JP2009168280A - 冷却貯蔵庫 - Google Patents

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Naoshi Kondo
直志 近藤
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明彦 平野
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Abstract

【課題】各貯蔵室の庫内温度を均一に保つ。
【解決手段】蒸発器25を構成する1本の長い蒸発パイプ30が、右側面、背面、左側面、下面及び上面の順序において、上貯蔵室15Aから下貯蔵室15Bまたは下貯蔵室15Bから上貯蔵室15Aにわたって各冷却壁面14の裏面に密着して連続配管される。蒸発パイプ30の配管長が長いために入口側と出口側間で圧力損失が生じ、これにより蒸発温度が蒸発パイプ30内で変化し、入口側に比べて出口側が例えば3K程度低くなる。蒸発温度が高温の配管部分も、低温の配管部分もそれぞれ各貯蔵室15A,15Bに分かれて配されることになり、結果各貯蔵室15A,15Bにおける平均の壁面温度がほぼ均等となって、各貯蔵室15A,15Bの庫内温度がほぼ同じに保たれる。
【選択図】図2

Description

本発明は、恒温高湿庫のような間接冷却形式の冷却貯蔵庫に関する。
恒温高湿庫は、生鮮食品の鮮度を長期にわたって維持できるように、庫内を高湿に保ちつつ冷却することを意図したものであって、断熱箱体からなる貯蔵庫本体内に貯蔵室が設けられる一方、冷凍回路の蒸発器を構成する蒸発パイプが貯蔵室の壁面の裏側に沿って密着して配管された構造になり、蒸発パイプ内で冷媒が蒸発することに伴う潜熱により壁面を冷却して、自然対流により貯蔵室内を間接冷却するようになっている(例えば、特許文献1参照)。
ここで、この種の自然対流により間接冷却するものでは、貯蔵室の庫内容積が大きいと上下方向において温度差が大きく出やすいため、貯蔵室を上下2室に分けて同じように間接冷却することで、温度差を小さくするようにしている。この場合、各貯蔵室に対して蒸発パイプをいわゆる並列に配管すると、冷媒を正確に分流することが難しいため、両貯蔵室にわたって蒸発パイプを連続して配管する直列方式も提案されている。
特開2000−356445公報
上記のように直列方式を採用する場合、各貯蔵室について冷却する壁面が多いほど庫内温度分布は一定になりやすいことから、5面(上下面、背面及び左右側面)の全周面を冷却壁面にすることが望ましい。この場合、蒸発パイプは、配管構造に対応して予め曲げ形成されるのであるが、簡単な配管構造となるように、配管順序は上下の貯蔵室ごとにまとめるのが一般的である。
一方、蒸発パイプを両貯蔵室にわたって直列に配管するとなると、その配管長が長くなるため、入口側と出口側間で圧力損失が生じる。この圧力損失はパイプ径を大きくすれば小さくできるが、その分蒸発器が大型化しまた充填冷媒量が膨大となるため、パイプ径は相応に小さく抑えてある程度の圧力損失は見込むことになる。
そうすると、蒸発パイプを上下の貯蔵室に分けて順番に配管した場合には、後で配管された側、すなわち出口側が配管された方が蒸発温度が低いことから、冷却壁面の温度が相対的に低くなり、結果、庫内がより低温に冷却されて、もう一方の貯蔵室の庫内温度との間に差ができるおそれがあった。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、その目的は、各貯蔵室の庫内温度を均一に保つところにある。
本発明は、断熱箱体からなる貯蔵庫本体内には複数の貯蔵室が区画形成され、各貯蔵室について同じ周面位置の壁面が冷却壁面に設定されて、各貯蔵室の前記冷却壁面の裏側に沿って、冷凍回路の蒸発器を構成する蒸発パイプが配管され、前記蒸発パイプ内で冷媒が蒸発することに伴う潜熱によりそれぞれの冷却壁面を介して前記各貯蔵室内が間接的に冷却される冷却貯蔵庫において、1本の前記蒸発パイプが、各貯蔵室における同じ周面位置の各冷却壁面にわたって順次に配されるのを、各周面位置ごとに繰り返すようにして連続配管されているところに特徴を有する。
各貯蔵室について、複数ずつ同じ周面位置に冷却壁面が設定されており、蒸発パイプは、まず各貯蔵室における第1の位置の冷却壁面にわたって順次に配管され、続いて、各貯蔵室における第2の位置の冷却壁面にわたって順次配管されるといったように、各貯蔵室における同じ周面位置の各冷却壁面にわたって順次に配管されるのを、各周面位置について繰り返すようにして連続配管される。
一方、蒸発パイプは1本で賄っているために配管長が長くなり、そのため入口側と出口側間で圧力損失が生じ、それに伴い蒸発温度が蒸発パイプ内で変化して、入口側に比べて出口側が3K程度低くなる可能性がある。
その点本発明では、蒸発パイプの配管構造を上記のようにしたことによって、蒸発温度が高温の配管部分も、低温の配管部分もそれぞれ各貯蔵室に分かれて配されることになり、結果各貯蔵室における平均の壁面温度がほぼ均等となって、各貯蔵室の庫内温度をほぼ同じに保つことができる。各貯蔵室における同じ周面位置の冷却壁面にわたって順次に配管するのであるから、配管構造も比較的簡単に留められる。
また、以下のような構成としてもよい。
(1)前記貯蔵庫本体が、前面開口の外箱内に前面開口の複数の内箱を、前記外箱との間と内箱同士の間に間隔を開けて収容され、それらの間隔内に断熱材が充填された断熱箱体により形成され、各内箱の内部によって前記貯蔵室が構成されている。
(2)前記貯蔵庫本体内には上下2個の貯蔵室が区画形成され、かつ各貯蔵室では5面の全周面が冷却壁面に設定されてそれぞれ裏側に蒸発パイプが配管されたものであって、1本の前記蒸発パイプが、上下の前記貯蔵室における同じ周面位置の冷却壁面にわたって順次に配されるのを、全5位置について繰り返すようにして連続配管されている。蒸発パイプは、5箇所の同じ位置の冷却壁面ごとに、上下の貯蔵室に対して交互に配管される。各貯蔵室における5面の平均の壁面温度がほぼ均等となって、上下の貯蔵室の庫内温度をほぼ同じに保つことができる。
本発明によれば、複数の貯蔵室を備えた間接冷却形式の冷却貯蔵庫において、各貯蔵室の庫内温度をほぼ同じに保つことができる。
<実施形態>
本発明の一実施形態を図1ないし図4によって説明する。この実施形態では、恒温高湿庫を例示している。
図1において、符号10は恒温高湿庫の本体であって、縦長の断熱箱体により形成されている。断熱箱体は、前面を開口した縦長の外箱11内に、同じく前面を開口したほぼ立方体をなす上下2個の内箱12が間隔を開けて収納され、外箱11と内箱12との間に発泡樹脂等の断熱材13を充填して形成されている。外箱11と内箱12とは例えば、ともに熱良導性のステンレス鋼板により形成されている。本体10の内部には上下2個の貯蔵室15A,15Bが形成され、各貯蔵室15A,15Bの前面開口部16に、それぞれ断熱扉17が開閉可能に設けられている。
本体10は、底面の四隅に設けられた脚18によって支持されているとともに、本体10の上面には機械室19が設けられ、後記する冷凍装置27や、運転制御部等を格納した電装箱が装備されている。
各貯蔵室15A,15B内は、図2に示すように、冷凍回路20によって冷却された冷却壁面14の冷熱で間接冷却されるようになっている。
冷凍回路20は、インバータモータにより駆動される能力可変型の圧縮機21(以下、インバータ圧縮機21)と、空冷式の凝縮器22と、ドライヤ23と、膨張弁24と、蒸発器25とを冷媒配管26により循環接続して形成されている。このうち、インバータ圧縮機21、凝縮器22、ドライヤ23及び膨張弁24により冷凍装置27が構成され、上記のように機械室19に装備されている。
さて蒸発器25は、銅製の蒸発パイプ30を所定形状に曲げ形成して構成されており、上下の貯蔵室15A,15Bの壁面、すなわち同壁面を構成する内箱12の所定の面における裏面(断熱材13側の面)に沿って密着して配管されている。各貯蔵室15A,15Bにおける蒸発パイプ30が配管される面(冷却壁面14)としては、上下両面、左右両面及び背面の、全5面が設定されている。なお、図3並びに図4においては、上貯蔵室15Aが「上室」、下貯蔵室15Bが「下室」と表記されている。
蒸発パイプ30の詳細な配管構造は、図2及び図3の表図に示すようである。まず、上貯蔵室15Aの右側面における奥側上部を出発点31Sとして、同右側面から下貯蔵室15Bの右側面にわたり下方に向けて蛇行して配管され、次に下貯蔵室15Bの背面から上貯蔵室15Aの背面にわたり上方に向けて蛇行して配管され、さらに上貯蔵室15Aの左側面から下貯蔵室15Bの左側面にわたり下方に向けて蛇行して配管される。続いて、下貯蔵室15Bの下面を左から右に蛇行して配管されたのち、中継部32を挟んで下貯蔵室15Bの下面を右から左に蛇行して配管される。最後に、下貯蔵室15Bの上面を左から右に蛇行して配管されたのち、中継部32を挟んで上貯蔵室15Aの上面を右から左に蛇行して配管され、その下貯蔵室15Bの上面における奥側左部が終点31Eとなる。
端的には、蒸発器25を構成する1本の長い蒸発パイプ30が、右側面、背面、左側面、下面及び上面の順序において、上貯蔵室15Aから下貯蔵室15Bまたは下貯蔵室15Bから上貯蔵室15Aにわたって各冷却壁面14の裏面に密着して連続配管されている。
なお、蒸発パイプ30の入口側における出発点31Sから突出した入口接続部33が、膨張弁24と接続されているとともに、蒸発パイプ30の出口側における終点31Eから突出した出口接続部34が、熱交換部35を介してインバータ圧縮機21の吸入管21Aと接続されている。
本実施形態の作用は、以下のようである。冷凍装置27が駆動されると、蒸発器25を構成する蒸発パイプ30内を冷媒が流通する間に蒸発し、それに伴う潜熱によって上下の貯蔵室15A,15Bの冷却壁面14が冷却され、自然対流により各貯蔵室15A,15B内が間接冷却される。
ここで上記のように、蒸発パイプ30は上下の貯蔵室15A,15Bにわたっていわゆる直列に配管されているために配管長が長く、そのために、入口(入口接続部33)側と出口(出口接続部34)側の間で圧力損失が生じる。圧力損失があるということは、蒸発温度が蒸発パイプ30内で変化し、入口側に比べて出口側が例えば3K程度低くなる。
本実施形態では、蒸発パイプ30を上下の貯蔵室15A,15Bの冷却壁面14に対して、図3に示す順番で配管したから、蒸発温度が入口側から出口側に向けて次第に低くなることに伴い、図4に示すように、上貯蔵室15A、下貯蔵室15Bの右側面(#1,#2)、下貯蔵室15B、上貯蔵室15Aの背面(#3,#4)、上貯蔵室15A、下貯蔵室15Bの左側面(#5,#6)、下貯蔵室15B、上貯蔵室15Aの下面(#7,#8)、及び下貯蔵室15B、上貯蔵室15Aの上面(#9,#10)の順序で、壁面温度が−1.1℃程度から−3.8℃程度まで次第に低くなる。
それに伴い、上貯蔵室15Aと下貯蔵室15Bの冷却壁面14の平均温度は、共に−2.5℃程度でほぼ等しくなる。その結果、上下の貯蔵室15A,15Bの庫内温度がほぼ同じ温度に保持される。
このように本実施形態では、蒸発パイプ30の配管長が長くなって入口側と出口側とで蒸発温度に差ができたとしても、蒸発パイプ30の配管構造を上記のようにしたことによって、蒸発温度が高温の配管部分も、低温の配管部分も上下の貯蔵室15A,15Bに分かれて配されることになり、結果各貯蔵室15A,15Bにおける平均の壁面温度がほぼ均等となって、各貯蔵室15A,15Bの庫内温度をほぼ同じに保つことができる。各貯蔵室15A,15Bにおける同じ位置の冷却壁面14にわたって順次に配管するのであるから、配管構造も比較的簡単に留められる。すなわち、格別の冷却手段を追加することなく、構造も簡単に留めた上で、上下の貯蔵室15A,15Bの庫内温度をほぼ同じに保つことができる。
上記実施形態では、蒸発パイプ30における冷却壁面14に密着されない部分、言わば無駄な部分を極力短くした上で、上下の貯蔵室15A,15Bについての配管順序を可能な限り交互に逆にしたから、各貯蔵室15A,15Bにおける平均の壁面温度をより均等化することができる。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態に例示した蒸発パイプの配管順序はあくまでも一例であって、配管の無駄が少なく、かつ構造がシンプルに留まる限り、他の配管順序を採用してもよい。
(2)上下の貯蔵室を構成する上下の内箱は、一部が接続されて一体的に形成されていてもよい。
(3)貯蔵室は、上記実施形態に例示した上下に限らず、左右に並んで設けられていてもよい。
(4)貯蔵室の数は2室に限らず、3室以上であってもよい。
(5)貯蔵室における蒸発パイプが配管される壁面すなわち冷却壁面が、5面全面ではなく、所定の複数面に設定されているものについても、本発明は同様に適用可能である。
(6)冷凍回路の圧縮機について、通常の一定速圧縮機を用いてもよい。
(7)本発明は、複数設けられた貯蔵室が、それぞれの壁面を裏側から冷却することを以て間接冷却される形式の冷却貯蔵庫全般に適用することが可能である。
本発明の一実施形態に係る恒温高湿庫の縦断面図 冷凍回路のブロック図並びに蒸発パイプの配管構造の説明図 蒸発パイプの配管順序を示す表図 冷却壁面の壁面温度を示すグラフ
符号の説明
10…本体(貯蔵庫本体) 11…外箱 12…内箱 13…断熱材 14…冷却壁面 15A,15B…貯蔵室 20…冷凍回路 25…蒸発器 30…蒸発パイプ 33…入口接続部 34…出口接続部

Claims (3)

  1. 断熱箱体からなる貯蔵庫本体内には複数の貯蔵室が区画形成され、各貯蔵室について同じ周面位置の壁面が冷却壁面に設定されて、各貯蔵室の前記冷却壁面の裏側に沿って、冷凍回路の蒸発器を構成する蒸発パイプが配管され、前記蒸発パイプ内で冷媒が蒸発することに伴う潜熱によりそれぞれの冷却壁面を介して前記各貯蔵室内が間接的に冷却される冷却貯蔵庫において、
    1本の前記蒸発パイプが、各貯蔵室における同じ周面位置の各冷却壁面にわたって順次に配されるのを、各周面位置ごとに繰り返すようにして連続配管されていることを特徴とする冷却貯蔵庫。
  2. 前記貯蔵庫本体が、前面開口の外箱内に前面開口の複数の内箱を、前記外箱との間と内箱同士の間に間隔を開けて収容され、それらの間隔内に断熱材が充填された断熱箱体により形成され、各内箱の内部によって前記貯蔵室が構成されていることを特徴とする請求項1記載の冷却貯蔵庫。
  3. 前記貯蔵庫本体内には上下2個の貯蔵室が区画形成され、かつ各貯蔵室では5面の全周面が冷却壁面に設定されてそれぞれ裏側に蒸発パイプが配管されたものであって、
    1本の前記蒸発パイプが、上下の前記貯蔵室における同じ周面位置の冷却壁面にわたって順次に配されるのを、全5位置について繰り返すようにして連続配管されていることを特徴とする請求項2記載の冷却貯蔵庫。
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