JP2009198872A - 撮像レンズ、撮像装置、デジタル機器、及び撮像レンズの製造方法 - Google Patents

撮像レンズ、撮像装置、デジタル機器、及び撮像レンズの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】量産性を向上した撮像レンズであっても、吸湿による近軸像点位置の変動による画質劣化を防止した低コストな撮像レンズ、撮像装置、デジタル機器、及び撮像レンズの製造方法撮像装置を提供する。
【解決手段】レンズ基板上ヘ、そのレンズ基板よりも吸水変化率の小さなレンズ部を形成することによって、自由膨張する既存のレンズと異なり、吸水にともなう膨張によりレンズ部の近軸曲率半径は小さくなり、近軸像点位置の変動が生じる。このとき、上述したように屈折率変化と寸法変化による近軸像点位置の変動が同符号となってしまう。そこで本発明においては、所定の条件を満たすことにより、吸水にともなう屈折率変化による近軸像点位置の変動によって、吸水にともなう寸法変化による近軸像点位置の変動を補正することができるようにしている。
【選択図】図6

Description

本発明は、CCD(Charge Coupled Devices)型イメージセンサやCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)型イメージセンサ等の固体撮像素子を用いた撮像装置の撮像レンズに関するものであり、より詳しくは、大量生産に適するウェハスケールのレンズを用いた光学系である撮像レンズ、撮像レンズを用いた撮像装置、デジタル機器、並びに撮像レンズの製造方法に関するものである。
コンパクトで薄型の撮像装置(以下、カメラモジュールとも称す)が、携帯電話機やPDA(Personal Digital Assistant)等のコンパクトで、薄型の電子機器である携帯端末に搭載されるようになり、これにより遠隔地へ音声情報だけでなく画像情報も相互に伝送することが可能となっている。
これらの撮像装置に使用される撮像素子としては、CCD型イメージセンサやCMOS型イメージセンサ等の固体撮像素子が使用されている。近年では撮像素子の高画素化が進んでおり、高解像・高性能化が図られてきている。また、これら撮像素子上に被写体像を形成するためのレンズは、低コスト化のために、安価に大量生産できる樹脂材料で形成されるレンズが用いられるようになってきた。樹脂材料によって構成されるレンズは、加工性が良いにも関わらず複雑な非球面形状を精度良く転写形成できるため、高解像・高性能化された撮像素子にも対応できる。
ここで、撮像装置に用いる撮像レンズとして、樹脂材料レンズで構成される光学系や、ガラスレンズと樹脂材料レンズで構成される光学系が従来からよく知られている。しかるに、特に携帯端末の撮像装置に用いるためには、従来の光学系では不十分であり、これらの光学系の更なる超コンパクト化と携帯端末に求められる量産性を両立することが強く求められているが、かかる両立を低コストで実現することは困難であるといえる。
このような問題点を克服するため、数インチのウェハ上にレプリカ法によってレンズ要素を同時に大量に並べて成形し、それらのウェハをセンサウェハと組み合わせた後、切り離すことにより、カメラモジュールを大量生産する手法が提案されている。こうした製法によって製造されたレンズをウェハスケールレンズ、また、カメラモジュールをウェハスケールカメラモジュールと呼ばれることもある。このような技術に関して、特許文献1、特許文献2にレンズ基板上にレンズ部を備えた撮像レンズが開示されている。
特開2006−323365号 特許第3929479号
ここで、一般的な光学素子に用いられる樹脂材料は、湿気のある環境下におかれた場合にガラス材料と比べて吸水し易く、それにより屈折率変化(増大)と寸法変化(膨張)とが同時に生じるという特性がある。しかるに、一般的な自由膨張が許容される撮像レンズを樹脂材料から形成した場合、吸水に伴う寸法変化によってレンズ部の近軸曲率半径は大きくなるので、吸水に伴う屈折率変化(増大)による近軸像点位置の変動と、吸水に伴う寸法変化(膨張)による近軸像点位置の変動とは異符号(一方が正なら他方は負)のものとなる。従って、撮像レンズに吸水が生じても焦点距離の変化が相殺されるため、特に問題が顕在化することはなかった。
ところで、ウェハスケールレンズは、熱硬化性樹脂などのエネルギー硬化性樹脂材料から形成されるのが一般的であるが、エネルギー硬化性樹脂材料の中には、吸水により屈折率が増大するものと減少するものとが混在する。ところが、自由膨張が拘束されるウェハスケールレンズを、吸水により屈折率が減少する樹脂材料から形成した場合、吸水に伴う寸法変化によってレンズ部の近軸曲率半径は小さくなるので、吸水に伴う屈折率変化による近軸像点位置の変動と、吸水に伴う寸法変化による近軸像点位置の変動とは同符号(正と正又は負と負)のものとなる。従って、吸水により屈折率が減少する樹脂材料から形成したウェハスケールレンズにおいて吸水が生じると、焦点距離の変化が相乗され、撮像素子の受光面に結像される画像においてピントが合わない等の問題が生じる恐れがある。
本発明はこのような状況を鑑みてなされたものであり、量産性を向上した撮像レンズであっても、吸湿による近軸像点位置の変動による画質劣化を防止した低コストな撮像レンズ、撮像装置、デジタル機器、及び撮像レンズの製造方法撮像装置を提供することを目的とする。
請求項1に記載の撮像レンズは、平行平板であるレンズ基板と、その物体側面及び像側面のうち少なくとも一方に形成され、正または負のパワーを有するレンズ部とを備える光学要素としてのレンズブロックを有し、
前記レンズ部のうち少なくとも1つの特定レンズ部と、前記レンズ基板とは材質が異なっており、
前記特定レンズ部は、吸水率が高くなると屈折率が低下する材料で形成され、前記特定レンズ部の吸水による寸法変化率は、前記レンズ基板の吸水による寸法変化率よりも大きく、以下の条件式(1)を満足することを特徴とする。
0.1% ≦ α ≦ 3.0% (1)
但し、αは吸水率0%から吸水率50%に変化したときの前記特定レンズ部の寸法変化率、dnは吸水率0%から吸水率50%に変化したときの前記特定レンズ部の屈折率変化である。
レンズ基板上ヘ、そのレンズ基板よりも吸水変化率の小さなレンズ部を形成した場合、自由膨張する既存のレンズと異なり、吸水にともなう膨張によりレンズ部の近軸曲率半径は小さくなり、近軸像点位置の変動が生じる。このとき、上述したように屈折率変化と寸法変化による近軸像点位置の変動が同符号となってしまう。そこで本発明においては、所定の条件を満たすことにより、吸水にともなう屈折率変化による近軸像点位置の変動によって、吸水にともなう寸法変化による近軸像点位置の変動を補正することができるようにしている。尚、「吸水率が高くなると屈折率が低下する材料」としては、例えばアクリル系を含むUV硬化樹脂材料あるいは、エポキシ系を含むUV硬化樹脂材料などがある。
請求項2に記載の撮像レンズは、請求項1に記載の発明において、以下の条件式(2)を満足することを特徴とする。
−500×l0-5 ≦ dn < 0 (2)
但し、dnは吸水率0%から吸水率50%に変化したときの前記特定レンズ部の屈折率変化である。
より具体的な最適な条件を、条件式(1)と条件式(2)で規定している。値αが条件式(1)の上限以下となり、値dnが条件式(2)の下限以上となるようにすることで、吸水による寸法変化で生じた近軸像点位置の変動を、吸水による屈折率変化で生じた近軸像点位置の変動で効果的に補正することができる。一方で、値αが条件式(1)の下限以上となり、値dnが条件式(2)の上限以下となるようにすることで、吸水による寸法変化で生じる近軸像点位置の変動を、吸水による屈折率変化で生じる近軸像点位置の変動によって、効果的に補正することができる。また、本発明によれば、吸水による寸法変化が大きくなりすぎないため、近軸像点位置の補正だけでなく、寸法変化による像面湾曲収差の発生を抑制することができ、また、吸水による屈折率変化が大きくなりすぎないため、諸収差の発生を抑制することができる。
尚、以下の条件式(1’)、条件式(2’)を満足すると、より望ましい。
0.1% ≦ α ≦ 2.0% (1’)
−300×10-5 ≦ dn < 0 (2’)
このように、条件式(1’)、条件式(2’)を満足することにより、近軸像点位置の補正を効果的に行えるだけでなく、より寸法変化による像面湾曲収差の発生を抑制することができる。
更に望ましくは、以下の条件式(1”)、条件式(2”)を満足することである。
0.1% ≦ α ≦ 1.5% (1”)
−250×10-5 ≦ dn < 0 (2”)
条件式(1”)、条件式(2”)を満足することにより、近軸像点位置の補正を効果的に行えるだけでなく、さらに寸法変化による像面湾曲収差の発生を抑制することができる。
尚、吸水率100%とは、樹脂材料にそれ以上水分が吸水されない飽和状態になることをいい、例えば吸水率50%とは、吸水率100%の状態で含まれた水分の重量の半分が、同じ樹脂材料に吸水された状態をいうものとする。
請求項3に記載の撮像レンズは、請求項1又は2に記載の発明において、前記特定レンズ部は、以下の条件式(3)を満足することを特徴とする。
0.5 ≦ |f1/f| ≦ 1.1 (3)
但し、f1は前記特定レンズ部の物体側と像側が空気に接しているとしたときの焦点距離、fは前記撮像レンズ全系の合成焦点距離である。
値|f1/f|が条件式(3)の下限以上となるようにすることで、レンズ部のパワーが強くなりすぎず、吸水に伴う屈折率変化による近軸像点位置の補正効果が過剰になりすぎることを防止することができる。一方で、値|f1/f|が条件式(3)の上限以下となるようにすることで、レンズ部のパワーを十分に強くすることができ、吸水に伴う屈折率変化による近軸像点位置を効果的に補正することができる。
尚、以下の条件式(3’)を満足すると、より望ましい。
0.5 ≦ |f1/f| ≦ 0.7 (3’)
条件式(3’)を満足することにより、吸水に伴う屈折率変化による近軸像点位置の変動を、より効果的に補正することができる。
請求項4に記載の撮像レンズは、請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明において、前記特定レンズ部は、レンズ中心を除く、有効径内の領域において、レンズ面形状の傾きの符号が同じであることを特徴とする。
吸水による寸法変化が生じると、レンズ中心を除く、有効径内の面形状において、特に、凸形状及び凹形状といった箇所に内部応力が生じ易い。ところが、内部応力が発生してしまうと、複屈折や屈折率分布が生じ、光学性能劣化を引き起こしてしまう恐れがある。ここで、レンズ面形状の傾きの符号を同じにすることにより、吸水による寸法変化が生じた際にも、内部応力の少ない性能劣化の少ない光学系を実現できる。尚、「レンズ面形状の傾きの符号を同じにする」とは、撮像レンズにおいて光軸を含む断面をとり、光軸直交方向を基準方向としたときに、レンズ面形状に沿って光軸から有効径側に向かう間に、レンズ面形状の各点における接線の方向が、基準方向に対して常に同じ側(基準方向に向かって左側もしくは右側)を向いていることをいうものとする。
請求項5に記載の撮像レンズは、請求項1〜4のいずれか1項に記載の発明において、前記特定レンズ部は、以下の条件式(4)を満足し、凹面形状を有することを特徴とする。
l/h ≦ 3.5 (4)
但し、lは前記特定レンズ部の有効径から前記特定レンズ部の外径までの長さ、hは前記特定レンズ部の有効半径である。
値l/hが条件式(4)の上限以下となるようにすることで、前記特定レンズ部の有効径から外径までの樹脂材料の体積が、前記特定レンズ部の有効径内の樹脂材料の体積に比べて大きくなりすぎず、吸水に伴う寸法変化によって、レンズ部の有効径外の樹脂材料から有効径内の樹脂材料が押し出されることによって、吸水に伴う寸法変化による近軸像点位置の変動が大きくなりすぎることを防止することができる。
尚、以下の条件式(4’)を満足すると、より望ましい。
1/h ≦ 1.5 (4’)
条件式(4’)を満足することで、より効果的に吸水に伴う寸法変化による近軸像点位置の変動が大きくなりすぎることを防止することができる。
請求項6に記載の撮像レンズは、請求項1〜5のいずれか1項に記載の発明において、前記レンズ基板がガラス材料からなり、少なくとも前記特定レンズ部が樹脂材料からなる前記レンズブロックを少なくとも1つ有することを特徴とする。
平行平板である前記レンズ基板をガラス材料とすることで、研磨加工を容易とでき、更に形状の複雑な前記特定レンズ部を加工性のよい樹脂材料とすることで、低コストに、高性能化が可能となる。また、一般的に、ガラス材料と樹脂材料の吸水による寸法変化率の差は大きく、前記レンズ基板により容易に前記特定レンズ部の吸水による寸法変化を補正することができる。
請求項7に記載の撮像レンズは、請求項1〜6のいずれか1項に記載の発明において、前記特定レンズ部は、エネルギー硬化型樹脂材料からなることを特徴とする。
前記特定レンズ部をエネルギー硬化型の樹脂材料によって構成することにより、ウェハ状のレンズ基板に対して、金型によって同時に大量に特定レンズ部を種々のエネルギーによって硬化させることが可能となり、量産性を向上させることができるようになる。ここで、エネルギー硬化型の樹脂材料とは、熱によって硬化する樹脂材料や光によって硬化する樹脂材料等を指す。なお、エネルギー硬化型の樹脂材料はUV硬化型の樹脂材料によって構成されることが望ましい。UV硬化型の樹脂材料で構成されることにより、硬化時間を短くでき量産性を改善できる。また、近年では耐熱性に優れた樹脂および硬化型の樹脂材料が開発されており、これを用いてもよい。
請求項8に記載の撮像レンズは、請求項7に記載の発明において、前記エネルギー硬化型樹脂材料に最大長30ナノメートル以下の無機微粒子を分散させたことを特徴とする。
樹脂材料にて構成される前記特定レンズ部に、30ナノメートル以下の無機微粒子を分散させることで、温度が変化しても性能の劣化や、像点位置変動を低減でき、しかも光透過率を低下させることなく、環境変化に関わらず優れた光学特性を有する撮像レンズを提供できる。
一般に、透明な樹脂材料に微粒子を混合させると、光の散乱が生じ透過率が低下するため、光学材料として使用することは困難であったが、微粒子の大きさを透過光束の波長より小さくすることにより、散乱が実質的に発生しないようにできる。また、樹脂材料はガラス材料に比べて屈折率が低いことが欠点であったが、屈折率の高い無機粒子を母材となる樹脂材料に分散させると、屈折率を高くできることがわかってきた。
具体的には、母材となる樹脂材料に30ナノメートル以下、なお、望ましくは、母材となる樹脂材料に20ナノメートル以下、さらに望ましくは15ナノメートル以下の無機粒子を分散させることにより、任意の温度依存性を有する材料を提供できる。
さらに、樹脂材料は温度が上昇することにより屈折率が低下してしまうが、温度が上昇すると屈折率が上昇する無機粒子を母材となる樹脂材料に分散させると、これらの性質を打ち消しあうように作用するので、温度変化に対する屈折率変化を小さくできることも知られている。また、逆に、温度が上昇すると屈折率が低下する無機粒子を母材となる樹脂材料に分散させると、温度変化に対する屈折率変化を大きくできることも知られている。具体的には、母材となる樹脂材料に30ナノメートル以下、なお、望ましくは、母材となる樹脂材料に20ナノメートル以下、さらに望ましくは15ナノメートル以下の無機粒子を分散させることにより、任意の温度依存性を有する材料を提供できる。
例えば、アクリル系樹脂に酸化アルミニウム(Al23)やニオブ酸リチウム(LiNbO3)の微粒子を分散させることにより、高い屈折率の樹脂材料が得られるとともに、温度に対する屈折率変化を小さくすることができる。
次に、屈折率の温度変化Aについて詳細に説明する。屈折率の温度変化Aは、ローレンツ・ローレンツの式に基づいて、屈折率nを温度tで微分することにより、以下の式で表される。
Figure 2009198872
但し、αは線膨張係数、[R]は分子屈折である。
樹脂材料の場合は、一般に式中第1項に比べ第2項の寄与が小さく、ほぼ無視できる。例えば、PMMA樹脂の場合、線膨張係数αは7×10-5であり、上記式に代入すると、dn/dt=−1.2×10-4[/℃]となり、実測値とおおむね一致する。
ここで、微粒子、望ましくは無機微粒子を樹脂材料中に分散させることにより、実質的に上記式の第2項の寄与を大きくし、第1項の線膨張による変化と打ち消しあうようにさせている。具体的には、従来は−1.2×10-4程度であった変化を、絶対値で8×10-5未満に抑えることが望ましい。
また、第2項の寄与をさらに大きくして、母材の樹脂材料とは逆の温度特性を持たせることも可能である。つまり、温度が上昇することによって屈折率が低下するのではなく、逆に、屈折率が上昇するような素材を得ることもできる。また、これと同様にして、樹脂材料は吸水によって屈折率が上昇してしまうが、逆に、屈折率が低下するような素材を得ることができる。
微粒子の混合割合は、屈折率の温度に対する変化の割合をコントロールするために、適宜増減できるし、複数種類のナノサイズの無機粒子をブレンドして分散させることも可能である。
請求項9に記載の撮像レンズは、請求項1〜8のいずれか1項に記載の発明において、前記レンズ基板と、少なくとも前記特定レンズ部とが、光学薄膜及び接着剤のうち少なくとも一方を介して間接的に接着される前記レンズブロックを少なくとも1つ有することを特徴とする。
前記特定レンズ部と前記レンズ基板との間に、開口絞りや赤外線カットフィルターといった機能を有する光学薄膜を配置して接着することにより、光学部材の簡略化が可能となり、低コスト化が実現できる。また、接着剤等で前記レンズ基板と前記特定レンズ部を接着することによって、前記特定レンズ部の樹脂材料のみでは密着性の悪い素材であっても、光学特性を優先して選択することが可能となり、高性能化、高機能化が実硯できる。また、光学薄膜及び接着剤のいずれの揚合においても極めて薄いため、光学薄膜及び接着の吸水による寸法変化率はほぼ無視できることから、前記特定レンズ部と前記レンズ基板との吸水による寸法変化率の差が、光学薄膜及び接着剤などを介して間接的に接着されるレンズブロックにおいても、重要なファクターとなる。
請求項10に記載の撮像レンズは、請求項1〜9のいずれか1項に記載の発明において、空気と接するレンズ面がすべて非球面形状であることを特徴とする。
空気と接するレンズ面を非球面形状とすることで、空気と接している面と前記レンズ部の境界面において、最も屈折率差が大きく非球面の効果を最大限に活用できる。また、レンズ面をすべて非球面形状とすることで、諸収差の発生を最小限に押さえることができ、高性能化が容易に可能となる。
請求項11に記載の撮像レンズは、請求項1〜10のいずれか1項に記載の発明において、前記特定レンズ部は、前記撮像レンズにおいて最も物体側に配置されていることを特徴とする。
最も物体側のレンズ部が全長短縮のために、撮像レンズのパワーを主に負担しており、これを前記特定レンズ部とすれば、前記特定レンズ部の吸水にともなう寸法変化で生じる近軸像点位置の変動を、吸水にともなう屈折率変化で生じる近軸像点位置の変動で補正することで、撮像レンズの1箇所に本発明を適用するだけでも、撮像レンズ系全体の吸水にともなう、近軸像点位置の変動のほとんどを補正することができる。
請求項12に記載の撮像装置は、請求項1〜11のいずれか1項に記載の撮像レンズを用いて、光学像を電気的な信号に変換する撮像素子の受光面上に被写体の光学像を形成することを特徴とするので、低コストかつ湿度の高い環境でも使用に耐えうる撮像装置を提供することができる。
請求項13に記載のデジタル機器は、請求項12に記載の撮像装置と、撮像素子とを含み、被写体の静止画撮影、動画撮影の内の少なくとも一方の機能が付加されたことを特徴とするので、低コストかつ湿度の高い環境でも使用に耐えうるデジタル機器を提供することができる。
請求項14に記載の前記デジタル機器は、請求項13に記載の発明において、携帯端末であることを特徴とするので、低コストかつ湿度の高い環境でも使用に耐えうる携帯端未を提供することができる。
請求項15に記載の撮像レンズの製造方法は、請求項1〜11に記載のいずれか1項に記載の撮像レンズの製造方法であって、複数の前記レンズブロックを並べて含むユニットを、レンズブロックユニットとし、前記レンズブロックの周縁の少なくとも一部にスペーサを並べ、複数の前記レンズブロックユニットを、前記スペーサを介在させてつなげる連結工程と、相互につながった前記レンズブロックユニットを前記スペーサに沿って切断することにより、前記レンズブロック毎に分離する切断工程と、を含むことを特徴とするので、撮像レンズをより低コストで大量生産できるようになる。
本発明によれば、高い耐熱性および、量産性を向上した撮像レンズであっても、吸湿による近軸像点位置の変動による画質劣化を防止した低コストな撮像レンズ、撮像装置、デジタル機器、及び撮像レンズの製造方法を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施の形態にかかる撮像装置50の斜視図であり、図2は、図1の構成を矢印II-II線で切断して矢印方向に見た断面図である。図2に示すように、撮像装置50は、光電変換部51aを有する固体撮像素子としてのCMOS型イメージセンサ51と、このイメージセンサ51の光電変換部51aに被写体像を撮像させる撮像レンズ10と、イメージセンサ51を保持すると共にその電気信号の送受を行う外部接続用端子(不図示)を有する基板52とを備え、これらが一体的に形成されている。尚、撮像レンズ10は、第1レンズブロックBK1と、第2レンズブロックBK2とを有する。
上記イメージセンサ51は、その受光側の平面の中央部に、画素(光電変換素子)が2次元的に配置された、受光部としての光電変換部51aが形成されており、その周囲には信号処理回路51bが形成されている。かかる信号処理回路51bは、各画素を順次駆動し信号電荷を得る駆動回路部と、各信号電荷をデジタル信号に変換するA/D変換部と、このデジタル信号を用いて画像信号出力を形成する信号処理部等から構成されている。また、イメージセンサ51の受光側の平面の外縁近傍には、多数のパッド(図示略)が配置されており、不図示のワイヤを介して基板52に接続されている。イメージセンサ51は、光電変換部51aからの信号電荷をデジタルYUV信号等の画像信号等に変換し、ワイヤ(不図示)を介して基板52上の所定の回路に出力する。ここで、Yは輝度信号、U(=R−Y)は赤と輝度信号との色差信号、V(=B−Y)は青と輝度信号との色差信号である。なお、固体撮像素子は上記CMOS型のイメージセンサに限定されるものではなく、CCD等の他のものを使用しても良い。
イメージセンサ51を支持する基板52は、不図示の配線により、イメージセンサ51に対して通信可能に接続されている。
基板52は、不図示の外部接続用端子を介して外部回路(例えば、撮像装置を実装した携帯端末の上位装置が有する制御回路)と接続し、外部回路からイメージセンサ51を駆動するための電圧やクロック信号の供給を受けたり、また、デジタルYUV信号を外部回路へ出力したりすることを可能とする。
イメージセンサ51の上部は、基板52の上面に固定された赤外線カットフィルタなどのプレートPTにより封止されている。プレートPTの上面には、スペーサ部材B2の下端が固定されている。更に、スペーサ部材B2の上端には、第2レンズブロックBK2が固定され、第2レンズブロックBK2の上面には、別のスペーサ部材B1の下端が固定され、スペーサ部材B1の上端には、第1レンズブロックBK1が固定されている。
第1レンズブロックBK1は、平行平板であるレンズ基板LS1と、その物体側及び像面側に固着されたレンズ部L1,L2とからなり、第2レンズブロックBK2は、平行平板であるレンズ基板LS2と、その物体側及び像面側に固着されたレンズ部L3,L4とからなる。ここでは、レンズ部L1〜L4全てが特定レンズ部であるが、少なくとも一つが特定レンズ部であれば足りる。尚、第1レンズ部L1とレンズ基板LS1との間に、絞りを構成する開口を有する光学薄膜を形成すると好ましい。
本実施の形態においては、レンズ部L1〜L4の吸水による寸法変化率は、レンズ基板LS1,LS2の吸水による寸法変化率よりも大きく、以下の条件式(1)、(2)を満足するものである。
0.1% ≦ α ≦ 3.0% (1)
−500×l0-5 ≦ dn < 0 (2)
但し、αは吸水率0%から吸水率50%に変化したときのレンズ部L1〜L4の寸法変化率、dnは吸水率0%から吸水率50%に変化したときのレンズ部L1〜L4の屈折率変化である。
又、レンズ部L1〜L4は、以下の条件式(3)を満足する。
0.5 ≦ |f1/f| ≦ 1.1 (3)
但し、f1はレンズ部L1〜L4の物体側と像側が空気に接しているとしたときの焦点距離、fは撮像レンズ10全系の合成焦点距離である。
レンズ部L1〜L4は、レンズ中心を除く、有効径内の領域において、レンズ面形状の傾きの符号が同じである。
レンズ部L2、L4は、以下の条件式(4)を満足し、凹面形状を有することを特徴とする。
l/h ≦ 3.5 (4)
但し、lはそれぞれレンズ部L2,L4の有効径からレンズ部L2,L4の外径までの長さ、hはそれぞれレンズ部L2,L4の有効半径である。
レンズブロックBK1,BK2において、レンズ基板LS1,LS2がガラス材料からなり、レンズ部L1〜L4が樹脂材料からなる。
尚、レンズ部L1〜L4は、最大長30ナノメートル以下の無機微粒子を分散させたエネルギー硬化型樹脂材料からなると好ましい。
上述した撮像装置50の使用態様について説明する。図3は、撮像装置50をデジタル機器である携帯端末としての携帯電話機100に装備した状態を示す図である。また、図4は携帯電話機100の制御ブロック図である。
撮像装置50は、例えば、撮像レンズの物体側端面が携帯電話機100の背面(液晶表示部側を正面とする)に設けられ、液晶表示部の下方に相当する位置になるよう配設される。
撮像装置50の外部接続用端子(不図示)は、携帯電話機100の制御部101と接続され、輝度信号や色差信号等の画像信号を制御部101側に出力する。
一方、携帯電話機100は、図4に示すように、各部を統括的に制御すると共に、各処理に応じたプログラムを実行する制御部(CPU)101と、番号等をキーにより支持入力するための入力部60と、撮像した画像や映像等を表示する表示部70と、外部サーバとの間の各種情報通信を実現するための無線通信部80と、携帯電話機100のシステムプログラムや各種処理プログラム及び端末ID等の必要な諸データを記憶している記憶部(ROM)91と、制御部101によって実行される各種処理プログラムやデータ、若しくは処理データ、或いは撮像装置50による撮像データ等を一時的に格納する作業領域として用いられる一時記憶部(RAM)92とを備えている。
携帯電話機100を把持する撮影者が、被写体に対して撮像装置50の撮像レンズ10を向けると、イメージセンサ51に静止画又は動画の画像信号が取り込まれる。所望のシャッタチャンスで、図3に示すボタンBTを撮影者が押すことでレリーズが行われ、画像信号が撮像装置50に取り込まれることとなる。撮像装置50から入力された画像信号は、上記携帯電話機100の制御系に送信され、記憶部92に記憶されたり、或いは表示部70で表示され、さらには、無線通信部80を介して映像情報として外部に送信されることとなる。
本実施の形態にかかる撮像レンズの製造方法について説明する。図5は、本実施の形態にかかる撮像レンズを製造する工程を示す図である。まず、図5(a)の断面図に示すような、複数のレンズブロックBKを二次元的に並べて含むレンズブロックユニットUTを製造する。かかるレンズブロックユニットUTは、例えば、多数のレンズLを同時に作製できるとともに低コストであるレプリカ法で製造することができる(なお、レンズブロックユニットUTに含まれるレンズブロックBKの数は単数であっても複数であってもよい)。
また、レプリカ法とは、レンズウェーハ上に、金型を用いて硬化性の樹脂をレンズ形状にして転写するものである。つまり、レプリカ法では、レンズウェーハ上に、多数のレンズが同時に作製されることとなる。
そして、これらのような方法によって製造されたレンズブロックユニットUTから、撮像レンズ10が製造される。この撮像レンズの製造工程の一例を、図5(b)の概略断面図で示す。
第1のレンズブロックユニットUT1は、平行平板である第1レンズ基板LS1と、その一方の平面に接着された複数の第1レンズ部L1と、他方の平面に接着された複数の第2レンズ部L2と、で構成される。このとき、第1レンズ基板LS1とレンズ部L1,L2とが光学薄膜や接着剤等を介して間接的に接着されると好ましい。光学薄膜や接着剤等を、赤外線カットフィルタや絞りの上に設けた場合には、別に設けるよりも光軸方向のレンズ全長を小さくできるからである。更に、(透明薄膜、例えば)反射防止コートを設ければ、レンズ部とレンズ基板での反射を防止でき、フレアやゴーストを低減できる。
第2のレンズブロックユニットUT2は、平行平板である第2レンズ基板LS2と、その一方の平面に接着された複数の第3レンズL3と、他方の平面に接着された複数の第4レンズL4と、で構成される。このとき、第2レンズ基板LS2とレンズ部L3,L4とが接着剤等を介して間接的に接着されると好ましい。
格子状のスペーサ部材(スペーサ)B1を、第1のレンズブロックユニットUT1と第2のレンズブロックユニットUT2との間(具体的には、第1レンズ基板LS1と第2レンズ基板LS2との間)に介在させ、両レンズブロックユニットUT1、UT2の間隔を一定に保つ。さらに、別のスペーサ部材B2を、プレートPTと第2のレンズブロックユニット2との間に介在させ、プレートPTとレンズブロックユニットUT2との間隔を一定に保つ(つまり、スペーサ部材B1、B2は2段格子といえる)。かかる状態で、スペーサ部材B1、B2の格子の穴の部分に、各レンズ部L1〜L4が位置する。
なお、プレートPTは、マイクロレンズアレイを含むウェーハレベルのセンサーチップサイズパッケージ、あるいはセンサーカバーガラスまたは赤外線カットフィルタ等の平行平面板である。
ここで、スペーサ部材B1が、第1のレンズブロックユニットUT1と第1のレンズブロックユニットUT2との間に介在し、スペーサ部材B2が、第2のレンズユニットUT2とプレートPTとの間に介在することで、レンズ基板LS同士(第1レンズ基板LS1と第2レンズ基板LS2と)が封止され一体化する。
そして、一体化した第1レンズ基板LS1、第2レンズ基板LS2、スペーサ部材B1、B2、及びプレートPTが、スペーサ部材B1、B2の格子枠(破線Qの位置)に沿って切断されると、図5(c)に示すように、レンズブロック毎にそれぞれ一体化した2枚玉構成の撮像レンズ10が複数得られることとなる。その後、図示していないが、イメージセンサ51をプレートPTと基板52との間に挟持するようにして、撮像レンズ10を基板52に取り付けることで、図2に示す撮像装置を得ることができる。
このように、複数のレンズブロックBK(第1レンズブロックBK1および第2レンズブロックBK2)の組み込まれた部材が切り離されることで、撮像レンズ10が製造されると、撮像レンズ10毎のレンズ間隔の調整および組み立てが不要になる。そのため、高画質が期待される撮像装置の大量生産が可能となる。
しかも、スペーサ部材B1、B2が格子形状であるため、このスペーサ部材B1、B2が、複数のレンズブロックBKの組み込まれた部材から撮像レンズ10を切り離す場合の印にもなる。したがって、複数のレンズブロックBKに組み込まれた部材から撮像レンズ10を容易に切り出すことができ、手間がかからない。その結果、撮像レンズ10を安価に大量生産できる。
以上を踏まえると、撮像レンズ10の製造方法は、レンズブロックBKの周縁の少なくとも一部にスペーサ部材B1、B2を並べ、複数のレンズブロックユニットUT同士を、スペーサ部材Bl、B2を介在させてつなげる連結工程と、相互につながったレンズブロックユニットUTを、スペーサ部材B1、B2に沿って切断する切断工程と、を含むものといえる。そして、このような製造方法は、安価なレンズ系の量産に向いている。尚、単一のレンズブロックユニットをプレートにつなげるのみでも良い。
次に、上述した実施の形態に好適な実施例について説明する。但し、以下に示す実施例により本発明が限定されるものではない。実施例における各符号の意味は以下の通りである。
Fl :撮像レンズ全系の焦点距離
BF :バックフォーカス
Fno :Fナンバー
Ymax :像面の対角長さ
r :レンズ面の近軸曲率半径
d :レンズの面間隔
Nd :レンズのd線における屈折率
νd :レンズのd線におけるアッベ数
w :半画角
TL :レンズ全長
* :非球面位置
stop :絞り位置
また、本発明における非球面形状は以下のように定義する。すなわち、面頂点の接平面からの光軸方向の距離(サグ量)をx、光軸からの高さをyとして、rを近軸曲率半径、Kを円錐定数、An(=4,6,8, …, 14)を第n次の非球面係数としたとき、Xは以下の数式[数2]で表せるものとする。
Figure 2009198872
(実施例1)
第1実施例におけるレンズデータを表1に示す。尚、以降の表中では、10のべき乗数(例えば、2.5×10-3)を、e(例えば、2.5×e−03)を用いて表すものとする。以下の実施例1のコンストラクションデータ表1内に記載したF値、半画角、全長、バックフォーカスはすべて、レンズ全長、有限の物体距離、つまり表内の物体距離における実効値である。また、バックフォーカスとは、レンズ最終面から近軸像面までの距離を空気換算長により表記し、レンズ全長とは、レンズ最前面からレンズ最終面までの距離にバックフォーカスを加えたものである。
Figure 2009198872
図6は実施例1のレンズの断面図である。図7は、第1実施例にかかる撮像レンズの球面収差(a)、非点収差(b)、及び歪曲収差(c)の収差図である。ここで、球面収差図において、gはg線、dはd線、CはC線に対する球面収差量をそれぞれ表す。また、非点収差図において、実線はサジタル面、点線はメリディオナル面をそれぞれ表す。
本実施例の撮影レンズは、3つのレンズブロックを有する。より具体的には、物体側から順に、第レンズ部L1、光学薄膜からなる開口絞りS、第1レンズ基板LS1、第2レンズ部L2より、第1レンズブロックBK1が構成され、次に、第3レンズ部L3、第2レンズ基板LS2、第4レンズ部L4より、第2レンズブロックBK2が構成され、最後に、第5レンズ部L5、第3レンズ基板LS3、第6レンズ部L6より、第3レンズブロックBK3が構成される。また、全ての空気と接するレンズ部の面は非球面形状である。各条件式に対応する実施例の値を表2に示す。
Figure 2009198872
ここで、実施例1の撮像レンズを例にとり、本発明における、吸水による近軸像点位置の変動を補正する効果のあるレンズ部を有する場合と、有さない場合の吸水時の近軸像点位置の変動量の差を示す。実施例1の樹脂材料(エポキシ系を含むUV硬化性樹脂)は、Ndが1.52、νdが57の低分散樹脂材料と、Ndが1.55、νdが32の高分散樹脂材料を使用している。本実施例では、2種類の樹脂材料を使用しているが、1種類もしくは、3種類以上の樹脂材料を使用しても構わない。
実施例1において、吸水率0%から吸水率50%に変化したときの低分散樹脂材料の寸法変化率αは0.4%であり、吸水率0%から吸水率50%に変化したときの屈折率変化dnは−65×10-5である。一方、吸水率0%から吸水率50%に変化したときの高分散樹脂材料の寸法変化率αは0.2%であり、吸水率0%から吸水率50%に変化したときの屈折率変化dnは+130×l0-5である。このとき、撮像レンズ全体が吸水率0%から吸水率50%に変化したときの近軸像点位置の変動量は+0.002[mm]となる。
また、吸水率による近軸像点位置の変動を補正する効果のある特定レンズ部を有さない比較例において、吸水率0%から吸水率50%に変化したときの低分散樹脂材料の寸法変化率αは0.3%であり、吸水率0%から吸水率50%に変化したときの屈折率変化dnは+70×l0-5である。一方、吸水率0%から吸水率50%に変化したときの高分散樹脂材料の寸法変化率αは0.2%であり、吸水率0%から吸水率50%に変化したときの屈折率変化dnは+130×10-5である。このとき、撮像レンズ全体が吸水率0%から吸水率50%に変化したときの近軸像点位置の変動量は+0.010[mm]となる。
以上より、本発明の特定レンズ部を含まない比較例と比較し、実施例1では吸水率時の近軸像点位置の変動量が小さく抑えられていることが分かる。一般的に、吸水率が増加するにつれて、寸法変化率αと屈折率変化dnも増加する傾向にあるので、本発明による近軸像点位置の変動量を低減する効果はより顕著となる。また、各レンズ部に異なった寸法変化率αと屈折率変化dnを有する樹脂材料を使用してもよく、その場合は、それぞれのレンズの吸水率時の近軸像点位置の変動の寄与の大きさを考慮して、設計をすることで、撮像レンズ全体で吸水率時の近軸像点位置の変動がまったく生じないようにすることも可能となる。
本実施の形態にかかる撮像装置50の斜視図である。 図1の構成を矢印II-II線で切断して矢印方向に見た断面図である。 撮像装置50を携帯端末としての携帯電話機100に装備した状態を示す図である。 携帯電話機100の制御ブロック図である。 本実施の形態に用いる撮像レンズを製造する工程を示す図である。 第1実施例の断面図である。 第1実施例にかかる撮像レンズの球面収差(a)、非点収差(b)、及び歪曲収差(c)の収差図である。
符号の説明
10 撮像レンズ
50 撮像装置
51 イメージセンサ
51a 光電変換部
51b 信号処理回路
52 基板
60 入力部
70 表示部
80 無線通信部
92 記憶部
100 携帯電話機
101 制御部
LS1〜LS3 レンズ基板
L1〜L6 レンズ部

Claims (15)

  1. 平行平板であるレンズ基板と、その物体側面及び像側面のうち少なくとも一方に形成され、正または負のパワーを有するレンズ部とを備える光学要素としてのレンズブロックを有し、
    前記レンズ部のうち少なくとも1つの特定レンズ部と、前記レンズ基板とは材質が異なっており、
    前記特定レンズ部は、吸水率が高くなると屈折率が低下する材料で形成され、前記特定レンズ部の吸水による寸法変化率は、前記レンズ基板の吸水による寸法変化率よりも大きく、以下の条件式(1)を満足することを特徴とする撮像レンズ。
    0.1% ≦ α ≦ 3.0% (1)
    但し、αは吸水率0%から吸水率50%に変化したときの前記特定レンズ部の寸法変化率である。
  2. 以下の条件式(2)を満足することを特徴とする請求項1に記載の撮像レンズ。
    −500×l0-5 ≦ dn < 0 (2)
    但し、dnは吸水率0%から吸水率50%に変化したときの前記特定レンズ部の屈折率変化である。
  3. 前記特定レンズ部は、以下の条件式(3)を満足することを特徴とする請求項1又は2に記載の撮像レンズ。
    0.5 ≦ |f1/f| ≦ 1.1 (3)
    但し、f1は前記特定レンズ部の物体側と像側が空気に接しているとしたときの焦点距離、fは前記撮像レンズ全系の合成焦点距離である。
  4. 前記特定レンズ部は、レンズ中心を除く、有効径内の領域において、レンズ面形状の傾きの符号が同じであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の撮像レンズ。
  5. 前記特定レンズ部は、以下の条件式(4)を満足し、凹面形状を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の撮像レンズ。
    l/h ≦ 3.5 (4)
    但し、lは前記特定レンズ部の有効径から前記特定レンズ部の外径までの長さ、hは前記特定レンズ部の有効半径である。
  6. 前記レンズ基板がガラス材料からなり、少なくとも前記特定レンズ部が樹脂材料からなる前記レンズブロックを少なくとも1つ有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の撮像レンズ。
  7. 前記特定レンズ部は、エネルギー硬化型樹脂材料からなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の撮像レンズ。
  8. 前記エネルギー硬化型樹脂材料に最大長30ナノメートル以下の無機微粒子を分散させたことを特徴とする請求項7に記載の撮像レンズ。
  9. 前記レンズ基板と、少なくとも前記特定レンズ部とが、光学薄膜及び接着剤のうち少なくとも一方を介して間接的に接着される前記レンズブロックを少なくとも1つ有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の撮像レンズ。
  10. 空気と接するレンズ面がすべて非球面形状であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の撮像レンズ。
  11. 前記特定レンズ部は、前記撮像レンズにおいて最も物体側に配置されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の撮像レンズ。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の撮像レンズを用いて、光学像を電気的な信号に変換する撮像素子の受光面上に被写体の光学像を形成することを特徴とする撮像装置。
  13. 請求項12に記載の撮像装置と、撮像素子とを含み、被写体の静止画撮影、動画撮影の内の少なくとも一方の機能が付加されたことを特徴とするデジタル機器。
  14. 前記デジタル機器は、携帯端末であることを特徴とする請求項13に記載のデジタル機器。
  15. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の撮像レンズの製造方法であって、複数の前記レンズブロックを並べて含むユニットを、レンズブロックユニットとし、前記レンズブロックの周縁の少なくとも一部にスペーサを並べ、複数の前記レンズブロックユニットを、前記スペーサを介在させてつなげる連結工程と、相互につながった前記レンズブロックユニットを前記スペーサに沿って切断することにより、前記レンズブロック毎に分離する切断工程と、を含むことを特徴とする撮像レンズの製造方法。
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