JP2009185657A - 膨張機 - Google Patents

膨張機 Download PDF

Info

Publication number
JP2009185657A
JP2009185657A JP2008025137A JP2008025137A JP2009185657A JP 2009185657 A JP2009185657 A JP 2009185657A JP 2008025137 A JP2008025137 A JP 2008025137A JP 2008025137 A JP2008025137 A JP 2008025137A JP 2009185657 A JP2009185657 A JP 2009185657A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
output shaft
oil
refrigerant
expander
refrigerating machine
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2008025137A
Other languages
English (en)
Inventor
Eiji Kumakura
英二 熊倉
Masakazu Okamoto
昌和 岡本
Katsumi Hokotani
克己 鉾谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daikin Industries Ltd
Original Assignee
Daikin Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Daikin Industries Ltd filed Critical Daikin Industries Ltd
Priority to JP2008025137A priority Critical patent/JP2009185657A/ja
Publication of JP2009185657A publication Critical patent/JP2009185657A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Applications Or Details Of Rotary Compressors (AREA)

Abstract

【課題】高圧の冷凍機油を出力軸の摺動部へ供給することに起因して、出力軸に軸方向の押し付け力が作用するのを防止し、ひいては膨張機の機械損失の低減、信頼性の向上を図る。
【解決手段】膨張機構(31)の出力軸(40)の下端側には、スラストプレート(110)が設けられる。油空間(103a)側の高圧の冷凍機油によって出力軸(40)が下方へ押し付けられると、押し付け力に抗してスラストプレート(110)が出力軸(40)を支持する。
【選択図】図2

Description

本発明は、冷凍サイクルを行う冷媒回路に接続されて冷媒から動力を回収する膨張機に関するものである。
従来より、冷媒回路に接続される動力回収用の膨張機が知られている。
例えば特許文献1には、この種の膨張機を備えた冷凍装置が開示されている。特許文献1の冷凍装置は、冷媒が循環して冷凍サイクルを行う冷媒回路を備えている。冷媒回路には、圧縮機、室外熱交換器、膨張機、及び室内熱交換器等が接続されている。同文献の図10に記載される膨張機は、ケーシング内に膨張機構と発電機とが収容されている。膨張機構では、冷媒回路の高圧冷媒が流体室で膨張する。その結果、膨張機構では、膨張する冷媒の動力によってピストンが回転駆動され、更にはピストンに連結する出力軸が回転する。これにより、出力軸に連結する発電機が回転駆動され、発電機から電力が発生する。
また、同文献に開示された膨張機のケーシングの内圧は、膨張機構で膨張した後の冷媒の圧力(即ち、低圧側の冷媒圧力)と同じ圧力となっている。つまり、膨張機は、いわゆる低圧ドーム型の流体機械を構成している。これにより、膨張機構の周囲の温度が比較的低温となり、膨張機から流出する冷媒のエンタルピを低く抑えられる。その結果、特許文献1の冷凍装置では、蒸発器として機能する熱交換器での冷媒の吸熱量が充分に確保され、冷却能力の向上が図られている。
更に、特許文献1に開示の膨張機では、ケーシングの底部に油溜まりが形成されている。油溜まりには、膨張機構の摺動部を潤滑するための冷凍機油が貯留される。この冷凍機油は、出力軸の下端に設けられた給油ポンプにより上方へ汲み上げられ、膨張機構の各摺動部へ供給される。
特開2007−285680号公報
ところが、特許文献1に開示の膨張機のように、給油ポンプ等を用いて冷凍機油を搬送する場合、装置構造の複雑化、あるいはポンプ動力の増大を招いてしまう。
このような問題の対策としては、冷媒回路での高圧冷媒の圧力を利用して冷凍機油を各摺動部へ送ることが考えられる。この点について、図12を参照しながら説明する。なお、図12の膨張機(200)は、本発明の前提となる膨張機の例示である。
図12に示す膨張機(200)では、冷媒回路内に存在する高圧の冷凍機油を出力軸(207)の摺動部へ供給するための油通路が形成されている。なお、膨張機(200)は、ケーシング(201)の内部空間(202)の圧力が低圧雰囲気となる、いわゆる低圧ドーム型である。
膨張機(200)のケーシング(201)の胴部には、冷媒回路の高圧側と繋がる給油管(203)が接続されている。給油管(203)の終端は、膨張機構(204)の本体部(205)のリアヘッド(206)の外周部に接続されている。本体部(205)には、上方と下方とに分岐する通路(C1,C2)が形成され、上方の通路(C1)の終端は出力軸(207)の上端面に臨んでおり、下方の通路(C2)の終端はシリンダ(208)及びフロントヘッド(209)を通じて出力軸(207)の外周部位に開口している。更に出力軸(207)の内部には、上記の両通路(C1,C2)と連通する通路(C3)が形成されている。出力軸(207)内の通路(C3)の終端は、複数に分岐して出力軸(207)の外周の各摺動部に開口している。
この例の膨張機(200)では、冷媒回路の高圧の冷凍機油が、給油管(203)を介して上記の油通路(即ち通路(C1〜C3))へ導かれる。これらの通路(C1〜C3)を流出した冷凍機油は、出力軸(207)の各摺動部へ供給されて潤滑に利用される。以上のように、図11に例示する膨張機(200)では、高圧の圧力を利用して冷凍機油を搬送しているので、上記のような給油ポンプ等も不要となる。
ところが、同図に示す膨張機(200)では、出力軸(207)の偏心部(210)のスラスト軸受け(例えば偏心部(210)の下面側)に作用するスラスト荷重が増大してしまうという問題が生じる。具体的には、この例の膨張機(200)では、出力軸(207)の上端部がリアヘッド(206)で覆われており、出力軸(207)の上端部に高圧の冷凍機油の圧力が作用する(図11の白抜きの矢印を参照)。一方、出力軸(207)の下端部はケーシング(201)の内部空間(202)に露出されており、この内部空間(202)は上述のように低圧雰囲気となっている。このため、冷凍機油の圧力が出力軸(207)の上端部に作用すると、出力軸(207)が下方へ押し付けられる。その結果、出力軸(207)の偏心部(210)のスラスト軸受けに作用するスラスト力が増大し、機械損失の増大や焼き付きの発生等の原因となってしまう。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、高圧の冷凍機油を出力軸の摺動部へ供給することに起因して、出力軸に軸方向の押し付け力が作用するのを防止し、ひいては膨張機の機械損失の低減、信頼性の向上を図ることである。
第1の発明は膨張機を対象とし、冷媒を循環させて冷凍サイクルを行う冷媒回路(11)の高圧冷媒が流入する流体室(52,72,82)を形成すると共に、該流体室(52,72,82)内で膨張する冷媒の動力によって回転駆動される可動部材(55,75,85)を有する本体部(32)、及び該本体部(32)の可動部材(55,75,85)に連結される出力軸(40)を有する膨張機構(31)と、上記流体室(52,72,82)で膨張した冷媒と同じ圧力となる内部空間(S)に上記膨張機構(31)を収容するケーシング(34)とを備え、上記膨張機構(31)には、上記冷媒回路(11)に存在する高圧の冷凍機油を上記出力軸(40)の摺動部へ供給するための油通路(90,100)が形成され、上記出力軸(40)の軸方向の一端側には、上記内部空間(S)と仕切られて上記油通路(90,100)の一部を構成する油空間(103a)が形成され、上記出力軸(40)の軸方向の他端側には、該出力軸(40)の他端部との当接面(112)を有する受け部(110)が設けられていることを特徴とするものである。
第1の発明の膨張機(30)には、本体部(32)及び出力軸(40)を有する膨張機構(31)が設けられる。本体部(32)では、冷媒回路(11)の高圧冷媒が流体室(52,72,82)へ流入し、この流体室(52,72,82)で高圧冷媒が膨張する。その結果、膨張する冷媒の動力によって可動部材(55,75,85)が回転駆動される。可動部材(55,75,85)が回転すると、出力軸(40)も回転駆動される。このような出力軸(40)の回転動力は、例えば圧縮機を駆動するための動力や、発電機の発電に利用される動力として回収される。
また、第1の発明の膨張機(30)では、膨張機構(31)がケーシング(34)の内部空間(S)に収容され、ケーシング(34)の内部空間(S)の圧力は膨張機構(31)で膨張した冷媒の圧力と同等となる。膨張機構(31)で膨張した冷媒は比較的低温であるため、ケーシング(34)内に収容された膨張機構(31)の周囲の雰囲気も比較的低温となる。このため、膨張機構(31)の周囲の冷媒から膨張機構(31)の内部の冷媒へ移動する熱量が大幅に減少する。
また、第1の発明の膨張機構(31)には、油通路(90,100)が形成されている。油通路(90,100)は、冷媒回路(11)内に存在する高圧の冷凍機油を膨張機構(31)の出力軸(40)へ供給する。これにより、出力軸(40)の周囲の摺動部が潤滑され、この摺動部での機械損失の増大や、焼き付きが防止される。
ところが、本発明では、上記油通路(90,100)の一部を構成する油空間(103a)が、上記出力軸(40)の軸方向一端側に形成されている。このため、出力軸(40)の一端部には、油空間(103a)内の高圧の冷凍機油の圧力が作用することになる。このように、出力軸(40)の一端部に冷凍機油の圧力が作用すると、出力軸(40)は軸方向他端側に向かって押し付けられる。その結果、出力軸(40)のスラスト軸受けのスラスト荷重が増大し、この部位での摺動抵抗が増大してしまう。
そこで、本発明では、出力軸(40)の他端側に受け部(110)を設けるようにしている。受け部(110)には、出力軸(40)の他端部と当接する当接面(112)が形成されている。つまり、受け部(110)は、上記の油空間(103a)内の冷凍機油に起因する押し付け力に抗するように、出力軸(40)の他端側を支持している。従って、受け部(110)を設けることにより、冷凍機油によって出力軸(40)が軸方向に押し付けられても、出力軸(40)のスラスト軸受けのスラスト荷重が軽減される。その結果、本発明では、出力軸(40)のスラスト軸受けの摺動抵抗が低減される。
第2の発明では、第1の発明の膨張機において、上記出力軸(40)の内部には、上記油通路(90,100)と連通して上記冷凍機油を上記受け部(110)の当接面(112)に供給するための受け部側油通路(98)が形成されていることを特徴とするものである。
第2の発明の出力軸(40)の内部には、上記油通路(90,100)と連通するように受け部側油通路(98)が形成される。このため、油通路(90,100)を流れる冷凍機油は、上記受け部側油通路(98)に流入し受け部(110)側へ送られる。従って、受け部側油通路(98)を流出した冷凍機油によって、受け部(110)の当接面が潤滑される。その結果、受け部(110)では、その当接面(112)での摺動抵抗が低減される。
第3の発明は、第2の発明の膨張機において、上記受け部(110)と出力軸(40)との隙間には、上記受け部側油通路(98)から受け部(110)の当接面(112)に供給された冷凍機油が、上記内部空間(S)に流出するのを防止するためのシール部(115)が設けられていることを特徴とするものである。
第3の発明では、受け部(110)と出力軸(40)との隙間にシール部(115)が設けられる。シール部(115)は、受け部(110)の当接面(112)に供給された冷凍機油が隙間を通じて内部空間(S)へ流出するのを防止する。その結果、高圧の冷凍機油によって内部空間(S)が加熱されることが回避される。
第4の発明は、第3の発明の膨張機において、上記受け部(110)には、上記出力軸(40)の他端部が内嵌するように出力軸(40)側に向かって延出する筒部(114)が形成され、上記シール部(115)は、上記筒部(114)の先端部の内周面と上記出力軸(40)の外周面との隙間に形成されていることを特徴とするものである。
第4の発明の受け部(110)には、出力軸(40)側に向かって延出するように筒部(114)が形成され、この筒部(114)内に出力軸(40)の他端部が内嵌される。更に、上記シール部(115)は、筒部(114)の先端部内周面と出力軸(40)の外周面との隙間に形成される。従って、筒部(114)内では、受け部側油通路(98)からの冷凍機油が供給され、この冷凍機油が当接面(112)の潤滑に利用される。一方、筒部(114)の先端部側にはシール部(115)が形成されるので、筒部(114)内の冷凍機油が内部空間(S)へ流出してしまうのも回避される。
また、本発明では、筒部(114)の内周面と出力軸(40)の外周面との隙間にも冷凍機油が満たされる。このため、出力軸(40)の他端には、この隙間の冷凍機油の圧力が作用する。つまり、出力軸(40)の他端には、出力軸(40)に対して軸方向一端側への押し付け力が作用する。その結果、出力軸(40)には、上記の油空間(103a)の冷凍機油の押し付け力と、筒部(114)内の冷凍機油の押し付け力とがバランスするように作用するので、スラスト軸受けでのスラスト荷重が更に軽減される。
第5の発明は、第1乃至第4のいずれか1つの発明の膨張機において、上記受け部(110)の当接面(112)には、樹脂材料又はDLC材料を含む潤滑膜(113)が形成されていることを特徴とするものである。
第5の発明では、出力軸(40)に対する受け部(110)の当接面(112)に潤滑膜(113)が形成される。この潤滑膜(113)は、樹脂材料又はDLC(Diamond like carbon)を含む材料で形成され、所定の摺動性及び耐摩耗性を有している。従って、受け部(110)の当接面(112)では、その摺動抵抗が更に軽減されると共に、当接面(112)の摩耗も抑制される。
第6の発明は、第1乃至第5のいずれか1つの発明の膨張機において、上記ケーシング(34)内に収容されると共に、上記出力軸(40)を介して上記本体部(32)と連結されて駆動される発電機(33)を更に備えていることを特徴とするものである。
第6の発明では、発電機(33)が膨張機構(31)と共にケーシング(34)内に収容される。発電機(33)は、膨張機構(31)の出力軸(40)によって駆動されて電力を発生させる。
本発明では、膨張機構(31)が収容されるケーシング(34)の内部空間(S)の圧力が、膨張機構(31)で膨張した冷媒の圧力と同等となっている。このため、膨張機構(31)の周囲の冷媒から膨張機構(31)の内部の冷媒へ移動する熱量を大幅に削減することができる。その結果、膨張機構(31)から流出する膨張後の冷媒のエンタルピを低く抑えることができ、膨張機(30)が接続される冷凍装置の能力を向上させることができる。
また、本発明では、冷媒回路(11)内に存在する高圧の冷凍機油が、油通路(90,100)を通じて膨張機構(31)の出力軸(40)の摺動部へ供給される。即ち、本発明では、冷媒回路(11)の高圧を利用して冷凍機油を摺動部へ搬送している。その結果、冷凍機油の搬送手段として給油ポンプ等を用いることを要しないので、装置構造の簡素化、動力の削減を図ることができる。
更に、本発明では、出力軸(40)の他端側に受け部(110)を形成して出力軸(40)の他端部と当接させている。このため、本発明によれば、油空間(103a)の冷凍機油の圧力が出力軸(40)の一端部に作用し、出力軸(40)が他端側に押し付けられても、この押し付け力を受け部(110)の当接面(112)で受けることができる。従って、出力軸(40)のスラスト軸受けのスラスト荷重を低減でき、この部位での摺動抵抗を低減できる。その結果、スラスト軸受けにおける機械損失を低減でき、且つ焼き付きを防止して膨張機の信頼性を確保できる。
特に、第2の発明では、受け部側油通路(98)を通じて冷凍機油を受け部(110)の当接面(112)に供給するようにしている。このため、本発明によれば、受け部(110)の当接面(112)を冷凍機油によって潤滑でき、受け部(110)での摺動抵抗も効果的に低減できる。
更に、第3の発明では、受け部(110)の当接面(112)の潤滑に利用された冷凍機油が隙間を通じて内部空間(S)へ流出するのをシール部(115)によって防止している。このため、本発明によれば、内部空間(S)内が高圧の冷凍機油により昇温されるのを防止でき、膨張機構(31)の周囲温度を低温に維持できる。その結果、膨張機構(31)から流出する膨張後の冷媒のエンタルピを低く抑えることができ、膨張機(30)が接続される冷凍装置の能力を向上させることができる。また、内部空間(S)への冷凍機油の流出を防止することで、出力軸(40)の摺動部や受け部(110)の当接面(112)へ充分な量の冷凍機油を供給できる。従って、出力軸(40)の摺動部を一層確実に潤滑でき、膨張機の信頼性を確保できる。
加えて第4の発明では、筒部(114)内に出力軸(40)の他端部を内嵌させる一方、筒部(114)の先端部内周側にシール部(115)を形成している。その結果、筒部(114)内に冷凍機油を貯め込むことができ、受け部(110)の当接面(112)を一層確実に潤滑できる。また、筒部(114)内の冷凍機油の圧力を利用することで、出力軸(40)を一端側へ押し付けることができる。その結果、出力軸(40)に作用する押し付け力がバランスするので、出力軸(40)のスラスト軸受けでのスラスト荷重を効果的に低減することができる。
更に、第5の発明によれば、受け部(110)の当接面(112)に樹脂材料又はDLC材料を含む潤滑膜(113)を形成しているので、この当接面(112)での摺動抵抗を更に低減できる。また、第6の発明によれば、膨張機構(31)で膨張する冷媒の動力を利用して発電機(33)で発電を行うことができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
《発明の実施形態1》
本発明の実施形態1について説明する。本実施形態は、本発明に係る膨張機(30)を備えた空調機(10)である。
〈空調機の全体構成〉
図1に示すように、本実施形態の空調機(10)は、冷媒回路(11)を備えている。この空調機(10)は、冷媒回路(11)で冷媒を循環させて冷凍サイクルを行う冷凍装置である。冷媒回路(11)には、圧縮機(20)と、膨張機(30)と、室外熱交換器(14)と、室内熱交換器(15)と、第1四方切換弁(12)と、第2四方切換弁(13)とが接続されている。冷媒回路(11)には、冷媒として二酸化炭素(CO)が充填されている。また、冷媒回路(11)には、給油用配管(17)が設けられている。
冷媒回路(11)の構成について説明する。圧縮機(20)は、その吐出管(26)が第1四方切換弁(12)の第1のポートに接続され、その吸入管(25)が第1四方切換弁(12)の第2のポートに接続されている。膨張機(30)は、その流出管(36)が第2四方切換弁(13)の第1のポートに接続され、その流入管(35)が第2四方切換弁(13)の第2のポートに接続されている。室外熱交換器(14)は、その一端が第1四方切換弁(12)の第3のポートに接続され、その他端が第2四方切換弁(13)の第4のポートに接続されている。室内熱交換器(15)は、その一端が第2四方切換弁(13)の第3のポートに接続され、その他端が第1四方切換弁(12)の第4のポートに接続されている。この冷媒回路(11)では、圧縮機(20)の吸入管(25)と第1四方切換弁(12)の第2のポートとを繋ぐ配管が吸入側配管(16)を構成している。
室外熱交換器(14)は、冷媒を室外空気と熱交換させるための空気熱交換器である。室内熱交換器(15)は、冷媒を室内空気と熱交換させるための空気熱交換器である。第1四方切換弁(12)と第2四方切換弁(13)は、それぞれ、第1のポートと第3のポートが連通し且つ第2のポートと第4のポートが連通する第1状態(図1に実線で示す状態)と、第1のポートと第4のポートが連通し且つ第2のポートと第3のポートが連通する第2状態(図1に破線で示す状態)とに切り換わるように構成されている。
圧縮機(20)は、いわゆる高圧ドームタイプの全密閉型圧縮機である。この圧縮機(20)は、縦長の円筒形に形成された圧縮機ケーシング(24)を備えている。圧縮機ケーシング(24)の内部には、圧縮機構(21)と電動機(23)と駆動軸(22)とが収容されている。圧縮機構(21)は、いわゆるロータリ式の容積型流体機械を構成している。圧縮機ケーシング(24)内では、圧縮機構(21)の上方に電動機(23)が配置されている。駆動軸(22)は、上下方向へ延びる姿勢で配置され、圧縮機構(21)と電動機(23)を連結している。
圧縮機ケーシング(24)には、吸入管(25)と吐出管(26)が設けられている。吸入管(25)は、圧縮機ケーシング(24)の胴部の下端付近を貫通しており、その終端が圧縮機構(21)へ直に接続されている。吐出管(26)は、圧縮機ケーシング(24)の頂部を貫通しており、その始端が圧縮機ケーシング(24)内における電動機(23)の上側の空間に開口している。圧縮機構(21)は、吸入管(25)から吸い込んだ冷媒を圧縮して圧縮機ケーシング(24)内へ吐出する。
圧縮機ケーシング(24)の底部には、潤滑油としての冷凍機油が貯留されている。本実施形態では、ポリアルキレングリコール(PAG)が冷凍機油として用いられる。駆動軸(22)の内部には、図示しないが、その軸方向へ延びる給油通路が形成されている。この給油通路は、駆動軸(22)の下端に開口している。駆動軸(22)の下端は、油溜まり(27)に浸かった状態となっている。圧縮機ケーシング(24)内の冷凍機油は、駆動軸(22)の給油通路を通じて圧縮機構(21)へ供給される。
膨張機(30)は、縦長の円筒形に形成された膨張機ケーシング(34)を備えている。膨張機ケーシング(34)の内部空間(S)には、膨張機構(31)と発電機(33)とが収容されている。膨張機構(31)は、ロータリ式の容積型流体機械を構成する膨張機本体部(32)と、該膨張機本体部(32)に連結する出力軸(40)とで構成されている。膨張機ケーシング(34)内では、膨張機本体部(32)の下方に発電機(33)が配置されている。出力軸(40)は、上下方向へ延びる姿勢で配置され、膨張機本体部(32)と発電機(33)とを連結している。
膨張機ケーシング(34)には、流入管(35)と流出管(36)が設けられている。流入管(35)と流出管(36)は、何れも膨張機ケーシング(34)の胴部の上端付近を貫通している。流入管(35)は、その終端が膨張機本体部(32)へ直に接続されている。流出管(36)は、その始端が膨張機本体部(32)へ直に接続されている。膨張機本体部(32)は、流入管(35)を通って流入した冷媒を膨張させ、膨張後の冷媒を流出管(36)へ送り出す。また、膨張機ケーシング(34)には、給油管(37)が設けられている。給油管(37)は、膨張機ケーシング(34)の胴部の上端付近を貫通し、その終端が膨張機本体部(32)へ直に接続されている。
給油用配管(17)は、その始端が圧縮機(20)に接続され、その終端が膨張機(30)の給油管(37)に接続されている。具体的に、給油用配管(17)の始端部は、圧縮機ケーシング(24)の底部を貫通し、圧縮機ケーシング(24)の内部空間に開口している。この給油用配管(17)の始端部は、圧縮機ケーシング(24)の底に溜まった冷凍機油に浸かった状態となっており、駆動軸(22)の下端と概ね同じ高さに開口している。一方、給油用配管(17)の終端部は、給油管(37)を介して膨張機ケーシング(34)内の膨張機構(31)に直に接続されている。圧縮機ケーシング(24)の底に溜まった冷凍機油は、給油用配管(17)を通って膨張機構(31)へ供給される。
〈膨張機の構成〉
膨張機(30)の構成について説明する。ここでは、出力軸(40)及び膨張機本体部(32)の構成について、図2〜図4を参照しながら詳細に説明する。
図2に示すように、出力軸(40)の上端部には、2つの偏心部(42,43)が形成されている。2つの偏心部(42,43)は、出力軸(40)の主軸部(41)よりも大径に形成されており、下側のものが第1偏心部(42)を、上側のものが第2偏心部(43)をそれぞれ構成している。第1偏心部(42)と第2偏心部(43)とは、何れも同じ方向へ偏心している。第2偏心部(43)の外径は、第1偏心部(42)の外径よりも大きくなっている。主軸部(41)の軸心に対する偏心量は、第2偏心部(43)の方が第1偏心部(42)よりも大きくなっている。
出力軸(40)の内部には、膨張機ケーシング(34)の内部空間(S)と仕切られるように軸側油通路(90)が形成されている。軸側油通路(90)は、主通路部(90a)、第1給油通路部(91)、第2給油通路部(92)、第3給油通路部(93)、第4給油通路部(94)、及び中継通路部(95)とを備えている。更に、出力軸(40)の内部には、その下側の略半分の部位にプレート側油通路(98)が形成されている。プレート側油通路(98)は、後述するスラストプレート(110)側に冷凍機油を供給するための受け部側油通路を構成している。
主通路部(90a)は、出力軸(40)のうち膨張機本体部(32)内に位置する部分に形成されており、主軸部(41)の軸心に沿って延びている。主通路部(90a)は、その上端が出力軸(40)の上端面に開口している。また、主軸部(41)の下端部には、上記第4給油通路部(94)とプレート側油通路(98)とが接続している。
上記第1から第4までの給油通路部(91〜94)と中継通路部(95)とは、出力軸(40)を径方向に延びて形成されている。第1給油通路部(91)は、出力軸(40)の第1偏心部(42)に形成され、その基端が主通路部(90a)に連通し、その先端が第1偏心部(42)の外周面に開口している。第2給油通路部(92)は、出力軸(40)の第2偏心部(43)に形成され、その基端が主通路部(90a)に連通し、その先端が第2偏心部(43)の外周面に開口している。第3給油通路部(93)は、主軸部(41)における第1偏心部(42)よりも下側に形成され、その基端が主通路部(90a)に連通し、その先端が出力軸(40)の主軸受部(46)に開口している。第4給油通路部(94)は、主軸部(41)における第2偏心部(43)よりも上側に形成され、その基端が主通路部(90a)に連通し、その先端が出力軸(40)の副軸受部(47)に開口している。また、上記中継通路部(95)は、第1給油通路部(91)と第3給油通路部(93)との間に位置している。
膨張機本体部(32)は、いわゆる揺動ピストン型のロータリ式流体機械で構成されている。膨張機本体部(32)には、対になったシリンダ(71,81)及びピストン(75,85)が二組設けられている。また、膨張機本体部(32)には、フロントヘッド(61)と、中間プレート(63)と、リアヘッド(62)とが設けられている。
膨張機本体部(32)では、下から上へ向かって順に、フロントヘッド(61)、第1シリンダ(71)、中間プレート(63)、第2シリンダ(81)、リアヘッド(62)、上部プレート(65)が積層された状態となっている。この状態において、第1シリンダ(71)は、その下側端面がフロントヘッド(61)により閉塞され、その上側端面が中間プレート(63)により閉塞されている。一方、第2シリンダ(81)は、その下側端面が中間プレート(63)により閉塞され、その上側端面がリアヘッド(62)により閉塞されている。つまり、フロントヘッド(61)、中間プレート(63)、及びリアヘッド(62)は、閉塞部材を構成している。また、膨張機本体部(32)では、第2シリンダ(81)の内径が、第1シリンダ(71)の内径よりも大きくなっている。
出力軸(40)は、積層された状態のフロントヘッド(61)、第1シリンダ(71)、中間プレート(63)、第2シリンダ(81)を貫通している。また、出力軸(40)は、その第1偏心部(42)が第1シリンダ(71)内に位置し、その第2偏心部(43)が第2シリンダ(81)内に位置している。
図3及び図4にも示すように、第1シリンダ(71)内には可動部材としての第1ピストン(75)が、第2シリンダ(81)内には可動部材としての第2ピストン(85)がそれぞれ設けられている。第1及び第2ピストン(75,85)は、何れも円環状あるいは円筒状に形成されている。第1ピストン(75)の外径と第2ピストン(85)の外径とは、互いに等しくなっている。第1ピストン(75)の内径は第1偏心部(42)の外径と、第2ピストン(85)の内径は第2偏心部(43)の外径とそれぞれ概ね等しくなっている。そして、第1ピストン(75)には第1偏心部(42)が、第2ピストン(85)には第2偏心部(43)がそれぞれ貫通している。
第1ピストン(75)は、その外周面が第1シリンダ(71)の内周面に、一方の端面がフロントヘッド(61)に、他方の端面が中間プレート(63)にそれぞれ摺接している。第1シリンダ(71)内には、その内周面と第1ピストン(75)の外周面との間に第1流体室(72)が形成される。一方、上記第2ピストン(85)は、その外周面が第2シリンダ(81)の内周面に、一方の端面がリアヘッド(62)に、他方の端面が中間プレート(63)にそれぞれ摺接している。第2シリンダ(81)内には、その内周面と第2ピストン(85)の外周面との間に第2流体室(82)が形成される。
第1及び第2ピストン(75,85)のそれぞれには、ブレード(76,86)が1つずつ一体に設けられている。ブレード(76,86)は、ピストン(75,85)の半径方向へ延びる板状に形成されており、ピストン(75,85)の外周面から外側へ突出している。第1ピストン(75)のブレード(76)は第1シリンダ(71)のブッシュ孔(78)に、第2ピストン(85)のブレード(86)は第2シリンダ(81)のブッシュ孔(88)にそれぞれ挿入されている。各シリンダ(71,81)のブッシュ孔(78,88)は、シリンダ(71,81)を厚み方向へ貫通すると共に、シリンダ(71,81)の内周面に開口している。
各シリンダ(71,81)には、一対のブッシュ(77,87)が一組ずつ設けられている。各ブッシュ(77,87)は、内側面が平面となって外側面が円弧面となるように形成された小片である。各シリンダ(71,81)において、一対のブッシュ(77,87)は、ブッシュ孔(78,88)に挿入されてブレード(76,86)を挟み込んだ状態となる。各ブッシュ(77,87)は、その内側面がブレード(76,86)と摺接し、その外側面がシリンダ(71,81)と摺動する。そして、ピストン(75,85)と一体のブレード(76,86)は、ブッシュ(77,87)を介してシリンダ(71,81)に支持され、シリンダ(71,81)に対して回動自在で且つ進退自在となっている。
第1シリンダ(71)内の第1流体室(72)は、第1ピストン(75)と一体の第1ブレード(76)によって仕切られており、図3,図4における第1ブレード(76)の左側が高圧側の第1高圧室(73)となり、その右側が低圧側の第1低圧室(74)となっている。第2シリンダ(81)内の第2流体室(82)は、第2ピストン(85)と一体の第2ブレード(86)によって仕切られており、図3,図4における第2ブレード(86)の左側が高圧側の第2高圧室(83)となり、その右側が低圧側の第2低圧室(84)となっている。
第1シリンダ(71)と第2シリンダ(81)とは、それぞれの周方向におけるブッシュ(77,87)の位置が一致する姿勢で配置されている。言い換えると、第2シリンダ(81)の第1シリンダ(71)に対する配置角度が0°となっている。上述のように、第1偏心部(42)と第2偏心部(43)とは、主軸部(41)の軸心に対して同じ方向へ偏心している。従って、第1ブレード(76)が第1シリンダ(71)の外側へ最も退いた状態になるのと同時に、第2ブレード(86)が第2シリンダ(81)の外側へ最も退いた状態になる。
第1シリンダ(71)には、流入ポート(67)が形成されている。流入ポート(67)は、第1シリンダ(71)の内周面のうち、図3,図4におけるブッシュ(77)のやや左側の箇所に開口している。流入ポート(67)は、第1高圧室(73)と連通可能となっている。図示しないが、流入ポート(67)には、流入管(35)が接続されている。
第2シリンダ(81)には、流出ポート(68)が形成されている。流出ポート(68)は、第2シリンダ(81)の内周面のうち、図3,図4におけるブッシュ(87)のやや右側の箇所に開口している。流出ポート(68)は、第2低圧室(84)と連通可能となっている。図示しないが、流出ポート(68)には、流出管(36)が接続されている。
中間プレート(63)には、連通路(64)が形成されている。この連通路(64)は、中間プレート(63)を厚み方向へ貫通している。中間プレート(63)における第1シリンダ(71)側の面では、第1ブレード(76)の右側の箇所に連通路(64)の一端が開口している。中間プレート(63)における第2シリンダ(81)側の面では、第2ブレード(86)の左側の箇所に連通路(64)の他端が開口している。そして、図2に示すように、連通路(64)は、中間プレート(63)の厚み方向に対して斜めに延びており、第1低圧室(74)と第2高圧室(83)とを互いに連通させている。
膨張機本体部(32)では、第1シリンダ(71)と、そこに設けられたブッシュ(77)と、第1ピストン(75)と、第1ブレード(76)とが第1ロータリ機構部(70)を構成している。また、膨張機本体部(32)では、第2シリンダ(81)と、そこに設けられたブッシュ(87)と、第2ピストン(85)と、第2ブレード(86)とが第2ロータリ機構部(80)を構成している。第1ロータリ機構部(70)の第1低圧室(74)と、第2ロータリ機構部(80)の第2高圧室(83)とは、連通路(64)を介して互いに連通する。そして、第1低圧室(74)と連通路(64)と第2高圧室(83)とによって1つの閉空間が形成され、この閉空間が膨張室(66)を構成している。
図2に示すように、フロントヘッド(61)は、肉厚の平板状に形成されると共に、その中央部が下方へ突出した形状となっている。また、フロントヘッド(61)の中央部には貫通孔が形成されており、この貫通孔の内周部位が上記主軸受部(46)を構成している。主軸受部(46)は、出力軸(40)の主軸部(41)を回転自在に支持する滑り軸受を構成し、その内部に軸受メタル(図示省略)を保持している。
リアヘッド(62)は、肉厚の平板状に形成されている。また、リアヘッド(62)の中央部には貫通孔が形成されており、この貫通孔の内周部位が上記副軸受部(47)を構成している。副軸受部(47)は、出力軸(40)の主軸部(41)を回転自在に支持する滑り軸受を構成し、その内部に軸受メタル(図示省略)を保持している。
更に膨張機本体部(32)には、本体側油通路(100)が形成されている。本体側油通路(100)は、第1通路部(101)と、第2通路部(102)と、第3通路部(103)と、配管接続部(104)と、接続通路部(105)とを備えている。また、膨張機構(31)の膨張機本体部(32)では、第1シリンダ(71)に形成されたブッシュ孔(78)と、第2シリンダ(81)に形成されたブッシュ孔(88)とが、第1通路部(101)、第2通路部(102)、第3通路部(103)、配管接続部(104)、及び接続通路部(105)と共に本体側油通路(100)を構成している。
第1通路部(101)は、フロントヘッド(61)に形成されている。第1通路部(101)は、その始端がフロントヘッド(61)の上面に開口し、第1シリンダ(71)のブッシュ孔(78)と連通している。第1通路部(101)の終端は、上記中継通路部(95)側に向かって開口し、中継通路部(95)と連通可能となっている。
第2通路部(102)及び配管接続部(104)は、リアヘッド(62)に形成されている。配管接続部(104)は、リアヘッド(62)の外周面に開口する穴である。また、配管接続部(104)は、第2シリンダ(81)に形成されたブッシュ孔(88)に連通している。この配管接続部(104)には、給油管(37)が挿入されている。一方、第2通路部(102)は、その始端が配管接続部(104)に連通している。第2通路部(102)の終端は、上部プレート(65)の下端側に向かって開口している。
第3通路部(103)は、上部プレート(65)に形成されている。第3通路部(103)は、その始端が第2通路部(102)と連通している。第3通路部(103)の終端は、出力軸(40)の上側に臨んでいる。つまり、出力軸(40)の上側には、内部空間(S)と仕切られて油通路の一部を構成する油空間(103a)が形成されている。従って、出力軸(40)の上端には、油空間(103a)内の冷凍機油の圧力が作用する。
接続通路部(105)は、中間プレート(63)に形成されている。接続通路部(105)は、中間プレート(63)をその厚さ方向に貫通し、第1シリンダ(71)のブッシュ孔(78)と、第2シリンダ(81)に形成されたブッシュ孔(88)とを連通させている。
本実施形態の膨張機(30)には、出力軸(40)の下側にスラストプレート(110)が設けられている。スラストプレート(110)は、上下に扁平な板状に形成され、支持部材(111)を介してケーシング(34)に支持されている。スラストプレート(110)の上面には、出力軸(40)の下端部が摺接する当接面(112)が形成されている。つまり、スラストプレート(110)は、出力軸(40)を下側から支持する受け部を構成している。
上述のように出力軸(40)の内部には、プレート側油通路(98)が形成されている。プレート側油通路(98)は、その始端が軸側油通路(90)に連通している。プレート側油通路(98)は、出力軸(40)に沿って軸方向に延びており、その終端がスラストプレート(110)の当接面(112)に開口している。つまり、プレート側油通路(98)は、スラストプレート(110)の当接面(112)に冷凍機油を供給するための受け部側油通路を構成している。
−運転動作−
上記空調機の動作について説明する。
〈冷房運転〉
冷房運転時には、第1四方切換弁(12)及び第2四方切換弁(13)が第1状態(図1に実線で示す状態)に設定され、冷媒回路(11)で冷媒が循環して蒸気圧縮冷凍サイクルが行われる。この冷媒回路(11)で行われる冷凍サイクルは、その高圧が冷媒である二酸化炭素の臨界圧力よりも高い値に設定されている。
圧縮機(20)では、電動機(23)によって圧縮機構(21)が回転駆動される。圧縮機構(21)は、吸入管(25)から吸い込んだ冷媒を圧縮して圧縮機ケーシング(24)内へ吐出する。圧縮機ケーシング(24)内の高圧冷媒は、吐出管(26)を通って圧縮機(20)から吐出される。圧縮機(20)から吐出された冷媒は、室外熱交換器(14)へ送られて室外空気へ放熱する。室外熱交換器(14)で放熱した高圧冷媒は、膨張機(30)へ流入する。
膨張機(30)では、流入管(35)を通って膨張機構(31)へ流入した高圧冷媒が膨張し、それによって発電機(33)が回転駆動される。発電機(33)で発生した電力は、圧縮機(20)の電動機(23)へ供給される。膨張機構(31)で膨張した冷媒は、流出管(36)を通って膨張機(30)から送り出される。膨張機(30)から送出された冷媒は、室内熱交換器(15)へ送られる。室内熱交換器(15)では、流入した冷媒が室内空気から吸熱して蒸発し、室内空気が冷却される。室内熱交換器(15)から出た低圧冷媒は、圧縮機(20)の吸入管(25)へ流入する。
〈暖房運転〉
暖房運転時には、第1四方切換弁(12)及び第2四方切換弁(13)が第2状態(図1に破線で示す状態)に設定され、冷媒回路(11)で冷媒が循環して蒸気圧縮冷凍サイクルが行われる。冷房運転時と同様に、この冷媒回路(11)で行われる冷凍サイクルは、その高圧が冷媒である二酸化炭素の臨界圧力よりも高い値に設定されている。
圧縮機(20)では、電動機(23)によって圧縮機構(21)が回転駆動される。圧縮機構(21)は、吸入管(25)から吸い込んだ冷媒を圧縮して圧縮機ケーシング(24)内へ吐出する。圧縮機ケーシング(24)内の高圧冷媒は、吐出管(26)を通って圧縮機(20)から吐出される。圧縮機(20)から吐出された冷媒は、室内熱交換器(15)へ送られる。室内熱交換器(15)では、流入した冷媒が室内空気へ放熱し、室内空気が加熱される。室内熱交換器(15)で放熱した高圧冷媒は、膨張機(30)へ流入する。
膨張機(30)では、流入管(35)を通って膨張機構(31)へ流入した高圧冷媒が膨張し、それによって発電機(33)が回転駆動される。発電機(33)で発生した電力は、圧縮機(20)の電動機(23)へ供給される。膨張機構(31)で膨張した冷媒は、流出管(36)を通って膨張機(30)から送り出される。膨張機(30)から送出された冷媒は、室外熱交換器(14)へ送られる。室外熱交換器(14)では、流入した冷媒が室外空気から吸熱して蒸発する。室外熱交換器(14)から出た低圧冷媒は、圧縮機(20)の吸入管(25)へ流入する。
〈圧縮機及び膨張機の潤滑動作〉
圧縮機(20)と膨張機(30)を冷凍機油により潤滑する動作について説明する。
圧縮機(20)では、圧縮機ケーシング(24)の内圧が、圧縮機構(21)から吐出された冷媒の圧力とほぼ同じになっている。このため、圧縮機ケーシング(24)の底に溜まった冷凍機油の圧力も、圧縮機構(21)から吐出された冷媒の圧力とほぼ同じになっている。一方、圧縮機構(21)は、吸入管(25)から低圧冷媒を吸入する。従って、圧縮機構(21)には、圧縮機ケーシング(24)の内圧よりも低圧となる部分が存在する。このため、圧縮機ケーシング(24)の底に溜まった冷凍機油は、駆動軸(22)内の給油通路を通って圧縮機構(21)へ流入し、圧縮機構(21)の潤滑に利用される。圧縮機構(21)へ供給された冷凍機油は、圧縮された冷媒と共に圧縮機ケーシング(24)内へ吐出され、再び圧縮機ケーシング(24)の底部へ戻ってくる。
冷媒回路(11)を循環する冷媒の圧力は、圧縮機(20)から膨張機(30)へ至るまでの間に幾分低下する。このため、膨張機構(31)を通過する冷媒の圧力は、必然的に圧縮機ケーシング(24)の内圧よりも低くなる。また、膨張機構(31)に形成された流体室(72,82)では冷媒が膨張するため、膨張機構(31)内には膨張機構(31)へ流入する冷媒よりも更に低圧の部分が必ず存在する。このため、圧縮機ケーシング(24)の底に溜まった冷凍機油は、給油用配管(17)を通って膨張機構(31)へ流入する。
膨張機構(31)に流入した冷凍機油は、膨張機構(31)の潤滑に利用される。その後、この冷凍機油は、そのほぼ全量が膨張後の冷媒と共に膨張機(30)から流出する。冷媒と共に膨張機(30)から流出した冷凍機油は、冷媒と共に冷媒回路(11)内を流れて圧縮機(20)へ吸入される。なお、膨張機構(31)における冷凍機油の流通経路については、後述する。
圧縮機(20)の圧縮機構(21)へ冷媒と共に吸入された冷凍機油は、圧縮後の冷媒と共に圧縮機構(21)から圧縮機ケーシング(24)の内部空間へ吐出され、その後に圧縮機ケーシング(24)の底部へと流れ落ちてゆく。
〈膨張機構の動作〉
先ず、膨張機構(31)の運転動作について、図4を参照しながら説明する。
第1ロータリ機構部(70)の第1高圧室(73)へ超臨界状態の高圧冷媒が流入する過程について説明する。回転角が0°の状態から出力軸(40)が僅かに回転すると、第1ピストン(75)と第1シリンダ(71)の接触位置が流入ポート(67)の開口部を通過し、流入ポート(67)から第1高圧室(73)へ高圧冷媒が流入し始める。その後、出力軸(40)の回転角が90°,180°,270°と次第に大きくなるにつれて、第1高圧室(73)へ高圧冷媒が流入してゆく。この第1高圧室(73)への高圧冷媒の流入は、出力軸(40)の回転角が360°に達するまで続く。
膨張機構(31)において冷媒が膨張する過程について説明する。回転角が0°の状態から出力軸(40)が僅かに回転すると、第1低圧室(74)と第2高圧室(83)が連通路(64)を介して互いに連通し、第1低圧室(74)から第2高圧室(83)へと冷媒が流入し始める。その後、出力軸(40)の回転角が90°,180°,270°と次第に大きくなるにつれ、第1低圧室(74)の容積が次第に減少すると同時に第2高圧室(83)の容積が次第に増加し、結果として膨張室(66)の容積が次第に増加してゆく。この膨張室(66)の容積増加は、出力軸(40)の回転角が360°に達する直前まで続く。そして、膨張室(66)の容積が増加する過程で膨張室(66)内の冷媒が膨張し、この冷媒の膨張によって出力軸(40)が回転駆動される。このように、第1低圧室(74)内の冷媒は、連通路(64)を通って第2高圧室(83)へ膨張しながら流入してゆく。
第2ロータリ機構部(80)の第2低圧室(84)から冷媒が流出してゆく過程について説明する。第2低圧室(84)は、出力軸(40)の回転角が0°の時点から流出ポート(68)に連通し始める。つまり、第2低圧室(84)から流出ポート(68)へと冷媒が流出し始める。その後、出力軸(40)の回転角が90°,180°,270°と次第に大きくなってゆき、その回転角が360°に達するまでの間に亘って、第2低圧室(84)から膨張後の低圧冷媒が流出してゆく。
次に、膨張機構(31)における冷凍機油の流通経路について、図2を参照しながら説明する。
膨張機構(31)へは、圧縮機ケーシング(24)内に貯留された高圧の冷凍機油が、給油用配管(17)を通じて供給される。給油用配管(17)を流れる冷凍機油は、給油管(37)を通って配管接続部(104)へ導入される。配管接続部(104)へ流入した冷凍機油は、その一部が第2通路部(102)を通じて第3通路部(103)へ流入し、残りが第2シリンダ(81)のブッシュ孔(88)へ流入する。第3通路部(103)へ流入した冷凍機油は、油空間(103a)から主軸部(41)内の主通路部(90a)へ流入する。
第2シリンダ(81)のブッシュ孔(88)へ流入した冷凍機油の一部は、第2シリンダ(81)とブッシュ(87)の摺動部や、第2ブレード(86)とブッシュ(87)の摺動部へ供給され、潤滑に利用された後に第2シリンダ(81)内の第2流体室(82)へ流入する。一方、このブッシュ孔(88)へ流入した冷凍機油の残りは、接続通路部(105)を通って第1シリンダ(71)のブッシュ孔(78)へ流入する。
第1シリンダ(71)のブッシュ孔(78)へ流入した冷凍機油の一部は、第1シリンダ(71)とブッシュ(77)の摺動部や、第1ブレード(76)とブッシュ(77)の摺動部へ供給され、潤滑に利用された後に第1シリンダ(71)内の第1流体室(72)へ流入する。一方、このブッシュ孔(88)へ流入した冷凍機油の残りは、第1通路部(101)へ流入する。第1通路部(101)を流れる冷凍機油は、主軸部(41)内の中継通路部(95)を介して主通路部(90a)へ流入する。
主通路部(90a)へ流入した冷凍機油は、第1から第4までの給油通路部(91,92,93,94)へ分流し、各摺動部の潤滑に利用される。具体的に、第1給油通路部(91)へ流入した冷凍機油は、第1偏心部(42)と第1ピストン(75)の摺動部に供給され、第2給油通路部(92)へ流入した冷凍機油は、第2偏心部(43)と第2ピストン(85)の摺動部に供給される。第3給油通路部(93)へ流入した冷凍機油は、主軸部(41)と主軸受部(46)の摺動部に供給され、第4給油通路部(94)へ流入した冷凍機油は、主軸部(41)と副軸受部(47)の摺動部に供給される。
また、第1偏心部(42)と第1ピストン(75)の潤滑に利用された冷凍機油は、フロントヘッド(61)及び中間プレート(63)と第1ピストン(75)の端面との隙間へ流入し、潤滑に利用された後に第1シリンダ(71)内の第1流体室(72)へ流入する。一方、第2偏心部(43)と第2ピストン(85)の潤滑に利用された冷凍機油は、リアヘッド(62)及び中間プレート(63)と第2ピストン(85)の端面との隙間へ流入し、潤滑に利用された後に第2シリンダ(81)内の第2流体室(82)へ流入する。
−スラストプレートの作用−
本実施形態の膨張機(30)では、出力軸(40)の下端部にスラストプレート(110)を当接させている。これにより、油空間(103a)の高圧の冷凍機油に起因して、出力軸(40)の第1偏心部(42)や第2偏心部(43)のスラスト軸受けに作用するスラスト荷重を低減できる。
即ち、例えば図12に例示する膨張機(200)では、出力軸(207)の上端部がリアヘッド(62)で覆われており、この部位に高圧の冷凍機油の圧力が作用している。このため、出力軸(207)は、この冷凍機油の圧力により下方に押し付けられることから、出力軸(207)の偏心部(210)のスラスト軸受け(即ち、偏心部(210)の下側)に作用するスラスト荷重が増大してしまう。その結果、この部位での摺動抵抗が増大し、機械損失の増大や焼き付きの原因となってしまう。
これに対し、上記実施形態のように、出力軸(40)の下端側にスラストプレート(110)を設けることで、スラストプレート(110)の当接面(112)によって出力軸(40)を下側から受けることができる。その結果、出力軸(40)の第1偏心部(42)や第2偏心部(43)のスラスト軸受けでは、スラスト荷重が低減され、この部位での摺動抵抗が小さくなる。
また、上記軸側油通路(90)の主通路部(90a)に流入した冷凍機油は、その一部がプレート側油通路(98)を下方へ流れる。この冷凍機油は、スラストプレート(110)の当接面(112)に供給され、スラストプレート(110)と出力軸(40)の摺動部の潤滑に利用される。
−実施形態の効果−
本実施形態では、高圧の冷凍機油によって押し付け力が作用する出力軸(40)をスラストプレート(110)によって受けるようにしている。このため、出力軸(40)の各偏心部(41,42)のスラスト軸受けのスラスト荷重を低減でき、この部位での摺動抵抗を低減できる。その結果、スラスト軸受けにおける機械損失を低減でき、且つ焼き付きを防止して膨張機(30)の信頼性を確保できる。
また、本実施形態では、主軸部(41)を流れる冷凍機油の一部をプレート側油通路(98)を通じてスラストプレート(110)の当接面(112)に供給するようにしている。このため、スラストプレート(110)の当接面(112)を冷凍機油によって確実に潤滑でき、スラストプレート(110)での摺動抵抗も効果的に低減できる。
また、本実施形態の膨張機(30)では、膨張機構(31)が収容される膨張機ケーシング(34)の内部空間の圧力が、膨張機構(31)で膨張した冷媒の圧力(即ち、冷凍サイクルの低圧)と同等となっている。このため、膨張機ケーシング(34)内における膨張機構(31)の周囲の雰囲気の温度が比較的低温(例えば0℃〜10℃程度)となり、膨張機構(31)の周囲の冷媒から膨張機構(31)の内部の冷媒へ移動する熱量を大幅に削減することができる。その結果、膨張機構(31)から流出する膨張後の冷媒のエンタルピを低く抑えることができ、膨張機(30)が設けられる空調機(10)の能力を向上させることができる。
また、本実施形態の膨張機(30)では、圧縮機ケーシング(24)内に貯留された高圧の冷凍機油(即ち、その圧力が冷凍サイクルの高圧と同程度の冷凍機油)が、所定の油通路を通じて膨張機構(31)の出力軸(40)の摺動部へ供給される。即ち、上記実施形態では、冷媒回路(11)の高圧を利用して冷凍機油を摺動部へ搬送している。その結果、冷凍機油の搬送手段として給油ポンプ等を用いることを要しないので、装置構造の簡素化、動力の削減を図ることができる。
更に、本実施形態の膨張機(30)では、出力軸(40)の上端を上部プレート(65)によって覆っている。その結果、出力軸(40)の摺動部へ供給され冷凍機油が、内部空間(S)へ流出してしまうのを防止できる。その結果、膨張機本体部(32)の周囲温度が上昇してしまうのを回避できる。
《発明の実施形態2》
本発明の実施形態2について説明する。本実施形態は、上記実施形態1の空調機(10)において、膨張機(30)に対する冷凍機油の供給元を変更したものである。ここでは、本実施形態の空調機(10)について、上記実施形態1と異なる点を説明する。
図5に示すように、本実施形態の空調機(10)では、冷媒回路(11)に油分離器(19)が設けられている。冷媒回路(11)において、油分離器(19)は、第2四方切換弁(13)の第2のポートと膨張機(30)の流入管(35)との間に設けられている。この油分離器(19)には、室外熱交換器(14)と室内熱交換器(15)のうちガスクーラ(放熱器)として動作する方を通過した超臨界状態の冷媒が流入する。この油分離器(19)は、流入した冷媒から冷凍機油を分離し、冷凍機油が除去された冷媒を膨張機(30)へ向けて送り出す。
また、本実施形態の冷媒回路(11)において、給油用配管(17)は、油分離器(19)の底部に接続されており、油分離器(19)内の冷凍機油を膨張機(30)の給油管(37)へ供給する。上述したように、油分離器(19)へ流入する冷媒の圧力は、冷凍サイクルの高圧と同等になっている。このため、油分離器(19)内の冷凍機油の圧力も冷凍サイクルの高圧と同等となる。従って、膨張機(30)に対しては、その圧力が冷凍サイクルの高圧と同等となっている冷凍機油が給油用配管(17)を通じて油分離器(19)から供給される。
−実施形態2の変形例−
本実施形態では、冷媒回路(11)における油分離器(19)の接続位置を変更してもよい。
図6に示すように、本変形例の冷媒回路(11)では、圧縮機(20)の吐出管(26)と第1四方切換弁(12)の第1のポートとの間に油分離器(19)が設けられている。この油分離器(19)には、圧縮機(20)から吐出された超臨界状態の冷媒が流入する。この油分離器(19)は、流入した冷媒から冷凍機油を分離し、冷凍機油が除去された冷媒を第1四方切換弁(12)へ向けて送り出す。
なお、本変形例の冷媒回路(11)においても、給油用配管(17)が油分離器(19)の底部に接続されている点は上記実施形態2と同様である。そして、膨張機(30)に対しては、その圧力が冷凍サイクルの高圧と同等となっている冷凍機油が給油用配管(17)を通じて油分離器(19)から供給される。
《発明の実施形態3》
本発明の実施形態3について説明する。本実施形態の空調機(10)は、上記実施形態1において膨張機(30)の構成を変更したものである。ここでは、本実施形態の膨張機(30)について、上記実施形態1と異なる点を説明する。
図7に示すように、出力軸(40)の上端部には、1つの偏心部(44)が形成されている。この偏心部(44)は、出力軸(40)の主軸部(41)よりも大径に形成されている。上記実施形態1と同様に、出力軸(40)には、軸側油通路(90)とプレート側油通路(98)とが形成されている。ただし、本実施形態の軸側油通路(90)は、上記実施形態1の第2給油通路部(92)が省略された構成となっている。そして、第1給油通路部(91)は、その基端が主通路部(90a)に連通し、その先端が偏心部(44)の外周面に開口している。
膨張機構(31)は、いわゆる揺動ピストン型のロータリ式流体機械で構成されている。この膨張機構(31)には、フロントヘッド(61)と、シリンダ(51)と、ピストン(55)と、リアヘッド(62)と、上部プレート(65)とが1つずつ設けられている。
膨張機構(31)では、下から上へ向かって順に、フロントヘッド(61)、シリンダ(51)、リアヘッド(62)、上部プレート(65)が積層された状態となっている。この状態において、シリンダ(51)は、その下側端面がフロントヘッド(61)により閉塞され、その上側端面がリアヘッド(62)により閉塞されている。つまり、本実施形態の膨張機構(31)では、フロントヘッド(61)及びリアヘッド(62)が閉塞部材を構成している。
出力軸(40)は、積層された状態のフロントヘッド(61)、シリンダ(51)、リアヘッド(62)を貫通している。また、出力軸(40)は、その偏心部(44)がシリンダ(51)内に位置している。
図8にも示すように、シリンダ(51)内にはピストン(55)が設けられている。このピストン(55)は、円環状あるいは円筒状に形成されている。ピストン(55)の内径は偏心部(44)の外径と概ね等しくなっている。そして、ピストン(55)には出力軸(40)の偏心部(44)が貫通している。
ピストン(55)は、その外周面がシリンダ(51)の内周面に、一方の端面がフロントヘッド(61)に、他方の端面がリアヘッド(62)にそれぞれ摺接している。シリンダ(51)内には、その内周面とピストン(55)の外周面との間に流体室(52)が形成される。
ピストン(55)には、ブレード(56)が一体に設けられている。ブレード(56)は、ピストン(55)の半径方向へ延びる板状に形成されており、ピストン(55)の外周面から外側へ突出している。このブレード(56)はシリンダ(51)のブッシュ孔(58)に挿入されている。シリンダ(51)のブッシュ孔(58)は、シリンダ(51)を厚み方向へ貫通すると共に、シリンダ(51)の内周面に開口している。
シリンダ(51)には、一対のブッシュ(57)が設けられている。各ブッシュ(57)は、内側面が平面となって外側面が円弧面となるように形成された小片である。シリンダ(51)において、一対のブッシュ(57)は、ブッシュ孔(58)に挿入されてブレード(56)を挟み込んだ状態となる。ブッシュ(57)は、その内側面がブレード(56)と摺接し、その外側面がシリンダ(51)と摺動する。そして、ピストン(55)と一体のブレード(56)は、ブッシュ(57)を介してシリンダ(51)に支持され、シリンダ(51)に対して回動自在で且つ進退自在となっている。
シリンダ(51)内の流体室(52)は、ピストン(55)と一体のブレード(56)によって仕切られており、図8におけるブレード(56)の左側が高圧側の高圧室(53)となり、その右側が低圧側の低圧室(54)となっている。フロントヘッド(61)には流入ポート(67)が形成されている。流入ポート(67)は、フロントヘッド(61)の上面のうち高圧室(53)に臨む部分に開口している。また、流入ポート(67)の開口位置は、シリンダ(51)の内周面の近傍で且つ図8におけるブレード(56)の左側近傍に設定されている。シリンダ(51)には流出ポート(68)が形成されている。流出ポート(68)は、シリンダ(51)の内周面のうち、図8におけるブッシュ(57)のやや右側の箇所に開口している。この流出ポート(68)は、低圧室(54)と連通可能となっている。
なお、フロントヘッド(61)に主軸受部(46)が形成され、リアヘッド(62)に副軸受部(47)が形成されている点は、上記実施形態1と同様である。また、第1通路部(101)がフロントヘッド(61)に形成され、配管接続部(104)と第2通路部(102)がリアヘッド(62)に形成され、第3通路部(103)が上部プレート(65)に形成されている点も、上記実施形態1と同様である。ただし、本実施形態の膨張機構(31)に中間プレート(63)は設けられていない。従って、本実施形態の膨張機構(31)に形成された本体側油通路(95)は、第1通路部(101)と、第2通路部(102)と、第3通路部(103)と、配管接続部(104)と、シリンダ(51)に形成されたブッシュ孔(58)とによって構成される。
−運転動作−
空調機(10)の冷房運転及び暖房運転や、圧縮機構(21)及び膨張機構(31)へ冷凍機油を供給する動作は、上記実施形態1の場合と同様である。ここでは、本実施形態の膨張機構(31)が冷媒から動力を回収する動作について、図8を参照しながら説明する。
出力軸(40)が図8(a)の状態(回転角が0°の状態)から同図の反時計方向へ僅かに回転すると、流入ポート(67)が高圧室(53)と連通し、流入ポート(67)から高圧室(53)へ高圧冷媒が流入する。この時、低圧室(54)は流出ポート(68)と連通しており、低圧室(54)の圧力は冷凍サイクルの低圧と概ね等しくなっている。このため、ピストン(55)は高圧室(53)へ流入した冷媒によって押し動かされ、出力軸(40)が同図の反時計方向へ回転を続ける。
そして、図8(b)〜(d)に順次示すように、高圧室(53)の容積はピストン(55)が移動するのにつれて拡大する一方、低圧室(54)の容積はピストン(55)が移動するのにつれて縮小してゆく。その後、ピストン(55)は同図(a)の状態に戻るが、慣性力によって回転し続け、再び高圧室(53)に流入ポート(67)が連通すると同時に低圧室(54)に流出ポート(68)が連通する状態となり、出力軸(40)が継続的に回転駆動される。
本実施形態の膨張機構(31)における冷凍機油の流通経路は、上記実施形態1と概ね同様である。
具体的に、給油用配管(17)から給油管(37)を通って配管接続部(104)へ流入した冷凍機油は、その一部がシリンダ(51)のブッシュ孔(58)へ流入し、残りが第2通路部(102)へ流入する。第2通路部(102)へ流入した冷凍機油は、第3通路部(103)を通じて主軸部(41)の主通路部(90a)に流入する。
シリンダ(51)のブッシュ孔(58)へ流入した冷凍機油の一部は、シリンダ(51)とブッシュ(57)の摺動部や、ブレード(56)とブッシュ(57)の摺動部へ供給され、潤滑に利用された後にシリンダ(51)内の流体室(52)へ流入する。このブッシュ孔(58)へ流入した冷凍機油の残りは、第1通路部(101)へ流入する。第1通路部(101)へ流入した冷凍機油は、中継通路部(95)を介して主軸部(41)の主通路部(90a)に流入する。主通路部(90a)に流入した冷凍機油は、各給油通路部(91,93,94)に分流して各摺動部の潤滑に利用される。
また、実施形態3においても、出力軸(40)の下端側にスラストプレート(110)が設けられている。従って、第3通路部(103)の油空間(103a)内の高圧の冷凍機油によって出力軸(40)が下方に押し付けられても、この出力軸(40)をスラストプレート(110)により受けることができる。その結果、出力軸(40)の偏心部(44)のスラスト軸受けのスラスト荷重が低減され、この部位での摺動抵抗が低減される。
また、主通路部(90a)内の冷凍機油の一部は、プレート側油通路(98)を通じてスラストプレート(110)の当接面(112)に供給される。従って、スラストプレート(110)の当接面(112)が確実に潤滑され、スラストプレート(110)での摺動抵抗も低減される。
《その他の実施形態》
図9に示すように、上記各実施形態の膨張機(30)において、膨張機(30)が接続される冷媒回路(11)に油戻し用配管(18)を設けても良い。
油戻し用配管(18)は、その始端が膨張機(30)に接続され、その終端が吸入側配管(16)に接続されている。具体的に、油戻し用配管(18)の始端部は、膨張機ケーシング(34)の底部を貫通し、膨張機ケーシング(34)の内部空間(S)に開口している。この油戻し用配管(18)の始端部は、膨張機ケーシング(34)の底面付近に開口している。一方、油戻し用配管(18)の終端部は、吸入側配管(16)に接続されている。
膨張機構(31)の隙間から漏洩して膨張機ケーシング(34)の底に溜まった冷凍機油は、油戻し用配管(18)を通って吸入側配管(16)へ流入し、吸入側配管(16)を流れる冷媒と共に圧縮機(20)へ吸入される。吸入側配管(16)を流れる冷媒の圧力は、冷媒回路(11)内で最も低くなっている。このため、膨張機ケーシング(34)内の冷凍機油は、油戻し用配管(18)を流れて吸入側配管(16)に流入する。
また、図10に示すように、上記各実施形態のスラストプレート(110)の当接面(112)に潤滑膜(113)を形成しても良い。この潤滑膜(113)は、摺動性及び耐摩耗性に優れた材料であって、例えば所定の樹脂材料やDLC(Diamond like carbon)で構成される。このようにすると、スラストプレート(110)の当接面(112)での摺動抵抗を更に低減でき、且つ摩耗を防止して所望の機能を得ることができる。
また、同様にして、各偏心部(41,42,44)のスラスト軸受け部に上記の潤滑膜(113)を形成するようにしても良い。この場合には、スラスト軸受け部での摺動抵抗を直接的に低減することができる。
更に、図11に示すように、上記各実施形態のスラストプレート(110)に筒部(114)とシールリング(115)を付与した構成としても良い。上記筒部(114)は、スラストプレート(110)の当接面(112)側から出力軸(40)側に向かって延出するように形成されている。筒部(114)の内径は、出力軸(40)の下端部の外径よりも若干長くなっている。そして、筒部(114)には、出力軸(40)の下端部が内嵌している。これにより、筒部(114)の内部にスラストプレート(110)の当接面(112)が形成される。
また、筒部(114)の先端部内周側には、シールリング(115)が設けられている。つまり、シールリング(115)は、筒部(114)の内周面と出力軸(40)の外周面との隙間をシールしている。シールリング(115)は、スラストプレート(110)の当接面(112)に供給された冷凍機油が内部空間(S)へ流出するのを防止するためのシール部を構成している。
図11に示す例においても、出力軸(40)がスラストプレート(110)によって支持されることで、偏心部(41,42,44)のスラスト軸受けのスラスト荷重が低減される。また、筒部(114)の内部には、プレート側油通路(98)を通じて冷凍機油が供給されるので、スラストプレート(110)の当接面(112)の摺動抵抗も低減される。更に、シールリング(115)によって冷凍機油が内部空間(S)へ流出するのが防止される。このため、膨張機構(31)の周囲温度が冷凍機油によって上昇するのも回避される。
加えて、筒部(114)内に冷凍機油を導入することで、出力軸(40)の下端部には上方へ向かう押し付け力が作用する。即ち、出力軸(40)の下端部には、上記油空間(103a)側から下方へ向かう押し付け力に抗する押し付け力が作用する。その結果、両者の押し付け力がバランスし、偏心部(41,42,44)のスラスト軸受けのスラスト荷重が更に低減される。
また、上記形態では、膨張機構(31)がいわゆるローリングピストン型のロータリ式流体機械で構成されていてもよい。この場合、膨張機構(31)では、ブレード(56,75,86)がピストン(55,75,85)と別体に形成される。そして、ブレード(56,75,86)は、シリンダ(51,71,81)に対して進退自在に支持され、その先端がピストン(55,75,85)の外周面に押し付けられる。
また、上記各実施形態では、膨張機構(31)がスクロール型の流体機械で構成されていてもよい。この場合、膨張機構(31)では、固定スクロールと可動スクロールによって形成された膨張室内で冷媒が膨張し、可動部材である可動スクロールに係合する出力軸(40)が回転駆動される。更に、上記の各実施形態では冷凍装置によって空調機を構成しているが、冷凍装置によって給湯機を構成し、圧縮機(20)から吐出された冷媒によって水を加熱して温水を生成するようにしてもよい。
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
以上説明したように、本発明は、冷凍装置の冷媒回路に設けられる動力回収用の膨張機について有用である。
実施形態1における空調機の構成を示す冷媒回路図である。 実施形態1における膨張機の全体構成を示す概略の縦断面図である。 実施形態1における膨張機構の要部拡大図である。 実施形態1の膨張機構における出力軸の回転角90°毎の各ロータリ機構部の状態を示す概略の横断面図である。 実施形態2における空調機の構成を示す冷媒回路図である。 実施形態2の変形例における空調機の構成を示す冷媒回路図である。 実施形態3における膨張機の要部を示す概略の縦断面図である。 実施形態3の膨張機構の状態を出力軸の回転角90°毎に示した概略の横断面図である。 その他の実施形態の第1の例における空調機の構成を示す冷媒回路図である。 その他の実施形態の第2の例における膨張機の全体構成を示す概略の縦断面図である。 その他の実施形態の第3の例における膨張機の全体構成を示す概略の縦断面図である。 本発明の前提となる膨張機の要部を示す概略の縦断面図である。
符号の説明
11 冷媒回路
30 膨張機
31 膨張機構
32 膨張機本体部(本体部)
33 発電機
34 膨張機ケーシング(ケーシング)
40 出力軸
52 流体室
55 ピストン(可動部材)
72 第1流体室
75 第1ピストン(可動部材)
82 第2流体室
85 第2ピストン(可動部材)
90 軸側油通路(油通路)
98 プレート側油通路(受け部側油通路)
103a 油空間(油通路)
110 スラストプレート(受け部)
112 当接面
113 潤滑膜
114 筒部
115 シールリング(シール部)
S 内部空間

Claims (6)

  1. 冷媒を循環させて冷凍サイクルを行う冷媒回路(11)の高圧冷媒が流入する流体室(52,72,82)を形成すると共に、該流体室(52,72,82)内で膨張する冷媒の動力によって回転駆動される可動部材(55,75,85)を有する本体部(32)、及び該本体部(32)の可動部材(55,75,85)に連結される出力軸(40)を有する膨張機構(31)と、
    上記流体室(52,72,82)で膨張した冷媒と同じ圧力となる内部空間(S)に上記膨張機構(31)を収容するケーシング(34)とを備え、
    上記膨張機構(31)には、上記冷媒回路(11)に存在する高圧の冷凍機油を上記出力軸(40)の摺動部へ供給するための油通路(90,100)が形成され、
    上記出力軸(40)の軸方向の一端側には、上記内部空間(S)と仕切られて上記油通路(90,100)の一部を構成する油空間(103a)が形成され、
    上記出力軸(40)の軸方向の他端側には、該出力軸(40)の他端部との当接面(112)を有する受け部(110)が設けられていることを特徴とする膨張機。
  2. 請求項1において、
    上記出力軸(40)の内部には、上記油通路(90,100)と連通して上記冷凍機油を上記受け部(110)の当接面(112)に供給するための受け部側油通路(98)が形成されていることを特徴とする膨張機。
  3. 請求項2において、
    上記受け部(110)と出力軸(40)との隙間には、上記受け部側油通路(98)から受け部(110)の当接面(112)に供給された冷凍機油が、上記内部空間(S)に流出するのを防止するためのシール部(115)が設けられていることを特徴とする膨張機。
  4. 請求項3において、
    上記受け部(110)には、上記出力軸(40)の他端部が内嵌するように該出力軸(40)側に向かって延出する筒部(114)が形成され、
    上記シール部(115)は、上記筒部(114)の先端部の内周面と上記出力軸(40)の外周面との隙間に形成されていることを特徴とする膨張機。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1つにおいて、
    上記受け部(110)の当接面(112)には、樹脂材料又はDLC材料を含む潤滑膜(113)が形成されていることを特徴とする膨張機。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1つにおいて、
    上記ケーシング(34)内に収容されると共に、上記出力軸(40)を介して上記本体部(32)と連結されて駆動される発電機(33)を更に備えていることを特徴とする膨張機。
JP2008025137A 2008-02-05 2008-02-05 膨張機 Pending JP2009185657A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008025137A JP2009185657A (ja) 2008-02-05 2008-02-05 膨張機

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008025137A JP2009185657A (ja) 2008-02-05 2008-02-05 膨張機

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2009185657A true JP2009185657A (ja) 2009-08-20

Family

ID=41069159

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008025137A Pending JP2009185657A (ja) 2008-02-05 2008-02-05 膨張機

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2009185657A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5103952B2 (ja) 冷凍装置
KR100757179B1 (ko) 유체기계
JP5824664B2 (ja) ロータリ圧縮機及び冷凍サイクル装置
JP4830565B2 (ja) 流体機械
JP5045471B2 (ja) 膨張機
JP4924450B2 (ja) 膨張機
JP2009185657A (ja) 膨張機
JP2008223651A (ja) 流体機械
JP2009186064A (ja) 膨張機及び冷凍装置
JP2006132332A (ja) 流体機械
JP5994596B2 (ja) ロータリ式膨張機
JP5239884B2 (ja) 膨張機
JP5115355B2 (ja) 流体機械
JP5617169B2 (ja) 膨張機
JP2005264829A (ja) 流体機械
JP5418638B2 (ja) 冷凍装置
JP2009228927A (ja) 冷凍装置
JP2008163831A (ja) 流体機械
JP5169231B2 (ja) 冷凍装置
JP2010164225A (ja) 冷凍装置
JP2010077885A (ja) 膨張機
JP2010164224A (ja) 冷凍装置
JP2007138922A (ja) 回転式流体機械
JP2006097624A (ja) 回転式膨張機及び流体機械