JP2009176704A - プラズマディスプレイパネル、プラズマディスプレイパネルの製造方法、及びプラズマディスプレイ装置 - Google Patents

プラズマディスプレイパネル、プラズマディスプレイパネルの製造方法、及びプラズマディスプレイ装置 Download PDF

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Abstract

【課題】PDPに係わり、明室コントラスト向上などを実現できる技術を提供する。
【解決手段】本PDP10は、パネル全面もしくは一部の領域で、セル40における隔壁8構造のうち、上側の隔壁部(横リブ8A)が下側の隔壁部(横リブ8B)よりも高い構造である。上側の隔壁部により外光aの入射が遮られる。また、上側の隔壁部により内光bが斜め下方向へ出射されやすくなる。また、セル40における上側の隔壁部に形成される蛍光体9の膜厚が下側の隔壁部に形成される蛍光体9の膜厚よりも厚い構造としてもよい。
【選択図】図1

Description

本発明は、プラズマディスプレイパネル(PDP)を備える表示装置(プラズマディスプレイ装置:PDP装置)等のフラットパネルディスプレイ(FPD)に関し、特に、セル構造等に関する。
PDP装置、液晶ディスプレイ、有機EL等のFPDでは、性能やコストの競争が激しく、特に、PDPでは、明室コントラストの向上(外光反射の抑制)、更なる薄型化・低コスト化などが要求されている。
上記コントラスト向上等に関する従来技術例として、特開2007−272161号公報(特許文献1)や特開2006−201577号公報(特許文献2)記載の技術がある。これらの技術では、パネルの前面に配置したフィルム内に、光を吸収する光吸収部が少なくとも一次元方向に多数平行に並べて配置された遮光機能層を有し、外光入射をこの遮光機能層で抑制することで、明室コントラストを向上する。
特開2007−272161号公報 特開2006−201577号公報
本発明が解決しようとする課題は二つある。第一の課題は、明室コントラストの向上である。第二の課題は、正面輝度の向上である。特に第二の課題である正面輝度の向上は、PDPの低コスト化、さらには低消費電力化、ディスプレイ装置の薄型化にも繋がる重要な課題である。
まず、第一の課題である明室コントラストの向上について述べる。一般的なPDPは、セル内の蛍光膜(蛍光体層)が前面側から透過により直接見える構造であるため、その外光反射により、明室コントラストが低下する問題点がある。また、明室下でセル内より出射される光は、内光と、反射する外光(外光反射光)とがあるので、色の混色が生じる。このことは、色再現範囲の低下を招く。特に、輝度が低い低階調表示では、この色再現範囲の低下は大きな問題となる。
上記に対する一つの対策としては、前記特許文献1や特許文献2等の技術のように、部分的に遮光機能層を有する光学フィルタをパネルの前面に配置する構造により、外光入射を抑制し、これにより明室コントラストを向上することが考えられる。
しかしながら、上記のような対策では、特殊な光学フィルタを設ける分、輝度低下、高コスト、パネル厚み増などの不利点がある。
次に第二の課題である正面輝度の向上について述べる。先に述べたように、今後のPDPにおいては、更なる低消費電力化、低コスト化、薄型化など様々な要求がある。正面輝度の向上を達成することにより、これらの要求をほぼ同時に満足できる。一般的なPDPでは、セルからの光は全視野方向に対してほぼ一様に出射され、パネル全面でほぼ均一な輝度である。これに対して、LCDなどでは、視野方向に対して輝度の分布を有し、正面輝度が高くなっている。人がテレビなどのディスプレイを観る場合には、ほぼ正面から観る場合が多く、このことを考えると、正面輝度を向上させることは非常に重要である。また、正面輝度を向上するということは、逆に、正面以外の輝度を落とすことも可能なので、低消費電力化にも繋がる。さらには、この低消費電力化に伴う駆動回路の簡略化(部材数低減)により低コスト化や回路厚みの低減(PDP薄型化)にも繋がる。
本発明は以上のような問題に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、PDPに係わり、明室コントラスト向上と正面輝度向上などを実現できる技術を提供することである。
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。前記目的を達成するために、本発明の代表的な実施の形態は、PDPの技術であって、PDPは、放電を形成するための放電ガスが封入された放電空間と、放電空間で隔壁(リブ)により区画された複数のセル(放電セル)と、隔壁間に放電で発生する紫外線による励起で可視光を発光する蛍光膜(蛍光体)と、セルに電圧を印加するための電極(表示電極)と、を少なくとも構成要素の一部として有するものであり、以下に示す構成を有することを特徴とする。
(0)本形態は、セル(放電領域ないし発光領域)を囲む複数辺の隔壁(リブ)において、セルの重心(2次元平面視した場合の中心)に対して対称に配置される少なくとも一組の2辺の隔壁部の高さが互いに異なる構造である。
(1)本形態は、セルを囲む隔壁(リブ)において、上側にあるリブ(上辺部)が下側にあるリブ(下辺部)よりも相対的に高くなる構造である。これにより、セルの上辺部によって外光の入射が遮られるので、セル内の蛍光体への外光入射が抑制される。
(1A)例えば、横方向隔壁部(横リブ)を含むボックス型のリブ構造及びセル構造を持つPDPにおいて、セルを囲む四辺のリブのうち、上辺部の高さを、他のリブ(少なくとも下辺部)よりも高くする。
(1B)例えば、セルを囲む四辺のリブのうち、下辺部の高さを、他のリブ(少なくとも上辺部)よりも低くする。
(2)本形態は、例えば横方向隔壁部(横リブ)を含むボックス型のリブ構造及びセル構造を持つPDPにおいて、セル内(リブ間)に形成される蛍光体の膜面(例えば底面部と上下左右4つの側面部)のうち、セルの上側面部の膜の反射率を下側面部の膜よりも相対的に高くする構造である。これにより、セル内の上面側(上辺部側)から出射される光量が多くなるので、セル内から出射する光に指向性が付与される。
(2A)上記構造は、例えば、蛍光体の膜の厚みを変えることによる。例えば、上側面部の膜を他の膜(少なくとも下側面部の膜)よりも厚くする。
(2B)上記構造は、例えば、蛍光体の一部に二層膜を導入することによる。この二層は、例えば、反射材(光反射層)とその上の蛍光膜とからなる。例えば、上側面部の膜を二層膜とし、他の膜(少なくとも下側面部の膜)を単一膜とする。
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。本発明によれば、PDPに係わり、明室コントラスト向上と正面輝度向上などを実現できる。特に、セル内の蛍光体への外光入射抑制(外光反射抑制)による明室コントラスト向上や、セル内からの指向的な光出射による正面輝度向上、それらによるPDP性能向上が実現できる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部には原則として同一符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。なお、説明のため、x方向(画面内の横方向)、y方向(画面内の縦方向)、z方向(パネル厚さ方向)を有する。
<従来技術>
図10,図11を用いて、前提となる従来技術例のPDPについて簡単に説明する。図10は、従来PDPの縦方向(y)の断面の一部概略を示している。パネル厚さ方向(z)における右側から左側へ向かう矢印がパネル正面の視線方向Sである。y方向における上側がパネル上部、下側がパネル下部である。
従来パネル(画面)の全面で同一のセル構造である。背面側の第2構造体12には、隔壁(リブ)8及び蛍光体(蛍光膜)9が形成され、前面側の第1構造体11と重ね合わせることでパネルが構成される。セルでは、リブ8間に蛍光体9が形成される。リブ8の側面に蛍光体9の側面部が形成され、基板面上に蛍光体9の底面部が形成される。リブ8の高さhrは、基本的にパネル面内の全面で一定である。
aで示すように、基本的に、外光(室内照明など)は、パネルの斜め上方向から入射される。セル内への外光入射のうち蛍光体9により反射されz方向(視線方向S)に出射される成分により、コントラスト(明室コントラスト)が低下する。
また、図11は、左側に、図10のような従来PDPのセルの断面(y−z面)と、右側に、aのような外光照射によるセルから出射される光(外光反射光)の反射輝度分布(セル垂直方向(y)位置に対する反射輝度)とを示す。本セルは非点灯状態であり、本セルから反射される外光a(外光反射光)の光強度のみを測定したものである。この反射輝度分布において、概略的に、領域Aでは、セルの上側に配置された隔壁8の影により、反射輝度が低い。領域Bでは、セルの底面に位置する蛍光膜9の反射により、反射輝度が下に行くほど徐々に高くなる。一方、領域Cにおいては、セルの下側に配置された隔壁8に形成された蛍光膜9からの反射光により、反射輝度が急激に高くなる。
これらの反射輝度が、明室コントラストを低下させる直接の原因となり、特に領域Cでの急激な反射輝度の増大が問題である。セルの垂直方向(y)の位置で下へ行くほど反射輝度が大きくなっており、特に領域Cでは、領域Bに対し反射輝度の傾きが変化しているが、これは、下側の隔壁8及びその蛍光体9側面部の影響が大きいと推測される。
さらに、この外光反射光、即ちセルより出射される外光の反射の成分は、内光との混色により、明室下での色再現範囲を狭くする主要因となる。
なお、図10,図11における前面基板(第1構造体11)において、バス電極をほぼリブ8の頂上部に重なるように配置して示しているが、実際のパネルにおいては、構造や駆動などに応じて当該バス電極の配置箇所は種々存在する。特に本発明の構成と効果においては、当該バス電極の位置は限定されない。
また例えば、パネル前面に、光吸収層を部分的に有する、ルーバーフィルム等の光学フィルタ60を設けることにより、外光反射を抑制し、コントラスト低下の対策を施している。
(実施の形態1)
図1等を用いて、本発明の実施の形態1(構成1A)のPDP10について説明する。実施の形態1は、排気パス50が存在しボックス型の隔壁8構造及びセル構造を持つPDP10において、各セルを囲む4辺のリブ(図1では8A,8B,8C)のうち、1つのセルの重心(図1では点G)に対して、対称に配置される少なくとも一組の2辺のリブ(8Aと8B)の高さが互いに異なるものである。上記重心(G)とは、例えば、x−y面での平面視でのセル(発光領域)の中心のことである。具体的に、セルの上側に位置するリブ8(上辺部8A)を、セルの下側に位置するリブ8(下辺部8B)を含む他のリブ8よりも高くするものである。本セル構造は、パネル10の全面で適用される。
従来PDP(図10)のリブの高さhrに対し、本リブ8構造では、図1のように、セル(発光領域)40を囲む上下左右四辺のリブ8、即ち上辺部(横リブ)8A、下辺部(横リブ)8B、及び左右辺部(縦リブ)8Cを有し、上辺部(横リブ)8Aの高さ:hra、下辺部(横リブ)8Bの高さ:hrb、左右辺部(縦リブ)8Cの高さ:hrcとする。
本構造では、セルを囲む四辺のリブ8のうち、上側のリブ(上辺部8A)の高さhraを、他のリブ8部位、即ち下辺部8B及び左右辺部8Cの高さhrb,hrcよりも高くする(hra>(hrb,hrc))。また、左右辺部8Cの高さhrcを下辺部8Bの高さhrbと同じにした場合である(hrc=hrb)。また、上辺部8Aの高さhraを従来リブ高さhrよりも高くし、下辺部8Bの高さhrbを従来リブ高さhrと同じにした場合(hra>hr=hrb)である。上記条件をまとめると、hra>hrb=hrc=hrである。
本構造により、外光がセルの上側のリブ8(上辺部8A)によって遮光されることで、外光入射及び外光反射が抑制される。このことは、図11で述べた領域Aのような反射輝度の低い領域が増大することに相当し、セルからの外光反射が抑制、即ちパネル反射率が抑制されるので、明室コントラスト向上(改善)効果が得られる。
図4はセル内の外光反射輝度分布を示し、(a)は、実施の形態1のようにリブ8の高さを変えたことによる効果を示している。例えば図4(a)に示すように、図11のような分布に比べて、領域Cでの反射輝度を低減できる。この場合、反射輝度を、およそ70%まで低減することができる。これにより、明室コントラストを約1.4倍向上できることになる。さらには、反射輝度の低減と同時に、内光と外光の混色が抑制され、色再現範囲も向上(改善)する。また、内光(即ちセル内部の放電による蛍光体9からの発光)がセルの上側のリブ8(上辺部8A)の蛍光体9によって反射されることで、セル内の上面側から出射される光量が多くなるので、斜め下方向に光が出射されやすくなるという光出射の指向性を付与することができる。その他、詳しくは以下で述べるが、このようなリブ高さの異なるセルをパネル内の一部分、または全面に形成することで、パネル正面の視線方向S(図10)に対する輝度、即ち正面輝度を向上することが可能となる。
図1において、(a)は、PDP10の主にリブ8及びセル構造の前面側平面を示し、(b)は、(a)のA−A’断面(セルの縦方向断面)を示し、(c)は、(a)のB−B’断面(セルの横方向断面)を対応して示している。aは、パネル10内に入射する光(外光)の例を、bは、パネル10内から出射する光(内光)の例を示す。
本PDP10は、排気パス50を持つボックス型のリブ8及びセルの構造を有する。即ち、x方向に梯子状の隔壁8を有し、隔壁8で四方を囲まれる空間が、セル(発光領域または放電領域)に対応付けられる。ボックス型のリブ8において、x方向に並行する横リブ(8A,8B)と、y方向に並行する縦リブ8Cと、を有する。横リブ8Aは、セルの上辺部、横リブ8Bは、セルの下辺部、縦リブ8Cは、セルの左右辺部に対応する。第1構造体(前面基板構造体)11では、前面基板(ガラス基板)1上、例えば、横リブ(8A,8B)の上方の位置に、x方向に並行する表示電極2(維持電極(X)、走査電極(Y))が設けられており、誘電体層3、及び保護膜4により覆われている。第2構造体(背面基板構造体)12では、背面基板(ガラス基板)5上、y方向に並行するアドレス電極6が設けられており、誘電体層7により覆われている。誘電体層7上には、セル群の区画に対応して各リブ8が形成されている。また、リブ8間には、蛍光体9が所定厚さ(平均)の膜(層)状に形成されている。
第1の特徴として、各セルの構造において、上辺部8Aの高さhraが、下辺部8Bの高さhrbよりも高い(hra>hrb)。上記高さの差をΔh=hra−hrbとする。Δhを所定の大きさ以上確保することにより、前述の効果が得られる。Δhは、少なくとも製造ばらつきにより生じる高低差以上の15μm以上あることが望ましい。もしくは、Δhは少なくとも0.1×hra以上が望ましい。
<電極構成例>
上記に加えてさらに効果を得るためには、以下のような構成例がある。下辺部8Bの高さhrbに係わり、前面基板1側に配置された表示電極2(X,Y)を構成する電極の少なくとも一部(本例ではバス電極)が、不透明材料(低い可視光透過性の材料)で形成された不透明電極とする。そして、下辺部8Bの高さhrbが、例えば、当該不透明電極の電極幅L(y方向の長さ)の0.58倍以上、1.73倍以下の範囲(0.58L≦hrb≦1.73L:後述の式(3))にあることが望ましい。
一般に、表示電極は、ITOなどの透明電極と、銀や銅などのバス電極とから構成されることが多い。上記不透明電極とは、例えば、銀や銅から成る金属電極のことを意味する。
以下、図3を用いて、上記リブ(8B)の高さhrbと不透明電極の幅Lの関係について説明する。図3は、実施の形態1で更なる効果を生み出すための別の構成例として、セルの縦方向(y)の断面を示している。なお、本図面では、不透明電極(図3ではEX,EY)のみを図示しており、透明電極については図示していない。第1構造体11内部の表示電極2(X,Y)において、例えばセルの上側の領域に、維持電極(X)を構成する不透明電極EXを有し、下側の領域に、走査電極(Y)を構成する不透明電極EYを有する。それぞれの不透明電極EX,EYは、例えば、金属電極で、直線状のバス電極(駆動回路側と接続される)から成る。あるいは、不透明電極EX,EYは、バス電極に接続されセル内側へ張り出す張り出し部などから成ってもよい。不透明電極EXは、例えば、横リブ(上辺部)8Aの頂上部の位置よりもセル内側へ少し張り出す位置に配置される。
先に述べたように、セルからの外光反射を抑制するためには、特にセルの下側に配置されたリブ(下辺部8B)に形成される蛍光膜9(側面部)への入射を抑制することが重要である。従って、図3に示すように、金属バス電極などによる不透明電極2(EX,EY)により、セル下側に配置されたリブ8(下辺部8B)の側面付近に対して形成される蛍光膜9部分(側面部9b)への外光(a)の入射を抑制することで、セルからの反射輝度を大幅に低減することが可能となる。例えば、外光a’は、セル上側の不透明電極(EX)で遮光されるため、セル下側のリブ8(8B)に形成される蛍光膜9(9b)に対しては照射されない。この照射されない領域を下側リブ(8B)の蛍光膜(9b)面全域でつくるためには、下側リブ(8B)の高さhrb、不透明電極(EX)の幅L、外光aの入射角度θが、以下の式(1)を満足すればよい。
hrb≦L/tanθ ・・・(1)
上記式(1)を満足することにより、セル下側リブ(8B)の蛍光膜(9b)面への外光入射を、不透明電極(金属バス電極)(EX)で遮蔽でき、反射輝度を大幅に低減することが可能となる。
一方で、内光の取り出しを考慮すれば、蛍光体9の塗布面積から、リブ高さはできるだけ高い方がよい。上記式(1)を満足し、できるだけリブ高さを高くするためには、以下の式(2)を満足することが望ましい。
hrb=L/tanθ ・・・(2)
一般的に室内照明のある室内環境でPDPを鑑賞する場合には、外光はPDPの斜め上方から照射されることが殆どであり、JEITAでの規格を参照すれば、入射角度θは、ほぼ30°から60°の間である(30°≦θ≦60°:θ条件(1))。さらに最も一般的には、θは、35°から45°の間である(35°≦θ≦45°:θ条件(2))。
これらのことから、例えばθ条件(1)を考慮すると、下側のリブ(8B)の高さhrbは、不透明電極(EX)の幅Lの0.58(≒1/tan60°)倍以上、1.73(≒1/tan30°)倍以下の範囲にあることが望ましい。即ち、hrbの条件(1)として下記式(3)である。
0.58L≦hrb≦1.73L ・・・(3)
また、不透明電極(EX)の幅Lは、具体的に、配線抵抗などの駆動条件、設計条件を考慮すると、例えば40μmから80μmの範囲である(40μm≦L≦80μm:L条件(1))。
これらのことから、リブ(8B)の高さhrbは、23μm(≒0.58×40μm)から138μm(≒1.73×80μm)の範囲が望ましい。即ち、hrbの条件(1’)として下記式(4)である。
23μm≦hrb≦138μm ・・・(4)
また、さらに最も一般的には前述のθ条件(2):35°≦θ≦45°である。このとき、リブ(8B)の高さhrbは、不透明電極(EX)の幅Lの1.00(=1/tan45°)倍以上、1.43(≒1/tan35°)倍以下の範囲であることが望ましい。即ち、hrbの条件(2)として下記式(5)である。
1.00L≦hrb≦1.43L ・・・(5)
具体的には、前述同様にL条件(1)を考慮すると、hrbは、40μm(=1.00×40μm)から114μm(≒1.43×80μm)の範囲にあることが望ましい。即ち、hrbの条件(2’)として下記式(6)である。
40μm≦hrb≦114μm ・・・(6)
このように、セルの下側のリブ(8B)の高さと不透明電極(金属バス電極)(EX)の幅Lとを上述した関係とすることで、外光反射輝度を大幅に抑制できる。このことは、図11で示した領域Cの反射輝度を低下させることに相当する。これにより、セルからの外光反射を抑制、即ちパネル反射率が抑制されるので、明室コントラスト向上(改善)効果が得られる。
本構成では、上側の不透明電極(EX)の幅L、外光入射角度θなどを考慮して、下側の横リブ8Bの高さhrbを決定している。特に下側の横リブ8Bの蛍光体側面部9bが不透明電極の幅Lによって効率よく遮光されるような位置に決定している。
図4(b)は、前述の(a)(リブ高さを変えた場合)に対し、さらに図3のように不透明電極(EX)による遮光技術を加えた場合の効果を示している。例えば図4(b)に示すように、図11に比べて、領域Cでの反射輝度を大幅に低減でき(理想的にはほぼ0となる)、およそ40%にまで反射輝度を低減することができる。このことは、明室コントラストを約2.5倍向上できることになる。また反射輝度の低減と同時に、内光と外光の混色が抑制され、色再現範囲も向上(改善)する。
図1(b)で、上辺部8A及び下辺部8Bのセル内側の側面に、蛍光体9の膜(側面部)が形成されている。また、上辺部8Aと下辺部8Bの間、第2構造体12の上面(誘電体層7表面)に、蛍光体9の膜(底面部)が形成されている。外光aにおいて、例えば、上辺部8Aに対し入射するものは、セル内部への入射が遮られる。内光bにおいて、例えば、蛍光体9の底面部や、下辺部8B側の側面部からの発光で、上辺部8Aの蛍光体9(側面部)の方向に出たものは、当該蛍光体9(側面部)により反射されて、パネル正面に対する斜め下方向へ出射される。よって、セル単位での光出射は、この斜め下方向への指向性を持つ。
<隔壁構成例>
また、別の構成例として図14(b)に示すように、(a)のような従来(基本)のセル構造に対し、隔壁8構造として、前面基板1(第1構造体11)に近い側のセル開口部分(40)を小さくする構造(Awb>Awt)を加えることで、前述した効果をより一層得ることができる。すなわち、従来の構成では図14(a)に示すように、隔壁8における前面基板1(第1構造体11)に近い側のセル開口部の幅Awtに対して、背面基板5(第2構造体12)側の底部の幅Awbが同等もしくは小さくなっている。それに対し、図14(b)の構成では、幅Awtに対して幅Awbを大きくする構成(Awb>Awt)とする。具体的に、セル上側のリブ(8A)及び下側のリブ(8B)は、z方向でセル内側寄りに少し傾く形である。これにより、セル内への外光入射をより一層抑制できるため、前述の効果を得ることができる。この構造は、例えば隔壁8を基板(背面基板5)に対して斜めに形成することで可能となる。
<排気パス>
さらに、本構成(図1)では、梯子状のリブ8間に、x方向に伸びる排気パス50(放電空間13での隙間)を有する。排気パス50は、公知の排気及びガス封入工程等で使用される。また、図1(b),(c)のように、第1構造体11と第2構造体12との間の放電空間(基板間領域)13においては、高い方の上辺部8Aの高さhraに応じて、z方向で一定距離が確保されている。また、その一定距離内で、高さhraの横リブ8Aの頂上面と、前面側の基板(保護膜4)との間の隙間に、排気パスを設ける場合を示している。これは、当該排気パスを設けない場合は、密着状態として構わない。また、高さが低い方の下辺部8Bでは、第1構造体11(保護膜4)との間に隙間が生じており、その隙間がy方向での排気パスとなる。当該排気パスは、x方向の排気パス50とつながっている。よって、これら下辺部8Bの上側の排気パスを含む全体の排気パスを使用することで、排気効率を向上でき、パネル品質向上につながる。なお、排気パス50の有無や詳細は本構成以外にも可能である。例えば図1の排気パス50を無くしてボックスリブ構造とすることも可能である。
<ボックスリブ>
図16には、別の構成例として上記ボックスリブ構造とした場合を示している。即ち、縦方向(y)で隣接するセルにおける高さの異なる横リブ(8A,8B)同士を一体化することでボックス状の隔壁8構造とした場合である。前述の高さhrbの横リブ8Bと、高さhraの横リブ8Aとが一体化され、隣接セル間を区画する横リブ8Dとなっている。
<各種セル>
さらには、変形例として、図13(a)〜(d)に示すような各種セル構造でも可能である。x−y面における形状が異なる例であり、いずれもセルの重心(中心)の点Gに対し前述の条件を満たす隔壁8構造である。(a)は長方形の場合である。上辺部8A及び左右辺部8Cの高さがhraで、下辺部8Bのみ高さがhrbである。(b)は第1の六角形の場合である。上半分側の3辺の高さがhraで、下半分側の3辺の高さがhrbである。(c)は第2の六角形の場合である。上側の2辺の高さがhraで、他の辺の高さがhrbである。(d)は円形の場合である。上半分側の周の高さがhraで、下半分側の周の高さがhrbである。
なお、上記のように一つのセルを囲むリブ8において、その高さを変えて形成するためには、例えば以下のような手法がある。
第1に、セルを囲む上下(高低)のリブ(例えば8A,8B)で、単純に、サンドブラスト法におけるマスクパターン等を変えた設計及び工程とすることである。例えば、低い方のリブ(8B)を第1のマスクパターンで形成する工程と、高い方のリブ(8A)を第2のマスクパターンで形成する工程とを有する。あるいは上下のリブの形成でサンドブラストの時間や強度などを変えること等でもよい。
第2に、セルを囲む上下のリブ(例えば8A,8B)の材料を変えることである。例えば、リブ8をサンドブラスト法によって形成する場合には、上下のリブで硬さの異なるリブ材を用いる。これにより、上下のリブで同一のサンドブラスト時間において、それぞれのリブ材での研磨速度が異なることから、結果、高さの異なるリブが得られる。
第3に、セルを囲む上下のリブ(例えば8A,8B)の太さ(幅)などを変える手法である。リブを形成する最終工程には、高温焼成工程がある。このとき、リブ材は熱収縮を生じる。幅が細いリブでは、その収縮が大きく、リブ高さが低くなる傾向にある。逆に幅が広いリブでは、その収縮が小さく、リブ高さが、幅の狭いリブに比べて高くなる傾向にある。このような傾向を利用することにより、高さの異なるリブを形成することができる。あるいは、上下のリブで熱収縮率が異なるリブ材を用いる手法を用いてもよい。所定のサンドブラスト及び焼成の条件に対して、上下のリブで収縮の大きさが異なることで、高さの差が得られる。
(実施の形態2)
次に、図2を用いて、本発明の実施の形態2(構成1B)のPDP10について説明する。実施の形態2は、実施の形態1と主な特徴(hra>hrb)は共通である。実施の形態2では、実施の形態1と同様のボックス型のリブ8構造などを持つPDP10において、各セルにおける一部のリブ8の高さを従来よりも低く変えるものであり、具体的に、セルの下側に位置するリブ8(下辺部8B)を、セルの上側に位置するリブ8(上辺部8A)を含む他のリブ8よりも低くするものである。
従来PDP(図10)のリブの高さhrに対し、本リブ8構造では、図2のように、セル40を囲む四辺のリブ8(上辺部(横リブ)8A、下辺部(横リブ)8B、及び左右辺部(縦リブ)8C)のうち、下側のリブ(下辺部8B)の高さhrbを、他のリブ8部位、即ち上辺部8A及び左右辺部8Cの高さhra,hrcよりも低くする((hra,hrc)>hrb)。また、左右辺部8Cの高さhrcを上辺部8Aの高さhraと同じにした場合である(hrc=hra)。また、下辺部8Bの高さhrbを従来リブ高さhrよりも低くし、上辺部8Aの高さhraを従来リブ高さhrと同じにした場合(hra=hr>hrb)である。上記条件をまとめると、hra=hrc=hr>hrbである。なお、各図面では、従来リブ高さhrに対する各実施の形態でのスケールの違いを省略して示している。
本構造により、実施の形態1と同様に、パネル反射率が抑制されるので、明室コントラスト向上効果が得られ、また、斜め下方向への光出射の指向性を付与することができる。
また、従来リブ高さhrと比較した場合の変形例としては、上辺部8Aの高さhraを従来リブ高さhrよりも高くし、かつ、下辺部8Bの高さhrbを従来リブ高さhrよりも低くした構成(hra>hr>hrb)なども可能であり、効果をさらに高めることができる。
また、左右辺部8Cの高さhrcに関する変形例としては、横リブ(8A,8B)の高さ(hrb,hra)に合わせる以外にも、それらの高さの中間にする構成(hra>hrc>hrb)も可能である。
以上のように、実施の形態1,2によれば、外光反射抑制等が実現でき、また、パネル正面に対する斜め下方向への指向的な光出射が実現できる。これにより、明室コントラスト改善、及び上記斜め下方向への輝度向上の効果が得られる。また、本パネル10の内部構造自体で上記光学特性の機能及び効果を持つことにより、従来技術のようにパネル前面に、ルーバーフィルムなどの光学フィルタ60等を設ける必要性を減らすことができ、それにより薄型化や低コスト化が実現できる。
(実施の形態3)
次に、図5を用いて、本発明の実施の形態3(構成1C)のPDP10について説明する。実施の形態3では、実施の形態1等(実施の形態2でも同様)と同様の構成に加えて更に、横リブ(8A,8B)の幅(y方向長さ)を変える構成である。具体的に、セルの上側の横リブ(上辺部)8Aの幅をWra、下側の横リブ(下辺部)8Bの幅をWrbとしたとき、Wra>Wrbとする。
本構成により、実施の形態1等と同様の作用(外光aの遮光、内光bのパネル正面斜め下方向への出射)及び効果(コントラスト改善、斜め下方向の輝度向上)が得られる。作用としては、特に、横リブ8Aの頂上面の大きさにより、外光入射の遮蔽の量が大きくなる。なお、上記幅の差をΔW=Wra−Wrbとし、ΔWを所定の大きさ以上確保することにより前述の効果が得られる。ΔWは、少なくとも製造ばらつきにより生じる広狭差以上の15μm以上あることが望ましい。もしくは、Δwは、少なくとも0.1×Wra以上が望ましい。
また、同様に、リブ8の高さを変えずにリブ8の幅(Wra,Wrb)を変える形態も可能である。この形態でも、上記同様の作用により、コントラスト改善などの相応の効果が得られる。
(実施の形態4)
次に、本発明の実施の形態4のPDP10について説明する。実施の形態4は、前記実施の形態1等の構成において更に、リブ8の材料を、黒リブ、即ち低反射性リブ材とする。形状は例えば図1同様であるので省略する。各実施の形態においてリブ8の材料は特に限定されないが、本構成とすることにより、当該黒リブの低反射性(外光aの反射抑制(吸収等))により、総合的に、前述した外光反射抑制の効果によるコントラスト改善効果が高くなる。
また、リブ8全体を黒リブにする構成のみならず、図15に示すようにリブ8の頂上部(第1構造体11に近い側)のみを低反射性リブ材(黒リブ)80としても、相応の効果が得られる。(a)は、リブ8の四辺のうち、下辺部8Bのみ高さhrbとし、他の高さhraの辺部(8A,8C)の頂上部に黒リブ80による層を設けた場合である。(b)は、リブ8の四辺のうち、上辺部8Aのみ高さhraとし、その上辺部8Aの頂上部のみに黒リブ80による層を設けた場合である。
上記黒リブは、一般的に硼珪酸ガラス材料を主成分とするガラス材料にCr−Mn系酸化物やFeなどの黒色材料を混ぜ込むことにより構成される。
(実施の形態5)
次に、図6を用いて、本発明の実施の形態5(構成2A)のPDP10について説明する。実施の形態5は、セル内に形成される蛍光体9の膜面(底面部と上下左右4つの側面部)のうち、セルの上側面に位置する蛍光体9の膜の反射率を高くする構成である。具体的には、蛍光膜9の厚みをセル内で変えるものであり、特に、上側面(上辺部8A)に位置する蛍光膜9Aを下側面(下辺部8B)に位置する蛍光膜9Bよりも厚くする構成である。
図6において、セル内の蛍光体9は、上側の蛍光膜9Aと下側の蛍光膜9Bとを有し、それぞれの膜厚(概略平均)をda,dbとする。上側の蛍光膜9Aは、上辺部8Aの下側の側面に対し形成される。下側の蛍光膜9Bは、下辺部8Bの上側の側面に対し形成される。特徴としてda>dbである。
図12に、本構成に係わり、蛍光膜の膜厚と反射率の関係を示す。図12中、a:「単層蛍光膜」は、実施の形態5のように、蛍光体のみの単一層で構成される膜であり、当該蛍光膜の反射率は、蛍光膜の膜厚に大きく依存し、PDPのセル内で形成される蛍光膜の膜厚範囲(40μm以下)では、蛍光膜の膜厚が厚いほど反射率は高くなる傾向にある。b:「2層蛍光膜」については、次の実施の形態6で説明する。
図6で上側の蛍光膜9Aは、相対的に厚いので、光の反射率が高くなっており、下側の蛍光膜9Bは、相対的に薄いので、光の反射率が低くなっている。例えば、aのような外光が下側の蛍光膜9Bに入射すると、上記反射率の低さにより、外光反射抑制される。通常ディスプレイを観る環境は室内環境であり、外光は天井などに配置された室内照明である。室内照明からの光は、aのようにパネル斜め上方からの光である。また、bのような内光は、上側の蛍光膜9Aの上記反射率の高さにより、効率よく反射され、パネル正面の視線方向Sに対する斜め下方向への光の出射の量が多くなる。即ち、実施の形態1等と同様に、コントラスト改善効果が得られ、また、当該斜め下方向への光出射指向性が付与され、当該方向の輝度が向上する。
<蛍光体形成方法>
図7において、実施の形態5のPDP10の蛍光体9の形成方法(プロセス)について示している。本方法では、第2構造体12側における蛍光体印刷工程で、スクリーン印刷により、蛍光体ペースト90を、セル内(リブ8間)に充填する。次に、乾燥工程では、乾燥時にセル内での蛍光体膜形状が決まる。本方法と比較して従来方法の乾燥工程の場合には、基板(第2構造体12)を水平方向に保持した状態で蛍光体ペースト90を乾燥させる。これにより、セル内のy方向の上下で対称的な厚さで一様に蛍光膜9が形成される。一方、本方法の乾燥工程では、基板(第2構造体12)を傾斜させた状態で蛍光体ペースト90を乾燥させる。これにより、実施の形態5の構成のように、セル内で偏在する蛍光膜9、即ちy方向の上下の位置に応じて厚さが異なる膜が形成される。
(実施の形態6)
次に、図8を用いて、本発明の実施の形態6(構成2B)のPDP10について説明する。実施の形態6は、セル内に形成される蛍光体9の膜面のうち、セルの上側面(上辺部8A)に位置する蛍光体9(側面部)の膜の反射率を高くする構成である。具体的には、特に、当該一部の蛍光膜を二層蛍光膜9Cとし、この2層蛍光膜9Cは、下層の光反射層(光反射材)9Eと、その上層の蛍光膜とから構成される。セル内で二層蛍光膜9C以外の部位は、単一層の蛍光膜9Dとなる。下層の光反射層9Eは、例えば酸化チタン層とし、セル内で当該層の形成を偏在させる。上層の蛍光膜は、従来同様の蛍光体形成方法による概略一定の厚さ(dcとする)とし、例えば実施の形態1の蛍光膜9よりも薄くする。上層の蛍光膜は、二層蛍光膜9Cと単一層の蛍光膜9Dとで連続する。
前記図12に、本構成に係わり、蛍光膜の膜厚と反射率の関係を示す。a:[単層蛍光膜」については、先に述べたとおりである。b:「2層蛍光膜」は、実施の形態6のように、反射層(膜厚:wr)(9E)と蛍光層との積層構造である。図12中のグラフに示したb:「2層蛍光膜」は、wr=11μmの酸化チタンを用いた場合の反射率[%](縦軸)である。横軸は反射層(9E)の膜厚を含む総膜厚wt[μm]である。例えば、a,bで、同じ20μmの厚み(総膜厚)であっても、a:単層蛍光膜では反射率が82%程度であるのに対し、b:2層蛍光膜を用いることで、反射率を92%まで向上することができる。このような二層蛍光膜と単層蛍光膜をセル内で使い分けることで、上記のような構成を得ることができる。
図8において、セル内の光反射層9Eは、上辺部8Aの下側の側面、及び誘電体層7の上面にわたって形成される。上層の蛍光膜は、上辺部8Aの下側の側面、誘電体層7の上面、及び下辺部8Bの上側の側面にわたって一様に形成される。セルの上側面及び底面では、光反射層(反射膜)9Eの存在により相対的に光の反射率が高くなっており、セルの下側面では、相対的に光の反射率が低くなっている。例えば、aのような外光が下側の単一の蛍光膜9Dに入射すると、上記反射率の低さにより、外光反射抑制される。また、bのような内光は、上側の蛍光膜9Cの上記反射率の高さにより、効率よく反射され、パネル正面の視線方向Sに対する斜め下方向への光の出射の量が多くなる。即ち、実施の形態1等と同様に、コントラスト改善効果が得られ、また、当該斜め下方向への光出射指向性が付与され、当該方向の輝度が向上する。
また、実施の形態5,6は、前述の実施の形態1〜4との組み合わせの構成も可能である。
(実施の形態7)
次に、図9を用いて、本発明の実施の形態7のPDP10について説明する。実施の形態7は、パネル10画面内の位置に応じて、実施の形態1等のセル構造(第1の構造)と、この第1のセル構造を上下反転したセル構造(第2の構造)とを合わせて適用し、パネル10全体で所定の光出射指向性を付与するものである。具体的に、パネル10の中央部Bよりも上部Aでは第1の構造を適用し、下部Cでは第2の構造を適用する構成である。本構成により、明室コントラスト向上に加えて特に正面輝度向上の効果が得られる。
図9において、(a)は、PDP10、当該パネルの駆動回路、シャーシ(筐体)、及び当該パネルに映像を表示するための映像信号器などを備えて構成されるPDP装置の縦方向(y)の断面の例であり、Aはパネル10(画面)の上部、Bは中央部、Cは下部である。(b)は、パネル10の領域であるA〜Cのそれぞれに対応させるセル構造を示す。中央部Bでは、標準的な真正面方向(z)への光出射指向性を持つセル構造を適用する。上部Aでは、セル構造として、実施の形態1等のように、リブ8の上辺部8Aが下辺部8Bよりも高い構造などによる、z方向に対し少し斜め下方向への光出射指向性を持つ第1の構造を適用する。下部Cでは、セル構造として、上部Aの第1の構造を上下反転してなる、z方向に対し少し斜め上方向への光出射指向性を持つ第2の構造を適用する。
このようなセル構造(光出射指向性)の組み合わせの構成により、パネル10正面の視線方向S(図8)に対する輝度(正面輝度)が向上できる。
また、上記同様に、実施の形態5,6等に対して上記実施の形態7と同様の構成を適用して同様効果を得ることができる。即ち、パネル10の上部Aに実施の形態5等のセル構造(第1の構造)を適用し、下部Cに第1の構造を上下反転したセル構造(第2の構造)を適用する、といった構成である。
以上説明したように、各実施の形態によれば、明室コントラスト向上や、光出射指向性の付与、正面輝度向上などが実現でき、これによりPDP性能が向上できる。さらにこのようなパネル性能の向上に伴い、駆動回路の簡略化、部材低減が可能となり、PDP薄型化、低コスト化、低消費電力化などにつながる。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
本発明は、PDP装置、特に薄型PDPに利用可能である。
本発明の実施の形態1(構成1A)のPDPの構成を示す図であり、(a)は前面側のセル構造、(b)は縦方向断面、(c)は横方向断面を示す。 本発明の実施の形態2(構成1B)のPDPの構成を示す図であり、(a)は前面側のセル構造、(b)は縦方向断面、(c)は横方向断面を示す。 本発明の実施の形態1で更なる効果を生み出すための別の構成例におけるセル断面を示す図であり、電極幅とリブ高さの関係を示す。 本発明の実施の形態1での技術効果としてセル内の外光反射輝度分布を示す図であり、(a)はリブ高さを変えたことによる効果を示し、(b)はさらにバス電極(不透明電極)の遮光技術を加えた場合の効果を示す。 本発明の実施の形態3(構成1C)のPDPの構成を示す図であり、(a)は前面側のセル構造、(b)は縦方向断面を示す。 本発明の実施の形態5(構成2A)のPDPの構成を示す図であり、(a)は前面側のセル構造、(b)は縦方向断面、(c)は横方向断面を示す。 本発明の実施の形態5のPDPの製造方法における、蛍光体の形成方法を示す図である。 本発明の実施の形態6(構成2B)のPDPの構成を示す図であり、(a)は前面側のセル構造、(b)は縦方向断面を示す。 本発明の実施の形態7のPDP(PDP装置)の構成を示す図であり、(a)はPDP装置の縦方向断面、(b)はパネル位置(A〜C)に応じたセル構造を示す。 従来技術例のPDPの縦方向断面を示す図である。 従来技術例のPDP(セル)の縦方向断面と、セルからの外光反射の輝度分布とを示す図である。 実施の形態5,6の構成に係わり、蛍光膜等の膜厚と反射率の関係を示す図である。 (a)〜(d)は、実施の形態1等の変形例における各種セル構造を示す図である。 本発明の実施の形態1で更なる効果を出すための別の構成例を示す図であり、(a)は従来(基本)のセル構造、(b)は(a)に対する本構成例のセル構造を示す。 本発明の実施の形態4と同様の効果を得るための別の構成例を示す図であり、(a)は下側リブ以外に黒リブ層を配置した場合、(b)は上側リブのみに黒リブ層を配置した場合を示す。 本発明の実施の形態1等における変形例として、縦方向の隣接セルの横リブ同士を一体化してボックス状の隔壁構造とした場合を示す図である。
符号の説明
1…前面基板(ガラス基板)、2…表示電極(X電極,Y電極)、3,7…誘電体層、4…保護膜、5…背面基板(ガラス基板)、6…アドレス電極、8…隔壁、8A…横リブ(上辺部)、8B…横リブ(下辺部)、8C…縦リブ(左右辺部)、8D…横リブ、9…蛍光体(蛍光膜)、9b…側面部(蛍光膜部分)、9A…蛍光膜、9B…蛍光膜、9C…蛍光膜(二層膜)、9D…蛍光膜(単一膜)、9E…光反射層(反射膜)、10…PDP(パネル)、11…第1構造体(前面基板構造体)、12…第2構造体(背面基板構造体)、13…放電空間(基板間領域)、40…セル(発光領域)、50…排気パス、60…光学フィルタ、80…低反射性リブ材(黒リブ)、90…蛍光体ペースト、EX,EY…不透明電極。

Claims (21)

  1. 放電を形成するための放電ガスが封入された放電空間と、前記放電空間で隔壁により区画された複数の放電セルと、前記隔壁間に前記放電で発生する紫外線による励起で可視光を発光する蛍光体と、前記放電セルに電圧を印加するための表示電極と、を少なくとも有するプラズマディスプレイパネルであって、
    本パネルの全面もしくは一部の領域で、前記放電セルを構成する複数辺の隔壁部の内、当該放電セルを平面視したときの中心に対して対称に配置される、少なくとも一組の2辺の隔壁部の高さが互いに異なること、を特徴とするプラズマディスプレイパネル。
  2. 請求項1記載のプラズマディスプレイパネルにおいて、
    前記放電セルを構成する複数辺の隔壁部の内、当該放電セルにおける上側に配置される隔壁部の高さhaが下側に配置される隔壁部の高さhbよりも高いこと、を特徴とするプラズマディスプレイパネル。
  3. 請求項2記載のプラズマディスプレイパネルにおいて、
    前記放電セルにおける上側に配置される隔壁部の頂上部分の幅waが下側に配置される隔壁部の頂上部分の幅wbよりも広いこと、を特徴とするプラズマディスプレイパネル。
  4. 請求項2記載のプラズマディスプレイパネルにおいて、
    前記放電セルにおける左右に位置する隔壁部の高さhcは、前記下側に配置される隔壁部の高さhbと同じであること、を特徴とするプラズマディスプレイパネル。
  5. 請求項2記載のプラズマディスプレイパネルにおいて、
    前記放電セルにおける左右に位置する隔壁部の高さhcは、前記上側に配置される隔壁部の高さhaと同じであること、を特徴とするプラズマディスプレイパネル。
  6. 請求項2記載のプラズマディスプレイパネルにおいて、
    前記放電セルにおける左右に位置する隔壁部の高さhcは、前記上側に配置される隔壁部の高さhaよりも低く前記下側に配置される隔壁部の高さhbよりも高いこと、を特徴とするプラズマディスプレイパネル。
  7. 請求項2記載のプラズマディスプレイパネルにおいて、
    前記高さhaと高さhbの差Δhabが、
    (1)Δhabが15μm以上
    (2)Δhabが0.1×ha以上
    上記2つの条件のうち少なくとも一方を満足すること、を特徴とするプラズマディスプレイパネル。
  8. 請求項2記載のプラズマディスプレイパネルにおいて、
    前記表示電極を構成する電極の少なくとも一部が、不透明材料で形成された不透明電極であり、前記高さhbは、前記不透明電極の幅Lの0.58倍以上、1.73倍以下の範囲にあること、を特徴とするプラズマディスプレイパネル。
  9. 請求項2記載のプラズマディスプレイパネルにおいて、
    前記表示電極を構成する電極の少なくとも一部が、不透明材料で形成された不透明電極であり、前記高さhbは、前記不透明電極の幅Lの1.00倍以上、1.43倍以下の範囲にあること、を特徴とするプラズマディスプレイパネル。
  10. 請求項2記載のプラズマディスプレイパネルにおいて、
    前記高さhbは、23μmから138μmの範囲にあること、を特徴とするプラズマディスプレイパネル。
  11. 請求項2記載のプラズマディスプレイパネルにおいて、
    前記高さhbは、40μmから114μmの範囲にあること、を特徴とするプラズマディスプレイパネル。
  12. 請求項3記載のプラズマディスプレイパネルにおいて、
    前記幅waと幅wbの差Δwが、
    (1)Δwが15μm以上
    (2)Δwが0.1×wa以上
    上記2つの条件のうち少なくとも一方を満足すること、を特徴とするプラズマディスプレイパネル。
  13. 請求項1記載のプラズマディスプレイパネルにおいて、
    前記放電セルにおける隔壁部を構成する材料が、反射率の低い黒色の材料で構成されていること、を特徴とするプラズマディスプレイパネル。
  14. 放電を形成するための放電ガスが封入された放電空間と、前記放電空間で隔壁により区画された複数の放電セルと、前記隔壁間に前記放電で発生する紫外線による励起で可視光を発光する蛍光体と、前記放電セルに電圧を印加するための表示電極と、を少なくとも有するプラズマディスプレイパネルであって、
    前記放電セルにおける上側の隔壁部に形成される前記蛍光体により構成される蛍光膜の反射率が、下側の隔壁部に形成される前記蛍光体により構成される蛍光膜の反射率よりも高いこと、を特徴とするプラズマディスプレイパネル。
  15. 放電を形成するための放電ガスが封入された放電空間と、前記放電空間で隔壁により区画された複数の放電セルと、前記隔壁間に前記放電で発生する紫外線による励起で可視光を発光する蛍光体と、前記放電セルに電圧を印加するための表示電極と、を少なくとも有するプラズマディスプレイパネルであって、
    前記放電セルにおける上側の隔壁部に形成される前記蛍光体の膜厚が下側の隔壁部に形成される前記蛍光体の膜厚よりも厚いこと、を特徴とするプラズマディスプレイパネル。
  16. 放電を形成するための放電ガスが封入された放電空間と、前記放電空間で隔壁により区画された複数の放電セルと、前記隔壁間に前記放電で発生する紫外線による励起で可視光を発光する蛍光体と、前記放電セルに電圧を印加するための表示電極と、を少なくとも有するプラズマディスプレイパネルであって、
    前記放電セルにおける上側の隔壁部には、前記蛍光体の発光を反射する反射層とその上の前記蛍光体の膜とが形成され、下側の隔壁部には前記蛍光体の膜のみが形成されること、を特徴とするプラズマディスプレイパネル。
  17. 請求項16記載のプラズマディスプレイパネルにおいて、
    前記放電セル内には、前記隔壁間で前記上側の隔壁部を含む領域に前記反射層が形成され、その上に前記隔壁間の全体の領域で前記蛍光体の膜が一定の厚さで形成されること、を特徴とするプラズマディスプレイパネル。
  18. 放電を形成するための放電ガスが封入された放電空間と、前記放電空間で隔壁により区画された複数の放電セルと、前記隔壁間に前記放電で発生する紫外線による励起で可視光を発光する蛍光体と、前記放電セルに電圧を印加するための表示電極と、を少なくとも有するプラズマディスプレイパネルであって、
    本パネル上部では、前記放電セルにおける上側の隔壁部が下側の隔壁部よりも高い第1の構造を有し、
    本パネル下部では、前記放電セルにおける下側の隔壁部が上側の隔壁部よりも高い第2の構造を有すること、を特徴とするプラズマディスプレイパネル。
  19. 放電を形成するための放電ガスが封入された放電空間と、前記放電空間で隔壁により区画された複数の放電セルと、前記隔壁間に前記放電で発生する紫外線による励起で可視光を発光する蛍光体と、前記放電セルに電圧を印加するための表示電極と、を少なくとも有するプラズマディスプレイパネルであって、
    本パネル上部では、前記放電セルにおける上側の隔壁部に形成される前記蛍光体の反射率が下側の隔壁部に形成される前記蛍光体の反射率よりも高い第1の構造を有し、
    本パネル下部では、前記放電セルにおける下側の隔壁部に形成される前記蛍光体の反射率が上側の隔壁部に形成される前記蛍光体の反射率よりも高い第2の構造を有すること、を特徴とするプラズマディスプレイパネル。
  20. 放電を形成するための放電ガスが封入された放電空間と、前記放電空間で隔壁により区画された複数の放電セルと、前記隔壁間に前記放電で発生する紫外線による励起で可視光を発光する蛍光体と、前記放電セルに電圧を印加するための表示電極と、を少なくとも有するプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、
    前記放電セルにおける前記蛍光体の形成工程において、蛍光体ペーストの乾燥工程で基板構造体が傾く状態とすることにより、前記蛍光体の膜厚の分布として前記放電セルにおける上側の隔壁部に形成される前記蛍光体の膜厚が下側の隔壁部に形成される前記蛍光体の膜厚よりも厚くなるように形成すること、を特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  21. 請求項1〜19のいずれか一項に記載のプラズマディスプレイパネルと、当該パネルを駆動するための駆動回路と、当該パネルに映像を表示するための映像信号器とを有するプラズマディスプレイ装置。
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