JP2009192038A - ロアインシュレータ - Google Patents

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Abstract

【課題】ロア側スプリング受部材上に降りかかる雨水等の排水を速やかに許容しつつ、冠水路の走行時等において車輪から飛び跳ねる泥水等がロア側スプリング受部材上に噴き出すのを防ぐことが出来る、新規な構造のロアインシュレータを提供すること。
【解決手段】中央部分に形成されてショックアブソーバ36のシリンダ38に外挿される装着孔20を、シリンダ38における装着部分の外径よりも大径とすると共に、装着孔20の内周縁部において装着孔20内に突出する弾性カバー片28を装着孔20の周方向で半周より大きく且つ一周より小さい周方向長さで形成し、弾性カバー片28の突出先端部がシリンダ38の外周面に当接せしめられるようにすると共に、弾性カバー片28の周方向両端部分を分離独立した独立片32とした。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動車のサスペンション機構を構成するショックアブソーバのシリンダに外挿されて、ショックアブソーバに外挿装着されるコイルスプリングとロア側スプリング受部材の間に介装されることでスプリング受座を構成するロアインシュレータに関するものである。
従来から、自動車のサスペンション機構では、シリンダ及びピストンロッドを含んで構成されるショックアブソーバが採用されており、ショックアブソーバのシリンダが車輪側のハブキャリア等に取り付けられる一方、ピストンロッドが車両ボデー側に取り付けられることによって自動車に装着されるようになっている。
また、このようなサスペンション機構の一種としては、ストラット方式や4リンク方式等のサスペンション機構が知られている。かかる方式では、ショックアブソーバに対してコイルスプリングが外挿状態で組み付けられて、アッパサポートや車両ボデーに取り付けられたアッパ側スプリング受部材と、シリンダの外周面上に突出形成されたロア側スプリング受部材の間にコイルスプリングが配設されて、コイルスプリングの付勢力がショックアブソーバを介して車両ボデーとサスペンションアームの間に及ぼされるようになっている。
さらに、このような構造のサスペンション機構においては、ロア側スプリング受部材の上面に重ね合わされるようにロアインシュレータが装着されており、ロアインシュレータの外周部分がロア側スプリング受部材におけるコイルスプリングの支持面上に配されてスプリング受座を構成するようになっている。
ところで、例えば特許文献1(特開平8−82335号公報)に記載されているように、ショックアブソーバに装着されるロア側スプリング受部材には水抜孔が形成されており、走行時に車輪によって跳ね上げられてロア側スプリング受部材上に入り込んだ泥水等が該水抜孔を通じて速やかに排出されるようになっている。
しかしながら、本発明者らの検討と実験によって、著しい冠水路を走行した場合等において、この水抜孔を通じて下方から泥水が逆流状に上方に噴き出してしまうおそれのあることが判った。そして、噴き出した泥水が、スプリング受座とコイルスプリングの間に挟まって異音を発生したり、ショックアブソーバの上方にまで噴き上がってショックアブソーバのピストンロッドに付着することでショックアブソーバのシール不良の原因になるおそれがあるという事実が明らかとなったのである。
特開平8−82335号公報
ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、ロア側スプリング受部材上に降りかかる雨水等の排水を速やかに許容しつつ、冠水路の走行時等において車輪から飛び跳ねる泥水等がロア側スプリング受部材上に噴き出すのを防ぐことが出来る、新規な構造のロアインシュレータを提供することにある。
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意な組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載されたもの、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
すなわち、本発明は、自動車サスペンション用のショックアブソーバのシリンダに外挿されて該シリンダの外周面に突出形成されたロア側スプリング受部材の上面に重ね合わされて装着されることにより、該ショックアブソーバに外挿装着されるコイルスプリングの下面と該ロア側スプリング受部材の間に介装されるスプリング受座を外周部分において構成するロアインシュレータであって、中央部分に形成されて前記ショックアブソーバの前記シリンダに外挿される装着孔を、該シリンダにおける装着部分の外径よりも大径とすると共に、該装着孔の内周縁部において該装着孔内に突出する弾性カバー片を該装着孔の周方向で半周より大きく且つ一周より小さい周方向長さで形成し、該弾性カバー片の突出先端部が該シリンダの外周面に当接せしめられるようにすると共に、該弾性カバー片の周方向両端部分を分離独立した独立片としたことを特徴とする。
このような本発明に従う構造のロアインシュレータでは、装着孔がシリンダにおけるロアインシュレータの装着部分の外径よりも大径とされていると共に、弾性カバー片が一周より小さい周方向長さで形成されていることにより、例えばロア側スプリング受部材に水抜孔が形成されている場合において、ロアインシュレータ上に入り込んだ雨水等が、装着孔とシリンダの間を通じて水抜孔に運ばれて、速やかに外部に排出されるようになっている。それ故、ロアインシュレータ上に水等が滞留することによる腐食等によって、ロアインシュレータの耐久性が低下するのを防ぐことが出来る。
さらに、装着孔の内周縁部に弾性カバー片が形成されており、弾性カバー片の突出先端部がシリンダの外周面に当接せしめられるようになっていることにより、冠水路の走行時等において車輪側である下方から水抜孔を通じて上方に噴き上げられた泥水が、ロアインシュレータ上に入り込むのを、弾性カバー片によって防ぐことが出来て、泥水がコイルスプリングとスプリング受座の間に入り込むことによる異音の発生を防ぐことが出来ると共に、ピストンロッドに泥水が付着することによってショックアブソーバのシール部分が腐食されて劣化乃至は破損するのを回避することが出来る。
また、装着孔が、シリンダにおけるロアインシュレータの装着部分の外径よりも大径とされている。それ故、ロアインシュレータのシリンダへの外挿装着を容易に実現することが出来て、ロアインシュレータの車両への組付作業を効率的に行うことが出来る。
しかも、装着孔の内周縁部に形成された弾性カバー片の周方向両端部分が、中央部分から分離独立した独立片とされていることにより、弾性カバー片が弾性変形し易くなっており、弾性カバー片の突出先端部がシリンダの外周面に当接せしめられるようになっている場合にもロアインシュレータをシリンダに対して容易に外挿装着することが出来る。特にシリンダの外径が部分的に大径となっている場合等にも、弾性カバー片を弾性変形せしめることで外挿装着が可能となっている。
また、装着孔の内周縁部において装着孔内に突出する弾性カバー片が形成されており、弾性カバー片の内周縁部がシリンダの外周面に当接せしめられるようになっていることにより、ロアインシュレータがシリンダに対して軸直角方向で高精度に位置決めされるようになっている。
また、本発明に従う構造とされたロアインシュレータにおいては、前記弾性カバー片の中央部分が、前記装着孔の軸直角方向に広がる面に対して傾斜せしめられていることが望ましい。
このように弾性カバー片の中央部分が装着孔の軸直角方向に広がる面に対して傾斜せしめられていることにより、例えば、水抜孔を通じて噴き上げる泥水の噴上方向に対する弾性カバー片の中央部分の交角を大きくして、泥水のロアインシュレータより上側への噴上げを効果的に防ぐことが可能となる。なお、弾性カバー片の中央部分を傾斜せしめる場合の傾斜方向及び傾斜角度は、ロア側スプリング受部材に形成される水抜孔の位置等に応じて設定されて、好適には、水抜孔を通じて噴き上げる泥水に対して交角が大きくなる方向に傾斜せしめられる。より好適には、泥水の噴上方向に対して直交するように傾斜方向と傾斜角度が設定される。
また、本発明に係るロアインシュレータにおいては、前記弾性カバー片の周方向両端部分である前記独立片が、該弾性カバー片の中央部分とは異なる傾斜角度をもって、前記装着孔の軸直角方向に広がる面に対して傾斜せしめられていても良い。
これによれば、独立片を装着孔の軸直角方向に広がる面に対して傾斜せしめることにより、例えば、水抜孔を通じて噴出する泥水の噴出方向に対する独立片の交角を大きくして、噴き上げる泥水を効果的に遮断することが可能となる。なお、独立片の傾斜方向及び傾斜角度は、弾性カバー片の中央部分を傾斜させる場合と同様に、ロア側スプリング受部材に形成される水抜孔の位置等に応じて設定される。好適には、水抜孔を通じて噴き上げる泥水に対して交角が大きくなる方向に傾斜せしめられており、より好適には、泥水の噴上方向に対して直交するように傾斜方向と傾斜角度が設定される。
特に、独立片を弾性カバー片の中央部分とは異なる傾斜角度で傾斜させることにより、弾性カバー片の中央部分と両端部分(独立片)をそれぞれより効果的な方向及び角度で傾斜させることが出来て、泥水の遮断効果を一層有利に発揮せしめることが可能となる。
また、本発明に係るロアインシュレータにおいては、前記弾性カバー片に対して前記装着孔の軸直角方向に対向する部分において、該装着孔の内周縁部から下方に向かって延び出す弾性封止片が一体形成されていても良い。
このような弾性封止片を有する構造を採用することによれば、ロアインシュレータの車両への装着下、弾性封止片がロア側スプリング受部材に対して押し付けられることにより、ロアインシュレータがロア側スプリング受部材の上方に弾性支持される。
しかも、例えば、ロア側スプリング受部材における水抜孔が、弾性カバー片に対して装着孔の軸直角方向に対向する部分に位置するように形成されている場合には、弾性封止片が、該水抜孔の開口部に対して、上方から押し付けられるようにして位置せしめられることにより、弾性封止片と水抜孔の開口部の間の隙間を通じて雨水等の排水を許容しつつ、下方から飛び跳ねた水が水抜孔を通じて上方に向かって逆流するのを防止することが出来る。
また、本発明に係るロアインシュレータにおいては、前記ロア側スプリング受部材の上方において前記ショックアブソーバに外挿装着されるダストカバーの下端部が、上面に当接されるようになっていても良い。
これによれば、ダストカバーとロアインシュレータの間を通じて水や埃等の異物がロアインシュレータの上方に侵入するのを防ぐことが出来て、異物がコイルスプリングとスプリング受座の間に入り込むことによる異音の発生や、水等による腐食を防止することが出来る。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
先ず、図1〜4には、本発明に従う構造とされたロアインシュレータの一実施形態であるロア側スプリングシートラバー10が示されている。このロア側スプリングシートラバー10は、径方向中央部分に略円環板形状の環状板部12を備えている。更に、環状板部12の外周縁部には、上方に向かって突出する凸部14が形成されている。更にまた、環状板部12の外周側には、スプリング受座16が一体形成されている。そして、このロア側スプリングシートラバー10は、凸部14を有する環状板部12とスプリング受座16を備えた天然ゴム(NR)等の適当なゴム材料からなるゴム弾性体の一体加硫成形品として形成されている。なお、以下の説明において、上下方向とは、原則として図4の上下方向を言う。また、左右方向とは、原則として図2の左右方向を言う。
より詳細には、環状板部12は、略一定の厚さを有する板形状であって、その上面が軸直角方向に広がる平坦面とされており、環状板部12の上面によって当接面18が形成されている。また、環状板部12の軸直角方向の略中央部分には装着孔20が形成されている。この装着孔20は、後述するシリンダ38及びシリンダキャップ50よりも大径の円形孔であって、環状板部12を厚さ方向で貫通するように形成されている。なお、本実施形態では、環状板部12の中心と装着孔20の中心が車両左右方向となる図2中の左右方向でずれており、環状板部12の径方向での幅が、図2における右側に行くに従って次第に小さくなっている。
また、環状板部12の外周縁部に形成される凸部14は、装着孔20に対して径方向で所定距離を隔てて形成されており、周方向の略半周に亘って連続して略一定の突出高さで形成されている。また、凸部14の形成部分において、環状板部12の下面側には、下面側に開口して周方向に延びる溝が形成されており、凸部14の形成部分における厚肉化が防がれている。更に、本実施形態では、凸部14が周方向の両端側に行くに従って次第に径方向で狭幅となっていると共に、凸部14の内周側の側壁面が突出基端側に行くに従って内周側に向かって傾斜する傾斜面となっている。
さらに、環状板部12の外周側には、スプリング受座16が一体形成されている。スプリング受座16は、大径の略環状を呈するゴム弾性体で形成されており、その径方向中間部分には周溝22が形成されている。この周溝22は、上方に向かって開口する略一定の溝形状で全周に亘って連続して形成されており、その溝形状がコイルスプリング56を形成する線材の形状に応じて設定されている。また、スプリング受座16の外周縁部には、下方に向かって延び出す環状の突出部24が一体形成されている。なお、本実施形態では、スプリング受座16が周方向で傾斜せしめられており、周上の一部において段差部26が形成されている。この段差部26は、本実施形態では折れ線や折れ点を有することなく滑らかに接続されている。
ここにおいて、図1〜4に示されているように、ロア側スプリングシートラバー10の径方向中央部分に貫通形成された装着孔20には、弾性カバー片としてのカバー体28が突出せしめられている。カバー体28は、環状板部12の内周縁部、換言すれば、装着孔20の開口周縁部から径方向で内周側に突出するように形成されており、周方向で半周以上且つ一周未満の長さで延びている。また、本実施形態におけるカバー体28は、中央カバー片30と独立片としての一対の端部カバー片32,32を含んで構成されている。
中央カバー片30は、図1〜4に示されているように、環状板部12の内周縁部において周方向で略半周に亘って連続して延びるように形成されており、略一定の厚さを有する板形状をもって装着孔20の内周側に向かって所定の突出高さで突出せしめられている。また、本実施形態における中央カバー片30では、周方向の両端部分において周方向外側に行くに従って次第に径方向での突出量が小さくなって径方向で狭幅となっている。
また、中央カバー片30の周方向両側には、それぞれ端部カバー片32が形成されている。端部カバー片32は、薄肉の板形状を有するゴム弾性体であって、環状板部12と一体形成されて装着孔20の内周側に突出せしめられていると共に、中央カバー片30の周方向両側に所定の隙間を隔てて一対が独立形成されている。また、端部カバー片32は、中央カバー片30に比して短い周方向長さで形成されており、突出先端側である装着孔20の径方向内側に行くに従って次第に周方向での長さが大きくなっている。特に、端部カバー片32において中央カバー片30側の周方向端部は、中央カバー片30の周方向端部に対応する形状となっている。
また、中央カバー片30における周方向中央部分の突出先端部が、後述するシリンダ38の外周面に対応する形状に湾曲せしめられていると共に、端部カバー片32の突出先端部が、シリンダ38の外周面の形状に対応する湾曲形状とされており、後述するロア側スプリングシートラバー10のシリンダ38への外挿装着下、それら中央カバー片30と端部カバー片32で構成されるカバー体28の突出先端部が、シリンダ38の外周面に当接せしめられるようになっている。なお、本実施形態では、中央カバー片30と端部カバー片32の協働によって、カバー体28の突出先端部が、シリンダ38の外周面に対して半周以上の長さで当接せしめられるようになっている。
また、本実施形態では、中央カバー片30と端部カバー片32,32が、何れも装着孔20の軸直角方向に広がる平面に対して傾斜して広がっている。より詳細には、中央カバー片30と端部カバー片32が何れも周方向で傾斜せしめられており、中央カバー片30が周方向両側に行くに従って下傾するように傾斜していると共に、端部カバー片32が中央カバー片30に対して周方向で離隔するに従って次第に下傾するように傾斜している。
なお、本実施形態では、端部カバー片32が周方向中間部分で屈曲乃至は湾曲せしめられており、該中間部分を挟んで中央カバー片30側の部分が装着孔20の軸直角方向で広がっていると共に、該中間部分を挟んで中央カバー片30と反対側の部分が装着孔20の軸直角方向で広がる平面に対して所定の傾斜角度で傾斜せしめられている。
さらに、中央カバー片30と端部カバー片32の傾斜角度や傾斜方向は、後述する泥水の噴出方向に応じて適当に設定されて、好適には該噴出方向とそれらカバー片30,32との為す角が大きくなるように傾斜せしめられており、より好適には該噴出方向に対して直交する方向でカバー片30,32が広がるように傾斜せしめられている。また、本実施形態では、端部カバー片32の傾斜角度が、中央カバー片30の傾斜角度よりも大きく設定されている。
また、図3,図4に示されているように、装着孔20の径方向で中央カバー片30と対向する位置には、弾性封止片としての封止ゴム片34が形成されている。封止ゴム片34は、装着孔20の開口周縁部において下方に向かって延び出す板形状を有しており、環状板部12と一体形成されている。また、本実施形態における封止ゴム片34は、図4に示されているように、突出先端部分が下方に行くに従って次第に薄肉となっており、封止ゴム片34の内周側の面が装着孔20の軸方向に対して平行に広がっていると共に、封止ゴム片34の外周側の面が突出先端側に行くに従って次第に装着孔20側に傾斜して広がっている。なお、本実施形態では、スプリングシートラバー10の成形用金型が、上下の金型を組み合わせて構成された上下割りの金型構造となっており、封止ゴム片34が下方に向かって突出する形態とされていることによって、スプリングシートラバー10の加硫成形後に封止ゴム片34を金型から取り外し易くなっている。特に封止ゴム片34の突出先端部分が先端側に行くに従って薄肉となっていることにより、封止ゴム片34の先端部分をより容易に金型から取り外すことが出来る。
このような構造とされたロア側スプリングシートラバー10は、図5に示されているように、自動車のサスペンション機構に組み付けられる。即ち、ロア側スプリングシートラバー10は、自動車のサスペンション用のショックアブソーバ36を構成するシリンダ38に対して外挿されると共に、シリンダ38の外周側に広がるように形成されるロア側スプリング受金具54に対して上方から重ね合わされることにより、サスペンション機構に装着されるようになっている。以下に、本実施形態に従う構造のロア側スプリングシートラバー10を備えたサスペンション機構について説明するが、該サスペンション機構は、従来から周知の構造であることから、ここでは概略的な説明に留めるものとする。
すなわち、図5において、ショックアブソーバ36は、従来から公知の緩衝器であって、シリンダ38に対してピストン(図示せず)が滑動可能に組み付けられており、ピストンに突設されたピストンロッド40がシリンダ38の軸方向上方から外方に向かって突出せしめられている。かかるショックアブソーバ36は、シリンダ38の下端部に固設された取付金具42がハブキャリア44に取り付けられる一方、ピストンロッド40の上端部がアッパサポート46を介して車両ボデー48に取り付けられることにより、自動車に装着されるようになっている。また、ショックアブソーバ36を構成するシリンダ38に対してロア側スプリングシートラバー10が外挿装着されている。なお、図5における上下方向は、自動車への組付状態下、サスペンション形式によって鉛直方向に対して適当な角度だけ傾斜せしめられる。
そして、そのような装着状態下、ショックアブソーバ36は、自動車の走行時における路面凹凸等に起因したサスペンション機構の作動に伴ってピストンロッド40がシリンダ38に対して伸縮作動せしめられてシリンダ38内に収容されたオイルの流動抵抗等に基づいてサスペンション機構に対して減衰効果を発揮するようになっている。なお、シリンダ38の上端部には、シリンダ38よりも大径の逆向き有底円筒形状を呈するシリンダキャップ50が嵌め付けられている。
また、ピストンロッド40の上端部近くには、略円環板形状のアッパ側スプリング受金具52が取り付けられている一方、シリンダ38の軸方向中間部分にはロア側スプリング受部材としてのロア側スプリング受金具54が取り付けられている。これらアッパ側スプリング受金具52とロア側スプリング受金具54は、ショックアブソーバ36の長手方向で所定距離を隔てて対向位置せしめられており、ショックアブソーバ36の伸縮作動に際して両スプリング受金具52,54の対向面間の距離が変化せしめられるようになっている。
さらに、ショックアブソーバ36には、大径のコイルスプリング56が外挿されており、このコイルスプリング56の上端部が、アッパ側スプリング受金具52の下面に当接支持せしめられている一方、コイルスプリング56の下端部がロア側スプリング受金具54の上面に当接支持せしめられている。これにより、ショックアブソーバ36が収縮せしめられた際に、コイルスプリング56の伸長方向の付勢力が、ショックアブソーバ36に対して伸長方向に作用せしめられるようになっている。
ここにおいて、アッパ側及びロア側のスプリング受金具52,54は、ショックアブソーバ36の軸直角方向に対して所定角度だけ傾斜せしめられており、ショックアブソーバ36の中心軸に対して所定角度だけ傾斜した方向で両スプリング受金具52,54が対向位置せしめられている。これにより、ショックアブソーバ36が収縮作動せしめられた際、コイルスプリング56の付勢力がショックアブソーバ36に対して伸長方向の作用力と曲げモーメントを及ぼすようになっている。そして、公知の如く、このコイルスプリング56による曲げモーメントの作用に基づいて、車輪を通じてショックアブソーバ36に及ぼされる外力作用点がショックアブソーバ36の中心軸から外れていることや、アッパサポート46のばね作用等に起因してショックアブソーバ36に生ぜしめられる曲げモーメントを相殺的に軽減して、ショックアブソーバ36の耐久性や作動の向上が図られるようになっている。
なお、アッパ側スプリング受金具52は、ピストンロッド40の上端部に装着されたアッパサポート46のハウジング金具58に対して、ベアリング60を介して取り付けられており、ショックアブソーバ36のシリンダ38が取り付けられるハブキャリア44の車輪操舵に伴う回動が許容されるようになっている。尤も、アッパサポート46を含み、ベアリング60を介してのアッパ側スプリング受金具52の取付構造は、従来から、自動車における前輪のサスペンション機構において周知であるから、ここでは詳細な説明を割愛する。
また、ロア側スプリング受金具54は、鉄鋼等で形成された高剛性の部材であって、図5,6に示されているように、全体として略円環板形状を有していると共に、中央部分が内周側に行くに従って下傾するテーパ形状のテーパ状部62とされている。更に、ロア側スプリング受金具54においてテーパ状部62より外周側には略軸直角方向に広がる円環板形状とされた環状支持板部64が一体形成されていると共に、それらテーパ状部62と環状支持板部64の間には、上方に向かって凸となる環状凸部66が全周に亘って形成されている。更にまた、環状支持板部64の外周縁部には、周上の複数箇所において上方に突出する爪状部68が一体形成されている。なお、図6においては、ロア側スプリング受金具54の湾曲面を表すために等高線等が表示されている。
また、ロア側スプリング受金具54の径方向中央部分には、円形の嵌着孔70が軸方向に貫通するように形成されている。更に、ロア側スプリング受金具54の径方向中央部分における嵌着孔70の外周縁部には、水抜孔72が形成されている。この水抜孔72は、図6にも示されているように、嵌着孔70と一体構造とされて、嵌着孔70の周上の複数箇所(本実施形態では三箇所)において外周側に広がるように形成された孔であり、ロア側スプリング受金具54を上下方向に貫通している。
このような構造とされたロア側スプリング受金具54は、嵌着孔70にシリンダ38が挿通せしめられて、所定の位置に溶接等の手段によって固定されることで、シリンダ38の軸方向中間部分に装着されている。
また、ショックアブソーバ36には、従来のサスペンション機構において周知であるバンプストッパ74が装着されている。バンプストッパ74は、ゴム弾性体などの弾性材料で形成されて厚肉円筒形状を有しており、ピストンロッド40の上端部に外挿されて装着されている。そして、ショックアブソーバ36が大きく収縮作動せしめられた場合には、かかるバンプストッパ74がアッパ側スプリング受金具52とシリンダ38の間で軸方向に挟圧されて弾性変形せしめられることにより、ショックアブソーバ36の収縮作動に非線形的なばね特性を与えて、ショックアブソーバ36の収縮量を緩衝的に制限するようになっている。
また、図5に示されているように、コイルスプリング56の上端部を受けるアッパ側スプリング受金具52には、コイルスプリング56が重ね合わされる下面に対して、アッパ側スプリングシートラバー76が装着されている。そして、コイルスプリング56の上端部がアッパ側スプリングシートラバー76を介してアッパ側スプリング受金具52に当接せしめられており、コイルスプリング56のアッパ側スプリング受金具52に対する直接的な当接が回避されている。
より詳細には、アッパ側スプリングシートラバー76は、全体として幅狭の円環板形状を有しており、コイルスプリング56の上端部が重ね合わされるアッパ側スプリング受金具52の下面の外周部分を全周に亘って覆うように組み付けられている。また、アッパ側スプリングシートラバー76の内周縁部は、先細のテーパ筒形状をもって下方に延び出しており、その下端部分には、蛇腹構造の円筒形状をもって所定の長さで延びるダストカバー78が一体形成されている。なお、ダストカバー78の中心軸は、アッパ側スプリングシートラバー76の中心軸に対して所定量だけ相対的に傾斜しており、それによって、アッパ側スプリングシートラバー76がアッパ側スプリング受金具52の下面に重ね合わされて組み付けられた状態下で、ダストカバー78がショックアブソーバ36と略同一中心軸上で、シリンダ38の上端部及びピストンロッド40の外周側に所定距離を隔てて下方に向かって延びるようにされている。
これにより、ダストカバー78は、シリンダ38の上端部とそこから延び出したピストンロッド40の全長を覆うようにして、ショックアブソーバ36に組み付けられている。なお、ダストカバー78の蛇腹構造は、ショックアブソーバ36の中心軸に対して直交する平面上に延びる多数条の山部と谷部がショックアブソーバ36の中心軸方向に適当なピッチで交互に形成されたものである。また、ダストカバー78の下端部分は、所定長さに亘って蛇腹構造が採用されていない円筒状部とされており、その下端縁部80は、ショックアブソーバ36の中心軸に対して直交する平面上に延びている。特に本実施形態では、かかる下端縁部80が、外周側に厚肉とされて強度が向上された環状リブ形状とされている。このダストカバー78の下端縁部80は、後述するように、ロア側スプリングシートラバー10の当接面18に対して上方から当接せしめられるようになっている。
ここにおいて、コイルスプリング56の下端部を受けるロア側スプリング受金具54には、コイルスプリング56が重ね合わされる上面に対して、本発明に従う構造のロア側スプリングシートラバー10が装着されている。即ち、ロア側スプリング受金具54において軸直角方向に広がる外周部分に対してロア側スプリングシートラバー10の外周縁部に形成されたスプリング受座16が重ね合わされて支持されると共に、テーパ形状とされたロア側スプリング受金具54の中央部分の開口部を覆うようにロア側スプリングシートラバー10の環状板部12が重ね合わされている。
また、ロア側スプリング受金具54の中央部分がテーパ形状のテーパ状部62となっていると共に、ロア側スプリングシートラバー10の中央部分が平板形状の環状板部12となっていることにより、ロア側スプリング受金具54の中央部分とロア側スプリングシートラバー10の中央部分は、内周側に行くに従って次第に大きく離隔するようになっている。そして、環状板部12とロア側スプリング受金具54の間には所定のスペースが形成された状態で、環状板部12がシリンダ38の軸方向の所定位置に位置せしめられて、ダストカバー78の下端縁部80と当接面18との当接が実現されるようになっている。これにより、ロア側スプリングシートラバー10とロア側スプリング受金具54を略全面に亘って当接状態とする場合に比して、ロア側スプリングシートラバー10の肉厚を薄くすることが出来て、軽量化や低コスト化が実現されるようになっている。
また、ロア側スプリングシートラバー10がロア側スプリング受金具54に重ね合わされた状態において、コイルスプリング56の下端部がロア側スプリングシートラバー10の外周部分に形成されたスプリング受座16の周溝22に嵌め付けられて支持されるようになっている。これにより、コイルスプリング56の下端部がロア側スプリングシートラバー10を介してロア側スプリング受金具54に当接せしめられており、コイルスプリング56のロア側スプリング受金具54に対する直接的な当接が回避されている。
かかるロア側スプリングシートラバー10のロア側スプリング受金具54に対する装着状態下、ロア側スプリングシートラバー10のカバー体28は、ロア側スプリング受金具54に形成された水抜孔72の二つに対して周方向で位置合わせされており、それら二つの水抜孔72,72の上方を覆うようにカバー体28が位置せしめられている。
なお、カバー体28を構成する中央カバー片30と端部カバー片32は、何れも軸直角方向に広がる平面に対して傾斜せしめられて、ルーバーの如き態様で相互に重ね合わされている。これにより、中央カバー片30と端部カバー片32が軸方向の投影において相互に重なることなく周方向で離隔せしめられていると共に、軸方向に対して所定角度だけ傾斜した方向(即ち、後述する泥水の噴出方向)の投影において相互に重なり合うようになっている。
さらに、ロア側スプリングシートラバー10の封止ゴム片34がロア側スプリング受金具54に形成された他の一つの水抜孔72に対して周方向で位置合わせされており、封止ゴム片34が該水抜孔72の外周側においてロア側スプリング受金具54に押し付けられている。そして、図5に示されているように、ロア側スプリングシートラバー10のロア側スプリング受金具54への装着状態下において、封止ゴム片34の突出先端部分(下端部)が、ロア側スプリング受金具54への当接によって弾性変形せしめられており、水抜孔72を略全体に亘って覆うように内周側に向かって湾曲せしめられている。
また、ロア側スプリングシートラバー10のロア側スプリング受金具54への装着下において、ロア側スプリングシートラバー10は、図5,7,8に示されているように、ショックアブソーバ36のシリンダ38に対して外挿装着されている。換言すれば、ロア側スプリングシートラバー10の装着孔20に対してシリンダ38が挿通された状態で装着されている。なお、図7,8では、装着状態を分かり易く示すために、ロア側スプリングシートラバー10が外挿装着されるシリンダ38を円柱によってモデル的に図示している。
本実施形態では、シリンダ38に外挿されるロア側スプリングシートラバー10の装着孔20が、シリンダ38におけるロア側スプリングシートラバー10の装着部分の外径よりも大径とされていると共に、装着孔20の内周縁部に形成されてシリンダ38の外周面に当接せしめられるカバー体28が、周方向に一周弱の長さとされており、環状板部12よりも変形を容易に許容されるようになっている。これにより、ロア側スプリングシートラバー10が、カバー体28の弾性変形によってシリンダ38に対して容易に外挿装着されるようになっていると共に、カバー体28のシリンダ38外周面への当接によって、ロア側スプリングシートラバー10がシリンダ38に対して軸直角方向で位置決めされるようになっている。特に、カバー体28が半周以上の周方向長さで形成されていることにより、ロア側スプリングシートラバー10がシリンダ38に対して軸直角方向で高精度に位置決めされるようになっている。なお、本実施形態では、シリンダ38の上端部にシリンダ38の外径よりも大径のシリンダキャップ50が装着されているが、装着孔20がシリンダキャップ50の外径よりも大径となっていることにより、ロア側スプリングシートラバー10をシリンダ38の上方から外挿装着可能となっている。
そして、ロア側スプリングシートラバー10がショックアブソーバ36のシリンダ38に外挿装着されることにより、図7,8に示されているように、カバー体28の内周縁部がシリンダ38の外周面に対して密着状態で当接せしめられていると共に、内周側に向かって湾曲して延びる封止ゴム片34の突出先端部がシリンダ38の外周面に対して当接せしめられている。また、本実施形態では、環状板部12に形成された装着孔20がシリンダ38よりも大径とされており、カバー体28を構成する端部カバー片32と封止ゴム片34の周方向間において、環状板部12の内周縁部とシリンダ38の外周面の間には所定幅の隙間82が形成されている。
かくの如きロア側スプリングシートラバー10のサスペンション機構への装着下においては、車輪によってロア側スプリングシートラバー10の上側に跳ね上げられた水が、端部カバー片32と封止ゴム片34の周方向間においてロア側スプリングシートラバー10とシリンダ38の間に形成された隙間82を通じて下方に逃げるようになっている。更に、ロア側スプリングシートラバー10から下方に流れ出した水は、ロア側スプリング受金具54に形成された水抜孔72を通じて速やかに外部に排出されるようになっている。これにより、ロア側スプリングシートラバー10上やロア側スプリング受金具54上に雨水等が溜まることによる腐食等の問題を防ぐことが出来る。
なお、本実施形態では、カバー体28が周方向で相互に分離独立せしめられた中央カバー片30と端部カバー片32で構成されており、それら中央カバー片30と端部カバー片32の間に形成された隙間からも、水が下方に排出されるようになっている。これにより、ロア側スプリングシートラバー10上の水をより効率的に排水することが出来る。また、封止ゴム片34が押し付けられるようになっている水抜孔72では、封止ゴム片34と水抜孔72の間の隙間を通じても外部への排水が実現されるようになっている。
さらに、本実施形態では、ダストカバー78の下端縁部80が、ロア側スプリングシートラバー10の上面である当接面18に対して全周に亘って当接せしめられるようになっている。これにより、水や埃等の異物がショックアブソーバ36に付着するのを防止出来るようになっている。なお、図5には、車両荷重の非作用状態が示されており、ダストカバー78の下端縁部80とロア側スプリングシートラバー10の当接面18が軸方向で離隔せしめられているが、車両への装着状態では、車両荷重が軸方向で作用せしめられることによって、ショックアブソーバ36が軸方向で収縮せしめられて、ダストカバー78の下端縁部80がロア側スプリングシートラバー10の当接面18に対して当接せしめられるようになっている。
また、冠水路の走行時等において、車輪側から泥水等が巻き上げられた場合には、ロア側スプリング受金具54に形成された水抜孔72を通じて該泥水が逆流して、特定の噴出方向で上方に向かって噴出されることが懸念される。そこにおいて、本実施形態に従う構造のロア側スプリングシートラバー10の装着下では、泥水の主たる吐出方向において各水抜孔72がカバー体28と封止ゴム片34によって覆われている。これにより、水抜孔72を通じて泥水がロア側スプリングシートラバー10の上方に噴き出すのを防いで、泥水がコイルスプリング56とスプリング受座16の間に入り込んで異音を生じたり、泥水がショックアブソーバ36のピストンロッド40等に付着することによる腐食等によって、シリンダ38のシール部等が劣化乃至は破損するのを防ぐことが出来る。
さらに、本実施形態に係るロア側スプリングシートラバー10では、カバー体28が周方向で相互に分離独立した中央カバー片30と端部カバー片32,32によって構成されており、それら中央カバー片30と端部カバー片32の両方がシリンダ38の外周面に対して当接せしめられるようになっている。これにより、車輪によって跳ね上げられた泥水をカバー体28によって遮断して効果的に防ぐことが出来ると共に、それら中央カバー片30と端部カバー片32の弾性変形を有利に許容することが出来て、ロア側スプリングシートラバー10のシリンダ38への外挿装着を容易に行うことが出来る。
しかも、ロア側スプリングシートラバー10においては、中央カバー片30と端部カバー片32がそれぞれ異なる角度で傾斜せしめられており、各カバー片30,32が車輪側から噴き上げる泥水の主たる吐出方向に対して直交するように、それらカバー片30,32の傾斜方向と傾斜角度が設定されている。それ故、水抜孔72を通じて上向きに噴き出す泥水が、カバー体28によって一層効果的に遮断されて、泥水がロア側スプリングシートラバー10の上方に入り込むことによる不具合が有利に回避される。
特に本実施形態では、端部カバー片32が周方向の中間部分において屈曲乃至は湾曲せしめられて、端部カバー片32の周方向外側(中央カバー片30と反対側)部分の傾斜角度が内側(中央カバー片30側)部分の傾斜角度とは異なっていると共に、ロア側スプリング受金具54に形成された水抜孔72を通じて上方に噴き上げられた泥水が端部カバー片32の周方向中間部分に打ち当てられるようになっている。これにより、泥水の遮断効果を一層有利に得ることが出来るようになっている。
以上、本発明の一実施形態について説明してきたが、これはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものではない。
すなわち、前記実施形態においては、カバー体28を構成する中央カバー片30と端部カバー片32が所定の隙間を有して完全に独立せしめられた構造となっているが、中央カバー片30と端部カバー片32は、例えば、それらの突出基端部分において周方向で相互に連結された一体構造となっていても良いし、また例えば、切込みによって隙間を有することなく相互に独立せしめられた構造を採用することも出来る。
また、中央カバー片30および端部カバー片32が傾斜せしめられる方向や角度は、車輪側からの泥水の噴出方向やサスペンション機構の構造等に応じて任意に設定されるものであって、必ずしも前記実施形態に示されているように泥水の噴出方向に対して直交する方向で広がるように傾斜せしめられていなくても良い。更に、中央カバー片30および端部カバー片32は、必ずしも装着孔20の軸直角方向に広がる平面に対して傾斜せしめられていなくても良く、例えば、該平面上で広がるように形成されていても良い。
さらに、中央カバー片30と端部カバー片32は、相互に同一の角度や方向で傾斜せしめられていても良いし、相互に異なる角度や方向で傾斜せしめられていても良い。なお、傾斜角度や傾斜方向を相互に異ならせることによって、泥水の主たる噴出方向に応じてそれら中央カバー片30と端部カバー片32が傾斜せしめられるようになっていることが望ましい。
更にまた、前記実施形態では、中央カバー片30と端部カバー片32の両方がシリンダ38の外周面に対して当接せしめられることにより、高精度な位置決め効果が発揮されるようになっているが、シリンダ38の外周面には、それら中央カバー片30と端部カバー片32の少なくとも一方が当接せしめられるようになっていれば良い。換言すれば、カバー体28の突出先端部分が、周上の少なくとも一部においてシリンダ38の外周面に当接せしめられるようになっていれば良い。
また、前記実施形態に示されたロア側スプリングシートラバー10には、カバー体28に対して独立した封止ゴム片34が形成されているが、例えば、ロア側スプリング受金具54に形成される水抜孔72が何れもカバー体28で覆われるようになっている場合等には、封止ゴム片34はなくても良い。
また、例えば、ロア側スプリングシートラバー10から下方に向かって突出する柱状や板状、筒状等の支持部を設けて、該支持部の突出先端部をロア側スプリング受金具54に対して当接せしめることで、ロア側スプリングシートラバー10がロア側スプリング受金具54によってより安定して支持されるようにしても良い。なお、ロア側スプリング受金具54に押し付けられる封止ゴム片34の形成位置を周方向に外れた位置に該支持部を形成することで、封止ゴム片34と支持部によってロア側スプリングシートラバー10がロア側スプリング受金具54に支持されて、一層安定した支持を実現することが出来る。
また、ロア側スプリング受金具54に形成される水抜孔72の形成位置や形成数、断面形状等の具体的な構造は、前記実施形態に示された構造によって何等限定的に解釈されるものではない。具体的には、例えば、周上の四箇所以上に形成されて、嵌着孔70とは独立した構造となっていても良い。
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
本発明の一実施形態としてのロア側スプリングシートラバーを示す斜視図。 同ロア側スプリングシートラバーの平面図。 同ロア側スプリングシートラバーの底面図。 図2のIV−IV断面図。 同ロア側スプリングシートラバーを備えたサスペンション機構の断面図であって、図2のV−V線断面に相当する図。 同サスペンション機構のロア側スプリング受金具を示す斜視図。 同ロア側スプリングシートラバーの装着状態を示す斜視図。 図5のVIII−VIII矢視図。
符号の説明
10:ロア側スプリングシートラバー,18:当接面,20:装着孔,28:カバー体,30:中央カバー片,32:端部カバー片,34:弾性封止片,36:ショックアブソーバ,38:シリンダ,54:ロア側スプリング受金具,56:コイルスプリング,72:水抜孔,78:ダストカバー,80:下端縁部

Claims (5)

  1. 自動車サスペンション用のショックアブソーバのシリンダに外挿されて該シリンダの外周面に突出形成されたロア側スプリング受部材の上面に重ね合わされて装着されることにより、該ショックアブソーバに外挿装着されるコイルスプリングの下面と該ロア側スプリング受部材の間に介装されるスプリング受座を外周部分において構成するロアインシュレータであって、
    中央部分に形成されて前記ショックアブソーバの前記シリンダに外挿される装着孔を、該シリンダにおける装着部分の外径よりも大径とすると共に、該装着孔の内周縁部において該装着孔内に突出する弾性カバー片を該装着孔の周方向で半周より大きく且つ一周より小さい周方向長さで形成し、該弾性カバー片の突出先端部が該シリンダの外周面に当接せしめられるようにすると共に、該弾性カバー片の周方向両端部分を分離独立した独立片としたことを特徴とするロアインシュレータ。
  2. 前記弾性カバー片の中央部分が、前記装着孔の軸直角方向に広がる面に対して傾斜せしめられている請求項1に記載のロアインシュレータ。
  3. 前記弾性カバー片の周方向両端部分である前記独立片が、該弾性カバー片の中央部分とは異なる傾斜角度をもって、前記装着孔の軸直角方向に広がる面に対して傾斜せしめられている請求項1又は2に記載のロアインシュレータ。
  4. 前記弾性カバー片に対して前記装着孔の軸直角方向に対向する部分において、該装着孔の内周縁部から下方に向かって延び出す弾性封止片が一体形成されている請求項1乃至3の何れか一項に記載のロアインシュレータ。
  5. 前記ロア側スプリング受部材の上方において前記ショックアブソーバに外挿装着されるダストカバーの下端部が、上面に当接されるようになっている請求項1乃至4の何れか一項に記載のロアインシュレータ。
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