JP2009180306A - スタッドボルト等のボルト係止具 - Google Patents
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Abstract
【課題】取付け作業が簡単であり、増し締めを直接阻止することができ、取外し作業が容易である、安価なボルト係止具を提供する。
【解決手段】ボルト係止具1は、内筒クリップ3と、内筒クリップに連結される外筒クリップ2の2部品で成り、内筒クリップ3と外筒クリップ2とを軸方向には移動できないが軸心回りに回転できるように連結するため内筒クリップ2のフランジ11とロック爪25が外筒クリップ2のネック部13を挟持し、内筒クリップ3が外筒クリップ2対して取外し方向に回転できるが増し締め方向には回転できないように、ラチェット17とラチェット係止爪19が形成され、ラチェット17は外筒クリップの内壁面14とネック部13とに強固に連結されて増し締め方向への回転阻止力を高く維持し、他方で、ラチェット17は、内壁面14の周方向に沿った先端の部分が半径方向内側に撓む可撓性を有する。
【選択図】図1
【解決手段】ボルト係止具1は、内筒クリップ3と、内筒クリップに連結される外筒クリップ2の2部品で成り、内筒クリップ3と外筒クリップ2とを軸方向には移動できないが軸心回りに回転できるように連結するため内筒クリップ2のフランジ11とロック爪25が外筒クリップ2のネック部13を挟持し、内筒クリップ3が外筒クリップ2対して取外し方向に回転できるが増し締め方向には回転できないように、ラチェット17とラチェット係止爪19が形成され、ラチェット17は外筒クリップの内壁面14とネック部13とに強固に連結されて増し締め方向への回転阻止力を高く維持し、他方で、ラチェット17は、内壁面14の周方向に沿った先端の部分が半径方向内側に撓む可撓性を有する。
【選択図】図1
Description
本発明は、外周面にねじが形成されたスタッドボルト等のボルトに係止する、ボルト係止具に関する。
外周面にねじが形成されたスタッドボルト等のボルトに係止する、ボルト係止具は、例えば、特許文献1(実開平2−087187号公報)等に記載のように知られている。特許文献1に記載のボルト係止具は、スタッドボルトへ押込むことでスタッドボルトが固着したパネル等の被取付部材に固定できるので、取付け作業が簡便であり容易である。
特許文献1に記載のようなボルト係止具は、スタッドボルトへ係止した後において、スタッドボルトへの係止強度を高くするため、スタッドボルトのねじに対する増し締め方向にスクリュードライバ等で回転することがある。その場合に、増し締めが強すぎると、ボルト係止具に設けられたボルト係止爪にねじ山から強い荷重が加わって破損することがあった。ボルト係止爪が破損すると、ボルト係止具がスタッドボルトから外れるので好ましくない。従って、強い増し締めを直接阻止できるのが好ましい。
特許文献2には、過剰な締め付けを行えないように、ラチェット機構を設けたプラスチック製の2部品で成るナットが記載されている。このナットは、過剰な締め付け力が作用した場合、ラチェット機構によって空転してその過剰な締め付け力によるねじの破損を防止している。このナットでは、過剰な締め付けを直接阻止するのではなく、空転によって過剰な締め付けを防止している。従って、空転のための機構が複雑であり、コストが高くなる。更に、このナットは、特許文献1のボルト係止具のように、押込みによってボルトに係止することができる構成はない。
特許文献3には、締め付けトルクが過度になると空転して過度のねじ込みを防止するトルクナットが記載されている。このトルクナットも、過剰なトルクによる締め付けを直接阻止するのでなく、空転によって過剰なトルクによる締め付けを防止している。また空転のための機構が複雑であり、コストが高くなる。更に、このナットも、特許文献1のボルト係止具のように、押込みによってボルトに係止することができる構成はない。
従って、本発明の目的は、取付け作業が簡単であり、増し締めを直接阻止することができ、取外し作業が容易である、安価なボルト係止具を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明によれば、外周面にねじが形成されたスタッドボルト等のボルトに係止する、ボルト係止具であって、前記ボルトを受入れて該ボルトに係止する、中空の内筒クリップと、該内筒クリップを受入れて該内筒クリップに連結される、中空の外筒クリップとの2部品で成り、前記外筒クリップは、半径方向内側に延び且つ前記内筒クリップを受入れる穴が形成されたネック部を有し、前記内筒クリップは、前記ネック部の穴より小さい外径の筒状のスタッドボルト収容部と、該スタッドボルト収容部の一端側に前記ネック部の穴より大きい直径のフランジとを備え、前記スタッドボルト収容部の外面には、該スタッドボルト収容部が前記ネック部に挿入された状態で前記ネック部を前記フランジと協働して挟持して、前記内筒クリップと前記外筒クリップとを軸方向には移動できないが軸心回りに回転できるように連結するロック手段が形成されており、前記内筒クリップが前記外筒クリップに対して前記連結状態において軸心回りの一の方向に回転できるが反対方向には回転できないように、前記外筒クリップの内壁面にはラチェットが形成され、前記スタッドボルト収容部の外周面にはラチェット係止爪が形成されて、前記内筒クリップの前記反対方向への回転のとき前記ラチェット係止爪の先端が前記ラチェットの先端に当接して該反対方向への回転を阻止しており、前記ラチェットは、前記外筒クリップの内壁面の周方向に沿って且つ前記ネック部の表面に沿って延びており、該ラチェットの根元の部分は前記内壁面に一体に形成され且つ前記ネック部に隣接する該ラチェットの側縁が該ネック部表面に一体に形成されており、更に、該ラチェットは、前記ネック部表面とは反対側の側縁であって前記外筒クリップ内壁面の周方向に沿った先端の部分が半径方向内側に撓む可撓性を有する、ことを特徴とするボルト係止具が提供される。
上記構成によって、スタッドボルトに係止した内筒クリップが、外筒クリップに対して一の方向と反対の方向すなわち増し締め方向に回転した場合、ラチェットとラチェット係止爪とによってその回転が直接阻止され、外筒クリップが回転できないようになっていれば、内筒クリップはその増し締め方向への回転ができなくなり、増し締めを直接阻止することができ、また、内筒クリップをスタッドボルトへ押込むだけで、スタッドボルトへの係止が簡単にでき、更に、内筒クリップを取外し方向へ回転するのは自由にできるので、取外し作業が容易である。更に、ボルト係止具の構成は、ラチェットを持つ外筒クリップとラチェット係止爪を有する内筒クリップとの簡単な構造の2部品で成るので、安価に提供される。
上記ボルト係止具において、前記内筒クリップが前記外筒クリップに対して前記反対方向へ回転するとき前記ラチェットの周方向の前記先端は前記ラチェット係止爪の周方向の前記先端に当接して該反対方向への回転を阻止しており、前記ラチェットの周方向の前記先端の端面が広い面積を有するように形成されて、前記ラチェット係止爪の周方向の前記先端との当接を確実にしている。前記内筒クリップが前記外筒クリップに対して前記一の方向へ回転するとき前記ラチェットの半径方向内側の面が前記ラチェット係止爪の半径方向外側の面に当接して、前記ラチェットの半径方向内側の面は半径方向外側に撓み且つ前記ラチェット係止爪の半径方向外側の面は半径方向内側に撓み、前記内筒クリップが前記外筒クリップに対して前記一の方向への回転を可能にしている。前記ロック手段は、前記スタッドボルト収容部の外面に、前記フランジに向けて半径方向外方に広がるように斜めに延びて形成された一対のロック爪である。これとは別に、前記ラチェット係止爪は前記スタッドボルト収容部の外面に前記フランジに向けて半径方向外方に広がるように斜めに延びており、該ラチェット係止爪が前記ロック手段であってもよい。前記ラチェットは、前記外筒クリップの内壁面に、周方向に等間隔で6個配置されており、前記ラチェット係止爪は、前記スタッドボルト収容部の外面の周方向に180度の間隔で一対形成されている。
また、上記ボルト係止具において、前記スタッドボルト収容部の内側には、前記ボルトのねじに係止するボルト係止爪が一対形成されている。前記内筒クリップが前記外筒クリップに対して回転できる前記一の方向は、前記ボルト係止爪が係止する前記ボルトのねじの緩み方向となる取外し方向である。前記内筒クリップが前記外筒クリップに対して回転できない前記反対方向は、前記ボルト係止爪が係止する前記ボルトのねじに対する増し締め方向である。前記ボルトは、パネル等の被取付部材に立設されたスタッドボルトであり、前記外筒クリップの外側にはハウジングが設けられており、該ハウジングは、前記被取付部材に対して外筒クリップをスタッドボルトの軸回りに回転するのを阻止するように、固定されているのが好ましい。
以下、本発明の1実施形態に係るボルト係止具1について、図面を参照して説明する。ボルト係止具1は、図1に図示のように、プラスチック製の外筒クリップ2とプラスチック製の内筒クリップ3の2部品で成る。内筒クリップ3は、図1の矢印5に示すように、外筒クリップ2の中空部分に挿入されて、外筒クリップ2に組付けられる。内筒クリップ3は、外筒クリップ2に対し、軸方向には移動しないが軸回りには回転できるように連結されるが、内筒クリップ3と外筒クリップ2とには、連結状態で、軸心回りには一の方向(取外し方向)に回転できるが反対方向(増し締め方向)には回転できない構成が設けられている。外筒クリップ2及び内筒クリップ3は、それぞれ、硬質プラスチックで一体成形される。なお、図示の実施形態において、外筒クリップ2には、外側に取付部品の保持等のためのハウジング6が一体に成形されている。ハウジング6は必須ではない。ハウジング6は、スタッドボルト10が立設されたパネル7等の被取付部材に対して外筒クリップ2を、スタッドボルト10の軸回りに回転するのを阻止するように、固定されているのが好ましい。図2〜図5には、内筒クリップ3と外筒クリップ2とが連結された組付状態のボルト係止具1が示されている。図6は、ボルト係止具1を用いて、被取付部材であるパネル7に取付部品9を取付けた例を示している。図6において、パネル7にはスタッドボルト10が立設され、パネル7の上には取付部品9が配置され、スタッドボルト10にはボルト係止具1が係止して、パネル7に取付部品9が固定される。図7〜図9は、ボルト係止具1をスタッドボルト等のボルトから取外す場合を示している。
図1〜図5を参照して、外筒クリップ2と内筒クリップ3の2部品で成る、ボルト係止具1の詳細を説明する。外筒クリップ2は、全体形状が、内筒クリップ3を受入れて保持する中空の円筒形状に形成されている。上記のように、図示の実施形態においては、取付部品9の保持等のために、ハウジング6が、外筒クリップ2の外側の1側面に一体的に形成されている。外筒クリップ2は、内筒クリップ3を受入れるように筒状に形成されている。詳細には、外筒クリップ2の下部側は、内筒クリップ3を受入れるように内筒クリップ3より大径の筒状に形成されている。外筒クリップ2の中間高さ位置の部分には、円筒の壁部14から半径方向内側に延び、中心に穴12を有する円環形状のネック部13が形成されている。ネック部13の穴12は、内筒クリップ3の下端のフランジ11の直径より小径であるが、内筒クリップ3の他の部分の直径より大径に形成されている。ネック部13より上部側の外筒クリップの部分は、下部側の部分と同様に、内筒クリップ3より大径の筒状に形成され、この筒状の部分には内筒クリップ3が収容される。
ネック部13の上部面15には、内筒クリップ3が軸回りにおいて1の方向(取外し方向)へ回転するのを許すが反対方向(増し締め方向)へ回転するのを阻止するように、壁部14の周方向に延びるラチェット17が、壁部14の内周方向に等間隔に6個形成されている。各ラチェット17は、根元の部分が壁部14の内壁面に一体に形成され、また、ネック部13側の側縁が上部面15に一体に形成されている。従って、ラチェット17の強度は、根元の部分だけが壁部14の内壁面に一体に形成された片持ちばり形状の場合より高く維持されて回転阻止力が高く、ネック部13側の側縁だけが上部面15に一体に形成されて2面で外筒クリップ2に連結されているだけなので、他の部分(すなわち周方向における先端部分であってネック部とは反対側の側縁の部分)における可撓性は維持される。各ラチェット17は、壁部14の一方の周方向であって半径方向内側に向けて斜めに延びる弾性片として形成されており、壁部14にもネック部13にも連結されていない端部部分は、内筒クリップ3のラチェット係止爪19による押出し力によって半径方向外側に撓むことができる。更に、各ラチェット17の自由端の端面18(すなわち壁部14と反対側の端部の端面18)は、その面積が広くなるように形成され(図5に最もよく示される)、内筒クリップ3のラチェット係止爪19の端面との係合を確実にする。
内筒クリップ3は、図1〜図5に示すように、上端の多角形(図示の例では、六角形)の頭部21と、下端のフランジ11と、頭部21とフランジ11の間に形成された、筒状のスタッドボルト収容部22とを有する。内筒クリップ3は、頭部21の直径とスタッドボルト収容部22の部分の直径とは、外筒クリップ2のネック部13の穴12の直径よりやや小さく形成されて、頭部21とスタッドボルト収容部22とは、矢印5のように、ネック部13の穴12を通ることができ、これによって、内筒クリップ3が外筒クリップ2に連結され(組付けられ)る。フランジ11の直径は、外筒クリップ2のネック部13の穴12の直径より大きいが、外筒クリップ2の下部側の円筒の内径よりやや小さく形成されて、外筒クリップ2の下部側には収容されるが、ネック部13を通ることができない。スタッドボルト収容部22は、内側にスタッドボルトを収容する空間を有する中空の筒状体として形成される。スタッドボルト収容部22の内側には、スタッドボルトのねじ山又は谷に係合する、一対のボルト係止爪23(図1に一方のボルト係止爪が、図4に他方のボルト係止爪が示される)が形成される。スタッドボルト収容部22は、全体の輪郭としては、六角形の頭部21の形状に合わせて六角形の筒状体に形成される。スタッドボルト収容部22は、ボルト係止爪23の形成のために、また、材料の節約と軽量化のために、側壁部分は、筒状体を維持できる程度に開口や窓が形成された開放部分の多い形状に形成されている。
スタッドボルト収容部22の外周面には、中間高さ位置の部分からフランジ11に向けて半径方向外方に広がりつつ延び且つ外周方向に所定の方向に延びて、外周面に180度の間隔で配置された一対のラチェット係止爪19が形成される。各ラチェット係止爪19は、ラチェット17に対して、内筒クリップ3が軸回りにおいて1の方向(取外し方向)へ回転するのを許すが反対方向(増し締め方向)へ回転するのを阻止するように、スタッドボルト収容部22の一の外周方向に沿って延びている。各ラチェット係止爪19は、スタッドボルト収容部22に連結されていない周方向における端部部分は、ラチェット17の側面に当接したときそのラチェット17による押出し力によって半径方向内側に撓むことができる可撓性を有する。この可撓性又は弾性を得るために、図4に示されるように、ラチェット係止爪19の下端とスタッドボルト収容部22の外周面との間に空間26が形成されている。更に、ラチェット係止爪19は、周方向における根元の部分と長手方向における根元の部分とがスタッドボルト収容部22の外周面に一体に形成されており、周方向における根元の部分だけが外周面に一体に形成された片持ちばり形状の場合よりも高く維持され、高い回転阻止力が得られる。
スタッドボルト収容部22の外面には、ラチェット係止爪19の根元部分に隣接してフランジ11に向けて半径方向外方にひろがりつつ斜めに延びる、ロック手段としての、一対のロック爪25が形成されている。ラチェット係止爪19及びロック爪25は、外筒クリップ2のネック部13の穴12の直径より、半径方向においてやや外方に広がっているが、内筒クリップ3のスタッドボルト収容部22がネック部13の穴12を通るとき、半径方向内側に撓んで、ネック部13の穴12を通る可撓性又は弾性を有する。上記のように、この可撓性又は弾性を得るためにラチェット係止爪19には、下端とスタッドボルト収容部22の外面との間に空間26(図4)が形成されている。同様に、ロック爪25の先端(図1の下端)側が自由端となって、先端とスタッドボルト収容部22の間には空間が形成されている。
ラチェット係止爪19及びロック爪25は、いずれも、その弾性によって、内筒クリップ3のスタッドボルト収容部22がネック部13の穴12を通り終えると、半径方向外側に張り出す姿勢に復帰する。ロック爪25が半径方向外側に張り出す姿勢に復帰することによって、外筒クリップ2のネック部13がフランジ11とロック爪25とで挟持されることになり、内筒クリップ3が、外筒クリップ2に対して、軸方向には移動しないが軸回りには回転できるように連結される。なお、ラチェット係止爪19に、ロック爪25の機能(すなわち、ネック部13をフランジ11と協働して挟持すること)を与えることもでき、その場合には、ラチェット係止爪19がロック手段となり、ロック爪25を省略することができる。なお、ラチェット係止爪19の周方向における先端面29は、図4の斜線部分30及び図5に図示のように、ラチェット17の端面18に確実に係合してその係合面積を大きくできる位置及び大きさに形成される。
頭部21は、レンチ等によって回転可能なように、多角形(六角形)に形成されるのが好ましい。これによって、ボルト係止具1を取外すとき、レンチ等の工具で、内筒クリップ3を取外し方向に軸回りに回転できる。更に、コイン又はスクリュードライバ等によって回転できるように、頭部21の上面には、溝27が形成されている。この溝27は、図示のマイナス(直線)溝に限られず、プラスドライバ等に係合する十字溝でもよい。
上記構成のボルト係止具1を用いて、被取付部材であるパネル7に取付部品9を取付けた状態が図6に示されている。図6において、パネル7にはスタッドボルト10が溶接等によって立設されている。取付部品9は、その取付穴31がスタッドボルト10を受入れるように位置合わせされて、パネル7に配置される。外筒クリップ2に内筒クリップ3が組付けられたボルト係止具1は、内筒クリップ3のスタッドボルト収容部22にスタッドボルト10を受入れるように位置決めされて、そのまま押込められる。内筒クリップ3のボルト係止爪23は、スタッドボルト10のねじ山に係合しながら下方に移動して、外筒クリップ2の下端が取付部品9に当接する。このとき、一対のボルト係止爪23は、スタッドボルト10のねじ山又は谷に係合しており、これによって、ボルト係止具1が、スタッドボルト10に固定されるとともに、外筒クリップ2の下端が取付部品9に当接された状態になるので、取付部品9がパネル7に取付けられる。
作業者は、取付部品9をパネル7に強固に取付けるため、増し締めを行うことがある。ボルト係止具1は、その増し締めを阻止することができる。図3を参照して説明する。増し締めのために、作業者は内筒クリップ3の頭部21にレンチ又はコイン等で、内筒クリップ3をその軸回りに図3の矢印33の方向に回転させようとする。内筒クリップ3が矢印33の方向に回転させられると、ラチェット係止爪19の端面29がラチェット17の端面18に当接する。ラチェット17の端面18は大面積に形成され、ラチェット係止爪19の端面29も十分に広い面積であるから、ラチェット係止爪19とラチェット17の当接は確実に行われる(図4の斜線部分30及び図5参照)。かかる当接によって、内筒クリップ3は外筒クリップ2に対して軸回りに回転するのが阻止される。ラチェット17は、根元部分が壁部14の内壁面に、ネック部13の上部面15側の側縁がネック部13に、一体に形成されて、ラチェット17の固着強度は高く、回転阻止力は高い。同様に、ラチェット係止爪19は、周方向における根元の部分と長手方向における根元の部分とがスタッドボルト収容部22の外周面に一体に形成されており、周方向における根元の部分だけが外周面に一体に形成されてラチェット係止爪19の固着強度は高く、回転阻止力も高い。外筒クリップ2がパネル7(又は取付部品9)に対して外筒クリップ2の軸回りに回転できない構成又は取付状態である場合、内筒クリップ3は矢印33の方向に回転することができない。外筒クリップ2をパネル7(又は取付部品9)に対して外筒クリップ2の軸回り回転できないようにするため、例えば、ハウジング6をパネル7(又は取付部品9)に対して固定してもよい。これによって、作業者が増し締めのために内筒クリップ3を回転するのを阻止することができる。このように、内筒クリップ3は、外筒クリップ2に対して増し締め方向に回転しようとしても回転できないので、外筒クリップ2が回転できない状態であれば、確実に作業者の増し締めが阻止される。
図6のようにスタッドボルト10に固定されたボルト係止具1を取外す操作を、図7〜図9を参照して説明する。説明の便宜上、図7〜図9には、スタッドボルトが除去されているが、実際には、図6に示すスタッドボルト10が内筒クリップ3に収容されている。ボルト係止具1を取外すには内筒クリップ3を、スタッドボルトのねじの緩み方向すなわち取外し方向に軸回りに回転させればよい。取外し操作では、内筒クリップ3の頭部21にレンチをあてがい(又は溝27にコイン又はスクリュードライバ等をあてがい)、図7及び図9の矢印34の方向に、内筒クリップ3を回転させる。回転は、ラチェット17及びラチェット係止爪19によって阻害されることはない。ラチェット17及びラチェット係止爪19は、それぞれ、内筒クリップ3が軸回りにおいて1の方向(取外し方向)へ回転するのを許すが反対方向(増し締め方向)へ回転するのを阻止するように、壁部14及びスタッドボルト収容部22の外周面の周方向に延びて形成され、ラチェット17は、壁部14にもネック部13にも連結されていない端部の部分が、内筒クリップ3のラチェット係止爪19による押出し力によって半径方向外側に撓むことができ、ラチェット係止爪19は、スタッドボルト収容部22に連結されていない端部部分は、ラチェット17の側面に当接したときそのラチェット17による押出し力によって半径方向内側に撓むことができる。従って、図7及び図9の矢印34の方向に内筒クリップ3が回転して、ラチェット係止爪19の先端の側面がラチェット17の先端の側面に当接しても相互に押されて撓み変形して、内筒クリップ3の回転は阻止されない。内筒クリップ3の回転の続行によって、内筒クリップ3のボルト係止爪23が、スタッドボルト10のねじ山に沿って進み、内筒クリップ3をスタッドボルト10から引上げる方向に移動させる。この内筒クリップ3の軸方向の移動によって、外筒クリップ2も一緒に軸方向に移動し、内筒クリップ3がスタッドボルト10から取外されると、内筒クリップ3に組付けられた外筒クリップ2も取外される。
1 ボルト係止具
2 外筒クリップ
3 内筒クリップ
6 ハウジング
7 パネル
9 取付部品
10 スタッドボルト
11 フランジ
12 ネック部の穴
13 ネック部
14 壁部
15 ネック部上部面
17 ラチェット
18 ラチェット端面
19 ラチェット係止爪
21 頭部
22 スタッドボルト収容部
23 ボルト係止爪
25 ロック爪
26 空間
27 溝
29 ラチェット係止爪の端面
30 斜面部分
31 取付部品の取付穴
2 外筒クリップ
3 内筒クリップ
6 ハウジング
7 パネル
9 取付部品
10 スタッドボルト
11 フランジ
12 ネック部の穴
13 ネック部
14 壁部
15 ネック部上部面
17 ラチェット
18 ラチェット端面
19 ラチェット係止爪
21 頭部
22 スタッドボルト収容部
23 ボルト係止爪
25 ロック爪
26 空間
27 溝
29 ラチェット係止爪の端面
30 斜面部分
31 取付部品の取付穴
Claims (10)
- 外周面にねじが形成されたスタッドボルト等のボルトに係止する、ボルト係止具であって、
前記ボルトを受入れて該ボルトに係止する、中空の内筒クリップと、該内筒クリップを受入れて該内筒クリップに連結される、中空の外筒クリップとの2部品で成り、
前記外筒クリップは、半径方向内側に延び且つ前記内筒クリップを受入れる穴が形成されたネック部を有し、前記内筒クリップは、前記ネック部の穴より小さい外径の筒状のスタッドボルト収容部と、該スタッドボルト収容部の一端側に前記ネック部の穴より大きい直径のフランジとを備え、前記スタッドボルト収容部の外面には、該スタッドボルト収容部が前記ネック部に挿入された状態で前記ネック部を前記フランジと協働して挟持して、前記内筒クリップと前記外筒クリップとを軸方向には移動できないが軸心回りに回転できるように連結するロック手段が形成されており、
前記内筒クリップが前記外筒クリップに対して前記連結状態において軸心回りの一の方向に回転できるが反対方向には回転できないように、前記外筒クリップの内壁面にはラチェットが形成され、前記スタッドボルト収容部の外周面にはラチェット係止爪が形成されて、前記内筒クリップの前記反対方向への回転のとき前記ラチェット係止爪の先端が前記ラチェットの先端に当接して該反対方向への回転を阻止しており、
前記ラチェットは、前記外筒クリップの内壁面の周方向に沿って且つ前記ネック部の表面に沿って延びており、該ラチェットの根元の部分は前記内壁面に一体に形成され且つ前記ネック部に隣接する該ラチェットの側縁が該ネック部表面に一体に形成されており、更に、該ラチェットは、前記ネック部表面とは反対側の側縁であって前記外筒クリップ内壁面の周方向に沿った先端の部分が半径方向内側に撓む可撓性を有する、
ことを特徴とするボルト係止具。 - 請求項1に記載のボルト係止具において、前記内筒クリップが前記外筒クリップに対して前記反対方向へ回転するとき前記ラチェットの周方向の前記先端は前記ラチェット係止爪の周方向の前記先端に当接して該反対方向への回転を阻止しており、前記ラチェットの周方向の前記先端の端面が広い面積を有するように形成されて、前記ラチェット係止爪の周方向の前記先端との当接を確実にしている、ことを特徴とするボルト係止具。
- 請求項1又は2に記載のボルト係止具において、前記内筒クリップが前記外筒クリップに対して前記一の方向へ回転するとき前記ラチェットの半径方向内側の面が前記ラチェット係止爪の半径方向外側の面に当接して、前記ラチェットの半径方向内側の面は半径方向外側に撓み且つ前記ラチェット係止爪の半径方向外側の面は半径方向内側に撓み、前記内筒クリップが前記外筒クリップに対して前記一の方向への回転を可能にしている、ことを特徴とするボルト係止具。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載のボルト係止具において、前記ロック手段は、前記スタッドボルト収容部の外面に、前記フランジに向けて半径方向外方に広がるように斜めに延びて形成された一対のロック爪である、ことを特徴とするボルト係止具。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載のボルト係止具において、前記ラチェット係止爪は前記スタッドボルト収容部の外面に前記フランジに向けて半径方向外方に広がるように斜めに延びており、該ラチェット係止爪が前記ロック手段である、ことを特徴とするボルト係止具。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載のボルト係止具において、前記ラチェットは、前記外筒クリップの内壁面に、周方向に等間隔で6個配置されており、前記ラチェット係止爪は、前記スタッドボルト収容部の外面の周方向に180度の間隔で一対形成されている、ことを特徴とするボルト係止具。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載のボルト係止具において、前記スタッドボルト収容部の内側には、前記ボルトのねじに係止するボルト係止爪が一対形成されている、ことを特徴とするボルト係止具。
- 請求項7に記載のボルト係止具において、前記内筒クリップが前記外筒クリップに対して回転できる前記一の方向は、前記ボルト係止爪が係止する前記ボルトのねじの緩み方向となる取外し方向である、ことを特徴とするボルト係止具。
- 請求項7又は8に記載のボルト係止具において、前記内筒クリップが前記外筒クリップに対して回転できない前記反対方向は、前記ボルト係止爪が係止する前記ボルトのねじに対する増し締め方向である、ことを特徴とするボルト係止具。
- 請求項7〜9のいずれか1項に記載のボルト係止具において、前記ボルトは、パネル等の被取付部材に立設されたスタッドボルトであり、前記外筒クリップの外側にはハウジングが設けられており、該ハウジングは、前記被取付部材に対して外筒クリップをスタッドボルトの軸回りに回転するのを阻止するように、固定されている、ボルト係止具。
Priority Applications (1)
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JP2008020412A JP2009180306A (ja) | 2008-01-31 | 2008-01-31 | スタッドボルト等のボルト係止具 |
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