JP2009176548A - 面状発熱体 - Google Patents
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Abstract
【課題】シート全体としてPTC特性と柔軟性を併せ持つ抵抗の小さい面状発熱体を提供することを目的とする。
【解決手段】複数枚のカーボン系の導電性材料を熱可塑性樹脂中に分散した第1導電性樹脂シート4と、複数枚の非カーボン系の導電性材料を熱可塑性樹脂中に分散した第2導電性樹脂シート5とを電気的に接続して構成した。したがって、抵抗体全体として低抵抗かつ高PTC特性を保持しつつ、柔軟性を付与することができる。
【選択図】図1
【解決手段】複数枚のカーボン系の導電性材料を熱可塑性樹脂中に分散した第1導電性樹脂シート4と、複数枚の非カーボン系の導電性材料を熱可塑性樹脂中に分散した第2導電性樹脂シート5とを電気的に接続して構成した。したがって、抵抗体全体として低抵抗かつ高PTC特性を保持しつつ、柔軟性を付与することができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、正抵抗温度特性を特徴とした面状発熱体、特に、低い抵抗値で、かつ高い変化倍率の特性を併せ持つ面状発熱体に関するものである。
従来から、正抵抗温度特性を有するPTC抵抗体を発熱体(ヒータ)として使用した面状発熱体が見受けられる。
正抵抗温度特性とは、抵抗体の抵抗値が温度の上昇に従って徐々に増加し、ある温度に達すると急激に増加するものをいう。ここで抵抗値の増加率を変化倍率とする。
PTC抵抗体は、結晶性樹脂と導電性材料とを混合して形成させたものが広く知られている。
原理は、結晶性樹脂が結晶質から非晶質に転換する際の急激な体積膨張によって、その中に分散していた導電性材料の平均粒子間距離が増加することにより、結果として、抵抗値も増大するものと考えられている。
このような原理に基づくPTC抵抗体は、それ自身で自己温度制御機能を有するため、サーモスタット等の安全装置を設ける必要なく、部品点数を少なくできる利点がある。
図3において、従来の面状発熱体は、樹脂フィルム11上に配置された電極12に対してPTC抵抗体17を印刷して乾燥させたものであった。さらにその上に、保護フィルムを張り合わせた構成もある。
しかしいずれの場合においても、面状発熱体は一種類の均一なPTC抵抗体のみで構成されている(例えば特許文献1)。
特開2001−357966号公報
しかしながら、従来の構成では、一種類の樹脂組成物に、発熱性、導電性、柔軟性及び正抵抗温度特性(PTC特性)を有するように樹脂を選定及び混合する必要があり、その場合に全ての特性を同時に満たすことは困難であった。
特に、発熱体の抵抗値を下げるために導電性材料の充填量を多くすれば、柔軟性も低下する。
導電性材料として非カーボン系を使用すれば、導電性樹脂シートが硬くなり、さらに柔軟性が悪くなる。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、PTC特性と導電性を有する部分(シート)、柔軟性を有する部分(シート)に分離し、それらを適切に配置して接続することで、シート全体としてPTC特性と柔軟性を併せ持つ抵抗の小さい面状発熱体を提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、複数枚のカーボン系の導電性材料を熱可塑性樹脂中に分散した第1導電性樹脂シートと、複数枚の非カーボン系の導電性材料を熱可塑性樹脂中に分散した第2導電性樹脂シートとを電気的に接続して構成したものである。これにより簡便に、抵抗体全体として所望の特性を得ることができる。
本発明の面状発熱体は、電気特性、機械特性等の物性値が異なる導電性樹脂シートが直列接続されているため、全体としてそれらの特性を併せ持つ面状発熱体を簡便に作製することができる。
第1の発明は、複数枚のカーボン系の導電性材料を熱可塑性樹脂中に分散して成る第1導電性樹脂シートと、複数枚の非カーボン系の導電性材料を熱可塑性樹脂中に分散して成る第2導電性樹脂シートとを電気的に接続したものである。
これにより、第1導電性樹脂シートに柔軟性、第2導電性樹脂シートにPTC特性を分離して接続することにより、第1及び第2導電性樹脂シートを合わせた全体としてこれらの特性を付与することができる。
第2の発明は、特に、第1の発明の第1導電性樹脂シートを面状発熱体の中央部分に多く配置したものである。
これにより、抵抗値の高いシートを中央部に配置することで、中央部の発熱量を多くすることができ、例えば、自動車用のシートヒータとして使用する場合、人体により近い位置で発熱させることができる。
第3の発明は、非カーボン系の導電性材料として、タングステン化合物を含有したものである。
タングステン及びタングステン化合物は金属又はセラミックスであるため燃えない。またカーボンより導電性が高いことによって抵抗値を下げることができ、PTC特性も高いものである。
したがって、シート全体として、抵抗値を下げることができ、高いPTC特性を得ることができる。
第4の発明は、特に、第3の発明のタングステン化合物が、タングステンカーバイドであるものである。
タングステンカーバイドは、タングステン単体及びタングステン化合物の中でも、特にシートを低抵抗化することができることが検討の結果、分かった。
また、カーボン系のシートとの接合においても界面抵抗を抑えることができた。これにより、シート全体として、抵抗値を著しく低下させることができ、高いPTC特性を得ることができる。
第5の発明は、非カーボン系の導電性材料がタングステンカーバイドである第2導電性樹脂シートであり、前記第2導電性樹脂シートの総面積が全体の45%以上であることを特徴としたものである。
(実施の形態1)
図1において、面状発熱体1は、不織布からなる基材2と、この基材2に定着させた電極3と、その上に成型した第1導電性樹脂シート4と、この第1導電性樹脂シート4に電気的に接続した第2導電性樹脂シート5によって構成されている。
図1において、面状発熱体1は、不織布からなる基材2と、この基材2に定着させた電極3と、その上に成型した第1導電性樹脂シート4と、この第1導電性樹脂シート4に電気的に接続した第2導電性樹脂シート5によって構成されている。
そして、電極や電源(図示せず)に繋がるリード線(図示せず)が接続されている。
基材2の材質は問わず、耐熱性と平滑性がある不織布が良い。また、耐熱性の樹脂フィルムを使用することもできる。
本実施の形態では、ポリエステル繊維で作製されたニードルパンチタイプで、難燃剤が含浸処理された難燃性不織布を用いている。
電極3には直径0.1mmを20本縒った錫メッキ銅線を使用した。そして糸で部分的に縫い付けて固定させている(図示せず)。
第1導電性樹脂シート4は、第1熱可塑性樹脂としてエチレン酢酸ビニル共重合体、カーボン系の導電性材料として1次粒子径が20〜40nmのカーボンブラックを170℃の加熱式のオープンロールで混練して作製した。カーボンブラックの配合量は25重量%である。
なお、熱可塑性樹脂としてエチレン酢酸ビニル共重合体に限定されるものでなく、PTC発現物質であり、かつ低融点の材料であれば、例えばエチレンアクリルエステル共重合体、エチレンメタクリル酸メチル共重合体等でも良い。
また、導電性材料としてカーボンブラックに限定されるものでなく、グラファイト、又はカーボンブラックとグラファイトとの混合でも良い。
第2導電性樹脂シート5には、第2熱可塑性樹脂としてエチレン酢酸ビニル共重合体、非カーボン系の導電性材料として1次粒子径が1μm程度のタングステンカーバイドを170℃のオープンロールで混練して作製した。
タングステンカーバイドの配合量は90重量%である。なお、熱可塑性樹脂としてエチレン酢酸ビニル共重合体に限定されるものでない。
次に、各導電性樹脂シートを200℃の熱プレス機によって50〜80μmのシートを作製し、10〜20mm程度のピースに切断する。
そして図1のように、第1導電性樹脂シート4と第2導電性樹脂シート5を並べて、直列回路を構成させ、熱プレスによって不織布2に固定させ、最後にリード線を接続する。並べるピースの大きさとそれぞれの量すなわち面積比は、全体シートの抵抗値をどうするかによって設計することができるという自由度もある。
本実施の形態では、プレス成型によって作製したが、押出成型法によって作製しても良い。
以上のように作製した面状発熱体の抵抗値を測定し、各温度でのPTC特性を算出した。その結果を(表1)に示す。
(表1)のサンプルAは第1導電性樹脂シートのみ、サンプルBは第2導電性樹脂シートのみ、サンプルCは前記AとBの各ピースを張り合わせ、Bの総面積が64%となる場合、サンプルDはBの総面積が45%となる場合である。測定条件である雰囲気温度は、20〜80℃の10℃毎である。
その結果、以下の点が明らかとなる。ここで、PTC特性は、20℃のときの抵抗値と50℃のときの抵抗値の変化率で比較することができる。
サンプルAは柔軟性があるものの抵抗値が高く、PTC特性は低い。サンプルBは抵抗値が低く、PTC特性は高いものの柔軟性に欠ける。これらをオープンロールで混練して作成したシートは、抵抗値が高くてPTC特性は低いものであった。
しかし、複数枚の第1導電性樹脂シートと第2導電性樹脂シートを別々に作成し、並べて張り合わせることで、抵抗値を100Ω程度と低く、PTC特性を高く保持させることができる。
そして、このような特性を得るためには、第2導電性樹脂シートの総面積に対する比を45%以上にしなければならないことがサンプルDの結果から分かった。
以上より、特定の特性を有する樹脂組成物を混練することでは得られないが、本実施の形態のように各特性を有する樹脂組成物を割り合わせることによって、各特性を併せ持つ樹脂組成物を実現することができる。
(実施の形態2)
図2は、実施の形態2を示し、面状発熱体1の構成及び材料は、実施の形態1と同様であって、具体的な説明は実施の形態1のものを援用する。以下に、本実施の形態の作製方法を説明する。
図2は、実施の形態2を示し、面状発熱体1の構成及び材料は、実施の形態1と同様であって、具体的な説明は実施の形態1のものを援用する。以下に、本実施の形態の作製方法を説明する。
各導電性樹脂シートを200℃の熱プレス機によって50〜80μmのシートを形成し、10〜20mm程度のピースに切断する。
そして、図2のように、中央部に第2導電性樹脂シート5が多くなるように配置し、回路を構成させ、熱プレスによって基材2に固定させる。
なお、本実施の形態では、プレス成型によって作製していたが、他の方法で作製しても良い。
以上のように作製した面状発熱体の20℃〜80℃の抵抗値を測定し、各温度でのPTC特性を算出した。
その結果、20℃での抵抗値を100程度にすることができ、かつ20℃と50℃の変化倍率を2.5倍以上とすることができた。
さらに、発熱状態を赤外線サーモグラフ(対象物から出ている赤外線放射エネルギーを検出し、見かけの温度に変換して、温度分布を画像表示する装置)によって観察した。
その結果、高抵抗の第2導電性樹脂シート5の発熱が多くなり、面状発熱体1の中央部を短時間で加熱することができた。
以上より、各特性を有する樹脂組成物を張り合わせることによって、各特性を併せ持つ樹脂組成物が得られ、さらに各シートの配置を設計することによって必要な箇所を短時間で加熱することができる。
以上のように、本発明にかかる面状発熱体は、抵抗値が低いので、100V対応の家庭用のみでなく、10〜20V対応の自動車搭載用、数V程度の乾電池対応のヒータとして応用が可能となる。
1 面状発熱体
3 電極
4 第1導電性樹脂シート
5 第2導電性樹脂シート
3 電極
4 第1導電性樹脂シート
5 第2導電性樹脂シート
Claims (5)
- 複数枚のカーボン系の導電性材料を熱可塑性樹脂中に分散した第1導電性樹脂シートと、複数枚の非カーボン系の導電性材料を熱可塑性樹脂中に分散した第2導電性樹脂シートとを電気的に接続して構成した面状発熱体。
- 第1導電性樹脂シートを中央部分に多く配置した請求項1記載の面状発熱体。
- 非カーボン系の導電性材料として、タングステン化合物を含有した請求項1記載の面状発熱体。
- タングステン化合物がタングステンカーバイドである請求項3記載の面状発熱体。
- 非カーボン系の導電性材料がタングステンカーバイドである第2導電性樹脂シートの総面積を全体の45%以上に設定した請求項1記載の面状発熱体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008013297A JP2009176548A (ja) | 2008-01-24 | 2008-01-24 | 面状発熱体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2008013297A JP2009176548A (ja) | 2008-01-24 | 2008-01-24 | 面状発熱体 |
Publications (1)
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JP2009176548A true JP2009176548A (ja) | 2009-08-06 |
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JP2008013297A Pending JP2009176548A (ja) | 2008-01-24 | 2008-01-24 | 面状発熱体 |
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JP (1) | JP2009176548A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012177790A (ja) * | 2011-02-25 | 2012-09-13 | Konica Minolta Business Technologies Inc | 定着装置および画像形成装置 |
-
2008
- 2008-01-24 JP JP2008013297A patent/JP2009176548A/ja active Pending
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