JP2009166755A - ブレーキ制御装置 - Google Patents

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俊哉 大澤
Katsuya Iwasaki
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Abstract

【課題】 ブレーキ操作部材を能動的に制御しつつ、小型化を図ることができるブレーキ制御装置を提供すること。
【解決手段】 運転者がブレーキ操作を行うためのブレーキ操作部材(ブレーキペダルBP)と、ブレーキ操作部材に連結し、ブレーキ操作部材の作動に応じてブレーキ液をホイルシリンダW/Cへ送り出すマスタシリンダM/Cと、マスタシリンダM/Cとは別に設けられ、ブレーキ液圧を発生させる液圧源(ポンプP)と、ブレーキ操作部材の作動を能動的に制御することが必要であるか否かを判断する能動制御判断部(図4のS201,202,206,208)と、能動制御判断部の判断に応じて液圧源が発生した液圧をマスタシリンダM/Cに与えてブレーキ操作部材の作動をコントロールする能動制御(S203,204,209,210等)を行うコントロールユニットCUと、を有することとした。
【選択図】 図1

Description

本発明は、運転者のブレーキ操作または車両の走行状態に基づき車両のブレーキ液圧を制御するブレーキ制御装置に関する。
従来、運転者がブレーキ操作を行うためのブレーキ操作部材の作動を能動的に制御するブレーキ制御装置が知られている。例えば、特許文献1に記載されたブレーキ制御装置は、いわゆるブレーキ・バイワイヤ・システム(以下、BBW)に適用されており、マスタシリンダとホイルシリンダとの連通を遮断した状態で液圧源を作動することで所望のブレーキ液圧を発生させる一方、マスタシリンダからの液圧が作用するストロークシミュレータの反力を調整することで、ブレーキ操作部材の作動を能動的に制御する。これにより、所望のブレーキ操作フィーリングを運転者に与える。
特開2007−30756号公報
しかし、上記ブレーキ制御装置では、ブレーキ操作部材を能動的に制御するためのストロークシミュレータ等を別途設ける必要があり、装置全体が大型化する、という問題があった。本発明は、上記問題に着目してなされたもので、その目的とするところは、ブレーキ操作部材を能動的に制御しつつ、小型化を図ることができるブレーキ制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明のブレーキ制御装置は、運転者がブレーキ操作を行うためのブレーキ操作部材と、前記ブレーキ操作部材に連結し、前記ブレーキ操作部材の作動に応じてブレーキ液をホイルシリンダへ送り出すマスタシリンダと、前記マスタシリンダとは別に設けられ、ブレーキ液圧を発生させる液圧源と、前記ブレーキ操作部材の作動を能動的に制御することが必要であるか否かを判断する能動制御判断部と、前記能動制御判断部の判断に応じて前記液圧源が発生した液圧を前記マスタシリンダに与えて前記ブレーキ操作部材の作動をコントロールする能動制御を行うコントロールユニットと、を有することとした。
よって、液圧源の発生液圧を利用してブレーキ操作部材を能動的に制御するため、装置の小型化を図ることができる。
以下、本発明のブレーキ制御装置を実現する最良の形態を、図面に基づき説明する。
[ブレーキ制御装置の油圧回路]
図1は、本実施例1のブレーキ制御装置の油圧回路構成を示す。
ブレーキ制御装置は、倍力装置BSを介してブレーキペダルBPに接続されたマスタシリンダM/Cと、マスタシリンダM/Cに接続され、マスタシリンダ圧を車両の各車輪FL,FR,RL,RRのホイルシリンダW/Cに供給する液圧制御ユニットHU1と、コントロールユニットCUと、を有している。液圧制御ユニットHU1は、ポンプPや複数の制御弁を有しており、コントロールユニットCUからの制御指令に応じてこれらのアクチュエータを制御することで、マスタシリンダ圧およびホイルシリンダ圧を能動制御可能に設けられている。
以下、4輪FL,FR,RL,RRのそれぞれに対応して設けられている構成については、a,b,c,dの記号を添えて区別するものとし、aは前左輪FL、bは前右輪FR、cは後左輪RL、dは後右輪RRにそれぞれ対応する構成を表すこととする。
油圧回路は、ホイルシリンダW/Cを加圧する2つの互いに独立した系統、すなわち第1ブレーキ回路1および第2ブレーキ回路2を有している。第1ブレーキ回路1は、倍力装置BSにより昇圧されたブレーキ液をマスタシリンダM/Cから前輪のホイルシリンダW/Cに供給する通常ブレーキ回路である。第2ブレーキ回路2は、リザーバRESから供給されポンプPにより昇圧されたブレーキ液を前後輪の各ホイルシリンダW/Cに供給する制御ブレーキ回路である。また、各ホイルシリンダW/Cからブレーキ液をリザーバRESに戻してホイルシリンダW/Cを減圧する第3ブレーキ回路3が設けられている。
また油圧回路は、ポンプPにより昇圧されたブレーキ液をマスタシリンダM/Cに供給してマスタシリンダM/Cを加圧する第4ブレーキ回路4と、マスタシリンダM/Cからブレーキ液をリザーバRESに戻してマスタシリンダM/Cを減圧する第5ブレーキ回路5と、を有している。
ブレーキペダルBPは、運転者のブレーキ操作(踏み込み・戻し)に応じて作動(ストローク)し、運転者のブレーキ操作力を倍力装置BSへ伝達するブレーキ操作部材である。ブレーキペダルBPにはストロークセンサ11が設けられている。ストロークセンサ11は、ブレーキペダルBPのストローク量(以下、ペダルストロークという)を検出し、検出した値をコントロールユニットCUに入力する。
倍力装置BSは、運転者のブレーキ操作力(踏力)を補助する負圧ブースタであり、ブレーキペダルBPから伝達される力を例えばエンジン負圧により増幅し、該増幅した力をマスタシリンダM/Cに伝達してマスタシリンダM/C(のピストン)を作動させる。なお、モータの駆動力によりブレーキ操作力を補助する電動ブースタを用いてもよい。
リザーバRESは、作動液(ブレーキ液)を貯留するリザーバタンクであり、大気圧に開放されているとともに、マスタシリンダM/Cおよび第3ブレーキ回路3に接続されている。
マスタシリンダM/Cは、倍力装置BSから伝達される力を液圧に変換し、上記力に比例したマスタシリンダ圧を発生する。マスタシリンダM/Cはタンデム型であり、2つのマスタシリンダピストンにより隔成された2つの液圧室(加圧室)を有している。2つの液圧室は、それぞれ別々にリザーバRESからブレーキ液の供給を受ける。一方の液圧室は、左前輪FL側の第1ブレーキ回路1Aに接続されている。他方の液圧室は、右前輪FR側の第1ブレーキ回路1Bに接続されている。また、マスタシリンダM/Cは、2つのマスタシリンダピストンにより隔成された2つの背圧室を有している。これらの背圧室はそれぞれリザーバRESに連通している。
ブレーキペダルBPが踏み込まれると、上記2つのマスタシリンダピストンがストロークして、上記2つの液圧室に同じマスタシリンダ圧を発生させる。このマスタシリンダ圧が、それぞれ第1ブレーキ回路1A、1Bに供給される。なお、各マスタシリンダピストンの外周にはシール部材が設けられており、ピストンストローク時には、このシール部材により各液圧室とリザーバRESとの連通が遮断されることで、各液圧室内の加圧が可能となる。このときブレーキ液は、リザーバRESから第1ブレーキ回路1A、1Bに直接供給されず、マスタシリンダM/Cの液圧室から第1ブレーキ回路1A、1Bに供給されることになる。
以下、ブレーキ液の供給側を上流とし、供給される側を下流とする。第1ブレーキ回路1Aの下流側には、左前輪FLのホイルシリンダW/Cが接続されている。第1ブレーキ回路1A上には、遮断弁6aが設けられている。
遮断弁6aは常開の電磁弁であり、ソレノイドに流される電流によりバルブ開度が比例的に変化する、いわゆる比例弁である。遮断弁6aは、コントロールユニットCUからの指令電流により開閉動作を行い、第1ブレーキ回路1Aを連通・遮断する。
第1ブレーキ回路1Bの下流側には、右前輪FRのホイルシリンダW/Cが接続されている。第1ブレーキ回路1Bの側も、第1ブレーキ回路1Aと同様に設けられている。遮断弁6bよりもマスタシリンダM/C側の第1ブレーキ回路1Bには、マスタシリンダ圧センサ12が設けられている。マスタシリンダ圧センサ12はマスタシリンダ圧を検出し、検出した値をコントロールユニットCUに入力する。
「マスタシリンダM/C→遮断弁6→ホイルシリンダW/C」により、マスタシリンダM/Cからブレーキ液をホイルシリンダW/Cに供給する第1ブレーキ回路1が形成されている。マスタシリンダ圧がホイルシリンダW/Cの液圧(ホイルシリンダ圧)より高いときは、遮断弁6を開弁することでマスタシリンダ圧をホイルシリンダW/Cに供給し、閉弁することで上記供給を遮断する。一方、ホイルシリンダ圧がマスタシリンダ圧より高いときは、遮断弁6を開弁することでホイルシリンダ圧をマスタシリンダM/Cに供給し、閉弁することで上記供給を遮断する。
リザーバRESには、第3ブレーキ回路3を介してポンプPが接続されている。ポンプPは、モータMにより駆動されるギヤポンプであり、リザーバRESからブレーキ液を吸い上げて昇圧し、高圧のポンプ圧を下流側(ホイル増圧制御弁7a〜7d)へ供給する。モータMは電動モータであり、コントロールユニットCUからの指令電流により回転数制御される。モータMとしてブラシレスDCモータを用いるが、ブラシモータやACモータ等を用いてもよい。また、ポンプPとしてプランジャポンプ等を用いてもよい。
ポンプPの下流側には第2ブレーキ回路2が接続されている。第2ブレーキ回路2には、下流側から上流側(ポンプP)へのブレーキ液の逆流を防止するチェック弁9が設けられている。
第2ブレーキ回路2は、チェック弁9の下流側で、前輪系統の第2ブレーキ回路2Aと後輪系統の第2ブレーキ回路2Bに分岐している。第2ブレーキ回路2Aの下流側は油路2a、2bに分岐している。第2ブレーキ回路2Bの下流側は油路2c、2dに分岐している。油路2a〜2dは、それぞれ車輪FL〜RRのホイルシリンダW/Cに接続されている。なお、油路2aは、遮断弁6aの下流側の第1ブレーキ回路1Aに接続され、油路2bは、遮断弁6bの下流側の第1ブレーキ回路1Bに接続されている。油路2a、2bは、それぞれ第1ブレーキ回路1A,1Bと油路の一部を共有して、前輪FL,FLのホイルシリンダW/Cに接続されている。
油路2a〜2dには、それぞれホイル増圧制御弁7a〜7dが設けられている。ホイル増圧制御弁7a〜7dは常閉の比例電磁弁であり、コントロールユニットCUからの指令電流により開閉動作を行い、それぞれ油路2a〜2d(第2ブレーキ回路2)を連通・遮断する。
「(リザーバRES→)ポンプP→ホイル増圧制御弁7a〜7d→ホイルシリンダW/C」により、ポンプPからブレーキ液をホイルシリンダW/Cに供給する第2ブレーキ回路2が形成されている。ホイル増圧制御弁7a〜7dが開弁することで、対応する車輪のホイルシリンダW/Cにポンプ圧を供給し、閉弁することで上記供給を遮断する。
第2ブレーキ回路2は、第1ブレーキ回路1に対して並列に設けられている。すなわち、ポンプPはマスタシリンダM/Cの下流側に直列に接続されているのではなく、また、第1ブレーキ回路1の制御弁(遮断弁6)と第2ブレーキ回路2の制御弁(ホイル増圧制御弁7)は別々に設けられている。よって、リザーバRESをブレーキ液源として前輪FL,FRのホイルシリンダW/Cにブレーキ液を供給する際、第1ブレーキ回路1を介した供給と第2ブレーキ回路2を介した供給とが干渉することがない。
ホイル増圧制御弁7a〜7dと各ホイルシリンダW/Cとの間の油路2a〜2dには、それぞれ油路3a〜3dが接続されている。油路3a〜3dは合流して第3ブレーキ回路3となり、リザーバRESに接続されている。油路3a〜3d上には、それぞれホイル減圧制御弁8a〜8dが設けられている。
ホイル減圧制御弁8a〜8dは比例電磁弁である。前輪側の8a、8bは常閉弁であり、後輪側の8c、8dは常開弁である。ホイル減圧制御弁8a〜8dは、コントロールユニットCUからの指令電流により開閉動作を行い、それぞれ油路3a〜3d(第3ブレーキ回路3)を連通・遮断する。
「ホイルシリンダW/C(→油路2a〜2d)→ホイル減圧制御弁8a〜8d→リザーバRES」により、ホイルシリンダW/Cからブレーキ液をリザーバRESに戻す第3ブレーキ回路3が形成されている。ホイル減圧制御弁8a〜8dが開弁することで、ブレーキ液をホイルシリンダW/CからリザーバRESに戻し、ホイルシリンダ圧を抜き減圧する。ホイル減圧制御弁8a〜8dの閉弁状態では、上記抜き減圧は行われない。
ポンプPとチェック弁9との間の第2ブレーキ回路2には、リリーフ用の油路2eの一端が接続されている。油路2eの他端は、第3ブレーキ回路3、具体的にはホイル減圧制御弁8a〜8dの下流側の油路3a〜3d(のいずれか)に接続されており、リザーバRESと連通している。油路2e上には、リリーフ弁10が設けられている。リリーフ弁10は、ポンプ圧が所定値(例えば本油圧回路の所定耐圧)以上となった場合に開弁し、ポンプPの吐出側をリザーバRESに連通させる。これによりポンプ圧をリザーバRESに開放し、ポンプ圧が上記所定値以上になることを防止する。
ホイル増圧制御弁7a〜7dと各ホイルシリンダW/Cとの間の油路2a〜2dには、ホイルシリンダ圧センサ13a〜13dが設けられている。ホイルシリンダ圧センサ13a〜13dは各車輪のホイルシリンダ圧を検出し、検出した値をコントロールユニットCUに入力する。
なお、いずれかの車輪でブレーキ失陥が発生したときは、ホイルシリンダ圧センサ13a〜13dによりこれを検出するとともに、コントロールユニットCUからの指令により、失陥が発生した前輪に対応する遮断弁6a、6bを遮断し、または失陥が発生した後輪に対応するホイル減圧制御弁8c、8dを遮断する。
前輪系統の第2ブレーキ回路2Aでは、ホイル増圧制御弁7aの上流側の油路2aに油路4aの一端が接続されている。油路4aの他端は遮断弁6aとマスタシリンダM/Cとの間の第1ブレーキ回路1Aに接続されている。油路4aは、第1ブレーキ回路1Aと油路の一部を共有してマスタシリンダM/Cに連通している。同様に、ホイル増圧制御弁7bの上流側の油路2bに油路4bの一端が接続され、その他端は遮断弁6bとマスタシリンダM/Cとの間の第1ブレーキ回路1Bに接続されている。油路4bは、第1ブレーキ回路1Bと油路の一部を共有してマスタシリンダM/Cに連通している。油路4a、4b上には、それぞれマスタ増圧制御弁17a、17bが設けられている。
マスタ増圧制御弁17a、17bは常閉の比例電磁弁であり、コントロールユニットCUからの指令電流により開閉動作を行い、それぞれ油路4a、4b(第4ブレーキ回路4)を連通・遮断する。
「(リザーバRES→)ポンプP(→第2ブレーキ回路2A)→マスタ増圧制御弁17a、17b→マスタシリンダM/C」により、ポンプPからブレーキ液をマスタシリンダM/Cに供給する第4ブレーキ回路4が形成されている。マスタ増圧制御弁17a、17bが開弁することで、マスタシリンダM/Cにポンプ圧を供給し、閉弁することで上記供給を遮断する。
ホイル減圧制御弁8a〜8dとリザーバRESとの間の第3ブレーキ回路3、具体的には左前輪FLのホイル減圧制御弁8aの下流側の油路3aには、油路5aの一端が接続されている。油路5aの他端は、遮断弁6aとマスタシリンダM/Cとの間の第1ブレーキ回路1Aに接続され、具体的にはマスタ増圧制御弁17aの下流側の油路4aに接続されている。すなわち油路5aは、(油路4aおよび)第1ブレーキ回路1Aと油路の一部を共有して、マスタシリンダM/Cに接続されている。右前輪FR側の油路5bも油路5aと同様に構成されている。油路5a、5b上には、それぞれマスタ減圧制御弁18a、18bが設けられている。
マスタ減圧制御弁18a,18bは常閉の比例電磁弁であり、コントロールユニットCUからの指令電流により開閉動作を行い、それぞれ油路5a、5b(第5ブレーキ回路5)を連通・遮断する。
「マスタシリンダM/C(→第1ブレーキ回路1A,1B)→マスタ減圧制御弁18a、18b(→第3ブレーキ回路)→リザーバRES」により、マスタシリンダM/Cからブレーキ液をリザーバRESに戻す第5ブレーキ回路5が形成されている。マスタ減圧制御弁18a、18bが開弁することでブレーキ液をマスタシリンダM/CからリザーバRESに戻し、マスタシリンダ圧を抜き減圧する。マスタ減圧制御弁18a、18bの閉弁状態では上記抜き減圧は行われない。
(制御系の構成)
コントロールユニットCUは、ストロークセンサ11、マスタシリンダ圧センサ12、ホイルシリンダ圧センサ13a〜13dから入力される各検出値、および車両側から入力される走行状態に関する各種情報に基づき、内蔵されたプログラムに従って情報処理を行う。また、処理結果に従って遮断弁6、ホイル増減圧制御弁7,8、マスタ増減圧制御弁17,18、およびモータMに制御指令を出力し、これらを制御することで、各車輪のホイルシリンダ圧およびマスタシリンダ圧を制御する。
コントロールユニットCUは、運転者のブレーキ操作に応じた制動力を前後輪に発生させる通常ブレーキ時には、第1ブレーキ回路1を連通させてマスタシリンダ圧を前輪に供給するとともにポンプPを作動し、第2ブレーキ回路2を連通させてポンプ圧を後輪に供給する。
本実施例1の油圧回路構成上、後輪側については、マスタシリンダM/CとホイルシリンダW/Cとの連通が常に断たれた状態であり、検出されたブレーキペダル操作量および各種車両情報に基づきホイルシリンダ圧を電気的に制御するブレーキ・バイワイヤBBWのシステムとなっている。よって、通常ブレーキ中、後輪の液圧制動力を回生制動力と協調して制御することが可能である(回生協調制御)。
前輪側についても、マスタシリンダM/CとホイルシリンダW/Cとの連通を遮断しつつポンプ圧を前輪のホイルシリンダW/Cに供給することで、ホイルシリンダ圧を電気的に制御するBBWの構成とすることが可能である。これにより、後輪側とともに回生協調制御を実行可能である。
このほか、自動ブレーキ制御やアンチロックブレーキ制御(以下、ABS制御)、ブレーキアシスト制御(以下、BA制御)を実行可能である。
自動ブレーキ制御は、運転者のブレーキ操作がなくても実行される液圧制御であって、先行車との安全な車間距離を確保しつつ追従走行するように自動で加減速するアダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC制御)等に適用可能であり、高度道路交通システム(Intelligent Transport Systems)にも対応可能である。また、車両旋回時に所定輪の液圧制動力を制御して車両姿勢の安定を図る車両運動制御や、急接近など衝突の危険を軽減する衝突軽減制御等において実行される。自動ブレーキ制御中は、前輪側でも、マスタシリンダM/CとホイルシリンダW/Cとの連通を遮断しつつ(前輪)ホイルシリンダ圧を電気的に制御するBBWの構成となる。
ABS制御は、運転者のブレーキ操作時に車輪がロック傾向になったことを検知すると、当該車輪につき、ロックを防止しつつ最大の液圧制動力を発生させるためにホイルシリンダ圧の減圧・保持・増圧を繰り返す。また、BA制御は、運転者の緊急ブレーキ操作時に実際にマスタシリンダで発生する圧力よりも高い圧力をホイルシリンダで発生させる制御である。
以上のようなホイルシリンダ圧の制御においては、ブレーキ操作状態に基づき運転者の要求制動力を算出する。ブレーキ操作状態は、ストロークセンサ11により検出する。なお、マスタシリンダ圧センサ12やブレーキスイッチにより検出することとしてもよい。この要求制動力(および所定の前後制動力配分特性)と、車両側から送られる走行状態に関する情報と、検出されたホイルシリンダ圧とに基づき、ホイルシリンダ圧の目標値を演算する。この目標値に基づき各ホイルシリンダW/Cに制御液圧を付与する。
ABS制御では、ホイルシリンダ圧の検出値に基づき路面μを推定し、所定のタイヤモデルに基づき、当該輪のロックを防止しつつ最大の制動力を得ることができる液圧を、ホイルシリンダ圧目標値として演算する。なお、各車輪で検出した車輪速および車輪加速度と、各車輪速に基づき推定した疑似車体速とに基づき、最適なスリップ率を実現するホイルシリンダ増減圧量を演算する周知の方法を採用してもよい。
また、コントロールユニットCUは、ポンプPやマスタ増減圧制御弁17,18の作動を制御することにより、ブレーキペダルBPの作動を能動的に制御する。通常ブレーキ(回生協調制御)時または自動ブレーキ制御(ACC制御等)時、前輪FL,FRがともにBBW構成である間に運転者によりブレーキ操作が行われたときは、マスタシリンダ圧を制御する。これによりブレーキペダルBPの作動を制御して、所望のペダル操作フィーリングを確保するとともに、車両から運転者へのインフォメーション生成を行う。また、ABS制御時にも、所定の条件下でブレーキペダルBPのストロークを制御することで、ペダル操作フィーリングを向上させる。
以下、コントロールユニットCUにて実施される制御の流れを図面に基づき説明する。
[通常ブレーキ時、自動ブレーキ制御時]
(ホイルシリンダ圧制御)
図2は、前輪FL,FRにおける、通常ブレーキ時および自動ブレーキ制御時のホイルシリンダ圧制御のフローチャートを示す。この制御フローは、前輪の各輪毎に実行される。以下、前輪FLを例にとって説明する。前輪FRについては前輪FLと同様であるため、説明を省略する。
ステップS101では、運転者のブレーキ操作状態および車両側から送られる信号に基づき、前輪FLのホイルシリンダ圧制御を開始するか否かを判断する。ホイルシリンダ圧を制御する場合、ホイルシリンダ圧目標値の入力を受けてS102へ移行する。ホイルシリンダ圧を制御しない場合、S108へ移行する。
S102では、前輪FLの遮断弁6aを閉じ、第1ブレーキ回路1Aを遮断する。その後、S103へ移行する。
S103では、ホイルシリンダ圧目標値とホイルシリンダ圧センサ13aで検出されたホイルシリンダ圧検出値とに基づき、前輪FLのホイルシリンダ圧を増圧するか否かを判断する。増圧する場合、S104へ移行し、増圧しない場合、S109へ移行する。
S104では、前輪FLのホイル増圧制御弁7aを開き、第2ブレーキ回路2(油路2a)を連通させる。また、ホイル減圧制御弁8aを閉じ、モータMをオンとし、ポンプPを駆動する。これにより、ポンプ圧が第2ブレーキ回路2を介して前輪FLのホイルシリンダW/Cに供給され、ホイルシリンダ圧が増圧される。その後、S105へ移行する。
S105では、上記ホイルシリンダ圧検出値が目標値に到達したか否かを判断する。目標値に到達した場合、S106へ移行する。到達していない場合、S104へ戻り、引き続きホイルシリンダ圧の増圧を行う。
S106では、前輪FLのホイル増圧制御弁7aを閉じ、第2ブレーキ回路2(油路2a)を遮断する。また、モータMをオフとし、ポンプPの駆動を停止して、ポンプ圧によるホイルシリンダ圧の増圧を終了する。その後、S107へ移行する。
S107では、運転者のブレーキ操作状態および車両側から送られる信号に基づき、前輪FLのホイルシリンダ圧を引き続き制御するか否かを判断する。制御を続ける場合、ホイルシリンダ圧目標値の入力を受けてS103へ戻る。制御を終了する場合、S108へ移行する。
S108では、前輪FLの遮断弁6aを開き、ホイル増圧制御弁7aを閉じ、ホイル減圧制御弁8aを閉じ、モータMをオフとする。これにより、運転者のブレーキ操作に応じたマスタシリンダ圧が第1ブレーキ回路1Aを介して前輪FLのホイルシリンダW/Cに供給される状態とする。これにより、制御フローを終了する。
S109では、ホイルシリンダ圧目標値とホイルシリンダ圧検出値とに基づき、前輪FLのホイルシリンダ圧を減圧するか否かを判断する。減圧する場合、S110へ移行し、減圧しない場合、S113へ移行する。
S110では、前輪FLのホイル増圧制御弁7aを閉じ、第2ブレーキ回路2(油路2a)を遮断する。また、ホイル減圧制御弁8aを開き、リザーバRESと前輪FLのホイルシリンダW/Cとを連通させ、ホイルシリンダ圧をリザーバRESに抜き減圧する。その後、S111へ移行する。
S111では、ホイルシリンダ圧検出値が目標値に到達したか否かを判断する。目標値に到達した場合、S112へ移行する。到達していない場合、S110へ戻り、引き続きホイルシリンダW/Cの減圧を行う。
S112では、ホイル減圧制御弁8aを閉じ、リザーバRESと前輪FLのホイルシリンダW/Cとの間を遮断することで、ホイルシリンダ圧の減圧を終了する。その後、上記S107へ移行する。
S113では、前輪FLのホイルシリンダ圧を増圧も減圧もしない、すなわち保持する。ホイル増圧制御弁7aを閉じて第2ブレーキ回路2(油路2a)を遮断し、ホイル減圧制御弁8aを閉じる。すでにS102において遮断弁6aも閉じられている。よって、前輪FLのホイルシリンダW/C内のブレーキ液は、遮断弁6aとホイル増圧制御弁7aとホイル減圧制御弁8aとにより封じ込められることとなり、ホイルシリンダ圧が保持される。その後、上記S107へ移行する。
なお、BA制御における前輪ホイルシリンダ圧制御の流れも上記と同様であるため、以下、相違点のみ説明する。S101でBA制御の開始を判断後、S102へ移行する前にまず、遮断弁6を開き、かつホイル減圧制御弁8を閉じた状態で、ホイル増圧制御弁7を開き、モータMをオンとしてポンプPを駆動する。そして、ホイルシリンダ圧がマスタシリンダ圧以上に増圧されると、S102へ移行し、遮断弁6を閉じてから、上記S103〜S113と同様のフローによりホイルシリンダ圧を制御する。
このように前輪ホイルシリンダ圧がマスタシリンダ圧以上になると遮断弁6を閉じる。これにより、ホイルシリンダW/CからマスタシリンダM/Cへのブレーキ液の逆流を防止してホイルシリンダ圧の増圧速度の低下を抑制できるとともに、ブレーキペダルBPのキックバックを防止できる。
図3は、後輪RL,RRにおけるホイルシリンダ圧制御のフローチャートを示す。後輪側の制御フローは、遮断弁6を制御するステップS102がない点を除き、前輪側(図2)と同様である。すなわち、S101でホイルシリンダ圧の制御開始を判断した後、そのままS103の増圧判断ステップに移行する。また、S108aでは遮断弁6を制御しない。その他のステップは前輪側と同様であるため、説明を省略する。
この制御フローは、通常ブレーキ時や自動ブレーキ制御時に限らず、ABS制御時やBA制御時でも後輪側のホイルシリンダ圧制御において実行される、共通のものである。
(マスタシリンダ圧制御)
次に、ブレーキペダルBPの能動制御(以下、ペダル能動制御)であるマスタシリンダ圧制御の流れを図4のフローチャートに基づき説明する。
ステップS201では、運転者のブレーキ操作状態および車両側から送られる信号に基づき、マスタシリンダ圧制御を開始するか否かを判断する。マスタシリンダ圧を制御する場合、マスタシリンダ圧目標値の入力を受けてS202へ移行する。マスタシリンダ圧を制御しない場合、S207へ移行する。
具体的には、通常ブレーキ(回生協調制御)時または自動ブレーキ制御(ACC制御等)時、前輪FL,FRの第1ブレーキ回路1A,1Bをともに遮断した状態で第2ブレーキ回路2を介して両輪FL,FRのホイルシリンダ圧を制御している間(両輪BBW構成)、運転者によりブレーキ操作が行われたとき、マスタシリンダ圧制御を実行する。マスタシリンダ圧目標値は、ストロークセンサ11で検出されるペダルストロークと内蔵されるプログラムとに基づき後述するように設定される。
S202では、マスタシリンダ圧目標値とマスタシリンダ圧センサ12で検出されたマスタシリンダ圧検出値とに基づき、マスタシリンダ圧を増圧するか否かを判断する。増圧する場合、S203へ移行し、増圧しない場合、S208へ移行する。
S203では、マスタ増圧制御弁17a,17bをともに開き、第4ブレーキ回路4(油路4a、4b)を連通させる。また、マスタ減圧制御弁18a,18bをともに閉じ、モータMをオンとし、ポンプPを駆動する。これにより、ポンプ圧が第4ブレーキ回路4を介してマスタシリンダM/Cに供給され、マスタシリンダ圧が増圧される。その後、S204へ移行する。
S204では、マスタシリンダ圧検出値が目標値に到達したか否かを判断する。目標値に到達した場合、S205へ移行する。到達していない場合、S203へ戻り、引き続きマスタシリンダM/Cの増圧を行う。
S205では、マスタ増圧制御弁17a,17bをともに閉じ、第4ブレーキ回路4(油路4a、4b)を遮断する。また、(ホイルシリンダ圧の増圧制御を行わない場合には)モータMをオフとし、ポンプPの駆動を停止して、ポンプ圧によるマスタシリンダ圧の増圧を終了する。その後、S206へ移行する。
なお、モータMのオン制御時、モータ目標回転数は、マスタシリンダ圧およびホイルシリンダ圧の各増圧分の液量を加算した量をポンプPが吐出できる値に設定される。よって、マスタシリンダ圧の増圧制御は行わずホイルシリンダ圧の増圧制御を行っている場合には、モータMはオフとされず、ホイルシリンダ圧のみの増圧に必要なモータ回転数に制御される(以下、同様)。
S206では、運転者のブレーキ操作状態および車両側から送られる信号に基づき、マスタシリンダ圧を引き続き制御するか否かを判断する。制御を続ける場合、マスタシリンダ圧目標値の入力を受けてS202へ戻る。前輪側のホイルシリンダ圧制御を終了する等によりマスタシリンダ圧制御を終了する場合、S207へ移行する。
S207では、マスタ増圧制御弁17a,17bおよびマスタ減圧制御弁18a,18bを全て閉じ、(ホイルシリンダ圧の増圧制御を行わない場合には)モータMをオフとする。すなわち、マスタシリンダM/CをポンプPからもリザーバRESからも遮断し、ポンプPを停止する。これにより、マスタシリンダ圧制御のフローを終了する。
S208では、マスタシリンダ圧目標値とマスタシリンダ圧検出値とに基づき、マスタシリンダ圧を減圧するか否かを判断する。減圧する場合、S209へ移行し、減圧しない場合、S212へ移行する。
S209では、マスタ増圧制御弁17a,17bをともに閉じ、第4ブレーキ回路4(油路4a、4b)を遮断する。(ホイルシリンダ圧の増圧制御を行わない場合には)モータMをオフとしポンプPを停止させる。また、マスタ減圧制御弁18a,18bをともに開き、リザーバRESとマスタシリンダW/Cとを連通させ、第5ブレーキ回路5(油路5a、5b)を介してマスタシリンダ圧をリザーバRESに抜き減圧する。その後、S210へ移行する。
S210では、マスタシリンダ圧検出値が目標値に到達したか否かを判断する。目標値に到達した場合、S211へ移行する。到達していない場合、S209へ戻り、引き続きマスタシリンダM/Cの減圧を行う。
S211では、マスタ減圧制御弁18a,18bをともに閉じ、リザーバRESとマスタシリンダM/Cとの間を遮断することで、マスタシリンダ圧の減圧を終了する。その後、上記S206へ移行する。
S212では、マスタシリンダ圧を増圧も減圧もしない、すなわち保持する。マスタ増圧制御弁17a,17bおよびマスタ減圧制御弁18a,18bを全て閉じる。すでにホイルシリンダ圧制御において遮断弁6a、6bも閉じられている(図2のS102)。よって、マスタシリンダM/C内のブレーキ液は、遮断弁6とマスタ増圧制御弁17とマスタ減圧制御弁18とにより封じ込められることとなり、マスタシリンダ圧が保持される。(なお、ホイルシリンダ圧の増圧制御を行わない場合には、モータMをオフとしポンプPを停止させる。)その後、上記S206へ移行する。
なお、上記マスタシリンダ圧の増圧・減圧フロー(S203,S209)では、マスタ増圧制御弁17a,17bの両方を同時に開閉制御し、またはマスタ減圧制御弁18a,18bの両方を同時に開閉制御することとしたが、マスタ増圧制御弁17a,17bのいずれか一方を開閉制御し、またはマスタ減圧制御弁18a,18bのいずれか一方を開閉制御することとしてもよい。なお、後者よりも前者のほうがマスタシリンダ圧制御の応答性を向上でき、また制御範囲が拡大する。
図5は、マスタシリンダ圧目標値を設定する際に参照される、マスタシリンダ圧とペダルストロークとの相関特性を示す。マスタシリンダ圧は、ペダルストローク量が少ないときは小さな上昇勾配で、ペダルストローク量が多いときは大きな上昇勾配で、ペダルストローク量に応じてゼロから上昇していく。この特性は、通常ブレーキ時(第2ブレーキ回路2を遮断して第1ブレーキ回路1を連通させた状態)において、運転者のブレーキ操作に応じたマスタシリンダ圧を前輪ホイルシリンダW/Cに供給してホイルシリンダ圧を増圧するときに実現される特性であり、実験等により予め求められている。
マスタシリンダ圧を制御する際、検出されるペダルストロークに対応したマスタシリンダ圧をマスタシリンダ圧目標値として上記特性に応じて設定する。これにより、通常ブレーキ(回生協調制御)時または自動ブレーキ制御時、左右前輪FL,FRの第1ブレーキ回路1がともに遮断された状態で運転者によりブレーキ操作が行われたときにも、通常ブレーキ時(第2ブレーキ回路2を遮断して第1ブレーキ回路1を連通させた状態)と同じペダルストローク−マスタシリンダ圧特性を実現する。
また、車両側から運転者へ情報を伝達する場合は、基準となるマスタシリンダ圧(基準圧力)に対してマスタシリンダ圧(目標値)を時間的に変動させることでインフォメーションを生成する。この場合、上記図5の特性により設定したマスタシリンダ圧目標値に基づき基準圧力を作成してもよい。具体的には、上記マスタシリンダ圧制御中のある時点でのマスタシリンダ圧目標値を基準圧力とする。コントロールユニットCUは、ストロークセンサ11、マスタシリンダ圧センサ12、ホイルシリンダ圧センサ13の検出値、および車両から送られる走行状態に関する情報と、内蔵されるプログラムとに基づき、インフォメーション生成時のマスタシリンダ圧目標値を算出する。
図6は、インフォメーション生成時のマスタシリンダ圧(目標値)のタイムチャートを示す。図6(a)の例では、所定の時間間隔で、基準圧力よりも高いパルス状のマスタシリンダ圧を繰り返し発生させる。図6(b)の例では、所定の時点t1から、基準圧力よりも高い所定圧に向けて徐々にマスタシリンダ圧を変化させる。これらのマスタシリンダ圧の変動により、運転者はブレーキペダルBPを通じてマスタシリンダ圧変動を認識することとなり、車両側から運転者へ情報を伝達することが可能となる。
[ABS制御時]
ABS制御開始時のペダルストロークが所定値So以上である場合、運転者の石踏み感が発生するおそれがないため、前輪側では第1ブレーキ回路1を遮断し、第2ブレーキ回路2を介してホイルシリンダ圧を増減圧制御する。また、マスタ圧増減圧制御弁17、18を閉じて、マスタシリンダ圧制御を実行しない。ここで石踏み感とは、運転者によるブレーキペダルBPの踏み込みに応じてブレーキペダルBPがストロークせず、運転者に違和感を与えることを言う。
一方、ABS制御開始時のペダルストロークが所定値So未満の場合、前輪側では第2ブレーキ回路2を遮断し、第1ブレーキ回路1を介してマスタシリンダ圧をホイルシリンダへ供給可能とする。これにより、ブレーキペダルBPが運転者のブレーキ操作に応じてストローク可能となり、石踏み感が防止される。
しかし、この場合、ホイルシリンダ増圧時にはマスタシリンダM/CからホイルシリンダW/Cへブレーキ液を供給する一方、ホイルシリンダ減圧時にはこのブレーキ液をホイルシリンダW/CからリザーバRESへ戻す。このため、増減圧を繰り返すと、マスタシリンダM/C(制御対象輪に対応する加圧室)のブレーキ液量が少なくなってマスタシリンダピストンがそれ以上ストロークできない、いわゆるマスタシリンダM/Cの底付きが発生するおそれがある。
よって、この場合にはマスタシリンダ圧を制御することで、上記底付きを防止する。すなわち、ホイルシリンダ圧の減圧後にポンプPを作動させ、第4ブレーキ回路4を介して上記減圧量に相当するブレーキ液量をマスタシリンダM/Cに供給する。これによりマスタシリンダピストンが押し戻され、マスタシリンダM/Cの底付きが防止される。
(ホイルシリンダ圧制御)
図7〜図9は、前輪FL,FRにおける、ABS制御時のホイルシリンダ圧制御およびマスタシリンダ圧制御のフローチャートを示す。この制御フローは、前輪の各輪毎に実行される。以下、前輪FLを例にとって説明する。前輪FRについては前輪FLと同様であるため、説明を省略する。
ステップS301では、ABS制御を実行するか否かを判断する。ABS制御を実行する場合、ホイルシリンダ圧目標値の入力を受けてS302へ移行し、実行しない場合、S328(図9)へ移行する。
S302では、ストロークセンサ11で検出されたペダルストロークが所定値So以上であるか否かを判断する。So以上である場合、S303へ移行し、So未満の場合、S314(図8)へ移行する。ここで所定値Soは、運転者が石踏み感を感じない程度のペダルストローク量の下限値であり、例えば30~40mm以上に設定されている。
S303では、ABS制御の対象となる前輪FLの遮断弁6aを閉じ、第1ブレーキ回路1Aを遮断する。また、前輪FLのマスタ増圧制御弁17aおよびマスタ減圧制御弁18aを閉じる。その後、S304へ移行する。
S304では、別途演算されたホイルシリンダ圧目標値とホイルシリンダ圧検出値とに基づき、前輪FLのホイルシリンダ圧を増圧するか否かを判断する。増圧する場合、S305へ移行し、増圧しない場合、S309へ移行する。
S305では、前輪FLのホイル増圧制御弁7aを開き、第2ブレーキ回路2(油路2a)を連通させる。また、前輪FLのホイル減圧制御弁8aを閉じ、モータMをオンとし、ポンプPを駆動する。これにより、ポンプ圧が第2ブレーキ回路2(油路2a)を介してホイルシリンダW/Cに供給され、ホイルシリンダ圧が増圧される。その後、S306へ移行する。
S306では、ホイルシリンダ圧検出値が目標値に到達したか否かを判断する。目標値に到達した場合、S307へ移行し、到達していない場合、S305へ戻り、引き続きホイルシリンダW/Cの増圧を行う。
S307では、前輪FLのホイル増圧制御弁7aを閉じ、第2ブレーキ回路2(油路2a)を遮断する。また、モータMをオフとし、ポンプPの駆動を停止して、ポンプ圧によるホイルシリンダ圧の増圧を終了する。その後、S308へ移行する。
S308では、前輪FLのホイルシリンダ圧を引き続き制御するか否かを判断する。制御を終了しないと判断すれば、S304へ戻る。制御終了と判断すれば、S328へ移行する。
S309では、ホイルシリンダ圧目標値とホイルシリンダ圧検出値とに基づき、前輪FLのホイルシリンダ圧を減圧するか否かを判断する。減圧する場合、S310へ移行し、減圧しない場合、S313へ移行する。
S310では、前輪FLのホイル増圧制御弁7aを閉じ、第2ブレーキ回路2(油路2a)を遮断する。また、ホイル減圧制御弁8aを開き、リザーバRESと前輪FLのホイルシリンダW/Cとを連通させ、ホイルシリンダ圧をリザーバRESに抜き減圧する。その後、S311へ移行する。
S311では、ホイルシリンダ圧検出値が目標値に到達したか否かを判断する。目標値に到達した場合、S312へ移行する。到達していない場合、S310へ戻り、引き続きホイルシリンダW/Cの減圧を行う。
S312では、前輪FLのホイル減圧制御弁8aを閉じ、リザーバRESとホイルシリンダW/Cとの間を遮断することで、前輪FLにおけるホイルシリンダ圧の減圧を終了する。その後、上記S308へ移行する。
S313では、前輪FLのホイルシリンダ圧を増圧も減圧もしない、すなわち保持する。具体的には、ホイル増圧制御弁7aおよびホイル減圧制御弁8aを閉じる。すでにS303において遮断弁6aも閉じられている。よって、前輪FLのホイルシリンダW/C内のブレーキ液は、遮断弁6aとホイル増圧制御弁7aとホイル減圧制御弁8aとにより封じ込められることとなり、ホイルシリンダ圧が保持される。その後、上記S308へ移行する。
ペダルストロークが所定値So未満の場合、S314以降のステップ(図8)に進む。まず、S314では、ABS制御の対象となる前輪FLのホイル増圧制御弁7aを閉じ、第2ブレーキ回路2(油路2a)を遮断する。また、前輪FLのマスタ増圧制御弁17aおよびマスタ減圧制御弁18aを閉じる。その後、S315へ移行する。
S315では、S304と同様、前輪FLのホイルシリンダ圧を増圧するか否かを判断する。増圧する場合、S316へ移行し、増圧しない場合、S320へ移行する。
S316では、前輪FLの遮断弁6aを開き、ホイル減圧制御弁8aを閉じ、モータMをオフとする。これにより第1ブレーキ回路1Aを介してマスタシリンダ圧が前輪FLのホイルシリンダW/Cに供給され、ホイルシリンダ圧が増圧される。このとき、マスタシリンダ圧がホイルシリンダW/Cに供給されることで、運転者により踏まれているブレーキペダルBPのストロークが可能となる。その後、S317へ移行する。
S317では、S306と同様、ホイルシリンダ圧検出値が目標値に到達したか否かを判断する。目標値に到達した場合、S318へ移行し、到達していない場合、S316へ戻り、引き続きホイルシリンダ圧の増圧を行う。
S318では、前輪FLの遮断弁6aを閉じ、第1ブレーキ回路1Aを遮断して、マスタシリンダ圧によるホイルシリンダ圧の増圧を終了する。その後、S319へ移行する。
S319では、S308と同様、前輪FLのホイルシリンダ圧を引き続き制御するか否かを判断する。制御終了と判断しなければ、S315へ戻って制御を続ける。制御終了と判断すれば、S328へ移行する。
S320では、S309と同様、前輪FLのホイルシリンダ圧を減圧するか否かを判断する。減圧する場合、S321へ移行し、減圧しない場合、S327へ移行する。
S321では、前輪FLの遮断弁6aを閉じ、第1ブレーキ回路1Aを遮断する。また、ホイル減圧制御弁8aを開き、前輪FLのホイルシリンダ圧をリザーバRESに抜き減圧する。その後、S322へ移行する。
S322では、S311と同様、ホイルシリンダ圧検出値が目標値に到達したか否かを判断する。目標値に到達した場合、S323へ移行する。到達していない場合、S321へ戻り、引き続きホイルシリンダ圧の減圧を行う。
S323では、ホイル減圧制御弁8aを閉じ、リザーバRESと前輪FLのホイルシリンダW/Cとの間を遮断することで、ホイルシリンダ圧の減圧を終了する。その後、S324〜S326へ移行してマスタシリンダ圧を制御する。
S324では、マスタ圧増圧制御弁17aを開き、第4ブレーキ回路4(油路4a)を連通させる。なお、マスタ圧減圧制御弁18aは閉じられ、第5ブレーキ回路5は遮断されている。また、モータMをオンとしてポンプPを駆動する。これにより、第4ブレーキ回路4(油路4a)を介してポンプ圧がマスタシリンダM/C(前輪FLに対応する加圧室)に供給される。その後、S325へ移行する。
S325では、ペダルストローク検出値が目標値に到達したか否かを判断する。目標値に到達した場合、S326へ移行し、到達していない場合、S324へ戻り、引き続きペダルストロークを低減させる。
ここで、ペダルストロークの目標値S*は、次式により算出する。
S*=S1−ΔQ/Am×rp
上式で、S1はS321〜S323の減圧処理が終了した時点でのペダルストローク検出値であり、ΔQは、S321〜S323で減圧したホイルシリンダ減圧量に相当するブレーキ液量である。また、AmはマスタシリンダM/Cの断面積(マスタシリンダピストンの受圧面積)であり、rpはブレーキペダルBPのペダル比である。
すなわち、ΔQがマスタシリンダM/Cに戻ったと仮定したときのペダルストロークの低減分だけ、減圧終了時のペダルストロークS1を(戻し側に)オフセットさせて、これを目標値S*とする。ペダルストロークが目標値S*となるようにマスタ圧増圧制御弁17aを開制御することで、減圧分のブレーキ液量ΔQがマスタシリンダM/Cに補充される。
図10は、ΔQを算出する際に参照される、ホイルシリンダW/Cの液圧−液量特性を示す。すなわち、ホイルシリンダ圧とホイルシリンダ液量(ブレーキ液量)との間には、図10に示されるような関係がある。この特性は実験や計算により求めることができる。ホイルシリンダ圧の減圧量が決まれば、それに対応する液量ΔQが一義的に決定される。
S326では、マスタ増圧制御弁17aを閉じ、第4ブレーキ回路4を遮断する。また、モータMをオフとしてポンプPの駆動を停止し、ポンプ圧によるペダルストロークの低減制御を終了する。その後、上記S319へ移行する。
S327では、前輪FLのホイルシリンダ圧を増圧も減圧もせず、保持する。遮断弁6aを閉じて第1ブレーキ回路1Aを遮断し、ホイル減圧制御弁8aを閉じる。すでにS314においてホイル増圧制御弁7aも閉じられている。よって、前輪FLのホイルシリンダW/C内のブレーキ液は、遮断弁6aとホイル増圧制御弁7aとホイル減圧制御弁8aとにより封じ込められることとなり、ホイルシリンダ圧が保持される。その後、上記S319へ移行する。
ホイルシリンダ圧制御を終了する場合、S328(図9)へ移行する。S328では、前輪FLにおいて、遮断弁6aを開き、ホイル増圧制御弁7aを閉じ、ホイル減圧制御弁8aを閉じ、モータMをオフとする。また、マスタ圧増圧制御弁17aおよびマスタ圧減圧制御弁18aを閉じる。これにより、第1ブレーキ回路1Aを介してマスタシリンダ圧がホイルシリンダ5に供給される通常ブレーキ状態に戻る。これにより、制御フローを終了する。
なお、ABS制御時の後輪RL,RRにおけるホイルシリンダ圧制御フローは、通常ブレーキ時等(図3)と同様であるため、省略する。
図11は、ABS制御中に上記マスタシリンダ底付き防止制御を行う際の、ペダルストロークの時間変化を示すタイムチャートである。上記のように、ペダルストロークをS1からS*へ制御する際(S324〜S326)、マスタ増圧制御弁17a,17bやモータMを制御して、ペダルストロークの時間変化を任意に調整することが可能である。図11(a)は本実施例1、図11(b)は他の例のタイムチャートである。
本実施例1では、マスタ増圧制御弁17a,17bは比例弁である。このため、その開度を緩やかに変化させ、徐々に開くことで、ブレーキ液をマスタシリンダM/Cに徐々に供給する。これにより、図11(a)に示すように、ペダルストロークの時間変化が滑らかになり、本制御中のペダルフィーリングが向上される。
なお、マスタ増圧制御弁17a,17bとしてオン・オフ弁を用いた場合、その開度が急速に変化し、素早く開くため、ブレーキ液がマスタシリンダM/Cに速やかに供給される。この場合、図11(b)に示すように、ペダルストロークの時間変化が急峻となる。よって、従来のABS制御において発生するのと同等のペダルフィーリングが得られる。また、マスタ増圧制御弁17a,17bの構造を単純化できる。これら図11(a)(b)の2通りに限られず、ABS制御中のペダルフィーリングを任意に調整することができる。
(従来例と対比した作用効果)
上記特許文献1に記載されたブレーキ制御装置(以下、従来例という)は、ストロークシミュレータを備えている。一般にストロークシミュレータは、運転者のブレーキペダル踏み込みにより発生するマスタシリンダ圧を吸収しペダルフィーリング(ペダルストロークおよびペダル踏力)を確保する。
従来例のストロークシミュレータは、マスタシリンダ圧を受けるピストンと、ボールねじを介してピストンに接続された電動モータとを備え、運転者のブレーキペダル踏み込みによりマスタシリンダ圧が発生すると、マスタシリンダ圧を受けるピストンが変位して、モータが回転する。そこで、モータに接続されたLCR回路の電気的負荷(インピーダンス)またはモータ電流を調整し、モータの回転抵抗または反力を変えることで、ブレーキペダルへの反力を調整し、ブレーキペダルフィーリングの確保および変更を可能としている。
しかし、上記従来例では、ブレーキペダルの作動を能動的に制御するために電動モータ付のストロークシミュレータ等を別途設ける必要があり、ブレーキ制御装置全体が大型化する、という問題がある。
これに対し、本実施例1のブレーキ制御装置は、電動モータやストロークシミュレータ等の特別なペダルフィーリング確保手段は設けられておらず、ホイルシリンダ増圧用として従来から備えられたポンプPの発生液圧をマスタシリンダM/Cにも与えることで、ブレーキペダルBPの作動を能動的に制御する。よって、特別なペダルフィーリング確保手段を別途設ける必要がない。例えば、マスタ増圧制御弁17等の電磁弁だけを別途備えればよく、これらの開閉作動を制御することでブレーキペダルBPの作動を能動的に制御できる。したがって、装置全体の大型化を抑制することができる。
また、上記従来例では、ブレーキペダルの作動を制御可能に構成された上記ストロークシミュレータを、(完全な)BBWでないシステム、すなわち倍力装置を備えてブレーキペダル踏力によりホイルシリンダ圧を増加するブレーキ装置に適用した場合、以下のような問題が発生する。
(i)マスタシリンダ圧は、倍力装置がない場合に比べ、倍力装置の分だけ約8〜9倍程度に高圧化する。よって、この高圧のマスタシリンダ圧に対応するため、ボールねじやモータが大型化し、すなわちストロークシミュレータ自体が大型化し、車両への搭載が困難となる。
(ii)高圧のマスタシリンダ圧により、ストロークシミュレータのピストンのシールフリクションが増加するため、ストロークシミュレータの耐久性が低下するだけでなく、制御時のピストンの応答遅れが生じて制御性が悪化するおそれがある。
これに対し、本実施例1のブレーキ制御装置では、倍力装置BSが設けられているものの、マスタシリンダ圧制御用としては、ホイル増減圧制御弁7,8と同様の構成であるマスタ増減圧制御弁17,18を、ホイルシリンダ圧制御用の油圧回路に追加するだけでよい。よって、従来例と比べ、倍力装置BSで高圧化されたマスタシリンダ圧の制御のために必要なサイズアップが大幅に抑制でき、車両への搭載が簡易化される。また、良好な制御性を確保できる。
すなわち、ホイルシリンダ圧制御に用いられるホイル増圧制御弁7やホイル減圧制御弁8は、倍力装置BSで高圧化されたマスタシリンダ圧が加わるホイルシリンダW/Cの液圧制御に対応した制御弁である。これらのバルブはいわゆる電磁弁であることから、受圧面積は小さく、サイズ的には小型化が可能である。また応答性がよく、高圧時にも良好な制御性を実現できる。例えば、開弁すればすぐにブレーキ液が抜ける。ここで、マスタ増圧制御弁17やマスタ減圧制御弁18にも同様に、倍力装置BSで高圧化されたマスタシリンダ圧が加わる。よって、ホイル増圧制御弁7やホイル減圧制御弁8と同様の構成とすれば、高圧化されたマスタシリンダ圧の制御に対応しつつ、小型化が可能であり、良好な制御性を実現できる。
なお、ポンプPも、倍力装置BSで高圧化されたマスタシリンダ圧が加わるホイルシリンダW/Cの液圧制御に対応している。よって、従来と同様のポンプPの構成で、倍力装置BSで高圧化されたマスタシリンダ圧の制御に対応でき、良好な制御性を確保できる。
以上のように、マスタ増減圧制御弁17,18およびポンプPは、何れも倍力装置BSで高圧化されたマスタシリンダ圧の制御に対応していることから、従来例と比べ、高圧のマスタシリンダ圧制御時でも良好な制御性を確保しつつ、ブレーキ装置全体の大型化を抑制できる。
[実施例1の効果]
以下、本実施例1から把握される本発明のブレーキ制御装置の作用効果を列挙する。
(1)本発明のブレーキ制御装置は、運転者がブレーキ操作を行うためのブレーキ操作部材(ブレーキペダルBP)と、ホイルシリンダW/Cと、ブレーキ操作部材に連結し、ブレーキ操作部材の作動に応じてブレーキ液をホイルシリンダW/Cへ送り出すマスタシリンダM/Cと、マスタシリンダM/Cとは別に設けられ、ブレーキ液圧を発生させる液圧源(ポンプP)と、ブレーキ操作部材の作動を能動的に制御することが必要であるか否かを判断する能動制御判断部(図4のS201,202,206,208)と、能動制御判断部の判断に応じて液圧源が発生した液圧をマスタシリンダM/Cに与えてブレーキ操作部材の作動をコントロールする能動制御(S203,204,209,210等)を行うコントロールユニットCUと、を有することとした。
言い換えれば、運転者がブレーキ操作を行うためのブレーキ操作装置(ブレーキペダルBP、マスタシリンダM/C)と、ブレーキ操作装置とは別に設けられ、ホイルシリンダ圧の制御に用いられる液圧源(ポンプP)と、液圧源を制御するコントロールユニットCUと、ブレーキ操作装置の作動を能動的に制御することが必要であるか否かを判断する能動制御判断部(図4のS201,202,206,208)と、を備え、コントロールユニットCUは、能動制御判断部の判断に応じて、液圧源が発生した液圧によりブレーキ操作装置の作動を制御する能動制御(S203,204,209,210等)を行うこととした。
このように、ブレーキ操作部材(ブレーキ操作装置)の作動を能動的に制御するために、ホイルシリンダ増圧用として従来から備えられた液圧源(ポンプP)の発生液圧を利用する。よって、電動モータやストロークシミュレータ等の特別な手段を設ける必要がない。したがって、ブレーキ操作部材(ブレーキ操作装置)を能動的に制御しつつ、ブレーキ制御装置全体の大型化を抑制し、小型化を図ることができる、という効果を有する。
(2)上記液圧源はポンプPであり、ポンプPは、マスタシリンダM/Cを介さずにブレーキ液を吸入することとした。
このように、ブレーキ操作部材(ブレーキ操作装置)の能動制御を行うに当たり、ポンプPの吸入元と制御対象(ポンプPの供給先)とを分けることでこれらの干渉が防止され、制御性が向上する、という効果を有する。
(3)具体的には、マスタシリンダM/Cの上流にリザーバRESを設け、ポンプPはリザーバRESからブレーキ液を吸入することとした。
よって、上記(2)の効果に加え、以下のような効果を得ることができる。すなわち、このリザーバRESと前輪のホイルシリンダW/Cとを連通させてホイルシリンダ減圧回路(第3ブレーキ回路3)を設ければ、ホイルシリンダ圧を減圧する際、ブレーキ液がマスタシリンダM/Cの加圧室に戻されることなく、リザーバRES(マスタシリンダMCの背圧側)に抜ける。このため、減圧時にブレーキペダルBPの押し戻され感が生じず、運転者に違和感を与えない。ABS制御等における減圧時も同様であり、運転者に違和感を与えることなくペダルフィーリングを良好に確保できる。
また、マスタシリンダM/Cの加圧側へブレーキ液を戻す構成の従来の液圧ユニットでは、通常、マニュアル加圧回路(第1ブレーキ回路1に相当)を連通・遮断する弁(遮断弁6に相当)と並列に、マスタシリンダM/Cへ向かうブレーキ液の流れのみを許容するチェック弁を設け、前輪ホイルシリンダW/Cの抜き減圧を円滑にしている。これに対し、マスタシリンダM/Cの背圧側にブレーキ液を抜く上記減圧回路を設ければ、迅速な抜き減圧が可能であるため、上記チェック弁が不要となる。よって、液圧ユニットHU1を簡素化・小型化し、コストダウンを図ることができる。
(4)マスタシリンダ圧を検出するマスタシリンダ圧センサ12を有し、コントロールユニットCUは、検出されたマスタシリンダ圧が、設定した目標マスタシリンダ圧と一致するように上記能動制御を実行することとした。
すなわち、マスタシリンダ圧は、ブレーキ操作部材(ブレーキ操作装置)の作動と連動し、ブレーキ操作フィーリング(操作量および操作力)を直接反映する。このマスタシリンダ圧を用いてブレーキ操作部材(ブレーキ操作装置)を制御することで、制御が容易に行える、という効果を有する。
(5)ブレーキ操作部材(ブレーキペダルBP)の操作量を検出するブレーキ操作量検出手段(ストロークセンサ11)を備え、コントロールユニットCUは、ブレーキ操作量検出手段の検出値(ペダルストローク)に基づいて目標マスタシリンダ圧(マスタシリンダ圧目標値)を演算することとした。
例えば(第2ブレーキ回路2を遮断して第1ブレーキ回路1を連通させた)通常ブレーキ時のペダルストローク−マスタシリンダ圧特性(図5)を予め設定し、この特性を参照して、検出されたペダルストロークに応じたマスタシリンダ圧目標値を演算する。このように設定したマスタシリンダ圧目標値とマスタシリンダ圧検出値が一致するように制御することで、ブレーキ操作部材(ブレーキ操作装置)を上記通常ブレーキ時の特性に沿って精度よく制御できる、という効果を有する。
(6)運転者のブレーキ操作中、コントロールユニットCUは、所定のマスタシリンダ圧を基準マスタシリンダ圧として設定し、基準マスタシリンダ圧に対して所定の圧力を加減算して目標マスタシリンダ圧を設定することとした。
すなわち、運転者のブレーキ操作中、マスタシリンダ圧を基準圧力に対して時間的に変動させ、ブレーキペダルBPを通じて運転者にこの圧力変動を伝達する。これにより、車両側から運転者へのインフォメーションを任意に生成できる、という効果を有する。
(7)マスタシリンダM/Cは運転者のブレーキ操作力を増幅させる倍力機構(倍力装置BS)を介して作動することとした。
このように倍力機構を有するため、マスタシリンダM/Cによって容易にホイルシリンダW/Cを加圧することができる。よって、運転者のブレーキ操作力によってのみ、液圧制動力を発生できる。また、ストロークシミュレータ等ではなく、従来から備えられているホイルシリンダ増圧用の液圧源(ポンプP)の発生液圧を利用してマスタシリンダ圧を制御するため、倍力装置BSで高圧化されたマスタシリンダ圧の制御のために必要なサイズアップを大幅に抑制でき、車両への搭載を簡易化できる。また、良好な制御性を確保できる、という効果を有する。
(8)ブレーキ操作部材(ブレーキペダルBP)に連結し、ブレーキ操作部材の作動に応じてブレーキ液をホイルシリンダW/Cへ送り出すマスタシリンダM/Cと、マスタシリンダM/Cを作動させる倍力装置BSと、倍力装置BSにより昇圧されたブレーキ液をホイルシリンダW/Cに供給する第1ブレーキ回路1と、倍力装置BSとは別に設けられ、低圧部(リザーバRES)のブレーキ液を吸入して昇圧させるための液圧源(ポンプP)と、第1ブレーキ回路1に対して並列に設けられ、液圧源により昇圧されたブレーキ液をホイルシリンダW/Cに供給する第2ブレーキ回路2と、ホイルシリンダW/Cと低圧部とを連通する第3ブレーキ回路3と、ホイル増圧制御弁7よりも液圧源側の第2ブレーキ回路2とマスタシリンダM/Cとを連通する第4ブレーキ回路4と、各制御弁および液圧源の作動を制御するコントロールユニットCUと、を備え、コントロールユニットCUは、第2ブレーキ回路2または第3ブレーキ回路3を介してホイルシリンダ圧を制御するとともに、ホイルシリンダ圧制御中、第4ブレーキ回路4を介してマスタシリンダ圧を制御することとした。
具体的には、第1ブレーキ回路1中に設けられ、マスタシリンダM/CとホイルシリンダW/Cとの間を断接する遮断弁6と、第2ブレーキ回路2中に設けられ、液圧源とホイルシリンダW/Cとの間を断接するホイル増圧制御弁7と、第3ブレーキ回路3に設けられたホイル減圧制御弁8と、第4ブレーキ回路4に設けられたマスタ増圧制御弁17と、を備え、コントロールユニットCUは、遮断弁6を閉じてホイルシリンダ圧を制御中、マスタ増圧制御弁17を開いて、液圧源により発生した液圧をマスタシリンダM/Cに与えるマスタシリンダ増圧制御を実施することとした。
よって、上記(1)〜(3)、(7)の効果を得ることができる。また、以下のような効果を得ることができる。
同一のホイルシリンダW/C(前輪FL,FR)へのブレーキ液の供給経路として、運転者操作(マスタシリンダM/C)による第1ブレーキ回路1と、液圧源(ポンプP)による第2ブレーキ回路2とを別々に(並列に)設け、第1ブレーキ回路1と第2ブレーキ回路2を適宜選択してホイルシリンダ圧を増圧することとした。よって、前輪ホイルシリンダW/Cについて、通常ブレーキのほか、ポンプ圧によるABS制御や自動ブレーキ制御等が実行可能となるとともに、運転者操作による増圧と液圧源(ポンプP)による増圧との干渉を防止し、制御性およびペダルフィールを改善できる。
例えば自動ブレーキ制御中(車両運動制御等)、制御輪(例えばFL)のホイルシリンダW/Cについては第2ブレーキ回路2を選択し(図2のS102〜S106)、非制御輪(例えばFR)のホイルシリンダW/Cについては第1ブレーキ回路1を選択する(S108)。よって、自動ブレーキ制御中に運転者がブレーキペダルBPを踏み増した場合でも、マスタシリンダMCから非制御輪のホイルシリンダW/Cに直接ブレーキ液を供給できる。したがって、運転者意志を直接的に反映でき、制御性を向上できる。また、ブレーキペダルBPのストロークが確保され、石踏み感が抑制されるため、ペダルフィールも良い。
なお、本実施例1では、前輪FL,FRのみ第1ブレーキ回路1と第2ブレーキ回路2の両方を接続したが、いずれの車輪FL〜RRについても第1、第2ブレーキ回路1、2を接続し、これらの両方を介して増圧可能な構成としてもよい(後述する実施例9、図23)。この実施例9に比べると、本実施例1では、マスタシリンダ圧は前輪FL,FRのみに加わることから、マスタシリンダMCから前輪ホイルシリンダW/Cに供給される液量は、後輪ホイルシリンダW/Cの分だけ少なくて済む。
よって、ブレーキペダルBPのストロークは上記液量分だけ少なくて済むため、運転者の操作性を向上できる。また、上記液量減少分だけマスタシリンダMCのサイズを小型化し、併せて倍力装置BSのサイズも小型化できるため、マスタシリンダMCや倍力装置BSの車両への搭載性を向上できる。さらに、倍力装置BSがいわゆる負圧ブースタの場合、倍力装置BSのサイズを小型化する代わりに、倍力装置BSに加わる負圧を低下させることも可能となり、負圧の少ない内燃機関であっても、必要とするホイルシリンダ圧を得ることができる。
さらに、本実施例1では、第2ブレーキ回路2のみを介して後輪を増圧する構成としたが、逆に、第2ブレーキ回路2のみを介して前輪を増圧する(第1、第2ブレーキ回路1,2を介して後輪を増圧する)構成としてもよい。この場合も実施例9に対して有利な上記効果が得られる。
実施例2のブレーキ制御装置は、ペダル能動制御として、ペダルストロークの検出値が目標値と一致するように、マスタ増減圧制御弁17,18およびポンプPを制御する。この点、マスタシリンダ圧の検出値が目標値と一致するように制御する実施例1と異なる。液圧制御ユニットHU1の構成は実施例1と同様である。
図12は、実施例2のコントロールユニットCUにて実施されるペダル能動制御であるペダルストローク制御の流れを示すフローチャートである。通常ブレーキ(回生協調制御)時または自動ブレーキ制御(ACC制御等)時、前輪が両方ともBBW構成で、運転者によりブレーキ操作が行われたとき、ペダルストローク制御を実行する。
実施例2のペダル能動制御は、後述のように設定されるペダルストローク目標値とストロークセンサ11の検出値とに基づきブレーキペダルBPのストロークを制御する点のみ、実施例1(図4)と異なる。図12の制御フローにおいて、ペダルストロークの低減(S402)はマスタシリンダ圧の増圧(S202)と機能的に等価であり、ペダルストロークの増加(S408)はマスタシリンダ圧の減圧(S208)と等価である。その他の点は実施例1(図4)と同様であるため、説明を省略する。
図13は、ペダルストローク目標値を設定する際に参照される、図5と同様のマスタシリンダ圧とペダルストロークとの相関特性を示し、実験等により予め求められている。ペダルストロークを制御する際、検出されるマスタシリンダ圧に対応したペダルストロークをペダルストローク目標値として上記特性に応じて設定する。これにより、通常ブレーキ(回生協調制御)時または自動ブレーキ制御時、左右前輪FL,FRの第1ブレーキ回路1がともに遮断された状態で運転者によりブレーキ操作が行われたときにも、通常ブレーキ時(第2ブレーキ回路2を遮断して第1ブレーキ回路1を連通させた状態)と同じペダルストローク−マスタシリンダ圧特性を実現する。
また、車両側から運転者へ情報を伝達する場合は、実施例1(図6)と同様、基準となるペダルストローク(基準ストローク)に対してペダルストローク(目標値)を時間的に変動させることでインフォメーションを生成する。この場合、上記図13の特性により設定したペダルストローク目標値に基づき基準ストロークを作成してもよい。具体的には、上記ペダルストローク制御中のある時点でのペダルストローク目標値を基準ストロークとする。コントロールユニットCUは、ストロークセンサ11、マスタシリンダ圧センサ12、ホイルシリンダ圧センサ13の検出値、および車両から送られる走行状態に関する情報と、内蔵されるプログラムとに基づき、インフォメーション生成時のペダルストローク目標値を算出する。
図14は、インフォメーション生成時のペダルストローク(目標値)のタイムチャートを示す。図14(a)の例では、所定の時間間隔で、基準ストロークよりも大きいパルス状のペダルストロークを繰り返し発生させる。図14(b)の例では、所定の時点t2から、基準ストロークよりも大きい所定ストロークに向けて徐々にペダルストロークを変化させる。運転者はブレーキペダルBPを通じてこれらのペダルストローク変動を認識することとなり、車両から運転者へ情報を伝達することが可能となる。
その他の構成および作用は、実施例1と同様である。
[実施例2の効果]
(9)ブレーキ操作部材(ブレーキペダルBP)の操作量を検出するブレーキ操作量検出手段(ストロークセンサ11)を備え、コントロールユニットCUは、ブレーキ操作量検出手段の検出値(ペダルストローク)が、設定した目標ブレーキ操作量(ペダルストローク目標値)と一致するように上記能動制御(S403,404,409,410等)を実行することとした。
すなわち、ペダルストローク量は、ブレーキ操作部材(ブレーキ操作装置)の作動、言い換えればブレーキ操作フィーリング(操作量および操作力)を直接反映する。このペダルストローク量を用いてブレーキ操作部材(ブレーキ操作装置)を制御することで、能動制御が容易に行える、という効果を有する。
実施例3のブレーキ制御装置は、液圧制御ユニットHU1(実施例1)とは異なり、マスタ減圧制御弁18の下流に(リザーバRESの代わりに)内部リザーバ19を設けた液圧制御ユニットHU2を用いる。
図15は、液圧制御ユニットHU2の油圧回路構成を示す。左前輪FLの側では、マスタ減圧制御弁18aが設けられた油路5aの一端は、遮断弁6aとマスタシリンダM/Cとの間の第1ブレーキ回路1Aに接続され、具体的にはマスタ増圧制御弁17aの下流側の油路4aに接続されている。油路5aの他端には、内部リザーバ19aが接続されている。内部リザーバ19aは、リザーバRESとは別に液圧制御ユニットHU2内に設けられたリザーバタンクであり、ブレーキ液を貯留する。右前輪FRの側も同様に設けられている。
内部リザーバ19a,19bは、その内部に収容できるブレーキ液量に上限があり、リザーバRESよりも容量が少ない。この上限値を超えた場合はリザーバタンクとしての機能は有せず、単なる液溜りとして機能する。この上限値は、マスタシリンダM/C(加圧室)が供給可能な最大の液量以下で、かつマスタシリンダ圧の減圧制御時の液量を収容可能な値に設定されている。
「マスタシリンダM/C(→第1ブレーキ回路1A,1B)→マスタ減圧制御弁18a,18b→内部リザーバ19a,19b」により、マスタシリンダM/Cからブレーキ液を内部リザーバ19a,19bに戻す第5ブレーキ回路5が形成されている。第5ブレーキ回路5を介してマスタシリンダ圧を内部リザーバ19に抜き減圧する。その他の構成は実施例1の液圧制御ユニットHU1と同様である。
本実施例3のペダル能動制御のフローチャートは、上記図4(マスタシリンダ圧制御)または図12(ペダルストローク制御)の制御フローが終了した後、図16に示すフローを追加したものとなる。
S213では、マスタシリンダ圧センサ12やストロークセンサ11等の検出値に基づき、運転者がブレーキペダルBPを踏み込んでいないことを確認する。ブレーキペダルBPが踏み込まれていなければS214へ移行し、踏み込まれていればS213を繰り返す。
S214では、マスタ減圧制御弁18を開き、内部リザーバ19内に収容されたブレーキ液を、マスタシリンダM/Cを介してリザーバRESに戻す。その後S215へ移行して、所定時間が経過するまでS214を繰り返す。所定時間経過後、S216へ移行してマスタ減圧制御弁18を閉じる。これにより制御を終了する。
その他の制御フローについては図4、図12と同様である。また、ホイルシリンダ圧制御およびABS制御についても実施例1と同様であるため、説明を省略する。
[実施例3の効果]
(10)マスタシリンダM/Cの上流に設けられたリザーバRESと、リザーバRESとは別に設けられ、リザーバRESよりも容量の少ない内部リザーバ19と、第1ブレーキ回路1と内部リザーバ19とを連通する第5ブレーキ回路5と、第5ブレーキ回路5に設けられたマスタ減圧制御弁18と、を備え、コントロールユニットCUは、第2ブレーキ回路2または第3ブレーキ回路3を介してホイルシリンダ圧を制御するとともに、ホイルシリンダ圧を制御中、第5ブレーキ回路5を介してマスタシリンダM/C内のブレーキ液を内部リザーバ19に供給するマスタシリンダ減圧制御を実施することとした。
すなわち、実施例1の液圧制御ユニットHU1では、第5ブレーキ回路5がマスタシリンダM/C上流のリザーバRESに接続されている(図1)。このため、マスタシリンダ圧制御とホイルシリンダ圧制御とでブレーキ液源(低圧部)を共用化でき、部品点数を抑制できる。しかし、例えばマスタ減圧制御弁18が開故障した場合には、マスタシリンダM/Cによりホイルシリンダ圧を増圧しようとする際、マスタシリンダ圧が第5ブレーキ回路5を介してリザーバRESに抜けて低下する。これによりホイルシリンダ圧も減少して、制動力が低下する場合も想定される。
これに対し、本実施例3では、マスタシリンダ圧が抜ける先の内部リザーバ19は、その上限値以上の液量に対しては単なる液溜りとなる。このため、マスタ減圧制御弁18が開故障した場合でも、マスタシリンダM/Cによりホイルシリンダ圧を増圧する際に、ホイルシリンダ圧の減少が抑制され、制動力の低下を防止できる。したがって、実施例1,2と同様の効果のほか、ブレーキ制御装置の信頼性を向上できる、という効果が得られる。
実施例4のブレーキ制御装置は、液圧制御ユニットHU1(実施例1)とは異なり、各前輪FL,FRにおいて第5ブレーキ回路5およびマスタ減圧制御弁18が設けられていない液圧制御ユニットHU3(図17)を用いる。
ホイルシリンダ圧制御のフローチャートは実施例1(図2、図3)と同様である。ABS制御時のフローチャートは、S303(図7)、S314(図8)、S328(図9)における「マスタ減圧制御弁18を閉じる」動作がない点を除き、実施例1と同様である。
以下、本実施例4のコントロールユニットCUにて実施されるペダル能動制御であるマスタシリンダ圧制御の流れを、図18のフローチャートに基づき説明する。本実施例4のペダル能動制御は、前輪において回生協調制御等を実行時、前輪ホイルシリンダ圧をマスタシリンダ圧未満で制御する場合に適用される。
本実施例4のフローチャート(S501〜S512)は、基本的に実施例1(図4のS201〜S212)と同様である。ただし、ステップS503,S507,S509,S511,S512では、実施例1のS203,S207,S209,S211,S212と異なり、それぞれマスタ減圧制御弁18ではなく遮断弁6を制御する。その他のステップS501〜S510は、実施例1のS201〜S210とそれぞれ同様である。
すなわち、S509でマスタシリンダ圧を減圧する際、マスタシリンダM/Cからマスタ減圧制御弁18(第5ブレーキ回路5)を介してリザーバRESにブレーキ液を戻すのではなく、「ホイルシリンダ圧<マスタシリンダ圧」の条件下で、マスタシリンダM/Cから遮断弁6(第1ブレーキ回路1)を介してホイルシリンダW/Cにブレーキ液を戻す。
しかし、このままでは前輪のホイルシリンダ圧を増圧することになるため、S509を実行すると同時にホイルシリンダ圧制御(図2)を実行し、ホイル減圧制御弁8a,8bを開く(S109〜S111)。これにより、ホイルシリンダ圧の意図しない増圧を抑制する。
[実施例4の効果]
(11)よって、実施例1と同様の効果のほか、液圧制御ユニットHU1を用いた場合に対し、マスタ減圧制御弁18および第5ブレーキ回路5が設けられていないため、ブレーキ制御装置の一層の小型化を実現できる、という効果が得られる。
実施例5のブレーキ制御装置は、実施例4の液圧制御ユニットHU3を用いて、実施例2と同様、ペダルストローク目標値に基づきペダルストロークをフィードバック制御する。
以下、本実施例5のコントロールユニットCUにて実施されるペダル能動制御であるペダルストローク制御を、図19のフローチャートに基づき説明する。本実施例5のペダルストローク制御は、実施例4と同様、前輪において回生協調制御等を実行時、前輪ホイルシリンダ圧をマスタシリンダ圧未満で制御する場合(ホイルシリンダ圧<マスタシリンダ圧)に適用される。
本実施例5のフローチャート(S601〜S612)は、基本的に実施例2(図12のS401〜S412)と同様である。ただし、ステップS603,S607,S609,S611,S612では、実施例2のS403,S407,S409,S411,S412と異なり、それぞれマスタ減圧制御弁18ではなく遮断弁6を制御する。その他のステップS601〜S610はそれぞれS401〜S410と同様である。
すなわち、S609でペダルストロークを増加させる際、実施例4と同様、マスタシリンダM/Cから遮断弁6(第1ブレーキ回路1)を介してホイルシリンダW/Cにブレーキ液を戻す。また、S609を実行すると同時にホイルシリンダ圧制御(図2)を実行し、ホイル減圧制御弁8を開くことで(S109〜S111)、ホイルシリンダ圧の増圧を抑制する。
ホイルシリンダ圧制御のフローチャートは実施例1(図2、図3)と同様である。ABS制御のフローチャートは実施例4と同様である。
よって、実施例2、4と同様の効果が得られる。
実施例6のブレーキ制御装置は、図20に示す液圧制御ユニットHU1´を用いる。液圧制御ユニットHU1´は、マスタ増圧制御弁17(第4ブレーキ回路4)およびマスタ減圧制御弁18(第5ブレーキ回路5)が、前輪の一方(例えばFL)の系統にのみ設けられている。この点、これらが前輪FL,FRの両系統に設けられている実施例1の液圧制御ユニットHU1(図1)とは異なる。
本実施例6のペダル能動制御のフローチャートは実施例1、2(図4、図12)と同様であるが、マスタシリンダ圧またはペダルストロークを前輪の両系統(FL,FR)で同時に制御するか、片系統のみ(例えばFL)で制御するかの点で相違する。すなわち、実施例1,2ではマスタシリンダM/Cの両加圧室へのブレーキ液の給排を制御するが、本実施例6では一方の加圧室(FL側)への給排のみを制御する。具体的には、S203等で、片系統(FL)のマスタ増減圧制御弁17a,18aを制御する。その他の点は実施例1、2と共通するため、説明を省略する。
ホイルシリンダ圧制御のフローチャートは実施例1(図2、図3)と同様であり、ABS制御のフローチャートは、前輪の両系統か片系統かの違いのみで実施例1(図7〜9)と同様であるため、説明を省略する。
[実施例6の効果]
(12)ペダル能動制御につき、前輪の両系統制御(実施例1)の場合、本実施例6の片系統制御の場合と比べ、マスタシリンダ圧ないしペダルストロークの制御時の応答性低下や制御範囲の縮小が生じるおそれがない。一方、本実施例6の片系統制御の場合、両系統制御(実施例1)と比べ、油圧回路構成(液圧制御ユニットHU)が簡素化される。よって、実施例1と同様の効果のほか、ブレーキ制御装置の更なる小型化を実現できる、という効果を有する。
実施例7のブレーキ制御装置は、図21に示される液圧制御ユニットHU2´を用いる。液圧制御ユニットHU2´は、マスタ増圧制御弁17(第4ブレーキ回路4)、マスタ減圧制御弁18(第5ブレーキ回路5)、および内部リザーバ19が、前輪の一方(例えばFL)の系統にのみ設けられている。この点、これらが前輪FL,FRの両系統に設けられている実施例3の液圧制御ユニットHU2(図15)とは異なる。
本実施例7のペダル能動制御のフローチャートは実施例3(図4、図12、図16)と同様であり、マスタシリンダ圧またはペダルストロークを前輪の両系統(FL,FR)につき制御するか、片系統のみ(例えばFL)につき制御するかの違いのみであるため、説明を省略する。ホイルシリンダ圧制御のフローチャートは実施例1と同様であり、ABS制御のフローチャートは、前輪の両系統か片系統かの違いのみで実施例1と同様であるため、説明を省略する。
よって、実施例3と同様の効果のほか、ブレーキ制御装置の更なる小型化を実現できる、という効果を有する。
実施例8のブレーキ制御装置は、図22に示される液圧制御ユニットHU3´を用いる。液圧制御ユニットHU3´は、マスタ増圧制御弁17(第4ブレーキ回路4)が前輪の一方(例えばFL)の系統にのみ設けられている。この点、これらが前輪FL,FRの両系統に設けられている実施例4の液圧制御ユニットHU3(図17)とは異なる。
本実施例8のペダル能動制御のフローチャートは実施例4(図18)と同様であり、マスタシリンダ圧またはペダルストロークを前輪の両系統(FL,FR)につき制御するか、片系統のみ(例えばFL)につき制御するかの違いのみであるため、説明を省略する。ホイルシリンダ圧制御のフローチャートは実施例1と同様であり、ABS制御のフローチャートは、前輪の両系統か片系統かの違いのみで実施例4と同様であるため、説明を省略する。
よって、実施例4と同様の効果のほか、ブレーキ制御装置の更なる小型化を実現できる、という効果を有する。
実施例9のブレーキ制御装置は、図23に示される液圧制御ユニットHU4を用いる。液圧制御ユニットHU4は、第1ブレーキ回路1A〜1D(遮断弁6a〜6d)が前後の各車輪に対応して設けられており、4輪のホイルシリンダW/Cにマスタシリンダ圧が加わる。また、第4ブレーキ回路4(マスタ増圧制御弁17)および第5ブレーキ回路5(マスタ減圧制御弁18)が、マスタシリンダM/Cのプライマリ系統(pの記号を添えて区別する)およびセカンダリ系統(sの記号を添えて区別する)にそれぞれ設けられている。
この点、第1ブレーキ回路1が前輪側にのみ設けられ、かつ第4ブレーキ回路4(マスタ増圧制御弁17)および第5ブレーキ回路5(マスタ減圧制御弁18)が前輪の各系統(FL,FR)にそれぞれ設けられている実施例1の液圧制御ユニットHU1(図1)とは異なる。
具体的には、図23に示すように、マスタシリンダM/Cのプライマリ系統の加圧室には前輪系統の第1ブレーキ回路1pが接続され、第1ブレーキ回路1pは左前輪FLの第1ブレーキ回路1Aと右前輪FRの第1ブレーキ回路1Bに分岐している。第4ブレーキ回路4pは、マスタ増圧制御弁17pを介して、ポンプPとマスタシリンダM/Cのプライマリ系統の加圧室とを接続している。第5ブレーキ回路5pは、マスタ減圧制御弁18pを介して、マスタシリンダM/Cのプライマリ系統の加圧室とリザーバRESとを接続している。
マスタシリンダM/Cのセカンダリ系統の加圧室には後輪系統の第1ブレーキ回路1sが接続され、第1ブレーキ回路1pと同様に構成されている。その他の油圧回路構成は液圧制御ユニットHU1と同様であるため、説明を省略する。
本実施例9のペダル能動制御(マスタシリンダ圧制御またはペダルストローク制御)のフローチャートは、実施例1、2と同様である。具体的には、S203等で、ps両系統のマスタ増圧制御弁17p,17sおよび/またはマスタ減圧制御弁18p,18sを同時に制御する。その他の点は実施例1、2と共通するため、説明を省略する。ホイルシリンダ圧制御のフローチャートは実施例1(図2、図3)と同様である。
ABS制御のフローチャートは、実施例1(図7〜9)と同様である。具体的には、図8のS324,S326で、前輪FL,FRの制御時にはマスタ圧増減圧制御弁17p,18pを制御し、後輪RL,RRの制御時にはマスタ圧増減圧制御弁17s,18sを制御する。
[実施例9の効果]
第1ブレーキ回路1が各車輪に対応して設けられ、4輪のホイルシリンダW/Cにマスタシリンダ圧が加わるため、ポンプPを作動させなくても運転者のブレーキ操作力のみによって、全車輪にブレーキ液圧を発生できる。また、マスタシリンダMCを作動させる倍力装置BSを備えているため、液圧源(ポンプP)を作動させる電気系統が失陥した場合(第2ブレーキ回路2による増圧が不能となった場合)でも、倍力装置BSによって運転者の踏力がアシストされ(第1ブレーキ回路1による増圧が可能であり)、ブレーキ力低下のおそれがない。よって、電気系統(CPUやセンサ系統)を二重系にする必要がなく、その分、コストを低減できる。
また、通常ブレーキ時に、第1ブレーキ回路1を介して全車輪のホイルシリンダ圧を増圧する構成とした場合、ポンプP・モータMの使用頻度が低くなり、消費電力を低減できる。
さらに、ペダル能動制御につき、実施例1と同様にマスタシリンダM/Cのp系統とs系統の両方を同時に制御するため、片系統制御の場合と比べ、マスタシリンダ圧ないしペダルストロークの制御時の応答性低下や制御範囲の縮小が生じるおそれがない(実施例6参照)。一方、第4ブレーキ回路4(マスタ増圧制御弁17)および第5ブレーキ回路5(マスタ減圧制御弁18)はps各系統に1セットずつ設けられ、実施例1と同様、マスタ増減圧制御弁17、18の合計数は液圧制御ユニット全体で4個である。このため、実施例1と同程度にペダル能動制御の制御性を確保しつつ、油圧回路構成(液圧制御ユニットHU)の複雑化を抑制して、ブレーキ制御装置の大型化を防止できる、という効果を有する。
実施例10のブレーキ制御装置は、図24に示される液圧制御ユニットHU5を用いる。液圧制御ユニットHU5には、液圧源として、ポンプPに加えてアキュムレータACCが設けられている。この点、実施例1の液圧制御ユニットHU1とは異なる。
具体的には、図24に示すように、チェック弁9の下流の第2ブレーキ回路2(油路2A、2Bの分岐点)には、油路2fを介してアキュムレータACCが接続されている。アキュムレータACCは、ポンプPが供給する高圧のブレーキ液を蓄える蓄圧装置である。油路2fには、アキュムレータ圧センサ14が設けられている。アキュムレータ圧センサ14は、アキュムレータ圧を検出し、検出した値をコントロールユニットCUに入力する。
以下の制御フローにより、予めアキュムレータACCに高圧のブレーキ液を蓄えておく。この場合、ポンプPを作動させることなく、ホイル増圧制御弁7a〜7dの開制御のみで、アキュムレータACCからホイルシリンダW/Cにブレーキ液が供給され、ホイルシリンダ圧が増圧される。同様に、、マスタ増圧制御弁17a〜17dの開制御のみで、アキュムレータACCからマスタシリンダM/Cにブレーキ液が供給される。
図25は、ポンプPを駆動しアキュムレータACCに高圧のブレーキ液を蓄える際の、コントロールユニットCUにおける制御フローを示す。この制御フローは、ホイル増圧制御弁7a〜7dおよびマスタ増圧制御弁17a,17bが全て閉じられた条件下で、所定の周期で繰り返される。
S701では、アキュムレータ圧センサ14で検出したアキュムレータ圧Paが、予め定めたアキュムレータ設定下限値Pa1未満であるか否かを判断する。Pa1未満の場合、S702へ移行し、Pa1以上の場合、S703へ移行する。Pa1は、ホイルシリンダ圧増圧のためブレーキ液をアキュムレータACCからホイルシリンダW/Cに(1回)供給したとき、この供給分だけアキュムレータ圧Paが低下しても、低下後のアキュムレータ圧Paが必要なホイルシリンダ圧の最大値以上となり、かつマスタシリンダ圧の増圧に十分な大きさである値に設定する。なお、複数回の作動に対応させることが更に望ましい。
S702では、モータMをオンとし、ポンプPを駆動し、リザーバRESからブレーキ液を吸い上げて、アキュムレータACCに高圧のブレーキ液を供給する。アキュムレータACCは、上記高圧のブレーキ液を蓄える。これにより1回の制御フローを終了する。
S703では、検出したアキュムレータ圧Paが、予め定めたアキュムレータ設定上限値Pa2以上であるか否かを判断する。Pa2以上の場合、S704へ移行し、Pa2未満の場合、S705へ移行する。Pa2は、本油圧回路の耐圧以下に設定する。
S704では、モータMをオフとしてポンプPの駆動を停止し、アキュムレータACCへのブレーキ液の供給を終了する。これにより1回の制御フローを終了する。
S705では、アキュムレータ圧Paの増圧中であるか否かを判断する。増圧中の場合、S502へ移行し、増圧中でない場合、S704へ移行する。この判断は、アキュムレータ圧センサ14で検出した値(前回値および今回値)に基づき行う。
以上により、アキュムレータ圧Paは、予め定めた設定値Pa1〜Pa2の範囲内に制御される。
なお、上記以外の制御フローについては、実施例1、2(図2〜4,図7,図8、図12)において、ホイルシリンダW/CまたはマスタシリンダM/Cへのブレーキ液供給の際に(S104, S203, S305,S324,S403で)、モータMをオンとする動作をなくしたフローとなる。その他の構成・作用については実施例1と同一であるため、説明を省略する。なお、実施例1の液圧制御ユニットHU1だけでなく、他の実施例の液圧制御ユニットHU2〜HU4等にアキュムレータACCを設けることとしてもよく、この場合も以下の効果を得ることができる。
[実施例10の効果]
(13)液圧源として、ポンプPと、ポンプPの作動により高圧のブレーキ液を蓄えるアキュムレータACCと、を有することとした。
よって、ホイルシリンダ圧の増圧またはマスタシリンダM/Cへのブレーキ液供給の度に、モータMをオンとしてポンプPを駆動する必要がない。また、アキュムレータACCに蓄えられた高圧によりホイルシリンダW/CおよびマスタシリンダM/Cへのブレーキ液供給を行うため、ホイルシリンダ圧の増圧速度およびマスタシリンダ圧の上昇速度(ペダルストロークの戻し速度)を速くできる、という効果を有する。
[他の実施例]
以上、本発明を実施するための最良の形態を、実施例1〜10に基づいて説明してきたが、本発明の具体的な構成は実施例1〜10に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
例えば、実施例1〜10では、遮断弁6、ホイル増減圧制御弁7,8、およびマスタ増減圧制御弁17,18として、電流値によりバルブ開度が比例的に変化するいわゆる比例弁を用いたが、バルブ開度が開と閉の2位置のみとる、いわゆるオン・オフ弁を用いることとしてもよい。また、例えば遮断弁6はオン・オフ弁であり、ホイル増減圧制御弁7,8およびマスタ増減圧制御弁17,18は比例弁である、というように、オン・オフ弁と比例弁とを組み合わせて用いてもよい。
なお、マスタ増減圧制御弁17,18として比例弁を用いた場合、マスタシリンダ圧がバルブ開度に応じて滑らかに変化し、ペダルフィーリングや音振性能に優れる。一方、オン・オフ弁を用いた場合、バルブ構造やコントロールユニットCUの構成を単純化でき、装置の小型化を図り、また消費電流を低減できる等の効果がある。
実施例1〜10では、ブレーキ操作部材としてブレーキペダルを用いたが、ペダル以外の操作部材を用いてもよい。
実施例1〜10では、倍力装置BSを備えた液圧制御ユニットHUに本発明のブレーキ制御装置を適用したが、倍力装置BSを備えない液圧制御ユニットに適用してもよい。
実施例1〜10では、油圧回路において、チェック弁9、ポンプP、モータM、およびリリーフ弁10を各1個ずつ設ける構成としたが、これらのポンプP等を、前輪用と後輪用にそれぞれ1セットずつ設ける構成としてもよい。この場合、各ポンプPおよびモータMをより小型化でき、前輪のみまたは後輪のみのホイルシリンダ圧制御(ペダル能動制御)を行う場合には消費電流をより低減できる。また、1つのポンプP・モータMで2つのマスタシリンダ加圧室または4つのホイルシリンダW/Cの圧力を制御する実施例1〜10とは異なり、1つのポンプP・モータMで1つのマスタシリンダ加圧室または2つのホイルシリンダW/Cの圧力を制御すればよい。よって、ホイルシリンダ圧制御やペダル能動制御の増圧応答性や制御精度を向上できる。
実施例1〜10では、油圧回路において、第4ブレーキ回路4(マスタ増圧制御弁17)を必ず設ける構成としたが、第4ブレーキ回路4(マスタ増圧制御弁17)を省略し、第5ブレーキ回路5(マスタ減圧制御弁18)のみを設ける構成としてもよい。この場合、倍力装置BSが設けられていれば、遮断弁6およびマスタ減圧制御弁18を閉じた状態で運転者のブレーキ操作によりマスタシリンダ圧は増圧される。この状況でマスタ減圧制御弁18の開閉を制御することで、マスタシリンダ圧を減圧しつつ所望のマスタシリンダ圧−ペダルストローク特性(図5)を得ることができる。
実施例1のブレーキ制御装置の油圧回路構成を示す。 実施例1の前輪のホイルシリンダ圧制御の流れを示す(通常ブレーキ時、自動ブレーキ制御時)。 実施例1の後輪のホイルシリンダ圧制御の流れを示す。 実施例1のマスタシリンダ圧制御の流れを示す。 実施例1のマスタシリンダ圧とペダルストロークとの相関特性を示す。 実施例1のインフォメーション生成時のマスタシリンダ圧変化を示す。 実施例1の前輪のホイルシリンダ圧制御およびマスタシリンダ圧制御の流れを示す(ABS制御時)。 実施例1の前輪のホイルシリンダ圧制御およびマスタシリンダ圧制御の流れを示す(ABS制御時)。 実施例1の前輪のホイルシリンダ圧制御およびマスタシリンダ圧制御の流れを示す(ABS制御時)。 実施例1のホイルシリンダの液圧−液量特性を示す。 実施例1のABS制御中のペダルストローク変化を示す。 実施例2のペダルストローク制御の流れを示す。 実施例2のマスタシリンダ圧とペダルストロークとの相関特性を示す。 実施例2のインフォメーション生成時のペダルストローク変化を示す。 実施例3のブレーキ制御装置の油圧回路構成を示す。 実施例3のペダル能動制御の流れを示す。 実施例4のブレーキ制御装置の油圧回路構成を示す。 実施例4のマスタシリンダ圧制御の流れを示す。 実施例5のペダルストローク制御の流れを示す。 実施例6のブレーキ制御装置の油圧回路構成を示す。 実施例7のブレーキ制御装置の油圧回路構成を示す。 実施例8のブレーキ制御装置の油圧回路構成を示す。 実施例9のブレーキ制御装置の油圧回路構成を示す。 実施例10のブレーキ制御装置の油圧回路構成を示す。 実施例10のアキュムレータ蓄圧制御の流れを示す。
符号の説明
BP ブレーキペダル(ブレーキ操作部材)
W/C ホイルシリンダ
M/C マスタシリンダ
P ポンプ(液圧源)
CU コントロールユニット

Claims (24)

  1. 運転者がブレーキ操作を行うためのブレーキ操作部材と、
    ホイルシリンダと、
    前記ブレーキ操作部材に連結し、前記ブレーキ操作部材の作動に応じてブレーキ液を前記ホイルシリンダへ送り出すマスタシリンダと、
    前記マスタシリンダとは別に設けられ、ブレーキ液圧を発生させる液圧源と、
    前記ブレーキ操作部材の作動を能動的に制御することが必要であるか否かを判断する能動制御判断部と、
    前記能動制御判断部の判断に応じて前記液圧源が発生した液圧を前記マスタシリンダに与えて前記ブレーキ操作部材の作動をコントロールする能動制御を行うコントロールユニットと、
    を有することを特徴とするブレーキ制御装置。
  2. 請求項1に記載のブレーキ制御装置において、
    前記液圧源はポンプであり、前記ポンプは、前記マスタシリンダを介さずにブレーキ液を吸入することを特徴とするブレーキ制御装置。
  3. 請求項2に記載のブレーキ制御装置において、
    前記マスタシリンダの上流にリザーバを設け、前記ポンプは前記リザーバからブレーキ液を吸入することを特徴とするブレーキ制御装置。
  4. 請求項3に記載のブレーキ制御装置において、
    マスタシリンダ圧を検出するマスタシリンダ圧センサを有し、前記コントロールユニットは、検出されたマスタシリンダ圧が設定した目標マスタシリンダ圧になるように前記能動制御を実行することを特徴とするブレーキ制御装置。
  5. 請求項4に記載のブレーキ制御装置において、
    前記ブレーキ操作部材の操作量を検出するブレーキ操作量検出手段を備え、前記コントロールユニットは、前記ブレーキ操作量検出手段の検出値に基づいて前記目標マスタシリンダ圧を演算することを特徴とするブレーキ制御装置。
  6. 請求項5に記載のブレーキ制御装置において、
    運転者のブレーキ操作中、前記コントロールユニットは、所定のマスタシリンダ圧を基準マスタシリンダ圧として設定し、前記基準マスタシリンダ圧に対して所定の圧力を加減算して前記目標マスタシリンダ圧を設定することを特徴とするブレーキ制御装置。
  7. 請求項6に記載のブレーキ制御装置において、
    前記マスタシリンダは運転者のブレーキ操作力を増幅させる倍力機構を介して作動することを特徴とするブレーキ制御装置。
  8. 請求項3に記載のブレーキ制御装置において、
    前記ブレーキ操作部材の操作量を検出するブレーキ操作量検出手段を備え、前記コントロールユニットは、前記ブレーキ操作量検出手段の検出値が設定した目標ブレーキ操作量になるように前記能動制御を実行することを特徴とするブレーキ制御装置。
  9. 請求項8に記載のブレーキ制御装置において、
    運転者のブレーキ操作中、前記コントロールユニットは、所定のブレーキ操作量を基準操作量として設定し、前記基準操作量に対して所定の操作量を加減算して前記目標ブレーキ操作量を設定することを特徴とするブレーキ制御装置。
  10. 請求項9に記載のブレーキ制御装置において、
    前記マスタシリンダは運転者のブレーキ操作力を増幅させる倍力機構を介して作動することを特徴とするブレーキ制御装置。
  11. 運転者がブレーキ操作を行うためのブレーキ操作装置と、
    ホイルシリンダと、
    前記ブレーキ操作装置とは別に設けられ、前記ホイルシリンダ圧の制御に用いられる液圧源と、
    前記液圧源を制御するコントロールユニットと、
    前記ブレーキ操作装置の作動を能動的に制御することが必要であるか否かを判断する能動制御判断部と、を備え、
    前記コントロールユニットは、前記能動制御判断部の判断に応じて前記液圧源が発生した液圧により前記ブレーキ操作装置の作動を制御する能動制御を行う
    ことを特徴とするブレーキ制御装置。
  12. 請求項11に記載のブレーキ制御装置において、
    前記液圧源はポンプであり、前記ポンプは、前記ブレーキ操作装置を介さずにブレーキ液を吸入することを特徴とするブレーキ制御装置。
  13. 請求項12に記載のブレーキ制御装置において、
    前記ブレーキ操作装置の上流にリザーバを設け、前記ポンプは、前記リザーバからブレーキ液を吸入すること
    を特徴とするブレーキ制御装置。
  14. 請求項13に記載のブレーキ制御装置において、
    前記ブレーキ操作装置は、ブレーキ操作部材と、前記ブレーキ操作部材に連結したマスタシリンダと、を備え、
    前記マスタシリンダの圧力を検出するマスタシリンダ圧センサを有し、
    前記コントロールユニットは、検出されたマスタシリンダ圧が設定した目標マスタシリンダ圧になるように前記能動制御を実行することを特徴とするブレーキ制御装置。
  15. 請求項14に記載のブレーキ制御装置において、
    前記ブレーキ操作部材の操作量を検出するブレーキ操作量検出手段を備え、前記コントロールユニットは、前記ブレーキ操作量検出手段の検出値に基づいて前記目標マスタシリンダ圧を演算することを特徴とするブレーキ制御装置。
  16. 請求項15に記載のブレーキ制御装置において、
    運転者のブレーキ操作中、前記コントロールユニットは、所定のマスタシリンダ圧を基準マスタシリンダ圧として設定し、前記基準マスタシリンダ圧に対して所定の圧力を加減算して前記目標マスタシリンダ圧を設定することを特徴とするブレーキ制御装置。
  17. 請求項16に記載のブレーキ制御装置において、
    前記ブレーキ操作装置は、運転者のブレーキ操作力を増幅させる倍力機構を有することを特徴とするブレーキ制御装置。
  18. 請求項13に記載のブレーキ制御装置において、
    前記ブレーキ操作部材の操作量を検出するブレーキ操作量検出手段を備え、前記コントロールユニットは、前記ブレーキ操作量検出手段の検出値が設定した目標ブレーキ操作量になるように前記能動制御を実行することを特徴とするブレーキ制御装置。
  19. 請求項18に記載のブレーキ制御装置において、
    運転者のブレーキ操作中、前記コントロールユニットは、所定のブレーキ操作量を基準操作量として設定し、前記基準操作量に対して所定の操作量を加減算して前記目標ブレーキ操作量を設定することを特徴とするブレーキ制御装置。
  20. 請求項19に記載のブレーキ制御装置において、
    前記ブレーキ操作装置は、運転者のブレーキ操作力を増幅させる倍力機構を有することを特徴とするブレーキ制御装置。
  21. 運転者がブレーキ操作を行うためのブレーキ操作部材と、
    ホイルシリンダと、
    前記ブレーキ操作部材に連結し、前記ブレーキ操作部材の作動に応じてブレーキ液を前記ホイルシリンダへ送り出すマスタシリンダと、
    前記マスタシリンダを作動させる倍力装置と、
    前記倍力装置により昇圧されたブレーキ液を前記ホイルシリンダに供給する第1ブレーキ回路と、
    前記倍力装置とは別に設けられ、低圧部のブレーキ液を吸入して昇圧させるための液圧源と、
    前記第1ブレーキ回路に対して並列に設けられ、前記液圧源により昇圧されたブレーキ液を前記ホイルシリンダに供給する第2ブレーキ回路と、
    前記ホイルシリンダと前記低圧部とを連通する第3ブレーキ回路と、
    前記ホイル増圧制御弁よりも前記液圧源側の前記第2ブレーキ回路と前記マスタシリンダとを連通する第4ブレーキ回路と、
    前記各制御弁および前記液圧源の作動を制御するコントロールユニットと、を備え、
    前記コントロールユニットは、
    前記第2または第3ブレーキ回路を介して前記ホイルシリンダ圧を制御するとともに、前記ホイルシリンダ圧制御中、前記第4ブレーキ回路を介して前記マスタシリンダ圧を制御する
    ことを特徴とするブレーキ制御装置。
  22. 請求項21に記載のブレーキ制御装置において、
    前記第1ブレーキ回路中に設けられ、前記マスタシリンダと前記ホイルシリンダとの間を断接する遮断弁と、
    前記第2ブレーキ回路中に設けられ、前記液圧源と前記ホイルシリンダとの間を断接するホイル増圧制御弁と、
    前記第3ブレーキ回路に設けられたホイル減圧制御弁と、
    前記第4ブレーキ回路に設けられたマスタ増圧制御弁と、を備え、
    前記コントロールユニットは、前記遮断弁を閉じてホイルシリンダ圧を制御中、前記マスタ増圧制御弁を開いて、前記液圧源により発生した液圧を前記マスタシリンダに与えるマスタシリンダ増圧制御を実施することを特徴とするブレーキ制御装置。
  23. 請求項22に記載のブレーキ制御装置において、
    前記液圧源はポンプであって、前記マスタシリンダの上流にリザーバを設け、前記ポンプは前記リザーバからブレーキ液を吸入することを特徴とするブレーキ制御装置。
  24. 運転者がブレーキ操作を行うためのブレーキ操作部材と、
    ホイルシリンダと、
    前記ブレーキ操作部材に連結し、前記ブレーキ操作部材の作動に応じてブレーキ液を前記ホイルシリンダへ送り出すマスタシリンダと、
    前記マスタシリンダを作動させる倍力装置と、
    前記マスタシリンダの上流に設けられたリザーバと、
    前記倍力装置により昇圧されたブレーキ液を前記ホイルシリンダに供給する第1ブレーキ回路と、
    前記倍力装置とは別に設けられ、低圧部のブレーキ液を吸入して昇圧させるための液圧源と、
    前記第1ブレーキ回路に対して並列に設けられ、前記液圧源により昇圧されたブレーキ液を前記ホイルシリンダに供給する第2ブレーキ回路と、
    前記第2ブレーキ回路中に設けられ、前記液圧源と前記ホイルシリンダとの間を断接するホイル増圧制御弁と、
    前記ホイルシリンダと前記低圧部とを連通する第3ブレーキ回路と、
    前記第3ブレーキ回路に設けられたホイル減圧制御弁と、
    前記リザーバとは別に設けられ、前記リザーバよりも容量の少ない内部リザーバと、
    前記第1ブレーキ回路と前記内部リザーバとを連通する第5ブレーキ回路と、
    前記第5ブレーキ回路に設けられたマスタ減圧制御弁と、
    前記各制御弁および前記液圧源の作動を制御するコントロールユニットと、を備え、
    前記コントロールユニットは、
    前記第2または第3ブレーキ回路を介して前記ホイルシリンダ圧を制御するとともに、前記ホイルシリンダ圧制御中、前記第5ブレーキ回路を介して前記マスタシリンダ内のブレーキ液を前記内部リザーバに供給するマスタシリンダ減圧制御を実施する
    ことを特徴とするブレーキ制御装置。
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