JP2009167404A - 予混合圧縮着火式エンジン用燃料油組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】予混合圧縮着火式エンジン用の燃料として最適な着火性を有する上、エンジンオイルの希釈を引き起こすことが少なく、且つ有害排出ガスの少ない燃料油組成物を提供する。
【解決手段】硫黄分が10質量ppm以下で、90容量%留出温度が300℃以下で、セタン価(CN)が45〜65で、リサーチ法オクタン価(RON)が20以上で、芳香族分が23容量%以下で、且つ3環以上の芳香族分が0.5容量%以下であり、高圧示差走査熱量測定(DSC)における発熱開始温度が250℃以下で、且つ発熱ピークのピーク値が25 W/g以上であることを特徴とする予混合圧縮着火式エンジン用燃料油組成物である。
【選択図】なし

Description

本発明は、予混合圧縮着火式エンジン用の燃料油組成物に関し、特には、予混合圧縮着火式エンジン用の燃料として最適な着火性を有する上、エンジンオイルの希釈を引き起こすことが少なく、且つ排出ガス中の粒子状物質(PM)が少ない燃料油組成物に関するものである。
自動車から排出される窒素酸化物(NOx)、粒子状物質(PM)、一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)は、大気中におけるこれら有害成分濃度に一定の寄与があるため、大気環境改善の観点から、これら有害排出ガス成分の削減が強く求められている。一方、地球温暖化防止のためには、化石燃料の燃焼で排出されるCO2の削減が必要であり、自動車からのCO2排出の削減、即ち、自動車の燃料消費効率(燃費)の向上が強く求められている。このように、自動車においては、有害ガス成分の排出削減とCO2の排出削減を同時に達成する必要があり、昨今、その対応技術として、予混合圧縮着火式(PCCI:Premixed Charge Compression Ignition)エンジンが注目されている。
PCCIエンジンでは、燃焼の開始(着火)を燃料の自己着火に依存しているので、燃焼室内の温度が低い冷機時や低負荷条件下では、着火性の良好な燃料が必要となる。しかしながら、着火性の良好な燃料は、燃焼室内の温度が高い高負荷条件下では、燃焼室内で多点同時着火による急激な燃焼を起こし、燃焼騒音の増大やエンジンの損傷を引き起こしてしまう。そのため、燃焼室内の温度が高い高負荷条件下では、着火性の低い燃料、即ち、緩慢な燃焼挙動を示す燃料が求められる。
また、PCCIエンジンでは、燃焼室に噴射された燃料が空気と十分に混合して均一な予混合気を形成できるように、ディーゼルエンジンに比べて燃料を早期に噴射するので、燃料の一部がシリンダーライナーに到達して付着し易い傾向がある。このシリンダーライナーに付着した燃料は、燃焼過程で消費され難いため、エンジンオイルに溶解してエンジンオイルの希釈を引き起こすことがある。従って、PCCIエンジン用燃料としては、上記の着火特性に加えて、エンジンオイルの希釈を防止すべく、適切な揮発性を有することが求められている。また、PCCIエンジン用燃料は、有害排出ガスの一層の低減も望まれている。
特開2004−293394号公報 自動車技術,2006,Vol.60,No.9,P83−88
そこで、本発明の目的は、予混合圧縮着火式エンジン用の燃料として最適な着火性を有する上、エンジンオイルの希釈を引き起こすことが少なく、且つ有害排出ガスの少ない燃料油組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、特定の蒸留性状を有し、セタン価(CN)及びリサーチ法オクタン価(RON)が特定の範囲にある上、芳香族分の総量及び3環以上の芳香族分が低く、高圧示差走査熱量測定(DSC)において特定の性質を示す燃料油組成物を予混合圧縮着火式エンジンに用いることで、エンジンオイルの希釈を防止でき、且つ有害排出ガスを低減できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明の予混合圧縮着火式エンジン用燃料油組成物は、
・硫黄分が10質量ppm以下で、90容量%留出温度が300℃以下で、セタン価(CN)が45〜65で、リサーチ法オクタン価(RON)が20以上で、芳香族分が23容量%以下で、且つ3環以上の芳香族分が0.5容量%以下であり、
・高圧示差走査熱量測定(DSC)における発熱開始温度が250℃以下で、且つ発熱ピークのピーク値が25 W/g以上であることを特徴とする。
なお、本発明において、硫黄分はJIS K2541−6に従って測定され、90容量%留出温度はJIS K2254に従って測定され、セタン価(CN)及びリサーチ法オクタン価(RON)はJIS K2280に従って測定され、芳香族分の総量及び3環以上の芳香族分はJPI−5S−49−97「石油製品−炭化水素タイプ試験方法−高速液体クロマトグラフ法」に従って測定される。
本発明によれば、特定の蒸留性状を有し、セタン価(CN)及びリサーチ法オクタン価(RON)が特定の範囲にある上、芳香族分の総量及び3環以上の芳香族分が低く、高圧示差走査熱量測定(DSC)において特定の性質を示す燃料油組成物をPCCIエンジンに用いることで、エンジンオイルの希釈を防止し、排出ガスを改善することが可能となる。
以下に、本発明を詳細に説明する。本発明の予混合圧縮着火式エンジン用燃料油組成物は、硫黄分が10質量ppm以下で、90容量%留出温度が300℃以下で、セタン価(CN)が45〜65で、リサーチ法オクタン価(RON)が20以上で、芳香族分が23容量%以下で、且つ3環以上の芳香族分が0.5容量%以下であり、高圧示差走査熱量測定(DSC)における発熱開始温度が250℃以下で、且つ発熱ピークのピーク値が25 W/g以上であることを特徴とする。本発明の燃料油組成物は、90容量%留出温度が十分低く、また、3環以上の芳香族分が非常に少なく、更には、DSCで評価した燃焼性が十分高いため、シリンダーライナーに到達した燃料がピストンの下降前に十分気化・燃焼し、その結果として、エンジンオイルの希釈を引き起こすことが少なく、且つ排出ガスの改善にも寄与する。
<硫黄分>
本発明のPCCIエンジン用燃料油組成物は、硫黄分が10質量ppm以下であり、好ましくは5質量ppm以下、更に好ましくは3質量ppm以下である。本発明の燃料油組成物は、硫黄分が10質量ppm以下であるため、燃焼生成物である硫黄酸化物が少なく、環境負荷の低減に寄与できる。また、硫黄分は、排出ガス浄化触媒を被毒するので、硫黄分の低減は、排出ガス浄化触媒の性能の維持を通じても、環境負荷の低減に寄与できる。更に、NOx吸蔵還元触媒を装着した車輌においては、該触媒の硫黄被毒の再生に燃料を使用するので、硫黄分の低減は、燃費の向上にも寄与する。そして、これらの効果は、硫黄分が低い程顕著であるため、本発明の燃料油組成物中の硫黄分は、好ましくは5質量ppm以下、更に好ましくは3質量ppm以下である。
<90容量%留出温度(T90)>
本発明のPCCIエンジン用燃料油組成物は、90容量%留出温度(T90)が300℃以下であり、好ましくは280℃以下である。燃料油組成物の後留部分の揮発性は、燃料油組成物と空気との混合気の形成や燃焼性に影響し、90容量%留出温度(T90)が300℃を超えると、燃料油組成物と空気との混合気の形成に支障を来たしたり、該混合気の燃焼性が低下して排出ガスの悪化を来たす。また、ディーゼルエンジンに比べて燃料を早期に噴射するPCCIエンジンでは、燃料の一部がシリンダーライナーに到達し、ピストンの下降で掻き落とされてオイルパンへと流れ込み、エンジンオイルの希釈を引き起こすことがあり、特にエンジンが十分には暖気されていない条件下では、シリンダーライナーに付着した燃料の気化や燃焼が不十分となるが、90容量%留出温度(T90)が300℃以下の燃料油組成物は、気化し易く、ピストンの下降前に十分気化・燃焼するため、エンジンオイルの希釈を引き起こすことがない。従って、PCCIエンジン用燃料の性状としては、90容量%留出温度(T90)が300℃以下であることが必要である。そして、上記の問題に対応するには、90容量%留出温度(T90)が低い程好ましいため、本発明の燃料油組成物は、90容量%留出温度(T90)が280℃以下であることが好ましい。また、特に限定されるものではないが、本発明の燃料油組成物は、軽油の生産量を減退させないために、90容量%留出温度(T90)が250℃以上であることが好ましい。
<セタン価(CN)>
本発明のPCCIエンジン用燃料油組成物は、PCCI燃焼を確保できる負荷条件の下限値に影響を及ぼすセタン価(CN)が45〜65であり、好ましくは45〜60である。低負荷条件下における燃料油組成物の確実な着火と燃焼の安定性とを確保するためには、燃料油組成物自体のセタン価(CN)を45以上とすることが必要である。また、燃料油のセタン価(CN)が高過ぎると、燃料油の噴射から着火に至るまでの時間、即ち、着火遅れが短縮されるため、混合気の形成に許される時間が短縮されたり、早期着火による着火時期の進み過ぎによって、エンジン性能の悪化を招くので、燃料油組成物のセタン価(CN)は65以下である必要があり、好ましくは60以下である。
<リサーチ法オクタン価(RON)>
本発明のPCCIエンジン用燃料油組成物は、高負荷条件下での緩慢な燃焼を確保する観点から、リサーチ法オクタン価(RON)が20以上であり、好ましくは21以上である。なお、過早着火や急激な燃焼を回避するために、エンジン側では排気ガス再循環装置(EGR)の導入等の対策が講じられるが、高負荷条件下でPCCI燃焼として許容できる騒音や燃焼圧力上昇率を確保するためには、燃料油組成物のリサーチ法オクタン価(RON)を20以上とすることが必要であり、21以上とすることが好ましい。
<3環以上の芳香族分>
本発明のPCCIエンジン用燃料油組成物は、3環以上の芳香族分が0.5容量%以下であり、好ましくは0.3容量%以下である。3環以上の芳香族分は、沸点が高いばかりではなく、燃焼性も悪いため、シリンダーライナーの壁面付着成分として残留し易い。そのため、本発明の燃料油組成物は、エンジンオイルの希釈を防止する観点から、3環以上の芳香族分が0.5容量%以下であることを要し、0.3容量%以下であることが好ましい。
<芳香族分>
上記3環以上の芳香族分を含む芳香族分の総量が増加すると、排出ガスを悪化させるので、本発明のPCCIエンジン用燃料油組成物は、芳香族分が23容量%以下、好ましくは21容量%以下である。より具体的には、芳香族分の増加は、粒子状物質(PM)を生成する温度と空燃比で整理されるPM生成マップの面積を拡大させるので、本発明の燃料油組成物は、芳香族分が23容量%以下、好ましくは21容量%以下である。
<高圧示差走査熱量測定(DSC)>
本発明のPCCIエンジン用燃料油組成物は、高圧示差走査熱量測定(DSC)における発熱開始温度が250℃以下で、且つ発熱ピークのピーク値が25 W/g以上、好ましくは30 W/g以上である。PCCIエンジンにおける燃料と空気の混合気形成や燃焼性は、DSCで評価された燃料の着火性と燃焼性に大きく影響される。そして、特に、発熱ピークのピーク値が25 W/g未満では、燃焼性が悪化してしまう。また、DSCにおける発熱開始温度が250℃を超えると、着火特性が劣る。更に、発熱開始温度が250℃を超えると、従来型エンジンに比較して低温、希薄混合気下で着火する必要のある低負荷条件下でのPCCI燃焼では、着火性が不十分であり、発熱開始温度は250℃以下であることが必要である。また、発熱開始温度が高過ぎる燃料は、燃焼に伴う黒煙の排出が増大するので、発熱開始温度は250℃以下であることを要する。さらに、発熱ピークは、燃料のその条件下における熱発生量の指標となっており、ピーク値が低いと燃料が不完全燃焼を起こしている。また、ピーク値が低い場合には、燃焼期間が長く、極端な場合には後燃えとなり、燃焼効率や排出ガスを悪化させるので、発熱ピークのピーク値は25 W/g以上であることを要する。したがって、特に着火や燃焼条件が比較的悪いエンジン条件下でのPCCIエンジンでは、DSCの発熱開始温度と発熱ピークの規定が重要である。
<燃料油組成物の調製>
本発明のPCCIエンジン用燃料油組成物は、上記の性状を満たすように、例えば、90容量%留出温度(T90)が300℃以下の軽油基材の深度脱硫や芳香族の飽和水素化によって規定の軽油基材を製造し、該軽油基材に対し、セタン価を高めるためにはパラフィン系燃料(例えば、FT合成で製造できるGTLなど)を、オクタン価を高めるためにはイソパラフィン系燃料基材を混合して調製することができる。
<添加剤>
本発明のPCCIエンジン用燃料油組成物には、燃料油組成物のセタン価(CN)を向上させるためのセタン価向上剤、燃料油組成物の安定性を確保するための酸化防止剤、低温流動性を確保するための低温流動性向上剤、潤滑性を確保するための潤滑性向上剤、エンジンの清浄性を確保するための清浄剤等を適宜添加することができる。
上記セタン価向上剤としては、アルキルナイトレート系セタン価向上剤、有機過酸化物系セタン価向上剤が挙げられる。上記アルキルナイトレート系セタン価向上剤としては、炭素数6〜12のアルキルナイトレートが好ましく、2-メチルヘキシルナイトレートが特に好ましい。また、上記有機過酸化物系セタン価向上剤としては、炭素数6〜12のジアルキルパーオキサイドが好ましく、ジ-t-ブチルパーオキサイドが特に好ましい。これらセタン価向上剤の添加量は、0.5質量%以下の範囲が好ましく、0.1質量%以下の範囲が更に好ましい。
上記酸化防止剤としては、2,6-ジ-t-ブチルフェノール、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、2,4-ジメチル-6-t-ブチルフェノール、2,4,6-トリ-t-ブチルフェノール、2-t-ブチル-4,6-ジメチルフェノール、2-t-ブチルフェノール等のフェノール系酸化防止剤や、N,N'-ジイソプロピル-p-フェニレンジアミン、N,N'-ジ-sec-ブチル-p-フェニレンジアミン等のアミン系酸化防止剤、及びこれらの混合物が挙げられる。これら酸化防止剤の添加量は、特に限定されず、目的に応じて、適宜選択することができる。
上記低温流動性向上剤としては、公知のエチレン共重合体等を用いることができるが、特には、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等の飽和脂肪酸のビニルエステルが好ましく用いられる。これら低温流動性向上剤の添加量は、特に限定されず、目的に応じて、適宜選択することができる。
上記潤滑性向上剤としては、例えば、長鎖(例えば、炭素数12〜24)の脂肪酸又はその脂肪酸エステルが好ましく用いられる。該潤滑性向上剤を10〜500質量ppmの範囲、好ましくは50〜100質量ppmの範囲で添加することで、耐摩耗性を十分に向上させることができる。
上記清浄剤としては、コハク酸イミド、ポリアルキルアミン、ポリエーテルアミン等が挙げられる。これら清浄剤の添加量は、特に限定されず、目的に応じて、適宜選択することができる。
<予混合圧縮着火式エンジン>
上述した本発明の燃料油組成物は、予混合圧縮着火式(PCCI)エンジンに用いられる。該PCCIエンジンは、HCCI(Homogeneous Charge Compression Ignition)エンジンとも呼ばれ、従来のディーゼルエンジンと同様に圧縮着火であるが、燃料噴射時期、燃料噴射圧力や噴射パターン、EGR、圧縮比、燃焼室構造などを最適化して達成される燃料と空気が十分に混合した予混合気の燃焼で形成される予混合火炎のみで燃焼を完結する燃焼方式である。したがって、熱発生のパターンを観察すると冷炎に伴う微弱な熱発生(観察されない場合もあるが)に続いて主燃焼である予混合火炎による1つの熱発ピークが観察される。従来型ディーゼル燃焼では予混合火炎と拡散火炎に伴う2つのピークが観察される点で、大きく異なっている。また、予混合火炎の伝播で燃焼が完結するガソリンエンジンとも異なる。なお、実際のPCCIエンジンでは、熱発生パターンのテーリングが観察される場合があるが、この原因(予混合火炎か拡散火炎か)は明確でないので、該PCCIエンジンでは主燃焼が90%以上(テーリングに伴う熱発生が10%未満)と定義される。また、該PCCIエンジンは、高圧縮比で運転できることなどから、ガソリンエンジン(火花点火式エンジン)に比べて高効率であるという特徴を有する。
そして、かかる予混合圧縮着火エンジンに上述した本発明の燃料油組成物を用いることで、燃料の着火性を十分に確保しつつ、エンジンオイルの希釈を防止し、且つ排出ガスを改善することが可能となる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
以下の供試燃料に対して、下記の方法で性状分析を行い、更に、下記のエンジンを下記の条件で運転して、供試燃料によるエンジンオイルの希釈率、黒煙、PCCIエンジン燃焼状態を市販軽油との比較で評価した。結果を表1に示す。
<供試燃料の調製>
・軽油:市販の軽油(JIS 2号)を準備した。
・燃料−1:深度脱硫軽油基材を90容量%留出温度(T90)が300℃以下となるように分留した燃料。
・燃料−2:市販軽油基材80容量%と接触分解装置から得られる接触分解軽油(LCO)20容量%を混合して調製した。
・燃料−3:市販軽油基材に、2環芳香族化合物及び3環芳香族化合物が主成分の重質油を5容量%混合して調製した。
・燃料−4:市販軽油基材を水素化分解で芳香族分を低減して調製した。
・燃料−5:燃料−1に、市販灯油を50容量%混合して調製した。
<燃料の性状分析法>
・密度:JIS K2249「原油及び石油製品密度試験法」
・蒸留性状:JIS K2254「蒸留試験法」
・硫黄分:JIS K2541−6「硫黄分試験法(紫外蛍光法)」
・セタン価(CN):JIS K2280「石油製品−燃料油−オクタン価及びセタン価試験方法並びにセタン指数算出方法」に規定された実測法(指数は適用できない)
・リサーチ法オクタン価(RON):JIS K2280「石油製品−燃料油−オクタン価及びセタン価試験方法並びにセタン指数算出方法」
・芳香族分の総量及び3環以上の芳香族分:JPI−5S−49−97「石油製品−炭化水素タイプ試験方法−高速液体クロマトグラフ法」
・高圧示差走査熱量測定(DSC):5 MPaの空気雰囲気下、30℃から500℃まで2℃/分の昇温速度で昇温して、発熱開始温度と発熱ピーク値を測定した。
<供試機関諸元>
・気筒数:1
・排気量(cm3):1007
・圧縮比:14〜18
・燃料供給方式:筒内噴射(コモンレール)
<運転条件>
・回転速度(rpm):1200
・燃料噴射圧力(MPa):40〜120
・噴射時期:固定
<エンジンオイル希釈率の評価方法>
PCCIエンジンを連続8時間運転し、0時間後、4時間後、8時間後のエンジンオイルを採取して分析し、供試燃料によるエンジンオイルの希釈率を測定し、市販軽油との比較で評価した。
<黒煙の評価方法>
小野測器製スモークメータで排出ガス中の黒煙を測定し、市販軽油との比較で評価した。
<PCCIエンジン燃焼状態の評価方法>
小野測器製燃焼解析装置を用いて着火の安定性(図示平均有効圧力の変動)、燃焼の激しさ(熱発生率の最大値)などを観察し、PCCI燃焼状態を評価した。なお、判定は市販軽油を基準とし、改善された場合を(○)、悪化した場合を(×)、殆ど変わらない場合を(△)として表記した。
Figure 2009167404
表1から明らかなように、本発明で規定する性状を満たす燃料油組成物を用いることで、エンジンオイルの希釈を防止し、且つ排出ガスも改善することができる。

Claims (1)

  1. 硫黄分が10質量ppm以下で、90容量%留出温度が300℃以下で、セタン価(CN)が45〜65で、リサーチ法オクタン価(RON)が20以上で、芳香族分が23容量%以下で、且つ3環以上の芳香族分が0.5容量%以下であり、
    高圧示差走査熱量測定(DSC)における発熱開始温度が250℃以下で、且つ発熱ピークのピーク値が25 W/g以上であることを特徴とする予混合圧縮着火式エンジン用燃料油組成物。
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