JP2009190114A - シリンダブロックの加工用治具および加工方法 - Google Patents
シリンダブロックの加工用治具および加工方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2009190114A JP2009190114A JP2008032234A JP2008032234A JP2009190114A JP 2009190114 A JP2009190114 A JP 2009190114A JP 2008032234 A JP2008032234 A JP 2008032234A JP 2008032234 A JP2008032234 A JP 2008032234A JP 2009190114 A JP2009190114 A JP 2009190114A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- cylinder
- water jacket
- cylinder block
- external force
- piezo element
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Finish Polishing, Edge Sharpening, And Grinding By Specific Grinding Devices (AREA)
- Cylinder Crankcases Of Internal Combustion Engines (AREA)
Abstract
【課題】ボアの真円度を改善しシリンダブロックの品質向上を図るために、エンジン組立後のボア変形を、簡易な設備により模擬的に容易に再現することができるシリンダブロックの加工用治具および加工方法を提供する。
【解決手段】ウォータージャケット6の深さより長く、かつ、ピエゾ素子23を有する外力付加ツメ21を、ウォータージャケット6の底部6aに到達するようにボルト締結部10の位相にてウォータージャケット6に挿入した後に、ピエゾ素子23に通電し、ピエゾ素子23によって、ボルト締結部10の位相に対応する位置でウォータージャケット6の壁面(即ち、ジャケット外側面13およびシリンダ部外周面14)を押圧しつつ、ホーニング装置15によって、シリンダボア4を真円加工する。
【選択図】図8
【解決手段】ウォータージャケット6の深さより長く、かつ、ピエゾ素子23を有する外力付加ツメ21を、ウォータージャケット6の底部6aに到達するようにボルト締結部10の位相にてウォータージャケット6に挿入した後に、ピエゾ素子23に通電し、ピエゾ素子23によって、ボルト締結部10の位相に対応する位置でウォータージャケット6の壁面(即ち、ジャケット外側面13およびシリンダ部外周面14)を押圧しつつ、ホーニング装置15によって、シリンダボア4を真円加工する。
【選択図】図8
Description
本発明は、シリンダブロックの加工用治具および該加工用治具によるシリンダブロックの加工方法の技術に関する。
例えば自動車エンジン等の内燃機関を構成するシリンダブロックにおいては、その一般的な構成として、ピストンを摺動可能に内装する円柱状の孔部であるシリンダボアと、このシリンダボアが開口する面であってシリンダヘッドが組み付けられるシリンダヘッド取付面(以下単に「ヘッド取付面」という。)とが備えられる。そして、ヘッド取付面に対するシリンダヘッドの組付けに際しては、ボルト等の締結具(ヘッドボルト)が用いられる。つまり、ヘッドボルトが、シリンダヘッドを貫通するとともにシリンダブロックに設けられる雌ねじ部分となるボルト穴に螺挿されることにより、シリンダヘッドがシリンダブロックに対して締結固定される。
このシリンダヘッドのシリンダブロックに対する固定に際してヘッドボルトが螺挿されるボルト穴は、ヘッド取付面においてシリンダボアの周囲に設けられる。具体的には、シリンダボアの周囲において略等間隔で4個設けられる構成がある。
このような構成においては、シリンダブロックに対するシリンダヘッドの組付け時、およびシリンダブロックが用いられて構成されるエンジンの実働時に、シリンダボアの変形(ボア変形)が生じる。つまり、エンジン実働時におけるボア変形には、シリンダヘッドの組付け時に発生するもの(以下「組付け変形」という。)と、エンジンの実働時の熱負荷によって発生するものとが含まれる。これらのボア変形により、エンジンの実働時におけるシリンダボアの真円度が決まる。
ここで、ボア変形のうちの組付け変形について、図22および図23を用いて具体的に説明する。図22(a)はシリンダボアに対するボルト締結部の配置を示す模式図、図22(b)はシリンダボアの組付け時のボア変形(組付け変形)を示す模式図、図23はシリンダボアに対する逆変形加工後の単品状態を示す模式図である。
図22に示す如く、シリンダヘッドをシリンダブロックに固定するためのボルト締結部のシリンダボアに対する配置例として、一つのシリンダボア104に対し、ボルト締結部110がシリンダボア104の周囲において略等間隔で4ヶ所設けられる構成がある。各ボルト締結部110においては、シリンダブロックに形成されるボルト穴112にヘッドボルト111が螺挿された状態となる。
図22(a)に示す如く、ボルト穴112に螺挿されるヘッドボルト111の締付けによるシリンダヘッドの固定が行われてない単品状態では、ヘッドボルト111による締付け力(締結力)がシリンダブロックに対して加わっていないため、その締付け力が作用することによるシリンダブロックの変形が生じることはなく、シリンダボア104は変形を伴なわない状態となる。
図22(b)に示す如く、ヘッドボルト111が締め付けられることによりシリンダヘッドがシリンダブロックに対して締結固定された組付け状態においては、ヘッドボルト111による締付け力がシリンダブロックに作用し、この締付け力がシリンダブロックに変形を生じさせ、組付け変形が生じる。この組付け変形は、ヘッドボルト111の締付けによってボア上面(ヘッド取付面におけるシリンダボア104の周縁部)が強く押し付けられることにより生じる。
したがって、特に強く押し付けられることとなるボルト周りで変形が大きくなり、本例のようにボルト締結部110がシリンダボア104の周囲において略等間隔で4ヶ所設けられる構成においては、シリンダボア104において、ボルト締結部110に対応する位相(以下「ボルト位相」という。)の部分が内側に窄むような(相対的に内側に膨出するような)変形が生じる(図22(b)における矢印参照)。結果として、組付け変形は、図22(b)に示す如く、平面視において円形であったシリンダボア104が、十字形となるような変形となる(いわゆる4次変形)。
こうしたボア変形(組付け変形)は、シリンダボアの真円度を悪化させることとなる。そして、シリンダボアの真円度の悪化は、シリンダボアにおけるピストンの摺動にともなうフリクション(摺動抵抗)の増大を招く。フリクションの増大は、エンジンの出力の制限や燃費の悪化等の原因となる。
また、ピストンにはシリンダボアに対して摺接するピストンリングが装着されるが、シリンダボアの真円度が悪化すると、シリンダボアの形状が真円から大径に変形する部分(拡径する部分)ではピストンリングによるシール性が低下し、浸出によるエンジンオイル消費やブローバイガスが増大する。こうした状況は、ピストンリングの張力(拡がろうとする力)を大きくし(高張力化し)、シリンダボアの形状が大径に変化する部分でもピストンリングによる最低限の押付け力が確保できるようにすることで避けることができる。しかし、ピストンリングの高張力化は、シリンダボアにおけるピストンの摺動にともなうフリクションの増大を招く。
そこで従来、前述のような組付け変形を防止するために、シリンダボアについて所定の真円度を得るための仕上げ加工(例えばホーニング加工等)を行うに際し、シリンダボアに対して組付け変形と逆方向の変形を予め与えることで、シリンダヘッドが組み付けられた状態でのシリンダボアの真円化を狙うことができる加工方法が採用されている。
つまり、シリンダブロックに対しては、そのシリンダボアに対する仕上げ加工が行われた後にシリンダヘッドが組み付けられるが、そのシリンダヘッドの組付けによってシリンダボアが真円となるように、組付け変形を生じさせる必要がある。言い換えると、組付け変形したシリンダボアが真円となるように、組付け変形を生じさせる必要がある。このため、シリンダボアに対する仕上げ加工後の単品状態で、図23に示すような、組付け変形と逆方向の変形(以下「逆変形」という。)を、シリンダボアに付与するによって、組付け変形したシリンダボアを真円とすることができる。
このように、シリンダボアに対する仕上げ加工後の単品状態で、組付け変形と逆方向の変形を付与することができる加工方法としては、従来、ダミーヘッドを用いた加工方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
ダミーヘッドとは、実際の製品として組み付けられるシリンダヘッドとは異なる加工用治具であり、シリンダボアの加工に際し、シリンダヘッドと同様にしてヘッドボルトによってシリンダブロックに組み付けられるものである。このダミーヘッドにより、シリンダヘッドがシリンダブロックに組み付けられた状態が模擬される。つまり、ダミーヘッドがシリンダブロックに組み付けられることにより、シリンダブロックに対してシリンダヘッドの組付けにともなう締付け力に相当する規定の締付け力が付与され、シリンダボアに対して組付け変形が付与された状態となる。この状態で、シリンダボアに対する仕上げ加工が行われ、その仕上げ加工後にダミーヘッドが取り外されることで、前記締付け力の解除にともなう復元作用により、シリンダボアに逆変形が付与された状態となる。そして、このシリンダボアが逆変形したシリンダブロックに対してシリンダヘッドが組み付けられることにより、シリンダヘッド組付け時の締付け力によって生じるボア変形(組付け変形)によるシリンダボアの真円度の悪化が抑制される。
ダミーヘッドとは、実際の製品として組み付けられるシリンダヘッドとは異なる加工用治具であり、シリンダボアの加工に際し、シリンダヘッドと同様にしてヘッドボルトによってシリンダブロックに組み付けられるものである。このダミーヘッドにより、シリンダヘッドがシリンダブロックに組み付けられた状態が模擬される。つまり、ダミーヘッドがシリンダブロックに組み付けられることにより、シリンダブロックに対してシリンダヘッドの組付けにともなう締付け力に相当する規定の締付け力が付与され、シリンダボアに対して組付け変形が付与された状態となる。この状態で、シリンダボアに対する仕上げ加工が行われ、その仕上げ加工後にダミーヘッドが取り外されることで、前記締付け力の解除にともなう復元作用により、シリンダボアに逆変形が付与された状態となる。そして、このシリンダボアが逆変形したシリンダブロックに対してシリンダヘッドが組み付けられることにより、シリンダヘッド組付け時の締付け力によって生じるボア変形(組付け変形)によるシリンダボアの真円度の悪化が抑制される。
しかし、ダミーヘッドを用いた加工方法においては、ダミーヘッドを締付け(組付け)・分解(取外し)・洗浄・搬送等する工程がそれぞれ必要となり、シリンダブロックを加工するための工程が複雑化する。加工工程が複雑化することは、量産性の向上を図るうえで好ましくない。また、ダミーヘッドを用いた加工方法においては、生産サイクルタイムを考慮した相当数のダミーヘッドの準備や、ダミーヘッドの締付け等の前記各工程を行うための設備等を別途設ける必要もあり、さらに、ダミーヘッドの組付けに用いるガスケット等にロスが生じるため、シリンダブロックの製造コストが高くなるという問題があった。
特開2004−243514号公報
本発明は係る現状を鑑みて成されたものであり、シリンダヘッド組付時のシリンダボアの真円度を改善し、シリンダブロックの品質向上を図るために、エンジン組立後のボア変形を、簡易な設備により模擬的に容易に再現することができるシリンダブロックの加工用治具および加工方法を提供することを課題としている。
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
即ち、請求項1においては、締結部材によってシリンダヘッドが固定されるシリンダヘッド取付面と、該シリンダヘッド取付面に開口し、ピストンを摺動可能に内装する円柱状の孔部であるシリンダボアと、該シリンダボアを囲む壁状部分であるシリンダ部と、該シリンダ部を介して前記シリンダボアを囲むように形成され、前記シリンダヘッド取付面に開口するウォータージャケットと、前記締結部材による締結部と、を有するシリンダブロックの加工方法であって、前記ウォータージャケットの深さより長く、かつ、ピエゾ素子を有する外力付加部材を、前記ウォータージャケットの底部に到達するように前記締結部の位相にて前記ウォータージャケットに挿入した後に、前記ピエゾ素子に通電し、前記ピエゾ素子によって、前記締結部の位相に対応する位置で前記ウォータージャケットの壁面を押圧しつつ、ホーニング装置によって、前記シリンダボアを真円加工するものである。
請求項2においては、前記ピエゾ素子は、前記外力付加部材が前記ウォータージャケットの底部に接触し、前記外力付加部材と前記シリンダブロックの間に導通が生じることにより通電するものである。
請求項3においては、前記外力付加部材は、前記ホーニング装置のホーンガイドに付設するものである。
請求項4においては、前記ピエゾ素子に接触子を付設し、前記ピエゾ素子によって、前記接触子を介して前記ウォータージャケットの内壁を押圧するものである。
請求項5においては、前記接触子は、前記ピエゾ素子の対向する面に2箇所設けられ、前記接触子による前記ウォータージャケットの内壁を押圧する位置を結ぶ線分が、押圧方向に対して傾きを有するものである。
請求項6においては、前記接触子は、前記ウォータージャケットの内壁と接触する部位にローラーを有するものである。
請求項7においては、締結部材によってシリンダヘッドが固定されるシリンダヘッド取付面と、該シリンダヘッド取付面に開口し、ピストンを摺動可能に内装する円柱状の孔部であるシリンダボアと、該シリンダボアを囲む壁状部分であるシリンダ部と、該シリンダ部を介して前記シリンダボアを囲むように形成され、前記シリンダヘッド取付面に開口するウォータージャケットと、前記締結部材による締結部と、を有するシリンダブロックの加工用治具であって、前記ウォータージャケットの深さより長く、かつ、ピエゾ素子を有する外力付加部材を備えるものである。
請求項8においては、前記ピエゾ素子は、前記外力付加部材が前記ウォータージャケットの底部に接触し、前記外力付加部材と前記ウォータージャケットの間に導通が生じることにより通電するものである。
請求項9においては、前記外力付加部材は、ホーニング装置のホーンガイドに付設するものである。
請求項10においては、前記ピエゾ素子に接触子を付設し、前記ピエゾ素子によって、前記接触子を介して前記ウォータージャケットの内壁を押圧するものである。
請求項11においては、前記接触子は、前記ピエゾ素子の対向する面に2箇所設けられ、前記接触子によって前記ウォータージャケットの内壁を押圧する位置を結ぶ線分が、押圧方向に対して傾きを有するものである。
請求項12においては、前記接触子は、前記ウォータージャケットの内壁と接触する部位にローラーを有するものである。
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
請求項1においては、簡易な機構でシリンダヘッド組付け時のボア変形を再現することができ、容易にシリンダボアの真円度を向上することができる。
請求項2においては、ピエゾ素子への配線を省略することができ、加工用治具を簡素化することができる。
請求項3においては、従来のホーニング装置をそのまま活用することができ、生産手順の変更を抑えることができる。
請求項4においては、ピエゾ素子による押圧力を調整することができる。
請求項5においては、ピエゾ素子の膨張作用によって、外力付加部材にモーメント力を付与することができる。
請求項6においては、ウォータージャケットの内壁や接触子の摩耗を低減することができる。
請求項7においては、簡易な機構でシリンダヘッド組付け時のボア変形を再現することができ、容易にシリンダボアの真円度を向上することができる。
請求項8においては、ピエゾ素子への配線を省略することができ、加工用治具を簡素化することができる。
請求項9においては、従来のホーニング装置をそのまま活用することができ、生産手順の変更を抑えることができる。
請求項10においては、ピエゾ素子による押圧力を調整することができる。
請求項11においては、ピエゾ素子の膨張作用によって、外力付加部材にモーメント力を付与することができる。
請求項12においては、ウォータージャケットの内壁や接触子の摩耗を低減することができる。
次に、発明の実施の形態を説明する。
本発明に係る加工方法の加工対象であるシリンダブロックは、例えば自動車エンジン等の内燃機関を構成するものであり、締結部材(ヘッドボルト)によってシリンダヘッドが固定されるシリンダヘッド取付面に開口しピストンを摺動可能に内装する円柱状の孔部であるシリンダボアと、このシリンダボアを囲む壁状部分であるシリンダ部を介してシリンダボアを取り囲むように形成されシリンダヘッド取付面に開口するウォータージャケットとを有する。
本発明に係る加工方法の加工対象であるシリンダブロックは、例えば自動車エンジン等の内燃機関を構成するものであり、締結部材(ヘッドボルト)によってシリンダヘッドが固定されるシリンダヘッド取付面に開口しピストンを摺動可能に内装する円柱状の孔部であるシリンダボアと、このシリンダボアを囲む壁状部分であるシリンダ部を介してシリンダボアを取り囲むように形成されシリンダヘッド取付面に開口するウォータージャケットとを有する。
そして、本発明は、シリンダボアについて所定の真円度を得るためのシリンダボアに対する仕上げ加工に際し、シリンダボアを囲む壁状部分であるシリンダ部において、ヘッドボルトによる締結部に対応する位相(ボルト位相)の部分の、シリンダボア側からの圧力に対する剛性を、他の位相の部分に対して相対的に高くするとともに、ボルト位相部分のシリンダ部を内側に膨らむように変形させることで、シリンダボアにおいてボルト位相の部分の加工による取り代(研削量)を大きくし、シリンダボアに対する仕上げ加工後の単品状態で、シリンダボアに対して組付け変形と逆方向の変形(逆変形)を付与するものである。これにより、シリンダヘッドの組付け時におけるシリンダボアの真円度の悪化を抑制するものである。
以下、シリンダボアに対する仕上げ加工に際し、シリンダ部において、そのボルト位相の部分におけるシリンダボア側からの圧力に対する剛性を、他の位相の部分に対して相対的に高くした状態とするとともに、ボルト位相部分のシリンダ部を内側に膨らむように変形させる、本発明の各実施形態について説明する。
以下、シリンダボアに対する仕上げ加工に際し、シリンダ部において、そのボルト位相の部分におけるシリンダボア側からの圧力に対する剛性を、他の位相の部分に対して相対的に高くした状態とするとともに、ボルト位相部分のシリンダ部を内側に膨らむように変形させる、本発明の各実施形態について説明する。
まず始めに、本実施形態に係るシリンダブロックについて、図1および図2を用いて説明する。図1は本発明の一実施例に係るシリンダブロックの全体構成を示す平面模式図、図2は本発明の一実施例に係るシリンダブロックを示す部分断面模式図である。
図1および図2に示す如く、本実施形態に係るシリンダブロック1は、その本体がアルミニウムを材料として構成され、締結部材(ヘッドボルト)によってシリンダヘッド(図示略)が固定されるシリンダヘッド取付面(以下「ヘッド取付面」という。)3と、このヘッド取付面3に開口しピストン(図示略)を摺動可能に内装する円柱状の孔部であるシリンダボア4と、このシリンダボア4を囲む壁状部分であるシリンダ部5を介してシリンダボア4を取り囲むように形成されヘッド取付面3に開口するウォータージャケット6とを有する。尚、本実施形態に示すシリンダブロック1は、その本体がアルミニウムを材料としているが、シリンダブロック1を構成する材料によって本発明を限定するものではない。
図1に示す如く、本実施形態に係るシリンダブロック1は、自動車等に搭載される直列4気筒のエンジンを構成するものであり、シリンダボア4を4個備え、これらは中心軸方向が平行となるように隣り合う状態で一列に配設される。
尚、本実施形態に示すシリンダブロック1は、シリンダボア4を4個備える直列4気筒のエンジンを構成するものであるが、シリンダボア4の個数(エンジンの気筒数)によって本発明を限定するものではない。
尚、本実施形態に示すシリンダブロック1は、シリンダボア4を4個備える直列4気筒のエンジンを構成するものであるが、シリンダボア4の個数(エンジンの気筒数)によって本発明を限定するものではない。
図1および図2に示す如く、ヘッド取付面3は、シリンダブロック1の一側において平面として形成されるシール面であり、このヘッド取付面3に、ガスケット(図示略)を介してシリンダヘッドが組み付けられる。ヘッド取付面3に対するシリンダヘッドの組付けに際しては、ヘッドボルト(図示略)が用いられる。つまり、ヘッドボルトが、シリンダヘッドを貫通するとともにシリンダブロック1に設けられる雌ねじ部分となるボルト穴12に螺挿されることにより、シリンダヘッドがシリンダブロック1に対して締結固定される。
このシリンダヘッドのシリンダブロック1に対する固定に用いられる締結部としてのボルト締結部10、つまりヘッドボルトが螺挿されるボルト穴12は、ヘッド取付面3においてシリンダボア4の周囲に設けられる。本実施形態では、図1に示す如く、ボルト穴12はシリンダボア4の周囲において略等間隔で4個設けられる。また、隣り合うシリンダボア4間においては2個のボルト穴12が共用される。つまり、本実施形態のように直列4気筒エンジンを構成するシリンダブロック1においては、一列に並んだ状態となる4個のシリンダボアに対し、計10個のボルト穴12が設けられる。尚、本実施形態に示すシリンダブロック1において、ボルト穴12はシリンダボア4の周囲において略等間隔で4個設けられる構成としているが、シリンダボア4の周囲において設けられるボルト穴12の個数によって本発明を限定するものではない。
また、シリンダブロック1におけるヘッド取付面3と反対側には、オイルパン(図示略)が取り付けられる。以下、シリンダブロック1において、シリンダヘッドが組み付けられる側を「上」とし、その反対側を「下」とする。
図1および図2に示す如く、シリンダボア4は、その中心軸方向を上下方向とし、前記のとおり一列に並んだ状態で4個配設される。シリンダボア4に内装されるピストンには、ピストンリングが装着され、このピストンリングを介してピストンがシリンダボア4内を上下方向に往復摺動する。
各シリンダボア4におけるピストンよりも上側の空間は、燃料および空気の混合気を燃焼するための燃焼室の一部を構成する。シリンダボア4は、前記混合気や燃焼によって生じたガスの機密を保つため、ホーニング加工等の仕上げ加工により、所定の真円度を有する円筒面に形成される。即ち、シリンダブロック1が用いられて製造されるエンジンの実動時には、前記燃焼室における混合気の爆発・燃焼によりビストンが往復摺動し、これにより、ピストンとコンロッド(連接棒)を介して連結されるクランク軸(出力軸)が回転する。
シリンダボア4は、シリンダブロック1において各シリンダボア4に対応するように略筒状に形成されるシリンダ部5の内周面側に、鋳鉄を材料として円筒状に構成されるシリンダライナ9が、鋳ぐるみや圧入等によって内装されることで形成される。つまり、シリンダライナ9の内周面が、シリンダボア4を形成し、ピストンの摺動面となる。
尚、本実施形態では、シリンダボア4は、シリンダライナ9が用いられて形成される構成であるが、例えばシリンダブロックが鋳鉄等の鉄系材料で構成される場合など、シリンダボアがシリンダブロックの構造体に対して直接形成される構成であってもよい。
尚、本実施形態では、シリンダボア4は、シリンダライナ9が用いられて形成される構成であるが、例えばシリンダブロックが鋳鉄等の鉄系材料で構成される場合など、シリンダボアがシリンダブロックの構造体に対して直接形成される構成であってもよい。
ウォータージャケット6は、冷却水の通路であり、シリンダブロック1の鋳造に際して4個のシリンダボア4を取り囲むように形成される。ウォータージャケット6は、シリンダボア4に対してシリンダ部5を介して設けられる。
シリンダ部5は、シリンダボア4の周囲、つまりシリンダライナ9の周囲においてシリンダボア4を取り囲むように形成される円筒状の壁状部分であり、図1に示す如く、隣り合うシリンダボア4に対しては円筒状の部分が繋がった状態となる。
即ち、ウォータージャケット6は、シリンダ部5の外周面(ウォータージャケット6の内側面)と、これに対向するように形成される外周壁面(ウォータージャケット6の外側面)とにより、ヘッド取付面3側に開口するように形成される。
つまり、本実施形態のシリンダブロック1は、ウォータージャケット6がヘッド取付面3側に開放されているオープンデッキ型の構造となっている。このウォータージャケット6を流通する冷却水等の冷却媒体により、シリンダ部5を介してシリンダボア4等が冷却される。
シリンダ部5は、シリンダボア4の周囲、つまりシリンダライナ9の周囲においてシリンダボア4を取り囲むように形成される円筒状の壁状部分であり、図1に示す如く、隣り合うシリンダボア4に対しては円筒状の部分が繋がった状態となる。
即ち、ウォータージャケット6は、シリンダ部5の外周面(ウォータージャケット6の内側面)と、これに対向するように形成される外周壁面(ウォータージャケット6の外側面)とにより、ヘッド取付面3側に開口するように形成される。
つまり、本実施形態のシリンダブロック1は、ウォータージャケット6がヘッド取付面3側に開放されているオープンデッキ型の構造となっている。このウォータージャケット6を流通する冷却水等の冷却媒体により、シリンダ部5を介してシリンダボア4等が冷却される。
以上のような構成を備える本実施形態のシリンダブロック1において、そのシリンダボア4に対する仕上げ加工を行うに際し、シリンダ部5において、そのボルト位相の部分におけるシリンダボア4側からの圧力に対する剛性を、他の位相の部分に対して相対的に高くした状態とするとともに、ボルト位相の部分のシリンダ部5を内側に膨らむように変形させる。
即ち、以下に説明するシリンダブロック1の加工方法においては、ウォータージャケット6の内側面を形成するシリンダ部5の外周面(以下「シリンダ部外周面」とする。)14のうち、シリンダボア4の円周形状におけるヘッドボルトによる締結部(ボルト締結部10)に対応する位相(即ち、「ボルト位相」)の部分を押圧することにより、シリンダ部5における、前記押圧した部分のシリンダボア4側からの圧力に対する剛性を、他の部分に対して高めた状態とするとともに、ボルト位相の部分のシリンダ部5を内側に膨らむように変形させた状態で、シリンダボア4に対する仕上げ加工を行う。
ここで、ボルト位相とは、シリンダボア4の円周形状における(円周形状に対する)ボルト締結部10に対応する位相であり、シリンダボア4の円周形状における「位相」とは、次のとおりである。
即ち、円柱状の孔部であるシリンダボア4は、その中心軸方向視で円周形状となる。このシリンダボア4の円周形状においては(円周形状に対しては)、中心軸の位置を中心とした円周上における角度が定まる。この角度(角度範囲)が、シリンダボア4の円周形状における「位相」となる。
即ち、円柱状の孔部であるシリンダボア4は、その中心軸方向視で円周形状となる。このシリンダボア4の円周形状においては(円周形状に対しては)、中心軸の位置を中心とした円周上における角度が定まる。この角度(角度範囲)が、シリンダボア4の円周形状における「位相」となる。
さらに詳述すると、ボルト位相とは、図1において一番左側のシリンダボア4について示す如く、シリンダボア4が円周形状となるその中心軸方向視において、中心軸の位置Cを中心とする円周上における角度について、中心(位置C)からボルト締結部10およびその近傍部分を含む方向の所定の角度範囲α1となる。
本実施形態のように、ボルト締結部10がシリンダボア4の周囲において略等間隔で4個設けられる構成においては、前記のようなボルト締結部10に対応する位相(角度範囲α1)が、各シリンダボア4において4ヶ所存在することとなる。
以下では、ボルト位相に対し、それ以外の位相(他の位相)を「非ボルト位相」とする。
本実施形態のように、ボルト締結部10がシリンダボア4の周囲において略等間隔で4個設けられる構成においては、前記のようなボルト締結部10に対応する位相(角度範囲α1)が、各シリンダボア4において4ヶ所存在することとなる。
以下では、ボルト位相に対し、それ以外の位相(他の位相)を「非ボルト位相」とする。
本実施形態に係るシリンダブロック1の加工方法では、後述する加工用治具20を用いることにより、シリンダ部外周面14におけるボルト位相の部分に対する押圧を行い、シリンダ部5における、前記押圧した部分のシリンダボア4側からの圧力に対する剛性を、他の部分に対して高めた状態とするとともに、ボルト位相の部分のシリンダ部5を内側に膨らむように変形させた状態で、シリンダボア4に対する仕上げ加工を行う。
これにより、シリンダブロック1のシリンダボア4に対する仕上げ加工に際し、ダミーヘッド等の加工用治具を用いることで生じる加工工程の複雑化や高コスト化を招くことなく、仕上げ加工後にシリンダボア4に対して組付け変形と逆方向の変形を付与することができ、シリンダヘッドの組付け時におけるシリンダボア4の真円度の悪化を抑制することができる。
これにより、シリンダブロック1のシリンダボア4に対する仕上げ加工に際し、ダミーヘッド等の加工用治具を用いることで生じる加工工程の複雑化や高コスト化を招くことなく、仕上げ加工後にシリンダボア4に対して組付け変形と逆方向の変形を付与することができ、シリンダヘッドの組付け時におけるシリンダボア4の真円度の悪化を抑制することができる。
即ち、シリンダ部外周面14におけるボルト位相の部分を押圧することにより、その押圧した部分のシリンダ部5のシリンダボア4側からの圧力に対する剛性を高くするとともに、ボルト位相の部分のシリンダ部5が内側に膨らむように変形させた状態で、シリンダボア4に対する仕上げ加工を行うことで、押圧した部分であるボルト位相の部分において、加工にともなうシリンダボア4側からの圧力(例えばホーニング加工における砥石からの面圧(押圧負荷))に対する面圧が大きくなり、シリンダボア4を形成する壁面における加工による取り代(研削量)が大きくなる。
言い換えると、剛性が高められておらず変形されていない非ボルト位相の部分は、加工にともなうシリンダボア4側からの圧力に対する面圧が小さくなり、その圧力に対して弾性変形して逃げるような状態となり、加工による取り代が小さくなる。これに対し、シリンダ部外周面14側からの押圧によって剛性が高められるとともに内側に膨らむように変形されたボルト位相の部分は、加工にともなうシリンダボア4側からの圧力に対して弾性変形して逃げることが防止され、加工による取り代が大きくなる。
言い換えると、剛性が高められておらず変形されていない非ボルト位相の部分は、加工にともなうシリンダボア4側からの圧力に対する面圧が小さくなり、その圧力に対して弾性変形して逃げるような状態となり、加工による取り代が小さくなる。これに対し、シリンダ部外周面14側からの押圧によって剛性が高められるとともに内側に膨らむように変形されたボルト位相の部分は、加工にともなうシリンダボア4側からの圧力に対して弾性変形して逃げることが防止され、加工による取り代が大きくなる。
この結果、加工後のシリンダブロック1においては、シリンダボア4において、加工用治具20によって押圧されていたボルト位相の部分が広がるという、シリンダヘッドの組付け変形に対する逆変形が生じた状態が得られる(図23におけるシリンダボア104参照)。
そして、シリンダボア4に逆変形が生じているシリンダブロック1に対し、シリンダヘッドをボルト締結によって組み付けることにより、その組付け変形によってシリンダボア4を真円となるようにすることができる。つまり、シリンダヘッドの組付け時におけるシリンダボア4の真円度の悪化を抑制することができる。
そして、シリンダボア4に逆変形が生じているシリンダブロック1に対し、シリンダヘッドをボルト締結によって組み付けることにより、その組付け変形によってシリンダボア4を真円となるようにすることができる。つまり、シリンダヘッドの組付け時におけるシリンダボア4の真円度の悪化を抑制することができる。
尚、ボルト位相について前記所定の角度範囲α1については、その角度の大きさは特に限定されるものではないが、シリンダヘッド組付け時の組付け変形に際し、シリンダボア4においてヘッドボルトの締結によるボルト軸力によって内側に窄む部分に対応する角度範囲として設定する。
前述したように、本実施形態のシリンダブロック1においては、ある1つのシリンダボア4に対してその周囲に略等間隔で4個のボルト締結部10(ボルト穴12)が設けられる。これに対し、各ボルト締結部10に対応するボルト位相の部分において、後述する加工用治具20(より詳しくは、加工用治具20を構成する外力付加ツメ21・21・・・)がウォータージャケット6内に挿入されて配置される。
そして、あるシリンダボア4に対して仕上げ加工が行われる際には、少なくともその加工対象であるシリンダボア4の周囲に配置される4個の外力付加ツメ21・21・・・によって、シリンダ部外周面14に対して押圧力を付与する必要がある。つまり、加工対象であるシリンダボア4における4つのボルト位相の部分について、シリンダ部外周面14側からの押圧によって剛性が高められるとともに、ボルト位相の部分のシリンダ部5を内側に膨らむように変形させることにより、そのシリンダボア4において組付け変形に対する逆変形を生じさせることができる。
そして、あるシリンダボア4に対して仕上げ加工が行われる際には、少なくともその加工対象であるシリンダボア4の周囲に配置される4個の外力付加ツメ21・21・・・によって、シリンダ部外周面14に対して押圧力を付与する必要がある。つまり、加工対象であるシリンダボア4における4つのボルト位相の部分について、シリンダ部外周面14側からの押圧によって剛性が高められるとともに、ボルト位相の部分のシリンダ部5を内側に膨らむように変形させることにより、そのシリンダボア4において組付け変形に対する逆変形を生じさせることができる。
次に、本実施形態においてシリンダブロックの仕上げ加工に用いるホーニング装置の全体構成について、図3を用いて説明する。図3は本発明の一実施例に係るホーニング装置の全体構成を示す模式図である。
本実施形態においては、シリンダボア4に対する仕上げ加工として、ホーニング装置15を用いて、シリンダボア4について所定の真円度を得るためのホーニング加工を行う。
本実施形態においては、シリンダボア4に対する仕上げ加工として、ホーニング装置15を用いて、シリンダボア4について所定の真円度を得るためのホーニング加工を行う。
図3に示す如く、ホーニング装置15には、ホーンヘッド16とホーンガイド17とを有する構成のホーニング手段が備えられ、このホーニング手段が用いられてシリンダボア4を形成する壁面に対する研削が行われる。
ホーンヘッド16は、全体として略円柱状に構成され、その外周面部に砥石18を有する。また、ホーンヘッド16は、駆動部15aによって上下方向の移動(軸方向の移動)および軸心を回転軸とする回転が可能に設けられる主軸19の先端部(下端部)に構成される。つまり、ホーンヘッド16は、主軸19を介して上下運動(軸方向の運動)および回転運動が可能な状態で設けられる。
ホーンヘッド16が有する砥石18は、ホーンヘッド16の外周面部において例えば周方向に等間隔を隔てた状態で環状に配設される。
砥石18は、例えば、ホーンヘッド16内において構成される、主軸19と同軸に設けられるロッド部材の軸方向の移動を砥石18の径方向の移動に変換するためのテーパ面を備えるような周知の機構が用いられ、前記テーパ面によるテーパ作用等によって径方向外側に変位可能に構成される。
即ち、砥石18は、シリンダボア4に対するホーニング加工に際しては、径方向外側の変位によりシリンダボア4の壁面に対して圧接した状態で、ホーンヘッド16の回転運動等にともなってシリンダボア4の壁面に対して作用する。
砥石18は、例えば、ホーンヘッド16内において構成される、主軸19と同軸に設けられるロッド部材の軸方向の移動を砥石18の径方向の移動に変換するためのテーパ面を備えるような周知の機構が用いられ、前記テーパ面によるテーパ作用等によって径方向外側に変位可能に構成される。
即ち、砥石18は、シリンダボア4に対するホーニング加工に際しては、径方向外側の変位によりシリンダボア4の壁面に対して圧接した状態で、ホーンヘッド16の回転運動等にともなってシリンダボア4の壁面に対して作用する。
ホーンガイド17は、支持部材15dを介して位置決め部15bによって支持されており、ホーンヘッド16のシリンダボア4に対する位置決め等を行うことが可能な構成としている。ホーンガイド17は、主軸19を含めたホーンヘッド16の上下運動等を許容するためのガイド孔17aを有し、シリンダボア4に対するホーンヘッド16の上下運動等を案内する。
このホーンガイド17は、位置決め部15bによってシリンダブロック1のヘッド取付面3に対する近接離間方向、つまり上下方向に移動可能に設けられる。
このホーンガイド17は、位置決め部15bによってシリンダブロック1のヘッド取付面3に対する近接離間方向、つまり上下方向に移動可能に設けられる。
そして、ホーニング加工に際しては、ベース部15c上に固定されるシリンダブロック1のシリンダボア4に対して所定の位置で位置決めされた状態のホーンガイド17によってホーンヘッド16が案内される。
そして、シリンダボア4内でホーンヘッド16の回転運動等することによって砥石18によりシリンダボア4の壁面が研削加工される。
つまり、ホーニング加工中は、ホーンガイド17が、そのヘッド取付面3に対する近接離間方向において所定の位置に停止した状態、つまりヘッド取付面3に対して所定の距離を隔てた状態となり、かかる状態のホーンガイド17によってホーンヘッド16が案内される。
そして、シリンダボア4内でホーンヘッド16の回転運動等することによって砥石18によりシリンダボア4の壁面が研削加工される。
つまり、ホーニング加工中は、ホーンガイド17が、そのヘッド取付面3に対する近接離間方向において所定の位置に停止した状態、つまりヘッド取付面3に対して所定の距離を隔てた状態となり、かかる状態のホーンガイド17によってホーンヘッド16が案内される。
次に、本実施形態のホーニング装置15に備えられる加工用治具20について、図4〜図6を用いて説明する。図4は本発明の一実施例に係る加工用治具の全体構成を示す模式図、図5は本発明の一実施例に係る加工用治具とウォータージャケットとの配置関係を示す部分平面図、図6は本発明の一実施例に係る加工用治具の挿入状態を示す部分断面図である。
図4に示す如く、本実施形態の加工用治具20は、ホーニング装置15を構成するホーンガイド17の下面17bに備えられている。さらに詳述すると、加工用治具20は、ホーンガイド17の下面17bから下方に突出するように植設される外力付加部材たる複数の外力付加ツメ21・21・・・により構成している。本実施形態では、前述した加工対象であるシリンダボア4における4つのボルト位相の部分に対応するように、4つの外力付加ツメ21・21・・・を備えている。
図4に示す如く、本実施形態の加工用治具20は、ホーニング装置15を構成するホーンガイド17の下面17bに備えられている。さらに詳述すると、加工用治具20は、ホーンガイド17の下面17bから下方に突出するように植設される外力付加部材たる複数の外力付加ツメ21・21・・・により構成している。本実施形態では、前述した加工対象であるシリンダボア4における4つのボルト位相の部分に対応するように、4つの外力付加ツメ21・21・・・を備えている。
外力付加ツメ21は基部たる上側ツメ部材22と、押圧部たるピエゾ素子23と、接触部たる下側ツメ部材24からなる構成としている。そして、上側ツメ部材22および下側ツメ部材24によってピエゾ素子23を介設している。ピエゾ素子23には、押圧面として加工用治具20の外側に向けた外側端面23aと内側に向けた内側端面23bを形成している。また、外力付加ツメ21の脚長(即ち、図4中に示す距離L1)を、ウォータージャケット6の深さ(図6中に示す距離L2)に比して長くする構成としている。
また、図5に示す如く、4つの外力付加ツメ21・21・・・は同じ円周上に配置されるが、該円周の径は、ウォータージャケット6の径に対応している。さらに、外力付加ツメ21・21・・・が配置される角度(位相)は、ボルト位相に対応している。
そして、図6に示す如く、4つの外力付加ツメ21・21・・・をウォータージャケット6の上方に配置した後にホーンガイド17を下降させて、4つの外力付加ツメ21・21・・・をウォータージャケット6に挿入するようにしている。このとき、外側端面23aはウォータージャケット6の外側面(以下、「ジャケット外側面」とする。)13と略平行に対面し、内側端面23bはシリンダ部外周面14と略平行に対面している。これにより、4つの外力付加ツメ21・21・・・をウォータージャケット6のボルト位相に対応した位置に適切に挿入するようにしている。
このように本発明に係る加工用治具20(即ち、外力付加ツメ21・21・・・)は、ホーニング装置15のホーンガイド17に付設する構成としている。
このような構成とすることにより、従来のホーニング装置をそのまま活用することができ、生産手順の変更を抑えることができるのである。
このような構成とすることにより、従来のホーニング装置をそのまま活用することができ、生産手順の変更を抑えることができるのである。
次に、本発明の第一実施形態に係る外力付加ツメ21について、図7および図8を用いて説明する。図7は本発明の第一実施例に係る外力付加ツメの非通電時の状況を示す模式図、図8は本発明の第一実施例に係る外力付加ツメの通電時の状況を示す模式図である。
図7に示す如く、本発明の第一実施形態に係る外力付加ツメ21は基部たる上側ツメ部材22と、押圧部たるピエゾ素子23と、接触部たる下側ツメ部材24からなる構成としている。なお、外力付加ツメ21は導電性部材にて構成されている。
基部たる上側ツメ部材22は、ホーンガイド17に対してピエゾ素子23を支持する役目を果たす部材である。また、接触部たる下側ツメ部材24は、加工用治具20をウォータージャケット6の底部6aに接触させる際の接点となる部位である。
基部たる上側ツメ部材22は、ホーンガイド17に対してピエゾ素子23を支持する役目を果たす部材である。また、接触部たる下側ツメ部材24は、加工用治具20をウォータージャケット6の底部6aに接触させる際の接点となる部位である。
図7および図8に示す如く、外力付加ツメ21が備える押圧部たるピエゾ素子23は、略直方体形状に形成している。ピエゾ素子23は、圧電素子とも呼ばれるものであり、通電することによって体積が膨張する性質を有している。
本発明はこの性質を利用するものであり、ピエゾ素子23の幅(即ち、外側端面23aと内側端面23bの面間距離)を、非通電状態においては、図7に示す如くウォータージャケット6の隙間の幅(即ち、ジャケット外側面13とシリンダ部外周面14の面間距離)に比して厚みが小さくなり、かつ、通電状態においては、図8に示す如くウォータージャケット6の隙間の幅(即ち、ジャケット外側面13とシリンダ部外周面14の面間距離)に比して厚みが大きくなる幅に設定している。
本発明はこの性質を利用するものであり、ピエゾ素子23の幅(即ち、外側端面23aと内側端面23bの面間距離)を、非通電状態においては、図7に示す如くウォータージャケット6の隙間の幅(即ち、ジャケット外側面13とシリンダ部外周面14の面間距離)に比して厚みが小さくなり、かつ、通電状態においては、図8に示す如くウォータージャケット6の隙間の幅(即ち、ジャケット外側面13とシリンダ部外周面14の面間距離)に比して厚みが大きくなる幅に設定している。
即ち、本実施形態では、ウォータージャケット6に非通電状態のピエゾ素子23を挿入し、その後ピエゾ素子23に通電することによりピエゾ素子23を膨張させるようにしている。
そして、外側端面23aおよび内側端面23bが押圧部となって、内側端面23bによって直接シリンダ部外周面14を押圧する構成としている。これにより、ボルト位相部分の剛性を高めるとともに、ボルト位相部分のシリンダ部5を内側に膨らむように変形させるようにしている。
そして、外側端面23aおよび内側端面23bが押圧部となって、内側端面23bによって直接シリンダ部外周面14を押圧する構成としている。これにより、ボルト位相部分の剛性を高めるとともに、ボルト位相部分のシリンダ部5を内側に膨らむように変形させるようにしている。
ここで、ピエゾ素子23に通電するための方法について、図3を用いて説明する。
図3に示す如く、本実施形態のホーニング装置15には、ピエゾ素子23への通電手段でありシリンダブロック1およびホーンヘッド16に電圧を印加する電源部25を備えている。
さらに詳述すると、電源部25の陽極側の配線25aはホーンガイド17と接続しており、かつ、負極側の配線25bはシリンダブロック1をホーニング装置15に固定するためのベース部15cに接続しており、外力付加ツメ21・21が陽極側の端子となって、かつ、シリンダブロック1が負極側の端子となる構成としている。
図3に示す如く、本実施形態のホーニング装置15には、ピエゾ素子23への通電手段でありシリンダブロック1およびホーンヘッド16に電圧を印加する電源部25を備えている。
さらに詳述すると、電源部25の陽極側の配線25aはホーンガイド17と接続しており、かつ、負極側の配線25bはシリンダブロック1をホーニング装置15に固定するためのベース部15cに接続しており、外力付加ツメ21・21が陽極側の端子となって、かつ、シリンダブロック1が負極側の端子となる構成としている。
そして、位置決め部15bによるホーンガイド17のシリンダブロック1側への近接動作によって外力付加ツメ21・21・・・をウォータージャケット6に挿入する。このとき、下側ツメ部材24・24・・・がウォータージャケット6の底部6aと接触する位置までホーンガイド17をシリンダブロック1側に近接させる。
そして、下側ツメ部材24・24・・・がウォータージャケット6の底部6aと接触することにより外力付加ツメ21・21とシリンダブロック1との間で導通が生じ、このときピエゾ素子23に通電がなされる構成としている。
そして、下側ツメ部材24・24・・・がウォータージャケット6の底部6aと接触することにより外力付加ツメ21・21とシリンダブロック1との間で導通が生じ、このときピエゾ素子23に通電がなされる構成としている。
このような構成とすることにより、ピエゾ素子23に通電するための配線を省略することができる。また、ピエゾ素子23に対する通電および非通電状態の切替えを、従来からホーニング装置15に備わっているホーンガイド17の近接および離間動作によって行うため、従来の装置構成をそのまま利用した簡易な装置構成とすることができる。
即ち、本発明に係る加工用治具20では、ピエゾ素子23・23・・・は、外力付加ツメ21・21・・・がウォータージャケット6の底部6aに接触し、外力付加ツメ21・21・・・とシリンダブロック1の間に導通が生じることにより通電する構成としている。
このような構成とすることにより、ピエゾ素子23への配線を省略することができ、加工用治具20を簡素化することができるのである。
このような構成とすることにより、ピエゾ素子23への配線を省略することができ、加工用治具20を簡素化することができるのである。
次に、本発明の第二実施形態に係る外力付加ツメ31について、図9〜図11を用いて説明する。図9は本発明の第二実施例に係る外力付加ツメの非通電時の状況を示す模式図、図10は本発明の第二実施例に係る外力付加ツメの通電時の状況を示す模式図、図11は本発明の第二実施例に係る外力付加ツメの通電時におけるねじれの発生状況を示す模式図である。
図9に示す如く、本発明の第二実施形態に係る外力付加ツメ31は基部たる上側ツメ部材32と、押圧部33と、接触部たる下側ツメ部材34からなり、押圧部33はピエゾ素子33aを備えている。そして、上側ツメ部材32および下側ツメ部材34によってピエゾ素子33aを介設している。また、外力付加ツメ31の脚長(図4中に示す距離L1に相当する距離)が、ウォータージャケット6の深さ(図6中に示す距離L2)に比して長くする構成としている。なお、外力付加ツメ31は導電性部材にて構成されている。
基部たる上側ツメ部材32は、ホーンガイド17に対してピエゾ素子33aを支持する役目を果たす部材である。また、接触部たる下側ツメ部材34は、加工用治具20をウォータージャケット6の底部6aに接触させる際の接点となる部位である。
図9に示す如く、本発明の第二実施形態に係る外力付加ツメ31において、押圧部33は、略直方体形状に形成した膨張部材たるピエゾ素子33aを有しており、ピエゾ素子33aに通電することによる体積膨張を利用する点では、第一実施形態に係る外力付加ツメ21と同様であるが、ピエゾ素子33aの対向する2方向の端面33b・33cに2つの接触子35・36を備えている点で異なっている。
接触子35・36には、端面33b・33cに対して傾斜している傾斜面35a・36aを形成している。そして、接触子35・36の端面33b・33cから最も離れた部位である頂部35b・36bにおいて、ウォータージャケット6の内面と接触する構成としている。
図9および図10に示す如く、第二実施形態に係る押圧部33では、非通電状態においてはウォータージャケット6の隙間の幅(即ち、ジャケット外側面13とシリンダ部外周面14の面間距離)に比して頂部35b・36b間の距離(即ち、図9中に示す距離L3)が小さくなり、かつ、通電状態においてはウォータージャケット6の隙間の幅(即ち、ジャケット外側面13とシリンダ部外周面14の面間距離)に比して頂部35b・36b間の距離(L3)が大きくなる構成としている。
即ち、ウォータージャケット6に、図9に示す非通電状態の押圧部33を挿入し、その後図10に示す如くピエゾ素子33aに通電することによりピエゾ素子33aを膨張させて、接触子35・36によってシリンダ部外周面14を押圧するようにしている。これにより、ボルト位相部分の剛性を高めるとともに、ボルト位相部分のシリンダ部5を内側に膨らむように変形させるようにしている。
但し、第二実施形態に係る押圧部33では、非通電状態において、ウォータージャケット6の隙間の幅(即ち、ジャケット外側面13とシリンダ部外周面14の面間距離)に比して頂部35b・36b間の距離(L3)を必ずしも小さくなる構成とする必要はなく、ウォータージャケット6の隙間の幅(即ち、ジャケット外側面13とシリンダ部外周面14の面間距離)に比して頂部35b・36b間の距離(L3)が大きい場合であっても、押圧部33をウォータージャケット6に押し込めば、上側ツメ部材32がねじれて押圧部33が上側ツメ部材32を軸として回転し、押圧部33をウォータージャケット6に挿入することができる。
このため、第二実施形態に係る押圧部33では、ウォータージャケット6の隙間の幅(即ち、ジャケット外側面13とシリンダ部外周面14の面間距離)に寸法誤差があった場合であっても、押圧部33をウォータージャケット6に挿入することができる。
そして、ウォータージャケット6に図9に示す如く非通電状態の押圧部33を挿入し、その後図10に示す如く、押圧部33に通電することによりピエゾ素子33aを膨張させて、接触子35・36によってシリンダ部外周面14を押圧するようにしている。
このとき、頂部35bによる押圧点Pと頂部36bによる押圧点Qを結ぶ線分PQは、各頂部35b・36bによる押圧方向に対して傾きを有している。このような構成とすることにより、押圧部33の基部となる上側ツメ部材32に対してモーメント力を付与することができる。
即ち、第二実施形態に係る外力付加ツメ31による加工方法においては、接触子35・36は、ピエゾ素子33aの対向する2方向の端面33b・33cに2箇所設けられ、接触子35・36によるウォータージャケット6の内壁(即ち、ジャケット外側面13およびシリンダ部外周面14)を押圧する位置を結ぶ線分PQが、押圧方向に対して傾きを有している。
このような構成とすることにより、ピエゾ素子33aの膨張作用によって、外力付加ツメ21・21・・・にモーメント力を付与することができるのである。
このような構成とすることにより、ピエゾ素子33aの膨張作用によって、外力付加ツメ21・21・・・にモーメント力を付与することができるのである。
ここで、図11に示す如く、第二実施形態に係る押圧部33では、頂部35b・36bがシリンダ部外周面14を押圧すると、外力付加ツメ31(より詳しくは、上側ツメ部材32)にはモーメント力が作用し、ねじれが発生する。このとき、ピエゾ素子33aにより発生する押圧力と、シリンダ部外周面14に実際に付与される押圧力と、外力付加ツメ31に作用するモーメント力の三者(3つの力)がつり合っている。このため、外力付加ツメ31を構成する材料や外力付加ツメ31の断面形状を適宜選択し外力付加ツメ31のねじり剛性を調整すれば、ピエゾ素子33aによってシリンダ部外周面14に実際に付与される押圧力を適正に維持することが可能となる。
このため、第二実施形態に係る押圧部33では、ウォータージャケット6の隙間の幅(即ち、ジャケット外側面13とシリンダ部外周面14の面間距離)に寸法誤差があった場合であっても、押圧部33によってシリンダ部外周面14に実際に付与される押圧力を適正に維持することが可能となる。
またピエゾ素子にはヒステリシスがあり、同じ電圧を印加しても体積の膨張量にばらつきが生じるという問題点があるが、第二実施形態に係る押圧部33では、外力付加ツメ31のねじれによってピエゾ素子33aの体積膨張量のばらつきを吸収し、押圧部33によってシリンダ部外周面14に実際に付与される押圧力を適正に維持することが可能となる。
即ち、ピエゾ素子33aに接触子35・36を付設し、ピエゾ素子33aによって、接触子35・36を介してウォータージャケット6の内壁(即ち、ジャケット外側面13およびシリンダ部外周面14)を押圧する構成としている。
このような構成とすることにより、ピエゾ素子33aによる押圧力を調整することができるのである。
このような構成とすることにより、ピエゾ素子33aによる押圧力を調整することができるのである。
次に、本発明の第三実施形態に係る外力付加ツメ41について、図12〜図14を用いて説明する。図12は本発明の第三実施例に係る外力付加ツメの非通電時の状況を示す模式図、図13は本発明の第三実施例に係る外力付加ツメの通電時の状況を示す模式図、図14は本発明の第三実施例に係る外力付加ツメの通電時におけるねじれの発生状況を示す模式図である。
図12に示す如く、本発明の第三実施形態に係る外力付加ツメ41は、基部たる上側ツメ部材42と、押圧部43と、接触部たる下側ツメ部材44からなり、押圧部43はピエゾ素子43aを備えている。そして、上側ツメ部材42および下側ツメ部材44によってピエゾ素子43aを介設している。また、外力付加ツメ41の脚長(図4中に示す距離L1に相当する距離)が、ウォータージャケット6の深さ(図6中に示す距離L2)に比して長くする構成としている。なお、外力付加ツメ41は導電性部材にて構成されている。
基部たる上側ツメ部材42は、ホーンガイド17に対してピエゾ素子43aを支持する役目を果たす部材である。また、接触部たる下側ツメ部材44は、加工用治具20をウォータージャケット6の底部6aに接触させる際の接点となる部位である。
図12に示す如く、本発明の第三実施形態に係る押圧部43は、略直方体形状に形成したピエゾ素子43aを有しており、ピエゾ素子43aに通電することによる体積膨張を利用する点では、第一および第二実施形態に係る外力付加ツメ21・31と同様である。
また、ピエゾ素子43aの対向する2方向の端面43b・43cに2つの接触子45・46を備えている点で、第二実施形態に係る押圧部33と同様である。
しかし、接触子45・46の頂部45a・46aにローラー47・48を備えている点において、第二実施形態に係る押圧部33とは異なっている。
また、ピエゾ素子43aの対向する2方向の端面43b・43cに2つの接触子45・46を備えている点で、第二実施形態に係る押圧部33と同様である。
しかし、接触子45・46の頂部45a・46aにローラー47・48を備えている点において、第二実施形態に係る押圧部33とは異なっている。
接触子45・46には、端面43b・43cに対して傾斜している傾斜部45b・46bを形成している。そして、接触子45・46の端面43b・43cから最も離れた部位である頂部45a・46aを軸心とするローラー47・48を設けており、接触子45・46がローラー47・48においてウォータージャケット6の内面と接触する構成としている。
図12および図13に示す如く、第三実施形態に係る押圧部43では、非通電状態においてはウォータージャケット6の隙間の幅(即ち、ジャケット外側面13とシリンダ部外周面14の面間距離)に比して、ローラー47・48のピエゾ素子43aからの距離が最大となる部位である最遠部47a・48a間の距離(図12中に示す距離L4)が小さくなり、かつ、通電状態においてはウォータージャケット6の隙間の幅(即ち、ジャケット外側面13とシリンダ部外周面14の面間距離)に比して、最遠部47a・48a間の距離(L4)が大きくなる構成としている。
即ち、ウォータージャケット6に、図12に示す非通電状態の押圧部43を挿入し、その後図13に示す如く押圧部43に通電することによりピエゾ素子43aを膨張させて、接触子45・46のローラー47・48によってシリンダ部外周面14を押圧するようにしている。これにより、ボルト位相部分の剛性を高めるとともに、ボルト位相部分のシリンダ部5を内側に膨らむように変形させるようにしている。
このとき、最遠部47aによる押圧点Rと最遠部48aによる押圧点Sを結ぶ線分RSは、各最遠部47a・48aによる押圧方向に対して傾きを有している。このような構成とすることにより、第二実施形態に係る押圧部33と同様に、押圧部43の基部となる上側ツメ部材42に対してモーメント力を付与することができる。
ここで、図14に示す如く、第二実施形態に係る押圧部33と同様に、第三実施形態に係る押圧部43においても、最遠部47a・48aがシリンダ部外周面14を押圧すると、外力付加ツメ41(より詳しくは、上側ツメ部材42)にはモーメント力が作用し、ねじれが発生する。このとき、ピエゾ素子43aにより発生する押圧力と、シリンダ部外周面14に実際に付与される押圧力と、外力付加ツメ41に作用するモーメント力の三者がつり合っている。
このため、外力付加ツメ41を構成する材料や外力付加ツメ41の断面形状を適宜選択し外力付加ツメ41のねじり剛性を調整すれば、ピエゾ素子43aによってシリンダ部外周面14に実際に付与される押圧力を適正に維持することが可能となる。
このため、外力付加ツメ41を構成する材料や外力付加ツメ41の断面形状を適宜選択し外力付加ツメ41のねじり剛性を調整すれば、ピエゾ素子43aによってシリンダ部外周面14に実際に付与される押圧力を適正に維持することが可能となる。
このような構成とすることにより、第二実施形態に係る押圧部33と同様の機能を発揮しつつ、押圧部43とシリンダ部外周面14が接触する位置における接触抵抗を軽減し、押圧部43がよりスムーズに回転されることによって、シリンダ部外周面14に対して、より安定して押圧部43による押圧力を付与することが可能となる。また、押圧部43およびシリンダ部外周面14が互いの接触により摩耗することが防止できる。
即ち、接触子45・46は、ウォータージャケット6の内壁(即ち、ジャケット外側面13およびシリンダ部外周面14)と接触する部位にローラー47・48を有する構成としている。
このような構成とすることにより、ウォータージャケット6の内壁(即ち、ジャケット外側面13およびシリンダ部外周面14)や接触子45・46の摩耗を低減することができるのである。
このような構成とすることにより、ウォータージャケット6の内壁(即ち、ジャケット外側面13およびシリンダ部外周面14)や接触子45・46の摩耗を低減することができるのである。
次に、本発明に係る加工用治具20による逆変形の加工方法について、図15〜図21を用いて説明する。図15は本発明の一実施例に係る外力付加ツメを用いた逆変形加工の加工フローを示すフロー図、図16は本発明の一実施例に係る外力付加ツメを用いた逆変形加工方法による加工状況(Step1)を示す模式図、図17は本発明の一実施例に係る外力付加ツメを用いた逆変形加工方法による加工状況(Step2〜Step4)を示す模式図、図18は本発明の一実施例に係る外力付加ツメを用いた逆変形加工方法による加工状況(Step5)を示す模式図、図19は本発明の一実施例に係る外力付加ツメを用いた逆変形加工方法による加工状況(Step6)を示す模式図、図20は本発明の一実施例に係る外力付加ツメを用いた逆変形加工方法による加工状況(Step7)を示す模式図、図21は本発明の一実施例に係る外力付加ツメを用いた逆変形加工方法による加工状況(Step8〜Step9)を示す模式図である。尚、本説明では第一実施形態に係る外力付加ツメ21を備えた加工用治具20を用いた例によって、本発明に係る加工方法の説明を行うが、第二および第三実施形態に係る外力付加ツメ31・41を備える加工用治具を用いても同様の加工方法とすることができる。
図15および図16に示す如く、まず始めに、ホーニング加工の対象となるシリンダボア4を選択し、選択したシリンダボア4の位置に対応する所定の位置にホーンガイド17を位置決めする(Step1)。本実施形態では、選択したシリンダボア4の軸心とホーンガイド17の軸心が一致する位置にホーンガイド17を配置している。
次に図15および図17に示す如く、電源部25をON状態とした後に(Step2)、ホーンガイド17を下降させて外力付加ツメ21・21・・・をウォータージャケット6に挿入していく(Step3)。本実施形態では、外力付加ツメ21・21・・・がウォータージャケット6の底部6aにおいてシリンダブロック1と接触したことを、シリンダブロック1と外力付加ツメ21・21・・・との間で導通が生じたことによって、電源部25によって検知する構成としている。
そして、外力付加ツメ21・21・・・がウォータージャケット6の底部6aにおいてシリンダブロック1と接触したことが検知されるまでは、ホーンガイド17を継続して下降させていく(Step4)。
そして、外力付加ツメ21・21・・・がウォータージャケット6の底部6aにおいてシリンダブロック1と接触したことが検知されるまでは、ホーンガイド17を継続して下降させていく(Step4)。
次に図15および図18に示す如く、外力付加ツメ21・21・・・がウォータージャケット6の底部6aにおいてシリンダブロック1と接触すると、その時点でホーンガイド17の下降を停止させるようにしている(Step5)。
それと同時に、外力付加ツメ21・21・・・が、ウォータージャケット6の底部6aにおいてシリンダブロック1と接触すると、ピエゾ素子23に通電がなされてピエゾ素子23が膨張し、ピエゾ素子23によってシリンダ部外周面14を押圧するようになる(同じくStep5)。このように、ホーンガイド17を外力付加ツメ21・21・・・がウォータージャケット6の底部6aにおいてシリンダブロック1と接触したことを検知した位置で停止させることにより、ピエゾ素子23に対する通電状態を保持し、ピエゾ素子23によるシリンダ部外周面14の押圧状態を保持するようにしている。これにより、ボルト位相部分の剛性を高めるとともに、ボルト位相部分のシリンダ部5を内側に膨らむように変形させるようにしている。
次に図15および図19に示す如く、ピエゾ素子23によるシリンダ部外周面14の押圧状態を保持しながら、ホーニング装置15によってボア加工(ホーニング仕上)を施すようにしている(Step6)。
そして図15および図20に示す如く、ボア加工が完了した時点で電源部25をOFF状態とし、ピエゾ素子23に対する通電状態を解除して、ピエゾ素子23によるシリンダ部外周面14の押圧状態を解除するようにしている(Step7)。
そして図15および図21に示す如く、ピエゾ素子23によるシリンダ部外周面14の押圧状態を解除した後にホーンガイド17を上昇させる(Step8)。これにより、ピエゾ素子23によってウォータージャケット6内を傷つけることがない。
そして、外力付加ツメ21・21・・・がウォータージャケット6から抜き出される位置までホーンガイド17を上昇させて、選択したシリンダボア4に対する一連の逆変形付与加工の工程を完了するようにしている(Step9)。
そして、外力付加ツメ21・21・・・がウォータージャケット6から抜き出される位置までホーンガイド17を上昇させて、選択したシリンダボア4に対する一連の逆変形付与加工の工程を完了するようにしている(Step9)。
即ち、本発明に係る加工用治具20によるシリンダボア4の加工方法は、ヘッドボルトによってシリンダヘッドが固定されるヘッド取付面3と、ヘッド取付面3に開口し、ピストンを摺動可能に内装する円柱状の孔部であるシリンダボア4と、シリンダボア4を囲む壁状部分であるシリンダ部5と、シリンダ部5を介してシリンダボア4を囲むように形成され、ヘッド取付面3に開口するウォータージャケット6と、前記ヘッドボルトによるボルト締結部10と、を有するシリンダブロック1の加工方法であって、ウォータージャケット6の深さより長く、かつ、ピエゾ素子23を有する外力付加ツメ21を、ウォータージャケット6の底部6aに到達するようにボルト締結部10の位相にてウォータージャケット6に挿入した後に、ピエゾ素子23に通電し、ピエゾ素子23によって、ボルト締結部10の位相に対応する位置でウォータージャケット6の壁面(即ち、ジャケット外側面13およびシリンダ部外周面14)を押圧しつつ、ホーニング装置15によって、シリンダボア4を真円加工するものである。
これにより、簡易な機構でシリンダヘッド組付け時のボア変形を再現することができ、容易にシリンダボア4の組付け時の真円度を向上することができるのである。
これにより、簡易な機構でシリンダヘッド組付け時のボア変形を再現することができ、容易にシリンダボア4の組付け時の真円度を向上することができるのである。
1 シリンダブロック
3 ヘッド取付面(シリンダヘッド取付面)
4 シリンダボア
5 シリンダ部
6 ウォータージャケット
6a 底部
10 ボルト締結部(締結部)
13 ジャケット外側面
14 シリンダ部外周面
15 ホーニング装置
20 加工用治具
21 外力付加ツメ(外力付加手段)
23 ピエゾ素子
3 ヘッド取付面(シリンダヘッド取付面)
4 シリンダボア
5 シリンダ部
6 ウォータージャケット
6a 底部
10 ボルト締結部(締結部)
13 ジャケット外側面
14 シリンダ部外周面
15 ホーニング装置
20 加工用治具
21 外力付加ツメ(外力付加手段)
23 ピエゾ素子
Claims (12)
- 締結部材によってシリンダヘッドが固定されるシリンダヘッド取付面と、
該シリンダヘッド取付面に開口し、ピストンを摺動可能に内装する円柱状の孔部であるシリンダボアと、
該シリンダボアを囲む壁状部分であるシリンダ部と、
該シリンダ部を介して前記シリンダボアを囲むように形成され、前記シリンダヘッド取付面に開口するウォータージャケットと、
前記締結部材による締結部と、
を有するシリンダブロックの加工方法であって、
前記ウォータージャケットの深さより長く、かつ、ピエゾ素子を有する外力付加部材を、前記ウォータージャケットの底部に到達するように前記締結部の位相にて前記ウォータージャケットに挿入した後に、前記ピエゾ素子に通電し、
前記ピエゾ素子によって、前記締結部の位相に対応する位置で前記ウォータージャケットの壁面を押圧しつつ、
ホーニング装置によって、前記シリンダボアを真円加工する、
ことを特徴とするシリンダブロックの加工方法。 - 前記ピエゾ素子は、
前記外力付加部材が前記ウォータージャケットの底部に接触し、
前記外力付加部材と前記シリンダブロックの間に導通が生じることにより通電する、
ことを特徴とする請求項1記載のシリンダブロックの加工方法。 - 前記外力付加部材は、
前記ホーニング装置のホーンガイドに付設する、
ことを特徴とする請求項1または請求項2のいずれか一項に記載のシリンダブロックの加工方法。 - 前記ピエゾ素子に接触子を付設し、
前記ピエゾ素子によって、
前記接触子を介して前記ウォータージャケットの内壁を押圧する、
ことを特徴とする請求項3記載のシリンダブロックの加工方法。 - 前記接触子は、
前記ピエゾ素子の対向する面に2箇所設けられ、
前記接触子による前記ウォータージャケットの内壁を押圧する位置を結ぶ線分が、
押圧方向に対して傾きを有する、
ことを特徴とする請求項4記載のシリンダブロックの加工方法。 - 前記接触子は、
前記ウォータージャケットの内壁と接触する部位にローラーを有する、
ことを特徴とする請求項4または請求項5のいずれか一項に記載のシリンダブロックの加工方法。 - 締結部材によってシリンダヘッドが固定されるシリンダヘッド取付面と、
該シリンダヘッド取付面に開口し、ピストンを摺動可能に内装する円柱状の孔部であるシリンダボアと、
該シリンダボアを囲む壁状部分であるシリンダ部と、
該シリンダ部を介して前記シリンダボアを囲むように形成され、前記シリンダヘッド取付面に開口するウォータージャケットと、
前記締結部材による締結部と、
を有するシリンダブロックの加工用治具であって、
前記ウォータージャケットの深さより長く、かつ、ピエゾ素子を有する外力付加部材を備える、
ことを特徴とするシリンダブロックの加工用治具。 - 前記ピエゾ素子は、
前記外力付加部材が前記ウォータージャケットの底部に接触し、
前記外力付加部材と前記ウォータージャケットの間に導通が生じることにより通電する、
ことを特徴とする請求項7記載のシリンダブロックの加工用治具。 - 前記外力付加部材は、
ホーニング装置のホーンガイドに付設する、
ことを特徴とする請求項7または請求項8のいずれか一項に記載のシリンダブロックの加工用治具。 - 前記ピエゾ素子に接触子を付設し、
前記ピエゾ素子によって、
前記接触子を介して前記ウォータージャケットの内壁を押圧する、
ことを特徴とする請求項9に記載のシリンダブロックの加工用治具。 - 前記接触子は、
前記ピエゾ素子の対向する面に2箇所設けられ、
前記接触子によって前記ウォータージャケットの内壁を押圧する位置を結ぶ線分が、
押圧方向に対して傾きを有する、
ことを特徴とする請求項10記載のシリンダブロックの加工用治具。 - 前記接触子は、
前記ウォータージャケットの内壁と接触する部位にローラーを有する、
ことを特徴とする請求項10または請求項11のいずれか一項に記載のシリンダブロックの加工用治具。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008032234A JP2009190114A (ja) | 2008-02-13 | 2008-02-13 | シリンダブロックの加工用治具および加工方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008032234A JP2009190114A (ja) | 2008-02-13 | 2008-02-13 | シリンダブロックの加工用治具および加工方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2009190114A true JP2009190114A (ja) | 2009-08-27 |
Family
ID=41072608
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2008032234A Pending JP2009190114A (ja) | 2008-02-13 | 2008-02-13 | シリンダブロックの加工用治具および加工方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2009190114A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN107332460A (zh) * | 2017-02-27 | 2017-11-07 | 西安交通大学 | 一种高性能压电单晶贴片式环型超声电机用振子 |
CN113107448A (zh) * | 2021-04-15 | 2021-07-13 | 中国石油大学(北京) | 压裂模拟方法 |
KR102325303B1 (ko) * | 2021-05-17 | 2021-11-10 | 허정민 | 원통형 실린더 연마지그 |
-
2008
- 2008-02-13 JP JP2008032234A patent/JP2009190114A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN107332460A (zh) * | 2017-02-27 | 2017-11-07 | 西安交通大学 | 一种高性能压电单晶贴片式环型超声电机用振子 |
CN113107448A (zh) * | 2021-04-15 | 2021-07-13 | 中国石油大学(北京) | 压裂模拟方法 |
KR102325303B1 (ko) * | 2021-05-17 | 2021-11-10 | 허정민 | 원통형 실린더 연마지그 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4548440B2 (ja) | シリンダブロックの加工用治具および加工方法 | |
JP4518059B2 (ja) | シリンダブロックの加工用治具及び加工方法 | |
US8191529B2 (en) | Method of manufacturing an engine block | |
CN105345735B (zh) | 一种气缸套拆除装置 | |
JP2009190114A (ja) | シリンダブロックの加工用治具および加工方法 | |
CN103203504A (zh) | 涨缩式滚齿胎具 | |
WO2012024491A4 (en) | Inter stage seal housing having a replaceable wear strip | |
JP2009017701A (ja) | ロータかしめ方法およびロータかしめ装置 | |
US8347497B2 (en) | Processing method, processing jig for cylinder block and the cylinder block | |
US9057341B2 (en) | Engine cylinder mid-stop | |
JP2012012976A5 (ja) | ||
CN201102135Y (zh) | 一种拆卸气缸盖上气门座的装置 | |
JP2014024165A (ja) | ピストンの組付方法及びこれに用いるガイド治具 | |
CN202207793U (zh) | 自定位堵片压头 | |
CN205693506U (zh) | 一种伺服电机压板装置 | |
CN112975338B (zh) | 一种发动机轴瓦安装与拆卸工装 | |
CN203817849U (zh) | 带线圈保护功能的机床夹具 | |
CN203304713U (zh) | 涨缩式滚齿胎具 | |
JP2005199378A (ja) | シリンダボア内周面のホーニング加工方法、及びシリンダボア内周面のホーニング加工装置 | |
JP4577234B2 (ja) | シリンダブロック製造方法、及びシリンダブロック | |
JP2012035366A (ja) | シリンダブロックの加工用治具および加工方法 | |
JP2008298053A (ja) | シリンダブロックの加工方法及び加工用治具 | |
US8833330B2 (en) | Method of manufacturing an engine block | |
CN107465316B (zh) | 一种新能源电机用多层自动快速插磁钢装置 | |
JP4784596B2 (ja) | シリンダブロックの加工方法および加工用治具 |