JP2009173033A - ガスバリア性多層容器 - Google Patents
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Abstract
【課題】酸素ガスバリア性や炭酸ガスバリア性などのガスバリア性に優れる上、長期間にわたって、高湿度条件下での炭酸ガス損失を低く抑制することができ、かつ、内容物の酸素濃度を低水準に保持することができるガスバリア性多層容器を提供すること。
【解決手段】少なくとも1層のポリグリコール酸層と、少なくとも1層の他の熱可塑性樹脂と酸素吸収剤とを含有する熱可塑性樹脂組成物層とが配置された層構成を有するガスバリア性多層容器。
【選択図】なし
【解決手段】少なくとも1層のポリグリコール酸層と、少なくとも1層の他の熱可塑性樹脂と酸素吸収剤とを含有する熱可塑性樹脂組成物層とが配置された層構成を有するガスバリア性多層容器。
【選択図】なし
Description
本発明は、ポリグリコール酸層を有するプラスチック製のガスバリア性多層容器に関する。さらに詳しくは、本発明は、酸素ガスバリア性や炭酸ガスバリア性などのガスバリア性に優れる上、長期間にわたって、高湿度条件下での炭酸ガス損失を低く抑制することができ、かつ、内容物の酸素濃度を低水準に保持することができるガスバリア性多層容器に関する。
ポリエチレンテレフタレートのブロー成形容器(以下、「PETボトル」と略記)に代表されるプラスチック製容器は、軽量で、耐衝撃性も高いことから、ガラス瓶や金属缶に替わる容器として広く用いられている。特にPETボトルは、透明性及び光沢性が優れていることから、炭酸飲料、果汁入り飲料、スポーツ飲料、お茶類、コーヒー飲料、ビールなどのアルコール飲料、天然水などの容器として汎用されている。
ところが、PETボトルなどのプラスチック製容器は、一般に、酸素ガスバリア性や炭酸ガスバリア性などのガスバリア性が不十分である。プラスチック製容器の酸素ガスバリア性が低いと、内容物の長期保存や劣化防止の機能が不十分となる。プラスチック製容器の炭酸ガスバリア性が低いと、炭酸飲料の長期保存性が不十分となる。近年、PETボトルなどのプラスチック製容器の小型化が進められているが、それに伴って、内容量に対する容器の表面積の割合が高くなるため、ガスバリア性に対する要求水準がさらに高まっている。
プラスチック製容器のガスバリア性を高める方法として、ガスバリア性樹脂を複合化する方法がある。例えば、プラスチック製容器の芯層にガスバリア性樹脂層を配置した多層容器が知られている。しかし、ポリビニルアルコールやエチレン−ビニルアルコール共重合体などの汎用のガスバリア性樹脂は、高湿度条件下でガスバリア性が低下しやすいため、飲料用容器のガスバリア性樹脂層を形成するのには必ずしも適していない。ポリ塩化ビニリデン樹脂は、溶融安定性が十分ではないため、溶融成形加工によりポリエチレンテレフタレートなどの他の熱可塑性樹脂と複合化することが困難である。
他方、高度のガスバリア性を有する樹脂材料として、ポリグリコール酸が知られている。ポリグリコール酸は、酸素ガスバリア性のみならず、炭酸ガスバリア性にも優れており、溶融成形加工による他の熱可塑性樹脂との複合化による多層容器の作製も可能である。
例えば、特許第3838757号公報(特許文献1)には、ポリグリコール酸層の少なくとも片面に、他の熱可塑性樹脂層が配置された多層の器壁構造を有する延伸ブロー成形容器が開示されている。特開2003−20344号公報(特許文献2)には、融点+20℃の温度、剪断速度100sec−1で測定した溶融粘度が20Pa・s以上500Pa・s未満のポリグリコール酸を芯層に配置した延伸多層ブロー容器が開示されている。
特許第3997102号公報(特許文献3)には、内外層に熱可塑性芳香族ポリエステル樹脂層が配置され、芯層にポリグリコール酸層が配置され、かつ、各層間に接着性樹脂層が配置された層構成を有する多層ブロー成形容器が開示されている。国際公開第03/037624号パンフレット(特許文献4)及び国際公開第2006/107099号パンフレット(特許文献5)には、ポリグリコール酸層を芯層とし、内外層に熱可塑性芳香族ポリエステル樹脂層を配置した層構成を有する多層容器が開示されている。
ガスバリア性樹脂層としてポリグリコール酸層を配置した多層容器は、酸素ガスバリア性や炭酸ガスバリア性に優れている。しかし、該多層容器は、飲料などの内容物を充填して長期間保存すると、内容物の酸素濃度が増加傾向を示す。
ポリグリコール酸層を有する多層容器に酸素吸収性を付与したり、酸素遮断性を向上させたりするために、ポリグリコール酸層に酸素吸収剤を含有させた多層容器が提案されている。例えば、特許第3969524号公報(特許文献6)には、内外層に熱可塑性樹脂層が配置され、芯層に酸素吸収剤と熱安定剤とを含有するポリグリコール酸層を配置した層構成を有する多層容器が提案されている。特開2003−335932号公報(特許文献7)には、ポリグリコール酸に、不飽和基を含有する炭化水素系樹脂と遷移金属触媒とを配合した樹脂組成物からなる酸素吸収性樹脂層を備えたプラスチック製容器が開示されている。特許文献7のプラスチック製容器では、不飽和基を含有する炭化水素系樹脂と遷移金属触媒を組み合わせることにより、酸素吸収性を付与している。
ガスバリア性樹脂層としてポリグリコール酸層を含有する多層容器は、ポリグリコール酸層の加水分解を防ぐため、通常、少なくとも1層のポリグリコール酸層を多層容器の芯層または中間層として配置した層構成を有している。多層容器を構成する他の熱可塑性樹脂層の機械的強度や耐衝撃性、透明性、耐熱性などの特性を保持させるために、一般に、ポリグリコール酸層の厚みは、他の熱可塑性樹脂層の厚みに比べて薄く設定されている。
ポリグリコール酸層の厚みを比較的薄く設定すると、ポリグリコール酸層に含有させる酸素吸収剤の量が少なくなる。その結果、内容物に対する酸素吸収性が不十分となり、長期間にわたって内容物の酸素濃度を低水準に維持することが困難となる。他方、ポリグリコール酸層に多量の酸素吸収剤を含有させると、ポリグリコール酸層のガスバリア性が低下する。ポリグリコール酸層の厚みを大きくして酸素吸収剤の含有量を多くすると、PETなどの他の熱可塑性樹脂の特性が損なわれる。
酸素吸収剤を含有するポリグリコール酸層を芯層に配置した多層容器は、該ポリグリコール酸層によって容器内及び内容物に含まれる酸素を吸収し、内容物の酸素濃度を低下させることができる。その反面、多層容器の外側からの酸素の浸透によって、ポリグリコール酸層中の酸素吸収剤の機能が低下する。酸素吸収剤を含有するポリグリコール酸層と、酸素吸収剤を含有しないポリグリコール酸層とを併用することにより、多層容器の外側から浸透する酸素を遮断する方法は、層構成が煩雑であることに加えて、溶融成形加工条件の制御が困難である。多層容器の外側または内側に酸素吸収剤を含有するポリグリコール酸層を配置した層構成の多層容器においても、同様の問題を抱えている。
本発明の課題は、酸素ガスバリア性や炭酸ガスバリア性などのガスバリア性に優れる上、酸素吸収性と酸素遮断性に優れ、酸素によって変質または劣化しやすい飲料などの内容物であっても、長期間にわたって保存することが可能なガスバリア性多層容器を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するために鋭意研究した結果、ポリグリコール酸以外の他の熱可塑性樹脂に酸素吸収剤を含有させた熱可塑性樹脂組成物を用いて、少なくとも1層の該熱可塑性樹脂組成物層と少なくとも1層のポリグリコール酸層とを有する多層容器を作製したところ、前記課題を達成できることを見出した。
特に、少なくとも1層のポリグリコール酸層を中間層(芯層)として配置し、他の熱可塑性樹脂と酸素吸収剤とを含有する熱可塑性樹脂組成物層を内外層として配置した層構成を有する多層容器は、酸素ガスバリア性や炭酸ガスバリア性などのガスバリア性に優れる上、長期間にわたって、高湿度条件下での炭酸ガス損失を低く抑制することができ、かつ、内容物の酸素濃度を低水準に保持することができる。本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
本発明によれば、少なくとも1層のポリグリコール酸層と、少なくとも1層の他の熱可塑性樹脂と酸素吸収剤とを含有する熱可塑性樹脂組成物層とが配置された層構成を有するガスバリア性多層容器が提供される。
本発明によれば、酸素ガスバリア性や炭酸ガスバリア性などのガスバリア性に優れる上、長期間にわたって、高湿度条件下での炭酸ガス損失を低く抑制することができ、かつ、内容物の酸素濃度を低水準に保持することができるガスバリア性多層容器を提供することができる。
本発明のガスバリア性多層容器は、内容物と接触する熱可塑性樹脂組成物層に酸素吸収剤を含有させることにより、内容物の酸素濃度を迅速に低減させることができる。ポリグリコール酸層を芯層に配置することにより、酸素ガスバリア性と炭酸ガスバリア性に優れた多層容器とすることができる上、多層容器の外側から侵入する酸素を遮断して、酸素吸収剤の性能の低下を長期間にわたって抑制することができる。
1.ポリグリコール酸
ポリグリコール酸は、式−[−O−CH2−CO−]−で表わされる繰り返し単位を含有する単独重合体または共重合体である。ポリグリコール酸中の上記式で表わされる繰り返し単位の含有割合は、通常60質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上であり、その上限は、100質量%である。上記式で表わされる繰り返し単位の含有割合が低すぎると、ガスバリア性や耐熱性が低下する。
ポリグリコール酸は、式−[−O−CH2−CO−]−で表わされる繰り返し単位を含有する単独重合体または共重合体である。ポリグリコール酸中の上記式で表わされる繰り返し単位の含有割合は、通常60質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上であり、その上限は、100質量%である。上記式で表わされる繰り返し単位の含有割合が低すぎると、ガスバリア性や耐熱性が低下する。
ポリグリコール酸は、グリコール酸の脱水重縮合、グリコール酸アルキルエステルの脱アルコール重縮合、グリコリドの開環重合などにより合成することができる。これらの中でも、グリコリドの開環重合法によれば、高分子量(高溶融粘度)のポリグリコール酸(「ポリグリコリド」ともいう)を容易に製造することができる。開環重合法では、グリコリドを、少量の触媒(例えば、有機カルボン酸錫、ハロゲン化錫、ハロゲン化アンチモン等のカチオン触媒)の存在下に、約120℃から約250℃の温度に加熱して、開環重合を行う。開環重合は、塊状重合または溶液重合により行うことが好ましい。
ポリグリコール酸共重合体を合成するには、コモノマーとして、例えば、シュウ酸エチレン、ラクチド、ラクトン類(例えば、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、ピバロラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトンなど)、トリメチレンカーボネート、及び1,3−ジオキサンなどの環状モノマー;乳酸、3−ヒドロキシプロパン酸、3−ヒドロキシブタン酸、4−ヒドロキシブタン酸、6−ヒドロキシカプロン酸などのヒドロキシカルボン酸またはそのアルキルエステル;エチレングリコール、1,4−ブタンジオール等の脂肪族ジオールと、こはく酸、アジピン酸等の脂肪族ジカルボン酸またはそのアルキルエステルとの実質的に等モルの混合物;またはこれらの2種以上を用いて、共重合すればよい。これらのコモノマーの中でも、前記環状モノマーが好ましい。これらの環状モノマーは、グリコリドの開環重合条件下に開環共重合させることができる。
コモノマーは、全仕込みモノマー量を基準として、通常40質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下の割合で使用する。コモノマーの使用割合が大きくなると、生成する重合体の結晶性が損なわれる。ポリグリコール酸は、結晶性が失われると、耐熱性、ガスバリヤー性、機械的強度などが低下する。
本発明で使用するポリグリコール酸の酸素ガス透過係数は、JIS K−7126に準拠して、温度23℃、相対湿度80%(80%RH)の条件下で測定したとき、5.0×10−14cm3・cm/cm2・sec・cmHg以下であることが好ましい。ポリグリコール酸の酸素ガス透過係数が大きすぎると、酸素ガスバリア性に優れた多層容器を得ることが困難になる。本発明で使用するポリグリコール酸の酸素ガス透過係数は、好ましくは1.0×10−14〜5.0×10−14cm3・cm/cm2・sec・cmHgの範囲である。
本発明で使用するポリグリコール酸の溶融粘度(温度270℃、剪断速度122sec−1で測定)は、20〜3,000Pa・s、好ましくは50〜2,000Pa・s、より好ましくは100〜1,500Pa・sの範囲内である。ポリグリコール酸の溶融粘度が低すぎると、他の熱可塑性樹脂と酸素吸収剤とを含有する熱可塑性樹脂組成物との共射出成形などの溶融成形加工が困難になる。ポリグリコール酸の溶融粘度が大きすぎると、ポリグリコール酸の溶融成形加工温度が高くなるため、ポリグリコール酸の熱分解が生じやすくなる。
本発明で使用するポリグリコール酸の融点Tmは、好ましくは200℃以上、より好ましくは210℃以上である。ポリグリコール酸ホモポリマーの融点は約220℃である。
本発明では、ポリグリコール酸のニートレジンを単独で使用することができるが、本発明の目的を阻害しない範囲内において、ポリグリコール酸に、無機フィラー、他の熱可塑性樹脂、可塑剤などを配合した樹脂組成物を使用することができる。ポリグリコール酸には、必要に応じて、熱安定剤、光安定剤、防湿剤、防水剤、滑剤、顔料、染料などの添加剤を含有させることができる。ただし、ポリグリコール酸には、酸素吸収剤を含有させない。
ポリグリコール酸に熱安定剤を含有させると、溶融安定性が改善され、溶融粘度の変動や熱分解が生じ難くなる。熱安定剤としては、CO−NHNH−CO単位を有するヒドラジン系化合物などの重金属不活性化剤、ペンタエリスリトール骨格構造を有するリン酸エステル、少なくとも1つの水酸基と少なくとも1つの長鎖アルキルエステル基とを持つリン化合物、トリアゾール化合物、ヒンダードフェノール化合物、及び炭酸金属塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を挙げることができる。
重金属不活性剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−N−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル−ベンズアミド、及びビス〔2−(2−ヒドロキシベンゾイル)ヒドラジン〕ドデカン二酸が挙げられる。ペンタエリスリトール骨格構造を有するリン酸エステルとしては、例えば、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、及びサイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトが挙げられる。少なくとも1つの水酸基と少なくとも1つの長鎖アルキルエステル基とを持つリン化合物としては、例えば、モノまたはジ−ステアリルアシッドホスフェートが挙げられる。炭酸金属塩としては、例えば、炭酸カルシウム、及び炭酸ストロンチウムが挙げられる。
熱安定剤の配合割合は、ポリグリコール酸100質量部に対して、通常0.001〜5質量部、好ましくは0.003〜3質量部、より好ましくは0.005〜1質量部である。熱安定剤の配合割合が大きくなりすぎると、効果が飽和したり、透明性を阻害したりするなどの不都合が生じやすくなる。
ポリグリコール酸のカルボキシル末端を封止するために、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物などの封止剤を、ポリグリコール酸100質量部に対して、1質量部以下の割合で配合することができる。
2.他の熱可塑性樹脂
本発明で使用する他の熱可塑性樹脂(ポリグリコール酸以外の熱可塑性樹脂)としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、熱可塑性芳香族ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、塩素含有樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、環状オレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、エチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリグリコール酸以外の脂肪族ポリエステル樹脂、アクリル樹脂などが挙げられる。
本発明で使用する他の熱可塑性樹脂(ポリグリコール酸以外の熱可塑性樹脂)としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、熱可塑性芳香族ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、塩素含有樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、環状オレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、エチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリグリコール酸以外の脂肪族ポリエステル樹脂、アクリル樹脂などが挙げられる。
ポリオレフィン樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、ポリプロピレン系樹脂(例えば、アイソタックチックポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体)、ポリブテン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、アイオノマー樹脂、及びこれらの2種以上のブレンド物などが挙げられる。
直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)及び超低密度ポリエチレン(VLDPE)としては、チーグラー触媒やフィリップス触媒を用いて得られる従来のLLDPEだけではなく、シングルサイト触媒を用いてエチレンとα−オレフィンとを共重合して得られるLLDPEを好ましく使用することができる。α−オレフィンとしては、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどが挙げられる。
熱可塑性芳香族ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、1,4−シクロヘキサンジメタノールを共重合成分とする非晶性ポリエチレンテレフタレート共重合体(PETG)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリ−1,4−シクロへキシレンジメチレンテレフタレート・イソフタレート共重合体(PCTA)、及びこれらの2種以上の混合物を挙げることができる。これらの中でも、入手の容易性や成形加工性などの観点から、PET及びPENが好ましく、PETがより好ましい。
PETとしては、ポリエチレンテレフタレートホモポリマーだけではなく、PETの酸成分の一部をイソフタル酸やナフタレンジカルボン酸で置き換えたコポリエステル;PETのグリコール成分の一部をジエチレングリコールなどの特殊ジオールに置き換えたコポリエステルなども含まれる。これらのコポリエステル(CO−PET)において、イソフタル酸などの第三成分の共重合割合は、特に限定されないが、通常、2〜8モル%である。
PETGは、1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)を共重合成分とする非晶性ポリエチレンテレフタレート共重合体である。より具体的に、PETGとは、PETを構成するグリコール成分であるエチレングリコールの一部を1,4−シクロヘキサンジメタノールに置き換えたコポリエステルである。グリコール成分中の1,4−シクロヘキサンジメタノールの割合は、通常、30〜35モル%である。PETGとしては、米国イーストマン・ケミカル社やスカイグリーン社などから製造販売されているものが好ましく用いられる。
PCTAは、1,4−シクロヘキサンジメタノールと、テレフタル酸及びイソフタル酸との重縮合により得られる熱可塑性飽和コポリエステルである。PCTAとしては、米国イーストマン・ケミカル社の商品名コダール・サーメックス6761(KODAR THERMX 6761;登録商標)などが好適に用いられる。
熱可塑性芳香族ポリエステル樹脂の固有粘度(IV)は、好ましくは0.5〜1.5dl/g、より好ましくは0.6〜1.3dl/g、特に好ましくは0.7〜1.2dl/gの範囲内である。
ポリアミド樹脂としては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン6・66、ナイロン610、ナイロン11、ナイロン12、非晶性ナイロン(例えば、ナイロン6I/6T)、ナイロンMXD6などが挙げられる。
ポリスチレン樹脂としては、例えば、ポリスチレン、ABS樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、α−メチルスチレン−スチレン共重合体、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体などが挙げられる。
環状オレフィン樹脂としては、ノルボルネン系モノマーの開環重合体、該開環重合体の水素添加物、付加重合体;ノルボルネン系モノマーとエチレンとのランダム共重合体;ポリスチレン樹脂の水素添加物;などが挙げられる。
ポリグリコール酸以外の脂肪族ポリエステル樹脂としては、ポリ乳酸(ポリラクチド)、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート−アジペートなどが挙げられる。
他の熱可塑性樹脂には、酸素吸収剤以外に、所望により、無機フィラー、可塑剤、熱安定剤、光安定剤、防湿剤、防水剤、撥水剤、滑剤、離型剤、カップリング剤、顔料、染料などの各種添加剤を含有させることができる。
3.酸素吸収剤
本発明で用いる酸素吸収剤としては、従来からのこの技術分野で使用されているものであれば使用することができ、特に限定されない。酸素吸収剤の具体例としては、以下のものが例示される。
本発明で用いる酸素吸収剤としては、従来からのこの技術分野で使用されているものであれば使用することができ、特に限定されない。酸素吸収剤の具体例としては、以下のものが例示される。
(1)還元性を有する金属粉:
無機系酸素吸収剤としては、例えば、還元性鉄、還元性亜鉛、還元性スズ、金属低位酸化物(酸化第一鉄、四三酸化鉄など)、還元性金属化合物(炭化鉄、ケイ素鉄、鉄カルボニル、水酸化鉄など)、及びこれらの2種類以上の混合物などの還元性を有する金属粉が代表的なものである。これらの中でも、還元鉄粉(FeO、Fe2O3など)が好ましい。
無機系酸素吸収剤としては、例えば、還元性鉄、還元性亜鉛、還元性スズ、金属低位酸化物(酸化第一鉄、四三酸化鉄など)、還元性金属化合物(炭化鉄、ケイ素鉄、鉄カルボニル、水酸化鉄など)、及びこれらの2種類以上の混合物などの還元性を有する金属粉が代表的なものである。これらの中でも、還元鉄粉(FeO、Fe2O3など)が好ましい。
還元性を有する金属粉は、必要に応じて、アルカリ金属、アルカリ土類金属などの金属の水酸化物、炭酸塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、第三リン酸塩、第二リン酸塩、有機酸塩、ハロゲン化物;活性炭、活性白土、活性アルミナなどの助剤と組み合わせて使用することができる。ハロゲン化金属としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、塩化鉄、塩化スズ、及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
(2)ナイロンMXD6と遷移金属とを含有する組成物:
酸素吸収剤として、ナイロンMXD6に、有機酸コバルト(例えば、ネオデカン酸コバルト、ステアリン酸コバルト)のような遷移金属塩が触媒として含有されている組成物を使用することができる。
酸素吸収剤として、ナイロンMXD6に、有機酸コバルト(例えば、ネオデカン酸コバルト、ステアリン酸コバルト)のような遷移金属塩が触媒として含有されている組成物を使用することができる。
酸素吸収誘導期間を短くして、酸素吸収速度及び酸素吸収量を増加させるために、遷移金属塩が使用される。遷移金属塩としては、周期律表第一、第二、または第三遷移系列から選択される金属の塩が用いられる。好ましい遷移金属には、マンガンII、マンガンIII、鉄II、鉄III、コバルトII、コバルトIII、ニッケルII、ニッケルIII、銅I、銅II、ロジウムII、ロジウムIII、及びルテニウムが含まれる。これらの遷移金属の中でも、コバルトが最も好ましい。
金属塩の形態としては、塩化物、酢酸塩、ステアリン酸塩、パルミチン酸塩、2−エチルヘキサン酸エチル、ネオデカン酸塩、及びナフトエ酸塩が包含されるが、これらに限定されるものではない。これらの中でも、2−エチルヘキサン酸コバルト(II)、ネオデカン酸コバルト(II)が好ましい。遷移金属塩の酸素吸収剤中の添加量は、通常0.1〜10,000ppmの範囲である。
PETなどの熱可塑性樹脂の成形性の観点から、予めPETなどの熱可塑性樹脂とMXD6と遷移金属塩とのブレンド物を、酸素吸収剤として使用することが好ましい。
(3)多価フェノールを骨格に有する高分子化合物:
酸素吸収剤として、例えば、多価フェノール含有フェノール・アルデヒド樹脂などの多価フェノールを骨格に有する高分子化合物を用いることができる。
酸素吸収剤として、例えば、多価フェノール含有フェノール・アルデヒド樹脂などの多価フェノールを骨格に有する高分子化合物を用いることができる。
(4)キノン、グリコール、フェノール類:
(5)分子内に炭素−炭素二重結合を有するポリマーと有機酸コバルトのような遷移金属塩を触媒として含有する組成物:
分子内に炭素−炭素二重結合を有するポリマーとネオデカン酸コバルトのような遷移金属塩を含有する組成物を、酸素吸収剤として使用することができる。分子内に炭素−炭素二重結合を有するポリマーとしては、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、1,4−ポリブタジエン、ブタジエン/イソプレン共重合体、スチレン/ブタジエン共重合体などが挙げられる。これらのポリマーは、低温での酸素吸収性に優れる。酸素捕捉性を有する不飽和基を持つ酸素吸収性ポリマーとしては、オクタジエン類、ヘキサジエン類、1,4−ブタジエン類、非共役ジエン類、ヘプタジエン類のポリマーが包含される。
(5)分子内に炭素−炭素二重結合を有するポリマーと有機酸コバルトのような遷移金属塩を触媒として含有する組成物:
分子内に炭素−炭素二重結合を有するポリマーとネオデカン酸コバルトのような遷移金属塩を含有する組成物を、酸素吸収剤として使用することができる。分子内に炭素−炭素二重結合を有するポリマーとしては、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、1,4−ポリブタジエン、ブタジエン/イソプレン共重合体、スチレン/ブタジエン共重合体などが挙げられる。これらのポリマーは、低温での酸素吸収性に優れる。酸素捕捉性を有する不飽和基を持つ酸素吸収性ポリマーとしては、オクタジエン類、ヘキサジエン類、1,4−ブタジエン類、非共役ジエン類、ヘプタジエン類のポリマーが包含される。
酸素吸収誘導期間を短くして、酸素吸収速度及び酸素吸収量を増加させるために、遷移金属塩が使用される。遷移金属塩とともに、酸素吸収性ポリマーとの相溶性のよいベンゾフェノンまたはその誘導体を併用してもよい。
遷移金属塩としては、周期律表第一、第二、または第三遷移系列から選択される金属の塩である。好ましい金属には、マンガンII、マンガンIII、鉄II、鉄III、コバルトII、コバルトIII、ニッケルII、ニッケルIII、銅I、銅II、ロジウムII、ロジウムIII、及びルテニウムが包含される。これらの中でも、コバルトが最も好ましい。金属塩の形態としては、塩化物、酢酸塩、ステアリン酸塩、パルミチン酸塩、2−エチルヘキサン酸エチル、ネオデカン酸塩、及びナフトエ酸塩が包含されるが、これらに限定されない。これらの中でも、2−エチルヘキサン酸コバルト(II)、及びネオデカン酸コバルト(II)が好ましい。遷移金属塩の酸素吸収剤中の含有量は、通常0.1〜10,000ppmの範囲である。
PETなどの熱可塑性樹脂との成形性の観点から、不飽和二重結合を有する骨格をPETなどの熱可塑性樹脂と共重合したポリマーを用いることが好ましい。
(6)ポリフィリン類、大環状ポリアミン類、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩、没食子酸(+炭酸ナトリウム)などの有機系酸素吸収剤:
(7)グルコースオキシターゼ、アスコルビン酸オキシターゼなどの酵素系酸素吸収剤:
(7)グルコースオキシターゼ、アスコルビン酸オキシターゼなどの酵素系酸素吸収剤:
酸素吸収剤は、吸水剤と組み合わせて用いることができる。吸水剤としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、リン酸水素二ナトリウム、炭酸カリウム、硝酸ナトリウムなどの潮解性無機塩;グルコース、果糖、蔗糖、ゼラチン、変性カゼイン、変性澱粉などの潮解性有機化合物;アクリル酸(塩)グラフト化澱粉、架橋ポリアクリル酸(塩)、変性ポリビニルアルコールなどの高吸水性樹脂;などが挙げられる。
4.熱可塑性樹脂組成物
本発明では、他の熱可塑性樹脂と酸素吸収剤とを含有する熱可塑性樹脂組成物を用いる。酸素吸収剤は、他の熱可塑性樹脂100質量部に対して、通常0.001〜50質量部、好ましくは0.01〜30質量部、より好ましくは0.1〜20質量部の割合で用いられる。酸素吸収剤の含有割合が過小であると、酸素吸収性能が不十分となり、過大であると、多層容器の強度や耐衝撃性、透明性などの特性が低下しやすくなる。
本発明では、他の熱可塑性樹脂と酸素吸収剤とを含有する熱可塑性樹脂組成物を用いる。酸素吸収剤は、他の熱可塑性樹脂100質量部に対して、通常0.001〜50質量部、好ましくは0.01〜30質量部、より好ましくは0.1〜20質量部の割合で用いられる。酸素吸収剤の含有割合が過小であると、酸素吸収性能が不十分となり、過大であると、多層容器の強度や耐衝撃性、透明性などの特性が低下しやすくなる。
5.接着性樹脂
本発明のガスバリア性多層容器において、層間剥離強度を高める目的で、所望により、各層間に接着性樹脂層を介在させることができる。接着性樹脂(単に、「接着剤」ともいう)としては、押出加工が可能で、かつ、各樹脂層に良好な接着性を示すものであることが好ましい。
本発明のガスバリア性多層容器において、層間剥離強度を高める目的で、所望により、各層間に接着性樹脂層を介在させることができる。接着性樹脂(単に、「接着剤」ともいう)としては、押出加工が可能で、かつ、各樹脂層に良好な接着性を示すものであることが好ましい。
接着性樹脂としては、例えば、無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂(三菱樹脂社製モディックS525)、グリシジル基含有エチレンコポリマー(日本石油化学社製レクスパールRA3150、住友化学社製ボンドファースト2C、E、B)、熱可塑性ポリウレタン(クラレ社製クラミロン1195L)、ポリアミド・アイオノマー(三井デュポン社製AM7926)、ポリアクリルイミド樹脂(ローム・アンド・ハース社製XHTA)、三井化学社製アドマーNF550〔酸変性線状低密度ポリエチレン、MFR=6.2g/10分(温度190℃、荷重2160g荷重)〕、三菱化学社製モディックS525などを挙げることができる。
接着性樹脂層には、ポリグリコール酸層を水分の侵入による加水分解から守るために、乾燥剤を包含させることができる。乾燥剤には、一般に乾燥剤として使用されているもののほか、吸水剤や高吸水性樹脂なども含まれるものとする。
一般の乾燥剤としては、例えば、第二リン酸ナトリウム、第一リン酸ナトリウム、第三リン酸ナトリウム、第三リン酸リチウム、ピロリン酸ナトリウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化アンモニウム、炭酸カリウム、硝酸ナトリウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、ホウ酸ナトリウム、硫酸ナトリウムなどの無機物質;ショ糖などの有機物質を挙げることができる。
吸水剤としては、例えば、活性アルミナ、シリカゲル、酸化マグネシウム、ベントナイト、モレキュラーシーブなどの無機物質を挙げることができる。高吸水性樹脂としては、アクリル酸(塩)グラフト化澱粉、澱粉のアクリロニトリルグラフト化加水分解物、アクリル酸(塩)グラフト化セルローズ等の澱粉またはセルローズ系のグラフト誘導体;架橋ポリアクリル酸(塩)、例えば、アクリル酸(塩)とジビニルベンゼンなどの多官能性モノマー、あるいは更にスチレン、アクリル酸エステル等の疎水性モノマーとの共重合体;酢酸ビニルとアクリル酸エステルとの共重合体をケン化することにより製造されたビニルアルコール−アクリル酸(塩)ブロック共重合体;ポリビニルアルコールに無水マレイン酸、無水フタル酸などの酸無水物を反応させて側鎖にカルボキシル基と架橋構造とを同時に導入した変性ポリビニルアルコール;ポリエチレンオキサイド変性物;などが挙げられる。
乾燥剤(吸水剤や高吸水性樹脂を含む)の添加量は、接着性樹脂に対して、通常1〜40質量%の範囲内である。乾燥剤の添加量が多すぎると接着性が低下し、少なすぎると添加による効果が発揮されない。
接着性樹脂には、乾燥剤以外に、所望により、無機フィラー、可塑剤、熱安定剤、光安定剤、撥水剤、滑剤、離型剤、カップリング剤、酸素吸収剤、顔料、染料などの各種添加剤を含有させることができる。
6.ガスバリア性多層容器
本発明のガスバリア性多層容器は、少なくとも1層のポリグリコール酸層と、少なくとも1層の他の熱可塑性樹脂と酸素吸収剤とを含有する熱可塑性樹脂組成物層とが配置された層構成を有するものである。ガスバリア性多層容器は、少なくとも1層のポリグリコール酸層が中間層として配置され、該熱可塑性樹脂組成物層が内外層として配置された層構成を有する物であることが好ましい。
本発明のガスバリア性多層容器は、少なくとも1層のポリグリコール酸層と、少なくとも1層の他の熱可塑性樹脂と酸素吸収剤とを含有する熱可塑性樹脂組成物層とが配置された層構成を有するものである。ガスバリア性多層容器は、少なくとも1層のポリグリコール酸層が中間層として配置され、該熱可塑性樹脂組成物層が内外層として配置された層構成を有する物であることが好ましい。
ガスバリア性多層容器は、多層ブロー成形容器(多層延伸ブロー成形容器を含む)、多層フィルムまたはシートから作製された包装袋、多層シートを真空成形及び/または圧空成形してなるトレーやカップなど、様々な形状とすることができる。これらの中でも、多層ブロー成形容器(ブロー成形ボトル)が好ましい。
ガスバリア性多層容器の層構成としては、他の熱可塑性樹脂をTP、酸素吸収剤をS、ポリグリコール酸をPGAし、他の熱可塑性樹脂と酸素吸収剤とを含有する熱可塑性樹脂組成物を(TP+S)とそれぞれ略記すると、以下のような層構成を例示することができる。ただし、本発明のガスバリア性多層容器は、これらの層構成を有するものに限定されない。
(1)(TP+S)/PGA
(2)(TP+S)/PGA/(TP+S)
(3)(TP+S)/PGA/(TP+S)/PGA
(4)(TP+S)/PGA/(TP+S)/PGA/(TP+S)
(5)(TP+S)/PGA/(TP+S)/PGA/(TP+S)/PGA/(TP+S)
(2)(TP+S)/PGA/(TP+S)
(3)(TP+S)/PGA/(TP+S)/PGA
(4)(TP+S)/PGA/(TP+S)/PGA/(TP+S)
(5)(TP+S)/PGA/(TP+S)/PGA/(TP+S)/PGA/(TP+S)
ガスバリア性多層容器は、所望により、各層間に接着剤層を介在させることができる。多層ブロー成形容器の場合には、耐熱性や成形加工性の観点から、熱可塑性樹脂組成物層とポリグリコール酸層との間に接着剤層を介在させないものが好ましい。
ガスバリア性多層容器は、熱可塑性芳香族ポリエステルと酸素吸収剤とを含有する樹脂組成物層中に、少なくとも1層のポリグリコール酸層を中間層として含有する多層ブロー成形容器であることが好ましい。熱可塑性芳香族ポリエステル樹脂としては、PETが好ましい。具体的に、多層ブロー成形容器は、「(PET+S)/PGA/(PET+S)」、及び「(PET+S)/PGA/(PET+S)/PGA/(PET+S)」の層構成を有するものが好ましいが、これらに限定されない。
多層ブロー成形容器は、例えば、共押出した多層プリフォーム(多層パリソン)のダイレクトブロー成形法;共射出した多層プリフォームの延伸ブロー成形法などにより製造することができる。多層パイプは、共押出法により製造することができる。この多層パイプは、ブロー成形用のプリフォームとして用いることができる。多層フィルムまたはシートは、共押出法、ドライラミネート法、押出ラミネート法などにより製造することができる。延伸多層フィルムを製造するには、多層フィルムの延伸法、各延伸したフィルム同士のラミネート法などにより製造することができる。多層フィルムまたはシートは、インフレーション法によっても製造することができる。多層フィルムは、三方または四方をシールして、包装用袋に成形することができる。多層シートは、シート成形法(真空成形及び/または圧空成形)により、トレー、カップなどの形状の多層容器に成形することができる。
ガスバリア性多層容器における熱可塑性樹脂組成物とポリグリコール酸との質量比は、通常99.5:0.5〜55:45の範囲内である。この質量比は、多層容器の形状や使用目的によって適宜定めることができる。ポリグリコール酸層によるガスバリア性の向上を目的とする多層容器では、熱可塑性樹脂組成物とポリグリコール酸との質量比は、ガスバリア性、機械的強度、耐熱性などをバランスさせる観点から、好ましくは99.5:0.5〜80:20、より好ましくは99.2:0.8〜90:10の範囲内である。
各層の厚み比は、特に限定されない。多層容器が多層ブロー成形容器の場合、容器胴部(側壁)の全層厚みは、通常20μmから10mm、好ましくは50μmから8mm、より好ましくは80μmから5mmの範囲内である。多層容器の胴部における熱可塑性樹脂組成物層の厚み(複数層の場合には合計厚み)は、通常10μmから9.9mm、好ましくは25μmから4.65mm、より好ましくは40μmから2.45mmの範囲内である。多層容器の胴部におけるポリグリコール酸層の厚み(複数層の場合は合計厚み)は、通常3〜200μm、好ましくは5〜150μm、より好ましくは8〜100μmの範囲内である。
多層ブロー成形容器(多層ボトル)などの多層容器は、その開口端部(首部)を熱可塑性樹脂組成物単層とすることが好ましい。多層容器の底部は、一般に、厚みが大きいため、熱可塑性樹脂組成物単層とすることができるが、ポリグリコール酸層からなる芯層を配置してもよい。
共射出延伸ブロー成形法により多層容器を作製する場合には、ポリグリコール酸と熱可塑性樹脂組成物とを共射出して有底の多層プリフォームを形成し、次いで、該多層プリフォームを延伸ブロー成形して多層ブロー成形容器を製造する。延伸ブロー成形は、通常、二軸延伸ブロー成形である。
多層プリフォームの製造工程では、複数台の射出シリンダを備えた成形機を用いて、単一のプリフォーム用金型のキャビティ内に、一回の型締め動作で、1つのゲートを通して溶融した各樹脂成分を共射出する。共射出成形法により、内外層が熱可塑性樹脂組成物層であり、ポリグリコール酸層からなる芯層が熱可塑性樹脂組成物層の中に埋め込まれており、開口端部が熱可塑性樹脂組成物層のみからなり、胴部が3層構成を有する有底の多層プリフォームが得られる。多層プリフォームの底部の一部もしくは全部に、ポリグリコール酸層が存在していなくてよい。一般に、底部の厚みは胴部の厚みに比べて大きいため、底部が実質的に熱可塑性樹脂組成物層だけでもガスバリア性を発揮することができる。胴部のみにポリグリコール酸層を配置することにより、多層容器の機械的強度を低下を防ぐとともに、ポリグリコール酸層の厚みを均一に制御することが容易になる。
共射出成形におけるポリグリコール酸の射出温度(ホットランナー温度)を通常200〜310℃、好ましくは230〜300℃の範囲内に制御する。射出温度が高すぎると、射出成形機内に滞留するポリグリコール酸の熱分解が生じやすくなる。
他の熱可塑性樹脂がPETまたはCo−PETなどの熱可塑性芳香族ポリエステル樹脂である場合には、共射出成形時の樹脂温度は、通常265〜300℃、好ましくは270〜295℃である。熱可塑性芳香族ポリエステル樹脂の射出温度が低すぎると、溶融流動性が悪くなりすぎて、熱可塑性芳香族ポリエステル樹脂が内外層となる3層構成の多層プリフォームを得ることが困難になる。熱可塑性芳香族ポリエステル樹脂の射出温度が高くなりすぎると、熱分解が生じやすくなる。多層プリフォームは、逐次成形法または同時成形法によって作製することができる。
多層プリフォームを延伸ブロー成形する。延伸ブロー成形工程では、多層プリフォームを延伸可能な温度に調整した後、ブロー成形用金型のキャビティ内に挿入し、空気などの加圧流体を吹き込んで延伸ブロー成形を行なう。延伸ブロー成形は、ホットパリソン方式またはコールドパリソン方式のいずれかの方式により行うことができる。通常は、コールドパリソン方式を採用することが温度制御の観点から好ましい。ここで、パリソンとは、プリフォームを意味している。
コールドパリソン方式により、熱可塑性樹脂組成物層を外層と内層とし、ポリグリコール酸層を芯層とする多層プリフォームを延伸ブロー成形するには、先ず、多層プリフォームを赤外線ヒーターなどで十分軟化するまで加熱する。この加熱工程で熱可塑性樹脂組成物層は非晶状態を保ったまま軟化するが、ポリグリコール酸層は結晶化して白化する。この時、ポリグリコール酸層の結晶化が不均一であると、延伸ブロー成形後のポリグリコール酸層の厚み斑が大きくなったり、欠陥が生じやすくなったりするため、ポリグリコール酸層を均一に結晶化させる必要がある。特に、ウエルドライン部でのポリグリコール酸の結晶化が不十分であると、延伸ブロー成形時に亀裂が生じやすくなる。
ポリグリコール酸層を均一に結晶化させるには、多層プリフォーム温度が90℃以上の温度になるように加熱することが好ましい。より詳しくは、多層プリフォームの長さ方向の中央部の熱可塑性樹脂組成物層(外層)の表面温度が90〜110℃になるようにヒーターパワーと加熱時間を調整する。ただし、多層プリフォームの口部(サポートリングのある箇所)近辺の温度は、延伸ブロー成形時の変形を避けるために、中央部の表面温度よりも10〜30℃低くなるように設定することが好ましい。口部近辺(サポートリング)の温度を低くすると、その部分でのポリグリコール酸層の延伸性が低下して、ボイドや亀裂が生じやすいが、サポートリング下2cmの位置における横方向の延伸倍率(ボトル成形後のサポートリング下2cmにおける外径/多層プリフォームのサポートリング下2cmにおける外径)が2倍以下になるように、多層プリフォームとボトルのサイズを設定すれば、口部周辺のボイドや亀裂の発生を抑えることができる。ここで、サポートリングとは、共射出成形時及び延伸ブロー成形時に、多層プリフォーム及び多層ブロー成形容器の口部を保持するリングを意味する。
予備加熱後、延伸温度に加熱された有底の多層プリフォーム内に圧縮空気などの加圧流体を吹き込んで膨脹延伸させる。一般に、延伸倍率は、軸方向に1.5〜3倍、周方向に3〜5倍程度である。ブロー比(全延伸倍率)は、延伸ブロー成形用器(ブロー成形ボトル)の種類により若干差があるが、一般のブロー成形ボトルでは6〜9倍、耐圧ボトルでは8〜9.5倍、耐熱ボトルでは6〜7.5倍、大型ボトルでは7〜8倍程度である。
熱可塑性芳香族ポリエステル樹脂がPETまたはCo−PETの場合、そのガラス転移温度以上、結晶化温度以下の温度範囲、好ましくは80〜170℃の温度で、多層プリフォームに圧縮空気を吹き込み、その際、延伸ロッドを挿入して、多層プリフォームを軸(縦)方向及び周(横)方向に二軸延伸させる。芯層のポリグリコール酸のガラス転移温度は、約38℃であり、内外層の熱可塑性ポリエステル樹脂の延伸に追従して容易に延伸する。
延伸ブロー成形工程において、金型温度を100℃以上の温度に加熱しておいて、延伸ブロー成形と同時に、二軸配向された多層容器の胴部の熱固定を行うことが好ましい。高温の金型内での熱処理により、二軸配向された状態が熱固定され、同時に熱可塑性芳香族ポリエステル樹脂組成物層の結晶化が進行する。熱処理により、延伸ブロー成形工程で生じた内部歪みが緩和され、配向結晶化が促進される。この胴部の配向結晶は、開口端部の加熱処理で生じる大きい球晶とは異なり、胴部は配向結晶化が促進されても透明性を保持している。熱固定後の胴部側壁の結晶化度は、通常28vol.%以上となる。
特に熱可塑性芳香族ポリエステル樹脂としてPETまたはCo−PETを用いる場合には、熱固定を行うことが、耐熱性を向上させる上で望ましい。ホットフィルに適した耐熱性の多層ブロー成形容器を製造する場合には、ホットフィル時の容器の熱収縮・変形を防止するために、延伸ブロー成形用金型の温度を100℃以上に昇温し、延伸ブロー成形と同時に、金型内で熱処理(熱固定)する。その具体的な金型温度は、100〜165℃であり、一般耐熱容器の場合は145〜155℃、高耐熱容器の場合には、160〜165℃の範囲とすることが好ましい。熱処理時間は、多層容器の厚みや熱処理温度により変動するが、通常1〜30秒間、好ましくは2〜20秒間である。
熱処理を金型内で行う方法としては、1個の金型で延伸ブロー成形と熱固定とを行う1モールド方式、1次延伸ブロー成形した多層ブロー成形容器を取出し、熱固定した後、二次金型で二次延伸ブロー成形する2段ブロー方式、その他オーブンブロー方式等が適宜適用することができる。延伸ブロー成形時に熱処理を行った場合には、十分に冷却した後、金型内から多層ブロー成形容器を取り出す。
本発明のガスバリア性多層容器は、前記の如き共射出延伸ブロー成形法だけではなく、ダイレクトブロー成形法など公知のボトル成形法によって作製することができる。ポリグリコール酸層の数も、1層だけではなく2層以上とすることもできる。
以下、本発明について、実施例を挙げてより具体的に説明する。物性または特性の評価方法は、次の通りである。
(1)酸素濃度の試験方法
容器内に500mlの水を充填し、水中に窒素ガスを1時間バブリングして、溶存酸素を除去した。窒素ガスのバブリング後、容器の開口部に栓をして密閉した。この容器を、温度23℃、相対湿度(RH)50%の雰囲気下に6ヶ月間(180日間)保存した。バブリング後及び保存後に、水中の溶存酸素濃度を非破壊酸素濃度計(PreSens製)で測定した。実施例1、比較例2、及び比較例3で作成した容器については、それぞれ3ヶ月間(90日間)、6ヶ月間(180日間)、及び9ヶ月間(270日間)保存後に、水中の溶存酸素濃度を測定した。この試験は、ガスバリア性多層容器を飲料用容器として使用する場合、内容物の酸素濃度を評価するのに適している。
容器内に500mlの水を充填し、水中に窒素ガスを1時間バブリングして、溶存酸素を除去した。窒素ガスのバブリング後、容器の開口部に栓をして密閉した。この容器を、温度23℃、相対湿度(RH)50%の雰囲気下に6ヶ月間(180日間)保存した。バブリング後及び保存後に、水中の溶存酸素濃度を非破壊酸素濃度計(PreSens製)で測定した。実施例1、比較例2、及び比較例3で作成した容器については、それぞれ3ヶ月間(90日間)、6ヶ月間(180日間)、及び9ヶ月間(270日間)保存後に、水中の溶存酸素濃度を測定した。この試験は、ガスバリア性多層容器を飲料用容器として使用する場合、内容物の酸素濃度を評価するのに適している。
(2)炭酸ガスバリア性の評価方法
容器内に4気圧の炭酸ガスと少量の水を充填して、容器内の相対湿度を100%に調整した。実際の飲料ボトルでは、内容物により相対湿度がほぼ100%になっているため、このような湿度条件を採用した。この容器の開口部に栓をして密閉した。この容器を、温度23℃、相対湿度(RH)50%の雰囲気下に6ヶ月間(180日間)保存した。容器内圧は、圧力センサーで測定した。容器内圧の変化から、炭酸ガス損失を評価した。
容器内に4気圧の炭酸ガスと少量の水を充填して、容器内の相対湿度を100%に調整した。実際の飲料ボトルでは、内容物により相対湿度がほぼ100%になっているため、このような湿度条件を採用した。この容器の開口部に栓をして密閉した。この容器を、温度23℃、相対湿度(RH)50%の雰囲気下に6ヶ月間(180日間)保存した。容器内圧は、圧力センサーで測定した。容器内圧の変化から、炭酸ガス損失を評価した。
[実施例1]
1.多層容器の作製
ポリグリコール酸(PGA;重量平均分子量=200,000;270℃、剪断速度122sec−1で測定した溶融粘度=620Pa・s)、ポリエチレンテレフタレート(PET;遠東紡製CB60S;IV値=0.82dl/g)、及び酸素吸収剤〔Scav.;Colormatrix Corp.製Amosorb(登録商標)DFC 4020〕を用いて、(PET+Scav.)/PGA/(PET+Scav.)の層構成を有する2種3層の共射出プリフォームを作製した。
1.多層容器の作製
ポリグリコール酸(PGA;重量平均分子量=200,000;270℃、剪断速度122sec−1で測定した溶融粘度=620Pa・s)、ポリエチレンテレフタレート(PET;遠東紡製CB60S;IV値=0.82dl/g)、及び酸素吸収剤〔Scav.;Colormatrix Corp.製Amosorb(登録商標)DFC 4020〕を用いて、(PET+Scav.)/PGA/(PET+Scav.)の層構成を有する2種3層の共射出プリフォームを作製した。
PETと酸素吸収剤とは、押出機を用いて溶融ブレンドしてペレット化し、共射出に際し、このペレットを用いた。共射出プリフォームの成形には、2本の射出機とホットランナーとからなる2種3層用共射出成形機を用いた。各成分の充填量は、PGAが3質量%、PETが95質量%、及び酸素吸収剤が2質量%となるように調整した。内外層側射出シリンダ先端部温度290℃、中間層側射出シリンダ先端部温度270℃、及び合流するホットランナーブロック部温度290℃に設定し、逐次成形法により、胴部及び底部でPGA層が内外層に埋め込まれた有底の共射出プリフォームを作製した。この共射出プリフォームの重量は、28gであった。
該共射出プリフォームを140℃に加熱した後、ブロー成形機によりブロー成形して、内容積500mlのぺタロイド型多層容器を作製した。該多層容器の層構成は、(PET+Scav.)/PGA/(PET+Scav.)であるが、その開口部には、PGA層は配置されていない。該多層容器の胴部は、内外層中にPGA層が埋め込まれた状態にある。該多層容器の胴部の肉厚は、約300μmであった。
2.酸素ガスバリア性
該多層容器に500mlの水を充填し、該水中に窒素ガスを1時間バブリングして、溶存酸素を除去した。窒素ガスのバブリング直後、水中の溶存酸素濃度を非破壊酸素濃度計(PreSens製)で測定したところ、1ppmであった。窒素ガスのバブリング後、多層容器の開口部に栓をして密閉した。この多層容器を、温度23℃、相対湿度(RH)50%の雰囲気下に6ヶ月間(180日間)保存した。保存後、前記と同じ非破壊酸素濃度計を用いて水中の溶存酸素濃度を測定したところ、0.0ppmであった。したがって、水中の溶存酸素濃度の変化は、−1.0ppmであった。
該多層容器に500mlの水を充填し、該水中に窒素ガスを1時間バブリングして、溶存酸素を除去した。窒素ガスのバブリング直後、水中の溶存酸素濃度を非破壊酸素濃度計(PreSens製)で測定したところ、1ppmであった。窒素ガスのバブリング後、多層容器の開口部に栓をして密閉した。この多層容器を、温度23℃、相対湿度(RH)50%の雰囲気下に6ヶ月間(180日間)保存した。保存後、前記と同じ非破壊酸素濃度計を用いて水中の溶存酸素濃度を測定したところ、0.0ppmであった。したがって、水中の溶存酸素濃度の変化は、−1.0ppmであった。
3.炭酸ガスバリア性
該多層容器に4気圧の炭酸ガスと少量の水を充填して、該多層容器内の湿度を100%RHに調整した。この多層容器の開口部に栓をして密閉した。この多層容器を、温度23℃、相対湿度(RH)50%の雰囲気下に6ヶ月間(180日間)保存した。保存後、容器内圧を圧力センサーで測定したところ、3.72気圧であった。したがって、炭酸ガスの損失は、〔(4−3.72)/4〕×100=7%であった。
該多層容器に4気圧の炭酸ガスと少量の水を充填して、該多層容器内の湿度を100%RHに調整した。この多層容器の開口部に栓をして密閉した。この多層容器を、温度23℃、相対湿度(RH)50%の雰囲気下に6ヶ月間(180日間)保存した。保存後、容器内圧を圧力センサーで測定したところ、3.72気圧であった。したがって、炭酸ガスの損失は、〔(4−3.72)/4〕×100=7%であった。
これらの結果を表1〜3及び図1に示す。
[実施例2]
酸素吸収剤を、「Amosorb(登録商標)DFC 4020」から「A−100/Catalyst」(ValOR製)に代えて、各成分の充填量を表1に示すとおりに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、多層容器を作製した。結果を表1及び2に示す。
酸素吸収剤を、「Amosorb(登録商標)DFC 4020」から「A−100/Catalyst」(ValOR製)に代えて、各成分の充填量を表1に示すとおりに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、多層容器を作製した。結果を表1及び2に示す。
[実施例3]
酸素吸収剤を、「Amosorb(登録商標)DFC 4020」から「MonoOxbar T6」(Constar製)に代えて、各成分の充填量を表1に示すとおりに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、多層容器を作製した。結果を表1及び2に示す。
酸素吸収剤を、「Amosorb(登録商標)DFC 4020」から「MonoOxbar T6」(Constar製)に代えて、各成分の充填量を表1に示すとおりに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、多層容器を作製した。結果を表1及び2に示す。
[比較例1]
樹脂成分としてポリエチレンテレフタレート(PET;遠東紡製CB60S)を用いて、PET単層の射出プリフォーム(28g)を作製した。このプリフォームを用いたこと以外は、実施例1と同様にブロー成形して、PET単層の容器を作製した。結果を表1〜2、及び図1に示す。
樹脂成分としてポリエチレンテレフタレート(PET;遠東紡製CB60S)を用いて、PET単層の射出プリフォーム(28g)を作製した。このプリフォームを用いたこと以外は、実施例1と同様にブロー成形して、PET単層の容器を作製した。結果を表1〜2、及び図1に示す。
[比較例2]
酸素吸収剤を含有しないPETを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、PET/PGA/PETの層構成を有する共射出プリフォーム(28g)を作製し、次いで、該共射出プリフォームをブロー成形して多層容器を作製した。結果を表1〜3及び図1に示す。
酸素吸収剤を含有しないPETを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、PET/PGA/PETの層構成を有する共射出プリフォーム(28g)を作製し、次いで、該共射出プリフォームをブロー成形して多層容器を作製した。結果を表1〜3及び図1に示す。
[比較例3]
ポリエチレンテレフタレート(PET;遠東紡製CB60S)98重量%と酸素吸収剤〔Scav.;Colormatrix Corp.製Amosorb(登録商標)DFC 4020〕2質量%とを含有するペレットを用いてPET単層の射出プリフォーム(28g)を作製した。このプリフォームを用いたこと以外は、実施例1と同様にブロー成形して、PET単層の容器を作製した。結果を表1〜3、及び図1に示す。
ポリエチレンテレフタレート(PET;遠東紡製CB60S)98重量%と酸素吸収剤〔Scav.;Colormatrix Corp.製Amosorb(登録商標)DFC 4020〕2質量%とを含有するペレットを用いてPET単層の射出プリフォーム(28g)を作製した。このプリフォームを用いたこと以外は、実施例1と同様にブロー成形して、PET単層の容器を作製した。結果を表1〜3、及び図1に示す。
(脚注)
(1)(PET+S):PETと酸素吸収剤との樹脂組成物層である。
(2)酸素濃度:水中の溶存酸素濃度を示す。変動値は、初期値1.0ppmからの変動幅を示す。
(1)(PET+S):PETと酸素吸収剤との樹脂組成物層である。
(2)酸素濃度:水中の溶存酸素濃度を示す。変動値は、初期値1.0ppmからの変動幅を示す。
(脚注)
(1)(PET+S):PETと酸素吸収剤との樹脂組成物層である。
(2)酸素濃度:水中の溶存酸素濃度を示す。変動値は、初期値1.0ppmからの変動幅を示す。
(1)(PET+S):PETと酸素吸収剤との樹脂組成物層である。
(2)酸素濃度:水中の溶存酸素濃度を示す。変動値は、初期値1.0ppmからの変動幅を示す。
<考察>
表1〜3及び図1の結果から明らかなように、PET単層の容器(比較例1)は、炭酸ガスバリア性に劣るだけではなく、経時による内容物の酸素濃度の上昇傾向が大きい。「PET/PGA/PET」の層構成を有する多層容器(比較例2)は、長期間にわたって優れた酸素ガスバリア性と炭酸ガスバリア性を示すものの、内容物の酸素濃度が徐々に増える傾向にある。
表1〜3及び図1の結果から明らかなように、PET単層の容器(比較例1)は、炭酸ガスバリア性に劣るだけではなく、経時による内容物の酸素濃度の上昇傾向が大きい。「PET/PGA/PET」の層構成を有する多層容器(比較例2)は、長期間にわたって優れた酸素ガスバリア性と炭酸ガスバリア性を示すものの、内容物の酸素濃度が徐々に増える傾向にある。
酸素吸収剤を含有するPET組成物単層の容器(比較例3)は、初期段階での内容物の酸素濃度が低下するものの、3ヶ月を経過した辺りから酸素濃度の急激な上昇傾向が見られる。しかも、この酸素吸収剤を含有するPET組成物単層の容器は、炭酸ガスバリア性に劣るものである。
これに対して、本発明のガスバリア性多層容器(実施例1〜3)は、多層容器内の相対湿度がほぼ100%の条件下で優れた炭酸ガスバリア性を示し、さらには、初期段階から6ヶ月さらには9ヶ月経過後にも内容物の酸素濃度が極めて低く、優れた酸素吸収性、酸素遮断性、酸素ガスバリア性を示すものである。
本発明のガスバリア性多層容器は、炭酸飲料、果汁入り飲料、スポーツ飲料、お茶類、コーヒー飲料、ビールなどのアルコール飲料、天然水などの容器として利用することができる。また、本発明のガスバリア性多層容器は、飲料用容器としてだけではなく、トイレタリー容器、薬品用容器など広範な技術分野で利用することができる。
Claims (5)
- 少なくとも1層のポリグリコール酸層と、少なくとも1層の他の熱可塑性樹脂と酸素吸収剤とを含有する熱可塑性樹脂組成物層とが配置された層構成を有するガスバリア性多層容器。
- 少なくとも1層のポリグリコール酸層が中間層として配置され、該熱可塑性樹脂組成物層が内外層として配置された層構成を有する請求項1記載のガスバリア性多層容器。
- ブロー成形容器である請求項1または2記載のガスバリア性多層容器。
- 他の熱可塑性樹脂が、熱可塑性芳香族ポリエステル樹脂である請求項1乃至3のいずれか1項に記載のガスバリア性多層容器。
- 該熱可塑性芳香族ポリエステル樹脂が、ポリエチレンテレフタレートである請求項4記載のガスバリア性多層容器。
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---|---|---|---|
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014526988A (ja) * | 2011-08-10 | 2014-10-09 | ランクホルスト ピューレ コンポジッツ ビー.ブイ. | 多成分系テープ、フィルム又は糸及びその調製方法 |
JP2015178215A (ja) * | 2014-03-19 | 2015-10-08 | 日本山村硝子株式会社 | ガスバリア性に優れた樹脂製ボトル及び樹脂製ボトルの成形方法 |
WO2018025995A1 (ja) * | 2016-08-04 | 2018-02-08 | 東洋製罐グループホールディングス株式会社 | 有機系酸素吸収剤含有酸素吸収性樹脂組成物 |
-
2009
- 2009-01-20 JP JP2009010281A patent/JP2009173033A/ja active Pending
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US10995211B2 (en) | 2016-08-04 | 2021-05-04 | Toyo Seikan Group Holdings, Ltd. | Oxygen-absorbing resin composition containing organic oxygen absorber |
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