以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1〜図11は本発明をパチンコ機として具現化した第1の実施形態を例示する。図1及び図2において、1は遊技機本体で、外枠2と、この外枠2に開閉自在に枢着された前枠3とを有する。前枠3には、その窓孔に対応して遊技盤4が裏側から着脱自在に装着され、また遊技盤4の前側にガラス扉5と前面板6とが開閉自在に配置されている。
前面板6には、発射用の遊技球を貯留する上皿7が装着されている。また、前枠3の下部には、余剰球を貯留する下皿8と、発射手段9の発射ハンドル10とが設けられている。発射手段9は上皿7から供給される遊技球を遊技盤4の遊技領域11へと発射するためのものである。
遊技盤4には、ガイドレール12が略環状に装着されると共に、そのガイドレール12の内側の遊技領域11に特別図柄表示手段13、普通図柄表示手段14、特別図柄始動手段15、普通図柄始動手段16、可変入賞手段17等の各種遊技部品が配置されている。
普通図柄表示手段14は、1個又は複数個、例えば1個の普通図柄を表示可能な例えば7セグメント等の表示手段により構成され、普通図柄始動手段16が遊技球を検出することを条件に、普通図柄が乱数制御により所定時間変動して停止するようになっている。
特別図柄表示手段13は、1個又は複数個、例えば左右方向に3個の特別図柄を表示可能な例えば液晶表示手段により構成され、特別図柄始動手段15が遊技球を検出することを条件に、各特別図柄が乱数制御により所定時間変動して停止するようになっている。
普通図柄始動手段16は、例えば通過ゲートにより構成され、遊技球が通過するときに、その遊技球を検出するようになっている。なお、普通図柄始動手段16は、遊技球が入賞する入賞手段によって構成してもよい。
特別図柄始動手段15は、遊技者に有利な開状態と不利な閉状態とに変換可能な電動チューリップ等の開閉入賞手段により構成されており、普通図柄表示手段14の変動後の停止図柄が予め定められた特定の当たり図柄を表示したことを条件に発生する特定遊技状態(所定遊技状態の一例)のときに所定時間開放するようになっている。
可変入賞手段17は、いわゆるアタッカーを構成するもので、遊技者に有利な開状態と不利な閉状態とに変換可能な開閉式入賞手段により構成されており、特別図柄表示手段13の変動後の停止図柄が予め定められた特定の大当たり図柄を表示したことを条件に発生
する特別遊技状態(所定遊技状態の一例)のときに開放するようになっている。
前枠3の裏側には、図2に示すように、遊技盤4を裏側から押さえる裏機構板18が開閉自在に装着されている。裏機構板18には、遊技盤4の裏側の裏カバー19が嵌合する開口部20が形成され、その上側に遊技球タンク21、タンクレール22が、左右方向の一側に払い出し手段23が、下側に通路ユニット24が夫々設けられている。
遊技球タンク21は、遊技球補給系から補給された遊技球を貯留して、タンクレール22を経て払い出し手段23側へと供給するためのものである。払い出し手段23は、賞球の払い出し指令等があったときに、遊技球タンク21からタンクレール22を経て供給される遊技球(遊技媒体)を払い出すためのもので、裏機構板18の裏側に着脱自在に装着されている。通路ユニット24は、払い出し手段23により払い出された遊技球を上皿7へと案内し、また上皿7の遊技球が満杯状態のときに、余剰球を下皿8へと案内するようになっている。
裏カバー19は、遊技盤4に装着された特別図柄表示手段13等の遊技部品を裏側から覆うためのもので、遊技盤4の裏側に着脱自在に固定されている。裏カバー19には、主に遊技盤側の遊技動作を制御する主制御基板25を格納する主基板ケース26と、遊技盤4や前枠3の前側等に設けられたランプ群の発光制御を行うランプ制御基板27を格納するランプ基板ケース28と、スピーカからの効果音等の出力を制御する音声制御基板29を格納する音声基板ケース30とが着脱自在に装着されている。
主制御基板25上には、普通図柄表示手段14、特別図柄表示手段13の停止図柄を決定するための乱数抽選を行う抽選手段、その抽選手段による抽選結果に基づいて特別図柄始動手段15や可変入賞手段17の駆動制御を行うと共に払い出し制御手段に対して賞球の払い出しを要求する入賞処理手段、ランプ制御基板27等の他の制御基板に対して制御コマンドを送信するコマンド送信手段等を有する主制御手段が設けられている。
通路ユニット24の裏側には、左右方向にケース取り付け板31が装着され、このケース取り付け板31の裏側に、払い出し制御基板32を格納する払い出し基板ケース33と、電源基板34を格納する電源基板ケース35とが左右に配置されている。払い出し制御基板32上には、可変入賞手段17等への遊技球の入賞に基づいて払い出し手段23を制御する払い出し手段が設けられている。
主基板ケース26は、図3〜図6等に示すように全体として略矩形状の偏平箱状であって、互いに係脱自在の第1ケース体41と第2ケース体42とを備えると共に、その背面側の一辺に沿って封止ユニット43,44が設けられ、これら第1ケース体41、第2ケース体42、封止ユニット43,44を含む全体が透明な合成樹脂材料により成形されている。そして、主基板ケース26の内部の基板格納領域45に主制御基板25が格納されている。
主制御基板25は矩形状であって、図6に示すように、中央部分にCPU,ROM,RAM等の電気部品46が装着され、周縁部分にその端縁に沿ってコネクタ47が装着され、また複数の位置決め孔48が形成されている。
第2ケース体42は、図4及び図5に示すように、主制御基板25の電気部品装着面、即ち表面側に対応する表板部51と、主制御基板25の三辺、例えば左右及び上側を取り囲む周壁部52,53,54とを一体に備え、主制御基板25の裏面側に対応する面、及び残りの一辺側の面はその略全面が開放されて開口55,56を形成しており、その開口55を裏カバー19で塞ぐように裏カバー19の裏面側に着脱自在に装着されている。
表板部51には、その内部の主制御基板25との間に電気部品46の収容空間を確保できるように主制御基板25の表面側に向けて膨出する膨出部57が形成されると共に、周壁部52,53,54に沿って膨出部57よりも低い段部58が形成されている。
段部58には、主制御基板25側のコネクタ47が内側から嵌脱自在に嵌合するコネクタ嵌合孔59が1又は複数設けられており、またそのコネクタ嵌合孔59を避けて、膨出部57と同じ方向に突出する突出部60が複数形成されている。これら突出部60のうちの複数、例えば2つには、その内面側に、主制御基板25側の位置決め孔48に嵌合する位置決め突起61が主制御基板25側に向けて突設されている。位置決め突起61は、その先端部が段部58の内面側よりも主制御基板25側に突出している。
左右の周壁部52,53には、その開口55側縁部に、裏カバー19に沿って外側に張り出す係合板部62と、逆に内側に張り出すレール板部63とが一体に設けられている。係合板部62は、この第2ケース体42を裏カバー19側に着脱自在に装着するためのもので、裏カバー19の裏面側に上下方向に設けられた左右一対の係合レール64に上側から係合するようになっている。
また、レール板部63は、この第2ケース体42に第1ケース体41を装着する際に第1ケース体41を主制御基板25の板面方向に案内するためのもので、その内面側には、周壁部52,53から一定距離離れた位置に案内リブ65が立設されている。
上周壁部54の外面側には、前後方向中央部よりも若干段部58寄りの位置に、段部58と平行な突設リブ66が一体に設けられており、その突設リブ66の裏カバー19側には、1又は複数、例えば2つの嵌合孔67が左右に設けられている。
第1ケース体41は、図4及び図5に示すように、裏板部71と底板部72とを一体に備えた断面略L形に形成され、第2ケース体42に対して開口56側から主制御基板25の板面に沿ってスライドさせつつ装着され、図6等に示すように、裏板部71が開口55に、底板部72が開口56に夫々嵌合するようになっている
裏板部71は、第2ケース体42の開口55に嵌合して主制御基板25の裏面側を覆うもので、開口55の内側に嵌合する矩形板状に形成され、その四辺には、図6及び図7に示すように、裏カバー19側に突設する周板部73,74,75,76が一体に設けられている。
また、上側の周板部75と平行に横リブ77が設けられ、更にそれら上周板部75と横リブ77との間には3つの縦リブ78,79,80が所定間隔で設けられ、上周板部75、横リブ77、左右の縦リブ78,80で囲まれた矩形領域には主制御基板25側に突出する突出部81が形成されている。
上周板部75及び横リブ77の両端部分には、左右の周板部73,74との間に、第2ケース体42側の案内リブ65に対応する切欠部75a,77aが設けられている。また、突出部81の外面側、即ち第2ケース体42の上周壁部54との対向面側には、上周壁部54側の嵌合孔67に対応する嵌合突部82が一体に設けられている。
また、裏板部71の左右両縁部には、主制御基板25の左右の縁部近傍を裏側から支持する支持リブ83,84が、周板部73,74の反対側に一体に立設されている。
底板部72は、第2ケース体42の開口56に嵌合して主制御基板25を下側から覆うもので、開口56の形状に対応して略凸形に形成されており、その周縁部には、裏板部71との連結部分及び封止ユニット43,44の設置部分を除く部分に、第2ケース体42の開口56の外側に嵌合する嵌合リブ85が一体に設けられている。
第1ケース体41と第2ケース体42とを係合する際には、図5に示すように、第2ケース体42内に開口56側から主制御基板25を挿入し、位置決め孔48を位置決め突起61に、コネクタ47を各コネクタ嵌合孔59に夫々嵌合させつつ、主制御基板25の表面側周縁部を段部58の内面側に当接させる。そしてその状態で、第1ケース体41の裏板部71を第2ケース体42の開口56側から主制御基板25の板面に平行に挿入していく。
このとき、第1ケース体41側の左右の周板部73,74が第2ケース体42側の左右の周壁部52,53と案内リブ65,65とに挟まれて案内され、レール板部63上を摺動する。なおその際、左右の案内リブ65は上周板部75の切欠部75a、及び横リブ77の切欠部77aを通過する。そして、第1ケース体41側の突出部81が第2ケース体42側の嵌合孔67に嵌合したとき、第1ケース体41側の裏板部71、底板部72が第2ケース体42側の開口55、56を夫々閉鎖する。このとき、内部の主制御基板25は、その周縁部分を第2ケース体42側の段部58と第1ケース体41側の支持リブ83,84とで表裏から挟まれた状態で支持される(図6参照)。
封止ユニット43,44は、図3に示すように、第2ケース体42側の膨出部57の上面板90と第1ケース体41側の底板部72との境界線に沿って、主基板ケース26の内側の基板格納領域45側に左右に設けられており、共に4個の封止手段91を備えている。各4個の封止手段91は、封止ユニット43側では上面板90の板面に沿って縦横に2個ずつ夫々互いに隣接して配置され、封止ユニット44側では横一列状に互いに隣接して配置されている。
このように、封止ユニット43側で複数の封止手段91を縦横に夫々複数列で配置しているため、封止ユニット43側の横方向の配置幅を小さくでき、主基板ケース26の1辺に沿って2つの封止ユニット43,44を配置することが可能となっている。なお、各封止ユニット43,44が各4個の封止手段91を備えていることにより、最大4回までの開封、封止が可能となる。
各封止手段91は、第2ケース体42側のピン保持部92と、このピン保持部92内に装着される封止ピン93と、第1ケース体41側のピン嵌合部94とを備えている。ピン保持部92は、第2ケース体42側の膨出部57の開口56側縁部に設けられた凹入部95,96内に配置され、ピン嵌合部94は、第1ケース体41側の底板部72の内面側に突設された嵌合支持部97,98上に設けられている。
ピン保持部92は、図9等に示すように、側壁92a,92b,92c,92dよりなる角形の枠状に形成され、その軸方向下端部側(基板格納領域45の内部側)には封止ピン93が通過可能なピン装着開口部101が、軸方向上端部側(基板格納領域45の外部側)には封止ピン93が通過不可能な操作開口部102が夫々形成されている。
左右の側壁92a,92bには、ピン装着開口部101側端部から操作開口部102側に向けて夫々2本のスリット103が設けられ、それら2本のスリット103間に、ピン装着開口部101側端部を側壁92a,92bの面外方向に弾性変形可能な係合部104が形成されている。それら一対の係合部104には、ピン装着開口部101側端部近傍に、互いに対向する係合爪105が一体に設けられている。係合爪105は、その上面側に上面板90と略平行な係止面105aを、その下面側に内側上向きに傾斜する案内面105bを夫々備えている。
ピン保持部92の上端側には、側壁92c,92dの左右中央部分から操作開口部102側に突出する一対の案内支持部106が一体に設けられており、それらの対向部分には、封止ピン93側の被操作部をピン保持部92の軸方向に摺動自在に保持する略円形の案内孔107が形成されている。更に、ピン保持部92の上端側には、側壁92c,92dから上向きに突出する一対の保護リブ108が一体に設けられている。
ピン保持部92は、その側壁92a,92b,92c,92dの上端側を上面板90と略一致させた状態で、凹入部95,96内に各4個ずつ配置されている。凹入部95,96は、それぞれ、ピン保持部92を所定の間隔で縦横2個ずつ、或いは横一列状に4個配置可能な矩形状に形成されており、その左右及び上側の周縁部には夫々主制御基板25側に突設する囲い板95a,95b,95c、96a,96b,96cが一体に設けられている。この囲い板95a,95b,95c、96a,96b,96cは、その内側に配置されるピン保持部92の下端部よりも若干下方まで延設されている。
囲い板95c,96cの下縁部には、対向するピン保持部92に対応する2又は4個の切欠部111と、ピン保持部92側に突出する突出部112とが左右方向に交互に設けられている。切欠部111は、その上端位置がピン保持部92の下端側位置と略一致するように、また突出部112は、その上面側がピン保持部92の下端側位置よりも若干下側にくるように夫々設けられている。
更に、上面板90には、凹入部95,96を三方から取り囲む門形状の保護リブ113,114が、板面に垂直に立設されている。この保護リブ113,114は、ピン保持部92側の保護リブ108と略同じ高さに形成されている。
凹入部95,96内に配置された各ピン保持部92は、その保護リブ108とこれに対向する保護リブ113,114との間、或いは互いに対向する保護リブ108間を一体に接続する切断部115により、直接的に、或いは他のピン保持部92を介して間接的に、第2ケース体42側に固定されている。
即ち、封止ユニット44側では、4個全てのピン保持部92が凹入部96内に横一列状に配置され、各ピン保持部92が夫々切断部115により直接的に第2ケース体42側に連結されている。一方、封止ユニット43側では、4個のピン保持部92が凹入部95内に縦横2個ずつ配置され、囲い板95c側の2個のピン保持部92については、夫々切断部115により直接的に第2ケース体42側に連結され、開口56側の2個のピン保持部92については、囲い板95c側のピン保持部92に対して切断部115により連結され、間接的に第2ケース体42側に連結されている。
また、開口56側の2個のピン保持部92については、更にそれぞれ左側或いは右側に隣接する囲い板95a或いは95bに対して補助切断部116により一体的に連結されている。補助切断部116は、開口56側のピン保持部92の左右方向への振れを抑えるために補助的に支持するためのものであり、切断部115よりも細く形成され、切断部115側を切断した後でピン保持部92を手で捩るなどして容易に切断できるようになっている。なお、この補助切断部116を設けることにより、第2ケース体42を成形する際の樹脂の流れが良くなるというメリットもある。
左右に隣接する各ピン保持部92の間隔、及び左右両側のピン保持部92とそれに隣接する囲い板95a,95b,96a,96bとの間隔は、係合部104を外側に変形させて係合爪105をピン装着開口部101から退避させることができる程度に狭く形成されており、また、切断部115によって連結されている側のピン保持部92間、或いはピン保持部92と囲い板95cとの間隔は、ニッパー等の切断具で切断部115を切断できる程度の広さに形成されている。
切断部115は、ピン保持部92の主制御基板25の面外方向の支持強度を確保しつつ、ニッパー等で容易に切断可能とするために、主制御基板25に垂直な方向の板状に形成されている。また、その上端部側は、保護リブ113,114の上端部側と略同じ高さに形成されている。
封止ピン93は、ピン保持部92側からピン嵌合部94側に貫通して、両者を封止状態で結合するためのもので、ピン装着開口部101側からピン保持部92内に装着されている。封止ピン93は、断面矩形状の軸部121と、軸部121の上端側の係合鍔部(脱落防止部)122と、軸部121の下端側の台形状の嵌合頭部123と、係合鍔部122から上側に突出する円柱状の被操作部124と、軸部121の左右側面に突出する突起部(収容位置保持部)125とを備え、適当な弾性を有する合成樹脂材料により一体に成形されている。
軸部121は、左右方向に偏平な断面矩形状に形成されており、その左右幅はピン保持部92側の一対の係合爪105の内幅と略同じか若干小さく形成されている。
係合鍔部122は、封止ピン93をピン保持部92から脱落しないように保持するためのもので、封止ピン93の長手方向に略垂直に突出し且つピン保持部92の内部に摺動自在に嵌合する角形状に形成されている。この係合鍔部122は、封止ピン93をピン保持部92内に装着する際には、係止爪105の案内面105bに摺接して係止部104を外向きに押し広げつつピン装着開口部101を通過すると共に、封止ピン93がピン保持部92内に装着された状態では、係止爪105の係止面105aに係合してピン装着開口部101の通過を阻止するようになっている。
嵌合頭部123は、例えば図9及び図10に示すように、係合鍔部122が係止爪105の係止面105aに当接した状態で、ピン保持部92のピン装着開口部101から下側に突出して第1ケース体41側のピン嵌合部94に上側から嵌合し、ピン嵌合部94の下側に離脱不能に係合するようになっている。また、この嵌合頭部123は、係合鍔部122をピン保持部92の操作開口部102側に当接させた状態では、ピン保持部92内に完全に収容されるようになっている。以下の説明では、係合鍔部122が係止爪105の係止面105aに当接して嵌合頭部123がピン保持部92のピン装着開口部101から下側に突出した状態を「突出状態」、嵌合頭部123をピン保持部92内に収容した状態を「収容状態」という。
突起部125は、嵌合頭部123をピン保持部92内に収容した収容状態で封止ピン93を保持するためのもので、封止ピン93の長手方向に略垂直に突出するように軸部121の左右側面に一体に設けられ、図10等に示すように、封止ピン93が収容状態となったときに係合爪105の係止面105a側に係脱自在に係合し、封止ピン93をその状態で保持するようになっている。なお、突起部125は、係合爪105の上側に極弱く係合するように、封止ピン93の長手方向に略垂直な方向の突出量が係合鍔部122に比べて小さくなるように形成されており、封止ピン93を下向きに軽く押し下げるだけで、係合部104の外向きの弾性変形を殆ど伴うことなくその係合を解除することができるようになっている。
被操作部124は、封止ピン93を収容状態から突出状態に移行させる際にピン保持部92の外側から押圧操作するためのものであって、係合鍔部122から上側に突出して設けられ、案内支持部106の案内孔107に下側から摺動自在に嵌合している。被操作部124は、図9等に示すように、封止ピン93が突出状態にあるときでもその上端部が案内孔107に嵌合した状態が維持され、且つ封止ピン93が収容状態にあるときでもその上端部が保護リブ108の上側に突出しない長さに形成されている。
この被操作部124が案内孔107に案内されることにより、封止ピン93は一定の姿勢を保った状態でピン保持部92内を上下に摺動できる。また、封止ピン93が収容状態にあって被操作部124がピン保持部92の上側に突出した状態にあっても、その突出した被操作部124の周りが同程度の高さに形成された保護リブ113,114、切断部115により保護されているため、誤って封止ピン93を押し込んでしまうような誤操作を防止できる。
封止ピン93をピン保持部92内に装着する際には、図11(A),(B)に示すように、ピン保持部92のピン装着開口部101側から、係合鍔部122の両端部を係止爪105の案内面105bに摺接させて係止部104を外向きに押し広げつつ押し込めばよい。係合鍔部122は、係止爪105を通過した後は係止爪105の係止面105aに係合するため、強制的に係止部104を外向きに変形させない限りピン保持部92から脱落することはない。また、封止ピン93を操作開口部102側に一杯に押し込めば、突起部125が係止爪105の上側に係合して収容状態(図11(C))となる。
嵌合支持部97,98は、図4,図5,図8等に示すように、夫々第2ケース体42側の凹入部95,96に対応する板状に形成され、主制御基板25との間に十分な間隙をおいた位置で、第1ケース体41の底板部72の上部側から内側へと主制御基板25と略平行に一体に突出しており、その先端側縁部には凹入部95,96側の切欠部111に対応する突出部131が一体に設けられている。
嵌合支持部97,98には、第1ケース体41側のピン保持部92に対応してそれぞれ4つのピン嵌合部94が設けられている。各ピン嵌合部94は、封止ピン93用の挿通スリット132と、この挿通スリット132の両側の一対の弾性係合部133とを備えており、この一対の弾性係合部133には、封止ピン93側の嵌合頭部123を挿通スリット132側に案内する案内傾斜面134が設けられている。なお、各挿通スリット132の両側には逃げ用スリット135が形成されており、その隣り合うスリット132,135間が弾性係合部133となっている。
嵌合支持部97,98の下面側には、各ピン嵌合部94の両側に位置する複数個の補強リブ136が、底板部72の内面側にわたって一体に設けられている。また、嵌合支持部97,98の上面側には、第2ケース体42側の各ピン保持部92の左右の隙間に嵌合して封止する封止リブ(封止手段)137が、各ピン嵌合部94の両側に立設されている。
主基板ケース26を閉じる際には、まずピン保持部92内の封止ピン93を全て収容状態とし、上述した手順で、主制御基板25を装着した第2ケース体42に対して第1ケース体41をスライドさせつつ装着する(図5→図6)。これにより、嵌合支持部97,98は、突出部131を切欠部111に嵌合させつつ突出部112の上側に嵌合して凹入部95,96の下側を閉鎖した状態となる。
その際、各ピン保持部92内の封止ピン93は、突起部125が係合爪105に係合して収容状態が保持されているため、封止ピン93側の嵌合頭部123がピン保持部92の下側に突出して嵌合支持部97,98と干渉するようなことがなく、第1ケース体41の第2ケース体42への装着作業を極めて容易に行うことができる。
第2ケース体42が第1ケース体41に装着されて嵌合支持部97,98が凹入部95,96の下側に嵌合すると、各ピン嵌合部94は各ピン保持部92の下側に配置され、ピン装着部92側のピン装着開口部101を塞いだ状態となる。
このように、ピン保持部92のピン装着開口部101は、ピン嵌合部94と対向する側に設けられており、第2ケース体42と第1ケース体41とを結合した状態ではピン嵌合部94によって塞がれた状態となるため、封止ピン93の脱落を防止するためにピン装着開口部101を例えば第2ケース体の上面板90等で塞ぐ必要がなく、ピン保持部92を第2ケース体42と一体成形することが可能となっている。
またこのとき、封止リブ137が各ピン保持部92の左右両側の隙間を封止するため、ピン保持部92側の係合部104の外向きの変形が規制され、封止ピン93の係合鍔部122が係合部104を通過不能となり、ピン保持部92内の封止ピン93の脱落を確実に防止できる。
主制御基板25を内部に格納した状態で主基板ケース26が閉じられると、続いて、2つの封止ユニット43,44の各1個の封止手段91により主基板ケース26を封止する。封止手段91を用いて主基板ケース26を封止する際には、ドライバー等の工具の先端を封止ピン93の被操作部124の先端に当てて下方に押圧する。すると、封止ピン93は、突起部125と係合爪105との係合が解除されてピン装着開口部101側に移動し、嵌合頭部123が弾性係合部133を両側に押し広げながら挿通スリット132内に嵌合する。
そして、封止ピン93の係合鍔部122が係合爪105の係止面105aに当接すると、嵌合頭部123が挿通スリット132を通過して弾性係合部133の下側に係合し、封止ピン93の係合鍔部122と嵌合頭部123とでピン保持部92側の係合爪105と嵌合支持板96,97とを上下両側から挟み、ピン嵌合部94で封止ピン93を離脱不能に係止した状態となる。
パチンコ機をホール等に設置した後に、主制御基板25の検査を行う場合には、ニッパー等の切断具を用いて、封止状態となっている2個の封止手段91を支持している切断部115,116を切断する。すると、この封止手段91のピン保持部92が第2ケース体42から分離されるので、第1ケース体41が第2ケース体42から離脱可能になり、主基板ケース26を開放できる。
第1ケース体41を第2ケース体42から離脱する場合には、第1ケース体41を第2ケース体42に対して主制御基板25の板面に平行に下向きにスライドさせればよい。このとき、切断部115が切断されたピン保持部92は、封止ピン93によってピン嵌合部94に結合されたまま嵌合支持部97,98側に残される。
主制御基板25の検査後に主基板ケース26を再封止する場合には、再度第1ケース体41を第2ケース体42に装着し、2つの封止ユニット43,44を構成する残りの封止手段91のうちの各1個の封止手段91により主基板ケース26を封止すればよい。なお、検査後は、第2ケース体42側の例えば表板部51等に貼付された記録紙にその検査履歴を記載する。
各封止手段91の使用順序は、封止ユニット44側については、各封止手段91のピン保持部92が個別に第2ケース体42側に連結されているため、基本的にはどの封止手段91から順に使用してもよく、例えば左右方向の一端側から他端側に向けて順に使用すればよい。
一方、封止ユニット43側については、囲い板95c側の2つの封止手段91は第2ケース体42側に直接連結されているが、開口56側の2つの封止手段91についてはその内側に隣接する封止手段91を介して第2ケース体42側に間接的に連結されているため、囲い板95c側の封止手段91よりも開口56側の封止手段91を先に使用する必要がある。開口56側の封止手段91の前に隣接する囲い板95c側の封止手段91を使用して封止してしまうと、開封する際にその封止状態の封止手段91と共に未だ使用していない開口56側の封止手段91も第2ケース体42から切り離されてしまい、開口56側の封止手段91を使用することができなくなってしまう。
なお、各封止ユニット43,44毎の封止手段91の使用順序は、例えば第2ケース体42側に番号で表示しておくことが望ましい。
以上説明したように、本実施形態のパチンコ機では、ピン保持部92は、封止ピン93を装着するためのピン装着開口部101をピン嵌合部94と対向する側に備えているため、第2ケース体42と第1ケース体41とを結合した状態ではピン装着開口部101はピン嵌合部94によって塞がれた状態となる。従って、封止ピン93の脱落を防止するためにピン装着開口部101を例えば第2ケース体の上面板90等で塞ぐ必要がなく、ピン保持部92を第2ケース体42と一体成形することによる低コスト化が可能である。
また、封止ピン93は、ピン保持部92内に収容された収容状態と、ピン保持部92からピン装着開口部101を介してピン嵌合部94側に突出してピン嵌合部94に離脱不能に嵌合可能な突出状態との間で移動可能であり、封止ピン93に、ピン保持部92側と係脱自在に係合して収容状態を維持する突起部125を設けているため、封止ピン93がピン保持部92から突出して例えば主基板ケース26を閉じる際の邪魔になることがない。
特に、本実施形態では、第1ケース体41を第2ケース体42側の開口56を介して第2ケース体42に対して主制御基板25の板面に略平行な方向に相対的に移動させて両者を結合するように構成されているため、封止ピン93が突出状態にある状態では、封止ピン93の突出部分が嵌合支持部97,98と干渉するために第2ケース体42と第1ケース体41とを結合することができない。
また、封止ピン93に、突出状態でピン保持部92側と係合してピン保持部93からの離脱を防止する係合鍔部122を設け、ピン保持部92に、突起部125と係合鍔部122とにそれぞれ係合する係合部104を設けているため、係合鍔部122と突起部125とにそれぞれ係合部を個別に設ける場合と比べて形状を簡略化できる。
更に,係合部104は、ピン保持部92の内面側からその内側の封止ピン93側に向かう係合爪105を備え、脱落防止部122と突起部125とは、封止ピン93の長手方向に略垂直な突出状に形成され、係合鍔部122は突起部125よりもその突出量が大きく形成されているため、係合鍔部122と突起部125とを1つの係合爪105に係合させるように構成されているにも拘わらず、係合鍔部122と係合爪105との係合は強く、突起部125と係合爪105との係合は弱く、それぞれの係合状態を適切に設定できる。
係合部104をピン保持部92の側壁92a,92bに設け、ピン嵌合部94側に、ピン保持部92の係合部104の外側の隙間を封止する封止リブ137を設けているため、係合部104の外向きの変形が規制され、封止ピン93の係合鍔部122が係合部104を通過不能となり、ピン保持部92内の封止ピン93の脱落を確実に防止できる。
第1ケース体41とピン嵌合部94との間、又は第2ケース体42とピン保持部92との間を切断部115,116で直接的若しくは間接的に連結し、主基板ケース26の開封時にはその切断部115,116を切断して第1ケース体41と第2ケース体42との間の封止を解除するように構成しているため、仮に切断部115,116を切断して主基板ケース26を不正に開封しても、切断部115,116に切断跡が残りその隠蔽工作が困難であるため、検査履歴と照合すれば、不正行為の事実を容易に発見できる。
特に各封止手段91は主基板ケース26内部の基板格納領域45側にあるため、封止手段91を主基板ケース26の外部に設ける場合に比較して、主基板ケース26の基板格納領域45から外側への張り出し部分がなく、内部空間を有効に利用して主基板ケース26全体を小型化できると共に、開封後の封止手段91に対する不正な隠蔽工作等が行い難くなり、不正行為を効果的に防止できる。
図12は本発明の第2の実施形態を例示し、払い出し制御基板32を格納する払い出し基板ケース33を、第1の実施形態における主基板ケース26と同様の構成とした例を示している。払い出し制御基板32上には、遊技球を払い出す払い出し手段23を制御する払い出し制御手段が設けられており、主制御基板25と同様、不正な隠蔽工作等の対象となる可能性が高いため、これを格納する払い出し基板ケース33を、第1の実施形態における主基板ケース26と同様の構成としてすることは、不正行為を効果的に防止する上で望ましい。
なお、主基板ケース26と払い出し基板ケース33とを共に第1の実施形態における主基板ケース26と同様の構成としてもよい。もちろん、ランプ基板ケース28等のその他の基板ケースに第1の実施形態における主基板ケース26と同様の構成を用いることも可能である。
上記の各実施形態には、次の発明が包含されている。その第1の発明は、第1ケース体41と第2ケース体42とで構成され且つ内部に基板25,32を格納可能な基板ケース26,33と、該基板ケース26,33内に基板25,32を格納した状態で前記第1ケース体41と前記第2ケース体42とを封止する封止手段91とを備え、該封止手段91は、前記第1ケース体41側に設けられたピン嵌合部94と、前記第2ケース体42側に設けられたピン保持部92と、該ピン保持部92内に装着され且つ前記ピン保持部92と前記ピン嵌合部94とを離脱不能に結合可能な封止ピン93とを備えた遊技機において、前記ピン保持部92は、前記封止ピン93を装着するためのピン装着開口部101を前記ピン嵌合部94と対向する側に備えたものである。
第2の発明は、第1の発明において、前記封止ピン93は、前記ピン保持部92内に収容された収容状態と、前記ピン保持部92から前記ピン装着開口部101を介して前記ピン嵌合部94側に突出して前記ピン嵌合部94に離脱不能に嵌合可能な突出状態との間で移動可能であり、前記封止ピン93に、前記ピン保持部92側と係脱自在に係合して前記収容状態を維持する収容位置保持部125を設けたものである。
第3の発明は、第2の発明において、前記封止ピン93に、前記突出状態で前記ピン保持部92側と係合して前記ピン保持部92からの離脱を防止する脱落防止部122を設け、前記ピン保持部92に、前記収容位置保持部125と前記脱落防止部122とにそれぞれ係合する係合部104を設けたものである。
第4の発明は、第3の発明において、前記係合部104は、前記ピン保持部92の内面側からその内側の前記封止ピン93側に向かう係合爪105を備え、前記脱落防止部122と前記収容位置保持部125とは、前記封止ピン93の長手方向に略垂直な突出状に形成され、前記脱落防止部122は前記収容位置保持部125よりもその突出量が大きく形成されているものである。
第5の発明は、第3又は4の発明において、前記係合部104を前記ピン保持部92の側壁92a,92bに設け、前記ピン嵌合部94側に、前記ピン保持部92の前記係合部104の外側の隙間を封止する封止手段137を設けたものである。
第6の発明は、第1〜5の何れかの発明において、前記第1ケース体41と前記ピン嵌合部94との間、又は前記第2ケース体42と前記ピン保持部92との間を切断部115,116で直接的若しくは間接的に連結し、前記基板ケース26,33の開封時にはその切断部115,116を切断して前記第1ケース体41と前記第2ケース体42との間の封止を解除するように構成したものである。
第7の発明は、第1〜6の何れかの発明において、前記第2ケース体42は前記基板25,32の一端側に開口56を備え、前記第1ケース体41は前記開口56に対応する底板部72を備え、前記第1ケース体41を前記開口56を介して前記第2ケース体42に対して前記基板25の板面に略平行な方向に相対的に移動させて両者を結合するように構成したものである。
第8の発明は、第1〜7の何れかの発明において、前記基板ケース26,33の内側の基板格納領域45側に前記封止手段91を設けたものである。第9の発明は、第1〜8の何れかの発明において、前記基板ケース26内に格納する基板25上に、遊技者に有利な所定遊技状態を発生させるか否かを抽選する抽選手段を設けたものである。第10の発明は、第1〜9の何れかの発明において、前記基板ケース33内に格納する基板32上に、遊技媒体を払い出す払い出し手段23を制御する払い出し制御手段を設けたものである。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。例えば基板ケース26,33は、第1ケース体41と第2ケース体の他に第3のケース体を備え、その第3のケース体を第1ケース体41と第2ケース体との間に介在するように構成しても良い。また基板ケース26,33は、その一部を透明な材料で構成すれば良く、必ずしも封止手段91等を含む全体を透明な合成樹脂材料で構成する必要はない。
封止ピン93、ピン保持部92等は、角形に構成する他、丸形に構成することも可能である。
封止ユニット43,44は、2組に限られるものではなく、1組であってもよいし、3組以上設けてもよい。また、各封止ユニット43,44等における封止手段91の個数やその配置は任意である。例えば、全ての封止ユニットで封止手段を横一列状に配置してもよいし、縦横複数列に配置してもよい。また、各封止ユニット43,44等を基板ケース26,33の異なる辺に沿って設けてもよい。
第1ケース体41と第2ケース体42との一方を本体、他方を蓋体として、本体側を裏カバー19の裏面側に着脱自在に装着し、蓋体側を本体側の後方から装着するようにしてもよい。
更に、実施形態ではパチンコ機を例に挙げて説明したが、アレンジボール機、雀球遊技機等のその他の弾球遊技機、或いは回胴式遊技機等の各種遊技機で同様に実施可能であることは言うまでもない。