JP2009189935A - 粉体処理装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 粉体処理装置は、上部開口部を備えた粉体容器と、粉体容器内に液状材料を供給するスプレーノズルと粉体容器内に配置された処理容器20を有し、処理容器20のスクリーン部材21の内壁面の円周方向の一部に近接し、スクリーン部材21の内壁面に対して相対速度を有する関係となることにより、クリアランス部に存在する粉体に対して剪断力を付与するインペラー23を有し、処理容器20の下方の通気板6の下方から上方に向かう気流を発生させる吸気用ブロアと、処理容器20の上方で粉体の通過を阻止し、粉体容器から気体のみを排出させるフィルタバックとを備え、スクリーン部材21には開口面積がスクリーンの孔よりも大きな排出口であるスリット21aを2つ設けている。
【選択図】 図2
Description
このような粉体処理装置としては、特許文献1には次のような粉体処理装置が記載されている。すなわち、粉体を密閉して収容する粉体容器と、粉体容器の内部に配置されて上部と下部とが開口となる筒状のドラフトチューブと、ドラフトチューブの下方に配置され、その内部の粉体に対して機械的な解砕力を付する解砕機構とを備えた粉体処理装置である。解砕機構は、機械的な解砕力を与える機構として解砕羽根を有するインペラーと、インペラーの解砕羽根と所定の間隙を設けて配設されたすり鉢状のスクリーン(篩)とを備える。この解砕機構では、インペラーが回転することにより、解砕羽根とスクリーンとによる機械的な解砕力によって、スクリーンのすり鉢状の内側にある粉体の凝集を分散し、分散された粉体はスクリーンの孔からすり鉢状のスクリーンの外側で、スクリーンと粉体容器との間の空間に移動する。また、スクリーンの下方には、粉体粒子の通過を阻止し、気体のみを通過させる通気手段と、通気手段の下方から通気手段を解して上方に向かう気流を発生させる気流発生手段とを備える。このような粉体処理装置では、粉体容器内でスクリーン及びドラフトチューブの外側にある粉体は、気流発生手段が発生させる気流によって粉体容器の内壁面とドラフトチューブの側面との間の空間を上昇する。上昇してドラフトチューブの上方に到達した粉体は、ドラフトチューブの上部の開口に落下し、ドラフトチューブの下方のスクリーンの孔から粉体容器内でスクリーン及びドラフトチューブの外側となる空間に至る。ドラフトチューブの内部の粉体は、ドラフトチューブの内側を下って、すり鉢状のスクリーン内に至り、スクリーンの孔からスクリーン及びドラフトチューブの外側の空間に移動して、ドラフトチューブの側面の外側の空間を上昇して、ドラフトチューブの上方に至り、ドラフトチューブの上部の開口部から再び内部に戻る。このように粉体容器内の粉体は、粉体容器内のドラフトチューブの内側と外側とを循環する流動層を形成している。
また、この粉体処理装置は、粉体にコーティング液を噴霧するスプレーノズルを備え、ドラフトチューブの側面と粉体容器の内壁面との空間の粉体に対してコーティング液の噴霧する。このコーティング液の噴霧によって、コーティング液に含まれるコーティング剤が粉体の表面に付着する。インペラーとスクリーンとからなる解砕機構は、ドラフトチューブの内部に沿って下降し、凝集した状態の粉体をインペラーが回転することによって分散する。このような粉体処理装置によって粉体のコーティング処理を行うことができる。
また、特許文献2には、特許文献1に示されたような装置によって、電子写真用のトナー粒子のような、粒子径が数[μm]の微粒子に対してコーティング処理を行う、具体的な応用例が示されている。
この粉体処理装置では、粉体を密閉して収容した粉体容器としてのケーシングを有し、このケーシング内に鉛直方向に沿った回転軸心の回りに回転自在で、被処理物が押し付けられる受け面を内周部に有する処理容器としての筒状回転体を有する。また、この筒状回転体の受け面に近接するよう筒状回転体の内部に配置したインナーピースと呼ばれる圧縮部材を備える。そして、筒状回転体を回転させることで、受け面とインナーピースとを相対回転させ、受け面とインナーピースとの間の押圧部に存在する粉体に押圧力を付与して粉体処理を行うものである。また、押圧部となりうる筒状回転体の一部に孔部を設けており、この孔部から筒状回転体内の粉体を筒状回転体の外周とケーシングとの間の空間に排出する構成となっている。筒状回転体は上部が開口となっており、筒状回転体の外周下部には羽根部材が設けられており、筒状回転体が回転することにより、羽根部材が回転し、筒状回転体の外周とケーシングとの間の空間の粉体を上方へと舞い上げる。この粉体処理装置では、筒状回転体が回転することにより、筒状回転体内の粉体は受面とインナーピースとの間の押圧部で押圧力を受けて粉体処理が行われながら、その一部は筒状回転体の孔部より筒状回転体の外部に排出される。筒状回転体の外周とケーシングとの間の空間に排出された粉体は、羽根部材によって舞い上げられ、筒状回転体の上部の開口部より筒状回転体の内部に戻り循環する。
特許文献3に示された様な粉体処理装置の具体的な微粒子コーティングへの応用事例は、例えば特許文献4の実施例4において、平均粒径9[nm]の粉末を、メタノールや水を添加しつつ粒子径30[μm]未満で造粒した事例が示されている。
特許文献1や特許文献2に記載の粉体処理装置では、解砕機構として用いられているスクリーンとインペラーにより、凝集しやすい状態の粉体を解砕しながらコーティングする方法を提案している。しかしながら、処理過程で流動性が悪化しやすいものや、凝集性が高くなるものについては、円滑にスクリーンを通過できずにスクリーン上に滞留するおそれがある。さらには、滞留した粉体が、インペラーにより混練されて、解砕では無くむしろ粗大粒に造粒されてしまう問題がある。このような問題を防止するため、スクリーンの通過性をよくするためにスクリーンの開口径を大きくすると、解砕効果が減るために、凝集塊が発生しやすくなることが、特許文献2の段落番号0087に示されている。すなわち、この粉体処理装置では、コーティング過程の一時的な凝集性の悪化などに伴う、流動性の悪化が生じ、凝集性の上昇が起こる粉体については、適さない欠点があった。
一方、特許文献3に記載の粉体処理装置では、粉体容器であるケーシング内での気体の積極的な流通機構を有しないので、スプレーコーティングに要したコーティング液を効率良く乾燥・除去できないため、スプレーコーティングによって流動性悪化が起こる粉体に適さない問題があった。
このため、粒子径100[μm]以下の微粒子に対して、凝集させること無く、更に効率よくスプレーコーティング処理ができる新たな装置形態が必要とされていた。
また、請求項2の発明は、上部開口部を備えた粉体を収容するための粉体容器と、該粉体容器内に液状材料を供給する液状材料供給手段と、該粉体容器内に配置され、内部の粉体に対して剪断力を付与する処理を行う処理空間を形成し、水平面における該処理空間の断面形状が円形で、該処理空間の上方に開口部を備え、上方、下方、及び側方の該粉体容器の内壁面との間に空間を有する処理容器と、該処理容器の内壁面の円周方向の一部に近接し、該処理容器の内壁面に対して相対速度を有する関係となることにより、該処理容器の内壁面における近接する位置が変化し、該処理容器の内壁面と近接する位置での処理容器の内壁面との間隙に存在する粉体に対して剪断力を付与する剪断力付与部材とを有する粉体処理装置において、該処理容器の下方で粉体の通過を阻止し、気体のみを通過させる下方通気手段と、該下方通気手段の下方から上方に向かう気流を発生させる気流発生手段と、該粉体容器の該上部開口部に設けられ、粉体の通過を阻止し、該粉体容器から気体のみを排出させる上部通気手段とを備え、該処理容器の内壁面における該剪断力付与部材の近接する位置が変化することにより、該剪断力付与部材が近接し得る該処理容器の内壁面の箇所に、該処理容器内の該粉体容器の内壁面と粉体を該処理容器との間の空間に排出し、開口面積が該粉体容器に収容する粉体の流動性が悪化した状態であっても粉体が通過可能な開口面積である排出口を一つ以上設けたことを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、上部開口部を備えた粉体を収容するための粉体容器と、該粉体容器内に液状材料を供給する液状材料供給手段と、該粉体容器内に配置され、内部の粉体に対して剪断力を付与する処理を行う処理空間を形成し、水平面における該処理空間の断面形状が円形で、該処理空間の上方に開口部を備え、上方、下方、及び側方の該粉体容器の内壁面との間に空間を有する処理容器と、該処理容器の内壁面の円周方向の一部に近接し、該処理容器の内壁面に対して相対速度を有する関係となることにより、該処理容器の内壁面における近接する位置が変化し、該処理容器の内壁面と近接する位置での該処理容器の内壁面との間隙に存在する粉体に対して剪断力を付与する剪断力付与部材とを有する粉体処理装置において、該処理容器の下方で粉体の通過を阻止し、気体のみを通過させる下方通気手段と、該下方通気手段の下方から上方に向かう気流を発生させる気流発生手段と、該粉体容器の該上部開口部に設けられ、粉体の通過を阻止し、該粉体容器から気体のみを排出させる上部通気手段とを備え、該処理容器の内壁面における該剪断力付与部材の近接する位置が変化することにより、該剪断力付与部材が近接し得る該処理容器の内壁面の箇所の少なくとも一部が所定径の多数の孔を有するスクリーン部材からなり、該剪断力付与部材が近接し得る該処理容器の内壁面の箇所に、該処理容器内の粉体を該粉体容器の内壁面と該処理容器との間の空間に排出し、開口面積が該スクリーンの孔よりも大きな排出口を一つ以上設けたことを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1または2の粉体処理装置において、上記処理容器は上記剪断力付与部材と内壁面が近接し得る箇所の少なくとも一部が、所定径の多数の孔を有するスクリーン部材からなることを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1、2、3または4の粉体処理装置において、上記排出口がスリット状であることを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項1、2、3、4または5の粉体処理装置において、上記処理容器が回転することによって、上記剪断力付与部材が該処理容器の内壁面に対して相対速度を有する関係となることを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項1、2、3、4、5または6の粉体処理装置において、上記剪断力付与部材が回転することによって、該剪断力付与部材が上記処理容器の内壁面に対して相対速度を有する関係となることを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項1、2、3、4、5、6または7の粉体処理装置において、上記処理容器の下方、且つ、上記下方通気手段の上方に上記粉体容器に対して回転する羽根部材を設けることを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7または8の粉体処理装置において、上記液状材料供給手段は、上記処理容器と上記粉体容器の内壁面との間の空間に向けて液状材料を噴霧供給することを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9の粉体処理装置において、上記処理容器は、円筒状であることを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9の粉体処理装置において、上記処理容器の少なくとも下端部近傍が水平面における上記処理空間の断面積が下方ほど狭くなる、すり鉢状であることを特徴とするものである。
また、請求項12の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または11の粉体処理装置において、上記剪断力付与部材は、該処理容器の内壁面に対して相対速度を有する関係となることにより、該処理容器の内壁面との間隙に存在する粉体に対して該処理容器の内壁面に押し付けて圧縮力を付与する構成であることを特徴とするものである。
また、上記請求項2の構成を備えた発明においては、処理容器の内壁面における剪断力付与部材の近接する位置が変化することにより、剪断力付与部材が近接し得る処理容器の内壁面の箇所に、処理容器内の粉体を粉体容器の内壁面と処理容器との間の空間に排出する排出口の開口面積が粉体容器に収容する粉体の流動性が悪化した状態であっても粉体が通過可能な開口面積であるため、処理を行う粒径が100[μm]以下の粉体が、コーティング過程で一時的に流動性が悪化し、凝集性の上昇が起こったとしても処理容器内で粉体を滞留させることを防止することができる。
また、上記請求項3の構成を備えた発明においては、処理容器の内壁面における剪断力付与部材の近接する位置が変化することにより、剪断力付与部材が近接し得る処理容器の内壁面の箇所の少なくとも一部が所定径の多数の孔を有するスクリーン部材からなり、剪断力付与部材が近接し得る処理容器の内壁面の箇所に、処理容器内の粉体を処理容器と該粉体容器の内壁面との間の空間に排出する排出口の開口面積がスクリーンの孔よりも大きいため、粉体がスクリーンの孔を通過できない程度に粉体容器に収容する粉体の流動性が悪化した状態であっても、粉体が処理容器の内側から外側へ通過可能である。このため、処理を行う粒径が100[μm]以下の粉体が、コーティング過程で一時的に流動性が悪化し、凝集性の上昇が起こったとしても処理容器内で粉体を滞留させることを防止することができる。
さらに、上記請求項1乃至12の発明においては、処理容器の下方に下方通気手段と、下方通気手段の下方から上方に向かう気流を発生させる気流発生手段と、粉体容器の上部開口部に上部通気手段とを備え、粉体容器内での気体の積極的な流通機構を構成する。このような気体の流通機構によって処理容器内の下方から上方に向かう気流を発生させることができるため、液状材料供給手段によって粉体に供給された液状材料を効率良く乾燥・除去できる。
図1は、本実施形態の粉体処理装置100の概略説明図である。粉体処理装置100は、上部に開口部を備え、この上部開口部に粉体と気流の分離装置として、例えばパルスジェット式の逆洗機構を備えたフィルタバック14等を備えた集塵機類似の分離機構を備え、下部が円筒状の粉体容器10で形成されている。分離機構としては、粉体と気流を分離し、気流のみを排気する分離機構であればよく、集塵などに使用される折り布などの濾布ないしフィルタバックやバグフィルターと呼ばれるもの、樹脂焼結フィルタ、金属焼結フィルタ他、一般的に集塵装置や流動層造粒・コーティング装置に使用されているような分離装置を用いる。本実施形態では、内部が空洞の星型の筒状のフィルタカートリッジを用い、カートリッジの外側(筒の外側)がろ過エリアで、フィルタカートリッジの内部を経由して、カートリッジの上方に設置された開口部から排気する。カートリッジは、定期的にパルスジェット式の逆流洗浄をうけ、フィルタ表面の粉体の払い落としが行われる。またフィルタの設置方法としてはこれに限るものではなく、布状のフィルタバックでシェーキング方式が採用される。粉体と気流との分離方式では、ろ過方式に限るものではなく、サイクロンや、粉体分級機として用いられる回転ローターを分離装置として用いるのも良い。図1の粉体処理装置100の粉体容器10内部には、詳細は後述する処理容器20が備えられている。
また、処理容器20は、その上方、下方、及び側方の粉体容器10の内壁面との間に空間を有する。通気板6を通った気流は粉体層に供給されて粉体の流動層を形成し、この流動層は、処理容器20の側面と粉体容器10との間の空間を流れて上昇する。この空間を上昇する流動層にスプレーノズル7によって液体材料が供給される。また、この空間を上昇する流動層は層内温度計12によって温度が検出される。また、この気流は、通気板6の前段に設置されたエアーヒーター2により、加温して送気することができる。エアーヒーター2をエアークーラーとすれば、冷却して送気することもできる。
また、処理容器20の側面と粉体容器10との間の空間を上昇した流動層は、処理容器20の上方に至り、流動層を形成する粉体は処理容器20内に落下し、流動層を形成する気体の一部は、フィルタバック14を通過して、排気用ブロア18によって吸引されて排気A2として粉体容器10の外部に排出される。なお、フィルタバック14ではフィルタ部温度計15によって温度が検出され、フィルタバック14から排気用ブロア18に至る経路で排気温度計16によって排気A2の温度が検出される。
また、粉体容器10の下部に備えるモーター4は回転軸5を介して処理容器20が備える回転部材に回転駆動を伝達するものである。
また、フィルタバック14は逆洗エアーA3を吸引する吸引口19を備え、気体が粉体容器10内から排気用ブロア18に向かうときにフィルタバック14を通過するときとは逆方向に逆洗エアーA3を通過させることにより、フィルタバック14の粉体容器10の内側に付着した粉体を除去することができる。
次に、処理容器20の一つ目の構成例(以下、構成例1と呼ぶ)について説明する。
図2は、構成例1の粉体容器10の処理容器20近傍の拡大説明図である。図2(a)は、処理容器20近傍を側方から見た断面図であり、図2(b)は、処理容器20近傍を上方から見た断面図である。処理容器20内の通気板6の上部には、ガイドリング22とスリット付きのスクリーン部材21とからなる処理容器20が設置されている。処理容器20内のスクリーン部材21は粉体を処理する略円錐状(すり鉢状)で篩のように多数の孔が開いたメッシュ部材である。また、このスクリーン部材21は、すり鉢状を形成する斜面部にすり鉢状の内部と外部とを連通するスリット21aが設けられている。
スクリーン部材21の内部には、スクリーン部材21の内壁に対して回転自在のインペラー23が設置されており、また、粉体容器10内の処理容器20と通気板6との間には、回転円板24を備え、さらの回転円板24の上面の外周部には、ハンマー状の羽根部材25を備えており、粉体に衝撃力等の分散作用を与えることが出来る。
また、図2(b)に示すように、本実施形態ではスクリーン部材21に設けたスリット21aは二箇所であり、インペラー23が二個、羽根部材25が二個となっているが、これらの数はこれらの数は必要に応じて適宜増減してよい。
次に、粉体容器10の二つ目の構成例(以下、構成例2と呼ぶ)について説明する。
図3は、構成例2の粉体容器10の処理容器20近傍の拡大説明図である。図3(a)は、処理容器20近傍を側方から見た断面図であり、図3(b)は、処理容器20近傍を上方から見た断面図であり、図3(c)は、処理容器20近傍の側面図である。
処理容器20内の通気板6の上部には、粉体容器10に対して回転自在の円筒容器状の処理容器20が設置され、処理容器20の側面には、円筒容器状の内部と外部とを連通するスリット20aが設けられている。また、処理容器20の内部には、粉体容器10に対して固定して設置されたインナーピース26が設置されている。インナーピース26は、処理容器20の内壁面と先端部26aで近接し、支持部26bによって粉体容器10に対して固定されている。処理容器20の底部には、粉体を舞い上げるためのフィン状の羽根部材25を供えている。構成例1と同様に、処理容器20の上端部よりも上方で、粉体容器10の一部が粉体容器10下部の円筒部よりも小さい内径の絞り部13を入れることで、より一層粉体が、処理容器20内に円滑に導かれる工夫がなされている。円筒容器状の処理容器20が図3中の矢印R方向に回転することにより、処理容器20の内壁面とインナーピース26の先端部26aとが相対速度を有する関係となる。
また、図3(b)に示すように、インナーピース26が処理容器20の内壁と対向する部位は、処理容器20の内壁に対して中央部が近接する凸形状に形成されるのがよく、インナーピース26の両端と処理容器20の内壁とのクリアランスよりも、中央の凸部と処理容器20の内壁とのクリアランスが小さくなっている。
また、図3(c)に示すように、羽根部材25は、処理容器20の回転方向に対してやや上向きに取り付けられ、流動する粉体を舞い上げる作用を有する。
このような機能を有する剪断力付与部材としては、例えば、クリアランスへの粉体の入り口側の間隙をより大きくする位置関係とすることが挙げられ、このような位置関係の形状としては、構成例2のインナーピース26のような形状を挙げることができる。
図4(a)に示す構成であれば、内壁面20fに対する先端部26aの移動方向について移動方向上流側(粉体のクリアランス部への入口側)になる部位のクリアランスがより広く取られている。このため、粉体層Tを効率よく最小のクリアランス部(=作用部)に導くことができる。このように、先端部26aと内壁面20fとのクリアランスが最小部を有するため、粉体層Tがクリアランス部へより導かれ易く、圧縮力をかけながら効率よく剪断力を付与することができる。一方、図4(b)に示す構成であると、先端部26aと内壁面20fとのクリアランスに変化が無いため、粉体層Tがクリアランス部に誘導されにくく、圧縮力の作用が弱く、剪断力を付与する効率も低下する。
構成例1及び構成例2ともに、剪断力付与部材と処理容器20とが相対速度を有する関係を作るために、処理容器20の断面を円形に形成して処理容器20を回転させることや、逆に剪断力付与部材を回転させることや、剪断力付与部材を特定の部位で往復運動させるなどの工夫が可能である。
たとえば粉体層の水分量の増加等のコーティング過程での一時的な流動性不良や凝集性の悪化により一時的に粉体の凝集性が剪断力付与部材等による解砕力を上回ったとしても、構成例1及び構成例2の処理容器20では過剰な粉体は常に排出口であるスリット(20aまたは21a)から排出されていくので、処理容器20の内壁に粉体が滞留して運転の継続を阻害することもない。また、たとえば粉体層の水分量が、処理に伴って減少し、その他の原因も含めコーティング過程での一時的な流動性不良が解消され始めると、再び剪断力付与部材等による解砕力が支配的になり、分散が進行する。
処理容器20から剪断力付与部材によって粉体を排出する方法としては、処理容器20が回転することで剪断力付与部材との相対速度を形成し、処理容器20の排出口から粉体を押し出す方法がある。または、剪断力付与部材が回転することで、処理容器20との相対速度を形成し、処理容器20の排出口から粉体を押出す方法が好ましい。
そして、構成例1及び構成例2のようにスリット状の排出口を備える場合は、スリットの幅は、3[mm]以上、好ましくは5[mm]以上が好ましい。これは、スリット幅が大きければ大きいほど、処理容器20内で大きくなってしまった粉体を、より確実に排出することができるためである。
また、スリットの幅は、スリットの存在する位置における、円筒ないし円錐状容器の中心軸に垂直な断面の最大周長の20[%]未満、好ましくは18[%]未満がよく、更に好ましくは15[%]未満が好ましく、スリットが2つ以上存在する場合はスリット幅の合計が前記値の範囲に収まればよい。なお、スリットは回転体のバランスの都合上、2本以上で構成されるのが好ましく、12本未満であることが好ましい。より好ましくは、2本以上、8本未満である。
スクリーンの孔径は、孔の面積から円相当の径に換算した直径で、250[μm]以上、6000[μm]以下が好ましく、1000[μm]以上、5000[μm]以下がより好ましい。更に好ましくは、2000[μm]以上4000[μm]未満である。
相対速度は、0.5[mm/s]〜25[mm/s]が好ましく、さらには、0.7[mm/s]〜20[mm/s]がより好ましく、さらには1.0[mm/s]〜15[mm/s]がより一層好ましい。
剪断力付与部材と処理容器20とのクリアランスは、0.1[mm]〜20[mm]が好ましく、さらに好ましくは、処理容器20の最大内径D[mm]に対して、クリアランスC[mm]が(D1/2×0.6)> C >(D1/2×0.05)であればよい。
特に、処理容器20を小スケールで構成した際に、スクリーンの孔径がクリアランスよりも小さくなる傾向にあり、クリアランスは、処理容器20のスケールを大きくするにしたがって、より大きく設定する必要がある。これは、たとえば処理容器20の水平断面を円形に構成した場合、その直径をDとすると、仕込み量(1バッチあたりの処理量)は、およそDの三乗に比例させるのが処理効率の面から好適であり、インペラー23とで圧縮・剪断力を与えることが可能な内壁面は装置のDに対しておよそ二乗に比例させざるを得ないためである。これは、容器を相似的に拡大したときに、容量は三乗、各部の面積は二乗に比例するためであり、処理容器20のスケールアップは、相応の微調整が行われるため、三乗もしくは二乗にぴったりと比例するわけではない。このため、より大きなスケールの処理容器20を構成する場合には、よりクリアランスを大きくすることで、圧縮・剪断力作用を受ける部位に粉体がより入り込みやすくする工夫を加える。このクリアランスの厚みの増加率は、およそD1/2に比例させるのが良い。
粉体容器10では、絞り部13と処理容器20の外壁面とによって上昇流を曲げ、上昇流によって搬送される粉体を中心部に案内するため、粉体容器10の上部へ搬送された粉体粒子群の大部分は処理容器20の内部へ落下し、剪断力付与部材によって作用を受けた後、再び処理容器20外へ排出される。なお、処理容器20の外壁面と粉体容器10との隙間を通過可能だった上昇流が処理容器20の上端を過ぎると通過可能な領域の断面積が広がり、流速が低下して粉体を上昇させる作用が低下する。また、処理容器20内では、粉体を排出する作用によってその内圧が他の部分よりも低いため、処理容器20の上方の開口部では、処理容器20内に向かう気流が発生する。このように、処理容器20の上方では、上昇流が粉体を上昇させる作用が低下し、処理容器20内に向かう気流が発生しているため、粉体容器10内を循環する気流が処理容器20内に向かい、上昇流によって上昇した粉体が処理容器20内に落下する。
この位置に噴霧供給機構を設置することで、コーティング液で濡れた粉体は、まず粉体容器10の低部から供給された気流(上昇流)に曝され、ある程度乾燥した後に処理容器20の内部に落下させることができるので、コーティング液の供給速度を最大限に高めることができる。一方、処理容器20の内部に向けて噴霧供給機構を設置すると、処理容器20内部に、より濡れた粉体が供給されるので、処理容器20内での付着性・凝集性が高まるため、コーティング液の供給速度を最大限に高めることが出来ない。
流動性がある程度良い時は、スクリーン部材21の内壁(スクリーンの孔部でない箇所を含む)と剪断力付与部材であるインペラー23との間隙部の作用はあまり無く、インペラー23の前方部で押されて流れる緩やかな剪断作用によって、スクリーンの孔部からの流出が促進され、そのときに加わる剪断力がもっとも寄与している。
一方、流動性が悪くなった時は、インペラー23の前方部で押されて流れる作用のみではスクリーンの孔部からの流出が不十分であるか起こらないために、インペラー23とスクリーン部材21の内壁面との間隙部へ導かれる粉体が流動性がある程度良い状態に対してより多くなる。このため、インペラー23とスクリーン部材21の内壁面とによって粉体が受ける圧縮力と剪断力とがより一層大きくなり、同時に、スクリーンの孔から強制的に押出される効果による解砕効果もある。
このため、例えば、コーティング中に流動性が著しく悪くなることがある材料を扱う場合、コーティング中は圧縮・剪断作用と強制押出しにより解砕効果を受けつつ、過剰に滞留してしまった粉粒体は、スクリーンの孔部よりも十分に大きな排出口としてのスリット21aからの流出によって循環を保つ。そして、コーティングの進行によって流動性が改善してくると次第にスクリーンによる緩やかな解砕効果をより支配的に受けつつ、所望の粒度へ調整されて製品となる。
これらは、本発明の一態様にすぎず、これらに発明の技術的範囲は限定されない。
以下、カプセルトナーを製造する事例で粉体処理装置100の機能を説明する。本実施例では、カプセルトナーの母体となるコーティング用粒子を製造した後に、さらにスプレーコーティングによるカプセル化処理を行う。
スプレーコーティングによるカプセル化工程においては、コーティングの前後において、凝集塊が発生する恐れがあるが、この凝集塊は発生しないことが望ましい。凝集塊の発生は、例えば粒子径分布を計測し、粒子径分布の広がりの指標として、例えば変動係数(CV値)を求めることで評価できる。コーティング前後の粒子径分布のCV値を計測し、コーティング後のCV値がコーティング前のCV値に対して大きくなりにくいことが望ましい。
<コーティング用粒子の作製>
ポリエステル樹脂(ガラス転移点(Tg)58[℃]、軟化点130[℃])100部、着色剤(カーボンブラック)5部、ワックス(ポリエチレン 融点125[℃])5部、荷電調整剤1部をヘンシェルミキサーにて3分間混合分散した後、押出機(商品名、ニーデックスMOS140−800、三井鉱山(株)製)を用いて溶融混練分散し、樹脂混練物を調製した。
一方、ポリアクリル酸(重量平均分子量10,000)アンモニウム塩100部およびイオン交換水400部を混ぜ合わせて、水溶性高分子分散剤の20wt%水溶液を調製した。
圧力調整弁、加熱手段およびロータステータ式撹拌手段(口径30[mm])を備える金属製容器に、上記のように調整した樹脂混練物100部とポリアクリル酸アンモニウム塩の20%水溶液400部とを投入し、150[℃]、5[atom]で加熱加圧しながら10[分間]撹拌混合した(8000[rpm])。その後加熱を止め、この混合物を撹拌しながら20[℃]まで冷却した。
その後、イオン交換水を混合物に加えて洗浄を行った。洗浄は、混合物とイオン交換水とを混合し、イオン交換水の添加量によって固形分量が10[%]になるように調整した後、タービン型撹拌翼で30分間撹拌(300[rpm])を行い、この混合物から遠心分離によって分離される上澄み液の導電率が10[μS/cm]以下になるまで、同じ洗浄操作を繰り返し行った。
その後、遠心分離によって混合物中の合成樹脂粒子を分取し、乾燥し、合成樹脂粒子約100部を得た。得られた粒子をコールターマルチサイザーII(コールター社製)を用い、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、着色樹脂粒子(A)の体積平均粒径および変動係数の測定を行ったところ、6.1[μm]で変動係数は23であった。
まず、電解水溶液100〜150[ml]中に分散剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテルを0.1〜5[ml]加える。ここで、電解液とは1級塩化ナトリウムを用いて約1%NaCl水溶液を調製したもので、例えばISOTON−II(コールター社製)が使用できる。ここで、更に測定試料を2〜20[mg]加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行ない、測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、トナー粒子又はトナーの体積、個数を測定して、体積分布と個数分布を算出する。得られた分布から、トナーの体積平均粒径(Dv)、個数平均粒径を求めることができる。
チャンネルとしては、2.00〜2.52[μm]未満;2.52〜3.17[μm]未満;3.17〜4.00[μm]未満;4.00〜5.04[μm]未満;5.04〜6.35[μm]未満;6.35〜8.00[μm]未満;8.00〜10.08[μm]未満;10.08〜12.70[μm]未満;12.70〜16.00[μm]未満;16.00〜20.20[μm]未満;20.20〜25.40[μm]未満;25.40〜32.00[μm]未満;32.00〜40.30[μm]未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00[μm]以上から40.30[μm]未満の粒子を対象とする。
イオン交換水390部にドデシルスルホン酸アンモニウム0.1部を溶解し、80[℃]に昇温した。80[℃]に保温し、「V−50」(和光純薬工業社、2,2’−アゾビス− 2−アミジノプロパンジハイドロクロライド)1部とイオン交換水10部とからなる水溶液、およびスチレンモノマー20部とメタクリル酸メチル40部とメタクリル酸n−ブチル15部とチオグリコール酸オクチル1部との混合モノマーを、それぞれ60[分]かけて滴下した。滴下30分後、さらにスチレンモノマー10部とメタクリル酸メチル15部とメタクリル酸n−ブチル5部との混合モノマーを30[分]かけて滴下した。2[時間]80[℃]で撹拌して重合を完結させて、固形分濃度が20[%]の樹脂微粒子(B)のコーティング液を得た。得られ た粒子体積平均粒子径をDLS−700(大塚電子社製)を用いて測定したところ0.12[μm]であった。また、DSC示差熱分析装置で測定したガラス転移点は61[℃]であった。
実施例1では流動層コーティング装置として、図1中の処理容器20に図3を用いて説明した構成例2の処理容器20を備える粉体処理装置100を用いる。この粉体処理装置100は、粉体容器10の内径0.30[m]、通気板6の上面から図1中のB部までの高さが約0.40[m]であり、通気板6の上面から図1中のB部までの容量が約25[L]の粉体処理装置100を用いる。実施例1の粉体処理装置100は、処理容器20として、外径が0.23[mm]で内径が0.21[mm]であり、さらに幅45[mm]のスリット20aを対角の位置に2本有する円筒型回転容器を有する。また、剪断力付与部材としてのインナーピース26と処理容器20の内周面とのクリアランスが3[mm]と設定されている。
このような粉体処理装置100に、前記着色樹脂粒子(A)を8[kg]に前記樹脂微粒子(B)を含むコーティング液を塗布し、コーティングを行った。円筒型回転容器からなる処理容器20の回転数は500[rpm]である。コーティング液を噴霧させる際、樹脂微粒子(B)を含むコーティング液とともに130[NL/min]の圧縮空気をスプレーノズル7に送り、コーティング液を40.0[ml/min]のペースで噴霧する。また、吸気用ブロア1が外気A1を吸気し、3.5[m3/min]のペースで60[℃]の空気を、通気板6を経由して粉体容器10内に送り込んだ。100分後、4000[ml]のコーティング液の供給が終了した後、10分間通気を継続した後、粉体処理装置100の中からコーティングされた着色樹脂粒子であるカプセルトナーを取り出した。
このトナーの体積平均粒径を、コーティング用粒子の調整と同様の手順でコールターマルチサイザーIIを用いて測定した結果、6.3[μm]、CV値(変動係数)は24であった。
<コーティング用粒子の作製>から<コーティング液の作製>までは実施例1と同様である。
<スプレーコーティング工程>
実施例2の流動層コーティング装置として、図1中の処理容器20に図2を用いて説明した構成例1の処理容器20を備える粉体処理装置100を用いる。この粉体処理装置100は、粉体容器10の内径0.30[m]、通気板6の上面から図1中のB部までの高さ約0.40[m]であり、通気板6の上面から図1中のB部までの容量が約25[L]である。この粉体処理装置100は、外径が0.250[m]で内径が0.245[m]、高さが0.15[m]のガイドリング22を備える。さらに回転円板24と、先端の角度が約80[°]で、高さ0.150[m]、最大直径0.250[m]の略円錐状のスクリーン部材21とを備える。このスクリーン部材21は、厚みは0.0025[m]、スクリーンに開けられた多数の孔は円形で開口径は1[mm]、三角千鳥格子配列で、開効率は40[%]である。また、円形の孔の中心間距離は4.5[mm]となっている。さらに、スクリーン部材21は幅20[mm]のスリット21aを対角の位置に2本有し、スクリーン部材21に対して回転自在のインペラー23とスクリーン部材21の内壁面とのクリアランスが3[mm]と設定されている。
このような粉体処理装置100に、前記着色樹脂粒子(A)8[kg]に前記樹脂微粒子(B)を含むコーティング液を塗布しコーティングを行った。インペラー23の回転数は500[rpm]である。コーティング液を噴霧させる際、樹脂微粒子(B)を含むコーティング液とともに130[NL/min]の圧縮空気をスプレーノズル7に送り、コーティング液を40.0[ml/min]のペースで噴霧する。また、吸気用ブロア1が外気A1を吸気し、3.5[m3/min]のペースで60[℃]の空気を、通気板6を経由して粉体容器10内に送り込んだ。100分後、4000[ml]のコーティング液の供給が終了した後、10分間通気を継続した後、粉体処理装置100の中からコーティングされた着色樹脂粒子であるカプセルトナーを取り出した。
このトナーの体積平均粒径を、コーティング用粒子の調整と同様の手順でコールターマルチサイザーIIを用いて測定した結果、6.2[μm]、CV値(変動係数)は24であった。
<コーティング用粒子の作製>から<コーティング液の作製>までは実施例1と同様である。
<スプレーコーティング工程>
比較例1では流動層コーティング装置として、図1中の処理容器20に図5に示す処理容器20(図5の処理容器20は構成例1のスクリーン部材21にスリット21aがない構造である)を備える粉体処理装置100を用いる。この粉体処理装置100は、粉体容器10の内径0.30[m]、通気板6の上面から図1中のB部までの高さ約0.40[m]であり、通気板6の上面から図1中のB部までの容量が約25[L]である。処理容器20として、外径が0.250[m]で内径が0.245[m]であり、高さ0.15[m]のガイドリング22を備え、さらに回転円板24と、先端の角度が約80[°]で、高さが0.150[m]、最大直径が0.250[m]の略円錐状のスクリーン部材21とを備える。このスクリーン部材21は、厚みは、0.0025[m]、スクリーンに開けられた多数の孔は円形で開口径は3[mm]、三角千鳥格子配列で、開効率は40[%]である。処理容器20は、スクリーン部材21に対して回転自在のインペラー23とスクリーン部材21の内壁面とのクリアランスが3[mm]と設定されている。
このような粉体処理装置100に、前記着色樹脂粒子(A)8[kg]に前記樹脂微粒子(B)を含むコーティング液を塗布し、コーティングを行った。インペラー23の回転数は500[rpm]である。コーティング液を噴霧させる際、樹脂微粒子(B)を含むコーティング液とともに130[NL/min]の圧縮空気をスプレーノズル7に送り、コーティング液を40.0[ml/min]のペースで噴霧するとともに、3.5[m3/min]のペースで60[℃]の空気を、通気板6を経由して粉体容器10内に送り込んだ。100分後、4000[ml]のコーティング液の供給が終了した後、10分間通気を継続した後、粉体処理装置100の中からコーティングされた着色樹脂粒子であるカプセルトナーを取り出した。
このトナーの体積平均粒径を、コールターマルチサイザーIIを用いて測定した結果、7.2[μm]、CV値は38であった。
<コーティング用粒子の作製>から<コーティング液の作製>までは実施例1と同様である。
<スプレーコーティング工程>
比較例2の流動層コーティング装置は、比較例1の流動層コーティング装置が備えるスクリーン部材21のスクリーンの孔径を1[mm]とした以外は比較例1と同様である
このような比較例2では、コーティング液の供給から23分後、スクリーン部材21で目詰まりが発生し、目詰まりの解消を促すためにコーティング液の供給を停止し粉体の解砕を促したが、インペラー23とスクリーン部材21の内壁面とのクリアランス部で粉体が融着し、運転の継続が出来なかった。
(2)上記(1)のような材料系の場合に、比較例2のように、最終製品の目標粒子径分布に対して適切な開孔径のスクリーンを用いた場合には、一時的に流動性不良となるとスクリーンからの排出が滞り排出不良となる。このスクリーンから排出が滞ると、スクリーンと剪断力付与部材との間で何度もせん断力を受ける、もしくは、剪断力付与部材に押されているだけでも、スクリーンの内壁面上を長時間転がり、転動作用を受けるため、スクリーンによる解砕効果よりも造粒作用が過大になってしまう。
(3)上記(2)ような排出不良が一瞬でも発生してしまうと、循環している粉体の密度が低下するため、スプレー液(コーティング液、もしくは結合剤等)供給量が循環する粉体に対して実質的に過剰なる。それ故、より濡れた粉体がスクリーンで構成された容器内へ供給され、上記(2)、(3)の悪循環が更に進行し、やがて粉体の循環が完全に停止してしまう。
(4)熱で粘着性が出る場合は、開口部から流出せずに摩擦を繰り返すことで更に発熱し、造粒してしまう。
(5)上記(2)や(3)を回避するには、例えばスプレー液の供給速度を遅くすることが出来るが、コーティング皮膜の形成状態が不十分(皮膜形成の観点から濡れが不十分)であったり、生産効率が著しく低下すると言った問題が発生する。乾燥に必要な熱を与えられない場合も、生産効率が著しく低下する場合や、乾燥が不十分で所望の品質が得られない問題がある。
実施例1や実施例2のように処理容器20に本発明の構成要件である、循環可能な粉体の排出口などの構造を具有させることで、解砕出来ない場合でも粉体の流動もしくは運動を妨げ無い安定した運転が可能であり、粉体の凝集を抑制しつつシャープな粒度分布でコーティングできる粉体処理装置が提供できる。
2 エアーヒーター
3 入口温度計
4 モーター
5 回転軸
6 通気板
7 スプレーノズル
8 ポンプ
9 コーティング液タンク
10 粉体容器
12 層内温度計
13 絞り部
14 フィルタバック
15 フィルタ部温度計
16 排気温度計
18 排気用ブロア
19 吸引口
20 処理容器
21 スクリーン部材
22 ガイドリング
23 インペラー
24 回転円板
25 羽根部材
26 インナーピース
100 粉体処理装置
A1 外気
A2 排気
A3 逆洗エアー
A4 スプレーエアー
Claims (12)
- 上部開口部を備えた粉体を収容するための粉体容器と、
該粉体容器内に液状材料を供給する液状材料供給手段と、
該粉体容器内に配置され、その内部の粉体に対して剪断力を付与する処理を行う処理空間を形成し、水平面における該処理空間の断面形状が円形で、該処理空間の上方に開口部を備え、上方、下方、及び側方の該粉体容器の内壁面との間に空間を有する処理容器と、
該処理容器の内壁面の円周方向の一部に近接し、該処理容器の内壁面に対して相対速度を有する関係となることにより、該処理容器の内壁面における近接する位置が変化し、該処理容器の内壁面と近接する位置での該処理容器の内壁面との間隙に存在する粉体に対して剪断力を付与する剪断力付与部材とを有する粉体処理装置において、
該処理容器の下方で粉体の通過を阻止し、気体のみを通過させる下方通気手段と、
該下方通気手段の下方から上方に向かう気流を発生させる気流発生手段と、
該粉体容器の該上部開口部に設けられ、粉体の通過を阻止し、該粉体容器から気体のみを排出させる上部通気手段とを備え、
該粉体容器に収容する粉体として粒径が100[μm]以下の粉体を収容するものであり、
該処理容器の内壁面における該剪断力付与部材の近接する位置が変化することにより、該剪断力付与部材が近接し得る該処理容器の内壁面の箇所に、該処理容器内の粉体を該粉体容器の内壁面と該処理容器との間の空間に排出し、開口面積が20[mm2]以上の排出口を一つ以上設けたことを特徴とする粉体処理装置。 - 上部開口部を備えた粉体を収容するための粉体容器と、
該粉体容器内に液状材料を供給する液状材料供給手段と、
該粉体容器内に配置され、内部の粉体に対して剪断力を付与する処理を行う処理空間を形成し、水平面における該処理空間の断面形状が円形で、該処理空間の上方に開口部を備え、上方、下方、及び側方の該粉体容器の内壁面との間に空間を有する処理容器と、
該処理容器の内壁面の円周方向の一部に近接し、該処理容器の内壁面に対して相対速度を有する関係となることにより、該処理容器の内壁面における近接する位置が変化し、該処理容器の内壁面と近接する位置での処理容器の内壁面との間隙に存在する粉体に対して剪断力を付与する剪断力付与部材とを有する粉体処理装置において、
該処理容器の下方で粉体の通過を阻止し、気体のみを通過させる下方通気手段と、
該下方通気手段の下方から上方に向かう気流を発生させる気流発生手段と、
該粉体容器の該上部開口部に設けられ、粉体の通過を阻止し、該粉体容器から気体のみを排出させる上部通気手段とを備え、
該処理容器の内壁面における該剪断力付与部材の近接する位置が変化することにより、該剪断力付与部材が近接し得る該処理容器の内壁面の箇所に、該処理容器内の該粉体容器の内壁面と粉体を該処理容器との間の空間に排出し、開口面積が該粉体容器に収容する粉体の流動性が悪化した状態であっても粉体が通過可能な開口面積である排出口を一つ以上設けたことを特徴とする粉体処理装置。 - 上部開口部を備えた粉体を収容するための粉体容器と、
該粉体容器内に液状材料を供給する液状材料供給手段と、
該粉体容器内に配置され、内部の粉体に対して剪断力を付与する処理を行う処理空間を形成し、水平面における該処理空間の断面形状が円形で、該処理空間の上方に開口部を備え、上方、下方、及び側方の該粉体容器の内壁面との間に空間を有する処理容器と、
該処理容器の内壁面の円周方向の一部に近接し、該処理容器の内壁面に対して相対速度を有する関係となることにより、該処理容器の内壁面における近接する位置が変化し、該処理容器の内壁面と近接する位置での該処理容器の内壁面との間隙に存在する粉体に対して剪断力を付与する剪断力付与部材とを有する粉体処理装置において、
該処理容器の下方で粉体の通過を阻止し、気体のみを通過させる下方通気手段と、
該下方通気手段の下方から上方に向かう気流を発生させる気流発生手段と、
該粉体容器の該上部開口部に設けられ、粉体の通過を阻止し、該粉体容器から気体のみを排出させる上部通気手段とを備え、
該処理容器の内壁面における該剪断力付与部材の近接する位置が変化することにより、該剪断力付与部材が近接し得る該処理容器の内壁面の箇所の少なくとも一部が所定径の多数の孔を有するスクリーン部材からなり、
該剪断力付与部材が近接し得る該処理容器の内壁面の箇所に、該処理容器内の粉体を該粉体容器の内壁面と該処理容器との間の空間に排出し、開口面積が該スクリーンの孔よりも大きな排出口を一つ以上設けたことを特徴とする粉体処理装置。 - 請求項1または2の粉体処理装置において、
上記処理容器は上記剪断力付与部材と内壁面が近接し得る箇所の少なくとも一部が、所定径の多数の孔を有するスクリーン部材からなることを特徴とする粉体処理装置。 - 請求項1、2、3または4の粉体処理装置において、
上記排出口がスリット状であることを特徴とする粉体処理装置。 - 請求項1、2、3、4または5の粉体処理装置において、
上記処理容器が回転することによって、上記剪断力付与部材が該処理容器の内壁面に対して相対速度を有する関係となることを特徴とする粉体処理装置。 - 請求項1、2、3、4、5または6の粉体処理装置において、
上記剪断力付与部材が回転することによって、該剪断力付与部材が上記処理容器の内壁面に対して相対速度を有する関係となることを特徴とする粉体処理装置。 - 請求項1、2、3、4、5、6または7の粉体処理装置において、
上記処理容器の下方、且つ、上記下方通気手段の上方に上記粉体容器に対して回転する羽根部材を設けることを特徴とする粉体処理装置。 - 請求項1、2、3、4、5、6、7または8の粉体処理装置において、
上記液状材料供給手段は、上記処理容器と上記粉体容器の内壁面との間の空間に向けて液状材料を噴霧供給することを特徴とする粉体処理装置。 - 請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9の粉体処理装置において、
上記処理容器は、円筒状であることを特徴とする粉体処理装置。 - 請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9の粉体処理装置において、
上記処理容器の少なくとも下端部近傍が水平面における上記処理空間の断面積が下方ほど狭くなる、すり鉢状であることを特徴とする粉体処理装置。 - 請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または11の粉体処理装置において、
上記剪断力付与部材は、該処理容器の内壁面に対して相対速度を有する関係となることにより、該処理容器の内壁面との間隙に存在する粉体に対して該処理容器の内壁面に押し付けて圧縮力を付与する構成であることを特徴とする粉体処理装置。
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