以下、本発明の実施の形態につき説明する。
本発明の一実施形態に係る液晶表示装置は、黒表示させ、CIE1960表色系で表される色度(u、y)を測定した場合、略垂直方向から見たときの色度(u(⊥)、v(⊥))と表示面の法線方向から45°傾けた方位から見たときの色度(u(45)、v(45))の色度差Δuvが、下記式(1)を満たすことを特徴とする。
Δuv=[{u(⊥)−u(45)}2+{v(⊥)−v(45)}2]1/2<0.02 …(1)
このように、色度差Δuvが0.02未満である場合に、特に、斜め方向における視認性が良好であると判定することが出来る。
本発明の一実施形態に係る液晶表示装置に備えるカラーフィルタの各着色画素層の厚み方向位相差値は、少なくとも赤色3(R)・緑色3(G)および青色3(B)の3色の着色画素3を備えたカラーフィルタに、可視域(たとえば 光の波長 380nmから780nmの範囲)の透過光ピーク域の波長を含む連続した光を正面および複数の傾斜した角度から照射し、分光エリプソメータなどの位相差測定装置を用いて3次元屈折率を測定することで得られる。
例えば、赤色着色画素では610nm、緑色着色画素では550nm、青色着色画素では450nmの波長で、正面と入射角45度の少なくとも2方向からの光で位相差測定を行い、Nx、Ny、Nzの3次元屈折率を得たのち、以下に示す式(8)より厚み方向位相差値(Rth)を算出する。
Rth={(Nx+Ny)/2-Nz}×d ・・・(8)
(式中、Nxは、着色画素層の平面内のx方向の屈折率であり、Nyは、着色画素層の平面内のy方向の屈折率であり、Nzは、着色画素層の厚み方向の屈折率であり、NxをNx≧Nyとする遅相軸とする。dは、着色画素層の厚み(nm)である。)
この際、測定する基板がカラーフィルタである場合は、R・G・Bの単一着色画素層のみを透過するように加工されたマスクを介して測定することで、単一着色画素層の位相差値を求めることができる。
また、例えば、610nmの波長の光を入射光として使用した場合は、赤色着色画素のみに起因する位相差値、550nmの場合は、緑色着色画素のみに起因する位相差値、450nmの場合は、青色着色画素のみに起因する位相差値として、それぞれ単一着色画素層の位相差値のおおよその値を見積もることができる。
なお、測定する基板がR、G、Bのうちいずれかの単一着色画素層(透明基板に単色のカラーフィルタ着色組成物の塗膜を形成した構成)である場合は、マスクを介することなく位相差の測定が可能となる。
また、TACなどのフィルムの厚み方向位相差値も同様の方法で測定することができる。
本発明の一実施形態に係る液晶表示装置のカラーフィルタに用いる着色組成物は、高コントラストを確保しやすいアクリル樹脂、カルド樹脂などのポリマーやモノマーを基材として、少なくとも有機溶剤、光重合性開始剤もしくは硬化剤に有機顔料を分散した液状の塗布液である。
本発明の一実施形態に係る液晶表示装置に好適に用いられるカラーフィルタは、着色組成物を、公知のフォトリソグラフィーに用いるカラーレジストとして、 あるいはインクジェットや印刷などのインキとして加工することができる。
なお、カラーフィルタに用いる着色組成物の構成成分についての詳細は後述する。
本発明の一実施形態に係る液晶表示装置の特徴をなす原理について説明する。
上述したIPSモード液晶表示装置に用いられる光学補償層は、一般にnx≧ny≧nzである二軸性の位相差フィルムであるか、光学補償機能がないTACなどの透明保護膜であることがほとんどであり、これらのフィルムを使用した場合には、正の厚み方向位相差Rthを0から150の範囲の値で有することとなる。一般的に、表示面に対して正面(垂直方向)から斜めに視野角を大きくしていったときの厚み方向位相差の変化が小さいIPSモード液晶表示装置に対しては、これらフィルムの正の厚み方向位相差は光漏れの原因となり、特に黒表示時に斜めから見た表示特性を悪化させる不具合を生じさせる。即ち、斜めから見たときに、黒表示が黄色もしくは青色に色味付き視認性に悪影響を及ぼしてしまう。
一方、カラーフィルタの複屈折率の絶対値が0.01以下であること、即ち、厚み方向位相差値(Rth)が、限りなくRRth=GRth=BRth=0に近いことが通常望まれるが、本発明者等は、赤色、緑色および青色の各色画素パターンのカラーフィルタ層のリタデーションがそれぞれ異なり、赤色は正または負のリタデーションを示し、青色は正のリタデーションを示し、緑色は負のリタデーションを示すことを見出した。
その結果、表示面に対して正面(垂直方向)からの視認性は良いが、45度など斜めから観察した視認性(以下、斜め視認性と略称する)において、ある特定の色だけが光漏れすることになり、黒表示時に斜めから見た場合に赤味や青味、あるいは緑味などの色付きを生じてしまう。
液晶表示装置のカラーフィルタにおいて、各着色画素の位相差値Rthがどの値をとるのが最も望ましいかは、他の部材との組み合わせにより変わるが、IPSモード液晶表示装置で広く用いられる二軸性の位相差フィルムや、TACフィルムの場合は、これらのフィルムの厚み方向位相差値が少なくともゼロ以上の正の値を持つために、カラーフィルタのRthとしては、負の値であることが好ましい。
さらに重要なのは、カラーフィルタの高コントラスト化が進む、すなわちカラーフィルタの消偏性が小さくなるに従って、黒表示時に正面から見たときの色度は、偏光板のクロスニコルでの色度に近づくという点である。
偏光板の二色性も向上しており、近年においては高コントラストの偏光板が使用されているが、クロスニコルでの色相は青味であるものがほとんどである。即ち、偏光板からの400nm付近の波長の光漏れが多いために、黒表示時の正面から見た時の色相は青味となっている。
従って、液晶、偏光板、位相差板、配向膜などの液晶表示装置の光学部材組み合わせにおいて、最適な斜め視認性を得る組み合わせを選定する必要があり、正面から見たときと斜めから見た時の色変化を最小にするには、斜めから見たときの色度も青味にする必要がある。本発明者らが鋭意検討した結果、カラーフィルタの各色厚み方向位相差値Rthが式(2)〜(4)を満たすことにより、良好な斜め視認性を有する液晶表示装置が得られることを見出した。
RRth < 0 ・・・(2)
GRth < 0 ・・・(3)
BRth > 0 ・・・(4)
即ち、青色着色画素の厚み方向位相差値を正、緑色および赤色着色画素の厚み方向位相差値を負とすることで、正面から見たときにはカラーフィルタの厚み方向位相差値は影響を及ぼさず、斜めから見たときには青領域の光漏れが赤および緑領域の光漏れより多くなり青味を帯びることで、正面色度との色差を低減することが出来る。
また、前記液晶表示装置において、前記カラーフィルタの赤色表示画素の厚み方向位相差値RRth 、緑色表示画素の厚み方向位相差値GRth 、および青色表示画素の厚み方向位相差値BRth と、前記光学補償層の赤色領域における厚み方向位相差値Rth(R)、緑色領域における厚み方向位相差値Rth(G)、および青色領域における厚み方向位相差値Rth(B)が下記式(5)〜(7)を満たすことにより、さらに良好な斜め視認性を有する液晶表示装置が得られることを見出した。
|RRth+Rth(R )| <30 ・・・(5)
|GRth+Rth(G )| <35 ・・・(6)
|BRth+Rth(B )| >40 ・・・(7)
このように、本発明者らは、カラーフィルタ以外の構成部材、例えばTACフィルムの波長分散性と組み合わせる場合、Rth(R)=Rth(G))=Rth(B)=0以外にも最適なカラーフィルタの厚み方向位相差に関する値が存在することを見いだした。
次に、本発明の一実施形態に係る液晶表示装置に用いて好適なカラーフィルタについて説明する。
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る液晶表示装置に用いて好適なカラーフィルタは、ガラス基板1上に遮光層であるブラックマトリクス2を形成し、その上に少なくとも赤色3(R)、緑色3(G)および青色3(B)の3色の着色画素3を形成したものである。なお、これら3色に限らず、さらに、補色の組み合わせでも良く、あるいは補色や他色を含んだ3色以上の多色のカラーフィルタとすることも出来る。
なお、良好な正面視認性、特に黒表示において引き締まった色を得るには、着色表示画素が顔料分散型の着色組成物を用いて製造されるカラーフィルタの場合、当該顔料の1次粒子の粒度分布において、個数粒度分布の積算曲線における積算量が全体の50%に相当する粒子径d50が40nm以下であるのが好ましく、d50が30nm以下であるのがより好ましい。顔料の1次粒子の粒子径d50がこのような範囲であることにより、斜め方向からだけでなく、正面方向からの視認性の良い液晶表示装置を得ることができるからである。なお、粒子径d50とは、個数粒度分布の積算曲線において積算量が全体の50%に相当する粒子径(円相当径)を表している。
赤色画素としては、例えば、C.I.Pigment Red 7、14、41、48:2、48:3、48:4、81:1、81:2、81:3、81:4、146、168、177、178、179、184、185、187、200、202、208、210、246、254、255、264、270、272、279等の赤色顔料を用いることができ、黄色顔料や橙色顔料を併用することもできる。
黄色顔料としては、C.I. Pigment Yellow 1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、126、127、128、129、147、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、187、188、193、194、199、198、213、214等が挙げられる。
橙色顔料としては、C.I. Pigment Orange 36、43、51、55、59、61、71、73等が挙げられる。
赤色画素が、これら顔料のなかでジケトピロロピロール系赤色顔料、アントラキノン系赤色顔料のうち1種類以上を含む場合には、任意のRthを得ることが容易になるため、好ましい。なぜなら、ジケトピロロピロール系赤色顔料は、その微細化処理を工夫することにより、Rthを正負のどちらにすることも可能であって、その絶対値もある程度制御可能であり、また、アントラキノン系赤色顔料は、微細化処理に関わらず0に近いRthを得やすいためである。
ジケトピロロピロール系赤色顔料及びアントラキノン系赤色顔料の使用量は、顔料の合計重量を基準として、ジケトピロロピロール系赤色顔料を10〜90重量%、アントラキノン系赤色顔料を5〜70重量%とすることが、画素の色相や明度、膜厚、コントラスト等の点から好ましく、特に、コントラストに着目した場合、ジケトピロロピロール系赤色顔料を25〜75重量%、アントラキノン系赤色顔料を30〜60重量%とすることがより好ましい。
また、赤色画素には色相を調整する目的で黄色顔料や橙色顔料を含有させることができるが、高コントラスト化の点からアゾ金属錯体系黄色顔料を用いることが好ましい。アゾ金属錯体系黄色顔料の使用量は、顔料の合計重量を基準として、5〜25重量%であることが好ましく、5重量%未満の場合には、充分な明度向上などの色相調整が困難となり、30重量%を超える場合には、色相が黄味にシフトし過ぎるため、色再現性は悪くなる傾向となる。
ジケトピロロピロール系赤色顔料としては、C.I.Pigment Red 254、アントラキノン系赤色顔料としては、C.I.Pigment Red 177、アゾ金属錯体系黄色顔料としてはC.I.Pigment Yellow 150が、優れた耐光性、耐熱性、透明性、および着色力等の点から好適である。
緑色画素としては、例えば、C.I.Pigment Green 7、10、36、37、58等の緑色顔料を用いることができ、黄色顔料を併用することもできる。この黄色顔料としては、赤色画素の説明で挙げた顔料と同様のものを使用可能である。
緑色表示画素が、これら顔料のなかでハロゲン化金属フタロシアニン系緑色顔料、アゾ系黄色顔料、及びキノフタロン系黄色顔料のうちの少なくとも1種を含むことが、任意のRthを得ることが容易になるため好ましい。なぜなら、ハロゲン化金属フタロシアニン緑色顔料は、中心金属を選択することにより、ある程度GRth を制御することが可能であり、アゾ系黄色顔料は、微細化処理に関わらず正のGRth を、キノフタロン系黄色顔料は、微細化処理に関わらず負のGRth が得られるからである。
これらの顔料の使用量は、顔料の合計重量を基準として、ハロゲン化金属フタロシアニン系緑色顔料を30〜90重量%、アゾ系黄色顔料を5〜60重量%、キノフタロン系黄色顔料を5〜60重量%とすることが、画素の色相や明度、膜厚等の点から好ましい。また、ハロゲン化金属フタロシアニン系緑色顔料を50〜85重量%、アゾ系黄色顔料を5〜45重量%、キノフタロン系黄色顔料を5〜45重量%とすることがより好ましい。
ハロゲン化金属フタロシアニン系緑色顔料としては、C.I.Pigment Green 7、36、およびハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料C.I.Pigment Green 58、アゾ系黄色顔料としてはC.I.Pigment Yellow 150、キノフタロン系黄色顔料としてはC.I.Pigment Yellow138が、優れた耐光性、耐熱性、透明性、および着色力等の点から好適である。
青色画素としては、例えば、C.I.Pigment Blue 15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64等の青色顔料を用いることができ、紫色顔料を併用することもできる。併用される紫色顔料としては、C.I.Pigment Violet 1、19、23、27、29、30、32、37、40、42、50等が挙げられる。
青色画素が、これら顔料のなかで金属フタロシアニン系青色顔料と、ジオキサジン系紫色顔料のうち1種類以上を含む場合には、負から0に近いRthを得ることが容易になる。これらの顔料の使用量は、顔料の合計重量を基準として、金属フタロシアニン系青色顔料を40〜100重量%、ジオキサジン系紫色顔料を1〜50重量%とすることが、画素の色相や明度、膜厚等の点から好ましく、さらに、金属フタロシアニン系青色顔料を50〜98重量%、ジオキサジン系紫色顔料を2〜25重量%とすることがより好ましい。
金属フタロシアニン系青色顔料としてはC.I.Pigment Blue 15:6、ジオキサジン系紫色顔料としてはC.I.Pigment Violet 23が、優れた耐光性、耐熱性、透明性、および着色力等の点から好適である。
また、彩度と明度のバランスを取りつつ良好な塗布性、感度、現像性等を確保するために、無機顔料を有機顔料と組み合わせて用いることが出来る。無機顔料としては、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑等の金属酸化物粉、金属硫化物粉、金属粉等が挙げられる。無機顔料は、さらに、調色のため、耐熱性を低下させない範囲内で染料を含有することができる。
着色画素に含まれる顔料は、カラーフィルタの高輝度化、高コントラスト化を実現させるため、微細化されていることが好ましく、平均一次粒子径が小さいことが好ましい。顔料の平均一次粒子径は、顔料を透過型電子顕微鏡で撮り、その写真の画像解析により算出することができる。
顔料の平均一次粒子径は、40nm以下であることが好ましく、より好ましくは30nm以下であり、更に好ましくは20nm以下である。また、平均一次粒子径は5nm以上であることが好ましい。顔料の平均一次粒子径が上限値より大きい場合には、液晶表示装置の黒表示時の視認性が悪い。また、下限値より小さい場合は、顔料分散が難しくなり、着色組成物としての安定性を保ち、流動性を確保することが困難になる。その結果、カラーフィルタの輝度、色特性が悪化する。 特に、平均一次粒子径が40μmを超える有機顔料は、正面視認性に悪影響を与える。
また、透明基板上に形成された各色画素を2枚の偏光板の間に挟み、一方の偏光板側からバックライトを当てて、他方の偏光板を透過した光を輝度計にて測定し、偏光板が平行状態における光の輝度(Lp)と直交状態における光の輝度(Lc)の比より算出されるコントラストCは、C=Lp/Lcより算出され、CSは着色画素がない基板のみ、CRは赤色画素、CGは緑色画素、CBは青色画素のコントラストを表す場合、CR/CS>0.45、かつ、CG/CS>0.45、かつ、CB/CS>0.45を満たす場合に、後述する表6及び表7に示すように、液晶表示装置の黒表示時の正面視認性が優れたものとなる。即ち、光漏れの少ない締まった黒表示を再現することができる。
CR/CS>0.45、CG/CS>0.45、及びCB/CS>0.45のすべてを満たすものでない場合、即ち、CR/CS≦0.45、CG/CS≦0.45、又はCB/CS≦0.45の場合には、黒表示時の光漏れが多くなり、優れた正面視認性の液晶表示装置が得られなくなる。
また、色毎のリタデーション差を小さくすることにより、斜め視認性と正面視認性がともに 優れた液晶表示装置となる。
なお、CR/CS>0.45、CG/CS>0.45、及びCB/CS>0.45のすべてを満たしても、色毎のリタデーション差が大きい場合、 斜め視認性が不十分であることがある。
顔料の平均一次粒子径および厚み方向位相差を制御する手段としては、顔料を機械的に粉砕して一次粒子径および粒子形状を制御する方法(磨砕法と呼ぶ)、良溶媒に溶解したものを貧溶媒に投入して所望の一次粒子径および粒子形状の顔料を析出させる方法(析出法と呼ぶ)、および合成時に所望の一次粒子径および粒子形状の顔料を製造する方法(合成析出法と呼ぶ)等がある。使用する顔料の合成法や化学的性質等により、個々の顔料について適当な方法を選択して行うことができる。
以下に、それぞれの方法について説明するが、本実施形態に係るカラーフィルタを構成する着色画素層に含まれる顔料の一次粒子径および粒子形状の制御方法は、これらの方法のいずれを用いてもよい。
磨砕法は、顔料をボールミル、サンドミルまたはニーダーなどを用いて、食塩等の水溶性の無機塩などの磨砕剤およびそれを溶解しない水溶性有機溶剤とともに機械的に混練(以下、この処理をソルトミリングと呼ぶ)した後、無機塩と有機溶剤を水洗除去し、乾燥することにより所望の一次粒子径および粒子形状の顔料を得る方法である。ただし、ソルトミリング処理により、顔料が結晶成長する場合があるため、処理時に上記有機溶剤に少なくとも一部溶解する固形の樹脂や顔料分散剤を加えて、結晶成長を防ぐ方法が有効である。
顔料と無機塩の比率は、無機塩の比率が多くなると顔料の微細化効率は良くなるが、顔料の処理量が少なくなるために、生産性が低下する。一般的には、顔料が1重量部に対して無機塩を1〜30重量部、好ましくは2〜20重量部用いるのが良い。また、上記水溶性有機溶剤は、顔料と無機塩とが均一な固まりとなるように加えるもので、顔料と無機塩との配合比にもよるが、通常は顔料1重量部に対して0.5〜30重量部の量で用いられる。
磨砕法の場合、さらに具体的には、顔料と水溶性の無機塩の混合物に湿潤剤として少量の水溶性有機溶剤を加え、ニーダー等で強く練り込んだ後、この混合物を水中に投入し、ハイスピードミキサー等で攪拌しスラリー状とする。次に、このスラリーを濾過し、水洗して乾燥することにより、所望の一次粒子径および粒子形状の顔料を得ることができる。
析出法は、顔料を適当な良溶媒に溶解させたのち、貧溶媒と混ぜ合わせて、所望の一次粒子径および粒子形状の顔料を析出させる方法であり、溶媒の種類や量、析出温度、析出速度などにより、一次粒子径の大きさおよび粒子形状を制御することができる。
一般に顔料は溶媒に溶けにくいため、使用できる溶媒は限られるが、例として濃硫酸、ポリリン酸、クロロスルホン酸などの強酸性溶媒または液体アンモニア、ナトリウムメチラートのジメチルホルムアミド溶液などの塩基性溶媒などが知られている。
析出法の代表例としては、酸性溶剤に顔料を溶解させた溶液を他の溶媒中に注入し、再析出させて微細粒子を得るアシッドペースティング法がある。工業的にはコストの観点から硫酸溶液を水に注入する方法が一般的である。硫酸濃度は特に限定されないが、95〜100重量%が好ましい。顔料に対する硫酸の使用量は特に限定されないが、少ないと溶液粘度が高くハンドリングが悪くなり、逆に多すぎると顔料の処理効率が低下するため、顔料に対して3〜10重量倍の硫酸を用いることが好ましい。
なお、顔料は完全溶解している必要はない。溶解時の温度は0〜50℃が好ましく、0℃未満では硫酸が凍結する恐れがあり、かつ溶解度も低くなる。50℃を超える温度では副反応が起こりやすくなる。注入される水の温度は1〜60℃が好ましく、60℃を超える温度で注入を始めると硫酸の溶解熱で沸騰して作業が危険である。0℃未満では凍結してしまう。注入にかける時間は、顔料1部に対して0.1〜30分が好ましい。時間が長くなるほど一次粒子径は大きくなる傾向がある。
顔料の一次粒子径および粒子形状の制御は、アシッドペースティング法などの析出法とソルトミリング法などの磨砕法を組み合わせた手法を選択することにより、顔料の整粒度合を考慮しつつ行うことができ、さらにはこのとき分散体としての流動性も確保できることから、より好ましい。
ソルトミリング時あるいはアシッドペースティング時には、一次粒子径および粒子形状制御に伴う顔料の凝集を防ぐために、後述する色素誘導体や樹脂型顔料分散剤、界面活性剤等の分散助剤を併用することもできる。
また、一次粒子径および粒子形状制御を2種類以上の顔料を共存させた形で行うことにより、単独では分散が困難な顔料であっても安定な分散体として仕上げることができる。
特殊な析出法としてロイコ法がある。フラバントロン系、ペリノン系、ペリレン系、インダントロン系等の建染染料系顔料は、アルカリ性ハイドロサルファイトで還元すると、キノン基がハイドロキノンのナトリウム塩(ロイコ化合物)になり水溶性になる。ロイコ法はこの現象を利用し、得られた水溶液に適当な酸化剤を加えて酸化することにより、水に不溶性の一次粒子径の小さな顔料を析出させる方法である。
更に他の析出法としての合成析出法は、顔料を合成すると同時に所望の一次粒子径および粒子形状の顔料を析出させる方法である。しかし、生成した微細顔料を溶媒中から取り出す場合、顔料粒子が凝集して大きな二次粒子になっていないと一般的な分離法である濾過が困難になるため、通常、二次凝集が起きやすい水系で合成されるアゾ系等の顔料に適用されている。
さらに、顔料の一次粒子径および粒子形状を制御する手段として、顔料を高速のサンドミル等で長時間分散すること(顔料を乾式粉砕する、いわゆるドライミリング法)により、顔料の一次粒子径を小さくすると同時に分散することも可能である。
また、本実施形態に係るカラーフィルタでは、特に斜め視認性を改善する目的で、1色以上のカラーフィルタ着色組成物にリタデーション調整剤を添加することができる。リタデーション調整は、を用いて、透明基板、反射性基板、又は半導体基板上にカラーフィルタ着色組成物の着色塗膜を形成したカラーフィルタの厚み方向の位相差を調整できる添加剤である。リタデーション調整剤を構成する化合物は、1000あるいは3000以上の高いコントラストを確保するために、分散性の良い有機化合物であることが望ましい。具体的には、無機物など粒子形状のものも採用可能であるが、光散乱性や消偏性の観点から避けたほうが良い。
また、複数色の着色画素からなるカラーフィルタを透明基板などの上に形成する場合、全色に添加しても良いが、1色又は2色の画素に限定して添加することも可能である。
リタデーション調整剤の具体例としては、一つ以上の架橋性基を有する平面構造基を有する有機化合物、メラミン樹脂、ポリフィリン化合物、および重合性液晶化合物から選択された1種以上を選択すれば良い。
通常、顔料や他の樹脂と正負逆の複屈折率をもつ平面構造基を有する粒子を添加するだけで、膜全体の厚み方向位相差を打ち消すことが可能であると考えられる。しかし、単に平面構造基をもつ粒子を添加するだけでは、粒子自体がランダムに配向してしまい、膜全体の厚み方向位相差への影響は小さいものとなってしまう。
そこで本発明者らは、鋭意調査した結果、平面構造基の少なくとも1つ以上に架橋性基を持たせることで、膜全体の厚み方向位相差が大きく変化し、十分な効果を発揮し得ることを見出した。
即ち、例えば、フォトリソ工程での光硬化プロセスもしくは熱硬化プロセス中で架橋する官能基を有することで、平面構造基が自由に回転しないこと、および熱硬化時の収縮の際に平面構造基がより同じ方向に配向して固定されやすいことにより、効果的に位相差制御の機能を発現することが可能となる。
平面構造基としては、芳香族環を少なくとも1つ以上有するものであり、単環式炭化水素では、フェニル基、クメニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ベンジル基、フェネチル基、スチリル基、シンナミル基、トリチル基など、多環式炭化水素ではペンタレニル基、インデニル基、ナフチル基、ビフェニレン基、アセナフチレン基、フルオレン基、フェナントリル基、アントラセン基、トリフェニレン基、ピレン基、ナフタセン基、ペンタフェン基、ペンタセン基、テトラフェニレン基、トリナフチレン基などの公知の化合物を使用することができる。ヘテロ単環化合物では、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、トリアジン基など、ヘテロ多環化合物では、インドリジニル基、イソインドリル基、インドリル基、プリニル基、キノリル基、イソキノリル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、キノキサリニル基、シノリニル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、アクリジニル基、ポルフィリン基などの公知の化合物が例示でき、これらは、炭化水素基、ハロゲン基などの置換基を有するものであってもよい。
平面構造基に付属する少なくとも1つ以上の架橋性基としては、下記式に示す不飽和重合性基(式A、B、C、D、E、F)、官能基(式I、J、K、L、M、N、O)、又は熱重合性基(式G、H、P、Q、R、S、T、U)であることが好ましく、エポキシ基(G、H)がさらに好ましく用いられ、式P〜Uが最も好ましく用いられる。
また、不飽和重合性基では、エチレン性不飽和重合性基(式A、B、C、D)であることがさらに好ましく、また、−CH2NHCOCH=CH2、−CH2NHCO(CH2)7CH=CH(CH2)7CH3、−OCO(C6H4)O(CH2)6CH=CH2なども好適に用いられる。
これらの架橋性基は、該平面構造基が少なくとも1つ以上の水酸基等の反応性官能基を有する場合に、グリシジル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシイソシアネート、トリレン−2、4−ジイソシアネート等の上記反応性官能基と反応する官能基およびエチレン性不飽和基を有する化合物と公知の方法で反応させることによって容易に得られる。
メラミン化合物としては、下記一般式(1)で表される市販のものを好ましく用いることができるが、上述の平面構造基を有する化合物であれば何でもよく、公知のものを使用することが出来る。以下にメラミン化合物を例示する。
(式中、R
1、R
2、R
3 はそれぞれ水素原子、メチロール基、アルコキシメチル基、アルコキシn−ブチル基、R
4、R
5、R
6 はそれぞれメチロール基、アルコキシメチル基、アルコキシn−ブチル基である。二種類以上の繰り返し単位を組み合わせたコポリマーを用いてもよい。二種類以上のホモポリマーまたはコポリマーを併用してもよい。
また、上記以外に1,3,5−トリアジン環を有する化合物であって、例えば、特開2001−166144公報に記載のものを使用することができる。また、下記一般式(2)に示す化合物も好ましく用いられる。
(式中、R
7からR
14はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基であり、水素原子であることが特に好ましい。nは1〜20の整数であり、2であることが好ましい。)
或いはまた、下記一般式(3)で表されるポルフィリン骨格を有する化合物を好ましく用いることができる。
(式中、R15〜R22はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルキルチオ基、置換もしくは未置換のフェノキシ基、置換もしくは未置換のナフトキシ基、置換もしくは未置換のフェニルチオ基、または置換もしくは未置換のナフチルチオ基を表す。Xは水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、置換もしくは未置換のフェニル基、置換もしくは未置換のフェノキシ基、を表し、ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などがあげられる。また、アルコキシ基としては、特に限定されるものではないが、置換基中のアルキル基が炭素数1〜12の直鎖、分岐或いは環状のアルキル基が好ましく、炭素数1〜8の直鎖、分岐或いは環状のアルキル基が特に好ましい。置換もしく未置換のフェニル基の具体例としては、フェニル基、p-クロロフェニル基、p-ブロモフェニル基、p-ニトロフェニル基等が挙げられ、置換もしく未置換のフェニル基の具体例としては、フェノキシ基、p-クロロフェノキシ基、p-ブロモフェノキシ基、p-ニトロフェノキシ基等が挙げられる。Zは−CH−、−N−を表す。
R15〜R22におけるハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などがあげられる。また、アルコキシ基およびチオアルキル基としては、特に限定されるものではないが、置換基中のアルキル基が炭素数1〜12の直鎖、分岐或いは環状のアルキル基が好ましく、炭素数1〜8の直鎖、分岐或いは環状のアルキル基が特に好ましい。
アルコキシ基中およびチオアルキル基中のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、2−メチルブチル基、1−メチルブチル基、neo−ペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、1,1ジメチルプロピル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、4−メチルペンチル基、3メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、1−メチルペンチル基、3,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、3−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−エチルブチル基、1,2,2−トリメチルブチル基、1,1,2−トリメチルブチル基、1−エチル−2−メチルプロピル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、2−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、4−メチルヘキシル基、5メチルヘキシル基、2,4−ジメチルペンチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、2,5−ジメチルヘキシル基、2,5,5−トリメチルペンチル基、2,4−ジメチルヘキシル基、2,2,4−トリメチルペンチル基、n−オクチル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、4−エチルオクチル基、4−エチル4,5−ジメチルヘキシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、1,3,5,7−テトラエチルオクチル基、4−ブチルオクチル基、6,6−ジエチルオクチル基、n−トリデシル基、6−メチル−4−ブチルオクチル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、3,5−ジメチルヘプチル基、2,6−ジメチルヘプチル基、2,4−ジメチルヘプチル基、2,2,5,5−テトラメチルヘキシル基、1−シクロペンチル−2,2−ジメチルプロピル基、1−シクロヘキシル−2,2−ジメチルプロピル基等が挙げられる。
置換もしく未置換のフェノキシ基の具体例としては、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、3−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、2−エチルフェノキシ基、3−エチルフェノキシ基、4−エチルフェノキシ基、2,4−ジメチルフェノキシ基、3,4−ジメチルフェノキシ基、4−t−ブチルフェノキシ基、4−アミノフェノキシ基、4−ジメチルアミノフェノキシ基、4−ジエチルアミノフェノキシ基等が挙げられる。
置換もしく未置換のナフトキシ基の具体例としては、1−ナフトキシ基、2−ナフトキシ基、ニトロナフトキシ基、シアノナフトキシ基、ヒドロキシナフトキシ基、メチルナフトキシ基、トリフルオロメチルナフトキシ基等が挙げられる。
置換もしく未置換のフェニルチオ基の具体例としては、フェニルチオ基、2−メチルフェニルチオ基、3−メチルフェニルチオ基、4−メチルフェニルチオ基、2−エチルフェニルチオ基、3−エチルフェニルチオ基、4−エチルフェニルチオ基、2,4−ジメチルフェニルチオ基、3,4−ジメチルフェニルチオ基、4−t−ブチルフェニルチオ基、4−アミノフェニルチオ基、4−ジメチルアミノフェニルチオ基、4−ジエチルアミノフェニルチオ基等が挙げられる。
置換もしく未置換のナフチルチオ基の具体例としては、1−ナフチルチオ基、2−ナフチルチオ基、ニトロナフチルチオ基、シアノナフチルチオ基、ヒドロキシナフチルチオ基、メチルナフチルチオ基、トリフルオロメチルナフチルチオ基等が挙げられる。
二種類以上の化合物(例えば、1,3,5−トリアジン環を有する化合物とポルフィリン骨格を有する化合物と)を併用してもよい。
含平面構造基エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールAD型エポキシ化合物、水添ビスフェノールA型エポキシ化合物等のビスフェノール型エポキシ化合物;例えば、フェノールノボラック型エポシキ化合物、クレゾールノボラック型エポシキ化合物等のノボラック型エポシキ化合物;例えば、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジル-p-アミノフェノール、トリグリシジル-m-アミノフェノール、テトラグリシジル-mキシレンジアミン等のグリシジルアミン系エポキシ化合物;例えば、ジグリシジルフタレート、ジグリシジルヘキサヒドロフタレート、ジグリシジルテトラヒドロフタレート等のグリシジルエステル系エポキシ化合物;例えば、トリグリシジルイソシアヌレート等の複素還式エポキシ化合物などが例示できる。
重合性液晶化合物としては、棒状液晶性分子またはディスコティック液晶性分子を用いることが可能であるが、特に ディスコティック液晶性分子が好ましい。棒状液晶性分子としては、特開2006-16599公報に記載の液晶性分子が採用可能であり、それ以外に、例えば、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類なども用いられる。ディスコティック液晶性分子としては、例えば、特開平8−27284公報に記載のものを使用することができる。以下にその例を示す。
以上の一般式において、Yは、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−CO−、−NH−、−O−、−S−およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基、および該二価の基を少なくとも二つ組み合わせた基であることが最も好ましい。アルキレン基の炭素原子数は、1〜12であることが好ましく、アルケニレン基の炭素原子数は、2〜12であることが好ましく、アリーレン基の炭素原子数は、6〜10であることが好ましい。アルキレン基、アルケニレン基およびアリーレン基は、置換基(例、アルキル基、ハロゲン原子、シアノ、アルコキシ基、アシルオキシ基)を有していてもよい。
Rは、上述した不飽和重合性基(式A、B、C、D、E、F)、官能基(式I、J、K、L、M、N、O)、熱重合性基(式G、H、P、Q、R、S、T、U)から選ばれる少なくとも一つ以上の架橋性基、もしくは該架橋性基で置換されたアルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基である。
不飽和重合性基としては、エチレン性不飽和重合性基(式A、B、C、D)であることがさらに好ましく、また、−CH2NHCOCH=CH2、−CH2NHCO(CH2)7CH=CH(CH2)7CH3、−OCO(C6H4)O(CH2)6CH=CH2なども好適に用いられる。
以下に、本実施形態に係るカラーフィルタの各色画素を形成するために用いられる着色組成物の各成分について説明する。
各色画素を形成するために用いられる着色組成物に含まれる顔料担体は、顔料を分散させるものであり、透明樹脂、その前駆体、またはそれらの混合物により構成される。
透明樹脂は、可視光領域の400〜700nmの全波長領域において透過率が好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上の樹脂である。透明樹脂には、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、および感光性樹脂が含まれ、その前駆体には、放射線照射により硬化して透明樹脂を生成するモノマーもしくはオリゴマーが含まれ、これらを単独でまたは2種以上混合して用いることができる。
顔料担体は、着色組成物中の顔料100重量部に対して、30〜700重量部、好ましくは60〜450重量部の量で用いることができる。また、透明樹脂とその前駆体との混合物を顔料担体として用いる場合には、透明樹脂は、着色組成物中の顔料100重量部に対して、20〜400重量部、好ましくは50〜250重量部の量で用いることができる。また、透明樹脂の前駆体は、着色組成物中の顔料100重量部に対して、10〜300重量部、好ましくは10〜200重量部の量で用いることができる。
熱可塑性樹脂としては、例えば, ブチラール樹脂、スチレンーマレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリブタジエン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド樹脂等が挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
感光性樹脂としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等の反応性の置換基を有する線状高分子にイソシアネート基、アルデヒド基、エポキシ基等の反応性置換基を有する(メタ)アクリル化合物やケイヒ酸を反応させて、(メタ)アクリロイル基、スチリル基等の光架橋性基を該線状高分子に導入した樹脂が用いられる。
スチレン−無水マレイン酸共重合物やα−オレフィン−無水マレイン酸共重合物等の酸無水物を含む線状高分子をヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル化合物によりハーフエステル化したものも用いられる。
透明樹脂の前駆体であるモノマーおよびオリゴマーとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等の各種アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。これらは、単独でまたは2種類以上混合して用いることができる。
着色組成物には、該組成物を紫外線照射により硬化する場合には、光重合開始剤等が添加される。光重合開始剤としては、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン等のアセトフェノン系光重合開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系光重合開始剤、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド等のベンゾフェノン系光重合開始剤、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン系光重合開始剤、2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペロニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリルs−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−sトリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、2,4−トリクロロメチル(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジン等のトリアジン系光重合開始剤、ボレート系光重合開始剤、カルバゾール系光重合開始剤、イミダゾール系光重合開始剤等が用いられる。
光重合開始剤は、着色組成物中の顔料100重量部に対して、5〜200重量部、好ましくは10〜150重量部の量で用いることができる。
光重合開始剤は、単独あるいは2種以上混合して用いるが、増感剤として、α−アシロキシエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4’−ジエチルイソフタロフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等の化合物を併用することもできる。
増感剤は、光重合開始剤100重量部に対して、0.1〜60重量部の量で含有させることができる。
さらに、着色組成物には、連鎖移動剤としての働きをする多官能チオールを含有させることができる。多官能チオールは、チオール基を2個以上有する化合物であればよく、例えば、ヘキサンジチオール 、デカンジチオール 、1,4−ブタンジオールビスチオプロピオネート、1,4−ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4−ジメチルメルカプトベンゼン、2、4、6−トリメルカプト−s−トリアジン、2−(N,N−ジブチルアミノ)−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン等が挙げられる。これらの多官能チオールは、1種または2種以上混合して用いることができる。
多官能チオールは、着色組成物中の顔料100重量部に対して、0.2〜150重量部、好ましくは0.2〜100重量部の量で用いることができる。
さらに、顔料を充分に顔料担体中に分散させ、ガラス基板等の透明基板上に乾燥膜厚が0.2〜5μmとなるように塗布してフィルタセグメントを形成することを容易にするために、溶剤を含有させることができる。溶剤としては、例えばシクロヘキサノン、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチルベンゼン、エチレングリコールジエチルエーテル、キシレン、エチルセロソルブ、メチル−nアミルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、トルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルケトン、石油系溶剤等が挙げられ、これらを単独でもしくは混合して用いることが出来る。
溶剤は、着色組成物中の顔料100重量部に対して、800〜4000重量部、好ましくは1000〜2500重量部の量で用いることができる。
着色組成物は、1種または2種以上の顔料を、必要に応じて上記光重合開始剤と共に、顔料担体および有機溶剤中に三本ロールミル、二本ロールミル、サンドミル、ニーダー、アトライター等の各種分散手段を用いて調製することができる。また、2種以上の顔料を含む着色組成物は、各顔料を別々に顔料担体および有機溶剤中に微細に分散したものを混合して調製することもできる。
顔料を顔料担体および有機溶剤中に分散する際には、適宜、樹脂型顔料分散剤、界面活性剤、顔料誘導体等の分散助剤を含有させることができる。
分散助剤は、顔料の分散性に優れ、分散後の顔料の再凝集を防止する効果が大きいので、分散助剤を用いて顔料を顔料担体および有機溶剤中に分散してなる着色組成物を用いた場合には、透明性に優れたカラーフィルタが得られる。
分散助剤は、着色組成物中の顔料100重量部に対して、0.1〜40重量部、好ましくは0.1〜30重量部の量で用いることができる。
樹脂型顔料分散剤としては、顔料に吸着する性質を有する顔料親和性部位と、顔料担体と相溶性のある部位とを有し、顔料に吸着して顔料の顔料担体への分散を安定化する働きをするものである。
樹脂型顔料分散剤として、具体的には、ポリウレタン、ポリアクリレートなどのポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステルや、これらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩などの油性分散剤、(メタ)アクリル酸−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの水溶性樹脂や水溶性高分子化合物、ポリエステル系、変性ポリアクリレート系、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物、燐酸エステル系等が用いられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルなどのアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレートなどのノニオン性界面活性剤;アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物などのカオチン性界面活性剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタイン、アルキルイミダゾリンなどの両性界面活性剤が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
色素誘導体は、有機色素に置換基を導入した化合物であり、用いる顔料の色相に近いものが好ましいが、添加量が少なければ色相の異なるものを用いても良い。有機色素には、一般に色素とは呼ばれていないナフタレン系、アントラキノン系等の淡黄色の芳香族多環化合物も含まれる。
色素誘導体としては、特開昭63−305173号公報、特公昭57−15620号公報、特公昭59−40172号公報、特公昭63−17102号公報、特公平5−9469号公報等に記載されているものを使用できる。
特に、塩基性基を有する色素誘導体は、顔料の分散効果が大きいため、好適に用いられる。これらは単独でまたは2種類以上を混合して用いることができる。
着色組成物には、組成物の経時粘度を安定化させるために貯蔵安定剤を含有させることができる。貯蔵安定剤としては、例えばベンジルトリメチルクロライド、ジエチルヒドロキシアミンなどの4級アンモニウムクロライド、乳酸、シュウ酸などの有機酸およびそのメチルエーテル、t−ブチルピロカテコール、テトラエチルホスフィン、テトラフェニルフォスフィンなどの有機ホスフィン、亜リン酸塩等が挙げられる。
貯蔵安定剤は、着色組成物中の顔料100重量部に対して、0.1〜10重量部の量で含有させることができる。
また、着色組成物には、基板との密着性を高めるためにシランカップリング剤等の密着向上剤を含有させることもできる。シランカップリング剤としては、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン類、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリルシラン類、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン類、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジエトキシシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン類、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のチオシラン類等が挙げられる。
シランカップリング剤は、着色組成物中の顔料100重量部に対して、0.01〜100重量部の量で含有させることができる。
着色組成物は、グラビアオフセット用印刷インキ、水無しオフセット印刷インキ、インクジェット用インキ、シルクスクリーン印刷用インキ、溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色レジストの形態で調製することができる。着色レジストは、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂または感光性樹脂と、モノマーと、光重合開始剤と、有機溶剤とを含有する組成物中に色素を分散させたものである。
顔料は、着色組成物の全固形分量を基準(100重量%)として5〜70重量%の割合で含有されることが好ましい。より好ましくは、20〜50重量%の割合で含有され、その残部は、顔料担体により提供される樹脂質バインダーから実質的になる。
着色組成物は、遠心分離、焼結フィルタ、メンブレンフィルタ等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは0.5μm以上の粗大粒子および混入した塵の除去を行うことが好ましい。
カラーフィルタ中の赤色画素、緑色画素、および青色画素は、透明基板上に、印刷法またはフォトリソグラフィー法により、上記の各色着色組成物を用いて形成される。
透明基板としては、ソーダ石灰ガラス、低アルカリ硼珪酸ガラス、無アルカリアルミノ硼珪酸ガラスなどのガラス板や、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂板が用いられる。また、ガラス板や樹脂板の表面には、液晶パネル化後の液晶駆動のために、酸化インジウム、酸化錫、酸化亜鉛、酸化アンチモンなどの金属酸化物の組み合わせからなる透明電極が形成されていてもよい。
印刷法による各色フィルタセグメントの形成は、上記各種の印刷インキとして調製した着色組成物の印刷と乾燥を繰り返すだけでパターン化ができるため、カラーフィルタの製造法としては、低コストで量産性に優れている。さらに、印刷技術の発展により高い寸法精度および平滑度を有する微細パターンの印刷を行うことができる。印刷を行うためには、印刷の版上にて、あるいはブランケット上にてインキが乾燥、固化しないような組成とすることが好ましい。また、印刷機上でのインキの流動性の制御も重要であり、分散剤や体質顔料によるインキ粘度の調整を行うこともできる。
インクジェット法は、微細な複数の吐出口(インクジェットヘッド)を各色ごとに揃えたインクジェット装置にて、 透明基板もしくはTFTなどアクティブ素子を形成した基板に直接印刷形成する方法である。
フォトリソグラフィー法により各色画素を形成する場合は、上記溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色レジストとして調製した着色組成物を、透明基板上に、スプレーコートやスピンコート、スリットコート、ロールコート等の塗布方法により、乾燥膜厚が0.2〜10μmとなるように塗布する。
塗布膜を乾燥させる際には、減圧乾燥機、コンベクションオーブン、IRオーブン、ホットプレート等を使用してもよい。
必要により乾燥された膜には、この膜と接触あるいは非接触状態で設けられた所定のパターンを有するマスクを通して紫外線露光を行う。
その後、溶剤またはアルカリ現像液に浸漬するかもしくはスプレーなどにより現像液を噴霧して未硬化部を除去して所望のパターンを形成した後、同様の操作を他色について繰り返し、カラーフィルタを製造することができる。
さらに、着色レジストの重合を促進するため、必要に応じて加熱を施すこともできる。
フォトリソグラフィー法によれば、上記印刷法より精度の高いカラーフィルタを製造することが出来る。
現像に際しては、アルカリ現像液として炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等の水溶液が使用され、ジメチルベンジルアミン、トリエタノールアミン等の有機アルカリを用いることもできる。また、現像液には、消泡剤や界面活性剤を添加することもできる。現像処理方法としては、シャワー現像法、スプレー現像法、ディップ(浸漬)現像法、パドル(液盛り)現像法等を適用することができる。
なお、紫外線露光感度を上げるために、上記着色レジストを塗布し、乾燥した後、水溶性あるいはアルカリ水溶性樹脂、例えばポリビニルアルコールや水溶性アクリル樹脂等を塗布し、乾燥し、酸素による重合阻害を防止する膜を形成した後、紫外線露光を行うこともできる。
本実施形態に係る液晶表示装置に用いて好適なカラーフィルタは、上記方法の他に、電着法、転写法、インクジェット法などにより製造することができる。
なお、電着法は、透明基板上に形成した透明導電膜を利用して、コロイド粒子の電気泳動により各色フィルタセグメントを透明導電膜の上に電着形成することによりカラーフィルタを製造する方法である。
また、転写法は、剥離性の転写ベースシートの表面に、あらかじめカラーフィルタ層を形成しておき、このカラーフィルタ層を所望の透明基板に転写させる方法である。
次に、以上説明したカラーフィルタを備えた液晶表示装置について説明する。
図2は、本発明の一実施形態に係る液晶表示装置の概略断面図である。図2に示す装置4は、液晶TV用のTFT駆動型液晶表示装置の典型例であって、離間対向して配置された一対の透明基板5および6を備え、それらの間には、液晶(LC)が封入されている。
液晶(LC)は、TN(Twisted Nematic)、STN(Super Twisted Nematic)、IPS(In-Plane switching)、VA(Vertical Alignment)、OCB(Optically Compensated Birefringence)等の 液晶配向モードに応じて配向される。
第1の透明基板5の内面には、TFT(薄膜トランジスタ)アレイ7が形成されており、その上には例えばITOからなる透明電極層8が形成されている。透明電極層8の上には、配向層9が設けられている。また、透明基板5の外面には、位相差フィルムを構成に含む偏光板10が形成されている。
他方、第2の透明基板6の内面には、カラーフィルタ11が形成されている。カラーフィルタ11を構成する赤色、緑色および青色のフィルタセグメントは、ブラックマトリックス(図示せず)により分離されている。
カラーフィルタ11を覆って、必要に応じて透明保護膜(図示せず)が形成され、さらにその上に、例えばITOからなる透明電極層12が形成され、透明電極層12を覆って配向層13が設けられている。また、透明基板6の外面には、偏光板14が形成されている。
なお、偏光板10の下方には、三波長ランプ15を備えたバックライトユニット16が設けられている。
このように本実施形態によれば、より高コントラストなカラーフィルタを得るために、用いる顔料の種類を特定することや、該顔料を微細化することで、カラーフィルタを構成する赤色、緑色、および青色の着色画素層の厚み方向位相差値が正または/および不連続な状態になる可能性があっても、負の厚み方向位相差と成り得る顔料を選択することや、負になるような微細化処理を行うこと、さらには負の厚み方向位相差に調整可能な微粒子を添加することで、該厚み方向位相差値が負の値でかつ連続となるように最適な値に調整可能なカラーフィルタ用着色組成物を提供することが可能となる。
更に、本発明の他の実施形態によれば、光学補償層および他の構成部材の光学的特徴、特にリタデーションの波長分散の特徴に適するように、上述したカラーフィルタを用いて液晶ディスプレイを作製した場合、各着色画素の表示領域を通過する光の偏光状態にばらつきが生じないため、斜め方向からの視野角表示に優れた液晶表示装置を得ることができる。
更にまた、斜め方向からの視野角補償を施された黒表示となるため、斜め方向から見た場合、カラーシフトを低減し、かつニュートラルな黒色が再現でき、非常に優れた表示特性を呈することができる。
以下、本発明の実施の形態について具体的な実施例を挙げて記載するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また、本発明で用いる材料は光に対して極めて敏感であるため、自然光などの不要な光による感光を防ぐ必要があり、全ての作業を黄色、または赤色灯下で行うことは言うまでもない。なお、実施例および比較例中、「部」とは「重量部」を意味する。
また、顔料の記号はカラーインデックスナンバーを示し、例えば、「PR254」は「C.I.Pigment Red 254」を、「PY150」は「C.I.Pigment Yellow 150」を表す。
以下の実施例にて使用した色素誘導体を下記表1に示す。
a)微細化顔料の製造
実施例および比較例で用いた微細化顔料を以下の方法により製造した。そして、得られた顔料顔料の平均一次粒子径を、電子顕微鏡写真から一次粒子の大きさを直接計測する一般的な方法で測定した。
具体的には、透過型電子顕微鏡JEM-2010(日本電子(株)製)により視野内の粒子を撮影し、二次元画像上の凝集体を構成する個々の顔料の一次粒子の短軸径と長軸径を計測し、平均をその顔料粒子の粒径とした。次に、100個以上の顔料粒子について、それぞれの粒子の体積(重量)を、求めた粒径の直方体と近似して求め、体積平均粒径を平均一次粒子径とした。
この際、試料である前記着色組成物は、これを溶媒に超音波分散させてから前記顕微鏡で粒子を撮影する。なお、電子顕微鏡は透過型(TEM)または走査型(SEM)のいずれを用いても同じ結果が得られる。ここで言う一次粒子径は、個数粒度分布の積算曲線において積算量が全体の50%に相当する粒子径(円相当径)を表す。
[製造例1]
ジケトピロロピロール系赤色顔料PR254(チバスペシャリティケミカルズ社製「イルガフォアレッドB-CF」;R−1)100部、色素誘導体(D−1)18部、粉砕した食塩1000部、およびジエチレングリコール120部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、60℃で10時間混練した。
この混合物を温水2000部に投入し、約80℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩および溶剤を除いた後、80℃で24時間乾燥し、115部のソルトミリング処理顔料(R−2)を得た。得られた顔料の一次粒子径を下記表2に示す。
[製造例2]
アントラキノン系赤色顔料PR177(チバスペシャリティケミカルズ社製「クロモフタルレッドA2B」)100部、色素誘導体(D−2)8部、粉砕した食塩700部、およびジエチレングリコール180部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、70℃で4時間混練した。
この混合物を温水4000部に投入し、約80℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩および溶剤を除いた後、80℃で24時間乾燥し、102部のソルトミリング処理顔料(R−3)を得た。得られた顔料の一次粒子径を下記表2に示す。
[製造例3]
スルホン化フラスコにtert−アミルアルコール170部を窒素雰囲気下において装填する。次いで、ナトリウム11.04部を添加し、そしてこの混合物を92〜102℃に加熱する。その後、溶融したナトリウムを激しく撹拌しながら100〜107℃に一晩保持する。得られた溶液に、4−クロロベンゾニトリルの44.2部およびジイソプロピルスクシナートの37.2部を80℃において、tert−アミルアルコールの50部中に溶解した溶液を、80〜98℃において2時間かけて導入する。
導入後、この反応混合物を80℃においてさらに3時間撹拌し、そして同時にジイソプロピルスクシナートの4.88部を滴下添加する。この反応混合物を室温に冷却し、メタノールの270部、水200部、および濃硫酸48.1部の20℃の混合物へ添加し、20℃において攪拌を6時間続行する。
赤色混合物を濾過し、残留物をメタノールと水とで洗浄した後、80℃で乾燥して、46.7部の赤色顔料(R−4)を得た。得られた顔料の一次粒子径を下記表2に示す。
[製造例4]
ハロゲン化銅フタロシアニン系緑色顔料PG36(東洋インキ製造社製「リオノールグリーン6YK」)120部、粉砕した食塩1600部、およびジエチレングリコール270部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、70℃で12時間混練した。この混合物を温水5000部に投入し、約70℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩および溶剤を除いた後、80℃で24時間乾燥し、117部のソルトミリング処理顔料(G−1)を得た。
得られた顔料の一次粒子径を下記表2に示す。
[製造例5]
塩化アルミニウム356部および塩化ナトリウム6部の200℃の溶融塩に、亜鉛フタロシアニン46部を溶解し、130℃まで冷却し1時間攪拌した。反応温度を180℃に昇温し、臭素を1時間あたり10部で10時間滴下した。その後、塩素を1時間あたり0.8部で5時間導入した。
この反応液を水3200部に徐々に注入したのち、濾過、水洗して107.8部の粗製ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料を得た。粗製ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料の1分子内に含まれる平均臭素数は14.1個、平均塩素数は1.9個であった。
得られた粗製ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料120部、粉砕した食塩1600部、およびジエチレングリコール270部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、70℃で12時間混練した。この混合物を温水5000部に投入し、約70℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩および溶剤を除いた後、80℃で24時間乾燥し、117部のソルトミリング処理顔料(G−2)を得た。
得られた顔料の一次粒子径を下記表2に示す。
[製造例6]
セパラブルフラスコに水150部を仕込み、攪拌しながら35%塩酸63部を加え、塩酸溶液を調製した。この塩酸溶液に、発泡に注意しながらベンゼンスルホニルヒドラジド38.7部を加え、液温が0℃以下になるまで氷を追加した。冷却後、30分かけて亜硝酸ナトリウム19部を加え、0〜15℃の間で30分撹拌した後、ヨウ化カリウムでんぷん紙で着色が認められなくなるまでスルファミン酸を加えた。
次いで、バルビツール酸25.6部を添加した後、55℃まで昇温し、そのまま2時間撹拌した。さらにバルビツール酸25.6部を投入し、80℃まで昇温したのち、pHが5になるまで水酸化ナトリウムを投入した。
次に、80℃で3時間撹拌した後、70℃まで下げ、濾過、温水洗浄を行った。得られたプレスケーキを1200部の温水にリスラリーした後、80℃で2時間攪拌した。その後、そのままの温度で濾過を行い、80℃の水2000部で温水洗浄を行い、ベンゼンホンアミドが濾液側へ移行していることを確認した。得られたプレスケーキを80℃で乾燥し、アゾバルビツール酸ジナトリウム塩61.0部を得た。
次いで、セパラブルフラスコに水200部を仕込み、さらに撹拌しながら、得られたアゾバルビツール酸ジナトリウム塩の粉末8.1部を投入して分散させた。均一に分散させた後、溶液を95℃まで昇温し、メラミン5.7部、ジアリルアミノメラミン1.0部を添加した。
さらに、塩化コバルト(II)6水和物6.3部を水30部に溶解した緑色溶液を30分かけて滴下した。滴下終了後、90℃で1.5時間錯体化を行った。その後、pHを5.5に調整し、さらにキシレン4部、オレイン酸ナトリウム0.4部、水16部をあらかじめ攪拌してエマルジョン状態とした溶液20.4部を添加し、さらに4時間加温撹拌した。
70℃まで冷却した後、速やかに濾過し、無機塩が洗浄できるまで70℃温水洗を繰り返した。その後、乾燥、粉砕の工程を経て、14部のアゾ系黄色顔料(Y−2)を得た。
得られた顔料の一次粒子径を下記表2に示す。
[製造例7]
黄色顔料(C.I. Pigment Yellow 138、BASF社製「PALIOTOL YELLOW K0961HD」)160部、塩化ナトリウム1600部、およびジエチレングリコール(東京化成社製)270部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、60℃で15時間混練した。
次に、この混合物を約5リットルの温水に投入し、約70℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間撹拌してスラリー状とした後、濾過、水洗して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除き、80℃で24時間乾燥し、157部のソルトミリング処理顔料(Y−3)を得た。
得られた顔料の一次粒子径を下記表2に示す。
[製造例8]
銅フタロシアニン系青色顔料PB15:6(東洋インキ製造社製「リオノールブルーES」)100部、粉砕した食塩800部、およびジエチレングリコール100部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、70℃で12時間混練した。
この混合物を温水3000部に投入し、約70℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩および溶剤を除いた後、80℃で24時間乾燥し、98部のソルトミリング処理顔料(B−1)を得た。
BAYER社製「FANCHON FAST YELLOW Y-5688」(C.I. Pigment Yellow 150)を黄色顔料1とする。
b)アクリル樹脂溶液の調製
反応容器にシクロヘキサノン800部を収容し、容器に窒素ガスを注入しながら100℃に加熱して、同温度で下記のモノマーおよび熱重合開始剤の混合物を1時間かけて滴下し、重合反応を行った。
スチレン 60.0部
メタクリル酸 60.0部
メタクリル酸メチル 65.0部
メタクリル酸ブチル 65.0部
アゾビスイソブチロニトリル 10.0部
滴下した後、100℃で3時間反応させ、アゾビスイソブチロニトリル2.0部をシクロヘキサノン50部で溶解させたものを添加し、さらに100℃で1時間反応を続けて、樹脂溶液を合成した。
室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃で20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20%となるようにシクロヘキサノンを添加して、アクリル樹脂溶液を調製した。
c)顔料分散体の調製
下記表3に示す組成(重量比)の混合物を均一に撹拌混合した後、直径1mmのジルコニアビーズを用いて、サンドミルで5時間分散した後、5μmのフィルタで濾過して各色顔料分散体を得た。
d)リタデーション調整剤
以下の市販の化合物をリタデーション調整剤として使用した。
メラミン化合物 ・・・日本カーバイド工業製(商品名ニカラックMX−750)
重合性液晶(LC)・・・下記に示す化合物
e)着色組成物(以下、レジストという)の調製
下記表4に示す組成(重量比)の混合物を均一に撹拌混合した後、1μmのフィルタで濾過して各色レジストを得た。
f)各色塗膜の作製
下記表4に示す各色レジストをスピンコート法によりガラス基板に塗工した後、クリーンオーブン中で、70℃で20分間プリベークした。次いで、この基板を室温に冷却した後、超高圧水銀ランプを用い、紫外線を露光した。その後、この基板を23℃の炭酸ナトリウム水溶液を用いてスプレー現像した後、イオン交換水で洗浄し、風乾した。
その後、クリーンオーブン中で、230℃で30分間ポストベークを行い、各色塗膜を得た。乾燥塗膜の膜厚は、いずれも2.0μmであった。
g)各色塗膜の色度、分光透過率、厚み方向位相差値、およびコントラストの測定
[色度、分光透過率]
XYZ表色系色度図における色度は、分光光度計(オリンパス社製「OSP−200」)を用いて測定した。
上記表4に示す各色レジストより作製された各色塗膜の色度を下記表5に示す。
[厚み方向位相差値Rth]
厚み方向位相差値は、透過型分光エリプソメータ(日本分光社製「M−220」)を用いて、塗膜を形成した基板の法線方向から45°傾けた方位より、400nmから700nmの範囲で5nmおきの波長で測定し、エリプソパラメータδを得た。
△=δ/360×λより位相差値△(λ)を算出し、この値を用いて、3次元屈折率を算出し、上述した下記式(8)より厚み方向位相差値(Rth)を算出した。但し、赤色着色画素では610nm、緑色着色画素では550nm、青色着色画素では450nmの波長で測定を行った。
Rth={(Nx+Ny)/2-Nz}×d …(8)
(式中、Nxは着色画素層の平面内のx方向の屈折率であり、Nyは着色画素層の平面内のy方向の屈折率であり、Nzは着色画素層の厚み方向の屈折率であり、NxをNx≧Nyとする遅相軸とする。dは着色画素層の厚み(nm)である。)
上記表4に示した各色レジストより作製された各色塗膜の厚み方向位相差値Rthを下記表5に示す。
[コントラスト]
塗膜を形成した基板の両側に偏光板を重ね、偏光板が平行時の輝度(Lp)と直交時の輝度(Lc)との比、Lp/Lcをコントラスト(C)として算出した。また、着色画素がない基板のみのコントラスト=Lp/LcをCSとし、CRを赤色画素、CGを緑色画素、CBを青色画素のコントラストとした。
なお、輝度は、色彩輝度計(トプコン社製「BM−5A」)を用い、2°視野の条件で測定し、偏光板は、日東電工社製「NPF−SEG1224DU」を用いた。
上記表4に示す各色レジストより作製された各色塗膜のコントラストを下記表5に示す。
h)カラーフィルタの作製
上記表4に示す各色レジストを組み合わせて、下記に示す方法により、カラーフィルタを作製した。
[実施例1]
まず、赤色レジスト(RR−3)をスピンコート法により、予めブラックマトリックスが形成されてあるガラス基板に塗工した後、クリーンオーブン中で、70℃で20分間プリベークした。次いで、この基板を室温に冷却した後、超高圧水銀ランプを用い、フォトマスクを介して紫外線を露光した。
その後、この基板を23℃の炭酸ナトリウム水溶液を用いてスプレー現像した後、イオン交換水で洗浄し、風乾した。さらに、クリーンオーブン中で、230℃で30分間ポストベークを行い、基板上にストライプ状の赤色画素を形成した。
同様に、緑色レジスト(GR−2)を使用し、緑色画素を形成し、青色レジスト(BR−1)を使用し、青色画素を形成し、カラーフィルタを得た。
各色画素の形成膜厚は、いずれも2.0μmであった。
i)液晶表示装置の作製
得られたカラーフィルタ上に、オーバーコート層を形成し、その上にポリイミド配向層を形成しラビング処理を施した。ガラス基板の他方の面に偏光板を形成した。他方、別の(第2の)ガラス基板の一方の面にTFTアレイおよび画素電極を形成し、他方の面に偏光板を形成した。
こうして準備された2つのガラス基板を電極層同士が対面するよう対向させ、スペーサビーズを用いて両基板の間隔を一定に保ちながら位置合わせし、液晶組成物注入用開口部を残すように周囲を封止剤で封止した。そして、開口部からIPS用液晶組成物を注入し、開口部を封止した。
偏光板には、広視野角表示が可能なように最適化された光学補償層を設けた。この光学補償層の厚み方向位相差値は、450nmで37μm(Rth(B)とする)、550nmで42μm(Rth(G)とする)、630nmで51μm(Rth(R)とする)であった。
このようにして作製した液晶表示装置をバックライトユニットと組み合わせてIPS表示モード液晶パネルを得た。
[実施例2]
青色レジストを(BR−1)から(BR−2)に代えた以外は、実施例1と同様にして、液晶表示装置を得た。
[実施例3]
緑色レジストを(GR−2)から(GR−3)に代えた以外は、実施例1と同様にして、液晶表示装置を得た。
[実施例4]
緑色レジストを(GR−2)から(GR−3)に、青色レジストを(BR−1)から(BR−2)に代えた以外は、実施例1と同様にして、液晶表示装置を得た。
[比較例1]
赤色レジストを(RR−3)から(RR−1)に、青色レジストを(BR−1)から(BR−3)に代えた以外は、実施例1と同様にして、液晶表示装置を得た。
[比較例2]
赤色レジストを(RR−3)から(RR−2)に、緑色レジストを(GR−2)から(GR−1)に、青色レジストを(BR−1)から(BR−3)に代えた以外は、実施例1と同様にして、液晶表示装置を得た。
[比較例3]
緑色レジストを(GR−2)から(GR−1)に代えた以外は、実施例1と同様にして、液晶表示装置を得た。
j)液晶表示装置の黒表示時の視認性評価
作製した液晶表示装置を黒表示させ、液晶パネルの法線方向(略垂直方向)および法線方向から45°傾けた方位(斜め)より漏れてくる光(直交透過光;漏れ光)の量を目視観察した。
黒表示時の視認性の評価ランクは次の通りである。
◎:優れている
○:良好
×:劣っている
また、黒表示時の略垂直方向から見たときの色度(u(⊥)、v(⊥))と表示面の法線方向から45°傾けた方位よりから見たときの色度(u(45)、v(45))をトプコン社製BM−5Aにて測定し、色差Δu‘v’を算出した。
上記表6に示しように、実施例1〜4に係る液晶表示装置では、色差Δu‘v’がいずれも0.02より小さいため、斜め方向の視認性が良好である。
また、実施例1および2から得られるカラーフィルタを備えた液晶表示装置では、正面での高コントラスト化が図られているため、特に、正面方向における視認性が良好な液晶表示装置が得られる。
これに対し、比較例1〜3に係る液晶表示装置では、色差Δu‘v’がいずれも0.02より大きいため、正面方向又は斜め方向の視認性が不良である。
1・・・ガラス基板、2・・・ブラックマトリックス、3・・・着色画素、4・・・液晶表示装置、5、6・・・透明基板、7・・・TFTアレイ、8、12・・・透明電極、9、13・・・配向層、10、14・・・偏光板、11・・・カラーフィルタ、15・・・三波長ランプ、16・・・バックライトユニット