特許文献1に開示された従来の電気光学装置においては、割れが発生し易い部分に樹脂を塗布することにより、該部分に発生する応力に対する強度を高めるように構成されているが、当該電気光学装置を落下させたときの割れの発生を防止することに関して、必ずしも十分な効果が得られていなかった。
本発明は、上記の問題点に鑑みて成されたものであって、電気光学装置に衝撃が加わった場合でも、割れにつながるような大きな応力が電気光学装置の内部に発生しなようにすることを目的とする。
本発明に係る第1の電気光学装置は、電気光学物質を有し端部に端子を備えるパネルと、前記端子に接続される配線基板と、前記パネルに固定された保護部材と、前記パネルの端部側と前記保護部材とで形成される空間部と、前記空間部の前記パネルの端部側と前記保護部材との間に設けられた空間補充部材とを有することを特徴とする。
上記構成において、「電気光学物質」は、電気的入力の変化に応じて光学的状態が変化する物質であり、例えば液晶表示装置で用いる液晶や、有機EL装置で用いるEL等である。「パネル」は、電気光学物質の作用によって画像を形成できるユニットである。このパネルは、例えば、液晶表示装置であれば偏光板、見栄え改善シート等を含むユニットである。見栄え改善シートは、例えば、反射防止シート、視野角調整シート等である。また、パネルは、有機EL装置であれば、電気光学物質としての有機EL層を保護する保護膜を含むユニットである。また、その保護膜に重ねてさらに見栄え改善シート等が設けられる場合には、パネルはその見栄え改善シートを含むユニットである。
上記の「配線基板」は、例えば、FPC基板、あるいは非可撓性の回路基板である。「保護部材」は、パネルを衝撃から保護するための部材である。この保護部材は、例えば、パネルよりもわずかに大きい面積の平板形状のプラスチックシートによって形成される。
「空間補充部材」は隙間を埋めるスペース部材であり、テープや、樹脂(例えばシリコーン、エポキシ)等によって形成される。テープは、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリカーボネート等の樹脂によって形成される。この空間補充部材は、保護部材と別々に設けることもできるし、保護部材と一緒に一体成形によって形成することもできる。
従来の電気光学装置においては、パネルの端部側と保護部材との間に空間が形成されていた。このため、落下等によってパネルに衝撃が加わった場合、空間を形成している部分のパネル端部が保護部材に近づく方向へ撓み、パネルの撓みが始まる部分に応力が集中的に発生し、その部分から破損や割れが発生するおそれがあった。これに対し、本発明に係る電気光学装置によれば、パネルの端部側と保護部材との間に形成される空間部に空間補充部材を補充、すなわち埋め込む又は詰め込むことにしたので、パネルの端部は空間補充部材を介して保護部材によって受けられることになり、仮にパネルに衝撃が加わったとしても、パネル端部に撓みが発生せず、パネル端部の内部に応力が発生せず、このためパネル端部の破損、割れ等を効果的に防止できる。
本発明に係る第1の電気光学装置において、前記空間補充部材は前記パネルの端部に対応する領域に設けられていることが望ましい。
本発明に係る第1の電気光学装置において、前記パネルは前記電気光学物質を挟持した一対の基板を有し、該一対の基板のうち一方の基板は他方の基板の主面から突出した段差部を有する。ここで、主面とは、厚さの薄い側面ということではなく、電気光学物質に対向した広い面であって、基板としての主たる作用を奏する面のことである。本発明態様の構成の場合、前記空間部は、前記段差部の突出高さに対応した空間部を含むことになる。基板が1枚の部分と2枚の部分との境界部に段差部を有する本電気光学装置においては、その段差部に応力が集中し、その部分から基板が破損する可能性が高い。しかしながら、このような電気光学装置に対して本発明を適用すれば、基板の破損を効果的に防止できる。
本発明に係る電気光学装置は、液晶表示装置の場合のように一対の基板を有する場合もあるし、有機EL装置(Organic Electroluminescence Display:OELD)の場合に多く見られるように基板が1つだけのこともある。ここに述べた発明態様は一対の基板を有する電気光学装置に関するものである。
本発明に係る第1の電気光学装置において、前記空間補充部材は前記パネルに固定されていることが望ましい。この構成により、空間補充部材をパネルに対して常に正確な位置に配置することができる。
次に、本発明に係る電子機器は、電気光学物質を有し端部に端子を備えるパネルと、前記端子に接続される配線基板と、前記パネルを固定する筐体と、前記筐体に設けられ前記パネルを保護する保護部材と、前記パネルの端部側と前記保護部材とで形成される空間部と、前記空間部の前記パネルの端部側と前記保護部材との間に設けられた空間補充部材とを有することを特徴とする。
この電子機器において、前記保護部材と前記パネルとは固定されていない。また、本電子機器においては、空間補充部材がパネル側に設けてある場合もあるし、あるいは、空間補充部材が保護部材側、従って筐体側に設けられる場合もある。
従来の電子機器においては、パネルの端部側と保護部材との間に空間が形成されていた。このため、落下等によってパネルに衝撃が加わった場合、空間を形成している部分のパネル端部が保護部材に近づく方向へ撓み、パネルの撓みが始まる部分に応力が集中的に発生し、その部分から破損や割れが発生するおそれがあった。これに対し、本発明に係る電子機器によれば、パネルの端部側と保護部材との間に形成される空間部に空間補充部材を補充、すなわち詰め込むことにしたので、パネルの端部は空間補充部材を介して保護部材によって受けられることになり、仮にパネルに衝撃が加わったとしても、パネル端部に撓みが発生せず、パネル端部の内部に応力が発生せず、このためパネル端部の破損、割れ等を効果的に防止できる。
本発明に係る電子機器において、前記空間補充部材は前記保護部材に固定されていることが望ましい。この電子機器においては、電子機器の筐体にパネルを固定した後に保護部材を筐体に装着することにより、空間補充部材がパネル端部の空間部を埋める所定位置に自動的に配置される。この構成により、空間補充部材を用いる電子機器を容易に製造することが可能となる。
次に、本発明に係る第2の電気光学装置は、電気光学物質を有し端部に端子を備え段差部が形成されたパネルと、前記パネルの端部側に設けられ前記段差部の高さを持つ空間補充部材とを有することを特徴とする。この構成によれば、パネル及び空間補充部材の両方を保護部材又はその他の適宜の受け部材によって受けることにより、パネルに衝撃が加わったときにパネル端部が撓むことを空間補充部材及び受け部材の協働によって防ぐことができ、そのためパネル端部に応力が集中的に発生することを防止でき、そのためパネルの破損を効果的に防止できる。
次に本発明を別の観点から見れば、本発明に係る第3の電気光学装置は、基板と、該基板上に設けられた電気光学物質層と、該電気光学物質層を挟んで前記基板の反対側に設けられた表面部材とを有し、前記基板は平面視で前記表面部材の外側へ延在しており、当該延在部分に対応する領域には空間補充部材が設けられ、該空間補充部材の外側表面の前記基板表面からの高さは、前記表面部材の外側表面の前記基板表面からの高さと同じであることを特徴とする。
上記構成において、「表面部材」は、液晶パネル、有機ELパネル等といった画像を生成するためのユニットである電気光学パネルの最も外側に位置する部材のことである。この表面部材は、例えば液晶表示装置で用いる偏光板や、有機EL装置においてEL層を保護する保護部材や、種々の表示装置で用いられる見栄え改善シート(例えば反射防止シート、視野角調整シート)等である。
本発明に係る第3の電気光学装置によれば、基板の延在部に空間補充部材を設け、しかも空間補充部材の外側表面の基板表面からの高さを、偏光板等といった表面部材の外側表面の基板表面からの高さと同じに設定したので、表面部材を受け面によって受けたとき、その受け面は同時に空間補充部材の表面をも受けることになる。従来であれば、基板の延在部は受け面によって受けられていなかったので、落下等により衝撃を受けるとその延在部が撓み、基板と表面部材との境界部に応力が発生し、その境界部から破損や割れが発生するおそれがあった。これに対し、本発明に係る電気光学装置においては、基板の延在部が空間補充部材を介して受け面によって受けられるので、衝撃時にその延在部が撓むことが無くなり、従って基板と表面部材との境界部に応力が発生することが無くなり、それ故、基板の破損、割れ等を効果的に防止できる。
本発明に係る第3の電気光学装置において、前記表面部材は保護部材によって受けられており、該保護部材は前記空間補充部材に対応する領域まで延在していることが望ましい。保護部材は、例えば液晶パネル、ELパネル等といった電気光学パネルを覆うフレームにおける前記表面部材に対向する部分によって形成される。例えば、保護部材は、電気光学パネルを衝撃等から保護する保護カバーによって実現できる。保護部材が基板の延在部分まで延びていれば、衝撃時に基板の延在部分が撓むことをその保護部材によって防止でき、それ故、基板の破損、割れ等を防止できる。
本発明に係る第3の電気光学装置において、前記基板の延在部分には配線基板が接続され、該配線基板は前記基板の外側へ向けて延在し、前記空間補充部材は少なくとも前記基板上に在る前記配線基板上に設けられていることが望ましい。一般に配線基板は基板の延在部分の辺端部に接続される。この配線基板は、FPC基板とすることができる。配線基板が接続された基板の辺端部に空間補充部材を設け、さらにこの空間補充部材を保護部材によって受けることにすれば、衝撃時における基板の延在部の撓みを効果的に防止できる。
本発明に係る第3の電気光学装置において、前記空間補充部材はテープ部材であり、このテープ部材の面積は前記基材の延在部分と同じかそれよりも小さいことが望ましい。空間補充部材がテープ部材であれば、空間補充部材を基板上に設けるための作業を簡単に行うことができる。また、テープ部材は、その面積が基板の延在部分と同じ場合はもとより、その面積が基板の延在部分よりも小さい場合でも、当該延在部分の撓みを防止するためのスペース部材としての機能を奏することができる。
本発明に係る第3の電気光学装置は、前記基板と協働して前記電気光学物質層を挟持した第2基板を有することができ、前記表面部材は前記第2基板上に設けられた光学要素とすることができる。この電気光学装置は、電気光学物質を一対の基板で挟持する構成の電気光学装置である。この電気光学装置は、例えば電気光学物質層として液晶層を用いる液晶表示装置に多く見られる構成である。この種の電気光学装置において、保護部材によって受けられる部材は第2基板上に設けられる光学要素、例えば偏光板とすることができる。偏光板は特定の偏光を透過し他の偏光を吸収するという機能を奏する光学要素である。
第2基板を用いる構成の本発明に係る第3の電気光学装置において、前記空間補充部材は前記配線基板上から前記第2基板にわたって設けられていることが望ましい。この構成は、基板の延在部分の広い領域にわたって空間補充部材を設ける構成である。この構成により、衝撃時における基板延在部分の撓みを空間補充部材によって効果的に防止できる。
本発明に係る第3の電気光学装置においては、前記基板の延在部分にICチップを設けることができ、そして該ICチップの前記基板の表面からの高さは、前記表面部材の前記基板表面からの高さよりも低くすることができる。この場合、前記空間補充部材は前記配線基板上から前記ICチップ上を経て前記第2基板にわたって設けられていることが望ましい。このようにICチップを含めた基板延在部分の広い範囲に空間補充部材を設けるようにすれば、単一の矩形状でシート形状の空間補充部材を用いることができ、空間補充部材の取り扱いが容易になる。
ICチップの上を空間補充部材で覆うようにした上記の電気光学装置においては、前記空間補充部材は前記ICチップへの光の進入を防止できる遮光性を有することが望ましい。こうすれば、ICチップへの光の進入を空間補充部材によって防止できるので、ICチップの光による誤動作を効果的に防止できる。
本発明に係る第3の電気光学装置においては、前記基板の延在部分にICチップを設けることができ、さらに該ICチップの前記基板の表面からの高さは前記表面部材の内側表面の前記基板表面からの高さよりも高くすることができる。そしてこの場合には、前記空間補充部材に開口を設け、前記ICチップをその開口の中に入り込ませた状態で、前記空間補充部材が前記配線基板上から前記第2基板にわたって設けられることが望ましい。この構成により、高さの高いICチップを用いる場合でも、空間補充部材を支障なく基板延在部分に設けることができる。
次に、本発明に係る電子機器は、以上に記載した構成の第3の電気光学装置を用いると共に当該電気光学装置の構成要素である表面部材を受ける保護部材を有することが望ましい。このような保護部材は、例えば電気光学装置を保護するための保護カバーとすることができる。このような電子機器は、例えば携帯電話機、携帯情報端末、携帯テレビ等である。本発明の電子機器によれば、保護部材は電気光学装置の表面部材に加えて、電気光学装置の基板の延在部分を空間補充部材を介して受けることになるので、落下等による衝撃が加わった場合、その延在部分が撓むことを防止でき、その結果、基板の破損や割れを効果的に防止でき、電子機器の耐衝撃強度を高めることができる。
(電気光学装置の第1実施形態)
以下、本発明に係る電気光学装置を実施形態に基づいて説明する。なお、本発明がこの実施形態に限定されないことはもちろんである。また、これ以降の説明では図面を参照するが、その図面では特徴的な部分を分かり易く示すために実際のものとは異なった比率で構成要素を示す場合がある。
図1は、本発明に係る電気光学装置の一例である液晶表示装置の一実施形態を示している。この液晶表示装置1は、パネルとしての液晶パネル2Aと、液晶パネル2Aに接続された配線基板としてのFPC(Flexible Printed Circuit)基板5と、下枠3と、保護部材又は受け部材としての保護カバー4とを有している。液晶パネル2Aが透過型液晶パネルである場合には、下枠3と液晶パネル2Aとの間に照明装置としてのバックライトが設けられるが、図1でのその図示を省略している。下枠3と保護カバー4は液晶パネル2Aを覆うフレームとして機能する。
下枠3は、例えば金属製又はプラスチック製で4辺に側壁部を備えた箱型の枠部材である。FPC基板5に対応する辺には切欠きを設けておいても良い。保護カバー4は、例えば、開口6を備えたプラスチック製の平板枠7の表面全体に透明プラスチックシート8を貼り付けて、開口6をその透明プラスチックシート8で覆うことによって構成されている。液晶パネル2Aを下枠3の中に収納し、液晶パネル2Aの上から保護カバー4を下枠3へ組付けることにより、1つのモジュールとしての液晶表示装置1が完成する。
なお、下枠3の形状は、本液晶表示装置1が組付けられる電子機器(例えば、携帯電話機)の形状及び機能に応じて種々に決められる。また、保護カバー4の形状もそれに応じて適宜に決められる。また、下枠3は電子機器の構成要素であることもあり、その場合には保護カバー4も電子機器の構成要素の1つとなる。
液晶パネル2Aは、図1の下側に在る素子基板11と、その素子基板11に対向して上側に設けられたカラーフィルタ基板12とを、それらの周囲で枠状のシール材(図示せず)によって貼り合わせて形成されている。素子基板11とカラーフィルタ基板12との間であってシール材で囲まれた領域内には、例えばTN(Twisted Nematic:ツイステッド・ネマチック)モードの液晶が封入されて液晶層が形成されている。本実施形態では、観察側(図1の上方側)にカラーフィルタ基板12が配置され、観察側から見て背面側(図1の下方側)に素子基板11が配置されている。
素子基板11は、例えばガラス、プラスチック等から成り、観察側から平面的に見て矩形状(長方形又は正方形)である素材としての基板(以下素材基板という)を有する。この素材基板が素子基板11の全体的な形状を規定している。この素材基板の外側(図1の下側)の主面(側面で無い広い面)上には偏光板13が設けられ、さらに必要に応じて他の光学要素が設けられている。また、この素材基板の内側(液晶層側)の主面上には、ソース線14及びゲート線16が設けられている。ソース線14とゲート線16とは平面視で互いに直交しており、それらソース線14とゲート線16とで囲まれる矩形状の平面領域内にスイッチング素子又はアクティブ素子としてのTFT(Thin Film Transistor:薄膜トランジスタ)素子、画素電極等(いずれも図示せず)が形成されている。TFT素子はアモルファスシリコン半導体を用いて形成されている。
各ソース線14は列方向Yに延びている。各ゲート線16は行方向Xに延びている。TFT素子はソース線14とゲート線16とに接続して形成されている。ソース線14、ゲート線16及び画素電極は、それぞれ、TFT素子のソース、ゲート、及びドレインに接続されている。ソース線14はTFT素子にデータ信号を伝送するデータ線として機能する。ゲート線16はTFT素子に走査信号を伝送する走査線として機能する。
次に、素子基板11に対向するカラーフィルタ基板12は、例えばガラス、プラスチック等から成り、観察側から平面的に見て矩形状(長方形又は正方形)の素材基板を有する。この素材基板がカラーフィルタ基板12の全体的な形状を規定している。この素材基板の外側(図1の上方側)の主面上には、偏光板17が設けられ、さらに必要に応じて他の光学要素が設けられている。偏光板17は偏光板13と略同じ面積で略同じ平面形状である。
素子基板11は平面視で、表面部材である偏光板17の外側へ延在する延在部18を有している。図2(a)は、素子基板11の延在部18の近傍の断面構造を示している。図2(a)では、図1の場合に対して素子基板11とカラーフィルタ基板12とを上下反転させて表示している。本実施形態では、偏光板17が液晶パネル2Aで最も外側の表面部分に位置している。本明細書ではこのように液晶パネル2Aの最も外側に位置する部材を液晶パネルの表面部材と言うことにする。本実施形態では偏光板17が最も外側に在るので偏光板17が表面部材であるが、偏光板17のさらに外側に他の光学要素が存在する場合には、その光学要素が表面部材となる。
カラーフィルタ基板12の素材基板の内側(液晶層側)の主面上には、例えば、平面視で格子状の遮光膜(図示せず)と、素子基板11上の画素電極に対向する着色膜(図示せず)と、共通電極(図示せず)が設けられている。共通電極は、素子基板11上で行方向X及び列方向Yに並べられた複数の画素電極に対向する面状電極である。着色膜の個々は、R(赤)、G(緑)、B(青)の1つを透過させる光学要素であり、それらR,G,Bの着色膜が平面的に見て所定の配列、例えばストライプ配列で並べられている。遮光膜は、異なる色の着色膜を重ねたり、あるいは、Cr(クロム)等といった所定の材料によって形成されている。
素子基板11上の複数の画素電極と、カラーフィルタ基板12上の共通電極とは平面的に見て複数のドット状(すなわち島状)の領域で重なっている。このように重なり合った領域が表示のための単位領域であるサブ画素を形成し、R,G,Bに対応する3つのサブ画素によって画素が形成され、そして複数の画素が行方向X及び列方向Yにマトリクス状に並ぶことにより矩形状の表示領域Vが形成される。この表示領域V内に文字、数字、図形等といった画像が表示される。
素子基板11の延在部18の表面の適所に駆動用IC19が導電接着要素、例えばACF(Anisotropic Conductive Film:異方性導電膜)によって実装されている。この技術は、通常、COG(Chip On Glass:チップ・オン・グラス)と呼ばれている。また、延在部18の辺端部分に複数の配線端子21が形成されている。駆動用IC19の実装面に設けられている複数の入力バンプは配線端子21に導通する。一方、駆動用IC19の実装面に設けられている複数の出力バンプは、素子基板11側のソース線14及びゲート線16、並びにカラーフィルタ基板12側の共通電極に導通する。
FPC基板5は素子基板11の延在部18の辺端部に導電接着要素、例えばACFによって接着されている。FPC基板5は、素子基板11に接着される側の辺端部に複数の出力端子22を有し、複数の電子部品(図示せず)によって形成された回路を有し、さらに素子基板11に接着される側でない辺端部に複数の入力端子23を有している。入力端子23、電子部品、及び出力端子22の間は図示しない配線パターンによって電気的に接続されている。
以上の構成により、FPC基板5の入力端子23から所定の駆動信号を入力すれば、駆動用IC19によって液晶駆動用の走査信号及びデータ信号が生成され、それらが各画素を構成するサブ画素へ伝送され、必要なTFT素子がON/OFF動作する。そして、このTFT素子のスイッチング動作に従って、有効表示領域V内に所望の画像が表示される。
本実施形態において、FPC基板5とカラーフィルタ基板12の厚さは略同じになっている。これらの厚さは、例えば0.3mm程度であり、今後はさらに薄くなること、例えば0.1mm程度になることが考えられる。FPC基板5とカラーフィルタ基板12の厚さの違いは±0.1mmの範囲内に収まるようになっている。±0.1mmというのは、両者を同じ厚さに揃えようとした場合の誤差範囲と考えられる寸法である。偏光板17の厚さは、例えば0.12〜0.15mm程度である。駆動用IC19の厚さは、例えば0.3mm程度であり、今後は0.1mm程度に薄くなることが考えられる。
素子基板11と保護カバー4との間には、カラーフィルタ基板12の厚さに対応した段差部及び偏光板17の厚さに対応した段差部が存在する。液晶パネル2Aが有する段差部の高さと言った場合には、これらの段差部の合計の高さを表すものである。偏光板17の上にさらに他の何等かの要素があれば、それに対応した段差部も液晶パネル2Aの段差部の高さに含まれる。保護カバー4は平板状のシート材であるので、保護カバー4を液晶パネル2Aの表面、すなわち偏光板17の表面に直接に装着したとすると、液晶パネル2Aの段差部に起因して、素子基板11の延在部18と保護カバー4との間に空間部が形成される。
素子基板11の延在部18上に空間補充部材としてのテープ24Aが設けられている。テープ24Aは、偏光板17から平面視で延出するカラーフィルタ基板12の部分と、駆動用IC19の頂面と、FPC基板5の素子基板11への接続端部の上面とにわたって設けられている。そのテープ24Aの外側表面の素子基板11の表面からの高さは、液晶パネル2Aの段差部の高さ、本実施形態の場合はカラーフィルタ基板12の厚さに対応した段差部と偏光板17の厚さに対応した段差部との合計の高さに等しい値に設定されている。従って、テープ24Aの外側表面は表面部材である偏光板17の外側表面と同じ高さ位置になっている。
テープ24Aは、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリカーボネート等といった樹脂によってシート状に形成されている。テープ24Aは保護カバー4と別々の部材であっても良いし、あるいは、保護カバー4と一緒に一体成形されていても良い。テープ24Aを保護カバー4と別々に形成した場合、テープ24Aは保護カバー4に接着、粘着等によって固着しても良いし、そのような固着をしていなくても良い。
テープ24Aのパネル内部側(図2(a)の右側)の一端は、カラーフィルタ基板12の偏光板17よりも平面視で外側の辺端部に接触している。テープ24Aの他端はFPC基板5の辺端部に接触している。図では、テープ24AとFPC基板5との間にわずかな隙間が描かれているが、これは誤差範囲内で生じる隙間を示しており、テープ24AとFPC基板5は互いに接触していると言って差し支えない状態となっている。鎖線X0は、保護カバー4の液晶パネル2A側の面を示しており、テープ24A及び偏光板17の外側表面が保護カバー4のこの面X0によって受けられている。以上から理解できるように、テープ24Aは、パネル端部側である延在部18と保護カバー4との間の空間部に詰め込まれるように配置されていて、その空間部を埋めるように設けられている。
本実施形態において、FPC基板5の素子基板11への接続端部分に対応したテープ24Aの外側表面の素子基板11の表面からの高さは、液晶パネル2Aの表面部材である偏光板17の外側表面の素子基板11の表面からの高さとほぼ同じになっている。詳細には、両者の高さは、±0.05mmの誤差範囲内に収まるようになっている。このため、保護カバー4の受け面X0は、液晶パネル2Aの表面部材である偏光板17、及びFPC基板5の素子基板11への接続端部分に対応する領域に在るテープ24Aの両者に接触する状態となっている。この接触状態は、偏光板17と受け面X0との間及びテープ24Aと受け面X0との間のそれぞれに±0.1mmまでの誤差がある場合も含む意味である。
以上のように、本実施形態においては、保護カバー4の受け面X0によって液晶パネル2Aを受けたとき、延在部18に対応する領域において受け面X0はテープ24Aの表面と面接触し、受け面X0と延在部18との間に隙間が形成されることが無くなっている。このため、仮に図8(b)のように落下により液晶パネルに衝撃が加わった場合でも、素子基板11が曲がる又は撓むことが無くなり、そのため、素子基板11とカラーフィルタ基板12との境界部分に曲げ応力が発生することが無くなり、その結果、素子基板11に破損や割れが生じることが無くなる。
また、本実施形態では、図2(a)に示すように、テープ24Aが素子基板11とカラーフィルタ基板12の境界部、すなわちカラーフィルタ基板12の厚さに対応して形成されている段差部を平面視で越えて、カラーフィルタ基板12の辺端部上にも設けられているので、カラーフィルタ基板12の辺端部上にテープ24Aを設けない場合に比べて、素子基板11の延在部18の撓みが生じ難くなっている。
テープ24Aは遮光性を有することが望ましい。こうすれば、駆動用IC19へ光が進入することを防止でき、駆動用IC19が光によって誤動作することを防止できる。また、空間補充部材はテープ24Aに限られず、少なくともFPC基板5の素子基板11への接続端部分と受け面X0との間に、樹脂(例えばシリコーン樹脂、エポキシ樹脂)を充填するという構成であっても良い。
(変形例)
以上の説明では、図1において、平面視で駆動用IC19を覆って素子基板11の延在部18のほぼ全面にテープ24Aを設けた。この構成に代えて、テープ24Aを平面視で駆動用IC19を挟んで左右(行方向X)又は上下(列方向Y)に分割して設けても良い。さらには、その他の任意の分割態様で複数のテープ24Aを延在部18上に設けても良い。
(電気光学装置の第2実施形態)
図2(b)及び図3は本発明に係る電気光学装置の他の実施形態である液晶表示装置の主要部である液晶パネル2Bを示している。図2(b)はその液晶パネル2Bの主要部分の側断面構造を示し、図3は図2(b)の矢印Bに従った(観察側から見た)平面構造を示している。なお、図3では保護カバー4の図示を省略している。図示の液晶パネル2Bは、図1において液晶パネル2Aに代えて下枠3に収納され、さらに保護カバー4によって受けられると共に保護される。
図2(b)において、駆動用IC26を除いた液晶パネル2Bの構成は図2(a)に示した第1実施形態の液晶パネル2Aと同じであり、同じ構成要素は同じ符号を付して示すことにしてその説明は省略するものとする。図2(a)に示した液晶パネル2Aで用いた駆動用IC19の厚さは、カラーフィルタ基板12の厚さ及びFPC基板5の厚さと略同じであった。これに対し、本実施形態の液晶パネル2Bで用いている駆動用IC26の厚さは、カラーフィルタ基板12の厚さ及びFPC基板5の厚さよりも厚くなっている。
そして、テープ24Bの適所には、駆動用IC26を通すための開口27が設けられている。空間補充部材としてのテープ24Bは、FPC基板5の素子基板11への接続端部分に対応する位置から、カラーフィルタ基板12の偏光板17よりも平面視で外側の辺端部分までにわたって設けられており、駆動用IC26はテープ24Bの開口27の中に入り込んでいる。この構成により、図3に示すように、駆動用IC26はテープ24Bの開口27を通して外部へ臨み出ている。
また、保護カバー4の受け面X0は、液晶パネル2Bの表面部材である偏光板17、及びFPC基板5の素子基板11への接続端部分に対応する領域に在るテープ24Bの両者に接触する状態となっている。この接触状態は、偏光板17と受け面X0との間及びテープ24Aと受け面X0との間のそれぞれに±0.1mmまでの誤差がある場合も含む意味である。
以上のように、本実施形態においても、保護カバー4の受け面X0によって液晶パネル2Bを受けたとき、延在部18上において受け面X0はテープ24Bの表面と面接触し、受け面X0と延在部18との間に隙間が形成されることが無くなっている。つまり、パネル端部側である延在部18と保護カバー4との間の空間部がテープ24Bによって埋められ、すなわち補充されている。このため、仮に図8(b)のように落下により液晶パネルに衝撃が加わった場合でも、テープ24B及び保護カバー4の作用により素子基板11が曲がる又は撓むことが無くなり、そのため、素子基板11とカラーフィルタ基板12との境界部分に曲げ応力が発生することが無くなり、その結果、素子基板11に破損や割れが生じることが無くなる。
(電気光学装置の第3実施形態)
図4(a)は本発明に係る電気光学装置のさらに他の実施形態である液晶表示装置の主要部である液晶パネル2Cを示している。この液晶パネル2Cは、図1において液晶パネル2Aに代えて下枠3に収納され、さらに保護部材としての保護カバー4によって保護される。液晶パネル2Cは、素子基板31と、その外側表面に貼着された偏光板33と、カラーフィルタ基板32と、その外側表面に貼着された表面部材としての偏光板37とを有している。
素子基板31には、図1に示した素子基板11と同様に、複数のソース線14が列方向Yに延びるように形成され、さらに複数のゲート線16がそれと直交する行方向Xに延びるように形成されている。そして、それらソース線14とゲート線16とで囲まれる矩形状の平面領域内にスイッチング素子又はアクティブ素子としてのTFT素子、画素電極等(いずれも図示せず)が形成されている。本実施形態では、TFT素子は低温ポリシリコン半導体を用いて形成されている。
本実施形態では、低温ポリシリコン半導体を用いてTFT素子を形成する際に、有効表示領域Vよりも外側の素子基板11の周辺領域内に、図1の駆動用IC19内に形成されていた電子回路と同等の回路が作り込まれている。このように液晶パネルを構成する基板上に電子回路を組み込む技術は、SOG(System On Glass:システム・オン・グラス)と呼ばれている。このSOG技術を採用した本実施形態においては、素子基板31の延在部18の表面には駆動用ICが実装されていない。
液晶パネル2Cの端部側である素子基板31の延在部18と保護カバー4との間には、カラーフィルタ基板32の厚さに対応した段差部及び偏光板37の厚さに対応した段差部が存在する。液晶パネル2Cが有する段差部の高さと言った場合には、これらの段差部の合計の高さを表すものである。この液晶パネル2Cの段差部に起因して、素子基板31の延在部18と保護カバー4との間に空間部が形成されている。
基板31の延在部18に駆動用ICが実装されない構成の本実施形態では、空間補充部材としてのテープ24Cが素子基板31の延在部18の上部領域(図面では下部領域)に設けられている。詳しくは、カラーフィルタ基板32の偏光板37が貼着されていない部分にテープ24Cの一端が接触し、FPC基板5の素子基板31への接続端部に対応した部分にテープ24Cの他端が接触するように、カラーフィルタ基板32とFPC基板5とにわたってテープ24Cが設けられている。そして、液晶パネル2Cの表面部材である偏光板37の表面とテープ24Cの表面とが保護カバー4の受け面X0によって受けられている。つまり、テープ24Cの外側表面の素子基板31の表面からの高さは、液晶パネル2Cの段差部の高さ、本実施形態の場合はカラーフィルタ基板32の厚さに対応した段差部と偏光板37の厚さに対応した段差部との合計の高さに等しい値に設定されている。従って、テープ24Cの外側表面は表面部材である偏光板37の外側表面と同じ高さ位置になっている。
以上のように、本実施形態においても、受け面X0によって液晶パネル2Cを受けたとき、延在部18上において受け面X0はテープ24Cの表面と面接触し、受け面X0と延在部18との間に隙間が形成されることが無くなっている。つまり、パネル端部側である延在部18と保護カバー4とによって形成される空間部がテープ24Cによって埋められ、すなわち補充されている。このため、仮に図8(b)のように落下により液晶パネルに衝撃が加わった場合でも、テープ24C及び保護カバー4の作用により素子基板31が曲がる又は撓むことが無くなり、そのため、素子基板31とカラーフィルタ基板32との境界部分に曲げ応力が発生することが無くなり、その結果、素子基板31に破損や割れが生じることが無くなる。
(電気光学装置の第4実施形態)
図4(b)は本発明に係る電気光学装置のさらに他の実施形態である液晶表示装置の主要部である液晶パネル2Dを示している。この液晶パネル2Dは、図1において液晶パネル2Aに代えて下枠3に収納され、さらに保護部材としての保護カバー4によって保護される。液晶パネル2Dは、素子基板41と、その外側表面に貼着された偏光板43と、カラーフィルタ基板42とを有している。カラーフィルタ基板42の外側表面に偏光板は設けられていない。すなわち、カラーフィルタ基板42が液晶パネル2Dの最も外側に位置する部材である表面部材を構成している。
また、図2(a)の偏光板17と同じ偏光機能を奏する偏光要素は、素子基板41とカラーフィルタ基板42との間であってカラーフィルタ基板42の表面上に周知の膜形成処理によって形成されている。素子基板41の延在部18と保護カバー4との間には、カラーフィルタ基板42の厚さに対応した段差部が存在する。液晶パネル2Dが有する段差部の高さは、このカラーフィルタ基板42の段差部のことである。この液晶パネル2Dの段差部に起因して、素子基板41の延在部18と保護カバー4との間に空間部が形成されている。
素子基板41の延在部18上には、空間補充部材としてのテープ24Dが設けられている。テープ24Dの液晶パネル2Dの内部側(図の右側)の一端は素子基板41の表面に接触し、テープ24Dの液晶パネル2Dの外部側の一端はFPC基板5の素子基板41への接続端部分の表面に乗り上げて、その面に接触している。テープ24DのFPC基板5の表面に乗り上げた部分の外側表面の素子基板41の表面からの高さは、液晶パネル2Dの段差部の高さ、本実施形態ではカラーフィルタ42の厚さに対応した段差部の高さに等しい値に設定されている。従って、テープ24Dの外側表面は表面部材であるカラーフィルタ基板42の外側表面と同じ高さ位置になっている。
本実施形態においても、保護カバー4の受け面X0によって液晶パネル2Dを受けたとき、延在部18の辺端部分において受け面X0はテープ24Dの表面と面接触し、受け面X0と延在部18のその部分との間に隙間が形成されることが無くなっている。つまり、パネル端部側である延在部18と保護カバー4とによって形成される空間部がテープ24Dによって埋められ、すなわち補充されている。このため、仮に図8(b)のように落下により液晶パネルに衝撃が加わった場合でも、テープ24D及び保護カバー4の作用により、素子基板41の延在部18が曲がることが無くなり、そのため、素子基板41とカラーフィルタ基板42との境界部分に曲げ応力が発生することが無くなり、その結果、素子基板31に破損や割れが生じることが無くなる。
(電気光学装置の第5実施形態)
図5は本発明に係る電気光学装置のさらに他の実施形態である有機EL装置(Organic Electroluminescence Display:OELD)の主要部である電気光学パネルとしてのELパネル2Eを示している。このELパネル2Eは、図1において液晶パネル2Aに代えて下枠3に収納され、さらに保護部材としての保護カバー4によって保護される。ELパネル2Eは、素子基板51と、対向基板52とを有している。
素子基板51上には、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色で発光する有機ELによって個々のサブ画素が形成され、R,G,Bのサブ画素の集まりによって画素が形成され、複数の画素の集まりによって有効表示領域V(図1参照)が形成されている。対向基板52は、素子基板51上に形成された有機ELやその他の要素を保護するための保護部材としての機能を持っている。また、対向基板52は、表示の見栄えを改善するための見栄え改善シート、例えば反射防止シート、視野角調整シートの機能を持つこともできる。対向基板52は、ガラス基板等のような硬質で非可撓性の基板であったり、あるいは、可撓性のプラスチック膜であったりする。本実施形態では、対向基板52が液晶パネル2Eの最も外側に位置する部材である表面部材を構成している。
素子基板51と保護カバー4との間には、対向基板52の厚さに対応した段差部が存在する。液晶パネル2Eが有する段差部の高さは、この対向基板52の段差部のことである。この液晶パネル2Eの段差部に起因して、素子基板51の延在部18と保護カバー4との間に空間部が形成されている。素子基板51の延在部18上には、空間補充部材としてのテープ24Eが設けられている。テープ24Eの液晶パネル2Eの内部側の一端は素子基板51の表面に接触し、テープ24Eの液晶パネル2Eの外部側の一端はFPC基板5の素子基板51への接続端部分の表面に乗り上げて、その面に接触している。
FPC基板5の表面に乗り上げた部分のテープ24Eの外側表面の素子基板51の表面からの高さは、液晶パネル2Eの段差部の高さ、本実施形態ではカラーフィルタ52の厚さに対応した段差部の高さに等しい値に設定されている。従って、テープ24Eの外側表面は表面部材であるカラーフィルタ基板52の外側表面と同じ高さ位置になっている。
本実施形態においても、保護カバー4の受け面X0によってELパネル2Eを受けたとき、パネルの端部側である延在部18の辺端部分において受け面X0はテープ24Eの表面と面接触し、受け面X0と延在部18のその辺端部分との間に隙間が形成されることが無くなっている。つまり、パネル端部側である延在部18と保護カバー4とによって形成される空間部がテープ24Eによって埋められ、すなわち補充されている。このため、仮に図8(b)のように落下により液晶パネルに衝撃が加わった場合でも、テープ24E及び保護カバー4の作用により素子基板51が曲がる又は撓むことが無くなり、そのため、素子基板51と対向基板52との境界部分に曲げ応力が発生することが無くなり、その結果、素子基板51に破損や割れが生じることが無くなる。
(電子機器の第1実施形態)
次に、本発明に係る電子機器を実施形態に基づいて説明する。図6は電子機器の一例でる携帯電話機であって本発明の実施形態に係る携帯電話機を示している。ここに示す携帯電話機61は、本体部62と、本体部62に対して開閉可能に設けられた表示体部63とを有する。表示体部63には電気光学パネル64及び受話部66が設けられている。表示体部63の機枠部分は、電気光学パネル64を収容して固定支持するための筐体を構成している。電話通信に関する各種表示は、電気光学パネル64の表示領域Vに表示される。電気光学パネル64の動作を制御するための制御部は、携帯電話機の全体の制御を司る制御部の一部として、又はその制御部とは別に、本体部62又は表示体部63の内部に格納されている。本体部62には操作ボタン68及び送話部69が設けられている。
電気光学パネル64は、図2(a)に示す液晶パネル2A、図2(b)に示す液晶パネル2B、図4(a)に示す液晶パネル2C、図4(b)に示す液晶パネル2D、又は図5に示すELパネル2Eを用いて構成される。図6では、代表して、図2(a)の液晶パネル2Aが用いられた場合を図示している。なお、本実施形態では、各液晶パネル2A〜2Eは空間補充部材としてのテープ24A〜24Eを備えておらず、テープ24A〜24Eは保護部材としての保護カバー70に接着又は粘着により設けられている。
電気光学パネル64は表示体部63に設けた容器部分に収納されており、さらにその電気光学パネル64を覆うようにして保護カバー70が表示体部63の表面側の機枠部分に接着等により装着されている。保護カバー70に設けられたテープ24Aは、とりもなおさず、筐体である表示体部63の機枠部分に設けられているということである。保護カバー70の裏面が図2(a)等における受け面X0を構成しており、その保護カバー70の裏面が電気光学パネル64の最も外側に位置する部材である表面部材(図2(a)の液晶パネル2Aであれば偏光板17)を受けている。
保護カバー70は、例えば、開口71を備えたプラスチック製の平板枠72の表面全体に透明プラスチックシート73を貼り付けて、開口71をその透明プラスチックシート73で覆うことによって構成されている。電気光学パネル64の有効表示領域Vに表示される画像は開口71を通して視認される。
本実施形態で用いている電気光学パネル64は、例えば図2(a)に示す液晶パネル2Aに関して説明したように、保護カバー70(符号4に相当)の受け面X0によって液晶パネル2Aを受けたとき、パネル端部側である延在部18上において受け面X0はテープ24Aの表面と面接触し、受け面X0と延在部18との間に隙間が形成されることが無くなっている。つまり、パネル端部側の空間部がテープ24Aによって補充、すなわち埋め込まれている。このため、携帯電話機61の落下により、図8(b)に示すように液晶パネルに衝撃が加わった場合でも、図2(a)の素子基板11が曲がることが無くなり、そのため、素子基板11とカラーフィルタ基板12との境界部分に曲げ応力が発生することが無くなり、その結果、素子基板11に破損や割れが生じることが無くなる。このため、携帯電話機61の耐落下特性を向上できる。
(電子機器の第2実施形態)
図7は、本発明に係る電子機器の他の実施形態に係る携帯電話機を示している。ここに示す携帯電話機81が図6に示した携帯電話機61と異なる点は次の通りである。図6に示した携帯電話機61においては、空間補充部材としてのテープ24Aを保護部材としての保護カバー70に固定して設けた。このことは、テープ24Aを、パネル64側ではなくて筐体である表示体部63側に設けたということである。
これに対し本実施形態では、図7に示すように、テープ24Aは予めパネル64の端部側(すなわち基板の延在部上)に設けられている。そして、テープ24Aを備えたパネル64を表示体部63の所定の収納領域内に収納し、その後、保護カバー70を表示体部63の表面に装着している。保護カバー70がそのように装着された状態において、図2(a)に示すように、保護カバー70(符号4に相当)によって液晶パネル24Aの偏光板17が受けられ、同時にテープ24Aを介して延在部18が受けられている。
以上により、携帯電話機81の落下により、図8(b)に示すように液晶パネルに衝撃が加わった場合でも、図2(a)の素子基板11が曲がることが無くなり、そのため、素子基板11とカラーフィルタ基板12との境界部分に曲げ応力が発生することが無くなり、その結果、素子基板11に破損や割れが生じることが無くなる。このため、図7の携帯電話機81の耐落下特性を向上できる。
(その他の実施形態)
以上、好ましい実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はその実施形態に限定されるものでなく、請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々に改変できる。
例えば、以上の説明では、電気光学パネルとしてアクティブマトリクス方式の液晶パネルを例示したが、液晶パネルは任意の構造とすることができる。例えば、単純マトリクス方式の液晶パネルを用いることもできる。
以上の実施形態では、液晶表示装置及び有機EL装置に本発明を適用したが、本発明はその他の電気光学装置、例えば無機EL装置、プラズマディスプレイ装置(PDP:Plasma Display)、電気泳動表示装置(EPD:Electrophoretic Display)、フィールドエミッションディスプレイ装置(FED:Field Emission Display:電界放出表示装置)にも適用できる。
上記実施形態では携帯電話機に本発明を適用したが、本発明はその他任意の電子機器にも適用可能である。例えば、携帯情報端末機(PDA:パーソナル・デジタル・アシスタント)、パーソナルコンピュータ、液晶テレビ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話装置、POS端末、デジタルスチルカメラ、電子ブック等に本発明を適用することができる。