JP2009198586A - 平版印刷版の製版方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ダイレクト製版用の赤外線レーザ用ポジ型平版印刷版原版の自動現像装置による製版に適用でき、平版印刷版の品質を一定に保ち、均一な画像を連続的に形成しうる平版印刷版の製版方法を提供すること。
【解決手段】支持体上に、アルカリ水溶液可溶性樹脂と、光熱変換物質と、を含有してなる感光層を有するポジ型平版印刷版原版を、露光後、少なくとも、現像部と、水洗部と、フィニッシャー部と、平版印刷版原版の搬送部材と、を備えた自動現像装置を用いて製版する平版印刷版の製版方法であって、前記自動現像装置における水洗部内の搬送ロール表面に、側面に0.1mm〜1.0mmのクリアランスを有する凹部を設けた水切りロールが外接して配設されていることを特徴とする平版印刷版の製版方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、平版印刷版の製版方法に関する。より詳細には、コンピュータ等のディジタル信号から直接製版可能な、所謂ダイレクト製版用の赤外線レーザ用のポジ型平版印刷版の製版方法に関する。
近年におけるレーザの発展は目ざましく、特に、近赤外線から赤外線領域に発光領域を持つ個体レーザや半導体レーザでは、高出力・小型化が進んでいる。したがって、コンピュータ等のディジタルデータから直接製版する際の露光光源として、これらのレーザは非常に有用である。
前述の赤外線領域に発光領域を持つ赤外線レーザを露光光源として使用する赤外線レーザ用ポジ型平版印刷版原版は、アルカリ水溶液可溶性のバインダー樹脂と、光を吸収し熱を発生するIR染料等とを必須成分とする平版印刷版原版(以下、単に「PS版」と称する場合がある。)である。
赤外線レーザ用ポジ型平版印刷版原版に、赤外線レーザを露光すると、非露光部(画像部)では、赤外線レーザ用ポジ型平版印刷版原版中のIR染料等が、バインダー樹脂との相互作用により、バインダー樹脂の溶解性を実質的に低下させる溶解阻止剤として働く。一方、露光部(非画像部)では、IR染料等が、光を吸収して熱を発生するため、IR染料等とバインダー樹脂との相互作用が弱くなる。したがって、現像時には、露光部(非画像部)が、アルカリ現像液に溶解し、平版印刷版が形成される。
しかし、このような赤外線レーザ用ポジ型平版印刷版原版においては、UV露光により製版するポジ型平版印刷版原版と比べ、現像液の活性度に対するラチチュードが狭いため、次のような問題があった。即ち、現像液の活性度が高くなると、画像部にキズが発生する問題や、画像部の濃度及び耐刷が低下する問題があった。また、現像液の活性度が低くなると、現像不良を容易に引き起こし0.2〜3.0mm程度の大きさの感光層が残存する問題や、水洗部において感光層成分が再付着するとういう問題があった。
上記問題は、以下に述べるような、赤外線レーザ用ポジ型平版印刷版原版と、UV露光により製版するポジ型平版印刷版原版との製版メカニズムの本質的な相違に起因する。
UV露光により製版するポジ型平版印刷版原版は、アルカリ水溶液可溶性のバインダー樹脂と、オニウム塩やキノンジアジド化合物類とを必須成分とする。このようなポジ型平版印刷版原版を露光すると、オニウム塩やキノンジアジド化合物類は、非露光部(画像部)においては、赤外線レーザ用ポジ型平版印刷版原版における場合と同様に溶解阻止剤として作用するが、露光部(非画像部)においては、赤外線レーザ用ポジ型平版印刷版原版における場合とは異なり、光によって分解して酸を発生しバインダー樹脂の溶解促進剤として作用する。従って、UV露光により製版するポジ型平版印刷版原版においては、露光部と非露光部のアルカリ現像液に対する溶解性の差が非常に大きい。
これに対し、赤外線レーザ用ポジ型平版印刷版原版においては、露光時に、露光部(非画像部)では、IR染料等とバインダー樹脂との相互作用は弱まるものの、IR染料がバインダーの溶解促進剤として作用するわけではないため、非露光部と露光部との溶解性の差が小さい。
以上の理由から、赤外線レーザ用ポジ型平版印刷版原版のような、現像液の活性度に対するラチチュードが狭い平版印刷版原版を使用して、安定した画像を連続的に形成するためには、その工程管理が非常に困難である。
通常、赤外レーザ用ポジポジ型平版印刷版原版を現像する際には、現像液感度を極力一定に保つような補充機構を有する自動現像機を用いる。当該補充機構は、プレートの現像処理やCOの吸収により、現像液のpHが低下し現像性が低下することを防ぐため、高活性の補充液を加えるものである。
具体的には、通常のPS版の処理システムでは、i)電導度又は交流インピーダンスを管理して、それが一定になるように補充液を加える方法(例えば、特許文献1及び2参照。)や、ii)平版印刷版原版の現像処理枚数が一定枚数に達する毎、或いは、一定の処理時間を経過した後、などに定期的に所定量の補充液を加える方法(例えば、特許文献3及び4参照。)が提案されている。
しかし、上述した各方法を適用した場合においては、現像性が上昇した場合、画像部にキズが発生することがある。また、画像部の濃度が低下して耐刷性が低下するという問題がある。一方、現像性が低下した場合、アワ、ゴミ、オイル成分などが自動現像装置内の現像槽入口で感光層表面に付着すると、現像後に0.2〜3.0mm程度の大きさの感光層が残存したり、また、自動現像装置内の水洗部で感光層成分が再付着するという問題がある。
更に、i)電導度で管理する方法においては、現像処理枚数が増えて感光層の組成物が多く溶解するようになると、スタート時と比べて同じ電導度値でもpHが異なり、現像性も異なってくるという問題がある。
また、ii)定期的に所定量の補充液を加える方法においては、プレートの単位面積当りの補充量が規定されるために、画像面積によって現像液に溶け込む感光層の組成物量が異なること、自動現像機の設置環境(温度、湿度、CO濃度等)により経時でのCO吸収量が異なること等の要因により、現像液の状態が微妙に変化してしまう。このため、定期的に所定量の補充液を加える方法では、0.2〜3.0mm程度の大きさの感光層が残存し易く、また、水洗部で感光層成分が再付着し易くなり、同一の補充量設定で、汎用的に均一な平版印刷版を持続的に得るのは困難であった。
通常、UV露光を用いる通常の平版印刷版原版においては、ラチチュードが広いため上記のような点は大きな問題にはならない。しかし、赤外レーザ用ポジ型平版印刷版原版は、先に述べたようにラチチュードが狭いことから、現像液の活性度の変化により画像形成性が大きく変動し、平版印刷版の品質上の問題を容易に引き起こす。
しかしながら、汎用の赤外線レーザ用ポジ型平版印刷版原版の製版方法であって、上述したような感光層の残存や、水洗部における感光層成分の再付着を効果的に防止しうる製版方法は、未だ見出されていない。
特開昭64−21451号公報 特公昭2−35978号公報 特開2000−105465号公報 特開平6−43661号公報
本発明は、前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明は、ダイレクト製版用の赤外線レーザ用ポジ型平版印刷版原版の自動現像装置による製版に適用でき、平版印刷版の品質を一定に保ち、均一な画像を連続的に形成しうる平版印刷版の製版方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、検討の結果、少なくとも、現像部、水洗部、フィニッシャー部、及び平版印刷版原版の搬送部材を備えた自動現像装置の水洗部内の搬送ロールに対し、側面に特定のクリアランスを有する凹部(段差)を設けた水切りロールを接触配置することで、上記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の平版印刷版の製版方法は、支持体上に、アルカリ水溶液可溶性樹脂と、光熱変換物質と、を含有してなる感光層を有するポジ型平版印刷版原版を、露光後、少なくとも、現像部と、水洗部と、フィニッシャー部と、平版印刷版原版の搬送部材と、を備えた自動現像装置を用いて製版する平版印刷版の製版方法であって、
前記自動現像装置における水洗部内の搬送ロール表面に、側面に0.1mm〜1.0mmのクリアランスを有する凹部を設けた水切りロールを外接させて配設することを特徴とする。
本発明の平版印刷版の製版方法は、ダイレクト製版用の赤外線レーザ用ポジ型平版印刷版原版の自動現像装置による製版に適用され、感光層の残膜発生を抑制し、かつ、感光層成分の再付着を防止することで、平版印刷版の品質を一定に保ち、均一な画像を連続的に形成することができる。
以下、本発明の平版印刷版の製版方法(以下、適宜「製版方法」と称する。)について詳細に説明する。
本発明の製版方法は、ポジ型平版印刷版原版の自動現像装置による製版に適用される製版方法である。
本発明に適用される自動現像装置は、少なくとも、現像部と、水洗部と、フィニッシャー部と、平版印刷版原版の搬送部材と、を備えた自動現像装置であり、当該水洗部内の搬送ロール表面に、側面に0.1mm〜1.0mmのクリアランスを有する凹部を設けた水切りロールを外接させて配設することを主たる特徴とする。
この自動現像装置は、現像部、水洗部、及びフィニッシャー部以外の他の部位を備えていてもよい。
本発明において、自動現像装置の水洗部内の搬送ロール表面に、側面に0.1〜1.0mmのクリアランスを有する凹部を設けた水切りロールを外接させて配設する。まず、この水切りロールについて説明する。
本発明における水切りロールには、その側面に0.1〜1.0mmのクリアランスを有する凹部が設けられている。ここで、水切りロールの構造について、図1を参照して説明する。
図1は、水切りロールの軸方向の断面形状を示す概略図である。なお、この図1には、各部位の好ましい大きさについても併記した。
図1に示されるように、水切りロール80には、両端部の外径に対してクリアランス(図1中のC)が0.1〜1.0mmである凹部82が設けられている。この凹部82は、水切りロールの全長に対して95%程度(具体的には、1350mm〜1500mmの範囲が好ましい。)の長さで、且つ、水きりロールの側面に全周に亘って設けられていることが好ましい。
また、クリアランスCは、両端部の外径と凹部の外径との距離であって、本発明においては、0.1mm〜1.0mmの範囲であることを要するが、中でも、0.2mm〜0.8mmの範囲であることが好ましく、0.4mm〜0.6mmの範囲であることがより好ましい。
クリアランスCが0.1mmよりも小さいと、液活性の低い現像液を使用した際にカスの付着が生じる。また、クリアランスCが1.0mmよりも大きいと、印刷物の網点にスジムラが発生する。
また、この水切りロールの両端部の外径としては、10mm〜50mmの範囲であることが好ましく、15mm〜30mmの範囲であることがより好ましい。
また、水切りロールの長さとしては、自動現像機の大きさにより異なるが、一般的には、1000mm〜1600mmの範囲であることが好ましい。
次に、図2を参照して、本発明における水切りロールの配設状態について説明する。なお、ここで、平版印刷版原版の搬送方向は矢印Aで示される方向である。
ここで、図2は、水切りロールの配設状態を説明するための概略断面図である。図2に示されるように、水切りロール80は、水洗部内の一対の搬送ロール54a、54bにおける搬送ロール54aの表面に対し、外接させて配設する。
このように配設することで、搬送ロール54aと54bとのニップ部の液量をコントロールすることができる。
なお、水切りロールを外接させる搬送ロールは、平版印刷版原版の使用面を上方に向けて搬送するため、この使用面が接触することから、版材の搬送路を構成する一対の搬送ロールの上方に位置する搬送ロール(例えば、図2における搬送ロール54a)であることが好ましい。
また、水切りロールの配設位置は、この水切りロールの設置効果を高めるため、図2において、平版印刷版原版の搬送方向(矢印A)における下流側であって、矢印a〜bで示される90度の範囲内であることが好ましい。
なお、水切りロール80は、図2に示されるように、搬送ロール54aに対して外接させることに限定はされない。例えば、後述する図3に示されるように、水洗部内に搬送ロール対(搬送ロール54a、54bと搬送ロール56a、56b)が複数存在する際には、搬送ロール54a、56aのどちらか一方にのみ設けられていてもよいし、搬送ロール54a、56aの両方に設けられていてもよい。
続いて、図3を参照して、本発明の平版印刷版の製版方法を適用した自動現像装置について説明する。
ここで、図3は、本発明の平版印刷版の製版方法適用した自動現像装置の例示的一態様を示した概略断面図である。
自動現像装置10は、図示しない赤外線レーザによる露光装置によって画像が記録された平版印刷版原版(版材)12の現像とフィニッシング処理とを行う。
まず、自動現像装置10の概略について説明する。
自動現像装置10は、現像部18と、水洗部24と、版材12にガムを塗布して不感脂処理するフィニッシャー部26と、版材12を乾燥する乾燥部16とを備えている。現像部18は、現像槽14を、水洗部24は、水洗槽28を、フィニッシャー部26はガム液槽30を備えている。
また、現像部18側の外側パネル20には、版材12が挿入されるスリット状の挿入口22が設けられている。挿入口22の内側には、一対の搬送ロール32が配設されており、挿入口22から挿入された版材12が、この搬送ロール32によって狭持搬送され、水平方向に対して所定の角度で現像槽14へ向けて送り出されるようになっている。
現像槽14は、上方が開口され、底部中央部が下方に向けて突き出された略逆山形状とされており、この現像槽14内には、版材12の搬送方向に沿って上流側から順に、一対の搬送ロール34、擦り部ロール36、38、及び一対の絞りロール40が配設されている。これらの搬送ロール34、擦り部ロール36、38、及び絞りロール40は、図示しない駆動機構によって回転するようになっている。
また、絞り部ロール36を間に置いてバックアップロール44、46が対向配置され、更に絞り部ロール38と対向してバックアップロール48が配置されている。これらのバックアップロール44、46、48には、駆動力は伝達されずに回転自在になっている。なお、現像部18では、底壁に設けられた継手管50を介して、現像槽14内の現像液が吸引されて、側壁に形成された吐出口(図示せず)を通じて現像槽14内に吐出され、現像液の循環及び攪拌が行われる。
現像部18の下流側の水洗部24には、水洗槽28の上方にそれぞれ1対の搬送ロール54(54a、54b)、56(56a、56b)が配設されている。これらの搬送ロール54、56は、自動現像装置10の側板に回転可能に接続されており、駆動手段の駆動力が伝達さて、現像部18から送り込まれた版材12の搬送路を形成している。
また、搬送ロール54と搬送ロール56との間には、スプレーパイプ58が対向配置されおり、噴出口が搬送路に向けられている。スプレーパイプ58からは、水洗槽28からポンプで汲み上げられた水洗液が噴出され、版材12の表面及び裏面が水洗水によって覆われる。なお、洗浄後の水洗液は、水洗槽へ流れる。
前述の水切りロールは、搬送ロール54、56の上部に存在する搬送ロール54a、56bに、図3に示すように外接させて配設されている。
搬送ロール32と34は主として平版印刷版原版又は現像後の平版印刷版の搬送速度を決定する。一方、水洗部24に配設された搬送ロール54と56は、搬送ロール32と34の回転速度に比べ変化させるような駆動機構によって回転するように、搬送ロール32と34とは別の駆動機構により制御されていてもよい。
水洗部24に配設された搬送ロール54と搬送ロール56の回転速度は、搬送ロール32と34の回転速度に比較して、一定の差異をもって制御されていてもよいが、現像液の活性度に応じて適宜、その差異を調整するよう、制御することもできる。また、速度の調整は、入口に配設された搬送ロール54のみ、或いは、出口に配設された搬送ロール56
のみについて行ってもよく、その両方について行ってもよい。
水洗部24の下流側の不感脂化処理部であるフィニッシャー部26のガム液層30の上方には、一対の絞りロール60が設けられている。そして、搬送ロール56によって送り出される版材12が、この絞りロール60へ送られる。絞りロール60の上流側には、上下方向にスプレーパイプ62が対向配置され、噴出口が搬送路に向けられている。このスプレーパイプ62からは、ガム液槽30からポンプによって吸い込まれたガム液が噴出され、版材12の表面及び裏面に塗布される。
その後、絞りロール60によってガム液が均一に塗布された版材12は、シャッター64で開閉される通路口66を通じて、乾燥部16へ案内される。この乾燥部16では、ガイドロール68、それぞれ一対の串ロール70、72によって搬送され、乾燥された版材12が、排出口74から自動現像装置10の外へ排出される。
搬送ロール、絞りロールとしては、処理薬品に耐えるものであればいかなるものでも使用することができる。好ましくは、シリコーンゴム、ブチルゴム、エチレン・プロピレンゴム(EPT・EPDM)、アクリロニトリル・ブタジエンゴム(NBR)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、クロロピレンゴム(CR)などを使用することができる。
搬送ロール、絞りロールには、防かび剤や坑菌剤を含有したものを使用するのが好ましい。防かび剤や坑菌剤にとしては、一般に知られているものが使用できるが、好ましくは、2−(4−チアゾリル)−ベンズイミドアゾール(商品名:ホクスターHP、北興化学工業(株)製)などのチアゾール系、アモルデンSK−950(大和化学(株)製の商品名)のチアゾリン系、更に、バイナジン(商品名:Vinyzene、米国モートンチオコール社製)などを使用することができる。
防かび剤や坑菌剤の添加量は、上記ゴムロールに対して質量比で0.1〜5%の範囲が好ましい。
また、水洗部内の搬送ロールに外接させて配設する水切りロールを構成する材料としては、処理薬品に耐えるものであればいかなるものでも使用することができる。好ましくは、安定なクリアランス量を正確に確保するために加工精度が出しやすい金属ロールが好ましい。
次に、本発明の製版方法に適用される平版印刷版原版について説明する。
本発明において用いられる平版印刷版原版は、支持体上に、アルカリ水溶液可溶性樹脂と、光熱変換物質と、を含有してなる感光層を有するポジ型平版印刷版原版である。
本発明における感光層は、アルカリ水溶液可溶性樹脂と、光熱変換物質と、を含有してなるものであり、その他、赤外レーザ用ポジ型感光性組成物に、通常用いられる添加剤などを添加したものであってもよい。
[アルカリ水溶液可溶性樹脂]
アルカリ水溶液可溶性樹脂(以下、単に「アルカリ可溶性樹脂」と称する場合がある。)としては、従来公知のものが特に制限なく使用できる。特に、一般にフェノール性基を有する高分子化合物、アルカリ可溶性基を有するアクリル樹脂等が用いられる。以下に具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
フェノール性基を有する高分子化合物としては、ノボラック樹脂、レゾール樹脂が挙げられる。また、フェノール基を側鎖に有するモノマーを重合させた高分子化合物、例えば、フェノール基を有するアクリルアミドやメタクリルアミドやアクリル酸エステルやメタクリル酸エステルがあり、同様にヒドロキシスチレンを重合成分とした高分子化合物が挙げられる。
上記ノボラック樹脂としては、フェノールホルムアルデヒド樹脂、m−/p−混合クレゾールホルムアルデヒド樹脂、及びフェノール/クレゾール(m−、p−、o−、m−/p−混合、m−/o−混合及びo−/p−混合のいずれでもよい。)混合ホルムアルデヒド樹脂を挙げることができる。
また、アルカリ可溶性基を有するアクリル樹脂としては、スルホンアミド基(−SONH−R)、置換スルホンアミド系酸基(以下、「活性イミド基」という。)〔−SONHCOR、−SONHSOR、−CONHSOR〕、(3)カルボン酸基(−COH)、スルホン酸基(−SOH)、リン酸基(−OPO)などの酸性基を側鎖中に有するアクリル樹脂を挙げることができる。ここで、Rは、それそれ、水素原子、又は置換基を有していてもよい炭化水素基を表す。
例えば、スルホンアミド基を有するアクリル樹脂としては、特に、m−アミノスルホニルフェニルメタクリレート、N−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド、N−(p−アミノスルホニルフェニル)アクリルアミド等の重合体を好適に使用することができる。
本発明において高分子化合物がノボラック樹脂である場合には、重量平均分子量が500〜20,000であり、数平均分子量が200〜10,000のものが好ましく、それ以外の高分子化合物の場合は、好ましくは、重量平均分子量が5,000〜300,000で、数平均分子量が800〜250,000である。
本発明に用いられるポジ型平版印刷版原版においてアルカリ可溶性樹脂は、感光層全固形分に対し、30〜99質量%、好ましくは50〜99質量%、特に好ましくは65〜99質量%の添加量で用いられる。
[光熱変換物質]
本発明の感光層は、光を吸収し熱を発生する光熱変換物質を含有する。光熱変換物質の含有により高感度化を図ることができる。この光熱変換物質としては、赤外線吸収剤が好ましく用いられ、この赤外線吸収剤としては公知の種々の顔料や染料等が好適に挙げられる。本発明においては、光熱変換物質として赤外線吸収染料を用いることが好ましい。
本発明に係る赤外線吸収染料としては、市販の染料及び文献(例えば「染料便覧」有機合成化学協会編集、昭和45年刊)に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料などの染料が挙げられる。本発明において、これらの染料のうち特に700〜1200nmの赤外線を吸収するものが、赤外光もしくは近赤外光を発光するレーザでの利用に適する点で特に好ましい。
このような赤外線吸収染料の具体例として、例えば特開昭58−125246号、特開昭59−84356号、特開昭60−78787号の各公報、米国特許第4,973,572号明細書等に記載されているシアニン染料、特開昭58−173696号、特開昭58−181690号、特開昭58−194595号の各公報等に記載されているメチン染料、特開昭58−112793号、特開昭58−224793号、特開昭59−48187号、特開昭59−73996号、特開昭60−52940号、特開昭60−63744号の各公報等に記載されているナフトキノン染料、特開昭58−112792号公報等に記載されているスクワリリウム色素、英国特許第434,875号明細書に記載のシアニン染料等を挙げることができる。
また、染料として、米国特許第5,156,938号明細書記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特許第3,881,924号明細書記載の置換されたアリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号公報記載のトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同58−220143号、同59−41363号、同59−84248号、同59−84249号、同59−146063号、同59−146061号の各公報に記載されているピリリウム系化合物、特開昭59−216146号公報記載のシアニン色素、米国特許第4,283,475号明細書に記載のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−13514号公報、同5−19702号公報に記載されているピリリウム化合物等が、市販品としては、エポリン社製のEpolight III−178、Epolight III−130、Epolight III−125等を挙げることができる。
また、好ましい別の例として米国特許第4,756,993号明細書中に式(I)、(II)として記載されている近赤外吸収染料を挙げることができる。
本発明に用いられるポジ型平版印刷版原版において光熱変換物質(赤外線吸収染料)は、感光層全固形分に対し0.01〜30質量%、好ましくは0.1〜30質量%、特に好ましくは0.2〜25質量%の割合で添加することができる。光熱変換物質の添加量が0.01質量%未満であると感度が低くなる傾向があり、また、50質量%を超えると感光層内の均一性が失われ、感光層の耐久性が悪くなる傾向がある。
[その他の成分]
本発明におけるポジ型平版印刷版原版画像部の現像液への耐溶解性(インヒビション)を高める目的で、感光層に種々の溶解阻止化合物(インヒビター)を含有させることができる。
本発明においては、公知のインヒビターを特に限定なしに用いることができる。中でも、好ましく用いられるものとして、4級アンモニウム塩、ポリエチレングリコール系化合物等が挙げられる。
4級アンモニウム塩としては、特に限定されないが、テトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキルアリールアンモニウム塩、ジアルキルジアリールアンモニウム塩、アルキルトリアリールアンモニウム塩、テトラアリールアンモニウム塩、環状アンモニウム塩、二環状アンモニウム塩、及び特開2002−229186号公報に記載のアンモニウム塩が挙げられる。また、特願2001−398047号明細書に記載のアンモニウム塩も好適なものとして挙げられる。
4級アンモニウム塩の添加量は感光層の全固形分量に対して固形分で0.1〜50%であることが好ましくは、1〜30%であることがより好ましい。0.1%以下では溶解阻止効果が少なくなり好ましくない。また、50%以上添加した場合は、バインダーの成膜性に悪影響を与えることがある。
ポリエチレングリコール化合物としては、特に限定されないが、下記構造のものが挙げられる。
−{−O−(R−O−)−R
(Rは多価アルコール残基又は多価フェノール残基、Rは水素原子、C25の置換基を有しても良いアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキロイル基、アリール基又はアリーロイル基、Rは置換基を有しても良いアルキレン残基を示す。mは平均で10以上、nは1以上4以下の整数である。)
また、上記インヒビションの強化の施策を行った場合、感度の低下が生じるが、この場合、ラクトン化合物を添加することが有効である。このラクトン化合物は、露光部に現像液が浸透した際、現像液とラクトン化合物が反応し、新たにカルボン酸化合物が発生し、露光部の溶解に寄与して感度が向上するものと考えられる。
また、本発明に用いられるポジ型平版印刷版原版においては、更に、熱分解性でありかつ熱分解しない状態ではアルカリ可溶性樹脂の溶解性を実質的に低下させる物質を含有することが、露光部と未露光部との差を更に拡大する点から好ましい。
この「熱分解性でありかつ熱分解しない状態ではアルカリ可溶性樹脂の溶解性を実質的に低下させる物質(以下、熱分解性物質と称する。)」としては、特に限定されないが、種々のオニウム塩、キノンジアジド化合物類等が挙げられる。特に、熱分解性の点から、オニウム塩であることが好ましい。
オニウム塩としては、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、セレノニウム塩、アルソニウム塩等を挙げることができる。
更に、ナフトキノン−(1,2)−ジアジド−4−スルホン酸クロライドとフェノールホルムアルデヒド樹脂或いはクレゾール−ホルムアルデヒド樹脂とのエステル、ナフトキノン−(1,2)−ジアジド−4−スルホン酸クロライドとピロガロール−アセトン樹脂とのエステルも同様に好適に使用される。
その他の有用なo−キノンジアジド化合物としては、数多くの特許に報告され知られている。例えば、特開昭47−5303号、特開昭48−63802号、特開昭48−63803号、特開昭48−96575号、特開昭49−38701号、特開昭48−13354号、特公昭41−11222号、特公昭45−9610号、特公昭49−17481号の各公報、米国特許第2,797,213号、同第3,454,400号、同第3,544,323号、同第3,573,917号、同第3,674,495号、同第3,785,825号の各明細書、英国特許第1,227,602号、同第1,251,345号、同第1,267,005号、同第1,329,888号、同第1,330,932号の各明細書、ドイツ特許第854,890号明細書などに記載されているものを挙げることができる。
o−キノンジアジド化合物などの熱分解性物質の添加量は、好ましくは下層全固形分に対し、1〜50質量%、更に好ましくは5〜30質量%、特に好ましくは10〜30質量%の範囲である。これらの化合物は単一で使用できるが、数種の混合物として使用してもよい。
なお、分解性の観点から熱分解性物質は、オニウム塩がより好ましい。
この熱分解性の高いオニウム塩を用いることにより、露光部の該熱分解性物質の分解をより促進し、露光部未露光部のディスクリミネーションを向上させていると考えられる。
感光層を形成するにあたっては、上記成分の他、本発明の効果を損なわない限りにおいて、必要に応じて、更に種々の添加剤を添加することができる。以下に、添加剤の例を挙げて説明する。
例えば、画像部と非画像部との識別性(ディスクリミネーション)の強化や表面のキズに対する抵抗力を強化する目的で、特開2000−187318号公報に記載されているような、分子中に炭素数3〜20のパーフルオロアルキル基を2又は3個有する(メタ)アクリレート単量体を重合成分とする重合体を併用すること好ましい。
添加量としては、感光層全固形分の0.1〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜5質量%である。
本発明におけるポジ型平版印刷版原版においては、キズに対する抵抗性を付与する目的で、感光層に、表面の静摩擦係数を低下させる化合物を添加することもできる。具体的には、米国特許第6,117,913号明細書に用いられているような、長鎖アルキルカルボン酸のエステルなどを挙げることができる。
また、必要に応じて、低分子量の酸性基を有する化合物を含んでもよい。酸性基としては、スルホン酸、カルボン酸、リン酸基を挙げることができる。中でも、スルホン酸基を有する化合物が好ましい。具体的には、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸等の芳香族スルホン酸類や脂肪族スルホン酸類を挙げることができる。
添加量として好ましいのは、層を形成する材料中に占める割合が0.05〜5質量%、より好ましくは0.1〜3質量%である。5%より多いと感光層の現像液に対する溶解性が増加してしまい、好ましくない。
また、本発明においては、溶解性を調節する目的で種々の溶解抑制剤を含んでもよい。
溶解抑制剤としては、特開平11−119418号公報に示されるようなジスルホン化合物又はスルホン化合物が好適に用いられ、具体例として、4,4’−ビスヒドロキシフェニルスルホンを用いることが好ましい。
また、更に感度を向上させる目的で、環状酸無水物類、フェノール類、有機酸類を併用することもできる。
環状酸無水物としては、米国特許第4,115,128号明細書に記載されている無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、3,6−エンドオキシ−Δ4−テトラヒドロ無水フタル酸、テトラクロル無水フタル酸、無水マレイン酸、クロル無水マレイン酸、α−フェニル無水マレイン酸、無水コハク酸、無水ピロメリット酸などが使用できる。
フェノール類としては、ビスフェノールA、p−ニトロフェノール、p−エトキシフェノール、2,4,4’−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、4,4’,4”−トリヒドロキシトリフェニルメタン、4,4’,3”,4”−テトラヒドロキシ−3,5,3’,5’−テトラメチルトリフェニルメタンなどが挙げられる。
更に、有機酸類としては、特開昭60−88942号、特開平2−96755号公報などに記載されている、スルホン酸類、スルフィン酸類、アルキル硫酸類、ホスホン酸類、リン酸エステル類及びカルボン酸類などがあり、具体的には、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルフィン酸、エチル硫酸、フェニルホスホン酸、フェニルホスフィン酸、リン酸フェニル、リン酸ジフェニル、安息香酸、イソフタル酸、アジピン酸、p−トルイル酸、3,4−ジメトキシ安息香酸、フタル酸、テレフタル酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、エルカ酸、ラウリン酸、n−ウンデカン酸、アスコルビン酸などが挙げられる。
また、感光層を形成する際に用いられる塗布液中には、現像条件に対する処理の安定性を広げるため、特開昭62−251740号公報や特開平3−208514号公報に記載されているような非イオン界面活性剤、特開昭59−121044号公報、特開平4−13149号公報に記載されているような両性界面活性剤、欧州特許第950517号明細書に記載されているようなシロキサン系化合物、特開平11−288093号公報に記載されているようなフッ素含有のモノマー共重合体、特開昭62−170950号公報に記載されているようなフッ素系界面活性剤を添加することができる。
非イオン界面活性剤の具体例としては、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタントリオレート、ステアリン酸モノグリセリド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等が挙げられる。両性界面活性剤の具体例としては、アルキルジ(アミノエチル)グリシン、アルキルポリアミノエチルグリシン塩酸塩、2−アルキル−N−カルボキシエチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインやN−テトラデシル−N,N−ベタイン型(例えば、商品名「アモーゲンK」:第一工業(株)製)等が挙げられる。
シロキサン系化合物としては、ジメチルシロキサンとポリアルキレンオキシドのブロック共重合体が好ましく、具体例として、(株)チッソ社製DBE−224、DBE−621、DBE−712、DBP−732、DBP−534、独Tego社製Tego Glide100等のポリアルキレンオキシド変性シリコーンを挙げることができる。
これら界面活性剤等の好ましい添加量は、添加する層の全固形分中0.01〜1質量%、更に好ましくは0.05〜0.5質量%である。
更に、感光層中には、露光による加熱後直ちに可視像を得るための焼き出し剤や、画像着色剤としての染料や顔料を加えることができる。
焼き出し剤としては、露光による加熱によって酸を放出する化合物(光酸放出剤)と塩を形成し得る有機染料との組合せを代表として挙げることができる。具体的には、特開昭50−36209号、同53−8128号の各公報に記載されているo−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸ハロゲニドと塩形成性有機染料の組合せや、特開昭53−36223号、同54−74728号、同60−3626号、同61−143748号、同61−151644号及び同63−58440号の各公報に記載されているトリハロメチル化合物と塩形成性有機染料の組合せを挙げることができる。かかるトリハロメチル化合物としては、オキサゾール系化合物とトリアジン系化合物とがあり、どちらも経時安定性に優れ、明瞭な焼き出し画像を与える。
感光層における画像の着色剤としては、前述の塩形成性有機染料以外に他の染料を用いることができる。塩形成性有機染料を含めて、好適な染料としては、油溶性染料と塩基性染料を挙げることができる。具体的には、オイルイエロー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−505(以上オリエント化学工業(株)製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタルバイオレット(CI42555)、メチルバイオレット(CI42535)、エチルバイオレット、ローダミンB(CI145170B)、マラカイトグリーン(CI42000)、メチレンブルー(CI52015)などを挙げることができる。また、特開昭62−293247号公報に記載されている染料は特に好ましい。
更に、本発明の感光層中には必要に応じ、塗膜の柔軟性等を付与するために可塑剤が加えられる。例えば、ブチルフタリル、ポリエチレングリコール、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、オレイン酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸又はメタクリル酸のオリゴマー及びポリマー等が用いられる。
[感光層の形成]
本発明における感光層は、必要成分を溶媒に溶かして支持体上に塗布することにより形成することができる。ここで使用する溶媒としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン、トルエン等を挙げることができるがこれに限定されるものではない。これらの溶媒は単独或いは混合して使用される。
上記溶媒を用いた感光層塗布液の濃度は、好ましくは1〜50質量%である。
また、感光層の塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、皮膜特性及び感度のバランスの観点から、0.5〜3.0g/mであることが好ましい。
支持体上の感光層を塗布する方法としては、種々の方法を用いることができるが、例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げることができる。
本発明の赤外線ポジ型平版印刷版原版においては、上記のようにして形成される感光層は単層でも良いが、上層と下層とからなる重層構成とすることもできる。
重層構成にした場合は、支持体に近い層(下層)は光熱変換物質を含まない層とすることもできる。
重層構成とした場合の上層及び下層の塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、上層は0.05〜1.0g/mであり、下層は0.3〜3.0g/mであることが好ましい。上層が0.05g/m未満である場合には、画像形成性が低下し、1.0g/mを超えると感度が低下する可能性がでてくる。また、前記の2層の合計塗布量は、0.5〜3.0g/mであることが好ましく、0.5g/m未満であると皮膜特性が低下し、3.0g/mを超えると感度が低下する傾向にある。
[支持体]
本発明の支持体としては、必要な強度と耐久性を備えた寸度的に安定な板状物が挙げられ、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上記のごとき金属がラミネート、もしくは蒸着された紙、もしくはプラスチックフィルム等が含まれる。
本発明におけるポジ型平版印刷版原版の支持体としては、ポリエステルフィルム又はアルミニウム板が好ましく、その中でも寸法安定性がよく、比較的安価であるアルミニウム板は特に好ましい。好適なアルミニウム板は、純アルミニウム板及びアルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板であり、更にアルミニウムがラミネートもしくは蒸着されたプラスチックフィルムでもよい。アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタンなどがある。合金中の異元素の含有量は高々10質量%以下である。本発明において特に好適なアルミニウムは、純アルミニウムであるが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅かに異元素を含有するものでもよい。
このように本発明に適用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、公知公用の素材のアルミニウム板を適宜に利用することができる。本発明で用いられるアルミニウム板の厚みはおよそ0.1mm〜0.6mm程度、好ましくは0.15mm〜0.4mm、特に好ましくは0.2mm〜0.3mmである。
アルミニウム板を粗面化するに先立ち、所望により、表面の圧延油を除去するための例えば界面活性剤、有機溶剤又はアルカリ性水溶液などによる脱脂処理が行われる。アルミニウム板の表面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的に粗面化する方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法及び化学的に表面を選択溶解させる方法により行われる。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法などの公知の方法を用いることができる。また、電気化学的な粗面化法としては塩酸又は硝酸電解液中で交流又は直流により行う方法がある。また、特開昭54−63902号公報に開示されているように両者を組み合わせた方法も利用することができる。この様に粗面化されたアルミニウム板は、必要に応じてアルカリエッチング処理及び中和処理された後、所望により表面の保水性や耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理が施される。アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質としては、多孔質酸化皮膜を形成する種々の
電解質の使用が可能で、一般的には硫酸、リン酸、蓚酸、クロム酸或いはそれらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。
陽極酸化の処理条件は用いる電解質により種々変わるので一概に特定し得ないが一般的には電解質の濃度が1〜80質量%溶液、液温は5〜70℃、電流密度5〜60A/dm、電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分の範囲であれば適当である。陽極酸化皮膜の量は1.0g/mより少ないと耐刷性が不十分であったり、平版印刷版の非画像部に傷が付き易くなって、印刷時に傷の部分にインキが付着するいわゆる「傷汚れ」が生じ易くなる。陽極酸化処理が施された後、アルミニウム表面は必要により親水化処理が施される。本発明に関わる原板の支持体に施される親水化処理としては、米国特許第2,714,066号、同第3,181,461号、第3,280,734号及び第3,902,734号各明細書に開示されているようなアルカリ金属シリケート(例えばケイ酸ナトリウム水溶液)法がある。この方法においては、支持体がケイ酸ナトリウム水溶液で浸漬処理されるか又は電解処理される。他に特公昭36−22063号公報に開示されているフッ化ジルコン酸カリウム及び米国特許第3,276,868号、同第4,153,461号、同第4,689,272号の各明細書に開示されているようなポリビニルホスホン酸で処理する方法などが用いられる。
本発明における平版印刷版原版は、支持体上に感光層を設けたものであるが、必要に応じて支持体と感光層との間に下塗層を設けることができる。
下塗層成分としては種々の有機化合物が用いられ、例えば、カルボキシメチルセルロース、デキストリン、アラビアガム、2−アミノエチルホスホン酸などのアミノ基を有するホスホン酸類、置換基を有してもよいフェニルホスホン酸、ナフチルホスホン酸、アルキルホスホン酸、グリセロホスホン酸、メチレンジホスホン酸及びエチレンジホスホン酸などの有機ホスホン酸、置換基を有してもよいフェニルリン酸、ナフチルリン酸、アルキルリン酸及びグリセロリン酸などの有機リン酸、置換基を有してもよいフェニルホスフィン酸、ナフチルホスフィン酸、アルキルホスフィン酸及びグリセロホスフィン酸などの有機ホスフィン酸、グリシンやβ−アラニンなどのアミノ酸類、及びトリエタノールアミンの塩酸塩などのヒドロキシ基を有するアミンの塩酸塩等から選ばれるが、2種以上混合して用いてもよい。
更に、本発明においては、下記式で示される構造単位を有する有機高分子化合物群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含む下塗層も好ましい。
Figure 2009198586
ここで、R11は水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基を表し、R12及びR13はそれぞれ独立して、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、−OR14、−COOR15、−CONHR16、−COR17若しくは−CNを表すか、又はR12及びR13が結合して環を形成してもよく、R14〜R17はそれぞれ独立してアルキル基又はアリール基を表し、Xは水素原子、金属原子、NR18192021を表し、R18〜R21はそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基若しくは置換アリール基を表すか、又はR18及びR19が結合して環を形成してもよく、mは1〜3の整数を表す。
この下塗層は次のような方法で設けることができる。即ち、水又はメタノール、エタノール、メチルエチルケトンなどの有機溶剤もしくはそれらの混合溶剤に上記の有機化合物を溶解させた溶液をアルミニウム板上に塗布、乾燥して設ける方法と、水又はメタノール、エタノール、メチルエチルケトンなどの有機溶剤もしくはそれらの混合溶剤に上記の有機化合物を溶解させた溶液に、アルミニウム板を浸漬して上記化合物を吸着させ、その後水などによって洗浄、乾燥して下塗層を設ける方法である。前者の方法では、上記有機化合物の濃度0.005〜10質量%の溶液を種々の方法で塗布できる。また、後者の方法では、溶液の濃度は0.01〜20質量%、好ましくは0.05〜5質量%であり、浸漬温度は20〜90℃、好ましくは25〜50℃であり、浸漬時間は0.1秒〜20分、好ましくは2秒〜1分である。これに用いる溶液は、アンモニア、トリエチルアミン、水酸化カリウムなどの塩基性物質や、塩酸、リン酸などの酸性物質によりpH1〜12の範囲に調整することもできる。また、ポジ型平版印刷版原版の調子再現性改良のために黄色染料を添加することもできる。
下塗層の被覆量は、2〜200mg/mが適当であり、好ましくは5〜100mg/mである。上記の被覆量が2mg/mよりも少ないと十分な耐刷性能が得られない。また、200mg/mより大きくても同様である。
[製版・印刷]
上記のようにして作製された平版印刷版原版は、平版印刷版原版同士の間に合紙が挿入された状態で積み重ねられて包装された製品形態で出荷され、輸送され、保管されるのが、一般的な態様である。製版・印刷に当たっての典型的な態様としては、オートローダによって、合紙と原板の重ねられた一組がオートローダに確保され、搬送され、製版が行われる位置に装着・固定され、その後で、合紙が取り去られる態様であるが、これに限定されない。
合紙が除かれた原版には、像露光、現像処理が施される。
像露光に用いられる活性光線の光源としては、近赤外から赤外領域に発光波長を持つ光源が好ましく、また、必ずしも走査方式でなくてもよく、つまり面露光方式であってもよいが、固体レーザ或いは半導体レーザを使用する走査方式の露光が好ましい。発光波長としては、760〜1080nmが好ましい。
本発明における平版印刷版原版に適用することのできる現像液は、pHが9.0〜14.0の範囲、好ましくは12.0〜13.5の範囲にある現像液である。現像液(以下、補充液も含めて現像液と呼ぶ)には、従来知られているアルカリ水溶液が使用できる。例えば、ケイ酸ナトリウム、同カリウム、第3リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、第2リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、ほう酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、水酸化ナトリウム、同アンモニウム、同カリウム及び同リチウムなどの無機アルカリ塩が挙げられる。また、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジンなどの有機アルカリ剤が挙げられる。これらのアルカリ水溶液は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記のアルカリ水溶液の内、本発明による効果が発揮される現像液は、一つは塩基としてケイ酸アルカリを含有した、又は塩基にケイ素化合物を混ぜてケイ酸アルカリとしたものを含有した、所謂「シリケート現像液」と呼ばれるpH12以上の水溶液で、もう一つのより好ましい現像液は、ケイ酸アルカリを含有せず、非還元糖(緩衝作用を有する有機化合物)と塩基とを含有した所謂「ノンシリケート現像液」である。
前者においては、アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液はケイ酸塩の成分である酸化ケイ素SiOとアルカリ金属酸化物MOの比率(一般に〔SiO〕/〔MO〕のモル比で表す)と濃度によって現像性の調節が可能であり、例えば、特開昭54−62004号公報に開示されているような、SiO/NaOのモル比が1.0〜1.5(即ち〔SiO〕/〔NaO〕が1.0〜1.5)であって、SiOの含有量が1〜4質量%のケイ酸ナトリウムの水溶液や、特公昭57−7427号公報に記載されているような、〔SiO〕/〔M〕が0.5〜0.75(即ち〔SiO〕/〔MO〕が1.0〜1.5)であって、SiOの濃度が1〜4質量%であり、かつ該現像液がその中に存在する全アルカリ金属のグラム原子を基準にして少なくとも20質量%のカリウムを含有している、アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液が好適に用いられる。
また、ケイ酸アルカリを含有せず、非還元糖と塩基とを含有した所謂「ノンシリケート現像液」が、本発明における平版印刷版原版の現像に適用するのには一層好ましい。この現像液を用いて、平版印刷版原版の現像処理を行うと、感光層の表面を劣化させることがなく、かつ感光層の着肉性を良好な状態に維持することができる。また、平版印刷版原版は、一般には現像ラチチュードが狭く、現像液pHによる画線幅等の変化が大きいが、ノンシリケート現像液にはpHの変動を抑える緩衝性を有する非還元糖が含まれているため、シリケートを含む現像処理液を用いた場合に比べて有利である。更に、非還元糖は、シリケートに比べて液活性度を制御するための電導度センサーやpHセンサー等を汚染し難いため、この点でも、ノンシリケート現像液は有利である。また、画像部と非画像部との識別性(ディスクリミネーション)向上効果が顕著である。これは、本発明において識別性や膜物性維持のために重要な現像液との接触(浸透)がマイルドとなり、露光部及び未露光部の差が出やすくなっているためと推定される。
前記非還元糖とは、遊離のアルデヒド基やケトン基を持たず、還元性を示さない糖類であり、還元基同士の結合したトレハロース型少糖類、糖類の還元基と非糖類が結合した配糖体、及び糖類に水素添加して還元した糖アルコールに分類され、何れも本発明において好適に用いることができる。なお、本発明においては、特開平8−305039号公報に記載された非還元糖を好適に使用することができる。
前記トレハロース型少糖類としては、例えば、サッカロース、トレハロース等が挙げられる。前記配糖体としては、例えば、アルキル配糖体、フェノール配糖体、カラシ油配糖体等が挙げられる。前記糖アルコールとしては、例えば、D,L−アラビット、リビット、キシリット、D,L−ソルビット、D,L−マンニット、D,L−イジット、D,L−タリット、ズリシット、アロズルシット等が挙げられる。更に、二糖類のマルトースに水素添加したマルチトール、オリゴ糖の水素添加で得られる還元体(還元水あめ)等が好適に挙げられる。これらの非還元糖の中でも、トレハロース型少糖類、糖アルコールが好ましく、その中でも、D−ソルビット、サッカロース、還元水あめ、等が適度なpH領域に緩衝作用があり、低価格である点で好ましい。
これらの非還元糖は、一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。前記非還元糖の前記ノンシリケート現像液中における含有量としては、0.1〜30質量%が好ましく、1〜20質量%がより好ましい。前記含有量が、0.1質量%未満であると十分な緩衝作用が得られなくなる傾向があり、30質量%を越えると高濃縮化し難く、また、原価も高くなる傾向がある。
また、前記非還元糖と組み合わせて用いられる塩基としては、従来公知のアルカリ剤、例えば、無機アルカリ剤、有機アルカリ剤等が挙げられる。無機アルカリ剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸三アンモニウム、リン酸二ナトリウム、リン酸二カリウム、リン酸二アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウム、硼酸ナトリウム、硼酸カリウム、硼酸アンモニウム等が挙げられる。
有機アルカリ剤としては、例えば、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジン等が挙げられる。
前記塩基は、一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。これらの塩基の中でも、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましい。
また、本発明においては、前記ノンシリケート現像液として、非還元糖と塩基との併用に代えて、非還元糖のアルカリ金属塩を主成分としたものを用いることもできる。
また、前記ノンシリケート現像液に、前記非還元糖以外の弱酸と強塩基とからなるアルカリ性緩衝液を併用することができる。前記弱酸としては、解離定数(pKa)が10.0〜13.2のものが好ましく、例えば、Pergmon Press 社発行のIonization Constants of Organic Acidsin Aqueous Solution 等に記載されているものから選択できる。
具体的には、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノ−ル−1、トリフルオロエタノール、トリクロロエタノール等のアルコール類、ピリジン−2−アルデヒド(、ピリジン−4−アルデヒド(等のアルデヒド類、サリチル酸、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、カテコール、没食子酸、スルホサリチル酸、3,4−ジヒドロキシスルホン酸、3,4−ジヒドロキシ安息香酸、ハイドロキノン(同11.56)、ピロガロール、o−、m−,p−クレゾール、レゾルソノール等のフェノール性水酸基を有する化合物、アセトキシム、2−ヒドロキシベンズアルデヒドオキシム、ジメチルグリオキシム、エタンジアミドジオキシム、アセトフェノンオキシム等のオキシム類、アデノシン、イノシン、グアニン、シトシン、ヒポキサンチン、キサンチン等の核酸関連物質、その他に、ジエチルアミノメチルホスホン酸、ベンズイミダゾール、バルビツル酸等が好適に挙げられる。
前記現像液及び補充液には、現像性の促進や抑制、現像カスの分散又は、印刷版画像部の親インキ性を高める目的で、必要に応じて、種々の界面活性剤や有機溶剤を添加できる。前記界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系及び両性界面活性剤が好ましい。更に、前記現像液及び補充液には、必要に応じて、ハイドロキノン、レゾルシン、亜硫酸、亜硫酸水素酸などの無機酸のナトリウム塩、カリウム塩等の還元剤、更に有機カルボン酸、消泡剤、硬水軟化剤等を加えることができる。
前記現像液及び補充液を用いて現像処理された画像形成材料は、水洗水、界面活性剤等を含有するリンス液、アラビアガムや澱粉誘導体を含む不感脂化液で後処理される。前記画像形成材料を印刷版として使用する場合の後処理としては、これらの処理を種々組み合わせて用いることができる。
製版・印刷業界では、露光済みのポジ型平版印刷版原版の安定な現像作業のため、自動現像機が広く用いられている。この自動現像機は、一般に現像部と後処理部からなり、印刷版を搬送する装置と各処理液槽及びスプレー装置からなり、露光済みの印刷版を水平に搬送しながら、ポンプで汲み上げた各処理液をスプレーノズルから吹き付けて現像処理するものである。また、最近は処理液が満たされた処理液槽中に液中ガイドロールなどによって印刷版を浸漬搬送させて処理する方法も知られている。このような自動処理においては、各処理液に処理量や稼働時間等に応じて補充液を補充しながら処理することができる。
本発明の製版方法は、上記のような自動現像機による処理に適用されるものである。
本発明の製版方法が適用される製版作業においては、画像露光し、現像し、水洗及び/又はリンス及び/又はガム引きして得られた平版印刷版に不必要な画像部がある場合には、その不必要な画像部の消去が行なわれる。このような消去は、例えば、特公平2−13293号公報に記載されているような消去液を不必要画像部に塗布し、そのまま所定の時間放置したのちに水洗することにより行う方法が好ましいが、特開平59−174842号公報に記載されているようなオプティカルファイバーで導かれた活性光線を不必要画像部に照射したのち現像する方法も利用できる。
以上のようにして得られた平版印刷版は、所望により不感脂化ガムを塗布したのち、印刷工程に供することができるが、より一層の高耐刷力の平版印刷版としたい場合にはバーニング処理が施される。平版印刷版をバーニングする場合には、バーニング前に特公昭61−2518号、同55−28062号、特開昭62−31859号、同61−159655号の各公報に記載されているような整面液で処理することが好ましい。
その方法としては、該整面液を浸み込ませたスポンジや脱脂綿にて、平版印刷版上に塗布するか、整面液を満たしたバット中に印刷版を浸漬して塗布する方法や、自動コーターによる塗布などが適用される。また、塗布した後でスキージ、或いは、スキージロールーで、その塗布量を均一にすることは、より好ましい結果を与える。
整面液の塗布量は一般に0.03〜0.8g/m(乾燥質量)が適当である。整面液が塗布された平版印刷版は必要であれば乾燥された後、バーニングプロセッサー(たとえば富士フイルム(株)より販売されているバーニングプロセッサー:「BP−1300」)などで高温に加熱される。この場合の加熱温度及び時間は、画像を形成している成分の種類にもよるが、180〜300℃の範囲で1〜20分の範囲が好ましい。
バーニング処理された平版印刷版は、必要に応じて適宜、水洗、ガム引きなどの従来行なわれている処理を施こすことができるが水溶性高分子化合物等を含有する整面液が使用された場合にはガム引きなどのいわゆる不感脂化処理を省略することができる。この様な処理によって得られた平版印刷版はオフセット印刷機等にかけられ、多数枚の印刷に用いられる。
以下、本発明を実施例に従って説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されない。
[実施例1]
〔支持体の作製〕
(支持体1の作製)
厚さ0.24mmのアルミニウム板(Si:0.06質量%、Fe:0.30質量%、Cu:0.014質量%、Mn:0.001質量%、Mg:0.001質量%、Zn:0.001質量%、Ti:0.03質量%を含有し、残部はAlと不可避不純物のアルミニウム合金)に対し以下に示す表面処理を連続的に行った。
比重1.12の研磨剤(ケイ砂)と水との懸濁液を研磨スラリー液としてアルミニウム板の表面に供給しながら、回転するロール状ナイロンブラシにより機械的な粗面化を行った。その後、カセイソーダ濃度2.6質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%、温度70℃でスプレーによるエッチング処理を行い、アルミニウム板を6g/m溶解し、スプレーによる水洗を行った。更に、温度30℃の硝酸濃度1質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、スプレーで水洗した。その後、60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸10g/l水溶液(アルミニウムイオンを5g/l、アンモニウムイオンを0.007質量%含む。)、温度80℃であった。水洗後、アルミニウム板をカセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%でスプレーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム板を0.20g/m溶解し、スプレーによる水洗を行った。その後、温度60℃の硫酸濃度25質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、スプレーによる水洗を行った。
その後、二段給電電解処理法の陽極酸化装置を用いて陽極酸化処理を行った。電解部に供給した電解液としては、硫酸を用いた。その後、スプレーによる水洗を行った。最終的な酸化皮膜量は2.7g/mであった。
陽極酸化処理されたアルミニウム板を温度30℃の3号ケイ酸ソーダ1質量%水溶液中へ、10秒間、浸漬することでアルカリ金属ケイ酸塩処理(シリケート処理)を行った。その後、スプレーによる水洗を行った。
上記のようにして得られたシリケート処理後のアルミニウム板上に、下記組成の下塗液を塗布し、80℃で15秒間乾燥して、乾燥被覆量15mg/mの下塗層を形成させて、支持体1を作製した。
<下塗液組成>
・下記化合物 0.3g
・メタノール 100g
・水 1g
Figure 2009198586
(支持体2の作製)
支持体1の作製で用いたものと同じアルミニウム板に、以下に示す表面処理を連続的に行った。
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸10g/l水溶液(アルミニウムイオンを5g/l、アンモニウムイオンを0.007質量%含む。)、温度80℃であった。水洗後、アルミニウム板をカセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%でスプレーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム板を0.20g/m溶解し、スプレーによる水洗を行った。その後、温度60℃の硫酸濃度25質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、スプレーによる水洗を行った。 上記のようにして電気化学粗面化処理されたアルミニウム板に、支持体1の作製の場合と同様にして、陽極酸化処理、シリケート処理、及び下塗液塗布を行って、下塗層付き支持体2を作製した。
(支持体3の作製)
厚さ0.3mmのアルミニウム板(材質:JIS A 1050)を苛性ソーダ濃度30g/l、アルミニウムイオン濃度10g/l、液温60℃で10秒間エッチング処理を行い、流水で水洗し、10g/l硝酸で中和洗浄後、水洗した。これを印加電圧Va=20Vの条件下で正弦波の交番波形電流を用いて、塩化水素濃度15g/l、アルミニウムイオン濃度10g/l、液温30℃の水溶液中で、500C/dmの電気量で電気化学的な粗面化処理を行い水洗後、苛性ソーダ濃度30g/l、アルミニウムイオン濃度10g/l、液温40℃で10秒間エッチング処理を行い、流水で水洗した。次に、硫酸濃度15質量%、液温30℃の硫酸水溶液中でデスマット処理を行い水洗した。更に、液温20℃の10質量%硫酸水溶液中、直流にて電流密度6A/dmの条件下で、陽極酸化皮膜量が2.5g/m相当となるように陽極酸化処理し、水洗、乾燥した。その後、珪酸ナトリウム2.5質量%水溶液で30℃において10秒間処理し、支持体を作製した。この支持体の中心線平均粗さ(Ra)を直径2μmの針を用いて測定したところ、0.48μmであった。
上記のようにして得たシリケート処理済みアルミニウム板上に、支持体1の作製の場合と同様にして、下塗液塗布(乾燥被覆量17mg/m)を行って、下塗層付き支持体3を作製した。
(支持体4の作製)
下記(a)〜(l)の処理をこの順に行って支持体4を作製した。
(a)機械的粗面化処理
厚さ0.3mmのJIS−A−1050アルミニウム板を用いて、比重1.12の研磨剤(ケイ砂)と水との懸濁液を研磨スラリー液としてアルミニウム板の表面に供給しながら、回転するロール状ナイロンブラシにより機械的な粗面化を行った。研磨剤の平均粒径は8μm、最大粒径は50μmであった。ナイロンブラシの材質は6・10ナイロン、毛長50mm、毛の直径は0.3mmであった。ナイロンブラシは30mmφのステンレス製の筒に穴をあけて密になるように植毛した。回転ブラシは3本使用した。ブラシ下部の2本の支持ロール(20mmφ)の距離は300mmであった。ブラシロールはブラシを回転させる駆動モータの負荷が、ブラシロールをアルミニウム板に押さえつける前の負荷に対して7kWプラスになるまで押さえつけた。ブラシの回転方向はアルミニウム板の移動方向と同じであった。ブラシの回転数は200rpmであった。
(b)アルカリエッチング処理
上記で得られたアルミニウム板に温度70℃のNaOH水溶液(濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%)をスプレーしてエッチング処理を行い、アルミニウム板を6g/m溶解した。その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。
(c)デスマット処理
温度30℃の硝酸濃度1質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーで水洗した。前記デスマットに用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で交流を用いて電気化学的な粗面化を行う工程の廃液を用いた。
(d)電気化学的粗面化処理
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸10.5g/l水溶液(アルミニウムイオンを5g/l)、温度50℃であった。交流電源波形は電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが0.8msec、DUTY比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助陽極にはフェライトを用いた。使用した電解槽はラジアルセルタイプのものを使用した。
電流密度は電流のピーク値で30A/dm、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で220C/dmであった。補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。
その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。
(e)アルカリエッチング処理
アルミニウム板をカセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%でスプレーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム板を0.20g/m溶解し、前段の交流を用いて電気化学的な粗面化を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分を除去し、また、生成したピットのエッジ部分を溶解してエッジ部分を滑らかにした。その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。
(f)デスマット処理
温度30℃の硝酸濃度15質量%水溶液(アルミニウムイオンを4.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、井水を用いてスプレーで水洗した。前記デスマットに用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で交流を用いて電気化学的な粗面化を行う工程の廃液を用いた。
(g)電気化学的粗面化処理
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、塩酸7.5g/l水溶液(アルミニウムイオンを5g/l含む。)、温度35℃であった。交流電源波形は矩形波であり、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電解槽はラジアルセルタイプのものを使用した。
電流密度は電流のピーク値で25A/dm、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で50C/dmであった。
その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。
(h)アルカリエッチング処理
アルミニウム板をカセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%でスプレーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム板を0.10g/m溶解し、前段の交流を用いて電気化学的な粗面化処理を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分を除去し、また、生成したピットのエッジ部分を溶解してエッジ部分を滑らかにした。その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。
(i)デスマット処理
温度60℃の硫酸濃度25質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。
(j)陽極酸化処理
電解液としては、硫酸を用いた。電解液は、いずれも硫酸濃度170g/l(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)、温度は43℃であった。その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。
電流密度はともに約30A/dmであった。最終的な酸化皮膜量は2.7g/mであった。
(k)シリケート処理
支持体1の作製の場合と同様にシリケート処理を行った。シリケート付着量は3.5mg/mであった。
(l)下塗層の形成
支持体1の作製の場合と同様に下塗液の塗布を行い、下塗層を形成した。乾燥後の被覆量は15mg/mであった。
〔ポジ型平版印刷版原版1〜4の作製〕
上記のようにして得られた支持体1〜4に、それぞれ、下記組成の感光層下層用塗布液1を塗布した後、TABAI社製、PERFECT OVEN PH200にてWind Controlを7に設定して130℃で50秒間乾燥し、乾燥塗布量が0.85g/mの下層を設けた。次に、その上に、それぞれ、感光層上層用塗布液1を乾燥塗布量が0.25g/mになるよう塗布した。乾燥条件は、140℃、1分間であった。以上のようにして、実施例1に用いるポジ型平版印刷版原版(ポジ型平版印刷版原版1〜4)を得た。
(感光層下層用塗布液1)
・N−(4−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド/アクリロニトリル/メタクリル酸メチル 2.133g
(36/34/30質量%、:重量平均分子量50000、酸価2.65)
・シアニン染料A(下記構造) 0.109g
・4,4’−ビスヒドロキシフェニルスルホン 0.126g
・シス−Δ−テトラヒドロフタル酸無水物 0.190g
・p−トルエンスルホン酸 0.008g
・3−メトキシ−4−ジアゾジフェニルアミン
ヘキサフルオロホスフェート 0.030g
・エチルバイオレットの対イオンを6−ヒドロキシ−2−ナフタレンスルホナートに変えたもの 0.100g
・メガファックF176 0.035g
(大日本インキ化学工業(株)製、塗布面状改良フッ素系界面活性剤)
・メチルエチルケトン 25.38g
・1−メトキシ−2−プロパノール 13.0g
・γ−ブチロラクトン 13.2g
Figure 2009198586
(感光層上層用塗布液1)
・m,p−クレゾールノボラック 0.1000g
(m/p比=6/4、重量平均分子量4500、
未反応クレゾール0.8質量%含有)
・下記構造の共重合体(アクリル樹脂) 0.4000g
・シアニン染料A(前記構造) 0.0192g
・下記構造のアンモニウム化合物 0.0115g
・メガファックF176(20%) 0.022g
(大日本インキ化学工業(株)製、面状改良界面活性剤)
・1−メトキシ−2−プロパノール 13.07g
・メチルエチルケトン 6.79g
Figure 2009198586
Figure 2009198586
〔製版〕
(露光)
上記にて得られたポジ型平版印刷版原版1〜4(650mm×550mm×0.3mm厚)に対して、富士フイルム(株)製プレートセッターLuxcel Platesetter 9000CTP(出力216mW、回転数1000rpm、解像度2438dpi)を用いて露光を行った。
(現像)
露光後のポジ型平版印刷版原版1〜4に対して、図3に示される構成を有する自動現像機(FUJI FILM社製、LP−1310HII)を用いて現像を行った。
ここで、この自動現像機において、搬送ロール54aの表面に、水切りロールとして、0.3mmのクリアランス、長さ1250mmの凹部を設けた金属ロール(両端部外径20mm、長さ1350mm、凹部が設けられていない領域が両端から50mmずつ存在するもの)を外接させて配設した。
この自動現像機の現像処理槽に、下記組成の現像液(アルカリ現像処理液A(pH約13))を27リットル仕込み、30℃に保温した。水洗処理槽には、水道水を8リットル仕込んだ。フィニッシャー処理槽には、FG−1(富士フイルム(株)製):水=1:1希釈したフイニツシングガム液を8リットル仕込んだ。
<アルカリ現像処理液Aの組成>
・Dソルビット 2.5質量%
・水酸化ナトリウム 0.85質量%
・ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)5Na塩 0.05質量%
・水 96.6質量%
現像処理は、露光後のポジ型平版印刷版原版1〜4に対して、自動現像機の第1現像補充制御インピーダンス値を45.0mS/cmとして、下記の現像補充液Bを補充しながら行った。
<現像補充液Bの組成>
・Dソルビット 5.6質量%
・水酸化ナトリウム 2.5質量%
・ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)5Na塩 0.2質量%
・水 91.7質量%
露光/現像処理は、ポジ型平版印刷版原版1(650mm×550mm、0.3mm厚)、及び、ポジ型平版印刷版原版2〜4(650mm×550mm、0.3mm厚)の各々について、一日当たり250版ずつ、90日間継続して実施した。
その結果、本発明の製版方法により、ポジ型平版印刷版原版1〜4のいずれについても、90日間安定に現像処理できた。また、得られた平版印刷版を印刷したところ、画像にキズがなく、画像濃度は充分であり、非画像部に着色や汚れのない良好な印刷物が得られた。
[比較例1]
実施例1において、搬送ロール54aの表面に、水切りロールとして、凹部のない金属ロール(外径20mm、長さ1350mm)を外接させて配設した自動現像機を用いた以外は、実施例1と同様にして、ポジ型平版印刷版原版1〜4の露光/現像処理を行った。
その結果、3日目に、非画像部に直径0.5mmの残膜が発生した。
以上のように、本発明の製版方法を用いなければ、自動現像機は、好ましい状態の平版印刷版を得られる条件では、安定に稼働できなかったことになる。このことから、本発明の製版方法が有効であることがわかる。
[実施例2]
実施例1におけるポジ型平版印刷版原版1〜4と同様にして、ポジ型平版印刷版原版5〜8を作製した。
〔露光〕
得られたポジ型平版印刷版原版5〜8(650mm×550mm×0.24mm厚)に
対して、クレオ社製プレートセッター Trendsetter 3244F(出力:9.0W、回転数:150rpm、解像度2400dpi)を用いて露光を行った。
〔現像〕
露光後のポジ型平版印刷版原版5〜8に対して以下の現像を行った。
次に、実施例1で用いたものと同様の浸漬型現像槽を有する自動現像機を用い、現像処理槽に、下記組成の現像液(アルカリ現像処理液C(pH約13))を27リットル仕込み、30℃に保温した。ここで、この自動現像機において、搬送ロール54a及び56aの表面に、水切りロールとして、0.3mmのクリアランス、長さ1250mmの凹部を設けた金属ロール(両端部外径20mm、長さ1350mm、凹部が設けられていない領域が両端から50mmずつ存在するもの)をそれぞれ外接させて配設した。
水洗処理槽には、下記現像液を添加した水洗液(下記現像液を水道水で1/10に希釈した液)を8リットル仕込んだ。
フィニッシャー処理槽には、FG−1(富士フイルム(株)製):水=1:1希釈したフイニツシングガム液を8リットル仕込んだ。
<アルカリ現像処理液Cの組成>
・Si0・KO(K0/Si0=1.1(モル比)) 4.0質量%
・クエン酸 0.5質量%
・ポリエチレングリコール(重量平均分子量=1000) 0.5質量%
・水 95.0質量%
現像処理は、露光後のポジ型平版印刷版原版5〜8(650mm×550mm×0.24mm厚)に対して、一版現像処理する毎に下記組成の現像補充液Dを35ccずつ補充しながら行った。
<現像補充液Dの組成>
・Si0・KO(K0/Si0=1.1(モル比)) 5.0質量%
・クエン酸 0.6質量%
・ポリエチレングリコール(重量平均分子量=1000) 0.6質量%
・水 93.8質量%
露光/現像処理は、一日当り250版、90日間継続して実施した。
その結果、本発明の製版方法により、ポジ型平版印刷版原版5〜8のいずれについても、90日間安定に現像処理できた。また、得られた平版印刷版2を印刷したところ、画像にキズがなく、画像濃度は充分であり、非画像部に着色や汚れのない良好な印刷物が得られた。
[比較例2]
実施例2において、搬送ロール54a及び56aの表面に、水切りロールとして、凹部のない金属ロール(外径20mm、長さ1350mm)をそれぞれ外接させて配設した自動現像機を用いた以外は、実施例2と同様にして、ポジ型平版印刷版原版5〜8の露光/現像処理を行った。
その結果、4日目に、非画像部に直径0.5mmの残膜が発生した。
本発明の製版方法を用いなければ、自動現像機は、好ましい状態の平版印刷版を得られる条件では、安定に稼働できなかったことになる。このことから、本発明の製版方法が有効であることがわかる。
本発明における水切りロールの軸方向の断面形状を示す概略図である。 本発明における水切りロールの配設状態を示す概略図である。 本発明の製版方法に適用可能な代表的な自動現像装置を示す概略構成図である。
符号の説明
10 自動現像装置
12 感光性平版印刷版(版材)
16 乾燥部
18 現像部
24 水洗部
26 フィニッシャー部
32 版材の搬送ロール
54(54a及び54b) 一対の搬送ロール
56(56a及び56b) 一対の搬送ロール
80 水切りロール

Claims (1)

  1. 支持体上に、アルカリ水溶液可溶性樹脂と、光熱変換物質と、を含有してなる感光層を有するポジ型平版印刷版原版を、露光後、少なくとも、現像部と、水洗部と、フィニッシャー部と、平版印刷版原版の搬送部材と、を備えた自動現像装置を用いて製版する平版印刷版の製版方法であって、
    前記自動現像装置における水洗部内の搬送ロール表面に、側面に0.1mm〜1.0mmのクリアランスを有する凹部を設けた水切りロールが外接して配設されていることを特徴とする平版印刷版の製版方法。
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