JP2009181685A - ランプ部材及び磁気ディスク装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ランプのスロープ面の立体構造を検討することにより、カラス口の無いランプであってもヘッドのロード/アンロードを安定化させることのできるランプ及びハードディスク構造を提供する。
【解決手段】磁気ディスク装置筐体への取り付けを行う基部と、前記アームの先端に設けられたリフトタブとディスク面外で係合し、係留部への導入を行うスロープの形成された摺動部とを有し、摺動部が、ディスク5側に、スロープのエッジが、リフトタブ2のディスク面上の回転平面P0からの垂直距離Wが漸次増加し、かつ前記リフトタブ先端の回転円弧Rからの前記回転平面に平行な距離Hが漸次増加する導入部を有しており、該導入部の先端が、前記回転平面P0以下であり、前記導入部の係留部側端部が、前記係合開始点に対して、アームに搭載されたヘッドが前記磁気ディスク面上においてヘッドに掛かるヘッド荷重から解放されるに十分な前記垂直距離W及び距離Hの増加量を有する。
【選択図】図1
【解決手段】磁気ディスク装置筐体への取り付けを行う基部と、前記アームの先端に設けられたリフトタブとディスク面外で係合し、係留部への導入を行うスロープの形成された摺動部とを有し、摺動部が、ディスク5側に、スロープのエッジが、リフトタブ2のディスク面上の回転平面P0からの垂直距離Wが漸次増加し、かつ前記リフトタブ先端の回転円弧Rからの前記回転平面に平行な距離Hが漸次増加する導入部を有しており、該導入部の先端が、前記回転平面P0以下であり、前記導入部の係留部側端部が、前記係合開始点に対して、アームに搭載されたヘッドが前記磁気ディスク面上においてヘッドに掛かるヘッド荷重から解放されるに十分な前記垂直距離W及び距離Hの増加量を有する。
【選択図】図1
Description
本発明は、情報の読み書きを行わないときは読み書きヘッドをディスク状記録媒体の外側へ退避させておくダイナミックロード・アンロード方式の磁気ディスク装置及びこれに用いられるランプ部材に関する。詳しくは、単純な形状のランプとこれに係合するヘッドアクチュエータのタブ構造の改良に関する。
近年、磁気ディスク装置(ハードディスク装置)においては、耐衝撃性を向上させること、及び未使用時の読み書きヘッドとディスクの貼り付きを防ぐこと等を目的として、情報の読み書きを行わないときは、読み書きヘッドをディスクの面上から外側へ退避させ、使用時のみ読み書きヘッドをディスクの面上に移動させる、いわゆるダイナミックロード・アンロード方式を採用するものが増えてきている。
図8は従来のハードディスク装置の動作例を示す要部斜視図で、読み書きヘッド53をランプ51の摺動面511上に退避させた状態を示す。
リフトタブ52は、サスペンション54の先端に設けられる突起で、読み書きヘッド53より先端側に位置する。ランプ51は、リフトタブ52が接触する摺動面511を有し、リフトタブ52がランプ51の摺動面511に接触している間は、2枚のサスペンション54の間隔が規制され、読み書きヘッド53同士の接触及び読み書きヘッド53とディスク55の接触が防止される。
読み書きヘッド53は、ディスク55の回転によって発生する空気流でディスク55の面上より浮上する。このため、読み書きヘッド53をディスク55の面上へロードさせるときは、読み書きヘッド53がディスク55の面上に到達するまで、ランプ51でリフトタブ52を支持する必要がある。また、読み書きヘッド53をディスク55の外側へアンロードさせるときは、読み書きヘッド53がディスク55の外側に出る前に、ランプ51でリフトタブ52を支持する必要がある。
すなわち、図8に示すように、読み書きヘッド53がディスク55の外周付近の面上に位置する状態で、ランプ51でリフトタブ52を支持する必要がある。ここで、読み書きヘッド53がディスク55の面上に位置する状態では、リフトタブ52もディスク55の面上に位置するので、リフトタブ52とランプ51の接触点はディスク55の面上になければならず、したがってランプ51の先端部はディスク55の面上に被った位置に配置する必要がある。通常、一枚のディスク55に対して読み書きヘッド53は両面分の2個設けられるから、図8に示すように、ランプ51の先端部512はディスク55を挟むようにカラス口状に形成されている。
このようなランプは、通常、樹脂材料を成型して製造されているが、ランプのカラス口状の先端部は摺動性に優れた材料を用いる必要がある。しかしながら、摺動性に優れた材料は寸法精度を確保することが難しく、特にディスク厚みが薄くなる小型ディスクに対応することが難しくなってきている。また、ランプは金型内で成型後、所定の冷却時間を経てから取り出されるが、寸法精度を確保するためにはこの冷却時間を長くする必要があり、ハイサイクルでの生産ができないという問題もある。さらに、成型装置においては一度に複数のランプを成型しているが、寸法精度の確保のためにその個数が制限されるという問題がある。
また、このような微細な先端部を有していると、ランプの搬送の際に先端部が他のものに接触しないように固定して搬送する必要があり、専用のトレイが必要となる。このため、搬送の嵩が高まり、搬送コストを低減できないという問題がある。
加えて、このようなカラス口を有するランプを用いた場合、ディスクの上下動によりディスクとランプのカラス口内壁が接触することがあり、カラス口部分が削れて、樹脂粉が発生したり、場合によっては、カラス口部分が折れ、正常なロード・アンロードができなくなる場合がある。このため、カラス口を有するランプでは、カラス口の内壁に構造的に強度の高い材料を使用することが提案され、実用化されている。しかしながら、カラス口の外壁の摺動性と、内壁の強度とを同時に満足する材料はあまりなく、異なる材料で形成せざるを得ない状況にある。
さらに、このようなカラス口を有するランプの筐体への取り付けは、先に磁気ディスクを取り付け、その後、ランプを垂直方向に設置し、カラス口部分がディスク面上に位置するようにディスク側にスライドさせる必要がある。最近では、HD装置の小型化により、ランプを筐体の外側からねじで締め付ける方法が考えられているが、これを行うには、ランプを筐体に仮止めする工程が必要となる。また、一旦ランプを取り付けた後、ディスクの不具合により、ディスクの取り替えが必要となった場合(リワークが必要な場合)、ランプのカラス口部分がディスク面上にあるとディスクの取り替えができないため、ランプをディスク外側にスライドさせる必要がある。仮止めの機構があれば、ランプをスライドさせるだけで済むが、このような機構がなければ、ランプを取り外す必要もある。ディスクを取り替えた後、再度ランプを所定位置に設置しなければならない。
カラス口がなければ、ランプの筐体への取り付けは垂直方向のみのアクション(シングルアクション)となるため、取り付けの際の工程数の削減が図れると共に、筐体外部からのねじ止め等、筐体への取り付け方法の自由度が増すことになる。さらに、ランプを取り付けた状態で、ディスクの取り付け、取り外しが可能となるため、HD装置の製造工程順序の自由度が増し、リワークも容易となる。しかしながら、単純にカラス口の無いランプを設置しても、正常なロード・アンロードは不可能であるため、様々な改良が必要である。
従来、このようなカラス口の無いランプを用いたHD装置に関して提案されている。例えば、特許文献1では、図9に示すように、折り曲げたバー材62をサスペンション64にディスク65の外側にオフセットして配置した例が示されている。この例では、読み書きヘッド63がディスク65の外周付近の面上に位置する状態で、バー材62がランプ61の端部に位置しているので、ランプ61の先端部をディスク65に重なるようにカラス口状にする必要が無く、ランプ形状を簡略化できる。
また、特許文献2では、図10に示すように、ヘッド73の位置をサスペンション74からディスク75内側に移動させることにより、サスペンション74の先端のリフトタブ72が、同様にカラス口の無いランプ71に接触する際にヘッド73がディスク75上に位置させることができる。
さらに、特許文献3では、ヘッドアクチュエータの形状をアーム本体からサスペンションをディスク側に屈曲させた形状とし、サスペンションの先端ではなくアーム本体側をランプに係合させるハードディスク装置が示されている。
従来、ランプと係合するリフトタブの位置やヘッド位置を改良して、ヘッドのロード/アンロードを安定化させることが提案されているものの、その機構が複雑であり、あまり実用化に到っていない。また、ランプ自体の構造については、特にカラス口を有していないという程度にしか検討されていなかった。
本発明の目的は、ランプのスロープ面の立体構造を検討することにより、カラス口の無いランプであっても、ヘッドのロード/アンロードを安定化させることのできるランプ及びハードディスク構造を提供することにある。
本発明者らは、ランプの摺動部とリフトタブの係合を詳細に検討した結果、実際にリフトタブがランプと係合しているのが、摺動部の摺動面全面ではなく、ランプ摺動部のエッジである点に着目し、カラス口の無いランプであっても摺動部先端部形状の立体構造を改良することにより、ヘッドのロード/アンロードを安定化が実現できることを見出した。
即ち本発明は、磁気ディスク装置の磁気ディスク面上に移動対応させて情報の読取り/書き込みを行うヘッドを搭載したアームを待機時に係留させ、駆動時に前記磁気ディスク面上に移動案内するためのランプ部材であって、
磁気ディスク装置筐体への取り付けを行う基部と、前記アームの先端に設けられたリフトタブとディスク面外で係合し、係留部への導入を行うスロープの形成された摺動部とを有し、
該摺動部は、磁気ディスク側に、スロープのエッジが、前記リフトタブのディスク面上の回転平面からの垂直距離Wが漸次増加し、かつ前記リフトタブ先端の回転円弧からの前記回転平面に平行な距離Hが漸次増加する導入部を有しており、
該導入部の先端が、前記リフトタブのディスク面上の回転平面以下であり、前記導入部の係留部側端部が、前記係合開始点に対して、アームに搭載されたヘッドが前記磁気ディスク面上においてヘッドに掛かるヘッド荷重から解放されるに十分な前記垂直距離W及び距離Hの増加量を有することを特徴とするランプ部材に関する。
磁気ディスク装置筐体への取り付けを行う基部と、前記アームの先端に設けられたリフトタブとディスク面外で係合し、係留部への導入を行うスロープの形成された摺動部とを有し、
該摺動部は、磁気ディスク側に、スロープのエッジが、前記リフトタブのディスク面上の回転平面からの垂直距離Wが漸次増加し、かつ前記リフトタブ先端の回転円弧からの前記回転平面に平行な距離Hが漸次増加する導入部を有しており、
該導入部の先端が、前記リフトタブのディスク面上の回転平面以下であり、前記導入部の係留部側端部が、前記係合開始点に対して、アームに搭載されたヘッドが前記磁気ディスク面上においてヘッドに掛かるヘッド荷重から解放されるに十分な前記垂直距離W及び距離Hの増加量を有することを特徴とするランプ部材に関する。
本発明によれば、カラス口の無いランプ部材であっても、従来構造のリフトタブ及びヘッドを有したサスペンションアームにて、ヘッドのロード/アンロードを安定化させることができる。
また、このようなカラス口の無いランプ部材は、製造が容易であり、冷却工程の短縮によりハイサイクル量産化によるコストダウンを図ることができる。カラス口部分を保護する必要が無くなるため、梱包方法の簡略化も可能となる。
加えて、カラス口が無いことで、ランプの取り付けが垂直方向のみのシングルアクションとなり、工程数の削減を図ることができ、筐体への位置決め自由度が増加する。また、磁気ディスクの取り付け、取り外しは、ランプを設置したままに行えることから、HD装置全体の工程順序の自由度が増し、また、ディスクのリワークも容易となり、生産性の向上に貢献する。
図1は、本発明の一実施形態になるランプの磁気ディスク側端部におけるリフトタブとの係合状態を示す拡大図であり、(d)は上面図、(a)〜(c)は(d)のA−A線、B−B線、C−C線におけるそれぞれの側断面図である。
まず、図1(a)にディスク5面上を移動してきたヘッド3を搭載したアームのサスペンション4の先端に取り付けられたリフトタブ2とランプ1の摺動部11先端との係合開始点を示す。P0はリフトタブ2のディスク5面上の回転平面を示す。この時、摺動部11のエッジ部は、回転平面P0にほぼ一致し、リフトタブ2先端の回転円弧Rからの回転平面P0に平行な距離H1を有している。ここで、リフトタブ2のディスク5面上の回転平面P0は、ディスク5側下端面と定義する。リフトタブ2のランプ1との係合位置はリフトタブの断面形状により種々変わるが、ここでは便宜上この回転平面P0に相当するディスク5側下端面とする。
図1(b)に示すようにアームがランプ1の摺動部11上に進行すると、リフトタブ2にわずかの撓みが生じ、サスペンション4の上昇が始まる。ヘッド3は、フレクシャ6によりディスク5面上に所定のヘッド荷重が掛けられているため、この時点では上昇していない。この時、摺動部11のエッジ部は、リフトタブ2の回転平面P0からの垂直距離W1と回転円弧Rからの平行距離H2を有している。
図1(c)に示すようにアームがランプ1の摺動部11上をさらに進行すると、サスペンション4がさらに上昇し、ヘッド3もフレクシャ6によるヘッド荷重から解放されて上昇が始まる。この時、摺動部11のエッジ部は、リフトタブ2の回転円弧Rからの垂直距離W2と回転平面P0からの平行距離H3を有している。
ヘッドをディスク面上に戻す場合は、逆の手順で進行し、リフトタブ2の撓みが解消されてから、ロードされる。
従来技術では、カラス口の無いランプを使用する場合に、図1(c)に相当する摺動部エッジ面を係合開始点として使用していたため、リフトタブをサスペンションのディスク外周側に配置するか、ヘッドをディスク内周側に配置して対応していた。
しかしながら、本発明では、係合開始点を図1(a)の地点まで引き戻した結果、カラス口の無いランプを用いても、リフトタブの取り付け位置やヘッドの位置を変更することなく、安全にヘッドのロード/アンロードが可能となる。
しかも、このようなランプはカラス口を有していないため、寸法精度のマージンが広くなり、また、冷却過程も短縮することが可能となる。
図2は、本発明の一実施形態になるランプの斜視図を示すもので、3枚構成のディスクに対して使用されるものである。同図において、基部22に対して、凸状に突き出た部分の側面に摺動部21が形成され、摺動部21のうち、ディスク側先端に導入部21aが形成される。同図において、21bは導入部21aに続く第2スロープであり、必要に応じて設けられる。21cは係留部である。S1はリフトタブの係合開始点であり、リフトタブ2の回転平面P0にほぼ一致している。S2は導入部の係留部側端部となる。同図に示すランプでは、凸状部分の両側面の摺動部エッジ面にリフトタブが接触し、移動することとなる。凸状部分の導入部先端の幅w1は、ディスクの厚みとほぼ同等とすることで、リフトタブのディスク面上の回転平面P0以下とすることができる。係合開始点S1と導入部先端とを一致させても良いが、リフトタブの振れにより係合不良が発生することを避けるためには、導入部先端と係合開始点S1とに所定のマージンを設けることが好ましい。係留部側端部S2における幅w2と基部からの高さh1は、前記した、リフトタブ2の回転円弧Rからの垂直距離W2と回転平面P0からの平行距離H3を満足するものである。
図3は、本発明の別の実施形態になるランプ部材の側面図及び上面図を示す。図2との違いは、導入部におけるスロープエッジが直線状ではなく、曲線状に形成されている点である。この場合、導入部の係留部側端部S2は明確な変曲点として存在するものではなく、連続したスロープエッジの途中になる場合がある。例えば、図3では、図2と同様に幅w2と基部からの高さh1を有するスロープエッジ部分が、係留部側端部S2となる。このように曲線状で導入部のスロープエッジを形成することで、変曲によるヘッドの振幅をより抑えることができる。また、係合開始部S1側の垂直距離W及び平行距離Hの増加量を少なく、係留部側端部S2側へ行くほど大きくなるようにすることで、リフトタブがアンロード時に高速でランプに接触してもリフトタブやランプの破損を防止することができる。
もちろん、このような導入部を含む摺動部のスロープエッジ面はリフトタブの摺動により樹脂粉の発生を防ぐために面取りされていても良い。
本発明のランプにおける各寸法は、対応するディスクのサイズや間隔、ヘッド荷重の大きさ等により種々異なり、一概に限定されるものではない。一般に、ヘッドのディスク面上での浮上量はナノメートルオーダーであり、本発明のランプにおける導入部については、ミクロンオーダーの偏差を持たせれば、十分なロード・アンロードの安定化が可能となる。
このようなランプ材は、二色成型により形成されることが好ましいが、例えば小型ディスク用ランプでは、摺動性の高い材料で一色成型されていても良い。以下、本発明のランプ部材の材料及びその製造方法について説明するが、本発明はこれらの例のみに限定されるものではない。
本発明においては、基部22は、機械的強度の高い樹脂材料を用いてまず一次側成型を実施する。機械的強度の高い樹脂材料としては、剛性が高くアルミの線膨張係数(2.4×10-5K-1)に近いものが好ましく、「ULTEM」(GE社、商標名)などのポリエーテルイミド、「AURUM」(三井化学製、商標名)などのポリイミド、ポリカーボネートなどを、カーボンファイバーやグラスファイバーなどのフィラーを添加して強化した樹脂材料が挙げられる。好ましくは、0.1〜0.3×10-4K-1程度の線膨張係数を有することが好ましい。また、カーボンファイバー強化材料は、ある程度の導電性(表面固有抵抗がおおむね101〜1012、好ましくは101〜108Ωcm)を有するため、発生した静電気を筐体へ逃がすことができ、帯電防止効果もある。
フィラーの添加量としては、特に規定されず、所望の機械的強度、線膨張率が得られるように調整すればよいが、おおむね、5〜60重量%、より好ましくは、30〜50重量%程度である。
次に、一次側成型の金型から取り出した一次成型品である基部22を、二次側成型用の金型に挿入して摺動部21の二次側成型を実施する。摺動部21の材料としては、摩擦係数が低く、摩耗粉の発生が少ない材料で、例えば、ポリ四フッ化エチレン(PTFE)などのフッ素樹脂をブレンドした射出成形可能な熱可塑性樹脂、例えば、ポリエステル(ポリブチレンテレフタレート(PTB)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、LCP「Vectra A430」(ポリプラスチック(株)製、商品名))や、ポリアセタール(POM、「テナック−C」(旭化成製、商品名))が挙げられ、一般に入手可能である。又、PFA、EPE、FEPなどのフッ素樹脂単独で使用することもできる。さらに、樹脂注入口(ゲート)の位置を考慮し、樹脂配向を最適化することで、より摺動性が向上する。
又、基部と摺動部とに共通して要求される条件としては、アウトガスが少ない材料を使用することである。アウトガス、特に塩素ガスやシリコンなどが発生すると、ディスクの磁性層への悪影響が懸念される。
又、摺動部を複数有する場合、各々の摺動部を形成する場合に、各々異なるゲートから材料を注入して、各々独立した摺動部を形成することもできる。これにより、樹脂配向のそろった摺動部を得ることができる。
本発明においては、基部と摺動部とが容易に分離しないように、基部あるいは摺動部に突起や凹みなどの分離防止手段を設けておくことはより好ましい。特に、コアバック方式により二色成形を実施し、一次側成型される基部に孔を設け、その途中に段差を設けておき、次に成型コアを後退させて二次側の摺動部を形成して、該孔を埋めて形成することで、摺動部には、該孔の形状に対応した段差を有するピンが形成される。このように基部に段差を有する孔を設け、これに嵌合するピンを摺動部に形成することで、基部と摺動部が分離しない構造を形成することができる。
記憶装置に装填されるディスク枚数の変更により摺動部の数もそれに対応して変更する必要があり、そのために複数の対応した金型を用意しなければならないが、さらに本発明では、カラス口を設ける必要がないため、少なくとも一つの摺動部を有するランプ部材を複数組み合わせて使用することで、作成する金型を減らすことができる。例えば、1つの摺動部を有するランプ部材と、2つの摺動部を有するランプ部材とを任意に組み合わせれば、様々な数に対応することができる。
HD装置
次に、本発明に係るランプを設置したハードディスク装置(HD装置という)について説明する。
次に、本発明に係るランプを設置したハードディスク装置(HD装置という)について説明する。
図4は、本発明に係るランプを設置したHD装置の一例になる概略を示す図である。ランプ部材として、本発明に係るランプ31を設置している以外は従来公知の装置であり、ディスク35上の情報を記録再生するヘッド33と、このヘッド33を先端側で支持するサスペンション34と、このサスペンション34を固定するアーム本体37からなるヘッドアクチュエータを内蔵している。
ヘッドアクチュエータは、アーム本体37がピボット38を軸に筐体に対して回転自在に取り付けられる。また、ヘッドアクチュエータは、ピボット38を挟んでサスペンション34と反対側に設けられるボイスコイルモータ(VCM:Voice Coil Motor)39によって回転駆動される。さらにヘッドアクチュエータへの電力の供給と読み書きヘッド33との信号のやり取りは、アーム本体37に固定されたフレキシブルプリント基板(FPC:Flexible Printed Circuit:不図示)を介して行われる。
ディスク35は、通常、複数枚を所定間隔で積層されており、ヘッドアクチュエータは各ディスクの両面に対してそれぞれヘッド33を搭載できるように、ディスク枚数の倍のサスペンション34を有する。
ヘッド33は、サスペンションからディスク方向に所定のヘッド荷重が付加されているが、ディスク面上で所定の浮上量を得るため、ディスク回転による空気流を利用して、正圧式又は負圧式のヘッドスライダに取り付けられている。正圧式は、スライダをディスクから浮上させる方向に作用する正圧を用い、負圧式は逆にディスク側に作用する負圧を利用する方式である。
ランプの取り付けは、ランプ基部に設けた取り付け用の穴を介してねじ止め等されており、ランプの導入部における2つの係合開始点S1と2つの係留部側端部S2に規定される面が、取り付け部位でディスクの接線とほぼ平行になるように取り付けるのが好ましい。
従来のカラス口を有するランプの場合、ディスク35のリワークが必要な場合、ランプを取り外してから、行う必要があり、リワーク後に再度ランプを設置しなければならなかったが、本発明に係るランプは、カラス口を有していないことから、ランプを取り外すことなくディスクのリワークが可能となる。
リフトタブ
図5は、従来公知のリフトタブの断面形状を説明する図であり、紙面下側がディスク面となる。(a)は円柱(円筒)状のタブ、(b)は多角形断面を有するタブ、(c)はU字形状断面を有するタブである。これらのタブにおいては、その高さ((a)の場合はその直径r)が所定の範囲に設定されている。これは、ディスク間に相対するサスペンション先端部で、ディスク上にヘッドが位置しているときに互いに接触しないようにするためである。また、その幅((b)及び(c)におけるW1,W2)は、通常、0.25〜0.3mmとされている。さらに、底面部の曲率半径(R0,R1)は、0.25mm以上であることが好ましい。(b)の場合の角度θは、通常30°以下である。(c)の場合においては、その側面の曲率半径(R2)は、0.2mm以下であり、厚みtは、0.04mm以下であることが好ましいとされている。本発明においては、このような従来公知のタブをそのまま使用することができるが、図6に示すようにその幅を広くしたものを使用することが好ましい場合がある。図6に示すリフトタブでは、その幅を例えば、0.7mm〜2mmの範囲とすることができる。底面部の曲率半径(R3)は、従来同様0.25mm以上である。
図5は、従来公知のリフトタブの断面形状を説明する図であり、紙面下側がディスク面となる。(a)は円柱(円筒)状のタブ、(b)は多角形断面を有するタブ、(c)はU字形状断面を有するタブである。これらのタブにおいては、その高さ((a)の場合はその直径r)が所定の範囲に設定されている。これは、ディスク間に相対するサスペンション先端部で、ディスク上にヘッドが位置しているときに互いに接触しないようにするためである。また、その幅((b)及び(c)におけるW1,W2)は、通常、0.25〜0.3mmとされている。さらに、底面部の曲率半径(R0,R1)は、0.25mm以上であることが好ましい。(b)の場合の角度θは、通常30°以下である。(c)の場合においては、その側面の曲率半径(R2)は、0.2mm以下であり、厚みtは、0.04mm以下であることが好ましいとされている。本発明においては、このような従来公知のタブをそのまま使用することができるが、図6に示すようにその幅を広くしたものを使用することが好ましい場合がある。図6に示すリフトタブでは、その幅を例えば、0.7mm〜2mmの範囲とすることができる。底面部の曲率半径(R3)は、従来同様0.25mm以上である。
前述の通り、リフトタブのランプとの係合位置は、リフトタブの断面形状により種々変わり、図5(b)や図6に示すリフトタブでは、その曲率面から、下端部にかけてランプと摺動し、図5(c)に示すリフトタブでは、R2の曲率面からR1の曲率面にかけてランプと摺動する。
このようなリフトタブは、通常サスペンションの先端部に、ヘッド中心軸と同軸上に設けられるが、ヘッド中心軸からディスク外側に偏在させても良い。図7では、サスペンション44の先端部にタブ42が設けられているが、その中心軸42aは、ヘッド43の中心軸43aからディスク外側に位置している。本発明においては、図9の従来技術に示すように、サスペンションアームの外側までリフトタブを張り出させる必要はない。その結果、ヘッドのロード/アンロード時にサスペンションアームが拠れることを防止する複雑な機構も不要である。
リフトタブの長さは、ランプスロープの導入部の係合開始点において安定してランプとリフトタブとが接触できる長さであれば特に制限されるものではないが、あまり長くするとHD装置内で多くのスペースを必要とするようになる。
以上、本発明を具体的に説明したが、本発明はこれらの例のみに限定されるものではなく、請求項に記載の範囲内で適宜変更可能である。
1 ランプ
2 リフトタブ
3 ヘッド
4 サスペンション
5 ディスク
2 リフトタブ
3 ヘッド
4 サスペンション
5 ディスク
Claims (5)
- 磁気ディスク装置の磁気ディスク面上に移動対応させて情報の読取り/書き込みを行うヘッドを搭載したサスペンションアームを待機時に係留させ、駆動時に前記磁気ディスク面上に移動案内するためのランプ部材であって、
磁気ディスク装置筐体への取り付けを行う基部と、前記サスペンションアームの先端に設けられたリフトタブとディスク面外で係合し、係留部への導入を行うスロープの形成された摺動部とを有し、
該摺動部は、磁気ディスク側に、スロープのエッジが、前記リフトタブのディスク面上の回転平面からの垂直距離Wが漸次増加し、かつ前記リフトタブ先端の回転円弧からの前記回転平面に平行な距離Hが漸次増加する導入部を有しており、
該導入部の先端が、前記リフトタブのディスク面上の回転平面以下であり、前記導入部の係留部側端部が、前記係合開始点に対して、前記サスペンションアームに搭載されたヘッドが前記磁気ディスク面上においてヘッドに掛かるヘッド荷重から解放されるに十分な前記垂直距離W及び距離Hの増加量を有することを特徴とするランプ部材。 - 前記垂直距離W及び距離Hが、それぞれ曲線状に増加することを特徴とする請求項1に記載のランプ部材。
- 前記ランプは、前記基部から凸状に突き出た部分の少なくとも両エッジに摺動部を有し、前記凸状に突き出た部分が複数設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のランプ部材。
- 情報の書き込みが可能な磁気ディスクと、
該磁気ディスク面上に移動対応させて情報の読取り/書き込みを行うヘッドを搭載したサスペンションアームと
該サスペンションアーム先端に取り付けられたリフトタブと、
該リフトタブと係合し、前記ヘッドを搭載したサスペンションアームを待機時に係留させ、駆動時に前記磁気ディスク面上に移動案内するためのランプ部材とを有する磁気ディスク装置であって、
前記ランプ部材が請求項1乃至3に記載のランプ部材であることを特徴とする磁気ディスク装置。 - 前記リフトタブの幅が、0.7〜2mmであり、ディスク面側の底面に0.25mm以上の曲率半径を有することを特徴とする請求項4に記載の磁気ディスク装置。
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ID=41035518
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---|---|---|---|
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN104555844A (zh) * | 2014-12-19 | 2015-04-29 | 邱金全 | 一种磁力提升装置 |
US9325431B2 (en) | 2010-06-03 | 2016-04-26 | Alcatel Lucent | System and method for transporting electric power and providing optical fiber communications under sea water |
-
2008
- 2008-02-01 JP JP2008022642A patent/JP2009181685A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US9325431B2 (en) | 2010-06-03 | 2016-04-26 | Alcatel Lucent | System and method for transporting electric power and providing optical fiber communications under sea water |
CN104555844A (zh) * | 2014-12-19 | 2015-04-29 | 邱金全 | 一种磁力提升装置 |
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