JP2009191718A - 内燃機関の排気装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 アーム55に対する弁体52の支持構造を改良し、信頼性・安定性の向上を図る。
【解決手段】 各気筒から排出された排気がバイパス触媒コンバータが設けられたバイパス通路へ流れるように、各気筒に接続する上流側メイン通路を開閉する弁体52を備え、閉時に上流側メイン通路相互の連通を遮断する流路切換弁4を備える。この流路切換弁4は、回転軸53から径方向へ延びるアーム55の先端に、弁体52から起立する支持ピン22が支持されている。支持ピン22は、一般部23に対して部分的に小径化された首部24を有する略棒状をなしている。アーム55を、組付状態で首部を挟持する2つの分割体26,27により構成する。
【選択図】図6

Description

本発明は、触媒コンバータで排気浄化を行う内燃機関の排気装置に関し、特に、その流路切換弁の改良に関する。
従来から知られているように、車両の床下などの排気系の比較的下流側にメイン触媒コンバータを配置した構成では、内燃機関の冷間始動後、触媒コンバータの温度が上昇して活性化するまでの間、十分な排気浄化作用を期待することができない。また一方、触媒コンバータを排気系の上流側つまり内燃機関側に近付けるほど、触媒の熱劣化による耐久性低下が問題となる。
そのため、特許文献1に開示されているように、メイン触媒コンバータを備えたメイン流路の上流側部分と並列にバイパス流路を設けるとともに、このバイパス流路に、別のバイパス触媒コンバータを介装し、両者を切り換える切換弁によって、冷間始動直後は、バイパス流路側に排気を案内するようにした排気装置が、従来から提案されている。この構成では、バイパス触媒コンバータは排気系の中でメイン触媒コンバータよりも相対的に上流側に位置しており、相対的に早期に活性化するので、より早い段階から排気浄化を開始することができる。
特開平5−321644号公報
このような流路切換弁は、例えば図5の参考例に示すように、回転軸101から径方向に延びるアーム102の先端部に、弁体103から起立する棒状の支持ピン104が、アーム102の先端部を貫通させた状態でワッシャ105を備えたナット106を用いて固定・支持される。回転軸101はアーム102の筒状の軸支持部107に嵌合しており、この軸支持部107に穿設された溶接窓108の部分で、回転軸101とアーム102とが溶接により固定される。
しかしながら、流路切換弁は上記の固定部分を含めて高温・高圧な排気ガスに曝されるとともに、弁体の開閉時に支持ピンの軸方向に沿う方向、つまり弁体とアームとを引き離す方向に大きな荷重が繰り返し作用するために、上述した参考例のようなナットを用いて固定した場合や、あるいは溶接により弁体の支持ピンとアームとを固定したとしても、ナットの脱落や溶接はがれなどを招くおそれがり、弁体をアームに安定して支持・固定することが非常に困難であった。
本発明に係る内燃機関の排気装置は、各気筒にそれぞれ接続された気筒毎の上流側メイン通路と、複数の気筒の上流側メイン通路が合流してなる下流側メイン通路と、この下流側メイン通路もしくはこれよりも下流の流路に介装されたメイン触媒コンバータと、上記上流側メイン通路から分岐するとともにバイパス触媒コンバータが介装されたバイパス通路と、各気筒から排出された排気が上記バイパス通路へ流れるように、上記上流側メイン通路を開閉する弁体を備えるとともに、閉時に各上流側メイン通路相互の連通を遮断する流路切換弁と、を備えている。流路切換弁は、回転軸から径方向へ延びるアームの先端に、上記弁体から起立する支持ピンが支持されている。そして本発明では、支持ピンを、一般部に対して部分的に小径化された首部を有する略棒状のものとし、かつ、アームを、組付状態で首部を挟持する複数の分割体により構成している。
アームの分割体により弁体の支持ピンの首部を挟持することで、弁体をアームに支持させているために、上述したようなナットの脱落や溶接はがれなどを招くおそれがなく、特に、支持ピンの軸方向にナットや溶接などによる固定部分を設ける必要がないために、高温・高圧な排気ガスにより弁体の開閉方向となる支持ピンの軸方向に大きな荷重が繰り返し作用しても、弁体を安定してアームに支持させることができ、信頼性,耐久性を大幅に向上することができる。
以下、本発明を直列4気筒内燃機関の排気装置として適用した一例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1はこの排気装置の配管レイアウトを模式的に示した説明図であり、始めに、この図1に基づいて、排気装置全体の構成を説明する。
直列に配置された♯1気筒〜♯4気筒からなる各気筒1には、気筒毎に上流側メイン通路2が接続されている。4つの気筒の中で、排気行程が連続しない♯1気筒の上流側メイン通路2と♯4気筒の上流側メイン通路2とが1本の中間メイン通路3として合流しており、同様に排気行程が連続しない♯2気筒の上流側メイン通路2と♯3気筒の上流側メイン通路2とが1本の中間メイン通路3として合流している。ここで、各2本の上流側メイン通路2が合流する合流部には、それぞれ流路切換弁4が設けられている。この切換弁4は、冷間時に閉じられるものであって、閉時には、上流側メイン通路2と中間メイン通路3との間の上下の連通を遮断するとともに、2本の上流側メイン通路2の間を非連通状態とする構成となっている。特に、後述するように、この流路切換弁4は、その一対の弁体が弁開口部周縁の着座部に上流側から着座し、従って、排気流による上下圧力差を閉方向に受けるようになっている。なお、一対の流路切換弁4は、1つのバルブユニット5として構成されている。バルブユニット5の下流に位置する2本の中間メイン通路3は、合流点6において互いに合流し、1本の下流側メイン通路7となる。この下流側メイン通路7の途中には、第2の触媒コンバータとなるメイン触媒コンバータ8が介装されている。このメイン触媒コンバータ8における触媒としては、三元触媒とHCトラップ触媒とを含んでいる。なお、このメイン触媒コンバータ8は、車両の床下に配置される容量の大きなものである。以上の上流側メイン通路2と中間メイン通路3と下流側メイン通路7とメイン触媒コンバータ8とによって、通常の運転時に排気が通流するメイン流路が構成される。このメイン流路は、直列4気筒内燃機関において周知の「4−2−1」の形で集合する配管レイアウトとなっており、従って、排気動的効果を利用した充填効率向上が実現される。
一方、バイパス流路として、上流側メイン通路2の各々から、上流側バイパス通路11が分岐している。この上流側バイパス通路11は、上流側メイン通路2よりも通路断面積が十分に小さなものであって、その上流端となる分岐点12は、上流側メイン通路2のできるだけ上流側の位置に設定されている。そして、互いに隣接した位置にある♯1気筒の上流側バイパス通路11と♯2気筒の上流側バイパス通路11とが合流点13において1本の中間バイパス通路14として互いに合流しており、同様に互いに隣接した位置にある♯3気筒の上流側バイパス通路11と♯4気筒の上流側バイパス通路11とが合流点13において1本の中間バイパス通路14として互いに合流している。なお、各通路を模式的に示した図1では、各上流側バイパス通路11が比較的長く描かれているが、実際には、可能な限り短くなっている。換言すれば、最短距離でもって中間バイパス通路14として合流している。2本の中間バイパス通路14は、合流点15において1本の下流側バイパス通路16として互いに合流している。この下流側バイパス通路16の下流端は、下流側メイン通路7のメイン触媒コンバータ8より上流側の合流点17において、下流側メイン通路7に合流している。そして、上記下流側バイパス通路16の途中には、三元触媒を用いたバイパス触媒コンバータ18が介装されている。このバイパス触媒コンバータ18は、バイパス流路の中で、可能な限り上流側に配置されている。つまり、中間バイパス通路14もできるだけ短くなっている。
なお、上記の例では、バイパス流路全体の通路長(各気筒のバイパス通路の総和)を短くして、配管自体の熱容量ならびに外気に対する放熱面積を小さくするために、4本の上流側バイパス通路11を長く引き回さずに上流側で2本の中間バイパス通路14にまとめているが、このような構成は任意であり、例えば、バイパス触媒コンバータ18が気筒列の一方に偏って位置する場合などには、他方の端部気筒から直線状に延ばした上流側バイパス通路に残りの気筒の上流側バイパス通路を略直角に接続することにより、全体の通路長を短くすることができる。
上記バイパス触媒コンバータ18は、その内部に、前後に分割された2つのモノリス触媒担体つまり第1触媒18aと第2触媒18bとを備えている。そして、これらの第1触媒18aと第2触媒18bとの間の間隙19に、排気還流通路20の一端が接続されている。この排気還流通路20の他端は、図示せぬ排気還流制御弁を介して機関吸気系へと延びている。つまり、上記間隙19が、還流排気の取り出し口となっている。上記バイパス触媒コンバータ18は、メイン触媒コンバータ8に比べて容量が小さな小型のものであり、望ましくは、低温活性に優れた触媒が用いられる。特に、本発明では、通気抵抗がある程度大きくなるように、比較的圧力損失が大きな触媒担体が選択されている。
上記のように構成された排気装置においては、冷間始動後の機関温度ないしは排気温度が低い段階では、適宜なアクチュエータを介して流路切換弁4が閉じられ、メイン流路が遮断される。そのため、各気筒1から吐出された排気は、その全量が、分岐点12から上流側バイパス通路11および中間バイパス通路14を通してバイパス触媒コンバータ18へと流れる。バイパス触媒コンバータ18は、排気系の上流側つまり気筒1に近い位置にあり、かつ小型のものであるので、速やかに活性化し、早期に排気浄化が開始される。また、このとき、流路切換弁4が閉じることで、各気筒1の上流側メイン通路2が互いに非連通状態となる。そのため、ある気筒から吐出された排気が他の気筒の上流側メイン通路2へと回り込む現象が防止され、この回り込みに伴う排気温度の低下が確実に回避される。
一方、機関の暖機が進行して、機関温度ないしは排気温度が十分に高くなったら、流路切換弁4が開放される。これにより、各気筒1から吐出された排気は、主に、上流側メイン通路2から中間メイン通路3および下流側メイン通路7を通り、メイン触媒コンバータ8を通過する。このときバイパス流路側は特に遮断されていないが、バイパス流路側の方がメイン流路側よりも通路断面積が小さく、かつバイパス触媒コンバータ18が介在しているので、両者の通気抵抗の差により、排気流の大部分はメイン流路側を通り、バイパス流路側には殆ど流れない。従って、バイパス触媒コンバータ18の熱劣化は十分に抑制される。またバイパス流路側が完全に遮断されないことから、排気流量が大となる高速高負荷時には、排気流の一部がバイパス流路側を流れることで、背圧による充填効率低下を回避することができる。
またメイン流路側は、前述したように、排気干渉回避を考慮した「4−2−1」の配管レイアウトとなっているので、排気動的効果による充填効率向上効果を得ることができる。ここで、バイパス流路側は、排気干渉回避を特に考慮しない形で連通・集合しているが、上流側バイパス通路11の通路断面積を十分に小さなものとすることで、各気筒の連通による排気干渉を、実質的に無視し得るレベルにまで低減することが可能である。
次に、図2および図3を用いて流路切換弁4の概略構成を説明する。なお、図2〜図4では流路切換弁4の概略構成を模式的に図示しており、具体的な構造については図6等を用いて後述する。図2は、バルブユニット5全体の構成を示し、図3は、その一つの流路切換弁4の断面形状を示している。図示するように、各気筒毎に弁開口部51が設けられ、これを円盤状の弁体52が上流側から開閉している。すなわち、各気筒の上流側メイン通路2の端部において、該上流側メイン通路2を構成する管の全周に亘って着座部54が円環状に形成されており、その内周が弁開口部51となっている。上記着座部54の着座面54aは、弁体52の外周縁が接するテーパ面をなしている。上記弁体52は、回転軸53とともに揺動するアーム55の先端に取り付けられており、その外周縁は、上記着座面54aに対応したテーパ形状をなしている。なお、図3に示すように、上流側メイン通路2の側壁2Aに、開位置にあるときの弁体52を収容するための凹部56が形成されている。
回転軸53は、図2に示すように、2つの気筒に共通なものであり、1つの回転軸53に2つの弁体52が取り付けられている。従って、バルブユニット5全体としては、2本の回転軸53を備えている。この2本の回転軸53は、適宜なリンク機構等の図示しない連動機構を介して互いに連動しており、図示せぬ1つのアクチュエータでもって同時に対称的に開閉動作する。つまり、4つの弁体52が一斉に開閉する。
ここで、上記の弁体52は、メイン流路を閉塞する際に、テーパ状の着座面54aに対し、上流側から下流側へ向かって着座する。このように弁体52がメイン流路を閉塞すると、排気流によって弁体52の上下に圧力差が生じ、この上下圧力差によって弁体52は着座面54aにさらに押し付けられる。つまり、図4に示す説明図のように、バイパス流路側は通路断面積が小さく、かつバイパス触媒コンバータ18の圧力損失が加わるので、バイパス流路の通気抵抗は比較的大きなものとなり、この結果、弁体52下流側の圧力P2に比べて上流側の圧力P1が大きく上昇し、弁体52が閉方向に付勢されて着座面54aに圧接する。従って、テーパ面同士が密接することと相俟って、良好なシール性が得られる。また各気筒の排気脈動が上流側から弁体52に作用しても、該弁体52が開くことがない。特に、バイパス触媒コンバータ18によって下流側の圧力P2の脈動の振幅は弱まり、しかも、脈動の位相が異なる2つの気筒の弁体52が共通の回転軸53に連結されているので、上記の上下圧力差によって、脈動による開閉が確実に阻止される。そのため、冷間始動直後などに流路切換弁4が閉じているときに、メイン流路側での漏洩が防止され、排気の全量がバイパス流路側へ確実に案内される。これにより、バイパス触媒コンバータ18の早期昇温がより確実となる。
図6は、本発明の第1実施例に係る流路切換弁4を示しており、(A)が組立説明図、(B)が組立後の断面図である。同図に示すように、アーム55は、回転軸53とは別体であり、回転軸53が嵌合する円筒状の軸支持部21を有し、かつ、この軸支持部21から径方向へ板状に延びている。このアーム55の先端に、弁体52と一体的に形成された支持ピン22が支持されている。この支持ピン22は、弁体52の裏面中央部より弁体52の軸方向に沿って略垂直に起立しており、かつ、その軸方向中間部に、円柱状の一般部23に対して部分的に小径化された首部を有する略棒状をなしている。すなわち支持ピン22は、首部24が部分的にくびれた形状をなしており、かつ、一般部23から首部24へ向けて徐々に縮径する傾斜面を有するテーパ部25が設けられている。
アーム55は、組付状態で首部24を挟持する2つの第1分割体26と第2分割体27とにより構成されている。第1分割体26は、直線状の略板状をなしており、第2分割体27は、第1分割体26が嵌合するスリット28が形成された略U字状をなしている。第1分割体26の先端部と、これに対向する第2分割体27のスリット28の根本部とには、首部24を挟持する断面略円形のピン孔29の一部がそれぞれ半割形状に形成されている。このピン孔29は、支持ピン22の首部24やテーパ部25に対応して小径部30及び傾斜面部31が設けられており、組付状態で対応する支持ピン22の首部24やテーパ部25と同等もしくは僅かに大きな径で、かつ、支持ピン22の一般部23よりも小さな径となるように設定されている。組立時には、支持ピン22の首部24を介して第1分割体26を第2分割体27のスリット28に差し込むことにより、弁体52をアーム55に容易に組み付けることができる。
図7は、図6に示すアーム55と回転軸53との固定構造の第1の例を示しており、(B)が(A)のB−B線に沿う断面図である。アーム55と回転軸53とは、溶接による第1の固定手段と、固定リング33を用いた第2の固定手段と、により二重に固定されている。具体的には、回転軸53が嵌合するアーム55の円筒状の軸支持部21には、回転軸53に臨んだ略矩形状の溶接窓32が、第1分割体26から第2分割体27にわたって穿設されており、この溶接窓32の周縁部とアーム55の外周部とが溶接により固定されている。また、一対の固定リング33は、略C字状をなすCリングであり、径方向内側に突出する一対の径方向突起34が回転軸53の位置決め溝35に嵌合した状態で回転軸53の外周に組み付けられており、この回転軸53と一体的に回転する。また、固定リング33は、軸方向に突出する軸方向突起36がアーム55の側面に凹設された位置決め凹部37に嵌合した状態で、アーム55の両側面を挟持しており、この固定リング33によって、アーム55が回転軸53と一体的に回転するように固定されている。
図8は、図6に示すアーム55と回転軸53との固定構造の第2の例を示しており、(B),(C)はそれぞれ(A)のB−B線,C−C線に沿うアーム単体の断面図である。この例では、第1の固定手段として、図7での溶接での固定に代えて、より簡易的に、回転軸53の回転方向で互いに対向する対向面38が設けられるように、分割体26,27の形状を設定している。具体的には、第1分割体26と第2分割体27のスリット28とにおける軸支持部21寄りの端部に、部分的に幅広な幅広部39を設定している。これにより、幅広部39とその他の幅狭部40との段差面を、この回転軸53の回転方向に互いに対向する対向面38としている。このように対向面38で両分割体26,27が回転軸53の回転方向に互いに対向・当接することで、両分割体26,27の相対回転が規制され、両者26,27が一体的に回転するように構成されている。なお、第2の固定手段としての固定リング33による固定構造は図7の例と同様である。
図9は、本発明の第2実施例に係る流路切換弁4を示している。この第2実施例では、アーム55が回転軸の軸方向に2分割された2つの第1分割体41及び第2分割体42により構成され、両分割体41,42の合わせ面部43に、首部24を挟持する略円形断面のピン孔29の一部がそれぞれ半割形状に凹設されている。このピン孔29は、図6に示す第1実施例と同様、支持ピン22の首部24やテーパ部25に対応して小径部30や傾斜面部31が設けられており、組付状態で対応する支持ピン22の首部24やテーパ部25と同等もしくは僅かに大きな径で、かつ、支持ピン22の一般部23よりも小さな径となるように設定されている(図6参照)。
図10は、図9のアーム55と回転軸53の固定構造の一例を示している。この例では、溶接による第1の固定手段と、仮固定ピン44を用いた第2の固定手段と、によりアーム55と回転軸53とが二重に固定されている。具体的には、溶接による第1の固定手段では、上述した図7の例と同様、回転軸53が嵌合するアーム55の軸支持部21に、回転軸53に臨んだ溶接窓32が、第1分割体26から第2分割体27にわたって穿設されており、この溶接窓32の周縁とアーム55の外周とが溶接によって固定されている。
仮固定ピン44は、アーム55の外周から径方向外方へ溶接窓32を通して一体的に突出している。従って、仮に溶接はがれなどによって溶接による固定が外れたとしても、仮固定ピン44が溶接窓32の周縁部に当接・係合することで、アーム55が脱落することなく回転軸53に支持される。すなわち、仮固定ピン44の移動可能範囲は溶接窓32の周方向範囲32A内に規制されており、回転軸53とアーム55とが微少区間32Aだけ相対回転可能な状態で仮固定される。
図11を参照して、回転軸53は上流側メイン通路2の側壁2A近傍に配置されており、(A)に示すように溶接による固定が維持されている固定状態では、全開状態での弁体52が上流側メイン通路2の側壁2Aに沿う待避姿勢となり、排気の流れを阻害することのないように、上流側メイン通路2の側壁2Aの外側へ凹設された凹部56に収容される。一方、溶接による固定が外れ、仮固定ピン44による仮固定状態となると、図11(B)に示すように、仮固定ピン44が溶接窓32の周方向範囲内で相対回転可能、つまり回転方向に所定の遊びがある状態で、回転軸53から脱落することなく仮固定されることとなり、溶接による固定状態での待避姿勢に比して、回転軸53に対するアーム55の相対回転分、全開状態での弁体52の全開方向への回転角度が不足し、弁体52が凹部56から上流側メイン通路2側へ斜めに張り出した形となる。このために、排気ガスの流れが僅かに阻害されるために、溶接による固定状態に比して弁体上流側の背圧が上昇することとなる。なお、の弁体52の上流側メイン通路2側への張り出し量は僅かなものであり、排気ガスの流れが大きく阻害されて運転性に悪影響を及ぼすことのないように、設定さている。
従って、弁体52の上流側の背圧ΔPを検出または推定し、弁体52の全開状態における背圧ΔPに基づいて、仮固定ピン44(第2の固定手段)による仮固定状態であるかを判定することができる。具体的には、図12に示すように、背圧ΔPが溶接(第1の固定手段)による固定状態に対応する基準値よりも上昇している場合に、溶接はがれなどにより溶接の固定が外れ、仮固定ピン44(第2の固定手段)による仮固定状態であると判定することができる。仮固定状態であると判定された場合、警告灯や警告音により固定が外れたことを運転者に報知することで、点検・修理を促すことができる。上記の背圧ΔPは、例えば圧力センサを用いて直接的に検出しても良く、あるいはより簡易的に、排気温度などの機関運転状態から推定するようにしても良い。
図13及び図14は、固定手段の他の例を示している。図13の例では、第2の固定手段として、アーム55の軸支持部21の内周面21Aと、これに対向する回転軸53の外周面53Aと、が相似形の多角形状に形成されている。そして、軸支持部21の内周面21Aと回転軸53の外周面53Aとの間には、所定の間隙(遊び)45が確保されており、これによって、回転軸53とアーム55とが所定の微少区間だけ相対回転可能な状態で仮固定されている。図14の例では、アーム55が軸支持部のない板状に形成されており、このアーム55の回転軸側の端部を、回転軸53の径方向に貫通形成されたアーム用スリット46を貫通させ、符号47に示すように、その突出端部を溶接により回転軸53と固定している(第1の固定手段)。また、アーム用スリット46と、これを貫通する回転軸53との間には所定の間隙(遊び)48が確保されており、これによって、回転軸53とアーム55とが所定の微少区間だけ相対回転可能な状態で仮固定されている(第2の固定手段)。
図15〜図19は、それぞれ固定手段の更に他の例を示す平面図(A)及び正面図(B)である。図15〜18に示すように、分割体41,42が一体的に回転するように、合わせ面部43には、互いに嵌合する凹凸形状の段差部43Aが設定されている。なお、上述した図6〜図13に示すものにおいても、このような段差部43Aを合わせ面部に設けるようにしても良い。
図15の例では、第1の固定手段として、符号49に示すように回転軸53が挿通するアーム55の各分割体41,42の両側縁と回転軸53の外周とが溶接により固定され、かつ、第2の固定手段として、符号50に示すように、アーム55の分割体41,42の先端同士が溶接により固定されている。図16の例では、第1の固定手段として、上述した固定リング33が用いられている(図7,図8参照)。図17の例では、第1の固定手段として、上述した溶接窓32で溶接されている(図5等参照)。図18の例は、分割体41,42の固定力を高めるために、溶接窓32Bを分割体の合わせ面部43に沿って支持ピン22の近傍まで延長する縦長形状に設定している。図18の例では、図17の溶接窓32Bに加え、更に支持ピン22よりも先端側にも補助溶接窓32Cを合わせ面部43に沿って形成している。
以上のように本発明を具体的な実施例に基づいて説明してきたが、本発明は上記図示実施例に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で、種々の変形・変更を含むものである。例えば、直列4気筒内燃機関に適用した例を説明したが、本発明は、直列4気筒以外の直列多気筒内燃機関あるいはV型多気筒内燃機関等の種々の形式の内燃機関の排気装置として適用することが可能である。
以上の説明より把握し得る特徴的な技術思想について、以下に列記する。
(1)各気筒#1〜#4にそれぞれ接続された気筒毎の上流側メイン通路2と、複数の気筒の上流側メイン通路2が合流してなる下流側メイン通路7と、この下流側メイン通路7もしくはこれよりも下流の流路に介装されたメイン触媒コンバータ8と、上記上流側メイン通路2から分岐するとともにバイパス触媒コンバータ18が介装されたバイパス通路11,14,16と、各気筒から排出された排気が上記バイパス通路11,14,16へ流れるように、上記上流側メイン通路2を開閉する弁体52を備え、閉時に各上流側メイン通路2相互の連通を遮断する流路切換弁4と、を備える。
この排気装置においては、バイパス通路11,14,16の少なくとも上流側部分は、気筒数と同じ数の通路となっており、メイン流路つまり上流側メイン通路2の合流点13よりも上流側の位置において、該上流側メイン通路2からそれぞれ分岐する。従って、メイン流路の合流点13の位置に制約されずに、バイパス触媒コンバータ18をより上流側に配置することが可能となる。また、バイパス流路側へ分岐する点12が各気筒に近い位置となるので、冷間始動直後などに、メイン流路の熱容量による冷却作用を比較的受けずにバイパス流路側に排気が流入する。
すなわち、冷間始動直後などには、上記流路切換弁4が閉じ、上流側メイン通路2と下流側メイン通路7との間を遮断する。これにより、各気筒から吐出される排気は、バイパス触媒コンバータ18を備えたバイパス通路側を流れる。そして、同時に、流路切換弁4は、複数の上流側メイン通路2の弁開口部51を個々に閉塞するので、各気筒の上流側メイン通路2の相互の連通が遮断される。流路切換弁4を閉状態としたときに各上流側メイン通路2が互いに連通していると、各気筒で順次排気行程が到来することから、一つの気筒の上流側メイン通路2から他の気筒の上流側メイン通路2へと排気が回り込む現象が生じる。そのため、外部へ熱が逃げやすくなり、バイパス触媒コンバータ18の温度上昇が阻害される。流路切換弁4の閉時に各上流側メイン通路2が互いに非連通状態となるようにすることで、この回り込みの現象を回避できる。
図6〜図11等に示すように、流路切換弁4は、回転軸53から径方向へ延びるアーム55の先端に、弁体52から起立する支持ピン22が支持されている。この支持ピン22は、一般部23に対して部分的に小径化された首部24を有する略棒状をなし、アーム55は、組付状態で首部24を挟持する複数の分割体26,27(41,42)により構成されている。
このように、アーム55の分割体26,27(41,42)により首部24を挟持することで、弁体52をアーム55に支持させることができるために、上記参考例のように弁体とアームとをナットを用いて固定したり溶接による固定するものに比して、作業工数が少なく製造コストも大幅に低減できる。また、支持ピン22の一部である首部24よりも先端側の一般部23がナットとして機能することから、弁体52の開閉時などに支持ピン22の軸方向に沿って大きな荷重が繰り返し作用しても、上述した参考例のように別体のナットが外れたり、溶接はがれにより弁体が脱落するおそれがなく、弁体52をアーム55に安定して支持させることができ、信頼性,耐久性が著しく向上する。
(2)支持ピン22には、一般部23から首部24へ向けて徐々に縮径するテーパ部25が設けられている。また、支持ピン22が貫通するアーム55のピン孔29には、支持ピン22の首部24やテーパ部25に対応して小径部30及び傾斜面部31が設けられている。このようなテーパ部25を設けることで、角(エッジ)当たりによる応力集中が緩和されるとともに、アーム55に対する弁体52の若干の揺動動作、いわゆる首振り動作が許容される。このため、組付誤差や寸法ばらつきなどにかかわらず、弁体52を弁開口部51に良好に密接させることができ、シール性が向上する。
(3)例えば、図6に示す第1実施例などに示すように、アーム55が最小限の2つの分割体により構成された簡素な構造となっている。すななち、直線状の形状をなす第1分割体26と、この第1分割体26が嵌合するスリット28が形成された第2分割体27と、により構成されている。そして、第1分割体26の先端部と、これに対向するスリット28の根本部とに、上記首部24を挟持するピン孔29の一部がそれぞれ半割形状に形成されている。この構成によれば、首部24を挟んで第1分割体26を第2分割体27のスリット28に差し込むことで、弁体52をアーム55へと容易に組み付けることができ、かつ、第1分割体26が第2分割体27のスリット28に嵌合しているために、両者26,27が回転軸53の軸方向に移動することがなく、溶接や固定具を用いて両者26,27の軸方向移動を敢えて規制する必要がない。
(4)あるいは図9に示す第2実施例などに示すように、アーム55が回転軸53の軸方向に2分割された2つの分割体41,42により構成され、両分割体41,42の合わせ面部43に、首部24を挟持するピン孔29の一部がそれぞれ半割形状に凹設されている。この構成でも、アーム55を最小限の2部材により構成することができる。
(5)回転軸53に複数のアーム55が取り付けられることや、組付性,製造性の要求などにより、回転軸53とアーム55とは別体とされている。そして、回転軸53とアーム55とを固定する第1の固定手段と、この第1の固定手段とは別に、回転軸53とアーム55とを固定する第2の固定手段と、を有する二重の固定構造としている。このため、仮に第1の固定手段による固定が外れても、第2の固定手段により固定状態を維持することができ、信頼性に優れている。
(6)第1の固定手段による固定状態では、図11(A)に示すように、全開状態での弁体52が上流側メイン通路2の側壁2Aに沿う待避姿勢となるように、回転軸53が上流側メイン通路2の側壁2A近傍に配置されており、上記第2の固定手段は、上記第1の固定手段による固定が外れた場合に、上記回転軸53とアーム55とが微少区間だけ相対回転可能な状態で、上記回転軸53とアーム55とを仮固定するものである。この場合、何らかの理由で第1の固定手段による固定が外れ、第2の固定手段による仮固定状態となると、第1の固定手段による固定状態に比して、全開状態での弁体52が相対回転の分だけ上流側メイン通路2側へ張り出す形となり、図12(B)に示すように、弁体52の上流側の背圧ΔPが上昇することとなる。従って、弁体の上流側の背圧ΔPに基づいて、第2の固定手段による仮固定状態であるかを容易に判別することができる。仮固定状態である場合には、第1の固定手段による固定が外れたことを例えば警告灯や警告音により運転者に報知して、点検・修理を促すことができる。
(7)例えば図10に示すように、上記第1の固定手段は、回転軸53が嵌合するアーム55の軸支持部21に穿設された溶接窓32の周縁部と、この溶接窓32に臨んだ回転軸53の外周部と、を溶接により固定するものであり、上記第2の固定手段は、回転軸53の外周面から溶接窓32を通して径方向へ延びる仮固定ピン44を備えるものである。この構成によれば、第1の固定手段である溶接による固定が外れた場合、仮固定ピン44が溶接窓32の周方向範囲32Aで移動可能な範囲で、アーム55が回転軸53に仮固定される。このように、第1の固定手段で用いられる溶接窓32を利用して、仮固定ピン44を回転軸53に立設するという簡素な構成で上記第2の固定手段を実現することができる。
本発明に係る排気装置の一例を示す構成説明図。 バルブユニット全体の構成を示す平面図。 一つの気筒の流路切換弁を示す断面図。 弁体に加わる上下圧力差の説明図。 流路切換弁の参考例を示す平面図(A)及び断面図(B)。 本発明の第1実施例に係る流路切換弁の支持ピンの固定構造を示す組立説明図(A)及び断面図(B)。 図6の流路切換弁の回転軸とアームとの固定構造の一例を示す平面図(A)及び断面図(B)。 流路切換弁の回転軸とアームとの固定構造の他の例を示す平面図(A)及び断面図(B),(C)。 本発明の第2実施例に係る流路切換弁の支持ピンの固定構造を示す組立説明図。 図9の流路切換弁の回転軸とアームとの固定構造の一例を示す平面図(A)及び断面図(B)。 溶接による固定状態(A)及び仮固定ピンによる仮固定状態(B)での全開状態での待避姿勢を示す説明図。 固定状態・仮固定状態に応じた弁体上流の背圧の変化を示す特性図。 流路切換弁の回転軸とアームとの固定構造の他の例を示す平面図(A)及び断面図(B)。 流路切換弁の回転軸とアームとの固定構造の更に他の例を示す平面図(A)及び断面図(B)。 流路切換弁の回転軸とアームとの固定構造の更に他の例を示す平面図(A)及び正面図。 流路切換弁の回転軸とアームとの固定構造の更に他の例を示す平面図(A)及び正面図。 流路切換弁の回転軸とアームとの固定構造の更に他の例を示す平面図(A)及び正面図。 流路切換弁の回転軸とアームとの固定構造の更に他の例を示す平面図(A)及び正面図。 流路切換弁の回転軸とアームとの固定構造の更に他の例を示す平面図。
符号の説明
2…上流側メイン通路
3…中間メイン通路
4…流路切換弁
7…下流側メイン通路
8…メイン触媒コンバータ
11…上流側バイパス通路
14…中間バイパス通路
16…下流側バイパス通路
18…バイパス触媒コンバータ
21…軸支持部
22…支持ピン
23…一般部
24…首部
25…テーパ部
26…第1分割体
27…第2分割体
28…スリット
29…ピン孔
32…溶接窓(第1の固定手段)
33…固定リング(第2の固定手段)
41…第1分割体
42…第2分割体
43…合わせ面部
44…仮固定ピン
52…弁体
53…回転軸
55…アーム

Claims (7)

  1. 各気筒にそれぞれ接続された気筒毎の上流側メイン通路と、
    複数の気筒の上流側メイン通路が合流してなる下流側メイン通路と、
    この下流側メイン通路もしくはこれよりも下流の流路に介装されたメイン触媒コンバータと、
    上記上流側メイン通路から分岐するとともにバイパス触媒コンバータが介装されたバイパス通路と、
    各気筒から排出された排気が上記バイパス通路へ流れるように、上記上流側メイン通路を開閉する弁体を備え、閉時に各上流側メイン通路相互の連通を遮断する流路切換弁と、を備え、
    上記流路切換弁は、回転軸から径方向へ延びるアームの先端に、上記弁体から起立する支持ピンが支持されており、
    この支持ピンは、一般部に対して部分的に小径化された首部を有する略棒状をなし、
    上記アームは、組付状態で首部を挟持する複数の分割体により構成されていることを特徴とする内燃機関の排気装置。
  2. 上記支持ピンには、上記一般部から首部へ向けて徐々に縮径するテーパ部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の排気装置。
  3. 上記アームは、直線状の形状をなす第1分割体と、この第1分割体が嵌合するスリットが形成された第2分割体と、により構成され、上記第1分割体の先端部と、これに対向するスリットの根本部とに、上記首部を挟持するピン孔の一部がそれぞれ半割形状に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の排気装置。
  4. 上記アームは、上記回転軸の軸方向に2分割された2つの分割体により構成され、両分割体の合わせ面部に、上記首部を挟持するピン孔の一部がそれぞれ半割形状に凹設されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の排気装置。
  5. 上記回転軸とアームとが別体であり、
    上記回転軸とアームとを固定する第1の固定手段と、
    この第1の固定手段とは別に、上記回転軸とアームとを固定する第2の固定手段と、
    を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の内燃機関の排気装置。
  6. 上記第1の固定手段による固定状態では、全開状態での弁体が上流側メイン通路の側壁に沿う待避姿勢となるように、上記回転軸が上記上流側メイン通路の側壁近傍に配置されており、
    上記第2の固定手段は、上記第1の固定手段による固定が外れた場合に、上記回転軸とアームとが微少区間だけ相対回転可能な状態で、上記回転軸とアームとを仮固定するものであることを特徴とする請求項5に記載の内燃機関の排気装置。
  7. 上記第1の固定手段は、上記回転軸が嵌合するアームの軸支持部に穿設された溶接窓の周縁部と、この溶接窓に臨んだ回転軸の外周部と、を溶接により固定するものであり、
    上記第2の固定手段は、上記回転軸の外周面から上記溶接窓を通して径方向へ延びる仮固定ピンを備えるものであることを特徴とする請求項6に記載の内燃機関の排気装置。
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