JP2009194001A - 横型拡散炉および拡散層形成方法 - Google Patents

横型拡散炉および拡散層形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】プロセスチューブの円筒軸方向への原料ガスおよびキャリアガスの流速を制御することにより、大径の半導体ウェーハにおいても、不純物拡散層の濃度および深さの面内均一性の高い拡散ウェーハを製造可能な横型拡散炉および拡散層形成方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明にかかる横型拡散炉1は、半導体ウェーハWが挿入される円筒形状のプロセスチューブ2と、前記半導体ウェーハWを加熱するヒーター4と、原料ガスおよびキャリアガスを前記プロセスチューブ2内に導入するガス導入管10と、前記ガス導入管10から分岐した上下内壁および両側面内壁のガス送出管11、12、13、14と、を備え、前記ガス送出管11、12、13、14は、前記プロセスチューブ2の長手方向に延在し、該長手方向に前記プロセスチューブ2の円筒軸に向けて複数の開口部を設けたことを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、横型拡散炉および拡散層形成方法に関し、特に半導体ウェーハに形成される不純物拡散層の濃度および深さの均一性を向上して、半導体の電気特性バラツキを改善する横型拡散炉および拡散層形成方法に関する。
高耐圧素子もしくは大電力素子を搭載する半導体デバイス用の半導体基板には、リン(P)、ボロン(B)等の不純物を拡散させた高濃度領域と、その高濃度領域よりも不純物濃度の低い低濃度領域からなる2層構造の拡散ウェーハが一般的に使用される。この拡散ウェーハの製造にあたっては、以下のような処理工程例がある。例えば、FZ法、あるいはCZ法で引上げ育成したシリコンインゴットをスライスした後、ラッピング処理あるいはエッチング処理と鏡面研磨加工を施したウェーハを準備する。そのウェーハを拡散炉内に挿入し、リン、ボロン等の不純物を含む原料ガスと、窒素、酸素等のキャリアガスとの混合ガス雰囲気下で熱処理を行い、ウェーハ表面に付着した不純物酸化膜からの拡散によりウェーハ表面に不純物拡散層を形成する(以下、導入工程と記載する)。その後、アルゴンあるいは希釈酸素等のガス雰囲気下で、上記導入工程で形成した不純物拡散層の不純物を所望の深さまで押込み拡散する(以下、拡散工程と記載する)。この拡散工程により、不純物の高濃度領域と、低濃度領域の2層構造を形成する。最後に、不純物の低濃度領域を所望の厚さに研削、研磨する。もしくは、ウェーハ厚さ方向の中央部で切断して低濃度領域を露出させ、その表面を所望の厚さに研削、研磨することで、不純物の高濃度領域と低濃度領域からなる2層構造の拡散ウェーハが製造される。
上記拡散工程において、不純物の高濃度領域における濃度および深さのバラツキが大きくなると、拡散ウェーハ上に形成される半導体デバイスの電気特性バラツキが大きくなり、上記半導体デバイスの製造歩留まりが低下する。このために、高濃度領域の濃度および深さの均一性を向上することが必要不可欠となる。
上記高濃度領域の濃度および深さの均一性を向上するには、上記導入工程において不純物拡散層の濃度および深さのバラツキを改善することが必要となる。このため、横型拡散炉内では炉内温度管理と共に、上述の原料ガスおよびキャリアガスの流速を最適に制御することが重要になる。特許文献1は、導入工程において横型拡散炉内の滞留原料ガスを効率的に排気するガス排気口を設けたことにより、ウェーハ面内での原料ガス流速を均一にして不純物拡散層の濃度および深さのバラツキを改善する技術内容である。
特開2006−278614号公報
しかしながら、特許文献1に開示される技術では、導入工程において横型拡散炉内に導入された原料ガスは、半導体ウェーハが設置された領域を通ってガス排気管付近まで流れ、ガス排気管から排気される。原料ガスが半導体ウェーハの設置された領域を通過する際、空気より重い原料ガスは横型拡散炉内の下方に沈む傾向がある。従って、横型拡散炉内の原料ガス濃度は半導体ウェーハの下側で濃くなる傾向があり、導入工程における半導体ウェーハ面内における不純物拡散層の濃度および深さが不均一となることから、結果的に拡散工程終了後の拡散ウェーハの製造バラツキが大きいという問題があった。さらに、半導体ウェーハの口径が大きくなると、半導体ウェーハの内周端部と中央部ではガスの到達距離の差が大きくなるので、半導体ウェーハ面内の位置に依存してガス中に含まれる不純物がガス移動中に取り込まれ、不純物拡散層の濃度および深さのバラツキはより顕著になる。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、プロセスチューブの円筒軸方向への原料ガスおよびキャリアガスの流速を制御することにより、大径の半導体ウェーハにおいても、不純物拡散層の濃度および深さの面内均一性の高い拡散ウェーハを製造可能な横型拡散炉および拡散層形成方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決し目的を達成するために、本発明にかかる横型拡散炉および拡散層形成方法は次のように構成されている。
(1)本発明にかかる横型拡散炉は、半導体ウェーハが挿入される円筒形状のプロセスチューブと、前記半導体ウェーハを加熱するヒーターと、原料ガスおよびキャリアガスを前記プロセスチューブ内に導入するガス導入管と、前記ガス導入管から分岐した上下内壁および両側面内壁のガス送出管と、を備え、前記ガス送出管は、前記プロセスチューブの長手方向に延在し、該長手方向に前記プロセスチューブの円筒軸方向に向けて複数の開口部を設けたことを特徴とする。
(2)上記(1)に記載の横型拡散炉において、前記プロセスチューブの上部内壁に配設されたガス送出管の開口部面積は、その他の箇所に配設されたガス送出管の開口部面積よりも広く形成されたことが望ましい。
(3)上記(1)乃至(2)に記載の横型拡散炉において、前記プロセスチューブの上下内壁のガス送出管は、前記プロセスチューブの円筒軸を通過する鉛直面上に配設され、 前記プロセスチューブの両側面内壁のガス送出管は、前記プロセスチューブの円筒軸を通過する水平面上に配設されることが望ましい。
(4)上記(1)乃至(3)に記載の横型拡散炉において、前記プロセスチューブは、直径200mm(約8インチ)以上の前記半導体ウェーハが挿入可能な内径を有することが望ましい。
(5)本発明にかかる拡散層形成方法は、半導体ウェーハが挿入される円筒形状のプロセスチューブと、前記半導体ウェーハを加熱するヒーターと、オキシ塩化リン(POCl)を気化してキャリアガスで希釈したガスを前記プロセスチューブ内に導入するガス導入管と、前記ガス導入管から分岐した上下内壁および両側面内壁のガス送出管と、を備えた横型拡散炉を用いた拡散層形成方法であって、前記ガス送出管により前記プロセスチューブの円筒軸方向へのガス流速を制御し、前記半導体ウェーハ面内に均一な不純物拡散層を形成することを特徴とする。
(6)上記(5)に記載の拡散層形成方法において、前記半導体ウェーハは、200mm(約8インチ)以上の直径を有することが望ましい。
本発明によれば、プロセスチューブ内部に原料ガスおよびキャリアガスを導入するガス導入管をプロセスチューブ内部の上下内壁と両側面内壁のガス送出管に分岐させ、原料ガスおよびキャリアガスをプロセスチューブの上下内壁と両側面内壁から円筒軸に向けて噴出させることにより、プロセスチューブの円筒軸方向への原料ガスおよびキャリアガスの流速を制御して、大径ウェーハにおいても、不純物拡散層の濃度および深さの面内均一性の高い拡散ウェーハを製造可能な横型拡散炉および拡散層形成方法を提供するという効果を奏する。
以下、本発明にかかる横型拡散炉および拡散層形成方法に関する実施の形態につき、添付図面に基づき説明する。
(第一の実施の形態)
以下、第一の実施の形態にかかる横型拡散炉について詳細に説明する。図1は、第一の実施の形態にかかる横型拡散炉1の概略構成を示す断面図である。
第一の実施の形態にかかる横型拡散炉1は、高濃度不純物を含む原料ガスによりウェーハW上に不純物拡散層を形成する熱処理炉の構成を有する。リン(P)、ボロン(B)、もしくはヒ素(As)の不純物元素を熱拡散法によりシリコン単結晶中に導入する処理を行う(以下、導入工程と記載する)。N型不純物元素としてリン(P)を使用することが多く、第一の実施の形態においては、原料ガスとしてオキシ塩化リン(以下、POClと記載する)を使用した構成を基に詳細を説明する。
第一の実施の形態にかかる横型拡散炉1は、プロセスチューブ2と、フランジ部3と、ヒーター4と、拡散用ボート5と、温度センサ6と、ウェーハWと、ガス導入管10と、ガス送出管11と、ガス送出管12と、ガス送出管13と、ガス送出管14と、ガス排気管15と、を備えている。
プロセスチューブ2は、導入工程を実行するためにウェーハWが挿入される円筒形状密封容器である。材質は、例えば、炭素の基材に炭化珪素(以下、SiCと記載する)を被膜したもの、SiC基材のもの、シリコン含浸SiCを基材としたもの、もしくは石英ガラスのうちいずれかを使用する。石英ガラス基材を使用する場合、熱変形を考慮して、熱拡散温度を約1200℃以下にすることが好ましい。また、横型拡散炉1内の各主要部は、洗浄時等には取り外し可能となっている構成が好ましい。さらに、直径200mm(約8インチ)以上のウェーハWが挿入可能な内径を有するプロセスチューブ2を使用する場合、第一の実施の形態にかかる横型拡散炉の効果が最大限に発揮される。
ガス導入管10は、原料ガスやキャリアガス等をプロセスチューブ2内部に導入するガス管であり、プロセスチューブ2の円筒軸と平行な方向に上記ガスを導入する。ガス導入管10は、横型拡散炉1外部のガス供給制御装置(図示省略)に接続され、製造目的の導入工程に従って、所望のガス種類、ガス濃度およびガス流量に制御された導入ガスをA方向に導入する機能を有する。
上記導入工程に使用される原料ガスは、リン(P)を不純物とする場合、POClである。POClは、比重1.65、沸点107℃の刺激臭のある無色液体である。不活性ガス中に気化された状態のPOClは、キャリアガスとなる少量のOを含むNで希釈される(以下、反応ガスと記載する)。横型拡散炉1内に導入された反応ガスは、化学反応によりリンガラス(PO)を生成する。そして、生成されたリンガラスはSi単結晶表面にリンガラス層として堆積する一方、リンガラスからリンがSi単結晶中に拡散し、リンの不純物拡散層を形成する。
ガス排気管15は、上記導入工程における未反応に終わった反応ガスおよび反応後の残留ガスを排気するガス管である。ガス排気管15は、フランジ部3の中央部に近い箇所に配設されると共に、横型拡散炉1外部のガス排気装置(図示省略)に接続され、残留ガスをD方向に排気する機能を有する。
フランジ部3は、プロセスチューブ2と接合することによって、横型拡散炉1を密封する炉蓋である。フランジ部3は、構成の一部にガス排気管15を備え、プロセスチューブ2と着脱可能な構造になっており、各主要部品の洗浄時およびウェーハ搬入出時に取り外される。
ヒーター4は、横型拡散炉1において、上記導入工程における不純物拡散層の形成にあたって適当な熱拡散温度(約900〜1200℃)までウェーハWを加熱する機能を有する。例えば、図1では、プロセスチューブ2の外周部を円筒状に螺旋捲回して取り付けられている。
温度センサ6は、横型拡散炉1内部の温度を検出する機能を有する。上記導入工程における不純物拡散層を形成するために上記熱拡散温度まで加熱される際に、横型拡散炉1内部の温度を検出する機能を有する。横型拡散炉1内部が所望の熱拡散温度になるように、温度センサ6の検出温度に従ってヒーター4をヒーター制御回路(図示省略)が制御する。
ウェーハWは、ヒーター4によって加熱されたプロセスチューブ2内部で不純物拡散層を形成する対象基板である。ウェーハWは、例えば、FZ法、CZ法で引上げ育成したシリコンインゴットをスライスし、ラッピング処理もしくはエッチング処理を施したSiウェーハである。さらに、直径200mm(約8インチ)以上のウェーハWを使用する場合、第一の実施の形態にかかる横型拡散炉の効果が最大限に発揮される。
拡散用ボート5は、ウェーハWをプロセスチューブ2内部に設置、保持する固定具である。拡散用ボート5の材質は、プロセスチューブ2と同様、炭素の基材に炭化珪素(以下、SiCと記載する)を被膜したもの、SiC基材のもの、シリコン含浸SiCを基材としたもの、もしくは石英ガラスのうちいずれか1つを使用する。多数のウェーハWを図1に示すように、横型拡散炉1の長手方向と直交する方向に直立させて並列に保持するための保持用溝部を備えている。
ガス送出管11、12、13および14は、ガス導入管10から、プロセスチューブ2の上下内壁および両側面内壁に分岐したガス管である。以下、ガス送出管11、12、13および14について詳細を順次説明する。
ガス送出管11は、ガス導入管10からプロセスチューブ2の上部内壁に分岐し、プロセスチューブ2の長手方向に延在したガス管であり、該ガス管の長手方向に設けた複数の開口部をプロセスチューブ2の円筒軸に向ける。ガス送出管11は、プロセスチューブ2の上部内壁に這うように配設され、ガス導入管10によってA方向に導入された反応ガスをB方向に送出する。B方向に送出された反応ガスは、ガス送出管11の長手方向に設けられた複数の開口部を経て、プロセスチューブ2の上部内壁から、プロセスチューブ2の円筒軸方向に噴出される。
ガス送出管12は、ガス導入管10からプロセスチューブ2の下部内壁に分岐し、プロセスチューブ2の長手方向に延在したガス管であり、該ガス管の長手方向に設けた複数の開口部をプロセスチューブ2の円筒軸に向ける。ガス送出管12は、プロセスチューブ2の下部内壁に這うように配設され、ガス導入管10によってA方向に導入された反応ガスをC方向に送出する。C方向に送出された反応ガスは、ガス送出管12の長手方向に設けられた複数の開口部を経て、プロセスチューブ2の下部内壁から、プロセスチューブ2の円筒軸に向けて噴出される。
ガス送出管13および14は、ガス導入管10からプロセスチューブ2の両側面内壁の2方向に分岐し、プロセスチューブ2の長手方向に延在したガス管であり、該ガス管の長手方向に設けた複数の開口部をプロセスチューブ2の円筒軸に向ける。ガス送出管13および14は、プロセスチューブ2の円筒軸を通過する仮想水平面(点線)上のプロセスチューブ2両側面内壁に這うように配設され、ガス導入管10によってA方向に導入された反応ガスを左右に分割して送出する。左右に分割して送出された反応ガスは、ガス送出管13および14の長手方向に設けられた複数の開口部を経て、プロセスチューブ2の両側面内壁から、プロセスチューブ2の円筒軸に向けて噴出される。
以下、図1におけるE−E方向の断面を詳細に説明する。図2は、第一の実施の形態にかかる横型拡散炉1の概略構成を示す図1E−E方向断面図である。横型拡散炉1は、円筒状密封壁のプロセスチューブ2の内部に、拡散用ボート5と、温度センサ6と、ウェーハWと、ガス送出管11と、ガス送出管12と、ガス送出管13と、ガス送出管14と、を備えている。ガス送出管11および12は、プロセスチューブ2の円筒軸を通過する鉛直面上に配設されており、ガス送出管13および14は、プロセスチューブ2の円筒軸を通過する水平面上に配設されている。図2に示す構成要件は図1に示した上述の通りであり、詳細の説明を省略する。
以下、ガス送出管11に設けられた開口部について詳細に説明する。図3は、第一の実施の形態にかかるガス送出管11を長手方向に開口部側から見た正面図である。図3に示すように、ガス送出管11は長手方向に複数の開口部16を備えている。図3においては、複数の開口部16は、d1、d2、d3、d4およびd5の間隔でガス送出管11の長手方向に設けられ、全て同等の開口部面積を有しているが、これに限定されるものではない。開口部間隔d1、d2、d3、d4およびd5は、ウェーハWの並立間隔に基づいて設定することが好ましい。また、全て同等の開口部間隔を図示しているが、これに限定されるものではない。プロセスチューブ2長手方向のガス流速を制御するためガス導入管10から分岐する部分のガス圧に応じて、開口部面積、もしくは開口部間隔を変化させてもよい。なお、開口部16の形状は、楕円形状を図示しているが、これに限定されるものではない。また、ガス送出管12、13、14は、ガス送出管11と同様の管径および開口部等の構成を有するガス管である。
以下、図2に示す横型拡散炉1の断面図におけるガス流について詳細に説明する。ガス送出管11、12、13および14の開口部は全てプロセスチューブ2の円筒軸に向けて配設される。ガス送出管11の開口部は、図2の下方向に向けて配設される。従って、ガス送出管11に送出された反応ガスは、図2のF方向に噴出される。更に、ガス送出管12の開口部は、図2の上方向に向けて配設される。従って、ガス送出管12に送出された反応ガスは、図2のG方向に噴出される。更に、ガス送出管13の開口部は、図2の右方向に向けて配設される。従って、ガス送出管13に送出された反応ガスは、図2のH方向に噴出される。更に、ガス送出管14の開口部は、図2の左方向に向けて配設される。従って、ガス送出管14に送出された反応ガスは、図2のI方向に噴出される。
上述のように、各々のガス送出管11、12、13および14の開口部がプロセスチューブ2の円筒軸に向けて配設されることから、プロセスチューブ2の上下および両側面の内壁からウェーハWの中央部に向けて反応ガスを噴出させる構成となっている。例えば、特許文献1では、プロセスチューブ2内に反応ガスを導入した後は、反応ガス流に任せてウェーハWの設置領域を通過させる構成としていたが、第一の実施の形態にかかる横型拡散炉1においては、プロセスチューブ2の上下および両側面の内壁から反応ガスをウェーハWの中央部に向けて噴出させる。このような構成により、ガス送出管の開口部からウェーハWの中央部までの距離を短く等距離とすることができ、プロセスチューブ2の4方向内壁から円筒軸方向への反応ガスの流速を制御する。その結果、不純物拡散層の濃度および深さの均一性を向上し電気特性バラツキの少ない半導体デバイスを形成することを可能とする。第一の実施の形態にかかる横型拡散炉は、直径200mm(約8インチ)以上の半導体ウェーハに不純物拡散層を形成する場合に上述の反応ガスの流速制御がより大きな効果を発揮する。
以下、拡散ウェーハ形成手順を詳細に説明する。図4は、第一の実施の形態にかかる拡散ウェーハ形成手順を示すフローチャートである。まず、CZ法もしくはFZ法によりシリコンインゴットを引上げ育成する(ステップS100)。育成したシリコンインゴットをスライスし、ラッピング処理あるいはエッチング処理を施してウェーハWを生成する(ステップS101)。導入工程に入り、ウェーハWを横型拡散炉1内に投入する(ステップS102)。反応ガスを横型拡散炉1内に導入する(ステップS103)。プロセスチューブ2の円筒軸方向への反応ガスの流速を制御し、リンガラスをウェーハW表面に堆積させる。一方、リンをウェーハWのSi単結晶中に拡散させ、リンの不純物拡散層を形成する(ステップS104)。表面のリンガラス層を除去する(ステップS105)。不純物拡散層の濃度および深さに依存する抵抗値ρsを測定しウェーハ面内のΔρs評価値を求める(ステップS106)。この不純物拡散層の濃度および深さに依存する抵抗値ρsの測定は、主に拡がり抵抗法により実施される。次に、拡散工程に入り、不純物拡散層を所望の深さまで押し込み不純物の高濃度領域と低濃度領域を形成する(ステップS107)。ウェーハWを所望の低濃度領域深さになるように研削、研磨する(ステップS108)。
以上述べたように、第一の実施の形態によれば、プロセスチューブ2に反応ガスを導入するガス導入管10からプロセスチューブ2の上下内壁および両側面内壁のガス送出管に分岐し、これらのガス送出管から反応ガスを噴出させることにより、プロセスチューブ2の円筒軸方向への反応ガスの流速を制御する。その結果、大径ウェーハにおいても導入工程における不純物拡散層の濃度および深さの面内均一性の高い拡散ウェーハを製造することを可能とする。
(第二の実施の形態)
以下、第二の実施の形態にかかる横型拡散炉について詳細に説明する。図5は、第二の実施の形態にかかる横型拡散炉20の概略構成を示す断面図である。第二の実施の形態にかかる横型拡散炉20が第一の実施の形態にかかる横型拡散炉1と異なる点は、プロセスチューブ2の上部内壁に設けられたガス送出管21の開口部面積である。
図6は、第二の実施の形態にかかるガス送出管21を長手方向に開口部側から見た正面図である。第二の実施の形態においては、プロセスチューブ2の上部内壁に配設されたガス送出管21のみガス送出管12、13、14に対して、開口部22の開口面積が異なる。ガス送出管21に設けられた開口部22は、その他のガス送出管12、13、14に設けられた開口部16よりも広い開口部面積を有する。図6においては、複数の開口部22は、d1、d2、d3、d4およびd5の間隔でガス送出管21の長手方向に設けられ、すべて同等の開口部面積を有しているが、これに限定されるものではない。開口部間隔d1、d2、d3、d4およびd5は、ウェーハWの並立間隔に基づいて設定することが好ましい。また、全て同等の開口部間隔を図示しているが、これに限定されるものではない。プロセスチューブ2長手方向のガス流速を制御するためガス導入管10から分岐する部分のガス圧に応じて、開口部面積、もしくは開口部間隔を変化させてもよい。なお、開口部22の形状は、楕円形状を図示しているが、これに限定されるものではない。その他の構成要素は第一の実施の形態にかかる横型拡散炉と同様であり、詳細の説明を省略する。
上述のように、導入工程に使用される原料ガスは、リン(P)を不純物とする場合、POClである。不活性ガス中に気化された状態のPOClは、キャリアガスとなる少量のOを含むNで希釈される(以下、反応ガスと記載する)。その後、横型拡散炉20内部に導入される。気化されたPOClを含む反応ガスは空気よりも重く、横型拡散炉20内部で沈む傾向がある。従って、第二の実施の形態にかかる横型拡散炉20においては、プロセスチューブ2の上部内壁に配置されたガス送出管21の開口面積を他のガス送出管12、13、14の開口面積よりも広く形成することによって、反応ガスの自重を考慮してプロセスチューブ2の上部内壁から噴出されるガスの流速を遅くする。反応ガスの自重を考慮してガス流速を遅くしておくことにより、プロセスチューブ2の円筒軸方向への反応ガスの流速を制御するという効果を狙ったものである。第二の実施の形態にかかる横型拡散炉は、直径200mm(約8インチ)以上の半導体ウェーハに不純物拡散層を形成する場合に上述の反応ガスの流速制御がより大きな効果を発揮する。
以上述べたように、第二の実施の形態によれば、プロセスチューブ2にガスを導入するガス導入管10からプロセスチューブ2の上下内壁および両側面内壁のガス送出管21、12、13、14に分岐し、かつプロセスチューブ2の上部内壁に配設したガス送出管21の開口部のみ他のガス送出管12、13、14の開口部よりも開口面積を広く形成することにより、反応ガスの自重の影響を考慮してプロセスチューブ2の円筒軸方向への反応ガスの流速を制御する。その結果、大径ウェーハにおいても導入工程における不純物拡散層の濃度および深さの面内均一性の高い拡散ウェーハを製造することを可能とする。
以下、第一の実施の形態および第二の実施の形態にかかる改善効果を詳細に説明する。図7は、従来例、第一の実施の形態および第二の実施の形態にかかる横型拡散炉において形成されたリンの不純物拡散層のΔρs評価値を示すグラフである。図4のステップS106において測定された不純物拡散層のΔρs評価値の測定結果を図7に示す。図7は、ガス送出管12から噴出されるガス流速を横軸に、図4のステップS106において測定されたリンの不純物拡散層のΔρs評価値を縦軸にプロットしている。不純物拡散層のΔρs評価値は、主に拡がり抵抗法により測定される。
図7において、ガス送出管を設けない従来例(特許文献1)による不純物拡散層のΔρs評価値をマーク(□)で示す。それに対し、ウェーハWに対して上下両側面4方向から等しい流速のガスを噴出させるガス送出管ケース(第一の実施の形態)による不純物拡散層のΔρs評価値をマーク(▲)で示す。更に、ウェーハWに対して上下両側面4方向からガスを噴出させ、上部内壁のガス送出管のみ開口面積を広くしたケース(第二の実施の形態)による不純物拡散層のΔρs評価値をマーク(●)で示す。図7において、所定のガス流速範囲内で、マーク(□)よりもマーク(▲)、更にマーク(▲)よりもマーク(●)の方が不純物拡散層のΔρs評価値を低減させることができており、第一の実施の形態、更に第二の実施の形態においてより大きな改善効果が表れていることがわかる。
なお、第一の実施の形態および第二の実施の形態にかかる横型拡散炉においては、プロセスチューブ2の上下内壁のガス送出管はプロセスチューブ2の円筒軸を通過する鉛直面上に配設され、両側面内壁のガス送出管はプロセスチューブ2の円筒軸を通過する水平面上に配設される構成を詳細に説明したが、この配置に限定されるものではない。両側面内壁のガス送出管13、14は、プロセスチューブ2の円筒軸を通過する仮想水平面(図2および図5の点線)よりも上方、もしくは下方に配設される多少の自由度がある。また、両側面内壁のガス送出管13、14が仮想水平面よりも上方、もしくは下方に配設された場合においても、ガス送出管の開口部はプロセスチューブ2の円筒軸に向ける。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、上述した実施形態は本発明を限定するものではない。当業者にあっては、具体的な実施形態において本発明の技術思想および技術範囲から逸脱せずに種々の変形・変更を加えることができる。
また、本発明は、特に高耐圧素子、大電力素子等が搭載される半導体デバイス用の拡散ウェーハの製造に好適であるが、その他の不純物層を有する半導体ウェーハの製造において同様に適用してもよい。なお、第一の実施の形態および第二の実施の形態においては、POClを原料ガスとして使用した実施形態を説明したが、他のガスを用いた熱拡散処理方法の半導体ウェーハ製造に適用してもよい。
第一の実施の形態にかかる横型拡散炉1の概略構成を示す断面図。 第一の実施の形態にかかる横型拡散炉1の概略構成を示す図1E−E方向断面図。 第一の実施の形態にかかるガス送出管11を長手方向に開口部側から見た正面図。 第一の実施の形態にかかる拡散ウェーハ形成手順を示すフローチャート。 第二の実施の形態にかかる横型拡散炉20の概略構成を示す図1E−E方向断面図。 第二の実施の形態にかかるガス送出管21を長手方向に開口部側から見た正面図。 従来例、第一の実施の形態および第二の実施の形態にかかる横型拡散炉において形成したリンの不純物拡散層のΔρs評価値を示すグラフ。
符号の説明
1 横型拡散炉
2 プロセスチューブ
3 フランジ部
4 加熱ヒーター
5 拡散用ボート
6 温度センサ
10 ガス導入管
11 ガス送出管
12 ガス送出管
13 ガス送出管
14 ガス送出管
15 ガス排気管
16 開口部
20 横型拡散炉
21 ガス送出管
22 開口部
W ウェーハ
A プロセスチューブ2へのガス導入方向
B ガス送出管11を経由するガス送出方向
C ガス送出管12を経由するガス送出方向
D プロセスチューブ2からのガス排気方向
E−E 横型拡散炉の断面を示す矢視方向
F ガス送出管11を経由するガス噴出方向
G ガス送出管12を経由するガス噴出方向
H ガス送出管13を経由するガス噴出方向
I ガス送出管14を経由するガス噴出方向

Claims (6)

  1. 半導体ウェーハが挿入される円筒形状のプロセスチューブと、
    前記半導体ウェーハを加熱するヒーターと、
    原料ガスおよびキャリアガスを前記プロセスチューブ内に導入するガス導入管と、
    前記ガス導入管から分岐した上下内壁および両側面内壁のガス送出管と、を備え、
    前記ガス送出管は、前記プロセスチューブの長手方向に延在し、該長手方向に前記プロセスチューブの円筒軸に向けて複数の開口部を設けたことを特徴とする横型拡散炉。
  2. 前記プロセスチューブの上部内壁に配設されたガス送出管の開口部面積は、その他の箇所に配設されたガス送出管の開口部面積よりも広く形成されたことを特徴とする請求項1に記載の横型拡散炉。
  3. 前記プロセスチューブの上下内壁のガス送出管は、前記プロセスチューブの円筒軸を通過する鉛直面上に配設され、
    前記プロセスチューブの両側面内壁のガス送出管は、前記プロセスチューブの円筒軸を通過する水平面上に配設されることを特徴とする請求項1乃至2に記載の横型拡散炉。
  4. 前記プロセスチューブは、直径200mm(約8インチ)以上の前記半導体ウェーハが挿入可能な内径を有することを特徴とする請求項1乃至3に記載の横型拡散炉。
  5. 半導体ウェーハが挿入される円筒形状のプロセスチューブと、
    前記半導体ウェーハを加熱するヒーターと、
    オキシ塩化リン(POCl)を気化してキャリアガスで希釈したガスを前記プロセスチューブ内に導入するガス導入管と、
    前記ガス導入管から分岐した上下内壁および両側面内壁のガス送出管と、を備えた横型拡散炉を用いた拡散層形成方法であって、
    前記ガス送出管により前記プロセスチューブの円筒軸方向へのガス流速を制御し、前記半導体ウェーハ面内に均一な不純物拡散層を形成することを特徴とする拡散層形成方法。
  6. 前記半導体ウェーハは、200mm(約8インチ)以上の直径を有することを特徴とする請求項5に記載の拡散層形成方法。
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