JP2009161380A - 新規なセメント分散剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】長時間経過後においても、セメント組成物の粘性を適性な範囲に保つことができるセメント分散剤を提供すること。
【解決手段】不飽和モノカルボン酸系単量体由来の構造単位と不飽和ジカルボン酸系単量体由来の構造単位とを含みて構成される重合体からなるセメント分散剤において、前記不飽和モノカルボン酸系単量体由来の構造単位は、不飽和モノカルボン酸由来の構造単位と不飽和モノカルボン酸エステル誘導体由来の構造単位を含んでなり、前記不飽和ジカルボン酸系単量体由来の構造単位は、不飽和ジカルボン酸由来の構造単位と不飽和ジカルボン酸エステル誘導体由来の構造単位を含んでなり、前記不飽和ジカルボン酸系単量体由来の構造単位の全モル量に対してフマル酸及び/又はフマル酸エステル誘導体に由来する構造単位の含有割合が70乃至100モル%であることを特徴とする、セメント分散剤。
【選択図】なし

Description

本発明は新規なセメント分散剤に関し、特に長時間経過後にも適正な粘性が保持され、しかも減水性に優れるセメント分散剤に関する。
従来、コンクリート等のセメント配合物の流動性を確保する目的で、リグニンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物塩、メラミンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物塩がセメント分散剤として使用されてきた。しかしながら上記のセメント分散剤では分散性能が充分でなく、スランプロスが著しく大きい問題を抱えていた。
近年、ポリカルボン酸系重合体などに代表される高性能AE減水剤が、高い減水性能及びスランプロスの低減効果を兼ね備える混和剤として広く浸透している。高性能AE減水剤は従来のセメント分散剤よりも優れた減水性能を発現することが本来の特徴ではあるが、適性使用量の範囲であればコンクリートの凝結遅延に殆ど影響を与えずにスランプロスを少なくできるという特徴もあり、他の薬剤ではみられないこうした性能も重要な位置付けにある。
分散性能を改善するセメント分散剤としては、種々その技術が公開されている。たとえば、ポリアルキレングリコールアルケニルエーテル系単量体と不飽和カルボン酸系単量体を必須の構成成分として含む共重合体を用いたセメント分散剤として、以下を挙げることができる:ポリエチレングリコールモノアリルエーテル単量体(I)とマレイン酸系単量体(II)及びこれらの単量体と共重合可能な単量体(III)を特定の比率で用いて導かれた共重合体を主成分とするセメント分散剤(特許文献1)、不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体(I)、マレイン酸系単量体(II)及びこれらの単量体と共重合可能なその他の単量体(III)を特定の共重合比で共重合させた共重合体を主成分とするセメント分散剤(特許文献2)、短鎖ポリアルキレングリコールアルケニルエーテル系単量体と不飽和カルボン酸系単量体からなる共重合体(A)並びに長鎖ポリアルキレングリコールアルケニルエーテル系単量体と不飽和カルボン酸系単量体からなる共重合体(B)の2種の共重合体を必須成分とするセメント分散剤(特許文献3)、不飽和カルボン酸系単量体及び/又は不飽和酸無水物系単量体並びに不飽和アルコール系単量体の共重合により得られ、その一部にアミノ基が導入されてなる、セメント分散剤として使用可能なアミノ基含有重合体(特許文献4)、超高強度コンクリートのセメント混和剤に好適に用いることができる窒素原子を含有する不飽和単量体、不飽和アルコールアルキレンオキシド及び不飽和カルボン酸系単量体からなる不飽和アルコールアルキレンオキシド付加物系重合体(特許文献5)。
さらに、流動性付与の付与及び流動性保持の観点から、炭素数2〜3のオキシアルキレン基110〜300モルを導入したポリアルキレングリコールモノエステル系単量体(a)とアクリル酸系単量体、不飽和ジカルボン酸系単量体及びアリルスルホン酸系単量体から選択される1種以上の単量体(b)との共重合体を必須成分とするコンクリート混和剤(特許文献6)、炭素数2〜3のオキシアルキレン基25〜300モルを有するエチレン性不飽和単量体(a)から誘導される単位と、エチレン性不飽和モノ又はジカルボン酸のアルキル、アルケニルまたはヒドロキシアルキルエステル単量体(b)、さらにエチレン性不飽和モノ又はジカルボン酸(若しくはその塩等)単量体(c)から誘導される単位とを構造単位として有する共重合体からなるコンクリート混和剤(特許文献7)、ポリアルキレングリコールエステル系単量体である構成単位(I)、アクリル酸エステル系単量体である構成単位(II)及びモノ又はジカルボン酸単量体である構成単位(III)を有し、構成単位(II)の重量比と構成単位(III)の組成比が特定範囲にある水硬性粉
体分散用共重合体(特許文献8)、粘性低減の観点から、α、β−不飽和カルボン酸(塩)、炭素数6〜30のモノオールのエチレンオキサイド付加物(付加モル数15〜50)の(メタ)アクリレート、(c)疎水性不飽和単量体を必須の単量体成分とする共重合体(A)からなる粉体水系スラリー用分散剤(特許文献9)等が提案されている。
さらに、α、β−不飽和ジカルボン酸および/またはその無水物を必須とする不飽和カルボン酸系単量体を必須成分として含む不飽和カルボン酸系単量体を必須成分として含むエチレン性不飽和単量体をポリエーテル化合物にグラフト重合してなる重量平均分子量6千以上の親水性グラフト重合体を必須成分として含むセメント添加剤(特許文献10)なども提案されている。
このように、セメント分散剤として多くの共重合体が研究され提案されているものの、減水性、コンクリート粘性、さらにそれら性能の保持性に於いて更に優れた性能を有する薬剤の開発が望まれていた。
一方、上記の各文献に記載されたポリカルボン酸系セメント分散剤において、ポリカルボン酸系重合体で使用可能な不飽和カルボン酸系単量体としては(メタ)アクリル酸、クロトン酸、(無水)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸などが挙げられている。しかしながら、それら文献の実施例においては、不飽和モノカルボン酸系単量体としては(メタ)アクリル酸、不飽和ジカルボン酸系単量体としては(無水)マレイン酸を用いた試験例が記載されるのみであり、その他のカルボン酸、たとえばフマル酸を用いた共重合体を調製し、実際にセメント分散剤に用いるという試験研究はこれまで検討されてこなかった。
なお特許文献11には、不飽和アルコール系成分単位(3−メチル−3−ブテン−1−オール エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加物)とフマール酸により水溶性共重合体を得たとする実施例4が記載されているが、それはサチンホワイト(スルホアルミン酸カルシウム6水塩)の分散性能を評価する試験に用いられているにとどまる(第1表)。また、該文献中において、該共重合体のスケール防止剤、無機顔料分散剤、洗剤ビルダーへの使用は提案されているものの、セメント分散剤として実際の使用の記載はなく、それを示唆する記載もない。
特公昭58−38380号公報 特開平10−236858号公報 特開2001−302306号公報 特開2003−192722号公報 特開2003−327644号公報 特開平7−223852号公報 特開平10−81549号公報 特開2006−176380号公報 特開平8−53522号公報 特開平11−139855号公報 特開昭62−68806号公報
本発明者等は鋭意検討した結果、不飽和モノカルボン酸系単量体由来の構造単位と不飽和ジカルボン酸系単量体由来の構造単位とを含みて構成される重合体であって、少なくともそれら単量体の一部にポリアルキレンオキサイド付加物のエステル誘導体由来の構造単位を含む重合体からなるセメント分散剤において、不飽和ジカルボン酸系単量体由来の構造単位としてフマル酸及び/またはフマル酸エステル誘導体由来の構造単位を採用することにより、セメント分散剤としての基本性能を有するだけでなく、特に長時間経過後においても、セメント組成物の粘性を適性な範囲に保つことができることを見出した。
即ち本発明は、不飽和モノカルボン酸系単量体由来の構造単位と不飽和ジカルボン酸系単量体由来の構造単位とを含みて構成される重合体からなるセメント分散剤において、前記不飽和モノカルボン酸系単量体由来の構造単位は、不飽和モノカルボン酸由来の構造単位と不飽和モノカルボン酸エステル誘導体由来の構造単位を含んでなり、該不飽和モノカルボン酸エステル誘導体由来の構造単位には平均付加モル数3乃至23のアルキレンオキサイドが付加されてなり、前記不飽和ジカルボン酸系単量体由来の構造単位は、不飽和ジカルボン酸由来の構造単位と不飽和ジカルボン酸エステル誘導体由来の構造単位を含んでなり、該不飽和ジカルボン酸エステル誘導体由来の構造単位には平均付加モル数1乃至8のアルキレンオキサイドが付加されてなり、前記不飽和ジカルボン酸系単量体由来の構造単位の全モル量に対してフマル酸及び/又はフマル酸エステル誘導体に由来する構造単位の含有割合が70乃至100モル%であることを特徴とする、セメント分散剤に関する。
また本発明は、前記不飽和ジカルボン酸系単量体由来の構造単位において、フマル酸に由来する構造単位と、フマル酸エステル誘導体に由来する構造単位の割合が、モル比で、フマル酸に由来する構造単位:フマル酸エステル誘導体に由来する構造単位=1〜50モル%:99〜50モル%であることを特徴とする、セメント分散剤に関する。
さらに本発明は、前記不飽和モノカルボン酸系単量体由来の構造単位と前記不飽和ジカルボン酸系単量体由来の構造単位の含有割合が、モル比で、前記不飽和モノカルボン酸系単量体由来の構造単位:前記不飽和ジカルボン酸系単量体由来の構造単位=80モル%:20モル%〜30モル%:70モル%であることを特徴とする、セメント分散剤に関する。
本発明により、長時間経過後においてもコンクリート粘性を施工性の観点から好適な範囲に保つことができ、しかも、優れた減水性及びスランプ保持性能をも有するセメント分散剤を提供することができる。
上述したとおり、従来文献等に提案されたポリカルボン酸系重合体からなるセメント分散剤において、そこで使用可能な不飽和カルボン酸系単量体の候補として(メタ)アクリル酸、クロトン酸、(無水)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等が挙げられているものの、実際の試験例においてはその殆どが不飽和カルボン酸系単量体として(メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸を採用しており、フマル酸を用いた共重合体を実際のセメント分散剤に用いるという試験例は報告されていない。
フマル酸が(メタ)アクリル酸やマレイン酸と比して水への溶解性が格段に低いこと、重合反応が遅いことなどから、工業的生産には不向きな原料であると当業者の間でこれまで考えられてきた。このことが、フマル酸がセメント分散剤の原料として具体的な検討を全く為されなかった理由の一つといえる。
本発明者らは今回、特にセメント組成物の粘性を適正な数値範囲に長時間保つことができるという観点からセメント分散剤の検討を行い、ポリカルボン酸系重合体の構造単位としてフマル酸及びフマル酸エステル誘導体を採用したところ、フマル酸系単量体はマレイン酸系単量体よりも緩やかな条件(例えば反応条件)にて高い重合率を達成でき、セメント分散剤としての分散性能だけでなく、上述の適正粘性の保持をも実現することを見出し、また、上述のフマル酸使用における阻害要因をも解消したセメント分散剤を完成させた。
すなわち本発明のセメント分散剤は不飽和モノカルボン酸系単量体由来の構造単位と、不飽和ジカルボン酸系単量体由来の構造単位を含みて構成される重合体からなり、該重合
体は、詳細には不飽和モノカルボン酸由来の構造単位、アルキレンオキサイドが付加した不飽和モノカルボン酸エステル誘導体由来の構造単位、不飽和ジカルボン酸由来の構造単位及びアルキレンオキサイドが付加した不飽和ジカルボン酸エステル誘導体由来の構造単位を含みて構成される。
このように構成された本発明のセメント分散剤に用いるポリカルボン酸系重合体は、不飽和モノカルボン酸系単量体由来の構造単位と不飽和ジカルボン酸系単量体由来の構造単位を主鎖骨格に有してなり、該主鎖骨格にポリアルキレンオキサイド鎖などのグラフト鎖が結合した櫛型重合体の構造を有している。
以下に本発明を詳細に説明する。
[不飽和モノカルボン酸系単量体由来の構造単位]
本発明のセメント分散剤であるポリカルボン酸系重合体を構成する不飽和モノカルボン酸系単量体由来の構造単位は、不飽和モノカルボン酸由来の構造単位と、平均付加モル数3乃至23のアルキレンオキサイドが付加されてなる不飽和モノカルボン酸エステル誘導体由来の構造単位からなり、具体的にはアクリル酸、メタクリル酸並びにそのエステル誘導体等の化合物に由来する構造単位である。
上記不飽和モノカルボン酸系単量体に由来する構造単位は、具体的には以下の式(I)で表される構造単位である。
Figure 2009161380
(式中、R1乃至R3はそれぞれ独立して水素原子、炭素原子数1乃至22の炭化水素基を表し、R4は−COOH、−COOM又は−COOYを表し、但し、R4は少なくとも一部が−COOYを表す。Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルカノールアミンを表し、Yは(AO)c−R9基を表し、AOは炭素原子数2乃至4のアルキレ
ンオキサイド基を表し、cはアルキレンオキサイドの平均付加モル数3乃至23の数を表し、R9は水素原子又は炭素原子数1乃至22の炭化水素基を表す。)
上記構造単位(I)において、R4が酸(−COOH)及び/又は酸塩(−COOM)
である場合、これらは酸の形態でも中和された形態でも良いが、部分中和又は完全中和された形態が製品形態として好ましい。
また、上記構造単位(I)において、R4がエステル(−COOY)である場合、具体
的にはYは、ポリアルキレンオキサイド付加物の部分エステル又は全エステル、アルコキシポリアルキレンオキサイドの部分エステル又は全エステルなどが挙げられる。
なお本発明において、R4は少なくともその一部がポリアルキレンオキサイド付加物の
エステルとなっており、特に好ましくはその一部がアルコキシポリアルキレンオキサイドのエステルとなっていることが望ましい。
アルキレンオキサイドは単独付加又は混合付加することができ、二種以上のアルキレンオキサイドを用いる場合にはブロック付加、ランダム付加何れの形態であっても良い。
またアルキレンオキサイドの平均付加モル数3乃至23であり、好ましくは3乃至8、より好ましくは3又は4であることが望ましい。
上記構造単位(I)は、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、ポリエチレンポリプロピレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、
ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレンポリプロピレングリコールモノメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノアクリレート、メトキシポリプロピレングリコールモノアクリレート、メトキシポリエチレンポリプロピレングリコールモノアクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、メトキシポリプロピレングリコールモノメタクリレート、メトキシポリエチレンポリプロピレングリコールモノメタクリレートなどに由来する構造単位である。
[不飽和ジカルボン酸系単量体由来の構造単位]
本発明のセメント分散剤であるポリカルボン酸系重合体を構成する不飽和ジカルボン酸系単量体由来の構造単位は、不飽和ジカルボン酸由来の構造単位と、平均付加モル数3乃至23のアルキレンオキサイドが付加されてなる不飽和ジカルボン酸エステル誘導体由来の構造単位からなり、例えばマレイン酸、フマル酸並びにそのエステル誘導体等の化合物に由来する構造単位である。
そして上記不飽和ジカルボン酸系単量体由来の構造単位は、少なくともその一部にフマル酸及び/又はフマル酸エステル誘導体に由来する構造単位を含んでなる。
上記不飽和ジカルボン酸系単量体に由来する構造単位は、具体的には以下の式(II)で表される構造単位である。
Figure 2009161380
(式中、R5乃至R8はそれぞれ独立して水素原子、炭素原子数1乃至22の炭化水素基、−COOH、−COOM、−COOYを表し、但しR5乃至R8のうち少なくとも二つは−COOH、−COOM、−COOYを表し、それらのうち少なくとも一部が−COOYを表す。M、Yは上述に定義したとおりの意味を表す。)
上記構造単位(II)において、酸(−COOH)及び/又は酸塩(−COOM)が含まれる場合、これらは酸の形態でも中和された形態でも良いが、部分中和又は完全中和された形態が製品形態として好ましい。
また、上記構造単位(II)において、エステル(−COOY)が含まれるとき、具体的にはYはポリアルキレンオキサイド付加物の部分エステル又は全エステル、アルコキシポリアルキレンオキサイドの部分エステル又は全エステルなどが挙げられる。
なお本発明においては、R5乃至R8のうち少なくとも二つは−COOH、−COOM、−COOYを表し、そしてそれらのうち一部がポリアルキレンオキサイド付加物のエステルとなっていることが好ましく、特に好ましくはその一部がアルコキシポリアルキレンオキサイドのエステルとなっていることが望ましい。
アルキレンオキサイドは単独付加又は混合付加することができ、二種以上のアルキレンオキサイドを用いる場合にはブロック付加、ランダム付加何れの形態であっても良い。
またアルキレンオキサイドの平均付加モル数1乃至8であり、好ましくは3乃至8であることが望ましい。
上記構造単位(II)は、具体的にはマレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸及びそのエステル誘導体などに由来する構造単位であり、少なくともその一部にフマル酸及び/又はフマル酸エステル誘導体に由来する構造単位(IIa)を含む。
Figure 2009161380
(式中、R5及びR6は夫々独立して水素原子又は炭素原子数1乃至22の炭化水素基を表し、Bは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルカノールアミン、(AO)c−R9基を表し、但しBは少なくともその一部が(AO)c−R9基を表す。AOは炭素原子数2乃至4のアルキレンオキサイド基を表し、cはアルキレンオキサイドの平均付加モル数1乃至8の数を表し、R9は水素原子又は炭素原子数1乃至22の炭
化水素基を表す。)
本発明において、フマル酸及び/又はフマル酸エステル誘導体に由来する構造単位(IIa)の含有割合は、上記構造単位(II)の全モル量に対して70乃至100モル%であり、好ましくは80乃至100モル%であることが、減水性、粘性及びスランプ保持性の面で好ましい。
また本発明において、フマル酸(フマル酸の塩を含む)に由来する構造単位と、フマル酸エステル誘導体に由来する構造単位の割合は、モル比で、フマル酸に由来する構造単位:フマル酸エステル誘導体に由来する構造単位=1〜50モル%:99〜50モル%であることが好ましい。
上記構造単位(II)は、具体的には、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、ポリエチレングリコールモノマレート、ポリエチレングリコールモノフマレート、ポリエチレンポリプロピレングリコールモノマレート、ポリエチレンポリプロピレングリコールモノフマレート、ポリエチレングリコールジマレート、ポリエチレングリコールジフマレート、ポリエチレンポリプロピレングリコールジマレート、ポリエチレンポリプロピレングリコールジフマレート、メトキシポリエチレングリコールモノフマレート、メトキシポリプロピレングリコールモノフマレート、メトキシポリエチレンポリプロピレングリコールモノフマレート、メトキシポリエチレングリコールジフマレート、メトキシポリプロピレングリコールジフマレート、メトキシポリエチレンポリプロピレングリコールジフマレート、メトキシポリエチレングリコールモノマレート、メトキシポリプロピレングリコールモノマレート、メトキシポリエチレンポリプロピレングリコールモノマレート、メトキシポリエチレングリコールジマレート、メトキシポリプロピレングリコールジマレート、メトキシポリエチレンポリプロピレングリコールジマレートなどに由来する構造単位である。
上記構造単位(II)の中でも、フマル酸及びフマル酸エステル誘導体由来の構造単位として特に、フマル酸、メトキシポリエチレングリコールモノフマレート、メトキシポリプロピレングリコールモノフマレート、メトキシポリエチレンポリプロピレングリコールモノフマレート、メトキシポリエチレングリコールジフマレート、メトキシポリプロピレングリコールジフマレート、メトキシポリエチレンポリプロピレングリコールジフマレートに由来の構造単位を用いることが、減水性、粘性及びスランプ保持性の面で好ましい。
[各構造単位の構成割合]
上述の不飽和モノカルボン酸系単量体由来の構造単位及び不飽和ジカルボン酸系単量体由来の構造単位を含みて構成されるポリカルボン酸系重合体において、それらの構成割合は、モル比で、好ましくは前記不飽和モノカルボン酸系単量体由来の構造単位:前記不飽
和ジカルボン酸系単量体由来の構造単位=80モル%:20モル%〜30モル%:70モル%、より好ましくは、同=60モル%:40モル%〜40モル%:60モル%であることが望ましい。
不飽和ジカルボン酸系単量体由来の構造単位の構成割合が上記構成割合の数値範囲を超えると、重合体の生成率が低くなり、セメント分散剤として必要とされる所定の分散性能を発揮できない。また反対に、上記数値範囲を下回ると、重合体の分子量制御が困難となって、重合体が後述する適当な重量平均分子量の範囲を超えて高分子量化することとなり、これがセメントに対する重合体の吸着率等に影響を及ぼすことから、結果としてスランプ保持性能の低下につながることとなる。
[その他含有し得る構造単位]
上述のポリカルボン酸系重合体において、これら上記不飽和モノカルボン酸系単量体由来の構造単位及び不飽和ジカルボン酸系単量体由来の構造単位以外に、その他の構造単位を含有することができる。
上記その他含有し得る構造単位の由来となる化合物としては、(メタ)アリルスルホン酸(塩)、スチレンスルホン酸(塩)、(メタ)アクリル酸アルキル、スチレン、(メタ)アクリルアミド等の慣用のポリカルボン酸系セメント分散剤用単量体として例示される化合物であり、上記構造単位と重合体を形成可能な化合物であればその種類は特に限定されない。特に上記ポリカルボン酸系重合体にスランプ保持性を付与すべくアルカリ加水分解性の化合物に由来する構造単位を組み込むことは、特許第3780465号公報等との組合せで容易に想到できる手段の一つである。
上記その他の構造単位の構成割合は、前記ポリカルボン酸系重合体(不飽和モノカルボン酸系単量体由来の構造単位及び不飽和ジカルボン酸系単量体由来の構造単位):その他の構造単位=100乃至70質量%:0乃至30質量%の範囲(但し合計100質量%)の範囲にあることが好ましい。
[各構造単位及びポリカルボン酸系重合体の製造方法]
本発明のセメント分散剤であるポリカルボン酸系重合体を得るにあたり、各構造単位の由来となる不飽和モノカルボン酸系単量体及び不飽和ジカルボン酸系単量体、特にこれらのアルキレンオキサイド付加体の製造方法、及びポリカルボン酸系重合体を得る重合方法は特に限定されない。
ただし、上記不飽和モノカルボン酸系単量体及び/又は不飽和ジカルボン酸系単量体におけるアルキレンオキサイド付加反応においては、重合活性基(不飽和基)がその重合活性を失わない、重合活性基の位置を転移させないことなどに留意して製造される必要がある。なお、これら重合活性基を有するカルボン酸系単量体のポリアルキレンオキサイド付加物は、製造後に精製過程の有無に係わらず重合用原料とし使用することができる。
ポリカルボン酸系重合体の製造方法に於いては、溶剤重合、水溶液重合、連続式、バッチ式の何れの方法においても同様の重合物を得ることができるが、共重合に供する化合物の溶解性に留意する必要があることから、一般的に水溶液重合で行われることが多い。
最終的に得られる本発明のセメント分散剤であるポリカルボン酸系重合体は、重量平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(以下「GPC法」と呼ぶ)、ポリエチレングリコール換算)で5,000〜500,000の範囲が適当であり、この範囲を外れると減水性が著しく低下するか、あるいは所望のスランプロス低減効果を得ることができない。より好ましくは、重量平均分子量が5,000〜100,000の範囲であることが、更に減水性を発現するため望ましい。また水溶液重合においてラジカル重合開始剤等の種類及び/又は使用量を調整することにより、分子量を制御することが可能であるが、連鎖移動剤等を併用すれば分子量分布の制御を行うことも可能である。
なお本発明において、「重合体」とは、重合体そのもののみでもよく、或いは、各々の
重合工程、アルキレンオキサイド付加工程等で発生した未反応成分、副反応物も含めた成分も包含して広義に重合体としてもよい。
[セメント混和剤及び併用可能な添加剤]
本発明のセメント分散剤は、種々のコンクリート製造条件に応じ、好適な公知公用の混和剤等を採用して組合せ、セメント混和剤とすることができる。具体的には、本発明のセメント分散剤以外のセメント分散剤、空気連行剤、凝結遅延剤、促進剤、分離低減剤、増粘剤、消泡剤、収縮低減剤等である。
なお、本発明のポリカルボン酸系重合体からなるセメント分散剤とは、上述のポリカルボン酸系重合体以外に公知公用の混和剤を配合しセメント混和剤とした形態、又はコンクリート製造時に上述のポリカルボン酸系重合体と公知公用の混和剤が別々に添加され最終的にコンクリート中で混合される形態の何れをも含む。以下公知公用の混和剤を例示する。
一般にセメント分散剤は、コンクリートの製造条件及び性能要求等に応じて、適宜組み合わされ使用される。本発明のセメント分散剤の場合も同様であり、セメント分散剤として単独、あるいは主剤として使用されるものであるが、経時における粘性変化の大きいセメント分散剤やスランプロスの大きいセメント分散剤の改質助剤として、或いは、初期粘性低減効果や初期減水性が高いセメント分散剤として併用して使用され得るものである。
本発明以外の公知のセメント分散剤としては先に挙げた特許文献1のほか、特公昭59−18338号公報、特許2628486号公報、特許第2774445号公報、特許第3235002号公報、特許第3336456号公報、特許第3780456号公報などのポリカルボン酸系共重合体の塩があり、またナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物の塩、メラミンスルホン酸ホルマリン縮合物の塩、リグニンスルホン酸塩、グルコン酸ソーダ、糖アルコールも挙げられる。本発明のセメント分散剤と本発明以外のセメント分散剤との配合割合は1:99〜99:1質量%である。
空気連行剤を具体的に例示すると<1>アニオン系空気連行剤、<2>ノニオン系空気連行剤、及び<3>両性系空気連行剤が挙げられる。<1>アニオン系空気連行剤としては高級アルコール(又はそのアルキレンオキシド付加物)の硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ロジン石鹸などの樹脂石鹸塩、高級アルコール(又はそのアルキレンオキシド付加物)の燐酸エステル塩など、<2>ノニオン系空気連行剤としてはアルキレングリコール、高級アルコールのアルキレンオキサイド付加物、脂肪酸とアルキレングルコールとのエステル、糖アルコールのアルキレングルコール付加物など、<3>アニオン、カチオンからなる両性系空気連行剤としてはアルキルベタイン型、アルキルアミドベタイン型、アミノ酸系両性活性剤型などが挙げられる。本空気連行剤の好ましい添加量はセメント分散剤に対し0.001〜0.03質量%である。
凝結遅延剤を例示すると、<1>無機質系凝結遅延剤:リン酸塩、珪フッ化物、酸化亜鉛、炭酸化亜鉛、塩化亜鉛、一酸化亜鉛、水酸化銅、マグネシア塩、ホウ砂、酸化ホウ素、<2>有機質系凝結遅延剤:ホスホン誘導体、糖類やその誘導体、オキシカルボン酸塩、リグニンスルホン酸塩が挙げられ、さらに詳しく例示するとホスホン誘導体:アミノトリ(メチレンホスホン酸)、アミノトリ(メチレンホスホン酸)5ナトリウム塩、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)及びアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩のホスホン酸及びその誘導体、糖類:サッカロース、マルトース、ラフィノース、ラクトース、グルコース、フラクトース、マンノース、アラビノース、キシロース、アビトース、リポーズ、オキシカルボン酸塩:グルコン酸、クエン酸、グルコヘプトン酸、リンゴ酸、酒石酸、これらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩が挙げられる。本凝結遅延剤の好ましい添加量はセメント等の結合材料に対して0.01〜1.5質量%である。
促進剤を例示すると塩化カルシウム、亜硝酸カルシウムなどで代表される無機系促進剤、アルカノールアミンなどで代表される有機系促進剤が挙げられる。本促進剤の好ましい添加量はセメント等の結合材料に対して0.5〜5質量%である。
増粘剤・分離低減剤を例示すると、<1>セルロース系水溶性高分子:セルロースエーテル(MCなど)、<2>ポリアクリルアミド系水溶性高分子:ポリアクリルアミド、<3>バイオポリマー:カードラン、ウエランガム、<4>非イオン系増粘剤:ポリアルキレングリコールの脂肪酸ジエステル、ポリアルキレングリコールのウレタン縮合物などが挙げられる。本増粘・分離低減剤の好ましい配合割合はコンクリート組成物に対し0.01〜0.5質量%である。
消泡剤を例示すると脂肪族アルコールアルキレンオキサイド付加物、脂肪酸アルキレンオキサイド付加物、アルキレンオキサイドジ脂肪酸エステル、多価アルコールアルキレンオキサイド付加物、ポリアルキレンポリアミンアルキレンオキサイド付加物等の非イオン系消泡剤類、シリコーンオイルをエマルションとしたシリコーン系消泡剤類、高級アルコールをエマルションとした高級アルコール類、これらを主成分とした混合物などが挙げられる。本消泡剤の好ましい添加量はセメント分散剤に対し0.01〜1質量%である。
収縮低減剤を例示するとポリアルキレングリコール、低級アルコールアルキレンオキサイド付加物、これらが油性である場合はエマルションとしたものであり、好ましい添加量はセメント等の結合材料に対し0.1〜5質量%である。
本発明のセメント分散剤はコンクリートの材料を含めた配合条件によりその添加量が変わるが、セメント質量に対し固形分換算で通常0.05〜5.0質量%程度添加される。減水性、スランプフロー保持性を得るためには添加量が多いほど良いが、多過ぎると凝結遅延を起こし、場合によっては硬化不良を引き起こす。使用方法は一般のセメント分散剤の場合と同様であり、コンクリート混練時に原液添加するか、予め混練水に希釈して添加する。あるいはコンクリート又はモルタルを練り混ぜた後に添加し、再度均一に混練しても良い。ここで、セメント分散剤以外の成分は従来慣用のコンクリート用成分であり、セメント(例えば普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、低熱・中庸熱ポルトランドセメント又は高炉セメント等)、骨材(すなわち細骨材及び粗骨材)、混和材(例えばシリカフューム、炭酸カルシウム粉末、高炉スラグ粉末)、膨張材及び水を挙げることができる。また本発明のセメント分散剤以外の混和剤で調合時に別に添加できる混和剤としては、前記の公知公用の空気連行剤、凝結遅延剤、促進剤、分離低減剤、増粘剤、消泡剤、収縮低減剤等があり、これらも適宜配合し得る。それら各成分の配合割合は選択された成分の種類や使用目的に応じて適宜決定され得る。
前述したように、従来よりポリアルキレングリコールアルケニルエーテル系単量体と、不飽和カルボン酸系単量体を含む単量体混合物からなるポリカルボン酸系共重合体が、セメント分散剤として用いられている。また、配合直後の分散性と長時間のスランプ保持性等との均衡を図るべく、前記不飽和カルボン酸系単量体において、酸及び/又は酸塩と酸エステル化合物を併用することが提案されている。
しかし、酸の種類としてアクリル酸を用いる場合、メタクリル酸を用いる場合、マレイン酸を用いる場合等、各々の場合において、セメントの初期分散性とスランプ保持性との均衡を図るのに適する酸化合物と酸エステル化合物の配合割合はそれぞれ異なる。そして従来、フマル酸を用いた場合について、斯かる配合割合につき詳細に検討されていない。
本発明者らは数多くの重合体の研究を重ねた結果、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステル等の不飽和モノカルボン酸系単量体とフマル酸及びフマル酸エステル等の不飽和ジカルボン酸系単量体とからなるセメント分散剤において、(メタ)アクリル酸
やフマル酸のエステルとしてポリアルキレンオキサイド付加物のエステルを採用することにより、セメント組成物に添加したとき、従来の類似化合物よりも優れた適正粘性の保持性能を発揮することを見出すに至った。
特に実際の施工の場面を考慮すると、セメントの初期の粘性と、経時での粘性の差が大きい場合、セメントが液状化して骨材が分離する材料分離問題や、セメントの流動性が失われることで充填性が低下する問題が生じる。すなわち、硬化後のコンクリートに対し重大な品質問題を発生させることとなることから、セメント分散剤における初期粘性と経時での粘性の差が小さいことは、実使用時における非常に重要なポイントとなっている。
しかも本発明のセメント分散剤は、経時での分散性にも優れるものであった。
如何にして上述の優れた効果が得られるのか未だ解明には至っていない。その仮定の一つとして上記構造単位の組み合わせ、特に従来不飽和ジカルボン酸系化合物として広く使用されてきたマレイン酸及び/またはその誘導体をフマル酸に由来する構造単位を使用する構成に変更することにより、フマル酸自体が、ポリマーに組み込まれた際の酸基の配列変化や酸性の強さに起因して減水性効果の高い酸基として機能し、これがセメントの粘性や分散性能の改善効果に寄与をしているものとみている。
また、重合体を形成するモノマーの観点からみると、従来、工業的には不向きな原料と考えられていたフマル酸をそのエステル誘導体と併用すると、ポリカルボン酸系重合体の反応系内の単量体溶解状態が改善する為、重合率の増加(すなわち未反応モノマーの減少)、分子量分布が狭いポリマーの生成につながり、さらに、適度な重合性による分子量制御能力が働き、これが不要な高分子量ポリマーの形成などを抑制することなども、初期の減水性が高く、少ない添加量で減水性を発現することができ、また経時での減水性の差が少ないことから安定した流動性を得ることができるといった効果の発現に寄与しているものと考えている。
そのほかにも、セメント中のアルカリ下で進む加水分解の速度やその後露出される酸基のセメントへの吸着能力なども本発明の効果と関係があると考えているが、こうした作用を引き起こす各成分の配合割合を検討することにより、これらによる相乗効果を引き出し、セメント分散性能の改善効果につながったものとみている。
次に実施例に基づいて本発明をより詳しく説明する。なお本発明は前記製造方法により得られるものであり、この実施例に限定されるものではない。
[製造例B1(ポリカルボン酸系重合体の製造)]
窒素導入管、温度計を備えた撹拌機付き反応容器にイオン交換水201.8g、メトキシポリエチレングリコールジフマレート(分子量464)201.8gおよびフマル酸43.0gを仕込み、混合撹拌した。次いで反応容器内を充分に窒素置換したのち、80℃に昇温させた後、メトキシポリエチレングリコールモノアクリレート(分子量306)221.8g及びアクリル酸5.8gをイオン交換水197.3gで希釈し、これと過硫酸ナトリウム11%水溶液85.9gをそれぞれ3時間かけて反応容器内へ滴下した。滴下反応終了後、同温にて2時間撹拌を継続した。こうして得られた重合体水溶液を50℃まで冷却し、48%苛性ソーダ水溶液42.5gを用いて中和し、ポリカルボン酸系重合体B1の水溶液1000g(固形分濃度50%、重量平均分子量8,000)を得た。
[製造例B2(ポリカルボン酸系重合体の製造)]
窒素導入管、温度計を備えた撹拌機付き反応容器にイオン交換水240.5g、メトキシポリエチレングリコールジフマレート(分子量464)240.5gおよびフマル酸51.2gを仕込み、混合撹拌した。次いで反応容器内を充分に窒素置換したのち、80℃に昇温させた後、メトキシポリエチレングリコールモノアクリレート(分子量306)128.2g及びアクリル酸38.7gをイオン交換水154.8gで希釈し、これと過硫
酸ナトリウム11%水溶液83.6gをそれぞれ3時間かけて反応容器内へ滴下した。滴下反応終了後、同温にて2時間撹拌を継続した。こうして得られた重合体水溶液を50℃まで冷却し、48%苛性ソーダ水溶液61.7gを用いて中和し、ポリカルボン酸系重合体B2の水溶液1000g(固形分濃度50%、重量平均分子量10,000)を得た。
[製造例B3(ポリカルボン酸系重合体の製造)]
窒素導入管、温度計を備えた撹拌機付き反応容器にイオン交換水251.4g、メトキシポリエチレングリコールジフマレート(分子量464)251.4gおよびフマル酸22.1gを仕込み、混合撹拌した。次いで反応容器内を充分に窒素置換したのち、80℃に昇温させた後、メトキシポリエチレングリコールモノアクリレート(分子量306)201.6g及びアクリル酸5.3gをイオン交換水155.0gで希釈し、これと過硫酸ナトリウム11%水溶液87.3gをそれぞれ3時間かけて反応容器内へ滴下した。滴下反応終了後、同温にて2時間撹拌を継続した。こうして得られた重合体水溶液を50℃まで冷却し、48%苛性ソーダ水溶液25.8gを用いて中和し、ポリカルボン酸系重合体B3の水溶液1000g(固形分濃度50%、重量平均分子量8,500)を得た。
[製造例B4(ポリカルボン酸系重合体の製造)]
窒素導入管、温度計を備えた撹拌機付き反応容器にイオン交換水174.1g、メトキシポリエチレングリコールジフマレート(分子量464)174.1gおよびフマル酸37.1gを仕込み、混合撹拌した。次いで反応容器内を充分に窒素置換したのち、80℃に昇温させた後、メトキシポリエチレングリコールモノアクリレート(分子量1054)219.7g及びアクリル酸35.0gをイオン交換水207.8gで希釈し、これと過硫酸ナトリウム11%水溶液84.7gをそれぞれ3時間かけて反応容器内へ滴下した。滴下反応終了後、同温にて2時間撹拌を継続した。こうして得られた重合体水溶液を50℃まで冷却し、48%苛性ソーダ水溶液67.5gを用いて中和し、ポリカルボン酸系重合体B4の水溶液1000g(固形分濃度50%、重量平均分子量15,000)を得た。
[製造例B5(ポリカルボン酸系重合体の製造)]
窒素導入管、温度計を備えた撹拌機付き反応容器にイオン交換水270.5g、メトキシポリエチレングリコールジフマレート(分子量816)270.5gおよびフマル酸32.8gを仕込み、混合撹拌した。次いで反応容器内を充分に窒素置換したのち、80℃に昇温させた後、メトキシポリエチレングリコールモノアクリレート(分子量306)169.0g及びアクリル酸4.4gをイオン交換水123.7gで希釈し、これと過硫酸ナトリウム11%水溶液86.7gをそれぞれ3時間かけて反応容器内へ滴下した。滴下反応終了後、同温にて2時間撹拌を継続した。こうして得られた重合体水溶液を50℃まで冷却し、48%苛性ソーダ水溶液42.5gを用いて中和し、ポリカルボン酸系重合体B5の水溶液1000g(固形分濃度50%、重量平均分子量7,500)を得た。
[製造例B6(ポリカルボン酸系重合体の製造)]
窒素導入管、温度計を備えた撹拌機付き反応容器にイオン交換水217.7g、メトキシポリエチレングリコールジフマレート(分子量464)108.9g、メトキシポリエチレングリコールジマレート(分子量464)108.8gおよびフマル酸36.3gを仕込み、混合撹拌した。次いで反応容器内を充分に窒素置換したのち、80℃に昇温させた後、メトキシポリエチレングリコールモノアクリレート(分子量306)215.4g及びアクリル酸5.6gをイオン交換水183.4gで希釈し、これと過硫酸ナトリウム11%水溶液86.4gをそれぞれ3時間かけて反応容器内へ滴下した。滴下反応終了後、同温にて2時間撹拌を継続した。こうして得られた重合体水溶液を50℃まで冷却し、48%苛性ソーダ水溶液37.5gを用いて中和し、ポリカルボン酸系重合体B6の水溶液1000g(固形分濃度50%、重量平均分子量9,500)を得た。
[製造例B7(ポリカルボン酸系重合体の製造)]
窒素導入管、温度計を備えた撹拌機付き反応容器にイオン交換水217.7g、メトキシポリエチレングリコールジフマレート(分子量464)163.3g、メトキシポリエチレングリコールジマレート(分子量464)54.4gおよびフマル酸36.3gを仕込み、混合撹拌した。次いで反応容器内を充分に窒素置換したのち、80℃に昇温させた後、メトキシポリエチレングリコールモノアクリレート(分子量306)215.4g及びアクリル酸5.6gをイオン交換水183.4gで希釈し、これと過硫酸ナトリウム11%水溶液86.4gをそれぞれ3時間かけて反応容器内へ滴下した。滴下反応終了後、同温にて2時間撹拌を継続した。こうして得られた重合体水溶液を50℃まで冷却し、48%苛性ソーダ水溶液37.5gを用いて中和し、ポリカルボン酸系重合体B7の水溶液1000g(固形分濃度50%、重量平均分子量8,500)を得た。
[製造例B8(ポリカルボン酸系重合体の製造)]
窒素導入管、温度計を備えた撹拌機付き反応容器にイオン交換水201.4g、メトキシポリエチレングリコールジフマレート(分子量464)201.4gおよびフマル酸42.9gを仕込み、混合撹拌した。次いで反応容器内を充分に窒素置換したのち、80℃に昇温させた後、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(分子量320)216.1g及びメタクリル酸11.1gをイオン交換水196.4gで希釈し、これと過硫酸ナトリウム11%水溶液85.7gをそれぞれ3時間かけて反応容器内へ滴下した。滴下反応終了後、同温にて2時間撹拌を継続した。こうして得られた重合体水溶液を50℃まで冷却し、48%苛性ソーダ水溶液45.0gを用いて中和し、ポリカルボン酸系重合体B8の水溶液1000g(固形分濃度50%、重量平均分子量7,000)を得た。
[製造例B9(ポリカルボン酸系重合体の製造)]
窒素導入管、温度計を備えた撹拌機付き反応容器にイオン交換水170.7g、メトキシポリエチレングリコールジフマレート(分子量464)170.7gおよびフマル酸36.4gを仕込み、混合撹拌した。次いで反応容器内を充分に窒素置換したのち、80℃に昇温させた後、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(分子量1068)218.3g及びメタクリル酸41.0gをイオン交換水210.6gで希釈し、これと過硫酸ナトリウム11%水溶液84.8gをそれぞれ3時間かけて反応容器内へ滴下した。滴下反応終了後、同温にて2時間撹拌を継続した。こうして得られた重合体水溶液を50℃まで冷却し、48%苛性ソーダ水溶液67.5gを用いて中和し、ポリカルボン酸系重合体B9の水溶液1000g(固形分濃度50%、重量平均分子量12,000)を得た。
[製造例C1(比較例のポリカルボン酸系重合体の製造)]
比較例のポリカルボン酸系重合体として、特開平11−139855号に記載の比較例1の重合体を採用し、同文献の段落[0054]の手順に従い該重合体を作成した。すなわち、窒素導入管、温度計、還流冷却器を備えた撹拌機付き反応容器に、重量平均分子量250のメトキシポリエチレングリコール(MPG250)100質量部および無水マレイン酸43.8質量部を仕込み、窒素気流下、120℃まで加熱して溶融混合した。次に、温度を128±3℃に保ちながら、アクリル酸48.2質量部、t−ブチルパーオキシベンゾエート4.6質量部を別々に15分間にわたって連続的に滴下し、その後45分間攪拌を続けた。冷却後、水770質量部を加え、さらに水酸化ナトリウム水溶液(30質量%溶液)をpH8となる量加えることにより、比較例のポリカルボン酸系重合体C1の水溶液(重量平均分子量3,960)を得た。
[製造例C2(比較例のポリカルボン酸系重合体の製造)]
比較例のポリカルボン酸系重合体として、特開平7−223852号に記載の製造例3(混和剤の記号C−3)の共重合体を採用し、同文献の段落[0033]の手順に従い、共重合体を作成した。すなわち、攪拌機付き反応容器に水5モルを仕込み、攪拌しながら窒素置換し、窒素雰囲気中で95℃まで昇温した。メタノールEO/メタクリル酸モノエステル(EO平均付加モル数=280)0.002モルとマレイン酸モノナトリウム塩1モル(モル比=0.2/100)、90℃温水15モルを混合溶解したものと20%過硫
酸アンモニウム水溶液0.01モル、及び2−メルカプトエタノール3gの三者を、それぞれ同時に反応系に2時間かけて滴下した。次に20%過硫酸アンモニウム水溶液0.03モルを30分かけて滴下し、1時間同温度 (95℃)で熟成する。熟成後95度で3
5%過酸化水素9gを1時間かけて滴下し、2時間同温度(95℃)で熟成した。熟成終了後、48%水酸化ナトリウム0.7モルを加えて中和し、比較例のポリカルボン酸系重合体C2の水溶液(重量平均分子量12,000)を得た。
[製造例C3(比較例のポリカルボン酸系重合体)]
比較例のポリカルボン酸系重合体として、特開平10−81549号に記載の製造例7(混和剤の記号C−7)の共重合体を採用し、同文献の段落[0044]の手順に従い該重合体を作成した。すなわち、撹拌機付き反応容器に水56モルを仕込み、撹拌しながら窒素置換し、窒素雰囲気中で75℃まで昇温した。マレイン酸EO付加物(EO平均付加モル数=120)0.25モル、アクリル酸メチル0.55モル並びにマレイン酸モノナトリウム塩0.2モルを混合溶解したものと、20%過硫酸アンモニウム水溶液0.05モル、及び20%メルカプトコハク酸水溶液0.08モルの三者を、それぞれ同時に2時間かけて滴下した。次に20%過硫酸アンモニウム水溶液0.02モルを30分かけて滴下し、1時間同温度(75℃)で熟成した。熟成終了後、48%水酸化ナトリウム0.07モルを添加し、比較例のポリカルボン酸系重合体C3の水溶液(重量平均分子量34,000)を得た。
[製造例C4(比較例のポリカルボン酸系重合体)]
比較例のポリカルボン酸系重合体として、特開平10−81549号に記載の製造例117(混和剤の記号C−11)の共重合体を採用し、同文献の段落[0048]の手順に従い該重合体を作成した。すなわち、撹拌機付き反応容器に水50モルを仕込み、撹拌しながら窒素置換し、窒素雰囲気中で75℃まで昇温した。メトキシポリエチレングリコール・メタクリル酸エステル(EO付加モル数=90)0.15モル、マレイン酸ジエチル0.75モル並びにメタクリル酸0.1モルとを混合溶解したものと、20%過硫酸アンモニウム水溶液0.08モル、及び20%2−メルカプトエタノール水溶液0.10モルの三者を、それぞれ同時に2時間かけて滴下した。次に20%過硫酸アンモニウム水溶液0.01モルを30分かけて滴下し、1時間同温度(75℃)で熟成した。熟成後95度に昇温して35%過酸化水素0.1モルを30分かけて滴下し、2時間同温度(95℃)で熟成終了後、48%水酸化ナトリウム0.07モルを添加し、比較例のポリカルボン酸
系重合体C4の水溶液(重量平均分子量54,000)を得た。
Figure 2009161380
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[実施例1乃至9、比較例1乃至4:モルタルフロー試験]
上記製造例で得られたポリカルボン酸系重合体B1乃至B9、並びにポリカルボン酸系重合体C1乃至C4を用い、下記表5に示すモルタル配合にて、モルタルフロー試験を行った。
モルタルの練混ぜはセメント、細骨材を混合したものに、各々のポリカルボン酸系重合体(B1乃至B9、C1乃至C4)を予め加えて調製した水(練混ぜ水)を加え、180秒間ステンレス製のへらを用いて手練りで行った。その後、水平なテーブルの上に置かれたアクリル板の上でモルタルを内径50mm高さ50mmのアクリル製中空円筒に充填し、充填したモルタルを数回へらで突いた後に円筒を静かに垂直に引き上げた後にアクリル板に広がったモルタルの長径と長径に直交する径を測定し、その平均値をモルタルフロー値とした。
モルタルフロー値の経時変化は、練混ぜ水添加後から数えて60分後、120分後に各々のモルタルを手練りで90秒間練混ぜた後、上記と同様の要領にてモルタルフロー値を測定した。
[実施例10乃至18、比較例5乃至8:セメントペースト粘性評価]
上記製造例で得られたポリカルボン酸系重合体B1乃至B9、並びにポリカルボン酸系
重合体C1乃至C4を用い、下記表6に示す配合にて、セメントペースト粘性評価を行った。
セメントペーストの練混ぜは、セメントと炭酸カルシウムを予め混ぜ合わせたものに、各々のポリカルボン酸系重合体(B1乃至B9)を予め加えて調整した水(練り混ぜ水)を加え、180秒間ステンレス製のへらを用いて手練りで行った。練混ぜ直後、練混ぜ後60分後、同120分後の粘性を評価した。なお、セメントペースト粘性評価は当業界内で統一した評価方法が確立されていない為、官能評価(練り感の軽さ)で判断した。
また、ポリカルボン酸系重合体B1、B2を用い、上記要領にて作製したセメントペースト100ccを用いて、共軸二重円筒式粘度計にて、20℃における粘性挙動(ずり速度を変化させた際に生じるずり応力の変化量)を測定した。粘性挙動の測定は、セメントペーストの練混ぜ直後、60分後、120分後について同様の手順にて実施した。
[モルタルフロー試験及びセメントペースト粘性評価結果]
表5にモルタルの配合、表6にセメントペーストの配合を、表7にモルタルフロー試験結果、表8にセメントペースト粘性評価結果を示す。
また、ポリカルボン酸系重合体B1、B2又はC1を用いて作製したセメントペースト(実施例10、11、比較例5)の20℃における粘性挙動を図1(練り混ぜ初期、実施例19、20、比較例9)及び図2(練り混ぜ後30分経過後、実施例21、22、比較例10)示す。なお、図1及び図2おいて、横軸はセメントペーストに加えた力(ずり速度)を、縦軸は抵抗値(ずり応力)を表す。セメントペーストが固く、負荷が過度に高まった場合には測定が中断される。
Figure 2009161380
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上記表7に示す通り、実施例1乃至9は、練混ぜ水添加直後から60分後にかけて一旦モルタルフロー値が増加し、その後は120分を経過した場合においても大きな変動はなく、練混ぜ水添加直後より高いモルタルフロー値を維持し、経時での安定性に優れるとする結果が得られた。
また表8に示すとおり、実施例10乃至18においても、練混ぜ直後から練混ぜ後120分経過後において粘性が良好に保たれた。
一方、本発明以外のポリカルボン酸系重合体C1を用いた比較例1及び比較例5においてはいずれも、練り混ぜ直後からモルタルフロー、ペースト粘性共に実施例の結果より劣る結果となった。
また、本発明以外のポリカルボン酸系重合体C2乃至C4においては、練混ぜ直後は良好なモルタルフロー値、粘性を示したものの、時間の経過と共に性能低下が起こるとする結果が得られた。
練り混ぜ初期の粘性挙動を示した図1、並びに、練り混ぜ後30分経過後の粘性挙動を
示した図2のいずれににおいても、本発明のポリカルボン酸系重合体B1又はB2を用いた実施例19乃至22は、本発明以外のポリカルボン酸系重合体C1を用いた比較例9及び10に比べて、ずり速度の変化に対してずり応力の値が低いという結果が得られた。なお、図2において、本発明のポリカルボン酸系重合体B1又はB2を用いた実施例21及び22は粘性挙動が同じであり、グラフ上の曲線が重なっている。
すなわち、本発明のポリカルボン酸系重合体B1及びB2は、比較例に比べて、練り混ぜ直後から30分経過後まで、ずり速度の変化に対するずり応力の値を低く保つとする結果が得られた。
なお比較例10は、練り混ぜ後の経時に伴い、ずり速度の変化に対するずり応力の値が高くなり、ずり速度:150/sの時点で負荷が過度に高まった結果、測定が中断した。
このように、図1又は図2に示すように、ずり速度の変化に対するずり応力が低いという結果は、本発明のポリカルボン酸系重合体を用いて練り混ぜを行う際に手やミキサーにかかる負荷が少ないことを表していると考えられる。よって、本発明の重合体を使用したコンクリートも同様に、施工時のポンプ圧送においてポンプにかかる負荷を低くすることができるといえる。すなわち、初期及び経時におけるコンクリート粘性低減効果に優れていることが示された。
なお、本実施例におけるセメントペースト粘性評価において、セメントペーストの状態を表す「瑞々しさ」とは、表面水の浮きがなく適度に濡れている状態を表している。濡れすぎた場合には表面水が浮き、コンクリート製造時に骨材分離、ブリージングなどを引き起こしやすい。また「がさつき」とは濡れが不足気味の状態を表しており、振動与えた時の流動性不足、充填不足によるジャンカ(コンクリート製造時に、コンクリート表面や内部に主として粗骨材だけが集中してできた空隙の多い不均質な部分)が発生しやすい状態にあることを表している。「ハンドリングが軽い」とは測定した空気量以上に軽い感触を与えている状態を表し、混練性が軽く、ポンプ圧送時の抵抗性が低く、材料の一体感があり材料分離抵抗性が高い状態にあることを表している。
このように、本発明のセメント分散剤は、コンクリートに適用した際、優れた減水性を発揮するだけでなく、特に粘性を低く保ち、練りの感触が軽く流動性に優れるなど自己充填性に優れるフレッシュコンクリートと為すことができ、さらに、このような優れた性能を練り上げ直後から1時間経過後も良好に保つことができるという経時安定性にも優れるなどの、コンクリート施工時に重要となる性能をも向上させるとする結果が得られた。
図1はポリカルボン酸系重合体B1(実施例19)、B2(実施例20)又はC1(比較例9)を用いて作製したセメントペーストの練り混ぜ初期の20℃における粘性挙動を示すグラフである。 図2はポリカルボン酸系重合体B1(実施例21)、B2(実施例22)又はC1(比較例10)を用いて作製したセメントペーストの練り混ぜ後30分経過後における粘性挙動を示すグラフである。

Claims (3)

  1. 不飽和モノカルボン酸系単量体由来の構造単位と不飽和ジカルボン酸系単量体由来の構造単位とを含みて構成される重合体からなるセメント分散剤において、
    前記不飽和モノカルボン酸系単量体由来の構造単位は、不飽和モノカルボン酸由来の構造単位と不飽和モノカルボン酸エステル誘導体由来の構造単位を含んでなり、該不飽和モノカルボン酸エステル誘導体由来の構造単位には平均付加モル数3乃至23のアルキレンオキサイドが付加されてなり、
    前記不飽和ジカルボン酸系単量体由来の構造単位は、不飽和ジカルボン酸由来の構造単位と不飽和ジカルボン酸エステル誘導体由来の構造単位を含んでなり、該不飽和ジカルボン酸エステル誘導体由来の構造単位には平均付加モル数1乃至8のアルキレンオキサイドが付加されてなり、
    前記不飽和ジカルボン酸系単量体由来の構造単位の全モル量に対してフマル酸及び/又はフマル酸エステル誘導体に由来する構造単位の含有割合が70乃至100モル%であることを特徴とする、セメント分散剤。
  2. 前記不飽和ジカルボン酸系単量体由来の構造単位において、
    フマル酸に由来する構造単位と、フマル酸エステル誘導体に由来する構造単位の割合が、モル比で、
    フマル酸に由来する構造単位:フマル酸エステル誘導体に由来する構造単位=1〜50モル%:99〜50モル%であることを特徴とする、請求項1記載のセメント分散剤。
  3. 前記不飽和モノカルボン酸系単量体由来の構造単位と、
    前記不飽和ジカルボン酸系単量体由来の構造単位の含有割合が、モル比で、
    前記不飽和モノカルボン酸系単量体由来の構造単位:前記不飽和ジカルボン酸系単量体由来の構造単位=80モル%:20モル%〜30モル%:70モル%であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のセメント分散剤。
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