JP2009190149A - 繊維強化プラスチック製リンク構造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】軽量かつ高剛性な繊維強化プラスチックに適した形状を有するリンク構造体を提供すること
【解決手段】腕部の少なくとも一端に関節部を有する繊維強化プラスチックから構成されるリンク構造体において、腕部は関節部に設けられた回転中心軸に平行な平面と対向する面Aおよび回転中心軸に垂直な平面と対向する面Bを有してなり、関節部は回転中心軸に垂直な平面と対向する面Cおよび面Cと角度をもって立ち上がるフランジ面Dを有してなり、少なくとも面Aと面Dとを、または、面Bと面Cとが1つの稜線で接続していること。
【選択図】図1

Description

本発明は、FRP(繊維強化プラスチック)から構成されるリンク構造体に関し、とくに、軽量かつ高剛性であり、ロボット等に好適に用いられるリンク構造体に関する。
ロボットは、動作性や制振性の向上、また駆動源の小型化等の観点から、基本となる構造部分においても軽量かつ高剛性であることが求められている。
従来、産業用ロボットの構造部分となる腕部には、鉄やアルミ等の金属製のパイプ構造が用いられていた。しかし軽量化等の理由から、近年FRP製のパイプ構造が使用されてきている(特許文献1)。一方、サービスロボットの場合、構造部分には、構造体内部にモーター、アクチュエーター等を内蔵する必要があること、またそれらの部品のメンテナンスが可能であることが求められるため、金属製のパイプ構造ではなく、金属製のフレーム構造が採用されていることが一般的である。現状では、サービスロボットに用いられている構造部分の大半が金属製であり、軽量化のためには、素材にアルミ合金やマグネシウム合金等の軽合金を採用し、肉抜きをして、剛性をあげるためのリブを設ける方法などによって形状の最適化が行われている。さらに、産業用ロボットの場合はロボット自体が床に固定されているため、固定電源から容易にエネルギーを供給できるのに対して、サービスロボットの場合は、自らエネルギーをもって移動する必要があるため、より軽量化の要求が強い。
そこで、さらなる軽量化のため、サービスロボットの構造部分にFRPを適用することが考えられるが、金属製の構造部分と同様の形状では、成形の難しさや、繊維が不連続となる部分が多くなってしまうことから、FRPの性能を十分に引き出すことができない。サービスロボットの構造部分にFRPを採用している例(特許文献2)もあるが、金属とFRPのハイブリッド積層構造を採用しており、重量が重く、また構造が複雑であり、FRPの性能を十分に発揮できていない。
特開2006−55936号公報 特開平10−202561号公報
そこで、本発明の課題は、軽量かつ高剛性であり、FRPに適した形状を有するリンク構造体を提供することにある。
上記課題を解決するための本発明は、以下の構成からなる。すなわち、
(1)腕部の少なくとも一端に関節部を有する繊維強化プラスチックから構成されるリンク構造体において、腕部は関節部に設けられた回転中心軸に平行な平面と対向する面Aおよび前記回転中心軸に垂直な平面と対向する面Bを有してなり、関節部は前記回転中心軸に垂直な平面と対向する面Cおよび前記面Cと角度をもって立ち上がるフランジ面D有してなり、少なくとも前記面Aと前記面Dとが、または、前記面Bと前記面Cとが1つの稜線で接続されているリンク構造体。
(2)前記腕部の両端に、前記関節部が設けられている、前記リンク構造体。
(3)前記腕部の一端に、前記関節部が2箇所以上設けられている、前記リンク構造体。
(4)前記面Dが部分的に前記面Aと接続されている、前記リンク構造体。
(5)前記腕部の内部に、前記面Aおよび前記面Bと角度をもって立上るリブを有する、前記リンク構造体。
(6)前記腕部と前記関節部との間に、前記繊維強化プラスチックを構成する強化繊維によって連続となっている箇所を有する、前記リンク構造体。
(7)産業用ロボットに用いられる、前記リンク構造体。
(8)サービスロボットに用いられる、前記リンク構造体。
本発明に係るリンク構造体によれば、腕部の少なくとも一端に関節部を有する繊維強化プラスチックから構成されるリンク構造体において、腕部は関節部に設けられた回転中心軸に平行な平面と対向する面Aおよび前記回転中心軸に垂直な平面と対向する面Bを有してなり、関節部は前記回転中心軸に垂直な平面と対向する面Cおよび前記面Cと角度をもって立ち上がるフランジ面D有してなり、少なくとも前記面Aと前記面Dとが、または、前記面Bと前記面Cとが1つの稜線で接続されているので、減速機等の駆動部品から関節部に荷重が入力された場合、関節部と腕部間において、荷重の伝達がスムーズに行われるため、リンク構造体の変形を小さく抑えることが可能になる。
本発明に係るリンク構造体を、産業用ロボット、サービスロボットなどのロボット部材に適用すれば、軽量かつ高剛性な構造を実現することが可能となる。
本発明に係るリンク構造体は、腕部の少なくとも一端に関節部を有する繊維強化プラスチックから構成されるリンク構造体において、腕部は関節部に設けられた回転中心軸に平行な平面と対向する面Aおよび前記回転中心軸に垂直な平面と対向する面Bを有してなり、関節部は前記回転中心軸に垂直な平面と対向する面Cおよび前記面Cと角度をもって立ち上がるフランジ面D有してなり、少なくとも前記面Aと前記面Dとが、または、前記面Bと前記面Cとが1つの稜線で接続されていることを特徴とする。
ここで言う、「腕部」とは、関節部と接続される部位のことであり、例えば、両端にある2つの関節部を接続し、関節部にかかる荷重の伝達を行ったり、内部に他部品を内蔵する等の役割を果たす部位のことである。
また、ここで言う、「回転中心軸に平行な平面と対向する面」とは、例えば、当該対向する面が平面である場合は、回転中心軸に対して平行な平面に対して平行な平面、当該対向する面が曲面である場合は、回転中心軸に対して平行な平面の法線と、当該曲面上のいずれかの点での法線が平行な場合が例示される。さらに、「回転中心軸に垂直な平面と対向する面」とは、例えば、当該対向する面が平面である場合は、回転中心軸に対して垂直な平面に対して平行な平面、当該対向する面が曲面である場合は、回転中心軸に対して垂直な平面の法線と、当該曲面上のいずれかの点での法線が平行な場合が例示される。
そして、モーター、減速機等の駆動部品やアクチュエーター等は、FRPに直接取り付けることも可能であるが、FRPに金属取付座を接着等の化学接合、ボルト、ナット、リベットや圧入等の機械接合によって配置して、取り付けることもできる。
また、本発明に係るリンク構造体は、腕部の両端に関節部を設けることもできる。さらに、腕部の一端に関節部を2箇所以上設けることもできる。さらには、関節部の面Dが面Aと部分的に接続されていることが好ましい。腕部の両端に関節部を設けることにより、例えば、人の太ももに相当する構造のように両側に関節構造が必要な部材に適用することができる。また、腕部の一端に関節部を2箇所以上設けることにより、減速機等から構成される駆動部品を両側から保持することが可能となり、リンク構造体の動作が安定する。さらに、関節部の面Dが面Aと部分的に接続されていることにより、リンク構造体の剛性が向上し、入力される荷重にたいして変形量を小さくすることが可能となり、さらに動作を安定させることが可能となる。
腕部内部に、面Aおよび面Bと角度をもって立上るリブをことが好ましい。角度をもって立ち上がるリブとは、面Aおよび面Bと、直角もしくはある角度で交わる面のことである。このようなリブを備えることにより、関節部に荷重が入力された時に発生する面Aと面Bで囲まれた断面の変形を抑えることができ、リンク構造体全体の剛性が向上することにより、リンク構造体の動作を安定させることができる。
また、FRPの強化繊維の形態として一方向材を用いた場合、腕部と関節部の間で強化繊維が連続となる箇所が存在することとなり、かつ、1つの稜線を介して面が接続されていることから、FRPの性能をより発揮することができ、より軽量かつ高剛性な構造となる。
本発明に係るリンク構造体の適用範囲は特に限定されず、産業用ロボットやサービスロボットの構造部分に好ましく用いられる。特に、サービスロボットの腕や脚に用いられる場合、前述したようなロボットの動作性や制振制に特に有効である。ここでいう産業用ロボットとは、一般的に製造ラインで使用される溶接ロボットや組立ロボット等のことである。またサービスロボットとは、掃除などの家事、介護、救助や娯楽等に用いられるロボット全般のことである。
以下に、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施の形態をさらに詳細に説明する。
本発明のリンク構造体はFRPから構成される。FRPとは、強化繊維により強化された樹脂層を指し、強化繊維としては、たとえば、炭素繊維、ガラス繊維等の無機繊維や、ケブラー繊維、ポリエチレン繊維、ポリアミド繊維などの有機繊維からなる強化繊維が挙げられる。軽量性および剛性の面からは、とくに炭素繊維が好ましい。強化繊維の形態としては、剛性の面から一方向材が好ましいが、成形性の面からクロス材を用いることも好ましい。また、短繊維も用いることができる。FRP層のマトリックス樹脂としては、たとえば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられ、さらには、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、ポリウレタン樹脂等の熱可塑性樹脂も使用可能である。高い力学特性を求められる場合にはエポキシ樹脂が好ましく適用できる。
図1は本発明の一実施形態に係るリンク構造体の斜視図を示している。腕部21の両端には関節部31、41が配置されている。腕部21は回転中心軸1、2に平行な平面と対向する面Aと、回転中心軸1、2に垂直な平面と対向する面Bを有し、関節部31,41は回転中心軸1、2に垂直な平面と対向する面Cと、面Cから直角に立ち上がっている(90°という角度をもって立ち上がっている)フランジ面Dを有しており、面Aと面D、面Bと面Cが1つの稜線を介して接続されている。面Aと面D、および面Bと面Cが1つの稜線を介して面が接続されているため、リンク構造体に荷重が入力された場合に、腕部21と関節部31,41間において荷重の伝達がスムーズに行われるため、変形を小さく抑えることが可能となる。さらに、FRPの強化繊維の形態として一方向材を用いた場合、腕部と関節部の間で強化繊維が連続となる箇所が存在し、かつ、1つの稜線を介して面が接続されることができるので、FRPの性能をより発揮することができ、より軽量かつ高剛性な構造となる。
図1では腕部21の両端に関節部31、41を設けているが、いずれか一方だけにあっても良い。また図1の面A、面Bから構成される腕部21は四角形断面を有しているが、面Aと面Bは曲面であっても良い。面Aおよび面Bを曲面にすることで、剛性を向上させることも可能となる。また面Cと接続されていない側の面Bは設けなくても良く、求められる剛性に応じて、配置すればよい。
図2は本発明の別の一実施形態に係るリンク構造体の斜視図を示している。腕部22の両端には関節部32、42が配置されている。腕部22は回転中心軸3に平行な平面と対向する面Aと、回転中心軸3に垂直な平面と対向する面Bを有し、関節部32は回転中心軸3に垂直な平面と対向する面Cと、面Cから直角に立ち上がっている(90°という角度をもって立ち上がっている)フランジ面Dを有しており、面Aと面Dは1つの稜線を介して、面Bと面Cは面Eを介して接続されている。関節部42は回転中心軸4に垂直な平面と対向する面Cと、面Cから直角に立ち上がっている(90°という角度をもって立ち上がっている)フランジ面Dを有しており、面Aと面D、面Bと面Cが1つの稜線を介して接続されている。リンク構造体の関節部32に取り付く駆動源等の他部品の配置によって、面Bと面Cが面Eを介して接続される場合においても、面Aと面Dが1つの稜線を介して接続することによって、関節部に荷重が入力された場合に、腕部22と関節部32、42間において荷重の伝達がスムーズに行うことができ、変形を小さく抑えることが可能となる。また、この場合においても一方向材の強化繊維を面Aと面D間、面Cと面D間に連続して配置する箇所を設けることで、さらに剛性を向上させることが可能となる。図2においては、関節部32と42は異なる構造となっているが、必要に応じて、腕部22の両側に同じ関節部32の構造を設けることができる。
図3は本発明の別の一実施形態に係るリンク構造体の斜視図を示している。図3は、腕部23の両端に図2に示した関節部32,42と同様の構造をとる関節部33、43それぞれが2箇所ずつ配置されている。関節部に取り付く他部品の配置によって、このような構造とすることも可能である。腕部の片側に2箇所の関節部を設けることによって、他部品を保持する場合にも、安定して支えることができる。図3では、腕部23の片側に関節部33を2箇所配置しているが、関節部33と関節部43を1つずつ配置することも可能である。また、腕部23の片側にだけに関節部を設ける構造としてもよい。
図4は本発明の別の一実施形態に係るリンク構造体の斜視図を示している。図4は、腕部24の両端に図1に示した関節部31と同様の構造をとる関節部34が2箇所ずつ配置されている。さらに腕部24の端部に面Aと面Bから垂直に交差する(それぞれと、90°という角度をもって立ち上がっている)口型の面F、すなわち、リブ構造が配置されている。関節部に荷重が入力された場合、面Aと面Bで構成される腕部の断面の変形を抑えることができ、大幅に剛性を向上させることができる。面Fは口型であるが、閉じた面であってもよく、また面Aと面Bとある角度をもって交差していてもよい。また図4では、面Fは腕部24の端の一箇所にのみ設けているが、必要な剛性によって、複数設けてもよく、また、腕部内側に配置してもよいが、腕部の端部に配置することが最も効果的である。
図5および図6は本発明の別の一実施形態に係るリンク構造体の斜視図を示している。図5および図6は、図3に示した構造に対して、面Aと面Dを部分的に面G、H、IおよびJで繋いだ構造となっている。面Aと面Dを部分的に接続することによって、関節部に入力された荷重をより効率より腕部に伝達することが可能となり、より高剛性な構造とすることができる。なお、図示していないが、面Aと面Dとを部分的に繋く構造とするに際し、図5の面G,Hのような形状をとれば、必ずしも、腕部の端部の関節部が2箇所以上設けられている必要はない。
リンク構造体は、多くの他部品が取り付いたり、周辺に部品が多く、それらとの干渉を避ける必要があるが、必要に応じて、面G、H、IおよびJのような面を設けて、剛性を向上をさせることが好ましい。また、図6の面Bに示した開口部を設けることによって、モーターやアクチュエーター等の部品を腕部内部に配置し、それらのメンテナンスをすることが可能となる。開口部の数や、大きさが大きくなるほど、リンク構造体の剛性に影響が大きくなるため、必要最低限の大きさ、配置を適宜、入力される荷重の大きさ等によって決定すればよい。
図7は本発明の別の一実施形態に係るリンク構造体の斜視図を示している。例えば、図7のように関節部に求められる構造によって、回転中心軸14が回転中心軸13に対して直角となる場合においても、本発明に係る構造を適用することができる。
なお、既に説明したとおり、図1〜7のいずれも、腕部は2つのA面(平面)と2つのB面(平面)から構成されているが、A面、B面のいずれか、または、いずれもが曲面であっても良い。さらには、腕部はA面、B面が必ずしも2つ存在している必要はなく、C面、D面との関係が、本発明で規定する構成を有するようなA面、B面が少なくとも1つあれば良い。
図8は、サービスロボット等に用いられる金属製のフレーム構造をしたリンク構造体の一例である。金属製のリンク構造体の形状のままで、FRPを適用する場合は、成形の難しさや、繊維が不連続となる部分が多くなってしまう。図1〜7に示した構造とすることで、FRPの性能を十分に引き出すことが可能となる。
本発明に係るリンク構造体の一例を示す斜視図である。 本発明に係るリンク構造体の一例を示す斜視図である。 本発明に係るリンク構造体の一例を示す斜視図である。 本発明に係るリンク構造体の一例を示す斜視図である。 本発明に係るリンク構造体の一例を示す斜視図である。 本発明に係るリンク構造体の一例を示す斜視図である。 本発明に係るリンク構造体の一例を示す斜視図である。 金属製のリンク構造体の一例を示す斜視図である。
符号の説明
1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14:回転中心軸
10、20、30、40、50、60、70:リンク構造体
21、22、23、24、25、26、27:腕部
31、32、33、34、35、36、37、41、42、43、45,46:関節部
A、B、C、D、E、F、G、H、I、J:面

Claims (8)

  1. 腕部の少なくとも一端に関節部を有する繊維強化プラスチックから構成されるリンク構造体において、腕部は関節部に設けられた回転中心軸に平行な平面と対向する面Aおよび前記回転中心軸に垂直な平面と対向する面Bを有してなり、関節部は前記回転中心軸に垂直な平面と対向する面Cおよび前記面Cと角度をもって立ち上がるフランジ面D有してなり、少なくとも前記面Aと前記面Dとが、または、前記面Bと前記面Cとが1つの稜線で接続されていることを特徴とするリンク構造体。
  2. 前記腕部の両端に、前記関節部が設けられている、請求項1に記載のリンク構造体。
  3. 前記腕部の一端に、前記関節部が2箇所以上設けられている、請求項1または2に記載のリンク構造体。
  4. 前記面Dが部分的に前記面Aと接続されている、請求項1〜3のいずれかに記載のリンク構造体。
  5. 前記腕部の内部に、前記面Aおよび前記面Bと角度をもって立上るリブを有する、請求項1〜4のいずれかに記載のリンク構造体。
  6. 前記腕部と前記関節部との間に、前記繊維強化プラスチックを構成する強化繊維によって連続となっている箇所を有する、請求項1〜5のいずれかに記載のリンク構造体。
  7. 産業用ロボットに用いられる、請求項1〜6のいずれかに記載のリンク構造体。
  8. サービスロボットに用いられる、請求項1〜6のいずれかに記載のリンク構造体。
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