JP2009184291A - インクジェットヘッド、インクジェット記録装置、およびインクジェットヘッドの制御方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 外部電圧の大きさを制御し、この電圧を駆動電圧として出力する電圧制御部71と、駆動電圧をパルス状の電圧に変換し、このパルス状の駆動電圧を複数の駆動電極に選択的に印加する切替回路73とを備え、電圧制御部71は、圧電アクチュエータ44からのインクの液滴の吐出回数を計測する吐出回数計測手段74を有し、吐出回数計測手段によって計測された吐出回数に基づいて駆動電圧の大きさを決定する。
【選択図】 図5
Description
これらインクジェット記録装置の中には、インクタンクやインクカートリッジなどからインク供給管を介し、キャリッジに搭載されたインクジェットヘッドにインクを供給しているものがある。インクジェットヘッドとしては、複数のノズルを配列したノズルプレートと、インクが充填される複数の溝部が複数のノズルのそれぞれに対応するように並設されている圧電アクチュエータとを備えたものが知られている。圧電アクチュエータには、溝部の両側壁に電極部が設けられている。この電極部に駆動電圧を印加すると溝部の容積が変化し、これにより、溝部に充填されたインクがノズルを介して吐出される。そして、キャリッジを主走査方向に移動させながらインクジェットヘッドのノズルからインクの液滴を被記録媒体に吐出すると共に、被記録媒体を副走査方向に移動させることで被記録媒体に記録を行うようになっている。
具体的に図10、図11に基づいて説明する。図10は、縦軸をインクの吐出滴量(ドロップボリューム)とし、横軸を吐出回数とした場合のインクの吐出滴量の変化を示すグラフである。図11は、縦軸をインクの吐出速度とし、横軸を吐出回数とした場合のインクの吐出速度の変化を示すグラフである。
また、図11に示すように、圧電アクチュエータは吐出動作を繰り返すことによって、インクの吐出速度が遅くなる。このため、吐出回数が増大すると、キャリッジが所定の距離を移動するまでの時間と、インクがノズルプレートを介して吐出されてから被記録媒体に着弾するまでの時間とでずれが生じてしまい、画像がぼやけるなどの画質劣化が生じる。
このように構成することで、吐出回数計測手段の計測回数に応じて、圧電アクチュエータを駆動させるための駆動電圧の大きさを変更することができる。
このように構成することで、インクの吐出回数に対応する駆動電圧の補正値を容易に求めることができ、この求めた補正値からインクの吐出回数毎の駆動電圧を容易に決定することができる。
このように、圧電アクチュエータの温度を検出することで、圧電アクチュエータの溝部に充填されているインクの温度を検出することができる。このため、インクの吐出回数に加えてインクの温度変化を考慮して駆動電圧を決定することができる。
このように構成することで、各溝部に設けられている駆動電極を個々に制御する必要がない場合にあっては、電圧制御手段の回路構成を簡略化することができる。
このように構成することで、圧電アクチュエータに複数設けられている溝部毎に駆動電圧を制御することが可能になる。
このように構成することで、インクの吐出回数が増大しても画質の劣化を抑制することができるインクジェット記録装置を提供することが可能になる。
このような制御方法とすることで、インクの吐出回数が増大して圧電アクチュエータが劣化した場合であっても、駆動電圧の補正により画質の劣化を抑制することができる。
このような制御方法とすることで、画質の劣化を抑制しつつインクジェットヘッドの制御を簡易化することができる。
このような制御方法とすることで、画質を向上させることが可能になる。
ここで、インクの粘度はインクの温度によって変化する。すなわち、インクの粘度はインクの温度が高ければ高いほど低下する特性を有している。このため、圧電アクチュエータの温度に関わらず駆動電圧を一定にしてしまうと、各温度によって、インクの吐出速度や吐出滴量が異なることになる。
よって、圧電アクチュエータの温度変化に応じて予備駆動電圧を変化させ、さらに、この予備駆動電圧を吐出回数に応じて補正することで駆動電圧を決定することで、より高品質な画像を提供することが可能になる。
また、請求項5に記載した発明によれば、圧電アクチュエータに複数設けられている溝部毎に駆動電圧を制御することが可能になるので、高精度なインクの吐出速度や吐出滴量の制御を行うことができる。
これらのことから、ユーザーの要望に応じてインクジェット記録装置の機種のバリエーションを増加することが可能になる。
図1に示すように、インクジェット記録装置1はインクジェットヘッド3が主走査方向に移動する所謂シリアル型のインクジェット記録装置であって、本体としての装置本体部2と、色ごとに設けられた複数のインクジェットヘッド3とを備えている。
装置本体部2は、略直方体形状の筐体6を備えている。筐体6内には、この幅方向(長手方向)Wに延びる一対のガイドレール8が設けられている。これらガイドレール8には、複数のインクジェットヘッド3が固定されたキャリッジ7が設けられている。すなわち、キャリッジ7は、ガイドレール8によって幅方向Wに往復動可能に支持されている。
また、筐体6内の幅方向Wの一端部には、モータ11が設けられている。モータ11の出力軸は、筐体6の奥行方向(短手方向)Dに向けられている。モータ11の出力軸には、プーリ12が設けられている。一方、筐体6内の幅方向の他端部にもプーリ13が対向配置されている。そして、プーリ12,13にわたって、タイミングベルト14が設けられている。タイミングベルト14には、キャリッジ7が固定されている。
このような構成のもと、モータ11を駆動すると、プーリ12,13およびタイミングベルト14を介して、キャリッジ7が幅方向Wに往復動するようになっている。
このような構成のもと、後背面の開口部から用紙(被記録媒体)Sが挿入され、搬入ローラ21および搬出ローラ22を駆動することにより、用紙Sが前面の開口部から排出されるようになっている。
ベースプレート31の一方の主面(インクジェットヘッドチップ26側に配された主面)には、配線基板35が設けられている。配線基板35には、インクジェットヘッドチップ26の種々の制御を行う制御回路32(図5参照)を構成する切替回路73が搭載されている。
インク連通管39は、Oリングを介して、流路部材27の連結部30に連結されている。
一方、圧力緩衝器38の上部には、貯留室と連通するインク取込口42が設けられている。インク取込口42には、インク供給管18が取り付けられている。
このような構成のもと、インクカートリッジ17からインク供給管18を介して、インクが供給されると、このインクは、インク取込口42を介して圧力緩衝器38内の貯留室に取り込まれ、さらに、所定量のインクが、インク連通管39および流路部材27を介して、インクジェットヘッドチップ26に供給されるようになっている。
また、圧電アクチュエータ44の前端面44dには、ポリイミドからなるノズルプレート51が設けられている。ノズルプレート51の一方の主面は、圧電アクチュエータ44への接合面とされ、他方の主面には、インクの付着等を防止するための撥水性や親水性を有する撥水膜が塗布されている。
カバープレート55には、その長手方向に延びる矩形状の開口部56が形成されている。この開口部56は、圧電アクチュエータ44の長手方向の全体の長溝45にわたって延ばされている。すなわち、全ての長溝45が開口部56を介して外方に開放され、開口部56によって各長溝45がそれぞれ連通した状態になっている。また、圧電アクチュエータ44とカバープレート55を接合したものに、ノズルプレート51が接合される。さらにノズルプレート51を支持するノズル支持プレート57が接合され、インクジェットヘッドチップ26を構成している。
また、圧電アクチュエータ44には、温度センサであるサーミスタ61(図5参照)が設けられている。サーミスタ61は、圧電アクチュエータ44の温度に応じた電圧を出力するようになっている。このサーミスタ61は、制御回路32に電気的に接続されている。
より詳しく、図5、図6に基づいて説明する。図5に示すように、制御回路32は、駆動電圧を出力するための電圧制御部71と、圧電アクチュエータ44の温度を検出する温度検出部72と、駆動電圧を複数の駆動電極部50に選択的に印加する切替回路73とを備えている。
温度検出回路79はサーミスタ61から入力された出力信号(抵抗値)に基づいて、圧電アクチュエータ44の温度を検出し、A/D変換回路80を介して電圧制御部71に出力している。A/D変換回路80は、コンバータやコンパレータなどが用いられ、温度検出回路79から出力されたアナログ信号をデジタル信号化するためのものである。
電圧補正テーブル75は、吐出回数計測手段74によって計測された吐出回数と駆動電圧を補正する補正値とを対応付けたテーブルであって電圧決定部77に接続されている。
したがって、補正値を、例えば、吐出回数が大きくなればなるほど、「0.01」、「0.02」・・・と増大していくように設定し、電圧決定部77において吐出回数に対応する補正値を駆動電圧に加算するようにしてもよい。また、補正値を、例えば、吐出回数が大きくなればなるほど、「1.01」、「1.02」・・・と増大していくように設定し、電圧決定部77において吐出回数に対応する補正値を駆動電圧に乗じる、つまり、駆動電圧に、吐出回数に対応する補正値(1.01、1.02、・・・)をかけて、これを真の駆動電圧とするようにしてもよい。
ここで、圧電アクチュエータ44の長溝45に充填されているインクは、この温度によってインクの粘度が異なる。そこで、安定してインクを吐出するために、圧電アクチュエータ44の温度、つまり、インクの温度に応じて駆動電圧を決定する必要がある。具体的には、温度テーブル76は、温度検出部72によって検出された温度が上昇すればするほど駆動電圧が小さくなるように設定されている。
電圧決定部77で決定した駆動電圧の大きさは、出力電圧値指令信号として電圧出力部78に出力される。電圧出力部78は、電圧決定部77から出力された信号に基づいて外部電圧を駆動電圧に変換し、切替回路73に出力する。
まず、不図示のパソコンなどから印刷指示の信号が出力されたか否かを判断する(ST1)。
印刷指示の信号が出力されていない場合、つまり、ST1における判断が「No」である場合、再びST1の判断を行う。
一方、印刷指示の信号が出力された場合、つまり、ST1における判断が「Yes」である場合、サーミスタ61から出力される出力信号(抵抗値)に基づいて、温度検出部72で圧電アクチュエータ44の温度を検出する(ST2)。
続いて、電圧決定部77で予備駆動電圧を電圧補正テーブル75に記憶されている補正値で補正し、この補正した値を真の駆動電圧に決定する(ST4、電圧制御工程)。
なお、このときに使用される補正値は、前回の印刷時までに吐出回数計測手段74によって計測された吐出回数と、電圧補正テーブルとを参照して決定する。また、インクジェットヘッド3を交換などした場合にあっては、吐出回数計測手段74によって計測された吐出回数はリセットされる。
そして、切替回路73によって、駆動電圧がパルス状の電圧に変換されると共に、このパルス状の電圧を印刷指示の信号に基づいて複数の駆動電極部50に選択的に印加される。これによって、用紙Sにインク滴が吐出され、印刷が開始する(ST6、切替工程)。
なお、この吐出回数の計測は、パソコンなどから印刷指示の信号に基づいて計測されているものであるから、ここでは実際に印刷指示の信号に基づく圧電アクチュエータの駆動動作(吐出動作)がどの程度(何回)実行されているかをモニタしている。
続いて、電圧決定部77において、吐出回数計測手段74によって計測された吐出回数と、電圧制御部71の電圧補正テーブル75とを参照して補正値を決定する(ST8)。
インクが吐出されている状態でキャリッジ7が移動中であるとき、つまり、ST9における判断が「No」である場合、再びST7に戻り、引き続き吐出回数計測手段74によって吐出回数を計測する。
一方、インクが吐出されておらず、キャリッジ7が移動端に位置している場合、つまり、ST9における判断が「Yes」である場合、印刷が終了したか否かの判断を行う(ST10)。
ここで、ST10における判断が「No」である場合において、ST2まで戻らずに、ST4に戻るようにしてもよい。つまり、圧電アクチュエータ44の温度変化による予備駆動電圧の変更は行わず、吐出回数の増大による補正値の変更のみ行って駆動電圧の大きさを決定してもよい。
一方、印刷が終了した場合、つまり、ST10における判断が「Yes」である場合には、印刷を終了する(ST11)。
図8に示すように、吐出動作を繰り返しても、インクの吐出回数に応じて駆動電圧を補正することで、インクの吐出滴量の減少が従来よりも抑制できていることが確認できる。
また、図9に示すように、吐出動作を繰り返しても、インクの吐出速度の低下を抑制できていることが確認できる。
すなわち、本発明をもちいることによって、インクの安定した吐出を実現し、吐出回数に関らず、高品質な画質を提供することができる。
このため、各長溝45に設けられている駆動電極部50を個々に制御する必要がない場合にあっては、電圧制御部71の回路構成を簡略化することができる。また、複数の駆動電極部50毎に駆動電圧を制御し、より高精度にインクの吐出速度や吐出滴量の制御を行うこともできる。よって、ユーザーの要望に応じてインクジェット記録装置1の機種のバリエーションを増加することが可能になる。
また、上述の実施形態では、圧電アクチュエータ44に温度センサであるサーミスタ61を設けた場合について説明した(図5参照)。しかしながら、これに限られるものではなく、圧電アクチュエータ44の近傍であって圧電アクチュエータ44の温度を検出可能な位置にサーミスタ61や、サーミスタ61に代わって熱電対を設けてもよい。例えば、インクジェットヘッド3を構成する流路部材27や配線基板35などにサーミスタ61や熱電対を設けてもよい。
2 装置本体部
3 インクジェットヘッド
7 キャリッジ(移動手段)
8 ガイドレール(移動手段)
11 モータ(移動手段)
12,13 プーリ(移動手段)
14 タイミングベルト(移動手段)
21 搬入ローラ(搬送手段)
22 搬出ローラ(搬送手段)
32 制御回路
26 インクジェットヘッドチップ
44 圧電アクチュエータ
45 長溝(溝部)
50 駆動電極部
51 ノズルプレート
52 ノズル開口部(ノズル)
71 電圧制御部(電圧制御手段)
72 温度検出部
73 切替回路(切替手段)
74 吐出回数計測手段
75 電圧補正テーブル
76 温度テーブル
77 電圧決定部
78 電圧出力部
79 温度検出回路
S 用紙(被記録媒体)
Claims (9)
- インクが充填される複数の溝部を有する圧電アクチュエータと、
前記複数の溝部のそれぞれに設けられ前記圧電アクチュエータを駆動させる複数の駆動電極とを備え、
前記圧電アクチュエータを駆動させることで前記複数の溝部からノズルを介してインクの液滴を吐出させるインクジェットヘッドであって、
外部から入力される電圧の大きさを制御し、この電圧を駆動電圧として出力する電圧制御手段と、
前記駆動電圧をパルス状の電圧に変換し、このパルス状の駆動電圧を前記複数の駆動電極に選択的に印加する切替手段とを備え、
前記電圧制御手段は、
前記圧電アクチュエータからのインクの液滴の吐出回数を計測する吐出回数計測手段を有し、
前記吐出回数計測手段によって計測された吐出回数に基づいて前記駆動電圧の大きさを決定することを特徴とするインクジェットヘッド。 - 前記電圧制御手段は、前記吐出回数計測手段によって計測された吐出回数と前記駆動電圧を補正する補正値との対応関係を示す電圧補正テーブルを有し、
前記補正値を、前記吐出回数計測手段によって計測された吐出回数と前記電圧補正テーブルとを参照して求め、これによって求められた前記補正値に基づいて前記駆動電圧を補正することを特徴とする請求項1に記載のインクジェットヘッド。 - 前記圧電アクチュエータ、または前記圧電アクチュエータの近傍の何れかに、この圧電アクチュエータの温度を検出する温度センサを設け、
前記電圧制御手段に、前記温度センサによって検出された温度と予備駆動電圧との対応関係を示す温度テーブルを設け、
前記予備駆動電圧を、前記温度センサによって検出された温度と前記温度テーブルとを参照して求め、これによって求められた予備駆動電圧と前記補正値とに基づいて前記駆動電圧の大きさを決定することを特徴とする請求項2に記載のインクジェットヘッド。 - 前記電圧制御手段は、前記複数の溝部全体の吐出回数を計測し、これら吐出回数の合計に基づいて前記駆動電圧の大きさを決定することを特徴とする請求項1〜請求項3の何れかに記載のインクジェットヘッド。
- 前記電圧制御手段は、前記複数の溝部それぞれの吐出回数を個別に計測し、各溝部の吐出回数に基づいて、前記複数の駆動電極に印加する駆動電圧を各々決定することを特徴とする請求項1〜請求項3の何れかに記載のインクジェットヘッド。
- 請求項1〜請求項5の何れかに記載のインクジェットヘッドと、
被記録媒体を予め決められた方向に搬送する搬送手段と、
前記被記録媒体の搬送方向に交差する方向に沿って前記インクジェットヘッドを往復移動させる移動手段とを備えたことを特徴とするインクジェット記録装置。 - インクが充填される複数の溝部を有する圧電アクチュエータと、
前記複数の溝部のそれぞれに設けられ前記圧電アクチュエータを駆動させる複数の駆動電極とを備え、
前記圧電アクチュエータを駆動させることで前記複数の溝部からノズルを介してインクの液滴を吐出させるインクジェットヘッドの制御方法であって、
外部から入力される電圧の大きさを制御し、この電圧を駆動電圧として出力する電圧制御工程と、
前記駆動電圧をパルス状の電圧に変換し、このパルス状の駆動電圧を前記複数の駆動電極に選択的に印加する切替工程とを備え、
前記電圧制御工程は、
前記圧電アクチュエータからのインクの液滴の吐出回数を計測する吐出回数計測工程を有し、
前記吐出回数計測工程によって計測された吐出回数に基づいて前記駆動電圧の大きさを決定することを特徴とするインクジェットヘッドの制御方法。 - 前記電圧制御工程は、前記複数の溝部全体の吐出回数を計測し、これら吐出回数の合計に基づいて前記駆動電圧の大きさを決定することを特徴とする請求項7に記載のインクジェットヘッドの制御方法。
- 前記電圧制御工程は、前記複数の溝部それぞれの吐出回数を個別に計測し、各溝部の吐出回数に基づいて、前記複数の駆動電極に印加する駆動電圧を各々決定することを特徴とする請求項7に記載のインクジェットヘッドの制御方法。
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