を分解させて除去し、次いで、焼成することにより作製することもできる。このコロイド溶液も、スクリーン印刷法、ドクターブレード法、スキージ法、スピンコート法等の各種の方法により塗布することができる。この方法により作製した多孔質電極基体も微粒子が集合してなる集合体の形態で形成される。
焼成の条件は、多孔質電極基体の材質等にもより、特に限定されないが、例えば、チタニアの場合、焼成温度は400〜600℃、特に450〜550℃とすることができ、焼成時間は10〜300分、特に20〜100分、更に20〜40分とすることができる。焼成雰囲気は、大気雰囲気等の酸化雰囲気、又はアルゴン等の希ガス雰囲気及び窒素ガス雰囲気等の不活性雰囲気とすることができる。
上記「増感色素」は、光電変換の効率を向上させる作用を有する。この増感色素としては、錯体色素及び有機色素を用いることができる。錯体色素としては金属錯体色素が挙げられ、有機色素としてはポリメチン色素、メロシアニン色素等が挙げられる。金属錯体色素としてはルテニウム錯体色素及びオスミウム錯体色素等が挙げられ、ルテニウム錯体色素が特に好ましい。また、光電変換がなされる波長域を拡大し、変換効率を向上させるため、光電変換がなされる波長域の異なる2種以上の増感色素を併用することもできる。この場合、照射される光の波長域と強度分布とによって併用する増感色素の種類及びそれらの量比を設定することが好ましい。更に、増感色素は半導体電極に結合するための官能基を有することが好ましい。この官能基としては、カルボキシル基、スルホン酸基及びシアノ基等が挙げられる。
多孔質電極基体に増感色素を付着させる方法は特に限定されず、例えば、増感色素を有機溶媒に溶解させた溶液に多孔質電極基体を浸漬して溶液を含侵させ、その後、有機溶媒を除去することにより付着させることができる。また、この溶液を、多孔質電極基体に塗布して含浸させ、その後、有機溶媒を除去することにより付着させることもできる。この塗布方法としては、ワイヤーバー法、スライドホッパー法、エクストルージョン法、カーテンコート法、スピンコート法、スプレーコート法等が挙げられる。更に、この溶液は、オフセット印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷等の各種の印刷法により塗布することもできる。
増感色素の付着量も特に限定されないが、多孔質電極基体1gに対して0.01〜1ミリモル、特に0.5〜1ミリモルであることが好ましい。付着量が0.01〜1ミリモルであれば、半導体電極3における光電変換が効率よくなされる。また、多孔質電極基体に付着しなかった増感色素が電極周辺に遊離していると、光電変換効率が低下することがある。そのため、増感色素を付着させる処理の後、半導体電極3を洗浄して余剰の増感色素を除去することが好ましい。この余剰の増感色素は、洗浄槽を用いてアセトニトリル及びアルコール系溶媒などの有機溶媒で洗浄して除去することができる。更に、より多くの増感色素を付着させるためには、多孔質電極基体を加熱して、浸漬及び塗布等の処理をすることが好ましい。この場合、多孔質電極基体の表面に水が吸着するのを避けるため、加熱後、常温に降温させることなく40〜80℃で速やかに処理することが好ましい。
半導体電極3の厚さは特に限定されないが、0.1〜100μmとすることができ、1〜30μm、特に2〜25μmとすることが好ましい。半導体電極3の厚さが0.1〜100μmであれば、光電変換が十分になされ、発電効率が向上する。更に、半導体電極3は、その強度及び透光性導電層11との密着性を向上させるため熱処理することが好ましい。熱処理の温度及び時間は特に限定されないが、熱処理温度は40〜700℃、特に100〜500℃、熱処理時間は10分〜10時間、特に20分〜5時間とすることが好ましい。
(D)対極基板
上記「対極基板2」は、透光性を有していてもよく、有していなくてもよい。透光性を有している対極基板2としては、ガラス、樹脂シート等からなる基板が挙げられる。この樹脂シートとしては、前記の透光性基板1の場合と同様の樹脂を用いて作製されたシートが挙げられる。対極基板2がガラス基板であれば、より高い信頼性を有する色素増感型太陽電池とすることができる。また、透光性基板1及び対極基板2が樹脂シートからなる基板であれば、軽量であり、且つ可撓性のある色素増感型太陽電池とすることができる。更に、樹脂シートからなる基板であれば、後記の負極側集電電極及び正極側集電電極のうちの少なくとも一方を、対極基板2の内部又は他面に容易に設けることができるため好ましい。対極基板2は、複数の樹脂シートを接合して形成することができる。また、対極基板2は、樹脂シートの接着性が十分であれば1層の樹脂シートにより形成することができ、接着性が十分でないときは樹脂シートと接着剤層との積層シートとして形成することができる。この樹脂シート又は積層シートと、負極側集電電極及び/又は正極側集電電極とを接合することにより、対極基板2の内部又は他面に負極側集電電極及び/又は正極側集電電極を形成することができる。対極基板2側をより簡易な構造とするためには、正極側集電電極を対極基板2の内部に設けることが好ましい。透光性を有している対極基板2の厚さは特に限定されないが、ガラス基板では1〜4mm、樹脂基板では30〜500μmとすることができる。
透光性を有していない対極基板2は特に限定されず、セラミック及び金属等からなる基板が挙げられる。このセラミック基板を作製するためのセラミックとしては、酸化物系セラミック、窒化物系セラミック、炭化物系セラミック等の各種のセラミックを用いることができる。酸化物系セラミックとしては、アルミナ、ムライト、ジルコニア等が挙げられる。また、窒化物系セラミックとしては、窒化ケイ素、サイアロン、窒化チタン、窒化アルミニウム等が挙げられる。更に、炭化物系セラミックとしては、炭化ケイ素、炭化チタン、炭化アルミニウム等が挙げられる。このセラミック基板の場合も、前記の樹脂基板のときと同様に、負極側集電電極及び正極側集電電極のうちの少なくとも一方を、対極基板2の内部又は他面に設けることができる。これにより、対極基板2側をより簡易な構造とすることができる。
セラミックとしては、アルミナ、窒化ケイ素、ジルコニア等が好ましく、アルミナが特に好ましい。アルミナは耐食性が高く、強度が大きく、電気絶縁性にも優れ、このアルミナからなる基板とすることで、より優れた耐久性を有する色素増感型太陽電池とすることができる。尚、アルミナを含有するセラミック基板の場合、この基板に含まれるセラミックの全量を100質量%とした場合に、アルミナが80質量%以上、特に90質量%以上、更に95質量%以上(100質量%であってもよい。)であることが好ましい。
このセラミック基板は緻密化されていることが好ましく、例えば、アルミナの場合、その相対密度が90%以上、特に93%以上、更に95%以上であることが好ましい。このように緻密度が高く、強度の大きいセラミック基板であれば、信頼性の高い色素増感型太陽電池とすることができる。また、セラミック基板の厚さは特に限定されないが、100μm〜5mm、特に500μm〜5mm、更に1〜5mmとすることができ、300μm〜3mmとすることが好ましい。セラミック基板の厚さが100μm〜5mm、特に300μm〜3mmであれば、支持層として十分な強度を有し、優れた信頼性を有する色素増感型太陽電池とすることができる。更に、負極側集電電極及び正極側集電電極のうちの少なくとも一方を、対極基板2の内部又は他面に設けた場合も、セラミック基板(対極基板2)の厚さは上記と同様の範囲とすることができる。
対極基板2がセラミック基板である場合、このセラミック基板の作製方法は特に限定されない。セラミック基板は、通常、セラミック粉末、焼結助剤、バインダ、溶媒及び可塑剤等を含有するスラリーを調製し、このスラリーを用いてドクターブレード法等により未焼成シートを成形し、この未焼成シートを各々のセラミックに応じて所定温度で、所要時間、保持し、焼成して作製することができる。
(E)触媒電極
上記「触媒電極4」は、触媒活性を有し、且つ電気化学的に安定な物質(以下、「触媒活性を有する物質」という。)、又はそのものは触媒活性を有さず、且つ触媒活性を有する物質を含有する、金属、導電性酸化物及び導電性高分子のうちの少なくとも1種、により形成することができる。触媒活性を有する物質としては、白金、ロジウム、カーボンブラック等が挙げられ、これらは併せて導電性を有する。触媒電極は、触媒活性が高く、且つ電気化学的に安定な白金及びロジウムにより形成することが好ましく、触媒活性が高く、且つ電気化学的により安定で電解液に熔解され難い白金を用いることが特に好ましい。
触媒活性を有さない、金属、導電性酸化物、導電性高分子等を用いる場合、触媒活性を有する物質の含有量は、触媒活性を有さない、金属、導電性酸化物、導電性高分子等を100質量部(以下、単に「部」という。)とした場合に、1〜99部、特に50〜99部であることが好ましい。尚、この金属としては、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム等が挙げられる。導電性酸化物としては、前記の透光性導電層11の形成に用いられる導電性酸化物等が挙げられる。導電性高分子としては、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン等が挙げられる。
更に、触媒電極4としては、樹脂に、触媒活性を有する物質及びその他の各種の導電性物質を配合して調製した樹脂組成物を用いて形成したものが挙げられる。この樹脂は特に限定されず、熱可塑性樹脂でも熱硬化性樹脂でもよい。熱可塑性樹脂としては、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル等が挙げられる。また、熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、熱硬化性ポリエステル樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。触媒活性を有する物質としては、前記の白金、ロジウム、カーボンブラック等が挙げられる。更に、導電性物質としては、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム等の金属、及びポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン等の導電性高分子などが挙げられる。この導電性物質は1種のみ用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
このように、触媒電極4は、触媒活性及び導電性を有する物質により形成することができる。また、そのものは触媒活性を有さず、且つ触媒活性を有する物質を含有する、金属、導電性酸化物及び導電性高分子のうちの少なくとも1種により形成することもできる。更に、触媒電極4は、1種の材料のみからなる電極でもよく、2種以上の材料からなる混合電極でもよい。また、触媒電極4は、単層でもよく、金属層、導電性酸化物層、導電性高分子層、並びに金属、導電性酸化物及び導電性高分子のうちの2種以上からなる混合層のうちの2層以上からなる多層の触媒電極4でもよい。この触媒電極4の厚さは特に限定されないが、単層及び多層のいずれの場合も、3nm〜100μm、特に3nm〜60μmとすることができる。厚さが3nm〜100μmであれば、十分に抵抗の低い触媒電極4とすることができる。
金属、導電性酸化物等からなる触媒電極4は、金属、導電性酸化物等の微粒子を含有するペーストを対極基板2の一面側に塗布して形成することができる。この塗布方法としては、ドクターブレード法、スキージ法、スピンコート法等の各種の方法が挙げられる。また、この触媒電極4は、スパッタリング法、蒸着法等により、対極基板2の一面側に金属等を堆積させて形成することもできる。更に、触媒活性を有する物質を含有する導電性高分子からなる触媒電極4は、樹脂と、粉末状又は繊維状等の触媒活性を有する物質及び導電性物質とを、バンバリーミキサ、インターナルミキサー、オープンロール等の装置により混練して調製した樹脂組成物をフィルムに成形し、このフィルムを対極基板2の一面側に接合して形成することができる。
また、触媒電極4は、樹脂組成物を溶媒に溶解又は分散させて調製した溶液又は分散液を対極基板2の一面側に塗布し、その後、乾燥して溶媒を除去し、必要に応じて加熱して形成することもできる。この触媒電極4には取り出し電極を連設することもでき、この取り出し電極から電力を取り出すことができる。この取り出し電極は、触媒電極4の形成時に同時に一体に形成することができる。
(F)電解液
上記「電解液5」は、半導体電極3と触媒電極4との間に充填され、且つ半導体電極3及び触媒電極4の各々の少なくとも一部に含浸されている。また、電解液5は、通常、半導体電極3及び触媒電極4の各々の全体に含浸されており、これにより光電変換効率をより向上させることができる。半導体電極2と触媒電極4との間隔と、電解液5が充填される空間の厚さとはほぼ等しく、この間隔及び厚さは特に限定されないが、200μm以下、特に100μm以下、更に50μm以下(通常、1μm以上)とすることができる。この厚さが200μm以下であれば、十分な発電効率を有する色素増感型太陽電池とすることができる。電解液5は、太陽電池の周縁を電解液漏洩防止部6により封着し、形成される密閉空間に注入することで、半導体電極3及び触媒電極4の各々に含浸させ、且つこれらの間に充填させることができる。
電解液5には、電解質の他、通常、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート類などの溶媒及び各種の添加剤等が含有される。この電解質は特に限定されず、各種の電解質を用いることができる。電解質としては、Iと、LiI及びピリジニウムヨーダイド、イミダゾリウムヨーダイド等の4級アンモニウム化合物のヨウ素塩とを組み合わせてなる電解質が特に好ましい。電解質は1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
(G)電解液漏洩防止部
(a)第1の実施形態
第1の実施形態では、上記「電解液漏洩防止部61」は、透光性基板1及び対極基板2の各々の側端面の外方に設けられる。この電解液漏洩防止部61は、内周側が透光性導電層11と対極基板2との間に介装された枠体6により形成することができる。即ち、一面の内周側が透光性導電層11の表面の周縁部に接合され、他面の内周側が対極基板2の一面側の周縁部に接合された枠体6の、透光性基板1(透光性導電層11)及び対極基板2の各々の側端面の外方における外周側に電解液漏洩防止部61を形成することができる(図1、2及び8〜9参照)。
また、枠体6の、透光性基板1及び対極基板2の各々の側端面より外方部を、透光性基板1の側端面及び対極基板2の側端面のうちの少なくとも一方に接合し、電解液漏洩防止部611を形成することもできる(図10参照)。これにより、太陽電池の外周部からの電解液5の漏洩がより十分に抑えられ、且つ太陽電池の平面方向の寸法を小さくすることができるとともに、外観を向上させることもできる。
(b)第2の実施形態
電解液漏洩防止部61は、内周面の一部が、透光性導電層11及び対極基板2の各々の側端面に接合された枠体6により形成することもできる。即ち、厚さ方向の一方側の内周面が透光性基板1の側端面に接合され、厚さ方向の他方側の内周面が対極基板2の側端面に接合された枠体6の、透光性基板1及び対極基板2の各々の側端面より外方側に電解液漏洩防止部61を形成することもできる(図11、12及び16〜17参照)。
更に、枠体6の、外方側を、透光性基板1の側端面に接合された内周面と反対側の外周面及び対極基板2の側端面に接合された内周面と反対側の外周面のうちの少なくとも一方に接合し、電解液漏洩防止部611を形成することもできる(図18参照)。これにより、太陽電池の外周部からの電解液5の漏洩がより十分に抑えられ、且つ太陽電池の平面方向の寸法を小さくすることができるとともに、外観を向上させることもできる。
尚、この第2の実施形態では、枠体及び電解液漏洩防止部は、第1の実施形態とは形態が異なるが、それぞれ同符号を付する。
(c)枠体の材質
枠体6は、熱可塑性樹脂を用いて形成され、この熱可塑性樹脂の種類は特に限定されないが、加熱、加圧により容易に接合させることができ、且つ電解液5に対して優れた耐腐食性を有する樹脂であることが好ましい。このような樹脂としては、(1)低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びエチレン−α−オレフィン共重合体等のポリエチレン系樹脂、(2)エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体及びエチレン−メタクリル酸共重合体等のアクリル系樹脂、(3)シリコーン樹脂、(4)アイオノマー樹脂の他、(5)ポリスチレン系、ポリジエン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、フッ素樹脂系及びポリアミド系等のエラストマーなどの熱融着性樹脂が挙げられ、これらの樹脂の中から被着面の材質に応じて適宜選択して使用することができる。
(2)他の部材
(A)負極側集電電極
透光性基板1と透光性導電層11との間、又は透光性導電層11の表面に、負極側集電電極を設けることができる。この負極側集電電極は、半導体電極3を取り囲むように、又は半導体電極3を所定の領域に分割するように配設することができる。この所定の領域に分割するように配設するとは、完全に連続した負極側集電電極により分割されている場合のみでなく、負極側集電電極の一部に不連続な部分がある場合も意味する。より具体的には、負極側集電電極の平面形状は、例えば、格子状、網目状、櫛歯状、放射状等とすることができる。この負極側集電電極に取り出し電極を連設することもでき、この取り出し電極から電力を取り出すことができる。
負極側集電電極の幅及び厚さは特に限定されず、その面積にもよるが、5〜100μm、特に10〜80μm、更に15〜60μmとすることができる。負極側集電電極の厚さが5〜100μmであれば、その面積と厚さとを勘案して設定することにより、抵抗が低く、優れた集電効率を有する集電電極とすることができる。この負極側集電電極は、白金、金等の貴金属、タングステン、チタン、ニッケルなどの金属により形成することができる。この負極側集電電極は、所定のパターンが形成されたマスクを用いて、マグネトロンスパッタ法及び電子ビ−ム蒸着法等の物理的蒸着法により形成することができ、ペーストを用いるスクリーン印刷法などにより形成することもできる。取り出し電極は、この負極側集電電極の形成時に、同時に一体に形成することができる。
(B)正極側集電電極
対極基板2の一面に、正極側集電電極を設けることができる。正極側集電電極は、触媒電極4を白金、金等の導電性に優れる貴金属により形成し、特に20nm以上、更に1μm以上(通常、10μm以下)と厚くした場合は、導電性の観点からは設ける必要はないが、コストの面では設けることが好ましい。即ち、白金等は高価であるため、触媒電極4をできるだけ薄層とすることが好ましいが、薄層であると抵抗が高くなるため、タングステン、チタン、ニッケル等の金属からなる正極側集電電極を設けることで、集電効率を向上させるとともに、コストを低減することができる。また、触媒電極4を、前記の導電性酸化物に触媒活性を有する物質を配合した組成物等により形成したときは、抵抗がより高くなるため、正極側集電電極を設け、集電効率を高めることがより好ましい。この正極側集電電極に取り出し電極を連設することもでき、この取り出し電極から電力を取り出すことができる。
正極側集電電極の形状は特に限定されないが、対極基板2の側では透光性は必須でないため平面形状とすることができる。この正極側集電電極が平面形状である場合、抵抗の低い正極側集電電極とするためには、触媒電極4と類似の平面形状であり、且つ触媒電極4に対して50%以上、特に65%以上、更に80%以上(同面積でもよい。)の面積の平面状の電極であることが好ましい。更に、触媒電極4と相似形に配設されることがより好ましい。また、正極側集電電極は、負極側集電電極と同様に、格子状、櫛歯状、放射状等の特定のパターンを有する電極とすることもできる。また、正極側集電電極41の厚さも特に限定されず、その面積にもよるが、5〜100μm、特に10〜80μm、更に15〜60μmとすることができる。正極側集電電極41の厚さが5〜100μmであれば、その面積と厚さとを勘案して設定することにより、抵抗が低く、優れた集電効率を有する集電電極とすることができる。取り出し電極は、この正極側集電電極の形成時に、同時に一体に形成することができる。
(C)負極側集電電極及び正極側集電電極が対極基板の内部又は他面に形成された樹脂積層基板
負極側集電電極及び正極側集電電極は、図19、20のように、樹脂積層基板(対極基板2)の内部又は他面に設けることもできる。即ち、対極基板2の内部又は他面に、触媒電極4と離間し、且つ透光性導電層11を介して半導体電極3に接続された負極側集電電極31、及び触媒電極4に接続された正極側集電電極41を設けることができる。これらの負極側及び正極側の各々の集電電極31、41は、電解液5と接触しないため、材質は特に限定されず、銅、アルミニウム、銀、ニッケル等の耐腐食性の低い金属を用いて形成してもよく、タングステン、チタン等の耐腐食性の高い金属を用いて形成してもよい。これらの金属のうちでは抵抗の低い銅、アルミニウム、銀が好ましく、価格の面では銅、アルミニウムがより好ましい。
(a)負極側集電電極
負極側集電電極31は、対極基板2の内部又は他面の平面方向の全面に設けてもよいし、所定部分のみに設けてもよい。負極側集電電極31を対極基板2の内部又は他面の全面に設ける場合は、樹脂フィルムに金属箔を貼合する、及び樹脂フィルムに金属粉末等を含有する導電ペーストをスクリーン印刷等により塗布し、焼き付けて形成するなどの方法により設けることができる。また、所定部分のみに設ける場合は、所定のパターンを有する金属箔を貼合し、エッチング処理、メッキ処理を行う、及び所定のパターンが形成されたマスクを用いてスクリーン印刷する等の方法により形成することができる。負極側集電電極31の形成に用いる金属箔は特に限定されず、銅箔、アルミニウム箔、銀箔等を用いることができる。更に、樹脂フィルムの材質も特に限定されず、前記[1]、(1)、(A)に記載された各種の樹脂を用いてなるフィルムであることが好ましい。また、この金属箔と樹脂フィルムは、銅箔とポリイミドフィルムとの組み合わせ、ポリエチレンテレフタレートフィルム又はポリエチレンナフタレートフィルムとアルミニウム箔との組み合わせ、であることが好ましい。
このように、負極側集電電極31を透光性基板1と対向する対極基板2の側に設けることで、集負極側電電極31を設けることによる半導体電極3の面積の低減が十分に抑えられ、発電効率の高い色素増感型太陽電池とすることができる。更に、負極側集電電極31又は正極側集電電極41が対極基板2の他面に設けられる場合は、対極基板2からの剥離及び他部材等との接触による傷付き及び漏電などを防止するため、負極側又は正極側の集電電極31、41を樹脂、ガラス等で覆って保護することが好ましい。
対極基板2の内部又は他面に設けられる負極側集電電極31と、透光性導電層11とは、対極基板2に設けられた貫通孔に配設されたインターコネクタ91(図19、20参照)により接続することができる。インターコネクタ91は、その一端面が透光性導電層11に接触し、他端側の側面又は端面が負極側集電電極31の側面等に接触している。その材質は特に限定されず、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、インジウムハンダ、タングステン、チタン等の金属、及び導電性フィラーとしてカーボンブラックを含有する導電性接着剤などを用いてなるインターコネクタ91とすることができる。インターコネクタとしてハンダボールを用いることもでき、このハンダボールは加熱により軟化し、透光性導電層及び負極側集電電極に密着させることができる。
また、インターコネクタ91と透光性導電層11との密着性を高め、安定して導通させるため、透光性導電層11とインターコネクタ91との間に導電性接着剤層を介在させることもできる。この導電性接着剤層の材質は特に限定されないが、例えば、樹脂に導電性フィラーが含有された導電性接着剤を用いることができる。この導電性フィラーは特に限定されず、例えば、カーボンブラック、タングステン等の金属、及びポリアニリン等の導電性ポリマーなどからなる耐腐食性の高いフィラーが挙げられる。導電性接着剤層は電解液5に接触するため、導電性フィラーとしては、より耐腐食性に優れるカーボンフィラー、タングステンフィラー等が好ましい。
導電性接着剤層の形成方法も特に限定されず、例えば、未硬化導電性接着剤層を硬化させて形成することができる。用いられる未硬化導電性接着剤は特に限定されず、上記の導電性フィラーを含有する熱硬化性接着剤及び光硬化性接着剤等を用いることができ、これらの接着剤を加熱、又はレーザー光、紫外線等の照射などにより硬化させて導電性接着剤層を形成することができる。
インターコネクタ91の形状も特に限定されず、横断面が円形、楕円形、三角形及び四角形等の多角形などの柱状体等とすることができる。インターコネクタ91の寸法も特に限定されず、負極側集電電極31と透光性導電層11との十分な導通がとれればよい。このインターコネクタ91の横断面の面積は、0.5〜50mm、特に1〜20mmであり、複数のインターコネクタ91のそれぞれの離間距離(各々のインターコネクタ91の端縁間の最小距離)が3〜30mm、特に5〜15mmであることが好ましい。更に、インターコネクタ91は対極基板2の平面方向に等間隔に設けることがより好ましい。このような断面積及び配置のインターコネクタ91であれば、負極側集電電極31の集電効率を向上させることができ、且つ半導体電極3の面積の低減をより抑えることができ、発電効率に優れた色素増感型太陽電池とすることができる。
また、インターコネクタ91の、対極基板2の一面から透光性導電層11の表面までの間は電解液5に曝されることになる。そのため、インターコネクタ91がタングステン、チタン等の耐腐食性の高い材質からなるときは問題ないが、銀、銅、アルミニウム等の耐腐食性の低い材質からなるときは、インターコネクタ91の周囲に耐腐食性の高い材質からなる防食層92を配設し、電解液5による腐食から保護する必要がある。この防食層92は、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸により変性したポリエチレン等の熱融着性樹脂、及びエポキシ樹脂、ウレタン樹脂、熱硬化性ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂などを用いて形成することができる。
尚、インターコネクタ91及び防食層92は、透光性導電層11の表面と当接面93において当接し、負極側集電電極31と透光性導電層11とが接続される(図19参照)。
(b)正極側集電電極
正極側集電電極41は、対極基板2の内部又は他面の平面方向の全面に設けてもよいし、所定部分のみに設けてもよい。この所定部分とは、少なくともインターコネクタ91の側面に接触しない部分という意味であり、この場合、正極側集電電極41はインターコネクタ91の周囲を除く部分の全面に形成されていてもよく、一部に形成されていてもよい。この正極側集電電極41は、樹脂フィルムに、必要に応じて所定のパターンが形成された金属箔を貼合する、及び樹脂フィルムに、必要に応じて所定のパターンが形成されたマスクを用いて金属粉末等を含有する導電ペーストをスクリーン印刷等により塗布し、焼き付けて形成するなどの方法により設けることができる。
正極側集電電極41の形成に用いる金属箔は特に限定されず、銅箔、アルミニウム箔、銀箔等を用いることができる。更に、樹脂フィルムの材質も特に限定されず、前記[1]、(1)、(A)に記載された各種の樹脂を用いてなるフィルムであることが好ましい。また、樹脂フィルムと金属箔は、ポリイミドフィルムと銅箔の組み合わせ、ポリエチレンテレフタレートフィルム又はポリエチレンナフタレートフィルムとアルミニウム箔との組み合わせ、であることが好ましい。
対極基板2の内部又は他面に設けられる正極側集電電極41と、触媒電極4とは、対極基板2に設けられた貫通孔の内部に形成された触媒電極4の一部により接続される。このように、正極側集電電極41と触媒電極4とは、触媒電極4の形成と同時に接続することができ、工程を簡略化することができる。更に、触媒電極4は電解液5が透過し難い程度に緻密であり、これにより、正極側集電電極41を電解液5による腐食から保護することができる。
(c)貫通孔
インターコネクタ91を配設するための貫通孔、触媒電極4の一部を充填するための貫通孔の形成方法は特に限定されず、これらの貫通孔は、例えば、YAGレーザー、炭酸ガスレーザー等のレーザー光の照射、ドリル加工、穴開けパンチを用いたパンチングなど各種の方法により形成することができる。また、これらの貫通孔の径は、インターコネクタ91の外側面と貫通孔の周面、並びに貫通孔の内部に形成された触媒電極4の一部の外側面と貫通孔の周面、が密着する寸法とすることが好ましい。
[2]色素増感型太陽電池の製造方法
(1)第1の実施形態の電解液漏洩防止部を備える色素増感型太陽電池の製造方法
第1の実施形態の電解液漏洩防止部61、611を備える色素増感型太陽電池の製造方法は、第1枠体621の一面の内周側を透光性導電層11の表面の周縁部に接合し、第2枠体622の一面の内周側を対極基板2の一面側の周縁部に接合する枠体接合工程と、第1枠体621の他面と第2枠体622の他面とを対向させて積層する積層工程と、第1枠体621の他面と第2枠体622の他面とを、電解液注入口形成部を除いて、透光性基板1及び対極基板2の各々の側端面の外方において接合する接合工程と、電解液注入口形成部に形成された電解液注入口8から電解液を注入する電解液注入工程と、電解液注入口8を封止する封止工程、とを備える。
上記「第1枠体621」は、枠体6の厚さ方向の一部(透光性基板1の側)を構成することになる部材であり、透光性基板1及び透光性導電層11より内寸が小さく、外寸が大きい。また、上記「第2枠体622」は、枠体6の厚さ方向の他部(対極基板2の側)を構成することになる部材であり、対極基板2より内寸が小さく、外寸が大きい。上記「枠体接合工程」では、第1枠体621の一面の内周側の全周が、透光性導電層11の表面の周縁部の全周に接合され(図4、7参照)、第2枠体622の一面の内周側の全周が、対極基板2の一面側の周縁部の全周に接合される(図5参照)。
第1枠体621は透光性導電層11に、第2枠体622は対極基板2に、それぞれ熱融着させることができ、且つ互いに熱融着させることができればよく、各々の材質は特に限定されないが、熱可塑性樹脂が用いられる。この熱可塑性樹脂の種類も特に限定されないが、加熱、加圧により容易に接合させることができ、且つ電解液5に対して優れた耐腐食性を有する樹脂であることが好ましい。この樹脂としては、前記[1]、(1)、(G)、(c)に記載の各種の熱融着性樹脂が挙げられ、これらの樹脂の中から被着面の材質に応じて適宜選択して使用することができる。
第1枠体621と第2枠体622とは、各々の内寸及び外寸がそれぞれ同一であってもよく、異なっていてもよいが、透光性基板1、透光性導電層11及び対極基板2の外形及び外寸は、通常、同一であるため、第1枠体621と第2枠体622の各々の内寸及び外寸もそれぞれ同一であることが好ましい。また、接合幅は必ずしも全周に渡って同一でなくてもよいが、全周に渡って同一の幅であることが好ましい[図7における接合幅(符号a)参照]。更に、第1枠体621と第2枠体622の各々の内寸及び外寸がそれぞれ同一であり、透光性基板1、透光性導電層11及び対極基板2の外形及び外寸が同一であって、且つ接合幅が全周に渡って同一であることがより好ましい。このような形態であれば、電解液5の漏洩が十分に防止され、高い信頼性を有する色素増感型太陽電池とすることができる。
更に、第1枠体621及び第2枠体622の各々の厚さは特に限定されないが、第1枠体621と第2枠体622との合計厚さにより、透光性導電層11と対極基板2との離間距離が定まり、半導体電極3と触媒電極4との離間距離が影響を受けるため、これらの離間距離並びに半導体電極3及び触媒電極4の各々の厚さを考慮しながら、第1枠体621及び第2枠体622のそれぞれの厚さを設定することが好ましい。また、第1枠体621及び第2枠体622の各々の厚さは同一であってもよく、異なっていてもよいが、過度に薄いと接合時の作業性等が低下するため、大差のない厚さ(例えば、厚さの比が1:0.8〜1.2)であることが好ましい。
上記「積層工程」では、第1枠体621の他面と第2枠体622の他面とが積層され、その後、上記「接合工程」では、第1枠体621及び第2枠体622の他面間が、電解液注入口形成部を除いて、透光性基板1及び対極基板2の各々の側端面の外方において接合される。このように、第1枠体621と第2枠体622とは、それぞれの側端面の外方において加熱、加圧され、接合されるが、加熱時の伝熱によって側端面に近接する内方側の一部においても各々の他面間が接合されることがあり、このような形態も本発明に含まれるものとする。
電解液注入口形成部を除いて接合する方法は特に限定されないが、第1枠体621の他面と第2枠体622の他面との間に、電解液注入口形成用剥離材7を介装させて(図6参照)接合する方法が挙げられる。この電解液注入口形成用剥離材7は、接合後、除去されて、電解液注入口8が形成される(図8参照)。
電解液注入口形成用剥離材7の材質は特に限定されないが、接合後、容易に除去することができるフッ素樹脂等の剥離性の高い材料を用いることが好ましい。その形状も特に限定されず、板状体並びに断面が三角形、正方形等の多角形及び円形、楕円形等の柱状体を用いることができ、電解液5の注入のし易さ、及び注入後の電解液注入口8の封止のし易さの観点では板状体が好ましい(図6、7参照)。また、寸法も特に限定されないが、例えば、板状体である場合、厚さは1〜100μm、特に10〜50μm、幅は0.5〜20mm、特に1〜10mmであることが好ましい。このような形状、寸法の電解液注入口形成用剥離材7であれば、形成される電解液注入口8からの電解液5の注入が容易であり、且つ注入後の電解液注入口8の封止も容易である。
電解液注入口形成部は、周方向の一部が幅方向に切り欠かれた第1枠体621及び/又は第2枠体622を用いて形成することもできる。切り欠き部の幅は特に限定されないが、板状体の電解液注入口形成用剥離材7の幅と同様とすることができ、この切り欠き部はより幅広であってもよい。更に、切り欠き部は第1枠体621及び第2枠体622の少なくとも一方に設けることができるが、第1枠体621及び第2枠体622の両方に設けることが好ましい。特に、第1枠体621及び第2枠体622の各々の対向する位置に同じ幅の切り欠き部を設けることがより好ましい。これにより、電解液5を注入し易い電解液注入口8を容易に形成することができる。
電解液注入口形成部は、第1枠体621及び第2枠体622の他面間を、透光性基板1及び対極基板2の各々の側端面の外方において接合するときに、電解液注入口形成部に対応する位置が切り欠かれた加熱用治具を用いて形成することもできる。このような加熱治具を用いて接合すれば、切り欠き部は加熱、加圧されず、従って、接合されず、この治具の切り欠き部に対応する箇所はそのまま電解液注入口8となり、これにより、電解液5を注入し易い電解液注入口8を容易に形成することができる。
接合工程における加熱、加圧及び加熱、加圧時間等の条件は、第1枠体621及び第2枠体622の各々の材質等により設定することが好ましい。加熱、加圧は、増感色素や電解液等の熱劣化の抑制を考慮すると、電解液の漏洩を防止することができる限り、より低温、より低圧であることが好ましく、時間もより短時間であることが好ましい。例えば、第1枠体621及び第2枠体622のそれぞれがアイオノマー樹脂からなる場合、温度は80〜250℃、特に90〜200℃、圧力は0.05〜2.0MPa、特に0.1〜1.0Pa、時間は1〜120秒、特に3〜60秒とすることができる。
上記「電解液注入工程」では、上記のようにして形成された電解液注入口8から電解液5が注入される(図9参照)。この注入方法は特に限定されないが、内部を減圧とし、減圧下に電解液5に浸漬し、電解液5を侵入させる通常の方法により注入させることができる。また、電解液漏洩防止部61は、第1枠体621及び第2枠体622の他面間が、透光性基板1及び対極基板2の各々の側端面の外方において接合されて形成されており、側端面より内方は接合されておらず、積層されているのみである。従って、電解液5が側端面近傍まで浸透し、それを太陽電池の外部から視認することができるため、本発明の方法により製造された太陽電池であることを、その外観により確認することができる(図1、2及び10の第1枠体と第2枠体との積層面間にしみ込んだ電解液51参照)。
電解液5を注入した後、上記「封止工程」において、電解液注入口8近傍を加熱、加圧して封止することにより(図2参照)、色素増感型太陽電池(図1〜3の色素増感型太陽電池101参照)を製造することができる。この封止工程における加熱、加圧の条件は、接合工程と同様とすることができ、加熱、加圧時間は、接合工程と同様とすることもでき、より短時間とすることもできる。
電解液漏洩防止部61は、接合工程において接合されたままの形態であってもよいが、透光性基板1及び対極基板2の各々の側端面のうちの少なくとも一方、好ましくは両方に電解液漏洩防止部61を圧着させる圧着工程を備えていてもよい(図10の色素増感型太陽電池102参照)。これにより、電解液5の漏洩がより十分に防止され、且つ太陽電池の外観も向上する。この圧着工程における加熱、加圧及び加熱、加圧時間の条件は、接合工程と同様とすることができる。
尚、透光性基板1及び対極基板2の平面形状は、通常、四角形であるが、上記のように全周に渡って電解液漏洩防止部61を設けた後、圧着してもよく、電解液注入口8が形成される辺以外の他の辺は予め圧着しておき、電解液注入口8が形成される辺は、電解液5を注入し、電解液注入口8を封止した後、又は電解液注入口8の封止と同時に圧着してもよい。
(2)第2の実施形態の電解液漏洩防止部を備える色素増感型太陽電池の製造方法
第2の実施形態の電解液漏洩防止部61を備える色素増感型太陽電池の製造方法は、第1枠体621の厚さ方向の一方側の内周面を透光性基板1の側端面に接合し、第2枠体622の厚さ方向の一方側の内周面を対極基板2の側端面に接合する枠体接合工程と、第1枠体621の厚さ方向の他方側の内周面と、第2枠体622の厚さ方向の他方側の内周面とを積層する積層工程と、第1枠体621の厚さ方向の他方側の内周面と、第2枠体622の厚さ方向の他方側の内周面とを、電解液注入口形成部を除いて接合する接合工程と、電解液注入口形成部に形成された電解液注入口8から電解液を注入する電解液注入工程と、電解液注入口8を封止する封止工程、とを備える。
上記「第1枠体621」は、枠体6の厚さ方向の一部(透光性基板1の側)を構成することになる部材であり、透光性基板1及び透光性導電層11と内寸が略同じであり、外寸が大きい。また、上記「第2枠体622」は、枠体6の厚さ方向の他部(対極基板2の側)を構成することになる部材であり、対極基板2と内寸が略同じであり、外寸が大きい。上記「枠体接合工程」では、第1枠体621の厚さ方向の一方側の内周面の全周が、透光性導電層11の側端面の全周に接合され(図13参照)、第2枠体622の厚さ方向の一方側の内周面の全周が、対極基板2の側端面の全周に接合される(図14参照)。この形態では、第1枠体621は透光性基板1の他面には接合されていないため、半導体電極3の実効面積を広くすることができ、基板面積当たりの発電量を多くすることができる。更に、各々の基板の一面及び他面に第1枠体621及び第2枠体622が接合されていないことを、太陽電池の外部から視認することができるため、他の本発明の方法により製造された太陽電池であることを、その外観により確認することができる(図11、12及び18参照)。
尚、第1枠体621は、半導体電極3への光の入射が妨げられない範囲で、透光性基板1の側端面に接合された部分より更に外方側が透光性基板1の他面に接合されていてもよい。また、第2枠体622は、対極基板2の側端面に接合された部分より更に外方側が対極基板2の他面に接合されていてもよい。この対極基板2の側では透光性基板1の側ほどに光りの入射について配慮する必要がないため、第2枠体622は、対極基板2の他面に広範囲に接合されていてもよい。
第1枠体621及び第2枠体622としては、第1の実施形態の場合と同様に、熱可塑性樹脂を用いてなる成形体を用いることができる。更に、第1枠体621及び第2枠体622の各々の内寸及び外寸の大小の相関、及び接合幅については、第1の実施形態に係る前記の記載をそのまま適用することができ、そのような形態であれば、電解液5の漏洩が十分に防止され、高い信頼性を有する色素増感型太陽電池とすることができる。
また、第1枠体621及び第2枠体622の各々の厚さも特に限定されないが、第1枠体621と第2枠体622との合計厚さは、透光性導電層11と対極基板2との離間距離に影響を及ぼすため、接合幅と所定の離間距離とを考慮しながら、第1枠体621及び第2枠体622のそれぞれの厚さを設定することが好ましい。更に、第1枠体621及び第2枠体622の各々の厚さは同一であってもよく、異なっていてもよいが、接合時の作業性等を考慮すると、大差のない厚さ(例えば、厚さの比が1:0.8〜1.2)であることが好ましい。
上記「積層工程」では、第1枠体621の厚さ方向の他方側の内周面と、第2枠体622の厚さ方向の他方側の内周面とが積層される。第1枠体621と第2枠体622とは、第1枠体621の厚さ方向の他方側、及び第2枠体622の厚さ方向の他方側を、それぞれ外方に向かって水平位置になるまで折り曲げ、その後、互いの内周面を対向させて積層させることができる。この場合、透光性導電層11と対極基板2との離間距離、及び半導体電極3と触媒電極4との離間距離を、より正確に所定距離とするため、透光性導電層11と対極基板2(又は正極側集電電極)との間に所定厚さのスペーサーを介装させることができる。このスペーサーは全周に渡って介装させてもよいし、間隔をおいて複数のスペーサーを介装させてもよい。その材質も特に限定されないが、第1枠体621及び第2枠体622と同様にアイオノマー樹脂等の熱可塑性樹脂からなるスペーサーを用いることができる。更に、所定の離間距離となるように、予め断面L字形に成形した第1枠体621と第2枠体622とを用いることもできる。
上記「接合工程」では、第1枠体621及び第2枠体622の各々の厚さ方向の他方側の内周面間が、電解液注入口形成部を除いて接合される。電解液注入口形成部を除いて接合する方法は特に限定されないが、第1枠体621及び第2枠体622のそれぞれの厚さ方向の他方側の内周面間に、電解液注入口形成用剥離材7を介装させて(図15参照)接合する方法が挙げられる。この電解液注入口形成用剥離材7は、接合後、除去されて、電解液注入口8が形成される(図16参照)。
電解液注入口形成用剥離材7の材質、形状及び寸法については、第1の実施形態に係る前記の記載をそのまま適用することができ、そのような形態であれば、形成される電解液注入口8からの電解液5の注入が容易であり、且つ注入後の電解液注入口8の封止も容易である。また、電解液注入口形成部は、周方向の一部が幅方向に切り欠かれた第1枠体621及び/又は第2枠体622を用いて形成することもでき、電解液注入口形成部に対応する位置が切り欠かれた加熱用治具を用いて形成することもできる。この一部が切り欠かれた枠体及び加熱治具については、第1の実施形態に係る前記の記載をそのまま適用することができる。更に、接合工程における加熱、加圧及び加熱、加圧時間等の条件についても、第1の実施形態に係る前記の記載をそのまま適用することができる。
上記「電解液注入工程」では、上記のようにして形成された電解液注入口8から電解液5が注入される(図17参照)。この注入方法は特に限定されず、第1の実施形態のときと同様にして注入させることができる。また、電解液漏洩防止部61は、第1枠体621及び第2枠体622の各々の厚さ方向の他方側の内周面間が接合されて形成されており、厚さ方向の中間部では接合されておらず、積層されているのみである。従って、電解液5が側端面から外方に向かって浸透し、それを太陽電池の外部から視認することができるため、他の本発明の方法により製造された太陽電池であることを、その外観により確認することができる(図11、12及び18参照)。
電解液5を注入した後、上記「封止工程」において、電解液注入口8近傍を加熱、加圧して封止することにより(図12参照)、色素増感型太陽電池を製造することができる(図11、12の色素増感型太陽電池103参照)。この封止工程における加熱、加圧及び加熱、加圧時間の条件は、接合工程と同様とすることができる。
電解液漏洩防止部61は、接合工程において接合されたままの形態であってもよいが、枠体6の、透光性基板1の側端面に接合された内周面と反対側の外周面及び対極基板2の側端面に接合された内周面と反対側の外周面のうちの少なくとも一方に電解液漏洩防止部61を圧着させる圧着工程を備えていてもよい(図18の色素増感型太陽電池104参照)。これにより、電解液5の漏洩がより十分に防止され、且つ太陽電池の外観も向上する。この圧着工程における加熱、加圧及び加熱、加圧時間の条件は、接合工程と同様とすることができる。
尚、透光性基板1及び対極基板2の平面形状は、通常、四角形であるが、上記のように全周に渡って電解液漏洩防止部61を設けた後、圧着してもよく、電解液注入口8が形成される辺以外の他の辺は予め圧着しておき、電解液注入口8が形成される辺は、電解液5を注入し、電解液注入口8を封止した後、又は電解液注入口8の封止と同時に圧着してもよい。
また、この第2の実施形態の電解液漏洩防止部を備える色素増感型太陽電池の製造方法では、第1枠体、第2枠体、枠体及び電解液漏洩防止部は、第1の実施形態の電解液漏洩防止部を備える色素増感型太陽電池の製造方法とは形態が異なるが、それぞれ同符号を付する。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
実施例1(第1の実施形態の電解液漏洩防止部を備える色素増感型太陽電池)
(1)半導体電極の作製
表面に厚さ300nmのFTOからなる透光性導電層11が形成された、縦25mm、横25mm、厚さが1mmの透光性基板1(ガラス基板、日本板硝子社製)の透光性導電層11の表面に、粒径が10〜300nmのチタニア粒子を含有するペースト(Solaronix社製、商品名「Ti−Nonoxide D/SP」)をスクリーン印刷法により塗布し、厚さ20μmの塗膜を形成した。その後、120℃で30分予備乾燥し、次いで、マッフル炉を用いて500℃で30分保持して焼成し、半導体電極3を作製するための多孔質電極基体を形成した。
一方、ルテニウム錯体(小島化学社製、商品名「N−719」)を、アセトニトリルとtert−ブタノールとの混合溶媒に溶解させ、5×10−4モル/リットル濃度のアセトニトリル/tert−ブタノール溶液を調製した。次いで、このルテニウム錯体溶液に、多孔質電極基体及びガラス基板を18時間浸漬し、多孔質電極基体に増感色素であるルテニウム錯体を付着させ、含浸させて、縦14mm、横14mm、厚さ20μmの半導体電極3を作製した。
(2)対極基板、負極側集電電極及び正極側集電電極の作製(図19、20参照)
厚さ25μmのポリイミドフィルムと、厚さ35μmの銅箔とが積層された2枚の積層フィルムを、一方の積層フィルムの銅箔(正極側集電電極41となる)と他方の積層フィルムのポリイミドフィルム(第2樹脂フィルム層222となる。)とが当接するようにして、厚さ35μmのアクリル系接着剤からなる第1接着剤層221により接合した。この際、正極側集電電極41となる銅箔のうちの、下記の防食層7に対応する部分をエッチングにより除去し、除去部分に第1接着剤層221が入り込むことによって正極側集電電極41と下記のインターコネクタ91との接触を防止するようにした。
その後、厚さ12.5μmのポリイミドフィルム(第3樹脂フィルム層232となる)を、厚さ15μmのアクリル系接着剤からなる第2接着剤層231により、他方の積層フィルムの銅箔(負極側集電電極31となる)に接合した。次いで、2枚の積層フィルム並びに積層フィルムに接合されたポリイミドフィルム及び接着剤層を貫通する直径2mmの第1貫通孔をレーザー照射により形成した。その後、この貫通孔を中心とし、且つ各々の離間距離が10mmとなるように、一方の積層フィルムのポリイミドフィルム(第1樹脂フィルム21となる)にレーザーを照射し、直径1mmの複数の第2貫通孔(正極側集電電極41となる銅箔を底面とする有底孔になる。)を設けた。このようにして、縦25mm、横25mm、厚さ200μmの、負極側触媒電極31及び正極側集電電極41が内設された樹脂積層基板(対極基板2)を作製した。
(3)インターコネクタ及びこのインターコネクタを電解液による腐食から保護するための防食層の形成
上記(2)で作製した樹脂積層基板に形成された第1貫通孔の第1樹脂フィルム21の表面における開口部の周縁に、接着性樹脂(デュポン社製、商品名「バイネル4164」)からなり、内径1mm、外径2mm、高さ200μmの円筒形の防食材料を配設し、250℃に加熱して接合させ、防食層7を形成した。その後、上記(2)における第3樹脂層232の側から、上記の第1貫通孔に銀ペーストを流入させ、乾燥させてインターコネクタ91を形成した。この際、第1樹脂フィルム21の表面をエッチング処理により粗面化し、表面粗さ(Ra)を0.2〜1.0μmとし、第1樹脂フィルム21と防食層92との接着性を向上させた。
尚、下記(6)枠体の積層、接合時、インターコネクタ91の一端面と半導体電極3、及び他端側の側面と負極側集電電極31となる銅箔とが接触し、半導体電極3と負極側集電電極31とが接続される。また、防食層92の端面が透光性導電層11に接合され、電解液5とインターコネクタ91との接触が防止される。
(4)触媒電極の作製及び触媒電極と正極側集電電極との接続
上記(2)で作製した樹脂積層基板の第1樹脂フィルム21の、インターコネクタ91及び防食層92が形成されている部分を除く全面に、カーボンブラック及び樹脂を含有する導電ペーストを塗布し、塗膜上に活性炭及び樹脂を含有する活性炭含有電極シート(ジャパンゴアテックス社製)を貼着し、180℃で乾燥させ、触媒電極4を作製した。
尚、上記(2)で作製した樹脂積層基板に設けられた有底孔に導電ペーストが流入し、この有底孔の内部に形成された触媒電極4の一部により、触媒電極4と正極側集電電極41とが接続された。
(5)第1枠体と透光性基板及び第2枠体と対極基板の接合
透光性導電層11の表面の周縁部に、外寸30mm、内寸20mm、厚さ100μmのホットメルト樹脂(デュポン社製、商品名「バイネル4164」)からなる第1枠体621の一面の内周側を積層し、温度180℃、圧力0.5MPaで加熱、加圧し、全周に渡って幅2.5mmで接合させた。また、対極基板2の一面の周縁部に、第1枠体と同寸、同材質の第2枠体622の一面の内周側を積層し、同条件で加熱、加圧し、全周に渡って同幅で接合させた。
(6)枠体の積層及び接合
透光性導電層11に接合された第1枠体621の他面と、対極基板2に接合された第2枠体622の他面とを、周方向の所定位置に、ポリテトラフルオロエチレンからなり、幅5mm、長さ20mm、厚さ50μmの電解液注入口形成用剥離材7を介装させて積層し、その後、第1枠体621と第2枠体622とを、透光性基板1及び対極基板2の各々の側端面より外方において、温度180℃、圧力0.5MPaで加熱、加圧し、全周に渡って接合させ、幅2.5mmの接合部を形成し、冷却後、電解液注入口形成用剥離材7を引き抜いて電解液注入口8を形成した。
(7)色素増感型太陽電池の製造
上記(6)で作製した積層体を真空デシケーターに収容してセル内を減圧にし、減圧状態から大気圧に戻すことにより、電解液注入口8から電解液5(γ−ブチロラクトンに0.15モルのI、0.1モルのLiI、0.6モルのDimethylpropylimidazolium iodide及び0.5モルの4−tert−butylpyridineを混入させて調製した。)を内部に注入させ、その後、電解液注入口8を加熱治具により180℃で加熱、加圧して封止し、色素増感型太陽電池101(図1〜3参照、対極基板2、負極側集電電極31、正極側集電電極41等の詳細については、図20の色素増感型太陽電池105参照)を製造した。
(8)性能評価
上記(7)で製造した色素増感太陽電池105に、ソーラーシュミレータを用いて100mW/cmの光を照射し、電流−電圧曲線を測定し、光電変換効率(η)を求めた。その結果、ηは5.5%であり、十分な光電変換効率を有していた。
実施例2(第2の実施形態の電解液漏洩防止部を備える色素増感型太陽電池)
(1)半導体電極の作製
実施例1と同様にして半導体電極3を作製した。
(2)対極基板、負極側集電電極及び正極側集電電極の作製
実施例1と同様にして対極基板2、負極側集電電極31及び正極側集電電極41を作製した。
(3)インターコネクタ及び防食層の形成
実施例1と同様にしてインターコネクタ91及び防食層92を作製した。
(4)触媒電極の作製及び触媒電極と正極側集電電極との接続
実施例1と同様にして触媒電極4を作製し、同様にして触媒電極4と正極側集電電極41とを接続させた。
(4)第1枠体と透光性基板及び第2枠体と対極基板の接合
透光性基板1の側端面の全面に、外寸30mm、内寸20mm、厚さ50μmのホットメルト樹脂(デュポン社製、商品名「バイネル4164」)からなる第1枠体621の厚さ方向の一方側の内周面を積層し、温度180℃、圧力0.5MPaで加熱、加圧して接合させた。また、対極基板2の側端面の全面に、第1枠体と同寸、同材質の第2枠体622の厚さ方向の一方側の内周面を積層し、同条件で加熱、加圧して接合させた。
(5)枠体の積層及び接合
第1枠体621の厚さ方向の他方側を外方に向かって、水平位置となるまで折り曲げ、同様に、第2枠体622の厚さ方向の他方側を外方に向かって、水平位置となるまで折り曲げ、互いに水平方向となった各々の他方側の内周面を、周方向の所定位置に、実施例1の場合と同材質、同寸の電解液注入口形成用剥離材7を介装させて積層し、その後、第1枠体621と第2枠体622とを、積層されたそれぞれの他方側において、実施例1と同条件で全周に渡って接合させ、幅2.5mmの接合部を形成し、冷却後、電解液注入口形成用剥離材7を引き抜いて電解液注入口8を形成した。
(6)色素増感型太陽電池の製造
上記(5)で作製した積層体の電解液注入口8から、実施例1と同様の組成の電解液5を実施例1と同様にして内部に注入し、次いで、電解液注入口8を実施例1と同様にして封止し、色素増感型太陽電池103(図11、12参照、対極基板2、負極側集電電極31、正極側集電電極41等の詳細については、図20の色素増感型太陽電池105参照)を製造した。また、実施例1と同様にして性能を評価したところ、光電変換効率(η)は5.5%であり、十分な光電変換効率を有していた。
比較例1
(1)半導体電極の作製
実施例1と同様にして半導体電極3を作製した。
(2)対極基板、負極側集電電極及び正極側集電電極の作製
実施例1と同様にして対極基板2、負極側集電電極31及び正極側集電電極41を作製した。
(3)インターコネクタ及び防食層の形成
実施例1と同様にしてインターコネクタ91及び防食層92を作製した。
(4)触媒電極の作製及び触媒電極と正極側集電電極との接続
実施例1と同様にして触媒電極4を作製し、同様にして触媒電極4と正極側集電電極41とを接続させた。
(5)色素増感型太陽電池の製造
上記(1)の半導体電極3が設けられた透光性基板1と、上記(4)の触媒電極4等が設けられた対極基板2とを、半導体電極3と触媒電極4とが対向するようにして、各々の周縁部に幅2.5mm、厚さ200μmのホットメルト樹脂(デュポン社製、商品名「バイネル4164」)からなるシール材を介装させ、且つシール材と対極基板2との間に実施例1の場合と同材質、同寸の電解液注入口形成用剥離材7を介装させて積層した。その後、積層体をホットプレート上に載置し、温度200℃、圧力0.5MPaで加熱、加圧して、透光性基板1(透光性導電層11)と対極基板2とを接合した。次いで、電解液注入口形成用剥離材7を引き抜いて電解液注入口8を形成し、この電解液注入口8から実施例1と同様の組成の電解液5を実施例1と同様にして内部に注入し、その後、実施例1と同様にして電解液注入口形成用剥離材7を封止し、色素増感型太陽電池を製造した。また、実施例1と同様にして性能を評価したところ、光電変換効率(η)は4.5%と実施例1、2より低く、加熱により色素等が劣化し、発電効率が低下していると推察される。
実施例1の色素増感型太陽電池の図3におけるA−A断面の模式図である。 実施例1の色素増感型太陽電池の電解液注入口が封止された箇所における断面(図3におけるB−B断面)の模式図である。 実施例1の色素増感型太陽電池の平面図である。 第1枠体の一面の内周側を透光性導電層の表面の周縁部に接合したときの断面の模式図である。 第2枠体の一面の内周側を対極基板の一面側の周縁部に接合したときの断面の模式図である。 第1枠体の他面と第2枠体の他面とを対向させて積層し、第1枠体の他面と第2枠体の他面とを、電解液注入口形成部を除いて、透光性基板及び対極基板の各々の側端面の外方において接合するときの断面の模式図である。 図5の積層体を透光性基板の側からみた模式的な平面図である。 積層された第1枠体と第2枠体とが、各々の側端面の外方において、電解液注入口が形成された箇所を除いて接合された様子を説明するための断面の模式図である。 図7の電解液注入口から半導体電極と触媒電極との間に電解液が注入された様子を説明するための断面の模式図である。 電解液漏洩防止部を、透光性基板及び対極基板のそれぞれの側端面に圧着させた色素増感型太陽電池の断面の模式図である。 実施例3の色素増感型太陽電池の断面の模式図である。 電解液注入口が封止されて製造された色素増感型太陽電池の、電解液注入口が形成された箇所における断面の模式図である。 第1枠体の厚さ方向の一方側の内周面を透光性基板の側端面に接合したときの断面の模式図である。 第2枠体の厚さ方向の一方側の内周面を対極基板の側端面に接合したときの断面の模式図である。 第1枠体の厚さ方向の他方側の内周面と第2枠体の厚さ方向の他方側の内周面とを対向させて積層し、その後、電解液注入口形成部を除いて接合するときの断面の模式図である。 積層された第1枠体と第2枠体との、各々の厚さ方向の他方側の内周面が、電解液注入口が形成された箇所を除いて互いに接合された様子を説明するための断面の模式図である。 図15の電解液注入口から半導体電極と触媒電極との間に電解液が注入された様子を説明するための断面の模式図である。 電解液漏洩防止部を、枠体の、透光性基板及び対極基板のそれぞれの側端面に接合された内周面と反対側の外周面に圧着させた色素増感型太陽電池の断面の模式図である。 実施例の色素増感型太陽電池における透光性基板側と、樹脂積層基板側とを分解して斜め上方からみた模式的な斜視図である。 図19の透光性基板側と樹脂積層基板側とが積層され、電解液が充填されてなる色素増感型太陽電池の模式的な断面図である。
符号の説明
101、102、103、104、105;色素増感型太陽電池、1;透光性基板(ガラス基板)、11;透光性導電層、2;対極基板(樹脂基板、ガラス基板又はアルミナ基板)、21;第1樹脂フィルム層、221;第1接着剤層、222;第2樹脂フィルム層、231;第2接着剤層、232;第3樹脂フィルム層、3;半導体電極、4;触媒電極、5;電解液、51;第1枠体と第2枠体との積層面間にしみ込んだ電解液、6;枠体、61;電解液漏洩防止部、611;圧着部、621;第1枠体、622;第2枠体、7;電解液注入口形成用剥離材、8;電解液注入口、91;インターコネクタ、92;防食層、93;当接部。

Claims (11)

  1. 透光性基板1と、
    該透光性基板1の一面に設けられた透光性導電層11と、
    該透光性導電層11の表面に設けられ、且つ増感色素を有する半導体電極3と、
    該透光性導電層11の該表面に対向して配置された対極基板2と、
    該対極基板2の一面側に該半導体電極3に対向して設けられた触媒電極4と、
    該半導体電極2と該触媒電極4との間に充填された電解液5と、
    該透光性基板1及び該対極基板2の各々の側端面の外方に設けられた電解液漏洩防止部61と、を備えることを特徴とする色素増感型太陽電池。
  2. 一面の内周側が上記透光性導電層11の上記表面の周縁部に接合され、他面の内周側が上記対極基板2の上記一面側の周縁部に接合され、且つ外周側に上記電解液漏洩防止部61が形成された枠体6を備える請求項1に記載の色素増感型太陽電池。
  3. 上記枠体6の、上記透光性基板1及び上記対極基板2の各々の上記側端面より外方部が、該透光性基板1の該側端面及び該対極基板2の該側端面のうちの少なくとも一方に接合されている請求項2に記載の色素増感型太陽電池。
  4. 厚さ方向の一方側の内周面が上記透光性基板1の上記側端面に接合され、厚さ方向の他方側の内周面が上記対極基板2の上記側端面に接合され、且つ該透光性基板1及び該対極基板2の各々の上記側端面より外方側に上記電解液漏洩防止部61が形成された枠体6を備える請求項1に記載の色素増感型太陽電池。
  5. 上記外方側が、上記枠体6の、上記透光性基板1の上記側端面に接合された上記内周面と反対側の外周面及び上記対極基板2の上記側端面に接合された上記内周面と反対側の外周面のうちの少なくとも一方に接合されている請求項4に記載の色素増感型太陽電池。
  6. 請求項1乃至3のうちのいずれか1項に記載の色素増感型太陽電池の製造方法であって、
    第1枠体621の一面の内周側を上記透光性導電層11の上記表面の周縁部に接合し、第2枠体622の一面の内周側を上記対極基板2の上記一面側の周縁部に接合する枠体接合工程と、
    該第1枠体621の他面と該第2枠体622の他面とを対向させて積層する積層工程と、
    該第1枠体621の該他面と該第2枠体622の該他面とを、電解液注入口形成部を除いて、該透光性基板1及び該対極基板2の各々の上記側端面の上記外方において接合する接合工程と、
    該電解液注入口形成部に形成された電解液注入口8から電解液を注入する電解液注入工程と、
    該電解液注入口8を封止する封止工程、とを備えることを特徴とする色素増感型太陽電池の製造方法。
  7. 上記第1枠体621の上記他面と上記第2枠体622の上記他面との間に、電解液注入口形成用剥離材7を介装させて接合し、その後、該電解液注入口形成用剥離材7を除去し、形成された電解液注入口8から電解液5を注入する請求項6に記載の色素増感型太陽電池の製造方法。
  8. 上記電解液漏洩防止部61を、上記透光性基板1の上記側端面及び上記対極基板2の上記側端面のうちの少なくとも一方に圧着させる圧着工程を備える請求項7に記載の色素増感型太陽電池の製造方法。
  9. 請求項1、4又は5に記載の色素増感型太陽電池の製造方法であって、
    第1枠体621の厚さ方向の一方側の内周面を上記透光性基板1の上記側端面に接合し、第2枠体622の厚さ方向の一方側の内周面を上記対極基板2の上記側端面に接合する枠体接合工程と、
    該第1枠体621の厚さ方向の他方側の内周面と、該第2枠体622の厚さ方向の他方側の内周面とを積層する積層工程と、
    該第1枠体621の厚さ方向の該他方側の該内周面と、該第2枠体622の厚さ方向の該他方側の該内周面とを、電解液注入口形成部を除いて接合する接合工程と、
    該電解液注入口形成部に形成された電解液注入口8から電解液を注入する電解液注入工程と、
    該電解液注入口8を封止する封止工程、とを備えることを特徴とする色素増感型太陽電池の製造方法。
  10. 上記第1枠体621の厚さ方向の上記他方側の上記内周面と、上記第2枠体622の厚さ方向の上記他方側の上記内周面との間に、電解液注入口形成用剥離材7を介装させて接合し、その後、該電解液注入口形成用剥離材7を除去し、形成された電解液注入口8から電解液5を注入する請求項9に記載の色素増感型太陽電池の製造方法。
  11. 上記電解液漏洩防止部61を、上記枠体6の、上記透光性基板1の上記側端面に接合された上記内周面と反対側の外周面及び上記対極基板2の上記側端面に接合された上記内周面と反対側の外周面のうちの少なくとも一方に圧着させる圧着工程を備える請求項10に記載の色素増感型太陽電池の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010021102A (ja) * 2008-07-14 2010-01-28 Sharp Corp 色素増感太陽電池、その製造方法および色素増感太陽電池モジュール
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