JP2009198416A - 生体物質測定チップ及びそれを用いた発光測定装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】対物レンズで集光して光電子増倍管へ入射する光量を増やして検出感度の向上ができる生体物質測定チップ及びそれを用いた発光測定装置を提供する。
【解決手段】生体サンプルを測定するための作用極と対極とを持ち、前記作用極に金属反射膜を備えた円錐形状の凹部を持つ生体物質測定チップと、前記作用極の中心を光軸が通るように配置されたレンズユニットと、前記レンズユニットから出射された光を受光する位置に配置された受光センサとを備えた発光測定装置。
【選択図】図3
【解決手段】生体サンプルを測定するための作用極と対極とを持ち、前記作用極に金属反射膜を備えた円錐形状の凹部を持つ生体物質測定チップと、前記作用極の中心を光軸が通るように配置されたレンズユニットと、前記レンズユニットから出射された光を受光する位置に配置された受光センサとを備えた発光測定装置。
【選択図】図3
Description
本発明は、発光標識剤の発光量を測定する生体物質測定チップ及びそれを用いた発光測定装置に関するものである。
本発明は、生体物質測定チップ及びそれを用いた発光測定装置に関し、より詳細には、生体物質測定チップ及びそれを用いた発光測定装置の検出感度を向上する技術に関する。
従来の生体物質測定チップ及びそれを用いた発光測定装置は、DNAやたんぱく質の量を発光標識剤の発光量により測定する。発光標識剤を標識したDNAやたんぱく質を電極へ特異的に吸着させ、電極近傍にある発光標識剤を電気化学反応によって発光させる。この電気化学発光を光センサで受光し、光量を電気信号に変換して発光量データとして出力する。
図15に従来の生体物質測定チップ及びそれを用いた発光測定装置を示す。チップ基板200に光学的に透明なカバー204によって蓋をしてサンプル液や試薬を流すための流路203を形成している。流路203のチップ基板表面には電気化学反応を行う2種類の電極、作用極201と対極202を形成している。たんぱく質をサンドイッチ法により抗原抗体反応させる場合は次のような手順で行う。作用極201には目的タンパク質に特異的に結合する一次抗体をあらかじめ固定しておく。流路203にサンプル液を流すと、一次抗体と特異的なたんぱく質のみ作用極201上で結合する。
次に、目的タンパク質に特異的に結合し、発光標識剤を標識した二次抗体を流路203に流すと、作用極201上に目的たんぱく質がある場合にのみ二次抗体が結合する。流路203中の不要な二次抗体を緩衝液で洗い流し、作用極201と対極202との間に電圧を印加すると、作用極201上に二次抗体が結合している場合には作用極201上で発光し、二次抗体が結合していない場合には発光しない。作用極201上の発光205を対物レンズ206と集光レンズ207によって光電子増倍管208の受光面209に導き、フォトンカウント方式によって発光量を測定する。この発光量を元に目的タンパク質の量や有無を判定する(例えば、特許文献1参照。)。
特開平6−34548号公報
しかしながら、前記従来の構成では、生体物質検出チップ上の発光標識剤からの発光は放射状に照射されるので、対物レンズに入射する光はそのうちの一部のみで、それ以外の光は、利用される事なく捨てられている。そのため、対物レンズで集光して光電子増倍管へ入射する光量が少ないため、検出感度を向上することができないという課題を有していた。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、対物レンズで集光して光電子増倍管へ入射する光量を増やして検出感度の向上ができる生体物質測定チップ及びそれを用いた発光測定装置を提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本発明の生体物質測定チップは、生体サンプルを測定するための作用極と対極とを持ち、前記作用極に凹部を有することを特徴としたものである。
また、本発明の生体物質測定チップ及びそれを用いた発光測定装置は、前記生体物質測定チップと、前記作用極の中心を光軸が通るように配置されたレンズユニットと、前記レンズユニットから出射された光を受光する位置に配置された受光センサとを備えたことを特徴としたものである。
本発明の生体物質測定チップ及びそれを用いた発光測定装置によれば、発光標識剤の発光のうち、従来は対物レンズに入射させることができなかった発光も入射させることができ、光電子増倍管へ入射させられる光量を増加させることができるので、高い検出感度を実現することができる。
以下に、本発明の生体物質測定チップ及びそれを用いた発光測定装置の実施の形態を図面とともに詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1に、本発明の実施の形態1における生体物質検出チップを上面から見た図を示す。チップ基板4はガラス製で厚みは1mm、大きさは20mm角とし、チップ基板4上には作用極1、対極2、参照極3の3つの電極を形成している。これら3つの電極は3電極法にて電気化学発光を行うための電極である。チップ基板4の中央部に発光標識の発光部位となる作用極1を円形に形成し、作用極1を囲むように対極2を配置し、作用極1と対極2との隙間に参照極3を配置している。本実施例では、作用極1の円形部の直径は3mm、対極2までの隙間は1mm、対極2の円形部の外周の直径は7mm、隙間にある参照極3の線幅は0.2mmとした。3つの電極はチップ基板4の端に向けて伸ばしてあり、これは電圧印加部と接続するための接点部である。
図1に、本発明の実施の形態1における生体物質検出チップを上面から見た図を示す。チップ基板4はガラス製で厚みは1mm、大きさは20mm角とし、チップ基板4上には作用極1、対極2、参照極3の3つの電極を形成している。これら3つの電極は3電極法にて電気化学発光を行うための電極である。チップ基板4の中央部に発光標識の発光部位となる作用極1を円形に形成し、作用極1を囲むように対極2を配置し、作用極1と対極2との隙間に参照極3を配置している。本実施例では、作用極1の円形部の直径は3mm、対極2までの隙間は1mm、対極2の円形部の外周の直径は7mm、隙間にある参照極3の線幅は0.2mmとした。3つの電極はチップ基板4の端に向けて伸ばしてあり、これは電圧印加部と接続するための接点部である。
作用極1、対極2及び参照極3には、発光標識の発光を反射する材料として、金をスパッタして形成した。後述するように作用極1は円錐状に凹ませているので、作用極上の対向面からの光を反射させてチップ基板上に配置される受光ユニットへ入射させるために、電極材料は反射率が高い必要がある。電極の材料としては、例えば、金、白金、パラジウム、ロジウムのような貴金属が挙げられる。発光標識は電極表面近傍にあって、その発光はあらゆる方向に放射される。発光標識の発光のうちチップ裏面方向へ放射される光成分を近傍の電極の反射によって表面方向へ放射するようにでき、集光量を上げられるメリットもある。3つの電極が集まる中央部を囲むように液だめ用ゴム5を配置している。3つの電極のチップ基板4の端にある接点部が露出するように、液だめ用ゴム5の外形はチップ基板4よりも小さいほうが良い。本実施例では、液だめ用ゴム5の液滴部の直径は7.5mmとした。
図2に、本発明の実施の形態1における生体物質検出チップの図1中のA−A’での断面図を示す。チップ基板4上の中央部に作用極1があり、作用極の中央部は凹の円錐形状となっている。円錐の頂点は、図1で示したチップ中央にある作用極1の円形部分の中心と一致している。チップ基板4の垂線に対する円錐の側面とのなす角、より正確には円錐の母線とのなす角を本実施例では54度とした。従って、この円錐の頂角は108度となっている。この頂角の角度設定は後述する発光測定装置の光学ユニットの集散角に応じて決める必要があり、詳細は後述する。
作用極1の周りを取り囲むように対極2があり、その外側に液だめ用ゴム5を配置することで、電解液を液滴6のように全ての電極上に貯留することが出来る。液だめ用ゴム5は液滴6の液漏れを防ぐ必要があるため、チップ基板4への吸着性が高く、撥水性の高い素材としてシリコンゴムが良い。本実施例では、液滴6の電解液の液量は80μlとしたので、80μlの液滴が溢れないようにシリコンゴムの厚みは1mmとした。
図3に、本発明の実施の形態1における生体物質測定チップ及びそれを用いた発光測定装置の全体構成図を示す。図3において、生体物質検出チップ7の中央部には発光標識を標識した生体物質を滴下している。その生体物質検出チップ7を生体物質検出チップ固定台41上へ固定し、生体物質検出チップ7の中央部からの発光を受光ユニット40にて検出する。受光ユニット40は対物レンズ11と集光レンズ12とからなるレンズユニットと、受光センサとして光電子増倍管ユニット13とで構成している。受光ユニット40では生体物質検出チップ7からの発光を対物レンズ11と集光レンズ12とで構成するレンズユニットで光電子増倍管ユニット13の受光面14へと集光する。生体物質検出チップ7はチップ位置合わせ用突起48で位置規制し、受光ユニット光軸15上に生体物質検出チップ7の発光中心が位置するように固定する。
生体物質検出チップ7の作用極1は中央が凹形状の金属反射膜である。このため、生体物質検出チップ7の発光は受光ユニット40へ入射すると共に、凹形状の対向する面で反射されてから受光ユニット40へ入射する。従って、受光ユニット40へは、直接光と凹形状の対向する面での反射光とが合計されて入射するので検出光量が2倍になり、その結果、検出感度が2倍になる。このメカニズムの詳細は後述する。
生体物質検出チップ7で発光させるための電圧の印加は次のように行う。図示していないホストPCよりホストPCインターフェース47を介してコントローラ46へ電圧印加のプロファイルを設定する。この電圧印加プロファイルは、例えば、0ボルトよりスタートし、1秒後に1.3Vまで上昇し、その後2秒間1.3Vを保持した後0ボルトになるというステップになる。電圧印加部42でこの電圧印加プロファイルに基づいた電圧を生成し、生体物質検出チップ固定台41に配置した電極を介して生体物質検出チップ7へと接続される。この接続方法はどのような方法でも構わないが、生体物質検出チップ7を脱着可能とするため、生体物質検出チップ7への電気的接続は、ばね電極で生体物質検出チップ7を押さえる構成とするのが良い。
受光ユニット40で受光した検出光量の信号処理は次のように行う。光電子増倍管ユニット13はフォトンカウント方式であり、受光した光量に応じてパルス信号を出力する。このパルス信号を一定時間単位でカウンタ43にてカウントし、カウント値メモリ44へと順次格納する。タイミング生成部45で一定時間単位でのカウントとカウント値の格納を制御するためのタイミング信号を生成する。タイミング生成部45のタイミング信号生成のスタート/ストップはコントローラ46よりコントロールする。コントローラ46はカウント値メモリ44よりカウント値データをホストPCインターフェース47を介して図示していないホストPCへ転送する。ここでは、一定時間単位を10msとし、10ms単位でカウントして10ms間に発生したパルス数をカウント値データとした。光電子増倍管ユニット13の出力パルスの最小の周期であるパルス幅分解能は70nsのものを用いており、このとき10ms間の最大パルス数は142,857個のため、カウンタ43には18ビットのものを採用した。発光量の測定時間を3秒間としたのでカウント値メモリ44のメモリの個数は301個としている。
発光量測定の動作は、生体物質検出チップ7への電圧印加と受光ユニット40で受光した検出光量の信号処理とを同期して行う。まず、図示していないホストPCよりホストPCインターフェース47を介してコントローラ46へ測定スタートのコマンドを発行する。測定スタートのコマンドにより、コントローラ46より電圧印加部42へ電圧プロファイルを出力し、生体物質検出チップ7へ電圧プロファイルに基づいた電圧を印加する。同時にタイミング生成部45をスタートさせ、受光ユニット40で受光した検出光量の信号処理を開始する。所定の測定時間が経過すると、電圧印加部42への電圧プロファイルが出力を停止して生体物質検出チップ7への電圧印加を停止する。同時にタイミング生成部45をストップして検出光量の信号処理を停止する。その後、検出光量データとしてカウント値メモリ44のカウント値データをホストPCインターフェース47を介して図示していないホストPCへと転送して測定完了する。
図4に、本発明の実施の形態1における電圧印加部のブロック図を示す。電圧印加プロファイル記憶部30よりD/Aコンバータ31へ電圧データを順次送って電圧印加プロファイルに基づいた電圧を発生する。オペアンプ32により参照極接点34の電圧がD/Aコンバータ31の出力電圧と等しくなるように対極接点33に電圧を印加する。作用極接点35はGNDへ接地している。作用極接点35は作用極へ、参照極接点34は参照極へ、対極接点33は対極へと接続している。先に述べた電圧印加プロファイルの1.3Vとは参照極に対する作用極の電位で定義される。ここでは、作用極はGNDに接地され電位がゼロなので、参照極の電位が−1.3Vになるように対極の電位がマイナス方向で設定されることになる。つまり、D/Aコンバータの出力電圧は電圧印加プロファイルと符号が逆であり、ここでは−1.3Vとなっている。
図5に、本発明の実施の形態1における生体物質検出チップの発光を光電子増倍管へ集光させる原理を示す。生体物質検出チップ7はチップ基板4上の中央部に作用極1があり、その周辺に対極2がある。さらに外側に液だめ用ゴム5を配置し、電解液を液滴6のように溜めている。作用極1上に発光標識を標識した生体物質を滴下しており、作用極1と対極間に電圧を印加すると発光標識が作用極1上で発光する。
生体物質検出チップ7からの発光を対物レンズ11で集光し、さらに集光レンズ12で光電子増倍管ユニット13の受光面14へと集光する。対物レンズ11、集光レンズ12、光電子増倍管ユニット13の光軸である受光ユニット光軸15は作用極1の円錐の頂点を通るように配置する。本実施例では、集光レンズ12には対物レンズ11と同じものを用い、受光ユニット40の全長を短くするため対物レンズ11と集光レンズ12との間隔は1mmとした。対物レンズ11の前側焦点位置が作用極1の中心となるように対物レンズ11を配置し、集光レンズ12の後側焦点位置が受光面14となるように光電子増倍管ユニット13を配置した。
これにより、作用極1の像が受光面14に結像するようにしている。また本実施例では、対物レンズ11の焦点距離は40mm、有効径は30mm、有効な集散角Uは22度とした。対物レンズ11の焦点距離は作用極1の半径に対して10倍以上とするのが良い。この焦点距離や曲率半径が小さいと収差の影響が大きくなり、光軸より離れた光線である作用極1の外周寄りの発光成分が受光面14へ到達しなくなるためである。大きくしすぎるのは光学的には問題ないが、装置サイズが大きくなる等、実用的ではない。
図5において、生体物質検出チップ7からの右側の側面で発光した光線のうち、直接対物レンズ11へ入射する光線10を実線で示す。一方、作用極1の対向する面で反射してから対物レンズ11へ入射する光線16を点線で示す。平坦な作用極では、対物レンズ11へ入射する光は光線10のような直接光だけなので、作用極を凹形状にすることによって対向する電極面で反射する光線を対物レンズへと導くことができ、従来捨てられていた光を有効に利用できるようになる。
図6に、本発明の実施の形態1における光電子増倍管へ直接入射する光線の追跡図を示す。液滴6の中央部にある作用極の円錐側面の最も外側から対物レンズ11、集光レンズ12を通って受光面14へ到達する光線を示している。
図7に、本発明の実施の形態1における電極での反射を経由する光線の追跡図を示す。液滴6の中央部にある作用極の円錐側面の最も外側から対向する作用極へ向かい、作用極で反射されて対物レンズ11、集光レンズ12を通って受光面14へ到達する光線を示している。このように、図6の光線に加えて、図7に示すような電極での反射を経由する光線を受光面14に入射させることにより、検出光量を2倍に増加させることができる。
図8と図9を用いて、対物レンズ11の集散角Uと作用極1の円錐形状の頂角との関係を説明する。POQは、作用極1の断面を示し、Oはその凹部の中心を示す。その頂角の半角をVとする。
まず、図8を用いて作用極1の最外周の点Pで発光し、Pに対向する作用極上の点Qで反射して対物レンズの最も外側を通る光線eの角度Wを求める。点Qでの法線nを引くと、三角形OQRの内角の和は180度であるから、法線nに対する光線PQの入射角はVとなる。反射の法則により光線eの出射角も同じくVとなる。点Qで光軸lに平行な直線mを引くと、対物レンズへ向かう角度はWである。光線PQと光線eとのなす角は2V、光線PQと直線mとのなす角は90度であることより、W=2V−90度と計算される。逆算すると、V=(W+90度)/2と表現できる。ここで、光線eが対物レンズに入射するためには、Wは、対物レンズの集散角以下でなければならない。そのためには、V≦(U+90度)/2となる必要がある。
次に、図9を用いて作用極1の最外周の点Pで発光し、作用極の凹部の中心点O近傍で反射して対物レンズの最も外側を通る光線fの角度Yを求める。補助線として点Oでの作用極1の法線sとOQを延長した直線uを引く。光線POの入射角と光線fの出射角をXとすると、角QOPは2V、または90度+Xと計算できるので、2V=90度+Xである。光軸lと光線POとのなす角に着目すると、V=2X+Yである。これら2つの関係より、Y=180度−3Vとなる。逆算すると、V=(180度−Y)/3と表現できる。ここで、光線fが対物レンズに入射するためには、Yは対物レンズの集散角に等しいか小さい必要がある。そのためには、V≧(180度−U)/3である必要がある。本実施例では、図2で先述したように頂角は108度に設定したので、U=22度、W=18度、Y=18度、V=54度となる。
以上説明した本発明の生体物質測定チップとその発光測定装置を用いたDNAの検出例について説明する。まず、生化学的試料からDNAサンプルを抽出する。痰、血液、糞便、精液、唾液、培養細胞、組織細胞、その他DNAを有する生化学的試料から超音波、振とうなどの物理手段、DNA抽出溶液を用いる化学的手段を用いて必要試料を抽出する。抽出された長鎖の2本鎖DNAは制限酵素、あるいは超音波などの物理的手段によって任意の長さに切断する。切断された2本鎖DNAは熱処理、あるいはアルカリ変性により1本鎖DNAに分離される。これらの工程によりDNAサンプルを得る。
次に、検出すべきDNAと特異的に結合可能な部位を持つDNAプローブを磁性微粒子の表面に固定する。磁性微粒子は、電気絶縁材料であるポリスチレンやデキストランのようなポリマーに酸化鉄のような可磁化物質を分散させたものである。前記磁性微粒子の粒径は、10nm〜10μmと幅広く選択可能であり、特に限定されるものではないが、溶液中での分散性および分離、回収性から、300nm〜5μmが好ましい。
さらに、標識剤を準備する。本発明で使用される標識剤は、検出すべきDNAと特異的に結合可能な部位であるDNAプローブと、発光標識に結合しているものである。DNAと特異的に結合可能な部位としては、前述の磁性微粒子に固定化したDNAプローブと同様、検出すべきDNA配列に対して相補的な塩基配列を有する1本鎖のDNAである。
発光標識としては、配位子に複素環系化合物を有する金属錯体が挙げられる。そして特に、中心金属がルテニウム、オスニウムである錯体は良好な電気化学発光特性を有し、このような良好な電気化学発光特性を有する物質としては、例えば、ルテニウムビピリジン錯体、ルテニウムフェナントロリン錯体、オスニウムビピリジン錯体、オスニウムフェナントロリン錯体などがある。
前述のようにして得られたDNAサンプル、DNAプローブが固定された磁性微粒子および標識剤を、反応容器で混合し、ハイブリダイズさせる。DNAサンプル中に検出すべきDNA配列が存在していると、標識剤がDNAサンプルを介して磁性微粒子に結合した複合体を形成する。
ハイブリダイズさせた後、結合しなかった非目的サンプルや未反応物質はB/F分離により除去する。B/F分離は、反応容器の一部に磁石を配置し、磁力により磁性微粒子を固定後、溶液を除去することで行う。このB/F分離によって、磁性微粒子に結合した検出すべきDNA配列および標識剤を選択的に得ることができる。
B/F分離後、複合体から発光標識を分離する。この発光標識の分離は、少なくとも電気化学発光物質を磁性微粒子から分離できればよく、DNAプローブは切断、分解された状態であってもよい。また、標識剤のDNAプローブやDNAサンプル、磁性微粒子に固定化されたDNAプローブとともに磁性微粒子から分離されてもよい。このような発光標識を分離する方法としては、アルカリ変性、熱変性、物理破壊、酵素分解などが挙げられる。
このようにして発光標識の分離を行った後、複合体から分離した発光標識を含む溶液を、生体物質検出チップ7の作用極1に滴下した後、乾燥により作用極上に固定する。
次に、電解液を生体物質検出チップ7上に滴下する。ここで、電解液は、支持電解質および還元剤を含む溶液であり、公知のものが使用可能である。支持電解質としては、溶液にイオン導電性を与える物質、例えば、リン酸ナトリウムや塩化ナトリウムのような塩を挙げられる。また、還元剤としては、電気化学的に酸化した電気化学発光物質を還元し、励起状態にする物質、例えば、トリエチルアミンやトリプロピルアミン、シュウ酸などが挙げられる。
生体物質検出チップ7に対して電位を印加し、電気化学発光させる。そして、光電子増倍管13により電位印加中の電気化学発光の発光量を検出し、測定値はコントローラ46により図示しないホストPCへ転送する。
図10に本発明の実施の形態1における電圧波形と発光波形の具体的な一例を示す。上側のグラフは印加する電圧波形で横軸が時間、縦軸が電圧値である。下側のグラフは発光波形で、横軸が時間、縦軸が発光量を示す光電子増倍管の単位時間当たりのカウント値である。本実施の形態において印加電圧は、電圧波形100に示すように、t1を1秒とし、1秒で1.3Vまで掃印し、2秒間1.3Vを保持した。また、発光量の検出の単位時間は10msとし、10ms毎の光電子増倍管からのパルスをカウント値としてプロットした。発光波形101は従来技術による発光波形であり、発光波形102は本実施の形態による発光波形である。この従来技術による発光検出は、平坦な作用極で構成した生体物質検出チップを用いた。図10において、本実施の形態による発光波形102の場合は、従来技術による発光波形101と比較し、約2倍高い値を得られている。この差は、図7で説明した作用極による反射による効果であり、本発明が高感度な検出に有効である結果を示すものである。
これまで、凹部の形状を円錐で説明したが、三角錐、四角錐、六角錐のように多角錐でも構わない。いずれの場合も頂角は108度とするのが良く、円錐の場合と同様にして対向する電極面で反射させて、検出光量を増加させることができる。
(実施の形態2)
実施の形態1では、作用極の凹部が一つのみの場合であったが、複数の凹部でも同様に実現可能である。また、凹部の形状は円錐でもかまわないし、多角錐でも構わない。実施の形態1の構成と異なるところは作用極の凹部が複数の凹部で構成されている点であり、その他の生体物質測定チップ及びそれを用いた発光測定装置の構成は実施の形態1と同じである。複数の凹部を持つ作用極の構成例を図11から図14で説明する。それぞれの図において図の左半分は作用極1の正面図で、右半分はA−A’での断面図である。図11に、作用極1が複数の円錐で構成されている場合を示す。正面図の白抜きの1個1個が円錐形状の凹部である。図12に、作用極1が複数の三角錐で構成されている場合を示す。正面図の白抜きの1個1個が三角錐形状の凹部である。図13に、作用極1が複数の四角錐で構成されている場合を示す。正面図の白抜きの1個1個が四角錐形状の凹部である。図14に、作用極1が複数の六角錐で構成されている場合を示す。正面図の白抜きの1個1個が六角錐形状の凹部である。いずれの場合も対向する作用極で反射させて検出光量を増大させることができる。これら検出光量を増大させる仕組みは実施の形態1と同じである。また、本発明の実施の形態2の生体物質測定チップ及びそれを用いた発光測定装置を用いたDNAの検出例についても実施の形態1と同様に行うことができ、その効果も同様に図10に示すように発光波形は約2倍高い値を得られている。
実施の形態1では、作用極の凹部が一つのみの場合であったが、複数の凹部でも同様に実現可能である。また、凹部の形状は円錐でもかまわないし、多角錐でも構わない。実施の形態1の構成と異なるところは作用極の凹部が複数の凹部で構成されている点であり、その他の生体物質測定チップ及びそれを用いた発光測定装置の構成は実施の形態1と同じである。複数の凹部を持つ作用極の構成例を図11から図14で説明する。それぞれの図において図の左半分は作用極1の正面図で、右半分はA−A’での断面図である。図11に、作用極1が複数の円錐で構成されている場合を示す。正面図の白抜きの1個1個が円錐形状の凹部である。図12に、作用極1が複数の三角錐で構成されている場合を示す。正面図の白抜きの1個1個が三角錐形状の凹部である。図13に、作用極1が複数の四角錐で構成されている場合を示す。正面図の白抜きの1個1個が四角錐形状の凹部である。図14に、作用極1が複数の六角錐で構成されている場合を示す。正面図の白抜きの1個1個が六角錐形状の凹部である。いずれの場合も対向する作用極で反射させて検出光量を増大させることができる。これら検出光量を増大させる仕組みは実施の形態1と同じである。また、本発明の実施の形態2の生体物質測定チップ及びそれを用いた発光測定装置を用いたDNAの検出例についても実施の形態1と同様に行うことができ、その効果も同様に図10に示すように発光波形は約2倍高い値を得られている。
以上のように、実施の形態1および実施の形態2で示したように作用極1を凹形状にすることにより、受光ユニット40に直接入射しない発光成分を対向する作用極で反射させて受光ユニット40に入射させ、検出感度を向上することができる。
本発明にかかる生体物質測定チップ及びそれを用いた発光測定装置は、発光標識剤の発光のうち、従来は対物レンズに入射させることができなかった発光も入射させることができ、光電子増倍管へ入射させられる光量を増加させることができるので、高い検出感度を実現することができる効果を有し、光を集光し、光量を増加させる用途として有用である。
1 作用極
2 対極
3 参照極
4 チップ基板
5 液だめ用ゴム
6 液滴
7 生体物質検出チップ
11 対物レンズ
12 集光レンズ
13 光電子増倍管ユニット
14 受光面
15 受光ユニット光軸
40 受光ユニット
41 生体物質検出チップ固定台
42 電圧印加部
43 カウンタ
44 カウント値メモリ
45 タイミング生成部
46 コントローラ
48 チップ位置合わせ用突起
2 対極
3 参照極
4 チップ基板
5 液だめ用ゴム
6 液滴
7 生体物質検出チップ
11 対物レンズ
12 集光レンズ
13 光電子増倍管ユニット
14 受光面
15 受光ユニット光軸
40 受光ユニット
41 生体物質検出チップ固定台
42 電圧印加部
43 カウンタ
44 カウント値メモリ
45 タイミング生成部
46 コントローラ
48 チップ位置合わせ用突起
Claims (12)
- 生体サンプルを測定するための作用極と対極とを持つ生体物質測定チップにおいて、
前記作用極に凹部を有する生体物質測定チップ。 - 前記作用極の凹部に金属反射膜を形成した請求項1に記載の生体物質測定チップ。
- 前記金属反射膜に金または白金またはパラジウムまたはロジウムを用いて形成した請求項2に記載の生体物質測定チップ。
- 前記作用極の凹部を円錐形状とした請求項1に記載の生体物質測定チップ。
- 前記作用極の凹部を多角錐形状とした請求項1に記載の生体物質測定チップ。
- 前記円錐形状の頂点が前記作用極の中心と一致するように形成した請求項4および請求項5に記載の生体物質測定チップ。
- 生体サンプルを測定するための作用極と対極とを持つ生体物質測定チップにおいて、
前記作用極に複数の凹部を有する生体物質測定チップ。 - 前記凹部を全て同一の円錐形状とした請求項7に記載の生体物質測定チップ。
- 前記凹部を全て同一の多角錐形状とした請求項7に記載の生体物質測定チップ。
- 請求項1から請求項9に記載の生体物質測定チップと、
前記作用極の中心を光軸が通るように配置されたレンズユニットと、
前記レンズユニットから出射された光を受光する位置に配置された受光センサとを備えた発光測定装置。 - 前記レンズユニットは対物レンズと集光レンズとで構成し、前記電極の発光面と前記受光センサの受光面とが結像関係となるように前記発光面と前記受光面と前記対物レンズと前記集光レンズとを配置した請求項10に記載の発光測定装置。
- 前記対物レンズの焦点距離を前記生体物質測定チップの電極のサイズに対して10倍以上とした請求項10に記載の発光測定装置。
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JP2008042478A JP2009198416A (ja) | 2008-02-25 | 2008-02-25 | 生体物質測定チップ及びそれを用いた発光測定装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
2008
- 2008-02-25 JP JP2008042478A patent/JP2009198416A/ja active Pending
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