JP2009180628A - 建物診断装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 耐震強度を含む建物の耐震性能を簡単に取得できるような建物診断装置を提供する。
【解決手段】 本発明による建物診断装置は、建物に配置されて建物を加振するための加振機20と、建物に配置された第1の加速度検出器21と組み合わされる。建物診断装置は、前記加振機で加振周波数を変化させながら水平方向に加振している時に前記第1の加速度検出器から得られる加速度検出信号を受け、該加速度検出信号がピーク値を示す前記加振周波数を建物の卓越周波数fとして検出すると共に、検出した卓越周波数fを用い、建物の耐震強度Тを、あらかじめ定められた第1の式Т=(2πf/g(但し、gは重力の加速度980cm/sec)から算出する解析器15を含む。
【選択図】 図1

Description

本発明は建物、特に住宅家屋の耐震性能を診断する建物診断装置に関する。
通常、建物の建築に際しては耐震設計が施される。一般住宅家屋でも耐震構造に加えて、免震構造や減震構造を採用した建築が増えつつあるが、免震構造や減震構造は高価であることから、その増加率は新築住宅の増加率に比べれば低い。
想定される震度を考慮した耐震構造を採用する場合であっても、住宅が構築される地盤には一種、二種、三種の種別があり、その種別に応じた設計が必要である。しかしながら、このようにして設計された値はあくまでも一般式に基づく設計値であり、設計値が基準を満足していれば安全かと言えば、必ずしもそうであるとは言えない。
このような現状から、新築住宅の購買者には、購入した住宅が実際にどの程度の耐震性能を持つのかを知りたいという欲求がある。つまり、設計値に基づいて求められる耐震性能は、一般式に基づくものであって、実際の住宅構造や地盤状況を考慮したものではないので、あくまでも目安程度のものに過ぎないという心配があるからである。
一方、耐震性能数値の取得欲求は新築住宅の購買者に限らず、現在住んでいる住宅、いわば中古住宅の所有者も同様であるが、設計値をそのまま当てはめて計算することは難しい。
「耐震・免震・制震のはなし」第78−79頁、斉藤大樹著、2005年7月26日、日刊工業新聞社発行
建物の耐震性能を示す数値として、例えば耐震強度がある。耐震強度は、建物に対して様々な計測を行い、その計測結果を用いて計算で算出することができる。しかしながら、計測作業は煩雑であり、耐震強度計算も1つの計算式で与えられるものではなく、複雑である。
このような問題点に鑑み、本発明は、耐震強度を含む建物の耐震性能を簡単に取得できるような建物診断装置を提供しようとするものである。
本発明は、特に戸建住宅における耐震性能を判断する要素として、少なくとも耐震強度、壁量、偏心率を簡単に得ることのできる建物診断装置を提供しようとするものである。
本発明はまた、新築の建物のみならず、中古の建物にも適用可能な建物診断装置を提供することにある。
本発明による建物診断装置は、建物に配置されて建物を加振するための加振機と、建物に配置された第1の加速度検出器と組み合わされ、前記加振機で加振周波数を変化させながら水平方向に加振している時に前記第1の加速度検出器から得られる加速度検出信号を受け、該加速度検出信号がピーク値を示す前記加振周波数を建物の卓越周波数fとして検出すると共に、検出した卓越周波数fを用い、建物の耐震強度Тを、あらかじめ定められた第1の式Т=(2πf/g(但し、gは重力の加速度980cm/sec)から算出する解析器を含む。
なお、前記卓越周波数fの検出を、水平面上において互いに直交するX軸、Y軸に関して行い、前記解析器は前記耐震強度Tの算出をX軸、Y軸に関して行うことが望ましい。
本発明による建物診断装置によればまた、前記解析器は、前記検出した卓越周波数fから、建物の壁量Rを、屋根材が軽量材である場合にあらかじめ定められた第2の式R=100×(f−2.98/6.14)(cm/m)で算出し、屋根材が重量材である場合にあらかじめ定められた第3の式R=100×(f−3.35/3.9)(cm/m)で算出することができる。この場合も、前記卓越周波数fの検出を、水平面上において互いに直交するX軸、Y軸に関して行い、前記解析器は前記建物の壁量Rの算出をX軸、Y軸に関して行うことが望ましい。
本発明による建物診断装置によればさらに、前記屋根材が前記重量材である場合の建物の上部重量をWUHとし、この場合に検出された卓越周波数をf0Hとし、前記屋根材を前記軽量材に変更した時の前記上部重量をWULとした場合、前記解析器は、前記屋根材を前記軽量材に変更した時の卓越周波数f0Lをあらかじめ定められた第4の式f0L=[(f0H×WUH/WUL1/2により算出し、算出した卓越周波数f0Lを前記第1の式に代入して前記屋根材を前記軽量材に変更した時の前記耐震強度Tの算出を行うことができる。この場合も、前記卓越周波数f0Hの検出を、水平面上において互いに直交するX軸、Y軸に関して行い、前記解析器は前記屋根材を前記軽量材に変更した時の前記耐震強度Tの算出をX軸、Y軸に関して行うことが望ましい。
本発明による建物診断装置によればさらに、前記加振機をあらかじめ知られている住宅の重心位置に配置すると共に、該重心位置を通るX軸上の住宅の端部の一方に前記第1の加速度検出器を、他方に第2の加速度検出器を配置し、前記加振機で加振周波数を変化させながらY軸かつ水平方向に加振している時に前記第1、第2の加速度検出器から得られる第1、第2の加速度検出信号を受け、前記解析器は、該第1、第2の加速度検出信号がピーク値を示す加速度値をそれぞれα1X、α2Xとして検出し、偏心率ReXをあらかじめ定められた第5の式
eX=A(r+1)/(r1/2×L−1/(r1/2
(但し、Lは建物のX軸方向の幅、AはX軸上での第1の加速度検出器から剛心までの距離、rは1/α1X、1/α2Xのうち、小さい方を分母としたX軸方向の剛性比である)により算出し、続いて、前記重心位置を通るY軸上の住宅の端部の一方に前記第1の加速度検出器を、他方に前記第2の加速度検出器を配置し、前記加振機で加振周波数を変化させながらX軸かつ水平方向に加振している時に前記第1、第2の加速度検出器から得られる第1、第2の加速度検出信号を受け、前記解析器は、これら第1、第2の加速度検出信号がピーク値を示す加速度値をそれぞれα1Y、α2Yとして検出し、偏心率ReYをあらかじめ定められた第6の式
eY=A(r+1)/(r1/2×L−1/(r1/2
(但し、Lは建物のY軸方向の幅、AはY軸上での第1の加速度検出器から剛心までの距離、rは1/α1Y、1/α2Yのうち、小さい方を分母としたY軸方向の剛性比である)により算出することができる。
本発明によれば、建物自体の持つ耐震性能、特に耐震強度を計測し、より効果的で安価に耐震補強のできる手法が提供される。すなわち、本発明による建物診断装置は、まず、その建物の持つ固有の耐震強度を目視でなく計測器及び解析器を使用して正確に表示できる。これにより、顧客は自身の建物の周りで発生する近い将来の地震に対し建物が倒壊しないだけの十分安心できる補強を考えることができる。補強は、壁の補強、筋交の補強、重い屋根を軽い屋根に代える間接的な補強方法のいずれも事前に評価し、実施することが可能である。
図1を参照して、本発明による耐震性能診断を実施するための計測システムについて説明する。計測システムは、周波数可変の加振信号を発生する任意波発振器11、加振信号を増幅する電力増幅器12、電力増幅器12からの増幅された加振信号で加振を行なう加振機20、加振機20で加振されている間の加速度を検出する第1、第2の加速度検出器21、22、これらの検出信号を増幅するための増幅器13、17、アナログ信号である検出信号をディジタルの加速度信号に変換するA/D変換器14、18、解析器15、パラメータ入力部19を含む。ここでは、本発明を2階建ての戸建住宅に適用する場合について説明するが、1階建てや3階建て以上の建物にも適用可能であることは言うまでもない。また、新築、中古の別は問わない。
次に、本計測システムによる耐震性能診断について説明する。以下の耐震性能診断は、解析器15にインストールされている耐震性能診断のための解析処理プログラムに基づいて行われる。従って、解析器15は、パーソナルコンピュータ、特にポータブルタイプのパーソナルコンピュータによって実現することができる。この場合、パラメータ入力部19はキーボードで実現される。また、増幅器、A/D変換器は解析器に内蔵されていても良い。
[耐震強度の算出]
耐震強度を得る場合、第1の加速度検出器21の検出信号のみが使用される。
図1において、任意波発振器11に対して波形を指定することにより、任意波発振器11から、ここでは正弦波が発生され、電力増幅器12で増幅されて加振機20に与えられる。加振機20は増幅された正弦波に基づいて住宅1を水平方向に振動させる。その時の住宅1の加速度が第1の加速度検出器21で検出される。第1の加速度検出器21で検出された加速度信号は、第1の増幅器13で増幅され第1のA/D変換器14でディジタル信号に変換されて解析器15に与えられる。解析器15は、前述のように解析処理プログラムに基づいて信号処理及び解析処理を行うものである。解析器15にはまた、任意波発振器11からの正弦波信号が周波数信号として与えられる。
なお、任意波発振器11は周波数の異なる複数種類の正弦波信号を発生することができるほか、ランダム波信号としてマルチサイン信号、スウェプトサイン信号を発生することができる。マルチサイン信号というのは、異なる周波数f〜fの正弦波信号を様々な振幅を持つように合成した信号である。一方、スウェプトサイン信号というのは、異なる周波数f〜fの正弦波信号を振幅が一定の状態になるように合成した信号で、いわば周波数変調波である。
第1の加速度検出器21で検出される加速度をUとすると、加速度Uと加振機20による加振周波数f(任意波発振器11からの信号周波数)との関係は図2のようになる。つまり、加速度Uは加振周波数fがある値fになるとピーク値を示す。この周波数は卓越周波数(あるいは固有周波数)と呼ばれる。
解析器15は、任意波発振器11からの周波数信号とA/D変換器14からの加速度信号により、上記卓越周波数fを検出する。続いて、解析器15は、以下の式(1)(第1の式)に基づいて耐震強度Tを算出する。
Т=(2πf/g (1)
但し、gは重力の加速度980cm/secである。
上記式(1)は以下のようにして導かれたものである。
一般的に、建物の強さ(剛性)は建物のばね定数Kで表され、非特許文献1によると、固有円振動数ω(=2πf)とばね定数Kとの間に、2π/ω=2π(m/K)1/2(但し、mは質量)の関係があるとされている。この式からK=m・ωとなり、質量mはW/gで与えられることから、
K=(2πf・W/g (2)
が得られる。なお、Wは建物の上部重量であり、2階の場合、図3に示すように、地面G.Lから所定の高さh(m)、ここでは1.35mの高さから上の住宅1の重量が住宅1の上部重量W(kN)として扱われる。上部重量Wは設計図面から計算される。
ここで、本発明者は、上記式(2)を以下のように変形することで、耐震強度Tを得ることができるようにした。
=K/W=(2πf・W/g・W=(2πf/g
実際には、加振機20による加振は、2階の床面に規定したX軸(ここでは東西方向とする)及びY軸(ここでは南北方向とする)に関して行なわれる。つまり、住宅1を加振機20によりX軸方向に加振して得られた卓越周波数f0X、Y軸方向に加振して得られた卓越周波数f0YからX軸方向、Y軸方向の耐震強度TKX、TKYが算出される。X軸方向を東西方向とし、Y軸方向を南北方向とするのは、通常、住宅は南向きに建てられるからである。
いずれにしても、解析器15は、加振機20によりX軸方向に加振して得られた卓越周波数f0X、Y軸方向に加振して得られた卓越周波数f0Yを検出し、式(1)からX軸方向及びY軸方向の耐震強度TKX、TKYを自動的に算出して結果を記憶装置に保存すると共に、ディスプレイにて表示したり、プリントアウトしたりする。
[壁量の算出]
本発明者は、上記のようにして得られた住宅1の卓越周波数から、以下のようにして住宅1の壁量を算出できる式を導出した。
上記のようにして卓越周波数が決まると耐震強度が決定されるが、この時、耐力壁や筋交等の換算壁量を住宅の単位面積あたり33.0cm/mとした場合の耐震強度を1.00とすると、壁量を増加させるごとに耐震強度の数値は上昇する。但し、壁量は、屋根材がコロニアル材などによる軽量材であるか、瓦などによる重量材であるかに応じて分けられることが望ましい。これを表で表すと、図4(a)、(b)のようになる。
図4(a)の場合、項目1の耐震強度は上記の方法で得られた項目3の卓越周波数f(検出値)を用いて上記式(1)により算出された値である。そして、項目2、3の実壁量(実際に計算して得られた値)、卓越周波数fを基に以下の壁量Rの近似式(4)(第2の式)を導出した。
=100×(f−2.98/6.14)(cm/m) (4)
図4(b)の場合、項目1の耐震強度は上記の方法で得られた項目3の卓越周波数f(検出値)を用いて上記式(1)により算出された値である。そして、項目2、3の実壁量(実際に計算して得られた値)、卓越周波数fを基に以下の壁量Rの近似式(5)(第3の式)を導出した。
=100×(f−3.35/3.90)(cm/m) (5)
この壁量についても、加振機20による加振は、2階の床面に規定したX軸及びY軸に関して行なわれる。つまり、住宅1を加振機20によりX軸方向に加振して得られた卓越周波数f0X、Y軸方向に加振して得られた卓越周波数f0YからX軸方向及びY軸方向の壁量RLX、RLY、RHX、RHYが算出される。
図4(a)、(b)の項目4はそれぞれ、上記式(4)、(5)により算出された壁量であり、項目2の実壁量とほぼ同じであることから、式(4)、(5)の有効性が理解できる。
解析器15は、加振機20によりX軸方向に加振して得られた卓越周波数f0X、Y軸方向に加振して得られた卓越周波数f0Yを検出し、軽量屋根材、重量屋根材の別に応じて、式(4)、(5)からX軸方向及びY軸方向の壁量RLX、RLY、RHX、RHYを自動的に算出して結果を記憶装置に保存すると共に、表示したり、プリントアウトしたりする。なお、軽量屋根材、重量屋根材の別は、パラメータ入力部19から指定する。
ここで、壁量が不足していると判定された場合の補強方法の一例について説明する。上記の卓越周波数f0X、f0Yの計測を、軽量材による屋根を持つ室内面積53mの住宅に対して行った結果、卓越周波数f0Xとして5.0Hz、f0Yとして4.6Hzが得られたものとする。
この場合、X軸方向、Y軸方向に関する耐震強度TKX、TKYはそれぞれ、上記式(1)より、
KX=(2π・5.0)/980=1.02
KY=(2π・4.6)/980=0.86
となる。
この結果、X軸方向に関する耐震強度は1.0以上あるので十分であるが、Y軸方向に関しては0.14不足しているので耐震補強を行なう必要がある。この場合、Y軸方向に関する壁量RLYは、上記式(4)より、
LY=100×(4.6−2.98/6.14)=26.34cm
であり、耐震強度1.0(壁量33.0cm)に対する壁量不足は、(33−26.34)=6.66cmとなる。この場合、不足分の総量は、6.66(cm)×53(m)=353cmとなる。
この不足量を筋交で補強するものとすると、通常、筋交1個当たりは2×91Cm=182cmの壁量に相当するので、筋交2個による補強を行なえば良いことになる。この2箇所は、東西の振動量が可能な限りバランスがとれるように設定することが望ましく、これにより重心と剛心との間の距離(偏心距離)を最小にすることができる。なお、筋交による補強は一例であり、上記の数値を耐力壁により実現することもできる。
[耐震強度の改善予測]
次に、本発明者は、瓦等の重量材による屋根を、コロニアル材等の軽量材による屋根に代えた場合に耐震強度がどの程度アップするか算出することのできる計算式を導出した。なお、計算式を構成する因子を以下のように定義する。
UH:瓦等の重量材で出来上がっている住宅1の上部重量(ここでは180kNとする)
0H:瓦等の重量材で出来上がっている住宅1について検出された卓越周波数(4.6Hzとする)
UL:住宅1の屋根をコロニアル材等の軽量材に代えたときの上部重量(150kNとする)
そして、住宅1の屋根をコロニアル材等の軽量材に代えたときの卓越周波数f0Lを以下の式(6)(第4の式)で算出する。
0L=[(f0H・WUH/WUL1/2 (6)
その結果、f0Lとして5.039{=[(4.6)×180/150]1/2}が得られる。
瓦等の重量材による屋根の場合の耐震強度TKHは、式(1)より、
KH=(2π×4.6)/980=0.8637
コロニアル等の軽量材に代えたときの耐震強度TKLは、式(1)より、
KL=(2π×5.039)/980=1.0364
耐震強度TKLは1.0を超えているので、瓦等の重量材をコロニアル等の軽量材に代えたことで耐震強度が改善されたことが理解できる。
以上のように、解析器15は、パラメータ入力部19から耐震強度改善を指定し、上部重量WUH、UL、卓越周波数f0Hの各値を入力すると、耐震強度TKH、KLを自動的に算出して結果を記憶装置に保存すると共に、表示したり、プリントアウトしたりする。
[偏心率Rの算出]
地震力は建物の重心位置に作用し、地震発生の際には建物は剛心を中心として振動する。そのため、建物の偏心率Rが大きいと建物はねじれ振動を起こして大きな損傷を受ける。
建築基準法では、木造2階建て住宅の場合、偏心率Rは、0.3以下が望ましいと定められている。
本実施形態では、耐震性能診断のためのファクターとして、偏心率Rを得ることができるようにしている。以下に、建物の2階の平面図である図5を参照し、具体的な数値を当てはめて説明する。
建物の重心位置を計算により求める。これは、建物の設計図面を用いて計算することができる。
(東西方向の偏心率ReX
これは、建物の重心位置に加振機20を配置すると共に、重心位置を通る東西方向(つまり、X軸方向)の室内端部にそれぞれ第1の加速度検出器21(以下、加速度検出器Dと呼ぶ)、第2の加速度検出器22(以下、加速度検出器Dと呼ぶ)を配置して南北方向(つまり、Y軸方向)に加振を行なう。
建物の東西方向の幅をL(=800cm)、X軸上での加速度検出器Dから剛心までの距離をAx(cm)とする。上記の南北方向の加振により加速度検出器D、Dからそれぞれ検出値(ピーク値)8(gal)、10(gal)が得られたとする。
この場合、東西方向の剛性の比は、大きいほうの検出値を1.0(=10/10)とすると、小さいほうの検出値では1.25(=10/8)となる。つまり、剛性比rは東側1.0に対して西側は1.25となる。但し、剛性比rは必ず1≦rである。そこで、以下の式が成立する。
1. 25×A=1.0×(L−A
上記式よりA=L/2.25=355cmとなる。
ここで、建物の重心がX軸上での加速度検出器Dから400cmの位置にあるものとすると、東西方向に関する偏心距離eは、e=(400−355)=45cmとなる。つまり、東西方向に関する剛心位置は、重心位置から西側に45cmずれた位置にあることになる。
次に、東西方向の偏心率ReXは以下の式(7)(第5の式)により求められる。
eX=A(r+1)/(r1/2×L−1/(r1/2 (7)
ここで、rは前述した東西方向の剛性比であり、上記の場合、1.25(=1.25/1.0)である。
従って、式(7)により、東西方向の偏心率ReX
eX=355(1.25+1)/(1.25)1/2×800−1/(1.25)1/2=0.1118として算出される。そして、0.1118≦0.3であるので、東西方向の偏心率ReXは建築基準法で規定された値を満足していることになる。
(南北方向の偏心率ReY
これは、建物の重心位置に加振機20を配置すると共に、重心位置を通る南北方向(Y軸方向)の室内端部にそれぞれ加速度検出器D、Dを配置して東西方向(X軸方向)に加振を行なう。言うまでも無く、偏心率ReYは、以下の式(8)(第6の式)で算出される。
eY=A(r+1)/(r1/2×L−1/(r1/2 (8)
但し、Lは建物の南北方向の幅、AはY軸上での加速度検出器Dから剛心までの距離であり、rは南北方向の剛性比である。
以下は、上記と同様にして、南北方向に関する剛心位置、偏心距離e及び偏心率ReYを求める。
以上のようにして、解析器15は、パラメータ入力部19より偏心率Rの算出が指定されると、第1、第2の加速度検出器の検出値を用い、上記式(7)、(8)によりX軸方向、Y軸方向の偏心率が建築基準法で定められた値0.3より大きいかどうかで大地震に耐え得るかどうかの判定結果を表示したり、プリントアウトしたりする。
なお、偏心率は0.15を超えないものとするとの建築基準法もあるが、0.3、0.15のいずれを採用するかは任意であり、例えば顧客の要望に応じて決めても良い。
以上説明した本発明の実施形態による建物診断装置によれば、建物自体の持つ耐震性能を計測し、より効果的で安価に耐震補強のできる手法が提供される。すなわち、本実施形態による建物診断装置は、まず、その建物の持つ固有の耐震強度を目視でなく計測器及び解析器を使用して正確に表示でき、更には耐震強度の目安となる壁量(筋交を含む)を容易に導出できる。これにより、顧客は自身の建物の周りで発生する近い将来の地震に対し建物が倒壊しないだけの十分安心できる補強を考えることができる。補強は、壁の補強、筋交の補強、重い屋根を軽い屋根に代える間接的な補強方法のいずれも事前に評価し、実施することが可能である。
また、本実施形態による建物診断装置によって建物の偏心率の計測が容易に正しく行なわれることにより、地震対策として地震発生時に建物がねじれによって破壊されることがない様、建物の地震に対する脆弱部分の改修も可能となることから、有効な耐震性能診断並びに補強の補助手段として威力を発揮することが期待される。
図1は、本発明による耐震診断を実施するための計測システムの構成を示すブロック図である。 図2は、図1の加振機により住宅を加振した際に得られる加振周波数と加速度検出器で検出される加速度の関係を示した図である。 図3は、2階建て住宅の上部荷重の定義を説明するための図である。 図4は、住宅における耐震強度、実壁量、計測された卓越周波数、計算により得られた壁量の関係を示した図であり、図4(a)は住宅の屋根が軽量材で作られている場合、図4(b)は住宅の屋根が重量材で作られている場合について示す。 図5は、本発明による建物診断装置により、住宅の偏心率を算出する場合の加振機及び加速度検出器の配置例を示した平面図である。
符号の説明
1 住宅
20 加振機
21 第1の加速度検出器
22 第2の加速度検出器

Claims (7)

  1. 建物に配置されて建物を加振するための加振機と、建物に配置された第1の加速度検出器と組み合わされ、
    前記加振機で加振周波数を変化させながら水平方向に加振している時に前記第1の加速度検出器から得られる加速度検出信号を受け、該加速度検出信号がピーク値を示す前記加振周波数を建物の卓越周波数fとして検出すると共に、検出した卓越周波数fを用い、建物の耐震強度Тを、あらかじめ定められた第1の式Т=(2πf/g(但し、gは重力の加速度980cm/sec)から算出する解析器を含むことを特徴とする建物診断装置。
  2. 前記卓越周波数fの検出を、水平面上において互いに直交するX軸、Y軸に関して行い、前記解析器は前記耐震強度Tの算出をX軸、Y軸に関して行うことを特徴とする請求項1に記載の建物診断装置。
  3. 前記解析器は、前記検出した卓越周波数fから、建物の壁量Rを、屋根材が軽量材である場合にあらかじめ定められた第2の式R=100×(f−2.98/6.14)(cm/m)で算出し、屋根材が重量材である場合にあらかじめ定められた第3の式R=100×(f−3.35/3.9)(cm/m)で算出することを特徴とする請求項1に記載の建物診断装置。
  4. 前記卓越周波数fの検出を、水平面上において互いに直交するX軸、Y軸に関して行い、前記解析器は前記建物の壁量Rの算出をX軸、Y軸に関して行うことを特徴とする請求項3に記載の建物診断装置。
  5. 前記屋根材が前記重量材である場合の建物の上部重量をWUHとし、この場合に検出された卓越周波数をf0Hとし、前記屋根材を前記軽量材に変更した時の前記上部重量をWULとした場合、前記解析器は、前記屋根材を前記軽量材に変更した時の卓越周波数f0Lをあらかじめ定められた第4の式f0L=[(f0H×WUH/WUL1/2により算出し、算出した卓越周波数f0Lを前記第1の式に代入して前記屋根材を前記軽量材に変更した時の前記耐震強度Tの算出を行うことを特徴とする請求項3に記載の建物診断装置。
  6. 前記卓越周波数f0Hの検出を、水平面上において互いに直交するX軸、Y軸に関して行い、前記解析器は前記屋根材を前記軽量材に変更した時の前記耐震強度Tの算出をX軸、Y軸に関して行うことを特徴とする請求項5に記載の建物診断装置。
  7. 前記加振機をあらかじめ知られている住宅の重心位置に配置すると共に、該重心位置を通るX軸上の住宅の端部の一方に前記第1の加速度検出器を、他方に第2の加速度検出器を配置し、前記加振機で加振周波数を変化させながらY軸かつ水平方向に加振している時に前記第1、第2の加速度検出器から得られる第1、第2の加速度検出信号を受け、前記解析器は、該第1、第2の加速度検出信号がピーク値を示す加速度値をそれぞれα1X、α2Xとして検出し、偏心率ReXをあらかじめ定められた第5の式
    eX=A(r+1)/(r1/2×L−1/(r1/2
    (但し、Lは建物のX軸方向の幅、AはX軸上での第1の加速度検出器から剛心までの距離、rは1/α1X、1/α2Xのうち、小さい方を分母としたX軸方向の剛性比である)により算出し、続いて、前記重心位置を通るY軸上の住宅の端部の一方に前記第1の加速度検出器を、他方に前記第2の加速度検出器を配置し、前記加振機で加振周波数を変化させながらX軸かつ水平方向に加振している時に前記第1、第2の加速度検出器から得られる第1、第2の加速度検出信号を受け、前記解析器は、これら第1、第2の加速度検出信号がピーク値を示す加速度値をそれぞれα1Y、α2Yとして検出し、偏心率ReYをあらかじめ定められた第6の式
    eY=A(r+1)/(r1/2×L−1/(r1/2
    (但し、Lは建物のY軸方向の幅、AはY軸上での第1の加速度検出器から剛心までの距離、rは1/α1Y、1/α2Yのうち、小さい方を分母としたY軸方向の剛性比である)により算出することを特徴とする請求項1に記載の建物診断装置。
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