JP2009159710A - 電動機 - Google Patents

電動機 Download PDF

Info

Publication number
JP2009159710A
JP2009159710A JP2007333898A JP2007333898A JP2009159710A JP 2009159710 A JP2009159710 A JP 2009159710A JP 2007333898 A JP2007333898 A JP 2007333898A JP 2007333898 A JP2007333898 A JP 2007333898A JP 2009159710 A JP2009159710 A JP 2009159710A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rotor
magnetic poles
circumferential direction
magnetic
induction
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2007333898A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4680980B2 (ja
Inventor
Masashi Bando
真史 板東
Noriyuki Abe
典行 阿部
Shigemitsu Akutsu
重光 圷
Akiyoshi Oya
聡義 大矢
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Honda Motor Co Ltd
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Honda Motor Co Ltd filed Critical Honda Motor Co Ltd
Priority to JP2007333898A priority Critical patent/JP4680980B2/ja
Publication of JP2009159710A publication Critical patent/JP2009159710A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4680980B2 publication Critical patent/JP4680980B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Permanent Field Magnets Of Synchronous Machinery (AREA)
  • Permanent Magnet Type Synchronous Machine (AREA)

Abstract

【課題】 永久磁石を支持する電動機のロータの構造を簡素化するとともに出力トルクを増加させる。
【解決手段】 電動機Mは、回転磁界を形成する外側の第1、第2ステータ12L,12Rと、その内側に配置されて第1、第2誘導磁極38L,38Rを有するアウターロータ13と、その内側に配置されて第1、第2永久磁石52L,52Rを有するインナーロータ14とを備える。第1、第2ステータ12L,12Rの第1、第2回転磁界の極性の位相を相互に所定ピッチだけずらし、アウターロータ13の第1、第2誘導磁極38L,38Rの位相を相互に所定ピッチの半分だけずらしたことにより、インナーロータ14の第1、第2永久磁石52L,52Rの位相を相互に一致させることができ、これによりインナーロータ14に対する第1、第2永久磁石52L,52Rの支持を容易にして構造を簡素化することができるだけでなく、第1、第2永久磁石52L,52R間の磁束の短絡を抑制して出力トルクを増加させることができる。
【選択図】 図7

Description

本発明は、軸線を囲むように配置された環状のステータと、軸線まわりに回転可能な第1ロータと、前記ステータおよび前記第1ロータ間に配置されて軸線まわりに回転可能な第2ロータとを備えた電動機に関する。
従来の電動機として、例えば下記特許文献1に記載されたものが知られている。この電動機は、インナーロータ、ステータおよびアウターロータを有しており、インナーロータは径方向に若干延びる複数の永久磁石を周方向に配置した円柱状のものであり、ステータは複数の電機子を周方向に配置し、樹脂モールドで固定した円筒状のものであり、アウターロータは複数のリングを積層したコアにコイルを巻くことにより円筒状に形成されており、このコイルには電力が供給されないようになっている。またインナーロータ、ステータおよびアウターロータは、内側から順に設けられて相対的に回転可能になっている。
この電動機では、ステータに電力を供給して回転磁界を発生させると、インナーロータの永久磁石の磁極がステータの磁極に対して吸引・反発することによって、インナーロータが回転磁界に同期して回転し、アウターロータが電磁誘導作用によって回転磁界に同期せずに回転する。
特開平11−341757号公報
ところで上記従来の電動機は、アウターロータを電磁誘導作用によって回転させるため、同期機ではなく、誘導機として機能するので、高い効率が得られないという問題があった。またアウターロータを電磁誘導作用により回転させることから、アウターロータのコイルに発生する誘導電流およびアウターロータのコアに発生する渦電流によりアウターロータが発熱するので、アウターロータを冷却することが必要であった。
このような問題を解決すべく、本出願人は、特願2007−026422号により新規な電動機を提案した。
この電動機は、軸線を囲むように配置された環状のステータと、軸線まわりに回転可能なインナーロータと、ステータおよびインナーロータ間に配置されて軸線まわりに回転可能なアウターロータとを備えるもので、そのステータは、複数の第1電機子で構成されて円周方向に沿って回転する第1回転磁界を発生させる第1電機子列と、複数の第2電機子で構成されて円周方向に沿って回転する第2回転磁界を発生させる第2電機子列とを並置して成り、そのインナーロータは、複数の第1永久磁石で構成された第1永久磁石列と、複数の第2永久磁石で構成された第2永久磁石列とを並置して成り、そのアウターロータは、軟磁性体製の複数の第1誘導磁極で構成された第1誘導磁極列と、軟磁性体製の複数の第2誘導磁極で構成された第2誘導磁極列とを軸線方向に並置して成り、第1誘導磁極列の径方向両側にそれぞれ第1電機子列および前記第1永久磁石列を対向させ、第2誘導磁極列の径方向両側にそれぞれ第2電機子列および第2永久磁石列を対向させて構成される。
しかしながら、特願2007−026422号により提案された電動機は、そのインナーロータに支持される第1永久磁石の位相と第2永久磁石の位相とが半ピッチ分(電気角90°分)ずれているため、インナーロータに第1、第2永久磁石を支持する構造が複雑になるだけでなく、極性の異なる第1永久磁石と第2永久磁石とが対向しているため、それらの間で磁気短絡が発生して有効磁束が減少することで出力トルクが減少するという課題があった。
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、永久磁石を支持する電動機のロータの構造を簡素化するとともに出力トルクを増加させることを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、軸線を囲むように配置された環状のステータと、軸線まわりに回転可能な第1ロータと、前記ステータおよび前記第1ロータ間に配置されて軸線まわりに回転可能な第2ロータとを備えた電動機であって、前記ステータは、円周方向に配置された複数の第1電機子で構成され、電力の供給に伴って該複数の第1電機子に発生する磁極により、円周方向に沿って回転する第1回転磁界を発生させる第1電機子列と、円周方向に配置された複数の第2電機子で構成され、電力の供給に伴って該複数の第2電機子に発生する磁極により、円周方向に沿って回転する第2回転磁界を発生させる第2電機子列とを軸線方向に並置して成り、前記第1ロータは、円周方向に所定ピッチで交互に異なる極性の磁極を有するように複数の第1永久磁石を配置して構成された第1永久磁石列と、円周方向に所定ピッチで交互に異なる極性の磁極を有するように複数の第2永久磁石を配置して構成された第2永久磁石列とを軸線方向に並置して成り、前記第2ロータは、円周方向に前記所定ピッチで配置された軟磁性体製の複数の第1誘導磁極で構成された第1誘導磁極列と、円周方向に前記所定ピッチで配置された軟磁性体製の複数の第2誘導磁極で構成された第2誘導磁極列とを軸線方向に並置して成り、前記第1誘導磁極列の径方向両側にそれぞれ前記第1電機子列および前記第1永久磁石列が対向し、前記第2誘導磁極列の径方向両側にそれぞれ前記第2電機子列および前記第2永久磁石列が対向し、前記ステータの前記第1回転磁界の極性の位相および前記第2回転磁界の極性の位相を相互に円周方向に前記所定ピッチだけずらし、前記第2ロータの前記第1誘導磁極の位相および第2誘導磁極の位相を相互に円周方向に前記所定ピッチの半分だけずらし、前記第1ロータの第1永久磁石列の磁極の位相および第2永久磁石列の磁極の位相を相互に一致させたことを特徴とする電動機が提案される。
また請求項2に記載された発明によれば、軸線を囲むように配置された環状のステータと、軸線まわりに回転可能な第1ロータと、前記ステータおよび前記第1ロータ間に配置されて軸線まわりに回転可能な第2ロータとを備えた電動機であって、前記ステータは、円周方向に配置された複数の第1電機子で構成され、電力の供給に伴って該複数の第1電機子に発生する磁極により、円周方向に沿って回転する第1回転磁界を発生させる第1電機子列と、円周方向に配置された複数の第2電機子で構成され、電力の供給に伴って該複数の第2電機子に発生する磁極により、円周方向に沿って回転する第2回転磁界を発生させる第2電機子列とを軸線方向に並置して成り、前記第1ロータは、円周方向に所定ピッチで交互に異なる極性の磁極を有するように複数の永久磁石を配置して構成された永久磁石列を備えて成り、前記第2ロータは、円周方向に前記所定ピッチで配置された軟磁性体製の複数の第1誘導磁極で構成された第1誘導磁極列と、円周方向に前記所定ピッチで配置された軟磁性体製の複数の第2誘導磁極で構成された第2誘導磁極列とを軸線方向に並置して成り、前記第1誘導磁極列の径方向両側にそれぞれ前記第1電機子列および前記永久磁石列が対向し、前記第2誘導磁極列の径方向両側にそれぞれ前記第2電機子列および前記永久磁石列が対向し、前記ステータの前記第1回転磁界の極性の位相および前記第2回転磁界の極性の位相を相互に円周方向に前記所定ピッチだけずらし、前記第2ロータの前記第1誘導磁極の位相および第2誘導磁極の位相を相互に円周方向に前記所定ピッチの半分だけずらしたことを特徴とする電動機が提案される。
また請求項3に記載された発明によれば、請求項1または請求項2の構成に加えて、前記第2ロータの円筒状のロータボディに軸線方向に直線状に延びる複数のスリットを形成し、前記各スリットに前記第1、第2誘導磁極を嵌合したことを特徴とする電動機が提案される。
尚、実施の形態のアウターロータ13は本発明の第2ロータに対応し、実施の形態のインナーロータ14は本発明の第1ロータに対応し、実施の形態の第1、第2ステータ12L,12Rは本発明のステータに対応する。
請求項1の構成によれば、電動機は、軸線を囲むように配置された第1、第2電機子列により第1、第2回転磁界を発生する環状のステータと、第1、第2永久磁石で構成された第1、第2永久磁石列を有して軸線まわりに回転可能な第1ロータと、ステータおよび第1ロータ間に配置され、第1、第2誘導磁極で構成された第1、第2誘導磁極列を有して軸線まわりに回転可能な第2ロータとを備えており、第1誘導磁極列の径方向両側にそれぞれ第1電機子列および第1永久磁石列を対向させ、第2誘導磁極列の径方向両側にそれぞれ第2電機子列および第2永久磁石列を対向させたので、第1、第2電機子に対する通電を制御して第1、第2回転磁界を回転させることで、第1、第2電機子、第1、第2永久磁石および第1、第2誘導磁極を通過する磁路を形成し、第1ロータおよび第2ロータの一方あるいは両方を回転させることができる。
このとき、ステータの第1、第2回転磁界の極性の位相を相互に所定ピッチだけずらし、第2ロータの第1、第2誘導磁極の位相を相互に所定ピッチの半分だけずらしたことにより、第1ロータの第1、第2永久磁石列の磁極の位相を相互に一致させることができ、これにより第1ロータに対する第1、第2永久磁石の支持を容易にして第1ロータの構造を簡素化することができるだけでなく、第1、第2永久磁石間の磁束の短絡を抑制して出力トルクを増加させることができる。
また請求項2の構成によれば、電動機は、軸線を囲むように配置された第1、第2電機子列により第1、第2回転磁界を発生する環状のステータと、永久磁石で構成された永久磁石列を有して軸線まわりに回転可能な第1ロータと、ステータおよび第1ロータ間に配置され、第1、第2誘導磁極で構成された第1、第2誘導磁極列を有して軸線まわりに回転可能な第2ロータとを備えており、第1誘導磁極列の径方向両側にそれぞれ第1電機子列および永久磁石列を対向させ、第2誘導磁極列の径方向両側にそれぞれ第2電機子列および永久磁石列を対向させたので、第1、第2電機子に対する通電を制御して第1、第2回転磁界を回転させることで、第1、第2電機子、永久磁石および第1、第2誘導磁極を通過する磁路を形成し、第1ロータおよび第2ロータの一方あるいは両方を回転させることができる。
このとき、ステータの第1、第2回転磁界の極性の位相を相互に所定ピッチだけずらし、第2ロータの第1、第2誘導磁極の位相を相互に所定ピッチの半分だけずらしたことにより、第1ロータの永久磁石列をステータの第1、第2回転磁界および第2ロータの第1、第2誘導磁極に各々対応させて二つ設ける必要がなくなり、これにより永久磁石の数を減少させることができるだけでなく、第1ロータに対する永久磁石の支持を容易にしてロータの構造を簡素化することができるだけでなく、第1、第2永久磁石52L,52R間の磁束の短絡を抑制して出力トルクを増加させることができる。。
また請求項3の構成よれば、第2ロータのロータボディに軸線方向に延びるように設けた複数のスリットに第1、第2誘導磁極を嵌合するので、ロータボディに対する第1、第2誘導磁極の組み付けが簡単になる。
以下、本発明の実施の形態を添付の図面に基づいて説明する。
図1〜図15は本発明の第1の実施の形態を示すもので、図1は電動機を軸線方向に見た正面図(図2の1−1線矢視図)、図2は図1の2−2線断面図、図3は図2の3−3線断面図、図4は図2の4−4線断面図、図5は図2の5−5線矢視図、図6は図3の6−6線矢視図、図7は電動機の分解斜視図、図8はインナーロータの分解斜視図、図9は図3の9部拡大図、図10は電動機を円周方向に展開した模式図、図11はインナーロータを固定した場合の作動説明図の(その1)、図12はインナーロータを固定した場合の作動説明図の(その2)、図13はインナーロータを固定した場合の作動説明図の(その3)、図14はアウターロータを固定した場合の作動説明図の(その1)、図15はアウターロータを固定した場合の作動説明図の(その2)である。
図7に示すように、本実施の形態の電動機Mは、軸線L方向に短い八角筒形状を成すケーシング11と、ケーシング11の内周に固定された円環状の第1、第2ステータ12L,12Rと、第1、第2ステータ12L,12Rの内部に収納されて軸線Lまわりに回転する円筒状のアウターロータ13と、アウターロータ13の内部に収納されて軸線Lまわりに回転する円筒状のインナーロータ14とで構成されるもので、アウターロータ13およびインナーロータ14は固定された第1、第2ステータ12L,12Rに対して相対回転可能であり、かつアウターロータ13およびインナーロータ14は相互に相対回転可能である。
図1および図2から明らかなように、ケーシング11は有底八角筒状の本体部15と、本体部15の開口に複数本のボルト16…で固定される八角板状の蓋部17とで構成されており、本体部15および蓋部17には通気のための複数の開口15a…,17a…が形成される。
図1〜図4および図7から明らかなように、第1、第2ステータ12L,12Rは、同一構造のものを円周方向にずらして重ね合わせたものであり、その一方の第1ステータ12Lを例にとって構造を説明する。第1ステータ12Lは、積層鋼板よりなるコア18の外周にインシュレータ19を介してコイル20を巻回した複数個(実施の形態では24個)の第1電機子21L…を備えており、これらの第1電機子21L…は全体として円環状を成すように円周方向に結合された状態で、リング状のホルダ22で一体化される。ホルダ22の軸線L方向一端から径方向に突出するフランジ22aが、ケーシング11の本体部15の内面の段部15b(図2参照)に複数本のボルト23…で固定される。
第2ステータ12Rは、上述した第1ステータ12Lと同様に24個の第2電機子21R…を備えており、そのホルダ22のフランジ22aがケーシング11の本体部15の内面の段部15c(図2参照)に複数本のボルト24…で固定される。このとき、第1ステータ12Lおよび第2ステータ12Rの円周方向の位相は、インナーロータ14の第1、第2永久磁石52L…,52R…のピッチ分に相当する18°(電気角で180°)ずれている(図3および図4参照)。そして第1、第2ステータ12L,12Rの第1、第2電機子21L…,21R…に、ケーシング11の本体部15に設けた3個の端子25,26,27(図1参照)から3相交流電流を供給することで、第1、第2ステータ12L,12Rに位相が電気角で180°ずれた回転磁界を発生させることができる。
図2および図7から明らかなように、アウターロータ13は、弱磁性体で円筒状に形成されたロータボディ31と、弱磁性体で円板状に形成されてロータボディ31の両端の開口を覆うようにボルト32…で固定される2個のロータカバー33,33とを備えた中空の部材であって、一方のロータカバー33の中心から軸線L上に突出する第1アウターロータシャフト34がボールベアリング35でケーシング11の本体部15に回転自在に支持されるとともに、他方のロータカバー33の中心から軸線L上に突出する第2アウターロータシャフト36がボールベアリング37でケーシング11の蓋部17に回転自在に支持される。アウターロータ13の出力軸となる第1アウターロータシャフト34は、ケーシング11の本体部15を貫通して外部に延出する。
弱磁性体とは、磁石に吸着しない材質で、例えばアルミニウム等の他に樹脂、木等を含み、非磁性体と呼ばれることもある。
図2、図6および図7から明らかなように、アウターロータ13のロータボディ31の軸線L方向一端面には、軸線Lと平行に延びる複数本(実施の形態では20本)のスリット31a…が、径方向内外に連通するように形成され、またロータボディ31の軸線L方向他端面には、軸線Lと平行に延びる複数本(実施の形態では20本)のスリット31b…が、径方向内外に連通するように形成される。一方のスリット31a…および他方のスリット31b…は、それらが交互に配置されるように位相がずれている。
一方のスリット31a…には軟磁性体製の第1誘導磁極38L…が軸線L方向に挿入されて埋め込まれるとともに、他方のスリット31b…には軟磁性体製の第2誘導磁極38R…が軸線L方向に挿入されて埋め込まれ、それぞれロータカバー33,33によってスリット31a…,31b…内に保持される。前記第1、第2誘導磁極38L…,38R…は、軸線L方向に積層された鋼板で構成される。
第1、第2誘導磁極38L…,38R…は、ロータボディ31に軸線L方向に延びるように設けた複数のスリット38a…,38b…に嵌合して保持されるので、ロータボディ31に対する第1、第2誘導磁極38L…,38R…の組み付けが簡単になる。しかも第1、第2誘導磁極38L…,38R…はスリット31a…,31b…に対して凹凸係合するため(図9参照)、それらがロータボディ31の径方向内外に脱落することはない。
図2から明らかなように、アウターロータ13の第2アウターロータシャフト36を囲むように、アウターロータ13の回転位置を検出するための第1レゾルバ42が設けられる。第1レゾルバ42は、第2アウターロータシャフト36の外周に固定されたレゾルバロータ43と、このレゾルバロータ43の周囲を囲むようにケーシング11の蓋部17に固定されたレゾルバステータ44とで構成される。
図2〜図5および図8から明らかなように、インナーロータ14は、円筒状に形成されたロータボディ45と、ロータボディ45のハブ45aを貫通してボルト46で固定されたインナーロータシャフト47と、積層鋼板で構成されてロータボディ45の外周に嵌合する円環状の第1、第2ロータコア48L,48Rと、ロータボディ45の外周に嵌合する円環状のスペーサ49とを備える。インナーロータシャフト47の一端は軸線L上で第1アウターロータシャフト34の内部にボールベアリング50で回転自在に支持され、またインナーロータシャフト47の他端は第2アウターロータシャフト36の内部にボールベアリング51で回転自在に支持されるとともに、第2アウターロータシャフト36およびケーシング11の蓋部17を貫通し、インナーロータ14の出力軸としてケーシング11の外部に延出する。
ロータボディ45の外周に嵌合する第1、第2ロータコア48L,48Rは同一構造を有するもので、その外周面に沿って複数個(実施の形態では20個)の永久磁石支持孔48a…(図3および図4参照)を備えており、そこに第1、第2永久磁石52L…,52R…が軸線L方向に圧入される。第1ロータコア48Lの隣接する第1永久磁石52L…の極性は交互に反転しており、第2ロータコア48Rの隣接する第2永久磁石52R…の極性は交互に反転しており、かつ第1ロータコア48Lの第1永久磁石52L…の円周方向の位相および極性と、第2ロータコア48Rの第2永久磁石52R…の円周方向の位相および極性とは、相互に一致している(図3および図4参照)。
そしてロータボディ45の外周の軸線L方向中央に弱磁性体のスペーサ49が嵌合し、その外側に第1、第2永久磁石52L…,52R…を抜け止めする一対の内側永久磁石支持板53,53がそれぞれ嵌合し、その外側に第1、第2ロータコアロータコア48L,48Rがそれぞれ嵌合し、その外側に第1、第2永久磁石52L…,52R…を抜け止めする一対の外側永久磁石支持板54,54がそれぞれ嵌合し、その外側に一対のストッパリング55,55が圧入によりそれぞれ固定される。
図2から明らかなように、インナーロータシャフト47を囲むように、インナーロータ14の回転位置を検出するための第2レゾルバ56が設けられる。第2レゾルバ56は、インナーロータシャフト47の外周に固定されたレゾルバロータ57と、このレゾルバロータ57の周囲を囲むようにケーシング11の蓋部17に固定されたレゾルバステータ58とで構成される。
しかして、図9に拡大して示すように、アウターロータ13の外周面に露出する第1誘導磁極38L…の外周面に、僅かなエアギャップαを介して第1ステータ12Lの第1電機子21L…の内周面が対向し、アウターロータ13の内周面に露出する第1誘導磁極38L…の内周面に、僅かなエアギャップβを介してインナーロータ14の第1ロータコア48Lの外周面が対向する。同様に、アウターロータ13の外周面に露出する第2誘導磁極38R…の外周面に、僅かなエアギャップαを介して第2ステータ12Rの第2電機子21R…の内周面が対向し、アウターロータ13の内周面に露出する第2誘導磁極38R…の内周面に、僅かなエアギャップβを介してインナーロータ14の第2ロータコア48Rの外周面が対向する。
次に、上記構成を備えた第1の実施の形態の電動機Mの作動原理を説明する。
図10は電動機Mを円周方向に展開した状態を模式的に示すものである。図10の左右両側には、インナーロータ14の第1、第2永久磁石52L…,52R…がそれぞれ示される。第1、第2永久磁石52L…,52R…は、円周方向(図10の上下方向)に所定ピッチPでN極およびS極が交互に配置されるとともに、第1永久磁石52L…と第2永久磁石52R…とは、N極どうしが軸線L方向(図10の左右方向)に整列し、S極どうしが軸線L方向に整列するように配置される。
図10の中央部には第1、第2ステータ12L,12Rの第1、第2電機子21L…,21R…に対応する仮想永久磁石21…が円周方向に所定ピッチPで配置される。実際には、第1、第2ステータ12L,12Rの第1、第2電機子21L…,21R…の数は各24個であり、インナーロータ14の第1、第2永久磁石52L…,52R…の数は各20個であるため、第1、第2電機子21L…,21R…のピッチはインナーロータ14の第1、第2永久磁石52L…,52R…のピッチPと一致していない。
しかしながら、第1、第2電機子21L…,21R…はそれぞれ回転磁界を形成するため、それら第1、第2電機子21L…,21R…を、ピッチPで配置されて円周方向に回転する20個の仮想永久磁石21…で置き換えることができる。以下、第1、第2電機子21L…,21R…を、仮想永久磁石21…の第1、第2仮想磁極21L…,21R…と呼ぶ。円周方向に隣接する仮想永久磁石21…の第1、第2仮想磁極21L…,21R…の極性は交互に反転しており、かつ各仮想永久磁石21…の第1仮想磁極21L…と第2仮想磁極21R…とは、軸線方向Lに整列している。
第1、第2永久磁石52L…,52R…と仮想永久磁石21…との間に、アウターロータ13の第1、第2誘導磁極38L…,38R…が配置される。第1、第2誘導磁極38L…,38R…は円周方向にピッチPで配置されるとともに、第1誘導磁極38L…と第2誘導磁極38R…とは円周方向にピッチPの半分だけずれている。
図10に示すように、仮想永久磁石21の第1仮想磁極21Lの極性が、それに対向する(最も近い)第1永久磁石52Lの極性と異なるときには、仮想永久磁石21の第2仮想磁極21Rの極性が、それに対向する(最も近い)第2永久磁石52Rの極性と同じになる。また仮想永久磁石21の第2仮想磁極21Rの極性が、それに対向する(最も近い)第2永久磁石52Rの極性と異なるときには、仮想永久磁石21の第1仮想磁極21Lの極性が、それに対向する(最も近い)第1永久磁石52Lの極性と同じになる(図12(G)参照)。
先ず、インナーロータ14(第1、第2永久磁石52L…,52R…)を回転不能に固定した状態で、第1、第2ステータ12L,12R(第1、第2仮想磁極21L…,21R…)に回転磁界を発生させることで、アウターロータ13(第1、第2誘導磁極38L…,38R…)を回転駆動する場合の作用を説明する。この場合、図11(A)→図11(B)→図11(C)→図11(D)→図12(E)→図12(F)→図12(G)の順番で、固定された第1、第2永久磁石52L…,52R…に対して仮想永久磁石21…が図中下向きに回転することで、第1、第2誘導磁極38L…,38R…が図中下向きに回転する。
図11(A)に示すように、相対向する第1永久磁石52L…および仮想永久磁石21…の第1仮想磁極21L…に対して第1誘導磁極38L…が整列し、かつ相対向する第2仮想磁極21R…および第2永久磁石52R…に対して第2誘導磁極38R…が半ピッチP/2ずれた状態から、仮想永久磁石21…を同図の下方に回転させる。その回転の開始時においては、仮想永久磁石21…の第1仮想磁極21L…の極性は、それに対向する第1永久磁石52L…の極性と異なるとともに、仮想永久磁石21…の第2仮想磁極21R…の極性は、それに対向する第2永久磁石52R…の極性と同じになる。
第1誘導磁極38L…が第1永久磁石52L…および仮想永久磁石21…の第1仮想磁極21L…間に配置されているので、第1誘導磁極38L…が第1永久磁石52L…および第1仮想磁極21L…によって磁化され、第1永久磁石52L…、第1誘導磁極38L…および第1仮想磁極21L…間に第1磁力線G1が発生する。同様に、第2誘導磁極38R…が第2仮想磁極21R…および第2永久磁石52R…間に配置されているので、第2誘導磁極38R…が第2仮想磁極21R…および第2永久磁石52R…によって磁化され、第2仮想磁極21R…、第2誘導磁極38R…および第2永久磁石52R…間に第2磁力線G2が発生する。
図11(A)に示す状態では、第1磁力線G1は、第1永久磁石52L…、第1誘導磁極38L…および第1仮想磁極21L…を結ぶように発生し、第2磁力線G2は、円周方向に隣り合う各2つの第2仮想磁極21R…と両者の間に位置する第2誘導磁極38R…とを結ぶように、また円周方向に隣り合う各2つの第2永久磁石52R…と両者の間に位置する第2誘導磁極38R…とを結ぶように発生する。その結果、この状態では、図13(A)に示すような磁気回路が構成される。この状態では、第1磁力線G1が直線状であることにより、第1誘導磁極38L…には、円周方向に回転させるような磁力は作用しない。また円周方向に隣り合う各2つの第2仮想磁極21R…と第2誘導磁極38R…との間の2つの第2磁力線G2の曲がり度合いおよび総磁束量が互いに等しく、同様に円周方向に隣り合う各2つの第2永久磁石52R…と第2誘導磁極38R…との間の2つの第2磁力線G2の曲がり度合いおよび総磁束量も、互いに等しくなってバランスしている。このため、第2誘導磁極38R…にも、円周方向に回転させるような磁力は作用しない。
そして、仮想永久磁石21…が図11(A)に示す位置から図11(B)に示す位置に回転すると、第2仮想磁極21R…、第2誘導磁極38R…および第2永久磁石52R…を結ぶような第2磁力線G2が発生するとともに、第1誘導磁極38L…と第1仮想磁極21L…との間の第1磁力線G1が曲がった状態になる。これに伴い、第1、第2の磁力線G1,G2によって、図13(B)に示すような磁気回路が構成される。
この状態では、第1磁力線G1の曲がり度合いは小さいものの、その総磁束量が多いため、比較的強い磁力が第1誘導磁極38L…に作用する。これにより、第1誘導磁極38L…は、仮想永久磁石21…の回転方向、つまり磁界回転方向に比較的大きな駆動力で駆動され、その結果アウターロータ13が磁界回転方向に回転する。また第2磁力線G2の曲がり度合いは大きいものの、その総磁束量が少ないため、比較的弱い磁力が第2誘導磁極38R…に作用し、それにより第2誘導磁極38R…は磁界回転方向に比較的小さな駆動力で駆動され、その結果アウターロータ13は磁界回転方向に回転する。
次いで、仮想永久磁石21が、図11(B)に示す位置から、図11(C),(D)および図12(E),(F)に示す位置に順に回転すると、第1誘導磁極38L…および第2誘導磁極38R…は、それぞれ第1、第2の磁力線G1,G2に起因する磁力によって磁界回転方向に駆動され、その結果アウターロータ13が磁界回転方向に回転する。その間、第1誘導磁極38L…に作用する磁力は、第1磁力線G1の曲がり度合いが大きくなるものの、その総磁束量が少なくなることによって、徐々に弱くなり、第1誘導磁極38L…を磁界回転方向に駆動する駆動力が徐々に小さくなる。また第2誘導磁極38R…に作用する磁力は、第2磁力線G2の曲がり度合いが小さくなるものの、その総磁束量が多くなることによって徐々に強くなり、第2誘導磁極38R…を磁界回転方向に駆動する駆動力が徐々に大きくなる。
そして、仮想永久磁石21が図12(E)に示す位置から図12(F)に示す位置に回転する間、第2磁力線G2が曲がった状態になるとともに、その総磁束量が最多に近い状態になり、その結果、最強の磁力が第2誘導磁極38R…に作用し、第2誘導磁極38R…に作用する駆動力が最大になる。その後、図12(G)に示すように、仮想永久磁石21が当初の図11(A)の位置からピッチP分回転することにより、仮想永久磁石21の第1、第2仮想磁極21L…,21R…がそれぞれ第1、第2永久磁石52L…,52R…に対向する位置に回転すると、図11(A)の状態と左右が反転した状態となり、その瞬間だけアウターロータ13を円周方向に回転させる磁力は作用しなくなる。
この状態から、仮想永久磁石21が更に回転すると、第1、第2の磁力線G1,G2に起因する磁力によって、第1、第2誘導磁極38L…,38R…が磁界回転方向に駆動され、アウターロータ13が磁界回転方向に回転する。その際、仮想永久磁石21が再び図11(A)に示す位置まで回転する間、以上とは逆に、第1誘導磁極38L…に作用する磁力は、第1磁力線G1の曲がり度合が小さくなるものの、その総磁束量が多くなることによって強くなり、第1誘導磁極38L…に作用する駆動力が大きくなる。逆に、第2誘導磁極38R…に作用する磁力は、第2磁力線G2の曲がり度合が大きくなるものの、その総磁束量が少なくなることによって弱くなり、第2誘導磁極38R…に作用する駆動力が小さくなる。
また図11(A)と図12(G)とを比較すると明らかなように、仮想永久磁石21がピッチP分回転するのに伴って、第1、第2誘導磁極38L…,38R…が半ピッチP/2分しか回転しないので、アウターロータ13は、第1、第2ステータ12L、12Rの回転磁界の回転速度の1/2の速度で回転する。これは、第1、第2磁力線G1,G2に起因する磁力の作用によって、第1、第2誘導磁極38L…,38R…が、第1磁力線G1で結ばれた第1永久磁石52L…と第1仮想磁極21L…との中間、および第2磁力線G2で結ばれた第2永久磁石52R…と第2仮想磁極21R…トの中間に、それぞれ位置した状態を保ちながら、回転するためである。
次に、図14および図15を参照しながら、アウターロータ13を固定した状態で、インナーロータ14を回転させる場合の電動機Mの作動について説明する。
先ず、図14(A)に示すように、各第1誘導磁極38L…が各第1永久磁石52L…に対向するとともに、各第2誘導磁極38R…が隣り合う各2つの第2永久磁石52R…の間に位置した状態から、第1、第2回転磁界を同図の下方に回転させる。その回転の開始時において、各第1仮想磁極21L…の極性を、それに対向する各第1永久磁石52L…の極性と異ならせるとともに、各第2仮想磁極21R…の極性をそれに対向する各第2永久磁石52R…の極性と同じにする。
この状態から、仮想永久磁石21…が図14(B)に示す位置に回転すると、第1誘導磁極38L…と第1仮想磁極21L…の間の第1磁力線G1が曲がった状態になり、かつ第2仮想磁極21R…が第2誘導磁極38R…に近づくことによって、第2仮想磁極21R…、第2誘導磁極38R…および第2永久磁石52R…を結ぶような第2磁力線G2が発生する。その結果、第1、第2永久磁石52L…,52R…、仮想永久磁石21…および第1、第2誘導磁極38L…,38R…において、前述した図13(B)に示すような磁気回路が構成される。
この状態では、第1永久磁石52L…と第1誘導磁極38L…との間の第1磁力線G1の総磁束量は高いものの、この第1磁力線G1がまっすぐであるため、第1誘導磁極38L…に対して第1永久磁石52L…を回転させるような磁力が発生しない。また第2永久磁石52R…およびこれと異なる極性の第2仮想磁極21R…の間の距離が比較的長いことにより、第2誘導磁極38R…と第2永久磁石52R…との間の第2磁力線G2の総磁束量は比較的少ないものの、その曲がり度合いが大きいことによって、第2永久磁石52R…に、これを第2誘導磁極38R…に近づけるような磁力が作用する。これにより、第2永久磁石52R…は、第1永久磁石52L…と共に、仮想永久磁石21…の回転方向、即ち磁界回転方向と逆方向(図14の上方)に駆動され、図14(C)に示す位置に向かって回転する。また、これに伴い、インナーロータ14が磁界回転方向と逆方向に回転する。
そして第1、第2永久磁石52L…,52R…が図14(B)に示す位置から図14(C)に示す位置に向かって回転する間、仮想永久磁石21…は、図14(D)に示す位置に向かって回転する。以上のように、第2永久磁石52R…が第2誘導磁極38R…に近づくことにより、第2誘導磁極38R…と第2永久磁石52R…との間の第2磁力線G2の曲がり度合いは小さくなるものの、仮想永久磁石21…が第2誘導磁極38R…に更に近づくのに伴い、第2磁力線G2の総磁束量は多くなる。その結果、この場合にも、第2永久磁石52R…に、これを第2誘導磁極38R…側に近づけるような磁力が作用し、それにより、第2永久磁石52R…が、第1永久磁石52L…と共に、磁界回転方向と逆方向に駆動される。
また第1永久磁石52L…が磁界回転方向と逆方向に回転するのに伴い、第1永久磁石52L…と第1誘導磁極38L…との間の第1磁力線G1が曲がることによって、第1永久磁石52L…に、これを第1誘導磁極38L…に近づけるような磁力が作用する。しかし、この状態では、第1磁力線G1に起因する磁力は、第1磁力線G1の曲がり度合いが第2磁力線G2よりも小さいことによって、上述した第2磁力線G2に起因する磁力よりも弱い。その結果、両磁力の差分に相当する磁力によって、第2永久磁石52R…が第1永久磁石52L…と共に、磁界回転方向と逆方向に駆動される。
そして、図14(D)に示すように、第1永久磁石52L…と第1誘導磁極38L…との間の距離と、第2誘導磁極38R…と第2永久磁石52R…との間の距離が互いにほぼ等しくなったときには、第1永久磁石52L…と第1誘導磁極38L…との間の第1磁力線G1の総磁束量および曲がり度合いが、第2誘導磁極38R…と第2永久磁石52R…との間の第2磁力線G2の総磁束量および曲がり度合いとそれぞれほぼ等しくなる。
その結果、これらの第1、第2磁力線G1,G2に起因する磁力が互いにほぼ釣り合うことによって、第1、第2永久磁石52L…,52R…が一時的に駆動されない状態になる。
この状態から、仮想永久磁石21…が図15(E)に示す位置まで回転すると、第1磁力線G1の発生状態が変化し、図15(F)に示すような磁気回路が構成される。それにより、第1磁力線G1に起因する磁力が、第1永久磁石52L…を第1誘導磁極38L…に近づけるようにほとんど作用しなくなるので、第2磁力線G2に起因する磁力によって、第2永久磁石52R…は、第1永久磁石52L…とともに、図15(G)に示す位置まで、磁界回転方向と逆方向に駆動される。
そして、図15(G)に示す位置から、仮想永久磁石21…が若干回転すると、以上とは逆に、第1永久磁石52L…と第1誘導磁極38L…との間の第1磁力線G1に起因する磁力が、第1永久磁石52L…に、これを第1誘導磁極38L…に近づけるように作用し、それにより、第1永久磁石52L…が第2永久磁石52R…と共に、磁界回転方向と逆方向に駆動され、インナーロータ14が磁界回転方向と逆方向に回転する。そして仮想永久磁石21…が更に回転すると、第1永久磁石52L…と第1誘導磁極38L…との間の第1磁力線G1に起因する磁力と第2誘導磁極38R…と第2永久磁石52R…との間の第2磁力線G2に起因する磁力の差分に相当する磁力によって、第1永久磁石52L…が第2永久磁石52R…と共に、磁界回転方向と逆方向に駆動される。その後、第2磁力線G2に起因する磁力が、第2永久磁石52R…を第2誘導磁極38R…に近づけるようにほとんど作用しなくなると、第1磁力線G1に起因する磁力によって、第1永久磁石52L…が第2永久磁石52R…と共に駆動される。
以上のように、第1、第2回転磁界の回転に伴い、第1永久磁石52L…と第1誘導磁極38L…との間の第1磁力線G1に起因する磁力と、第2誘導磁極38R…と第2永久磁石52R…との間の第2磁力線G2に起因する磁力と、これらの磁力の差分に相当する磁力とが、第1、第2永久磁石52L…,52R…に、即ちインナーロータ14に交互に作用し、それによりインナーロータ14が磁界回転方向と逆方向に回転する。また、そのように磁力、即ち駆動力がインナーロータ14に交互に作用することによって、インナーロータ14のトルクはほぼ一定になる。
この場合、インナーロータ14は、第1、第2回転磁界と同じ速度で逆回転する。これは、第1、第2磁力線G1,G2に起因する磁力の作用によって、第1、第2誘導磁極38L…,38R…が、第1永久磁石52L…と第1仮想磁極21L…との中間、および第2永久磁石52R…と第2仮想磁極21R…との中間にそれぞれ位置した状態を保ちながら、第1、第2永久磁石52L…,52R…が回転するためである。
以上、インナーロータ14を固定してアウターロータ13を磁界回転方向に回転させる場合と、アウターロータ13を固定してインナーロータ14を磁界回転方向と逆方向に回転させる場合とを別個に説明したが、勿論インナーロータ14およびアウターロータ13の両方を相互に逆方向に回転させることも可能である。
以上のように、インナーロータ14およびアウターロータ13のいずれか一方、あるいはインナーロータ14およびアウターロータ13の両方を回転させる場合に、インナーロータ14およびアウターロータ13の相対的な回転位置に応じて、第1、第2誘導磁極38L…,38R…の磁化の状態が変わり、滑りを生じることなく回転させることが可能であり、同期機として機能するので、効率を高めることができる。また第1仮想磁極21L…、第1永久磁石52L…および第1誘導磁極38L…の数が互いに同じに設定されるとともに、第2仮想磁極21R…、第2永久磁石52R…および第2誘導磁極38R…の数が互いに同じに設定されているので、インナーロータ14およびアウターロータ13のいずれを駆動する場合にも、電動機Mのトルクを十分に得ることができる。
以上のように、本実施の形態によれば、第1、第2ステータ12L,12Rの第1、第2回転磁界の極性の位相を相互にピッチPだけずらし、アウターロータ13の第1、第2誘導磁極38L…,38R…の位相を相互にピッチPの半分だけずらしたことにより、インナーロータ14の第1、第2永久磁石52L…,52R…の磁極の位相を相互に一致させることができ、これによりインナーロータ14に対する第1、第2永久磁石52L…,52R…の支持を容易にし、インナーロータ14の構造を簡素化することができるだけでなく、第1、第2永久磁石52L,52R間の磁束の短絡を抑制して出力トルクを増加させることができる。
次に、図16に基づいて本発明の第2の実施の形態を説明する。
第1の実施の形態では、インナーロータ14が、アウターロータ13の第1誘導磁極38L…に対向する第1永久磁石52L…と、アウターロータ13の第2誘導磁極38R…に対向する第2永久磁石52R…とを備えており、かつ第1、第2永久磁石52L…,52R…は同じ極性を有して軸線L方向に整列している(図7参照)。
第2の実施の形態は、インナーロータ14の軸線L方向に整列する第1、第2永久磁石52L…,52R…を単一の永久磁石52…に置き換えたもので、これにより部品点数の削減および構造の更なる簡素化を図りながら、電動機Mに第1の実施の形態と同様の機能を発揮させることができる。しかも第1、第2永久磁石52L…,52R…を単一の永久磁石52…に置き換えるたことで、第1、第2ロータコア48L,48Rを単一のロータコア48に置き換えることができ、かつスペーサ49および内側永久磁石支持板53,53を廃止することができる。
次に、図17に基づいて本発明の第3の実施の形態を説明する。
第3の実施の形態は、インナーロータ14の一つの磁極を構成する第1永久磁石52Lあるいは第2永久磁石52Rを、それぞれ二つに分割したものである。この場合、二つの永久磁石が一つの磁極を構成するには、その二つの永久磁石の極性が一致していることが必要である。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
例えば、実施の形態では径方向外側に配置したステータ12L,12Rに電機子21L…,21R…を設け、径方向内側に配置したインナーロータ14に永久磁石52L…,52R…(あるいは52…)を設けているが、電機子21L…,21R…および永久磁石52L…,52R…(あるいは52…)の位置関係を逆にしても良い。
また実施の形態の電動機Mは極対数が10であるが,その極対数は適宜選択可能である。
また実施の形態のステータ12L,12Rのコイル20は集中巻であるが、分布巻であっても良い。
第1の実施の形態に係る電動機を軸線方向に見た正面図(図2の1−1線矢視図) 図1の2−2線断面図 図2の3−3線断面図 図2の4−4線断面図 図2の5−5線矢視図 図3の6−6線矢視図 電動機の分解斜視図 インナーロータの分解斜視図 図3の9部拡大図 電動機を円周方向に展開した模式図 インナーロータを固定した場合の作動説明図の(その1) インナーロータを固定した場合の作動説明図の(その2) インナーロータを固定した場合の作動説明図の(その3) アウターロータを固定した場合の作動説明図の(その1) アウターロータを固定した場合の作動説明図の(その2) 第2の実施の形態に係る、前記図2に対応する図 第3の実施の形態に係る、前記図9に対応する図
符号の説明
12L 第1ステータ(ステータ)
12R 第2ステータ(ステータ)
13 アウターロータ(第2ロータ)
14 インナーロータ(第1ロータ)
21L 第1電機子
21R 第2電機子
31 ロータボディ
31a スリット
31b スリット
38L 第1誘導磁極
38R 第2誘導磁極
52 永久磁石
52L 第1永久磁石
52R 第2永久磁石
L 軸線
P 所定ピッチ

Claims (3)

  1. 軸線(L)を囲むように配置された環状のステータ(12L,12R)と、軸線(L)まわりに回転可能な第1ロータ(14)と、前記ステータ(12L,12R)および前記第1ロータ(14)間に配置されて軸線(L)まわりに回転可能な第2ロータ(13)とを備えた電動機であって、
    前記ステータ(12L,12R)は、円周方向に配置された複数の第1電機子(21L)で構成され、電力の供給に伴って該複数の第1電機子(21L)に発生する磁極により、円周方向に沿って回転する第1回転磁界を発生させる第1電機子列と、円周方向に配置された複数の第2電機子(21R)で構成され、電力の供給に伴って該複数の第2電機子(21R)に発生する磁極により、円周方向に沿って回転する第2回転磁界を発生させる第2電機子列とを軸線(L)方向に並置して成り、
    前記第1ロータ(14)は、円周方向に所定ピッチ(P)で交互に異なる極性の磁極を有するように複数の第1永久磁石(52L)を配置して構成された第1永久磁石列と、円周方向に所定ピッチ(P)で交互に異なる極性の磁極を有するように複数の第2永久磁石(52R)を配置して構成された第2永久磁石列とを軸線(L)方向に並置して成り、
    前記第2ロータ(13)は、円周方向に前記所定ピッチ(P)で配置された軟磁性体製の複数の第1誘導磁極(38L)で構成された第1誘導磁極列と、円周方向に前記所定ピッチ(P)で配置された軟磁性体製の複数の第2誘導磁極(38R)で構成された第2誘導磁極列とを軸線(L)方向に並置して成り、
    前記第1誘導磁極列の径方向両側にそれぞれ前記第1電機子列および前記第1永久磁石列が対向し、前記第2誘導磁極列の径方向両側にそれぞれ前記第2電機子列および前記第2永久磁石列が対向し、
    前記ステータ(12L,12R)の前記第1回転磁界の極性の位相および前記第2回転磁界の極性の位相を相互に円周方向に前記所定ピッチ(P)だけずらし、前記第2ロータ(13)の前記第1誘導磁極(38L)の位相および第2誘導磁極(38R)の位相を相互に円周方向に前記所定ピッチ(P)の半分だけずらし、前記第1ロータ(14)の第1永久磁石列の磁極の位相および第2永久磁石列の磁極の位相を相互に一致させたことを特徴とする電動機。
  2. 軸線(L)を囲むように配置された環状のステータ(12L,12R)と、軸線(L)まわりに回転可能な第1ロータ(14)と、前記ステータ(12L,12R)および前記第1ロータ(14)間に配置されて軸線(L)まわりに回転可能な第2ロータ(13)とを備えた電動機であって、
    前記ステータ(12L,12R)は、円周方向に配置された複数の第1電機子(21L)で構成され、電力の供給に伴って該複数の第1電機子(21L)に発生する磁極により、円周方向に沿って回転する第1回転磁界を発生させる第1電機子列と、円周方向に配置された複数の第2電機子(21R)で構成され、電力の供給に伴って該複数の第2電機子(21R)に発生する磁極により、円周方向に沿って回転する第2回転磁界を発生させる第2電機子列とを軸線(L)方向に並置して成り、
    前記第1ロータ(14)は、円周方向に所定ピッチ(P)で交互に異なる極性の磁極を有するように複数の永久磁石(52)を配置して構成された永久磁石列を備えて成り、
    前記第2ロータ(13)は、円周方向に前記所定ピッチ(P)で配置された軟磁性体製の複数の第1誘導磁極(38L)で構成された第1誘導磁極列と、円周方向に前記所定ピッチ(P)で配置された軟磁性体製の複数の第2誘導磁極(38R)で構成された第2誘導磁極列とを軸線(L)方向に並置して成り、
    前記第1誘導磁極列の径方向両側にそれぞれ前記第1電機子列および前記永久磁石列が対向し、前記第2誘導磁極列の径方向両側にそれぞれ前記第2電機子列および前記永久磁石列が対向し、
    前記ステータ(12L,12R)の前記第1回転磁界の極性の位相および前記第2回転磁界の極性の位相を相互に円周方向に前記所定ピッチ(P)だけずらし、前記第2ロータ(13)の前記第1誘導磁極(38L)の位相および第2誘導磁極(38R)の位相を相互に円周方向に前記所定ピッチ(P)の半分だけずらしたことを特徴とする電動機。
  3. 前記第2ロータ(13)の円筒状のロータボディ(31)に軸線(L)方向に直線状に延びる複数のスリット(31a,31b)を形成し、前記各スリット(31a,31b)に前記第1、第2誘導磁極(38L,38R)を嵌合したことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の電動機。
JP2007333898A 2007-12-26 2007-12-26 電動機 Active JP4680980B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007333898A JP4680980B2 (ja) 2007-12-26 2007-12-26 電動機

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007333898A JP4680980B2 (ja) 2007-12-26 2007-12-26 電動機

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009159710A true JP2009159710A (ja) 2009-07-16
JP4680980B2 JP4680980B2 (ja) 2011-05-11

Family

ID=40963111

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007333898A Active JP4680980B2 (ja) 2007-12-26 2007-12-26 電動機

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4680980B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103239300A (zh) * 2013-03-29 2013-08-14 西安交通大学 一种具有初期自固定功能的韧带-骨仿生支架及成形方法
CN111082622A (zh) * 2020-01-10 2020-04-28 南京航空航天大学 一种解耦型双转子交替极永磁电机

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08111963A (ja) * 1994-10-11 1996-04-30 Nippondenso Co Ltd 二軸出力型電動機
JP2000050585A (ja) * 1998-07-28 2000-02-18 Denso Corp 車両用駆動装置
JP2007244064A (ja) * 2006-03-07 2007-09-20 Honda Motor Co Ltd 電動機
WO2007123107A1 (ja) * 2006-04-20 2007-11-01 Panasonic Corporation モータ
JP2007325471A (ja) * 2006-06-05 2007-12-13 Honda Motor Co Ltd 電動機の制御装置

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08111963A (ja) * 1994-10-11 1996-04-30 Nippondenso Co Ltd 二軸出力型電動機
JP3427511B2 (ja) * 1994-10-11 2003-07-22 株式会社デンソー 二軸出力型電動機
JP2000050585A (ja) * 1998-07-28 2000-02-18 Denso Corp 車両用駆動装置
JP2007244064A (ja) * 2006-03-07 2007-09-20 Honda Motor Co Ltd 電動機
WO2007123107A1 (ja) * 2006-04-20 2007-11-01 Panasonic Corporation モータ
JP2007325471A (ja) * 2006-06-05 2007-12-13 Honda Motor Co Ltd 電動機の制御装置

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103239300A (zh) * 2013-03-29 2013-08-14 西安交通大学 一种具有初期自固定功能的韧带-骨仿生支架及成形方法
CN111082622A (zh) * 2020-01-10 2020-04-28 南京航空航天大学 一种解耦型双转子交替极永磁电机

Also Published As

Publication number Publication date
JP4680980B2 (ja) 2011-05-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2009081766A1 (ja) 電動機および回転電機用ロータ
JP6503950B2 (ja) ロータ及びブラシレスモータ
KR101121271B1 (ko) 전동기, 로터 구조 및 자기 기계
JP4519928B2 (ja) ハイブリッド励磁型同期機
JP4882211B2 (ja) アキシャルギャップモータの構造
JP6589624B2 (ja) モータ
JP2005151725A (ja) アキシャルギャップ回転電機
JP5610989B2 (ja) 回転電動機
JP2009072009A (ja) 永久磁石回転機
JP2010017032A (ja) 回転電機用ステータおよび電動機
JP2018082600A (ja) ダブルロータ型の回転電機
JP5869306B2 (ja) ロータ及びモータ
JP4859751B2 (ja) 回転電機
JP2013059178A (ja) 磁気ギア
JP4680980B2 (ja) 電動機
JP6201405B2 (ja) 回転電機
JP4801824B2 (ja) 磁気機械
JP4691087B2 (ja) 電動機
JP4767997B2 (ja) 回転電機用ロータおよび電動機
JP2006025486A (ja) 回転電機
JP2008193823A (ja) ロータ構造
JP2009273231A (ja) ハイブリッド励磁モータ
JP4648378B2 (ja) 電動機
JP5324025B2 (ja) 回転電機
JP5340332B2 (ja) 回転電機

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110126

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110203

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4680980

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140210

Year of fee payment: 3