JP2009174871A - 免疫学的検出方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は簡易、迅速、かつ高感度の免疫学的検出方法を提供することにある。
【解決手段】免疫学的検出方法であって、
a)検体または検体を含む試料に、酵素標識により修飾された検体中の分析対象物を特異的に認識し得る第一の蛋白質(Y)を作用させ、前記分析対象物および前記Yを含む複合体を形成させる工程、b)前記工程において生じた前記複合体と分析対象物と複合体を形成しなかった前記標識を含む第一の蛋白質Yとを分離する工程、c)前記複合体に過酸化物、還元剤(CD)および発色素材(Cp)を作用させる工程、および、d)前記CDおよび前記Cpより生じた色素を検出する工程を有する。
【選択図】なし

Description

本発明は、分析対象物を含む試料を、簡易、迅速、高感度で検知することができる免疫学的検出方法に関する。特に発色反応を用いて高感度で分析対象物を検出する免疫学的検出方法に関する。
天然物、毒素、ホルモン、又は農薬等の生理活性物質又は環境汚染物質の中には、極微量で作用するものが非常に多い。従って、これらの物質の定性的及び定量的測定には、従来、高感度分析が可能な機器分析法が広く用いられてきた。しかし、機器分析法は、特異性が低く、試料の前処理工程を含め、分析に時間を要する上、操作が煩雑なため、近年要求されている迅速簡便測定目的には不都合である。一方、免疫学的測定法は、特異性も高く、操作も機器分析よりはるかに簡便であることから、生理活性物質又は環境汚染物質の測定分野に徐々に普及してきた。この中にはラテックス凝集法、RIA法あるいはEIA法(酵素免疫測定法)といった免疫学的測定法があるが、ラテックス凝集法は必ずしも測定の迅速簡便性あるいは検出感度を満たすものではなく、RIA法は標識物質に放射性同位元素を使用するので、特殊な環境が必要である。
酵素免疫測定法は、人体に対して危険性の少ない免疫測定法として開発され、種々の物質の測定系に利用されている。しかしながら、臨床化学分析においては、その測定対象が生体試料(主として血清、尿等)であり、その測定値は病態の診断又は経過観察等に用いられることが多く、そのためのより高感度及び高感度な測定の要求を比色法で完全に満足させることは難しい。この要求を満たすことを目的として化学発光酵素免疫法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。化学発光酵素免疫測定法は、酵素の触媒活性によって化学発光性物質が中間体を経て励起状態となり、この状態から基底状態に戻る際に放出される発光量を測定して酵素活性を定量し、この酵素活性と相関性を有する測定対象物質の量を定量する方法である。この方法においては、化学反応により化学発光性物質を発光させるため光源が不要であり、光源に起因するバックグラウンドの上昇等がないため測定の高感度化が可能である。
しかしながら、ウイルスのような増殖する分析対象物の場合、より早い段階、すなわち感染初期の少ないウイルス量での検出が必要であり、さらに高感度で簡便な免疫学的検出方法が望まれていた。
特開2000−146968号公報
本発明は、分析対象物を含む試料を、簡易、迅速、高感度で検知することができる免疫学的検出方法を提供することにある。
本発明の上記課題は、下記の手段により解決された。
<1> 免疫学的検出方法であって、
a)検体または検体を含む試料に、酵素標識により修飾された検体中の分析対象物を特異的に認識し得る第一の蛋白質(Y)を作用させ、前記分析対象物および前記Yを含む複合体を形成させる工程、
b)前記工程において生じた前記複合体と分析対象物と複合体を形成しなかった前記標識を含む第一の蛋白質Yとを分離する工程、
c)前記複合体に過酸化物、還元剤(CD)および発色素材(Cp)を作用させる工程、および、
d)前記CDおよび前記Cpより生じた色素を検出する工程を有することを特徴とする免疫学的検出方法。
<2> 前記還元剤が下記一般式(I)で表される化合物であることを特徴とする<1>に記載の免疫学的検出方法:
(式中、R、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表し、R及びRはそれぞれ独立に、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、又はスルホニル基を表し、置換基を有してもよく、またRとR、RとR、RとR、RとR、又はRとRとが互いに結合して5員〜7員の環を形成してもよい。)。
<3> 前記Cpが下記一般式(C−1)、(C−2)、(C−3)、(M−1)、(M−2)、(M−3)、(Y−1)、(Y−2)および(Y−3)よりなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含有することを特徴とする<1>又は<2>に記載の免疫学的検出方法:
(式中、Xは水素原子または離脱基を表し、YおよびYは電子求引性の置換基を表し、Rはアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。);
(式中、Xは水素原子または離脱基を表し、Rはアシルアミノ基、ウレイド基またはウレタン基を表し、Rは水素原子、アルキル基またはアシルアミノ基を表し、Rは水素原子、または置換基を表す。RとRが互いに連結して環を形成してもよい。);
(式中、Xは水素原子または離脱基を表し、Rはカルバモイル基またはスルファモイル基を表し、Rは水素原子または置換基を表す。);
(式中、Xは水素原子または離脱基を表し、Rはアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、Rは置換基を表す。);
(式中、Xは水素原子または離脱基を表し、Rはアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、R10は置換基を表す。);
(式中、Xは水素原子または離脱基を表し、R11はアルキル基、アリール基、アシルアミノ基またはアニリノ基を表し、R12はアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。);
(式中、Xは水素原子または離脱基を表し、R13はアルキル基、アリール基、又はインドレニル基を表し、R14はアリール基またはヘテロ環基を表す。);
(式中、Xは水素原子または離脱基を表し、Zは5〜7員の環を形成するのに必要な2価の基を表し、R15はアリール基またはヘテロ環基を表す。);
(式中、Xは水素原子または離脱基を表し、R16、R17およびR18はそれぞれ置換基を表し、nは0〜4の、mは0〜5のいずれかの整数を表す。nまたはmが2以上のとき、複数のR16およびR17はそれぞれ同一の基であってもよいし、異なる基であってもよい。)。
<4> 前記複合体を形成する工程が、さらに検体中の分析対象物を特異的に認識し得る第二の蛋白質(X)を含み、前記Y、前記Xおよび前記分析対象物を同時にまたは段階的に作用させ、前記X、前記分析対象物および前記Yを含む複合体を形成する工程であることを特徴とする<1>〜<3>のいずれかに記載の免疫学的検出方法。
<5> 前記酵素がペルオキシダーゼであることを特徴とする<1>〜<4>のいずれかに記載の免疫学的検出方法。
<6> 前記分析対象物が抗原であり、前記分析対象物を特異的に認識し得る蛋白質が抗体であることを特徴とする<1>〜<5>のいずれかに記載の免疫学的検出方法。
<7> 前記抗体がモノクローナル抗体であることを特徴とする<6>に記載の免疫学的検出方法。
<8> 前記分析対象物を特異的に認識し得る蛋白質が不溶性担体に坦持されていることを特徴とする<1>〜<7>のいずれかに記載の免疫学的検出方法。
本発明により、試料中に含まれる分析対象物を、簡易、迅速、高感度で検知することができる免疫学的検出方法が提供される。特に増幅された発色反応を用いて分析対象物を高感度で検出する免疫学的検出方法が提供される。
本発明は、抗原抗体反応などの免疫学的反応を増幅して検出する手段として、酵素を利用し、さらに発色反応を誘導し発色した色を検知することにより、簡便に高感度で検出するものである。また、分析対象物を特異的に認識し得る蛋白質の1つを基質に固定化して、クロマトグラフによりさらに簡便に高感度で検出することもできる。
本発明の免疫学的検出方法は下記の工程を含む。
a)検体または検体を含む試料に、酵素標識により修飾された検体中の分析対象物を特異的に認識し得る第一の蛋白質(Y)を作用させ、前記分析対象物および前記Yを含む複合体を形成する工程
本工程においては、分析対象物を特異的に認識し得る蛋白質を標識化した第一の蛋白質(Y)を準備する。分析対象物を特異的に認識し得る蛋白質としては、抗原抗体反応を利用する場合、抗体が好ましく用いられる。
検体または検体を緩衝液などに分散した検体を含む測定用試料に、第一の蛋白質(Y)を作用させると、抗原抗体反応などの特異的相互作用により分析対象物と第一の蛋白質(Y)を含む複合体が形成される。
b)前記複合体と前記複合体を形成していない前記第一の蛋白質(Y)とを分離する工程
該分離工程は、前記形成された複合体を複合体を形成していない遊離の第一の蛋白質(Y)から分離する工程である。即ち、該分離工程では検体中に存在する分析対象物の量に対応した量の複合体が分離される。
c)前記分離された複合体に過酸化物、還元剤(CD)および発色素材(Cp)を作用させる発色工程
複合体に過酸化物、還元剤(CD)および発色素材(Cp)を作用させると、酵素標識が触媒となって、過酸化物を介した連鎖反応が起こり、還元剤が酸化され、還元剤の酸化体を生成する。続いて還元剤の酸化体と発色素材との発色反応が起こり、発色色素を生成する。生成する色素の量は、複合体量に依存するので、分析対象物の量に相当する。
d)前記発色工程により生成した色素を検出する工程
生成した色素量は、公知の種々の手段により検出することができる。例えば、分析対象物の有無は、発色の有無を視覚的に官能評価することにより、瞬時に判定することができる。色素量を定量的に測定することも、濃度計、或いは分光光度計を用いて行うことが可能である。
該分離工程に用いることのできる複合体の分離手段としては、比重差を利用した遠心分離や超遠心分離法、溶解度差を利用して沈降法、塩析法、濾過法、透析法、限外濾過法、磁気を利用した分離法などの従来公知の分離手段を利用することができる。
本発明で特に有効な分離手段は、分析対象物を特異的に認識し得る蛋白質を予めメンブレンあるいはクロマトグラフの固定層などの不溶性坦体上に固定化しておき、複合体を形成後、複合体を形成していない検体中の成分や検体試料作製に用いた成分等を洗浄して洗い流すか、あるいはクロマトグラフにより分離する方法である。
また、分離された他方の成分である遊離の第一の蛋白質(Y)の量は、当初含有する第一の蛋白質(Y)の量から複合体を形成した量を差し引いた量に相当するので、この量も検体中に存在する分析対象物の量を反映した量である。従って、複合体量及び遊離の第一の蛋白質(Y)量のいずれも分析対象物の量の検出に利用することができる。高感度かつ簡便に検出するには、複合体を直接検出する手段が好ましい。
分離された複合体に過酸化物、還元剤(CD)および発色素材(Cp)を作用させる手段としては、過酸化物、還元剤(CD)および発色素材(Cp)のそれぞれを含有するかもしくはこれらの2以上を混合して含有する溶液もしくは分散液の状態で作用させる方法を用いることができる。別の態様として、過酸化物、還元剤(CD)および発色素材(Cp)の少なくとも1つを含有する発色シートを準備し、分離された複合体に該発色シートを重ね合わせて、該複合体と発色剤とを接触させ、発色反応を起こさせる方法である。好ましくは、発色シートが還元剤(CD)および発色素材(Cp)を含有し、過酸化物を含有する溶液を該重ね合わせ体に供給する方法である。
本発明においては、好ましくは、酵素標識がペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、又はグルオキシダダーゼである。特に好ましくは、前記酵素がペルオキシダーゼである。
本発明においては、発色反応には、好ましくは、還元剤の酸化体とカプラーのカップリング反応が用いられる。特に、有機銀塩を用いた熱現像記録材料中で熱現像により効率的にカップリング反応が可能な一般式(I)で表される還元剤と一般式(C−1)、(C−2)、(C−3)、(M−1)、(M−2)、(M−3)、(Y−1)、(Y−2)および(Y−3)よりなる群より選ばれる少なくとも1種のカプラーが好ましく用いられる。
本発明の好ましい態様は、さらに検体中の分析対象物を特異的に認識し得る第二の蛋白質(X)を含み、該第二の蛋白質(X)を前記分析対象物および前記第一の蛋白質(Y)に同時にまたは段階的に作用させ、前記X、前記分析対象物および前記Yを含む複合体を形成する工程を有する。
好ましくは、前記分析対象物が抗原であり、前記分析対象物を特異的に認識し得る蛋白質が抗体である。より好ましくは、前記抗体がモノクローナル抗体である。
さらに本発明の好ましい態様は、前記第二の蛋白質(X)を不溶性担体に坦持し、クロマトグラフにより複合体を分離して検出するイムノクロマトグラフである。
本発明に利用できる免疫反応段階を構成する抗原抗体反応は任意であり、従来公知のいずれの反応も採用することができる。
本発明においては、分離工程に用いられる不溶性担体としては、例えば、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、フッ素樹脂、架橋デキストラン、ポリサッカライド等の高分子化合物、その他、ガラス、金属、磁性粒子及びこれらの組み合わせ等が挙げられる。また、不溶性担体の形状としては、例えば、トレイ状、球状、繊維状、棒状、盤状、容器状、セル、マイクロプレート、試験管等の種々の形状で用いることができる。
さらに、これら不溶性担体への抗原又は抗体の固定化方法は任意であるが、物理的吸着法、共有結合法、イオン結合法等を用いることができる。
また、本発明において用いられる抗体類(第一の蛋白質(X)、第二の蛋白質(Y)は、分析対象によって適当なものを適宜用いることができる。ここで、抗体類としてモノクローナル抗体及びポリクローナル抗体のいずれを使うことも可能であり、その形態としては全抗体又はF(ab’)、Fab等の断片を用いることができる。また、抗体の起源は任意であるが、マウス、ラット、兎、羊、山羊、鶏等に由来する抗体が好適に用いられる。第一の蛋白質および第二の蛋白質の両方または一方がモノクローナル抗体であること、又はF(ab’)またはF(ab’)であることが好ましい。
本発明の抗体とタンパク質との結合は、通常緩衝液中で行なわれる。ここに用いる緩衝液としては、トリス緩衝液、リン酸緩衝液、ほう酸緩衝液、炭酸緩衝液、グリシン−水酸化ナトリウム緩衝液等を任意に用いることができる。これらの緩衝液の濃度は1mM〜1Mの範囲で用いるのが望ましい。また、反応時に界面活性剤、キレート剤等の添加剤を任意に用いることができる。
本発明における免疫学的検出方法は、分析対象物と該分析対象物を特異的に認識し得る蛋白質との相互作用による複合体形成工程、該複合体の分離工程、分離された複合体に過酸化物、還元剤(CD)及び発色素材(Cp)を作用させ発色させる発色工程を有する。複合体形成工程に要する温度及び時間は、用いられる分析対象物と蛋白質の組合せによって異なるが、概ね0℃〜50℃で、10秒〜1時間である。また、発色工程に要する温度及び時間は、用いられる複合体、還元剤(CD)及び発色素材(Cp)の組合せによって異なるが、概ね5℃〜60℃で、30秒〜30分である。
複合体の分離工程は、分離方法によって、それぞれ好ましい工程所要時間が設定される。
発色の判定時間は任意であるが、上記発色工程の後に、発色濃度が高く維持され、発色が安定した時間を選択することが望ましい。発色の判定時間は、概ね発色工程の後、0〜24時間が好ましく、より好ましくは0〜2時間、特に好ましくは0〜30分である。発色工程の後の時間が長すぎると発色した色素の変色や退色が起こるので好ましくない。
(酵素)
本発明においては、抗原抗体反応などの免疫学的反応を増幅して検出する手段として、酵素を利用したものである。
酵素は、各種イムノアッセイの高感度検出を達成しうる反応(蛍光・発色・発光等)触媒として知られている。例えば、ペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、グルコースオキシダーゼなどが挙げられる。本発明に於いては、過酸化物を介した連鎖反応を触媒的に誘起する酵素を用いることができ、ペルオキシダーゼが好ましい。その取扱性のよさや入手しやすさ等の点で、特に西洋わさびペルオキシダーゼが好ましい。
(過酸化物)
本発明に用いられる過酸化物は、過酸化水素の金属塩の化学式で表される無機過酸化物やペルオキソ酸化合物、又は過カルボン酸を有する有機過酸化物を用いることができ、過酸化水素又は過酸化水素を放出する化合物が好ましい。過酸化水素を放出する化合物としては過ホウ酸又は過炭酸等が好ましい。この中では過酸化水素が特に好ましい。使用する量は発色するCpに対して、同じモル数から100万倍程度が好ましく。同じモル数から1万倍がさらに好ましい。
(還元剤)
本発明に用いられる還元剤は、その酸化体が発色素材とカップリングして色素を形成し得る還元剤(CD)である。
(還元剤:一般式(I)で表される化合物)
本発明に用いられる好ましい還元剤の1つの態様は、下記一般式(I)で表される還元剤である。
式中、R、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表し、R及びRはそれぞれ独立に、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、又はスルホニル基を表し、RとR、RとR、RとR、RとR、及びRとRの少なくとも一組は互いに結合して5員、6員又は7員の環を形成してもよい。
以下に、本発明の一般式(I)で表される化合物について詳しく説明する。R、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。R、R、R及びRで表される置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基を含む)、アルケニル基(シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基を含む)、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ、アミノ基(アニリノ基を含む)、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール及びヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、及びシリル基が挙げられる。
更に詳しくは、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基〔直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルキル基を表す。アルキル基(好ましくは炭素数1から30のアルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチル、エイコシル、2−クロロエチル、2−シアノエチル、又は2−エチルヘキシル)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3から30の置換又は無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル、シクロペンチル、又は4−n−ドデシルシクロヘキシル)、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素数5から30の置換もしくは無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5から30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル)、更に環構造が多いトリシクロ構造なども包含する。
以下に説明する置換基の中のアルキル基(例えばアルキルチオ基のアルキル基)もこのような概念のアルキル基を表す。]、アルケニル基[直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルケニル基を表す。アルケニル基(好ましくは炭素数2から30の置換又は無置換のアルケニル基、例えば、ビニル、アリル、プレニル、ゲラニル、又はオレイル)、シクロアルケニル基(好ましくは、炭素数3から30の置換もしくは無置換のシクロアルケニル基、つまり、炭素数3から30のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル)、ビシクロアルケニル基(置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素数5から30の置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル)を含む]、アルキニル基(好ましくは、炭素数2から30の置換又は無置換のアルキニル基、例えば、エチニル、プロパルギル、トリメチルシリルエチニル基)、又はアリール基(好ましくは炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリール基、例えばフェニル、p−トリル、ナフチル、m−クロロフェニル、又はo−ヘキサデカノイルアミノフェニル)、ヘテロ環基(好ましくは5又は6員の置換もしくは無置換の、芳香族もしくは非芳香族のヘテロ環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、更に好ましくは、炭素数3から30の5もしくは6員の芳香族のヘテロ環基である。例えば、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、又は2−ベンゾチアゾリル)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、又はアルコキシ基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、t−ブトキシ、n−オクチルオキシ、又は2−メトキシエトキシ)、
アリールオキシ基(好ましくは、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、又は2−テトラデカノイルアミノフェノキシ)、シリルオキシ基(好ましくは、炭素数3から20のシリルオキシ基、例えば、トリメチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシ)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のヘテロ環オキシ基、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ、又は2−テトラヒドロピラニルオキシ)、アシルオキシ基(好ましくはホルミルオキシ基、炭素数2から30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルオキシ基、例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、ピバロイルオキシ、ステアロイルオキシ、ベンゾイルオキシ、又はp−メトキシフェニルカルボニルオキシ)、カルバモイルオキシ基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のカルバモイルオキシ基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ、モルホリノカルボニルオキシ、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ、又はN−n−オクチルカルバモイルオキシ)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルオキシ基、例えばメトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、t−ブトキシカルボニルオキシ、又はn−オクチルカルボニルオキシ)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基、例えば、フェノキシカルボニルオキシ、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ、又はp−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ)、
アミノ基(好ましくは、アミノ基、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアニリノ基、例えば、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、アニリノ、N−メチル−アニリノ、又はジフェニルアミノ)、アシルアミノ基(好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルアミノ基、例えば、ホルミルアミノ、アセチルアミノ、ピバロイルアミノ、ラウロイルアミノ、ベンゾイルアミノ、又は3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ)、アミノカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアミノカルボニルアミノ、例えば、カルバモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ、又はモルホリノカルボニルアミノ)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルアミノ基、例えば、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ、又はN−メチルーメトキシカルボニルアミノ)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、例えば、フェノキシカルボニルアミノ、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ、又はm−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ)、
スルファモイルアミノ基(好ましくは、炭素数0から30の置換もしくは無置換のスルファモイルアミノ基、例えば、スルファモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ、又はN−n−オクチルアミノスルホニルアミノ)、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルスルホニルアミノ、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールスルホニルアミノ、例えば、メチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ、又はp−メチルフェニルスルホニルアミノ)、メルカプト基、アルキルチオ基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルチオ基、例えばメチルチオ、エチルチオ、又はn−ヘキサデシルチオ)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールチオ基、例えば、フェニルチオ、p−クロロフェニルチオ、又はm−メトキシフェニルチオ)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数2から30の置換又は無置換のヘテロ環チオ基、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0から30の置換もしくは無置換のスルファモイル基、例えば、N−エチルスルファモイル、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、N−アセチルスルファモイル、N−ベンゾイルスルファモイル、N−(N’−フェニルカルバモイル)スルファモイル)、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基(好ましくは、炭素数1から30の置換又は無置換のアルキルスルフィニル基、6から30の置換又は無置換のアリールスルフィニル基、例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、フェニルスルフィニル、又はp−メチルフェニルスルフィニル)、
アルキル及びアリールスルホニル基(好ましくは、炭素数1から30の置換又は無置換のアルキルスルホニル基、6から30の置換又は無置換のアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、フェニルスルホニル、又はp−メチルフェニルスルホニル)、アシル基(好ましくはホルミル基、炭素数2から30の置換又は無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニル基、例えば、アセチル、ピバロイル、2−クロロアセチル、ステアロイル、ベンゾイル、又はp−n−オクチルオキシフェニルカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル、o−クロロフェノキシカルボニル、m−ニトロフェノキシカルボニル、又はp−t−ブチルフェノキシカルボニル)、
アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、又はn−オクタデシルオキシカルボニル)、カルバモイル基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のカルバモイル、例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル、N−(メチルスルホニル)カルバモイル)、アリール及びヘテロ環アゾ基(好ましくは炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールアゾ基、炭素数3から30の置換もしくは無置換のヘテロ環アゾ基、例えば、フェニルアゾ、p−クロロフェニルアゾ、又は5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ)、イミド基(例えば、N−スクシンイミド、N−フタルイミド)、ホスフィノ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ、ジフェニルホスフィノ、又はメチルフェノキシホスフィノ)、ホスフィニル基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィニル基、例えば、ホスフィニル、ジオクチルオキシホスフィニル、又はジエトキシホスフィニル)、ホスフィニルオキシ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィニルオキシ基、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ、又はジオクチルオキシホスフィニルオキシ)、ホスフィニルアミノ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィニルアミノ基、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ、ジメチルアミノホスフィニルアミノ)、シリル基(好ましくは、炭素数3から30の置換もしくは無置換のシリル基、例えば、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、又はフェニルジメチルシリル)が挙げられる。
〜Rで表される基が更に置換可能な基である場合、R〜Rで表される基は更に置換基を有してもよく、その場合の好ましい置換基はR〜Rで説明した置換基と同じ意味の基を表す。2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
及びRはそれぞれ独立に、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルスルホニル基、又はアリールスルホニル基を表し、そのアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルスルホニル基、及びアリールスルホニル基の好ましい範囲については、前記のR〜Rで表される置換基で説明したアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルスルホニル基、及びアリールスルホニル基と同じ意味の基を表す。R及びRで表される基が更に置換可能な基である場合、R及びRで表される基は更に置換基を有してもよく、その場合の好ましい置換基はR〜Rで説明した置換基と同じ意味の基を表す。2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
とR、RとR、RとR、RとR、又は/及びRとRとが互いに結合して5員、6員又は7員の環を形成してもよい。
以下に、一般式(I)で表される化合物の好ましい範囲について説明する。R〜Rは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アシルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、シアノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホ基、ニトロ基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、及びアシルオキシ基が好ましく、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アシルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、シアノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホ基、ニトロ基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、及びアリールスルホニル基が更に好ましい。特に好ましくは、R〜Rの中で、R又はRのいずれか一方が水素原子である。
及びRはアルキル基、アリール基、及びヘテロ環基が好ましく、アルキル基が最も好ましい。
以下に本発明における一般式(I)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
一般式(I)で表される化合物のpH10の水中における酸化電位が5mV以下(vsSCE)であることが発色性と保存性を両立できる点で好ましい。
(還元剤の添加方法)
本発明においては、還元剤は、水溶液あるいは有機溶剤に溶解した溶液、乳化分散物、あるいは固体状分散物で用いることができる。
微粒子分散物で用いられる場合の数平均粒子サイズは、0.001μm〜5μmであることが好ましく、0.001μm〜0.5μmであることが更に好ましい。
本発明における還元剤の使用量の好ましい範囲は、使用するCp1モルに対して同じモルから1000倍モルが好ましく、より好ましくは同じモルから100倍モルが好ましい。
(カプラー)
以下、本発明に用いることの出来るカプラーについて詳細に説明する。
本発明に用いることの出来るカプラーは、本発明の還元剤の酸化体とカップリングして可視部に吸収を持つ色素を形成できる化合物であればいかなる構造をしていてもよい。このような化合物はカラー写真系ではよく知られた化合物であり、その代表例としてピロロトリアゾール型カプラー、フェノール型カプラー、ナフトール型カプラー、ピラゾロトリアゾール型カプラー、ピラゾロン型カプラー、アシルアセトアニリド型カプラーなどが挙げられる。
本発明において好ましいカプラーは一般式(C−1)、(C−2)、(C−3)、(M−1)、(M−2)、(M−3)、(Y−1)、(Y−2)、または(Y−3)で表される構造を有するカプラーである。
式中、Xは水素原子または離脱基を表し、YおよびYは電子求引性の置換基を表し、Rはアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。
式中、Xは水素原子または離脱基を表し、Rはアシルアミノ基、ウレイド基またはウレタン基を表し、Rは水素原子、アルキル基またはアシルアミノ基を表し、Rは水素原子、または置換基を表す。RとRが互いに連結して環を形成してもよい。
式中、Xは水素原子または離脱基を表し、Rはカルバモイル基またはスルファモイル基を表し、Rは水素原子または置換基を表す。
式中、Xは水素原子または離脱基を表し、Rはアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、Rは置換基を表す。
式中、Xは水素原子または離脱基を表し、Rはアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、R10は置換基を表す。
式中、Xは水素原子または離脱基を表し、R11はアルキル基、アリール基、アシルアミノ基またはアニリノ基を表し、R10はアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。
式中、Xは水素原子または離脱基を表し、R13はアルキル基、アリール基、インドレニル基を表し、R14はアリール基またはヘテロ環基を表す。
式中、Xは水素原子または離脱基を表し、Zは5員ないし7員の環を形成するのに必要な2価の基を表し、R15はアリール基またはヘテロ環基を表す。
式中、Xは水素原子または離脱基を表し、R16、R17およびR18はそれぞれ置換基を表し、nは0ないし4の、mは0ないし5のいずれかの整数を表す。nまたはmが2以上のとき、複数のR16およびR17はそれぞれ同一の基であってもよいし、別々の基であってもよい。
一般式(C−1)において、Xは水素原子または離脱基を表し、YおよびYは電子求引性の置換基を表し、Rはアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
は水素原子または離脱基で、好ましくは離脱基である。
本発明で言う離脱基とは、還元剤の酸化体とカップリングし、色素を形成する際に母核から離脱可能な基を意味する。離脱基としてはハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、イミド基、メチロール基、ヘテロ環基等が挙げられる。X1としてはカルバモイルオキシ基またはベンゾイルオキシ基がより好ましい。YおよびYは電子求引性基を表す。具体的には、シアノ基、ニトロ基、アシル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルホニル基、スルホキシド基、オキシスルホニル基、スルファモイル基、ヘテロ環基、トリフルオロメチル基、ハロゲン原子が挙げられる。その中でも好ましくはシアノ基、オキシカルボニル基、スルホニル基で、より好ましくはシアノ基、オキシカルボニル基である。YとYのいずれか一方がシアノ基であることがさらに好ましく、Yがシアノ基であることが特に好ましい。Yはオキシカルボニル基であることが好ましく、かさ高い基で置換されたオキシカルボニル基(例えば2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルピペラジニルオキシカルボニル基)が特に好ましい。Rは好ましくはアルキル基またはアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。アルキル基としては2級または3級のアルキル基が好ましく、より好ましくは3級のアルキル基である。アルキル基としては炭素数の和が3〜12の範囲であることが好ましく4〜8の範囲であることがより好ましい。アリール基としてはフェニル基が好ましく、置換基を有していてもよいが、炭素数の和が6〜16の範囲であることが好ましく、6〜12の範囲であることがより好ましい。一般式(C−1)のカプラーは分子量が700以下であることが好ましく、650以下であることがより好ましく、600以下であることがさらに好ましい。
一般式(C−2)において、Xは水素原子または離脱基を表し、Rはアシルアミノ基、ウレイド基またはウレタン基を表し、Rは水素原子、アルキル基またはアシルアミノ基を表し、Rは水素原子、または置換基を表す。RとRが互いに連結して環を形成してもよい。
は水素原子もしくはXと同様の離脱基であるが、Xとして好ましいのはハロゲン原子、アリールオキシ基、アルコキシ基、アリールチオ基またはアルキルチオ基で、ハロゲン原子またはアリールオキシ基がより好ましい。Rは好ましくはアシルアミノ基またはウレイド基である。Rとしては炭素数の総和が2〜12の範囲が好ましく、より好ましくは2〜8の範囲である。Rは好ましくは炭素数1〜4のアルキル基または炭素数2〜12のアシルアミノ基であり、より好ましくは炭素数2〜4のアルキル基または炭素数2〜8のアシルアミノ基である。Rは好ましくはハロゲン原子、アルコキシ基、アシルアミノ基、アルキル基であり、より好ましくはハロゲン原子またはアシルアミノ基で、特に塩素原子が好ましい。一般式(C−2)のカプラーは分子量が500以下であることが好ましく、450以下であることがより好ましく、400以下であることがさらに好ましい。
一般式(C−3)において、Xは水素原子もしくはXと同様の離脱基であるが、Xとして好ましいのはハロゲン原子、アリールオキシ基、アルコキシ基、アリールチオ基またはアルキルチオ基で、アルコキシ基またはアルキルチオ基がより好ましい。Rはアシル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基またはスルファモイル基が好ましく、カルバモイル基またはスルファモイル基がより好ましい。Rとして炭素数の和が1〜12の基が好ましく、より好ましくは炭素数が2〜10である。Rは水素原子もしくは置換基であるが、置換基としては好ましくはアミド基、スルホンアミド基、ウレタン基またはウレイド基であり、アミド基またはウレタン基がより好ましい。置換位置としてはナフトール環の5位または8位が好ましく、5位がより好ましい。Rとして炭素数の和が2〜10の基が好ましく、より好ましくは炭素数が2〜6である。一般式(C−2)のカプラーは分子量が550以下であることが好ましく、500以下であることがより好ましく、450以下であることがさらに好ましい。
一般式(M−1)においてXは水素原子もしくはXと同様の離脱基あるが、Xとして好ましいのはハロゲン原子、アリールオキシ基、アルコキシ基、アリールチオ基、アルキルチオ基またはヘテロ環基で、ハロゲン原子、アリールオキシ基、アリールチオ基またはヘテロ環基がより好ましい。ヘテロ環基としてはピラゾール基、イミダゾール基、トリアゾール基、テトラゾール基、ベンゾイミダゾール基、ベンゾトリアゾール基等のアゾール基が好ましく、ピラゾール基がより好ましい。Rはアルキル基、アリール基またはヘテロ環基で、これらの基は置換基を有していてもよい。好ましくは2級もしくは3級のアルキル基またはアリール基である。アルキル基としては炭素数が2〜14の基が好ましく、より好ましくは炭素数3〜10の基である。アリール基としては好ましくは炭素数が6〜18の基で、より好ましくは6〜14の基である。Rは好ましくはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基またはヘテロ環であり、これらの基は置換基を有していてもよい。アルキル基としては2級または3級のアルキル基が好ましく、より好ましくは3級のアルキル基である。アルキル基としては炭素数の和が3〜12の範囲であることが好ましく4〜8の範囲であることがより好ましい。アリール基としてはフェニル基が好ましく、置換基を有していてもよいが、炭素数の和が6〜16の範囲であることが好ましく、6〜12の範囲であることがより好ましい。アルコキシ基としては炭素数1〜8のアルコキシ基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜4のアルコキシ基である。アリールオキシ基としては炭素数6〜14のアリールオキシ基が好ましく炭素数6〜10の基がより好ましい。アルキルチオ基、アリールチオ基もそれぞれアルコキシ基、アリールオキシ基と同様の炭素数の基が好ましい。一般式(M−1)のカプラーは分子量が600以下であることが好ましく、550以下であることがより好ましく、500以下であることがさらに好ましい。
一般式(M−2)のカプラーのX、RおよびR10で表される基はそれぞれ一般式(M−1)のカプラーのX、RおよびRで表される基と同様の基で、それぞれの基の好ましい範囲も一般式(M−1)のカプラーと同様である。
一般式(M−3)において、Xは水素原子もしくはXと同様の離脱基あるが、Xとして好ましいのはアルキルチオ基、アリールチオ基またはヘテロ環基で、より好ましくはアリールチオ基またはヘテロ環基である。アリールチオ基としてはフェニル基が好ましく、特に2位にアルコキシ基、アミド基が置換したアリールチオ基が好ましい。アリールチオ基の炭素数の和は6〜16の範囲が好ましく、7〜12の範囲がより好ましい。ヘテロ環基としてはピラゾール基、イミダゾール基、トリアゾール基、テトラゾール基、ベンゾイミダゾール基、ベンゾトリアゾール基等のアゾール基が好ましく、ピラゾール基がより好ましい。R11としてはアルキル基、アリール基、アシルアミノ基またはアニリノ基が好ましく、アシルアミノ基またはアニリノ基がより好ましい。最も好ましいのはアニリノ基である。アルキル基としては炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、アリール基としては炭素数6〜14のアリール基が好ましい。アシルアミノ基としては炭素数2〜14の基が好ましく2〜10の基がより好ましい。アニリノ基としては炭素数6〜16の基が好ましく6〜12の基がより好ましい。アニリノ基の置換基としてはハロゲン原子、アシルアミノ基が好ましい。一般式(M−3)のカプラーは分子量が700以下であることが好ましく、650以下であることがより好ましく、600以下であることがさらに好ましい。
一般式(Y−1)において、Xは水素原子もしくはXと同様の離脱基あるが、Xとして好ましいのはアリールオキシ基、イミド基またはヘテロ環基である。アリールオキシ基としては電子求引性基で置換されたアリールオキシ基が好ましい。イミド基としては環状のイミド基が好ましく、ヒダントイン基、1,3−オキサゾリジン−2,5−ジオン基およびコハクイミド基が特に好ましい。イミド基の炭素数の総和は3〜15の範囲が好ましく、より好ましくは4〜11の範囲で、さらに好ましくは5〜9の範囲である。ヘテロ環基としてはピラゾール基、イミダゾール基、トリアゾール基、ベンゾイミダゾール基、ベンゾトリアゾール基が好ましく、イミダゾール基がより好ましい。アゾール基の炭素数の総和は3〜12の範囲が好ましく、より好ましくは3〜10の範囲で、さらに好ましくは3〜8の範囲である。R13は好ましくは2級もしくは3級のアルキル基、アリール基またはヘテロ環基である。アルキル基はシクロアルキル基、ビシクロアルキル基であってもよく3級アルキル基がより好ましい。1−アルキルシクロプロピル基、ビシクロアルキル基、アダマンチル基は特に好ましい。R14はアリール基もしくはヘテロ環基で、アリール基がより好ましい。そのなかでも2位にハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基またはアリールチオ基が置換したフェニル基が特に好ましい。R14の炭素数の総和は6〜18の範囲が好ましく、より好ましくは7〜16の範囲、さらに好ましくは8〜14の範囲である。一般式(Y−1)のカプラーは分子量が700以下であることが好ましく、650以下であることがより好ましく、600以下であることがさらに好ましい。
一般式(Y−2)のカプラーのXおよびR15で表される基はそれぞれ一般式(Y−1)のカプラーのX、R14で表される基と同様の基で、それぞれの基の好ましい範囲も一般式(Y−1)のカプラーと同様である。Zは5ないし7員の環を形成するために必要な2価の基を表し、この環には置換基があってもよいし、別の環が縮環していてもよい。
一般式(Y−2)のなかでも好ましいのは一般式(Y−3)で表されるカプラーである。
一般式(Y−3)のカプラーにおいて、Xは一般式(Y−1)のXと同義で、好ましい範囲も同じである。R16は好ましくはハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニル基、スルホンアミド基、シアノ基、スルホニル基、スルファモイル基、カルバモイル基またはアルキルチオ基で炭素数1〜4の置換基であることがより好ましい。nは好ましくは0〜3の整数で、より好ましくは0〜2、さらに好ましくは0〜1、最も好ましくは0である。R17は好ましくはR16と同様の基で、より好ましくはハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、アルコキシカルボニル基、スルファモイル基、スルホニル基である。特にNH基に対してオルト位にハロゲン原子、アルコキシ基またはアルキルチオ基であるR17が置換されていることがより好ましい。最も好ましいのはアルキルチオ基である。一般式(Y−3)のカプラーは分子量が750以下であることが好ましく、700以下であることがより好ましく、650以下であることがさらに好ましい。
以下に本発明のカプラーの具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
上記の他に、特開2004−4439に記載の化合物No.CP101〜CP117、CP201〜CP220、およびCP301〜CP331なども本発明に用いることが出来る。
本発明のカプラーはオイル乳化物あるいは固体微粒子分散物として、例えばゼラチンやポリマーラテックスをバインダーとした塗布膜として用いることができる。このときの塗布量は、好ましくは1×10−6モル/m〜1×10−2モル/mが好ましく、さらに好ましくは1×10−5モル/m〜1×10−3モル/mで使用することである。
(不活性坦体)
本発明に用いられる不活性坦体(基質)は坦持する抗体蛋白を含むメンブレンや固定層に拡散せず、生成した複合体がメンブレンや固定層に固定もしくは拡散するのを妨害することのない不活性な材料が好ましい。
本発明に用いられる不活性坦体としては、例えば、ニトロセルロースが挙げられる。
本発明に用いられる不活性坦体が発色した色素を観察する背景となる場合は、白色の光反射性基質であることが好ましく、また、不活性坦体を通りして発色した色素を観察する場合は、透明基質であることが好ましい。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
1.発色シートの作製
カプラー(CP−1)4.5g、色像安定剤(ST−1)1.3g、色像安定剤(ST−2)0.22g及び色像安定剤(ST−3)1.4gを溶媒(SOL−1)6.7g、溶媒(SOL−2)6.7gおよび溶媒(酢酸エチル)19gに溶解し、この液を1.0gのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを含む25質量%のゼラチン水溶液84mLと混合して、高速攪拌乳化機(ディゾルバー)で乳化分散し、さらに水を加えて230gの乳化分散物Aを作製した。
乳化分散物Aにゼラチン水溶液を加えて、ゼラチン架橋剤(H−1)を添加し、以下の組成となるように塗布溶液を調製し、これをトリアセチルセルロース(TAC)支持体上に塗布し乾燥した。これを5mm×18mmのサイズに裁断し、発色シートを作製した。
(g/m
CP−1 0.27
ST−1 0.079
ST−2 0.0133
ST−3 0.085
SOL−1 0.41
SOL−2 0.41
ゼラチン 2.2
H−1 0.026
2.hCG検出イムノクロマトキットの作製
(2−1)酵素修飾抗hCG抗体の作製
抗原に特異的反応性を有する抗hCGモノクローナル抗体(Anti−hCG 5008 SP−5、Medix Biochemica社、等電点=7.4)溶液を10mMリン酸緩衝生理食塩水(PBS)(pH7.4)に1.0mg/mLの濃度で溶解した溶液1mLに、N−(m−マレイミド安息香酸)−N−サクシンイミドエステル(MBS)の10mg/mLの濃度のジメチルホルムアミド溶液0.1mLを添加し、25℃の温度で30分間反応させた。次いで、この反応混合液をセファデックスG−25を充填したカラムを用い、0.1Mリン酸緩衝液(pH6.0)でゲル濾過を行ない、マレイミド化モノクローナル抗体と未反応MBSとを分離した。
一方、ペルオキシダーゼ酵素としてホースラディッシュ・ペルオキシダーゼ(HRP)の1.0mg/mLのPBS溶液に、N−サクシンイミジル−3−(2−ピリジルチオ)プロピオネート(SPDP)の10mg/mLの濃度のエタノール溶液を添加し、25℃の温度で30分間反応させた。次いで、この反応混合液をセファデックスG−25を充填したカラムを用い、10mM酢酸緩衝液(pH4.5)でゲル濾過して精製、ピリジルジスルフィド化HRPを含有する画分を採取し、これをコロジオンバック中において氷冷下に約10倍に濃縮した。次に、これに0.1Mジチオスレイトールを含有する0.1M酢酸緩衝生理食塩水(pH4.5)1mLを添加して、25℃の温度で30分間攪拌してHRP分子中に導入したピリジルジスルフィド基を還元した後、この反応混合液をセファデックスG−25を充填したカラムを用いてゲル濾過し、チオール化HRPを含有する画分を得た。
次に、マレイミド化モノクローナル抗体とチオール化HRPとを混合し、コロジオンバックを用いて氷冷下に4mg/mLの蛋白質濃度まで濃縮し、4℃で一昼夜放置した後、ウルトロゲルAcA44(SEPRACOR社)を充填したカラムを用いてゲル濾過し、ペルオキシダーゼ酵素標識抗体を得た。
(2−2)ペルオキシダーゼ酵素標識抗体保持パットの作製
(2−1)で作製したペルオキシダーゼ酵素標識抗体を、塗布液(20mM Tris−Hclバッファー(pH8.2),0.05質量%PEG(Mw.20000),5質量%スクロース)及び水により希釈した。その際、ペルオキシダーゼ酵素標識抗体が5.0μg/mLとなるように希釈した。この溶液を、8mm×150mmに切ったグラスファイバーパッド(Glass Fiber Conjugate Pad、ミリポア社)1枚あたり0.8mLずつ均一に塗布し、一晩減圧乾燥し、ペルオキシダーゼ酵素標識抗体保持パッドを得た。
(2−3)抗体固定化メンブレン(クロマトグラフ担体)の作製
25mm×200mmに切断したニトロセルロースメンブレン(プラスチックの裏打ちあり、品名:HiFlow Plus HF120、ミリポア社製)に関し以下のような方法により抗体を固定し抗体固定化メンブレンを作製した。メンブレンの長辺を下にして、該メンブレンの下から8mmの位置に、0.5mg/mLとなるように調製した固定化用抗hCGモノクローナル抗体(品名:Anti−Alpha subunit 6601 SPR−5、Medix Biochemica社製、等電点=7.4)溶液をインクジェット方式の塗布機(BioDot社)を用いて幅1mm程度のライン状に塗布した。同様に、下から12mmの位置に、0.5mg/mLとなるように調製したコントロール用抗マウスIgG抗体(抗マウスIgG(H+L),ウサギF(ab’)2,品番566−70621、和光純薬製)溶液をライン状に塗布した。塗布したメンブレンは、温風式乾燥機で50℃、30分間乾燥した。ブロッキング液(0.5質量%カゼイン(乳由来、品番030−01505、和光純薬製)含有50mMホウ酸バッファー(pH8.5))500mLをバットに入れ、そのまま30分間静置した。その後、同様のバットに入れた洗浄・安定化液(0.5質量%スクロースおよび0.05質量%コール酸ナトリウムを含む50mM Tris−HCl(pH7.5)バッファー)500mLに移して浸し、そのまま30分間静置した。メンブレンを液から取り出し、室温で一晩乾燥し、抗体固定化メンブレンとした。
(2−4)イムノクロマトグラフキットの作製
バック粘着シート(ARcare9020、ニップンテクノクラスタ社)に、(2−3)で作製した抗体固定化メンブレンを貼り付けた。その際メンブレン長辺側のうち、抗hCG抗体ライン側を下側とする。抗体固定化メンブレンの下側に約2mm重なるように(2−2)で作製したペルオキシダーゼ酵素標識抗体保持パットを貼り付け、約4mm重なるようにして銀コロイド抗体保持パッド下側に試料添加パッド(18mm×150mmに切ったグラスファイバーパッド(品名:Glass Fiber Conjugate Pad、ミリポア社製))を重ねて貼り付けた。さらに、抗体固定化メンブレンの上側には約5mm重なるように吸収パッド(80mm×150mmに切ったセルロース・グラス膜(品番:CF6、ワットマン社製))を重ねて貼り付けた。これら重ね張り合わせた部材を、部材の長辺側を5mm幅になるように短辺に平行にギロチン式カッター(品番:CM4000、ニップンテクノクラスタ社製)で切断していくことで、5mm×55mmのイムノクロマト用ストリップを作製した。これらをプラスチックケース(ニップンテクノクラスタ社)に納め、試験用イムノクロマトキットとした。
(2−5)発色液の作製
8N水酸化カリウム0.4mL、炭酸水素カリウム26.4gからなるバッファー水溶液800mLに亜硫酸カリウム4gおよび一般式(I)の還元剤(1−12)3.2gを添加し、溶解後、全液量が1000mLとなるように水で希釈し、発色液を作製した。
3.検出ラインでのシグナル増幅
(3−1)検出ラインでの酵素修飾抗hCG抗体の吸着処理
1質量%BSAを含むPBSバッファーにhCG(リコンビナントhCG R−506、ロ−ト製薬(株)製)を溶解し、表1に示すように各濃度の試験用hCG溶液を作製した。この試験用hCG溶液を各試験用イムノクロマトキットの試料添加パッドに100μL滴下し、10分静置した。
(3−2)発色シートおよび発色液によるシグナル増幅
(3−1)の処理を終了した後のイムノクロマトキットのケースからメンブレンを取り出し、さらに吸水パットを取り除いた後に、新たな吸水パットとして5mm×20mm(品名:Cellulose Fiber Sample Pad、ミリポア社製)を取り除いた場所に3枚をセロハンテープで貼り付けた。検出ライン部に発色シートを重ね合わせ、その重ねた部位を2枚のアクリル板で挟み固定した。このメンブレンを、発色液9mLに30質量%の過酸化水素水を混合した液を200μL入れたマイクロチューブ(ビーエム機器(株)、品番:BM4020)に試料添加パッドが液に漬かるように立てかけた。立てかけた時点を0分として10分後に取り出し、発色シートを剥がし1%酢酸溶液に1分間浸すことで発色反応を停止させた。
(比較例1)
1.抗hCG抗体修飾金コロイドの作製
直径50nm金コロイド溶液(EM.GC50、BBI社)9mLに50mMKHPOバッファー(pH7.0)1mLを加えることでpHを調整した金コロイド溶液に、50μg/mLの抗hCGモノクローナル抗体(Anti−hCG5008SP−5、Medix Biochemica社、等電点=7.4)溶液1mLを加え攪拌した。10分間静置した後、1質量%ポリエチレングリコール(PEG Mw.20000、品番168−11285、和光純薬)水溶液を550μL加え攪拌し、続いて10質量%牛血清アルブミン(BSA FractionV、品番A−7906、SIGMA)水溶液を1.1mL加え攪拌した。この溶液を8000G、4℃、30分遠心(himacCF16RX、日立)した後、1mL程度を残して上清を取り除き、超音波洗浄機により金コロイドを再分散した。この後、20mLの金コロイド保存液(20mMTris−HClバッファー(pH8.2),0.05質量%PEG(Mw.20000),150mMNaCl,1質量%BSA,0.1質量%NaN)に分散し、再び8000G、4℃、30分間遠心した後、1mL程度を残して上清を取り除き、超音波洗浄機により金コロイドを再分散し、抗体修飾金コロイド(50nm)溶液を得た。
2.金コロイド抗体保持パットの作製
上記抗体修飾金コロイドを、金コロイド塗布液(20mMTris−Hclバッファー(pH8.2),0.05質量%PEG(Mw.20000),5質量%スクロース)及び水により希釈し、520nmのODが1.5となるように希釈した。この溶液を、8mm×150mmに切ったグラスファイバーパッド(Glass Fiber Conjugate Pad、ミリポア社)1枚あたり0.8mLずつ均一に塗布し、一晩減圧乾燥し、金コロイド抗体保持パッドを得た。
3.イムノクロマトキットの作製と処理
実施例1と同様に上記金コロイド抗体保持パットと上記抗体修飾金コロイドを標識として用いて比較のイムノクロマトキットを作製した。
実施例1と同様に検出ラインでの酵素修飾抗hCG抗体の吸着処理を行った。但し、発色シートおよび現像液によるシグナル増幅処理を施さず、検出ラインの観察を行った。
<検出結果>
実施例および比較例で得られたメンブレンの検出ラインに接した発色シートの部位もしくはメンブレンの検出ラインを、通常の明るさの蛍光灯を照明とした室内で目視観察した。得られた各イムノクロマトキットの評価結果を表1に示した。
表中、判定基準は下記に従った。
○:コントロール(hCG濃度0)の場合と明確に識別できる。
×:コントロールとの識別ができない。
上記表より、本発明の発色シートを用いることで、一般に視認度が高く高感度とされている標識の金コロイドにくらべ、さらに少ない抗原(hCG)量でも検出できることが明らかである。
従って、本発明により極めて検出感度が高い免疫学的検出方法が得られる。

Claims (8)

  1. 免疫学的検出方法であって、
    a)検体または検体を含む試料に、酵素標識により修飾された検体中の分析対象物を特異的に認識し得る第一の蛋白質(Y)を作用させ、前記分析対象物および前記Yを含む複合体を形成させる工程、
    b)前記工程において生じた前記複合体と分析対象物と複合体を形成しなかった前記標識を含む第一の蛋白質Yとを分離する工程、
    c)前記複合体に過酸化物、還元剤(CD)および発色素材(Cp)を作用させる工程、および、
    d)前記CDおよび前記Cpより生じた色素を検出する工程を有することを特徴とする免疫学的検出方法。
  2. 前記還元剤が下記一般式(I)で表される化合物であることを特徴とする請求項1に記載の免疫学的検出方法:

    (式中、R、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表し、R及びRはそれぞれ独立に、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、又はスルホニル基を表し、置換基を有してもよく、またRとR、RとR、RとR、RとR、又はRとRとが互いに結合して5員〜7員の環を形成してもよい。)。
  3. 前記Cpが下記一般式(C−1)、(C−2)、(C−3)、(M−1)、(M−2)、(M−3)、(Y−1)、(Y−2)および(Y−3)よりなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の免疫学的検出方法:

    (式中、Xは水素原子または離脱基を表し、YおよびYは電子求引性の置換基を表し、Rはアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。);

    (式中、Xは水素原子または離脱基を表し、Rはアシルアミノ基、ウレイド基またはウレタン基を表し、Rは水素原子、アルキル基またはアシルアミノ基を表し、Rは水素原子、または置換基を表す。RとRが互いに連結して環を形成してもよい。);

    (式中、Xは水素原子または離脱基を表し、Rはカルバモイル基またはスルファモイル基を表し、Rは水素原子または置換基を表す。);

    (式中、Xは水素原子または離脱基を表し、Rはアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、Rは置換基を表す。);

    (式中、Xは水素原子または離脱基を表し、Rはアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、R10は置換基を表す。);

    (式中、Xは水素原子または離脱基を表し、R11はアルキル基、アリール基、アシルアミノ基またはアニリノ基を表し、R12はアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。);

    (式中、Xは水素原子または離脱基を表し、R13はアルキル基、アリール基、又はインドレニル基を表し、R14はアリール基またはヘテロ環基を表す。);

    (式中、Xは水素原子または離脱基を表し、Zは5〜7員の環を形成するのに必要な2価の基を表し、R15はアリール基またはヘテロ環基を表す。);

    (式中、Xは水素原子または離脱基を表し、R16、R17およびR18はそれぞれ置換基を表し、nは0〜4の、mは0〜5のいずれかの整数を表す。nまたはmが2以上のとき、複数のR16およびR17はそれぞれ同一の基であってもよいし、異なる基であってもよい。)。
  4. 前記複合体を形成する工程が、さらに検体中の分析対象物を特異的に認識し得る第二の蛋白質(X)を含み、前記Y、前記Xおよび前記分析対象物を同時にまたは段階的に作用させ、前記X、前記分析対象物および前記Yを含む複合体を形成する工程であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の免疫学的検出方法。
  5. 前記酵素がペルオキシダーゼであることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の免疫学的検出方法。
  6. 前記分析対象物が抗原であり、前記分析対象物を特異的に認識し得る蛋白質が抗体であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の免疫学的検出方法。
  7. 前記抗体がモノクローナル抗体であることを特徴とする請求項6に記載の免疫学的検出方法。
  8. 前記分析対象物を特異的に認識し得る蛋白質が不溶性担体に坦持されていることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の免疫学的検出方法。
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