JP6926731B2 - 検出チップ、検出キット、検出システムおよび被検出物質の検出方法 - Google Patents

検出チップ、検出キット、検出システムおよび被検出物質の検出方法 Download PDF

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Description

本発明は、検出チップ、検出キット、検出システムおよび被検出物質の検出方法に関する。
臨床検査などにおいて、タンパク質やDNAなどの微量の被検出物質を検出し、その量を高感度かつ定量的に測定することができれば、患者の状態を迅速に把握して治療を行うことが可能となる。このため、微量の被検出物質を高感度かつ定量的に検出できる方法が求められている。
被検出物質の検出またはその量の測定を高感度に行う方法として、表面プラズモン励起増強蛍光分光法(Surface Plasmon-field enhanced Fluorescence Spectroscopy):以下「SPFS」という)が知られている。SPFSは、所定の条件で光を金属膜などに照射すると生じる、表面プラズモン共鳴(Surface Plasmon Resonance:以下「SPR」という)を利用して物質を検出し、その量を測定する(以下、単に「検出する」というときは、その量の測定をも意味する)。
図9は、SPFSによる従来の物質測定の概要を示す模式図である。SPFSによる従来の物質測定では、液体収容部312と基板であるプリズム316とを有し、プリズム316の表面に金属膜318を形成し、さらに金属膜318上に被検出物質372に特異的に結合できる第1の捕捉体(例えば1次抗体)374を固定化した、検出チップを用いる。プリズム316よりも金属膜318側の液体収容部312である検出場に被検出物質372を含む試料液を提供する(図9A)と、被検出物質372は検出場において第1の捕捉体374に捕捉される。その後、蛍光物質376で標識された第2の捕捉体(例えば2次抗体)378を検出場に提供する(図9B)と、検出場に結合した被検出物質372は蛍光物質376で標識される。この状態で金属膜318にプリズム316側(検出場とは反対側)から励起光αを照射する(図9C)と、被検出物質372を標識する蛍光物質376は、SPRにより増強された電場390により励起され、蛍光を放出する。この蛍光を検出することで、被検出物質372を検出し、その量を測定することができる。SPFSでは、SPRにより増強された電場により蛍光物質を励起するため、高感度での被検出物質の検出および測定を可能とする。
特許文献1には、上記SPFSによる物質測定において、金属膜318の検出場側にナノサイズの凹凸構造を設けた局在型表面プラズモン共鳴センサ用チップが記載されている。特許文献1によれば、局在型表面プラズモン共鳴(Localized Surface Plasmon Resonance:以下「LSPR」と略記する)による電場増強領域は基板表面から数十nmであり、上記凹凸構造を設けない伝播型表面プラズモン共鳴による電場増強領域(基板表面から200nm程度)よりも狭くできるため、浮遊する物質によるノイズの低減が可能であるとされている。
特開2015−038515号公報
特許文献1にも記載のように、従来のSPRによる電場増強領域は基板(金属膜)の表面から200nm程度であるため、蛍光物質も基板の表面から200nm以下に位置するように、蛍光物質の粒子径および1次抗体のサイズなどを設計する必要があり、使用される蛍光物質および1次抗体の種類などが制限されていた。これに対し、電場増強領域を広げれば、より多種多様な蛍光物質および1次抗体が使用可能となり、SPFSによる検出および測定可能な物質がより多くなったり、SPFSによる検出および測定がより容易になったりすると期待される。また、細胞の大きさは通常数十μm程度であるため、細胞の表面に付着したタンパク質などの検出および測定には、SPFSを用いることはできなかった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、電場増強領域をより広げて、基板の表面からより離れた領域までSPFSで検出および測定可能な検出チップおよび検出キット、当該検出チップを用いて被検出物質を検出可能な検出システム、ならびに当該検出チップを用いた被検出物質の検出方法を提供することを、その目的とする。
上記課題を解決するための本発明の一態様は、液体収容部と、対向する2つの面の一方の面が上記液体収容部の内部に面して配置され、かつ、光照射により局在型表面プラズモン共鳴を生じるLSPR構造体を上記2つの面の他方の面、または前記一方の面と前記他方に面とに挟まれた領域に有する光透過性の基板と、を有する検出チップに関する。
上記課題を解決するための本発明のさらに別の態様は、凹凸構造を有するLSPR構造体の上記凸条または凸部の高さの平均が互いに異なる複数の上記検出チップ、またはナノサイズの粒子であるLSPR構造体の上記ナノサイズの粒子の平均粒子径(A)が互いに異なる複数の上記検出チップ、を含む検出キットに関する。
上記課題を解決するための本発明のさらに別の態様は、上記検出チップと、上記LSPR構造体に局在型表面プラズモン共鳴を生じさせる励起光を上記液体収容部側から上記基板を通して上記LSPR構造体に照射する光源と、上記励起光の照射により蛍光物質により被検出物質を標識する蛍光物質から放出された蛍光を検出する検出部と、を有する検出システムに関する。
上記課題を解決するための本発明のさらに別の態様は、蛍光物質により標識された被検出物質を上記液体収容部内に収容した上記検出チップを用いて、局在型表面プラズモン共鳴を生じさせる励起光を上記液体収容部側から上記基板を通して上記LSPR構造体に照射する工程と、上記励起光の照射により上記蛍光物質から放出された蛍光を検出する工程と、を含む、被検出物質の検出方法に関する。
本発明によれば、電場増強領域をより広げて、基板の表面からより離れた領域までSPFSで検出および測定可能な検出チップおよび検出キット、当該検出チップを用いて被検出物質を検出可能な検出システム、ならびに当該検出チップを用いた被検出物質の検出方法が提供される。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る検出システムの構成を示す模式図である。 図2Aは、複数の凸条または凸部を含んでなる1次元の凹凸構造を有するLSPR構造体を示す模式図であり、図2Bは、複数の凸条または凸部を含んでなる2次元の凹凸構造を有するLSPR構造体を示す模式図である。 図3は、ナノサイズの粒子が集合してなるLSPR構造体を示す模式図である。 図4は、本発明の第1の実施形態に係る検出システムを用いた被検出物質の検出方法を行う際の、検出システムの動作手順の一例を示すフローチャートである。 図5Aは、図4にフローチャートを示す被検出物質の検出方法において、液体収容部内を浮遊する被検出物質が検出される際の様子を示す模式図であり、図5Bは、図4にフローチャートを示す被検出物質の検出方法において、細胞またはエクソソームに付着した被検出物質が検出される際の様子を示す模式図である。 図6は、本発明の第2の実施形態に係る検出システムの構成を示す模式図である。 図7は、本発明の第2の実施形態に係る検出システムを用いた被検出物質の検出方法を行う際の、検出システムの動作手順の一例を示すフローチャートである。 図8は、本発明の実施例における増強電場の分布のシミュレーション結果を示す図である。 図9は、SPFSによる従来の物質測定の概要を示す模式図である。
[第1の実施形態]
(検出システム)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る検出システム100の構成を示す模式図である。検出システム100は、液体収容部112および光透過性の基板116を有する検出チップ110を配置するチップホルダー120、光源ユニット130、検出ユニット140、および制御部150を有する。検出システム100は、チップホルダー120の所定の位置に検出チップ110を装着した状態で、検出チップのLSPR構造体118でLSPRが発生するようにLSPR構造体118に励起光αを照射して、LSPR構造体118より液体収容部112側に、LSPRに基づく増強電場を発生させる。当該増強電場により液体収容部112に存在する蛍光物質を励起させ、蛍光物質が発する蛍光βを検出することで、検体中の被検出物質を検出し、その量を測定する。
検出チップ110は、液体収容部112および光透過性の基板116を有する。
液体収容部112は、液体を一時的に貯留可能な空間(ウェル)であってもよいし、液体を流通させることが可能な流路であってもよい。検出および測定の効率を高める観点からは、液体収容部112は流路であることが好ましい。
液体収容部112は、たとえば、側面の一部に基板116を配置可能であればよい。図1に示す検出システム100では、液体収容部112は、内面に溝が形成された蓋部材であって、基板116と組み合わせたときに、基板116を底面として、蓋部材を側面および上面とした流路が形成される構成である。なお、液体収容部112は、両端部もしくは一方の端部に開口を有する流路、または有底の凹部から構成されるウェルであって、側面の一部に基板116を配置可能な開口が形成された構成であってもよい。また、液体収容部112は、両端部もしくは一方の端部に開口を有する流路、または有底の凹部から構成されるウェルであって、内部に基板116を配置可能な構成であってもよい。
液体収容部112は、側面の他の一部に、励起光αを透過可能な材料で形成された励起光透過部113を有する。励起光透過部113は、光源ユニット130からの励起光αを検出チップ110内に配置された基板116に導くための透過窓である。励起光透過部113は、液体収容部112の側面のうち、LSPR構造体118と基板116との界面(以下、単に「入射面」という)118a(図5A、図5B参照)への入射光の照射により検出チップ110の上方に放出される励起光αと同一波長の散乱光(以下、単に「プラズモン散乱光」という)γの光量が最大となる角度(以下、単に「増強角」ともいう)で励起光αが入射面118aに入射可能となる領域に形成されればよいが、液体収容部112の全体が励起光αを透過可能な材料からなる励起光透過部113であってもよい。
図1に示す検出システム100では、励起光透過部113は、図面奥手から手前側に液体を流通させる流路である液体収容部112(図1には断面図が示される)に対して、液体の流通方向に対して側方から斜めに励起光αを入射させる位置に配置される。なお、励起光透過部113は、液体収容部112に対して、液体の流通方向と同じ方向(または逆の方向)に斜めに励起光αを入射させてもよい。
液体収容部112は、側面のさらに他の一部に、増強電場により励起した蛍光物質が発する蛍光βを透過可能な材料で形成された蛍光透過部114を有する。蛍光透過部114は、蛍光βを検出チップ110外の検出ユニット140に導くための透過窓である。蛍光透過部114は、たとえば、液体収容部112の側面のうち配置された基板116と対向する領域に形成されればよいが、液体収容部112の全体が蛍光βを透過可能な材料からなる蛍光透過部114であってもよい。
液体収容部112のうち、基板116と蛍光透過部114との間の領域が、物質を検出および測定する検出場119となる。
蛍光透過部114および励起光透過部113は、たとえば、樹脂およびガラスなどの光に対して透明な材料から形成することができる。
液体収容部112の形状および大きさは、特に限定されず、たとえば検出場119における内径(基板116と蛍光透過部114との間の間隔)が数μm〜数cm程度であればよい。
基板116は、励起光αを透過可能な誘電体からなる、対向する2つの面を有する光透過性かつ誘電性の基板である。基板116は、上記対向する2つの面の一方の面が液体収容部112の内部に面して配置される。なお、液体収容部112の内部に面して配置されるとは、基板116の上記一方の面が液体収容部112の内部側に配置されることを意味する。上記一方の面は、液体収容部112の内部に接して配置されることが好ましいが、励起光αおよび電場振幅を透過する材料を液体収容部112の内部との間に挟んで配置されてもよい。ただし、後者の場合でも、基板116と液体収容部112の内部との間の距離は小さいことが好ましく、たとえば1μm以下であることが好ましい。上記一方の面は、平面であることが好ましい。
基板116は、たとえば、樹脂およびガラスなどの光に対して透明な材料から形成することができる。基板116は、プリズムであってもよい。
後述する第2の実施形態とは異なり、基板116は、上記一方の面に、被検出物質と特異的に結合する捕捉体(第1の捕捉体)が固定化されている必要はないが、上記一方の面に第1の捕捉体が固定化されていてもよい。
基板116は、上記対向する2つの面の他方の面に、励起光αの照射によりLSPRを生じる構造体(以下、単に「LSPR構造体」という。)118を有する。LSPR構造体118は、上記他方の面、または上記一方の面と前記他方に面とに挟まれた領域において、検出場119に対応する領域の少なくとも一部に形成されている。
LSPR構造体118は、図2Aおよび図2Bに示すように、複数の凸条または凸部を含んでなる凹凸構造を有する構造体でもよいし、図3に示すように、ナノサイズの粒子が集合した構造体でもよい。LSPR構造体118は、上記他方の面に形成されるとき、上記他方の面の全体に形成されていてもよいし、一部のみに形成されていてもよい。
また、LSPR構造体118は、上記一方の面と前記他方に面とに挟まれた領域に形成されるとき、上記凹凸構造またはナノサイズの粒子の少なくとも一部が、上記一方の面の表面よりも前記他方の面側に存在していればよい。たとえば、上記凹凸構造またはナノサイズの粒子は、その全部が基板116内部の上記一方の面と前記他方に面とに挟まれた領域に位置するように配置されてもよいし、その一部が基板116内部の上記一方の面と前記他方に面とに挟まれた領域に位置するように配置されてもよいし、その全部が前記他方の面より前記基板116の外側に位置するように配置されてもよい。
上記凹凸構造またはナノサイズの粒子は、その全部が基板116内部の上記一方の面と前記他方に面とに挟まれた領域に位置するように配置されるとき、上記凹凸構造の高さまたは粒子の粒子径が基板116の幅方向の長さ(上記一方の面と他方の面との間の距離)と略同一であってもよいし、上記凹凸構造の高さまたは粒子の粒子径が基板116の幅方向の長さよりも小さくてもよい。上記凹凸構造またはナノサイズの粒子は、上記凹凸構造の高さまたは粒子の粒子径が基板116の幅方向の長さよりも小さいとき、基板116の内部の上記一方の面により近い位置に配置されてもよいし、上記他方の面により近い位置に配置されてもよい。
上記凹凸構造またはナノサイズの粒子は、その一部が基板116内部の上記一方の面と前記他方に面とに挟まれた領域に位置するように配置されるとき、その一部が上記一方の面または他方の面(またはその両方)より外部に位置するように配置されてもよい。
LSPR構造体118は、励起光αを照射されるとLSPRを生じ、増強電場を生じる。上記増強電場は、LSPR構造体118の表面側(励起光αの照射とは反対側)には数十nm程度の範囲に生じるのみであるが、LSPR構造体118の裏面側(励起光αの照射と同じ側:入射面118a側)には100,000nm(100μm)の範囲にまで生じる。そのため、検出場119をLSPR構造体118の裏面側に配置することで、従来よりも広い範囲において被検出物質の検出が可能となる。なお、LSPRによらない伝播型表面プラズモン共鳴による増強電場は、構造体の表面から200nm程度の範囲にしか生じない。そのため、LSPR構造体118により生じるLSPRによる増強電場を用いてLSPR構造体118の裏面側で被検出物質を検出すると、従来よりも広い範囲での被検出物質の検出が可能となる。
上記凹凸構造は、図2Aに示すような1次元の凹凸構造であってもよいし、図2Bに示すような2次元の凹凸構造であってもよい。上記1次元の凹凸構造は、LSPR構造体118の表面に形成された複数の凸条を有する。上記複数の凸条は、LSPR構造体118の表面に所定の間隔で互いに略平行に配置されることが好ましい。なお、凸条の配列方向は特に限定されない。上記2次元の凹凸構造は、LSPR構造体118の表面に形成された複数の凸部を有する。上記複数の凸条は、LSPR構造体118の表面に略周期的に配列されることが好ましい。凸部の配列の例には、正方格子、三角(六方)格子などが含まれる。上記凸条および凸部の形状は特に限定されず、LSPR構造体118の断面形状が、略矩形波形状、略正弦波形状、および略鋸歯形状などとなるような形状が含まれる。
上記凸条または凸部は、高さが5nm以上であることが好ましい。高さが5nm以上の凸条または凸部は、LSPRによる増強電場をより広くし、かつ形成された電場をより強くすることが可能である。なお、「凸条または凸部の高さ」とは、図2Aおよび図2Bに示されるように、LSPR構造体118の底部(LSPR構造体118のうち基板116からの高さが最も低い部分)と、凸条または凸部の先端部(LSPR構造体118のうち基板116からの高さが最も高い部分)との間の距離hを意味する。上記観点からは、凸条または凸部の高さは50nm以上であることがより好ましく、100nm以上であることがさらに好ましい。凸条または凸部の高さの上限は特にないものの、1500nm以下であることが好ましい。上記高さは、LSPR構造体118が形成された基板116を収束イオンビーム装置(FIB)で切断し、走査型電子顕微鏡(SEM)で撮像を用いて形成された断面を撮像した画像をもとに、公知の画像解析ソフトを用いて測定することができる。
凸条または凸部の間の間隔は、50nm以上2000nm以下であることが好ましい。上記間隔が100nm以上2000nm以下だと、LSPRによる増強電場をより広くし、かつ形成された電場をより強くすることが可能である。上記観点からは、凸条または凸部の間の間は50nm以上1500nm以下であることがより好ましく、50nm以上800nm以下であることがさらに好ましい。なお、「凸条または凸部の間の間隔」とは、図2Aおよび図2Bに示されるように、凸条または凸部の配列方向における上記凸条または凸部の中心間距離pを意味する。上記間隔は、SEMを用いてLSPR構造体118を表面側から撮像した画像をもとに、公知の画像解析ソフトを用いて測定することができる。
上記凹凸構造を有するLSPR構造体118の平均厚みは、特に限定されないが、30nm以上70nm以下であることが好ましい。
上記ナノサイズの粒子の集合体は、図3に示すようにナノサイズの粒子が集合した構造であればよい。上記ナノサイズの粒子は、LSPR構造体118の表面に略周期的に配列されることが好ましい。上記ナノサイズの粒子の形状は特に限定されないが、略球形であることが好ましい。
上記ナノサイズの粒子は、平均粒子径が5nm以上1000nm以下であることが好ましい。平均粒子径が5nm以上1000nm以下である粒子は、LSPRによる増強電場をより広くし、かつ形成された電場をより強くすることが可能である。上記観点からは、上記ナノサイズの粒子の平均粒子径は5nm以上1000nm以下であることがより好ましく、50nm以上800nm以下であることがさらに好ましい。上記平均粒子径は、SEMを用いてLSPR構造体118を表面側から撮像した画像をもとに、公知の画像解析ソフトを用いて測定することができる。
上記ナノサイズの粒子の集合体は、上記ナノサイズの粒子の平均粒子径(A)と上記ナノサイズの粒子の粒子間距離の平均(B)との比(B/A)が0.3以上3.0以下であることが好ましい。上記B/Aが0.3以上3.0以下であるナノサイズの粒子の集合体は、LSPRによる増強電場をより広くし、かつ形成された電場をより強くすることが可能である。上記観点からは、上記B/Aは0.5以上2.0以下であることがより好ましく、0.8以上1.3以下であることがさらに好ましい。ナノサイズの粒子の粒子間距離の平均(B)は、LSPR構造体118が形成された基板116を収束イオンビーム装置(FIB)で切断し、SEMで撮像を用いて形成された断面を撮像した画像をもとに、公知の画像解析ソフトを用いて測定した、隣接するナノサイズの粒子間の距離の最小値とすることができる。
なお、上記説明では、LSPR構造体118が有する上記凹凸構造またはナノサイズの粒子の全部が前記他方の面より前記基板116の外側に位置するように配置された構造を例示したが、同様の凹凸構造またはナノサイズの粒子がその他の位置に配置されてもよい。
LSPR構造体118は、ナノサイズの構造体としたときにLSPRを生じ得る材料から形成されればよい。LSPR構造体118の材料の例には、金、銀、銅、亜鉛、アルミニウムおよびガリウム、これらの合金、これらの酸化物、ならびにこれらを含む酸化物半導体、ならびに窒化チタン(TiN)および酸化インジウム(In)などが含まれる。これらの材料のうち、増強電場をより広くし、かつ形成された電場をより強くする観点からは、金、銀、酸化亜鉛、窒化チタンまたは酸化インジウムを主成分として含むことが好ましい。なお、主成分として含むとは、ICPを用いて定量したときに当該材料がLSPR構造体の全質量に対して50質量%以上であることを意味する。
なお、基板116とLSPR構造体118との間には、金属酸化物などによる他の層が挟まれていてもよい。
LSPR構造体118は、公知の方法で製造することができる。
上記凹凸構造を有するLSPR構造体118は、基板116の表面に金属膜を形成した後、金属膜に凹凸形状を付与して形成してもよいし、凹凸形状を付与された基板116の表面に、金属膜を形成してもよい。上記金属膜は、スパッタリング、蒸着およびめっきなどを含む公知の方法で形成することができる。
上記ナノサイズの粒子の集合体であるLSPR構造体118は、たとえば、Langmuir-Blodgett法(LB法)で形成することができる。LB法では、長鎖カルボン酸などの両親媒性分子および上記ナノサイズの粒子をトルエンなどの揮発性かつ水に不溶な溶媒で希釈し、さらに水を添加して水と溶媒との界面に上記ナノサイズの粒子の単分子膜であるLangmuir膜(L膜)を形成する。その後、上記L膜が形成された液体に浸漬した基板116を引き抜いて、L膜を基板116上に移し取ったLangmuir-Blodgett膜(LB膜)を形成する。溶媒で希釈する上記ナノサイズの粒子の平均粒子径によって、集合体における上記ナノサイズの粒子の平均粒子径(A)を調整することが可能である。溶媒中のナノサイズの粒子上記の濃度または基板116を引き抜く速度によって、集合体における上記ナノサイズの粒子の粒子間距離の平均(B)を調整することが可能である。基板116は、水を添加する前に溶媒中に浸漬しておくことが望ましい。
その後、上記凹凸構造またはナノサイズの粒子の集合体を形成した金属膜と接するように、さらに基板の材料を付与して成形する等の方法で、上記凹凸構造またはナノサイズの粒子の集合体が上記一方の面と前記他方に面とに挟まれた領域に配置された基板116とすることもできる。
光源ユニット130は、コリメートされ、かつ波長および光量が一定の励起光αを、液体収容部112側から基板116を通してLSPR構造体118の入射面118aに照射する。光源ユニット130は、入射面118aにおける照射スポットが略円形となるように励起光αを出射することが好ましい。光源ユニット130は、例えば、励起光αの光源132、ビーム整形光学系、Automatic Power Control(APC)機構、温度調整機構(いずれも不図示)、角度調整機構134、および光源制御部136を含む。
光源132の種類は特に限定されないが、レーザーダイオード(LD)、発光ダイオード、および水銀灯などとすることができる。検出および測定の効率を高める観点からは、光源132は、レーザー、特にはビーム状のレーザーを出射する光源であることが好ましい。光源132から出射される光がビームでない場合は、光源132から出射される光は、レンズ、鏡またはスリットなどによりビームに変換されることが望ましい。また、光源132から出射される光が単色光でない場合は、光源132から出射される光は、回折格子などにより単色光に変換されることが望ましい。さらに、光源132から出射される光が直線偏光でない場合は、光源132から出射される光は、偏光子などにより直線偏光の光に変換されることが望ましい。
ビーム整形光学系は、たとえば、コリメーター、バンドパスフィルター、直線偏光フィルター、半波長板、スリット、およびズーム手段などを含む。ビーム整形光学系は、これらのすべてを含んでいてもよいし、一部を含んでいてもよい。コリメーターは、光源132から出射された励起光αをコリメートする。バンドパスフィルターは、光源132から出射された励起光αを中心波長のみの狭帯域光にする。光源132からの励起光αは、若干の波長分布幅を有しているためである。直線偏光フィルターは、光源132から出射された励起光αを完全な直線偏光の光にする。半波長板は、上記照射スポットにP波成分が入射するように励起光αの偏光方向を調整する。スリットおよびズーム手段は、上記照射スポットの形状が所定サイズの円形となるように、励起光αのビーム径や輪郭形状などを調整する。
APC機構は、光源132の出力が一定となるように光源132を制御する。より具体的には、APC機構は、励起光αから分岐させた光の光量を不図示のフォトダイオードなどで検出する。そして、APC機構は、回帰回路で投入エネルギーを制御することで、光源132の出力を一定に制御する。
温度調整機構は、例えば、ヒーターやペルチェ素子などである。光源132からの出射光の波長およびエネルギーは、温度によって変動することがある。このため、温度調整機構で光源132の温度を一定に保つことにより、光源132からの出射光の波長およびエネルギーを一定に制御する。
角度調整機構134は、LSPR構造体118の入射面118a(LSPR構造体118と基板116との界面)に対する励起光αの入射角を調整する。角度調整機構134は、基板116を介して入射面118aの所定の位置に向けて所定の入射角で励起光αを照射するために、励起光αの光軸とチップホルダー120とを相対的に回転させる。
たとえば、角度調整機構134は、光源ユニット130を励起光αの光軸と直交する軸を中心として回動させる。このとき、入射角を走査しても入射面118a上での照射スポットの位置がほとんど変化しないように、回転軸の位置を設定する。
前述のとおり、LSPR構造体118の入射面118aに対する励起光αの入射角のうち、プラズモン散乱光γの光量が最大となる角度が増強角である。励起光αの入射角を増強角またはその近傍の角度に設定することで、より高い強度の蛍光βを測定することが可能となる。基板116の材料および形状、LSPR構造体118の形状および材料、液体収容部112中の液体の屈折率などにより、励起光αの基本的な入射条件が決まるが、液体収容部112中内の蛍光物質の種類および量、基板116の形状誤差などにより、最適な入射条件はわずかに変動する。このため、検出および測定ごとに最適な増強角を求めることが好ましい。
光源制御部136は、光源ユニット130に含まれる各種機器を制御して、光源ユニット130からの励起光αの出射を制御する。光源制御部136は、例えば、演算装置、制御装置、記憶装置、入力装置および出力装置を含む公知のコンピュータやマイコンなどによって構成される。
検出ユニット140は、照射スポット(LSPR構造体118)への励起光αの照射によって生じた蛍光βを検出する。また、必要に応じて、検出ユニット140は、照射スポット(LSPR構造体118)への励起光αの照射によって生じたプラズモン散乱光γも検出する。検出ユニット140は、たとえば、第1レンズ142、光学フィルター143、第2レンズ144、位置切替部146および検出部148を含む。
第1レンズ142は、たとえば、集光レンズであり、検出場119近傍から出射される光を集光する。第2レンズ144は、たとえば、結像レンズであり、第1レンズ142で集光された光を検出部148の受光面に結像させる。両レンズの間の光路は、略平行な光路になっている。光学フィルター143は、両レンズの間に配置されている。
光学フィルター143は、蛍光成分のみを検出部148に導き、高いS(シグナル)/N(ノイズ)比で蛍光βを検出するために、励起光成分(プラズモン散乱光γ)を除去する。光学フィルター143の例には、励起光反射フィルター、短波長カットフィルターおよびバンドパスフィルターなどが含まれる。光学フィルター143は、たとえば、所定の光成分を反射する多層膜を含むフィルター、または所定の光成分を吸収する色ガラスフィルターとすることができる。
位置切替部146は、光学フィルター143の位置を、第1レンズ142および第2レンズ144間の光路上または光路外に切り替える。具体的には、検出部148が蛍光βを検出する時には、光学フィルター143を光路上に配置し、検出部148がプラズモン散乱光γを検出する時には、光学フィルター143を光路外に配置する。
検出部148は、蛍光βおよびプラズモン散乱光γを検出する受光センサである。検出部148は、微小量の被検出物質からの微弱な蛍光βを検出することが可能な、高い感度を有する。検出部148は、たとえば、光電子増倍管(PMT)およびアバランシェフォトダイオード(APD)などとすることができる。
検出システム100は、検出チップ110の液体収容部112内に各種液体を導入し、または検出チップ110の液体収容部112内から各種液体を排出するピペットなどの送液ユニット、ならびに、被検出物質と第1の捕捉体との結合(1次反応)、被検出物質と第2の捕捉体との結合(2次反応)および洗浄などを効率的に行うために液体収容部112内の液体を撹拌する加振部(いずれも不図示)などを有してもよい。送液ユニットおよび加振部などは、励起光α、蛍光βおよびプラズモン散乱光γの光路を妨げない位置に配置される。
制御部150は、光源ユニット130、角度調整部134、位置切替部146、および検出部148など、ならびに送液ユニットおよび加振部などを制御する。制御部150は、例えば、演算装置、制御装置、記憶装置、入力装置および出力装置を含む公知のコンピュータやマイコンなどによって構成される。
(検出方法)
検出システム100は、被検出物質の検出および測定に用いることができる。図4は、本実施形態に係る検出システム100を用いた被検出物質の検出方法を行う際の、検出システム100の動作手順の一例を示すフローチャートである。
まず、測定の準備をする(工程S110)。具体的には、検出システム100の所定の位置に検出チップ110を設置する。その後、制御部150は、送液ユニットを制御して、液体収容部112内に測定用緩衝液を導入させる。
次いで、LSPR構造体118の入射面118aに対する励起光αの入射角を増強角に設定する(工程S120)。具体的には、制御部150は、光源ユニット130および角度調整部134を制御して、励起光αをLSPR構造体118の入射面118aのうち検出場119に対応する位置に照射させながら、入射面118aに対する励起光αの入射角を走査する。同時に、制御部150は、検出部148を制御して、プラズモン散乱光γを検出させる。このとき、制御部150は、位置切替部146を制御して、光学フィルター143を光路外に移動させる。制御部150は、励起光αの入射角とプラズモン散乱光γの強度との関係を含むデータを得る。そして、制御部150は、データを解析して、プラズモン散乱光γの強度が最大となる入射角(増強角)を決定する。最後に、制御部150は、角度調整部134を制御して、LSPR構造体118の入射面118aに対する励起光αの入射角を増強角に設定する。
増強角は、基板116の材料および形状、LSPR構造体118の形状および材料、ならびに液体収容部112中の液体の屈折率などにより決定されるが、液体収容部112の液体の種類および量、基板116の形状誤差などの各種要因によってもわずかに変動する。このため、検出を行うたびに増強角を決定することが好ましい。増強角は、たとえば0.1°程度のオーダーで決定することができる。なお、操作を簡略化したいときは、増強角の設定(工程S120)を省略してもよい。また、LSPR構造体118がナノサイズの粒子の集合体であるときも、増強角の設定(工程S120)を省略することができる。
次いで、光学ブランク値を測定する(工程S130)。具体的には、制御部150は、光源ユニット130を制御して、励起光αをLSPR構造体118の入射面118aのうち検出場119に対応する位置に照射させる。これと同時に、制御部150は、検出部148を制御して、蛍光βと同じ波長の背景光の光量を検出させる。このとき、制御部150は、位置切替部146を制御して、光学フィルター143を光路上に移動させる。制御部150は、測定された背景光の光量をブランク値として記録する。
次いで、検出チップ110の液体収容部112内に蛍光物質により標識された被検出物質を含む検体を導入する(工程S140)。
検体および被検出物質の種類は、特に限定されない。検体の例には、血液、血清、血漿、脳脊髄液、尿、鼻孔液、唾液、および精液などの体液、組織抽出液、ならびにこれらの希釈液が含まれる。被検出物質の例には、核酸(DNAやRNAなど)、タンパク質(ポリペプチドやオリゴペプチドなど)、アミノ酸、糖質、および脂質、ならびにこれらの修飾分子が含まれる。これらのうち、本実施形態に係る検出システム100を用いた被検出物質の検出方法は、タンパク質および脂質の測定により好適に用いることができる。被検出物質は検体内を浮遊していてもよいが、細胞またはエクソソームの表面などに付着していてもよい。
被検出物質は、蛍光物質により標識されている。蛍光物質による標識は、蛍光物質を担持させた、被検出物質に特異的に結合する捕捉体(第2の捕捉体)を、被検出物質と結合させて行うことができる。
第2の捕捉体は、被検出物質に特異的に結合する物質であればよく、被検出物質に特異的な生体分子(たとえばモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、核酸アプタマーなど)であってもよく、その断片などであってもよい。であってもよく、その断片などであってもよい。また、第2の捕捉体は、1分子からなるものであってもよく、2以上の分子が結合した複合体であってもよい。
また、第2の捕捉体に結合している蛍光物質は、金属膜表面に発生する局在場光によって励起され、蛍光を発する物質であれば、特に限定されず、公知の各種蛍光物質(例えばローダミン骨格を含む蛍光物質)でありうる。蛍光物質の具体例には、バイオティウム(Biotium)社製の蛍光色素(例えばCF Dye(商品名)350、405M、532、543、555、568、594、642、650、667、663、681、680、755、770)などが含まれる。
なお、蛍光物質は、レーザー回折・散乱法により測定された体積平均粒子径が200nm以上の物質であってもよい。
また、第2の捕捉体1つ当たりに結合している蛍光物質の数は、8個以上22個以下であることが好ましく、13個以上16個以下であることがより好ましい。「第2の捕捉体1つ当たりに結合している蛍光物質の数」とは、液体収容部112内に提供する、複数の第2の捕捉体に、それぞれ結合している蛍光物質の数の平均値である。
第2の捕捉体1つ当たりに結合している蛍光物質の量は、第2の捕捉体に蛍光物質を結合させる際の第2の捕捉体と蛍光物質との仕込み比や、反応時間、反応時の温度により、調整可能であるが、仕込み比で調整することが好ましい。液体収容部112に提供する、第2の捕捉体1つ当たりに結合している蛍光物質の数(平均値)は、吸光光度計により、蛍光物質が結合している第2の捕捉体について吸光度を測定し、第2の捕捉体の量および蛍光物質の量をそれぞれ算出して、第2の補足体の量に対する蛍光物質の量の比率を算出して、得ることができる。
蛍光物質による被検出物質の標識は、検体を液体収容部112内に導入する前に行ってもよいし、検体および第2の捕捉体を液体収容部112に別個に導入(または第2の捕捉体を含む検体を液体収容部112に導入)して液体収容部112内で行ってもよい。液体収容部112内で蛍光物質による標識を行うときは、制御部150は、被検出物質と第2の捕捉体との結合を促進するため、加振部を制御して、検出チップ110を振動させて液体収容部112の内部の液体を撹拌させてもよい。いずれにせよ、工程S140では、蛍光物質により標識された被検出物質を含む検体が液体収容部112内に存在する状態となればよい。
次いで、被検出物質を標識する蛍光物質からの蛍光値を測定する(工程S150)。具体的には、制御部150は、光源ユニット130を制御して、励起光αをLSPR構造体118の入射面118aのうち検出場119に対応する位置に照射させる。これと同時に、制御部150は、検出部148を制御して、蛍光βと同じ波長の光の光量を検出させる。このとき、制御部150は、位置切替部146を制御して、光学フィルター143を光路上に移動させる。制御部150は、測定された光量を蛍光値として記録する。
最後に、被検出物質の量を算出する(工程S160)。蛍光値は、主として、被検出物質を標識する蛍光物質に由来する蛍光成分(シグナル値)と、光学ブランク値とを含む。したがって、制御部150は、工程S150で得られた蛍光値から工程S130で得られた光学ブランク値を引くことで、被検出物質の量に相関するシグナル値を算出することができる。そして、あらかじめ作成しておいた検量線により、被検出物質の量や濃度などに換算する。
以上の手順により、検体に含まれる被検出物質を検出し、その量を測定することができる。
(効果)
本実施形態では、増強電場190がLSPR構造体118の裏面(励起光αを照射した面:入射面118a)から数十万nm(数百μm)の範囲にまで生じるため、図5Aに示すように、液体収容部112内を浮遊する被検出物質172(蛍光物質176で標識されている)も検出および測定可能である。そのため、被検出物質を基板116に固定する必要がなく、より簡素な手続きで被検出物質の検出およびその量の測定を行うことができる。また、増強電場190は従来の表面プラズモン共鳴を用いた場合よりも広い範囲で生じるため、図5Bに示すように、細胞またはエクソソーム180に付着した、細胞内で発現して細胞から放出されるタンパク質または脂質、および抗原提示細胞であるマクロファージなどの表面に提示されたタンパク質などの被検出物質172(蛍光物質176で標識されている)の存在および量を測定することも可能である。細胞またはエクソソーム180は、基板に付着していてもよいし、液体収容部112内を浮遊していてもよい。
[第2の実施形態]
(検出システム)
図6は、本発明の第2の実施形態に係る検出システム200の構成を示す模式図である。検出システム200は、液体収容部112および光透過性の基板116を有する検出チップ210を配置するチップホルダー120、光源ユニット130、検出ユニット140、および制御部150を有する。検出システム200は、チップホルダー120の所定の位置に検出チップ210を装着した状態で、検出チップのLSPR構造体118でLSPRが発生するように検出チップ210に励起光αを照射して、LSPR構造体118より液体収容部112側に、LSPRに基づく増強電場を発生させる。当該増強電場により液体収容部112に存在する蛍光物質を励起させ、蛍光物質が発する蛍光βを検出することで、検体中の被検出物質の検出およびその量の測定を行う。
検出システム200は、検出チップ210の構成および検出方法が第1の実施形態と相違する。そこで、第1の実施形態に係る検出システム100と同じ構成要素については同一の符号を付し、説明を省略する。
検出チップ210は、液体収容部112および光透過性の基板216を有する。
液体収容部112は、第1の実施形態に係る液体収容部112と同様の構成とすることができる。
基板216は、励起光αを透過可能な誘電体からなる、対向する2つの面を有する光透過性かつ誘電性の基板である。基板216は、上記対向する2つの面の一方の面が液体収容部112の内部に面して配置される。基板216は、たとえば、樹脂およびガラスなどの、光に対して透明な材料から形成することができる。基板216は、プリズムであってもよい。
第2の実施形態では、基板216は、上記一方の面に、被検出物質と特異的に結合する捕捉体(第1の捕捉体)が固定化された捕捉領域217を有する。第1の捕捉体は、検体中の被検出物質と特異的に結合するための認識部位を有する物質である。基板216に第1の捕捉体が固定されていると、液体収容部112に検体を導入したときに、第1の捕捉体に被検出物質が選択的に結合して、被検出物質が検出場119に対応する基板216の上記一方の面の領域(捕捉領域217)に捕捉される。第1の捕捉体の種類は、被検出物質に特異的に結合するための認識部位を有していれば特に制限されない。第1の捕捉体の例には、被検出物質に特異的に結合可能な抗体(1次抗体)またはその断片、被検出物質に特異的に結合可能な酵素などが含まれる。
基板216は、上記対向する2つの面の他方の面に、励起光αの照射によりLSPRを生じるLSPR構造体118を有する。LSPR構造体118は、上記他方の面において、検出場119に対応する領域の少なくとも一部に形成されている。LSPR構造体118は、第1の実施形態に係るLSPR構造体118と同様の構成とすることができる。
検出精度を向上させる観点からは、基板216の上記一方の面(捕捉領域217が配置されている面)は、略平面であることが好ましい。すなわち、第2の実施形態でように捕捉領域217が基板216の上記一方の面上に配置されている場合は、基板216の上記一方の面は平面であることが好ましい。
(検出方法)
図7は、本実施形態に係る検出システム200を用いた被検出物質の検出方法を行う際の、検出システム200の動作手順の一例を示すフローチャートである。
まず、測定の準備をする(工程S210)。次いで、LSPR構造体118の入射面118aに対する励起光αの入射角を増強角に設定する(工程S220)。工程S210および工程S220は、それぞれ、第1の実施形態における工程S120およびS220と同様に行えばよい。本実施形態においても、LSPR構造体118がナノサイズの粒子の集合体であるときは、増強角の設定(工程S220)を省略することができる。
次いで、検出チップ210の液体収容部112に検体を提供し、検出チップ210内の基板216上(捕捉領域217)に固定された第1の捕捉体に、検体中に含まれる被検出物質を特異的に結合させる(1次反応(工程S230))。なお、被検出物質の結合後、液体収容部112内には、緩衝液などを提供し、液体収容部112内を洗浄して、遊離の被検出物質などを除去してもよい。
本実施形態で液体収容部112に提供する検体および被検出物質の種類は特に限定されない。検体の例には、血液や血清、血漿、尿、鼻孔液、唾液、精液などの体液およびその希釈液が含まれる。またこれらの検体に含まれる被検出物質の例には、核酸(DNAやRNAなど)、タンパク質(ポリペプチドやオリゴペプチドなど)、アミノ酸、糖質、脂質およびこれらの修飾分子が含まれる。これらのうち、本実施形態に係る検出システム200を用いた被検出物質の検出方法は、タンパク質および脂質の測定により好適に用いることができる。
上記1次反応後、光学ブランク値を測定する(工程S240)。具体的には、制御部150は、光源制御部136を制御して、LSPR構造体118に向けて光源ユニット130から、増強角で励起光αを出射させる。同時に、制御部150は、検出ユニット140を制御して、検出部148で光の光量を検出し、これをブランク値として記録する。
続いて、基板216上の第1の捕捉体に結合した被検出物質に、蛍光物質で標識された第2の捕捉体を結合させる(2次反応(工程S250))。具体的には、第2の捕捉体を含む標識液を液体収容部112内に提供する。本実施形態において、第2の捕捉体は、被検出物質の、第1の捕捉体が特異的に結合する部位とは異なる部位に、特異的に結合する物質である。また、当該第2の捕捉体には、蛍光物質が結合している。したがって、標識液を液体収容部112に提供すると、第1の捕捉体に結合している被検出物質に第2の捕捉体が特異的に結合し、被検出物質が、間接的に蛍光物質で標識される。なお、被検出物質を蛍光物質で標識後、液体収容部112内には、緩衝液などを提供し、液体収容部112内を洗浄して、遊離の第2の捕捉体などを除去してもよい。
ここで、第2の捕捉体は、第1の捕捉体が被検出物質に特異的に結合する部位とは異なる部位に、特異的に結合する物質であればよく、第2の捕捉体に結合している蛍光物質は、LSPR構造体118の入射面118aへの励起光αの照射により発生する増強電場によって励起され、蛍光を発する物質であればよい。第2の捕捉体および蛍光物質としては、第1の実施形態と同様の物質を使用することができる。
次いで、基板216上(捕捉領域217)に、蛍光物質で標識された被検出物質が第1の捕捉体を介して配置された状態で、基板216を通して励起光αを増強角でLSPR構造体118の入射面118aに照射する。そして、被検出物質を標識する蛍光物質からの蛍光値を測定する(測定工程(工程S260))。具体的には、制御部150は、光源制御部136を制御して、LSPR構造体118に向けて光源ユニット130から励起光αを出射させる。同時に、制御部150は、検出ユニット140の検出部148を制御して、検出部148で蛍光βと同じ波長の光の光量を検出する。
最後に、被検出物質の存在または量を示すシグナル値を算出する(工程S270)。蛍光値は、主として、被検出物質を標識する蛍光物質に由来する蛍光成分(シグナル値)と、光学ブランク値とを含む。したがって、制御部150は、工程S260で得られた蛍光値から工程S240で得られた光学ブランク値を引くことで、被検出物質の量に相関するシグナル値を算出することができる。そして、あらかじめ作成しておいた検量線により、被検出物質の量や濃度などに換算する。
以上の手順により、検体に含まれる被検出物質の存在または量を検出することができる。
(効果)
本実施形態でも、増強電場がLSPR構造体118の裏面(励起光αを照射した面:入射面118a)から数十万nm(数百μm)の範囲にまで生じる。そのため、従来よりも大きな粒子状物質や、細胞やエクソソームに付着した被検出物質(細胞内で発現して細胞から放出されるタンパク質または脂質、および抗原提示細胞であるマクロファージなどの表面に提示されたタンパク質など)の検出およびその量の測定を行うことも可能である。また、本実施形態では、基板に固定された第1捕捉体によって被検出物質が捕捉されるため、より高感度での検出および測定も可能である。
[その他の実施形態]
なお、上記各実施形態における基板は、LSPR構造体の凸条または凸部の形状、高さ、周期、もしくは、凸条もしくは凸部の間の間隔、または、ナノサイズの粒子の平均粒子径(A)または粒子間距離の平均(B)が互いに異なる複数の領域を、同一の面(他方の面)に有していてもよい。上記複数の領域は、それぞれ増強角が異なり、検出および測定可能な物質も異なる。そのため、同一の基板上の上記複数の領域に配置されたLSPR構造体の入射面に、それぞれ異なる入射角で励起光αを照射して、検体内に含まれる複数種の物質をひとつの基板で検出および測定することも可能である。特に、上記各実施形態における基板は、凸条または凸部の高さが互いに異なる複数の領域、またはナノサイズの粒子の平均粒子径(A)が互いに異なる複数の領域を、同一の面(他方の面)に有することが好ましい。
もしくは、上記基板は、LSPR構造体の凹凸の形状、高さ、周期、もしくは、凸条もしくは凸部の間の間隔、または、ナノサイズの粒子の平均粒子径(A)または粒子間距離の平均(B)が互いに異なる複数の基板を含む検出キットとしてもよい。あるいは、上記検出チップは、LSPR構造体の凹凸の形状、高さ、周期、もしくは、凸条もしくは凸部の間の間隔、または、ナノサイズの粒子の平均粒子径(A)または粒子間距離の平均(B)が互いに異なる基板を有する複数の検出チップを含む検出キットとしてもよい。これらの検出キットによっても、検体内に含まれる複数種の物質を検出および測定することが可能である。特に、上記検出キットは、凸条または凸部の高さが互いに異なる基板を有する複数の検出チップ、またはナノサイズの粒子の平均粒子径(A)が互いに異なる基板を有する複数の検出チップを、含むことが好ましい。
以下において、本発明の具体的な実施例を説明する。なお、これらの実施例によって、本発明の範囲は限定して解釈されない。
[実施例1]
図1に記載の構成を有する物質検出システムが有する基板配置部に、プリズム中に金ナノ粒子を配置した基板を配置して、照射部から上記基板にレーザーを照射したときに、液体収容部(検出場)側に生じる増強電場を、シミュレーションソフトであるCOMSOL MultiPhysics 5.0(COMSOL社製、「COMSOL MultiPhysics」は同社の登録商標)の波動光学モジュールを用いて計算によって算出した。
結果を図8に示す。金ナノ粒子の平均粒子径(A)を150nm、粒子間距離の平均(B)を225nm(B/Aは1.50)としたとき(左図)も、金ナノ粒子の平均粒子径(A)を200nm、粒子間距離の平均(B)を200nm(B/Aは1.00)としたとき(右図)も、基板側に増強された電場が広く分布していた。
この結果から、基板のうち、LSPR構造体(金ナノ粒子)の裏面側(励起光αの照射と同じ側:入射面側)においてLSPRによる蛍光標識された被検出物質の検出が良好に行い得ることが理解できる。
[実施例2]
1.基板の作製
両親媒性化合物であるミスチリン酸、および平均粒子径が150nmである金ナノ粒子をトルエン溶液中に投入して混合し、金ナノ粒子溶液を作製した。
全自動LB膜作成装置の膜形成部分に水を入れ水槽を形成し、プリズムを浸漬させた。水槽上部に上記トルエン溶液を滴下し、金ナノ粒子の単分子膜を形成した。ついで、浸漬させていたプリズムを引き抜いて、プリズム上に金ナノ粒子が配置された基板1を得た。
基板1の一部を収束イオンビーム装置(FIB)で切断し、SEMで撮像を用いて形成された断面を撮像した画像をもとに、公知の画像解析ソフトを用いて、基板1上のナノサイズの粒子の粒子間距離の平均(B)を測定した、
投入した金ナノ粒子の平均粒子径またはプリズムを引き抜く速度を変更して、金ナノ粒子の平均粒子径(A)または金ナノ粒子の粒子間距離の平均(B)が異なる基板2〜基板7を得た。
2.被検出物質
エクソソームスタンダード(コスモバイオ社)をPBSで希釈し、次いでタンパク質標識キットAlexa Fluor 633(thermofisher製、「Alexa Fluor」はモレキュラー プローブス, インコーポレイテッドの登録商標)を用いて標識化したAnti CD9、Mouse抗体(蛍光物質で標識された抗体。以下、「色素標識抗体」という)を加え、30分振とう撹拌して色素標識抗体をエクソソームに結合させた。
その後、ExoCap Kits for Serum Plasma(JSRライフサイエンス社製、「ExoCap」はJSR社の登録商標)を用いて、エクソソームと結合した色素標識抗体と、未反応の色素標識抗体を分離した。上記単離キットから得られたペレットを2mlのPBSで再分散させて、エクソソーム分散液を得た。
3.検出および測定
(試験1〜試験6)
図1に記載の構成を有する物質検出システムが有する基板配置部に基板1〜基板6をそれぞれ配置し、検出場(フローセル)に上記エクソソーム分散液を導入した。
その後、照射部から上記基板にレーザーを照射し、検出場における蛍光強度を測定部が測定した。測定結果をもとに、以下の基準で検出性を評価した。
○ 光学ブランクシグナルで得られたシグナルの1.10倍以上のシグナルが得られた
× 光学ブランクシグナルで得られたシグナルの1.10倍未満のシグナルが得られた
(試験7)
検出場とは反対側からレーザーを照射する以外は同様に構成した物質検出システムが有する基板配置部に基板1を配置し、検出場(フローセル)に上記エクソソーム分散液を導入して上記基板にレーザーを照射し、検出性を同様に評価した。
試験1〜試験7における金ナノ粒子の平均粒子径(A)、金ナノ粒子の粒子間距離の平均(B)、および検出性の評価結果を、表1に示す。
Figure 0006926731
試験1〜試験6に示すように、図1に記載の構成を有する物質検出システムによって、LSPRによる被検出物質の検出が良好に行えた。
[実施例3]
1.細胞スラリーの調製
光透過性かつ誘電性の材料からなるシャーレ内で、Life Technologies社製細胞培養液MEM Alpha basic(1X)500mlにウシ胎児血清(Fetal bovne serum)50mlを加えたものを細胞培養液として使用した。3mlの細胞培養液に、マウス骨芽由来の細胞(MC3T3E1:サイズは10μm〜30μm程度)を6000cells/mlになるように添加し、細胞添加後の細胞培養液を40℃で24時間保温した。
その後、上記細胞培養液にトリプシンを添加し、細胞を培養容器からはがした。さらに6000cells/mlになるように細胞培養液を加えて、細胞スラリーを調整した。
2.色素標識抗体の作製
Anti−CD47、Mouse−Mono(B6H12)をタンパク質標識キットAlexa Fluor 633(thermofisher製)を用いて標識化した。
3.色素標識抗体の細胞への結合
上記細胞スラリーに上記作製した色素標識抗体(CD47)を加え、30分間振とう撹拌した。その後、800rpmで5分間遠心分離を行って上澄みをデカンテーションで除去し、細胞に結合しているCD47と未反応のCD47を分離した。得られた沈殿物に細胞数が6000cell/mlになるように細胞内容培地を加え、ピペッティングにて分散を行った。
4.検出および測定
図1に記載の物質検出システムが有する基板配置部に上記細胞を分散させたシャーレを配置した。
その後、照射部から上記シャーレにレーザーを照射し、蛍光強度を測定部が測定した。その結果、光学ブランクシグナルで得られたシグナルの1.10倍以上のシグナルが得られた。図1に記載の構成を有する物質検出システムによって、細胞の表面に付着した物質などの、基板から離れた領域二存在する物質の、LSPRによる検出が良好に行えた。
本発明によれば、従来よりも増強電場を広くしてSPRFを行うことができるので、液体収容部を浮遊する物質や、細胞の表面に付着した物質などの検出および測定をも可能となる。また、本発明によれば、より平均粒子径が大きい蛍光物質を用いたSPRFによる物質の検出および測定も可能となる。そのため、本発明は、SPRFが適用され得る範囲を拡大することが期待される。
100 検出システム
110 検出チップ
112 液体収容部
113 励起光透過部
114 蛍光透過部
116 基板
118 LSPR構造体
118a 入射面
119 検出場
120 チップホルダー
130 光源ユニット
132 光源
134 角度調整機構
136 光源制御部
140 検出ユニット
142 第1レンズ
143 光学フィルター
144 第2レンズ
146 位置切替部
148 検出部
150 制御部
172 被検出物質
176 蛍光物質
180 細胞またはエクソソーム
190 増強された電場
200 検出システム
210 検出チップ
216 基板
217 捕捉領域
312 液体収容部
316 プリズム
318 金属膜
372 被検出物質
374 第1の捕捉体
376 蛍光物質
390 増強された電場

Claims (20)

  1. 液体を貯留させる空間または液体を通過させる流路を構成する液体収容部と、
    前記液体収容部の側面の一部に配置された光透過性の基板であって、一方の面が前記液体収容部の前記液体を貯留または通過させる内部に配置され、かつ、光照射により局在型表面プラズモン共鳴(Localized Surface Plasmon Resonance)を生じるLSPR構造体を、前記内部側とは反対側の他方の面、または前記一方の面と前記他方面とに挟まれた領域に有する光透過性の基板と、
    を有する検出チップ。
  2. 前記LSPR構造体は、前記基板の、前記他方の面の外側に設けられた複数の凸条または凸部を含んでなる凹凸構造を有する構造体である、請求項1に記載の検出チップ。
  3. 前記LSPR構造体は、高さが5nm以上の凸条または凸部を有する凹凸構造を有する構造体である、請求項2に記載の検出チップ。
  4. 前記LSPR構造体は、前記凸条または凸部の高さの平均が互いに異なる複数の領域を有する、請求項2または3に記載の検出チップ。
  5. 前記LSPR構造体は、ナノサイズの粒子の集合体である、請求項1に記載の検出チップ。
  6. 前記ナノサイズの粒子は、平均粒子径(A)が5nm以上1000nm以下の粒子である、請求項5に記載の検出チップ。
  7. 前記LSPR構造体は、前記ナノサイズの粒子の平均粒子径(A)と前記ナノサイズの粒子の粒子間距離の平均(B)との比(B/A)が0.3以上3.0以下の構造体である、請求項5または6に記載の検出チップ。
  8. 前記LSPR構造体は、前記ナノサイズの粒子の平均粒子径(A)が互いに異なる複数の領域を有する、請求項5〜7のいずれか1項に記載の検出チップ。
  9. 前記LSPR構造体は、金、銀、酸化亜鉛、窒化チタンまたは酸化インジウムからなる群から選択される金属または金属酸化物を含有する構造体である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の検出チップ。
  10. 前記基板は、前記2つの面の他方の面に、被検出物質を捕捉する第1の捕捉体を有する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の検出チップ。
  11. 前記凹凸構造を有するLSPR構造体の前記凸条または凸部の高さの平均が互いに異なる複数の請求項2〜4のいずれか1項に記載の検出チップを含む、検出キット。
  12. 前記ナノサイズの粒子であるLSPR構造体の前記ナノサイズの粒子の平均粒子径(A)が互いに異なる複数の請求項5〜8のいずれか1項に記載の検出チップを含む、検出キット。
  13. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の検出チップと、
    前記LSPR構造体に局在型表面プラズモン共鳴を生じさせる励起光を前記液体収容部側から前記基板を通して前記LSPR構造体に照射する光源と、
    前記励起光の照射により蛍光物質により被検出物質を標識する蛍光物質から放出された蛍光を検出する検出部と、
    を有する検出システム。
  14. 前記光源は、レーザーを出射する光源である、請求項13に記載の検出システム。
  15. 蛍光物質により標識された被検出物質を前記液体収容部内に収容した、請求項1〜10のいずれか1項に記載の検出チップを用いて、
    局在型表面プラズモン共鳴を生じさせる励起光を前記液体収容部側から前記基板を通して前記LSPR構造体に照射する工程と、
    前記励起光の照射により前記蛍光物質から放出された蛍光を検出する工程と、
    を含む、被検出物質の検出方法。
  16. 前記励起光は、レーザーである、請求項15に記載の検出方法。
  17. 前記基板は、前記他方の面に被検出物質を捕捉する第1の捕捉体を有し、
    前記照射する工程の前に、前記第1の捕捉体に結合した前記被検出物質に、蛍光物質により標識された第2の捕捉体を結合させる工程を含む、請求項15または16に記載の検出方法。
  18. 前記蛍光物質により標識された被検出物質は前記液体収容部内を浮遊している、請求項15〜17のいずれか1項に記載の検出方法。
  19. 前記被検出物質は、細胞またはエクソソームに付着した化合物である、請求項15〜18のいずれか1項に記載の検出方法。
  20. 前記被検出物質は、タンパク質または脂質である、請求項15〜19のいずれか1項に記載の検出方法。
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