まず、実施例1に係るネットワーク監視システムの概要について説明する。図1−1、図1−2および図1−3は、実施例1に係るネットワーク監視システムの概要を説明するための図である。最初に、図1−1を用いて、ネットワーク1の構成について説明する。
同図に示すネットワーク1は、ルータ10aに、ルータ10b〜10eがスター接続されて構成される。また、ルータ10aとルータ10bとの間に、タップ20aを介してネットワーク監視装置100aが接続され、ルータ10aとルータ10cとの間に、タップ20bを介してネットワーク監視装置100bが接続され、ルータ10aとルータ10dとの間に、タップ20cを介してネットワーク監視装置100cが接続される。さらに、ルータ10eに、表示装置200が接続される。このような構成の下、同図に示すネットワーク1では、PIM−SMv2が動作している。なお、図1−1では、表示装置200がルータ10eに接続される例を示したが、表示装置200は、ルータ10a〜10eのいずれに接続されてもよい。
ルータ10a〜10eは、PIM−SMv2に対応するルータであり、図示しないIP(Internet Protocol)ネットワークに接続される。そして、ルータ10a〜10eは、他のルータ10a〜10eや、自身に接続されているIPネットワーク内の端末装置から受信したパケットを、他のルータ10a〜10eや、他のIPネットワークへ送信する。
同図に示したルータ10a〜10eの矩形内の括弧書きは、ルータ10a〜10eがマルチキャストパケットを中継するRPに選出される候補であるRP候補となっているか、または、RP候補ルータに関する情報であるBSRメッセージを各ルータに代表して送信するBSRに選出されているかを示す。また、ルータ10a〜10eの矩形内の「IP」は、ルータ10a〜10eのIPアドレスを示す。また、「MA」は、マルチキャストグループアドレスおよびマスク長を示し、ルータ10a〜10eが、図中に示したマルチキャストグループアドレスおよびマスク長に対するRP候補であることを示す。
具体的には、ルータ10aは、BSRに選出されており、IPアドレス「10.232.1.1」であることを示す。また、ルータ10bは、IPアドレス「10.3.0.2」であり、マルチキャストグループアドレス「231.1.0.0」およびマスク長「24」に対するRP候補であり、かつ、マルチキャストグループアドレス「232.2.0.0」およびマスク長「24」に対するRP候補であることを示す。また、ルータ10eは、IPアドレス「10.5.1.3」であり、BSRに選出されておらず、RP候補でもないことを示す。
RP候補であるルータ10b、10cおよび10dは、ルータ10aに対して、RP候補メッセージを定期的に送信する。そして、ルータ10aは、ルータ10b、10cおよび10dから受信したRP候補メッセージに基づいて、BSRメッセージを生成して、生成したBSRメッセージを、ネットワーク1を構成する自身(ルータ10a)以外の全てのルータ(ルータ10b〜10e)に対して送信(フラッディング)する。そして、ルータ10b〜10eは、ルータ10aから受信したBSRメッセージを、所定のアルゴリズムにより計算して、RPとなるルータを理解する。
ネットワーク監視装置100a〜100cは、ネットワーク1内を流れるパケットの中からBSRメッセージを抽出して、RP候補ルータの変化を検知する装置である。具体的には、ネットワーク監視装置100aは、ルータ10aからルータ10bに対してBSRメッセージが送信されるたびに、かかるBSRメッセージを取得する。そして、ネットワーク監視装置100aは、取得したBSRメッセージに基づいて、RP候補であるルータを検知する。
そして、ネットワーク監視装置100aは、取得したBSRメッセージと、所定の記憶部に記憶されているBSRメッセージとが同一であるか否かを判定する判定処理を行う。判定処理の結果、同一でない場合、すなわち、RP候補ルータに変化があった場合、取得したBSRメッセージを所定の記憶部に記憶させる。そして、ネットワーク監視装置100aは、取得したBSRメッセージと、所定の記憶部に記憶されているBSRメッセージとの差異の情報に、所定の情報を付加した情報(以下、「BSR差異情報」という)を表示装置200に対して送信する。なお、BSR差異情報の構成については、後述する。
同様にして、ネットワーク監視装置100bは、ルータ10aからルータ10cに対して送信されるBSRメッセージを取得して、取得したBSRメッセージと、所定の記憶部に記憶されているBSRメッセージとが同一でない場合、BSR差異情報を表示装置200に対して送信し、ネットワーク監視装置100cは、ルータ10aからルータ10dに対して送信されるBSRメッセージを取得して、取得したBSRメッセージと、所定の記憶部に記憶されているBSRメッセージとが同一でない場合、BSR差異情報を表示装置200に対して送信する。
表示装置200は、ネットワーク1内のルータ10a〜10eの配置位置および接続関係を認識できるように構成された画面(以下、「ネットワーク構成画面」という)を表示部220に表示する装置である。また、表示装置200は、ネットワーク監視装置100a〜100cからBSR差異情報を受信した場合、ネットワーク構成画面上に、RP候補ルータの変化を表示する。
ここで、図1−1、図1−2および図1−3を用いて、ルータ10cが故障してRP候補でなくなり、表示部220にルータ10cがRP候補でなくなった旨が表示され、ルータ10cがRP候補でなくなったことを知ったネットワーク管理者によってルータ10eがRP候補に設定されるまでの流れを説明する。
まず、図1−1に示したネットワーク1の状態が、図1−2に示したネットワーク1の状態に変化したとする。すなわち、図1−2に示すように、ルータ10cが故障してダウンしたとする。かかる場合、ルータ10cからルータ10aに対してRP候補メッセージが送信されなくなる。なお、正常に動作しているルータ10bおよび10dからは、ルータ10aに対してRP候補メッセージが送信される。そして、ルータ10aは、ルータ10bおよび10dから受信したRP候補メッセージに基づいて、BSRメッセージを生成して、生成したBSRメッセージをフラッディングする。
そして、ネットワーク監視装置100aおよび100cは、ルータ10aから送信されるBSRメッセージを取得する。取得したBSRメッセージと、図1−1に示した状態のときに取得したBSRメッセージとが異なるため、ネットワーク監視装置100aおよび100cは、所定の記憶部に取得したBSRメッセージを記憶させるとともに、BSR差異情報を表示装置200に対して送信する。このBSR差異情報には、「ルータ10cがRP候補ではなくなった」ということを示す情報が含まれる。
そして、表示装置200は、ネットワーク監視装置100aまたは100cのいずれか一方からBSR差異情報を受信した場合に、ネットワーク構成画面上に、「ルータ10cがRP候補でなくなったこと」を表示する。例えば、図1−2に示した表示部220に表示されているネットワーク構成画面のように、ルータ10cを他のルータ10a、10b、10dおよび10eと異なる色で表示するとともに、ルータ10cの付近に「RP候補削除」という文字列を表示する。
なお、表示装置200は、ネットワーク監視装置100aおよび100cから、同一のBSR差異情報を受信するが、1度処理したBSR差異情報と同一のBSR差異情報を受信した場合、かかるBSR差異情報については処理せずに破棄する。この表示装置200によるBSR差異情報の破棄処理については後述する。
ここで、ネットワーク管理者が、図1−2に示した表示部220に表示されているネットワーク構成画面を監視していたことで、ルータ10cがRP候補でなくなり、マルチキャストグループアドレス「231.1.0.0」に対するRP候補がルータ10bのみになったことを知り、ルータ10eをマルチキャストグループアドレス「231.1.0.0」に対するRP候補に設定したとする。図1−3は、ネットワーク管理者が、ルータ10eをマルチキャストグループアドレス「231.1.0.0」に対するRP候補に設定した状態を示す。
図1−3に示すように、ルータ10eがRP候補のルータになったため、ルータ10eからルータ10aに対してRP候補メッセージがされるようになる。なお、正常に動作しているルータ10bおよび10dからは、ルータ10aに対してRP候補メッセージが送信される。そして、ルータ10aは、ルータ10b、10dおよび10eから受信したRP候補メッセージに基づいて、BSRメッセージを生成して、生成したBSRメッセージをフラッディングする。
そして、ネットワーク監視装置100aおよび100cは、ルータ10aから送信されるBSRメッセージを取得する。このとき、取得したBSRメッセージと、図1−2に示した状態のときに取得したBSRメッセージとが異なるため、ネットワーク監視装置100aおよび100cは、所定の記憶部に取得したBSRメッセージを記憶させるとともに、BSR差異情報を表示装置200に対して送信する。このBSR差異情報には、「ルータ10eがRP候補になった」ということを示す情報が含まれる。
そして、表示装置200は、ルータ10bまたは10dのいずれか一方からBSR差異情報を受信した場合に、ネットワーク構成画面上に、「ルータ10eがRP候補になったこと」を表示する。
このように、実施例1に係るネットワーク監視システムは、ネットワーク監視装置100a〜100cが、ネットワーク1内を流れるBSRメッセージを取得して、取得したBSRメッセージと、所定の記憶部に記憶されているBSRメッセージとが同一でない場合に、BSR差異情報を表示装置200へ送信し、表示装置200が、受信したBSR差異情報を表示部220に表示するので、RP候補ルータの変化をリアルタイムに監視することができる。その結果、ネットワーク管理者は、表示装置200が表示するネットワーク構成画面を監視することで、RP候補ルータの変化をリアルタイムに把握することができる。そして、ネットワーク管理者は、RP候補でなくなったルータを発見した場合に、かかるルータに障害が発生した可能性があることを検知できたり、別のルータをRP候補にする作業を即座に行うことができる。
また、実施例1に係るネットワーク監視システムは、ネットワークを構成する既存のルータを交換することなく、RP候補ルータの変化をリアルタイムに監視することができる。例えば、RP候補ルータの変化を検知する機能をルータに備えることも考えられるが、かかる場合、ネットワークを構成するルータを交換する必要があるため、コストや作業工数が増大してしまう。特に、PIM−SMv2は、多数のルータから構成される大規模なネットワークに用いられることが多いので、交換するルータは多くなる。一方、実施例1に係るネットワーク監視システムでは、ルータを取り替える必要がなく、所定の台数のネットワーク監視装置と表示装置200とをネットワークに接続するだけでRP候補ルータの変化をリアルタイムに監視することができる。
また、PIM−SMv2では、BSRルータがダウンした場合などに、BSRルータが他のルータに変更されることもあるが、実施例1に係るネットワーク監視システムは、BSRルータが変更された場合であっても、RP候補ルータの変化をリアルタイムに監視することができる。これは、実施例1に係るネットワーク監視システムは、ルータ間にネットワーク監視装置100a〜100cを接続する構成にしているからである。例えば、BSRルータがルータ10aからルータ10dに変更された場合であっても、ネットワーク監視装置100a〜100cは、ルータ10dからフラッディングされるBSRメッセージを取得して、RP候補ルータの変化を検知することができる。
なお、図1−1、図1−2および図1−3では、ネットワーク1に、3台のネットワーク監視装置100a〜100cを備える例を示したが、ネットワーク監視装置の台数は、これに限られない。例えば、ルータ10aとルータ10eとの間にネットワーク監視装置を備えて、すべてのルータ間にネットワーク監視装置を備える構成にしてもよい。また、ネットワーク監視装置100cを備えずに、ネットワーク1内に2台のネットワーク監視装置100aおよび100bを備える構成としてもよい。
次に、実施例1に係るネットワーク監視装置100a〜100cの構成について説明する。図2は、実施例1に係るネットワーク監視装置100aの構成を示すブロック図である。なお、ネットワーク監視装置100a〜100cは、いずれも同様の構成を有するため、ここでは、ネットワーク監視装置100aを例にして説明する。
同図に示すように、ネットワーク監視装置100aは、タップ20aを介してネットワーク回線と接続される。タップ20aは、ネットワーク回線を分岐させ、ネットワーク回線を流れるパケットを取り出す装置である。なお、本明細書では、タップ20aがネットワーク監視装置100aから独立した構成となっているが、ネットワーク監視装置100aがタップ20aを内蔵する構成であってもよい。
ネットワーク監視装置100aは、タップ20aが取り出したパケットからBSRメッセージを抽出して、RP候補となっているルータを検知する装置であり、インタフェース(以下、「I/F」という)部110aと、記憶部120aと、制御部130aとを有する。I/F部110aは、タップ20aが分岐させた回線に接続してパケットを読み取るためのインタフェースである。
記憶部120aは、各種情報を記憶する記憶デバイスであり、BSR情報記憶部121aを有する。BSR情報記憶部121aは、後述する更新部133aによって更新され、BSRメッセージに含まれる各種情報を記憶する。
BSR情報記憶部121aの一例を図3−1、図3−2および図3−3に示す。図3−1に示したBSR情報記憶部121aは、ネットワーク1が図1−1に示した状態であるときに、更新部133aによって更新された状態を示す。図3−2に示したBSR情報記憶部121aは、ネットワーク1が図1−2に示した状態であるときに、更新部133aによって更新された状態を示す。図3−3に示したBSR情報記憶部121aは、ネットワーク1が図1−3に示した状態であるときに、更新部133aによって更新された状態を示す。
図3−1、図3−2および図3−3に示すように、BSR情報記憶部121aは、マルチキャストグループアドレス、マスク長、RP候補アドレス、優先度、更新日時といった項目を有する。
マルチキャストグループアドレスは、マルチキャストパケットを送信するマルチキャストグループのマルチキャストグループアドレスを示す。マスク長は、マルチキャストグループアドレスのマスク長を示す。RP候補アドレスは、RP候補ルータのIPアドレスを示す。優先度は、同一のマルチキャストグループアドレス内においてRP候補となる優先順位を示す。更新日時は、対応するレコードが更新された日時を示す。
制御部130aは、ネットワーク監視装置100aを全体制御する制御部であり、抽出部131aと、判定部132aと、更新部133aと、送信部134aとを有する。抽出部131aは、I/F部110aが読み取ったパケットから、BSRメッセージを抽出する処理部である。
判定部132aは、抽出部131aによって抽出されたBSRメッセージと、BSR情報記憶部121aに記憶されている各種情報とが同一であるか否かを判定する処理部である。具体的には、判定部132aは、まず、BSRメッセージに含まれる情報から、マルチキャストグループアドレスと、マスク長と、RP候補ルータのIPアドレスと、優先度との組合せを生成する。以下では、判定部132aがBSRメッセージから生成したマルチキャストグループアドレスと、マスク長と、RP候補ルータのIPアドレスと、優先度との組合せを「RP候補セット」と呼ぶこととする。また、判定部132aが生成したRP候補セットのすべてを「RP候補セット群」と呼ぶこととする。
ここで、BSRメッセージのフォーマットを用いて、判定部132aによるRP候補セット生成処理について、より具体的に説明する。BSRメッセージのフォーマットを図4に示す。同図に示すBSRメッセージのフォーマットの例は、RFC(Request For Comments)2362に準拠するものである。
判定部132aは、図4に示したフォーマットのBSRメッセージを受信した場合、図4に示した「Encoded−Group Address−1」に設定されている情報から、マルチキャストグループアドレス(ここでは、「マルチキャストグループアドレス1」とする)と、マスク長(ここでは、「マスク長1」とする)とを取得する。続いて、判定部132aは、BSRメッセージの「Encoded−Unicast−RP−Address−1」に設定されている情報から、IPアドレス(ここでは、「RP候補アドレス1」とする)を取得する。続いて、判定部132aは、BSRメッセージの「RP1−Priority」に設定されている情報から、優先度(ここでは、「優先度1」とする)を取得する。そして、判定部132aは、取得した「マルチキャストグループアドレス1」と、「マスク長1」と、「RP候補アドレス1」と、「優先度1」との組合せ(RP候補セット)を生成する。
続いて、判定部132aは、BSRメッセージの「Encoded−Unicast−RP−Address−2」に設定されている情報から、IPアドレス(ここでは、「RP候補アドレス2」とする)を取得し、「RP2−Priority」に設定されている情報から、優先度(ここでは、「優先度2」とする)を取得する。そして、判定部132aは、「マルチキャストグループアドレス1」と、「マスク長1」と、「RP候補アドレス2」と、「優先度2」との組合せ(RP候補セット)を生成する。
判定部132aは、同様の処理を、「Encoded−Unicast−RP−Address−3」〜「Encoded−Unicast−RP−Address−m」、および、「RP3−Priority」〜「RPm−Priority」について行い、「マルチキャストグループアドレス1」と、「マスク長1」と、「RP候補アドレス3」と、「優先度3」との組合せ(RP候補セット)、・・・、「マルチキャストグループアドレス1」と、「マスク長1」と、「RP候補アドレスm」と、「優先度m」との組合せ(RP候補セット)を生成する。
さらに、判定部132aは、同様の処理を、「Encoded−Group Address−2」〜「Encoded−Group Address−n」まで行い、RP候補セットを生成する。
このようにしてRP候補セットを生成した後、判定部132aは、生成したRP候補セットと、BSR情報記憶部121aに記憶されているマルチキャストグループアドレスと、マスク長と、RP候補アドレスと、優先度との組合せとがすべて同一であるか否かを判定する。以下では、BSR情報記憶部121aに記憶されているマルチキャストグループアドレスと、マスク長と、RP候補アドレスと、優先度との組合せを「比較対象RP候補セット」と呼ぶこととする。また、比較対象RP候補セットのすべてを「比較対象RP候補セット群」と呼ぶこととする。
RP候補セット群と、比較対象RP候補セット群とが同一である場合、判定部132aは、処理を終了する。一方、RP候補セット群と、比較対象RP候補セット群とが同一でない場合、判定部132aは、RP候補セット群と、比較対象RP候補セット群との間で情報に差異のあるRP候補セットを検出し、かかるRP候補セットを含む情報であるBSR差異情報を生成する。
BSR差異情報のフォーマットの一例を図5に示す。同図に示すように、BSR差異情報は、発生日時、変化内容、マルチキャストグループアドレス、マスク長、RP候補アドレス、優先度といった項目から構成される。
発生日時は、判定部132aがBSR差異情報を生成した日時が設定される。変化内容は、RP候補セットと、比較対象RP候補セットとの間の差異内容を表す情報が設定される。具体的には、比較対象RP候補セット群には存在しないが、RP候補セット群に存在するRP候補セットの場合、かかるRP候補セットから生成されるBSR差異情報の変化内容には、例えば「RP候補追加」という文字列が設定される。一方、比較対象RP候補セット群には存在するが、RP候補セット群に存在しないRP候補セットの場合、かかるRP候補セットから生成されるBSR差異情報の変化内容には、例えば「RP候補削除」という文字列が設定される。
マルチキャストグループアドレスは、差異のあったRP候補セットのマルチキャストグループアドレスが設定される。マスク長は、差異のあったRP候補セットのマスク長が設定される。RP候補アドレスは、差異のあったRP候補セットのRP候補アドレスが設定される。優先度は、差異のあったRP候補セットの優先度が設定される。
BSR差異情報に設定される各種情報について、例を挙げて説明する。例えば、比較対象RP候補セット群が、マルチキャストグループアドレス「A1」と、マスク長「B1」と、RP候補アドレス「C1」と、優先度「D1」との組合せからなる比較対象RP候補セットのみから構成され、RP候補セット群が、マルチキャストグループアドレス「A2」と、マスク長「B1」と、RP候補アドレス「C1」と、優先度「D1」との組合せからなるRP候補セットのみから構成されているとする。かかる場合、BSR差異情報は、2レコード生成され、1つのレコードは、発生日時「BSR差異情報が生成された日時」と、変化内容「RP候補削除」と、マルチキャストグループアドレス「A1」と、マスク長「B1」と、RP候補アドレス「C1」と、優先度「D1」とから構成される。もう1つのレコードは、発生日時「BSR差異情報が生成された日時」と、変化内容「RP候補追加」と、マルチキャストグループアドレス「A2」と、マスク長「B1」と、RP候補アドレス「C1」と、優先度「D1」とから構成される。
上述した判定部132aによる判定処理について、図1−1、図1−2、図1−3、図3−1、図3−2および図3−3に示した例を用いて説明する。なお、BSR情報記憶部121aの最初の状態は、図3−1に示したBSR情報記憶部121aの状態であるとする。
まず、図1−1に示したネットワーク1の状態において、ネットワーク監視装置100aの抽出部131aが、ルータ10aから送信されたBSRメッセージを抽出すると、判定部132aは、マルチキャストグループアドレス「231.1.0.0」と、マスク長「24」と、RP候補アドレス「10.3.0.2」と、優先度「0」との組合せを生成し、マルチキャストグループアドレス「231.1.0.0」と、マスク長「24」と、RP候補アドレス「2.2.2.2」と、優先度「0」との組合せを生成し、マルチキャストグループアドレス「232.2.0.0」と、マスク長「24」と、RP候補アドレス「10.3.0.2」と、優先度「0」との組合せを生成し、マルチキャストグループアドレス「232.2.0.0」と、マスク長「24」と、RP候補アドレス「192.168.0.1」と、優先度「0」との組合せを生成する。
そして、生成したRP候補セット群と、BSR情報記憶部121aに記憶されている比較対象RP候補セット群(図3−1参照)とが同一であるため、判定部132aは、処理を終了する。
続いて、図1−1に示したネットワーク1の状態から、図1−2に示したネットワーク1の状態に変化した場合、ネットワーク監視装置100aの抽出部131aが、ルータ10aから送信されたBSRメッセージを抽出すると、判定部132aは、マルチキャストグループアドレス「231.1.0.0」と、マスク長「24」と、RP候補アドレス「10.3.0.2」と、優先度「0」との組合せを生成し、マルチキャストグループアドレス「232.2.0.0」と、マスク長「24」と、RP候補アドレス「10.3.0.2」と、優先度「0」との組合せを生成し、マルチキャストグループアドレス「232.2.0.0」と、マスク長「24」と、RP候補アドレス「192.168.0.1」と、優先度「0」との組合せを生成する。
そして、生成したRP候補セット群と、BSR情報記憶部121aに記憶されている比較対象RP候補セット群(図3−1参照)とが同一でないため、判定部132aは、BSR差異情報を生成する。このBSR差異情報は、発生日時「2007/11/29 18:35:10」と、変化内容「RP候補削除」と、マルチキャストグループアドレス「231.1.0.0」と、マスク長「24」と、RP候補アドレス「2.2.2.2」と、優先度「0」とから構成される。なお、ここでは、判定部132aがBSR差異情報を生成した日時を「2007年11月29日18時35分10秒」とする。
続いて、図1−2に示したネットワーク1の状態から、図1−3に示したネットワーク1の状態に変化した場合、ネットワーク監視装置100aの抽出部131aが、ルータ10aから送信されたBSRメッセージを抽出すると、判定部132aは、マルチキャストグループアドレス「231.1.0.0」と、マスク長「24」と、RP候補アドレス「10.3.0.2」と、優先度「0」との組合せを生成し、マルチキャストグループアドレス「231.1.0.0」と、マスク長「24」と、RP候補アドレス「10.5.1.3」と、優先度「0」との組合せを生成し、マルチキャストグループアドレス「232.2.0.0」と、マスク長「24」と、RP候補アドレス「10.3.0.2」と、優先度「0」との組合せを生成し、マルチキャストグループアドレス「232.2.0.0」と、マスク長「24」と、RP候補アドレス「192.168.0.1」と、優先度「0」との組合せを生成する。
そして、生成したRP候補セット群と、BSR情報記憶部121aに記憶されている比較対象RP候補セット群(図3−2参照)とが同一でないため、判定部132aは、BSR差異情報を生成する。このBSR差異情報は、発生日時「2007/11/29 19:10:15」と、変化内容「RP候補追加」と、マルチキャストグループアドレス「231.1.0.0」と、マスク長「24」と、RP候補アドレス「10.5.1.3」と、優先度「0」とから構成される。なお、ここでは、判定部132aがBSR差異情報を生成した日時を「2007年11月29日19時10分15秒」とする。
図2の説明に戻って、更新部133aは、判定部132aによって、RP候補セット群と、比較対象RP候補セット群とが同一でないと判定された場合に、BSR情報記憶部121aに記憶されている情報を、RP候補セット群に更新する処理部である。上述した例のように、図1−1に示したネットワーク1の状態から、図1−2に示したネットワーク1の状態に変化した場合、更新部133aは、BSR情報記憶部121aを、図3−1に示したBSR情報記憶部121aの状態から、図3−2に示したBSR情報記憶部121aの状態に更新する。
送信部134aは、判定部132aによって、RP候補セット群と、比較対象RP候補セット群とが同一でないと判定された場合に、判定部132aによって生成されたBSR差異情報を、I/F部110aとタップ20aとを介して表示装置200へ送信する処理部である。
次に、実施例1に係る表示装置200の構成について説明する。図6は、実施例1に係る表示装置200の構成を示すブロック図である。同図に示すように、表示装置200は、I/F部210と、表示部220と、記憶部230と、制御部240とを有する。
I/F部210は、ネットワーク監視装置100a〜100cから送信されるBSR差異情報を読み取るためのインタフェースである。表示部220は、各種情報を表示する表示デバイスであり、例えば、液晶表示装置からなる。
記憶部230は、各種情報を記憶する記憶デバイスであり、ノード管理テーブル231と、接続線管理テーブル232と、IPアドレステーブル233とを有する。
ノード管理テーブル231は、ネットワークを構成するルータのネットワーク構成画面上における配置位置に関する情報等を記憶する。ノード管理テーブル231の一例を図7に示す。なお、同図に示したノード管理テーブル231は、図1−1、図1−2および図1−3に示したネットワーク1を構成するルータ10a〜10eに関する情報を記憶する。
同図に示すように、ノード管理テーブル231は、ノードID、ノード名、X座標、Y座標、イメージファイルといった項目を有する。ノードIDは、ルータ10a〜10eを一意に識別するための識別子を示す。ノード名は、ルータ10a〜10eの名称を示す。X座標およびY座標は、ルータ10a〜10eのネットワーク構成画面上における配置位置であるX座標およびY座標を示す。イメージファイルは、ルータ10a〜10eをネットワーク構成画面に表示する際の画像のイメージファイル名を示す。
接続線管理テーブル232は、ネットワークを構成するルータの接続関係に関する情報を記憶する。接続線管理テーブル232の一例を図8に示す。なお、同図に示した接続線管理テーブル232は、図1−1、図1−2および図1−3に示したネットワーク1を構成するルータ10a〜10eに関する情報を記憶する。
同図に示すように、接続線管理テーブル232は、コネクトID、ノードID1、ノードID2といった項目を有する。コネクトIDは、ルータ10a〜10eの間の接続関係を一意に識別するための識別子を示す。ノードID1は、接続されているルータ間の一方のノードIDを示し、ノードID2は、接続されているルータ間の他方のノードIDを示す。ノードID1およびノードID2に記憶されるノードIDは、図7に示したノード管理テーブル231のノードIDに対応する。
同図に示した接続線管理テーブル232の1行目は、ノードID「1」(ルータ10a)と、ノードID「2」(ルータ10b)とが接続されていることを示す。同様に、同図に示した接続線管理テーブル232の2行目は、ノードID「1」(ルータ10a)と、ノードID「3」(ルータ10c)とが接続されていることを示す。
IPアドレステーブル233は、ネットワークを構成するルータのIPアドレスを記憶する。IPアドレステーブル233の一例を図9に示す。なお、同図に示したIPアドレステーブル233は、図1−1、図1−2および図1−3に示したネットワーク1を構成するルータ10a〜10eに関する情報を記憶する。
同図に示すように、IPアドレステーブル233は、ノードID、IPアドレスといった項目を有する。ノードIDは、図7に示したノード管理テーブル231のノードIDに対応する。IPアドレスは、ルータ10a〜10eのIPアドレスを示す。なお、ルータ10a〜10eは、上述したように図示しないIPネットワークに接続されており、IPアドレステーブル233のIPアドレスは、IPネットワークのIPアドレスも記憶する。
制御部240は、表示装置200を全体制御する制御部であり、受信部241と、表示制御部242とを有する。受信部241は、I/F部210を介して、ネットワーク監視装置100a〜100cから送信されたBSR差異情報を受信する処理部である。また、受信部241は、前回BSR差異情報を受信してから所定の時間(例えば、1分)が経過する前に、新たにBSR差異情報を受信した場合、新たに受信したBSR差異情報を破棄する。これにより、複数のネットワーク監視装置100a〜100cから同一のBSR差異情報を受信した場合に、後述する表示制御部242が、同一のBSR差異情報に対して重複して処理してしまうことを防止できる。
表示制御部242は、記憶部230に記憶されている各種情報と、受信部241によって受信されたBSR差異情報とに基づいて、表示部220にネットワーク構成画面を表示させる処理部である。
図10を用いて、表示制御部242によるネットワーク構成画面表示制御処理について説明する。図10は、ネットワーク構成画面の一例を示す図である。なお、図10に示した例は、表示装置200が、図1−2に示したネットワーク監視装置100a〜100cからBSR差異情報を受信した後、図1−3に示したネットワーク監視装置100a〜100cからBSR差異情報を受信して、表示するネットワーク構成画面とする。
まず、表示制御部242は、図10のネットワーク構成画面の「<構成図>」に示すように、ノード管理テーブル231のX座標およびY座標に記憶されている情報に基づいて、ノード管理テーブル231のイメージファイルに記憶されているファイル名の画像を配置する。続いて、表示制御部242は、配置した画像付近にノード管理テーブル231のノード名に記憶されているルータの名称を表示する。
続いて、表示制御部242は、接続線管理テーブル232に記憶されている情報に基づいて、配置した画像間に接続線を表示する。続いて、表示制御部242は、IPアドレステーブル233から、BSR差異情報内のRP候補アドレスに設定されているIPアドレスに対応するノードIDを取得する。続いて、表示制御部242は、取得したノードIDに対応するルータが配置されている画像付近に、BSR差異情報内の変化内容に設定されている文字列を表示するとともに、所定のマークを表示する。なお、画像付近に表示されている変化内容および所定のマークは、ユーザの操作により消すことができる。
続いて、表示制御部242は、図10のネットワーク構成画面の「<変化情報>」に示すように、BSR差異情報内の発生日時、変化内容、マルチキャストグループアドレス、マスク長、優先度に設定されている情報を一覧表示する。また、変化内容とマルチキャストグループアドレスとの間に、機器名の項目を設けて、ノード管理テーブル231から取得したノード名を表示する。
次に、実施例1に係るネットワーク監視装置100aによるネットワーク監視処理について説明する。図11は、実施例1に係るネットワーク監視装置100aによるネットワーク監視処理手順を示すフローチャートである。同図に示すように、ネットワーク監視装置100aの抽出部131aは、ネットワークを流れるパケットからBSRメッセージを抽出する(ステップS101)。
そして、判定部132aは、抽出部131aによって抽出されたBSRメッセージに含まれる情報から、RP候補セット群を生成する(ステップS102)。その後、判定部132aは、生成したRP候補セットと、比較対象RP候補セットとがすべて同一であるか否かを判定する(ステップS103)。
生成したRP候補セットと、比較対象RP候補セットとがすべて同一である場合(ステップS104肯定)、判定部132aは、処理を終了する。一方、生成したRP候補セットと、比較対象RP候補セットとに差異がある場合(ステップS104否定)、判定部132aは、BSR差異情報を生成する(ステップS105)。
そして、更新部133aは、BSR情報記憶部121aに記憶されている情報を、判定部132aによって生成されたRP候補セット群に更新する(ステップS106)。そして、送信部134aは、判定部132aによって生成されたBSR差異情報を表示装置200へ送信する(ステップS107)。
次に、実施例1に係る表示装置200によるネットワーク構成画面表示処理について説明する。図12は、実施例1に係る表示装置200によるネットワーク構成画面表示処理手順を示すフローチャートである。同図に示すように、表示装置200の受信部241は、ネットワーク監視装置100a〜100cから送信されたBSR差異情報を受信すると(ステップS201肯定)、かかるBSR差異情報を、前回BSR差異情報を受信してから所定の時間が経過する前に受信したか否かを判断する。
前回BSR差異情報を受信してから所定の時間が経過する前にBSR差異情報を受信した場合(ステップS202否定)、受信部241は、かかるBSR差異情報を破棄する(ステップS203)。
一方、前回BSR差異情報を受信してから所定の時間が経過した後にBSR差異情報を受信した場合(ステップS202肯定)、表示制御部242は、受信したBSR差異情報と、記憶部230に記憶されている各種情報とに基づいて、表示部220にネットワーク構成画面を表示させる(ステップS204)。
上述してきたように、実施例1に係るネットワーク監視システムは、ルータ10a〜10dの間に接続されたネットワーク監視装置100a〜100cが、BSRメッセージを取得して、RP候補ルータの変化を検知するように構成したので、RP候補ルータの変化をリアルタイムに監視することができる。
また、実施例1に係るネットワーク監視システムは、ネットワーク監視装置100a〜100cが、RP候補ルータの変化を検知した場合に、かかる変化内容をBSR差異情報として表示装置200へ送信し、表示装置200が、受信したBSR差異情報に基づいて、RP候補ルータの変化内容をネットワーク構成画面に表示するように構成したので、ネットワーク管理者は、RP候補ルータの変化をリアルタイムに監視することができる。
なお、実施例1に係るネットワーク監視システムは、マルチキャストドメインの異なる複数のネットワークについても、RP候補ルータの変化を一括して監視することができる。図13を用いて具体的に説明する。図13は、マルチキャストドメインの異なる複数のネットワークから構成されるネットワークの一例を示す図である。同図に示すネットワーク2は、ボーダールータ10fによって、マルチキャストドメインの異なるネットワーク2aとネットワーク2bとが接続されている。このような構成であっても、ネットワーク2b内のネットワーク監視装置100dがBSR差異情報を表示装置200へ送信することで、表示装置200は、ネットワーク2aおよび2bにおけるRP候補ルータの変化をネットワーク構成画面に表示することができる。
また、上記実施例1では、ネットワーク監視装置100a〜100cが、RP候補セット群と、比較対象RP候補セット群とが同一でないと判定した場合に、BSR差異情報を表示装置200へ送信する例を示したが、表示装置200がネットワーク監視装置100a〜100cに対してBSR差異情報を送信するように要求する構成にしてもよい。具体的には、ネットワーク監視装置100a〜100cは、RP候補セット群と、比較対象RP候補セット群とが同一でない場合に、BSR差異情報を所定の記憶部に記憶しておく。そして、表示装置200からBSR差異情報の送信要求を受け付けた場合に、記憶しておいたBSR差異情報を表示装置200へ送信する。例えば、ネットワーク管理者が表示装置200の所定の入力部を用いて「BSR差異情報送信要求」という操作を行った場合に、ネットワーク監視装置100a〜100cがBSR差異情報を送信するように構成する。かかる場合、ネットワーク管理者は、BSR差異情報送信要求操作を行うと、前回BSR差異情報送信要求操作を行ったときのRP候補ルータから変化したRP候補ルータを監視することができる。
また、上記実施例1では、RP候補セット群と、比較対象RP候補セット群とが同一であるか否かを判定する場合に、マルチキャストグループアドレス、マスク長、RP候補アドレス、優先度に差異があるか否かを判定する例を示したが、RP候補セットおよび比較対象RP候補セットに他の項目を含めて判定処理を行うように構成してもよい。例えば、RP候補セットおよび比較対象RP候補セットに、ホールドタイムを含めるように構成してもよい。かかる場合、BSR情報記憶部121aにホールドタイムの項目を追加する。そして、判定部132aは、RP候補セットとして、BSRメッセージに設定されている情報から、マルチキャストグループアドレスと、マスク長と、RP候補ルータのIPアドレスと、優先度と、ホールドタイムとの組合せを生成する。なお、ホールドタイムは、図4に示したBSRメッセージのフォーマットの「RP1−Holdtime」〜「RPm−Holdtime」に該当する。
また、上記実施例1では、表示装置200の受信部241が、BSR差異情報を受信してから所定の時間が経過する前に受信したBSR差異情報を破棄する例を示したが、他の手法により同一のBSR差異情報を受信した場合に、かかるBSR差異情報を破棄するように構成してもよい。例えば、ネットワーク監視装置100aの判定部132aは、BSR差異情報に設定する変化内容と、マルチキャストグループアドレスと、マスク長と、RP候補アドレスと、優先度とを組み合わせた情報を、ハッシュ関数によりハッシュして、算出されたハッシュ値をBSR差異情報に設定する。そして、表示装置200の受信部241は、一度受信したBSR差異情報に設定されているハッシュ値と、同一のハッシュ値が設定されているBSR差異情報を受信した場合に、かかるBSR差異情報を破棄する。
また、上記実施例1では、表示装置200の表示制御部242が、図10に例示したネットワーク構成画面を表示部220に表示させる例を示したが、図10に示したネットワーク構成画面は一例に過ぎず、表示制御部242は、同図に示した「<構成図>」のみを表示部220に表示させてもよいし、「<変化情報>」のみを表示させてもよい。また、「<構成図>」に表示した情報は、同図に示した例に限られず、例えば、図9に示したIPアドレステーブル233のIPアドレスに記憶されている情報を表示してもよい。同様に、「<変化情報>」に表示した項目は、同図に示した例に限られず、例えば、図9に示したIPアドレステーブル233のIPアドレスに記憶されている情報を表示してもよい。
また、上記実施例1では、表示装置200の表示制御部242が、図10に例示したネットワーク構成画面のように、RP候補ルータの変化内容を表示部220に表示させる例を示したが、変化のないRP候補ルータや、BSRに選出されているルータに関する情報を表示させるように構成してもよい。図14を用いて、具体的に説明する。図14は、ネットワーク構成画面の一例を示す図である。同図に示すように、表示制御部242は、「<構成図>」に変化のないRP候補ルータ(同図の例では、ルータ10b、10d)と、BSRに選出されているルータ(同図の例では、ルータ10a)とを表示させる。また、同図に示すように、表示制御部242は、「<RP候補情報>」に、RP候補ルータに関する情報を表示する。これにより、ネットワーク管理者は、どのルータが、どのマルチキャストグループアドレスのRP候補となっているか把握することができる。なお、表示装置200は、RP候補ルータや、BSRに選出されているルータに関する情報を表示するために、BSRメッセージを定期的に取得して、所定の記憶部に記憶しておく。
ところで、上記実施例1では、ネットワーク監視装置100a〜100cが、RP候補ルータの変化を検知して、BSR差異情報を表示装置200へ送信し、かかるBSR差異情報を受信した表示装置200が、RP候補ルータの変化内容を表示部220に表示する例を示したが、ネットワーク監視装置100a〜100cがRP候補ルータの変化内容を表示するように構成してもよい。そこで、実施例2では、ネットワーク監視装置100a〜100cがRP候補ルータの変化内容を表示する例について説明する。
図15は、実施例2に係るネットワーク監視装置300aの構成を示すブロック図である。同図に示すように、ネットワーク監視装置300aは、I/F部110aと、表示部310aと、記憶部320aと、制御部330aとを有する。なお、ここでは、図2に示した構成部位と同様の機能を有する部位には同一符号を付すこととして、その詳細な説明を省略する。表示部310aは、各種情報を表示する表示デバイスであり、例えば、液晶表示装置からなる。
記憶部320aは、BSR情報記憶部121aと、ノード管理テーブル231aと、接続線管理テーブル232aと、IPアドレステーブル233aとを有する。ノード管理テーブル231aは、図6に示した表示装置200の記憶部230が有するノード管理テーブル231と同様のテーブルである。接続線管理テーブル232aは、図6に示した表示装置200の記憶部230が有する接続線管理テーブル232と同様のテーブルである。IPアドレステーブル233aは、図6に示した表示装置200の記憶部230が有するIPアドレステーブル233と同様のテーブルである。すなわち、実施例2に係るネットワーク監視装置300aの記憶部320aは、図2に示したネットワーク監視装置100aの記憶部120aが有するBSR情報記憶部121aと、図6に示した表示装置200の記憶部230が有する各種テーブルを有する。
制御部330aは、図2に示した制御部130aと比較して、表示制御部331aを新たに有する。表示制御部331aは、判定部132aが生成したBSR差異情報、および、ノード管理テーブル231aと、接続線管理テーブル232aと、IPアドレステーブル233aとに記憶されている情報に基づいて、表示部310aにネットワーク構成画面を表示させる処理部である。なお、制御部330aによるネットワーク構成画面表示制御処理は、実施例1に示した表示制御部242によるネットワーク構成画面表示制御処理と同様である。
上述してきたように、実施例2に係るネットワーク監視装置300aは、BSRメッセージを抽出して、RP候補ルータの変化を検知した場合に、かかる変化内容をネットワーク構成画面として表示部310aに表示するように構成したので、BSR差異情報をネットワーク上に流通させることなく、RP候補ルータの変化をリアルタイムに監視することができる。
なお、図2に示した実施例1に係るネットワーク監視装置100aの構成、図6に示した実施例1に係る表示装置200の構成、および、図15に示した実施例2に係るネットワーク監視装置300aの構成は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々に変更することができる。例えば、ネットワーク監視装置300aの制御部330aの機能をソフトウェアとして実装し、これをコンピュータで実行することにより、ネットワーク監視装置300aと同等の機能を実現することもできる。以下に、制御部330aの機能をソフトウェアとして実装したネットワーク監視プログラム1071を実行するコンピュータの一例を示す。
図16は、ネットワーク監視プログラム1071を実行するコンピュータ1000の構成を示すブロック図である。このコンピュータ1000は、各種演算処理を実行するCPU(Central Processing Unit)1010と、ユーザからのデータの入力を受け付ける入力装置1020と、各種情報を表示するモニタ1030と、記録媒体からプログラム等を読み取る媒体読取り装置1040と、ネットワークを介して他のコンピュータとの間でデータの授受を行うネットワークインターフェース装置1050と、各種情報を一時記憶するRAM(Random Access Memory)1060と、ハードディスク装置1070とをバス1080で接続して構成される。
そして、ハードディスク装置1070には、図15に示した制御部330aと同様の機能を有するネットワーク監視プログラム1071と、図15に示した記憶部320aに記憶される各種データに対応するネットワーク監視用データ1072とが記憶される。なお、ネットワーク監視用データ1072を、適宜分散させ、ネットワークを介して接続された他のコンピュータに記憶させておくこともできる。
そして、CPU1010がネットワーク監視プログラム1071をハードディスク装置1070から読み出してRAM1060に展開することにより、ネットワーク監視プログラム1071は、ネットワーク監視プロセス1061として機能するようになる。そして、ネットワーク監視プロセス1061は、ネットワーク監視用データ1072から読み出した情報等を適宜RAM1060上の自身に割り当てられた領域に展開し、この展開したデータ等に基づいて各種データ処理を実行する。
なお、ネットワーク監視プログラム1071は、必ずしもハードディスク装置1070に格納されている必要はなく、CD−ROM等の記憶媒体に記憶されたこのプログラムを、コンピュータ1000が読み出して実行するようにしてもよい。また、公衆回線、インターネット、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等を介してコンピュータ1000に接続される他のコンピュータ(またはサーバ)等にこのプログラムを記憶させておき、コンピュータ1000がこれらからプログラムを読み出して実行するようにしてもよい。
以上の実施例1および2を含む実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)マルチキャストパケットを中継する中継ルータに選出される候補のルータである中継候補ルータおよび中継候補ルータに関する情報である中継候補情報を各ルータに代表して送信する代表ルータを含むネットワークを監視するネットワーク監視装置であって、
前記中継候補情報を記憶する中継候補情報記憶手段と、
前記ネットワークを流れるパケットの中から前記中継候補情報を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段によって抽出された中継候補情報と、前記中継候補情報記憶手段に記憶されている情報である比較対象中継候補情報とが同一であるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によって同一でないと判定された場合に、前記中継候補情報記憶手段に記憶されている情報を、前記抽出手段によって抽出された中継候補情報に更新する更新手段と
を備えたことを特徴とするネットワーク監視装置。
(付記2)前記中継候補情報記憶手段は、前記中継候補情報に含まれるマルチキャストグループアドレスと、マスク長と、中継候補ルータのIPアドレスと、優先度との組合せを記憶し、
前記判定手段は、前記抽出手段によって抽出された中継候補情報に含まれるマルチキャストグループアドレスと、マスク長と、中継候補ルータのIPアドレスと、優先度との組合せである中継候補セット情報と、前記中継候補情報記憶手段に記憶されているマルチキャストグループアドレスと、マスク長と、中継候補ルータのIPアドレスと、優先度との組合せである比較対象中継候補セット情報とがすべて同一であるか否かを判定することを特徴とする付記1に記載のネットワーク監視装置。
(付記3)前記判定手段によって同一でないと判定された場合に、前記抽出手段によって抽出された中継候補情報と、前記比較対象中継候補情報との差異の情報である中継候補差異情報を所定の装置へ送信する送信手段をさらに備えたことを特徴とする付記1または2に記載のネットワーク監視装置。
(付記4)前記判定手段によって同一でないと判定された場合に、前記抽出手段によって抽出された中継候補情報と、前記比較対象中継候補情報との差異の情報である中継候補差異情報を所定の表示部に表示させる表示制御手段をさらに備えたことを特徴とする付記1に記載のネットワーク監視装置。
(付記5)前記表示制御手段は、前記ネットワークの構成を前記表示部に表示させるとともに、前記比較対象中継候補セット情報と同一である前記中継候補セット情報が示す中継候補ルータと、前記比較対象中継候補セット情報と同一でない前記中継候補セット情報が示す中継候補ルータとを識別できるように表示させることを特徴とする付記4に記載のネットワーク監視装置。
(付記6)マルチキャストパケットを中継する中継ルータに選出される候補のルータである中継候補ルータおよび中継候補ルータに関する情報である中継候補情報を各ルータに代表して送信する代表ルータを含むネットワークを監視するネットワーク監視装置と、前記ネットワークの状況を所定の表示部に表示する表示装置とを有するネットワーク監視システムであって、
前記ネットワーク監視装置は、
前記中継候補情報を記憶する中継候補情報記憶手段と、
前記ネットワークを流れるパケットの中から前記中継候補情報を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段によって抽出された中継候補情報と、前記中継候補情報記憶手段に記憶されている情報である比較対象中継候補情報とが同一であるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によって同一でないと判定された場合に、前記中継候補情報記憶手段に記憶されている情報を、前記抽出手段によって抽出された中継候補情報に更新する更新手段と、
前記判定手段によって同一でないと判定された場合に、前記抽出手段によって抽出された中継候補情報と、前記比較対象中継候補情報との差異の情報である中継候補差異情報を前記表示装置へ送信する送信手段とを備え、
前記表示装置は、
前記送信手段によって送信された中継候補差異情報を受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信された中継候補差異情報を、前記表示部に表示させる表示制御手段と
を備えたことを特徴とするネットワーク監視システム。
(付記7)前記中継候補情報記憶手段は、前記中継候補情報に含まれるマルチキャストグループアドレスと、マスク長と、中継候補ルータのIPアドレスと、優先度との組合せを記憶し、
前記判定手段は、前記抽出手段によって抽出された中継候補情報に含まれるマルチキャストグループアドレスと、マスク長と、中継候補ルータのIPアドレスと、優先度との組合せである中継候補セット情報と、前記中継候補情報記憶手段に記憶されているマルチキャストグループアドレスと、マスク長と、中継候補ルータのIPアドレスと、優先度との組合せである比較対象中継候補セット情報とがすべて同一であるか否かを判定し、
前記送信手段は、前記判定手段によって同一でないと判定された場合に、前記中継候補セット情報と前記比較対象中継候補セット情報との差異の情報を中継候補差異情報として、前記表示装置に送信することを特徴とする付記6に記載のネットワーク監視システム。
(付記8)前記受信手段は、受信済みの中継候補差異情報と同一の中継候補差異情報を受信した場合に、該同一の中継候補差異情報を破棄することを特徴とする付記6または7に記載のネットワーク監視システム。
(付記9)前記受信手段は、中継候補差異情報を受信してから所定の時間が経過する前に受信した中継候補差異情報を破棄することを特徴とする付記8に記載のネットワーク監視システム。
(付記10)前記表示制御手段は、前記ネットワークの構成を前記表示部に表示させるとともに、前記比較対象中継候補セット情報と同一である前記中継候補セット情報が示す中継候補ルータと、前記比較対象中継候補セット情報と同一でない前記中継候補セット情報が示す中継候補ルータとを識別できるように表示させることを特徴とする付記6に記載のネットワーク監視システム。
(付記11)マルチキャストパケットを中継する中継ルータに選出される候補のルータである中継候補ルータおよび中継候補ルータに関する情報である中継候補情報を各ルータに代表して送信する代表ルータを含むネットワークを監視するネットワーク監視方法であって、
前記ネットワークを流れるパケットの中から前記中継候補情報を抽出する抽出工程と、
前記抽出工程において抽出された中継候補情報と、前記中継候補情報を記憶する中継候補情報記憶手段に記憶されている情報である比較対象中継候補情報とが同一であるか否かを判定する判定工程と、
前記判定工程において同一でないと判定された場合に、前記中継候補情報記憶手段に記憶されている情報を、前記抽出工程において抽出された中継候補情報に更新する更新工程と
を含んだことを特徴とするネットワーク監視方法。
(付記12)前記中継候補情報記憶手段は、前記中継候補情報に含まれるマルチキャストグループアドレスと、マスク長と、中継候補ルータのIPアドレスと、優先度との組合せを記憶し、
前記判定工程は、前記抽出工程において抽出された中継候補情報に含まれるマルチキャストグループアドレスと、マスク長と、中継候補ルータのIPアドレスと、優先度との組合せである中継候補セット情報と、前記中継候補情報記憶手段に記憶されているマルチキャストグループアドレスと、マスク長と、中継候補ルータのIPアドレスと、優先度との組合せである比較対象中継候補セット情報とがすべて同一であるか否かを判定することを特徴とする付記11に記載のネットワーク監視方法。
(付記13)前記判定工程において同一でないと判定された場合に、前記抽出工程において抽出された中継候補情報と、前記比較対象中継候補情報との差異の情報である中継候補差異情報を所定の装置へ送信する送信工程をさらに含んだことを特徴とする付記11または12に記載のネットワーク監視方法。
(付記14)前記判定工程において同一でないと判定された場合に、前記抽出工程において抽出された中継候補情報と、前記比較対象中継候補情報との差異の情報である中継候補差異情報を所定の表示部に表示させる表示制御工程をさらに含んだことを特徴とする付記11に記載のネットワーク監視方法。
(付記15)マルチキャストパケットを中継する中継ルータに選出される候補のルータである中継候補ルータおよび中継候補ルータに関する情報である中継候補情報を各ルータに代表して送信する代表ルータを含むネットワークを監視するネットワーク監視プログラムであって、
前記ネットワークを流れるパケットの中から前記中継候補情報を抽出する抽出手順と、
前記抽出手順において抽出された中継候補情報と、前記中継候補情報を記憶する中継候補情報記憶手段に記憶されている情報である比較対象中継候補情報とが同一であるか否かを判定する判定手順と、
前記判定手順において同一でないと判定された場合に、前記中継候補情報記憶手段に記憶されている情報を、前記抽出手順において抽出された中継候補情報に更新する更新手順と
をコンピュータに実行させることを特徴とするネットワーク監視プログラム。
(付記16)前記中継候補情報記憶手段は、前記中継候補情報に含まれるマルチキャストグループアドレスと、マスク長と、中継候補ルータのIPアドレスと、優先度との組合せを記憶し、
前記判定手順は、前記抽出手順において抽出された中継候補情報に含まれるマルチキャストグループアドレスと、マスク長と、中継候補ルータのIPアドレスと、優先度との組合せである中継候補セット情報と、前記中継候補情報記憶手段に記憶されているマルチキャストグループアドレスと、マスク長と、中継候補ルータのIPアドレスと、優先度との組合せである比較対象中継候補セット情報とがすべて同一であるか否かを判定することを特徴とする付記15に記載のネットワーク監視プログラム。
(付記17)前記判定手順において同一でないと判定された場合に、前記抽出手順において抽出された中継候補情報と、前記比較対象中継候補情報との差異の情報である中継候補差異情報を所定の装置へ送信する送信手順をさらにコンピュータに実行させることを特徴とする付記15または16に記載のネットワーク監視プログラム。
(付記18)前記判定手順において同一でないと判定された場合に、前記抽出手順において抽出された中継候補情報と、前記比較対象中継候補情報との差異の情報である中継候補差異情報を所定の表示部に表示させる表示制御手順をさらにコンピュータに実行させることを特徴とする付記15に記載のネットワーク監視プログラム。