JP2009165906A - 重力分離装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】コンパクトで、処理水中の浮上物質の浮上分離の効率が高く、浮上分離に要する時間を短縮可能な重力分離装置を提供する。
【解決手段】重力分離構造体31に達した処理水は、各傾斜流路32内で油分が浮上分離される。すなわち、各傾斜流路32内で上昇した油分は、その上壁用の傾斜分離板3の下面に沿って除々に上昇し、傾斜流路32の上側開口から浮上通路aへ移動する。その後、浮上通路aを上昇して重力分離構造体31の上方へ排出される。その結果、重力分離装置50のコンパクト化が図れるとともに、処理水中の油分の浮上分離の効率が高まり、浮上分離に要する時間を短縮できる。また、浮上通路aには阻流部材5が流水方向へ所定ピッチで設けられたので、浮上通路aでの油分の垂直な上昇が処理水により阻害され難い。
【選択図】図1

Description

この発明は重力分離装置、詳しくは物質の比重差を利用し、処理水中の物質を固液分離または気液分離する重力分離装置に関する。
工場や施設などから排出される各種の排水中には、雑多な固形物粒子とともに油脂分が混入されている場合がある。また、温泉などの地下水には砂とともに有害ガスも含まれる。そのため、貯留池を築造して排水や温泉をいったん貯留し、ここで排水中の油脂分や温泉中の有害ガスを比重差を利用して浮上分離(重力分離)する技術が知られている(特許文献1など)。
特開昭54−85474号公報
しかしながら、このような貯留池を築造しての重力分離方法では、広い用地を確保する必要があり、しかも貯留池を築造する期間が長いという課題があった。
そこで、この発明は、コンパクトで、かつ処理水中から浮上物質を浮上分離する効率が高まり、浮上分離に要する時間を短縮することができる重力分離装置を提供することを目的としている。
また、この発明は、浮上分離だけでなく、処理水中から沈降物質を沈降分離する効率が高まり、沈降分離に要する時間も短縮することができる重力分離装置を提供することを目的としている。
請求項1に記載の発明は、処理水より比重が小さい浮上物質を含む処理水の流入口とこの処理水の流出口とが離間して配設された分離槽と、該分離槽内の前記処理水の流路途中に設けられ、前記処理水中の浮上物質を比重差により分離する重力分離構造体とを備えた重力分離装置において、前記重力分離構造体は、前記処理水の流水方向に直交する面内で、流水方向から視て左側部と右側部と中央部とから構成され、前記左側部は、複数枚の傾斜分離板が、隣接する該傾斜分離板間に前記処理水が流通する傾斜流路を形成し、かつ右端が左端より上方となる傾斜状態で上下方向へ平行に積層された第1傾斜分離板群からなり、前記右側部は、複数枚の傾斜分離板が、隣接する該傾斜分離板間に前記傾斜流路を形成し、左端が右端より上方となる傾斜状態で上下方向へ平行に積層された第2傾斜分離板群からなり、前記中央部は、前記第1傾斜分離板群の傾斜流路内および前記第2傾斜分離板群の傾斜流路内で、比重差により浮上分離した浮上物質が上昇する浮上通路からなり、該浮上通路には、前記処理水が流水方向から該浮上通路へ流入するのを阻止する阻流部材が配置された重力分離装置である。
請求項1に記載の発明によれば、流入口から分離槽に流入した処理水は、分離槽内で重力分離構造体を通過し、その後、流出口から排出される。このとき、重力分離構造体内では、第1傾斜分離板群および第2傾斜分離板群の各傾斜流路で処理水の流れが層流状態に保たれる。その結果、処理水より比重が小さい浮上物質は、各傾斜流路内で上昇し、その傾斜流路の上壁となる傾斜分離板の下面にいったん付着する。その後、この付着した浮上物質は、周辺の浮上物質と接して順次まとまりながら前記傾斜分離板の下面に沿って除々に上昇する。そして、傾斜流路の上側開口から浮上通路に流入し、浮上通路を上昇して重力分離構造体の上方へ排出され、分離槽の水面まで浮上する。このように作用する構成で重力分離装置を設けたので、重力分離装置のコンパクト化が図れ、しかも処理水中から浮上物質を浮上分離する効率が高まり、浮上分離に要する時間も短縮される。
また、浮上通路に阻流部材を設けたので、流水方向から浮上通路へ流れ込む処理水を阻止する。これにより、浮上通路中での浮上物質の垂直な上昇が、上流から重力分離構造体へ流れ込んだ処理水により阻害され難い。
なお、分離槽のうち、重力分離構造体の上方位置に、処理水の水面まで達した浮上物質を滞留させる浮上物質滞留枠体を設ければ、浮上物質滞留枠体内に滞留した浮上物質を簡単に回収することができる。
また、浮上物質が気体の場合には、分離槽の上部開口を蓋体により塞いで気密化し、負圧発生装置(バキューム装置)などを使用して分離槽内を減圧することで、気体である浮上物質の回収がさらに容易になる。
重力分離装置とは、物質の比重差を利用し、処理水に含まれる浮上物質を浮上させて分離する装置である。
浮上物質とは、処理水に混入された水より比重が軽い物質である。具体的には、各種の油脂分、各種のガス成分などが挙げられる。
処理水としては、例えば、石油精製工場の油分を含む冷却排水、機械装置の油分を含む冷却水などが挙げられる。
分離槽の形状は、例えば平面視して矩形状のものなどを採用することができる。この分離槽における流入口および流出口の形成位置は、例えば分離槽の長さ方向の両端の側板としてもよい。
「分離槽内の処理水の流路途中」とは、分離槽の内部空間において、処理水が流入口から流出口まで流れる途中の流路部分をいう。流路は、直線的なものでも曲がったものでもよい。
傾斜分離板の形状は、例えば平面視して矩形状の平板などを採用することができる。
第1傾斜分離板群および第2傾斜分離板群を構成する傾斜分離板の枚数はそれぞれ任意である。
重力分離構造体を構成する第1傾斜分離板群および第2傾斜分離板群の使用数(並設数)は、少なくとも1つずつあれば任意である。第1傾斜分離板群の使用数と、第2傾斜分離板群の使用数は同じでも、異なってもよい。第1傾斜分離板群と第2傾斜分離板群との並設方向は、処理水の流水方向に直交する方向である。
第1傾斜分離群および第2傾斜分離群において、左右の傾斜分離板は、上下方向の高さを揃えても、揃えずに千鳥足状に配置してもよい。
傾斜流路とは、上下一対の平行な傾斜分離板(例えば矩形状の板)に挟まれ、処理水が通水する通路である。傾斜流路では、処理水の流水方向にその上流側の開口と下流側の開口とが配置される。また、傾斜流路では、処理水の流水方向に直交する面内で一端が他端より上方に配置される。したがって、傾斜流路の一端面に下側開口が形成され、傾斜流路の他端面に上側開口が形成される。
浮上通路とは、左側部の第1傾斜分離板群と右側部の第2傾斜分離板群との間に形成され、浮上物質が浮上する垂直な通路である。浮上通路の形成方法としては、例えば左側部の第1傾斜分離板群と右側部の第2分離板群とを、分離槽の壁面に互いに所定間隔をあけて固定する方法を採用することができる。その他、線材、板材などを連結材に使用し、左側部の第1傾斜分離板群と右側部の第2傾斜分離板群とを連結する方法を採用することができる。
阻流部材としては、例えば板片、棒材(丸棒、角棒など)を採用することができる。阻流部材の使用数は、1つでも2つ以上でもよい。
前記請求項2に記載の発明は、前記処理水中には、該処理水より比重が大きい沈降物質が含まれ、前記重力分離構造体は、流水方向から視て前記左側部の左側に別の左側部を有するとともに、流水方向から視て前記右側部の右側に別の右側部を有し、前記別の左側部は前記第2傾斜分離板群で、前記別の右側部は前記第1傾斜分離板群で、前記左側部と前記別の左側部との間および前記右側部と前記別の右側部との間には、前記各傾斜通路内で沈降分離した沈降物質が下降する沈降通路がそれぞれ形成され、該各沈降通路には、前記処理水が流水方向から該沈降通路へ流入するのを阻止する別の阻流部材が配置された請求項1に記載の重力分離装置である。
請求項2に記載の発明によれば、重力分離構造体内で流れが層流状態に保たれた処理水は、各傾斜分離板群の各傾斜流路内で沈降し、その傾斜流路の下壁となる傾斜分離板の上面に落下する。その後、沈降物質は傾斜分離板の上面を転がり、最終的には傾斜流路の下側開口を通過して沈降通路に流れ込む。そして、この沈降通路中を落下し、重力分離構造体の下方へ排出される。これにより、請求項1の発明の効果(浮上物質の浮上分離)だけでなく、沈降物質の沈降分離も高い効率で行うことができる。
また、各沈降通路に別の阻流部材を設けたので、流水方向から沈降通路へ処理水が流入するのを阻止することができる。これにより、沈降通路中での沈降物質の垂直な下降が、上流から重力分離構造体へ流れ込んだ処理水により阻害され難い。
なお、分離槽のうち、重力分離構造体の下方部分に沈降物質を受ける例えばホッパ形状の沈降物貯留部を設ければ、沈降通路から排出された沈降物質が先細り化した下端部に集積し、その回収が容易になる。
沈降物質とは、処理水に混入された、処理水より比重が重い物質をいう。具体的には、砂、各種の金属屑、各種のプラスチック屑などを採用することができる。
浮上性物質と沈降性物質とがともに含まれる処理水としては、例えば、油分および金属屑(プラスチック屑)を含む各種の金属加工装置または各種のリサイクル装置からの洗浄排水や冷却排水、魚肉類処理工場の排水、食品加工場の排水、自動車修理工場やガソリンスタンドの洗車排水、温泉の源泉などが挙げられる。
沈降通路とは、左側部の第1傾斜分離板群と別の左側部の第2傾斜分離板群との間に形成され、沈降物質が下降する垂直な通路である。沈降通路の形成方法としては、例えば左側部の第1傾斜分離板群と別の左側部の第2分離板群とを、分離槽の壁面に互いに所定間隔をあけて固定する方法を採用することができる。その他、線材、板材などを連結材に使用し、左側部の第1傾斜分離板群と別の左側部の第2傾斜分離板群とを連結する方法を採用することができる。
別の阻流部材としては、例えば請求項1で使用された粗流部材と同じものを採用することができる。別の阻流部材の使用数は、1つでも2つ以上でもよい。
請求項1に記載の発明によれば、重力分離構造体を、左側部の第1傾斜分離板群と中央部の浮上通路と右側部の第2傾斜分離板群とにより構成したので、重力分離構造体に達した処理水中の浮上物質は各傾斜流路内を上昇し、その上壁用の傾斜分離板の下面に沿って除々に上昇し、傾斜流路の上側開口から浮上通路へ移動する。その後、浮上物質は浮上通路を上昇し、重力分離構造体からその上方へ排出される。その結果、重力分離装置のコンパクト化が図れるとともに、処理水から浮上物質を浮上分離する効率が高まり、この浮上分離に要する時間を短縮することができる。
また、浮上通路に阻流部材を設けたので、流水方向から浮上通路へ処理水が流入するのを阻止することができる。これにより、浮上通路内の浮上物質の垂直な上昇が処理水により阻害され難い。
請求項2に記載の発明によれば、重力分離構造体として、左側部の左側に別の左側部を設けるとともに、右側部の右側に別の右側部を設けたので、重力分離構造体内で流れが層流状態に保たれた処理水は、各傾斜分離板群の各傾斜流路内で沈降物質が沈降し、その傾斜流路の下壁となる傾斜分離板の上面に沈降物質が落下する。その後、沈降物質は傾斜分離板の上面を転がり、最終的には傾斜流路の下側開口を通過して沈降通路に流れ込む。それから、この沈降通路中を沈降物質が落下し、重力分離構造体の下方へ排出される。これにより、請求項1の発明の効果だけでなく、沈降物質の沈降分離を高い効率で行うことができる。
また、各沈降通路に別の阻流部材を設けたので、流水方向から沈降通路へ処理水が流入するのを阻止することができる。これにより、沈降通路内の沈降物質の垂直な落下が処理水により阻害され難い。
以上の効果に加えて、請求項1および請求項2に記載の発明の場合には、処理液の分離槽への流量を調整することで、浮上性物質の分離精度の調整、および、沈降性物質の粒子サイズの調整が容易になる。そのため、この発明を、各種の生産工程やリサイクル工場における重力分離に利用すれば好適である。また、大きい動力を要する遠心分離機、被処理液の加圧を要するサイクロン分離やフィルタ分離に代えて使用すれば、省エネ効果も得られる。
以下、この発明の実施例を具体的に説明する。まず、図1〜図4を参照して、この発明の実施例1を説明する。なお、図1中の破断線m〜破断線nの間を除く領域は、図2中のA−A位置での重力分離構造体の断面を示す。図1中の破断線m〜破断線nの間の領域は、図2中のB−B位置での重力分離構造体の断面を示す。
図1および図2において、50はこの発明の実施例1に係る重力分離装置で、この重力分離装置50は、処理水の流入口35とこの処理水の流出口8とが離間して配設された分離槽1と、分離槽1内の処理水の流路途中に設けられ、処理水中の浮上物質を比重差により分離する重力分離構造体31とを備えている。重力分離装置50は、各傾斜分離板3の間に形成された処理水の傾斜流路32で処理水の流れを層流状態に保つことにより、処理水に混入され、かつ処理水より比重が小さい油分(浮上物質)を、処理水から浮上分離する。処理水は、工場から排出された油分を含む水(工場排水)である。
以下、これらの構成部品を詳細に説明する。
分離槽1は、平面視して処理水の流れ方向(装置長さ方向)に長い矩形状で、かつ側面視して下底より上底の方が長い台形状の水槽である。分離槽1の本体部分(水槽部分)は、4本脚の架台13により支持されている。分離槽1の上面の開口は、中央部に排気管9が連通された蓋体2により塞がれている。分離槽1の上端部の上流側には、処理水(原水)のオーバーフロー管10が底板に連通されたオーバーフロー部36が形成されている。分離槽1の上端部の上流側付近には、蓋体2の上流側部分から延びて、処理水を分離槽1内に供給する原水管7が設けられている。原水管7の下流口が前記流入口35である。また、分離槽1の上端部の下流側には、底板の一部に浄水管38の端面が連通された浄水受け部37が形成されている。浄水管38の下流口が前記流出口8である。
分離槽1の長さ方向の中間部は、重力分離構造体31の収納部である。収納部の上流側には、上端が水面上に配置されるメッシュ状の整流板12が垂直に立設されている。収納部の下流側には、上端が水面上に配置される正面視して矩形状の枠板(油分滞留枠体)6が垂直に立設されている。重力分離構造体31は、整流板12と枠板6との間に収納されている。
次に、図1〜図4を参照して、重力分離構造体31を詳細に説明する。
図1〜図4に示すように、重力分離構造体31は、処理水の流水方向に直交する面内で、左側部と右側部と中央部とに3分割したものを1ブロックとし、これを4ブロック、それぞれ処理水の流水方向に直交する方向(左右方向)へ平行に連結した構造を有している。
各左側部は、多数枚の傾斜分離板3が、隣接する傾斜分離板3と傾斜分離板3との間に処理水が流通する傾斜流路32を形成し、かつ右端が左端より上方となる傾斜状態で上下方向へ平行に積層された第1傾斜分離板群30Aである。各右側部は、多数枚の傾斜分離板3が、隣接する傾斜分離板3と傾斜分離板3との間に傾斜流路32を形成し、左端が右端より上方となる傾斜状態で上下方向へ平行に積層された第2傾斜分離板群30Bである。各中央部は、第1傾斜分離板群30Aの傾斜流路32内および第2傾斜分離板群30Bの傾斜流路32内で、比重差により浮上分離した油分が上昇する浮上通路aである。浮上通路aには、処理水が流水方向から浮上通路aへ流入するのを阻止する多数枚の阻流部材5が、処理水の流水方向へ所定ピッチで配置されている。ここでの粗流部材5は正面視して矩形状の板片である。1つの粗流部材5とこれにより連結された左右1枚ずつの傾斜分離板3とからなる、正面視してハの字形状の構成体を1つのエレメント(図4,図5)とする。したがって、各ブロックは、多数のエレメントを上下に連結した多層エレメント構造体である。
各ブロック間において、第1傾斜分離板群30Aの各傾斜分離板3の下端と、第2傾斜分離板群30Bの各傾斜分離板3の下端とは、1枚の平坦で大判の連結板14を介して、突き合わせ状態で連結されている。
各傾斜分離板3の積層ピッチは25mm、各傾斜分離板3の傾斜角度は、水平面を基準として45°である。また、各傾斜分離板3の上端には、この傾斜分離板3を下壁とする傾斜流路32の上側開口の上部gを除いた部分を塞ぐ、垂直方向に延びた上向きスカート部eがそれぞれ形成されている。
次に、図1〜図4を参照して、この発明の実施例1に係る重力分離装置50による処理水の重力分離方法を説明する。
図1〜図4に示すように、原水管7の流入口35から分離槽1の上流部に供給された処理水は、まず、分離槽1の上流部から中央部へ移動する際に、多孔質の整流板12により整流される。整流後の処理水は、分離槽1の内部空間の中央部において、重力分離構造体31の上流側へ供給される。そして、処理水が重力分離構造体31を通過する際に、処理水中から油分が浮上分離されて浄水となる。その後、浄水は分離槽1の下流部でオーバーフローして浄水受け部37に落下し、浄水管38の流出口8から分離槽1の外へ排出される。
このとき、重力分離構造体31では、各第1傾斜分離板群30Aの傾斜流路32内および各第2傾斜分離板群30Bの傾斜流路32内で、処理水の流れが層流状態に保たれる。その結果、処理水より比重が小さい油分は、これらの傾斜流路32内で上昇し、その傾斜流路32の上壁となる傾斜分離板3の下面にいったん付着する。その後、この付着した油分は、周辺の油分と順次まとまって大粒化を繰り返しながら、傾斜分離板3の下面に沿って除々に上昇する。それから、傾斜流路32の上向きスカート部eにより塞がれていない上側開口の上部gを通り、浮上通路aへと流入する。その後、油分は各上向きスカート部eをガイドにして浮上通路a内を上昇し、重力分離構造体31の上方へ排出され、最終的に処理水の水面のうち、整流板12の上端部と枠板6の上端部とにより仕切られた油分滞留領域fに滞留する。その結果、ここに滞留した油分を、のちに作業者による手作業または吸引機による吸引により簡単に回収することができる。
なお、浮上物質が油分でなくガスの場合には、分離槽1を蓋体2により気密的に塞ぎ、負圧発生装置の吸引部と排気管9とをホースにより連通し、負圧発生装置を作動させて分離槽1内を減圧すれば、ガスの回収がさらに容易となる。
このように、隣り合う両傾斜分離板群30A,30Bにおいて、一方の傾斜分離板群30Aの各傾斜分離板3の上端と、他方の傾斜分離板群30Bの各傾斜分離板3の上端とを、浮上通路aを中間に介して並設し、各傾斜分離板3の上端に上向きスカート部eを形成したので、重力分離装置50のコンパクト化が図れるとともに、処理水中から油分を浮上分離する効率が高まり、この浮上分離に要する時間を短縮することができる。
また、浮上通路aに多数枚の阻流部材5を流水方向へ所定ピッチで設けたので、処理水が流水方向から浮上通路aへ流入するのを阻止することができる。これにより、浮上通路aにおける油分の垂直な上昇が処理水により阻害され難い。
次に、図5〜図8を参照して、この発明の実施例2に係る重力分離装置50Aを説明する。なお、図5中の破断線iより左側の領域は、図6中のD−D位置での断面を示す。図5中の破断線jより右側の領域は、図6中のF−F位置での断面を示す。図5中の破断線i〜破断線jの間の領域は、図6中のE−E位置での断面を示す。
図5〜図8に示す実施例2の重力分離装置50Aにおいては、処理水として、切削加工機から排出された油分と金属粉(沈降物質)とが混在する切削液が採用されている。また、分離槽21の中央部の底部には、中空の下向き角錐形状の沈降物貯留部cが連設されている。沈降物貯留部cの最下端部には、貯留した金属粉を排出する弁付きの貯留物排出管11が連通されている。
さらに、重力分離構造体31は、実施例1中の左側部の左側に別の左側部を有するとともに、実施例1中の右側部の右側に別の右側部を有した構造としている。別の左側部は第2傾斜分離板群30Bで、別の右側部は第1傾斜分離板群30Aである。ただし、この構造は、実施例1にも採用されている(図2)。また、左側部と別の左側部との間および右側部と別の右側部との間には、各傾斜通路32内で沈降分離した金属粉が下降する沈降通路bがそれぞれ形成されている。各沈降通路bには、処理水が流水方向から沈降通路bへ流入するのを阻止する別の阻流部材4が、処理水の流水方向に所定ピッチで多数枚配置されている。別の粗流部材4は、正面視して矩形状の板片である。実施例2の粗流部材25としては、重力分離構造体31の高さと略同じ長さの角棒が採用されている。また、各傾斜分離板23の下端には、この傾斜分離板23を上壁とする傾斜流路32の下側開口の下部hを除いた部分を塞ぐ、下向きスカート部dがそれぞれ形成されている。
実施例2の重力分離装置50Aを用いた処理水の重力分離方法によれば、重力分離構造体31まで達した処理水は、各傾斜流路32内で金属粉が沈降し、その傾斜流路32の下壁となる傾斜分離板23の上面に落下する。その後、金属粉は傾斜分離板23の上面を転がり、下向きスカート部dによって塞がれていない傾斜流路32の下側開口の下部hを通過し、沈降通路bに流れ込む。その後、金属粉は沈降通路bを落下し、重力分離構造体31の下方へ排出されて沈降物貯留部cに貯留される。
これにより、油分の浮上分離と同時に、処理水中の金属粉を高い効率で沈降分離(重力分離)することができる。また、各沈降通路bに多数枚の別の阻流部材4を流水方向へ所定ピッチで設けたので、流水方向から沈降通路bへ処理水が流入するのを阻止することができる。これにより、沈降通路bの金属粉の垂直な落下が処理水により阻害され難い。さらに、各傾斜分離板3に下向きスカート部dを設けたことで、沈降通路bが各傾斜通路32から一部を除いて略完全に分離される。そのため、傾斜流路32の下側の開口から沈降通路bへの油分の流れ込みを防止するとともに、落下中の金属粉が沈降通路bから傾斜流路32へ飛び出すのを防止することができる。さらに、上向きスカート部eを設けたので、浮上通路aが各傾斜通路32から一部を除いて略完全に分離される。その結果、傾斜流路32の上側の開口から浮上通路aへ金属粉が流れ込むのを防止できるとともに、浮上中の油分が浮上通路aから傾斜流路32へ飛び出すのを防止することができる。
その他の構成、作用および効果は、実施例1から推測可能な範囲であるので、説明を省略する。
次に、図9および図10を参照して、実施例3に係る重力分離装置50Bを説明する。
図9および図10に示す重力分離装置50Bは、実施例2の構造の重力分離装置50Bをベースにして、各傾斜分離板23Aを厚肉化し、かつ上面が平坦な各傾斜分離板23Aの下面全域に、傾斜分離板23Aの幅方向へ波状に連なる半円溝55を形成した点を特徴としている。
実施例3の重力分離装置50Bを用いた処理水の重力分離方法によれば、重力分離構造体31に達した処理水は、各傾斜流路32内で金属粉が沈降し、その傾斜流路32の下壁となる傾斜分離板23Aの上面に落下する。このとき、傾斜分離板23Aの上面は平坦である。その結果、金属粉は傾斜分離板23Aの上面を円滑に転がり落ちる。
一方、各傾斜流路32内では油分が浮上し、その傾斜流路32の上壁となる傾斜分離板23Aの下面に油分が付着する。このとき、傾斜分離板23Aの下面には半円溝55が形成されている。そのため、傾斜分離板23Aの下面の表面積が大きくなり、油分の付着量が増大する。しかも、半円溝55の側壁面に付着した油分は、近接する油分と順次まとまって大粒化しながら半円溝55の中央部へ集まり、ここで周辺の別の油粒とさらにまとまることでより大粒化し、その浮力を増大させる。以上のことから、実施例2の場合と対比して、金属粉(沈降物質)の回収率は同程度の高さを維持しつつ、油分(浮上物質)の回収効率をさらに高めることができる。しかも、傾斜分離板23Aの裏面形状を他の形状(例えば平面視して円形の凹凸形状)にして、傾斜分離板の裏面の表面積をこの傾斜分離板23Aと同程度まで増大させた場合に比べて、半円溝55が設けられている分、傾斜流路32の下面に沿った油分の移動効率が高まり、その油分の浮上分離時間を短縮することができる。
その他の構成、作用および効果は、実施例2から推測可能な範囲であるので、説明を省略する。
この発明の実施例1に係る重力分離装置の装置長さ方向に平行な面に沿った縦断面図である。 この発明の実施例1に係る重力分離装置の装置幅方向に平行な面に沿った縦断面図である。 図2のC部分の拡大断面図である。 (イ)は、実施例1に係る重力分離装置の傾斜分離板群を構成するエレメントの正面図である。(ロ)は、図4(イ)のE−E断面図である。 この発明の実施例2に係る重力分離装置の装置長さ方向に平行な面に沿った縦断面図である。 この発明の実施例2に係る重力分離装置の装置幅方向に平行な面に沿った縦断面図である。 図6のG部分の拡大断面図である。 (ハ)は、実施例2に係る重力分離装置の傾斜分離板群を構成するエレメントの正面図である。(ニ)は、図8(ハ)のH−H断面図である。 この発明の実施例3に係る重力分離装置の一部を構成する傾斜分離板の要部斜視図である。 この発明の実施例3に係る重力分離装置の一部を構成する傾斜分離板の使用状態を示す要部拡大縦断面図である。
符号の説明
1,21 分離槽、
3,23,23A 傾斜分離板、
4 別の粗流部材、
5,25 粗流部材、
8 流出口、
30A 第1傾斜分離板群、
30B 第2傾斜分離板群、
31 重力分離構造体、
32 傾斜流路、
35 流入口、
50,50A,50B 重力分離装置、
a 浮上通路、
b 沈降通路、
e 上向きスカート部、
d 下向きスカート部。

Claims (2)

  1. 処理水より比重が小さい浮上物質を含む処理水の流入口とこの処理水の流出口とが離間して配設された分離槽と、
    該分離槽内の前記処理水の流路途中に設けられ、前記処理水中の浮上物質を比重差により分離する重力分離構造体とを備えた重力分離装置において、
    前記重力分離構造体は、前記処理水の流水方向に直交する面内で、流水方向から視て左側部と右側部と中央部とから構成され、
    前記左側部は、複数枚の傾斜分離板が、隣接する該傾斜分離板間に前記処理水が流通する傾斜流路を形成し、かつ右端が左端より上方となる傾斜状態で上下方向へ平行に積層された第1傾斜分離板群からなり、
    前記右側部は、複数枚の傾斜分離板が、隣接する該傾斜分離板間に前記傾斜流路を形成し、左端が右端より上方となる傾斜状態で上下方向へ平行に積層された第2傾斜分離板群からなり、
    前記中央部は、前記第1傾斜分離板群の傾斜流路内および前記第2傾斜分離板群の傾斜流路内で、比重差により浮上分離した浮上物質が上昇する浮上通路からなり、
    該浮上通路には、前記処理水が流水方向から該浮上通路へ流入するのを阻止する阻流部材が配置された重力分離装置。
  2. 前記処理水中には、該処理水より比重が大きい沈降物質が含まれ、
    前記重力分離構造体は、流水方向から視て前記左側部の左側に別の左側部を有するとともに、流水方向から視て前記右側部の右側に別の右側部を有し、
    前記別の左側部は前記第2傾斜分離板群で、
    前記別の右側部は前記第1傾斜分離板群で、
    前記左側部と前記別の左側部との間および前記右側部と前記別の右側部との間には、前記各傾斜通路内で沈降分離した沈降物質が下降する沈降通路がそれぞれ形成され、
    該各沈降通路には、前記処理水が流水方向から該沈降通路へ流入するのを阻止する別の阻流部材が配置された請求項1に記載の重力分離装置。
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