JP2005191752A - 静磁波発振装置 - Google Patents

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展幸 岡田
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Abstract

【課題】 空隙9及び隙間141、隙間142は空気が充填された空間であるため、上部磁極5および下部磁極6に対し振動や圧力が加わった場合(特に垂直方向)に、空隙9の距離が変動し、これに伴い、静磁波素子1に印加される磁界の強さが変動するため、発振周波数も変動してしまうという問題がある。
【解決手段】 磁石と、前記磁石の一方の極に付けた磁極片と、他方の極に外部ヨークを経由して接続した磁極片とを設け、これらの一方及び他方の磁極片の間に、非磁性単結晶基板上に設けた静磁波素子を配するための空隙を設けた静磁波発振装置であって、該静磁波発振装置とこれを覆うカバーとの隙間にスペーサを配することを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、フェリ磁性共鳴を利用した静磁波発振装置に関するものである。
静磁波マイクロ波装置に使用される静磁波素子には、GGG(ガドリニウム・ガリウム・ガーネット)非磁性単結晶基板上に、フェリ磁性体であるYIG(イットリウム・鉄・ガーネット)薄膜を液相エピタキシャル成長させた素子が一般的に用いられる。
また、静磁波マイクロ波装置の回路は、フッ素樹脂基板等の上に設けられたマイクロストリップライン等を伝送線路としてマイクロ波集積回路を作成することが可能であり、他のマイクロ波集積回路と容易に接続ができる。
図6は、従来の静磁波発振装置の一例を示す。
従来は例えば、永久磁石7により発生される磁界8(図中では模式的に複数の点線で表わす。)を、前記永久磁石7の一方の極に付けた下部磁極6と、前記永久磁石7の他極に外部ヨーク(11及び13)を経由して付けた上部磁極5との間の空隙9(矢印が示す間隔)に集中させ、GGG基板上にYIG薄膜を配した静磁波素子1を前記空隙9内の発振回路基板4上に配置し、前記静磁波素子1による発振信号を銅板2を経由してマイクロストリップライン3により取り出すことにより静磁波発振装置を形成する。
また、内部磁場の漏洩を防ぐことを目的とした外部ヨーク11と、外部からの磁場を遮断することを目的としたカバー130との間に隙間(上部の隙間141、側部の隙間142)が生じている。
前記静磁波素子1による発振周波数は、前記静磁波素子1に印加される磁界の強さに依存する。
前記静磁波発振装置において周波数が安定した発振を得るためには、前記静磁波素子1を前記静磁波素子用磁気回路内で前記磁界8が均一であり磁束密度が最大となる、前記上部磁極5および下部磁極6の中心に配置する必要がある。
一方、前記静磁波素子1に印加される磁界の強さは、前記空隙9の距離に依存するため、前記静磁波素子1により一定の発振周波数を得るには、前記空隙9の距離を一定に保つ必要がある。
また、従来の静磁波発振装置に関する技術として例えば特許文献1〜特許文献3がある。
特開平7−212112号公報 特開平6−125221号公報 特開2001−274624号公報
上記従来技術においては、前記空隙9及び隙間141、隙間142は空気が充填された空間であるため、前記上部磁極5および下部磁極6に対し振動や圧力が加わった場合(特に垂直方向)に、前記空隙9の距離が変動する。
これに伴い、前記静磁波素子1に印加される磁界の強さが変動するため、発振周波数も変動してしまうという問題がある。
本発明は上記従来技術に鑑みて為されたもので、従来の静磁波発振装置の構造を大きく変更することなく、前述した問題点を解決し、前記静磁波素子1による発振周波数をほぼ一定に保つことができる静磁波発振装置を提供することを目的とする。
上記従来の問題点を解決するため第1の本発明は、磁石と、前記磁石の一方の極に付けた磁極片と、他方の極に外部ヨークを経由して接続した磁極片とを設け、これらの一方及び他方の磁極片の間に、非磁性単結晶基板上に設けた静磁波素子を配するための空隙を設けた静磁波発振装置であって、該静磁波発振装置とこれを覆うカバーとの隙間にスペーサを配することを特徴とするものであり、振動や圧力に対して、変動しにくい空隙とする静磁波発振装置とすることができる。
また、上記従来の問題点を解決するため第2の本発明は、磁石と、前記磁石の一方の極に付けた磁極片と、他方の極に外部ヨークを経由して接続した磁極片とを設け、これらの一方及び他方の磁極片の間に、非磁性単結晶基板上に設けた静磁波素子を配するための空隙を設けた静磁波発振装置であって、前記空隙に静磁波素子を覆う第1のスペーサを配し、前記静磁波発振装置とこれを覆うカバーとの隙間に第2のスペーサを配することを特徴とするものであり、振動や圧力に対して、より変動しにくい空隙とする静磁波発振装置とすることができる。
上記従来の問題点を解決するため第3の本発明は、前記第1または第2の本発明に記載の静磁波発振装置であって、前記スペーサは透磁率が空気に近似した材料とすることを特徴とするものであり、静磁波素子に印加される磁界の強さおよび磁束の流れが変化しにくい静磁波発振装置とすることができ、よって、静磁波素子の発振周波数の変動を抑制しつつ、安定した発振特性を得ることのできる静磁波発振装置とすることができる。
また、上記従来の問題点を解決するため本発明は、磁石と、前記磁石の一方の極に付けた磁極片と、他方の極に外部ヨークを経由して接続した磁極片とを設け、これらの一方及び他方の磁極片の間に、静磁波素子を配するための空隙を設けた静磁波素子用磁気回路であって、内部磁場の漏洩を防ぐ外部ヨークと、外部からの磁場を遮断するカバーの隙間にスペーサを配することを特徴とするものであり、振動や圧力に対して、変動しにくい空隙とする静磁波発振装置とすることができる。
またさらに、前記スペーサは透磁率が空気に近似した材料、例えばアクリル材や、金属であれば例えばアルミ材等を材料とすることを特徴とするものであり、静磁波素子に印加される磁界の強さおよび磁束の流れが変化しにくい静磁波発振装置とすることができる。
本発明によれば、静磁波発振装置に振動や圧力が掛かった際に、上部および下部磁極間空隙の距離の変動を従来よりも小さくすることでき、よって、静磁波発振装置の発振周波数の変動を抑制することができる。
また、スペーサの材質に、透磁率が空気にほぼ等しいものを使用することにより、静磁波素子に印加される磁界の強さおよび磁束の流れが変化しないため、従来と変わりない発振特性が得られる他、絶縁体を使用することにより、高周波信号に寄生成分を付加しないため信号の減衰も従来と同等程度に保つことができる。
以下、本発明による静磁波発振装置の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の実施の形態に係る静磁波発振装置の側面図(第1実施例)を示す。
図1において、1は静磁波素子を示し、静磁波素子1は銅板2に覆われ、銅板2はマイクロストリップライン3が接続され、発振回路基板4にこれらが搭載される。
7は永久磁石を示し、永久磁石7の一方の極に下部磁極6が、もう一方の極に外部ヨーク(11及び13)を経由して上部磁極5が配置される。
永久磁石7による磁界8(図中では模式的に複数の点線で表わす。)は、上部電極5と下部電極6の間の空隙9(矢印が示す間隔)に集中する。
励磁コイル10は、電流を流すことで磁界8の強さを調節する。
外部ヨーク11とカバー130の間である隙間にはスペーサが配され、上部の隙間141にはスペーサ121、側部の隙間142にはスペーサ122が配される。
これらのスペーサ121、122は、外部ヨーク11とカバー130の間の隙間とほぼ同じ形状を有し、材質は透磁率が空気にほぼ等しい金属、例えばアルミ等の材質を用いる。
これにより、カバーと外部ヨーク間に透磁率が空気に近い金属製のスペーサを挿入することにより、振動及び圧力等による磁極間空隙の距離の変化を抑え、発振周波数の変動を抑制することが可能となる。
図3は本発明の実施の形態に係る静磁波発振装置の側面図(第2実施例)を示し、図3(a)は一方の側面から見た図、図3(b)は別の側面から見た図、である。((a)と(b)は90度異なる角度の側面より見ている図。)
図3(a)において、1は静磁波素子を示し、静磁波素子1は銅板2に覆われ、銅板2はマイクロストリップライン3が接続され、発振回路基板4にこれらが搭載される。
7は永久磁石を示し、永久磁石7の一方の極に下部磁極6が、もう一方の極に外部ヨーク(11及び13)を経由して上部磁極5が配置される。
永久磁石7による磁界8(図中では模式的に複数の点線で表わす。)は、上部電極5と下部電極6の間の空隙9(矢印が示す間隔)に集中する。励磁コイル10は、電流を流すことで磁界8の強さを調節する。
そして、外部ヨーク11とカバー130の間である隙間にはスペーサが配され、上部の隙間141にはスペーサ121、側部の隙間142にはスペーサ122が配される。
これらのスペーサ121、122は、外部ヨーク11とカバー130の間の隙間とほぼ同じ形状を有し、材質は透磁率が空気にほぼ等しい金属、例えばアルミ等の材質を用いる。
また、上部磁極5と下部磁極6の間にはスペーサ123を配する。
このスペーサ123は空隙9の距離と略同じ高さを有し、材質は透磁率が空気にほぼ等しく、絶縁性であり、弾性率が大きく変形しにくい材質、例えばアクリル等の材質を用いる。
図3(b)は図3(a)の静磁波発振装置を他方の側面から見た場合の図を示し、スペーサ122が、外部ヨーク11の側面とカバー130との間の隙間142の全体面に渡って配されていることを示す。
なお、スペーサ123については、後述する。
図2は本発明の実施の形態に係る上部磁極と下部磁極の間の空隙に配されるスペーサの実施例を示し、図2(a)はスペーサの斜視図、図2(b)はスペーサと静磁波発振素子と銅板との関係を表わす図、である。
図2におけるスペーサは、前述した図3に示す静磁波発振装置のスペーサ123を示す実施例であり、静磁波素子と銅板が配されるように開口部(空間)が設けられている。この開口部は側面と底面の2つの面より開口している。
また、このスペーサの高さは、マイクロストリップライン3上にスペーサが配されて、空隙9(上部磁極5と下部磁極6の間隔)とほぼ同じ距離とする。
このように開口部に静磁波素子と銅板を配する空間を設け、この空間に配したスペーサ123と、前述した図3における外部ヨーク11とカバー130との間の隙間(141、142)に配したスペーサ121、122とにより、振動や圧力に対して、変動しにくい空隙9とすることができる。
また、スペーサ123を側面と底面の2面が開口面としていれば、スペーサを実装する場合には側面の開口面より横方向から挿入することができ、そのため、下部磁極に静磁波素子と銅板を実装し、上部磁極を配した状態の静磁波素子用磁気回路を形成した後にスペーサを実装することで静磁波発振装置を構成することが容易にできる。
図4は本発明の実施の形態に係る上部磁極と下部磁極の間の空隙に配されるスペーサの別の実施例(斜視図)を示す。
図4におけるスペーサは、前述した図2のスペーサ123とは別のスペーサ123’を示す実施例であり、静磁波素子と銅板が配されるように開口部(空間)は底面の1つの面より開口しているものである。
このように開口面が1つであれば、振動や圧力に対して、より変動しにくい空隙9とする静磁波発振装置を構成することができる。
図5は本発明の実施の形態に係る上部磁極と下部磁極の間の空隙に配されるスペーサの更に別の実施例(斜視図)を示す。
図5におけるスペーサは、前述した図2のスペーサ123、図4のスペーサ123’とは別のスペーサ123”を示す実施例であり、静磁波素子と銅板が配されるように開口部(空間)は底面と、両側の側面の3つの面より開口しているものである。
このように両側面と底面が開口面であれば、スペーサを実装する場合に横方向のいずれの方向から挿入することができ、また、静磁波素子や銅板のサイズに多少の相違があっても挿入することができ、そのため、下部磁極に静磁波素子と銅板を実装し、上部磁極を配した状態の回路を形成した後、外部ヨークを取り付ける前の工程段階にてスペーサ123”を実装することができる。
なお、上述した図2、図4、図5の各実施例においては、スペーサ(123、123’、123”)の形状を角型としているが、円形状のものでも良い。
このことは、スペーサの形状として、外部ヨーク(上蓋)の内側形状に合致させ、すなわち、外部ヨーク(上蓋)の内側形状とスペーサの外形がほぼ一致する形状とすることで、スペーサが振動などで変動し難く、ガタつきが生じ難いものとなる。
上述した各実施例のほかに、アクリル材を高温の熱などによって流体液状とし、この流体液状のアクリル材を外部ヨークの内側に流し込み、冷却または自然放熱により固体化することで、スペーサ(123、123’、123”)と同等の効果を得ることができる。
すなわち、固体化した場合に透磁率が空気にほぼ等しく、絶縁性であり、弾性率が大きく変形しにくい材質の溶解液状の材料を、前述した図3の空隙9に流し込み、固体化させることでスペーサ(123、123’、123”)とするものである。
このように、上下の磁極間の空隙にはアクリル材を流し込んで固体化し、外部ヨークとカバー間の隙間にはアルミ材等の予め固体化された金属材を嵌め込むことで、静磁波発振装置の上下の磁極間の空隙が、より一定に保たれるような構成とすることができ、振動や圧力に対して発振周波数の変動が少ないものとすることができる。
以上、詳細に説明したように本発明の実施例においては、磁石と、前記磁石の一方の極に付けた磁極片と、他方の極に外部ヨークを経由して接続した磁極片とを設け、これらの一方及び他方の磁極片の間に、静磁波素子を配するための空隙を設けた静磁波素子用磁気回路であって、内部磁場の漏洩を防ぐ外部ヨークと外部からの磁場を遮断するカバーの隙間にスペーサを配したものである。
また、本発明の実施例においては、永久磁石と、前記永久磁石の一方の極に付けた磁極片と、他方の極に磁束を閉じこめるための外部ヨーク(底板と上蓋)を経由して接続した磁極片との間に、非磁性単結晶基板上に設けた薄膜状静磁波素子を配するための空隙を設けるように形成した静磁波発振装置において、前記空隙の間隔を一定に保つため、静磁波発振装置を覆うカバーと外部ヨークの間の隙間、及び、上下の各磁極間の空隙に対してスペーサを配するように構成したものである。
このような実施例により、従来、振動や圧力が加わった場合の空隙の距離が変動してしまい、静磁波素子に印加される磁界の強さが変動するため、発振周波数も変動してしまうという問題を解決するものである。
またさらに、本発明の実施例においては、前記スペーサに透磁率が空気に近似した材料を使用し、例えば、静磁波発振装置を覆うカバーと外部ヨークの間の隙間にはアルミ材、上下の各磁極間の空隙にはアクリル材を使用して構成するものである。
このような実施例により、各スペーサは透磁率が空気に近似した材料とするものであって、静磁波素子に印加される磁界の強さおよび磁束の流れが変化しにくい静磁波発振装置とすることができる。
また、本発明の実施例である静磁波発振装置は、従来の製造工程に対してスペーサを挿入する工程が追加されるのみであるため、従来の製造工程を大きく変更することなく実現することができる。
本発明の実施の形態に係る静磁波発振装置の側面図(第1実施例)を示す。 本発明の実施の形態に係る上部磁極と下部磁極の間の空隙に配されるスペーサの実施例を示し、図2(a)はスペーサの斜視図、図2(b)はスペーサと静磁波発振素子と銅板との関係を表わす図、である。 本発明の実施の形態に係る静磁波発振装置の側面図(第2実施例)を示し、図3(a)は一方の側面から見た図、図3(b)は別の側面から見た図、である。 本発明の実施の形態に係る上部磁極と下部磁極の間の空隙に配されるスペーサの別の実施例(斜視図)を示す。 本発明の実施の形態に係る上部磁極と下部磁極の間の空隙に配されるスペーサの更に別の実施例(斜視図)を示す。 従来の静磁波発振装置の一例を示す。
符号の説明
1:静磁波素子、 2:銅板、 3:マイクロストリップライン、 4:発振回路基板、 5:上部磁極、 6:下部磁極、 7:永久磁石、 8:磁界、 9:空隙、 10:励磁コイル、 11:外部ヨーク(上蓋)、 13:外部ヨーク(底部)、 121、122、123、123’、123”:スペーサ、 13:外部ヨーク(底板)、130:カバー、 141:上部の隙間、142:側部の隙間。


Claims (3)

  1. 磁石と、前記磁石の一方の極に付けた磁極片と、他方の極に外部ヨークを経由して接続した磁極片とを設け、
    これらの一方及び他方の磁極片の間に、非磁性単結晶基板上に設けた静磁波素子を配するための空隙を設けた静磁波発振装置であって、
    該静磁波発振装置とこれを覆うカバーとの隙間にスペーサを配することを特徴とする静磁波発振装置。
  2. 磁石と、前記磁石の一方の極に付けた磁極片と、他方の極に外部ヨークを経由して接続した磁極片とを設け、
    これらの一方及び他方の磁極片の間に、非磁性単結晶基板上に設けた静磁波素子を配するための空隙を設けた静磁波発振装置であって、
    前記空隙に静磁波素子を覆う第1のスペーサを配し、
    前記静磁波発振装置とこれを覆うカバーとの隙間に第2のスペーサを配することを特徴とする静磁波発振装置。
  3. 前記スペーサは透磁率が空気に近似した材料とすることを特徴とする前記請求項1または請求項2に記載の静磁波発振装置。


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