JP2009181994A - 固体レーザ用光学素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】SHGレーザ装置におけるレーザ光の高出力を維持しつつ単色性を向上させる。
【解決手段】Nd:YAG結晶である固体レーザ媒質3の励起光入射側端面に、該媒質3に接触する初期層と最も外側の最終層とが低屈折率のSiO2膜層4aであり、その間を、SiO2膜層4aと高屈折率のTa25膜層4bとが交互に積層された構造を基本として、前半層と後半層とでそれぞれ1層ずつTa25膜層4bを透過率が中間のAl23膜層4cに置き換えた誘電体多層膜4を形成する。この各膜層4a、4b、4cの膜厚とAl23膜層4cの置換位置とを適宜に調整することで、励起光の波長809〜812nmを99.9%以上透過し、基本波光の波長(946nm)波長を99.9%以上反射し、且つ固体レーザ媒質3で励起される不要な波長(1064nm)を高い効率で透過させる選択的反射・透過層となる。これにより、高出力の青色レーザの単色性を向上させることができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、半導体レーザ等を励起光源とした固体レーザ装置に用いられる固体レーザ用光学素子に関し、さらに詳しくは、波長変換素子を用いた波長変換型の固体レーザ装置に好適な光学素子に関する。
近年、緑色、青色等の短波長レーザは、干渉計、光ディスク用ピックアップ、印刷装置など幅広い分野において注目されており、こうしたレーザ光を発生するレーザ装置の研究・開発が各所で積極的に進められている。このような短波長レーザ装置の一つとして、SHG(Second Harmonic Generation)レーザ装置が従来より知られている(例えば特許文献1など参照)。
SHGレーザ装置は、励起光を放出する半導体レーザ(LD)と、その励起光で励起されることで基本波光を誘導放出する固体レーザ媒質と、基本波光から波長が1/2である第2高調波光を生成する波長変換素子と、固体レーザ媒質の励起光入射面に形成された選択的反射・透過層との間で光を往復反射させつつ一部の光を透過させて出力する出力ミラーと、を基本的な構成要素として含む。青色(473nm)レーザ用の装置では、固体レーザ媒質としてNd:YAG結晶やNd:YVO4結晶が、波長変換素子として非線形光学結晶であるKTP結晶(KTiO4)が用いられることが多い。また、選択的反射・透過層は、低屈折材料から成る膜層と高屈折材料から成る膜層とを交互に複数積層した構造を有する誘電体多層膜である(例えば特許文献2参照)。
上記構成のSHGレーザ装置では、半導体レーザから出射された励起光(809〜812nm)がレンズを通過し固体レーザ媒質に集光され、この固体レーザ媒質から出射された基本波光(946nm)が固体レーザ媒質端面の選択的反射・透過層と出力ミラーとの間で形成される共振器内に閉じ込められレーザ発振に至る。基本波光が波長変換素子を繰り返し通過する際に基本波光から第2高調波光が生成され、この第2高調波光が出力ミラーを通過して外部に青色レーザ光として出射される。
こうしたSHGレーザ装置では、単体の半導体レーザダイオードなどと比較して、大出力の青色レーザ光を取り出すことが可能である。しかしながら、共振器内で多重縦モード発振を生じ易いため、単色性に欠けるという問題がある。特に固体レーザ媒質としてNd:YAG結晶を用いた場合、例えば青色レーザのための946nmの基本波光の縦モード発振のほかに1064nmでの縦モード発振も容易に起こるため、外部に取り出されるレーザ光が純粋な青色とならないおそれがある。
特開平10−70333号公報 特開2007−193060号公報
多重縦モード発振を抑制するには、利得幅内に許容される縦モードの数を1本又は2本程度に抑えるように、固体レーザ媒質の媒質長を短くすることが考えられる。しかしながら、媒質長を短くすると励起光の吸収効率が下がるため、レーザ出力を大きくするのが困難になる。これに対し、固体レーザ媒質の一端面に形成される選択的反射・透過層の光学的特性を利用して必要な波長のレーザ発振を確保しつつ不要な縦モードに対する共振器の利得を下げることが可能であれば、大きなレーザ出力を実現しつつ単色性を高めることができる。
本発明は上記課題に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、固体レーザ媒質の一端面に形成する選択的反射・透過層の特性を利用して縦モード発振を抑制し、十分な単色性を確保しつつ高出力を達成し得るような固体レーザ用光学素子を提供することにある。
一般的に、SHGレーザ用の選択的反射・透過層としては次のような性能が要求される。
(1)基本波の波長に対する反射率ができるだけ100%に近いこと。
(2)励起光の波長に対する透過率ができるだけ100%に近いこと。
(3)損傷値を向上させるために基本波の波長における膜層中での吸収・散乱ができるだけ0%に近いこと。
特に、上記(1)、(2)の条件は発振効率を高めて出力を高くするのに重要であり、(3)の条件は出力を高めたときに反射層が発熱により損傷することを防止するために重要である。多重縦モード発振を抑制するには、上記要件に加え、(4)固体レーザ媒質で励起される不要な光の波長に対する反射率ができるだけ低い(換言すれば透過率ができるだけ高い)こと、が必要になる。しかしながら、基本波の波長とこの不要な光の波長とが近い場合には、(1)と(4)の要件を両立させることは難しい。
誘電体多層膜における反射率や透過率といった光学特性は材料の選択と各膜層の膜厚に依存するが、できるだけ少ない積層数で高い反射率や透過率を達成するには、低屈折材料と高屈折材料との屈折率の差が大きいことが望ましい。そうしたことから、低屈折材料として酸化シリコン(SiO2)、高屈折材料として五酸化タンタル(Ta25)が選択されることが多いが、本願発明者の検討によれば、そうした2つの材料の組み合わせだけではいかに膜厚を調整しても、基本波光の波長を中心とする反射率が100%に近い波長範囲の幅(以下「全反射波長幅」という)を狭めることが難しいとの知見を得た。一方で、シミュレーションによる光学特性の検討を行う中で、高屈折材料から成る膜層の一部を屈折率が相対的に低い(低屈折材料よりは高い)材料から成る膜層に置き換えることで全反射波長幅を狭めることができる、との知見を得て、本願発明に想到した。
即ち、上記課題を解決するために成された本発明は、所定波長の励起光により励起されて基本波光を放出する固体レーザ媒質と、該固体レーザ媒質の励起光入射側端面に形成され、出力ミラーとの間で基本波光を共振させる共振器を形成するために、前記励起光を透過する一方、前記基本波光を反射する選択的反射・透過層と、を有する固体レーザ用光学素子であって、
前記選択的反射・透過層は、前記固体レーザ媒質を基板とし、該基板に接触する初期層と最も外側に位置する最終層とが共に、屈折率がn1である低屈折材料から成る膜層であり、その間が、屈折率がn2(n2>n1)である高屈折材料から成る膜層と前記低屈折材料から成る膜層との交互の配置を基本としつつ、前記基板に近い前半層及び外側に近い後半層とでそれぞれ少なくとも1層ずつ前記高屈折材料から成る膜層が、屈折率がn3(n2>n3>n1)である中間屈折材料から成る膜層に置換された誘電体多層膜であることを特徴としている。
本発明に係る固体レーザ用光学素子は、典型的には、当該素子が有する固体レーザ媒質と出力ミラーとの間に、基本波光から高調波光を生成する非線形素子などの波長変換素子が挿入された、波長変換型の固体レーザ装置に有用である。この場合、例えば波長変換素子は基本波光の2倍の高調波光、つまり波長が1/2の高調波光を生成するものであり、KNやKTPなどの非線形光学結晶又は擬似位相整合素子などを用いることができる。
また一般的に、励起光源としては半導体レーザ(レーザダイオード)が用いられ、その波長は809〜812nmである。したがって、本発明に係る固体レーザ用光学素子において、前記誘電体多層膜は、励起光の波長:809〜812nmを透過させ、基本波光の波長:946、1046又は1320nmのいずれかを反射させるものとすることができる。青色レーザの場合、基本波光の波長は946nm、緑色レーザの場合、基本波光の波長は1046nm、黄色レーザの場合、基本波光の波長は1320nmである。
また本発明に係る固体レーザ用光学素子の一実施態様として、固体レーザ媒質はNd:YAG結晶又はNd:YVO4結晶、低屈折材料は酸化シリコン(SiO2)、高屈折材料は五酸化タンタル(Ta25)、中間屈折材料は酸化アルミニウム(Al23)とすることができる。酸化シリコンの屈折率は約1.46、五酸化タンタルの屈折率は約2.16、酸化アルミニウムの屈折率は約1.65である。SiO2とTa25との屈折率の差は大きいので、この2つの材料による膜層を交互に積層した構造を基本とすることで、比較的少ない膜層数で以て基本波光の波長における高い反射率を達成することができる。一方、Ta25 の膜層に置換されるAl23の膜層は全反射波長幅を狭めるのに有効であるが、SiO2との屈折率の差が小さいので、このAl23膜層への置換を多くすると全体に反射率が悪くなる傾向にある。そこで、実質的には、Al23膜層への置換は前半層と後半層とでそれぞれ1層ずつ、最大でも2層とするとよい。
また、この誘電体多層膜の膜層の総数は特に限定されないが、十分な反射率を達成するには一般的には20以上とする必要があり、典型的には25〜35程度又はそれ以上である。その中で、基板側からの数〜10層と外側からの数〜10層とを除いた中間の膜層は、第1膜厚であるSiO2と第2膜厚であるTa25との2層を1組としたものの繰り返しとされる。このときの第1膜厚及び第2膜厚は、基本的には、光学的膜厚が目的とする光の波長の1/2の整数倍になるように定められる。主として、この1組の膜層に繰り返しによって、反射率や透過率、波長特性などの誘電体多層膜としての基本的な性質が決まる。
上記前半層及び後半層とは、それぞれ全体の膜層数の中で1/3程度の範囲を言う。つまり、例えば膜層数が29である場合には、前半層とは基板に接する初期層から10層程度の範囲、後半層とは基板とは反対側の最終層から10層程度の範囲である。
また誘電体多層膜内での電界強度の分布は、各膜層の境界面での繰り返し反射の重ね合わせにより形成される。したがって、膜層の光学的膜厚を変えると電界強度のピークは光学的膜厚の厚さ方向にシフトする。そこで、上述した基板側からの数層と外側からの数層において、各膜層の膜厚を波長帯域などの基本的な光学特性に影響のない範囲で調整することにより、電界強度のピークが高屈折材料による膜層内ではなく低屈折材料による膜層内にくるようにシフトさせる。このように電界強度のピークが低屈折膜層内に存在すると、そのピークが高屈折膜層内に存在する場合に比べて吸収によるエネルギーの損失を抑えることができる。それにより、反射率を従来よりも一段と改善して100%に近付けることができる。
また、基板に低屈折膜層が密着しており、さらに一番外側で空気に広い面積で接触する最終層も低屈折膜層であるため、上記のように集中した電界が誘電体多層膜の外側、つまり基板や空気中に逃げ易い。そのために、誘電体多層膜自体が光のエネルギー吸収により高温になることを抑制することができ、熱損傷を起こしにくくすることができる。それによって、レーザ出力を上げることが容易になる。
本発明に係る固体レーザ用光学素子によれば、固体レーザ媒質の一端面に形成する誘電体多層膜の性能に関し、基本波光の波長(例えば946nm)に対する反射率を99.9%以上にし、励起光の波長(809〜812nm)に対する透過率を99.9%以上にすることができる。一方、例えば基本波光の波長に比較的近い1064nmの波長では透過率を上げることができる。これにより、この誘電体多層膜と出力ミラーとから成る共振器内で目的とする色(例えば、青色、緑色、黄色など)を持つレーザ光の基本波光を高い効率で発振させるとともに、異なる色に相当する縦モード発振を抑制することができる。その結果、レーザ光の出力を高めながら単色性も向上させることができる。
以下、本発明に係る固体レーザ用光学素子を利用した固体レーザ装置の一実施例について図面を参照して説明する。図1は本実施例のLD励起固体青色レーザ装置の概略構成図である。
本実施例のLD励起固体青色レーザ装置は、波長809nmの励起光を発生する半導体レーザ(LD)1と、LD1からの励起光を集光するレンズ2と、励起光で励起されることにより波長が946nmである基本波光を誘導放出する固体レーザ媒質3と、誘導放出された基本波光から波長がその1/2(つまり波長:473nm)の第2高調波光を生成する波長変換素子としのKTP結晶7と、光を反射させつつその一部を透過させる出力ミラー5と、を含む。固体レーザ媒質3はNd:YAG結晶であり、その結晶の励起光入射側端面に選択的反射・透過層としての誘電体多層膜4が形成されている。
LD1から出射された励起光はレンズ2により集光されて固体レーザ媒質3に照射される。誘電体多層膜4は、上述した励起光波長を高い効率で透過させるとともに基本波光を高い反射率で以て反射させるものであり、この誘電体多層膜4と出力ミラー5とで共振器6が構成される。励起光により固体レーザ媒質3から誘導放出された基本波光はこの共振器6内で発振して増幅される。基本波光がKTP結晶7を通過する際に第2高調波光が発生するため、共振器6内部では基本波光と高調波光とが混在している。基本波光は出力ミラー5で反射されるが、高調波光は出力ミラー5を透過する。そのため、図中に示すように、出力ミラー5から右方にはレーザ光出力として高調波光のみ、つまり波長が473nmである青色のレーザ光が出射される。
なお、必要に応じて、例えばKTP結晶7と出力ミラー5との間に、特定の波長を高い効率で透過させるエタロンを挿入してもよい。
図2は図1に示した固体レーザ媒質3の一端面上に形成された誘電体多層膜4の構成を示す概略断面図である。誘電体多層膜4は、固体レーザ媒質3のNd:YAG結晶の上に、低屈折材料から成る膜層としてのSiO2膜層4aと高屈折材料から成る膜層であるTa25膜層4bとが交互に積層され、且つ、そのTa25膜層4bの一部が中間屈折材料から成る膜層としてのAl23膜層4cに置換されたものである。基本光波長における反射率を高めるには、低屈折膜層と高屈折膜層との屈折率の差が大きいことが望ましいが、ここで選択したSiO2の屈折率は1.461、Ta25の屈折率は2.1832であり、屈折率の差は大きくなっている。
上記のような材料の選択の下に、次に示すような光学特性を目標として、シミュレーションによりAl23膜層4cの置換位置や各膜層の膜厚などの最適解を探索した。
(1)基本波の波長及びその近傍波長(946±25nm)に対する目標反射率:99.997%以上。
(2)励起光の波長(809〜812nm)に対する目標透過率:99.9%以上。
(3)基本波波長における膜層中での吸収・散乱をできるだけ0%に近ずける。
(4)Nd:YAG結晶で励起される他の波長(1064nm)の透過率をできるだけ高くする。
そうして得られた誘電体多層膜の膜層の順序と物理膜厚を図3に示す。また、このときの誘電体多層膜の透過率特性を図4に示す。この例では、誘電体多層膜4の膜層数は29であり、固体レーザ媒質(基板)3に接した層を第1層(初期層)とし、外側に向かって第2層、第3層、…と称している。したがって、最も外側の、つまり一方の面全体が空気に接触する最終層は第29層である。膜層数は奇数であるから、初期層と最終層とはいずれもSiO2膜層4aである。また、全29層の中で、第13層〜第18層の6層は第11層(物理膜厚約163nmのSiO2)と第12層(物理膜厚約110nmのTa25)との繰り返しである。この2つの膜厚はいずれも目的とする波長λに対しλ/2の整数倍に定められており光学的膜厚が1である。
ここでは、第1層〜第10層の10層が前半層、第20層〜第29層の9層が後半層であるが、前半層の中で第6層がAl23膜層に置換され、後半層の中で第22層がAl23膜層に置換されている。これが全反射波長幅を狭くする、つまり1064nmの透過率を高めるのに寄与している。
さらにまた、前半層及び後半層においては、主として、誘電体多層膜4の内部に生じる電界強度のピークがTa25膜層4b内に来るのを避けSiO2膜層4a内に来るようにするために、その膜厚が適宜に調整されている。即ち、誘電体多層膜4の内部では、隣接する膜層の境界面での反射が生じ、その繰り返し反射の過程でP偏向成分及びS偏向成分について+側の進行波と−側の反射波とによる4つの電界の重ね合わせにより、厚さ方向に山と谷とが交互に現れるような電界強度分布が形成される。したがって、一部の膜層の膜厚を上記基本となる値(第1膜厚及び第2膜厚)からずらすことで、電界の重ね合わせ状態が変化して、ピークの位置が膜厚方向にずれる。ここでは、電界強度のピークがSiO2膜層4a内に位置しており、これにより、光エネルギーの吸収を相対的に抑えることができる。
また、低屈折誘電体であるSiO2膜層4aが初期層であって固体レーザ媒質3に広い面積で接触しているので、上述のように集中された電界のエネルギーは固体レーザ媒質3に容易に逃げる。また、最終層もSiO2膜層4aであって空気に広い面積で接しているので、電界エネルギーは空気中にも逃げ易い。これにより、誘電体多層膜4の内部での電界の集中による熱の発生を抑えることができる。それにより、光のエネルギーの損失を抑制することができるとともに、高出力レーザの場合でも膜層の損傷を軽減することができる。
図4に示すように、この誘電体多層膜では、基本光の波長946nmにおいて99.9%以上の反射率を、励起光の波長809〜812nmにおいては99.9%以上の透過率を達成している。一方、1064nmの波長では80%程度の透過率が達成されており、この波長の縦モード発振を抑制することができる。
図5は、低温成膜が可能な蒸発物薄膜形成装置(イオンプレーティング)を用いて、固体レーザ媒質3上に誘電体多層膜4を形成する際の、各膜層の成膜条件をまとめた図である。
また、図6はLDの出力電力に対する基本波光(波長:946nm)の出力電力の実測値を示すグラフである。このように40mW程度までの基本光の出力パワーを得ることができることが確認できた。
上記実施例は本発明に係る光学素子を青色レーザに適用したものであるが、緑色レーザや黄色レーザにも適用することができる。図7は緑色レーザのとき、つまり基本波光の波長を1064nmとし、不要な波長光946nmの発振を抑制するように最適化したときの、誘電体多層膜4における膜層の順序と物理膜厚を示す図である。また図8はこのときの誘電体多層膜の透過率特性を示す図である。
この例では、前半層の中で第6層、後半層の中で第22層の2つの膜層でそれぞれ、基本となるTa25をAl23に置き換えている。これにより、図8に示すように、1064nmで高い反射率を達成しながら、946nmでの透過率を80〜90%にすることができる。
さらにまた、黄色レーザ装置にも適用可能である。その場合には、基本波光波長である1320nmで反射率がほぼ100%になり、それ以外の縦モード発振波長では透過率が低高くなるように各膜層の膜厚及びTa25→Al23の置き換え位置を決めるとよい。
なお、上記実施例は本発明の一例であり、本発明の趣旨の範囲で適宜、変形、修正、追加などを行っても本願特許請求の範囲に包含される。
例えば、上述した誘電体多層膜や固体レーザ媒質に利用される材料は上記記載のものに限らず、例えば誘電体多層膜を構成する各膜層の材料は同程度の屈折率を持つ他の物質を用いることができる。また、固体レーザ媒質もNd:YAG結晶でなくNd:YVO4結晶を用いることができるが、その場合には縦モード発振の波長が変わるので、それに合わせて上述のような最適化を行う必要がある。
また、誘電体多層膜の膜層数も適宜変えることができ、それに合わせて膜厚やAl23の置換位置を調整すべきである。
本発明に係る固体レーザ用光学素子を利用した固体レーザ装置の一実施例であるLD励起固体レーザ装置の概略構成図。 図1に示した固体レーザ媒質の一端面上に形成された誘電体多層膜の構成を示す概略図。 本実施例における誘電体多層膜の各膜層の順序及び物理膜厚を示す図。 本実施例における誘電体多層膜の透過率特性を示す図。 本実施例における誘電体多層膜の成膜条件を示す図。 LDの出力電力に対する基本波光の出力電力の実測値を示すグラフ。 本発明の他の実施例における誘電体多層膜の各膜層の順序及び物理膜厚を示す図。 他の実施例における誘電体多層膜の透過率特性を示す図。
符号の説明
1…半導体レーザ(LD)
2…レンズ
3…固体レーザ媒質
4…誘電体多層膜
4a…SiO2膜層
4b…Ta25膜層
4c…Al23膜層
5…出力ミラー
6…共振器
7…KTP結晶(波長変換素子)

Claims (3)

  1. 所定波長の励起光により励起されて基本波光を放出する固体レーザ媒質と、該固体レーザ媒質の励起光入射側端面に形成され、出力ミラーとの間で基本波光を共振させる共振器を形成するために、前記励起光を透過する一方、前記基本波光を反射する選択的反射・透過層と、を有する固体レーザ用光学素子であって、
    前記選択的反射・透過層は、前記固体レーザ媒質を基板とし、該基板に接触する初期層と最も外側に位置する最終層とが共に、屈折率がn1である低屈折材料から成る膜層であり、その間が、屈折率がn2(n2>n1)である高屈折材料から成る膜層と前記低屈折材料から成る膜層との交互の配置を基本としつつ、前記基板に近い前半層及び外側に近い後半層とでそれぞれ少なくとも1層ずつ前記高屈折材料から成る膜層が、屈折率がn3(n2>n3>n1)である中間屈折材料から成る膜層に置換された誘電体多層膜であることを特徴とする固体レーザ用光学素子。
  2. 請求項1に記載の固体レーザ用光学素子であって、前記誘電体多層膜は、励起光の波長:809〜812nmを透過させ、基本波光の波長:946、1046又は1320nmのいずれかを反射させるものであることを特徴とする固体レーザ用光学素子。
  3. 請求項1又は2に記載の固体レーザ用光学素子であって、固体レーザ媒質はNd:YAG結晶又はNd:YVO4結晶、低屈折材料は酸化シリコン(SiO2)、高屈折材料は五酸化タンタル(Ta25)、中間屈折材料は酸化アルミニウム(Al23)であることを特徴とする固体レーザ用光学素子。
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