JP2009172653A - 接合方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】複数の密閉構造体を側面同士で接合して形成された構造体の気密性及び水密性を向上させることが可能な接合方法を提供することを課題とする。
【解決手段】中空部材10の両端部に第一蓋20、第二蓋21を被せて、第一蓋突合部J20及び第二蓋突合部J21に対して摩擦攪拌を行って密閉構造体30a,30bを形成する蓋接合工程と、一対の密閉構造体30a,30b同士を突き合わせて形成された本突合部J1の表面A側から摩擦攪拌を行う第一本接合工程と、裏面B側から摩擦攪拌を行う第二本接合工程と、第三側面P側から摩擦攪拌を行う第三本接合工程と、第四側面Q側から摩擦攪拌を行う第四本接合工程と、を備えた密閉構造体本接合工程と、を含み、第一本接合工程及び第二本接合工程で形成された塑性化領域と、第三本接合工程及び第四本接合工程で形成された塑性化領域とを重複させることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、摩擦撹拌を利用した金属部材の接合方法に関する。
金属部材同士を接合する方法として、摩擦撹拌接合(FSW=Friction Stir Welding)が知られている。摩擦撹拌接合は、回転ツールを回転させつつ金属部材同士の突合部に沿って移動させ、回転ツールと金属部材との摩擦熱により突合部の金属を塑性流動させることで、金属部材同士を固相接合させるものである。なお、回転ツールは、円柱状を呈するショルダ部の下端面に撹拌ピン(プローブ)を突設してなるものが一般的である。
例えば、特許文献1には、一方の端部が開放された中空部材と、当該中空部材の開口部を塞ぐ蓋とからなる密閉構造体に係る接合方法において、中空部材と蓋との突合部に対して摩擦攪拌接合を行う技術が開示されている。
ここで、特許文献1に係る接合方法のようにして形成された複数の密閉構造体の側面同士を突き合わせて、当該突合部に摩擦攪拌接合を行って一の構造体を製造する場合がある。
例えば、図20に示す構造体120は、密閉構造体103,103の側面同士を突き合わせて摩擦攪拌を行って接合されている。即ち、密閉構造体103は、中空部材101と蓋102からなり、中空部材101と蓋102との突合部J10に対して摩擦攪拌接合されている。そして、一対の密閉構造体103,103の側面同士を突き合わせて形成された突合部J11に沿って、密閉構造体103,103の表面A及び裏面Bから摩擦攪拌を行って構造体120が形成される。このようにして形成された構造体120は、摩擦攪拌によって形成された塑性化領域W11,W11を重複させることができるため、突合部J11を隙間なく接合することができる。
例えば、図20に示す構造体120は、密閉構造体103,103の側面同士を突き合わせて摩擦攪拌を行って接合されている。即ち、密閉構造体103は、中空部材101と蓋102からなり、中空部材101と蓋102との突合部J10に対して摩擦攪拌接合されている。そして、一対の密閉構造体103,103の側面同士を突き合わせて形成された突合部J11に沿って、密閉構造体103,103の表面A及び裏面Bから摩擦攪拌を行って構造体120が形成される。このようにして形成された構造体120は、摩擦攪拌によって形成された塑性化領域W11,W11を重複させることができるため、突合部J11を隙間なく接合することができる。
しかしながら、図21に示す構造体121ように、密閉構造体103,103の厚みが大きい場合、表面A及び裏面Bから摩擦撹拌を行っても突合部J11の中央部に未接合部が生じてしまう可能性がある。即ち、図示しない回転ツールの撹拌ピンの長さに対して、密閉構造体103,103の肉厚が非常に大きい場合、密閉構造体103の表面A及び裏面Bから摩擦撹拌を行ったとしても、塑性化領域W11,W11の厚さ方向の中央部分を重複させることができないため、突合部J11の中央部に隙間(未接合部)110が生じてしまう。このように、構造体121において、一方の側面Pから他方の側面Qに連続する隙間110が生じてしまうと、構造体121の水密性及び気密性が低下するという問題があった。
ここで、密閉構造体103の厚みに応じて回転ツールの撹拌ピンの長さを大きくすれば、表面A及び裏面Bから摩擦撹拌接合を行うことで密閉構造体103,103同士を隙間なく接合することは可能である。しかし、回転ツールは、密閉構造体103内に撹拌ピンを埋没させて高速で回転しながら移動するため、撹拌ピンの長さを大きくすると、摩擦撹拌装置の駆動手段及び撹拌ピンに作用する負荷が増大し、装置の短寿命化を招来するという問題があった。
また、図20及び図21に示すように、塑性化領域W11において、一方の側面Pから他方の側面Qに連続する空洞欠陥Rが生じる可能性がある。かかる空洞欠陥Rは、構造体120、構造体121の水密性及び気密性を低下させる一因となっていた。
このような観点から、本発明は、中空部材と蓋とからなる複数の密閉構造体を側面同士で接合して形成された構造体の気密性及び水密性を向上させることが可能な接合方法を提供することを課題とする。
このような課題を解決する本発明に係る接合方法は、内部に中空部を有する一対の密閉構造体の側面同士を突き合わせる突合工程と、前記突合工程で形成された本突合部に対して前記密閉構造体の表面側から摩擦攪拌を行う第一本接合工程と、前記本突合部に対して前記密閉構造体の裏面側から摩擦攪拌を行う第二本接合工程と、前記本突合部に対して前記密閉構造体の一方の側面側から摩擦攪拌を行う第三本接合工程と、前記本突合部に対して前記密閉構造体の他方の側面側から摩擦攪拌を行う第四本接合工程と、を備えた密閉構造体本接合工程を含み、前記第一本接合工程及び前記第二接合工程で形成された塑性化領域と、前記第三本接合工程及び前記第四本接合工程で形成された塑性化領域とを重複させることを特徴とする。
かかる接合方法によれば、本突合部に対して密閉構造体の表面側及び裏面側から摩擦撹拌を行った後、本突合部に対して密閉構造体の側面側から摩擦撹拌を行い、塑性化領域を重複させるため、側面側に現れる未接合部を密閉することができる。また、塑性化領域を重複させることにより、表面側及び裏面側に形成された塑性化領域に発生する可能性がある空洞欠陥を分断することができる。これにより、接合された構造体の気密性及び水密性を向上させることができる。また、本突合部の全周に亘って摩擦攪拌を行うことで、より気密性及び水密性を高めることができる。
また、本発明は、前記密閉構造体本接工程の前に、中空部材の端部に蓋を被せて、前記端部と前記蓋との蓋突合部に対して前記中空部材の表面側から摩擦攪拌を行う第一蓋接合工程と、前記蓋突合部に対して前記中空部材の裏面側から摩擦攪拌を行う第二蓋接合工程と、前記蓋突合部に対して前記中空部材の一方の側面側から摩擦攪拌を行う第三蓋接合工程と、前記蓋突合部に対して前記中空部材の他方の側面側から摩擦攪拌を行う第四蓋接合工程と、を備えた蓋接合工程を含むことを特徴とする。
また、本発明は、前記蓋は、前記蓋の一方の面に凸設された凸部を備え、前記蓋接合工程において、前記蓋と前記中空部材とを略垂直に突き合わせるとともに、前記凸部の側面と前記中空部材の内周面とが当接するようにして前記蓋突合部を形成することを特徴とする。
かかる接合方法によれば、蓋と中空部材を好適に嵌め合わせることができるため、蓋接合工程を容易に行うことができる。
また、本接合方法は、前記蓋接合工程において、摩擦攪拌を行う回転ツールが右回転の場合、前記回転ツールの進行方向右側に前記中空部材を配置して、前記蓋突合部に対して摩擦攪拌を行うことが好ましい。また、前記蓋接合工程において、摩擦攪拌を行う回転ツールが左回転の場合、前記回転ツールの進行方向左側に前記中空部材を配置して、前記蓋突合部に対して摩擦攪拌を行うことが好ましい。かかる接合方法によれば、中空部材に空洞欠陥が発生するのを防止することができる。
本発明に係る接合方法によれば、中空部材と蓋とからなる複数の密閉構造体を側面同士で接合して形成された構造体の気密性及び水密性を向上させることができる。
本発明に係る接合方法は、図1に示すように、直方体を呈する密閉構造体30a及び密閉構造体30bを側面同士で突き合わせて形成された本突合部J1に対して、表面、裏面及び両側面から摩擦攪拌して形成された構造体1を例にして説明する。説明における上下左右前後は、図1の矢印に従う。
まず、構造体1を構成する密閉構造体30a及び密閉構造体30bについて詳細に説明する。密閉構造体30a及び密閉構造体30bは、同等の構造体であるため、密閉構造体30aを用いて説明する。
密閉構造体30aは、図1及び図2に示すように、中空部材10と、中空部材10の両端に配置された第一蓋20及び第二蓋21とを有する。中空部材10は、断面視長方形からなる筒状部材であって、内部に断面視長方形の中空部を備えている。中空部材10の四周を構成する板部材の板厚はh1で形成されている。中空部材10は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、チタン、チタン合金、マグネシウム、マグネシウム合金など摩擦撹拌可能な金属材料からなる。
第一蓋20は、図2に示すように、中空部材10の端部を塞ぐ部材である。第一蓋20は、断面視矩形の基板20aと、基板20aの一方の面に凸設された凸部20bとを有する。凸部20bは、断面視矩形であって、基板20aの中央に形成されている。基板20aの縁部から凸部20bまでの距離はh2で形成されている。また、凸部20bの突出高さはh3で形成されている。なお、第一蓋20は、中空部材10と同等の組成からなるものを用いる。
一方、第二蓋21(図1参照)は、第一蓋20と略同等であるから、詳細な説明は省略する。
一方、第二蓋21(図1参照)は、第一蓋20と略同等であるから、詳細な説明は省略する。
次に、図3を参照して、仮接合工程に用いる回転ツール(以下、「小型回転ツールF」という。)及び蓋接合工程や本接合工程に用いる回転ツール(以下、「大型回転ツールG」という。)を詳細に説明する。
図3の(a)に示す小型回転ツールFは、工具鋼など中空部材10よりも硬質の金属材料からなり、円柱状を呈するショルダ部F1と、このショルダ部F1の下端面F11に突設された撹拌ピン(プローブ)F2とを備えて構成されている。小型回転ツールFの寸法・形状は、中空部材10等の材質や厚さ等に応じて設定すればよいが、少なくとも、後記する第一蓋接合工程で用いる大型回転ツールG(図3の(b)参照)よりも小型にする。このようにすると、本接合よりも小さな負荷で仮接合を行うことが可能となるので、仮接合時に摩擦撹拌装置に掛かる負荷を低減することが可能となり、さらには、小型回転ツールFの移動速度(送り速度)を大型回転ツールGの移動速度よりも高速にすることも可能になるので、仮接合に要する作業時間やコストを低減することが可能となる。
ショルダ部F1の下端面F11は、塑性流動化した金属を押えて周囲への飛散を防止する役割を担う部位であり、本実施形態では、凹面状に成形されている。ショルダ部F1の外径X1の大きさに特に制限はないが、本実施形態では、大型回転ツールGのショルダ部G1の外径Y1よりも小さくなっている。
撹拌ピンF2は、ショルダ部F1の下端面F11の中央から垂下しており、本実施形態では、先細りの円錐台状に成形されている。また、撹拌ピンF2の周面には、螺旋状に刻設された撹拌翼が形成されている。撹拌ピンF2の外径の大きさに特に制限はないが、本実施形態では、最大外径(上端径)X2が大型回転ツールGの撹拌ピンG2の最大外径(上端径)Y2よりも小さく、かつ、最小外径(下端径)X3が撹拌ピンG2の最小外径(下端径)Y3よりも小さい。撹拌ピンF2の長さLAは、大型回転ツールGの撹拌ピンG2の長さLB(図3の(b)参照)よりも小さくすることが望ましい。
図3の(b)に示す大型回転ツールGは、工具鋼など中空部材10よりも硬質の金属材料からなり、円柱状を呈するショルダ部G1と、このショルダ部G1の下端面G11に突設された撹拌ピン(プローブ)G2とを備えて構成されている。
ショルダ部G1の下端面G11は、小型回転ツールFと同様に、凹面状に成形されている。撹拌ピンG2は、ショルダ部G1の下端面G11の中央から垂下しており、本実施形態では、先細りの円錐台状に成形されている。また、撹拌ピンG2の周面には、螺旋状に刻設された撹拌翼が形成されている。
以下、本実施形態に係る接合方法を詳細に説明する。本実施形態に係る接合方法は、中空部材10と第一蓋20及び第二蓋21とを摩擦攪拌して密閉構造体30a,30bを形成する(1)蓋接合工程と、密閉構造体30a,30bを突き合わせて形成された本突合部J1に対して摩擦攪拌を行って構造体1を形成する(2)密閉構造体本接合工程と、を含んでいる。
(1)蓋接合工程は、中空部材10と第一蓋20とを突き合わせる(1-1)準備工程と、表面側から仮接合を行う(1-2)第一予備工程と、表面側から本接合を行う(1-3)第一蓋接合工程と、裏面側から仮接合を行う(1-4)第二予備工程と、裏面側から本接合を行う(1-5)第二蓋接合工程と、一方の側面側から仮接合を行う(1-6)第三予備工程と、一方の側面側から本接合を行う(1-7)第三蓋接合工程と、他方の側面側から仮接合を行う(1-8)第四予備工程と、一方の側面側から本接合を行う(1-9)第四蓋接合工程と、を含むものである。
一方、(2)密閉構造体本接合工程は、密閉構造体30aと密閉構造体30bとを突き合せる(2-1)突合工程と、表面側から仮接合を行う(2-2)第五予備工程と、表面側から本接合を行う(2-3)第一本接合工程と、裏面側から仮接合を行う(2-4)第六予備工程と、裏面側から本接合を行う(2-5)第二本接合工程と、一方の側面側から仮接合を行う(2-6)第七予備工程と、一方の側面側から本接合を行う(2-7)第三本接合工程と、他方の側面側から仮接合を行なう(2-8)第八予備工程と、他方の側面側から本接合を行う(2-9)第四本接合工程と、を含むものである。
まず、(1)蓋接合工程について詳細に説明する。蓋接合工程は、中空部材10の両端に前記した(1-1)〜(1-9)の工程をそれぞれ行うものであるため、主として第一蓋20側についての工程を説明し、第二蓋21側については詳細な説明を省略する。
(1-1)準備工程
準備工程では、中空部材10の一端側と、第一蓋20とを突き合わせる。即ち、本実施形態においては、図2に示すように、中空部材10の端部に開口する開口部に第一蓋20の凸部20bを嵌め合わせる。中空部材10の板厚と、基板20aの縁部から凸部20bまでの距離は、本実施形態においては、h1=h2で形成されている。そのため、図2の(b)に示すように、中空部材10に第一蓋20を挿入すると、中空部材10の内周面と凸部20bの側面20cとが当接する。これにより、中空部材10と第一蓋20とをガタつくことなく嵌め合わせることができる。中空部材10と第一蓋20とが突き合わされた部分には第一蓋突合部J20が形成される。
(1-1)準備工程
準備工程では、中空部材10の一端側と、第一蓋20とを突き合わせる。即ち、本実施形態においては、図2に示すように、中空部材10の端部に開口する開口部に第一蓋20の凸部20bを嵌め合わせる。中空部材10の板厚と、基板20aの縁部から凸部20bまでの距離は、本実施形態においては、h1=h2で形成されている。そのため、図2の(b)に示すように、中空部材10に第一蓋20を挿入すると、中空部材10の内周面と凸部20bの側面20cとが当接する。これにより、中空部材10と第一蓋20とをガタつくことなく嵌め合わせることができる。中空部材10と第一蓋20とが突き合わされた部分には第一蓋突合部J20が形成される。
ここで、中空部材10及び第一蓋20及び第二蓋21が突き合わされた状態のものを被接合金属部材Nともいう。中空部材10の表面及び裏面は、第一蓋20及び第二蓋21の表面及び裏面と面一に形成されている。また、中空部材10の一方の側面及び他方の側面は、第一蓋20及び第二蓋21の一方の側面及び他方の側面と面一に形成されている。また、被接合金属部材Nの表面を表面A、裏面を裏面B、一方の側面を第一側面C及び他方の側面を第二側面Dともいう。
(1-2)第一予備工程
第一予備工程では、被接合金属部材Nの表面Aから小型回転ツールFを用いて第一蓋突合部J20に対して仮接合を行う。本実施形態に係る第一予備工程は、被接合金属部材Nの両側面に沿ってタブ材を配置するタブ材配置工程と、第一蓋突合部J20に対して摩擦攪拌を行う第一仮接合工程と、後記する第一蓋接合工程の摩擦攪拌の開始位置に下穴を形成する下穴形成工程とを含む。
(1-2)第一予備工程
第一予備工程では、被接合金属部材Nの表面Aから小型回転ツールFを用いて第一蓋突合部J20に対して仮接合を行う。本実施形態に係る第一予備工程は、被接合金属部材Nの両側面に沿ってタブ材を配置するタブ材配置工程と、第一蓋突合部J20に対して摩擦攪拌を行う第一仮接合工程と、後記する第一蓋接合工程の摩擦攪拌の開始位置に下穴を形成する下穴形成工程とを含む。
タブ材配置工程では、摩擦攪拌の開始位置及び終了位置を設定する一対のタブ材を配置する。第一タブ材2および第二タブ材3は、図4に示すように、被接合金属部材Nの第一蓋突合部J20及びを挟むように配置されるものであって、それぞれ被接合金属部材Nに添設され、第一側面C及び第二側面Dに現れる中空部材10と第一蓋20との継ぎ目(境界線)を覆い隠す。第一タブ材2及び第二タブ材3の材質に特に制限はないが、本実施形態では、被接合金属部材Nと同一組成の金属材料で形成している。また、第一タブ材2及び第二タブ材3の形状・寸法にも特に制限はないが、本実施形態では、その厚さ寸法を第一蓋突合部J20における被接合金属部材Nの厚さ寸法と同一にしている。
また、図4に示すように、被接合金属部材Nと第一タブ材2の両側面とを溶接して被接合金属部材Nと第一タブ材2とを仮接合する。同様、被接合金属部材Nと第二タブ材3の両側面とを溶接して被接合金属部材Nと第二タブ材3とを仮接合する。これにより、第一仮接合工程を行う際の目開きを防止することができる。
第一仮接合工程は、第一蓋接合工程に先立って行われる工程であり、図5に示すように本実施形態では、表面A側において、被接合金属部材Nと第一タブ材2との突合部J2を接合する第一タブ材仮接合工程と、被接合金属部材Nの第一蓋突合部J20を仮接合する仮接合工程と、被接合金属部材Nと第二タブ材3との突合部J3を接合する第二タブ材仮接合工程と、を含んでいる。
第一仮接合工程では、図4に示すように、一の小型回転ツールFを一筆書きの移動軌跡(ビード)を形成するように移動させて、突合部J2,J20,J3に対して連続して摩擦撹拌を行う。即ち、摩擦撹拌の開始位置SP1に挿入した小型回転ツールFの撹拌ピンF2(図3の(a)参照)を途中で離脱させることなく終了位置EP1まで移動させる。なお、本実施形態では、第一タブ材2に摩擦撹拌の開始位置SP1を設け、第二タブ材3に終了位置EP1を設けているが、開始位置SP1と終了位置EP1の位置を限定する趣旨ではない。また、本実施形態では、小型回転ツールF及び大型回転ツールGの回転方向は、全て右回転で行うものとする。このように、小型回転ツールF及び大型回転ツールGの回転方向を統一することで、作業手間を省略することができる。
本実施形態の第一仮接合工程における摩擦撹拌の手順を図4及び図5を参照してより詳細に説明する。
まず、被接合金属部材Nを図示しない摩擦撹拌装置の架台に固定する。そして、第一タブ材2の適所に設けた開始位置SP1の直上に小型回転ツールFを位置させ、続いて、小型回転ツールFを右回転させつつ下降させて撹拌ピンF2を開始位置SP1に押し付ける。小型回転ツールFの回転速度は、撹拌ピンF2の寸法・形状、摩擦撹拌される被接合金属部材N等の材質や肉厚等に応じて設定されるものであるが、多くの場合、500〜2000(rpm)の範囲内において設定される。
まず、被接合金属部材Nを図示しない摩擦撹拌装置の架台に固定する。そして、第一タブ材2の適所に設けた開始位置SP1の直上に小型回転ツールFを位置させ、続いて、小型回転ツールFを右回転させつつ下降させて撹拌ピンF2を開始位置SP1に押し付ける。小型回転ツールFの回転速度は、撹拌ピンF2の寸法・形状、摩擦撹拌される被接合金属部材N等の材質や肉厚等に応じて設定されるものであるが、多くの場合、500〜2000(rpm)の範囲内において設定される。
撹拌ピンF2の全体が第一タブ材2に入り込み、かつ、ショルダ部F1の下端面F11の全面が第一タブ材2の表面に接触したら、図5に示すように、小型回転ツールFを回転させつつ第一タブ材仮接合工程の始点s2に向けて相対移動させる。
小型回転ツールFを移動させる際には、ショルダ部F1の軸線を鉛直線に対して進行方向の後ろ側へ僅かに傾斜させてもよいが、傾斜させずに鉛直にすると、小型回転ツールFの方向転換が容易となり、複雑な動きが可能となる。小型回転ツールFを移動させると、その撹拌ピンF2の周囲にある金属が順次塑性流動化するとともに、撹拌ピンF2から離れた位置では、塑性流動化していた金属が再び硬化する。
小型回転ツールFを相対移動させて第一タブ材仮接合工程の始点s2まで連続して摩擦撹拌を行ったら、始点s2で小型回転ツールFを離脱させずにそのまま第一タブ材仮接合工程に移行する。
第一タブ材仮接合工程では、第一タブ材2と被接合金属部材Nとの突合部J2に対して摩擦撹拌を行う。具体的には、被接合金属部材Nと第一タブ材2の継ぎ目(境界線)上に摩擦撹拌のルートを設定し、当該ルートに沿って小型回転ツールFを相対移動させることで、突合部J2に対して摩擦撹拌を行う。なお、本実施形態では、小型回転ツールFを途中で離脱させることなく第一タブ材仮接合工程の始点s2から終点e2まで連続して摩擦撹拌を行う。
なお、小型回転ツールFを右回転させた場合には、小型回転ツールFの進行方向の左側に微細な空洞欠陥が発生する虞があるので、小型回転ツールFの進行方向の右側に被接合金属部材Nが位置するように第一タブ材仮接合工程の始点s2と終点e2の位置を設定することが望ましい。このようにすると、被接合金属部材N側に空洞欠陥が発生し難くなるので、高品質の接合体を得ることが可能となる。
ちなみに、小型回転ツールFを左回転させた場合には、小型回転ツールFの進行方向の右側に微細な空洞欠陥が発生する虞があるので、小型回転ツールFの進行方向の左側に被接合金属部材Nが位置するように第一タブ材仮接合工程の始点と終点の位置を設定することが望ましい。具体的には、図示は省略するが、小型回転ツールFを右回転させた場合の終点e2の位置に始点を設け、小型回転ツールFを右回転させた場合の始点s2の位置に終点を設ければよい。
なお、小型回転ツールFの撹拌ピンF2が突合部J2に入り込むと、被接合金属部材Nと第一タブ材2を引き離そうとする力が作用するが、被接合金属部材Nと第一タブ材2を溶接により仮接合しているので、被接合金属部材Nと第一タブ材2との間に目開きが発生することがない。
小型回転ツールFが第二タブ材仮接合工程の終点e2に達したら、終点e2で摩擦撹拌を終了させずに仮接合工程の始点s1まで連続して摩擦撹拌を行い、そのまま仮接合工程に移行する。即ち、第一タブ材仮接合工程の終点e2から仮接合工程の始点s1まで小型回転ツールFを離脱させずに摩擦撹拌を継続し、さらに、始点s1で小型回転ツールFを離脱させることなく仮接合工程に移行する。このようにすると、第一タブ材仮接合工程の終点e2での小型回転ツールFの離脱作業が不要となり、さらに、仮接合工程の始点s1での小型回転ツールFの挿入作業が不要となることから、予備的な接合作業の効率化・迅速化を図ることが可能となる。
仮接合工程では、被接合金属部材Nの第一蓋突合部J20(図5参照)に対して摩擦撹拌を行う。具体的には、被接合金属部材Nの継ぎ目(境界線)上に摩擦撹拌のルートを設定し、当該ルートに沿って小型回転ツールFを相対移動させることで、第一蓋突合部J20の全長に亘って連続して摩擦撹拌を行う。なお、本実施形態では、小型回転ツールFを途中で離脱させることなく仮接合工程の始点s1から終点e1まで連続して摩擦撹拌を行う。
小型回転ツールFが仮接合工程の終点e1に達したら、終点e1で摩擦撹拌を終了させずに第二タブ材仮接合工程の始点s3まで連続して摩擦撹拌を行い、そのまま第二タブ材仮接合工程に移行する。即ち、仮接合工程の終点e1から第二タブ材仮接合工程の始点s3まで小型回転ツールFを離脱させずに摩擦撹拌を継続し、さらに、始点s3で小型回転ツールFを離脱させることなく第二タブ材仮接合工程に移行する。
本実施形態では、仮接合工程の終点e1から第二タブ材仮接合工程の始点s3に至る摩擦撹拌のルートを第二タブ材3に設定し、小型回転ツールFを仮接合工程の終点e1から第二タブ材仮接合工程の始点s3に移動させる際の移動軌跡を第二タブ材3に形成する。このようにすると、仮接合工程の終点e1から第二タブ材仮接合工程の始点s3に至る工程中において、被接合金属部材Nに空洞欠陥が発生し難くなるので、高品質の接合体を得ることが可能となる。
第二タブ材仮接合工程では、被接合金属部材Nと第二タブ材3との突合部J3に対して摩擦撹拌を行う。具体的には、被接合金属部材Nと第二タブ材3の継ぎ目(境界線)上に摩擦撹拌のルートを設定し、当該ルートに沿って小型回転ツールFを相対移動させることで、突合部J3に対して摩擦撹拌を行う。なお、本実施形態では、小型回転ツールFを途中で離脱させることなく第二タブ材仮接合工程の始点s3から終点e3まで連続して摩擦撹拌を行う。
なお、小型回転ツールFを右回転させているので、小型回転ツールFの進行方向の右側に被接合金属部材Nが位置するように第二タブ材仮接合工程の始点s3と終点e3の位置を設定する。
また、小型回転ツールFの撹拌ピンF2が突合部J3に入り込むと、被接合金属部材Nと第二タブ材3を引き離そうとする力が作用するが、被接合金属部材Nと第二タブ材3を溶接により仮接合しているので、被接合金属部材Nと第二タブ材3との間に目開きが発生することがない。
小型回転ツールFが第二タブ材仮接合工程の終点e3に達したら、終点e3で摩擦撹拌を終了させずに、第二タブ材3に設けた終了位置EP1まで連続して摩擦撹拌を行う。なお、本実施形態では、被接合金属部材Nの表面A側に現れる継ぎ目(境界線)の延長線上に終了位置EP1を設けている。ちなみに、終了位置EP1は、後記する第一蓋接合工程における摩擦撹拌の開始位置SM1でもある。
小型回転ツールFが終了位置EP1に達したら、小型回転ツールFを回転させつつ上昇させて撹拌ピンF2を終了位置EP1から離脱させる。
以上、第一タブ材仮接合工程、仮接合工程及び第二タブ材仮接合工程について説明したが、各接合工程における軌跡はあくまで例示であって、他の形態であってもよい。また、第一タブ材仮接合工程及び第二タブ材仮接合工程を省略して、仮接合工程のみ行ってもよい。
下穴形成工程では、図3の(b)に示すように、第一蓋接合工程における摩擦撹拌の開始位置に下穴P1を形成する工程である。本実施形態に係る下穴形成工程においては、第二タブ材3の表面に設定されたSM1に下穴P1を形成する。
下穴P1は、大型回転ツールGの撹拌ピンG2の挿入抵抗(圧入抵抗)を低減する目的で設けられるものであり、本実施形態では、小型回転ツールFの撹拌ピンF2(図3の(a)参照)を離脱させたときに形成される抜き穴H1を図示せぬドリルなどで拡径することで形成される。抜き穴H1を利用すれば、下穴P1の形成工程を簡略化することが可能となるので、作業時間を短縮することが可能となる。下穴P1の形態に特に制限はないが、本実施形態では、円筒状としている。なお、本実施形態では、第二タブ材3に下穴P1を形成しているが、下穴P1の位置に特に制限はなく、第一タブ材2に形成してもよいし、突合部J2,J3に形成してもよいが、好適には、本実施形態の如く被接合金属部材Nの表面A側に現れる被接合金属部材Nの継ぎ目(境界線)の延長線上に形成することが望ましい。
(1-3)第一蓋接合工程
第一蓋接合工程は、被接合金属部材Nの表面A側における第一蓋突合部J20を本格的に接合する工程である。即ち、本実施形態に係る第一蓋接合工程では、大型回転ツールGを使用し、仮接合された状態の第一蓋突合部J20に対して被接合金属部材Nの表面A側から摩擦撹拌を行う。
(1-3)第一蓋接合工程
第一蓋接合工程は、被接合金属部材Nの表面A側における第一蓋突合部J20を本格的に接合する工程である。即ち、本実施形態に係る第一蓋接合工程では、大型回転ツールGを使用し、仮接合された状態の第一蓋突合部J20に対して被接合金属部材Nの表面A側から摩擦撹拌を行う。
第一蓋接合工程では、図6に示すように、開始位置SM1に形成した下穴P1(図示省略)に大型回転ツールGの撹拌ピンG2を挿入(圧入)し、挿入した撹拌ピンG2を途中で離脱させることなく終了位置EM1まで移動させる。即ち、第一蓋接合工程では、下穴P1から摩擦撹拌を開始し、終了位置EM1まで連続して摩擦撹拌を行う。
ここで、第一予備工程を終了した時点では、小型回転ツールFを備えた摩擦撹拌装置は、第二タブ材3の終了位置EP1の直上(図5参照)に位置しているため、第一蓋接合工程の開始位置をSM1にすると、大型回転ツールGを備えた摩擦撹拌装置(回転軸)を移動させることなく第一蓋接合工程を行うことができ、作業を省略できる。
なお、本実施形態では、第二タブ材3に摩擦撹拌の開始位置SM1を設け、第一タブ材2に終了位置EM1を設けているが、開始位置SM1と終了位置EM1の位置を限定する趣旨ではない。
なお、本実施形態では、第二タブ材3に摩擦撹拌の開始位置SM1を設け、第一タブ材2に終了位置EM1を設けているが、開始位置SM1と終了位置EM1の位置を限定する趣旨ではない。
図6を参照して第一蓋接合工程をより詳細に説明する。
まず、図6に示すように、開始位置SM1の直上に大型回転ツールGを位置させ、続いて、大型回転ツールGを右回転させつつ下降させて撹拌ピンG2の先端を下穴P1に挿入する。撹拌ピンG2を下穴P1に入り込ませると、撹拌ピンG2の周面(側面)が下穴P1の穴壁に当接し、穴壁から金属が塑性流動化する。このような状態になると、塑性流動化した金属を撹拌ピンG2の周面で押し退けながら、撹拌ピンG2が圧入されることになるので、圧入初期段階における圧入抵抗を低減することが可能となり、また、大型回転ツールGのショルダ部G1が第一タブ材2の表面に当接する前に撹拌ピンG2が下穴P1の穴壁に当接して摩擦熱が発生するので、塑性流動化するまでの時間を短縮することが可能となる。つまり、摩擦撹拌装置の負荷を低減することが可能となり、加えて、本接合工程に要する作業時間を短縮することが可能となる。
まず、図6に示すように、開始位置SM1の直上に大型回転ツールGを位置させ、続いて、大型回転ツールGを右回転させつつ下降させて撹拌ピンG2の先端を下穴P1に挿入する。撹拌ピンG2を下穴P1に入り込ませると、撹拌ピンG2の周面(側面)が下穴P1の穴壁に当接し、穴壁から金属が塑性流動化する。このような状態になると、塑性流動化した金属を撹拌ピンG2の周面で押し退けながら、撹拌ピンG2が圧入されることになるので、圧入初期段階における圧入抵抗を低減することが可能となり、また、大型回転ツールGのショルダ部G1が第一タブ材2の表面に当接する前に撹拌ピンG2が下穴P1の穴壁に当接して摩擦熱が発生するので、塑性流動化するまでの時間を短縮することが可能となる。つまり、摩擦撹拌装置の負荷を低減することが可能となり、加えて、本接合工程に要する作業時間を短縮することが可能となる。
撹拌ピンG2の全体が第一タブ材2に入り込み、かつ、ショルダ部G1の下端面G11の全面が第一タブ材2の表面に接触したら、図6に示すように、摩擦撹拌を行いながら被接合金属部材Nの第一蓋突合部J20の一端に向けて大型回転ツールGを相対移動させ、さらに、突合部J3を横切らせて第一蓋突合部J20に突入させる。大型回転ツールGを移動させると、その撹拌ピンG2の周囲にある金属が順次塑性流動化するとともに、撹拌ピンG2から離れた位置では、塑性流動化していた金属が再び硬化して塑性化領域W1が形成される。
大型回転ツールGの移動速度(送り速度)は、撹拌ピンG2の寸法・形状、摩擦撹拌される被接合金属部材N等の材質や肉厚等に応じて設定されるものであるが、多くの場合、30〜300(mm/分)の範囲内において設定される。
被接合金属部材Nへの入熱量が過大になる虞がある場合には、大型回転ツールGの周囲に表面A側から水を供給するなどして冷却することが望ましい。なお、中空部材10と第一蓋20間に冷却水が入り込むと、接合面に酸化皮膜を発生させる虞があるが、本実施形態においては、仮接合工程を実行して目地を閉塞しているので、接合部に冷却水が入り込み難く、接合部の品質を劣化させる虞がない。
被接合金属部材Nの第一蓋突合部J20では、被接合金属部材Nの継ぎ目上(仮接合工程における移動軌跡上)に摩擦撹拌のルートを設定し、当該ルートに沿って大型回転ツールGを相対移動させることで、第一蓋突合部J20の一端から他端まで連続して摩擦撹拌を行う。第一蓋突合部J20の他端まで大型回転ツールGを相対移動させたら、摩擦撹拌を行いながら突合部J2を横切らせ、そのまま終了位置EM1に向けて相対移動させる。
なお、本実施形態では、被接合金属部材Nの表面A側に現れる被接合金属部材Nの継ぎ目(境界線)の延長線上に摩擦撹拌の開始位置SM1を設定しているので、第一蓋接合工程における摩擦撹拌のルートが一直線にすることができる。摩擦撹拌のルートを一直線にすると、大型回転ツールGの移動距離を最小限に抑えることができるので、第一蓋接合工程を効率よく行うことが可能となり、さらには、大型回転ツールGの磨耗量を低減することが可能となる。
大型回転ツールGが終了位置EM1に達したら、大型回転ツールGを回転させつつ上昇させて撹拌ピンG2を終了位置EM1から離脱させる。
なお、本実施形態においては、第一蓋接合工程の前に、第一予備工程を行ったが、第一予備工程を省略して、第一準備工程の直後に第一蓋接合工程を行ってもよい。
なお、本実施形態においては、第一蓋接合工程の前に、第一予備工程を行ったが、第一予備工程を省略して、第一準備工程の直後に第一蓋接合工程を行ってもよい。
(1-4)第二予備工程
第二予備工程では、被接合金属部材Nの裏面Bから小型回転ツールFを用いて第一蓋突合部J20に対して仮接合を行う。第二予備工程は、第一蓋突合部J20に対して裏面B側から摩擦攪拌を行う第二仮接合工程と、後記する第二蓋接合工程の摩擦攪拌の開始位置に下穴を形成する下穴形成工程とを含む。第二予備工程は、被接合金属部材Nの裏面Bから各工程を行うことを除いては、第一予備工程と略同等であるため、詳細な説明は省略する。
第二予備工程では、被接合金属部材Nの裏面Bから小型回転ツールFを用いて第一蓋突合部J20に対して仮接合を行う。第二予備工程は、第一蓋突合部J20に対して裏面B側から摩擦攪拌を行う第二仮接合工程と、後記する第二蓋接合工程の摩擦攪拌の開始位置に下穴を形成する下穴形成工程とを含む。第二予備工程は、被接合金属部材Nの裏面Bから各工程を行うことを除いては、第一予備工程と略同等であるため、詳細な説明は省略する。
(1-5)第二蓋接合工程
第二蓋接合工程は、図7に示すように、被接合金属部材Nの裏面Bにおける第一蓋突合部J20を本格的に接合する工程である。即ち、本実施形態に係る第二蓋接合工程では、大型回転ツールGを使用し、仮接合された状態の第一蓋突合部J20に対して被接合金属部材Nの裏面B側から摩擦攪拌を行う。
第二蓋接合工程は、図7に示すように、被接合金属部材Nの裏面Bにおける第一蓋突合部J20を本格的に接合する工程である。即ち、本実施形態に係る第二蓋接合工程では、大型回転ツールGを使用し、仮接合された状態の第一蓋突合部J20に対して被接合金属部材Nの裏面B側から摩擦攪拌を行う。
第二蓋接合工程では、図7に示すように、開始位置SM2に形成された下穴(図示省略)に大型回転ツールGを挿入し、挿入した撹拌ピンG2を途中で離脱させることなく終了位置EM2まで移動させる。第二蓋接合工程によって、被接合金属部材Nの裏面Bには、塑性化領域W2が形成される。第二蓋接合工程は、被接合金属部材Nの裏面B側から摩擦攪拌を行うことを除いては、第一蓋接合工程と略同等であるから、詳細な説明は省略する。第二蓋接合工程が終了したら、被接合金属部材Nからタブ材を切除する。
(1-6)第三予備工程
第三予備工程では、被接合金属部材Nの第一側面Cから小型回転ツールFを用いて第一蓋突合部J20に対して仮接合を行う。本実施形態に係る第三予備工程は、被接合金属部材Nの表面A及び裏面Bに沿ってタブ材を配置するタブ材配置工程と、第一蓋突合部J20に対して摩擦攪拌を行う第三仮接合工程と、後記する第三蓋接合工程の摩擦攪拌の開始位置に下穴を形成する下穴形成工程とを含む。
第三予備工程では、被接合金属部材Nの第一側面Cから小型回転ツールFを用いて第一蓋突合部J20に対して仮接合を行う。本実施形態に係る第三予備工程は、被接合金属部材Nの表面A及び裏面Bに沿ってタブ材を配置するタブ材配置工程と、第一蓋突合部J20に対して摩擦攪拌を行う第三仮接合工程と、後記する第三蓋接合工程の摩擦攪拌の開始位置に下穴を形成する下穴形成工程とを含む。
タブ材配置工程では、摩擦攪拌の開始位置及び終了位置を設定する一対のタブ材を配置する。図8に示すように、第一タブ材4及び第二タブ材5は、被接合金属部材Nの第一蓋突合部J20及びを挟むように配置されるものであって、それぞれ被接合金属部材Nに添設され、表面A及び裏面Bに現れる塑性化領域W1,W2を覆い隠す。第一タブ材4及び第二タブ材5の材質に特に制限はないが、本実施形態では、被接合金属部材Nと同一組成の金属材料で形成している。また、第一タブ材4及び第二タブ材5の形状・寸法にも特に制限はないが、本実施形態では、その厚さ寸法を第一蓋突合部J20における被接合金属部材Nの厚さ寸法と同一にしている。
また、図8に示すように、被接合金属部材Nと第一タブ材4の両側面とを溶接して被接合金属部材Nと第一タブ材4とを仮接合する。同様に、被接合金属部材Nと第二タブ材5の両側面とを溶接して被接合金属部材Nと第二タブ材5とを仮接合する。
第三仮接合工程は、第三蓋接合工程に先立って行われる工程であり、図8に示すように本実施形態では、第一側面C側において、被接合金属部材Nと第一タブ材4との突合部J4を接合する第一タブ材仮接合工程と、被接合金属部材Nの第一蓋突合部J20を仮接合する仮接合工程と、被接合金属部材Nと第二タブ材5との突合部J5を接合する第二タブ材仮接合工程と、を含んでいる。
第三仮接合工程では、図8に示すように、一の小型回転ツールFを一筆書きの移動軌跡(ビード)を形成するように移動させて、突合部J4,J20,J5に対して連続して摩擦撹拌を行う。即ち、摩擦撹拌の開始位置SP3に挿入した小型回転ツールFの撹拌ピンF2(図3の(a)参照)を途中で離脱させることなく終了位置EP3まで移動させる。なお、本実施形態では、第一タブ材4に摩擦撹拌の開始位置SP3を設け、第二タブ材5に終了位置EP3を設けているが、開始位置SP3と終了位置EP3の位置を限定する趣旨ではない。第三仮接合工程は、第一側面Cにおいて仮接合を行うことを除いては、第一仮接合工程と略同等であるため、詳細な説明は省略する。
下穴形成工程では、第三蓋接合工程における摩擦撹拌の開始位置に下穴を形成する工程である。本実施形態に係る下穴形成工程においては、第二タブ材5の表面に設定されたSM3に下穴(図示省略)を形成する。下穴形成工程は、前記した第一予備工程に係る下穴形成工程と略同等であるため、詳細な説明は省略する。
(1-7)第三蓋接合工程
第三蓋接合工程は、被接合金属部材Nの第一側面Cにおける第一蓋突合部J20を本格的に接合する工程である。即ち、本実施形態に係る第三蓋接合工程では、大型回転ツールGを使用し、仮接合された状態の第一蓋突合部J20に対して被接合金属部材Nの第一側面C側から摩擦撹拌を行う。
第三蓋接合工程は、被接合金属部材Nの第一側面Cにおける第一蓋突合部J20を本格的に接合する工程である。即ち、本実施形態に係る第三蓋接合工程では、大型回転ツールGを使用し、仮接合された状態の第一蓋突合部J20に対して被接合金属部材Nの第一側面C側から摩擦撹拌を行う。
第三蓋接合工程では、図9に示すように、開始位置SM3に形成した下穴(図示省略)に大型回転ツールGの撹拌ピンG2を挿入(圧入)し、挿入した撹拌ピンG2を途中で離脱させることなく終了位置EM3まで移動させる。即ち、第三蓋接合工程では、下穴から摩擦撹拌を開始し、終了位置EM3まで連続して摩擦撹拌を行う。第三蓋接合工程によって、第一側面Cには、塑性化領域W3が形成される。
ここで、第三予備工程を終了した時点では、小型回転ツールFを備えた摩擦撹拌装置は、第二タブ材5の終了位置EP3の直上(図8参照)に位置しているため、第三蓋接合工程の開始位置SM3を第二タブ材5に設定すると、大型回転ツールGを備えた摩擦撹拌装置を移動させることなく第三蓋接合工程を行うことができ、作業を省略できる。
なお、本実施形態では、第二タブ材5に摩擦撹拌の開始位置SM3を設け、第一タブ材4に終了位置EM3を設けているが、開始位置SM3と終了位置EM3の位置を限定する趣旨ではない。なお、第三蓋接合工程は、第一側面Cに摩擦攪拌を行うことを除いては、第一蓋接合工程と略同等であるため、詳細な説明は省略する。
なお、本実施形態では、第二タブ材5に摩擦撹拌の開始位置SM3を設け、第一タブ材4に終了位置EM3を設けているが、開始位置SM3と終了位置EM3の位置を限定する趣旨ではない。なお、第三蓋接合工程は、第一側面Cに摩擦攪拌を行うことを除いては、第一蓋接合工程と略同等であるため、詳細な説明は省略する。
(1-8)第四予備工程
第四予備工程では、被接合金属部材Nの第二側面Dから小型回転ツールFを用いて第一蓋突合部J20に対して仮接合を行う。第二予備工程は、第一蓋突合部J20に対して摩擦攪拌を行う第四仮接合工程と、第四蓋接合工程の摩擦攪拌の開始位置に下穴を形成する下穴形成工程とを含む。第四予備工程は、被接合金属部材Nの第二側面Dから各工程を行うことを除いては、第一予備工程と略同等であるため、詳細な説明は省略する。
第四予備工程では、被接合金属部材Nの第二側面Dから小型回転ツールFを用いて第一蓋突合部J20に対して仮接合を行う。第二予備工程は、第一蓋突合部J20に対して摩擦攪拌を行う第四仮接合工程と、第四蓋接合工程の摩擦攪拌の開始位置に下穴を形成する下穴形成工程とを含む。第四予備工程は、被接合金属部材Nの第二側面Dから各工程を行うことを除いては、第一予備工程と略同等であるため、詳細な説明は省略する。
(1-9)第四蓋接合工程
第四蓋接合工程では、図10に示すように、被接合金属部材Nの第二側面Dにおける第一蓋突合部J20を本格的に接合する工程である。即ち、本実施形態に係る第四蓋接合工程では、大型回転ツールGを使用し、仮接合された状態の第一蓋突合部J20に対して被接合金属部材Nの第二側面D側から摩擦攪拌を行う。
第四蓋接合工程では、図10に示すように、被接合金属部材Nの第二側面Dにおける第一蓋突合部J20を本格的に接合する工程である。即ち、本実施形態に係る第四蓋接合工程では、大型回転ツールGを使用し、仮接合された状態の第一蓋突合部J20に対して被接合金属部材Nの第二側面D側から摩擦攪拌を行う。
第四蓋接合工程では、図10に示すように、開始位置SM4に形成された下穴(図示省略)に大型回転ツールGを挿入し、挿入した撹拌ピンG2を途中で離脱させることなく終了位置EM4まで移動させる。第四蓋接合工程によって、第二側面Dには、塑性化領域W4が形成される。第四蓋接合工程は、被接合金属部材Nの第二側面D側から摩擦攪拌を行うことを除いては、第一蓋接合工程と略同等であるから、詳細な説明は省略する。第四蓋接合工程が終了したら、被接合金属部材Nからタブ材を切除する。
以上説明したように、第三蓋接合工程によって形成された塑性化領域W3は、塑性化領域W1及び塑性化領域W2と重複するため、第一側面C側において、塑性化領域W1と塑性化領域W2の間の未接合部分(未塑性化領域)を密閉することができる。また、第四蓋接合工程によって形成された塑性化領域W4は、塑性化領域W1及び塑性化領域W2と重複するため、第二側面D側において、塑性化領域W1と塑性化領域W2の間の未接合部分(未塑性化領域)を密閉することができる。
また、塑性化領域W1及び塑性化領域W2にトンネル状の空洞欠陥が形成されたとしても、これらの空洞欠陥を確実に分断し、水密性及び気密性を高めることができる。
また、塑性化領域W1及び塑性化領域W2にトンネル状の空洞欠陥が形成されたとしても、これらの空洞欠陥を確実に分断し、水密性及び気密性を高めることができる。
以上説明した蓋接合工程を第二蓋21側にも行って、図11に示すように密閉構造体30aを形成する。第一蓋接合工程、第二蓋接合工程、第三蓋接合工程及び第四蓋接合工程においては、大型回転ツールGを右回転させて、大型回転ツールGの進行方向右側に中空部材10が位置するように設定したため、それぞれの塑性化領域の第一蓋20又は第二蓋21に空洞欠陥が形成される可能性が高い。したがって、中空部材10側の水密性及び気密性を高めることができる。
次に、(2)密閉構造体本接合工程について詳細に説明する。密閉構造体本接合工程は、蓋接合工程で形成された一対の密閉構造体の側面同士の突合部を摩擦攪拌によって接合する工程である。
(2-1)突合工程
突合工程では、図12に示すように、密閉構造体30aの側面と、密閉構造体30bの側面とを突き合わせて被接合金属部材nを形成する。即ち、突合工程では、密閉構造体30a,30b同士の表面及び裏面を面一に形成するとともに、第一蓋20,20及び第二蓋21,21同士をそれぞれ面一に形成し、直方体を呈する被接合金属部材nを形成する。被接合金属部材nにおいて、第一蓋20,20によって形成される面を第三側面Pとし、第二蓋21,21によって形成される面を第四側面Qとする。密閉構造体30aと密閉構造体30bとが突き合わされた面には本突合部J1が形成されている。
(2-1)突合工程
突合工程では、図12に示すように、密閉構造体30aの側面と、密閉構造体30bの側面とを突き合わせて被接合金属部材nを形成する。即ち、突合工程では、密閉構造体30a,30b同士の表面及び裏面を面一に形成するとともに、第一蓋20,20及び第二蓋21,21同士をそれぞれ面一に形成し、直方体を呈する被接合金属部材nを形成する。被接合金属部材nにおいて、第一蓋20,20によって形成される面を第三側面Pとし、第二蓋21,21によって形成される面を第四側面Qとする。密閉構造体30aと密閉構造体30bとが突き合わされた面には本突合部J1が形成されている。
(2-2)第五予備工程
第五予備工程では、被接合金属部材nの表面Aから本突合部J1に沿って小型回転ツールFを用いて仮接合を行う。本実施形態に係る第五予備工程は、被接合金属部材nの両側面に沿ってタブ材を配置するタブ材配置工程と、本突合部J1に対して摩擦攪拌を行う第五仮接合工程と、後記する第一本接合工程の摩擦攪拌の開始位置に下穴を形成する下穴形成工程とを含む。
第五予備工程では、被接合金属部材nの表面Aから本突合部J1に沿って小型回転ツールFを用いて仮接合を行う。本実施形態に係る第五予備工程は、被接合金属部材nの両側面に沿ってタブ材を配置するタブ材配置工程と、本突合部J1に対して摩擦攪拌を行う第五仮接合工程と、後記する第一本接合工程の摩擦攪拌の開始位置に下穴を形成する下穴形成工程とを含む。
タブ材配置工程では、摩擦攪拌の開始位置及び終了位置を設定する一対のタブ材を配置する。第一タブ材6および第二タブ材7は、図12に示すように、被接合金属部材nの本突合部J1を挟むように配置されるものであって、それぞれ被接合金属部材nに添設され、第三側面P及び第四側面Qに現れる継ぎ目(境界線)を覆い隠す。第一タブ材6及び第二タブ材7の材質に特に制限はないが、本実施形態では、被接合金属部材nと同一組成の金属材料で形成している。また、第一タブ材6及び第二タブ材7の形状・寸法にも特に制限はないが、本実施形態では、その厚さ寸法を本突合部J1における被接合金属部材nの厚さ寸法と同一にしている。
また、図12に示すように、被接合金属部材nと第一タブ材6の両側面とを溶接して被接合金属部材nと第一タブ材6とを仮接合する。同様に、被接合金属部材nと第二タブ材7の両側面とを溶接して被接合金属部材nと第二タブ材7とを仮接合する。即ち、タブ材と被接合金属部材nとで形成された入り隅部を溶接することで、後記する第一仮接合工程を行う際の目開きを防止することができる。
第五仮接合工程は、第一本接合工程に先立って行われる工程であり、図13に示すように本実施形態では、表面A側において、被接合金属部材nと第一タブ材6との突合部J6を接合する第一タブ材仮接合工程と、被接合金属部材nの本突合部J1を仮接合する仮接合工程と、被接合金属部材nと第二タブ材7との突合部J7を接合する第二タブ材仮接合工程と、を含んでいる。
第五仮接合工程では、図13に示すように、一の小型回転ツールFを一筆書きの移動軌跡(ビード)を形成するように移動させて、突合部J6、J1、J7に対して連続して摩擦撹拌を行う。即ち、摩擦撹拌の開始位置SP5に挿入した小型回転ツールFの撹拌ピンF2(図3の(a)参照)を途中で離脱させることなく終了位置EP5まで移動させる。なお、本実施形態では、第一タブ材6に摩擦撹拌の開始位置SP5を設け、第二タブ材7に終了位置EP5を設けているが、開始位置SP5と終了位置EP5の位置を限定する趣旨ではない。また、本実施形態では、小型回転ツールF及び大型回転ツールGの回転方向は、全て右回転で行うものとする。
なお、第五仮接合工程は、前記した第一仮接合工程と略同等であるため、詳細な説明は省略する。
なお、第五仮接合工程は、前記した第一仮接合工程と略同等であるため、詳細な説明は省略する。
下穴形成工程では、第一本接合工程における摩擦撹拌の開始位置に下穴を形成する工程である。本実施形態に係る下穴形成工程においては、第二タブ材7の表面に設定されたSM5に下穴(図示省略)を形成する。下穴形成工程は、前記した第一予備工程に係る下穴形成工程と略同等であるため、詳細な説明は省略する。
(2-3)第一本接合工程
第一本接合工程は、被接合金属部材nの表面A側における本突合部J1を本格的に接合する工程である。即ち、本実施形態に係る第一本接合工程では、大型回転ツールGを使用し、仮接合された状態の本突合部J1に対して被接合金属部材nの表面A側から摩擦攪拌を行う。
第一本接合工程は、被接合金属部材nの表面A側における本突合部J1を本格的に接合する工程である。即ち、本実施形態に係る第一本接合工程では、大型回転ツールGを使用し、仮接合された状態の本突合部J1に対して被接合金属部材nの表面A側から摩擦攪拌を行う。
第一本接合工程では、図14に示すように、開始位置SM5に形成した下穴(図示省略)に大型回転ツールGの撹拌ピンG2を挿入(圧入)し、挿入した撹拌ピンG2を途中で離脱させることなく終了位置EM5まで移動させる。即ち、第一本接合工程では、下穴から摩擦撹拌を開始し、終了位置EM5まで連続して摩擦撹拌を行う。第一本接合工程によって、被接合金属部材nの表面Aには表面側塑性化領域W5が形成される。
なお、本実施形態では、第二タブ材7に摩擦撹拌の開始位置SM5を設け、第一タブ材6に終了位置EM5を設けているが、開始位置SM5と終了位置EM5の位置を限定する趣旨ではない。第一本接合工程は、前記した第一蓋接合工程と略同等であるため、詳細な説明は省略する
なお、本実施形態では、第二タブ材7に摩擦撹拌の開始位置SM5を設け、第一タブ材6に終了位置EM5を設けているが、開始位置SM5と終了位置EM5の位置を限定する趣旨ではない。第一本接合工程は、前記した第一蓋接合工程と略同等であるため、詳細な説明は省略する
(2-4)第六予備工程
第六予備工程では、具体的な図示はしないが、被接合金属部材nの裏面Bから(図15参照)小型回転ツールFを用いて本突合部J1に沿って仮接合を行う。第六予備工程は、本突合部J1に対して摩擦攪拌を行う第六仮接合工程と、第二本接合工程の摩擦攪拌の開始位置に下穴を形成する下穴形成工程とを含む。第六予備工程は、被接合金属部材nの裏面B側から仮接合を行うことを除いては、第五予備工程と略同等であるため、詳細な説明は省略する。
第六予備工程では、具体的な図示はしないが、被接合金属部材nの裏面Bから(図15参照)小型回転ツールFを用いて本突合部J1に沿って仮接合を行う。第六予備工程は、本突合部J1に対して摩擦攪拌を行う第六仮接合工程と、第二本接合工程の摩擦攪拌の開始位置に下穴を形成する下穴形成工程とを含む。第六予備工程は、被接合金属部材nの裏面B側から仮接合を行うことを除いては、第五予備工程と略同等であるため、詳細な説明は省略する。
(2-5)第二本接合工程
第二本接合工程は、具体的な図示はしないが、被接合金属部材nの裏面Bにおける本突合部J1を本格的に接合する工程である。即ち、本実施形態に係る第二本接合工程では、大型回転ツールGを使用し、仮接合された状態の本突合部J1に対して被接合金属部材nの裏面B側から摩擦攪拌を行う。本実施形態では、第二本接合工程は、第四側面Q側から第三側面P側に向けて摩擦攪拌を行う。第二本接合工程によって、被接合金属部材nの裏面Bには裏面側塑性化領域W6が形成されている。第二本接合工程は、裏面B側から摩擦攪拌を行うことを除いては、第一本接合工程と略同等であるため、詳細な説明は省略する。第二本接合工程が終了したら、被接合金属部材nからタブ材を切除する。
第二本接合工程は、具体的な図示はしないが、被接合金属部材nの裏面Bにおける本突合部J1を本格的に接合する工程である。即ち、本実施形態に係る第二本接合工程では、大型回転ツールGを使用し、仮接合された状態の本突合部J1に対して被接合金属部材nの裏面B側から摩擦攪拌を行う。本実施形態では、第二本接合工程は、第四側面Q側から第三側面P側に向けて摩擦攪拌を行う。第二本接合工程によって、被接合金属部材nの裏面Bには裏面側塑性化領域W6が形成されている。第二本接合工程は、裏面B側から摩擦攪拌を行うことを除いては、第一本接合工程と略同等であるため、詳細な説明は省略する。第二本接合工程が終了したら、被接合金属部材nからタブ材を切除する。
ここで、図15は、第二本接合工程後の被接合金属部材nを示した斜視図である。第二本接合工程後の被接合金属部材nには、表面A及び裏面Bにおいて、本突合部J1に沿って表面側塑性化領域W5、裏面側塑性化領域W6が形成されている。
ここで、本実施形態においては、大型回転ツールGを右回転させて摩擦攪拌を行っているため、大型回転ツールGの進行方向左側にトンネル状の空洞欠陥R(以下、トンネル状空洞欠陥Rともいう)が形成される可能性がある。即ち、本実施形態では、表面側塑性化領域W5、裏面側塑性化領域W6のうち、密閉構造体30b側にトンネル状空洞欠陥Rが形成されている。また、被接合金属部材nの第三側面Pと第四側面Qには、表面側塑性化領域W5と裏面側塑性化領域W6の間に未塑性化領域が形成されている。
ここで、本実施形態においては、大型回転ツールGを右回転させて摩擦攪拌を行っているため、大型回転ツールGの進行方向左側にトンネル状の空洞欠陥R(以下、トンネル状空洞欠陥Rともいう)が形成される可能性がある。即ち、本実施形態では、表面側塑性化領域W5、裏面側塑性化領域W6のうち、密閉構造体30b側にトンネル状空洞欠陥Rが形成されている。また、被接合金属部材nの第三側面Pと第四側面Qには、表面側塑性化領域W5と裏面側塑性化領域W6の間に未塑性化領域が形成されている。
(2-6)第七予備工程
第七予備工程では、被接合金属部材nの第三側面Pから小型回転ツールFを用いて本突合部J1に対して仮接合を行う。本実施形態に係る第七予備工程は、被接合金属部材nの表面A及び裏面Bに沿ってタブ材を配置するタブ材配置工程と、本突合部J1に対して摩擦攪拌を行う第七仮接合工程と、後記する第三本接合工程の摩擦攪拌の開始位置に下穴を形成する下穴形成工程とを含む。
第七予備工程では、被接合金属部材nの第三側面Pから小型回転ツールFを用いて本突合部J1に対して仮接合を行う。本実施形態に係る第七予備工程は、被接合金属部材nの表面A及び裏面Bに沿ってタブ材を配置するタブ材配置工程と、本突合部J1に対して摩擦攪拌を行う第七仮接合工程と、後記する第三本接合工程の摩擦攪拌の開始位置に下穴を形成する下穴形成工程とを含む。
タブ材配置工程では、摩擦攪拌の開始位置及び終了位置を設定する一対のタブ材を配置する。図16に示すように、第一タブ材8及び第二タブ材9は、被接合金属部材nの本突合部J1を挟むように配置されるものであって、それぞれ被接合金属部材nに添設され、表面A及び裏面Bに現れる表面側塑性化領域W1、裏面側塑性化領域W2を覆い隠す。第一タブ材8及び第二タブ材9の材質に特に制限はないが、本実施形態では、被接合金属部材nと同一組成の金属材料で形成している。また、第一タブ材8及び第二タブ材9の形状・寸法にも特に制限はないが、本実施形態では、その厚さ寸法を本突合部J1における被接合金属部材nの厚さ寸法と同一にしている。
また、図16に示すように、被接合金属部材nと第一タブ材8の両側面とを溶接して被接合金属部材nと第一タブ材8とを仮接合する。同様に、被接合金属部材nと第二タブ材9の両側面とを溶接して被接合金属部材nと第二タブ材9とを仮接合する。即ち、タブ材と被接合金属部材nとで形成された入り隅部を溶接することで、後記する第一仮接合工程を行う際の目開きを防止することができる。
第七仮接合工程では、図16に示すように、一の小型回転ツールFを一筆書きの移動軌跡を形成するように移動させて、突合部J8,J1,J9に対して連続して摩擦攪拌を行う。即ち、摩擦撹拌の開始位置SP7に挿入した小型回転ツールFの撹拌ピンF2(図3の(a)参照)を途中で離脱させることなく終了位置EP7まで移動させる。なお、本実施形態では、第一タブ材8に摩擦撹拌の開始位置SP7を設け、第二タブ材9に終了位置EP7を設けているが、開始位置SP7と終了位置EP7の位置を限定する趣旨ではない。第七仮接合工程は、第三側面Pにおいて仮接合を行うことを除いては、第一仮接合工程と略同等であるため、詳細な説明は省略する。
下穴形成工程では、第三本接合工程における摩擦撹拌の開始位置に下穴を形成する工程である。本実施形態に係る下穴形成工程においては、第二タブ材7の表面に設定されたSM5に下穴(図示省略)を形成する。下穴形成工程は、前記した第一予備工程に係る下穴形成工程と略同等であるため、詳細な説明は省略する。
(2-7)第三本接合工程
第三本接合工程は、被接合金属部材nの第三側面Pにおける本突合部J1を本格的に接合する工程である。即ち、本実施形態に係る第三本接合工程では、大型回転ツールGを使用し、仮接合された状態の本突合部J1に対して被接合金属部材nの第三側面P側から摩擦攪拌を行う。
第三本接合工程は、被接合金属部材nの第三側面Pにおける本突合部J1を本格的に接合する工程である。即ち、本実施形態に係る第三本接合工程では、大型回転ツールGを使用し、仮接合された状態の本突合部J1に対して被接合金属部材nの第三側面P側から摩擦攪拌を行う。
第三本接合工程では、図17に示すように、開始位置SM7に形成した下穴(図示省略)に大型回転ツールGの撹拌ピンG2を挿入(圧入)し、挿入した撹拌ピンG2を途中で離脱させることなく終了位置EM7まで移動させる。即ち、第三本接合工程では、下穴から摩擦撹拌を開始し、終了位置EM7まで連続して摩擦撹拌を行う。
ここで、第七予備工程を終了した時点では、小型回転ツールFを備えた摩擦撹拌装置は、第二タブ材9の終了位置EP7の直上(図16参照)に位置しているため、第三本接合工程の開始位置SM7を第二タブ材9に設定すると、大型回転ツールGを備えた摩擦撹拌装置を移動させることなく第三本接合工程を行うことができ、作業を省略できる。なお、第三本接合工程は、第三側面Pに摩擦攪拌を行うことを除いては、前記した第三蓋接合工程と略同等であるため、詳細な説明は省略する。
第三本接合工程によって、第三側面Pの本突合部J1に沿って、第三側面側塑性化領域W7が形成される。第三側面側塑性化領域W7は、表面側塑性化領域W1及び裏面側塑性化領域W2と重複するため、表面側塑性化領域W1及び裏面側塑性化領域W2の間に現れる未塑性化領域を密閉することができ、水密性及び気密性を高めることができる。
ここで、本実施形態では、大型回転ツールGの回転方向は全て右回転に設定しているため、トンネル状空洞欠陥Rは第三側面側塑性化領域W3及び第四側面側塑性化領域W4の進行方向左側にできる可能性が高く、進行方向右側は比較的高密度の塑性化領域が形成される。このような摩擦撹拌接合の特性を利用して、本実施形態に係る第三本接合工程における開始位置を第二タブ材9(裏面B側)に設定することで、表面側塑性化領域W5及び裏面側塑性化領域W6に形成されたトンネル状空洞欠陥Rを確実に分断することができる。これにより、第三側面Pと第四側面Q間における水密性及び気密性がより高い被接合金属部材nを製造することができる。
(2-8)第八予備工程
第八予備工程では、具体的な図示はしないが、被接合金属部材nの第四側面Qから小型回転ツールFを用いて本突合部J1に対して仮接合を行う。第八予備工程は、本突合部J1に対して摩擦攪拌を行う第八仮接合工程と、後記する第四本接合工程の摩擦攪拌の開始位置に下穴を形成する下穴形成工程とを含む。第八予備工程は、被接合金属部材nの第四側面Qから仮接合を行うことを除いては、第一予備工程と略同等であるため、詳細な説明は省略する。
第八予備工程では、具体的な図示はしないが、被接合金属部材nの第四側面Qから小型回転ツールFを用いて本突合部J1に対して仮接合を行う。第八予備工程は、本突合部J1に対して摩擦攪拌を行う第八仮接合工程と、後記する第四本接合工程の摩擦攪拌の開始位置に下穴を形成する下穴形成工程とを含む。第八予備工程は、被接合金属部材nの第四側面Qから仮接合を行うことを除いては、第一予備工程と略同等であるため、詳細な説明は省略する。
(2-9)第四本接合工程
第四本接合工程では、図18に示すように、被接合金属部材nの第四側面Qにおける本突合部J1を本格的に接合する工程である。即ち、本実施形態に係る第四本接合工程では、大型回転ツールGを使用し、仮接合された状態の本突合部J1に対して被接合金属部材nの第四側面Q側から摩擦攪拌を行う。
第四本接合工程では、図18に示すように、被接合金属部材nの第四側面Qにおける本突合部J1を本格的に接合する工程である。即ち、本実施形態に係る第四本接合工程では、大型回転ツールGを使用し、仮接合された状態の本突合部J1に対して被接合金属部材nの第四側面Q側から摩擦攪拌を行う。
第四本接合工程では、図18に示すように、開始位置SM8に形成された下穴(図示省略)に大型回転ツールGを挿入し、挿入した撹拌ピンG2を途中で離脱させることなく終了位置EM8まで移動させる。第四本接合工程によって、被接合金属部材nの第四側面Qには、第四側面側塑性化領域W8が形成される。第四側面側塑性化領域W8は、表面側塑性化領域W5及び裏面側塑性化領域W6と重複するため、水密性及び気密性を高めることができる。第四本接合工程は、被接合金属部材nの第四側面Q側から摩擦攪拌を行うことを除いては、第四蓋接合工程と略同等であるから、詳細な説明は省略する。第四本接合工程が終了したら、被接合金属部材nからタブ材を切除する。
第四本接合工程においては、開始位置を第一タブ材8(表面A側)に設定しているため、第四側面側塑性化領域W8の進行方向右側は比較的高密度の塑性化領域が形成される。したがって、被接合金属部材nの第四側面Qにおいて、表面側塑性化領域W5及び裏面側塑性化領域W6に形成されたトンネル状空洞欠陥Rを確実に分断することができる。これにより、第三側面Pと第四側面Q間における水密性及び気密性がより高い被接合金属部材nを製造することができる。
以上説明した本発明に係る接合方法によれば、図1に示すように、密閉構造体30aと密閉構造体30bとが摩擦攪拌接合された構造体1を製造することができる。構造体1は、構造体1の表面A、裏面B、第三側面P及び第四側面Qにそれぞれ形成された塑性化領域が重複されているため、本突合部J1を確実に密閉することができる。これにより、構造体1の水密性及び気密性を高めることができる。
また、蓋接合工程においては、大型回転ツールGを右回転させて進行方向右側に中空部材10が位置するように設定したため、摩擦攪拌を行う際に発生するトンネル状空洞欠陥が第一蓋20又は第二蓋21側に形成される可能性が高い。これにより、中空部材10の水密性及び気密性を高めることができる。
また、蓋接合工程においては、大型回転ツールGを右回転させて進行方向右側に中空部材10が位置するように設定したため、摩擦攪拌を行う際に発生するトンネル状空洞欠陥が第一蓋20又は第二蓋21側に形成される可能性が高い。これにより、中空部材10の水密性及び気密性を高めることができる。
本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記した実施形態に限定されずに、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、適宜変更が可能である。
前記したように本発明は、被接合金属部材n(密閉構造体30a及び密閉構造体30b)の外周4辺を摩擦撹拌により接合する際に、大型回転ツールGの回転方向及び進行方向のそれぞれを好適に設定することが好ましい。即ち、摩擦撹拌を行う際に、トンネル状空洞欠陥Rの発生する可能性の高い位置を勘案して大型回転ツールGの回転方向及び進行方向を設定するのが好ましい。前記した実施形態においては、大型回転ツールGを全て右回転させた場合について説明したが、これに限定されるものではなく、大型回転ツールGの回転方向及び進行方向によって様々な接合のバリエーションが考えられる。
例えば、第一実施形態においては、大型回転ツールGを右回転させた場合について説明したが、大型回転ツールGを左回転させてもよい。即ち、大型回転ツールGを左回転させて、前記した第一本接合工程及び第二本接合工程を行うと、進行方向右側にトンネル状空洞欠陥Rが形成される可能性が高い。したがって、このような場合には、図19に示すように、第三側面Pにおいて、表面側塑性化領域W5、裏面側塑性化領域W6の密閉構造体30a側にトンネル状空洞欠陥Rが形成される可能性が高い。
よって、大型回転ツールGを左回転させるとともに、第三本接合工程の開始位置を第二タブ材9(裏面B側)に設定すれば、大型回転ツールGの進行方向左側が比較的高密度に塑性化されるため、トンネル状空洞欠陥Rを確実に分断することができる。
よって、大型回転ツールGを左回転させるとともに、第三本接合工程の開始位置を第二タブ材9(裏面B側)に設定すれば、大型回転ツールGの進行方向左側が比較的高密度に塑性化されるため、トンネル状空洞欠陥Rを確実に分断することができる。
即ち、大型回転ツールGの回転方向が全て同方向の場合、第二本接合工程における摩擦撹拌の開始位置は、第一本接合工程における摩擦撹拌の終了位置側に設定するとともに、第三本接合工程における摩擦撹拌の開始位置は、第一本接合工程における摩擦撹拌の開始位置側及び第二本接合工程における摩擦撹拌の開始位置側のいずれか一方に設定し、第八の本接合工程における摩擦撹拌の開始位置は、第一本接合工程における摩擦撹拌の開始位置側及び第二本接合工程における摩擦撹拌の開始位置側のいずれか他方に設定すればよい。
また、第一本接合工程〜第四本接合工程の大型回転ツールGを左右の回転方向を組み合わせて設定してもよい。
即ち、具体的な図示はしないが、第一本接合工程において、大型回転ツールGを左回転させ、大型回転ツールGの進行方向右側に密閉構造体30aが位置するように設定し、一方、第二本接合工程において、大型回転ツールGを右回転させ、大型回転ツールGの進行方向左側に密閉構造体30aが位置するように設定した場合、第三本接合工程及び第八の本接合工程は、大型回転ツールGが右回転であれば、進行方向右側に密閉構造体30aが位置するように大型回転ツールGを設定し、大型回転ツールGが左回転であれば、進行方向左側に密閉構造体30aが位置するように大型回転ツールGの進行方向を設定すると、第三側面Pと第四側面Q側の気密性及び水密性をより高めることができる。
即ち、具体的な図示はしないが、第一本接合工程において、大型回転ツールGを左回転させ、大型回転ツールGの進行方向右側に密閉構造体30aが位置するように設定し、一方、第二本接合工程において、大型回転ツールGを右回転させ、大型回転ツールGの進行方向左側に密閉構造体30aが位置するように設定した場合、第三本接合工程及び第八の本接合工程は、大型回転ツールGが右回転であれば、進行方向右側に密閉構造体30aが位置するように大型回転ツールGを設定し、大型回転ツールGが左回転であれば、進行方向左側に密閉構造体30aが位置するように大型回転ツールGの進行方向を設定すると、第三側面Pと第四側面Q側の気密性及び水密性をより高めることができる。
また、具体的な図示はしないが、第一本接合工程において、大型回転ツールGを右回転させ、大型回転ツールGの進行方向右側に密閉構造体30aが位置するように設定し、一方、第二本接合工程において、大型回転ツールGを左回転させ、大型回転ツールGの進行方向左側に密閉構造体30aが位置するように設定した場合、第三本接合工程及び第四本接合工程は、大型回転ツールGが右回転であれば、進行方向左側に密閉構造体30aが位置するように大型回転ツールGの進行方向を設定し、大型回転ツールGが左回転であれば、進行方向右側に密閉構造体30aが位置するように大型回転ツールGの進行方向を設定すると、第三側面Pと第四側面Q側の気密性及び水密性をより高めることができる。
また、前記した蓋接合工程においては、大型回転ツールGを右回転させて摩擦攪拌を行ったが、左回転させてもよい。この場合は、進行方向左側に中空部材10が位置するように設定するとよい。これにより、中空部材10側の気密性及び水密性を高めることができる。
また、本実施形態においては、中空部材10の両端に蓋を被せたが、これに限定されるものではない。例えば、一端側のみ開放された中空部材(図20の中空部材101参照)の開口部に一の蓋を被せて密閉構造体を形成してもよい。
また、本実施形態においては、二個の密閉構造体から構造体を形成したが、二個以上の密閉構造体から構造体を形成してもよい。
また、本実施形態においては、二個の密閉構造体から構造体を形成したが、二個以上の密閉構造体から構造体を形成してもよい。
また、本実施形態の説明においては、前記したように摩擦攪拌のルートを設定したが、あくまで例示であって、他の軌跡であっても構わない。
1 構造体
10 中空部材
20 蓋
20b 凸部
21 蓋
A 表面
B 裏面
C 第一側面
D 第二側面
F 小型回転ツール
G 大型回転ツール
J1 本突合部
J20 蓋突合部
J21 蓋突合部
W 塑性化領域
SM 本接合工程の開始位置
EM 本接合工程の終了位置
10 中空部材
20 蓋
20b 凸部
21 蓋
A 表面
B 裏面
C 第一側面
D 第二側面
F 小型回転ツール
G 大型回転ツール
J1 本突合部
J20 蓋突合部
J21 蓋突合部
W 塑性化領域
SM 本接合工程の開始位置
EM 本接合工程の終了位置
Claims (6)
- 内部に中空部を有する一対の密閉構造体の側面同士を突き合わせる突合工程と、
前記突合工程で形成された本突合部に対して前記密閉構造体の表面側から摩擦攪拌を行う第一本接合工程と、
前記本突合部に対して前記密閉構造体の裏面側から摩擦攪拌を行う第二本接合工程と、
前記本突合部に対して前記密閉構造体の一方の側面側から摩擦攪拌を行う第三本接合工程と、
前記本突合部に対して前記密閉構造体の他方の側面側から摩擦攪拌を行う第四本接合工程と、を備えた密閉構造体本接合工程を含み、
前記第一本接合工程及び前記第二接合工程で形成された塑性化領域と、
前記第三本接合工程及び前記第四本接合工程で形成された塑性化領域とを重複させることを特徴とする接合方法。 - 前記密閉構造体本接合工程は、前記本突合部の全周に亘って摩擦攪拌を行うことを特徴とする請求項1に記載の接合方法。
- 前記密閉構造体本接工程の前に、
中空部材の端部に蓋を被せて、前記端部と前記蓋との蓋突合部に対して前記中空部材の表面側から摩擦攪拌を行う第一蓋接合工程と、
前記蓋突合部に対して前記中空部材の裏面側から摩擦攪拌を行う第二蓋接合工程と、
前記蓋突合部に対して前記中空部材の一方の側面側から摩擦攪拌を行う第三蓋接合工程と、
前記蓋突合部に対して前記中空部材の他方の側面側から摩擦攪拌を行う第四蓋接合工程と、を備えた蓋接合工程を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の接合方法。 - 前記蓋は、前記蓋の一方の面に凸設された凸部を備え、
前記蓋接合工程において、前記蓋と前記中空部材とを略垂直に突き合わせるとともに、前記凸部の側面と前記中空部材の内周面とが当接するようにして前記蓋突合部を形成することを特徴とする請求項3に記載の接合方法。 - 前記蓋接合工程において、
摩擦攪拌を行う回転ツールが右回転の場合、前記回転ツールの進行方向右側に前記中空部材を配置して、前記蓋突合部に対して摩擦攪拌を行うことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の接合方法。 - 前記蓋接合工程において、
摩擦攪拌を行う回転ツールが左回転の場合、前記回転ツールの進行方向左側に前記中空部材を配置して、前記蓋突合部に対して摩擦攪拌を行うことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の接合方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2008014939A JP2009172653A (ja) | 2008-01-25 | 2008-01-25 | 接合方法 |
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Publications (1)
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JP2009172653A true JP2009172653A (ja) | 2009-08-06 |
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JP2008014939A Pending JP2009172653A (ja) | 2008-01-25 | 2008-01-25 | 接合方法 |
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JP (1) | JP2009172653A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US9566661B2 (en) | 2011-08-19 | 2017-02-14 | Nippon Light Metal Company, Ltd. | Friction stir welding method |
-
2008
- 2008-01-25 JP JP2008014939A patent/JP2009172653A/ja active Pending
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US9566661B2 (en) | 2011-08-19 | 2017-02-14 | Nippon Light Metal Company, Ltd. | Friction stir welding method |
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