JP2006097624A - 回転式膨張機及び流体機械 - Google Patents

回転式膨張機及び流体機械 Download PDF

Info

Publication number
JP2006097624A
JP2006097624A JP2004286619A JP2004286619A JP2006097624A JP 2006097624 A JP2006097624 A JP 2006097624A JP 2004286619 A JP2004286619 A JP 2004286619A JP 2004286619 A JP2004286619 A JP 2004286619A JP 2006097624 A JP2006097624 A JP 2006097624A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
piston
cylinder
rotary expander
outflow port
fluid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2004286619A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4617810B2 (ja
Inventor
Masakazu Okamoto
昌和 岡本
Tetsuya Okamoto
哲也 岡本
Eiji Kumakura
英二 熊倉
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daikin Industries Ltd
Original Assignee
Daikin Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Daikin Industries Ltd filed Critical Daikin Industries Ltd
Priority to JP2004286619A priority Critical patent/JP4617810B2/ja
Publication of JP2006097624A publication Critical patent/JP2006097624A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4617810B2 publication Critical patent/JP4617810B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Applications Or Details Of Rotary Compressors (AREA)

Abstract

【課題】 回転式膨張機、及びこの回転式膨張機が備えられた流体機械において、流出ポートによる流体の流出行程後に、膨張室内に残留する流体が液封状態となってしまうことを回避する。
【解決手段】 流出ポート(37)による流体の流出行程後に、流体が残留する残留空間(S)と流出ポート(37)とを連通させる液封防止手段(80)を設ける。
【選択図】 図4

Description

本発明は、膨張室内のピストンの公転に伴い流体を膨張させる回転式膨張機と、この回転式膨張機を備えた流体機械に関するものである。
従来より、蒸気圧縮式の冷凍サイクルの膨張行程などに用いられる膨張機として、揺動ピストン式やローリングピストン式の回転式膨張機が知られている。
例えば、回転式膨張機は、図14に示すように、膨張室(101)を有する環状のシリンダ(102)と、このシリンダ(102)の内周面と摺接しながら公転するピストン(103)と、このピストン(103)とで膨張室(101)を高圧室と低圧室とに区画するブレード(104)とを備えている。ピストン(103)は、円環状に形成されており、その内部には図示しない電動機によって回転する偏心軸(105)が嵌合している。ブレード(104)は、シリンダ(102)に形成されたブレード溝(106)に進退可能に保持されている。また、この回転式膨張機には、膨張室(101)へ流体を導入するための流入ポート(107)と、膨張室内で膨張した流体を膨張室の外部に排出する流出ポート(108)とを備えている。上記流入ポート(107)は、シリンダ(102)の下部に形成されており、ピストン(103)が所定公転角度となる際、複数の連通路(切り欠き溝)(109,110)を介して膨張室(101)と連通可能となっている。一方、上記流出ポート(108)は、上記シリンダ(107)の径方向側部に形成されており、その開口端がシリンダ(107)の内周面に位置している。
以上のような構成の回転式膨張機において、ピストン(103)が偏心軸(105)を中心として膨張室(101)内を公転すると(図14における反時計回りに公転すると)、流入ポート(107)より流体が膨張室(101)内に流入する。そして、ピストン(103)が所定公転角度を通過すると、流入ポート(107)が遮断され、膨張室(101)への流体の供給が停止する。この状態でさらにピストン(103)が公転すると、高圧側の膨張室(101)の容積が拡大され、高圧流体が膨張されて低圧流体となる。このようにして、低圧流体で満たされた低圧側の膨張室(101)がピストン(103)の公転により流出ポート(108)と連通すると、この低圧流体が流出ポート(108)より膨張室(101)の外部へ次第に排出される。以上のようにして、この回転式膨張機では、流体の膨張により発生する回転動力を回収し、例えば圧縮機の駆動源等に利用するようにしている(特許文献1参照)。
特開2004−190938公報
ところで、上述のような回転式膨張機では、ピストン(103)の公転により流出ポート(108)より低圧流体を排出する流出行程後に、低圧流体の一部が流出ポート(108)より流出せずに、膨張室(101)内に残存する可能性がある。このことについて、図15を参照しながら説明する。なお、図15は、従来の回転式膨張機における流出ポート(108)及びブレード溝(106)の近傍の拡大図である。
流出ポート(108)からの流体の流出行程は、ピストン(103)の外周面とシリンダ(102)の内周面との摺接部(ピストンの外周面とシリンダの内周面とが油膜を介して実質的に接触する接触部)が流出ポート(108)を通過した後に終了する。ここで、シリンダ(102)の内径は、ピストン(103)の外径より小さいため、図15に示すように、ピストン(103)とシリンダ(102)との接触部Aが、流出ポート(108)よりもブレード溝(106)側寄りに位置すると、シリンダ(102)、ピストン(103)、及びブレード(104)における流出ポート(108)側寄りの側面によって、低圧流体の残留空間(S)が閉空間として区画形成される。なお、この残留空間(S)は、ピストン(103)とシリンダ(102)との接触部Aが、流出ポート(108)の開口端とブレード溝(106)との開口端との間のシリンダ(102)の内周面と実質的に接触する範囲、すなわち、ピストン(103)が図15に示す公転角度範囲Rに位置する場合に形成される。
ここで、蒸気圧縮式の冷凍サイクルの膨張行程に用いられる回転式膨張機においては、膨張された後の冷媒が一般的には気液二相状態となるため、上記残留空間(S)に冷媒が残留すると、液状態の冷媒や冷凍機油などが閉空間に封止されて、いわゆる液封状態となる。そして、このような液封状態でピストン(103)がさらに公転すると、液冷媒や冷凍機油が圧縮されることによりブレード(104)やピストン(103)に過剰な力が作用し、この回転式膨張機の回転効率が低下してしまう。また、ブレード(104)やピストン(103)の損傷を招く恐れもある。
また、図15の例では、ピストン(103)の製造工程における研磨加工を好適に行うため、ピストン(103)の外周面におけるブレード(104)の側面近傍に切り欠き溝(111)を形成している。このため、上記閉空間(S)の容積が大きくなってしまい、流出ポート(108)による冷媒の流出行程後に閉空間に残留する液冷媒や冷凍機油の量も相対的に多くなる。したがって、この場合には、上述した問題点が顕著となってしまう。
本発明は、このような問題点に鑑みて創案されたものであり、その目的は、回転式膨張機、及びこの回転式膨張機が備えられた流体機械において、流出ポートによる流体の流出行程後に、膨張室内に残留する流体が液封状態となってしまうことを回避することである。
本発明は、流出ポートによる流体の流出行程後における流体の残留空間と該流出ポートとを連通させる液封防止手段を設けるようにしたものである。
具体的に、第1の発明は、膨張室(62)を有する環状のシリンダ(61)と、該シリンダ(61)の内周面と摺接しながら公転するピストン(65)と、該ピストン(65)とで膨張室(62)を高圧側と低圧側とに区画するブレード(66)と、上記シリンダ(61)に形成されるとともに上記ピストン(65)の公転に伴い膨張室(62)で膨張した流体が流出する流出ポート(37)とを備えた回転式膨張機を前提としている。そして、この回転式膨張機は、流出ポート(37)からの低圧流体の流出行程後に、該低圧流体の一部が流出ポート(37)より流出せずに残存する残留空間(S)と、上記流出ポート(37)とを連通させる液封防止手段(80)を備えているものである。
上記第1の発明では、膨張室(62)内のピストン(65)がシリンダ(61)の内周面と摺接しながら公転する。この際、ブレード(66)によって区画された膨張室(62)の高圧側と低圧側との容積が拡縮することで、膨張室(62)内に流体が吸入され、この流体が膨張する。膨張した後の低圧流体は、膨張室(62)における低圧側と流出ポート(37)とが連通することで、該流出ポート(37)より膨張室(62)の外部に流出される。
ここで、図15を示して上述したように、従来の回転式膨張機では、流出ポート(37)における低圧流体の流出行程後に、この低圧流体の一部が流出ポート(37)より流出せずに残留空間(S)に残存してしまうことがある。この場合、残留空間(S)が閉空間となると、該残留空間(S)内の例えば液冷媒などが液封状態となってしまう。
一方、本発明では、上記残留空間(S)と流出ポート(37)とを連通させる液封防止手段(80)を設けている。このため、流出ポート(37)による低圧流体の流出行程後に残留空間(S)に残存する液冷媒等を、液封防止手段(80)によって流出ポート(37)へ導き、膨張室(62)の外部へ排出することができる。したがって、残留空間(S)内の液冷媒などが液封状態となってしまうことを未然に回避することができる。
第2の発明は、膨張室(62)を有する環状のシリンダ(61)と、該シリンダ(61)の内周面と摺接しながら公転するピストン(65)と、該ピストン(65)とで膨張室(62)を高圧側と低圧側とに区画するブレード(66)と、上記シリンダ(61)に形成されるとともに上記ピストン(65)の公転に伴い膨張室(62)で膨張した流体が流出する流出ポート(37)とを備え、シリンダ(61)の内周面には、ブレード(66)を進退可能に保持するブレード溝(68)の開口端と、流出ポート(37)の開口端とがシリンダ(61)の周方向に所定角度を挟んで形成されている回転式膨張機を前提としている。そして、この回転式膨張機は、ピストン(65)が流出ポート(37)とブレード溝(68)との間のシリンダ(61)の内周面と摺接する公転角度範囲Rにおいて、流出ポート(37)側寄りのブレード(66)の側面、シリンダ(61)、及びピストン(65)で区画形成される流体の残留空間(S)を、流出ポート(37)と連通させる液封防止手段(80)を備えるものである。
上記第2の発明では、図15を示して上述したように、流出ポート(37)による低圧流体の流出行程後に、残留空間(S)が形成されてしまうピストン(65)の位置、すなわち、ピストン(65)が公転角度範囲R内に位置する状態において、液封防止手段(80)が残留空間(S)と流出ポート(37)とを常時連通させる。このため、残留空間(S)に残存する流体を、確実に流出ポート(37)へ導くことができる。
第3の発明は、第1又は第2の発明の回転式膨張機において、液封防止手段(80)は、シリンダ(61)の内周面に形成されて残留空間(S)と流出ポート(37)とを連通させるシリンダ側溝(81)で構成されているものである。
上記第3の発明では、シリンダ(61)の内周面に液封防止手段(80)としてのシリンダ側溝(81)が形成される。このため、流出ポート(37)による低圧流体の流出行程後には、残留空間(S)の流体がシリンダ側溝(81)を流通して流出ポート(37)へ導入される。
第4の発明は、第3の発明の回転式膨張機において、シリンダ側溝(81)は、シリンダ(61)の内周面における中心軸方向の両縁部を残すようにして形成されているものである。
上記第4の発明では、シリンダ側溝(81)は、シリンダ(61)の内周面において、その中心軸方向の中間部位にのみ形成される一方、その中心軸方向の両縁部には、シリンダ溝(81)が形成されない。このため、シリンダ側溝(81)をシリンダ(61)の内周面における必要最小限の部位のみに形成することができる。
第5の発明は、第1又は第2の発明の回転式膨張機において、液封防止手段(80)は、ピストン(65)の外周面に形成されて残留空間(S)と流出ポート(37)とを連通させるピストン側溝(82)で構成されているものである。
上記第5の発明では、ピストン(65)の外周面に液封防止手段(80)としてのピストン側溝(82)が形成される。このため、流出ポート(37)による低圧流体の流出行程後には、残留空間(S)の流体がピストン側溝(82)を流通して流出ポート(37)へ導入される。
第6の発明は、第5の発明の回転式膨張機において、ピストン側溝(82)は、ピストン(65)の外周面における中心軸方向の両縁部を残すようにして形成されているものである。
上記第6の発明では、ピストン側溝(82)は、ピストン(65)の外周面において、その中心軸方向の中間部位にのみ形成される一方、その中心軸方向の両縁部には、ピストン側溝(82)が形成されない。このため、ピストン側溝(82)をピストン(65)の外周面における必要最小限の部位のみに形成することができる。
第7の発明は、第1から第6のいずれか1の発明の回転式膨張機において、蒸気圧縮式冷凍サイクルの膨張行程を行うように構成されているものである。
上記第7の発明では、この回転式膨張機が蒸気圧縮式冷凍サイクルの膨張行程に用いられる。このため、流出ポート(37)による冷媒の流出行程後において、残留空間(S)に残留する液冷媒や冷凍機油を含む気液2相状態の冷媒が液封状態となってしまうことを確実に回避できる。
第8の発明は、第7の発明の回転式膨張機において、CO2を冷媒として用いた蒸気圧縮式冷凍サイクルの膨張行程を行うように構成されているものである。
上記第8の発明では、CO2を冷媒として用いて、いわゆる超臨界サイクルの膨張行程を行う回転式膨張機において、残留空間(S)に残留する液冷媒や冷凍機油などが液封状態となってしまうことを確実に回避できる。
第9の発明は、第1から第8のいずれか1の発明の回転式膨張機において、流体の膨張により回転動力を回収するように構成されているものである。
上記第9の発明では、膨張室(62)で膨張された流体の内部エネルギーがこの回転式膨張機によって回収されて他の動力機械の駆動源として利用される。ここで、本発明では、液冷媒や冷凍機油などが液封状態となることを回避できるため、この回転式膨張機の回転効率を向上させることができる。したがって、この回転式膨張機の動力回収効率の向上を図ることができる。
第10の発明は、ケーシング(31)内に、回転式膨張機(60)と、電動機(40)と、該回転式膨張機(60)及び電動機(40)により駆動されて流体を圧縮する圧縮機(50)とを備えた流体機械を前提としている。そして、この流体機械は、回転式膨張機(60)が、第1から第9のいずれか1の発明の回転式膨張機により構成されているものである。
上記第10の発明では、第1から第9の発明の回転式膨張機(60)によって効率的に回収された回転動力が圧縮機(50)の駆動源として利用される。
上記第1の発明によれば、流出ポート(37)における低圧流体の流出行程後に、残留空間(S)に残存する液冷媒などを液封防止手段(80)に導入し、流出ポート(37)より膨張室(62)の外部へ排出できるようにしている。このため、残留空間(S)内で液冷媒などが液封状態となってしまうことを回避できる。したがって、ピストン(65)の公転によって残留空間(S)の内圧が上昇し、回転式膨張機の回転効率が低下してしまうことを回避できる。また、ピストン(65)やブレード(66)に過剰な力が作用し、これらピストン(65)やブレード(66)が損傷してしまうことを未然に防止できる。
特に、上述のように、ピストン(65)の製造工程における研磨加工を好適に行うため、ピストン(65)におけるブレード(66)の側面近傍に切り欠き溝を形成する場合には、残留空間(S)の容積が大きくなってしまい回転式膨張機の回転効率低下、ピストン(65)やブレード(66)の損傷の問題が顕著となるが、本発明により、これらの問題を効果的に解消することができる。
上記第2の発明によれば、ピストン(65)が公転角度範囲Rの位置であり、従来の回転式膨張機であれば残留空間(S)が閉空間となってしまう状態において、該残留空間(S)と流出ポート(37)とを液封防止手段(80)によって確実に連通させるようにしている。このため、残留空間(S)内の液冷媒などが液封状態となってしまうことを確実に回避でき、第1の発明で上述した効果を奏することができる。
上記第3の発明によれば、シリンダ(61)の内周面に液封防止手段(80)としてのシリンダ側溝(81)を形成するようにしている。このため、液封防止手段(80)を容易に構成しながら、残留空間(S)内の液冷媒が液封状態となってしまうことを確実に回避できる。
上記第4の発明によれば、シリンダ(61)の内周面において必要最小限の範囲で液封防止手段(80)としてのシリンダ側溝(81)を形成するようにしている。したがって、シリンダ(61)の内周面に余分な溝を形成することなく、残留空間(S)内の液冷媒などが液封状態となってしまうことを防ぐことができる。
上記第5の発明によれば、ピストン(65)の外周面に液封防止手段(80)としてのピストン側溝(82)を形成するようにしている。ここで、ピストン(65)に液封防止手段(80)を設ける場合、上述したようなピストン(65)の研磨加工に要する切り欠き溝をこのピストン側溝(82)の一部として利用して、残留空間(S)と流出ポート(37)とを連通させることもできる。
上記第6の発明によれば、ピストン(65)の内周面において必要最小限の範囲で液封防止手段(80)としてのピストン側溝(82)を形成するようにしている。したがって、ピストン(65)の内周面に余分な溝を形成することなく、残留空間(S)内の液冷媒などが液封状態となってしまうことを防ぐことができる。
上記第7の発明によれば、蒸気圧縮式冷凍サイクルの膨張行程に用いられる回転式膨張機において、残留空間(S)に残留する液冷媒や冷凍機油が液封状態となってしまうことを確実に回避できるようにしている。したがって、この回転式膨張機を用いて、信頼性の高い冷凍サイクルを行うことができる。
上記第8の発明によれば、CO2を冷媒として用いて超臨界サイクルの膨張行程を行う回転式膨張機において、液冷媒や冷凍機油などが液封状態となってしまうことを確実に回避できる。したがって、この回転式膨張機を用いて、信頼性の高い超臨界サイクルを行うことができる。
上記第9の発明によれば、この回転式膨張機によって冷媒の膨張動力を回収できるようにしている。ここで、本発明では、残留空間(S)の冷媒や冷凍機油などの液封を防止し、回転式膨張機の回転効率の低下を回避できるようにしているため、該回転式膨張機の動力回収効率の向上を図ることができる。
上記第10の発明によれば、第1から第9の発明の回転式膨張機で得られた膨張動力を圧縮機(50)の駆動に利用することで、高COPでの冷凍サイクルの実現を図ることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
《発明の実施形態1》
実施形態1は、本発明の流体機械を用いて空調機(10)を構成したものである。
《空調機の全体構成》
図1に示すように、上記空調機(10)は、いわゆるセパレート型のものであって、屋外に設置される室外機(11)と、屋内に設置される室内機(13)とを備えている。室外機(11)には、室外ファン(12)、室外熱交換器(23)、第1四路切換弁(21)、第2四路切換弁(22)、及び圧縮・膨張ユニット(30)が収納されている。一方、室内機(13)には、室内ファン(14)及び室内熱交換器(24)が収納されている。そして、上記室外機(11)と上記室内機(13)とは、一対の連絡通路(15,16)で接続されている。
上記空調機(10)には、冷媒回路(20)が設けられている。この冷媒回路(20)は、圧縮・膨張ユニット(30)や室内熱交換器(24)などが接続された閉回路である。また、この冷媒回路(20)には、冷媒として二酸化炭素(CO2)が充填されている。そして、冷媒回路(20)では、冷媒が循環することで蒸気圧縮式の冷凍サイクルが行われる。
上記室外熱交換器(23)と室内熱交換器(24)とは、何れもクロスフィン型のフィン・アンド・チューブ熱交換器で構成されている。室外熱交換器(23)では、冷媒回路(20)を循環する冷媒が室外空気と熱交換する。室内熱交換器(24)では、冷媒回路(20)を循環する冷媒が室内空気と熱交換する。
上記第1四路切換弁(21)は、4つのポートを備えている。この第1四路切換弁(21)は、第1のポートが圧縮・膨張ユニット(30)の吐出ポート(35)と配管接続され、第2のポートが連絡通路(15)を介して室内熱交換器(24)の一端と配管接続され、第3のポートが室外熱交換器(23)の一端と配管接続され、第4のポートが圧縮・膨張ユニット(30)の吸入ポート(34)と配管接続されている。そして、第1四路切換弁(21)は、第1のポートと第2のポートとが連通し且つ第3のポートと第4のポートとが連通する状態(図1に実線で示す状態)と、第1のポートと第3のポートとが連通し且つ第2のポートと第4のポートとが連通する状態(図1に破線で示す状態)とに切換可能に構成されている。
上記第2四路切換弁(22)は、4つのポートを備えている。この第2四路切換弁(22)は、第1のポートが圧縮・膨張ユニット(30)の流出ポート(37)と配管接続され、第2のポートが室外熱交換器(23)の他端と配管接続され、第3のポートが連絡通路(16)を介して室内熱交換器(24)の他端と配管接続され、第4のポートが圧縮・膨張ユニット(30)の流入ポート(36)と配管接続されている。そして、第2四路切換弁(22)は、第1のポートと第2のポートとが連通し且つ第3のポートと第4のポートとが連通する状態(図1に実線で示す状態)と、第1のポートと第3のポートとが連通し且つ第2のポートと第4のポートとが連通する状態(図1に破線で示す状態)とに切換可能に構成されている。
《圧縮・膨張ユニットの構成》
図2に示すように、圧縮・膨張ユニット(30)は、本発明の流体機械を構成している。この圧縮・膨張ユニット(30)は、横長で円筒形の密閉容器であるケーシング(31)の内部に、圧縮機構(50)、膨張機構(60)、及び電動機(40)を収納している。このケーシング(31)内では、図2における左から右に向かって、圧縮機構(50)、電動機(40)、膨張機構(60)の順で配置されている。なお、図2を参照しながらの以下の説明で用いる「左」「右」は、それぞれ図2における「左」「右」を意味する。
上記電動機(40)は、ケーシング(31)の長手方向の中央部に配置されている。この電動機(40)は、ステータ(41)とロータ(42)とにより構成されている。ステータ(41)は、上記ケーシング(31)に固定されている。ロータ(42)は、ステータ(41)の内側に配置されている。また、ロータ(42)には、該ロータ(42)と同軸にシャフト(45)の主軸部(48)が貫通している。
上記シャフト(45)は、その右端側に大径偏心部(46)が形成され、その左端側に小径偏心部(47)が形成されている。大径偏心部(46)は、主軸部(48)よりも大径に形成され、主軸部(48)の軸心から所定量だけ偏心している。一方、小径偏心部(47)は、主軸部(48)よりも小径に形成され、主軸部(48)の軸心から所定量だけ偏心している。そして、このシャフト(45)は、回転軸を構成している。
上記シャフト(45)には、図示しないが、油ポンプが連結されている。また、上記ケーシング(31)の底部には、潤滑油が貯留されている。この潤滑油は、油ポンプによって汲み上げられ、圧縮機構(50)や膨張機構(60)へ供給されて潤滑に利用される。
上記圧縮機構(50)は、いわゆるスクロール型の圧縮機を構成している。この圧縮機構(50)は、固定スクロール(51)と、可動スクロール(54)と、フレーム(57)とを備えている。また、圧縮機構(50)には、上述の吸入ポート(34)と吐出ポート(35)とが設けられている。
上記固定スクロール(51)では、鏡板(52)に渦巻き状の固定側ラップ(53)が突設されている。この固定スクロール(51)の鏡板(52)は、ケーシング(31)に固定されている。一方、上記可動スクロール(54)では、板状の鏡板(55)に渦巻き状の可動側ラップ(56)が突設されている。固定スクロール(51)と可動スクロール(54)とは、互いに対向する姿勢で配置されている。そして、固定側ラップ(53)と可動側ラップ(56)が噛み合うことにより、圧縮室(59)が区画される。
上記吸入ポート(34)は、その一端が固定側ラップ(53)及び可動側ラップ(56)の外周側に接続されている。一方、上記吐出ポート(35)は、固定スクロール(51)の鏡板(52)の中央部に接続され、その一端が圧縮室(59)に開口している。
上記可動スクロール(54)の鏡板(55)は、その右側面の中央部に突出部分が形成されており、この突出部分にシャフト(45)の小径偏心部(47)が挿入されている。また、上記可動スクロール(54)は、オルダムリング(58)を介してフレーム(57)に支持されている。このオルダムリング(58)は、可動スクロール(54)の自転を規制するためのものである。そして、可動スクロール(54)は、自転することなく、所定の旋回半径で公転する。この可動スクロール(54)の旋回半径は、小径偏心部(47)の偏心量と同じである。
上記膨張機構(60)は、いわゆる揺動ピストン型の膨張機構であって、本発明の回転式膨張機を構成している。この膨張機構(60)は、シリンダ(61)と、フロントヘッド(63)と、リアヘッド(64)と、ピストン(65)とを備えている。また、膨張機構(60)には、上述の流入ポート(36)と流出ポート(37)とが設けられている。
上記シリンダ(61)は、その左側端面がフロントヘッド(63)により閉塞され、その右側端面がリアヘッド(64)により閉塞されている。つまり、フロントヘッド(63)とリアヘッド(64)は、それぞれが閉塞部材を構成している。そして、シリンダ(61)の内部には、ピストン(65)が収納される膨張室(62)が形成されている。
図3(A)に示すように、ピストン(65)は、円環状に形成されている。このピストン(65)の内径は、大径偏心部(46)の外径と概ね等しくなっている。そして、シャフト(45)の大径偏心部(46)がピストン(65)を貫通するように設けられ、ピストン(65)の内周面と大径偏心部(46)の外周面とがほぼ全面に亘って摺接する。
また、上記ピストン(65)には、ブレード(66)が一体的に設けられている。このブレード(66)は、板状に形成されており、ピストン(65)の外周面から外側へ突出している。シリンダ(61)の内周面とピストン(65)の外周面に挟まれた膨張室(62)は、このブレード(66)によって高圧側(吸入/膨張側)と低圧側(排出側)とに仕切られる。以上のようなピストン(65)の構成において、大径偏心部(46)が回転すると、ピストン(65)は、シリンダ(61)の内周面と摺接しながら所定の公転半径で公転する。
上記シリンダ(61)には、上記ブレード(66)を進退可能に保持するブレード溝(68)が形成されている。このブレード溝(68)の開口端は、シリンダ(61)の内周面に形成されている。また、シリンダ(61)には、一対のブッシュ(67)が設けられている。各ブッシュ(67)は、それぞれが半月状に形成されている。このブッシュ(67)は、ブレード(66)を挟み込んだ状態で設置され、ブレード(66)と摺動する。また、ブッシュ(67)は、ブレード(66)を挟んだ状態でシリンダ(61)に対して回動自在となっている。
図3に示すように、上記流入ポート(36)は、フロントヘッド(63)に形成されており、膨張室(62)への導入通路を構成している。流入ポート(36)の終端は、フロントヘッド(63)の内側面において、流入ポート(36)が直接に膨張室(62)と連通することのない位置に開口している。具体的に、流入ポート(36)の終端は、フロントヘッド(63)の内側面のうち大径偏心部(46)の端面と摺接する部分において、図3(A)における主軸部(48)の軸心のやや左上の位置に開口している。
フロントヘッド(63)には、溝状通路(69)も形成されている。図3(B)に示すように、この溝状通路(69)は、フロントヘッド(63)をその内側面側から掘り下げることにより、フロントヘッド(63)の内側面に開口する凹溝状に形成されている。
フロントヘッド(63)の内側面における溝状通路(69)の開口部分は、図3(A)において上下に細長い長方形状となっている。溝状通路(69)は、同図(A)における主軸部(48)の軸心よりも左側に位置している。また、この溝状通路(69)は、同図(A)における上端がシリンダ(61)の内周面よりも僅かに内側に位置すると共に、同図(A)における下端がフロントヘッド(63)の内側面のうち大径偏心部(46)の端面と摺接する部分に位置している。そして、この溝状通路(69)は、膨張室(62)と連通可能になっている。
シャフト(45)の大径偏心部(46)には、連通路(70)が形成されている。図3(B)に示すように、この連通路(70)は、大径偏心部(46)をその端面側から掘り下げることにより、フロントヘッド(63)に向き合った大径偏心部(46)の端面に開口する凹溝状に形成されている。
また、図3(A)に示すように、連通路(70)は、大径偏心部(46)の外周に沿って延びる円弧状に形成されている。更に、連通路(70)におけるその周長方向の中央は、主軸部(48)の軸心と大径偏心部(46)の軸心を結んだ線上であって、大径偏心部(46)の軸心に対して主軸部(48)の軸心とは反対側に位置している。そして、シャフト(45)が回転すると、それに伴って大径偏心部(46)の連通路(70)も移動し、この連通路(70)を介して流入ポート(36)と溝状通路(69)が間欠的に連通する。
図3(A)に示すように、上記流出ポート(37)は、シリンダ(61)に形成されている。この流出ポート(37)の開口端は、上述したブレード溝(68)の開口端と所定角度(本実施形態では約20°)を挟んでシリンダ(61)の内周面に形成されている。そして、流出ポート(37)は、膨張室(62)の低圧側と連通可能となっており、膨張室(62)で膨張した冷媒を流出する排出通路を構成している。
また、本発明の特徴として、この膨張機構(60)には、膨張室(62)で膨張した低圧冷媒における流出ポート(37)からの流出行程後に、膨張室(62)に残存した冷媒が液封状態となってしまうことを回避する液封防止手段(80)が設けられている。この液封防止手段(80)は、流出ポート(37)及びブレード溝(68)の拡大した概略断面図である図4に示すように、シリンダ(61)の内周面に形成されたシリンダ側溝(81)で構成されている。このシリンダ側溝(81)は、図4(A)に示すように、上記流出ポート(37)の開口端におけるブレード溝(68)寄りの部位から上記ブレード溝(68)の開口端における流出ポート(37)寄りの部位まで跨るようにして、シリンダ(61)の内周面に形成されている。また、シリンダ(61)の内周面をピストン(65)側から視た図である図4(B)の破線枠で示すように、シリンダ側溝(81)は、シリンダ(61)の内周面における中心軸方向(図4(B)の上下方向)の中間部位に形成されており、その上縁部と下縁部とを残すように切り欠きされている。
また、ピストン(65)の外周面においてブレード(66)との連結部近傍には、切り欠き溝(71)が形成されている。この切り欠き溝(71)は、ピストン(65)の研磨加工精度を高めるために設けられるものである。本実施形態では、切り欠き溝(71)がブレード(66)の左右両側面の近傍に形成されている。
−運転動作−
上記空調機(10)の動作について説明する。ここでは、空調機(10)の冷房運転時及び暖房運転時の動作について説明し、続いて膨張機構(60)の動作について説明する。
《冷房運転》
冷房運転時には、第1四路切換弁(21)及び第2四路切換弁(22)が図1に破線で示す状態に切り換えられる。この状態で圧縮・膨張ユニット(30)の電動機(40)に通電すると、冷媒回路(20)でCO2冷媒が循環して蒸気圧縮式の冷凍サイクル(超臨界サイクル)が行われる。
圧縮機構(50)で圧縮された冷媒は、吐出ポート(35)を通って圧縮・膨張ユニット(30)から吐出される。この状態で、冷媒の圧力は、その臨界圧力よりも高くなっている。この吐出冷媒は、第1四路切換弁(21)を通って室外熱交換器(23)へ送られる。室外熱交換器(23)では、流入した冷媒が室外ファン(12)により送られる室外空気と熱交換する。この熱交換により、冷媒が室外空気に対して放熱する。
室外熱交換器(23)で放熱した冷媒は、第2四路切換弁(22)を通過し、流入ポート(36)を通って圧縮・膨張ユニット(30)の膨張機構(60)へ流入する。膨張機構(60)では、高圧冷媒が膨張し、その内部エネルギがシャフト(45)の回転動力に変換される。膨張後の低圧冷媒は、流出ポート(37)を通って圧縮・膨張ユニット(30)から流出し、第2四路切換弁(22)を通過して室内熱交換器(24)へ送られる。
室内熱交換器(24)では、流入した冷媒が室内ファン(14)により送られる室内空気と熱交換する。この熱交換により、冷媒が室内空気から吸熱して蒸発し、室内空気が冷却される。室内熱交換器(24)から出た低圧ガス冷媒は、第1四路切換弁(21)を通過し、吸入ポート(34)を通って圧縮・膨張ユニット(30)の圧縮機構(50)へ吸入される。圧縮機構(50)は、吸入した冷媒を圧縮して吐出する。
《暖房運転》
暖房運転時には、第1四路切換弁(21)及び第2四路切換弁(22)が図1に実線で示す状態に切り換えられる。この状態で圧縮・膨張ユニット(30)の電動機(40)に通電すると、冷媒回路(20)でCO2冷媒が循環して蒸気圧縮式の冷凍サイクル(超臨界サイクル)が行われる。
圧縮機構(50)で圧縮された冷媒は、吐出ポート(35)を通って圧縮・膨張ユニット(30)から吐出される。この状態で、冷媒の圧力は、その臨界圧力よりも高くなっている。この吐出冷媒は、第1四路切換弁(21)を通過して室内熱交換器(24)へ送られる。室内熱交換器(24)では、流入した冷媒が室内空気と熱交換する。この熱交換により、冷媒が室内空気へ放熱し、室内空気が加熱される。
室内熱交換器(24)で放熱した冷媒は、第2四路切換弁(22)を通過し、流入ポート(36)を通って圧縮・膨張ユニット(30)の膨張機構(60)へ流入する。膨張機構(60)では、高圧冷媒が膨張し、その内部エネルギがシャフト(45)の回転動力に変換される。膨張後の低圧冷媒は、流出ポート(37)を通って圧縮・膨張ユニット(30)から流出し、第2四路切換弁(22)を通過して室外熱交換器(23)へ送られる。
室外熱交換器(23)では、流入した冷媒が室外空気と熱交換を行い、冷媒が室外空気から吸熱して蒸発する。室外熱交換器(23)から出た低圧ガス冷媒は、第1四路切換弁(21)を通過し、吸入ポート(34)を通って圧縮・膨張ユニット(30)の圧縮機構(50)へ吸入される。圧縮機構(50)は、吸入した冷媒を圧縮して吐出する。
《膨張機構の動作》
次に、膨張機構(60)の動作について、図5を参照しながら説明する。なお、図5は、大径偏心部(46)の中心軸に対して垂直な膨張機構(60)の断面をシャフト(45)の回転角度45°毎に示したものである。
膨張室(62)へ高圧冷媒を導入すると、シャフト(45)が図5における反時計方向へ回転する。
シャフト(45)の回転角度が0°の時点では、流入ポート(36)の終端が大径偏心部(46)の端面で覆われる。つまり、流入ポート(36)は、大径偏心部(46)によって塞がれた状態となる。一方、大径偏心部(46)の連通路(70)は、溝状通路(69)のみに連通する状態となる。この溝状通路(69)は、ピストン(65)と大径偏心部(46)の端面によって覆われており、膨張室(62)に連通しない状態となっている。また、膨張室(62)は、流出ポート(37)に連通することにより、その全体が低圧側となっている。この時点において、膨張室(62)は流入ポート(36)から遮断された状態となっており、高圧冷媒は膨張室(62)へ流入しない。
シャフト(45)の回転角度が45°の時点では、流入ポート(36)が大径偏心部(46)の連通路(70)に連通した状態となる。この連通路(70)は、溝状通路(69)にも連通している。溝状通路(69)は、図5における上端部分がピストン(65)の端面から外れた状態となり、膨張室(62)の高圧側と連通する。この時点において、膨張室(62)が連通路(70)及び溝状通路(69)を介して流入ポート(36)に連通された状態となっており、高圧冷媒が膨張室(62)の高圧側へ流入する。つまり、膨張室(62)への高圧冷媒の導入は、シャフト(45)の回転角度が0°から45°に至るまでの間に開始される。
シャフト(45)の回転角度が90°の時点では、依然、膨張室(62)が連通路(70)及び溝状通路(69)を介して流入ポート(36)に連通された状態となっている。このため、シャフト(45)の回転角度が45°から90°に至るまでの間は、膨張室(62)の高圧側へ高圧冷媒が流入し続ける。
シャフト(45)の回転角度が135°の時点では、大径偏心部(46)の連通路(70)が溝状通路(69)及び流入ポート(36)の両方から外れた状態となる。この時点において、膨張室(62)は流入ポート(36)から遮断された状態となっており、高圧冷媒は膨張室(62)へ流入しない。したがって、膨張室(62)への高圧冷媒の導入は、シャフト(45)の回転角度が90°から135°に至るまでの間に終了する。
膨張室(62)への高圧冷媒の導入が終了した後は、膨張室(62)の高圧側が閉空間となり、そこへ流入した冷媒が膨張する。つまり、図5の各図に示すように、シャフト(45)が回転して膨張室(62)における高圧側の容積が増大してゆく。また、その間、流出ポート(37)に連通する膨張室(62)の低圧側からは、膨張後の低圧冷媒が流出ポート(37)を通じて排出され続ける。
膨張室(62)における冷媒の膨張は、シャフト(45)の回転角度が315°から360°に至るまでの間において、ピストン(65)におけるシリンダ(61)との接触部分が流出ポート(37)に達するまで続く。そして、ピストン(65)におけるシリンダ(61)との接触部が流出ポート(37)を横切ると、膨張室(62)が流出ポート(37)と連通され、膨張した冷媒の排出が開始される。その後、ピストン(65)におけるシリンダ(61)との接触部が流出ポート(37)を通過すると、膨張室(62)が流出ポート(37)と遮断され、膨張した冷媒の排出、すなわち流出ポート(37)による冷媒の流出行程が終了する。
ここで、従来の回転式膨張機の流出ポートによる冷媒の流出行程終了後においては、図15を用いて上述したように、流出ポートより流出せずに膨張室に残留した冷媒が、閉空間となる残留空間(S)で液封状態となる。このため、ピストンの公転により残留空間(S)の容積が小さくなると、回転式膨張機の動力効率の低下、あるいはブレードやピストンの損傷を招く恐れがある。
一方、本実施形態の膨張機構(60)では、液封防止手段(80)としてのシリンダ側溝(81)をシリンダ(61)の内周面に形成している。このシリンダ側溝(81)は、図4(A)に示すように、ピストン(65)が流出ポート(37)の開口端とブレード溝(68)の開口端との間のシリンダ(61)の内周面と摺接する範囲、すなわち図4(A)に示すピストン(65)の公転角度範囲Rにおいて、残留空間(S)と流出ポート(37)とを常時連通させる。このため、ピストン(65)とシリンダ(61)との接触部が流出ポート(37)を通過した後は、残留空間(S)内の冷媒(液冷媒や冷凍機油)が、上記シリンダ側溝(81)を流通して流出ポート(37)に導入される。そして、この冷媒は、流出ポート(37)よりこの流体機械(30)の外部へ排出される。
−実施形態1の効果−
上記実施形態1では、以下の効果が発揮される。
実施形態1によれば、流出ポート(37)における冷媒の流出行程後に、残留空間(S)に残存する液冷媒や冷凍機油などを液流防止手段(80)であるシリンダ側溝(81)を介して、流出ポート(37)に導入するようにしている。このため、残留空間(S)内で液冷媒や冷凍機油などが液封状態となってしまうことを回避できる。したがって、ピストン(65)の公転により残留空間(S)の容積が縮小しても、残留空間(S)の内圧が上昇し、膨張機構(60)の回転効率が低下してしまうことを回避できる。また、ピストン(65)やブレード(66)に過剰な力が作用し、これらピストン(65)やブレード(66)が損傷してしまうことを未然に防止できる。
ここで、シリンダ側溝(81)は、ピストン(65)が公転角度範囲Rの位置にある状態、すなわち従来の回転式膨張機であれば、残留空間(S)が閉空間となってしまうピストン(65)の位置で、残留空間(S)と流出ポート(37)とを常時連通させるようにしている。このため、残留空間(S)内の液冷媒や冷凍機油が液封状態となってしまうことを確実に回避することができ、膨張機構(60)の回転効率の低下、ピストン(65)やブレード(66)の損傷を確実に防ぐことができる。
<実施形態1の変形例>
次に、上記実施形態1の変形例について説明する。この変形例は、実施形態1と膨張機構(60)における液封防止手段(80)の構成が異なるものである。
図6に示すように、この変形例では、液封防止手段(80)がピストン(65)の外周面に形成されたピストン側溝(82)で構成されている。このピストン側溝(82)は、流出ポート(37)による冷媒の流出行程終了直後の位置のピストン(65)において、流出ポート(37)の開口端の近傍からブレード溝(68)の開口端の近傍までの間のピストン(65)の外周面に形成されている。また、このピストン側溝(82)は、実施形態1と同様の切り欠き溝(71)と連なるようにして形成されている。さらに、シリンダ(61)の内周面をピストン(65)側から視た図である図6(B)の破線枠で示すように、ピストン側溝(82)は、ピストン(65)の外周面における中心軸方向(図6(B)の上下方向)の中間部位に形成されており、その上縁部と下縁部とを残すように切り欠きされている。
以上のような構成の液封防止手段(80)であるピストン側溝(82)は、ピストン(65)が流出ポート(37)の開口端とブレード溝(68)の開口端との間のシリンダ(61)の内周面と摺接する範囲、すなわち図6(A)の公転角度範囲Rにおいて、残留空間(S)と流出ポート(37)とを常時連通させる。このため、ピストン(65)とシリンダ(61)との接触部が流出ポート(37)を通過した後は、残留空間(S)内の液冷媒や冷凍機油が、上記ピストン側溝(82)を流通して流出ポート(37)に導入される。したがって、この変形例においても、残留空間(S)における液冷媒や冷凍機油の液封を確実に回避でき、この膨張機構(60)の動力低下、あるいはピストン(65)やブレード(66)の損傷を未然に防ぐことができる。
《発明の実施形態2》
本発明の実施形態2は、上記実施形態1において膨張機構(60)の構成を変更したものである。具体的には、上記実施形態1の膨張機構(60)が揺動ピストン型に構成されているのに対し、本実施形態の膨張機構(60)は、ローリングピストン型に構成されている。ここでは、本実施形態の膨張機構(60)について、上記実施形態1と異なる点を説明する。
図7に示すように、実施形態2において、ブレード(66)は、ピストン(65)と別体に形成されている。つまり、本実施形態のピストン(65)は、単純な円環状あるいは円筒状に形成されている。上記ブレード(66)は、シリンダ(61)のブレード溝(68)に、進退自在な状態で設けられている。また、ブレード(66)は、図外のバネによって付勢され、その先端(図7における下端)がピストン(65)の外周面に押し付けられている。そして、図8に順次示すように、シリンダ(61)内でピストン(65)が移動しても、このブレード(66)は、ブレード溝(68)に沿って同図の上下に移動し、その先端がピストン(65)と接した状態に保たれる。そして、ブレード(66)の先端をピストン(65)の周側面に押し付けることで、膨張室(62)が高圧側と低圧側に仕切られる。
この実施形態2においても、ピストン(65)の外周半径がシリンダ(61)の内周半径よりも小さいことに起因して、ピストン(65)、シリンダ(61)、ブレード(66)における流出ポート(37)側の側面で仕切られる残留空間(S)の液封防止手段(80)が設けられている。具体的には、図9に示すように、シリンダ(61)に液封防止手段(80)としてのシリンダ側溝(81)が形成されている。このため、流出ポート(37)による冷媒の流出行程後に残留空間(S)に残留する冷媒(液冷媒や冷凍機油)が液封状態となることを確実に回避でき、この膨張機構(60)の動力低下、あるいはピストン(65)やブレード(66)の損傷を未然に防ぐことができる。
なお、この実施形態2において、実施形態1の変形例と同様、液封防止手段(80)をピストン(65)の外周面に形成されたピストン側溝(82)で構成することもできる。この場合には、ピストン(65)が大径偏心部(46)に固定されてピストン(65)が自転せず、シリンダ(61)の内周面を公転するのみのタイプを用いることで、ピストン側溝(82)により残留空間(S)における液冷媒の液封を回避することができる。
《発明の実施形態3》
本発明の実施形態3は、上記実施形態1において膨張機構(60)の構成を変更したものである。具体的には、上記実施形態1の膨張機構(60)が1段の揺動ピストン型に構成されているのに対し、本実施形態の膨張機構(60)は、2段の揺動ピストン型に構成されている。また、上記実施形態1の流体機械が、図2に示すように、左右方向に横長のいわゆる横型式であったのに対し、本実施形態の流体機械は、実施形態1の流体機械を90°回転させた(図2において反時計回りに90°回転させた)状態となっている。すなわち、本実施形態の流体機械(30)は、上下方向に縦長な、いわゆる縦型式のものである。ここでは、実施形態3の膨張機構(60)について、上記実施形態1と異なる点を図10から図13を参照しながら説明する。なお、以下の説明で用いる「上」「下」は、それぞれ図10における「上」「下」を意味する。
圧縮・膨張ユニット(30)のシャフト(45)には、その上端側に2つの大径偏心部(46a,46b)が形成されている。各大径偏心部(46a,46b)は、主軸部(48)よりも大径に形成されている。上下に並んだ2つの大径偏心部(46a,46b)のうち、下側のものが第1大径偏心部(46a)を構成し、上側のものが第2大径偏心部(46b)を構成している。第1大径偏心部(46a)と第2大径偏心部(46b)とは、何れも同じ方向へ偏心している。第2大径偏心部(46b)の外径は、第1大径偏心部(46a)の外径よりも大きくなっている。また、主軸部(48)の軸心に対する偏心量は、第2大径偏心部(46b)の方が第1大径偏心部(46a)よりも大きくなっている。
膨張機構(60)は、いわゆる2段式の揺動ピストン型の流体機械である。この膨張機構部(60)には、対になったシリンダ(61a,61b)及びピストン(65a,65b)が二組設けられている。また、膨張機構(60)には、フロントヘッド(63)と、中間プレート(101)と、リアヘッド(64)とが設けられている。
上記膨張機構(60)では、図10における下から上へ向かって順に、フロントヘッド(63)、第1シリンダ(61a)、中間プレート(101)、第2シリンダ(61b)、リアヘッド(64)が積層された状態となっている。この状態において、第1シリンダ(61a)は、その下側端面がフロントヘッド(63)により閉塞され、その上側端面が中間プレート(101)により閉塞されている。一方、第2シリンダ(61b)は、その下側端面が中間プレート(101)により閉塞され、その上側端面がリアヘッド(64)により閉塞されている。また、第2シリンダ(61b)の内径は、第1シリンダ(61a)の内径よりも大きくなっている。さらに第2シリンダ(61b)の上下方向における厚み寸法は、第1シリンダ(61a)の厚み寸法よりも大きくなっている。
上記シャフト(45)は、積層された状態のフロントヘッド(63)、第1シリンダ(61a)、中間プレート(101)、第2シリンダ(61b)、及びリアヘッド(64)を貫通している。また、シャフト(45)は、その第1大径偏心部(46a)が第1シリンダ(61a)内に位置し、その第2大径偏心部(46b)が第2シリンダ(61b)内に位置している。
図11に示すように、第1シリンダ(61a)内には第1ピストン(65a)が、第2シリンダ(61b)内には第2ピストン(65b)がそれぞれ設けられている。第1及び第2ピストン(65a,65b)は、何れも円環状あるいは円筒状に形成されている。第1ピストン(65a)の外径は第2ピストン(65b)の外径よりも小さくなっている。第1ピストン(65a)の内径は第1大径偏心部(46a)の外径と、第2ピストン(65b)の内径は第2大径偏心部(46b)の外径とそれぞれ概ね等しくなっている。そして、第1ピストン(65a)には第1大径偏心部(46a)が、第2ピストン(65b)には第2大径偏心部(46b)がそれぞれ貫通している。
上記第1ピストン(65a)は、その外周面が第1シリンダ(61a)の内周面に、一方の端面がフロントヘッド(63)に、他方の端面が中間プレート(101)にそれぞれ摺接している。第1シリンダ(61a)内には、その内周面と第1ピストン(65a)の外周面との間に膨張室の一部である第1流体室(62a)が形成される。
一方、上記第2ピストン(65b)は、その外周面が第2シリンダ(61b)の内周面に、一方の端面がリアヘッド(64)に、他方の端面が中間プレート(101)にそれぞれ摺接している。第2シリンダ(61b)内には、その内周面と第2ピストン(65b)の外周面との間に膨張室の一部である第2流体室(62b)が形成される。
上記第1及び第2ピストン(65a,65b)のそれぞれには、ブレード(66a,66b)が1つずつ一体に設けられている。ブレード(66a,66b)は、ピストン(65a,65b)の半径方向へ延びる板状に形成されており、ピストン(65a,65b)の外周面から外側へ突出している。
各シリンダ(61a,61b)には、それぞれブレード溝(68a,68b)が形成されている。各ブレード溝(68a,68b)は、対応するブレード(66a,66b)をそれぞれ進退可能に保持している。これらブレード溝(68a,68b)の開口端は、各シリンダ(61a,61b)の内周面に形成されている。
また、上記各シリンダ(61a,61b)には、一対のブッシュ(67a,67b)が一組ずつ設けられている。各ブッシュ(67a,67b)は、内側面が平面となって外側面が円弧面となるように形成された小片である。一対のブッシュ(67a,67b)は、ブレード(66a,66b)を挟み込んだ状態で設置されている。各ブッシュ(67a,67b)は、その内側面がブレード(66a,66b)と、その外側面がシリンダ(61a,61b)と摺動する。そして、ピストン(65a,65b)と一体のブレード(66a,66b)は、ブッシュ(67a,67b)を介してシリンダ(61a,61b)に支持され、シリンダ(61a,61b)に対して回動自在で且つ進退自在となっている。
第1シリンダ(61a)内の第1流体室(62a)は、第1ピストン(65a)と一体の第1ブレード(66a)によって仕切られており、図12における第1ブレード(66a)の左側が高圧側の第1高圧室(102a)となり、その右側が低圧側の第1低圧室(103a)となっている。第2シリンダ(61b)内の第2流体室(62b)は、第2ピストン(65b)と一体の第2ブレード(66b)によって仕切られており、図12における第2ブレード(66b)の左側が高圧側の第2高圧室(102b)となり、その右側が低圧側の第2低圧室(103b)となっている。
図10に示すように、上記第1シリンダ(61a)には、流入ポート(36)が接続されている。この流入ポート(36)はフロントヘッド(63)に形成されており、導入通路を構成している。流入ポート(36)の開口端は、第1シリンダ(61a)の内周面のうち、図11におけるブッシュ(67a)のやや左側の箇所に開口している。そして、流入ポート(36)は、第1高圧室(102a)(即ち第1流体室(62a)の高圧側)と連通可能となっている。
一方、上記第2シリンダ(61b)には、流出ポート(37)が形成されている。流出ポート(37)の開口端は、第2ブレード溝(68b)の開口端と所定角度(本実施形態では、約20°)を挟んで第2シリンダ(61b)の内周面に形成されている。そして、流出ポート(37)は、第2低圧室(103b)(即ち第2流体室(62b)の低圧側)と連通可能となっており、膨張室(62)で膨張した流体を流出する排出通路を構成している。
上記中間プレート(101)には、連通路(70)が形成されている。この連通路(70)は、中間プレート(101)を貫通するように形成されている。中間プレート(101)における第1シリンダ(61a)側の面では、第1ブレード(66a)の右側の箇所に連通路(70)の一端が開口している。中間プレート(101)における第2シリンダ(61b)側の面では、第2ブレード(66b)の左側の箇所に連通路(64)の他端が開口している。そして、連通路(70)は、図示しないが中間プレート(101)の厚み方向に対して斜めに延びており、第1低圧室(103a)(即ち第1流体室(62a)の低圧側)と第2高圧室(102b)(即ち第2流体室(62b)の高圧側)の両方に連通可能となっている。
また、本実施形態の膨張機構(60)においても、実施形態1と同様の液封防止手段(80)が設けられている。実施形態3の液封防止手段(80)は、図13(A)に示すように、第2シリンダ(61b)の内周面に形成されたシリンダ側溝(81)で構成されている。このシリンダ側溝(81)は、流出ポート(37)の開口端における第2ブレード溝(68b)寄りの部位から上記第2ブレード溝(68b)の開口端における流出ポート(37)寄りの部位まで跨るようにして、第2シリンダ(61b)の内周面に形成されている。また、実施形態1と同様、シリンダ側溝(81)は、シリンダ内周面における中心軸方向の中間部位に形成されており、その上縁部と下縁部とを残すように切り欠きされている(図13(B)参照)。
〈膨張機構の動作〉
次に、実施形態3の膨張機構(60)の動作について説明する。
先ず、第1シリンダ(61a)の第1高圧室(102a)へ高圧冷媒が流入する過程について、図12を参照しながら説明する。
回転角が0°の状態からシャフト(45)が僅かに回転すると、第1ピストン(65a)と第1シリンダ(61a)の接触位置が流入ポート(36)の開口部を通過し、流入ポート(36)から第1高圧室(102a)へ高圧冷媒が流入し始める。その後、シャフト(45)の回転角が90°,180°,270°と次第に大きくなるにつれて、第1高圧室(102a)へ高圧冷媒が流入してゆく。この第1高圧室(102a)への高圧冷媒の流入は、シャフト(45)の回転角が360°に達するまで続く。
次に、膨張機構(60)において冷媒が膨張する過程について、同図を参照しながら説明する。回転角が0°の状態からシャフト(45)が僅かに回転すると、第1低圧室(103a)と第2高圧室(102b)の両方が連通路(70)と連通状態になり、第1低圧室(103a)から第2高圧室(102b)へと冷媒が流入し始める。その後、シャフト(45)の回転角が90°,180°,270°と次第に大きくなるにつれ、第1低圧室(103a)の容積が次第に減少すると同時に第2高圧室(102b)の容積が次第に増加し、結果として膨張室(62)の容積が次第に増加してゆく。この膨張室(62)の容積増加は、シャフト(45)の回転角が360°に達する直前まで続く。そして、膨張室(62)の容積が増加する過程で膨張室(62)内の冷媒が膨張し、この冷媒の膨張によってシャフト(45)が回転駆動される。このように、第1低圧室(103a)内の冷媒は、連通路(70)を通って第2高圧室(102b)へ膨張しながら流入してゆく。
続いて、第2シリンダ(61b)の第2低圧室(103b)から冷媒が流出してゆく過程について、同図を参照しながら説明する。第2低圧室(103b)は、シャフト(45)の回転角が0°の時点から流出ポート(37)に連通し始める。つまり、第2低圧室(103b)から流出ポート(37)へと冷媒が流出し始める。その後、シャフト(45)の回転角が90°,180°,270°と次第に大きくなってゆき、その回転角が360°に達するまでの間に亘って、第2低圧室(103b)から膨張後の低圧冷媒が流出してゆく。
ここで、本実施形態の膨張機構(60)においても、液封防止手段(80)としてのシリンダ側溝(81)をシリンダ(61)の内周面に形成している。このシリンダ側溝(81)は、図13(A)に示すように、第2ピストン(65b)が流出ポート(37)の開口端と第2ブレード溝(68)の開口端との間の第2シリンダ(61b)の内周面と摺接する範囲、すなわち図13(A)の公転角度範囲Rにおいて、残留空間(S)と流出ポート(37)とを常時連通させる。このため、第2ピストン(65b)と第2シリンダ(61b)との接触部が流出ポート(37)を通過した後は、残留空間(S)内の冷媒(液冷媒や冷凍機油)が、上記シリンダ側溝(81)を流通して流出ポート(37)に導入される。そして、この冷媒は、流出ポート(37)よりこの流体機械(30)の外部へ排出される。したがって、本実施形態においても、流出ポート(37)による冷媒の流出行程後に残留空間(S)に残留する冷媒(液冷媒や冷凍機油)が液封状態となることを確実に回避でき、この膨張機構(60)の動力低下、あるいは第2ピストン(65b)や第2ブレード(66b)の損傷を未然に防ぐことができる。
《その他の実施形態》
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
上記実施形態において、液封防止手段(80)としてのシリンダ側溝(81)は、例えば図4(B)に示すように、シリンダ(61)の中心軸方向における中間部位のみに形成されている。しかしながら、このシリンダ側溝(81)をシリンダ(61)の中心軸方向における全域に形成してもよい。同様に、図6(B)に示すようなピストン側溝(82)をその中心軸方向の全域に形成してもよい。
また、上記実施形態では、膨張機構(60)、電動機(40)、及び圧縮機構(50)で流体機械(30)を構成している。しかしながら、流体機械(30)には電動機(40)を必ずしも一体的に設ける必要はない。
以上説明したように、本発明は、膨張室内のピストンの公転に伴い流体を膨張させる回転式膨張機と、この回転式膨張機を備えた流体機械に関し有用である
実施形態1における空調機の配管系統図である。 実施形態1における圧縮・膨張ユニットの概略断面図である。 シャフトの回転角度0°又は360°での実施形態1における膨張機構の要部を示す概略断面図である。 実施形態1における膨張機構の流出ポート及びブレード溝の近傍を拡大した概略断面図である。 実施形態1の膨張機構の動作を示す概略断面図である。 実施形態1の変形例の流出ポート及びブレード溝の近傍を拡大した概略断面図である。 実施形態2の膨張機構の要部を示す概略断面図である。 実施形態2の膨張機構の動作を示す概略構成図である。 実施形態2における膨張機構の流出ポート及びブレード溝の近傍を拡大した概略断面図である。 実施形態3の膨張ユニットの概略断面図である。 実施形態3の膨張機構の要部を示す概略断面図である。 実施形態3の膨張機構の動作を示す概略構成図である。 実施形態3における膨張機構の流出ポート及びブレード溝の近傍を拡大した概略断面図である。 従来の回転式膨張機の要部を示す概略断面図である。 従来の回転式膨張機の流出ポート及びブレード溝の近傍を拡大した概略断面図である。
符号の説明
(10) 空調機
(20) 冷媒回路
(30) 圧縮・膨張ユニット(流体機械)
(31) ケーシング
(37) 流出ポート
(40) 電動機
(50) 圧縮機(圧縮機構)
(60) 膨張機構(回転式膨張機)
(61) シリンダ
(62) 膨張室
(65) ピストン
(66) ブレード
(68) ブレード溝
(80) 液封防止手段
(81) シリンダ側溝
(82) ピストン側溝
(S) 残留空間

Claims (10)

  1. 膨張室(62)を有する環状のシリンダ(61)と、該シリンダ(61)の内周面と摺接しながら公転するピストン(65)と、該ピストン(65)とで膨張室(62)を高圧側と低圧側とに区画するブレード(66)と、上記シリンダ(61)に形成されるとともに上記ピストン(65)の公転に伴い膨張室(62)で膨張した流体が流出する流出ポート(37)とを備えた回転式膨張機であって、
    流出ポート(37)からの低圧流体の流出行程後に、該低圧流体の一部が流出ポート(37)より流出せずに残存する残留空間(S)と、上記流出ポート(37)とを連通させる液封防止手段(80)を備えている回転式膨張機。
  2. 膨張室(62)を有する環状のシリンダ(61)と、該シリンダ(61)の内周面と摺接しながら公転するピストン(65)と、該ピストン(65)とで膨張室(62)を高圧側と低圧側とに区画するブレード(66)と、上記シリンダ(61)に形成されるとともに上記ピストン(65)の公転に伴い膨張室(62)で膨張した流体が流出する流出ポート(37)とを備え、シリンダ(61)の内周面には、ブレード(66)を進退可能に保持するブレード溝(68)の開口端と、流出ポート(37)の開口端とがシリンダ(61)の周方向に所定角度を挟んで形成されている回転式膨張機であって、
    ピストン(65)が流出ポート(37)とブレード溝(68)との間のシリンダ(61)の内周面と摺接する公転角度範囲Rにおいて、流出ポート(37)側寄りのブレード(66)の側面、シリンダ(61)、及びピストン(65)で区画形成される流体の残留空間(S)を流出ポート(37)と連通させる液封防止手段(80)を備えている回転式膨張機。
  3. 請求項1又は2に記載の回転式膨張機において、
    液封防止手段(80)は、シリンダ(61)の内周面に形成されて残留空間(S)と流出ポート(37)とを連通させるシリンダ側溝(81)で構成されている回転式膨張機。
  4. 請求項3に記載の回転式膨張機において、
    シリンダ側溝(81)は、シリンダ(61)の内周面における中心軸方向の両縁部を残すようにして形成されている回転式膨張機。
  5. 請求項1又は2に記載の回転式膨張機において、
    液封防止手段(80)は、ピストン(65)の外周面に形成されて残留空間(S)と流出ポート(37)とを連通させるピストン側溝(82)で構成されている回転式膨張機。
  6. 請求項5に記載の回転式膨張機において、
    ピストン側溝(82)は、ピストン(65)の外周面における中心軸方向の両縁部を残すようにして形成されている回転式膨張機。
  7. 請求項1から6のいずれか1に記載の回転式膨張機において、
    蒸気圧縮式冷凍サイクルの膨張行程を行うように構成されている回転式膨張機。
  8. 請求項7に記載の回転式膨張機において、
    CO2を冷媒として用いた蒸気圧縮式冷凍サイクルの膨張行程を行うように構成されている回転式圧縮機。
  9. 請求項1から8のいずれか1に記載の回転式膨張機において、
    流体の膨張により回転動力を回収するように構成されている回転式膨張機。
  10. ケーシング(31)内に、回転式膨張機(60)と、電動機(40)と、該回転式膨張機(60)及び電動機(40)により駆動されて流体を圧縮する圧縮機(50)とを備えた流体機械であって、
    回転式膨張機(60)が、請求項1から9のいずれか1に記載の回転式膨張機により構成されている流体機械。
JP2004286619A 2004-09-30 2004-09-30 回転式膨張機及び流体機械 Expired - Fee Related JP4617810B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004286619A JP4617810B2 (ja) 2004-09-30 2004-09-30 回転式膨張機及び流体機械

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004286619A JP4617810B2 (ja) 2004-09-30 2004-09-30 回転式膨張機及び流体機械

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006097624A true JP2006097624A (ja) 2006-04-13
JP4617810B2 JP4617810B2 (ja) 2011-01-26

Family

ID=36237672

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004286619A Expired - Fee Related JP4617810B2 (ja) 2004-09-30 2004-09-30 回転式膨張機及び流体機械

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4617810B2 (ja)

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS56101001A (en) * 1980-01-11 1981-08-13 Matsushita Electric Ind Co Ltd Vane-type fluidic machine
JPS63140831A (ja) * 1986-12-04 1988-06-13 Honda Motor Co Ltd ベ−ンポンプ型回転ピストン機構におけるベ−ンのシ−ル構造
JPS6453019A (en) * 1987-08-22 1989-03-01 Setsuo Kinoshita Rotary engine
JPH06272568A (ja) * 1993-03-16 1994-09-27 Hideki Nakagawa ロータリーエンジン
JP2003020901A (ja) * 2002-06-26 2003-01-24 Hisao Kitayama 内燃機関
JP2004044569A (ja) * 2002-05-14 2004-02-12 Daikin Ind Ltd ロータリ式膨張機及び流体機械

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS56101001A (en) * 1980-01-11 1981-08-13 Matsushita Electric Ind Co Ltd Vane-type fluidic machine
JPS63140831A (ja) * 1986-12-04 1988-06-13 Honda Motor Co Ltd ベ−ンポンプ型回転ピストン機構におけるベ−ンのシ−ル構造
JPS6453019A (en) * 1987-08-22 1989-03-01 Setsuo Kinoshita Rotary engine
JPH06272568A (ja) * 1993-03-16 1994-09-27 Hideki Nakagawa ロータリーエンジン
JP2004044569A (ja) * 2002-05-14 2004-02-12 Daikin Ind Ltd ロータリ式膨張機及び流体機械
JP2003020901A (ja) * 2002-06-26 2003-01-24 Hisao Kitayama 内燃機関

Also Published As

Publication number Publication date
JP4617810B2 (ja) 2011-01-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3674625B2 (ja) ロータリ式膨張機及び流体機械
WO2006013959A1 (ja) 容積型膨張機及び流体機械
JP4367567B2 (ja) 圧縮機及び冷凍装置
JP2004190559A (ja) 容積型膨張機及び流体機械
JP5760836B2 (ja) ロータリ圧縮機
JP4701875B2 (ja) ロータリ式膨張機
JP4617812B2 (ja) 容積型膨張機
JP4617764B2 (ja) 膨張機
JP2004197640A (ja) 容積型膨張機及び流体機械
JP2004044569A (ja) ロータリ式膨張機及び流体機械
JP2003172244A (ja) ロータリ式膨張機、流体機械、及び冷凍装置
JP4735159B2 (ja) 膨張機
JP2006097635A (ja) 容積型膨張機
JP4462023B2 (ja) ロータリ式膨張機
JP4830565B2 (ja) 流体機械
JP4617810B2 (ja) 回転式膨張機及び流体機械
JP4618266B2 (ja) 冷凍装置
JP4617822B2 (ja) ロータリ式膨張機
WO2008062837A1 (fr) Appareillage pour fluide
JP2009133319A (ja) 容積型膨張機及び流体機械
JP2008223651A (ja) 流体機械
JP5818767B2 (ja) ベーン型圧縮機
WO2009113261A1 (ja) 膨張機
JP2008163831A (ja) 流体機械
JP2006132513A (ja) 膨張機

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070809

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100706

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100902

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100928

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20101011

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131105

Year of fee payment: 3

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 4617810

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131105

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees