JP2009159694A - 回転電機の固定子コイルの摩擦攪拌封止方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】固定子コイルに摩擦攪拌プロセスを適用しても中空線がつぶれることなく素線間のろう付け表層を封止処理することにある。
【解決手段】回転電機の固定子鉄心の溝内に複数の中実線2及び中空線3からなる素線を束にして挿入される固定子コイルの素線束の端部と冷却媒体給排箱とをろう付け接合した後、その接合部表層を摩擦攪拌ツールにより摩擦攪拌して封止処理するに際して、摩擦攪拌ツールのショルダーを内側ショルダー13と外側ショルダー14の多重構造とし、該摩擦攪拌ツールが中空線3の中空部脇通過時に多重のショルダーが接合部表層の処理部と接触した状態から外周側のショルダーを接合部表層の処理部と非接触として、処理部中心線7からショルダーの摩擦外周までの距離を中実線脇通過時に比べて減少させた状態で摩擦攪拌してろう付接合部表層を封止処理する。
【選択図】図4
【解決手段】回転電機の固定子鉄心の溝内に複数の中実線2及び中空線3からなる素線を束にして挿入される固定子コイルの素線束の端部と冷却媒体給排箱とをろう付け接合した後、その接合部表層を摩擦攪拌ツールにより摩擦攪拌して封止処理するに際して、摩擦攪拌ツールのショルダーを内側ショルダー13と外側ショルダー14の多重構造とし、該摩擦攪拌ツールが中空線3の中空部脇通過時に多重のショルダーが接合部表層の処理部と接触した状態から外周側のショルダーを接合部表層の処理部と非接触として、処理部中心線7からショルダーの摩擦外周までの距離を中実線脇通過時に比べて減少させた状態で摩擦攪拌してろう付接合部表層を封止処理する。
【選択図】図4
Description
本発明は、中実線及び中空線からなる素線を束にして挿入される固定子コイルの素線束の端部と冷却媒体給排箱とをろう付け接合した後、その接合部表層を摩擦攪拌ツールにより摩擦攪拌して封止処理する回転電機の固定子コイルの摩擦攪拌封止方法に関する。
従来、水冷却大型発電機の固定子鉄心の溝内に挿入されるステータコイルを冷却媒体給排箱にろう付けする方法として、ろう付け品質を一定に管理するため、冷却媒体給排箱内に温度センサとファイバースコープを挿入し、温度とろう材の溶融・流出状況を監視し、ろう付温度とろう付部の加圧を制御すると同時に冷却媒体給排箱内の酸素濃度を測定・管理するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
特開平09−028062号公報
しかし、このろう付け方法では、図13(a)に示すように多数の中実線2と中空線3からなる素線束をろう材6aを置いた状態で冷却媒体給排箱1内に挿入すると共に、冷却媒体給排箱1の開放部に蓋5を配置した後、これら素線束と冷却媒体給排箱1及び蓋5とを同時にろう付けするようにしているため、素線束の構成上ろう材の挿入位置が限られ、しかも全てのろう付面間に置きろうできない場合が多い。このため、図13(b)に示すようにろう材6aを設置しにくい素線間にろう材の侵入しにくい部分が発生し易くなり、ろう付部6にボイドなどの欠陥が生じる。
このような欠陥は上述したようにろう付け状態を監視し、その状態により温度や時間等のろう付け条件を制御しても、ろう付け欠陥の発生を防止できない場合が多い。
そこで、本発明者らは、かかるろう付け欠陥を防止するため、素線間の接合方法として、摩擦攪拌接合および摩擦攪拌プロセスを適用するための方法と接合装置を出願した(特願2007−015176)。
しかし、この摩擦攪拌プロセスを本構成に用いる場合、中空線がつぶれ易いという新たな問題がある。これは中空線の中空部内につぶれ防止材を挿入して埋めておけば解決することができるが、その工程が増えるという問題がある。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたもので、中空線の中空部につぶれ防止材を埋めるという特別な工程を経ずに、固定子コイルに摩擦攪拌プロセスを適用しても中空線がつぶれることなく素線間のろう付け表層を封止処理することができる回転電機の固定子コイルの摩擦攪拌封止方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記の目的を達成するため、次のような方法で回転電機の固定子コイルのろう付表層を封止処理するものである。
(1)本発明は、回転電機の固定子鉄心の溝内に複数の中実線及び中空線からなる素線を束にして挿入される固定子コイルの素線束の端部と冷却媒体給排箱とをろう付け接合した後、その接合部表層を摩擦攪拌ツールにより所望の経路で摩擦攪拌して封止処理するに際して、前記摩擦攪拌ツールが前記中空線の中空部脇通過時にろう付け接合部表層の処理部中心線から前記摩擦攪拌ツールのショルダーの中空線側の摩擦外周までの距離を前記中実線脇通過時に比べて減少させた状態で摩擦攪拌してろう付接合部表層を封止処理する。
(2)本発明は、回転電機の固定子鉄心の溝内に複数の中実線及び中空線からなる素線を束にして挿入される固定子コイルの素線束の端部と冷却媒体給排箱とをろう付け接合した後、その接合部表層を摩擦攪拌ツールにより所望の経路で摩擦攪拌して封止処理するに際して、前記摩擦攪拌ツールが前記中空線の中空部脇通過時にろう付け接合部表層の処理部中心線から前記摩擦攪拌ツールの中空線側のピン外周までの距離を前記中実線脇通過時に比べて減少させた状態で摩擦攪拌してろう付接合部表層を封止処理する。
(3)本発明は、回転電機の固定子鉄心の溝内に複数の中実線及び中空線からなる素線を束にして挿入される固定子コイルの素線束の端部と冷却媒体給排箱とをろう付け接合した後、その接合部表層を摩擦攪拌ツールにより所定の経路で摩擦攪拌して封止処理するに際して、前記摩擦攪拌ツールのショルダーを多重構造とし、該摩擦攪拌ツールが前記中空線の中空部脇通過時に前記多重のショルダーがろう付け接合部表層の処理部と接触した状態から外周側のショルダーをろう付け接合部表層の処理部と非接触として、処理部中心線から前記ショルダーの摩擦外周までの距離を前記中実線脇通過時に比べて減少させた状態で摩擦攪拌してろう付接合部表層を封止処理する。
(4)本発明は、回転電機の固定子鉄心の溝内に複数の中実線及び中空線からなる素線を束にして挿入される固定子コイルの素線束の端部と冷却媒体給排箱とをろう付け接合した後、その接合部表層を摩擦攪拌ツールにより所望の経路で摩擦攪拌して封止処理するに際して、摩擦攪拌ツールのピン回転中心をツール回転中心から移動可能な構造とし、該摩擦攪拌ツールが前記中空線の中空部脇通過時に該摩擦攪拌ツール回転中心を中実線側に移動するとともに、この移動量よりもピン回転中心の移動量を小さくした状態で摩擦攪拌してろう付接合部表層を封止処理する。
(5)本発明は、回転電機の固定子鉄心の溝内に複数の中実線及び中空線からなる素線を束にして挿入される固定子コイルの素線束の端部と冷却媒体給排箱とをろう付け接合した後、その接合部表層を摩擦攪拌ツールにより所望の経路で摩擦攪拌して封止処理するに際して、摩擦攪拌ツールのショルダーをツール回転中心から偏心可能な構造とし、該摩擦攪拌ツールのショルダー偏心量を前記中空線の中空部脇通過時に中実線脇通過時の偏心量より小さくした状態で摩擦攪拌によりろう付接合部表層を封止処理する。
(6)本発明は、回転電機の固定子鉄心の溝内に複数の中実線及び中空線からなる素線を束にして挿入される固定子コイルの素線束の端部と冷却媒体給排箱とをろう付け接合した後、その接合部表層を摩擦攪拌ツールにより所望の経路で摩擦攪拌して封止処理するに際して、摩擦攪拌ツールのピンの外径が変化可能な構造とし、該摩擦攪拌ツールのピンの外径を前記中空線の中空部脇通過時に前記中実線脇通過時のピンの外径より大きくした状態で(1)と同様に摩擦攪拌してろう付接合部表層を封止処理する。
本発明によれば、中空線の中空部につぶれ防止材を埋めるという特別な工程を経ずに、固定子コイルに摩擦攪拌プロセスを適用しても中空線がつぶれることなく素線間のろう付け表層を封止処理することができる。
以下、本発明による回転電機の固定子コイルの封止方法の実施形態を図面を参照して説明する。
図1(a),(b)は本発明による回転電機の固定子コイルの封止方法が適用されるろう付け後の中実線と中空線の状態を示す構成図で、(a)は冷却媒体給排箱上部のカバー側から見た図、(b)は(a)図の下側から冷却媒体給排箱の内部を見た断面図である。
図1(a),(b)において、回転電機の固定子コイル、例えば水冷式タービン発電機のステータコイルは、中実線2と中空線3を数列、数段に重ねて束にした構造のもので、これら中実線2と中空線3は、冷却媒体給排箱1内に挿入されると共に、冷却媒体給排箱1の開放部に蓋5を配置した後、冷却媒体給排箱1及び蓋5と一体的にろう付される。
ここで、中実線2と中空線3を総称して素線と呼ぶ。この素線は純銅製で、数ミリメートルの矩形で四隅が円弧状の曲面(R形状)になっている。
中空線3には、冷却水が通る中空部4の孔が開いているため、中空線3の孔内を流れる冷却水が漏れないように、これら素線間のろう付部6を封止する必要があり、また素線間は電気的に接続する必要がある。
本発明では、これらを封止・電気接続したろう付け部の冷却媒体供給箱1内のろう付表層を摩擦攪拌により封止処理するものである。
(第1の実施形態)
図2は、本発明による回転電機の固定子コイルの封止方法の第1の実施形態で使用される摩擦攪拌ツールの概略構成図である。
図2は、本発明による回転電機の固定子コイルの封止方法の第1の実施形態で使用される摩擦攪拌ツールの概略構成図である。
本実施形態で使用される摩擦攪拌ツール11は、図2に示すように支持部材11aに摩擦攪拌ツール本体11bが取付けられ、接合装置本体10にツール上下スライド機構11cを介して上下方向にスライド移動可能に支持されている。摩擦攪拌ツール本体11bは、上下方向にスライド移動可能にして先端部中央に素線間の封止部を摩擦攪拌するピン12を有し、その上部外周には封止部表層を加熱するとともに、摩擦攪拌した封止部の材料を摩擦攪拌部に留めるための内側ショルダー13が上下方向にスライド移動可能に、さらにその外周に同様の外側ショルダー14をそれぞれ同軸的に設けて、ピン12、内側ショルダー13および外側ショルダー14全体が回転可能にしたものである。
ここで、摩擦攪拌ツール本体11b全体の構成について述べる。
摩擦攪拌ツール本体11bは、ピンホルダ15に挿入固定されたピン12と、その外周に内側ショルダーホルダ16に固定された内側ショルダー13と、さらにこの内側ショルダー13の外周に外側ショルダーホルダ17に固定された外側ショルダー14とを備えている。
ピンホルダ15の上部には、ピン11を上下方向に移動させる上下移動機構18が結合されている。この上下移動機構18は、ピン上下駆動用モータ19の出力軸に結合された図示しないねじ軸とこのねじ軸と螺合するボールナットからなり、ピン上下駆動用モータ19の回転によりねじ軸がボールナットとの螺合により上下方向に移動可能になっている。
内側ショルダーホルダ16は、ボールスプライン20を介してピンホルダ15に上下方向に移動可能に結合され、その上部に回転結合機構23を介して結合されたショルダーホルダ上下駆動用モータ21により上下方向に移動可能になっている。
外側ショルダーホルダ17は、ボールスプライン22を介して内側ショルダーホルダ16に結合され、その上部に回転結合機構24を介して結合された回転用モータ25によりピン12と内側ショルダー13及び外側ショルダー14が一体的に回転させることが可能になっている。また、この回転中にピンホルダ15が上下方向に移動させることが可能である。
この場合、ピンホルダ15と内側ショルダーホルダ16との結合部および内側ショルダーホルダ16と外側ショルダーホルダ17との結合部に設けられるボールスプライン20,22は、ころがり案内のスプライン軸受で、軸に設けられた溝をボールがころがることで許容荷重がリニアブッシュより大きく、直線運動を行いながらトルク伝達を行うものである。
また、外側ショルダー14は上下方向に移動しないが、ピン12の突き出し、および内側ショルダー13を突き出すことにより、相対的に外側ショルダー14が上昇したのと同様の操作となる。但し、このときの被接合物に対するピン先端位置は、ピン下降分だけ下降するので、接合装置本体10に上下動可能に支持された摩擦攪拌ツール本体11b全体をピン下降量だけ上昇させれば良い。
したがって、上記のような構成の摩擦攪拌ツール11にあっては、内側ショルダー13および外側ショルダー14のピン側の端面は、通常は図3(a)に示すように同一面上にあるが、この状態から同図(b)に示すようにピン12および内側ショルダー13を突き出す方向にスライド移動させて外側ショルダー14のピン側の端面が上昇したのと同じ位置にしたり、同図(c)に示すように内側ショルダー13を外側ショルダー14のピン側の端面と同じ位置にスライド移動させたりすることが可能である。
次に上述した摩擦攪拌ツールを用いて水冷式タービン発電機のステータコイルを構成する素線間を封止・電気接続したろう付部の冷却媒体供給箱内のろう付表層を摩擦攪拌により封止処理する方法について図4を参照しながら説明する。
図4(a)は中空線脇の素線間を封止処理する場合を示す断面図であり、(b)は中実線脇の素線間を封止処理する場合を示す断面図で、図4(a),(b)の各々の下部は、図1(b)に示すろう付部を拡大したものである。
まず、図4(b)により中実線2間のろう付部を封止処理する場合について説明する。
ろう付部6の中心線7に摩擦攪拌ツール本体11bの中心線を一致させ、内側ショルダー13、外側ショルダー14のピン側の端面を一致させた状態とする。
このような状態で、ピン12、内側ショルダー13および外側ショルダー14を一体的に回転させながらピン12を封止部に挿入し、各ショルダーの下端面で封止部周囲を加熱する。封止部が摩擦攪拌に適した温度に加熱された後、ピン12を紙面に垂直方向に移動させて、ろう付部6を封止して行く。
この場合、ろう付部6のろうの幅はほぼ0mmに近いものから1mm程度である。
したがって、このようなろう幅のろう付部6を封止処理するため、ピン12として直径1mm×長さ1mmでねじ状の加工を施したものを用いた。また、ショルダーには、内側ショルダー13が直径2mm、外側ショルダー14が直径2.5mmのものを用いた。さらに、摩擦攪拌ツール本体11bの材質としては、通常アルミニウム合金や銅材料の摩擦攪拌処理に用いられる工具鋼を使用した。
一方、ピン12が細い(ピン径が小さい)ので、通常の銅を処理する場合の太いピン径のツールを用いた摩擦攪拌条件よりも高速回転を条件としている。摩擦攪拌の条件は、ツール回転数1000〜5000rpm、ツール移動速度300〜2000mm/min程度である。
このように条件に幅があるのは、ピンの太さ、長さ、接合部の銅の硬さなどにより条件が変わるためである。ピンの径が小さくなるとピンの径が大きいものより周速度が小さくなるので、回転速度を大きくする必要があり、ピンの長さが長くなると接合部深さが深くなるので、移動速度は小さくなる。また、銅の硬度が大きくなると移動速度は小さくなる。
次に図4(a)により中空線脇の素線間を封止処理する場合を説明する。
中空線脇のろう付部を封止処理するには、ピン12とショルダーによる加圧により、中空部4側に銅材料が変形し、処理部に空洞などの欠陥が発生し易い。これを避けるためには処理が中空線脇に近付いた時点で、ピン12と内側ショルダー13を下降させるとともに、摩擦攪拌ツール本体11b全体をピン下降量だけ上昇させて外側ショルダー14を見掛け上、上昇させた位置とし、ピン12と内側ショルダー13で封止処理を行う。
この際、ショルダーの摩擦による加熱が減少するが、中空部4の銅材料が少ないため、封止処理を続行することができる。
中空線脇の封止処理が進み、中空線脇の処理が近付いた時点で、内側ショルダー13、外側ショルダー14の端面を中空線3の封止処理面と同一面とし、2個のショルダーで摩擦を行う。
この場合、図示しないが中空線脇を処理する際に、摩擦攪拌ツール本体11bのピン12の中心を図4(a)の中実線2側(左側)にずらして、さらに中空部4への材料の押し出しを防止しても良い。ろう付部6の幅が狭い場合は、ピンの中心を0.5mm程度ずらしても問題ないが、ろう付部6の幅が広く1mmに近い場合は、ピン12の中心をずらすとピン12の右側が中空線3から外れてしまい、封止処理が不良になる場合があるので、ピン位置はずらさずに、上述した多重ショルダーの上下方向の移動のみによる方法の方が良い。
このように第1の実施形態によれば、ろう付部に発生し易いボイドなどの欠陥をろう付部表層で封止することができる。また、通常の摩擦攪拌処理では中空線がつぶれ易いが、本方法では中空線脇の処理時には、中空部側への押し出し力を小さくできるので、中空線のつぶれが防止でき、封止処理部の欠陥発生も抑えることができる。
また、摩擦攪拌ツール本体を交換することなく中実線部と中空線部を連続して処理できるので、処理時間が短縮できると共に、ツールを交換して処理した場合に発生する処理始端・終端の穴の発生も防止できる。
なお、上記第1の実施形態では、ピン12、内側ショルダー13および外側ショルダー14の3層構造の摩擦攪拌ツール本体を使用したが、2層構造又は4層構造以上の多層構造ショルダーの摩擦攪拌ツール本体を使用する場合においても前述同様にろう付部表層部の封止処理を行うことができる。
(第2の実施形態)
図5は、本発明による回転電機の固定子コイルの封止方法の第2の実施形態で使用される摩擦攪拌ツールの概略構成図である。
図5は、本発明による回転電機の固定子コイルの封止方法の第2の実施形態で使用される摩擦攪拌ツールの概略構成図である。
本実施形態で使用される摩擦攪拌ツール31は、図5に示すように支持フレーム31aに摩擦攪拌ツール本体31bとその駆動部を備えたピン機構部42が取付けられ、接合装置本体30にツール上下スライド機構31cを介して上下方向にスライド移動可能に支持されている。
摩擦攪拌ツール本体31bは、上下方向および左右方向にスライド移動可能にして先端部中央に素線間の封止部を摩擦攪拌するピン32を有し、その上部外周にはピン32を遊挿し得る孔が設けられ、封止部表層を加熱するとともに、摩擦攪拌した封止部の材料を摩擦攪拌部に留めるためのショルダー33を回転可能にしたものである。
ここで、摩擦攪拌ツール本体31bとその駆動部の概略構成について述べる。
摩擦攪拌ツール本体31bは、ピンホルダ34に挿入固定されたピン32と、その外周にピンホルダ34を遊挿し得る孔を有するショルダーホルダ35に固定されたショルダー33を備えている。
ピンホルダ34の上部には、ピン32を上下方向に移動させるピン上下移動機構36が結合されている。このピン上下移動機構36は、ピン上下駆動用モータ37の出力軸に結合された図示しないねじ軸とこのねじ軸と螺合するボールナットからなり、ピン上下駆動用モータ37の回転によりねじ軸がボールナットとの螺合により上下方向に移動可能になっている。
また、ピンホルダ34の長手方向の中途にはボールスプライン38を介してピンホルダガイド39が設けられ、このピンホルダガイド39に回転結合機構40を介してピン回転用モータ41により回転可能に結合されている。
これらピンホルダ34、ピン上下移動機構36、ピン上下駆動用モータ37、ボールスプライン38、ピンホルダガイド39、回転結合機構40及びピン回転用モータ41は、ピン機構部42を構成している。
一方、ピンホルダガイド39の下部位置に対応させてスライド43が水平に配置され、スライド用モータ44によりピン機構部42を図示左右に移動可能になっている。したがって、このピン機構部42がスライド43上をスライド用モータ44で図示左右に移動することで、ピンホルダ34がショルダーホルダ34との間に存する隙間を図示左右に移動し、ピン32の回転中心の移動が可能である。
また、ショルダーホルダ35には、ピン回転用モータ41と同期して運転される回転用モータ45が回転結合機構46を介して結合され、ショルダー33が回転可能になっている。
本実施形態では、第1の実施形態と同様に中空部側への押し出し力を抑えることを目的としているが、摩擦攪拌ツールとして移動可能ピン32を持つ摩擦攪拌ツールを用いて水冷式タービン発電機のステータコイルの端部を封止・電気接続したろう付け部の冷却媒体供給箱1内のろう付表層を摩擦攪拌により封止処理することを特徴としている。
ここで、偏心ピンを用いた摩擦攪拌ツールは、例えば特開2002−144053にも開示されているように公知のものであり、偏心ピンを回転させると元のピンの直径より大きい部分を摩擦攪拌することができる。
公知例での偏心ピンは、ピンをツール回転中心から偏心させるがピンの回転中心はツールおよびショルダーの回転中心と同一であり、ピンが回転中心から偏心して回転するためピンの回転領域がピンの直径より増加するもので、その目的は、この効果を利用した摩擦攪拌領域の拡大である。これに対し本実施形態では、ピンをツール回転中心から移動させるとともにピン回転中心もピン中心に一致させて移動させるものである。このためツールおよびショルダーの回転中心とは別の移動した位置でピンは回転し、ピン回転領域は増加せずピンの断面積と同一のままである。また移動ピンの回転中心の移動量を変化可能にしている。このように、摩擦攪拌領域の拡大を目的とはしておらず、公知例のものとは異なっている。
したがって、上記のような構成の摩擦攪拌ツール31bにあっては、通常は図6(a)に示すようにピン32の中心線47がショルダー33の孔中心線48に一致した移動量0の位置で、ピン32をショルダー33の端面に接触させた状態で一体的に回転させるが、この状態からピン32の回転中心を移動させるときは、同図(b)に示すようにピン32を僅かに下降させ、ピン32とショルダー33との摩擦を少なくして水平方向に移動させ、さらにピン32の回転中心を移動させた後は直ぐにピンホルダ34を上昇させて同図(c)に示すようにピン32をショルダー33の端面に近接させることで、ピン32の回転中心を移動させた状態でショルダー33と異なる回転中心で回転させることが可能である。
次に上述した摩擦攪拌ツール31を用いて水冷式タービン発電機のステータコイルを構成する素線間を封止・電気接続したろう付部の冷却媒体供給箱内のろう付表層を摩擦攪拌により封止処理する方法について図7を参照しながら説明する。
摩擦攪拌ツール本体31bの移動可能ピン32には、直径0.7mm×1mmのものを用いた。また、ショルダー33の直径は2.5mmとした。
中実線部分を処理する場合は、図7(b)に示すようにろう付部中心線47とツール中心線48とを一致させる。
これに対して、中空線脇のろう付部6を処理する場合は、図7(a)に示すように中空部4側へのつぶれを防止するため、ツール中心線48をろう付部の中心線47より中実線2側に移動させる。この場合、ろう付部6の幅が0.4mmであるとすると、ツールの移動量が0.15mm以上になるとピンがろう付部と中空線境界から外れてしまう。
しかし、ピン32を中空線3側に移動させることでろう付部からのこのピンの外れを防止できる。
いま、ツールの移動量が0.2mmとすると、ピン32の右端はろう層の右端から0.05mm左側に外れているので、ピン32の中空線3側への移動量を0.2mmとすればピン32の右端を中空線3側に0.15mm入り込ませることができる。実際にはピンの長さ、ろう付部6の幅などに応じて、つぶれを防止するための移動量を決め、それに応じてピン32の移動量を設計すればよい。
このように第2の実施形態によれば、摩擦攪拌ツール本体31bのピン32をツール中心線から移動可能としたので、ツールを中空線側から避けるために移動させても、ツールが処理部のろう付部から外れることを防止できる。また、中空線以外の処理部では移動量を0とすることで、処理幅を小さく抑えることができる。
(第3の実施形態)
本実施形態で使用される摩擦攪拌ツールは、第2の実施形態とほぼ同様の構成であるが、ここで図5と異なる部分の構成について図8を用いて述べると次の通りである。
本実施形態で使用される摩擦攪拌ツールは、第2の実施形態とほぼ同様の構成であるが、ここで図5と異なる部分の構成について図8を用いて述べると次の通りである。
第2の実施形態では、ピン機構部42全体をスライド用モータ44によりスライド43上を水平移動させてピン32を移動させるようにしたが、第3の実施形態では、ショルダー33、ショルダーホルダ35、ショルダーホルダ用ベアリング35b、ショルダー偏心回転用ベアリング35cから構成されるショルダー機構部側にスライド43及びスライド用モータ44を設け、ショルダー機構部全体をスライド用モータ44によりスライド上を水平方向に移動可能な構成とすることで、摩擦攪拌ツール本体の中心線に対してショルダー33の中心線を平行移動させて偏心させるようにした摩擦攪拌ツールを用いるものである。
図9(a)に示すように、ショルダー33を偏心させていない場合は、ショルダーホルダ用ベアリング35b部分が回転し、ショルダー33はピン32と同一の回転中心で回転する。図9(b)のようにショルダー33を偏心させ、ショルダー偏心回転用ベアリング35cの中心をピン32の中心と一致させた場合は、ショルダー33はショルダー偏心回転用ベアリング35cの回転によって偏心回転するため、その軌跡はショルダー33の断面より大きくなる。ショルダー機構部には回転機構がないが、ピン32とショルダー33の接触部は摩擦の大きいクラッチ機能を有しており、(a)(b)どちらの場合もピン32の回転力によりショルダー33も回転できるようになっている。
したがって、上記のような構成の摩擦攪拌ツールにあっては、通常は図10(a)に示すようにピン32の中心線47がショルダー33の孔中心線48に一致した偏心量0の位置で、ピン32をショルダー33の端面に接触させた状態で一体的に回転させるが、この状態からショルダー33を偏心させるときは、同図(b)に示すようにピン32を僅かに下降させた状態で、ショルダー33をピン32の中心線47に対してショルダー33の孔中心線48を偏心させた位置に水平方向に移動させ、さらにショルダー33を偏心移動させた後は直ぐにピンホルダ34を上昇させて同図(c)に示すようにピン32をショルダー33の端面に接触させることで、ショルダー33を偏心させた状態で一体的に回転させることが可能である。この偏心させた状態で摩擦攪拌ツール本体を回転させた場合、ショルダー33の可動範囲が図示点線で示す範囲まで広げることができる。
次に上述した摩擦攪拌ツール31を用いて水冷式タービン発電機のステータコイルを構成する素線間を封止・電気接続したろう付部の冷却媒体供給箱内のろう付表層を摩擦攪拌により封止処理する方法について図11を参照しながら説明する。
図11(a)は上記摩擦攪拌ツールを用いて中空線脇の素線間を封止処理する場合を示す断面図であり、(b)は中実線脇の素線間を封止処理する場合を示す断面図で、図11(a),(b)の各々の下部は、図1(b)に示すろう付部を拡大したものである。
図11(a)は、中空線脇のろう付部の処理であるが、この場合でも中空部4側に中空線3が押し出されないように、ピン32の直径を0.6mm、ショルダー33の直径を2mmと第1及び第2の実施形態よりも小さくしている。このため、図11(a)に示すように中空線3脇を処理しても中空部4へのつぶれが小さい。
これに対して図11(b)に示すように中実線2部分のろう付部を処理する場合は、摩擦発熱を大きくするためにショルダーの摩擦面積を大きくした方が良い。このため、ショルダー33を水平方向に移動させてショルダー33の孔中心線48をツール中心線47から偏心させて図示点線で示す位置まで摩擦範囲を広げる。
このように第3の実施形態によれば、中空線のろう付部を処理するのに適したより小型のツールを用いているので、中空部をつぶし難くなる。また、より摩擦発熱が必要な中実線部分の処理時にはショルダーを偏心させて摩擦面積を広げることができるので、中空部に合せた小型のツールであるにも拘わらず中実線部分も十分に摩擦して封止処理することができる。このため、ツールを交換することなくつぶれ易い中空線部分と中実線部分を封止処理することができる。
(第4の実施形態)
図12は、本発明による回転電機の固定子コイルの封止方法の第4の実施形態で使用される摩擦攪拌ツールの概略構成図である。
図12は、本発明による回転電機の固定子コイルの封止方法の第4の実施形態で使用される摩擦攪拌ツールの概略構成図である。
本実施形態で使用される摩擦攪拌ツール51は、図12に示すように支持部材51aにピンの直径が変化可能な摩擦攪拌ツール本体51bが取付けられ、接合装置本体50にツール上下スライド機構51cを介して上下方向にスライド移動可能に支持されている。
この摩擦攪拌ツール本体51bは、先端部中央に素線間の封止部を摩擦攪拌するピン52、このピン52の外周には封止部表層を加熱したり、封止部を摩擦攪拌したりするための上下可動ピン53が上下方向にスライド移動可能に、さらにその外周にショルダー54をそれぞれ同軸的に設けて、ピン52、上下可動ピン53およびショルダー54全体を回転可能にしたものである。
ここで、摩擦攪拌ツール本体51b全体の構成について述べる。
摩擦攪拌ツール本体51bは、ピンホルダ55に挿入固定されたピン52と、その外周に可動ピンホルダ56に固定された上下可動ピン53と、さらにこの上下可動ピン53の外周にショルダーホルダ57に固定されたショルダー54とを備えている。
ピンホルダ55の上部には、ピン52を上下方向に移動させる上下移動機構58が結合されている。この上下移動機構58は、ピン上下駆動用モータ59の回転によりねじ軸がボールナットとの螺合により上下方向に移動可能になっている。
可動ピンホルダ56は、ボールスプライン60を介してピンホルダ55に上下方向に移動可能に結合され、その上部に回転結合機構63を介して結合されたピンホルダ上下駆動用モータ64により上下方向に移動可能になっている。
ショルダーホルダ57は、ボールスプライン65を介して上下ピンホルダ56に結合され、その上部に回転結合機構66を介して結合された回転用モータ67によりピン52と上下可動ピン53及びショルダー54が一体的に回転可能になっている。また、この回転中にピンホルダ55及び可動ピンホルダ56が上下方向に移動させることが可能である。
この場合、ショルダー54は上下方向に移動しないが、ピン52の突き出し、および上下可動ピン53を突き出すことにより、相対的にショルダー54が上昇したのと同様の操作となる。但し、このときの被接合物に対するピン先端位置は、ピン下降分だけ下降するので、接合装置本体50に上下動可能に支持された摩擦攪拌ツール本体51b全体をピン下降量だけ上昇させれば良い。
したがって、上記のような構成の摩擦攪拌ツール51にあっては、図13(a)に示すように上下可動ピン53をショルダー54のピン側の端面と同一面上に上昇させることで、ピン径はピン52の径であるのに対し、同図(b)に示すように上下可動ピン53をピン52の先端と同一面上に下降させることでピン径はピン52を軸とする上下可動ピン53の径となり、ピンの直径を変化させることが可能である。
次に上述した摩擦攪拌ツール51を用いて水冷式タービン発電機のステータコイルを構成する素線間を封止・電気接続したろう付部の冷却媒体供給箱内のろう付表層を摩擦攪拌により封止処理する方法について図14を参照しながら説明する。
図14(a)は、上記摩擦攪拌ツールを用いて中空線脇の素線間を封止処理する場合を示す断面図であり、(b)は中実線脇の素線間を封止処理する場合を示す断面図で、図14(a),(b)の各々の下部は、図1(b)に示すろう付部を拡大したものである。
図14(b)に示すように中実線2部分のろう付部を処理する場合は、ピンの回転抵抗を小さくして処理に負担が掛からないように上下可動ピン53を上昇させてショルダーとして機能させ、ピン52のみとしてピン直径を小さくしておく。
この状態で中実線脇の素線間を封止処理すれば、上下可動ピン53及びショルダー54により摩擦面積が大きくなるので、封止処理に必要な摩擦発熱量が多くなり、ピン52のみで十分な摩擦攪拌により封止処理を行うことができる。
一方、上記のように上下可動ピン53を上昇させた状態で、ピン52により中空線3部分を封止処理すると、ショルダーの加圧で中空線3がつぶれ易いことから、図13(a)に示すようにツールの中心線68をろう付部の中心線69より中実線2側に移動させる。これにより、ショルダー54の摩擦部分は中空線3よりも中実線2側に移るので、中空線3のつぶれは少なくなる。
しかし、この状態では第2の実施形態と同様にピン52の処理領域は中空線3とろう付部6との境界からろう付部6から外れ易くなる。そこで、上下可動ピン53を下降させ、ピン52の先端と同一面として、ピンの直径を増加させる。
このようにすれば、図14(a)に示すように上下可動ピン53は中空線3の外周部に掛かった状態になり、素線間の封止処理を良好に行うことができる。
このような第4の実施形態においても、前述した第1乃至第3の実施形態と同様の効果を得ることができる。
(第5の実施形態)
ろう付部には、図1に示すようにろう層の幅が大きい部分と小さい部分が混在している。また、図1(b)では、横方向の線間は隙間がないように見えるが、実際は僅かな隙間にろう材が浸入しており、この幅にもばらつきがある。また、中実線2と中空線3は共に四隅が円弧状の曲面となっているため、この部分はろう材の占める領域が大きい。
ろう付部には、図1に示すようにろう層の幅が大きい部分と小さい部分が混在している。また、図1(b)では、横方向の線間は隙間がないように見えるが、実際は僅かな隙間にろう材が浸入しており、この幅にもばらつきがある。また、中実線2と中空線3は共に四隅が円弧状の曲面となっているため、この部分はろう材の占める領域が大きい。
そこで、第5の実施形態では、図8に示すような摩擦攪拌ツールと同様でピン機構側が偏心するツールを用いて、ろう層幅が広い部分ではピン摩擦攪拌領域を大きくしたり、図12及び図13に示すような摩擦攪拌ツールを用いて、ピン直径を大きくして、ろう層の幅よりピンの処理幅を広くする。中実線部分の場合は、さらに摩擦発熱量を大きくするためにショルダー偏心量も大きくする。
このようにピン偏心、あるいはピン直径の変化、ショルダー偏心が可能な摩擦攪拌ツールを用いることで、種々のろう付幅が混在し、中空部も混在するろう付部表面の封止処理をツール交換なしで実施することができ、また、中空部のつぶれも防止できる。
1…冷却媒体給排箱、2…中実線、3…中空線、4…中空部、5…蓋、6a…ろう材、6…ろう付部、10,30…接合装置本体、11,31…摩擦攪拌ツール、11a…支持部材、11b,31b…摩擦攪拌ツール本体、11c,31c…上下スライド機構、12,32…ピン、13…内側ショルダー、14…外側ショルダー、15,34…ピンホルダ、16…内側ショルダーホルダ、17…外側ショルダーホルダ、18…上下移動機構、19,37…ピン上下駆動用モータ、20,22,38…ボールスプライン、21…ショルダーホルダ上下駆動用モータ、23,24,40…回転結合機構、25…回転用モータ、33…ショルダー、35…ショルダーホルダ、35b…ショルダーホルダ用ベアリング、35c…ショルダー偏心回転用ベアリング、36…ピン上下移動機構、37…ピン上下駆動用モータ、39…ピンホルダガイド、41…ピン回転用モータ、42…ピン機構部、43…スライド、44…スライド用モータ、51…摩擦攪拌ツール、51b…摩擦攪拌ツール本体、52…ピン、53…上下可動ピン、54…ショルダー、55…ピンホルダ、56…可動ピンホルダ、57…ショルダーホルダ、58…上下移動機構、59…ピン上下駆動用モータ、60,65…ボールスプライン、63…回転結合機構、64…ピンホルダ上下駆動用モータ、66…回転結合機構、67…回転用モータ
Claims (10)
- 回転電機の固定子鉄心の溝内に複数の中実線及び中空線からなる素線を束にして挿入される固定子コイルの素線束の端部と冷却媒体給排箱とをろう付け接合した後、その接合部表層を摩擦攪拌ツールにより所望の経路で摩擦攪拌して封止処理するに際して、
前記摩擦攪拌ツールが前記中空線の中空部脇通過時にろう付け接合部表層の処理部中心線から前記摩擦攪拌ツールのショルダーによる中空線側の摩擦外周までの距離を中実線脇通過時に比べて減少させた状態で摩擦攪拌してろう付接合部表層を封止処理することを特徴とする回転電機の固定子コイルの摩擦攪拌封止方法。 - 回転電機の固定子鉄心の溝内に複数の中実線及び中空線からなる素線を束にして挿入される固定子コイルの素線束の端部と冷却媒体給排箱とをろう付け接合した後、その接合部表層を摩擦攪拌ツールにより所望の経路で摩擦攪拌して封止処理するに際して、
前記摩擦攪拌ツールが前記中空線の中空部脇通過時にろう付け接合部表層の処理部中心線から前記摩擦攪拌ツールの中空線側のピン外周までの距離を前記中実線脇通過時に比べて減少させた状態で摩擦攪拌してろう付接合部表層を封止処理することを特徴とする回転電機の固定子コイルの摩擦攪拌封止方法。 - 回転電機の固定子鉄心の溝内に複数の中実線及び中空線からなる素線を束にして挿入される固定子コイルの素線束の端部と冷却媒体給排箱とをろう付け接合した後、その接合部表層を摩擦攪拌ツールにより所望の経路で摩擦攪拌して封止処理するに際して、
前記摩擦攪拌ツールのショルダーを多重構造とし、
該摩擦攪拌ツールが前記中空線の中空部脇通過時に前記多重のショルダーがろう付け接合部表層の処理部と接触した状態から外周側のショルダーをろう付け接合部表層の処理部と非接触として、処理部中心線から前記ショルダーの摩擦外周までの距離を前記中実線脇通過時に比べて減少させた状態で摩擦攪拌してろう付接合部表層を封止処理することを特徴とする回転電機の固定子コイルの摩擦攪拌封止方法。 - 請求項3記載の回転電機の固定子コイルの摩擦攪拌封止方法において、
ろう付け接合部表層の処理部の幅に応じて前記摩擦攪拌ツールの多重構造のショルダーとろう付け接合部表層の処理部との接触面積を変化させることを特徴とする回転電機の固定子コイルの摩擦攪拌封止方法。 - 回転電機の固定子鉄心の溝内に複数の中実線及び中空線からなる素線を束にして挿入される固定子コイルの素線束の端部と冷却媒体給排箱とをろう付け接合した後、その接合部表層を摩擦攪拌ツールにより所望の経路で摩擦攪拌して封止処理するに際して、
摩擦攪拌ツールのピン回転中心をツール回転中心から移動可能な構造とし、
該摩擦攪拌ツールが前記中空線の中空部脇通過時に該摩擦攪拌ツール回転中心を中実線側に移動するとともに、この移動量よりもピン回転中心の移動量を小さくした状態で摩擦攪拌してろう付接合部表層を封止処理することを特徴とする回転電機の固定子コイルの摩擦攪拌封止方法。 - 請求項5記載の回転電機の固定子コイルの摩擦攪拌封止方法において、
ろう付け接合部表層の処理部ろう層の幅に応じて前記摩擦攪拌ツールのピン回転中心の移動量を変化させることを特徴とする回転電機の固定子コイルの摩擦攪拌封止方法。 - 回転電機の固定子鉄心の溝内に複数の中実線及び中空線からなる素線を束にして挿入される固定子コイルの素線束の端部と冷却媒体給排箱とをろう付け接合した後、その接合部表層を摩擦攪拌ツールにより所望の経路で摩擦攪拌して封止処理するに際して、
摩擦攪拌ツールのショルダーをツール回転中心から偏心可能な構造とし、
該摩擦攪拌ツールのショルダー偏心量を前記中空線の中空部脇通過時に中実線脇通過時の偏心量より小さくした状態で摩擦攪拌してろう付接合部表層を封止処理することを特徴とする回転電機の固定子コイルの摩擦攪拌封止方法。 - 請求項7記載の回転電機の固定子コイルの摩擦攪拌封止方法において、
ろう付け接合部表層の処理部ろう層の幅に応じて前記摩擦攪拌ツールのショルダーのツール回転中心からの偏心量を変化させることを特徴とする回転電機の固定子コイルの摩擦攪拌封止方法。 - 回転電機の固定子鉄心の溝内に複数の中実線及び中空線からなる素線を束にして挿入される固定子コイルの素線束の端部と冷却媒体給排箱とをろう付け接合した後、その接合部表層を摩擦攪拌ツールにより所望の経路で摩擦攪拌して封止処理するに際して、
摩擦攪拌ツールのピンの外径が変化可能な構造とし、
該摩擦攪拌ツールのピンの外径を前記中空線の中空部脇通過時に前記中実線脇通過時のピンの外径より大きくした状態で摩擦攪拌してろう付接合部表層を封止処理することを特徴とする請求項1記載の回転電機の固定子コイルの摩擦攪拌封止方法。 - 請求項1乃至請求項9のいずれかの摩擦攪拌封止方法により封止処理されたことを特徴とする回転電機の固定子コイル。
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JP2007333298A JP2009159694A (ja) | 2007-12-25 | 2007-12-25 | 回転電機の固定子コイルの摩擦攪拌封止方法 |
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JP5250123B1 (ja) * | 2012-02-17 | 2013-07-31 | 株式会社日立製作所 | 可変速発電電動機用回転子コイルの製造方法 |
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