JP2009182353A - レーザ光源装置及びこれを用いた画像生成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】励起光源1と一対の共振器ミラー5及び11とを有し、共振器ミラーにより構成される共振器30内に少なくともレーザ媒質6と波長変換素子10を設ける。励起光源1から横モードパターン光でレーザ媒質6を励起し、レーザ媒質6の発振により得られる線状の基本波を波長変換素子10に照射して線状の変換波を出力する。共振器30内に光路折り返しの反射部9を設け、各部を支持体40上の異なる面40A,40Bに配置することで、線状の基本波の長手方向をこの反射部9の入射面に対して略垂直に配置する。
【選択図】図7
Description
このようなレーザ光源装置において、半導体レーザを励起光源として用いた固体レーザを使用する場合、干渉に起因する照明むらを改善するために、アレイレーザ等により1次元横マルチモードの励起光を使用して特に線状(例えば楕円状)の変換波を出力することが提案されている(例えば特許文献1参照。)。このような横マルチモードの光を例えば画像生成装置に用いる場合は、光変調装置に対して比較的均質に照明できることから画質を向上させることができ、また、横マルチモードであることからスペックルノイズを低減させることができ、装置構成を複雑化することなく高効率なレーザ光源装置を得ることが期待されている。
図14A及びBに、一例として共振器の光路を折り返して線状の変換波を出力するレーザ光源装置の異なる方向からみた概略平面構成図を示す。図14A及びBに示すようにこのレーザ光源装置80には、励起光源61と、その出射光路上にコリメータレンズ62及び63、集光レンズ64、レーザ媒質66、平面ミラー等より成る反射部67が配置される。そして反射部67の反射光路上に、凹面ミラー等より成る反射部68、更にその反射光路上に例えば非線形光学結晶又は非線形光学素子より成る波長変換素子70と、基本波を高反射率で反射し、変換波を高透過率で透過する共振器ミラー69とが配置される。レーザ媒質66の励起光入射端には、励起光を高透過率で透過し、基本波を高反射率で反射する波長選択機能付の反射膜より成る共振器ミラー65が設けられ、共振器ミラー65及び69の間に共振器75が構成される。図14Aにおいては反射部67及び68により反射される光路の入射面と直交する方向からみた平面構成図、図14Bにおいてはこの入射面に沿う方向からみた平面構成図を示す。このように、共振器75内に、反射部67及び68を設けて折り返し光路構成とすることで、レーザ光源装置80全体の小型化を図ることができる。
これらのコリメータレンズ62及び63を透過した光は、後段の集光レンズ64によって収束され、y軸方向を長手方向とする線状ビームとして共振器ミラー65を介してレーザ媒質66の一端に照射される。そして、レーザ媒質66において励起された基本波は、y軸方向を長手方向とする線状ビームとして反射部67に入射され、ここにおいて反射され、更に反射部68により同様に反射されて折り返されて、波長変換素子70に入射される。波長変換素子70を介して共振器ミラー69に到達した基本波は、ここにおいて反射され、共振器75内を往復する。図14A及びBにおいて、レーザ媒質66から出射される基本波の長手方向を矢印e1、波長変換素子70において変換されて共振器ミラー69を透過し、外部へ出力される出射光Lo´の長手方向を矢印e3として示す。
このような問題は、上述したプロジェクタやプリンタ等の画像生成装置のみならず、その他半導体プロセス装置等における露光やアニールなどにこのような1次元状の変換波を発生するレーザ光源装置を適用する場合も同様であり、その出力光の均一性及び安定性の向上が求められている。
本発明者の鋭意考察研究の結果、従来の横マルチモード等の線状の基本波を用いるレーザ光源装置において、出力光の均一性及び安定性の向上を阻害する原因は、線状ビームの長手方向に対して空間的な対称性が取れていないためであることを究明した。
これに対し、本発明構成によれば、上述したように基本波の長手方向は反射部による折り返し光路の平面内と略垂直な方向とされるので、基本波の長手方向に関して空間的な対称性を保つことができる。したがって、波長変換素子において変換される変換波においても長手方向に関する非対称化、不均一化を抑制し、結果的に出力光の均一化及び安定化を図ることが可能となる。
(第1の実施形態)
図1A及びBは、本発明の実施形態例に係るレーザ光源装置の一例の概略平面構成図である。図1A及びBに示すように、このレーザ光源装置20は、励起光源1と共振器30とを備え、共振器30内にレーザ媒質6及び波長変換素子10と、光路を折り返す2つの反射部8及び9を設ける例を示す。図1Aにおいては反射部8及び9により反射される光路の入射面に沿う方向からみた平面構成図、図1Bにおいてはこの入射面と直交する方向からみた平面構成図である。励起光源1の出射光路上には、2つのコリメータレンズ2及び3、集光レンズ4、共振器ミラー5、レーザ媒質6、波長選択素子7、平面ミラー等より成る反射部8が配置される。そして反射部8の反射光路上に、凹面ミラー等より成り、基本波を高反射率で反射する反射部9を配置する。反射部9の折り返し光路上には、非線形光学結晶、非線形光学素子等より成る波長変換素子10、共振器ミラー11を配置する。このように、共振器ミラー5及び11の間の光路で構成される共振器30内に、反射部8及び9を設けて折り返し光路構成とすることで、レーザ光源装置20全体の小型化を図ることができる。図示の例ではレーザ媒質6の片側の端面に共振器ミラー5として基本波に対し高反射率の選択反射機能膜を設ける例を示す。この場合レーザ媒質6として作用すると同時に、共振器平面ミラーとして機能させ、部品点数の削減、光学的調整の簡易化を図ることができる。もちろん、レーザ媒質6とは別体の共振器ミラー5として配置してもよい。
半導体レーザを用いる場合、X−Z平面内ではY−Z平面内に比べて大きな発散角をもつが、各面について別個のシリンドリカルレンズを用いるので、出射ビーム径をそれぞれ独立に制御して所望のビーム形状にすることができる。また、レーザダイオードの発光領域の大きさにより非点収差が問題となるときは、その補正用として上記のシリンドリカルレンズを用いることが好ましい。
次に、本発明の第2の実施形態として、図2A及びBに示すように、図1における反射部9を省いた構成とし、反射部8による反射光路上の共振器ミラー11との間に波長変換素子10を配置する実施形態を説明する。図2A及びBにおいて、図1A及びBと対応する部分には同一符号を付して重複説明を省略する。本実施形態では、反射部8及び共振器ミラー11が基本波に対して高反射率とされ、変換波に対して高透過率をもつ波長選択機能を有する例を示す。図2A及びBにおいて、励起光、基本波及び変換波の長手方向をそれぞれ矢印a4、a5及びa6として示す。また、基本波及び変換波の偏光方向をそれぞれ矢印p3及びp4として示す。すなわちこの場合、線状の基本波及び変換波の長手方向とこれらの偏光方向が略直交する例を示す。第2高調波等の変換波は、反射部8を透過して出力される。共振器ミラー11を基本波及び変換波に対して共に高反射率を有する構成とするときは、共振器ミラー11側に出力される変換波を折り返して反射部8側に出力する変換波に重ね合わせて効率よく出力することが可能となる。このように凹面ミラー等の反射部を省く場合は部品点数の低減とそれによる高信頼性化を図ることができる。この場合においても、共振器ミラー11側に漏れるわずかな変換波をモニター用として利用することが可能である。
第3の実施形態に係るレーザ光源装置として、サイドポンプ方式とした場合の概略構成図を図3A〜Cに示す。図3A及びBにおいては、このレーザ光源装置20の概略側面構成図及び概略上面構成図を示し、図3Cにおいては、図3A及びBのA−A´線上の概略断面構成図を示す。図3A〜Cにおいて、図1及び図2と対応する部分には同一符号を付して重複説明を省略する。この実施形態例においては、共振器30内で発振する線状の基本波の長手方向と基本波の発振光路に沿う方向とで作られる平面に対して、励起光源1から出射される横モードパターンの出射光の長手方向が略平行となるように配置されて成る。そして励起光源1及び共振器30を構成する各光学部品は断面略L字型の支持体40上の、互いに略直交する第1及び第2の面40A及び40Bに配置される。第1の面40Aには、共振器ミラー5、レーザ媒質6、波長選択素子7、反射部8が配置され、かつ、反射部8の反射光路上に波長変換素子10及び共振器ミラー11が配置される。第2の面40Bには、励起光源1が配置され、そのレーザアレイ等よりなる並列化された発光素子12から出射した励起光が第1の面40A上のレーザ媒質6の側面6S(この場合上面)に照射される配置とする。
励起光源1から線状のレーザ光をレーザ媒質6の側面6Sに入射する際、励起光源1から出射されてレーザ媒質6に入射されるレーザ光の入射方向と、レーザ媒質6から出射される基本波の進行方向とで作る平面に対して励起光源1から出射されるレーザ光の長手方向が平行である場合、レーザ媒質6から出射される基本波の長手方向もこの平面に沿う方向となる。したがって、励起光源1から出射されてレーザ媒質6に入射する励起光の入射方向を、共振器30内で発振する線状の基本波の発振光路で作られる平面に対して略垂直となるように配置すると、基本波の長手方向は共振器30に設ける反射部8の入射面に対して略垂直となる。
また、吸収特性と発振特性に異方性のある例えばYVO4を用いる場合には、励起光源の偏光方向、即ちYVO4に吸収させる偏光方向を、発振させるYVO4の偏光方向と合わせることが望ましい。励起光源が半導体レーザである場合には、その発振偏光によっては励起光が共振器に入射する前に、半波長板(図示せず)等を用いて偏光方向をほぼ90度回転させるなどして必要な偏光方向とすることが望ましい。その場合、偏光方向が使用用途に十分な程度に安定するのであれば、偏光選択素子であるブリュースター板を省くこともできる。図2には励起光源の偏光方向が、ビーム長手方向と垂直である場合を示している。なお、レーザ媒質の形状は直方体に限定されるものではなく、傾斜面や部分的に曲面を有する形状等としてもよい。
従来の場合は、前述の図10において説明したように、共振器の発振光路がビーム長手方向と同じ面内にあるため共振器の配置はビーム長手方向に対称ではなく、すなわち発振光路はビーム長手方向に対称ではない。このようにビーム長手方向に対して共振光路が非対称となる場合は、前述したように図11に示すように強度分布に不均一性が生じ、基本波パワー密度も不均一となって、変換波にも空間不均一性をもたらす。またこのような幅広の線状基本波の非対称性を低減するために、例えば共振光路を折り曲げる反射部の入射角を抑えて共振器長を長くする必要があり、レーザの高効率化、および小型化の妨げとなる。またレーザモジュール製造の観点では、不均一なビームであることによりビーム長手方向の変動に対して十分なマージンを得る妨げになる。
図5A及びBは本発明の実施形態例に係るレーザ光源装置の一例を示す概略平面構成図である。図5Aは共振器内の反射光路における入射面に沿う平面内の平面構成図を示し、図5Bは入射面に沿う方向からみた概略平面構成図を示す。
図5に示す例においては、レーザ媒質の共振器方向に沿う端面から励起光を入射するエンドポンプ方式を採る場合で、レーザ媒質6及び波長変換素子10の一方の端面6B及び10Bを基本波に対しブリュースター角をもつブリュースター面として設ける例を示す。励起光源1から出射する励起光の光路上にコリメータレンズ2、半波長板13、共振器ミラー5を端面6Aに設けたレーザ媒質6が配置される。そしてレーザ媒質6の他方の端面6Bがブリュースター面とされる。ブリュースター面においては図5Aにおいて矢印p11で示す紙面内偏光が高透過となるので、ブリュースター面を偏光選択素子として機能させることができる。そしてその出射光路上には凹面ミラー等より成る反射部9が配置され、その反射光路上に波長変換素子10が配置される。波長変換素子10の反射部9側の端面10Bはブリュースター面とされ、他方の端面10Aに共振器ミラー11が設けられる。ここで共振器ミラー5及び11は基本波に対し高反射率を有する。また、反射部9は基本波に対し高反射率をもち、変換波に対し高透過率を有する。更に共振器ミラー11は、例えば基本波及び変換波に対し高反射率をもつ構成とする。
またこの場合は、基本波の長手方向に対して偏光方向を略直交する方向とするので、ブリュースター面から出射される角度偏向方向は図5Aの紙面に沿う方向(図5Bの紙面と直交する方向)、すなわち共振光路の反射部9における入射面に沿う方向となり、各光学部品の配置構成が容易となるという利点を有する。なお、基本波と高調波等の変換波のブリュースター角は通常大きさが近く、変換波に対しても反射損失は十分に小さいため、損失低減のための反射防止膜を設けなくてよい。
図6A及びBにおいては励起光源1をいわゆるサイドポンプ方式に配置する例を示す。図6A及びBにおいて、図5A及びBと対応する部分には同一符号を付して重複説明を省略する。この例においては、レーザ媒質6及び波長変換素子10の一方の端面6B及び10Bを基本波に対しブリュースター角をもつブリュースター面とし、側面6Sから励起光源1からの励起光を照射する例を示す。レーザ媒質6で発振する基本波の偏光方向は矢印p14及びp15で示すように光軸と直交し図6Aの紙面に沿う方向で、且つ図6Bの紙面と直交する方向であり、それぞれレーザ媒質6及び波長変換素子10に対し高透過で入出射する構成とされる。この場合、上述の図5に示す例と同様に、部品点数が少なくまた共振器の光学損失が少ない状態で、反射部9における入射角を小さくでき、同時に、基本波の長手方向を反射部9の入射面に沿う方向とする従来の配置と比べて、ビーム長手方向の対称性を改善して一様なビーム形状とし、空間モードを高次モードまで均一に発振させることができる。また、振動などの外乱によってもビーム形状の対称性がよいため空間モード間のパワー遷移が起きにくくなり、画像生成装置や、光プロセス装置などに用いる場合に、線状のレーザ光の均質性、利用効率及び安定性の向上、ノイズの低減化を図ることができる。また、レーザモジュールの製造マージンも拡大される。
そしてこの場合においても、基本波の長手方向に対して偏光方向を略直交する方向とするので、ブリュースター面から出射される角度偏向方向は図6Aの紙面に沿う方向(図6Bの紙面と直交する方向)、すなわち共振光路の反射部9における入射面に沿う方向となり、各光学部品の配置構成が容易となるという利点を有する。
なお、図6に示す例においては直接励起とする場合を示すが、レーザ媒質内に励起光を閉じこめるための反射膜をレーザ媒質の表面又は外部に設けたり、適切なマイクロレンズなどによりレーザ媒質内に励起光を集光したりコリメートしたりする構成としても構わない。
図7A及びBにおいては、上述の第4の実施形態の構成とする場合に、L字型の支持体40を用いる場合の概略平面構成図を示す。図7A及びBにおいて、図5A及びBと対応する部分には同一符号を付して重複説明を省略する。
本実施形態においては、L字型の支持体40の第1の面40Aに励起光源1及びレーザ媒質6を固定配置し、第2の面40Bにその他の光学素子、例えばコリメータレンズ2及び3、波長板13、反射部9、波長変換素子10を第2の面40Bに固定配置する例を示す。光軸位置調整のために、適当な位置調整部材を用いることが望ましい。この実施形態においては、図7Aに示すように、レーザ媒質6が位置調整部材42を介して第1の面40A上に配置され、図7Bに示すように、波長変換素子10が位置調整部材43を介して第2の面40B上に配置される例を示す。
図8A及びBにおいては、上述の第5の実施形態の構成とする場合に、L字型の支持体40を用いる場合の概略平面構成図を示す。図8A及びBにおいて、図6A及びBと対応する部分には同一符号を付して重複説明を省略する。
本実施形態においては、L字型の支持体の第1の面40Aに励起光源1、第2の面40Bにレーザ媒質6、反射部9及び波長変換素子10を固定配置する例を示す。この場合においても、光軸位置調整のために、位置調整部材43を介して波長変換素子10が第2の面40B上に配置される例を示す。
図9A及びBにおいては、上述の第2の実施形態の構成とする場合に、L字型の支持体40を用いる場合の概略平面構成図を示す。図9Bにおいて、図2A及びBと対応する部分には同一符号を付して重複説明を省略する。
本実施形態においては、L字型の支持体40の第1の面40Aは一平面をもつ形状とし、これとは略直交する第2の面としては、Y軸方向に高さの異なる第2の面40B1及び40B2を備える形状とする例を示す。第1の面40Aに励起光源1、レンズ4を配置し、第2の面40B2に、レーザ媒質6、反射部8、波長変換素子10及び共振器ミラー11を固定配置する。図示しないがコリメータレンズ2及び3は適切な位置調整部材を介して第1の面40A上に固定配置されていてもよく、又は第2の40B1上に固定配置されていてもよい。すなわちこの場合、第2の面40B2はレーザ媒質6、反射部8等を配置する平面として設けられ、これとは平行な第2の面40B1は励起光源1からレーザ媒質6に至る光路で光束を遮らないようにY軸方向に窪んだ構成となっている。なお、第2の面40B1及び40B2を設ける代わりに、適切な位置調整部材を用いてレーザ媒質6、反射部8、波長変換素子10及び共振器ミラー11を配置してもよい。
図10A及びBにおいては、図9A及びBに示す実施形態において、励起光源1と集光レンズ4との間に、光路を偏向する光学部材としてプリズム21を用いる場合の概略平面構成図を示す。図10A及びBにおいて、図9A及びBと対応する部分には同一符号を付して重複説明を省略する。本実施形態においては、プリズム21として、基本波及び変換波のビーム長手方向(Y軸方向)とレーザ媒質6を通過する光路の光軸に沿う方向(X軸方向)とで作られる平面(X−Y平面)においては断面が略長方形であり、X軸方向とビーム短軸方向(Z軸方向)とで作られる平面(X−Z平面)においては断面が略二等辺直角三角形の三角柱形状のものを用いる。コリメータレンズ3から出射されてプリズム21に入射した光は、プリズム21の断面略三角形を構成する斜面によって、図10Bに示すように光路を2回略直交する方向に曲げられて折り返され、集光レンズ4に入射する構成とされる。つまりこの場合、励起光源1から出射された光は、コリメータレンズ2及び3を介してプリズム21に入射すると、このプリズム21によって光路を略180度を変換され、集光レンズ4を介してレーザ媒質6に向かう構成となる。
そしてこの実施形態においては、プリズム21をL字型の支持体40の第1の面40A又は第2の面40Bに固定配置する。この例ではレーザ媒質6、反射部8、波長変換素子10及び共振器ミラー11は第2の面40B上に固定した位置調整部材44上に固定配置される。この場合においても、図示しないがコリメータレンズ2及び3は適切な位置調整部材を介して第1の面40A上、又は第2の面40B上に固定配置されていてもよい。尚、コリメータレンズ、プリズム、集光レンズなどの順番などの配置についてはこの例に限るものではなく、適切な励起の仕方に適った配置をすればよいことはいうまでもない。
図11においては本発明の実施形態例に係るレーザ光源装置の一例の要部の概略平面構成図を示す。図11において、共振器ミラー5から反射部8までの光路長をb1、反射部8から凹面ミラー等より成る反射部9までの光路長をb2とする。ここで、光路長bをb=b1+b2とする。凹面ミラー等より成る反射部9と共振器ミラー11までの光路長をaとする。共振器ミラー5と反射部8との間には図示を省略するがレーザ媒質が配置され、共振器ミラー5と反射部9との間の光路においては、基本波はコリメート状態とされ、モード径は略一定である。高効率波長変換のために、波長変換素子10の近傍でのモード径は小さいことが望ましく、およそ2a<bの関係とされる。反射部9が曲率半径Rの凹面ミラーであるときは、光路長bは、R〜aであることから、
b>2R ・・・(1)
となる。
一方、線状の基本波の短軸側は横シングルモード(略ガウシアンビーム)とされ、安定共振条件にはbがレイリー長(ビーム径がウエスト径の√2倍になる長さ)以下であるようなモード半径が目安となる。ωを短軸方向(すなわち横マルチモードとする場合はシングルモード方向)のビームウエスト半径、λを波長、ガウシアンビームとすると、レイリー長Lrは
Lr=2×π×ω2/λ
で与えられる。したがって、ビームウエスト半径ωは、
ω≧√{λ×b/(2π)) ・・・(2)
の条件を満たす必要がある。例えばλ=1.064μmのとき、
ω=0.5mm → Lr=1480mm
ω=0.2mm → Lr=236mm
ω=0.1mm → Lr=59mm
ω=0.05mm → Lr=15mm
となる。
また、コマ収差量が増大して回折限界の目安である波面収差λ/4を超えないようにビームウエスト半径ωの上限を選定する必要がある。
このとき、共振光路の角度αが10°の場合と30°の場合において、反射部9を構成する凹面ミラーの曲率Rを100mm、75mm、50mm、25mmとした場合の光路長b、高効率波長変換をもたらす共振器構成になるような、共振器ミラー5と反射部9の間の基本波の短軸方向(横マルチモードとする場合はシングルモード方向)のビーム半径下限(これを条件1とする)、コマ収差がλ/4を超えない共振器ミラー5と反射部9の間のビーム半径の反射部9における入射面への射影成分の上限(これを条件2とする)、更に、基本波の長手方向の入射面からの角度Φがそれぞれ0°、45°、90°のときの上記条件1及び2を満たすアスペクト(基本波ビーム長軸方向及び短軸方向の長さの比)の上限を解析した。この結果を下記の表1に示す。
次に、角度Φを90°からずらす場合に、コマ収差を波長の4分の1以下とすることができる角度範囲について検討した。このようにコマ収差をある程度以下に抑えられる角度範囲は、図11に示す共振光路の角度αや反射部9として用いる凹面ミラーの曲率R、基本波の短軸側半径の下限、線状の基本波の長軸と短軸との比(アスペクト)、基本波の波長λ等によって異なってくる。以下の例では、基本波の波長を1064nmとした。
先ず、共振光路の角度αを30°とし、反射部として用いる凹面ミラーの曲率半径Rが15mmの場合、50mmの場合と75mmの場合とにおいて、基本波のアスペクトを10、20、30、50と変化させ、角度Φを90°から80°、70、45°、0°と変化させたときのコマ収差を解析した結果を下記の表2〜表4に示す。なお、式(1)及び(2)から、凹面ミラーの曲率半径Rが15mmの場合は横シングルモード側(ビーム短軸側)半径下限目安を0.07mm、曲率半径Rが50mmの場合は横シングルモード側半径下限目安を0.13mm、曲率半径Rが75mmの場合は横シングルモード側半径下限目安を0.16mmとした。コマ収差は波長λを単位として記載した。すなわち0.25未満で良、0.25以上で不良となる。下記の表においては、モード径の共振光路で作られる平面方向の射影成分も示す。なお、Φ=0°とする例が、従来の構成である。
また、上記表3及び表4の結果から、凹面ミラーの曲率半径R=50mm、横シングルモード側半径下限目安を0.13mmとする場合、更に凹面ミラーの曲率半径をR=75mm、横シングルモード側半径下限目安を0.16mmとする場合は、ビームアスペクト比30以下のとき角度Φ=70°=90°±20°までコマ収差を波長の4分の1以下とすることができ、ビームアスペクト比が30を超える50以下では角度Φ=80°=90°±10°までコマ収差を波長の4分の1以下とすることができることが分かる。
以上の結果から、基本波として横マルチモードの光を用い、共振光路の折り返し角度が30°以下、反射部として用いる凹面ミラーの曲率を15mm以下、線状の基本波のアスペクト(長軸と短軸との比)を20以下とする場合は、基本波の長軸方向(すなわち長手方向)の折り返し光路の入射面に対する角度を90°±20°の範囲に選定できる。また、表2〜5から分かるように、アスペクト比が20を超えて50以下とする場合は90°±10°の範囲とすることが望ましい。
このように、基本波の長手方向の、レーザ共振器内に配置された反射部における入射面となす角度Φの許容範囲は適用する光学装置において選定される各種の条件、すなわち波長、変換波の形状(アスペクト)、装置構成(共振光路の折り返し角度、共振器長)等の条件によって変動が見込まれる。
次に、本発明構成のレーザ光源装置を利用した本発明の画像生成装置の一実施形態について図13を参照して説明する。図13に示すように、この画像生成装置100は本発明構成によるレーザ光源装置20と、照明光学系50、例えば回折格子型の1次元光変調装置51及び光選択部52を含む光変調部55、投射光学部53、走査素子54を有する走査光学部56から構成される。レーザ光源装置20としては、前述の実施形態例と同様に例えば横マルチモードの1次元状の変換波、例えば第2高調波を出力する構成とし得る。そしてこのレーザ光源装置20から出射されて照明光学系50において例えば光束形状を整えられたレーザ光Loは、例えば回折格子型構成の1次元光変調装置51に例えば1次元状(線状)の光ビームとして照射される。
レーザ光源装置20において、変換波の強度分布の不均一性が比較的大きい場合、これを画像生成装置100に適用して得られる画質は、照明むらにより品質が低下したものになる。この不均一性は、本発明構成のレーザ光源装置を用いることによって十分に低減することができ、出力が安定し、したがって照明むらの少ない良質な画質をもって画像を生成することが可能となる。または、変換波の不均一性を光変調部の信号強度補正に反映させる場合は、本発明によって光利用効率向上に繋がる。
更にまた、画像生成装置以外においても、共振器内部に波長変換素子を有するレーザ装置を1以上用いる光学装置であれば、その少なくとも1つのレーザ光源装置に本発明を適用することが可能である。
[1]共振器内で発振する線状の基本波及びこれを波長変換素子に照射することによって発生する高調波等の変換波の長手方向の形状の状対称性を改善し、長手方向の均一性の向上を図ることができる。これを画像生成装置や光プロセス装置等の光学装置の光源として用いる場合は、線状出力光の長手方向における均質性の向上、照射効率の向上、安定性の向上、ノイズの低減化に寄与する。
[3]共振光路間の角度が比較的大きくても基本波長手方向の共振器内凹面ミラーにおけるコマ収差の増加が抑えられるため、共振器構成の各光学素子間の距離を近づけることができる。その結果、装置の小型化、高効率化、高信頼性化、それによる低コスト化に寄与する。
[4]共振器内で発振する基本波の空間モード数を低減することなく、線状の基本波の長手方向のビーム幅を保って高アスペクト比を保持したままで、容易に共振器構成素子間の距離を近づけたり、共振光路間の角度を小さくしたりすることができる。これにより、各光学部品の配置構成のマージン(レーザモジュールマージン)の拡大、装置の小型化、高効率化、高信頼性化、それによる低コスト化に寄与する。
なお、反射部を凹面鏡で構成する場合、またレーザ媒質や波長変換素子等の端面を凹面とする場合は、並進機構であおり調整を行うことができる。並進機構を設ける場合においても、支持体表面内の可動機構は垂直方向の可動機構と比べて格段に簡素な機構となる。したがって、駆動部を部品構成とするか又はマニピュレータ機構とするかに拘わらず、あおり機構及び並進機構が共に、本発明構成とすることによって光学的な調整に要する駆動部の構成を格段に簡易化できて、低コスト化、高信頼性化、小型化に寄与することとなる。
[6]ブリュースター面のみによって、波長変換できる方向の偏光に発振モードを制限することができるため、ブリュースター板を不要とし部品低減ができ、小型化、高効率化、高信頼性化できる。
[7]波長変換素子におけるブリュースター面において、基本波および高調波双方に高透過とすることができるので、共振器内の光学損失を低く抑えることができると共に、共振する基本波のパワー密度を高め、変換効率を高めることができる。
Claims (11)
- 複数の半導体レーザを1次元的に配列したレーザアレイを含む励起光源と、
共振器を構成する一対の共振器ミラーと、
前記共振器内に配置されるレーザ媒質と波長変換素子、及び凹面ミラーより成る反射部と、
支持体と、を備え、
前記レーザアレイから出射される横モードパターンの光で前記レーザ媒質が励起され、前記レーザ媒質の発振により得られる線状の基本波を前記波長変換素子に照射して線状の変換波を出力する構成とされ、
前記支持体の第1の面に前記励起光源の前記レーザアレイの長手方向に沿う少なくとも一面を配置し、前記第1の面とは異なる第2の面に前記共振器を構成する少なくとも前記反射部及び前記波長変換素子を配置することにより、前記線状の基本波の長手方向が、前記共振器内で発振する前記線状の基本波の発振光路で作られる平面に対して略垂直に配置されて成る
レーザ光源装置。 - 前記支持体に排熱部が設けられ、
前記支持体の排熱部が設けられる位置に近い面が前記第1の面とされ、該第1の面に少なくとも前記励起光源が設けられる請求項1に記載のレーザ光源装置。 - 前記第1の面に更に、前記共振器の前記レーザ媒質が設けられる請求項2に記載のレーザ光源装置。
- 前記レーザ媒質が、位置調整部材を介して前記第1の面に設けられる請求項3に記載のレーザ光源装置。
- 前記励起光源から出射される横モードパターンの出射光の長手方向と、前記励起光源からの光の前記レーザ媒質に入射する入射方向とのうちのいずれか一方が、前記共振器内で発振する前記線状の基本波の発振光路で作られる平面に対して略垂直となるように配置されて成る請求項1〜4のいずれかに記載のレーザ光源装置。
- 前記支持体が断面略L字型とされ、前記励起光源と前記共振器とが、それぞれ前記L字型の支持体の略直交する第1及び第2の面上に配置されて成る請求項2〜5のいずれかに記載のレーザ光源装置。
- 前記共振器内で発振する線状の基本波の偏光方向が、前記基本波の長手方向と略垂直である請求項1〜6のいずれかに記載のレーザ光源装置。
- 前記線状の基本波の長手方向が、前記共振器内で発振する前記線状の基本波の発振光路で作られる平面に対して、90°±10°に配置されて成る請求項1〜7のいずれかに記載のレーザ光源装置。
- 前記共振器ミラーの一方と前記レーザ媒質が一体化されて成る請求項1〜8のいずれかに記載のレーザ光源装置。
- 前記共振器ミラーの一方と前記波長変換素子が一体化されて成る請求項1〜9のいずれかに記載のレーザ光源装置。
- レーザ光源装置と、該レーザ光源装置から出射される光を情報に対応して変調する光変調部と、投射光学部とを備え、
前記レーザ光源装置は、
複数の半導体レーザを1次元的に配列したレーザアレイを含む励起光源と、
共振器を構成する一対の共振器ミラーと、
前記共振器内に配置されるレーザ媒質と波長変換素子、及び凹面ミラーより成る反射部と、
支持体と、を備え、
前記レーザアレイから出射される横モードパターンの光で前記レーザ媒質が励起され、前記レーザ媒質の発振により得られる線状の基本波を前記波長変換素子に照射して線状の変換波を出力する構成とされ、
前記支持体の第1の面に前記励起光源の前記レーザアレイの長手方向に沿う少なくとも一面を配置し、前記第1の面とは異なる第2の面に前記共振器を構成する少なくとも前記反射部及び前記波長変換素子を配置することにより、前記線状の基本波の長手方向が、前記共振器内で発振する前記線状の基本波の発振光路で作られる平面に対して略垂直に配置されて成る
画像生成装置。
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