JP2009165022A - 静磁波発振装置 - Google Patents

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Masanori Nagayama
昌徳 永山
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Abstract

【課題】
静磁波発振装置に於ける磁極間の空隙の距離が磁界の強さを決定する一因であることを利用し、多くの周波数帯域に対応できる静磁波発振装置を提供する。
【解決手段】
所定の空隙7を形成する様に磁極3,8が対峙して配設され、前記空隙に磁界15が形成され、前記空隙内に発振回路基板9を介して静磁波素子12が設けられた静磁波発振装置1であって、前記磁極間の距離を変更可能とし、該距離を変更することで発振周波数を変更可能とした。
【選択図】 図1

Description

本発明は、フェリ磁性共鳴を利用した静磁波発振装置に関するものである。
放送伝送用移動端末に於ける伝送周波数にはマイクロ波帯の周波数が使用される。
日本に於いては、放送事業用として総務省から割当てられている周波数は、例えば3.4GHz〜3.6GHz、6.87GHz〜7.125GHz、10.25GHz〜10.45GHz、12.95〜l3.25GHzという様に、マイクロ波帯の中でも広い周波数範囲で飛び飛びに設定されている。実際の使用に際しては、これらの各周波数帯がそれぞれ更に細かいチャネルに細分化されており、利用者はそれぞれに割当てられたチャネルを用いて伝送を行う。
上記の伝送装置で使用されるマイクロ波はVCO(電圧制御発振器)の様な発振周波数が可変な発振装置により生成されるが、その発振装置には、隣接するチャネルとの混信防止及び伝送品質の確保が必要であることと、割当てられた複数で特定のチャネルを切替えて使用する必要があることから、位相雑音特性が非常に良好で、且つ広帯域で周波数が可変できる静磁波発振装置が使用されることが多い。
静磁波発振装置は、GGG(ガドリニウム・ガリウム・ガーネット)非磁性単結晶基板上に、フェリ磁性体であるYIG(イットリウム・鉄・ガーネット)薄膜を液相エピタキシャル成長させた静磁波素子に、強い磁界を印加すると磁気スピンが共鳴し共振子として動作することを利用した発振装置である。
この時の共振周波数は印加する磁界の強さを変えることで、マイクロ波帯の周波数で2〜3オクターブの広帯域に亘り可変することができる。
図5は、従来の静磁波発振装置1を示しており、永久磁石2の一方(図中では上側)には下部磁極3が設けられ、前記永久磁石2の他方には底板4が設けられている。該底板4には外部ヨーク5を介して天板6が設けられ、該天板6に上部磁極8が設けられている。前記下部磁極3と前記上部磁極8とは空隙(間隔)7を介在させ対峙し、該空隙7に集中して磁界15が形成される。
前記空隙7を横断する様に銅板11に支持された発振回路基板9が設けられ、該発振回路基板9に静磁波素子12が、前記下部磁極3、前記上部磁極8の中心となる様に実装される。
尚、前記上部磁極8に対しては前記磁界15の粗調整を行う粗調用電磁コイル13が設けられ、前記下部磁極3に対しては前記磁界15の微調整を行う微調用電磁コイル14が設けられる。
発生された前記磁界15は、前記空隙7に集中し、前記上部磁極8による共振信号は前記発振回路基板9によって取出される。
前記静磁波素子12による発振周波数は、該静磁波素子12に印加される磁界の強さに依存する。基準となる磁界の強さは、前記永久磁石2の磁力の強さによって決定されるが、前記空隙7の距離にも依存している。
又、VCOとして発振装置を動作させる為には、発振装置外部から印加される電圧により発振周波数を制御できる様にする必要があるが、前記静磁波発振装置1の場合、前記粗調用電磁コイル13及び前記微調用電磁コイル14の各々に印加する電圧を制御することで、それぞれのコイルに流れる電流値を調整し、前記粗調用電磁コイル13、微調用電磁コイル14により発生される磁界の強さを変化させ、前記静磁波発振装置1全体の磁界の強さを調整している。例えば、比帯域(周波数可変幅/中心周波数)で約20%程度、発振周波数を変化させることが可能である。
放送伝送用移動端末に於いては1台の装置で、例えば6.87GHz〜7.125GHzと10.25GHz〜10.45GHz帯の2つの周波数帯域に対応することを要求されることが多い。前記静磁波発振装置1の発振周波数範囲は非常に広帯域ではあるが、その比帯域は20%程度であることから、2つの周波数帯域を1つの前記静磁波発振装置1でカバーすることはできない。前記静磁波発振装置1の電磁コイル及びFMコイルに大きな電流を流し、コイルにより生成される磁界の強さを強めてやれば2つの周波数帯域をカバーすることは可能かもしれないが、消費電流が多くなることと、電流が増加することに伴う極端な発熱が予想される為現実的ではない。その為、従来はそれぞれの周波数帯域に対応した発振周波数範囲を持つ静磁波発振装置を用意して対応するしかなく、当然ながら、相応の実装面積を必要とする為、装置の小型化の障害となっている。
特開2006−279155号公報
本発明は斯かる実情に鑑み、静磁波発振装置に於ける磁極間の空隙の距離が磁界の強さを決定する一因であることを利用し、多くの周波数帯域に対応できる静磁波発振装置を提供するものである。
本発明は、所定の空隙を形成する様に磁極が対峙して配設され、前記空隙に磁界が形成され、前記空隙内に発振回路基板を介して静磁波素子が設けられた静磁波発振装置であって、前記磁極間の距離を変更可能とし、該距離を変更することで発振周波数を変更可能とした静磁波発振装置に係るものである。
本発明によれば、所定の空隙を形成する様に磁極が対峙して配設され、前記空隙に磁界が形成され、前記空隙内に発振回路基板を介して静磁波素子が設けられた静磁波発振装置であって、前記磁極間の距離を変更可能とし、該距離を変更することで発振周波数を変更可能としたので、1つで多くの周波数帯域に対応でき、複数の静磁波発振装置を設ける必要がなくなるので、実装面積が減少し、装置の小型化が図れると共に製作コストの低減が図れるという優れた効果を発揮する。
以下、図面を参照しつつ本発明を実施する為の最良の形態を説明する。
図1は本発明に係る静磁波発振装置の一例を示す概略断面図であり、図1中、図5中で示したものと同等のものには同符号を付してある。
底板4に永久磁石2が設けられ、該永久磁石2に下部磁極3が設けられる。前記底板4に外部ヨーク5を介して天板6が設けられ、該天板6に前記下部磁極3と対峙する上部磁極8が支持される。該上部磁極8の周囲には空芯コイルである粗調用電磁コイル13が設けられ、前記下部磁極3の周囲には空芯コイルである微調用電磁コイル14が設けられ、前記粗調用電磁コイル13、前記微調用電磁コイル14には磁界発生用の電源(図示せず)が接続され、該電源により前記粗調用電磁コイル13、前記微調用電磁コイル14に印加する電圧を制御して前記粗調用電磁コイル13、前記微調用電磁コイル14によって発生される磁界の強さを調整できる様になっている。
前記天板6の下面には、下方に向って突出する円筒状のガイド部16が形成され、該ガイド部16は前記粗調用電磁コイル13の中空部に位置している。前記ガイド部16の中心線は前記下部磁極3の中心線と合致しており、前記ガイド部16の中心部には上部磁極収納孔17が穿設されている。該上部磁極収納孔17は、下端部が小径となっている段付き孔となっている。
前記上部磁極収納孔17に、前記上部磁極8が上下方向に摺動可能に嵌合され、該上部磁極8は下端部が小径となっている段付の円筒形状をしており、該上部磁極8を前記上部磁極収納孔17に嵌合させると、該上部磁極収納孔17の小径部分と前記上部磁極8の大径部分が係合し、下方への最下位置が決定される様になっている。最下位置では、前記上部磁極8の下面と前記静磁波素子12との間に所要の間隙が保持され、前記上部磁極8が前記静磁波素子12を傷付けることがない様になっている。
前記天板6には前記上部磁極8の中心線に対して直交する方向から固定螺子18が螺入しており、該固定螺子18を締込むことで該固定螺子18を前記上部磁極8に押圧可能となっている。従って、前記上部磁極8を最下位置から引上げた状態で前記固定螺子18を前記上部磁極8に押圧することで、該上部磁極8を任意の位置に位置決め可能となっている。
尚、前記上部磁極8の所定の位置にテーパ穴等の位置決め穴(図示せず)を穿設し、前記固定螺子18の先端部をテーパ形状とし、前記固定螺子18を前記テーパ穴に嵌合させることで、前記上部磁極8を所定の高さに位置決め可能としてもよい。又、前記上部磁極8に位置決め穴を穿設する場合は、前記上部磁極収納孔17の小径部と前記上部磁極8の小径部は省略してもよい。
前記底板4、前記外部ヨーク5、前記天板6、前記上部磁極8は、それぞれ強磁性体材料となっている。
前記外部ヨーク5に掛渡って銅板11が設けられ、該銅板11に発振回路基板9が設置され、該発振回路基板9は前記銅板11を介して接地されている。前記発振回路基板9には静磁波素子12が実装され、該静磁波素子12は前記上部磁極8、前記下部磁極3の中心線上、即ち前記磁界15が均一で、磁束密度が最大となる位置に配置される。
尚、上記説明では、空隙7に磁界15をより集中させる為に下部磁極3及び上部磁極8を配置しているが、所望の磁界強度が得られる場合には、前記下部磁極3を配置しないことも可能である。
以下、作用に付いて説明する。
図1は前記上部磁極8が最下位置、図2は該上部磁極8が最上位置にある場合を示している。
前記上部磁極8を上下させることにより、空隙7の距離が変化し、磁界15の強さが変化する。前記磁界15の強さの変化に対応して発振周波数が変化し、一般的に前記空隙7の距離が小さい程前記磁界15は強くなり、発振周波数は高くなる。
前記上部磁極8の移動によって変化させられるのは基準となる発振周波数である。前記上部磁極8の上下によって前記空隙7の距離、即ち基準となる発振周波数を決定し、前記固定螺子18によって前記上部磁極8を位置決め固定する。
更に、前記粗調用電磁コイル13及び前記微調用電磁コイル14へ電圧を印加する。前記粗調用電磁コイル13への電圧印加で発振周波数の粗調整を行い、前記微調用電磁コイル14への印加電圧によって発振周波数の微調整を行い、発振周波数を外部からの印加電圧によって制御する。
尚、前記上部磁極8が所定の位置に保持できれば、その保持する為の構造、手段は任意である。
又、上部磁極8を上下に移動させる手段を設けてもよい。
例えば、前記上部磁極8の外周面に雄螺子を刻設し、前記上部磁極収納孔17の内周面に雌螺子を刻設し、前記上部磁極8と前記上部磁極収納孔17を螺合して前記上部磁極8を回転させることで、前記上部磁極8が上下方向に変位する様にしてもよい。尚、前記雄螺子、雌螺子のリード角を適宜設定し、前記上部磁極8の回転に対する上下変位量、即ち調整精度を設定してもよい。
図3は、前記上部磁極8を上下に移動させる為の他の手段を示しており、複数の前記固定螺子18のいずれか1つを移動手段としたものであり、前記固定螺子18の1つを回転軸21とし、先端にピニオン22を固着し、前記上部磁極8には該ピニオン22が噛合するラック23を形成し、前記回転軸21を回転させることで前記上部磁極8が上下動する様構成している。
図4は、更に他の上下動移動手段を示しており、前記上部磁極8から螺子シャフト24を上方に延出させ、該螺子シャフト24にナット(図示せず)を螺合させ、該ナットをステッピングモータ25等回転量を制御可能なモータにより回転させる様にしたものである。
本発明によれば、上部磁極を上下させて磁極間空隙の距離を調整することにより静磁波発振装置の基準となる発振周波数を調整することが可能であり、より広帯域の発振周波数をカバーすることができる。
又、本発明の静磁波発振装置を無線伝送装置に使用することにより、使用可能な周波数帯域が複数設定されており、電磁コイル及びFMコイルにより可変できる周波数範囲を超えている場合でも、上部磁極を上下させて基準となる発振周波数を変化させることにより、複数の静磁波発振装置を用いずに対応することが可能となる。
この為、静磁波発振装置の小型化が可能であり、又製作コストの低減が図れる。
本発明の実施の形態を示す概略断面図である。 同前概略断面図であり、磁極間の空隙を増大させた状態を示す図である。 本発明に適用される上下動移動手段の一例を示す説明図である。 本発明に適用される他の上下動移動手段の一例を示す説明図である。 従来の静磁波発振装置の概略断面図である。
符号の説明
1 静磁波発振装置
2 永久磁石
3 下部磁極
7 空隙
8 上部磁極
9 発振回路基板
12 静磁波素子
13 粗調用電磁コイル
14 微調用電磁コイル
15 磁界
16 ガイド部
18 固定螺子

Claims (1)

  1. 所定の空隙を形成する様に磁極が対峙して配設され、前記空隙に磁界が形成され、前記空隙内に発振回路基板を介して静磁波素子が設けられた静磁波発振装置であって、前記磁極間の距離を変更可能とし、該距離を変更することで発振周波数を変更可能としたことを特徴とする静磁波発振装置。
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