以下、本発明の一実施形態のEL表示装置を図面に基づいて説明する。
なお、本明細書において、各図面は理解を容易するために、省略及び拡大または縮小した箇所がある。
また、同一番号、または、記号等を付した箇所は、同一または類似の形態、構成、材料、機能、または、動作を有する。
(実施形態の概要)
まず、本実施形態のEL表示装置の概要について説明する。
本実施形態は、EL表示装置に用いる電源発生回路12などに、EL素子に電流を供給する電源配線から電圧発生回路を切断する回路を具備させている。また、出力電圧を可変する機能を具備している。
EL表示装置を調整する際には、電圧発生回路を切断する回路を動作させ、電源回路の電圧発生回路を電源配線から切り離した状態で、電源配線に外部電圧発生回路から電圧を前記電源配線に印加する。また、電源配線と外部電圧発生回路間に電流計を配置する。
外部電圧発生回路は、EL表示装置の定常動作時の電圧を出力し、前記電流計で電源配線に流れる電流をモニターした状態で、EL表示装置を所定の輝度またはEL表示装置に所定の電流が流れるように調整する。
以上により、電源配線を機構などの物理的に変化または操作することなしに電源配線に流れる電流を測定できる。したがって、EL表示装置のコストが高くなることもなく、調整時間も短時間で実施できる。
また、EL表示装置に入力される映像信号を加算あるいは重み付け処理を行うことにより、表示画面に流れる電流を求め、または予測し、前記求めた電流などにより画像画面に黒帯状の非点灯領域を発生させ、この黒帯状の非点灯領域の大きさを変化させる。または、黒帯状の非点灯領域の幅は一定にし、映像信号の振幅を変化させることにより、表示画面に流れる電流の大きさが一定以上にならないように制御する。また、この制御により、電源回路から表示画面に流れる電流を一定以下となるようにすることができ、EL表示装置の発熱を抑制できる。また、電源回路(電源IC)12が出力する電圧を可変することによりEL表示装置の発熱を抑制できる。
また、点灯領域に流れる電流をモニターしながら、EL表示装置に印加する電圧を可変することにより、最適な黒レベルの調整、ホワイトバランスを実現できる。
また、検査トランジスタを制御することなどにより、EL表示装置の検査を実現できる。
また、通常の表示状態で使用する電流よりも大きな電流をEL表示装置の点灯領域に流すことができるので、エージング工程を実現できる。
(実施形態の詳細)
以下、本実施形態のEL表示装置の詳細について説明する。
(1)ゲートドライバ回路の構成
EL表示装置のゲートドライバ回路22について説明する。
図2に示すように、表示画面21の左端にゲートドライバ回路22aを設け、右端にゲートドライバ回路22bを設けている。なお、ゲートドライバ回路12は、表示パネルの空き領域に形成すればよい。
(1−1)概要
ゲートドライバ回路22aは、ゲート信号線27aを制御し、ゲートドライバ回路22bはゲート信号線27bを制御する。ゲートドライバ回路22a、22bには、ゲート信号線27のオン電圧(VGL)と、ゲート信号線27のオフ電圧(VGH)が供給されている。オフ電圧(VGH)は、アノード電圧Vdd以上または近傍の電圧である。オン電圧(VGL)は、カソード電圧Vssまたはグランド電圧(GND)近傍の電圧である。なお、近傍の電圧とは、±3Vの範囲の電圧である。
本実施形態では、トランジスタ31のオフ電圧をVGHとし、オン電圧をVGLとして説明するがこれに限定するものではない。オン電圧(VGL)とオフ電圧(VGH)の極性は、駆動用トランジスタ31aのチャンネルの種類(PチャンネルまたはNチャンネル)に対応して設定する。また、図31に示すように、ゲートドライバ回路22の電圧の1つまたは複数をGND電圧としてもよい。図31では、ゲートドライバ回路22bは、VGH電圧と、VGL=GND電圧で動作しており、ゲートドライバ回路22aは、VGH電圧とVGL1電圧で動作している。
本実施形態では、駆動用トランジスタ31aはPチャンネルトランジスタとしている。この場合は、オン電圧をVGLとし、オフ電圧をVGHとする。駆動用トランジスタ31aがNチャンネルトランジスタの場合は、オン電圧をVGHとし、オフ電圧をVGLとする。なお、図2に適合するように、VGH1、VGH2、VGL1、VGL2を内蔵させてもよい。その場合においても、ON1コマンドで、AVddとVGH1、VGH2、VGL1、VGL2を同時に起動し、ON2でVdd、Vssを起動させる。
ソースドライバ回路(IC)24は、映像信号またはキャンセル電圧であるプログラム電流Iwまたはプログラムで電圧Vwを発生する。発生した映像信号またはキャンセル電圧は、ソース信号線28に印加される。ソースドライバ回路(IC)28とソース信号線28間に3選択回路481を形成してもよい。なお、選択回路481の選択数は3に限定するものではなく、6選択などの他の選択数に構成してもよい。
なお、本実施形態のEL表示装置においては、ゲートドライバ回路22aは、オン電圧VGH1、オフ電圧VGL1とし、ゲートドライバ回路22bは、オン電圧VGH2、オフ電圧VGL2とする。また、VGH1=VGH2、VGL1<VGL2にしている。本実施形態では、画素26を選択し映像信号を書き込むゲート信号線17の駆動電圧(VGH2、VGL1)と、EL素子35に流す電流を制御するゲート信号線17の駆動電圧(VGH2、VGL2)とを異ならせている。
ソースドライバ回路24の電源電圧をVcc(V)とし、アノード電圧をVdd(V)としたとき、Vdd−1.5(V)≦Vcc≦Vddの関係を満足するように構成している。
また、ゲートドライバ回路のオン電圧またはオフ電圧をVGH(V)とし、アノード電圧をVdd(V)としたとき、Vdd+0.2(V)≦VGH≦Vdd+2.5(V)の関係を満足するように構成している。
図3に示す一例としてのEL表示装置の画素構成では、スイッチ用トランジスタ31b、31cは、ソースドライバ回路24が出力する映像信号を印加する画素(行)を選択するためのスイッチとして機能する。スイッチ用トランジスタ31dは、EL素子15に電流を供給するためのスイッチとして機能する。すなわち、スイッチ用トランジスタ31dは、発光させる画素(行)を選択するスイッチとして動作する。
なお、図3は、電流プログラムの画素構成であるが(映像信号は電流信号のIw)、映像信号として、電圧信号を印加しても動作する。
(1−2)入力信号の印加
ゲートドライバ回路22には、クロック信号(CLK)、スタート信号(ST1、ST2)などは、アップダウン信号(UP)が印加される。クロック信号(CLK)は、水平同期信号(HD)に同期している。また、必要に応じて、EL表示装置内に内蔵する発振モジュールでクロック信号(CLK)を発生させる。スタート信号(ST2)を制御することにより、図7、図57のduty駆動を実現でき、また、図69の点灯率制御を実現できる。クロック信号(CLK)、スタート信号(ST1、ST2)、アップダウン信号(UP)などゲートドライバ回路22に印加する信号は、ソースドライバIC24で発生し、アレイ基板に形成したレベルシフタ回路でレベルシフトしてゲートドライバ回路22に印加される。
クロック信号(CLK)は、選択する画素行を順次移動させるための信号である。スタートパルス信号(ST)は、選択する画素行を指定するための信号である。スタートパルス信号(ST)はクロック信号(CLK)により、ゲートドライバ回路22のシフトレジスタ回路内を移動する。アップダウン信号は、画面の上下反転切換信号である。シフトレジスタ回路内のスタートパルス位置にしたがって、ゲート信号線27が選択される(ゲート信号線27にオン電圧(VGL)が印加される。
(2)画素の構成
図3は、EL表示装置の画素26の構成図例である。画素は、表示画面21にマトリックス状に形成されている。一例として画素内にTFTよりなる4つのトランジスタ31が形成されている。
なお、本実施形態のEL表示装置における画素26の構成は、図3の構成に限定されるものではない。また、各画素26内に形成されたトランジスタ31の個数に限定されるものでもない。
(2−1)画素内の配線
図3において、駆動用トランジスタ31aのゲート端子は、スイッチ用トランジスタ31bのソース端子と接続されている。スイッチ用トランジスタ31b及びスイッチ用トランジスタ31cのゲート端子は、ゲート信号線27aと接続されている。
トランジスタ31bのドレイン端子は、スイッチ用トランジスタ31cのドレイン端子ならびにトランジスタ31dのソース端子に接続されている。スイッチ用トランジスタ31cのソース端子は、ソース信号線28に接続されている。
トランジスタ31dのゲート端子はゲート信号線27bに接続されている。トランジスタ31dのドレイン端子はEL素子35のアノード端子に接続されている。EL素子35のカソード端子はカソード端子(Vss)に接続されている。駆動用トランジスタ31aのソース端子は、アノード電圧(Vdd)に接続されている。
一例としてカソード電圧Vssは、−4.5V〜−1.0Vであり、アノード電圧Vddは、3.5V〜7.0Vである。Vss、Vdd、VGH、VGLなどは本実施形態の電源回路12から供給され、必要に応じて各電圧の値は変更設定される。
スイッチ用トランジスタ31b、31cは、ゲート信号線27aに印加されたオン/オフ制御信号(VGH1、VGL1)によりオン(クローズ状態)/オフ(オープン状態)制御される。トランジスタ31dのゲート端子は、ゲート信号線27bに接続されている。トランジスタ31dは、ゲート信号線27bに印加されたオン/オフ制御信号(VGH2、VGL2)によりオン/オフ制御される。
(2−2)点灯領域と非点灯領域
映像信号を印加する画素を選択している状態は、図4(a)の状態である。スイッチ用トランジスタ31dはオフであり、スイッチ用トランジスタ31b、31cはオンである。
EL素子35を発光させている状態は、図4(b)の状態である。スイッチ用トランジスタ31dはクローズ状態であり、スイッチ用トランジスタ31b、31cはオフである。
以上の動作を表示画面21で示すと、図5に示すようになる。図5(a)の51は、映像信号または映像電圧を書き込むために選択されている画素行(書き込み画素行)を示している。書き込み画素行51は、非点灯(非表示画素行)とする。非点灯にするには、ゲートドライバ回路22bを制御し、画素26のスイッチ用トランジスタ31dをオフにすればよい。
スイッチ用トランジスタ31dをオフにするためには、ゲート信号線27bにオフ電圧(VGH1)を印加すればよい。ゲートドライバ回路22がゲート信号線27にオフ電圧(VGH)を印加する位置は、水平同期信号(HD)に同期してシフトさせる。
なお、本実施形態のピーク電流抑制駆動(図69)、duty駆動及び電圧可変駆動(図57)は画素構成が電流駆動方式(例えば、図3など)、電圧駆動方式(図68、図74、図75など)のいずれであっても適用できる。
非点灯(非表示)状態とは、EL素子35に電流が流れていない状態をいう。または、一定以内の小さな電流が流れている状態をいう。すなわち、暗い表示状態である。表示画面21の非表示(非点灯)の範囲を非点灯領域55と呼ぶ。表示画面21の表示(点灯)の範囲を表示(点灯)領域56と呼ぶ。点灯領域56の画素26のスイッチ用トランジスタ31dはオンし、EL素子35に電流が流れている。点灯領域56または非点灯領域55は、画面21の上下方向に移動し、画面21に画像を表示する。
但し、黒表示の画像表示ではEL素子35に電流が流れていない。スイッチ用トランジスタ31dがオフの領域は、非点灯領域55となる。
なお、本実施形態のEL表示装置において、点灯領域56または非点灯領域55を、画面21の上下方向に移動させて、画面21に画像を表示するとしたが、これに限定するものではない。例えば、点灯領域56または非点灯領域55を、画面21の左右方向に移動させて、画面21に画像を表示してもよい。また、フレーム毎に点灯領域56または非点灯領域55の移動方向を変化させてもよい。また、表示領域56または非表示領域56を複数に分割してもよい。
(3)タイミングチャート
タイミングチャートを図6に示す。選択された画素行の画素26では、ゲート信号線27aにオン電圧(VGL1)が印加されている時には、ゲート信号線27bにはオフ電圧(VGH2)が印加されている(図4(a)を参照)。この期間は、選択された画素行のEL素子35には電流が流れていない(非点灯状態)。
ゲート信号線27aにオン電圧が印加されていない(すなわち、選択されていない)画素行で、かつ点灯状態の画素行では、ゲート信号線27bにはオン電圧(VGL2)が印加されている。この画素行のEL素子35には電流が流れ、EL素子35が発光している。この発光輝度を図6(c)では、輝度B(nt)としている。
ゲート信号線27aにオン電圧が印加されていない画素行で、非点灯状態の画素行では、ゲート信号線27bにはオフ電圧(VGH2)が印加されている。この画素行のEL素子35には電流が流れず、EL素子35は非発光状態である。
図5及び図6では、N1(N1は1以上画素行数以下の整数)画素行の点灯領域56を発生させた状態である。点灯させたN1画素行の領域は、表示画面21の上辺から下辺に移動させる。移動させる周期は、ゲートドライバ回路22bの動作フレームレート(フレーム周期)に依存する。すなわち、垂直同期信号に同期して移動する。
また、表示画面21の書き換え周期はゲートドライバ回路22aの動作フレームレート(フレーム周波数)に依存する。NTSCの動作フレームレートは60Hz(1秒間に60枚、1画面を書き換える時間は1/60秒)、PALは50Hz(1秒間に50枚)である。MPEGでは、30フレーム((1秒間に30枚、1画面を書き換える時間は1/30秒)または、15フレーム((1秒間に15枚、1画面を書き換える時間は1/15秒)である。
フレーム周波数に同期して、スタートパルス(ST1)がゲートドライバ回路22aに印加される。スタートパルス(ST2)は、フレームレート周期の入力パターンが生成され、ゲートドライバ回路22bに印加される。
1秒間に画面21を書き換える枚数は、70枚以上にすることが好ましい。また、130枚以下にすることが好ましい。すなわち、フレームレートは、70Hz以上130Hz以下にする。
図5では、表示画面21のうち、N1画素行分を連続して点灯させるとした。点灯させる領域(点灯領域56)は、図7のように分割してもよい。表示画面21の面積を100とし、図5における点灯領域56の面積を20、その表示輝度を10とすれば、表示画面21の表示輝度比率は、20x10/200=1となる。図7においても点灯領域56を4分割し、図5と同一の表示輝度比率とするには、各分割した点灯領域56の表示輝度を10とし、各点灯領域56の面積をN1/4とすればよい。
(4)ソースドライバ回路24
図8は、本実施形態のEL表示装置のソースドライバ回路24のプログラム電流(映像信号)の発生回路の説明図である。ソースドライバ回路24は、赤(R)、緑(G)、青(B)に対応する基準電流回路(定電流回路)83(83R、83G、83B)を有している。
基準電流回路83は、抵抗R1(R1r、R1g、R1b)とオペアンプ81a、トランジスタ84aから構成される。抵抗R1(R1r、R1g、R1b)の値は、R、G、Bの階調電流に対応して独立に調整できるように構成されている。抵抗R1は、ソースドライバ回路24の外部に配置された外付け抵抗である。
オペアンプの+端子には、電子ボリウム86により、電圧Viが印加されている。電圧Viは、安定した基準電圧Vbを抵抗Rで分圧することにより得られる。電子ボリウム86は、信号IDATAにより出力電圧Viを変化させる。基準電流Icは(Vs−Vi)/R1となる。RGBの基準電流Ic(Icr、Icg、Icb)は、それぞれ独立した基準電流回路83で可変される。可変は、RGB毎に形成された電子ボリウムで実施される。したがって、電子ボリウム86に印加される制御信号により、電子ボリウム86から出力される電圧Viの値が変化する。電圧ViによりRGBの基準電流の大きさが変化し、端子86から出力される階調電流(プログラム電流)Iwの大きさが比例して変化する。
発生した基準電流Ic(Icr、Icg、Icb)は、トランジスタ84aから84bに印加される。トランジスタ84bとトランジスタ群85とはカレントミラー回路を構成している。図8において、トランジスタ84b1は、1つのトランジスタで構成しているように図示しているが、実際には、トランジスタ群85と同様に、単位トランジスタ92の集合(トランジスタ群)として形成している。
トランジスタ群85からのプログラム電流Iwは出力端子86より出力される。トランジスタ群85の各単位トランジスタ92のゲート端子及びトランジスタ84bのゲート端子は、ゲート配線94で接続されている。
トランジスタ群85は、図9に示すように、単位トランジスタ92の集合として構成される。理解を容易にするため、映像データとプログラム電流は比例または相関の関係で変換されるとして説明する。映像信号によりスイッチ91が選択され、スイッチ91の選択により、単位トランジスタ92の出力電流の集合(加算)としてのプログラム電流Iwが発生する。したがって、映像信号をプログラム電流Iwに変換できる。本実施形態は単位トランジスタ92の単位電流が、映像データの1の大きさに該当するように構成されている。
単位電流とは、基準電流Icの大きさに対応して単位トランジスタ92が出力する1単位のプログラム電流の大きさである。基準電流Icが変化すると、単位トランジスタ92が出力する単位電流も比例して変化する。トランジスタ84bと単位トランジスタ92がカレントミラー回路を構成しているからである。
RGBの各トランジスタ群85は単位トランジスタ92の集合で構成されており、単位トランジスタ92の出力電流(単位プログラム電流)の大きさは、基準電流Icの大きさで調整できる。基準電流Icの大きさを調整すれば、RGB毎に各階調のプログラム電流(定電流)Iwの大きさを可変することができる。したがって、RGBの単位トランジスタ92の特性が同一であるような理想的状態では、RGBの基準電流回路83の基準電流Icの大きさを変化させることにより、EL表示装置の表示画像のホワイトバランスをとることができる。
以下、説明を容易にするため、ソースドライバ回路(IC)14のトランジスタ群85は6ビットであるとして説明をする。図9において、各単位トランジスタ92は、定電流データ(D0〜D5)毎に配置される。D0ビットには1個の単位トランジスタ92が配置される。D1ビットには2個の単位トランジスタ92が配置される。D2ビットには4個の単位トランジスタ92が配置され、D3ビットには8個の単位トランジスタ92が配置され、D4ビットには16個の単位トランジスタ92が配置される。同様に、D5ビットには32個の単位トランジスタ92が配置されている。
各ビットの単位トランジスタ92の出力電流が出力端子86に出力されるか否かは、アナログスイッチ91(91a〜91f)によるオン/オフ制御で実現される。デコーダ回路95は、入力された映像データKDATAをデコードする。アナログスイッチは映像信号データKDATAに対応してオン/オフ制御される。
プログラム電流Iwは内部配線93を流れる。内部配線93の電位は、ソース信号線28の電位となる。内部配線93の電位はAVdd以下GND電位以上である。ソース信号線28の電位は、定電流Iwをソース信号線28に印加し、定常状態した時は、画素26の駆動用トランジスタ31aのゲート端子の電圧(図3の画素構成の場合)である。
(5)階調電圧出力
図10は、電圧プログラム方式の階調電圧出力回路の説明図である。階調電圧出力回路で発生する電位の最低は、0V(GND電位)であり、電位の最大は、ソースドライバ回路24の電源電圧AVddである。
なお、ガンマカーブの低電位は、階調アンプ102Lで規定する。ガンマカーブの高電位は、階調アンプ102Hで規定する。階調アンプ102Hが出力する電圧はVHとする。階調アンプ102Lが出力する電圧はVLとする。したがって、振幅幅の最大値は、VH−VLである。
階調アンプ102の出力電圧は、振幅調整レジスタ101で制御する。振幅調整レジスタ101の出力ビットは8ビットである。したがって、階調アンプ102は、256段階で出力変化が可能である。階調アンプ102Hの値を高く(高電位)にすることにより、ガンマカーブの振幅値は大きくなる。階調アンプ102Hの値を低く(低電位)にすることにより、ガンマカーブの振幅値は小さくなる。
また、階調アンプ102Lの値を高く(高電位)にすることにより、ガンマカーブの振幅値は小さくなる。階調アンプ102Hの値を低く(低電位)にすることにより、ガンマカーブの振幅値は大きくなる。図10の構成では、階調アンプ102Hと階調アンプ102Lを独立で動作させることもできる。
階調アンプ102Hと階調アンプ102L間には、抵抗がラダー状に接続されている。それぞれの抵抗(VR1、VR2、VR3、VR4・・・・・、VRN)間には、配線端子103が引き出されている。配線端子103は、図11の電圧DAC回路の各セレクタ回路と接続されている。なお、画素26の駆動用トランジスタ31aはPチャンネルトランジスタとし、低階調側は、AVddに近く、高階調側は、GNDに近いとしている。
抵抗ラダーの抵抗(VR1、VR2、VR3、VR4・・・・・、VRN)の抵抗値は、コマンド設定で可変できるように構成されている。コマンドにより、抵抗値が変化する。
なお、VH、VL電圧のうち、少なくとも一方は、図69の点灯率、図57のduty比に対応させて変化させてもよい。点灯率が低い時は、VH−VLの絶対値を大きくし、点灯率が小さい時は、VH−VLの絶対値を相対的に小さくする。また、duty比が小さい時は、VH−VLの絶対値を大きくし、duty比が大きい時は、VH−VLの絶対値を相対的に小さくする。
また、点灯率にあわせてEL表示装置で表示する階調数を変化させることが好ましい。たとえば、点灯率が50%以上では、フル階調の1/2の範囲(1024階調の場合は、512階調)で、画像を表示し、50%以下では、フル階調の範囲で画像を表示する。
なお、点灯率とは、duty駆動などピーク電流を抑制しないノーマルの駆動方式において、最大階調での白ラスター表示を100%とした割合である。したがって、黒ラスター表示では点灯率は0%である。
図11に示すように、映像信号データKDATAは、電圧データラッチ回路221aに保持される。各データは、6ビットである。また、画素列は、240ドットで、各トッドにRGBの3データである。したがって、電圧データラッチA回路及び電圧データラッチB回路のラインメモリは、6ビット×240RGBである。電圧データラッチA回路221aのデータは、水平同期信号(HD)に同期して、電圧データラッチB回路221bにコピーされる。
電圧DAC回路112は、スイッチ回路で構成されている。電圧データラッチB回路221bのデジタルデータから、階調電圧出力回路112の端子103から1つを選択する。選択した端子103の電圧をソース信号線28に出力する。
ゲートドライバ回路22aとゲートドライバ回路22bとの動作フレームレートが異なる場合に、同一の画素26に接続されたゲート信号線27a及びゲート信号線27bにオン電圧(VGL)が印加される場合がある。
ソースドライバ回路24には、図8、図9のプログラム電流の出力回路と、図10、図11のプログラム電圧の出力回路の双方を構成する。プログラム電流方式は、低階調領域で映像信号の書き込み不足が発生するが、プログラム電圧方式は、低階調領域でも良好な映像信号の書き込みを実現できる。しかし、プログラム電圧方式では、駆動用トランジスタ31aのバラツキ特性の補償が完全でない。プログラム電流方式では、駆動用トランジスタ31aのバラツキ特性の補償が良好である。
ソースドライバ回路24にプログラム電流の出力回路と、プログラム電圧の出力回路の双方を構成し、動作させることにより、プログラム電流方式の欠点をプログラム電圧方式の欠点を補うことができ、良好な画像表示を実現できる。
本実施形態では、印加された映像信号に対して、1画素行を選択する期間の前半にプログラム電圧を各画素に印加し、1画素行を選択する期間の後半にプログラム電流を印加した駆動方法を採用している。プログラム電圧を印加した後に、プログラム電流を印加する。なお、プログラム電圧は、対応する映像信号が高階調の場合は印加しない。プログラム電流で十分目標の階調信号が書き込めるからである。もちろん、画素26に印加する映像信号は、電圧信号のみで構成してもよい。また、画素26に印加する映像信号は、電流信号のみで構成してもよい。
(6)電源回路
図1は、本実施形態の電源回路の説明図である。本実施形態の電源回路を用いることにより、検査、エージング、輝度調整などが容易に実現できるようになる。
電源回路12のVin端子には、バッテリーからVin電圧(電圧2.3V以上4.6V以下)が印加される。電源回路12は、EL表示装置に必要な電圧を発生させる。EL素子に供給する電圧(アノード電圧Vdd、カソード電圧Vss)及びその電流は、DCDC回路により発生させる。
DCDC回路において正極性の電圧Vddは、コイルLpを用いる。負極性の電圧Vssは、コイルLnを用いる。すなわち、コイルを用いて共振させることにより必要な電圧値を発生させる。
Vddは、ソースドライバ回路24のアナログ電圧Avddと共通である(Vdd=Avdd)。Avdd電圧は、ソースドライバ回路24の電源電圧である。アナログ電圧Avddは、映像信号の基準電圧としている。駆動用トランジスタ31aは、Pチャンネルトランジスタであるため、アノード端子はアノード電極(電圧Vdd)と接続されている。すなわち、駆動用トランジスタ31aの基準電圧位置は、アノード電圧Vddである。ソースドライバ回路39のアナログ電圧をAvddとし、Avddを基準(映像信号電圧がAvdd電圧の時、映像信号の振幅電圧は、0Vである)とする。また、Avdd=Vddすることにより、駆動用トランジスタ31aを映像信号でプログラム設定することが容易になる。また、EL表示装置で使用する電源数も削減できる。
画素26の駆動用トランジスタ31aはPチャンネルトランジスタである。Vdd=Avddとすることにより、階調電圧の電位とアノード電位Vddが連動して変化するので、良好な階調表示を実現できる。電源回路(IC)12で発生するアノード電圧Vddがバラツキにより変化しても、駆動用トランジスタ31aに印加する振幅電圧の基準位置は連動して変化する。したがって、駆動用トランジスタ31aを映像信号でプログラム設定する精度が良好になる。
なお、画素26の駆動用トランジスタ31aがNチャンネルトランジスタの場合は、映像信号の基準電圧をグランド(GND)電圧にする。
また、電源回路12は、リニアレギュレータ回路により、ソースドライバ回路のロジック電圧Dvddを発生する。Dvdd=1.85Vである。また、チャージポンプ回路により、ゲートドライバ回路22の電源(VGH、VGL)を発生する。チャージポンプ回路は、正極性の電圧VGHには、コンデンサCpを使用する。チャージポンプ回路は、負極性の電圧VGLには、コンデンサCnを使用する。すなわち、コンデンサと発振回路で、チャージポンプ回路を構成し、必要な電圧値を発生させる。なお、図12に示すように、Avdd電圧もレギュレータ回路121bで発生させてもよい。また、DvddとAvddを個別にオン/オフ制御できるように構成してもよい。
なお、VGH、VGLなど、ゲートドライバ回路22で使用する電圧は、ソースドライバ回路24に形成したチャージポンプ回路で発生させてもよい。この場合は、ソースドライバ回路24のVGH、VGL出力回路に、オフスイッチを形成する(ソースドライバ回路24に出力オフ機能を持たせる)。
以下の実施形態では、電源回路12にVGH、VGL電圧発生回路11を具備するとして説明する。VGL、VGH電圧発生回路11がソースドライバ回路24に具備される場合は、ソースドライバ回路24と電源回路12とを同期を取っても本実施形態を実施すればよい。
Avdd、Dvdd電圧は、図12に示すように、レギュレータ回路121で発生させてもよい。バッテリー電圧Vinがレギュレータ回路121aに入力され、Dvdd電圧を発生させる。また、バッテリー電圧Vinがレギュレータ回路121bに入力され、Avdd電圧を発生させる。
(7)出力オープン機能
本実施形態は、エージング工程、欠陥検査、輝度調整などの調整対応するため、出力オープン機能を有する。
(7−1)出力オープン機能の内容
出力オープン機能はスイッチから構成する。図1に示すように、各電圧発生回路11の出力段にスイッチ(SW1、SW2、SW3、SW4、SW5、SW6)が形成されている。
出力オープン機能とは、スイッチSWをオフ(ハイインピーダンス)にすることにより、電源回路12の出力端子に、別電圧を印加できる。例えば、Vdd=5Vとし、Vdd出力端子のスイッチSW2をオフにすることにより、Vdd出力端子に7Vの電圧を印加できるようになる。Vss=−3Vとし、Vss出力端子のスイッチSW1をオフにすることにより、Vss出力端子に−5Vの電圧を印加できるようになる。
各端子のスイッチSWをオフさせることにより、各端子に外部電圧を印加したとき、オフリーク電流は10μA以下となるように構成されている。この構成は、各スイッチSWを構成するFETのゲート端子にバッファ回路を介して電圧を印加する回路構成を採用することにより実現できる。
スイッチSW1は、Vss電圧をオフ(ハイインピーダンス)にする機能を有する。スイッチSW2は、Vdd電圧をオフ(ハイインピーダンス)にする機能を有し、スイッチSW3は、Avdd電圧をオフ(ハイインピーダンス)にする機能を有する。スイッチは、アナログスイッチ、MOSスイッチなどで構成される。
同様に、スイッチSW4は、ソースドライバ回路24で使用するロジック電圧Dvddをオフ(ハイインピーダンス)にし、スイッチSW5は、VGH電圧をオフ(ハイインピーダンス)にする。スイッチSW6は、VGL電圧をオフ(ハイインピーダンス)にする機能を有する。
なお、スイッチ(SW1〜SW6)は、明確にスイッチ回路を形成する必要はない。例えば、Vdd発生回路31bに印加する発振電圧を停止することにより、等価的に、Vdd出力がオフとなる場合は、スイッチSW2の物理的形成は不要である。つまり、スイッチSWとは、各電圧発生回路11の動作を停止させる機能と考えても良い。
電源電圧の出力回路にはトランジスタ(FET)を具備しており、このFETからなるスイッチ、ダイオードと外付けコイル(Ln、Lp)で共振させて所定の電圧を発生させる。この共振させるFETのゲート端子にオフ電圧を印加する、またはオフにすることによりFETから電圧は出力されないようになる。結果的に、該当電源回路12の出力端子はオフ(ハイインピーダンス)になる。また、電源回路12に内蔵のダイオードに逆バイアスを印加して、ダイオードをオフさせてもよい。また、図13に示すように、電源回路12の外部に、スイッチ回路131を外付け配置してもよい。スイッチSWはリレー回路などで構成することもできる。
また、電源回路12の出力段のトランジスタのゲート端子にオフ電圧を印加し、前記トランジスタのチャンネル間をハイインピーダンスにする。なお、電源回路12の出力段には保護ダイオードを形成し、保護ダイオードはリークが発生しないように十分に高い電圧に接続してオフ状態を維持する。
なお、出力オープン機能は、電源回路12に内蔵させることに限定されるものではない。例えば、図13に示すように、SWの部分をスイッチ回路131として別途設けてもよい。スイッチ回路131は、シリコンチップで形成し、フレキシブル基板などに実装する。スイッチ回路131はMOS−FETなどで構成する。
すなわち、本実施形態のオフ(ハイインピーダンス)にする機能とは、等価的に、電源回路12の端子を外部から見たとき、ハイインピーダンス状態にする機能であれば足りる。また、ハイインピーダンス状態にした時、またはハイインピーダンス状態になった時、電源回路12の端子を外部に別の電圧を印加できる構成であれば足りる。
(7−2)電圧の設定
本実施形態の電源回路は、負電源側のダイオード、FETを内蔵している。また、SMBusなどの標準データバスを具備し、標準データバスに伝送するコマンドにより、出力電圧などを設定できる。
コマンドにより設定できる電圧は、VGH電圧、VGL電圧、Vss電圧である。これらの電圧は、0.5Vキザミで設定できるように構成されている。なお、VGHはVGH1、VGH2と2種類の電圧を発生させ、VGLはVGL1、VGL2と2種類の電圧を発生させてもよい。
電圧の可変は、電源回路12内部に、DA変換回路を設けることにより容易に実現できる。また、出力オープン機能もコマンドで制御することができる。例えば、標準データバス(SMBus、I2Cバスなど)を介したコマンド制御により、Vss電圧端子をオフにできる。コマンドにより、どのスイッチをオンさせるかオフさせるかを指定する。
図14は、VGH電圧、VGL電圧、Vdd電圧、Vss電圧、Avdd電圧の設定値である。設定値は、コマンドの’値’により、0.5Vキザミで設定されている。VGH電圧の設定値は、Avdd電圧の設定値よりも1.0V以上(少なくとも0.5V以上)高く設定できるように構成する。VGL電圧の設定値は、Vss電圧と同一の値を設定できるように構成する。
なお、図14の各電圧の値は、EEPROM272(図27)に格納しておき、使用状態に合わせて変更できるように構成しておくことが好ましい。例えば、図14では、VGHの値0では、5.0Vであるが、この値をEEPROM272から読み出し、4.5Vに変更する。キザミ値もEEPROM272に格納されたデータにより変更できるように構成しておくことが好ましい。
VGH電圧、VGL電圧、Vdd電圧、Vss電圧、Avdd電圧は、本実施形態のパネルの調整工程で、可変して用いる。また、ピーク電流抑制駆動で可変して用いる。
VGH電圧は、5.0V以上9V以下であり、この範囲を0.5Vキザミで設定可能である。また、必要に応じて10mVキザミで設定できるように構成することもできる。以上の事項は他の電圧に対しても同様である。なお、本実施形態では、説明を容易にするため、基本的には電圧のキザミは0.5Vであるとする。しかし、これに限定するものではない。
一例として、VGL電圧は、−6.0V以上−0.5V以下であり、この範囲を0.5Vキザミで設定可能である。Vss電圧は、−6.0V以上−0.5V以下であり、この範囲を0.5Vキザミで設定可能である。
(7−3)出力オープン機能の変更例
出力オープン機能は、ハード端子による制御でオン/オフしてもよい。例えば、電源回路12の1番ピンはTEST1、2番ピンをTEST2とする。TEST1を’H’とすることにより、Vdd端子とVss端子が出力オフにする。また、’L’とすることにより、Vdd端子とVss端子を電圧出力状態にする。TEST2を’H’とすることにより、VGH端子とVGL端子が出力オフにする。’L’とすることにより、VGH端子とVGL端子を電圧出力状態にする。
なお、出力オープン機能とは、主として電圧出力端子を外部から切り離された状態を意味し、前記端子などに他の電源からの電圧または電流を印加しても、前記電源IC12などに前記他の電源からの電流が、前記電源IC12などに流入しない、または、前記他の電源からの電流が流出しない状態、またはこれと類する状態を意味する。
また、複数のピンにロジック電圧設定することにより、VGH電圧を5.0Vから8.0Vのいずれかの電圧を設定し、端子から出力できるように構成する。なお、図15にTESTモードの出力電圧と、放電回路(図16)の関係を図示している。
各電源の出力には、放電回路(ディスチャージ回路)が形成されている。ディスチャージ回路を図16に示す。図16は、一例としてVssの出力段であるが、他の出力段Vdd、Avdd、VGH、VGLにも形成されている。オフスイッチSW1がオフの場合に、スイッチS1をオンさせて、抵抗Rと介して、Vss端子に充電された電荷を放電する。抵抗Rの抵抗値は、DCDC回路に関連する出力(Vss、Vdd)は、30〜100Ωとする。チャージポンプ回路に関連する出力(VGH、VGL)は、200〜1kΩとする。以上のように抵抗Rの値は、DCDC回路による発生させる電圧よりもチャージポンプ回路で発生させる電圧の方を大きくする。
ディスチャージ回路を構成するスイッチS1も、コマンド設定により動作するように構成されている。すなわち、ディスチャージ動作をさせるか否かは、コマンドで設定できる。
また、図17のように、TEST=3の時、Avddは放電なしとしてもよい。放電回路は、ディスチャージ回路とも呼ぶ。図15では、MODE0で、全電圧(Avdd〜Vss)の出力端子をディスチャージ状態に保持している。このことはEL表示装置を外部ノイズから保護する上でも重要である。また、MODE1のON1コマンドのみが指定されているときは、Vdd端子とVss端子とディスチャージ状態に保持しておくことも重要である。
ON1コマンドのみの場合は、ソースドライバ回路24及びゲートドライバ回路22に使用する電圧(Avdd、VGH、VGL)の端子にはディスチャージせず、EL素子35に印加する電圧端子はディスチャージさせる。ON1及びON2コマンド発生時(MODE3)では、すべての電圧端子はディスチャージしない。
なお、電源回路(電源IC)12の起動はソフトスタート回路の動作あるいは作用によりラッシュ電流が流れないように制御される。ソフトスタート時間は、3msec以上20msec以下の時間に設定される。
また、電源回路(電源IC)12には、過電流防止回路およびサーマルシャットダウン回路が形成されている。過電流防止回路が動作する時間は、50msec以上200msec以下の時間に設定される。
以上のように、図17のTEST状態でも、ディスチャージ(放電)を動作させる。TEST0は、通常の動作状態である。Avdd,VGH、VGL、Vdd、Vssの出力は、図19のMODEに従って放電回路が動作する(放電回路ON)。TEST1、TEST2、TEST3では放電回路が動作しない(放電回路OFF:非動作状態)。なお、図20に示すように、TEST3で、放電回路を動作可能状態にしてもよい。
放電回路は、図16に示すように、スイッチS1、放電抵抗Rから構成される。放電抵抗Rは、端子または配線(図16では一例としてVss端子またはVss配線)に充電された電荷を放電するのに使用される。スイッチS1は電源回路12の出力電圧を停止する時、電源電圧の値を変化させる時に動作する。
(8)DCDC回路の発振周波数
本実施形態の電源回路12は、DCDC回路の発振周波数もソースドライバ回路24からのコマンドで設定できる。
発振周波数は、0.6MHz、1.2MHz、1.8MHzの複数から1つを選択する。発振周波数は、0.6MHz、1.2MHz、1.8MHzと整数倍に設定できるようにする。発振周波数の1つは、1.0〜1.5MHz内に設定する(本実施形態では、1.2MHzが該当する)。
発振周波数は、図18に表で示す。発振周波数も電源回路に内蔵する複数の抵抗から1つを選択することにより容易に実現できる。発振周波数は、FLコマンドの設定により、発振周波数が変更できる。発振周波数が低いと、電源回路の外付けコイル(Lp、Ln)のサイズが大きくなる。変換効率は高くなる。電源回路の外付けコイルのサイズが大きくなる。変換効率は高くなる。発振周波数が高いと、電源回路の外付けコイルのサイズが小さくなる。変換効率は低くなることが多い。
本実施形態の電源回路は携帯電話に用いる。本実施形態は、携帯電話の通信方式により、発振周波数を切り替えて使用する。CDMA方式の場合は、DCDCの発振周波数を0.6MHzとする。GSM方式の場合は、1.2MHzで使用する。本実施形態は、CDMA方式で使用する場合と、GSM方式で使用する場合とで、コマンドにより、発振周波数を変更する。すなわち、携帯の受信方式に対応させて発振周波数を切り替える。
(9)テストモード
図15は、本実施形態の電源回路の動作モードであるテストモード(TEST)で、ディスチャージ(放電)回路の動作の有無を記載している。図15において、「○」は、対応する電圧が出力されることを示し、「×」は、出力されていないことを示す。ONは、放電回路が動作していること(図16でスイッチS1がオンしていること)を示し、OFFは、放電回路が非動作状態であること(図16でスイッチS1がオフしていること)を示している。
例えば、TESTモードの値が1(設定値1)では、Avdd、VGH、VGL、Vdd、Vssが出力されており、放電回路がONしていることを示している。TESTモードの値が2(設定値2)では、Avdd、VGH、VGLが出力されており、放電回路がOFFしていることを示している。
(10)立ち上げシーケンスと立ち下げシーケンス
本実施形態の電源回路12には、図19に示すように、MODEがある。
MODEとは、電源回路12の立ち上げ及び立ち下げシーケンスを行うものである。シーケンスを行うのに、ON1とON2がある。
MODE=0(MODEコマンドの値0、MODE0)では、ON1及びON2がともに0(オフ)である。
MODE=1(MODEコマンドの値1、MODE1)では、ON1=1(オン)で、ON2=0(オフ)である。
MODE=2(MODEコマンドの値2、MODE2)では、ON1=0(オフ)であり、ON2が1(オン)である。MODE=3(MODEコマンドの値3、MODE3)では、ON1及びON2がともに1(オン)である。なお、図19において、○は、該当する電圧が出力されていることを、×は、該当する電圧が出力されていないことを示している。
ON1=1は、ソースドライバ回路24及びゲートドライバ回路22の電源電圧(Avdd、VGH、VGL)の立ち上げをする。ON2=1(オン)は、アノード電圧Vdd、カソード電圧VssをEL表示装置に供給する。
立ち上げシーケンスでは、本実施形態は、ON1を設定し、次にON2を設定する。立ち上げシーケンスでは、まず、ゲートドライバ回路22及びソースドライバ回路24を動作した後に、EL素子35に供給するアノード電圧などを印加する。この状態が反転すると、EL表示装置が不要な発光状態が発生する。
立ち下げシーケンスでは、本実施形態は、ON2を解除し(ON2=0)、次にON1を解除する(ON1=0)。立ち下げシーケンスでは、まず、アノード電圧Vdd、カソード電圧Vssを切断してから、ゲートドライバ回路22及びソースドライバ回路24の電圧をオフにしないと、アノード端子からのソースドライバ回路24への逆流により、ソースドライバ回路などが破壊される場合がある。
以上により、MODE=2の状態は発生してはならない。立ち上がりシーケンスにおいて、ノイズなどにより、MODE=3が最初にとなった場合は、まず、MODE1を設定し、MODE3を実行する。また、立ち上がりシーケンスにおいて、ノイズなどにより、まず、最初にMODE=3となった場合は、まず、MODE1を設定し、MODE3を実行する。以上のように、本発明は、各動作が異常状態から動作した場合に、自己修正するロジックを内蔵している。
立ち下げシーケンスの場合は、MODE3の状態から、ON2=0となる、MODE1の状態となり、最後にMODE0の状態となる。
MODE0では、全出力電圧がオフである。MODE1では、ソースドライバ回路24のアナログ電圧Avdd、ゲートドライバ回路22の電圧(VGH、VGL)がオン状態、アノード電圧Vdd、カソード電圧Vssがオフ状態である。MODE2、MODE3では、ソースドライバ回路24のアナログ電圧Avdd、ゲートドライバ回路22の電圧(VGH、VGL)がオン状態、アノード電圧Vdd、カソード電圧Vssがオン状態である。しかし、MODE2は、設定禁止状態である。
図20は、MODEに対するディスチャージ動作(図16を参照のこと)の設定状態を示している。図20において、「○」が、ディスチャージ動作をおこなっていること(図16のように、対応するスイッチS(図16では、スイッチS1)がオンしていること)を示している。「×」は、スイッチSがオフであること(ディスチャージ動作していないこと)を示している。
MODE0では、全出力電圧がオフであるため、全端子が、ディスチャージ状態である。MODE1では、ソースドライバ回路24のアナログ電圧Avdd、ゲートドライバ回路22の電圧(VGH、VGL)がオン状態、アノード電圧Vdd、カソード電圧Vssがオフ状態であるため、アノード電圧Vdd、カソード電圧Vssのみが、ディスチャージ状態である。MODE2、MODE3では、ソースドライバ回路24のアナログ電圧Avdd、ゲートドライバ回路22の電圧(VGH、VGL)がオン状態、アノード電圧Vdd、カソード電圧Vssがオン状態である。したがって、全出力のディスチャージは非動作である。MODE2は、設定禁止状態である。
以上のように、電圧出力されていない端子を、ディスチャージ状態にすることにより、EL表示装置の不要な動作または誤動作を防止するとともに、EL表示装置が電気的に破壊されることを防止できる。
オン/オフ端子は、電源回路を起動させる端子である。オン/オフ端子にクロック信号が印加されると、Dvdd電圧を出力する。クロック信号は、信号の立ち上がりまたは立ち下げを検出し、複数回のクロック信号の立ち上がりまたは立ち上がりエッジを検出するとロジック電圧Dvddを出力する(図21を参照)。
クロック信号は、本実施形態のEL表示装置に印加される映像信号クロックまたは水平同期信号HDを用いる。映像信号は、本実施形態のEL表示装置が組み込まれた機器のグラフィックコントローラが発生する。
図21に示すように、クロック(CLK)信号の立ち上がりを検出し、電源回路12内のカウンタ221をカウントアップする(図21、図22、図24を参照のこと)。クロックが3クロック入るとDvdd電圧が出力される。この電源立ち上がりまでに必要なクロック数は、コマンドで設定できるように構成されている。図21では、a点で3クロックであるため、Dvddを出力する。もちろん、クロック信号の検出は、クロックの立ち下げを検出してもよい。また、クロックの両エッジを検出してもよい。クロック間隔が一定以上短いとカウントはしない。この設定は、電源回路12に内蔵するローパスフィルタで設定する。
クロックが一定期間、遮断されると、Dvdd電圧の出力を停止する。図21では、T1期間が30msec以上であると出力を停止する。同時に、カウンタ221のカウント値はクリアされる。したがって、カウンタ221のカウントは0から開始する。
なお、図21の実施形態では、Dvdd電圧をクロックでオン/オフ(出力、停止)させるとしたが、これに限定するものではない。例えば、Vdd、Vss電圧、VGH、VGL電圧をオン/オフ制御してもよい。また、3クロック目でVGH、VGL電圧などゲートドライバ回路22で必要なチャージポンプで出力する電圧を出力させ、30クロック目でVdd、VssなどEL素子35に供給するDCDC電圧を出力するように構成してもよい。
立ち下げも同様である。30msecで、Vdd、VssなどEL素子35に供給するDCDC電圧を停止し、同時に放電回路(図16、図20を参照)を動作させ、100msec後に、VGH、VGL電圧などゲートドライバ回路22で必要なチャージポンプで停止(同時に放電回路を動作)するように構成してもよい。すなわち、クロックの個数またはクロックの間隔で電圧出力を制御する。
Dvdd電圧は、ソースドライバ回路24のロジック電圧である。DVdd電圧が立ち上がると、I2Cバスの電源が供給され、ソースドライバ回路24と電源回路12間のコマンド通信が可能になる。ソースドライバ回路24は、I2Cバスを介して電源回路12にオンシーケンスコマンド(オンコマンド)を伝送し、電源回路12は、他の電圧(VGH、VGL、Vss、Vddなど)を出力する。
電源回路12の立ち下げ(電圧出力の停止)は、ソースドライバ回路24から電源回路12へのオフシーケンスコマンド(オフコマンド)により行われる。なお、図21に示すクロック信号(CLK)が中断することによっても電源回路12はオフ状態になる。
Dvdd電圧は、ソースドライバ回路24で使用されるロジック電圧である。まず、最初にロジック電圧が入力されないと、ソースドライバ回路24のロジック動作が開始せず、EL表示装置の開始シーケンスが実施されない。しかし、常時(EL表示装置を使用しないときも)、DVddの電圧発生回路11cを起動しておくと、電力を使用する。図21、図22のように、クロックでDvdd発生回路を起動させるように構成すれば、不要な電力消費はない。また、クロックが一定期間入力されないと、Dvdd回路を非動作状態になるように構成すれば、不要な電力消費はない。
なお、図21の実施形態ではクロックの入力により、DVdd電圧が立ち上がるとしたが、本実施形態はこれに限定するものではなく、Avdd電圧など他の出力電圧を立ち上げるように構成しても良い。また、電圧が立ち上がるクロック数はコマンドなどにより設定できるように構成することが望ましい。立ち下げの時間T1もコマンドなどにより設定できるように構成することが好ましい。
また、カウンタの値は、クロックが一定時間以上ない場合はクリアされるように構成することが好ましい。例えば、2のクロック信号(CLK)が入力されても、3番目のクロック信号(CLK)までの間隔が20msec以上あると、電源回路12内のカウンタがクリアされ、カウンタを0に戻すように構成する。また、電源回路12がオフシーケンスを受けつけた場合も、カウンタはクリアされる。クリアされるまでの時間は、コマンドにより設定できるように構成されている。
クリアされるまでの時間T1は、クロックとして垂直同期信号を使用することを想定される。したがって、30フレームの場合、35msec以上にする必要がある。また、ノイズによるカウントアップの誤動作を防止するため、100msec以下(0.1Hz)にする必要がある。また、映像信号のメインクロックで動作するように構成する。表示装置の画像クロックが3MHzであれば、3MHzで動作するように構成する。しかし、余り高速なクロックで動作するように構成すると、外部ノイズで簡単に誤動作する。したがって、10MHz以下にする。したがって、クロックは、0.1Hz以上10MHz以下にする。クロックは、水平同期信号(HD)を使用することが好ましい。水平同期信号は、8KHz以上30KHz以下程度である。したがって、クロックは、8KHz以上10MHz以下で動作するように構成する。
また、短時間で異常なクロック(外部ノイズ)入力による誤動作を防止するため、コンデンサなどのよるノーパスフィルタを形成しておく。
カウンタ221は、電源IC12がオフされると、クリアされる。また、EL表示装置のソフトウェアリセットまたはハードウェアリセットが入力されるとクリアされる。また、電源IC12がオンされるときに、初期クリアされる。
また、Dvdd電圧は、3クロック信号(CLK)で出力し、図24に示すように、Avdd電圧は、5クロック信号(CLK)で出力するように構成しても良い。すなわち、クロック信号(CLK)数により、立ち上がる電圧を指定できるように構成する。立ち下げ電圧においても同様に構成しても良い。カウント設定するクロック数は、2以上5以下が好ましい。ノイズによる誤動作防止と起動時間を短くするためである。
また、一度、カウントが規定値に達した後は、ソースドライバ回路24からリセット信号が電源回路12に入力されない限り電圧出力を停止しないように構成してもよい。
Dvdd電圧は、図12に示すように、レギュレータ121を用いて発生する。レギュレータ121は、動作状態であると、リーク電流が流れ電力を消費してしまう。図21、図22のように、クロックを検出してレギュレータ121を起動するように構成すれば、リーク電流の発生はない。したがって、EL表示装置が非動作状態では、電力を消費しない。
本実施形態の電源回路12は、クロック信号(CLK)が入力されている時に、オンコマンドが入力されることにより、電圧が出力されるように構成されている。また、クロック信号(CLK)が入力されている時に、オフコマンドが入力されることにより、電圧出力を停止する。また、出力端子をオフにする。
但し、本実施形態はこれに限定するものではない。例えば、図25に図示しているように、強制的に電圧を出力されるオン/オフ端子(ハードピン)を設けても良い。
(11)立ち上がりシーケンス
次に、立ち上がりシーケンスについて図27を用いて説明をする。
電源回路12に、水平同期信号(HD)またはメインクロック(CLK)が入力されると、Dvdd発生回路11c(図22)により、クロックをカウントし、規定のクロック数をカウントすると、Dvdd発生回路のレギュレータが動作する。レギュレータ回路は、入力されたバッテリー電圧Vinをレギュレータして1.85V(1.8V系)を出力する。
以上のように、電源回路12にコネクタ271から供給される信号または電圧は、CLKまたはHDと、Vinだけである。パネル20とフレキシブル基板281とはACF282で電気的に接続が取られている。したがって、電源回路12から出力される電源電圧数が多くてもコストが高くなることはない。なお、電源回路12は、図45に示すように、プリップチップ実装(COF実装)されている。
1.85Vはソースドライバ回路24などのロジック電圧である。ロジック電圧Dvddは、SMBusの電源であり、また、EEPROM273、フラシュメモリ272の電源電圧である。したがって、Dvdd電圧が発生することにより、EL表示装置のロジック系が起動状態になる。
ソースドライバ回路24は、ロジック電圧Dvddが入力され、外部3線シリアルバスから、リセット信号コマンドが入力されると、立ち上がりシーケンスを開始する。
リセット信号コマンドをソースドライバ回路24が受信し、電源回路12の初期化が完了(図19において、MODE0)すると、ソースドライバ回路24は、SMBusを介して、電源回路12にオンコマンド(ON1、ON2:図19)を送る。基本的にオンシーケンスは、MODE0(ON1、ON2はオフ)→MODE1(ON1のみオン)→MODE3(ON1、ON2はオン)である。
ON1コマンドにより、AVdd電圧(ソースドライバ回路24のアナログ電圧)、VGH、VGLが出力される。AVddとアノード電圧Vddは同一電圧である(図13なども参照のこと)が、AVddはON1で出力されるが、アノード電圧Vddは、SW2がオフ状態であるため、出力されない。SW2はON2コマンドでオン状態となる。ON1コマンドにより、VGHはSW5がオンすることにより、VGLはSW6がオンすることにより、出力される。
ソースドライバ回路24にAVdd電圧が印加されることにより、図10、図11などの回路が起動し、階調電圧などが出力できるようになる。VGH、VGL電圧は、ゲートドライバ回路22に印加される(図49参照)。VGH、VGL電圧によりゲートドライバ回路22のゲート信号線27の電位が設定される。また、ソースドライバ回路24は、ゲートドライバ回路22にスタート(ST)信号、クロック(CLK)信号を印加し、また、ソースドライバ回路22は、ソース信号線28に黒階調の映像電圧信号などを印加し、ゲートドライバ回路22は画素26を黒表示状態に制御する(図2参照)。
ON1コマンド(図19のMODE1)からON2コマンド(図19のMODE3)までの移行時間は、1フレーム期間以上とする。好ましくは2フレーム期間以上とする。表示画面21を黒表示状態にしてから、アノード電圧Vdd、カソード電圧Vssを印加するようにするためである。表示画面21を黒表示状態にしてから、アノード電圧Vdd、カソード電圧Vssを印加しないと、不要な画像表示がされることがあるためである。
次に、ソースドライバ回路24は、入力された映像信号(RGB)、水平同期信号(HD)、垂直同期信号(VD)、クロック(CLK)に対応させてソース信号線28に映像信号を出力する。
ソースドライバ回路24は、電源回路12にON2コマンドを送出する。ON2コマンドにより、SW1、SW2がオンし、表示画面21にアノード電圧Vdd、カソード電圧Vssが印加される。アノード電圧Vdd、カソード電圧Vssの印加により、EL表示装置に画像が表示される。
以降、ソースドライバ回路24は、映像信号から、表示画面21に流れる電流を演算などにより、点灯率求め(図69)、ピーク電流をオーバーしないように、duty比駆動を実施する(図57)。また、必要に応じて、電源回路12にコマンドを送り、アノード電圧Vdd、カソード電圧Vssを変化させる。図57は、点灯率75%以上でカソード電圧Vssを低下(GND側へ)させている。
なお、図19に示すように、誤動作により、MODE2から開始される場合は、MODE1を実行し、次にMODE3を実行させる。誤動作により、MODE3から開始される場合は、MODE1を実行し、次にMODE3を実行させる。
オフシーケンス(立ち下げシーケンス)では、MODE1が実行される。MODE1の実行前に、ソースドライバ回路24は、表示画面21を黒表示にする。黒表示は、ソース信号線28に黒の階調信号(低階調)を印加し、この信号を画素26に書き込むことにより実現する。黒表示後に、ソースドライバ回路24は電源回路12にコマンドを送り、MODE1(ON2をオフ)にする。
ON2コマンドのオフ指令により、SW1、SW2がオフし、表示画面21へのアノード電圧Vdd、カソード電圧Vssの印加が停止される。
次に、ソースドライバ回路24は、電源回路12にMODE0にすべく、ON1をオフにするコマンドを送る。
図19のMODE1から図19のMODE0までの移行時間は、1フレーム期間以上とする。好ましくは2フレーム期間以上とする。アノード電圧Vdd、カソード電圧Vssを完全に端子などから放電させてからゲートドライバ回路22を停止させるためである。ON2コマンドをオフ(0)にすることにより、SW2、SW1がオフになる。この際、図16、図20に示すように放電回路を動作させる。アノード電圧Vdd、カソード電圧Vssを完全に放電させてからでないと、不要な画像表示がされることがあるためである。
ON1コマンドをオフすることにより、SW5、SW6がオフになり、AVdd電圧(ソースドライバ回路24のアナログ電圧)、VGH、VGLが停止される。最後に、電源回路12に印加されているCLKまたはHDが停止し、Dvddが停止する。
図13、図25などの実施形態では、シャットダウン端子(SHDN)を配置している。SHDN端子は、クロック信号(CLK)が入力されていない状態でも、オン/オフコマンドが入力されると電圧を出力させる端子である(または、電圧を出力しないようにする端子である)。SHDN端子へのロジック電圧がLレベルにときは、図21、図24で説明した電源動作が実施される。SHDN端子へのロジック電圧がHレベルの時は、クロック信号(CLK)がない状態でも、オン/オフコマンドを受けつけるようになる。シャットダウン端子(SHDN)は0(GND)が通常状態で、外部クロックによりDvdd出力状態に設定されており、シャットダウン端子(SHDN)はHで、クロックが入力されずとも、Dvddが出力されている状態である。
シャットダウン端子(SHDN)を配置したことは、本実施形態の電源回路12を検査工程で用いる場合に有効である。検査工程(点欠陥検出、特性評価)では、フレームレートを低減したり、テストトランジスタ295を用いて画像を表示する。そのため、クロックとして用いる映像信号(メインクロック、水平同期信号クロック)がない場合がある。また、クロックの周期が非常に長く、図21に示すT1期間以上となって、電圧出力が停止してしまう。この場合には、当然クロックを使用して電圧出力をオン/オフさせることができない。そのため、本実施形態では、シャットダウン端子(SHDN)を用いて、電圧出力を強制的に制御する。
図13、図25などでは、Dvdd発生回路のみにシャットダウン端子(SHDN)を配置しているが、これに限定するものではなく、他の電圧発生回路11にシャットダウン端子(SHDN)を配置してもよい。また、電源回路12全体がシャットダウン端子(SHDN)により、オン/オフ制御できるように構成してもよい。
(12)電源回路12の出力電圧の変更例
なお、本実施形態の電源回路12において、出力する電圧は、図3、図25などに限定されるものではない。例えば、図23に示すように、リセット電圧Vrstの発生回路31gを内蔵させてもよい。また、Vdd電圧発生回路11dで所定の電圧を発生させ、ON1コマンド(図19を参照)で、SW3をオンさせ(このとき、SW2はオフ)、ON2コマンドで、SW2、SW3の両方をオンさせてもよい。なお、図19のMODE0では、SW2、SW3ともオフである。
また、図26に示すように、Vss電圧の発生回路がない構成でもよい。この場合は、EL表示装置のカソード電圧は、GND電圧である。Dvdd電圧発生回路11cの出力にはスイッチは配置されていない。Dvddは、CLKまたはSHDNのロジック信号により出力/非出力の制御ができるからである。また、各SWの制御は、ソースドライバ回路24が行うが、Dvdd電圧の供給がないと、ソースドライバ回路24のロジックが動作せず、SWの制御コマンドを発生することができないからである。
(13)電源回路12の変更例
また、本実施形態では、電源回路12は、ICとして説明するが、これに限定するものではない。例えば、ディスクリート部品で電源回路12を構成してもよい。リセット電圧Vrstは、図74の画素構成を有するEL表示装置などで使用する。
Dvddが起動すると、ソースドライバ回路24のロジック回路部が起動すると共に、SMBusなどの標準データバスにデータを送ることが可能になる。ソースドライバ回路24は、標準データバス(SMBusなど)を用いて、電源回路が出力する電圧(VGH、VGL、Vss)の値を設定する。また、発振周波数を設定する。また、Avdd(Vdd)、VGH、VGLを電源回路12から出力させる。
電源回路12は、図27に示すように、フレキシブル基板281に実装されている(図28参照)。この状態では、フレキシブル基板の短絡電極端子285でアレイ基板282の端子(信号入力端子296、トランジスタ制御端子297)を短絡している(図29など)。また、短絡電極端子285には、VGH電圧(テストトランジスタ295のオフ電圧)が印加されている。
電源回路12の各出力端子には、金バンプが形成されており、ACF(異方導電フィルムによる接続)によりフリップチップ実装されている。
図27の274はテストトランジスタ群である。テストトランジスタ295が各ソース信号線28に形成されている。テストトランジスタ295は、図30、図31に示すように、ソースドライバ回路24が実装された反対側(B位置)に形成してもよい。なお、ソースドライバ回路24は、ICに限定するものでなく、低温ポリシリコン技術などで形成されたソースドライバ回路であってもよい。また、図48などに図示した3選択回路481を形成してもよい。
スイッチSW3、SW4、SW6は実際には形成されていない。または省略できる。映像信号のクロック信号により、Dvdd=1.85Vが出力される。したがって、スイッチは必要でない。また、AVddもDCDC回路の発振と同時に出力される。AVddは、ソースドライバ回路24のアナログ電源であると同時に、ゲートドライバ回路22の内部シフトレジスタの電源電圧ともなる。
ソースドライバ回路24からSMBus、I2CBusなどの標準データバスにより、各電源のオン/オフ制御信号が電源回路12に送られる。なお、SMBus、I2CBusの動作速度は、10KHz以上10MHz以下に構成されている。
コマンドのON1により、VGHのスイッチSW5とVGLのスイッチSW6がオンする。スイッチSW5、SW6がオンすることにより、VGH、VGL(VGL1)が出力され、ゲートドライバ回路22が同時する。ゲートドライバ回路22に印加するスタートパルス(ST1、ST2)、クロック(CLK1、CLK2)、アップダウン(UD)は、ソースドライバ回路24により制御される。特に、ゲートドライバ回路22bの内部シフトレジスタは、クリアされ、すべてのゲート信号線27bは非選択状態とされる。
次に、コマンドのON2により、VddのスイッチSW2とVssのスイッチSW1がオンする。スイッチSW1、SW2がオンすることにより、アノード電圧Vdd、カソード電圧Vssが出力される。
電源回路12には、本体のバッテリーからの電圧Vinが供給される。Vin電圧は、コネクタ271を介して電源回路12に供給される。電源回路12は、1つのVin電圧から、EL表示パネルに必要な電圧(アノード電圧Vdd、カソード電圧Vss、VGH、VGL、AVdd、Dvdd=1.85V)を発生させる。フレキシブル基板281とアレイ基板282はACF(異方向性導電フィルム)接続される。すなわち、フレキシブル基板281とアレイ基板282は接着されるから、当然のことながら電源回路12が出力する電圧をEL表示パネル282に印加するのにコネクタは必要でない。
(13−1)従来の問題点
図32は従来のEL表示装置の構成図である。フレキシブル基板281とアレイ基板282とはACF接続されている。電源回路12は、本体のプリント基板321に実装されている。電源回路12には、バッテリー電圧Vinが印加される。電源回路12は、1つのVin電圧から、EL表示パネルに必要な電圧(アノード電圧Vdd、カソード電圧Vss、VGH、VGL、AVdd、Dvdd=1.85V)を発生させる。発生した電圧(アノード電圧Vdd、カソード電圧Vss、VGH、VGL、AVdd、Dvdd=1.85V)は、コネクタ271を介して、フレキシブル基板281に引き渡され、EL表示パネルに供給される。したがって、コネクタ271の必要ピン数は、電源回路12が発生する種類が多いため、多ピンとなる。また、ソースドライバ回路24は、電源回路12をオン/オフさせる信号を出力する。コネクタには、この信号用のピンも必要である。
以上のことから、従来の構成電源回路12を本体のプリント基板321に実装する構成)では、本実施形態の構成(図27)に比較して、コネクタ271の必要ピン数が多い。したがって、接触不良が発生しやすく、コストも高くなる。
電源回路12が発生する電圧には、一定範囲のバラツキがある。例えば、Vdd=5.5Vが理想値としても、±0.2V程度のバラツキが発生する。電源回路12が出力する電圧が変化するとEL表示パネルの発光輝度が変化する。例えば、本実施形態の調整方法で、EL表示パネルを理想値のアノード電圧5.5Vで表示輝度調整を行う。しかし、本体のプリント基板321に実装された電源回路12が出力するアノード電圧Vddが5.7Vであれば、EL表示パネルの発光輝度は、調整した値からずれてしまう。
すなわち、図32の構成では、EL表示パネルで調整しても、電源回路12が出力する電圧が理想値でない限り、調整が無意味となる。
(13−2)本実施形態における解決方法
図27の本実施形態では、電源回路をフレキシブル基板281に実装し、電源回路12を動作させて、輝度調整、ホワイトバランス調整などを実施する。したがって、電源回路12の発生電圧が個々でバラツキが発生してもバラツキを考慮してEL表示パネルの調整を実施するから問題とならない。また、エージングなどにおいても、実際に使用する電圧VGH、VGLなどを使用することにより、良好にエージングを実施できる。但し、エージング時は、通常表示時よりも、VGH−とVGLの絶対値(電位差)を大きくする。
(14)電流リミット機能
本実施形態のEL表示装置の動作の検査には、電流リミット機能(カレント電流リミット機能)を使用する。
電流リミット機能は、VssまたはVddの最大出力電流を設定する機能である。例えば、Vss電圧のリミット電流が0.5Aであれば、Vssの出力電流が0.5Aを越えると、内部の発振周波数が低下し、出力電流が0.5A以上とならないように調整される。一般にこの状態の場合は、出力電圧Vssが低下する。Vss電圧のリミット電流が1.0Aに設定されておれば、Vssの出力電流が1.0Aを越えると、内部の発振周波数が低下し、出力電流が1.0A以上とならないように調整される。一般にこの状態の場合は、出力電圧Vssが低下する。
本実施形態の電源回路12は、Vss電圧とVdd電圧とが、2段階の電流リミット設定できるように構成されている。2段階は、図54の実施形態においては、0.5Aと、1.0Aである。電流リミットの値は、エージング工程、モジュール最終検査工程で切り替えて設定する。
コマンドIMNが0の時は、Vss電圧の電流リミット機能によるリミット電流(A)は、0.5Aであり、コマンドIMNが1の時は、Vss電圧の電流リミット機能によるリミット電流(A)は、1.0Aである。
コマンドIMPが0の時は、Vss電圧の電流リミット機能によるリミット電流(A)は、0.5Aであり、コマンドIMPが1の時は、Vss電圧の電流リミット機能によるリミット電流(A)は、1.0Aである。
以上のように、リミット電流は、VddとVssとで個別に設定することができる。また、実施例では、リミット電流の設定値は、0.5Aと1.0Aの2段階であるが、これに限定するものではなく、3段階以上であってもよい。
電流リミット機能は、EL表示装置を検査または調整する工程で使用する。例えば、EL表示装置を出荷検査において、リミット電流を0.5Aに設定する。通常の動作の設定値は、1.0Aとする。リミット電流を0.5Aに設定し、調整画像をEL表示装置に表示する。
EL表示装置は、表示画像に対応して点灯領域に流れる電流が変化する。例えば、黒ラスター表示では、表示画面に流れる電流は理想的には0Aである。白ラスター表示で、かつピーク電流抑制駆動が設定されていない場合は、最大電流が流れる。ピーク電流抑制駆動が動作している場合は、設定電流以上の電流は流れない。
EL表示装置では、画像の種類により、表示画面に流れる電流の大きさが変化する。したがって、EL表示装置の検査構成において、既知の電流がわかっている画像を順次、EL表示装置に表示することにより、電流リミット機能が動作しているかを判断できる。
リミット電流を通常より、小さい値(本実施形態では、0.5A)に設定すると、例えば、画像1では、表示画面に流れる電流が0.6A、画像2では、表示画面に流れる電流を0.4Aとする。
画像1をEL表示装置に表示した時、電流リミット機能が動作しなければ、電流リミット機能が動作不良判断できる。一方、画像2をEL表示装置に表示した時、電流リミット機能が動作すれば、電流リミット機能の異常または、他の箇所での動作不良が発生している可能性があることを判断できる。また、ピーク電流抑制駆動が正常に動作しているかを判断できる。電流リミットの値は、コマンドにより変更設定することができる。コマンドにより、検査中に、電流リミットの値を可変し、EL表示装置の動作状態を検査できる。すなわち、複数あるリミット設定値を電源IC12に形成し、複数のリミット値から1つの電流リミット値を設定し、流れる電流が既知の画像を表示して、電流リミット機能の動作を見定める。この際、図57のduty比の設定、図55のCNT設定(DX設定を含む)を行うことが好ましい。duty比を大きくすれば、電源回路12に流れる電流が大きくなり、duty比を小さくすれば、電源回路12に流れる電流が小さくなり、また変化する。DXの値を変化すれば、基準電流が変化して、電源回路12に流れる電流が小さく、または大きくなる。
特に、本実施形態は、電源回路12とEL表示パネルを一体として動作させ(同時に動作させ)、調整、エージングなどを行う。本実施形態のEL表示装置は、電源回路12とEL表示パネルが一体化(接続完了)したものである。このように構成することにより、コネクタ271のピン数が少なくなり低コスト化を実現できる。また、理想的に輝度バラツキ、ホワイトバランス調整を実現できる。この実現のために、本実施形態は電源回路12の出力オープン機能を有効に利用している。
(15)出力オープン機能の変更例
以上の実施形態では、電源回路12に出力オープン機能を搭載するとしたが、本実施形態はこれに限定するものではない。例えば、電源回路12のアノード出力端子とEL表示パネルのアノード配線301間にアナログスイッチ、リレー回路を配置してもよい。すなわち、電源回路12の外部にスイッチ回路などを配置または形成してもよい。
ソースドライバ回路24は、ゲートドライバ回路22に印加するスタートパルス(ST1、ST2)、クロック(CLK1、CLK2)、アップダウン(UD)を制御し、画像が表示される。ゲートドライバ回路22aは、1フレーム期間に1つのスタート信号ST1が印加され、ゲートドライバ回路22bは、duty駆動に対応するように、スタートパルスST2が印加される。
アレイ基板282(EL表示パネル)に、フレキシブル基板281をACF接続することによりEL表示装置は完成する(図27も参照のこと)。フレキシブル基板281には、電源回路12、EEPROM273、フラシュメモリ272などが実装される。テストトランジスタ295をオフさせる電圧VGH(テストトランジスタ295がNチャンネルトランジスタである場合は、電圧VGL)は、電源回路12から供給される。
図33は、アレイ基板282の端子とフレキシブル基板281をACF331で接続した断面図である。アレイ基板282の端子297、296とフレキシブル基板281の短絡配線285がACF331で接続されている。
図29の検査モードは、フレキシブル基板281をアレイ基板282に接続せずに行う。または、フレキシブル基板281をアレイ基板282に接続するが、ソースドライバ回路24をアレイ基板282に未実装で行う。
検査モードでは、アレイ基板282のトランジスタ制御端子297、信号入力端子296にプローブを立てる。トランジスタ制御端子297に、VGHまたはVGLt電圧を印加する。
検査後、フレキシブル基板281をアレイ基板282にACF接続する。フレキシブル基板281の接続端子284と、アレイ基板282の接続端子283とを接続する。トランジスタ制御端子297、信号入力端子296は、フレキシブル基板281の短絡電極端子285で電気的に短絡する。短絡電極端子285には、VGH電圧を印加する。フレキシブル基板281には電源回路12が実装されているため、電源回路12からVGHを短絡電極端子285に印加する。
281はフレキシブル基板としたが、本実施形態はこれに限定するものではない。例えば、281はプリント基板であってもよい。また、本実施形態は、トランジスタ制御端子297と信号入力端子296とを短絡電極端子285などを用いて、EL表示機器の出荷前に電気的に接続するものである。また、他の方法でトランジスタ制御端子297と信号入力端子296とを電気的に接続してもよい。例えば、トランジスタ制御端子297と信号入力端子296とを銅ペーストの塗布により電気的に短絡してもよい。
また、本実施形態は、トランジスタ制御端子297と信号入力端子296とを、EL表示機器の製品出荷前に電気的に同電位にするものである。また、テストトランジスタ295をオフ状態にするものである。したがって、テストトランジスタ295の各端子に所定の電位を印加し、テストトランジスタ295をオフ状態にしてもよい。例えば、トランジスタ制御端子297と信号入力端子296の両方に、電源回路12が出力するVGH電位を直接印加する方式が例示される。
(16)検査、調整方法
図30、図31は、本実施形態の電源回路の出力オープン機能を用いたEL表示装置の検査、調整方法の説明図である。以下の実施形態においても、画素構成は図3を例示して説明するが、これに限定するものではなく、電流駆動方式の画素構成、電圧駆動などのいずれの画素構成のいずれであってもよい。
(16−1)ホワイトバランス、コントラストの調整方法
図30は、EL表示装置の輝度及びホワイトバランス、コントラストの調整方法である。図30では、電源回路12の出力オープン機能を用いてスイッチSW1をオフにしている。すなわち、カソード電圧Vssは、出力されず、出力端子はハイインピーダンス状態となる。カソード電圧Vssの出力端子のパッドP1に、プローブ304でプロービィングしている。プローブ304を外部電源Vsst間には、電流を測定する電流計303を配置している。なお、調整時のカソード電圧Vsst=画像表示時のカソード電圧Vssとする。
画素26の駆動用トランジスタ31aがPチャンネルトランジスタの場合は、カソード電極をオフにして、カソード配線302の電流を測定する。画素26の駆動用トランジスタ31aがNチャンネルトランジスタの場合は、アノード電極をオフにして、アノード配線301の電流を測定する。
ソースドライバ回路24は、ゲートドライバ回路22を制御し、画像表示状態にする。基準電流Icの大きさは、通常の1倍とする。なお、基準電流Icは、図8で説明したように、基準電流の大きさに比例して、表示画面21の発光輝度が変化する。トランジスタ84bと単位トランジスタ92がカレントミラー回路を構成しているからである。なお、トランジスタ84bは複数のトランジスタから構成されている。基準電流の大きさが1から2に変化すると、表示画面21の輝度は、2倍になる。表示画面21で使用する電力も2倍となる。
EL表示装置において、表示画面21のカソード電流Isはカソード配線302に流れる。表示画面21のアノード電流はアノード配線301に流れる。
図30の構成では、電源回路12のカソード電圧の出力端子は、オフであり、外部カソード電圧Vsstが接続されているため、カソード配線302を流れる電流は、プローブ304、電流計303を経由して外部カソード電圧Vsstに流れる。したがって、電流計303で、表示画面21で使用する電流を測定することができる。カソード電流Isを測定するのは、カソード配線302を流れる電流は、表示画面21を流れる電流であるからである。アノード配線301を流れるアノード電流Ipの一部は、ソースドライバ回路24にプログラム電流及び出力段回路を流れる。
なお、Vddt、Vsstは、検査またはエージング構成で外部から設定または外部で発生機器からの電圧である。Vddt、Vsstは、電圧値を可変する機能を有する。
EL表示装置は、カソード電流Isの大きさを発光輝度は比例の関係になる。したがって、カソード電流を測定することにより、表示画面21の発光輝度を把握することができる。以上のことから、カソード電流を所定の電流となるように調整することにより、表示画面21の発光輝度を調整することができる。
なお、カソード電流など表示画面に流れる電流は、電流が流れる配線にピックアップ抵抗を配置して、前記ピックアップ抵抗の両端の電圧を測定できるように構成してもよい。以上の事項は、本発明の他の電流を測定する方式においても同様に適用できる。
(16−2)変更例
図30の実施形態では、表示画面21全体に流れるカソード電流を測定するとしたが、本実施形態はこれに限定するものではない。例えば、表示画面21の一部または所定面積に含まれる画素のカソード電流を測定するようにしてもよい。このカソード電流で表示画面21全体に流れるカソード電流を推定することができる。また、白ラスター表示では、画面全体が同一輝度で表示されるため、一部であっても表示画面21全体の推定は容易だからである。
また、表示画面21を所定面積で分割し、各分割した領域でのカソード電流を測定することにより、表示画面21の特性分布を測定することができる。分割とは、画素列、画素行、マトリックス状が例示される。この実施形態は、図34、図35、図36などでも説明している。
(16−3)電圧プログラム方式の場合
画素26が電圧プログラム方式の場合について説明する。カソード電流の大きさの調整(表示輝度の調整)は、表示画面21に印加する映像信号の階調番号(映像信号の大きさ)を一定値に設定し、図10で説明した振幅調整レジスタ101を制御させることにより行う。電源(回路)IC12はAvdd電圧、VGH、VGL電圧などを適正に設定する。また、カソード電圧を測定できるように、カソード電圧Vss端子をオフにする。
振幅調整レジスタ101の制御により、階調アンプ102H、102Lを変化させる。階調アンプ102Hを高く(Vdd電圧に近く)すると、低階調が対応する黒レベルを調整することができる。階調アンプ102Lを低く(GND電圧に近く)すると、高階調が対応する白レベルを調整することができる。本実施形態では、出力階調を最大階調に設定し、階調アンプ102L変化させる。カソード電流の値が、所望値となるように階調アンプ102Lの値を調整する。
階調アンプ102Lを低くすれば、カソード電流Isも大きくなり、発光輝度も高くなる。したがって、カソード電流の大きさを電流計303で測定し、電流が所定値となったときに、調整完了とする。以上のことを、RGBで行うことにより、ホワイトバランスの調整が可能になる。
なお、電源回路12が出力する電圧VGH、VGL、Vddは通常表示時の電圧にする。また、本実施形態では、ゲートドライバ回路22aは、VGH1、VGL1電圧で動作させ、ゲートドライバ回路22bは、VGH2、VGL2=GND電圧で動作させ、VGH1=VGH2とする。
以上の調整により、ホワイトバランス調整を実現でき、また、表示画面21の発光輝度調整を実現できる。EL表示装置のコントラスト調整は、黒表示時に流れるカソード電流を調整することにより実現できる。
カソード電流Isの大きさの調整(表示輝度の調整)は、表示画面21に印加する最低階調番号に設定し、図10で説明した振幅調整レジスタ101を制御させることにより行う。振幅調整レジスタ101の制御により、階調アンプ102Hを変化させる。階調アンプ102Hを高く(Vdd電圧に近く)すると、黒レベルでのカソード電流Isが減少する。階調アンプ102Hを低くすると、カソード電流が増大する。カソード電流Isの値が、所望値となったときに、調整完了とする。
(16−4)電流プログラム方式の場合
次に、画素26が電流プログラム方式の場合について説明する。カソード電流Isの大きさの調整(表示輝度の調整)は、表示画面21に印加する映像信号の階調番号(映像信号の大きさ)を一定値に設定し、基準電流の大きさを変化させることにより行う。映像信号の階調番号(映像信号の大きさ)を一定値とは、通常最大階調番号である。基準電流の大きさを大きくすれば、カソード電流Isも大きくなり、発光輝度も高くなる。したがって、カソード電流Isの大きさを電流計303で測定し、電流が所定値となったときに、調整完了とする。
以上のことを、RGBで行うことにより、ホワイトバランスの調整が可能になる。ホワイトバランス調整(輝度調整)を完了した基準電流をIkとする。基準電流Ikは、RGBで個別設定(赤(R)はIkr、緑(G)はIkg、青(B)はIkb)する。
カソード電流Isの大きさの調整(表示輝度の調整)は、表示画面21に印加する映像信号の階調番号(映像信号の大きさ)を一定値に設定する。
基準電流の大きさは、ホワイトバランスを調整した設定値Ik(赤(R)はIkr、緑(G)はIkg、青(B)はIkb)を維持(保持)したまま行う。
黒レベルでの映像信号の階調番号(映像信号の大きさ)は最低階調である。電流駆動では、最低階調では、プログラム電流は0である。黒レベルの調整は、図10の電圧発生回路11から最低階調の電圧を画素26に印加する。最低階調の電圧は、階調アンプ102Hが出力する電位を変化させて行う。この状態で、カソード電流の大きさを電流計303で測定し、電流が所定値となったときに、調整完了とする。
本実施形態のEL表示装置は、図8、図9の電流駆動回路と、図10、図11の電圧出力回路の両方を具備している。電流駆動回路と電圧出力回路の両方を有する場合は、1水平走査期間(1画素行を選択する期間)の前半に電圧駆動回路からプログラム電圧を画素26に印加し、1水平走査期間(1画素行を選択する期間)の後半に電流駆動回路からプログラム電流を画素26に印加する。
(16−5)判定回路
また、本実施形態は、各画素にプログラム電圧を印加するか、プログラム電流を印加するか、または、プログラム電圧とプログラム電流の両方を印加するかの判定回路(図示せず)を有している。判定回路は、映像信号の大きさ(階調番号)、ソース信号線Sに印加される映像信号の大きさ(階調番号)から、各画素にプログラム電圧を印加するか、プログラム電流を印加するか、または、プログラム電圧とプログラム電流の両方を印加するかを判定する。
(16−6)変更例
なお、図30では、カソード電流は電流計303で測定するとしたが、本実施形態はこれに限定するものではない。例えば、カソード電流の電流経路にピックアップ抵抗を直列に配置し、前記ピックアップ抵抗の端子電圧を電圧計で測定してもよい。
また、図30では、電源回路12のカソード端子をオフにし、カソード電流を測定するとしたが、本実施形態はこれに限定するものではない。電源回路12のアノード端子をオフにし、アノード電流を測定してもよい。また、アノード端子とカソード端子の両方で電流または電圧を測定してもよい。
以上の事項は、図37においても同様である。本実施形態の技術的思想は、カソード配線またはアノード配線などで表示画面21に流れる電流を測定または取得して所定値にする。表示画面21に流れる電流とは、全表示画面に流れるだけでなく、表示画面の一部に流れる電流であるときもある。
(17)エージング方法
本実施形態は、電源回路12をフレキシブル基板281などに実装した状態で、かつ、EL素子35に流れる電流を供給する配線(カソード配線またはアノード配線)と電源回路12と出力端子とを接続された状態で、パネルの検査、評価、エージングなどを実施できる。
このために電源回路12の出力オープン機能を使用する。オフした端子には、外部から電圧をパネルに供給する。電源回路12の各端子は必要に応じて、標準データバス(SMBusなど)を用いて電圧値を変更して出力する。また、テストトランジスタ295を使用する。
図31、図12は、エージング方法の説明図である。エージング工程では、EL表示装置の表示画面21を通常の表示輝度より高い輝度で発光させる。一例として、表示画面21の発光輝度を2倍または4倍の輝度にする。EL素子の初期劣化を引き起こし、’焼付け’を抑制するためである。
表示輝度を2倍または4倍に設定するのは、基準電流の変更により行う。基準電流の設定は、図55のCNTレジスタ、DXレジスタで行う。ホワイトバランスを調整した基準電流の設定値Ik(赤(R)はIkr、緑(G)はIkg、青(B)はIkb)を2倍または4倍にする。例えば、表示輝度を2倍にするには、基準電流Ik×2にする。エージング時に使用するn倍(nは1以上4以下の実数)の基準電流の設定値をIkm(赤(R)はIkmr、緑(G)はIkmg、青(B)はIkmb)とする。
基準電流を大きくすると、アノード配線301、カソード配線302に流れる電流(アノード電流Ip、カソード電流Is)が増大する。アノード電流Ip、カソード電流Isが増大すると、EL素子35の端子間電圧、駆動用トランジスタ31aのチャンネル電圧が大きくなる。
エージング工程において、高い輝度でEL表示装置を発光させるには、画素に書き込む映像信号の振幅を大きくする必要がある。本実施形態は、画素に書き込む映像信号の振幅を大きくするため、ソースドライバ回路24の基準電流を通常表示よりも大きくする。
なお、以下の実施形態では、基準電流を大きくしてEL表示装置に書き込む映像信号の振幅を大きくするとしたが、本実施形態はこれに限定するものではない。例えば、電圧プログラム方式において、階調信号を大きくして(高階調にするなど)、画素に書き込む映像信号の振幅を大きくしても良い。この動作は例えば、図10において、選択する階調番号を高くしたり、階調アンプ102の出力電圧を変更したりすればよい。例えば、図38のセレクタ回路381を調整して、EV0、EV255の電圧値を設定または変更する。また、図11の電圧DACの増幅率を増大させればよい。なお、この場合も本実施形態の電源回路12の出力オープン機能を用いる。
基準電流の変更または設定は、図8の電子ボリウム86を操作して行う。本実施形態は図55に示すようにCNTコマンドで設定できるように構成されている。通常の基準電流の設定はDXコマンドの8ビットで行う。通常の基準電流の設定は、8ビットであるから256段階である。エージング工程では、通常の表示状態に比較して2〜4倍の電流を画像点灯領域に流し、EL素子35を発光させる。表示画像は、白ラスターにする。
エージング時は、CNTコマンドで行う。CNTコマンドが’00’=0の時は、通常状態である。すなわち、DXコマンド(DXレジスタ)の値により、基準電流が設定され、基準電流に従って、画素に印加する映像信号振幅が設定される。
CNTコマンドが’01’=1、’10’=2、’11’=3の時は、エージング工程など、大きな電流を印加し、EL素子を高輝度で発光させる時に設定する。CNTコマンド(CNTレジスタ)’01’=1の時は、DXレジスタの値の2倍の基準電流が設定される。すなわち、EL素子35は通常モードの2倍の高輝度発光を行う。CNTコマンド(CNTレジスタ)’10’=2の時は、DXレジスタの値の3倍の基準電流が設定される。すなわち、EL素子35は通常モードの3倍の高輝度発光を行う。CNTコマンド(CNTレジスタ)’11’=3の時は、DXレジスタの値の4倍の基準電流が設定される。すなわち、EL素子35は通常モードの4倍の高輝度発光を行う。
すなわち、DXレジスタの値は、CNTレジスタの値+1倍される。以上の動作または設定は、CNT2ビット+DXレジスタ8ビットの10ビットで基準電流が設定されると理解するとわかりやすい。
なお、基準電流の大きさは映像信号の振幅に比例する。したがって、基準電流を2倍にすれば、画素26に印加する映像振幅の大きさは2倍になる(理想状態の場合)。また、基準電流はEL素子35の輝度に比例する。基準電流を2倍にするとEL素子35の発光輝度は2倍になる(理想状態の場合)。また、基準電流を大きくすることは、EL素子35の発光輝度または、最高階調の輝度を高くすることを意味する。
DXレジスタは、R色、G色、B色で独立に配置されている。R、G、BのDXレジスタは、RGBのそれぞれのEL素子35の発光効率にあわせて設定または調整される。CNTレジスタは、DXレジスタの値を1〜4倍に設定する。CNTレジスタが0は通常表示状態であり、CNTレジスタが1〜3は通常表示状態の2〜4倍である。エージング工程では、CNTレジスタを1〜3にして行う。なお、エージング工程においても、エージング工程で所定の点灯領域が発光輝度または点灯領域で使用される消費電流が、所定の値となるように、DXレジスタを調整する。
図56はエージング工程時の説明図である。電源回路11のアノード電圧VddのスイッチSW2及びカソード電圧のスイッチSW1をオフにする。EL表示パネルにアノード電圧Vddを供給する配線の途中に形成されたパッドP2にプローブ234を圧接し、エージング時の印加電圧Vddtを供給する。同様に、EL表示パネルにカソード電圧Vssを供給する配線の途中に形成されたパッドP1にプローブ234を圧接し、エージング時の印加電圧Vsstを供給する。
エージング時は、カラーバーを表示し、カラーバーは、EL表示装置に焼付けが発生しないように、スクロール表示にする。
また、輝度の設定、消費電流の設定は、duty比を可変して行っても良い。通常表示状態で、duty比を1/2で使用しているとすれば、エージング時にduty比=1/1とすれば、EL素子35の発光輝度は2倍となる。また、消費電流(消費電力)は、2倍となる。すなわち、本実施形態は、エージング工程など、通常表示よりも高い輝度で発光させる、または電流を印加する場合において、duty比を可変または設定するものである。
duty比を低くするまたは、基準電流を大きくする場合は、アノード電圧またはカソード電圧またはその両方の電圧を大きくする必要がある。駆動用トランジスタ31aのチャンネル間電圧及びEL素子35の端子間電圧が高くなるからである。また、アノード電圧とカソード電圧の絶対値を大きくする必要がある。したがって、エージング時などにおいて、電源回路12を制御してアノード電圧、カソード電圧を変更する。また、ゲートドライバ回路で使用する電圧(VGH、VGL)を変更する。例えば、CNTレジスタが0の場合、アノード電圧−カソード電圧=7Vの場合のとき、CNTレジスタが3の場合、アノード電圧−カソード電圧=10Vとなるように電源回路12の出力電圧を設定する。また、Avddも電圧値を変更する。映像信号の振幅値を確保するためである。VGH電圧もアノード電圧+A(Aは、0.5V以上3.0V以下)となるように電源回路12の出力電圧を設定する。
図57に示すように、アノード電圧、カソード電圧などは、点灯率にあわせて変化させてもよい。また、duty比も点灯率にあわせて変化または設定してもよい。アノード電圧、カソード電圧などは、基準電流に対応するように設定する。
エージング時は、基準電流を通常表示時よりは大きくする。したがって、アノード電圧Vddを高く(例えば、通常の画像表示時5V(Vdd)をエージング時は7V(Vddt)にする)、カソード電圧Vssを低く(例えば、通常の画像表示時−3V(Vss)をエージング時は−5V(Vsst)にする)する。アノード電圧を高くすると、ゲート信号線27aに印加する電圧(VGH1、VGL1)も変化させる必要がある。VGH1電圧を高く(例えば、通常の画像表示時VGH=6.5Vをエージング時は7.5Vにする)、VGL1電圧を低く(例えば、通常の画像表示時VGL1=−3Vをエージング時は−5Vにする)。
エージング時は、画素構成が電流駆動の場合は、電流駆動方式で画像(白ラスター)を表示する。画素構成が電圧駆動の場合は、振幅調整レジスタ101を制御して、階調アンプ102Lの電位を低く(GNDに近づけるか、GND以下にする)し、白ラスター表示にする。
電源回路12は、VGL、VGH、Avdd、DvddをEL表示パネルに供給する。外部電源から、Vddt、Vsstを供給する。エージング中は、表示画面21の輝度をホトセンサでモニターし、初期の輝度から一定値を低下した時点で、エージングを終了させる。
(18)単一電源の場合
図39は、EL表示パネル20の電源が単一電源の場合である。例えば、図3の画素構成で、Vssがグランド(GND)とした構成である。また、図39の実施形態では、ソースドライバ回路24のアナログ電圧Avddとアノード電圧Vddとを共通にしている。
なお、以上の実施形態では、Vdd、Vssを外部から供給し、VGH、VGLは、出力電圧を変化させて電源回路12から供給するとした。しかし、本実施形態はこれに限定するものではない。例えば、Vdd、Vss、VGH、VGLを外部から供給し、Avdd、Dvddのみを電源回路12から供給してもよい。
画像表示はソースドライバ回路24を動作させて行うが、テストトランジスタを制御して行っても良い。テストトランジスタへの電圧は、電源IC12から供給する。
図29、図40、図41はソース信号線28にテストトランジスタ295を形成した実施形態である。テストトランジスタ295は、図37に示すように、カソード配線302またはアノード配線301にテストトランジスタ295を形成してもよい。テストトランジスタ295をオンさせることにより、カソード配線302に電流が流れ、また流れる電流を電流計303で測定することができる。ソース信号線28にはソースドライバ回路24より映像信号(プログラム電流またはプログラム電圧)を印加する。
テストトランジスタ295のゲート端子は、ゲートドライバ回路22と同様に、シフトレジスタ363(図36などを参照のこと)を付加し、シフトレジスタの機能により順次、1つまたは複数のテストトランジスタ295を選択するように構成してもよい。以上のように構成することにより、テストトランジスタ295を単独でオン/オフ制御するができるようになる。
したがって、ゲートドライバ回路22aと個別にテストトランジスタ295のオン/オフさせることにより、マトリックス状に配置された画素26を個別または画素列単位で選択して、カソード電流またはアノード電流を測定または制御することができる。テストトランジスタ295はアノード配線301に形成してもよい。また、テストトランジスタ295をアノード配線とカソード配線とソース信号線28のいずれか2つ以上に形成してもよい。以上のことは、本実施形態の他の実施形態においての同様に適用することができる。
(19)画素26の特性の測定
本実施形態の電源回路12を用いて、画素26の特性を測定または把握することができる。
(19−1)概要
図37は、その説明図である。
画素26の駆動用トランジスタ31aは、図42(a)の特性がある。なお、駆動用トランジスタ31aは、Pチャンネルトランジスタとして説明をする。図42において、横軸は、駆動用トランジスタ31aのゲート端子電圧である。縦軸はトランジスタのチャンネル間を流れる電流である(EL素子35に流す電流である)。ゲート端子電圧がV1であれば、電流はI1となる。ゲート電圧がV0であれば、電流は0である。すなわち、電流I1を流せば、ゲート端子電圧はV1となる。逆にゲート端子にV1を印加すれば、出力電流はI1となる。
例えば、図42(a)の特定の駆動用トランジスタ31aに、ソースドライバ回路(IC)14から1μA、0.5μAなどの定電流I1を供給し、画素26の駆動用トランジスタ31aのゲート端子電圧を測定する。この測定したV1駆動用トランジスタ31aの特性カーブを求め、各階調に対応する電圧プログラムデータを作成する。特性カーブは略2乗カーブである。最終データとしては、電流が0となるV0を求める。このV0は、フラシュメモリなどのROM272に各画素の特性バラツキデータとしてメモリする。
このメモリしたV0データに映像信号の階調データを加算または演算し、画素の特性バラツキ(駆動用トランジスタ31aの特定バラツキ)を加味した映像信号(プログラム電圧またはプログラム電流)を発生させる。発生させた映像データプログラム電圧またはプログラム電流)は該当画素に印加される。そのため、駆動用トランジスタ31aの特性バラツキによる表示不良は表示されない。
また、図42(b)に示すように、画素26の駆動用トランジスタ31aにI2電流を供給し、I2電流に対するゲート端子電圧V2を測定し、V2、V1から階調電圧を求めてもよい。すなわち、少なくとも1つの定電流(電流0を含む)からソース信号線28の電位を測定し、測定した電位から、階調に対応する電圧(プログラム電圧)を求める。または、駆動用トランジスタ31aのゲート端子に所定電圧(V2、V1)を印加し、出力される電流(I2、I1)から駆動用トランジスタ31aの特定を推定または求め、V0データとしてメモリに保持させ、保持したデータから映像信号(プログラム電圧またはプログラム電流)を求める。
図43は、取得されたV0電圧から映像データDATA補正し、適正な映像信号(プログラム電圧またはプログラム電流)を得る方法の説明図である。V0電圧とは、画素26の駆動用トランジスタ31aの特性バラツキを示す補正量と考えることができる。
補正する大きさV0はフラシュROM433に保持されている。ROMデータは、RDaTaとして、外部より書き換えることができる。
ROM433に保持されたデータも8ビットである。このROMデータと階調データDATAが加算(減算の場合もある)回路121で加算される。一般的に加算処理により、階調データDATAは補正データV0により、アノード電圧側に電位シフトされる。
加算されたデータは9ビットになる。このデータはパネル温度を検出する温度補償回路432で温度補償されて、ソースドライバ回路(IC)14に印加される。温度補償回路432を必要とするのは、ROM433に格納された補正データは、温度依存性があるからである。
以上のように、駆動用トランジスタ31aのゲート端子に定電圧を印加し、前記駆動用トランジスタ31aから出力される電流を測定することにより、駆動用トランジスタ31aの特性バラツキを取得することができる。取得した特性バラツキデータを補償データとしてROM433などに保存し、EL表示装置の外部から入力される階調データをROM433の補償データを用いて補正すれば、画素26の駆動用トランジスタ31aの特性バラツキがなく、良好な画像表示を実現できる。
(19−2)画素26の特性を測定方法
図34は、画素26の特性を測定方法の説明図である。
電源回路12のVss出力端子はオフにされ、端子パッドP1にプローブ304が接続される。アノード電圧Vddは、電源回路から供給される。テスト用カソード電圧Vsstとアノード電圧Vddは、通常の画像表示を行う電圧値に設定される。
この状態で、ソースドライバ回路24から、各ソース信号線28に所定の電圧V1が出力される。また、ゲート信号線27(1)にNチャンネルトランジスタ31bをオンさせるオン電圧(VGH)を印加し、他のゲート信号線27にオフ電圧(VGL)を印加する。図42に説明したように、駆動用トランジスタ31aのゲート端子にV1の電圧が印加されるとI1の大きさの電流が出力される。1画素行にm個の画素26とすると、各ソース信号線28にV1電圧を印加すると、m×I1なる電流がカソード配線302に出力される。しかし、実際には、表示画面21の面内で画素の特性バラツキがあり、カソード配線302に流れる電流は、m×I1とはならない。
本実施形態では、各ソース信号線28に印加する電圧V1を変化させ、カソード配線302に流れる電流をm×I1となるように調整する。このm×I1になったときの電圧をVxとする。この電圧Vxが選択した1画素行の特性を示すことになる。Vx電圧は、AD変換(アナログ−デジタル変換)され、所定の演算処理がされて補正データとなり、補正データは、ROM433に格納される。
次に、ゲート信号線27(1)にNチャンネルトランジスタ31bをオフさせるオフ電圧(VGL)を印加し、ゲート信号線27(2)にオン電圧(VGH)を印加し、他のゲート信号線27にオフ電圧(VGL)を印加する。
この状態で、ソースドライバ回路24から、各ソース信号線28に所定の電圧が出力される。各ソース信号線28に印加する電圧V1を変化させ、カソード配線302に流れる電流をm×I1となるように調整する。このm×I1(mは整数で、1画素行の画素数である)になったときの電圧をVxとする。この電圧Vxが選択した2画素行目の画素行の特性を示すことになる。Vx電圧は、AD変換(アナログ−デジタル変換)され、所定の演算処理がされて補正データとなり、補正データは、ROM433に格納される。以上の動作を最終画素行番目まで実施する。
以上にように、順次画素行を選択し、カソード配線302を流れる電流を一定値となるようにソースドライバ回路24から各ソース信号線28に印加する電圧を調整することにより、全画素行の特性バラツキを取得することができる。取得したデータは演算処理などを施して、補正データとし、ROM433に格納される。以下は、図42、図43で説明した方式が実施されるので、説明を省略する。
(19−3)検査方法
以上では、画素26または画素行の特性バラツキを測定するとしたが、検査方法にも適用することができる。図34の実施形態では、各ソース信号線28にV1電圧を印加し、カソード配線302に流れる電流を所定値になるようにV1電圧を調整して、特性を示すVx電圧を取得するという方式であった。しかし、V1電圧を一定の範囲内を変化させても、カソード配線302に流れる電流が所定値にならない場合がある。この場合は、画素26に欠陥が発生している場合がほとんどである。したがって、ソース信号線28に印加する電圧の範囲外となった場合に、選択した画素行のいずれかの画素26の欠陥などが発生していることを検出することができる。また、欠陥の程度も電圧可変範囲の大きさにより把握することができる。
例えば、最初の電圧V1=2.0Vとし、可変範囲が±0.5Vとする。1.5V〜2.5Vの範囲でカソード配線302に流れる電流をm×I1に設定できなければ欠陥が発生しているとする。さらに、可変範囲が±0.8Vとし、この範囲でもカソード配線302に流れる電流をm×I1に設定できなければ重大な欠陥が発生しているとする。以上の事項は、図35などにも適用できる。
図34は、ソース信号線28に電圧を印加する手段として、ソースドライバ回路24を用いた方式であった。図35はソースドライバ回路24の代わりにテストトランジスタ295を用いた実施形態である。テストトランジスタ295を用いることより、ソースドライバ回路24が検査時に不要となる。
(19−4)他の画素26の特性の測定方法
図35は、図34と同様に画素26の特性の測定方法の説明図である。また、図34と同様に欠陥検査も実現できる。電源回路12のVss出力端子はオフにされ、端子パッドP1にプローブ304が接続される。アノード電圧Vddは、電源回路から供給される。テスト用カソード電圧Vsstとアノード電圧Vddは、通常の画像表示を行う電圧値に設定される。
この状態で、端子296に所定電圧V1が印加され、テストトランジスタ295を介して各ソース信号線28にV1電圧が印加される。また、ゲート信号線27(1)にNチャンネルトランジスタ31bをオンさせるオン電圧(VGH)を印加し、他のゲート信号線27にオフ電圧(VGL)を印加する。図42に説明したように、駆動用トランジスタ31aのゲート端子にV1の電圧が印加されるとI1の大きさの電流が出力される。しかし、実際には、表示画面21の面内で画素の特性バラツキがあり、カソード配線302に流れる電流は、m×I1とはならない。
テストトランジスタ295を介して各ソース信号線28に印加する電圧V1を変化させ、カソード配線302に流れる電流をm×I1となるように調整する。このm×I1になったときの電圧をVxとする。この電圧Vxが選択した1画素行の特性を示すことになる。Vx電圧は、AD変換(アナログ−デジタル変換)され、所定の演算処理がされて補正データとなり、補正データは、ROM433に格納される。以下、図34と同様であるので説明を省略する。
(19−5)変更例1
図34、図35の実施形態では、電源回路12を用い、カソード配線302線を流れる電流を測定することにより、駆動用トランジスタ31aまたは画素26の特性バラツキを求めるとした。しかし、本実施形態はこれに限定するものではない。アノード配線301線を流れる電流を測定することにより、駆動用トランジスタ31aまたは画素26の特性バラツキを求めてもよい。この場合も、電源回路12を用いて実現することができる。スイッチSW2をオフさせる機能を気象すればよいからである。
特性バラツキは、駆動用トランジスタ31aに定電流を流し、前記定電流を流した状態で、前記駆動用トランジスタ31aのゲート端子電圧を測定することによっても、駆動用トランジスタ31aまたは画素26の特性バラツキを求めることもできる。
例えば、図36の構成において、テストトランジスタ295はシフトレジスタ回路363などを介して、それぞれ単独でオン/オフ制御できるように構成する。アノード電圧Vddを一定電圧とする。ゲート信号線27(1)にNチャンネルトランジスタ31bをオンさせるオン電圧(VGH)を印加し、他のゲート信号線27にオフ電圧(VGL)を印加する。この状態で、テスト用のカソード電圧Vsstを操作し、カソード配線302に流れる電流を所定値になるようにする。所定値とは、選択された1画素行分の電流値である。
なお、図36では、363はシフトレジスタ回路としたが、これはテストトランジスタ295を選択する機能(テストトランジスタ295をオンさせる)を有するものである。したがって、順次、1つのテストトランジスタ295を選択する機能を有する。さらに、任意のテストトランジスタ295を選択できる機能を有している。また、選択するテストトランジスタ295の数は、1つに限定されない。複数のテストトランジスタ295を同時に選択してもよい。例えば、赤(R)の画素26を選択し、GBの画素を非選択とする方式が例示される。
なお、EV0、EV255電圧のうち、少なくとも一方は、図69の点灯率、図57のduty比に対応させて変化させてもよい。点灯率が低い時は、EV0−EV255の絶対値を大きくし、点灯率が小さい時は、EV0−EV255の絶対値を相対的に小さくする。また、duty比が小さい時は、EV0−EV255の絶対値を大きくし、duty比が大きい時は、EV0−EV255の絶対値を相対的に小さくする。
カソード電流が所定値になった状態で、テストトランジスタ295(1)をオンさせ、他のテストトランジスタ295はオフ状態を維持する。テストトランジスタ295(1)をオンさせることにより、画素26(11)の駆動用トランジスタ31aのゲート端子電圧が、端子296に出力される。端子296に出力された電圧は、AD変換(アナログ−デジタル変換)されて、画素26(11)の特性バラツキを示すデータとなる。
次に、テストトランジスタ295(2)をオンさせ、他のテストトランジスタ295をオフさせることにより、画素26(12)の駆動用トランジスタ31aのゲート端子電圧が、端子296に出力される。端子296に出力された電圧は、AD変換(アナログ−デジタル変換)されて、画素26(12)の特性バラツキを示すデータとなる。
同様にゲート信号線27(1)を選択した状態で、テストトランジスタ295を順次オンさせ、1つのテストトランジスタ295以外の他のテストトランジスタ295をオフさせることにより、画素26の駆動用トランジスタ31aのゲート端子電圧が、端子296に出力される。端子296に出力された電圧は、AD変換(アナログ−デジタル変換)されて、各画素26の特性バラツキを示すデータとなる。
テストトランジスタ295(m)まで完了すると、ゲート信号線27(2)を選択し、他のゲート信号線27にはオフ電圧(VGL)を印加する。この状態で、先の第1画素行と同様にテスト用のカソード電圧Vsstを操作し、カソード配線302に流れる電流を所定値になるようにする。
カソード電流が所定値になった状態で、テストトランジスタ295(1)をオンさせ、他のテストトランジスタ295はオフ状態を維持する。テストトランジスタ295(1)をオンさせることにより、画素26(21)の駆動用トランジスタ31aのゲート端子電圧が、端子296に出力される。端子296に出力された電圧は、AD変換(アナログ−デジタル変換)されて、画素26(21)の特性バラツキを示すデータとなる。
次に、テストトランジスタ295(2)をオンさせ、他のテストトランジスタ295をオフさせることにより、画素26(22)の駆動用トランジスタ31aのゲート端子電圧が、端子296に出力される。端子296に出力された電圧は、AD変換(アナログ−デジタル変換)されて、画素26(22)の特性バラツキを示すデータとなる。
同様にゲート信号線27(2)を選択した状態で、テストトランジスタ295を順次オンさせ、1つのテストトランジスタ295以外の他のテストトランジスタ295をオフさせることにより、画素26の駆動用トランジスタ31aのゲート端子電圧が、端子296に出力される。端子296に出力された電圧は、AD変換(アナログ−デジタル変換)されて、各画素26の特性バラツキを示すデータとなる。
以上にように、順次画素を選択し、画素26の駆動用トランジスタ31aのゲート端子電圧を測定することにより、全画素の特性バラツキを取得することができる。取得したデータは演算処理などを施して、補正データとし、ROM433に格納される。以下は、図42、図43で説明した方式が実施されるので、説明を省略する。
(19−6)変更例2
図36は、カソード配線302の電流を測定し、画素も電圧駆動の画素構成であった。図58は、アノード配線301の電流を測定し、画素は図3で説明した電流駆動の画素構成である。図58の方法(動作)は、図36と同様であるので説明を省略する。以上のように本実施形態は、いずれの画素構成であっても対応することができる。
図34、図36の実施形態は、検査方法にも適用することができるとして説明した。図36で説明した方式も検査方法に適用できる。
図36では、テスト用のカソード電圧Vsstを操作し、カソード配線302に流れる電流を所定値になるようにする。しかし、Vsstを所定範囲、変化させてもカソード配線302に流れる電流が所定値にならない場合がある。
この場合は、画素26に欠陥が発生している場合がほとんどである。したがって、Vsstの変化または調整範囲が範囲外となった場合に、選択した画素行のいずれかの画素26の欠陥などが発生していることを検出することができる。また、欠陥の程度も電圧可変範囲の大きさにより把握することができる。
例えば、最初の電圧Vsst=−3.0Vとし、可変範囲が±0.5Vとする。−3.5V〜−2.5Vの範囲でカソード配線302に流れる電流をm×I1に設定できなければ欠陥が発生しているとする。さらに、可変範囲が±0.8Vとし、この範囲でもカソード配線302に流れる電流をm×I1に設定できなければ重大な欠陥が発生しているとする。
図27、図35、図36においてテストトランジスタ295は、パルス状にオン/オフ制御させたり、周期的にオン/オフさせたりすることにより、より多種多様な検査を行うことができる。図27において、テストトランジスタ295をオンさせる場合は、ソースドライバ回路24の最終出力段に形成されたスイッチをオフ(ハイインピーダンス)にし、ソースドライバ回路24をソース信号線から切り離し、テストトランジスタ295によりソース信号線28に印加された電圧(電流)から保護する。
また、図27、図35、図36などにおいて、電源回路12から出力されるVdd、Vss電圧または外部電源Vddt、Vsstを可変または調整し、可変または調整した状態と、テストトランジスタ295のオン/オフとを同期させることにより、より多種多様な検査または調整を実現できる。例えば、エージング工程において、Vddt、Vsstを印加し、テストトランジスタ295で1フレームまたは複数フレーム周期で画素26をオン(表示)、オフ(非表示)する電圧または電流を印加する。すると、エージング構成でEL表示パネルはフラッシュ表示となり、大きなストレスをかけることができるため、エージング工程を短縮することができる。EL表示装置をフラッシュ表示させることにより、EL素子35のEL構成膜に発生する可能性がある欠陥をエージング構成で発生させることができる。なお、以上の方式は、テストトランジスタ295の制御だけでなく、ソースドライバ回路24を制御することによっても実現できる。
(20)表示画面全体の調整
以上は、画素の特性を測定する方式などに関するものであった。本実施形態はこれに限定するものではない。当然のことながら、表示画面全体としての調整を実施することもできる。図44、図47などはその説明図である。
図44は、画像表示の黒レベルを調整するための説明図である。黒レベルを深くすると表示コントラストは高くなるが、ガンマ曲線がいびつになる。黒レベルを浅くすると表示コントラストが悪くなる。したがって、黒レベルは適度な調整が必要である。黒レベルは、画素26の駆動用トランジスタ31aがPチャンネルトランジスタの場合は、カソード電流を測定して調整する。駆動用トランジスタ31aがNチャンネルトランジスタの場合は、アノード電流を測定して調整する。図44では、駆動用トランジスタ31aがPチャンネルとして説明している。
図44において、電源回路12は、スイッチSW2をオンさせて、表示パネル12aにアノード電圧Vddを供給する。一方、スイッチSW1をオフし、カソード端子(Vss端子)は、ハイインピーダンス状態にする。表示パネル20と電源回路12間を接続するカソード配線の途中にはパッドP1が形成されている。パッドP1には、プローブ304など、電気的接触手段が接続される。電気的接触手段は、パッドに限定されるものではなく、例えば、コネクタの接触端子であってもよい。この場合は、プローブ304は、コネクタが該当する。
本実施形態のEL表示装置(EL表示モジュール)の特徴は、電気的接触手段がカソード配線又はアノード配線またはその両方の配線に、電気的接触手段(パッド)が形成されていることにある。また、電源回路12にオフ回路(スイッチSW)が内蔵されていることにある。ICチップ452のIC端子453には、金バンプ451が形成されている。また、EL表示パネル20に供給する電圧を電源回路12から供給し、電源回路12がフレキシブル基板281にフリップチップ実装(金バンプ実装)されていることにある。また、電源回路12のチップ電位を固定するチップ電位接地電極(接地パターン)455の金バンプ端子451を設け、電極454をグランド(GND)または、マイナス電位(VGL)を印加できるように構成したことにある(図45を参照のこと)。
図44では、電源回路12からアノード電圧VddをEL表示パネル20に供給し、スイッチSW1をオフにしている。すなわち、カソード配線に電源回路12からの電圧は印加されないようにしている。又、カソード配線に電圧が印加されても、電源回路12の内部回路に前記電圧が印加されないように構成している。
パッドP1には、プローブ304を介して電流計303を接続する。電流計(電流測定手段)303の他方の端子は、テスト(調整)用電圧Vsstに接続する。Vsstの電圧値は、電源回路12のVss出力電圧と同一にする。Vsst電圧を用いてEL表示パネル20を調整することにより、調整後、電源回路12のSW1をオン状態(通常動作状態)にした時であっても、表示輝度などが調整時と同一にすることができる。
電源回路12から出力されるVss電圧もバラツキがある。このバラツキを吸収するためには、電源回路12が出力するVss電圧を電圧計で測定し、測定した電圧をVsst電圧として印加するようにする。以上の事項は、他の電圧(Vdd、VGL、VGH、Avddなど)に関しても同様である。
なお、本発明の実施例において、パッドPに、プローブ304を接続あるいは圧接するとしたが、これに限定するものではなく、たとえばパッドPの替わりにコネクタであってもよい。コネクタの接続端子で電流を測定する配線に接続して電流などを測定できるように構成してもよい。以上の事項は本発明の他の実施例においても適用される。
通常、カソード配線に流れる電流を測定するためには、カソード配線を切断し、切断した箇所に電流計を挿入する必要がある。以上のように、電源回路12のVss出力をオフにし、電流計303の一端子を調整用電位Vsstに接続することにより、パッドP1に電流計の一方の端子を接続することのみで、EL表示パネル20の点灯領域34に流れる電流を測定することができる。
電源回路12のSW1をオフにすると、理想的にはハイインピーダンス状態となり、電源回路12のVss端子からのリーク電流Irは発生しない。しかし、現実には、マイクロアンペア(μA)オーダーのリーク電流Irが発生する。したがって、電流計には、カソード電流Ikと電源回路12からのリーク電流Irが加算されたものが測定される。黒レベル調整では、カソード電流Ikもマイクロアンペアオーダーであるため、リーク電流Irがあると、黒レベルの調整ができない。
この課題に対応するため、本実施形態の調整方法では、カソード電流Ikを完全に0に設定する(Ik=0μA)。カソード電流Ik=0にすれば、電源回路12のリーク電流Irのみが接続する。次に、カソード電流Ikを通常状態となるように(本来設定すべき黒レベルに対応するカソード電流になるように)、EL表示パネル20を設定する。この状態では、電流計303には、Ia=カソード電流Ik+リーク電流Irが測定される。測定されたIaから先に測定したIrを減算すれば、カソード電流Ikのみを定量的に測定できる。すなわち、電流計303による調整値は、測定した電流値Irを0とし、調整すべき値であるIkが加算された時点で調整完了とすればよい。
カソード電流Ik=0とするには、図46に示すように、ソースドライバ回路24からソース信号線28にアノード電圧Vdd近傍の電圧またはVdd電圧以上の電圧Vsigを印加することにより行う。先に説明したようにソース信号線28に印加した電圧は、駆動用トランジスタ31aのゲート端子に印加される。高い(アノード電圧に近いまたはそれ以上)電圧Vsigをソース信号線28に印加するため、電源回路12をコマンド設定でAvdd電圧を高くする(図14を参照のこと)。または、または必要に応じて図38に図示して説明したEV0電圧を高く(アノード電圧近傍またはそれ以上)に設定する。
スイッチ用Vsig電圧は、スイッチ用トランジスタ31c、31bをオンさせることにより、駆動用トランジスタ31aのゲート端子に印加される。駆動用トランジスタ31aのゲート端子の電位が、アノード電圧近傍またはそれ以上に設定することにより、駆動用トランジスタ31aが流す電流は小さくなる。Vsig電圧は、点灯領域34の全駆動用トランジスタ31aのゲート端子に印加する。
最適なカソード電圧を設定するには、図47のように構成する(設定する)。電流計303の一端に可変電圧装置471を接続する。可変電圧装置471の電圧を変化させ、電圧計472で電圧Vsstを測定する。また、電流計303で電流Iaを測定する。
カソード電圧Vsstが十分でないと、Ikも小さくなる。しかし、この場合のIkが小さいのは、画素の駆動用トランジスタ31a、EL素子35に十分な電圧が印加されていないことを意味している。カソード電圧Vsstを低下さて、Ikの変化を電流計303で監視しなから、可変電圧装置471で変化させる。カソード電圧Vsstを低下させていくと、Ik電流も増大するが、一定以上にカソード電圧Vsstを下げると、Ik電圧が飽和して増加しなくなる。この飽和位置の電圧Vsstを電圧計472で測定する。測定したVsstを電源回路12のVss電圧として電源回路12に設定する。
以上の事項は、駆動用トランジスタ31aがPチャンネルトランジスタの場合であり、駆動用トランジスタ31aがNチャンネルトランジスタの場合は、Vsig電圧は、カソード電圧またはそれ以下の電圧を印加する。
なお、図46で説明するVsig電圧とは、通常の表示状態でない(通常の黒レベルを設定する電圧でない)電圧という意味である。すなわち、電源回路12のリーク電流を測定するために、カソード電流を極力小さくするために、EL表示パネル20に印加する電圧である。
また、電源回路12のリーク電流Irのバラツキ大きくない場合(例えば、リーク電流が5μAで、バラツキの3σが、0.5μAである場合)は、電源回路12のリーク電流Irを測定する必要はない。リーク電流Irとして、平均値を用いればよい。この場合は、Ik=0にする工程も必要でなくなる。
(20−1)変更例1
以上の実施形態では、電源回路12ですべての電圧(Vdd、Vss、VGH、VGL、Avddなど)を発生させるとしたが、これに限定するものではない。例えば、図48に示すように、ソースドライバ回路24で、ゲートドライバ回路22が使用する電圧(VGH、VGL)を発生させてもよい。バッテリー電圧Vinはソースドライバ回路24と電源回路12に入力される。
(20−2)変更例2
図49は、ソースドライバ回路24のチャージポンプ回路(31e、31f)のために外付けコンデンサ(C1、C2)を付加し、ソースドライバ回路24はパネル20にCOG(チップ オン ガラス)で実装され、コンデンサC1、C2はフレキシブル基板281に実装される。
なお、図48、図49、図50は、図39と同様にEL表示パネル20が単一電源の場合である。また、ソースドライバ回路24で使用するロジック電圧Dvddは、電源回路12で発生させている。ソースドライバ回路24はDvdd電圧が供給されていないと動作することが出来ないためである。また、図48、図49、図50は、図3、図23などと同様に、2電圧方式(Vdd電圧とVss電圧を有する方式)としてもよい。
図49はソースドライバ回路24をCOG技術でガラス基板上に実装し、電源回路12をフレキシブル基板281に実装した構成である。図50は、ソースドライバ回路24及び電源回路12の両方をフレキシブル基板281に実装した構成である。電源回路12及びソースドライバ回路24は、それぞれ、端子に金バンプを形成し、フレキにCOF(チップオンフレキシブル基板)技術で実装する。
図49、図50では、電源回路12をチップのまま(ICパッケージを使用せず)、フレキシブル基板に実装する。そのため、チップ基板(ウエハ基板)の電位の保持が重要となる。本実施形態では、図45に示すように、ウエハ電位と接続する電極(チップ電位接地電極454)をICチップ452の表面に形成する。ICチップと電位接地電極454とはICの回路パターニングにより接続をとる。チップ電位接地電極454上にも金バンプ451を形成し、フレキ281とは、他のIC端子713と同時に、COF実装により接続をとる。チップ電位接地電極454は、グランド(GND)電位と接続をとる。好ましくは、負電位を印加する。本実施形態では電源回路12が出力するVGL電位を接続している。
図51は、図50の電気配線の接続関係と分岐チップ512を記載した図面である。図50との差異は、分岐チップ512をフレキシブル基板281に実装していることである。
分岐チップ512は、図52のように構成されている。分岐チップ512はソースドライバ回路24と同様にシリコンチップから形成されている。もちろん、チップなどの形状あるいは類するものであれば、シリコンチップ以外でもよい。たとえば、ガラス基板に金属配線をパターニングしたものであってもよい。
分岐チップ512もソースドライバ回路24と同様に、金バンプ(入力側は入力バンプ511、出力側は出力バンプ512)が形成されている。ソースドライバ回路24との差異は、映像信号などの出力回路は形成されておらず、チップ配線のみが形成されている点である。すなわち、チップ配線513は、半導体のメタル配線層で形成されている。
コネクタ511からの入力信号線512(図51ではD0、D1などの信号線)は、分岐チップ512に形成されたチップ配線513で分岐され、また、入力信号線は、分岐チップ512を利用して交差または入れ替わりがされる。
本実施形態のELパネルモジュールでは、フレキシブル基板281は片面フレキシブル基板を使用している。したがって、安価である。しかし、片面フレキであるから、配線の分岐、入れ替え(交差)ができない。この課題に対して本実施形態では、分岐チップ512で、チップ配線513を形成し、チップ配線513で入力信号線513の分岐、交差などが実現され、入力信号線513は出力信号線514と接続されている。分岐チップ512は、ソースドライバ回路24と同時に、COF技術でフレキシブル基板281に実装される。
図59は、フレキシブル基板281の一部に、フレキ積層部591を形成している。すなわち、フレキ積層部591は、2層フレキの構成である。このフレキ積層部591でスルーホールなどを形成し、信号線及び電源配線などを交差させる。
ソースドライバ回路24は、ゲートドライバ回路22で使用する電源電圧VGH(VGH1、VGH2)、VGL(VGL1、VGL2)を発生させる。電圧VGH、VGLはチャージポンプ回路で発生させる。電源回路12は、アノード電圧Vdd及び、ソースドライバ回路24で使用するロジック電圧Dvddを発生させる。EL表示パネルは、カソード電圧Vssはグランド(GND)電圧としている。ソースドライバ回路24は、ゲートドライバ回路22で使用するクロック信号(CLK)、スタート信号(ST)なども発生する。スタート信号(ST)は、ソースドライバ回路24でレベルシフトされ、ゲートドライバ回路22に印加される。
図60はフレキシブル基板281aと281bを貼り合わせている。フレキシブル基板281aは2層フレキである。フレキシブル基板281aには、スルーホール601が形成され、信号線、電源配線などを交差させる。
(21)レベルシフト機能
図61は、電源回路12にレベルシフト機能を持たせた構成である。ソースドライバ回路24は、ゲートドライバ回路22で使用するクロック信号(CLK2a、CLK1a)、スタート信号(ST2a、ST1a)を発生する。発生する信号のロジックレベルは、3V系である。
前記3V系の信号は、電源回路12に入力される。電源回路12内には、レベルシフタ回路611を内蔵されている。レベルシフタ回路611は、3V系のロジックレベルと、ゲートドライバ回路22のロジックレベルに変換する。ゲートドライバ回路22のロジックレベルは、VGL−VGHである。レベルシフタされた信号は、クロック信号(CLK2b、CLK1b)、スタート信号(ST2b、ST1b)となり、ゲートドライバ回路22に入力される。
(22)点欠陥検査
本実施形態の電源回路12は、表示パネルの点欠陥検査にも使用できる。電源回路12から、ゲートドライバ回路22の電圧を供給するとともに、テストトランジスタ295をオン/オフさせる電圧を供給するとともに、テストトランジスタ295などを制御する。
図29では、赤(R)用のテストトランジスタ295として、295Rが形成されている。テストトランジスタ295Rをオン/オフさせる電圧は、トランジスタ制御端子297Rに印加され、定電流または定電圧は、信号入力端子296Rに印加される。ソースドライバ回路24は、ソースドライバ回路実装位置294に実装される。
また、緑(G)用のテストトランジスタ295として、295Gが形成されている。テストトランジスタ295Gをオン/オフさせる電圧は、トランジスタ制御端子297Gに印加され、定電流または定電圧は、信号入力端子296Gに印加される。青(B)用のテストトランジスタ295として、295Bが形成されている。テストトランジスタ295Bをオン/オフさせる電圧は、トランジスタ制御端子297Bに印加され、定電流または定電圧は、信号入力端子296Bに印加される。
図29のように、RGB毎に選択するテストトランジスタ295を異ならせるように構成することにより、表示画面21にRGBの画像を表示することができ、欠陥検査など検査が実施しやすい。
ゲート信号線27aは水平同期信号に同期して、選択される画素行位置が1画素行ずつシフトされる。また、各画素行には、テストトランジスタ295からの電圧または電流が印加される。通常、テストトランジスタ295のゲート端子には常時オン電圧が印加される。
なお、図29において、293はソースドライバ回路24の入力端子パッドであり、291は、ソースドライバ回路24の出力端子パッドである。
ゲート信号線27aにオン電圧が印加された画素行では、ゲート信号線27bには、オフ電圧が印加される。ゲート信号線27aにオフ電圧が印加された画素行では、ゲート信号線27bに、オン電圧が印加される。または、図5、図7のように、duty駆動を実施する場合は、非点灯領域55に該当する画素行のゲート信号線27a及びゲート信号線27bにはオフ電圧が印加される。
なお、図29は、赤(R)、緑(G)、青(B)毎にテストトランジスタ295(295R、295G、295B)を配置し、RGBで独立した所定電流または所定電圧を印加する方式である。しかし、本実施形態は、これに限定するものではない。例えば、図62に示すように、RGBの区別なく、テストトランジスタ295を配置してもよい。
図62の実施形態では、信号入力端子296に印加した電圧(電流)は、トランジスタ制御端子297に印加した制御電圧により制御され、ソース信号線1に印加される。なお、図29は、トランジスタ制御端子297に印加した制御電圧により、表示画面21に全体に電圧(電流)が印加されるとした。しかし、本実施形態はこれに限定するものではなく、表示画面21を複数の領域に分割し、それぞれ分割した領域に異なる電圧(電流)を印加できるように構成してもよい。
ゲート信号線27にオン/オフ電圧を印加するために、ゲートドライバ回路22を動作させる(図29)。画像を表示させてテストを行うときは、図2のST1、CLKをフレームレート60Hzまたは、50Hzに一致するように制御する。点欠陥検出、画素の駆動用トランジスタ31aなどの特性を評価または検査する場合は、ST1、CLKなどを制御してフレームレート1Hzなどに低減する。ゲートドライバ回路22には、VGH、VGL電圧を印加する。すなわち、点欠陥検出ではフレームレートを通常表示時よりも低くする。点欠陥検出検査のフレームレートは、5Hz以上30Hz以下に設定する。
ゲートドライバ回路22aは、順次、ゲート信号線27aを選択する。ゲート信号線27aの選択に同期して、テストトランジスタ295から、所定電流または所定電圧をソース信号線28に印加し、選択された画素行のスイッチ用トランジスタ31cによって、前記電圧などを画素に書き込む。
ゲートドライバ回路22bは、ゲート信号線27aが選択され、所定電圧(所定電流)を書き込んでいる画素行には、非選択電圧が印加される。その他の、画素行には、選択電圧が印加されるか、または、図5、図7のduty比駆動が実施される。
なお、以上の実施形態では、1画素行ずつ画素行を選択し、所定電圧(所定電流)を画素26に書き込むとしたが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、複数の画素行(例えば、1画素行と2画素行、3画素行と4画素行、5画素行と6画素行、・・・・)を選択し、所定電圧(所定電流)を画素26に書き込んでもよい。また、すべてのゲート信号線27aを同時に選択し、所定電圧(所定電流)を画素26に書き込んでもよい。また、画面の上半分のゲート信号線27aを同時に選択し、所定電圧(所定電流)を画素26に書き込み、次に、画面の下半分のゲート信号線27aを同時に選択し、所定電圧(所定電流)を画素26に書き込んでもよい。
図29、図62の実施形態は、ゲートドライバ回路22により、テスト用の所定電圧または所定電流を画素行に書き込む実施形態であった。ゲートドライバ回路22は、ポリシリコン技術により、画素26のトランジスタと同時に形成する。
図64は、ゲートドライバ回路22を用いず、ゲート信号線27の一端にプロービィングのパッドPa、Pbを形成した実施形態である。プロービィングのパッドPa、Pbにプローブ304などを接触させ、VGH電圧、VGL電圧を印加する。プロービィングのパッドPa1、Pa2、・・・・・と順次VGL電圧(選択電圧)を印加し、選択していないプロービィングのパッドPaにVGH電圧(非選択電圧)を印加すれば、ゲートドライバ回路22aと同一の動作を実現できる。また、千鳥状(パッドPa1、Pa3、Pa5、・・・・・)に選択電圧を印加してもよい。
EL表示パネルの検査後、半導体で作製したゲートドライバ回路22をゲート信号線27端に実装する。
図63は、ゲート信号線27a、17bを個別にプロービィングのパッドPa、Pbを形成し、プローブ304などを接触させ、VGH電圧、VGL電圧を印加する実施形態であった。図33は、複数のゲート信号線27aを短絡配線631で短絡し、プロービィングのパッドPaを配置した実施形態である。また、複数のゲート信号線27bを短絡配線632で短絡し、プロービィングのパッドPbを配置した実施形態である。
プロービィングのパッドPa、Pbにプローブ304などを接触させ、VGH電圧、VGL電圧を印加することにより、表示画面21全体をオン/オフ制御することができる。
テストトランジスタ295を動作させることにより、ソースドライバ回路24を実装せずとも、表示画面21に画像を表示することができる。画像表示により、点欠陥、線欠陥、色ずれなどを容易に検出することができる。テストトランジスタ295の制御は、電源回路12または制御回路で行う。
検査モード以外(通常画像表示時)では、図65に示すように、テストトランジスタ295のソース端子とゲート端子は電気的に短絡される。図65のように短絡することにより、テストトランジスタ295はダイオードと等価になる。
したがって、テストトランジスタ295のソース端子とゲート端子にオフ電圧(VGH)を印加すれば、テストトランジスタ295からソース信号線28に電圧または電流が印加されることはない。また、テストトランジスタ295からなるダイオードは、静電気保護用の保護ダイオードとして機能し、EL表示パネルを保護する素子として機能する。
図65のようにテストトランジスタ295をダイオード結線とするのは、図28の方式を用いる。
以上の実施形態では、Pチャンネルのテストトランジスタ295をソース信号線28に形成するとしたが、Nチャンネルのテストトランジスタ295をソース信号線28に形成してもよい。
ゲートドライバ回路22には、電源回路12から電圧を供給する。また、電源回路12は、必要に応じてテストトランジスタ295の信号入力端子296に印加する電圧、トランジスタ制御端子297に印加する制御電圧(テストトランジスタ295のオン/オフ電圧)を供給する(図53も参照のこと)。
但し、テストトランジスタ295のチャンネル極性は、画素26のスイッチ用トランジスタ31c(ソース信号線28に印加された電流または電圧を画素26との電流経路を発生させるトランジスタ)のチャンネル極性と一致させることが好ましい。スイッチ用トランジスタ31cをオフさせる電圧でテストトランジスタ295を確実にオフできるからである。
なお、テストトランジスタ295は、PチャンネルとNチャンネルの2つのトランジスタを各ソース信号線28に形成してもよい。2つのチャンネル極性のテストトランジスタ295を形成することにより、テストに最適な電圧(電流)をソース信号線28に印加できるようになる。
本実施形態のEL表示装置は、図29に示すように、テストトランジスタ145を形成している。テストトランジスタ145は、画素のトランジスタ31が形成されたアレイ基板282に形成される。また、テストトランジスタ295の形成はトランジスタ31と同一プロセスで行われる。また、テストトランジスタ295は、ゲートドライバ回路22と同一のプロセスで、アレイ基板282に形成される。
テストトランジスタ295は、基本的には、画素26のトランジスタ31と同一構成である。トランジスタ295は、スイッチ用トランジスタ31cと同一のチェンネルトランジスタとする。スイッチ用トランジスタ31cがPチェンネルトランジスタであれば、テストトランジスタ295もPチャンネルトランジスタにする。スイッチ用トランジスタ31cがNチェンネルトランジスタであれば、テストトランジスタ295もNチャンネルトランジスタにする。
スイッチ用トランジスタ31cはゲート信号線27aの印加電圧(VGH1、VGL1)でオン/オフ制御される。また、必要に応じて、電源回路12が出力するVGH、VGL電圧をコマンドで変更して、EL表示パネルに印加する。
スイッチ用トランジスタ31cがPチャンネルトランジスタの場合は、VGH1でスイッチ用トランジスタ31cは、オフ状態となり、VGL1でスイッチ用トランジスタ31cは、オン状態となる。スイッチ用トランジスタ31cがNチャンネルトランジスタの場合は、VGH1でスイッチ用トランジスタ31cは、オン状態となり、VGL1でスイッチ用トランジスタ31cは、オフ状態となる。
テストトランジスタ295はゲート信号線27aのオフ電圧でオフさせる。テストトランジスタ295がPチャンネルトランジスタの場合は、VGH1でテストトランジスタ295は、オフ状態となる。テストトランジスタ295がNチャンネルトランジスタの場合は、VGL1でテストトランジスタ295は、オフ状態となる。
テストトランジスタ295はゲート信号線27aのオン電圧より大きい電圧でオンさせる。テストトランジスタ295がPチャンネルトランジスタの場合は、VGL1より低い電圧VGLt(負方向に大きい電圧)でオン状態にする。例えば、VGL1=−3Vであれば、VGLt=−9Vとする。
VGHt、VGLtは、検査モードで使用する電圧である。VGH1(VGH)、VGL1(VGL)は、電源回路12で発生させる。VGHt、VGLtは検査用に作製した検査回路で発生させる。または、VGHt、VGLtは、電源回路12で発生させる。電源回路12は、コマンド設定により出力電圧を変更する。
VGHt、VGLt電圧を可変し、可変した電圧設定値で表示状態、表示輝度を検査または評価することにより、EL表示パネルの特性マージン、動作マージンを定量的に取得できる。Vdd(Vddt)、Vss(Vsst)に関しても同様である。
テストトランジスタ295はゲート信号線27aの印加電圧(VGH1、VGL1)でオフ制御される。テストトランジスタ295のW/L比は、スイッチ用トランジスタ31cのW/L比より大きくする。スイッチ用トランジスタ31cのチャンネル幅W=4μm、チャンネル長L=5μmであれば(W/L=4/5=0.8)、テストトランジスタ295のチャンネル幅W=10μm、チャンネル長L=5μmであれば(W/L=10/5=2)とする。
図66に示すように、テストトランジスタ295は、ドレイン端子がソース信号線28と接続されている。また、ソース信号線28の一端には、ソースドライバ回路24の出力端子とCOG(チップ オン ガラス)接続するための出力端子パッド291が形成されている。また、ソースドライバ回路24は、IC24の入力端子パッドと出力端子パッド291とACF接続され、図29の点線で示すソースドライバ回路実装位置294に実装される。
なお、画素構成は、図66の構成に限定するものではない。例えば、図70に示すような構成であってもよい。当然のことながら、図67(a)、図68の画素構成においても本実施形態を実施できる。以上のように本実施形態は、画素の構成に限定または制約されるものではない。以上の事項は、本実施形態の他の実施形態にも適用される。
(23)定電流を発生させる回路
テストトランジスタ295のソース端子は、信号入力端子296と接続されている。信号入力端子には、定電流源または定電流源が接続される。定電流源または定電流源は電源回路12から供給する。
定電流を発生させる回路の一例として、図40に示す回路構成を用いる。図40では、オペアンプ401とトランジスタ402及び抵抗Rで定電流回路を構成する。オペアンプ401の+端子には、電圧Viが印加される。電圧Viは、電子ボリウム403に印加されたデータ(IDAT)で設定される。電子ボリウム403は、DA変換回路である。定電流Iaは、Ia=Vi/Rで決定される。
図40の回路構成は、R用、G用、B用の3回路が構成されており、R用、G用、B用の定電流回路出力が出力する定電流は、独立に構成された電子ボリウム403で可変される。
図40のように、各画素26に定電流を印加する方式では、画素26は電流プログラム方式の画素構成であることが必要である。電流プログラム方式の画素構成は、駆動用トランジスタ31aまたは31bを流れる電流経路とソース信号線28間に直流電流が流れるように構成されている必要がある。
定電圧を発生させる回路の一例として、図41に示す回路構成を用いる。図41では、オペアンプ401とトランジスタ402で定電圧回路を構成する。オペアンプ401の+端子には、電圧Viが印加される。電圧Viは、電子ボリウム403に印加されたデータ(IDAT、8ビット=256段階)で設定される。
図41の回路構成は、R用、G用、B用の3回路が構成されており、R用、G用、B用の定電圧回路出力が出力する定電圧は、独立に構成された電子ボリウム403で可変される。
図40、図41において、RGBの各画素で、印加する電流または電圧は、必要に応じて、異ならせる。RGBでEL素子の発光効率が異なる場合があり、また、駆動用トランジスタ31aのサイズが異なる場合があるため、同一電流または電圧で、各RGBでの発光輝度が異なるからである。本実施形態は、RGBで独立した電子ボリウム403を有しているため、柔軟に対応することができる。
図40、図41において、テストトランジスタ295は、パネル検査またはパネル調整時には、オンし、通常表示時は、図65に示すように電圧が印加され、オフする。
テストトランジスタ295のゲート端子は、ゲートドライバ回路22と同様に、シフトレジスタ363(図36などを参照のこと)を付加し、シフトレジスタ回路363の機能により順次、1つまたは複数のテストトランジスタ295を選択するように構成してもよい。
以上のように構成することにより、テストトランジスタ295を単独でオン/オフ制御するができるようになる。したがって、ゲートドライバ回路22aと個別にテストトランジスタ295のオン/オフさせることにより、マトリックス状に配置された画素26を個別に選択または画素列単位で選択して、電圧または電流を印加することができる。以上のことは、本実施形態の他の実施形態においての同様に適用することができる。
テストトランジスタ295は、パネル検査またはパネル調整工程が終了した後、切断して除去してもよい。例えば、図30のBの箇所(ソースドライバ回路24が実装された反対辺)にテストトランジスタ295を形成する。テストトランジスタ295は、図40、図37のaa’の箇所でアレイ基板282を切断する。以上のことは、本実施形態の他の実施形態においての同様に適用することができる。
以下の説明において、テストトランジスタ295は、Pチェンネルトランジスタであるとして説明をする。テストトランジスタ295がNチャンネルトランジスタの場合は、VGHとVGLを読み替えればよい。
テストトランジスタ295のゲート端子と接続されたトランジスタ制御端子G(GR、GG、GB)には、ゲートドライバ回路22aに印加される電圧(VGH、VGLt)が印加される。テストトランジスタ295がPチャンネルトランジスタの場合は、VGH電圧の印加により、テストトランジスタ295がオンする。オンすると、信号入力端子296に印加された信号(定電流または定電圧)をソース信号線14に印加する。
なお、定電流とは一定のDC(直流)電流に限定されるものではない。矩形状に変化させてもよい。また、ステップ状に変化させてもよい。定電流とは、一定の期間(少なくとも1画素行を選択している期間に、一定の電流であればよい。同様に定電圧とは一定のDC(直流)電圧に限定されるものではない。矩形状に変化させてもよい。また、ステップ状に変化させてもよい。定電圧とは、一定の期間(少なくとも1画素行を選択している期間に、一定の電圧であればよい。
各電源電圧などは本実施形態の電圧発生回路11(図3、図13、図30、図31、図27、図36、図32、図58、図47、図25、図16、図22、図23、図26、図48、図12、図11、図46、図53など)で発生し、電圧発生回路11を動作させ、また制御して各端子などを印加する。
信号入力端子296に印加する電圧は、テストトランジスタ295がオンすることにより、前記テストトランジスタ295が接続されたソース信号線28に印加される。テストトランジスタ295をオンさせる電圧は、VGLtである。例えば、信号入力端子296に印加された定電圧が、−2Vであれば、−2Vが各ソース信号線28に印加される。信号入力端子296に印加された定電流が、10mAであれば、10mAが選択された各ソース信号線28に分流されて印加される。
画素構成が、図3、図67などのように電流プログラム方式の場合は、信号入力端子296に定電流が印加される。画素行は1画素行ずつ選択され、選択された画素行に前記定電流が分流されて印加される。例えば、選択したテストトランジスタ295が240本であれば、定電流10mAが240で分割されて、それぞれのソース信号線28に印加される。したがって、各画素26にはプログラム電流が印加され、比較的良好な画像表示を実現できる。
画素構成が、図68、図74、図75などのように電圧プログラム方式の場合は、信号入力端子296に定電圧が印加される。画素行は1画素行ずつ選択され、選択された画素行に前記定電圧が印加される。例えば、選択したテストトランジスタ295が240本であれば、定電圧の−2Vが、それぞれのソース信号線28に印加される。したがって、各画素26にはプログラム電圧が均一に印加される。
以下の実施形態では、画素構成は、図3を例示し、テストトランジスタ295は、Pチャンネルトランジスタであるとして説明をする。但し、画素構成は、図67、図68、図74、図75などの他の構成であっても本実施形態は適用できる。
以上のように、本実施形態の電源回路12は、図53に示すように、検査トランジスタ295を用いた検査方式などにも適用できる。検査トランジスタ295の端子296、141などに検査用電圧Vtを供給する。また、検査電圧Vtは、コマンドで電圧値Vtを可変するとともに、スイッチSW7をオン/オフ制御する。以上の事項は、本実施形態で説明した他の検査方式、調整方式にも適用できること、また組み合わせて使用できる。
(24)非点灯領域と点灯領域
本実施形態では、図5、図7に示すように、表示画面21に非点灯領域55と、点灯領域56を発生させる。点灯領域56は図3の画素構成では、ゲート信号線27bに選択電圧(オン電圧)を印加し、選択された画素行のスイッチ用トランジスタ31dをオンさせている。非点灯領域55は、ゲート信号線27bに非選択電圧(オフ電圧)を印加し、非選択された画素行のスイッチ用トランジスタ31dをオフさせている。
同様に図67(a)の画素構成では、点灯領域56は、ゲート信号線27bに選択電圧(オン電圧)を印加し、選択された画素行のスイッチ用トランジスタ31eをオンさせている。非点灯領域55は、ゲート信号線27bに非選択電圧(オフ電圧)を印加し、非選択された画素行のスイッチ用トランジスタ31eをオフさせている。
図67(b)の画素構成では、点灯領域56は、ゲート信号線27bに選択電圧(オン電圧)を印加し、選択された画素行のスイッチ用トランジスタ31dをオンさせている。非点灯領域55は、ゲート信号線27bに非選択電圧(オフ電圧)を印加し、非選択された画素行のスイッチ用トランジスタ31dをオフさせている。
電圧駆動方式の画素構成である図68では、点灯領域56は、ゲート信号線27bに選択電圧(オン電圧)を印加し、選択された画素行のスイッチ用トランジスタ31dをオンさせている。非点灯領域55は、ゲート信号線27bに非選択電圧(オフ電圧)を印加し、非選択された画素行のスイッチ用トランジスタ31dをオフさせている。
本実施形態のEL表示装置は、表示画面21に点灯領域56と非点灯領域55とを表示画面21に発生させ、非点灯領域55または点灯領域56を表示画面21の上下方向に移動させて表示する。
このように点灯領域56と非点灯領域55とを表示画面21に発生させ、非点灯領域55または点灯領域56を表示画面21の上下方向に移動させて表示する駆動方法をduty駆動方式と呼ぶ。
点灯領域56/(点灯領域56+非点灯領域55)の割合をduty比と呼ぶ。または、duty比は(オン電圧が印加されているゲート信号線27bの本数)/(全ゲート信号線27bの本数)でもある。また、ゲート信号線27bにオン電圧が印加され、(このゲート信号線27bに接続されている選択画素行数)/点灯領域56の全画素行数でもある。
本実施形態のEL表示装置は、点灯領域56と非点灯領域55との比を変化させる。または表示画面21の面積に対し非点灯領域55の面積を変化させる。または表示状態の画素数を増減することにより、画面の輝度または明るさを調整することを特徴とする。また、表示画面21に書き込み映像信号の大きさまたは振幅値を変化させる。一例として画面の輝度は、duty比、基準電流、映像振幅値を変化または調整することにより実現する。
本実施形態は、点灯率に対応させてduty比を変化させる。点灯率は、パネルのアノードまたはカソードに流れる最大電流に対する割合である。また、点灯率は、ある映像が表示されているときにパネルに流れる電流と、パネルの全EL素子に流れる最大電流の割合とも言い換えることができる。点灯率が高いときは、白ラスターに近い表示である。点灯率が低い場合は、画面全体的に黒表示部が多い。点灯率に対応させてduty比を変化させることにより、表示画面21で消費する電力を平均化することができる。また、一定の消費電力以下に抑制することができる。
低点灯率とは、表示画面21に流れる電流が小さいことを意味しているが、画像を構成する低階調表示の画素が多いことも意味する。すなわち、表示画面21を構成する映像は、暗い画素(低階調の画素)が多い。したがって、低点灯率とは、画面を構成する映像データをヒストグラム処理した時、低階調の映像データが多い状態と言い換えることができる。
高点灯率とは、表示画面21に流れる電流が大きいことを意味しているが、画像を構成する高階調表示の画素が多いことも意味する。すなわち、表示画面21を構成する映像は、明るい画素(高階調の画素)が多い。したがって、高点灯率とは、画面を構成する映像データをヒストグラム処理した時、高階調の映像データが多い状態と言い換えることができる。点灯率に対応してduty比などを制御するとは、画素の階調分布状態またはヒストグラム分布に対応して制御することと同義または類似の状態を意味することがある。
以上のことから、点灯率にもとづいて制御するとは、場合に応じて画像の階調分布状態(低点灯率=低階調画素が多い。高点灯率=高階調画素が多い。)にもとづいて制御すると言い換えることができる。例えば、低点灯率になるにしたがって基準電流比を増加させることも有効である。高点灯率になるにしたがってduty比を小さくことも、EL表示パネルで消費する電力を平均化するという点で有効である。また、ピーク電力を抑制できる点で有効である(ピーク電流抑制駆動)。
ピーク電流抑制駆動、duty比駆動を実施することにより、電源回路の出力電流を一定値以下にすることができる。また、最大出力電流(最大出力電力)を一定値以下に抑制することができる。また、エージング時に一定の期間、大電流をEL表示パネルに印加することができる。したがって、電源回路12のサイズを縮小化することができる。以上のことから、ピーク電流抑制駆動、duty比駆動と本実施形態の電源回路12とは密接な完成がある。
本実施形態では、図69に示すように、duty比は点灯率(%)に対応させて変化させている。ただし、一定の点灯率以下あるいは以上でduty比を固定することも本発明の範疇である。
点灯率は、EL表示装置に入力される映像信号から求められる。または、点灯率は、EL表示装置のアノード配線301またはカソード配線302に流れる電流を計測することにより求められる。アノード配線301、カソード配線302に流れる電流は、図30〜図35で説明する本実施形態の電源回路または、本実施形態のEL表示装置または本実施形態のEL表示装置の駆動または調整方法により取得できる。
点灯率及びduty比は、表示画面21に表示する表示画像により変化する。なお、点灯率及びduty比の変化はリアルタイムに実施するのではなく、一定の遅延またはヒステリシスを持たせて行う。duty比は、EL表示装置の外部環境照度に応じて、可変することも有効である。外部環境照度は、EL表示装置に付加したホトセンサで測定する。外部環境照度が一定以上の値より高い時は、duty比と最大値にして固定する。外部環境照度が低い時は、外部照度に合わせて、duty比を小さくする。
図69の横軸は、duty比としたが、点灯率と置き換えてもよい。点灯率が高いほど、duty比は小さくなり、点灯率が低いほどduty比は大きくなる。また、点灯率は、EL表示装置の表示画面21で消費する電力または電流と相関している。
したがって、EL表示装置の表示画面21で消費する電力または電流からduty比を求めてもよい。点灯率とduty比の関係は、一例として図69から求める。図69はあらかじめ求めておくか、または演算によりリアルタイムに求める。
理解を容易にするため、本実施形態では、主としておいて、点灯率(%)に応じてduty比制御などを変化させるとして説明する。
本実施形態は、図7に示すように、表示画面21に占める点灯領域56を複数に分割できる。点灯領域56の分割は、ゲートドライバ回路22bに入力するスタートパルス信号(ST2)の入力パターンにより実現できる。点灯領域56を複数に分割することにより、低フレームレートでもフリッカの発生を抑制できる。また、点灯領域56または非点灯領域55の分割数を動画表示と静止画表示で異ならせる。また、点灯率に対応して、点灯領域56の分割数を変化させてもよい。
表示画面21に占める非点灯領域55または点灯領域56が、帯状となって画面の上から下方向または画面の下から上方向に移動することを特徴とする。場合によっては、フレーム毎に画面の上から上方向と、画面の下から上方向とを切り替えてもよい。
本実施形態では、ゲートドライバ回路22aは、映像信号を書き込む画素行を選択するものとし、ゲートドライバ回路22bは、点灯させる画素行を選択するものとする。したがって、ゲートドライバ回路22とは画素行の選択回路である。選択回路481は、ソースドライバ回路24から出力される映像信号をR、G、Bのソース信号線を選択して振り分ける。選択回路481はポリシリコン技術でガラス基板上に形成される。
ゲートドライバ回路22aとゲートドライバ回路22bとは明確に分離させて設ける必要がない。1つのゲートドライバ回路にゲートドライバ回路22aとゲートドライバ回路22bを設けたものであってもよい。この場合も、ゲートドライバ回路22aとゲートドライバ回路22bが設けているとみなす。また、ゲートドライバ回路22は、画素行を選択または指定する機能を有するものである。したがって、シフトレジスタ回路の機能を有していれば、ゲートドライバ回路22と同義である。また、特定の画素行を指定または選択する機能があればゲートドライバ回路22である。以上のように、本実施形態においてゲートドライバ回路22とは広義の意味で使用している。
本実施形態では、オフ電圧をVGHとし、オン電圧をVGLとした。これは、スイッチ用トランジスタ31b、31c、31dなどが、Pチャンネルトランジスタである場合である。スイッチ用トランジスタ31b、31c、31dなどが、Nチャンネルトランジスタの場合は、オン電圧はVGHとなり、オフ電圧はVGLとなる。したがって、本実施形態は、駆動用トランジスタ31a、スイッチ用トランジスタ31のチャンネル極性にあわせて、ゲート信号線27に印加するロジック電圧(VGH、VGL)を設定すればよい。
ソースドライバ回路24にプログラム電流の出力回路と、プログラム電圧の出力回路の双方を構成すれば、印加された映像信号に対して、1画素行を選択する期間の前半に定電流を各画素に印加し、1画素行を選択する期間の後半にプログラム電圧を印加した駆動方法にも適用できる。定電流を印加することにより、駆動用トランジスタ31aの動作点をリセットする(オフセット位置を求める)。次にプログラム電圧を画素に印加する。画素構成は、図3と図30を組み合わせた構成などを用いる。
ソースドライバ回路24にプログラム電流の出力回路と、プログラム電圧の出力回路の双方を構成すれば、基準電流による映像信号の振幅または大きさの変調が容易になる。また、ホワイトバランス調整、duty駆動方式も容易に実現できる。
(25)画素の変更例
以上のように、本実施形態において、採用できるまたは使用できる画素構成は多種多用である。以下に、他の画素構成について例示しておく。
(25−1)変更例1
図72(a)は図3の変更例である。図72(a)の構成では、コンデンサ39の一端子をVsd電圧に接続されている。すなわち、駆動用トランジスタ31aの一端子に接続されたアノード電圧Vddとコンデンサ39に接続された電圧Vsdと異ならせている。
図72(a)のように構成することにより、コンデンサ39に印加する電圧Vsdがアノード電圧Vddと分離されていることにより、画像表示の変化によるアノード電圧Vddの揺れの影響を受けなくなる。したがって、駆動用トランジスタ31aのゲート端子の電圧保持が良好になる。EL表示装置の欠陥検査(またはその他の検査)時に、Vsd電圧を変化させる。Vsd電圧を変化させるとカソード電流またはアノード電流が変化し、電流の大きさ、電流の変化の割合、電流変化のスピードなどにより、画素の特性または欠陥を良好に検査できる。また、検査に電流の検出だけでなく、表示輝度の変化などによって行っても良い。以上の事項は、本実施形態の他の画素構成(Vsd電圧を印加される構成)にも適用される。
(25−2)変更例2
以上の図72(a)の構成は、図72(b)の画素にも適用される。
図72(b)においても、コンデンサ39の一端子の電圧は、アノード電圧Vddと異なるVsd電圧が印加されている。したがって、アノード電圧Vddの電圧変化の影響を受けない。
(25−3)変更例3
図71は、図72(a)または図3の変更例である。図71の実施形態では、駆動用トランジスタ31aとアノード信号線間にスイッチ用トランジスタ31eが形成または配置されている。スイッチ用トランジスタ31eは、ゲート信号線27cに印加されるオン/オフ電圧(VGH、VGL)でオン/オフ制御される。スイッチ用トランジスタ31eは、EL素子35に電流を供給されるときにオンされる。画素の欠陥検査時(検査時など)には、オンまたはオフ制御される。スイッチ用トランジスタ31eのオン/オフ制御により、良好に検査が行われる。
スイッチ用トランジスタ31eは、画素の駆動用トランジスタ31aの特性キャンセル時にオン/オフ制御される。また、EL表示装置を点灯(立ち上げ)時、消灯(たち下げ)時にオフ状態にされる。点灯、消灯時にスイッチ用トランジスタ31eをオフすることにより、不要な電流がEL素子35に流れることを防止できる。他の構成、動作は、図3及び図72などと同様である。
(25−4)変更例4
図73も、主として図3の変更例である。図3との差異は、スイッチ用トランジスタ31fの有無である。トランジスタ31fは、リセット電圧Vrstを駆動用トランジスタ31aのゲート端子に印加する機能を有する。リセット電圧Vrstは、駆動用トランジスタ31aをオフ状態(EL素子35に電流を流さない電圧)である。例えば、リセット電圧Vrstとは、アノード電圧Vdd−1(V)の電圧である。リセット電圧Vrstは、駆動用トランジスタ31aの特性またはバラツキに対応して変化させてもよい。また、リセット電圧は、駆動用トランジスタ31aのゲート端子のみに印加することに限定するものではなく、駆動用トランジスタ31aのソース端子またはドレイン端子に印加するようにしてもよい。
(25−5)変更例5
以上の実施形態では、リセット電圧Vrstは、駆動用トランジスタ31aが電流を流さない電圧であるとした。しかし、本実施形態は、これに限定するものではない。リセット電圧Vrstは、駆動用トランジスタ31aに初期状態にする電圧であってもよい。例えば、Vrst電圧としてVdd−5(V)の電圧を印加し、駆動用トランジスタ31aがEL素子35に電流を流すように設定するものであってもよい。すなわち、リセット電圧Vrstは、駆動用トランジスタ31aに初期状態(イニシャル状態)または、一定の動作状態にするものであればよい。駆動用トランジスタ31aを初期状態にすることにより、映像信号の印加がリセット電圧Vrstを基準に印加され、映像信号の良好な書込みを画素26に対して行えるからである。
図73において、ゲート端子27a1にオン電圧が印加されると、スイッチ用トランジスタ31cがオンし、ソース信号線28に印加された映像信号が、画素26aの駆動用トランジスタ31aに印加される。同時に、画素26bのスイッチ用トランジスタ31fがオンし、リセット電圧Vrstが画素26bの駆動用トランジスタに印加される。ゲート端子27a2にオン電圧が印加されると、画素26bのスイッチ用トランジスタ31cがオンし、ソース信号線28に印加された映像信号が、画素26bの駆動用トランジスタ31aに印加される。同時に、画素26bの次の画素行の画素26のスイッチ用トランジスタ31fがオンし、リセット電圧Vrstが画素26の駆動用トランジスタに印加される。
以上のように、ゲート信号線27aが順次オンしていくにしたがって、該当する画素行にリセット電圧Vrstが印加されてイニシャル状態になり、次の1水平走査期間後に、前記インシャル状態になった画素行に映像信号が印加される。したがって、各画素行は、まず、インシャル状態にされた後、映像信号が印加される。そのため、画素26に良好に映像信号を書き込むことができる。
(25−6)変更例6
なお、以上の実施形態では、画素26aに映像信号が印加されるタイミング及び時間と、画素26bの駆動用トランジスタ31aにリセット電圧Vrstが印加されるタイミング及び時間は、同一としたが、これに限定するものではない。例えば、ゲート信号線27aの途中に遅延回路731を形成し、スイッチ用トランジスタ31fとスイッチ用トランジスタ31cのオン/オフタイミングを異ならせても良い。
リセット電圧Vrstは、本実施形態で説明する電源回路12で発生させるか、または、アレイにスイッチング素子を形成し、このスイッチング素子でチャージポンプ回路を構成して発生させる。以上のリセット電圧Vrstに関する事項は本実施形態の他の実施形態にも適用される。したがって、図73で説明した事項は、本実施形態の他の実施形態にも適用することができ、また、組み合わせることができる。
(25−7)変更例7
図74の構成も用いることができる。図74において、画素26は、3つのコンデンサ39a、19b、19cと5つのスイッチ用トランジスタ(31b、31c、31d、31e、31f)と1つの駆動用トランジスタ31aで構成される。トランジスタ31bは、トランジスタ31aをダイオード連結(Diode-connected)させて、しきい値電圧を補償するためのしきい値電圧補償トランジスタである。トランジスタ31fは、コンデンサ39aを初期化させるためリセット電圧Vrstを印加するための初期化トランジスタである。そして、トランジスタ31dは、EL素子35の発光を制御するためのトランジスタである。
なお、スイッチ用トランジスタ31b、31fはオフリークと小さくする必要があるため、ディアルゲート以上の複数ゲート構成にする。
スイッチ用トランジスタ31cは、ゲート信号線27aにゲート電極が連結され、ソース信号線28にソース電極が連結され、ゲートドライバ回路22aからの選択信号によりオン/オフ制御される。
駆動トランジスタ31aは、トランジスタ31cのドレイン電極にソース電極が連結される。しきい値電圧補償トランジスタ31bのソースまたはドレイン電極とコンデンサ39aの第1の端子が共通連結され、駆動用トランジスタ31aのゲート電圧が決定される。したがって、駆動用トランジスタ31aは、ゲート電極に印加された電圧に相当する駆動電流を生成する。
しきい値電圧補償トランジスタ31bは、前記駆動トランジスタ31aのゲート電極とソース電極との間に連結され、ゲート信号線に印加されるスキャン信号に応答して駆動用トランジスタ31aをダイオード連結させる。したがって、前記スキャン信号によって駆動用トランジスタ31aは、ダイオードのような状態になり、駆動用トランジスタ31aのゲート端子に電圧Vdata−Vth(V)が印加され、これは、前記駆動用トランジスタ31aのゲート電圧となる。
初期化トランジスタ31fは、リセット電圧ラインVrstとコンデンサ39aの第1の端子との間に連結され、ゲート電極に連結したn−1番目ゲート信号線27aのスキャン信号に応答して、先行フレームのとき前記コンデンサ39aに充填された電荷は前記リセット電圧ラインVrstを介して放電させることによって、前記コンデンサ39aを初期化させる。
トランジスタ31eは、第1の電源電圧ラインVddと駆動用トランジスタ31aのソース電極との間に連結され、ゲート電極に連結したゲート信号線27bを介して伝達される発光制御信号によりオンとなり、第1の電源電圧Vddを前記駆動用トランジスタ31aのソース電極に印加する。
トランジスタ31dは、駆動用トランジスタ31aとEL素子35との間に連結され、ゲート電極に連結した前記ゲート信号線27bを介して伝達される発光制御信号に応答して前記駆動用トランジスタ31aで生成される前記駆動電流を前記EL素子35に伝達する。
コンデンサ39aは、第1の電源電圧ラインVddと駆動用トランジスタ31aのゲート電極との間に連結され、第1の電源電圧Vddと前記駆動用トランジスタ31aのゲート電極に印加される電圧Vdata−Vth(V)の電圧差に該当する電荷を1フレームの間に維持する。
前記補助コンデンサ39bは、第1の電極が現在ゲート信号線27a及びトランジスタ31bのゲート端子に共通連結され、第2の電極が前記コンデンサ39a及び駆動用トランジスタ31aのゲート端子に共通連結されている。
前記補助コンデンサ39bは、スキャン期間から発光期間に変化しながら、駆動トランジスタ31aのゲート電圧VGをブースト(boost)させる役目をする。コンデンサ39cは、映像信号をキャンセル期間の間、保持する機能を有する。
ゲート信号線に印加するオフ電圧をVGH、オン電圧をVGLとすると、ゲート信号線27aに印加する電圧を、VGLからVGHに変化させると、駆動用トランジスタ31aのゲート電圧は、前記コンデンサ39aと補助コンデンサ39bのカップリングによる補正電圧だけ上昇するようになる。
(26)その他の変更例
なお、電圧プログラム方式または電流プログラム方式の変更例として、サブフィールドの概念を持ち、駆動用トランジスタをオン/オフさせる回数または時間で階調を表現するパルス駆動方式(PWM駆動方式、サブフィールド駆動方式)がある。これらも電圧プログラム方式または電流プログラム方式である。
本実施形態は、図3、図67などの電流プログラム方式のEL表示装置と電圧プログラム方式のEL表示装置の両方に適用できるものである。また、パルス駆動方式(PWM駆動方式、サブフィールド駆動方式)のEL表示装置にも適用できるものである。すなわち、本実施形態に記載の画素構成及び一般的に知られている画素構成について適用できる。
以上のように、本実施形態は、電圧駆動方式の画素構成であっても、電流駆動の画素構成であっても適用することができる。
本実施形態の駆動方式は、有機EL表示パネルの駆動方法及び駆動回路などに限定されるものではない。例えば、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、無機ELディスプレイなどの他のディスプレイにも適用できる。
(27)適用例
次に、本実施形態の駆動方式を実施するEL表示装置を表示ディスプレイとして用いた本実施形態の表示機器について説明をする。
図76は情報端末装置の一例としての携帯電話の平面図である。筐体763にアンテナ761などが取り付けられている。762aは、duty比を変化させる切換キー、762bは電源オン/オフキー、762cがゲートドライバ回路22bの動作フレームレートを切り替えるキーである。765はホトセンサである。ホトセンサ765は、外光の強弱にしたがって、duty比などを変化させて、表示画面21の輝度を自動調整する。
図77はビデオカメラの斜視図である。ビデオカメラは撮影(撮像)レンズ部773とビデオカメラ本体763と具備している。本実施形態のEL表示装置は表示モニター764としても使用されている。表示画面21は支点771で角度を自由に調整できる。表示画面21を使用しない時は、格納部773に格納される。
図76、図77などの本実施形態の表示機器では、キー762aの操作により、duty比を切り替えることができる。キー762aの操作は、ユーザーが切り替えできるようにしておく。また、設定モードで自動的に変更できるかを切り替えられるようにしている。自動の場合は、外光の明るさを検出して自動的に、表示輝度を50%、60%、80%と設定できるように構成している。
本実施の形態のEL表示装置などはビデオカメラだけでなく、図78に示すような電子カメラにも適用することができる。本実施形態のEL表示装置はカメラ本体781に付属されたモニター22として用いる。カメラ本体781にはシャッタ783の他、スイッチ762a、762cが取り付けられている。