JP2009170133A - センサの生産方法および光電センサ - Google Patents

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Tetsuo Nagarego
哲男 流郷
Makoto Sugimoto
誠 杉本
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Abstract

【課題】センサの特性への悪影響を可及的に低減したセンサの生産方法および光電センサを提供する。
【解決手段】筐体本体3の開口10に、蓋体4を嵌め込み、蓋体4の外周側端面4aと筐体本体3の内周側端面3aとの突き合せ面を、レーザ溶接する光電センサの生産方法において、蓋体4の外周側端面4aに形成した位置決め用突起12a,12bによって、蓋体4を開口10に嵌め込む際に、蓋体4を、光学部品であるカバーレンズ7に近い一辺3−1寄りにスライド移動させ、前記一辺3−1に近接する溶接箇所である蓋体4の外周側端面と筐体本体3の内周側端面との隙間を小さくし、レーザ溶接に必要なパワーを小さくし、これによって、カバーレンズ7に与える熱の影響を抑制している。
【選択図】図2

Description

本発明は、光電センサ等のセンサの生産方法および光電センサに関する。
センサ、例えば、光電センサでは、一面に開口が形成された筐体本体としての金属製のケース本体と、前記開口を閉塞する蓋体としての金属製のカバーとからケースが構成され、前記開口から電子部品等をケース本体に収納した後、ケース本体の開口に、カバーを取り付けた状態で、ケース本体とカバーとをレーザ溶接して前記開口をカバーで閉塞するようにしたものがある。
かかる光電センサでは、ケース本体の開口の内周側の縁には、カバーを開口に嵌め込んで保持するための段部が、開口面よりも低く形成され、カバーを段部に嵌め込んで保持した状態で、カバーの外周側端面とケースの開口の内周側端面との突き合せ面に沿ってレーザ溶接される。
レーザ溶接部は、1500℃以上の高温となるが、ケース本体には、レーザ溶接部に近接して、ケース内あるいはケース外へ光を透過させるプラスチック製の光学部品が配置される場合がある。
ケースの段部に、カバーを嵌め込むには、カバーの外周側端面とケースの開口の内周側端面との間には、嵌め込みのための隙間が必要であって、寸法ばらつき(公差)によって、この隙間もばらつくことになる。
カバーの外周側端面とケースの開口の内周側端面との間の隙間が大きいと、レーザ溶接によって接合するのに必要なレーザのパワーが大きくなって、熱の影響を受ける部分が広くなり、レーザ溶接部の直近に位置する、耐熱温度が100℃以下のプラスチック製の光学部品が、光学的に歪むという課題がある。
また、前記隙間が大きいと、レーザビームが隙間を通ってケースの奥まで達して、熱の影響を受ける部分が広くなって、光学部品が光学的に歪むという課題もある。
かかる光学的な歪みが発生すると、光電センサの特性が悪化することになる。
このため、レーザ溶接する隙間を計測して、隙間が大きいときには、フィラーを用いて溶接条件を変更するという技術も開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平11−216584号
しかしながら、特許文献1では、隙間を計測して、隙間に応じて、溶接条件を変更しなければならないために、設備が高価になるとともに、フィラーを用いて溶接しても、光電センサの場合には、光学部品への熱の影響による光学的歪みの問題は、以前として解消されない。
また、接着剤を用いた封止技術もあるが、接着剤の硬化時間が長いという問題がある。
本発明は、上述のような点に鑑みて為されたものであって、筐体本体に蓋体を溶接してなるセンサにおいて、その特性への悪影響を可及的に低減したセンサの生産方法および光電センサを提供することを目的とする。
(1)本発明のセンサの生産方法は、開口を有する有底または筒型の筐体本体と、該筐体本体の開口を閉塞する蓋体とを備えるセンサの生産方法であって、前記筐体本体は、前記開口の周縁に、該開口が形成された面である開口面よりも低い段部を有し、前記筐体本体の前記段部に、前記蓋体を嵌め込んで、蓋体の外周側端面と前記筐体本体の内周側端面とを突き合せる第1の工程と、前記外周側端面と前記内周側端面との突き合せ面を溶接する第2の工程とを含み、前記蓋体の外周側端面および前記筐体本体の内周側端面の少なくとも一方の端面には、前記第1の工程において、前記蓋体を嵌め込んだときに、蓋体を、前記開口面に沿って移動させて位置決めする位置決め用突起が形成されている。
蓋体は、開口を有する有底の筐体本体の前記開口を閉塞するものであってもよいし、筒型の筐体本体の一端側の開口を閉塞するものであってもよい。
蓋体を、筐体本体の開口の周縁の段部に嵌め込むには、蓋体の外周側端面と筐体本体の開口の内周側端面との間には、嵌め込みのための隙間が必要であり、位置決め用突起によって、この隙間を利用して、蓋体を開口面に沿って移動させることができる。
蓋体の外周側端面と筐体本体の内周側端面との突き合わせ面の溶接は、該突き合わせ面に対してレーザビームを照射するレーザ溶接が好ましい。
位置決め用突起は、蓋体の外周側端面に形成してもよいし、前記外周側端面に突き合せられる筐体本体の内周側端面に形成してもよく、あるいは、両端面にそれぞれ形成してもよい。
位置決め用突起は、一つであってもよいし、複数であってもよい。
本発明のセンサの生産方法によると、蓋体を、筐体本体の開口の周縁の段部に嵌め込む際に、位置決め用突起によって、蓋体が開口面に沿って移動して位置決めされるので、センサの検出特性に悪影響を与えないような位置、例えば、光電センサの光学部品に、溶接による熱の影響が可及的に及ばない位置、あるいは、近接センサの検出体が、円筒型の筐体本体の偏心していない中央位置になるように位置決めして溶接するといったことが可能となる。
(2)本発明のセンサの生産方法の一つの実施形態では、前記筐体本体と前記蓋体とからなる筐体内には、投光部および受光部の少なくとも一方が収納されるとともに、前記筐体本体は、前記開口面側から見た外形が、多角形状であり、前記開口面に隣接し、かつ、前記多角形の一辺に連なる面側には、光学部品が配置され、前記第1の工程では、前記蓋体は、前記位置決め用突起によって、前記一辺側へ寄せられるように位置決めされる。
多角形状とは、完全な多角形に限らず、例えば、角部が丸みを帯びたような略多角形も含む。
開口面に隣接し、かつ、前記多角形の一辺に連なる面とは、多角形が、例えば、四角形であって、開口面が、例えば、正面であるとすると、正面に隣接する左右の側面、上面、下面の内、前記四角形のいずれかの一辺に連なる面、例えば、一方の側面である。
開口面に隣接し、かつ、前記多角形の一辺に連なる面側に光学部品が配置されるので、前記多角形の前記一辺は、前記多角形の他の辺に比べて光学部品に近い辺となる。
光学部品とは、光の透過、屈折又は反射の少なくともいずれかの光学的機能を発揮する部品をいう。
蓋体が、前記一辺側へ寄せられることによって、前記一辺に近接した溶接箇所である蓋体の外周側端面と筐体本体の内周側端面との隙間が小さくなる。
この実施形態によると、蓋体が、光学部品に近い辺である一辺側に寄せられるように位置決めされる結果、光学部品に近い溶接箇所では、蓋体の外周側端面と筐体本体の内周側端面との隙間が小さなものとなり、これによって、溶接に必要な熱エネルギーを少なくすることができ、溶接による熱が、光学部品に与える影響を抑制することができる。また、溶接による熱が影響する範囲が狭くなることから、光学部品を溶接部に近づけることができ、これによって、センサの小型化も可能となる。
(3)上記(2)の実施形態では、前記開口の形状および該開口を閉塞する前記蓋体の外形が、多角形状であり、前記位置決め用突起は、前記一辺に近接する辺以外の辺に連なる前記蓋体の外周側端面および前記筐体本体の内周側端面の少なくとも一方の端面に形成されている。
開口および該開口を閉塞する蓋体の多角形は、筐体本体の多角形に対応するのが好ましく、筐体本体の多角形の各辺に平行な辺を有するのが好ましい。
前記一辺に近接する辺とは、筐体本体の光学部品に近い前記一辺に近接する開口または蓋体の辺をいう。
多角形状の開口に、多角形状の蓋体が嵌め込まれて、蓋体の外周側端面と筐体本体の開口の内周側端面との突き合せ面が溶接されるので、開口および蓋体の多角形の各辺に沿って溶接されることになる。
したがって、前記一辺に近接する辺は、多角形の各辺の溶接箇所の内、光学部品に近い溶接箇所となる。
この実施形態によると、位置決め用突起は、光学部品に近い前記一辺の近接する辺以外の辺に連なる蓋体の外周側端面および筐体本体の内周側端面の少なくとも一方の端面に形成されているので、この位置決め用突起によって、蓋体を、光学部品に近い前記一辺側に移動させて、溶接箇所となる蓋体の外周側端面と筐体本体の内周側端面との隙間を小さくすることができる。
(4)上記(3)の実施形態では、前記近接する辺以外の辺が、前記近接する辺に対向する辺である。
この実施形態によると、位置決め用突起を、前記近接する辺に対向する辺側、すなわち、近接する辺とは反対の辺側に形成し、この反対の辺側の位置決め用突起によって、蓋体を、光学部品に近い前記一辺側に移動させて、溶接箇所となる蓋体の外周側端面と筐体本体の内周側端面との隙間を小さくすることができる。
(5)上記(3)の実施形態では、前記近接する辺以外の辺が、前記近接する辺に対向する辺および該対向する辺に隣接する二つ辺からなる、三つの辺であって、前記位置決め用突起が、前記三つの辺が成す両角部のいずれかの角部の前記蓋体の外周側端面または前記筐体本体の内周側端面に形成されている。
この実施形態によると、位置決め用突起を、前記近接する辺に対向する辺および該対向する辺に隣接する二つ辺からなる三つの辺が成す両角部のいずれかの角部に形成し、この位置決め用突起によって、蓋体を、光学部品に近い前記一辺側に移動させて、溶接箇所となる蓋体の外周側端面と筐体本体の内周側端面との隙間を小さくすることができる。
(6)上記(3)〜(5)の実施形態では、前記第2の工程における溶接が、レーザ溶接であって、前記多角形状の外形を有する前記蓋体の前記多角形の角部の溶接跡が交差するように延長してレーザ溶接するものである。
この実施形態によると、蓋体の外形に沿う多角形の溶接跡が、多角形の角部では、交差するように延長されてレーザ溶接されるので、角部の溶接が確実強固となる。
(7)本発明のセンサの生産方法の他の実施形態では、前記段部が、前記開口の周縁の全周に亘って形成されている。
この実施形態によると、段部が、開口の周縁の全周に亘って形成されているので、この段部に嵌め込まれた蓋体の外周側端面と筐体本体の内周側端面との突合せ面を溶接する際に、溶接による熱や酸化物が、筐体本体の内部に侵入するのを段部によって阻止することができる。
(8)本発明のセンサの生産方法の好ましい実施形態では、前記筐体本体および前記蓋体が金属製であり、前記光学部品がプラスチック製である。
この実施形態によると、金属製の筐体本体と蓋体との溶接による熱が、プラスチック製の光学部品に与える影響を抑制することができる。
(9)本発明の光電センサは、開口を有する有底の筐体本体と、該筐体本体の前記開口を閉塞する蓋体とを備え、前記筐体本体は、前記開口の周縁に、該開口が形成された面である開口面よりも低い段部を有し、前記筐体本体の前記段部に、嵌め込まれた前記蓋体の外周側端面と前記筐体本体の内周側端面との突き合せ面が溶接される光電センサであって、前記筐体本体は、前記開口面側から見た外形が、多角形状であり、前記開口面に隣接し、かつ、前記多角形の一辺に連なる面側には、光学部品が配置され、前記開口の形状および該開口を閉塞する前記蓋体の外形が、多角形状であって、該多角形の各辺に沿って前記突き合せ面が溶接され、溶接後の前記多角形の各辺の内、前記一辺に近接する辺の溶接後の窪みの深さは、残余の辺の内で最も窪みの深さが浅い辺の窪みの深さと同じかそれよりも浅く、前記残余の辺には、前記近接する辺の溶接後の窪みの深さよりも、溶接後の窪みの深さが深い辺が、存在している。
開口面に隣接し、かつ、多角形状の筐体本体の前記多角形の一辺に連なる面側に光学部品が配置されるので、前記多角形の前記一辺は、光学部品に近い辺となる。
前記一辺に近接する辺は、多角形状の開口および蓋体の多角形の各辺の内、光学部品に近い辺となる。
残余の辺とは、多角形の各辺に沿って前記突き合せ面が溶接された後の前記多角形の各辺の内、前記一辺に近接する辺以外の辺をいう。
多角形状の開口に、多角形状の蓋体が嵌め込まれて、蓋体の外周側端面と筐体本体の開口の内周側端面との突き合せ面が溶接されるので、溶接後の窪みの深さは、突き合せ面の隙間に応じたものとなり、隙間が大きいと、溶接後の窪みの深さが深くなり、隙間が小さいと、溶接後の窪みの深さが浅くなる。
前記一辺に近接する辺、すなわち、光学部品に近い辺は、溶接後の窪みの深さが、残余の辺の内で最も窪みの深さが浅い辺と同じかそれよりも浅い、すなわち、溶接後の窪み深さが最も浅いので、蓋体を、筐体本体の段部に嵌め込んだ際に、蓋体の外周側端面と筐体本体の内周側端面との隙間が最も小さな辺となり、少ない熱エネルギーで溶接できることになる。
本発明の光電センサによると、光学部品に近い辺である前記一辺に近接する辺は、溶接後の窪みの深さが浅く、蓋体を、筐体本体の段部に嵌め込んだ際に、蓋体の外周側端面と筐体本体の内周側端面との隙間が小さく、少ない熱エネルギーで溶接できるので、溶接による熱が、光学部品に与える影響を抑制することができる。
(10)本発明の光電センサの一つの実施形態では、前記溶接がレーザ溶接であり、前記深い辺が、前記近接する辺に対向する辺である。
この実施形態によると、蓋体の各辺の内、近接する辺に対向する辺側は、蓋体の外周側端面と筐体本体の内周側端面と隙間が大きく、溶接による熱の影響が大きいために、溶接後の窪みの深さが深いのに対して、光学部品に近い近接する辺側は、蓋体の外周側端面と筐体本体の内周側端面と隙間が小さく、溶接による熱の影響が少なく、溶接後の窪みの深さが浅くなっている。
(11)本発明の光電センサの他の実施形態では、前記多角形の各辺に沿う溶接跡が、前記多角形の各角部で交差するように延長されている。
この実施形態によると、蓋体の外形に沿う多角形の溶接跡が、多角形の角部では、交差するように延長されて溶接されるので、角部の溶接が確実強固となる。
(12)本発明の光電センサの更に他の実施形態では、前記段部が、前記開口の周縁の全周に亘って形成されている。
この実施形態によると、段部が、開口の周縁の全周に亘って形成されているので、この段部に嵌め込まれた蓋体の外周側端面に沿って溶接する際に、溶接による熱や酸化物が、筐体本体の内部に侵入するのを、段部によって阻止することができる。
本発明によれば、蓋体を、筐体本体の開口の周縁の段部に嵌め込む際に、位置決め用突起によって、蓋体が開口面に沿って移動して位置決めされるので、センサの検出特性に悪影響を与えないような位置、例えば、光電センサの光学部品に、溶接による熱の影響が可及的に及ばない位置、あるいは、近接センサの検出体が、円筒型の筐体本体の偏心していない中央位置に位置させて溶接するといったことが可能となる。
これによって、例えば、光電センサの光学部品が、溶接の際の熱によって光学的な歪を生じて、あるいは、近接センサの検出体が、筒型の筐体本体に偏心して取り付けられて、検出特性が悪化するのを防止することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施形態に係る光電センサ1の斜視図である。
この実施形態の光電センサ1は、投受光部を構成する電子部品や信号処理回路を構成する基板等が収納された筐体2を備えており、この筐体2は、金属製の筐体本体3と、この筐体本体3の開口を閉塞する金属製の板状の蓋体4とを備えている。
筐体本体3の上部には、動作表示灯5およびティーチングボタン6を備える操作部15が設けられる一方、右側面には、投受光用の開口を塞ぐように光学部品としてのカバーレンズ7が配設されている。また、筐体2の上下二箇所の角部には、当該光電センサ1を、取り付け金具等に取り付けるためのネジ孔8が形成されている。また、筐体2の下部には、ケーブル(図示せず)を接続するための円筒状のコネクタ部9が設けられている。
この実施形態では、筐体本体3は、例えば、ステンレスからなり、金属射出成型(MIM:Metal Injection Molding)によって製造され、蓋体4は、例えば、ステンレスからなり、プレス加工によって製造される。
図2は、光電センサ1の筐体2の概略正面図であり、図3は、図2の切断面線A−Aから見た断面図であり、内部の構成は省略して示している。この図2および図3は、筐体本体3の開口10に、蓋体4を嵌め込んだ状態を示している。
筐体本体3は、図2に示すように、正面側から見た外形が、五角形状であり、正面には、五角形の各辺に平行な辺を有する七角形状の開口10が形成されている。この開口10の内周縁には、図3に示すように、開口10が形成された面よりも低く段落ちした段部11が、開口10の全周に亘って形成されている。
開口10を閉塞する蓋体4の外形は、開口10に対応した七角形となっている。
この実施形態の光電センサの生産方法では、筐体本体3に、各種電子部品等を収納した後、蓋体4を、開口10の段部11に嵌め込み、蓋体4の外周側の端面4aと筐体本体3の内周側の端面3aとを突き合せ、この突き合せ面に沿って、すなわち、七角形の開口10および蓋体4の各辺に沿って、図4の矢符で示すようにレーザビームを照射してレーザ溶接する。
筐体本体3の開口10が形成されている正面に隣接する右側面には、上述のように、光学部品であるプラスチック製のカバーレンズ7が、配設されている。
レーザ溶接する際に、筐体本体3の内周側端面3aと蓋体4の外周側端面4aとの隙間が大きいと、レーザ溶接に必要なレーザのパワーが大きくなり、熱による影響を受ける部分が広がることになる。
したがって、カバーレンズ7に対する熱の影響を可及的に低減して、カバーレンズ7に光学的な歪が生じないようにするために、カバーレンズ7に近接する溶接箇所では、筐体本体3の内周側端面3aと蓋体4の外周側端面4aとの隙間を小さくして、レーザ溶接に必要なパワーを小さくする必要がある。
そこで、この実施形態では、蓋体4を、筐体本体3の開口10の段部11に嵌め込んだときに、図2に示すように、蓋体4が、カバーレンズ7が配設されている右側の一辺3−1寄りにスライドして位置決めされるようにしている。
すなわち、図2に示すように、蓋体4の外周側端面4aには、蓋体4を、筐体本体3の開口10の段部11に嵌め込んだ際に、カバーレンズ7が配設されている右側の辺である一辺3−1寄りにスライドさせる位置決め用突起12aが形成されており、更に、この実施形態では、蓋体4を図2の下方へスライドさせる位置決め用突起12bも形成されている。図5には、位置決め用突起12a,12bが形成されている外周側端面4aの一部を拡大して示している。
蓋体4を、右側の一辺3−1寄りにスライドさせる一方の位置決め用突起12aは、図2に示すように、蓋体4の、筐体本体3の前記一辺3−1に近接した辺4−1に対向する辺4−3に連なる外周側端面4aに形成され、蓋体4を下方へスライスドさせる他方の位置決め用突起12bは、蓋体4の、筐体本体3の前記一辺3−1に近接した辺4−1に隣接した辺4−2に連なる外周側端面4aに形成されている。
蓋体4を、筐体本体3の開口10の段部11に嵌め込んだ際には、位置決め用突起12aによって、蓋体4が、筐体本体3の前記一辺3−1寄りにスライドし、これによって、前記一辺3−1に近接する辺4−1に連なる蓋体4の外周側端面4aと筐体本体3の内周側端面3aとが、図2,図3に示すように密着されて隙間が殆どない状態となる。
この状態で、蓋体4の外周側端面4aと筐体本体3の内周側端面3aとの隙間に対して、レーザビームを照射してレーザ溶接するので、前記近接する辺4−1では、隙間が小さく、レーザのパワーを大きくする必要がなく、これによって、溶接箇所に近接するカバーレンズ7に対する熱の影響が抑制され、カバーレンズ7が、光学的に歪むといったことがない。
一方、蓋体4を、筐体本体3の開口10の段部11に嵌め込んだ際に、位置決め用突起12aによって、蓋体4が、筐体本体3の前記一辺3−1寄りにスライドするとともに、位置決め用突起12bによって、蓋体4が、筐体本体3の下方にスライドする結果、図2に示すように、前記一辺3−1に近接する辺4−1に対向する辺4−3および近接する辺4−1に隣接する辺4−2にそれぞれ連なる外周側端面4aと筐体本体3の内周側端面3aとの隙間は大きくなる。
このように隙間が大きくなるために、前記対向する辺4−3および前記隣接する辺4−2の外周側端面4aと筐体本体3の内周側端面3aとのレーザ溶接には、大きなパワーのレーザが必要となる。その結果、溶接後の接合部は、図6(a)の断面図に示すように、溶接後の窪みの深さDが深くなるのに対して、前記一辺3−1に近接する辺4−1の蓋体4の外周側端面4aと筐体本体3の内周側端面3aとは、隙間が殆どない状態であるので、レーザのパワーが小さくてよく、図6(b)の断面図に示すように、溶接後の窪みの深さDが浅いものとなり、他の辺の溶接後の窪みの深さに比べて最も浅くなっている。
図7は、レーザ溶接後の溶接跡を示す正面図であり、図1に対応する部分には、同一の参照符号を付す。
この実施形態では、蓋体4の外形である七角形の各辺に沿う溶接跡20の各角部20aは、交差するように溶接跡20が延長されている。
すなわち、七角形の各辺について、一方の頂点の手前から助走パルスによってレーザをパルス駆動してレーザ溶接を開始し、他方の頂点を越えてパルス駆動を継続してレーザ溶接を行うようにしている。
これによって、七角形状の蓋体4の各角部20aも確実強固にレーザ溶接されて接合される。
また、この実施形態では、段部11は、開口10の全周に亘って形成しているので、段部を、一部にしか形成しなかった場合には、段部が存在しない部分では、図8(b)に示すように、レーザビームや熱による酸化物などが筐体本体3の内部に侵入するのに対して、図8(a)に示すように、段部11によって、内部に侵入するのを阻止することができる。
上述の実施形態では、一方の位置決め用突起12aを、筐体本体3の上記一辺3−1に近接した辺4−1に対向する辺4−3に連なる外周側端面4aに形成し、他方の位置決め用突起12bを、筐体本体3の前記一辺3−1に近接した辺4−1に隣接した辺4−2に連なる外周側端面4aに形成したけれども、本発明の他の実施形態として、図9に示すように、近接した辺4−1に対向する辺4−3と近接した辺4−1に隣接した辺4−2とがなす角部に、位置決め用突起12cを形成してもよい。あるいは、近接した辺4−1に対向する辺4−3の図9とは反対側の角部に形成してもよい。更に、位置決め用突起を、近接した辺4−1に対向する辺4−3に連なる外周側端面4aのみに形成してもよい。
また、蓋体4の外周側の端面4aに形成するのではなく、例えば、図10および図11に示すように、位置決め用突起12d,12e,12fを、筐体本体3の内周側端面3aに形成してもよい。
位置決め用突起は、蓋体4を、筐体本体3の開口10の段部11に嵌め込んだ際に、容易に変形できるように、例えば、図12(a),(b)に示すように、突起部分の厚みを薄くしたり、図12(c),(d)に示すように、切り込み13や凹部14を形成してもよい。
上述の実施形態では、光電センサに適用して説明したけれども、本発明は、他のセンサにも適用できるものである。
例えば、図13に示す近接センサは、円筒状の筐体本体16に対して、コイル等を内蔵した検出体17が取り付けられた蓋体18を、筐体本体16の中央位置に配置して、蓋体18の外周側端面と筐体本体16の内周側端面との突き合せ面を、レーザ溶接する。かかる近接センサにおいて、検出体17が、円筒状の筐体本体16に対して、偏心することなく、中央位置に配置されるように、蓋体18の外周側端面に、複数の位置決め用突起19を形成してもよい。
これによって、蓋体18に取り付けられた検出体が、円筒状の筐体本体16に偏心して配置されて検出特性が悪化するのを防止することができる。
本発明は、光電センサや近接センサなどの生産に有用である。
本発明の一つの実施の形態に係る光電センサの斜視図である。 図1の光電センサの筐体の溶接前の概略正面図である。 図2の切断面線A−Aから見た断面図である。 溶接後の図3に対応する断面図である。 位置決め用突起を示す図である。 溶接後の接合部の拡大断面図である。 溶接後の光電センサの正面図である。 筐体本体の段部の効果を説明するための図である。 位置決め突起の形成位置の他の例を示す図である。 位置決め用突起の形成位置の他の例を示す図である。 位置決め用突起の形成位置の更に他の例を示す図である。 位置決め用突起の他の例を示す図である。 近接センサを示す図である。
符号の説明
1 光電センサ
2 筐体
3 筐体本体
4 蓋体
7 カバーレンズ(光学部品)
10 開口
11 段部
12a〜12f 位置決め用突起

Claims (12)

  1. 開口を有する有底または筒型の筐体本体と、該筐体本体の開口を閉塞する蓋体とを備えるセンサの生産方法であって、
    前記筐体本体は、前記開口の周縁に、該開口が形成された面である開口面よりも低い段部を有し、
    前記筐体本体の前記段部に、前記蓋体を嵌め込んで、蓋体の外周側端面と前記筐体本体の内周側端面とを突き合せる第1の工程と、
    前記外周側端面と前記内周側端面との突き合せ面を溶接する第2の工程とを含み、
    前記蓋体の外周側端面および前記筐体本体の内周側端面の少なくとも一方の端面には、前記第1の工程において、前記蓋体を嵌め込んだときに、蓋体を、前記開口面に沿って移動させて位置決めする位置決め用突起が形成されていることを特徴とするセンサの生産方法。
  2. 前記筐体本体と前記蓋体とからなる筐体内には、投光部および受光部の少なくとも一方が収納されるとともに、前記筐体本体は、前記開口面側から見た外形が、多角形状であり、前記開口面に隣接し、かつ、前記多角形の一辺に連なる面側には、光学部品が配置され、
    前記第1の工程では、前記蓋体は、前記位置決め用突起によって、前記一辺側へ寄せられるように位置決めされる請求項1に記載のセンサの生産方法。
  3. 前記開口の形状および該開口を閉塞する前記蓋体の外形が、多角形状であり、
    前記位置決め用突起は、前記一辺に近接する辺以外の辺に連なる前記蓋体の外周側端面および前記筐体本体の内周側端面の少なくとも一方の端面に形成される請求項2に記載のセンサの生産方法。
  4. 前記近接する辺以外の辺が、前記近接する辺に対向する辺である請求項3に記載のセンサの生産方法。
  5. 前記近接する辺以外の辺が、前記近接する辺に対向する辺および該対向する辺に隣接する二つ辺からなる、三つの辺であって、前記位置決め用突起が、前記三つの辺が成す両角部のいずれかの角部の前記蓋体の外周側端面または前記筐体本体の内周側端面に形成される請求項3に記載のセンサの生産方法。
  6. 前記第2の工程における溶接が、レーザ溶接であって、前記多角形状の外形を有する前記蓋体の前記多角形の角部の溶接跡が交差するように延長してレーザ溶接する請求項3〜5のいずれか一項に記載のセンサの生産方法。
  7. 前記段部が、前記開口の周縁の全周に亘って形成されている請求項2〜6のいずれか一項に記載のセンサの生産方法。
  8. 前記筐体本体および前記蓋体が金属製であり、前記光学部品がプラスチック製である請求項2〜7のいずれか一項に記載のセンサの生産方法。
  9. 開口を有する有底の筐体本体と、該筐体本体の前記開口を閉塞する蓋体とを備え、前記筐体本体は、前記開口の周縁に、該開口が形成された面である開口面よりも低い段部を有し、前記筐体本体の前記段部に、嵌め込まれた前記蓋体の外周側端面と前記筐体本体の内周側端面との突き合せ面が溶接される光電センサであって、
    前記筐体本体は、前記開口面側から見た外形が、多角形状であり、前記開口面に隣接し、かつ、前記多角形の一辺に連なる面側には、光学部品が配置され、
    前記開口の形状および該開口を閉塞する前記蓋体の外形が、多角形状であって、該多角形の各辺に沿って前記突き合せ面が溶接され、
    溶接後の前記多角形の各辺の内、前記一辺に近接する辺の溶接後の窪みの深さは、残余の辺の内で最も窪みの深さが浅い辺の窪みの深さと同じかそれよりも浅く、前記残余の辺には、前記近接する辺の溶接後の窪みの深さよりも、溶接後の窪みの深さが深い辺が、存在することを特徴とする光電センサ。
  10. 前記溶接が、レーザ溶接であり、
    前記深い辺が、前記近接する辺に対向する辺である請求項9に記載の光電センサ。
  11. 前記多角形の各辺に沿う溶接跡が、前記多角形の各角部で交差するように延長されている請求項9または10に記載の光電センサ。
  12. 前記段部が、前記開口の周縁の全周に亘って形成されている請求項9〜11のいずれか一項に記載の光電センサ。
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