以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明の実施の形態におけるカード用アダプタを示す上方から観た斜視図、図2は本発明の実施の形態におけるカード用アダプタを示す下方から観た斜視図、図3は本発明の実施の形態におけるカード用アダプタを示す上面図、図4は本発明の実施の形態におけるカード用アダプタに装着されるカードを示す三面図、図5は本発明の実施の形態におけるカード用アダプタにカードを装着した状態を示す上方から観た斜視図、図6は本発明の実施の形態におけるカード用アダプタにカードを装着した状態を示す上面図、図7は本発明の実施の形態におけるカード用アダプタの上板を取除いた状態を示す斜視図、図8は本発明の実施の形態におけるカード用アダプタの主要構成部材を示す斜視図である。なお、図4において、(a)は上面、(b)は下面、(c)は側面を示し、図8において、(a)は内部基板の上面、(b)は内部基板の下面、(c)は上板の外面、(d)は上板の内面、(e)は下板の内面、(f)はカードロック金具、(g)は内部端子ユニットを分解した状態、(h)は内部端子ユニットを組立てた状態を示している。
図において、101は本実施の形態におけるカード用アダプタであり、第1カード201が装填された状態で、後述される本実施の形態におけるカード用コネクタ1に装填することができる。該カード用コネクタ1は、そもそも、図示されない第2カードが装填されるコネクタであって、図示されない電子機器に取付けられる。そして、前記第2カードがカード用コネクタ1に装填されると、該カード用コネクタ1を介して、前記電子機器に第2カードが装着される。また、第1カード201が装填されたカード用アダプタ101がカード用コネクタ1に装填されると、該カード用コネクタ1及びカード用アダプタ101を介して、前記電子機器に第1カード201が装着される。
なお、前記電子機器は、例えば、パーソナルコンピュータ、携帯電話機、PDA、デジタルカメラ、ビデオカメラ、音楽プレーヤ、ゲーム機、車両用ナビゲーション装置等であるが、いかなる種類の機器であってもよい。
また、前記第1カード201及び第2カードは、例えば、SIMカード、MMC(R)、SD(R)カード、miniSD(R)カード、xDピクチャーカード(R)、メモリスティック(R)、メモリスティックDuo(R)、スマートメディア(R)、T−Flashメモリカード、マイクロSD(R)カード等のICカードであり、いかなる種類のカードであってもよいが、第1カード201の方が第2カードよりもサイズが小さな種類のカードであるものとする。ここでは、第1カード201がマイクロSD(R)カードであって、第2カードがxDピクチャーカード(R)である場合を例に採って説明する。
なお、本実施の形態において、カード用アダプタ101及びカード用コネクタ1の各部の構成及び動作を説明するために使用される上、下、左、右、前、後等の方向を示す表現は、絶対的なものでなく相対的なものであり、カード用アダプタ101及びカード用コネクタ1又はそれらの部品が図に示される姿勢である場合に適切であるが、カード用アダプタ101及びカード用コネクタ1又はそれらの部品の姿勢が変化した場合には、姿勢の変化に応じて変更して解釈されるべきものである。
ここで、前記カード用アダプタ101は、合成樹脂等の絶縁性材料によって一体的に成形された板状の部材である第1板部材としての上板120と、同様に、合成樹脂等の絶縁性材料によって一体的に成形された板状の部材である第2板部材としての下板110とを有し、上板120と下板110とを重ね合せて結合することによって、カード用アダプタ101のハウジング109が形成される。
そして、前記カード用アダプタ101は、第2カードが装填されるカード用コネクタ1に装填されるものであるから、第2カードの外形及び寸法と類似の外形及び寸法を備える。前述のように、本実施の形態において、第2カードは、xDピクチャーカード(R)であるから、その寸法は、長さが20〔mm〕、幅が25〔mm〕及び厚さが1.7〔mm〕である。したがって、カード用アダプタ101は、図1〜3に示されるように、第2カードに類似した板状の形状を有し、各寸法は、長さ、すなわち、前端101aと後端101bとの間隔が20〔mm〕、幅、すなわち、右側端101cと左側端101dとの間隔が25〔mm〕、厚さ、すなわち、上板120の外面と下板110の外面との間隔が1.7〔mm〕である。
また、上板120の外面における前端101a近傍の部分には表示部104が形成されている。該表示部104は、長方形の平面状の部分であり、例えば、商品名、製造者名、注意事項等の各種の情報又は単なる模様、図柄等の各種の図形を表示するために使用される。前記情報又は図形の表示は、直接表示部104に印刷されて行われてもよいし、シート状のシール部材に印刷されたものを表示部104に貼(てん)付することによって行われてもよい。なお、前記表示部104は、省略することもできる。
そして、カード用アダプタ101の左側端101dには、凹部108が形成されている。該凹部108は、カード用コネクタ1のスライド部材が備える係合凸部と係合する。なお、前記凹部108の部位においては、上板120が下板110よりも左側に突出しているので、前記凹部108は上板120にのみ形成される。
また、カード用アダプタ101の右側端101cには、カード収容空間102が開口し、右側端101cからカード収容空間102内に第1カード201が挿入されるようになっている。そのため、上板120の外面における右側端101cの近傍には、第1カード201の挿入方向を示す第1挿入指示マーク105aが形成されている。
そして、上板120と下板110との間には、図8に示されるように、配線基板としての内部基板130と、内部端子ユニット140と、カードロック金具161とが配設される。また、上板120と下板110との間に形成されたカード収容空間102内には、第1カード201が挿入されて収容される。
前述のように、本実施の形態において、第1カード201は、マイクロSD(R)カードであり、図4に示されるような略長方形の板状の形状を有し、各寸法は、長さ、すなわち、前端201aと後端201bとの間隔が15〔mm〕、幅、すなわち、右側端201cと左側端201dとの間隔が11〔mm〕、厚さ、すなわち、第1面217と第2面218との間隔が0.7〔mm〕である。そして、下面、すなわち、第2面218における前端201a寄りの位置には、複数(図に示される例において8つ)のカード側コンタクトパッド251が前端201aに沿って並んだ状態で配設されている。
なお、第1カード201の右側端201cには凹部212が形成され、さらに、前端201a寄りには前方切欠部213が形成されている。前記凹部212は、カードロック金具161の係合凸部161aと係合する。また、前記前方切欠部213は、第1カード201の前端201aと右側端201cとの角部を所定範囲に亘(わた)って欠落させたものであり、略台形の形状を備える。これにより、第1カード201の前端201a寄りの部分には後端寄りの部分よりも幅の狭い幅狭部が形成され、その幅寸法は9.7〔mm〕である。
カード用アダプタ101の下板110は、図8(e)に示されるように、カード受容部111、パッド対応開口部112、端子受容部114、及び、内部基板130の少なくとも一部を受容する基板受容部115をその内面に有する。また、カード用アダプタ101の上板120は、図8(d)に示されるように、カード受容部121、パッド対応部122、端子受容部124、及び、内部基板130の少なくとも一部を受容する基板受容部125をその内面に有する。
さらに、前記下板110のカード受容部111は、第1カード201の第2面218と対向するカード受容床板111aと、該カード受容床板111aの両側部に配設されたカード押え部111bと、第1カード201の右側端201cと対向する部位に形成された金具収容凹部111cとを備える。また、前記上板120のカード受容部121は、第1カード201の第1面217と対向するカード受容天板121aを備える。そして、上板120と下板110とを重ね合せて結合すると、前記カード受容床板111aとカード受容天板121aとの間の空間がカード収容空間102の主要部分となる。
また、前記カード押え部111bは、カード受容床板111aに対してほぼ垂直となるように形成され、その上端部はカード受容床板111aにほぼ平行な庇(ひさし)状に形成され、カード受容床板111aの両側から内側に向けて突出している。そして、前記庇状の部分の下面は、図5に示されるように、カード収容空間102内に挿入された第1カード201の右側端201c及び左側端201dの近傍における第1面217に対向する。すなわち、カード収容空間102内に挿入される第1カード201の厚さ方向の動きは、カード押え部111bによって規制される。なお、上板120と下板110とを重ね合せて結合した状態において、カード押え部111bの上端面は上板120の外面とほぼ面一の状態となる。
前記金具収容凹部111cにはカードロック金具161が収容される。該カードロック金具161は、金属板に曲げ加工を施して形成された部材であり、弾性的に変形可能である。そして、カードロック金具161の係合凸部161aは、金具収容凹部111cの側壁に形成された開口部からカード受容床板111aの内側に向けて突出し、カード収容空間102内に収容された第1カード201の凹部212と係合して、第1カード201をロックする。すなわち、カード収容空間102内に収容された第1カード201がカード収容空間102から抜出てしまうことを防止する。
そして、前記下板110の端子受容部114は、端子収容溝部114a、突起状のストッパ部材としてのモールド部ストッパ114b、及び、端子先端収容凹部114cを備える。また、前記上板110の端子受容部124は、モールド部収容凹部124a及びモールド部ストッパ124bを備える。そして、上板120と下板110とを重ね合せて結合すると、前記端子受容部114及び124の間に空間が形成され、該空間に内部端子ユニット140が収容される。
ここで、該内部端子ユニット140は、図8(g)及び(h)に示されるように、アダプタ内カード接続端子150と、該アダプタ内カード接続端子150を保持する端子保持部材としてのモールド部141とを備える。前記アダプタ内カード接続端子150は、第1カード201のコンタクトパッド、すなわち、カード側コンタクトパッド251と接触する接続端子であり、金属板等のばね性を備える導電性の板材から一体的に形成された部材である。そして、前記アダプタ内カード接続端子150は、前記モールド部141の図示されない保持溝内に圧入されてモールド部141によって保持される基部151と、該基部151に一端が接続されて固定され、他端、すなわち、自由端が上下方向に弾性的に変位可能なカンチレバー状の腕部152と、該腕部152の自由端に接続され、カード収容空間102内に収容された第1カード201のカード側コンタクトパッド251と接触して導通する接触部153とを備える。
さらに、前記アダプタ内カード接続端子150は、基部151に接続され、前記腕部152と反対側に延出し、前記内部基板130に接続される基板用接続部154を備える。該基板用接続部154は、側面形状が逆U字形となるように曲げられた棒状の部分である。そして、前記基板用接続部154は、下端が基部151に接続され、該基部151からハウジング109の厚さ方向に、かつ、上方に向けて延出する立上り部154aと、該立上り部154aの上端に基端が接続され、前記基部151とほぼ平行、すなわち、内部基板130の第1面130a及び第2面130bとほぼ平行に延出する水平部154bと、該水平部154bの先端に上端が接続され、ハウジング109の厚さ方向に延在する挿入部154cとを備える。つまり、該挿入部154cは、基部151にほぼ垂直に下方に向けて延出し、内部基板130を厚さ方向に貫通するスルーホール135内に挿入され、配線133に電気的に接続される。
前記モールド部141は、合成樹脂等の絶縁性材料によって一体的に形成された部材であり、本体部141aの下面に形成された複数の図示されない保持溝を備え、該保持溝内にアダプタ内カード接続端子150の基部151が挿入される。そして、アダプタ内カード接続端子150は、複数本(図に示される例においては8本)並べて配列された状態でモールド部141の本体部141aによって保持され、これにより、図8(h)に示されるような内部端子ユニット140が形成される。なお、アダプタ内カード接続端子150の本数及びピッチは、第1カード201のカード側コンタクトパッド251の数及びピッチに対応するように、適宜変更することができる。
そして、端子受容部114及び124の間に形成された空間に内部端子ユニット140が収容されると、モールド部141の上端部141bは上板120のモールド部収容凹部124a内に収容される。また、各アダプタ内カード接続端子150の基部151は、内部基板130の外側において、下板110の内面寄りに位置し、腕部152及び接触部153は、複数の端子収容溝部114aの各々に収容される。そして、腕部152は、前記基部151から上方に向けて、すなわち、上板120に近付くように、斜めに延出する。なお、端子先端収容凹部114cは、端子収容溝部114aの先端に前記端子収容溝部114aよりも深く凹入するように形成された部分であり、接触部153の先端部分が収容される。図に示される例においては、端子先端収容凹部114cの底部が下板110を貫通するように形成され、図2に示されるように、カード用アダプタ101の下面から接触部153の先端部分が見えるようになっているが、端子先端収容凹部114cの底部は必ずしも下板110を貫通するに形成される必要はなく、塞(ふさ)がれていてもよい。
図に示される例において、内部基板130は、略L字状の形状を有し、カード用コネクタ1との接続に使用される部分である第1部131と、第1カード201との接続に使用される部分である第2部132とから成る。そして、上板120と下板110とを重ね合せて結合すると、上板120の基板受容部125と下板110の基板受容部115との間に基板受容空間が形成され、該基板受容空間内に前記第2部132が収容される。また、上板120のパッド対応部122と下板110のパッド対応開口部112との間には、前記第1部131が収容される。
前記内部基板130は、ガラス繊維、炭素繊維等の基材にエポキシ樹脂等の樹脂を含浸させたプリプレグ等の複合材から成る板材、セラミクス等の無機質から成る板材等を一枚又は複数枚積層して形成された絶縁性板部材の表面に、エッチング、蒸着、溶着、塗布、印刷等の技術によって導電性の金属等から成る薄膜状の導電トレースを形成したものである。なお、前記絶縁性板部材が複数の層を備えるものであるときは、前記導電トレースを前記絶縁性板部材の内部における隣接する層間に形成することもできる。図に示される例において、内部基板130の上面、すなわち、第1面130aには、導電トレースとして、複数本の配線133と、スルーホール135の周囲に形成されたランド134とが形成されている。また、内部基板130の下面、すなわち、第2面130bには、導電トレースとして、複数本の配線133と、アダプタ側接続端子としての複数のアダプタ側コンタクトパッド136とが形成されている。そして、内部基板130がカード用アダプタ101内に取付けられた状態においては、前記第1面130aが上板120の内面に対向し、前記第2面130bが下板110の内面に対向する。
前記スルーホール135は、一般的なスルーホールと同様に、内面にも導電被膜が形成されており、かつ、該導電被膜はランド134と接続されている。そして、図7に示されるように、各アダプタ内カード接続端子150の基板用接続部154は、その挿入部154cが第1面130a側から対応するスルーホール135に挿入され、はんだ、導電性接着剤等の導電性固着剤を用いて接続される。この場合、導電性固着剤がスルーホール135内に進入し、挿入部154cの周面とスルーホール135の内面との間が導電性固着剤によって充填されるようにすることが望ましい。
なお、スルーホール135の数及びピッチは、アダプタ内カード接続端子150の数及びピッチに対応するように、適宜変更することができる。そして、各配線133は、ランド134を介して、又は、直接スルーホール135の導電被膜と接続されているので、スルーホール135に接続された挿入部154cは、対応する配線133と接続される。また、各配線133は、図示されないビア(via)、すなわち、ビアホール(via−hole)を介して、対応するアダプタ側コンタクトパッド136と接続されている。したがって、各アダプタ内カード接続端子150の基板用接続部154は、スルーホール135及び配線133を介して、対応するアダプタ側コンタクトパッド136と接続される。該アダプタ側コンタクトパッド136の数及びピッチは、第2カードの図示されないカード側コンタクトパッドの数及びピッチと同一となるように設定される。
図に示される例において、アダプタ側コンタクトパッド136の数は18であるが、該アダプタ側コンタクトパッド136の数及びピッチは、カード用コネクタ1の後述される端子51の数及びピッチと対応し、かつ、第2カードのカード側コンタクトパッドの数及びピッチと対応するように、適宜変更することができる。また、必ずしも、すべてのアダプタ側コンタクトパッド136とすべてのアダプタ内カード接続端子150とが相互に接続される必要はなく、さらに、アダプタ側コンタクトパッド136とアダプタ内カード接続端子150とが1対1で相互に接続される必要もない。どのアダプタ側コンタクトパッド136とどのアダプタ内カード接続端子150とを接続するかは、必要に応じて適宜設定することができる。例えば、図に示される例のように、アダプタ側コンタクトパッド136の数の方がアダプタ内カード接続端子150の数より多い場合には、必ずしもすべてのアダプタ側コンタクトパッド136にアダプタ内カード接続端子150を接続する必要はなく、いくつかのアダプタ側コンタクトパッド136は、アダプタ内カード接続端子150に接続されない状態としておくこともできる。そして、配線133の数及び取回しも、アダプタ側コンタクトパッド136とアダプタ内カード接続端子150との接続態様に応じて任意に設定される。
また、内部基板130がカード用アダプタ101内に取付けられた状態において、アダプタ側コンタクトパッド136は、図2に示されるように、下板110のパッド対応開口部112からカード用アダプタ101の外側に露出する。これにより、カード用アダプタ101をカード用コネクタ1に装填すると、該カード用コネクタ1の端子51がアダプタ側コンタクトパッド136と接触して電気的に導通する。そして、前記端子51とアダプタ側コンタクトパッド136との接触状態を確実に維持する観点から、カード用アダプタ101の厚さ方向(図3における図面に垂直な方向)に関するアダプタ側コンタクトパッド136の位置が重要となる。
そのため、カード用アダプタ101内において、内部基板130のカード用アダプタ101の厚さ方向に関する位置決めは、アダプタ側コンタクトパッド136が形成されている第2面130bを基準面として行われる。この場合、下板110の基板受容部115の面をカード用アダプタ101側の基準面とする。そして、第2面130bを基板受容部115の面に当接させ、内部基板130を上板120によって下板110に対して押付けることにより、内部基板130のカード用アダプタ101の厚さ方向に関する位置決めを行う。
そして、上板120の基板受容部125には、下板110の方に向けて突出する複数の突起としての基板押圧用突起127が形成されている。該基板押圧用突起127は、少なくとも内部基板130の第1面130aに当接する部分が変形可能である。そして、基板押圧用突起127は、先端が尖った形状を備え、下端、すなわち、先端が変形しやすくなっている。したがって、内部基板130の厚さにばらつきがあって、内部基板130の第2面130bを下板110の基板受容部115の面に当接させた場合に内部基板130の第1面130aと上板120の基板受容部125の面との間の間隔にばらつきが生じても、基板押圧用突起127の先端が変形することによって前記ばらつきが吸収されるので、内部基板130を上板120によって下板110に対して押付けることができる。なお、上板120のパッド対応部122にも、同様に、複数の基板押圧用突起127が形成されている。したがって、内部基板130の第1部131及び第2部132は、いずれも、前記基板押圧用突起127を介して上板120により下板110に対して押付けられることによって、カード用アダプタ101の厚さ方向に関して位置決めされる。
また、下板110のパッド対応開口部112の両側端には、上板120の方に向けて延出する位置決めポスト117が形成されている。一方、内部基板130の第1部131の両側端には、前記位置決めポスト117と係合する位置決め凹部137が形成されている。該位置決め凹部137を位置決めポスト117と係合させることによって、内部基板130のカード用アダプタ101の長さ及び幅方向に関する位置決めを行う。
なお、下板110の周縁部には、カード収容空間102の開口に対応する部分を除いて、下板110の方に向けて突出する複数の結合用突起116が形成されている。一方、上板120の周縁部には、カード収容空間102の開口に対応する部分を除いて、前記結合用突起116に対応する位置に、複数の結合用凹部126が形成されている。
そして、カード用アダプタ101のハウジング109を形成するために上板120と下板110とを重ね合せて結合する際には、各結合用突起116を対応する結合用凹部126に嵌(かん)入させる。これにより、上板120と下板110との位置合せが行われる。そして、上板120と下板110との固着は、例えば、超音波溶着によって行われる。この場合、上板120及び下板110に超音波振動を付与することによって、主として、結合用突起116の先端が溶融して結合用凹部126と溶着する。なお、上板120と下板110とを固着する方法は、超音波溶着に限定されるものでなく、例えば、上板120及び下板110を加熱する加熱溶着であってもよいし、上板120と下板110との合せ面に接着剤等の薬剤を付与する薬剤溶着であってもよい。
次に、前記アダプタ内カード接続端子150と内部基板130との接続構造について詳細に説明する。
図9は本発明の実施の形態における内部基板の厚さが厚い場合の接続端子と内部基板との接続状態を示す図、図10は本発明の実施の形態における内部基板の厚さが薄い場合の接続端子と内部基板との接続状態を示す図、図11は本発明の実施の形態における第1カードが装填された場合の接続端子と内部基板との接続状態を示す図である。なお、図9において、(a)は図3のX−X矢視断面図、(b)は(a)のA部拡大図であり、図10において、(a)は図3のX−X矢視断面図、(b)は(a)のB部拡大図であり、図11において、(a)は図6のY−Y矢視断面図、(b)は(a)のC部拡大図である。
前述のように、内部基板130の絶縁性板部材は、一般的なプリント回路基板の場合と同様に、ガラス繊維、炭素繊維等の基材にエポキシ樹脂等の樹脂を含浸させたプリプレグ等の複合材から成る板材、セラミクス等の無機質から成る板材等を一枚又は複数枚積層して形成されるので、厚さの制御が困難であり、一般的なプリント回路基板の場合と同様に、厚さのばらつきが大きくなってしまう。一般的なプリント回路基板の絶縁性板部材の厚さ寸法は、基準値の±25〔%〕程度の範囲で変動する。もっとも、絶縁性板部材の厚さ寸法の許容範囲を狭くすることは、理論的には可能であるが、その場合、絶縁性板部材のコストが上昇して内部基板130のコストが高くなり、経済的観点から、現実的なものでなくなってしまう。したがって、前記内部基板130には、厚さのばらつきがあり、厚さが厚いものもあるし、厚さが薄いものもある。そのため、前記アダプタ内カード接続端子150を内部基板130に接続する場合、端子のテール部の平坦(たん)な裏面を基板上の平坦なパッドにはんだ付する方式である表面実装方式を採用すると、内部基板130の厚さの変動に応じ、カード用アダプタ101の厚さ方向に関するアダプタ内カード接続端子150の基板用接続部154の位置が大きく変動してしまう。
そこで、本実施の形態においては、前述のように、カード用アダプタ101の厚さ方向、すなわち、上下方向に延在するアダプタ内カード接続端子150の挿入部154cを内部基板130のスルーホール135に挿入し、はんだ、導電性接着剤等の導電性固着剤を用いて接続するようになっている。この場合、内部基板130の厚さに変動があっても、厚さ方向に関するアダプタ内カード接続端子150の基板用接続部154の位置が変動することがない。
前記内部基板130の上下方向に関する位置決めは第2面130bを基準面として行われ、前記第2面130bが下板110の基板受容部115の面に当接されているので、内部基板130の厚さの変動は、第1面130aの上下方向に関する位置の変動となって表出する。内部基板130の厚さが厚い場合には、図9(b)に示されるように、第1面130aの位置が高くなる。また、内部基板130の厚さが薄い場合には、図10(b)に示されるように、第1面130aの位置が低くなる。
水平部154bの位置が十分に高く、かつ、挿入部154cの長さが十分に長くなるように基板用接続部154を形成しておけば、内部基板130の厚さが厚い場合にも、基板用接続部154の位置が上昇させられることがなく、また、内部基板130の厚さが薄い場合にも、挿入部154cがスルーホール135から抜出ることがない。そのため、内部基板130の厚さに関わらず、アダプタ内カード接続端子150の位置及び姿勢を一定に維持することができ、かつ、挿入部154cとスルーホール135との接続を維持することができる。
そして、アダプタ内カード接続端子150の位置及び姿勢が内部基板130の厚さと無関係に一定となるので、腕部152と端子収容溝部114aの底面との間隙(げき)、すなわち、ギャップの大きさが一定となる。そのため、アダプタ内カード接続端子150と第1カード201のカード側コンタクトパッド251との接続を確実に維持することができる。
前記アダプタ内カード接続端子150の腕部152は、自由端が上下方向に弾性的に変位可能なカンチレバー状の部材であり、第1カード201がカード用アダプタ101に装填された状態では、図11(b)に示されるように、腕部152の自由端に接続された接触部153が第1カード201の第2面218に形成されたカード側コンタクトパッド251によって下方に変位させられるので、腕部152は、弾性的に下方に変位させられ、それによりばね力を発揮する。そして、該ばね力によって接触部153がカード側コンタクトパッド251に対して付勢され、接触部153とカード側コンタクトパッド251との接触が確実に維持され、したがって、アダプタ内カード接続端子150とカード側コンタクトパッド251との接続が確実に維持される。
この場合、前記ばね力は腕部152の変位量にほぼ比例する。そのため、仮に、腕部152と端子収容溝部114aの底面とのギャップが小さくなる、つまり、腕部152がカード受容床板111a側に位置すると、第1カード201のカード側コンタクトパッド251と接触した際の腕部152の変位量が小さくなるので、前記ばね力が小さくなり、接触部153とカード側コンタクトパッド251との接触が不安定となるので、アダプタ内カード接続端子150とカード側コンタクトパッド251との接続が不確実なものとなってしまう。しかし、本実施の形態においては、アダプタ内カード接続端子150の挿入部154cを内部基板130のスルーホール135に挿入して接続するようになっているので、腕部152と端子収容溝部114aの底面とのギャップの大きさが一定となり、アダプタ内カード接続端子150とカード側コンタクトパッド251との接続を確実に維持することができる。
また、第1カード201がカード用アダプタ101に装填された状態では、カードロック金具161が第1カード201の凹部212と係合してロックするので、第1カード201は、内部端子ユニット140のモールド部141に当接しないように位置決めされる。すなわち、図11(b)に示されるように、第1カード201の前端201aとモールド部141の本体部141aのカード側端141cとの間に間隙が生じるようになっている。そのため、カード用アダプタ101における内部端子ユニット140の位置は、第1カード201の装填前後で変化することはない。
もっとも、カードロック金具161が第1カード201をロックする力はさほど大きくないので、例えば、ユーザが手指等によって第1カード201を強引にカード収容空間102内に押込んだ場合のように、第1カード201が奥の方向(図11(b)における左方向)への大きな外力を受けた場合には、第1カード201がカード収容空間102内において、更に奥の方向に移動させられることがあり得る。このような場合に、第1カード201の奥の方向への移動量が大きいと、第1カード201の前端201aが本体部141aのカード側端141cに当接し、本体部141aも奥の方向へ移動させられてしまうことが考えられる。
しかし、本実施の形態においては、下板110にモールド部ストッパ114bが形成され、上板120にもモールド部ストッパ124bが形成されている。そのため、本体部141aが第1カード201を介して奥の方向への外力を受けた場合、本体部141aの基板側端141dがモールド部ストッパ114b及び124bに当接するので、本体部141aが奥の方向へ移動させられてしまうことがない。すなわち、本体部141aの奥の方向への移動は、モールド部ストッパ114b及び124bによって阻止される。
したがって、第1カード201が奥の方向への大きな外力を受けてモールド部141に当接しても、内部端子ユニット140が奥の方向へ移動させられてしまうことがなく、その結果、前記外力が基板用接続部154を介して、内部基板130に伝達されることがない。これにより、外力によって内部端子ユニット140及び内部基板130が損傷を受けることがない。
なお、前記外力を本体部141aが受けていない状態では、図11(b)に示されるように、本体部141aの基板側端141dとモールド部ストッパ114b及び124bとの間にわずかな間隙が生じるようになっていることが望ましい。
また、内部基板130の厚さが厚い場合には、図9(b)に示されるように、第1面130aの位置が高くなるので、第1面130aと上板120の内面との間隙が狭くなり、基板押圧用突起127の変形量が大きくなる。一方、内部基板130の厚さが薄い場合には、図10(b)に示されるように、第1面130aの位置が低くなるので、第1面130aと上板120の内面との間隙が広くなり、基板押圧用突起127の変形量が小さくなる。しかし、内部基板130の厚さが厚い場合であっても、薄い場合であっても、内部基板130は、前記基板押圧用突起127を介して上板120によって下板110に対して押付けられる。したがって、内部基板130の厚さに関わらず、該内部基板130を上下方向に関して位置決めすることができ、第2面130bの上下方向に関する位置を一定に維持することができる。
次に、前記基板押圧用突起127の構成について詳細に説明する。
図12は本発明の実施の形態における基板押圧用突起の構成を示す図、図13は本発明の実施の形態における基板押圧用突起の変形状態を説明する図である。なお、図12において、(a)は上板の内面を示す斜視図、(b)は(a)のD部拡大図であり、図13において、(a)は内部基板を押圧する前の状態、(b)〜(f)は基板押圧用突起の変形の状態をそれぞれ示している。
前述のように、複数の基板押圧用突起127の各々は先端が尖った形状を備える。図12及び13に示される例において、基板押圧用突起127は、断面が直角三角形であって上板120のパッド対応部122の面と平行に延在する三角柱のような形状を備え、三角柱の第1の側面が前記パッド対応部122の面に対して垂直な垂直面127aであり、三角柱の第2の側面が前記パッド対応部122の面に対して傾斜した傾斜面127bであり、三角柱の第3の側面が前記パッド対応部122の面と一体化した底面である。また、垂直面127aと傾斜面127bとの境界線が、基板押圧用突起127の先端である稜線127cである。
このように、基板押圧用突起127の先端は、尖った形状を備えているので、変形しやすくなっている。そのため、内部基板130を上板120によって下板110に対して押付ける場合、内部基板130に厚さのばらつきがあっても、基板押圧用突起127の先端が変形することによって前記ばらつきを吸収することができる。例えば、内部基板130の厚さが厚い場合には、図13(e)に示されるように、基板押圧用突起127の変形量が大きくなり、また、例えば、内部基板130の厚さが薄い場合には、図13(f)に示されるように、基板押圧用突起127の変形量が小さくなる。これにより、内部基板130に厚さのばらつきがあっても、上板120の内面と下板110の内面との間隔を一定に維持しつつ、内部基板130の基準面である第2面130bを下板110の内面に押付けて、第2面130bの上下方向に関する位置を一定に維持することができる。
また、内部基板130の各部における厚さにばらつきがあって第1面130aが平坦でなく歪(ゆが)んでいる場合や、内部基板130にうねりがあって第1面130aが平坦でなく歪んでいる場合にも、基板押圧用突起127の先端が変形することによって第1面130aの歪みを吸収することができる。例えば、内部基板130にうねりがあって第1面130aが平坦でなく歪んでいる場合、図13(a)及び(b)を比較して分かるように、各基板押圧用突起127の変形量が相違する。これにより、内部基板130の第1面130aに歪みがあっても、上板120の内面と下板110の内面との間隔を一定に維持しつつ、第2面130bを下板110の内面に押付けることができる。
さらに、基板押圧用突起127は、その中心軸が垂直面127aの方向に傾斜している。すなわち、基板押圧用突起127は、断面が直角三角形でその先端から底面に引いた中心線が垂直面127aの方向に傾斜している。そのため、先端が内部基板130の第1面130aに当接して上向きの力を受けた場合に、垂直面127aの方向に傾くように変形しやすくなっている。そして、すべての基板押圧用突起127の垂直面127a同士、傾斜面127b同士及び稜線127c同士が互いに平行となっている。つまり、すべての基板押圧用突起127の中心軸は同一方向に傾斜している。そのため、図13(c)及び(d)に示されるように、すべての基板押圧用突起127は、先端が同一の方向に傾くように変形しやすくなっている。
したがって、先端が変形することによって生じ、内部基板130に付与される力が、すべての基板押圧用突起127において同一の方向となるので、基板押圧用突起127を介して下板110の内面に押付けられる内部基板130が安定する。もっとも、先端が傾く方向が基板押圧用突起127毎にばらばらであっても内部基板130へ力を付与することができるが、上記のように、同一方向であると基板押圧用突起127を介して下板110の内面に押付けられる内部基板130がさらに安定する。
また、上板120と下板110との固着が超音波溶着によって行われる場合、付与された超音波振動が基板押圧用突起127にも伝達される。通常、超音波溶着においては、超音波振動が部材の尖った部分の先端に集中するので、尖った部分の先端が発熱して軟化しやすくなる。したがって、上板120と下板110との固着を超音波溶着によって行う際に、基板押圧用突起127の先端も超音波振動によって発熱して軟化する。これにより、基板押圧用突起127の先端が容易に変形するので、内部基板130の厚さのばらつき、第1面130aの歪み、内部基板130のうねり等を容易に吸収することができ、基板押圧用突起127の先端によって内部基板130を過度に押付けることがない。したがって、該内部基板130が基板押圧用突起127の先端によって損傷を受けることがない。
次に、前記カード用アダプタ101が装填されるカード用コネクタ1の概略について説明する。
図14は本発明の実施の形態におけるカード用コネクタを示す斜視図である。
ここで、前記カード用コネクタ1は、合成樹脂等の絶縁性材料によって一体的に成形され、前記カード用アダプタ101又は第2カードを収容するハウジング11と、金属等の導電性材料から成る板材に打抜き、折曲げ等の加工を施すことによって成形され、ハウジング11の上側に取付けられたケースとしてのシェル61とを有する。前記カード用コネクタ1は、図14に示されるように、概略、扁(へん)平な直方体形状を備え、電子機器に取付けられ、前方(図14における左下方)からカード用アダプタ101又は第2カードが挿入される。ここでは、カード用アダプタ101が、アダプタ側接続端子としてのアダプタ側コンタクトパッド136が露出する面が下になるような向きで、すなわち、下板110が下になり、上板120が上になるような向きで、カード用コネクタ1に挿入されるものとして説明する。また、第2カードも、そのカード側コンタクトパッドが露出する面が下になるような向きで、カード用コネクタ1に挿入されるものとして説明する。
前記ハウジング11の底壁部の上面には、コネクタ側端子としての端子51が取付けられている。そして、該端子51は、その基部が前記底壁部に取付けられ、その先端に形成された図示されない先端部が奥に向けて斜め上方に延在して底壁部の上面より上方に突出している。前記端子51の先端部は、接触部として機能し、カード用アダプタ101の下板110のパッド対応開口部112から露出するアダプタ側コンタクトパッド136又は第2カードのカード側コンタクトパッドに接触して電気的に接続される。また、前記端子51の基部から延在するソルダーテール部は、底壁部の手前側の縁から前方に向けて突出し、前記電子機器における配線基板等に形成された導電線、コンタクトパッド、端子等、すなわち、相手側端子部材に、はんだ付等によって電気的に接続される。なお、ハウジング11の前縁側には、金属板から成るグランドプレート65が配設される。
そして、ハウジング11の一方の側壁部には、カード用コネクタ1内に挿入されたカード用アダプタ101又は第2カードを案内するためのカード案内機構のスライド部材が前後方向にスライド可能に取付けられている。
ここで、スライド部材は係合凸部を備え、該係合凸部がカード用アダプタ101の凹部108又は第2カードの凹部と係合する。そして、スライド部材は、カード用アダプタ101又は第2カードを保持し、カード用アダプタ101又は第2カードとともに前後方向に移動する。また、スライド部材は、圧縮ばねとして機能するコイルスプリング等の付勢部材によって、カード用アダプタ101又は第2カードの挿入方向と反対の方向、すなわち、カード用アダプタ101又は第2カードの排出方向に付勢される。
そして、前記カード用コネクタ1は、該カード用コネクタ1内にカード用アダプタ101又は第2カードを挿入する際にも、カード用コネクタ1内からカード用アダプタ101又は第2カードを取出す際にも、カード用アダプタ101又は第2カードを押込む動作を必要とする、いわゆる、プッシュインプッシュアウトタイプ、又は、プッシュ/プッシュタイプと通称されるものである。つまり、前記カード案内機構は、カード用アダプタ101又は第2カードを挿入方向に押込むプッシュ動作によってカード用アダプタ101又は第2カードが挿入方向に移動して終端点まで到達すると、前記付勢部材の付勢力によって、前記カード用アダプタ101又は第2カードを終端点から挿入方向と反対の方向に移動させて排出することができる。
このように、本実施の形態において、カード用アダプタ101は、上板120と下板110とを結合して形成したハウジング109内に第1カード201を収容し、第2カードが装填されるカード用コネクタ1に装填可能となっている。さらに、前記カード用アダプタ101は、ハウジング109内に配設され、第1カード201のカード側コンタクトパッド251と接触するアダプタ内カード接続端子150と、第1面130aが上板120に対向し、第2面130bが下板110に対向するようにハウジング109内に配設される内部基板130であって、第2面130bに形成され、カード用コネクタ1の端子51と接触するアダプタ側コンタクトパッド136と、第1面130a及び/又は第2面130bに形成され、前記アダプタ内カード接続端子150とアダプタ側コンタクトパッド136とを接続する配線133とを備える内部基板130とを有する。そして、上板120は、第1面130aに当接する複数の基板押圧用突起127を備え、該基板押圧用突起127を介して内部基板130を下板110に対して押付ける。
これにより、カード用アダプタ101は、全体の厚さが薄く、小型の第2カードを対象とするカード用コネクタ1に適合可能となる。また、内部基板130の厚さが一定でなくても、内部基板130を安定して保持することができる。したがって、第1カード201とカード用コネクタ1との電気的接続状態を確実に維持することができ、信頼性を向上させることができる。
また、アダプタ側コンタクトパッド136及び配線133は、導電性の薄膜である。これにより、カード用アダプタ101の厚さを薄くすることができる。
さらに、内部基板130は、第2面130bが下板110の基板受容部115の面に当接することによってハウジング109の厚さ方向に位置決めされる。これにより、第2面130bに形成されたアダプタ側コンタクトパッド136の位置が一定し、カード用コネクタ1の端子51と確実に接触することができる。
さらに、基板押圧用突起127の少なくとも内部基板130の第1面130aに当接する部分は、変形可能である。これにより、内部基板130の厚さにばらつきがあって、内部基板130の第2面130bを下板110の基板受容部115の面に当接させた場合に内部基板130の第1面130aと上板120の基板受容部125の面との間の間隔にばらつきが生じても、基板押圧用突起127の先端が変形することによって前記ばらつきが吸収される。
さらに、基板押圧用突起127は先端が尖った形状を備える。したがって、先端が変形しやすい。
さらに、すべての基板押圧用突起127の中心軸は同一方向に傾斜する。したがって、先端が変形することによって生じ、内部基板130に付与される力が、すべての基板押圧用突起127において同一の方向となるので、基板押圧用突起127を介して下板110の内面に押付けられる内部基板130が安定する。
さらに、基板押圧用突起127の先端は、上板120と下板110とを結合するための超音波振動が付与されることによって変形する。これにより、基板押圧用突起127の先端が容易に変形するので、内部基板130の厚さのばらつき、第1面130aの歪み、内部基板130のうねり等を容易に吸収することができ、基板押圧用突起127の先端によって内部基板130を過度に押付けることがない。
なお、本実施の形態においては、第1カード201を、その第1面217が上板120に対向し、その第2面218が下板110に対向するような姿勢で、カード用アダプタ101に装填する場合について説明したが、これは、第1カード201におけるカード側コンタクトパッド251が存在する面と、カード用アダプタ101におけるアダプタ側コンタクトパッド136が存在する面とが同一の向きを向くようになるので、ユーザの使い勝手が向上するからである。
もっとも、必要に応じて、第1カード201を裏返した状態で、すなわち、第2面218が上板120に対向し、第1面217が下板110に対向するような姿勢で、カード用アダプタ101に装填するようにしてもよい。この場合、端子収容溝部114a及び端子先端収容凹部114cを上板120の端子受容部124に形成し、アダプタ内カード接続端子150の基部151を上板120の内面寄りに位置させ、腕部152を基部151から下方に向けて、すなわち、下板110に近付くように、斜めに延出させる。また、基板用接続部154は、立上り部154aを省略して、側面形状がL字形となるようにし、基部151から平行に延出する水平部154bと、該水平部154bの先端に上端が接続され、基部151にほぼ垂直に下方に向けて延出する挿入部154cとを備えるものとする。該挿入部154cは、内部基板130のスルーホール135内に上板120側から挿入され、配線133に電気的に接続される。なお、カードロック金具161も、第1カード201の凹部212に対応する位置に移動させる。
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。