JP2009155484A - ジエン系ゴム組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】空気入りタイヤのビードコア部の一部を形成するビードインシュレーションゴム、ビードコアカバーゴム等の加硫成形材料として好適に使用し得るジエン系ゴム組成物を提供する。
【解決手段】ジエン系ゴム100重量部に対し、瀝青炭粉砕物5〜38重量部を含め、瀝青炭粉砕物、カーボンブラックおよびこれら以外の充填剤を合計140〜180重量部の配合量で配合したジエン系ゴム組成物。このジエン系ゴム組成物は、添加する充填剤の一定量を瀝青炭粉砕物に置き換え、瀝青炭粉砕物、カーボンブラックおよびこれら以外の充填剤の合計配合量を一定量とすることにより、加工性を左右する未加硫ゴム組成物粘度の低下を達成せしめると共に、硬度および引張破断伸びを改善させる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ジエン系ゴム組成物に関する。さらに詳しくは、空気入りタイヤビードコア部のビードインシュレーションゴムおよび/またはビードコアカバーゴムの加硫成形材料などとして好適に用いられるジエン系ゴム組成物に関する。
空気入りタイヤにおけるビード部は、カーカスコードの両端を支持し、タイヤをリムに固定する作用を有しており、そのビードコア部は、高炭素鋼を束ねた例えば断面四角形または六角形構造等のビードワイヤ群、ビードワイヤ群の間に配置されるインシュレーションゴム(ビードコア周りゴム)およびこれらの外側を覆い、カーカスプライとの間に配置されるビードコアカバーゴムから構成されている。
ビードインシュレーションゴムの機能を果たすための要求特性としては、
・大きくヤング率が異なるビードワイヤを束ね、一体化するために高硬度でなければならない
・高硬度であると共に、大変形時のビードコアセパレーション防止のために高破断伸びでなければならない
・様々な加硫条件下において、ビードワイヤへの接着性が確保されなければならない
などが求められており、このためカーボンブラックと他の充填剤および硫黄の多量配合が多く用いられている。
その一方で、ビードワイヤを束ね、固定するためのインシュレーションゴムによるインシュレーション作業においては、
・上記特殊配合に伴う高粘度化による、押出不可、スコーチ発生などのインシュレーション作業を不可能とする現象が発生する
・逆に、低粘度すぎるとビードワイヤへのゴムの付着性が悪化する
などが問題となるため、適正な未加硫ゴム粘度に対する要求も大きい。
また、ビードコアカバーゴムについては、ゴム硬度が高いこと、ムーニービスが低く加工性のよいことなどが要求される。
特許文献1には、(エポキシ化)天然ゴム100重量部に瀝青炭を2〜20重量部配合したゴム組成物を用いたタイヤが記載されており、このゴム組成物をタイヤ部材の中でも特にトレッド、サイドウォール、クリンチェイペックス、インナーライナーに用いられ、紫外線に曝される程度が多いことから、特にトレッド、サイドウォール、クリンチェイペックスに用いられると述べられているが、それらとは要求性能が異なるビードコア部のビードインシュレーションゴムやビードコアカバーゴムについての言及は当然のことながら全くみられない。
特開2007−177005号公報
瀝青炭をジエン系ゴムに配合したジエン系ゴム組成物については、特許文献2に内層および外層を含む2層以上からなるサイドウォール部を有するタイヤであって、前記内層がゴム成分100重量部に対し5〜80重量部配合された瀝青炭および/または白色フィラーを含有する空気入りラジカルタイヤが記載されている。そして、このような特定の充填剤を特定量配合することによって、内層に対して補強効果が付与され、耐摩耗性およぶ耐亀裂成長性も改善されると述べられている。
特開2007−153060号公報
白色フィラーの一例としてシリカが挙げられており、シリカを用いる場合にはシラン系カップリング剤、好ましくは含イオンシラン系カップリング剤を併用することが好ましいとされているが、白色フィラーの内好ましいものは低コストである点で炭酸カルシウム、クレー等であるとされ、各実施例の白色フィラーとしてもこれらのものが用いられている。
また、白色フィラーには、例えばカーボンブラックの如くカーボンを主成分とし、黒色を呈するフィラー以外のものが含まれると記載され、さらに白色フィラーの他にカーボンブラック等の他のフィラーを配合してもよく、カーボンブラックとしては窒素吸着比表面積(BET法)が70〜300m2/g、DBP吸油量が5〜300ml/100g、ヨウ素吸着量が140〜152mg/gの範囲内のものがサイドウォール部の内層に対する補強効果の点で好適であるとされてはいるが、実際に各実施例ではN550(FEF;ヨウ素吸着量43mg/g)またはN330(HAF;同82mg/g)が用いられている。ただし、そのカーボンブラック使用量の範囲についての言及はなく、各実施例を参照すれば、瀝青炭30phrに対してN550 CBが50phrの合計80phrであり(実施例1〜3)、あるいは炭酸カルシウム30、60または70phrに対してN330 CBが50phrの合計80、110または120phrである(実施例4〜9)。
また、この特許文献2では、内層および外層を含む少くとも2層以上からなるサイドウォール部の内層形成成分に向けられおり、添付された図面にはビード部のビードコアが図示されてはいるが、耐水分透過性や耐亀裂成長性を改善目標としている当該発明が、ビードコア形成成分として何らの考慮もされていないことは明らかである。
本発明の目的は、空気入りタイヤのビードコア部の一部を形成するビードインシュレーションゴム、ビードコアカバーゴム等の加硫成形材料として好適に使用し得るジエン系ゴム組成物を提供することにある。
かかる本発明の目的は、ジエン系ゴム100重量部に対し、瀝青炭粉砕物5〜38重量部を含め、瀝青炭粉砕物、カーボンブラックおよびこれら以外の充填剤を合計140〜180重量部の配合量で配合したジエン系ゴム組成物によって達成される。
本発明に係るジエン系ゴム組成物は、添加する充填剤の一定量を瀝青炭粉砕物に置き換え、瀝青炭粉砕物、カーボンブラックおよびこれら以外の充填剤の合計配合量を一定量とすることにより、加工性を左右する未加硫ゴム組成物粘度の低下を達成せしめると共に、硬度および引張破断伸びを改善させる。
さらに、ビードワイヤASTMゴム付着率については、硫黄加硫においてややアンダーキュア条件である160℃、20分間(これは、一般的加硫条件である150℃、60分間より短時間加硫である150℃、40分間に相当する)での改善効果が大きく、また適正加硫条件である160℃、40分間でも高いゴム付着率を示している。その上、室内ビード耐久試験でのタイヤ試験においても、耐久性向上効果が発揮される。このように、加硫成形品の各種物性の高次バランス化を可能とさせる。
ジエン系ゴムとしては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、ニトリルゴム(NBR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)等が単独であるいはブレンドゴムとして用いられ、好ましくはNR、BR、SBRまたはこれらのブレンドゴムが用いられる。SBRとしては、乳化重合SBR(E-SBR)、溶液重合SBR(S-SBR)のいずれをも用いることができる。
粘結炭または非粘結炭である瀝青炭粉砕物は、石炭の一種で高品位炭と呼ばれる瀝青炭(JIS M1002の石炭分類でB1、B2、C)を含む石炭一般を、平均粒径(ASTM D1511準拠;average 測定機Microtrac SRA 150を用いて測定)約0.01〜100μm、好ましくは約0.05〜50μmに粉砕したものであり、その比重を1.6以下、好ましくは1.35以下のものが用いられる。平均粒径をこの範囲に設定することにより、空気入りタイヤの転がり抵抗を十分に低減することができ、また比重を小さくすることにより、空気入りタイヤを装着した車体の燃費を十分に低減することができる。
瀝青炭粉砕物は、ジエン系ゴム100重量部当り5〜38重量部、好ましくは5〜35重量部の割合で用いられる。瀝青炭粉砕物の配合割合がこれよりも少ないと、硬度および破断伸びの点では若干改善されるものの、ワイヤASTMゴム付着率の点では改善がみられず、一方これよりも多い割合で用いられると、粘度および破断伸びの点で満足されなくなる。このように、一般的にゴムの補強剤として用いられているカーボンブラックを、瀝青炭粉砕物で置換して行くと、ムーニー粘度上昇は小さい割に、引張破断伸び、ワイヤASTMゴム付着率および室内ビード耐久試験で示されるタイヤ試験の結果を改善させる。
カーボンブラックとしては、好ましくはSAF、ISAF、HAF、FEF、GPE、SRF等のファーネスカーボンブラックが用いられる。これらのカーボンブラックは、ジエン系ゴム100重量部当り瀝青炭粉砕物およびこれら以外の充填剤との合計配合量が140〜180重量部となるような割合で用いられる。これら充填剤の合計配合量がこれ以上の割合で用いられると、ムーニー粘度が上昇し、破断伸びが低下するようになる。すなわち、前記特許文献2で用いられているような充填剤の合計配合量では、本発明の目的が達成されないことになる。
瀝青炭粉砕物およびカーボンブラック以外の充填剤としては、好ましくは白色充填剤、例えばクレー、タルク、炭酸カルシウム、シリカ、カオリン、マイカ、珪酸カルシウム、長石、シリカ-アルミナ含水複合体等が用いられる。これら以外には、グラファイト等も用いられる。
以上の各成分を必須成分とするジエン系ゴム組成物中には、ゴムの配合剤として一般的に用いられている配合剤、例えばジエン系ゴムの種類に応じて硫黄等の加硫剤、チアゾール系、スルフェンアミド系、グアニジン系、チウラム系等の加硫促進剤、ステアリン酸、パラフィンワックス、アロマオイル等の加工助剤、酸化亜鉛、老化防止剤、可塑剤などが必要に応じて適宜配合されて用いられる。
組成物の調製は、ニーダ、バンバリーミキサ等の混練機およびオープンロール等を用いる一般的な方法で混練することによって行われ、得られた組成物は、用いられたジエン系ゴム、加硫剤、加硫促進剤の種類およびその配合割合に応じた加硫温度で加硫され、空気入りタイヤビードコア部のビードインシュレーションゴム、さらにはビードコアカバーゴムを形成する。
次に、実施例について本発明を説明する。
Figure 2009155484
以上の各成分の内、加硫促進剤と硫黄を除く各成分をBB-2型ミキサで、温度調整60℃、回転数30rpm、放出温度150℃の条件下で混練した後、そこに加硫促進剤および硫黄を加え、オープンロールで左右各10回の切り返しを行い、ジエン系ゴム組成物を得た。
得られたジエン系ゴム組成物を用い、次の各項目の測定を行った。
ムーニービス:JIS K6300準拠;100℃で小ロータを用いて測定
ムーニー粘度が36〜50の範囲であることが好ましく、36未満では低粘 度すぎて、インシュレーション作業でビードワイヤへのゴムの付着性 が悪化し、一方50を超えるとビードワイヤへのインシュレーション作 業を不可能とする
デュロA硬度:JIS K6253準拠(加硫条件:160℃、40分間);室温におけるデュロメー ター(タイプA)の硬度を測定
ビードワイヤを束ねるゴムとしての機能上高硬度が望ましく、85以上 が要求される
引張破断伸び:JIS K6251準拠(加硫条件:160℃、40分間);室温における破断伸びを 測定し、標準例を100とする指数で示した
この指数が大きい程破断伸びが大で良好とされる
ワイヤASTMゴム付着率:ASTM D2229準拠;錫鍍金処理ビードワイヤ(1.55mm径)を用い て、160℃で20分間または40分間加硫して作製した引抜きサ ンプルについて、ワイヤ引抜き試験を実施
引抜いたビードワイヤへのゴム付着率を目視により0〜100% の点数付けを行い、標準例(20分間加硫または40分間加硫)を
100とした指数で示した
この指数が大きいもの程良好とされ、160℃、20分間の加硫 では指数103以上で改善効果ありと判断され、160℃、40分間 の加硫では指数100以上が許容範囲とされる
タイヤ試験:室内ビード耐久試験;標準例、実施例1,3,4、比較例1のジエン系 ゴム組成物を使用して、ビードワイヤへのインシュレーションおよびビ ードコアカバー作業により作製したビードコア部を有するビードを使用 し、(11R22.5サイズのタイヤを製造し、このテストタイヤを22.5×7.5 0リムに空気圧0.94MPa(9.6kgf/cm2)でインフレートし、ドラム試験機、 荷重40kN、速度45km/hrの条件下で、ビード部破壊までの走行距離を
測定し、標準例の走行距離を100とした指数で示した
この指数が大きいもの程良好とされる
実施例1〜5、比較例1〜6
標準例において、カーボンブラック量、瀝青炭粉砕物量およびそれに伴う充填剤合計量(いずれも重量部)が、次の表1に示されるように変更されてジエン系ゴム組成物が調製され、同様の各種測定が行われた。
表1
カーボンブラック 瀝青炭粉砕物 充填剤合計量
実施例1 100 5.0 150.0
〃 2 100 10.0 155.0
〃 3 100 20.0 165.0
〃 4 100 30.0 175.0
〃 5 90 10.0 145.0
比較例1 110 − 155.0
〃 2 120 − 165.0
〃 3 100 3.0 148.0
〃 4 100 40.0 185.0
〃 5 80 10.0 135.0
〃 6 110 30.0 185.0
実施例6
実施例4において、クレー量が15.0重量部、充填剤合計量が145.0重量部に、またアロマオイル量が3.0重量部に変更されてジエン系ゴム組成物が調製され、同様の各種測定が行われた。
標準例に対する以上の各実施例および各比較例における測定結果は、次の表2に示される。
表2
ムーニー デュロA 破断 ワイヤASTMゴム付着率 室内ビード
ビス 硬度 伸び 20分加硫 40分加硫 耐久試験
標準例 40 88 100 100 100 100
実施例1 41 89 103 103 102 103
〃 2 41 90 112 107 103 −
〃 3 45 91 107 112 102 120
〃 4 49 92 101 117 101 108
〃 5 38 88 118 105 100 −
比較例1 50 90 91 97 99 98
〃 2 61 92 80 94 96 −
〃 3 40 88 101 100 100 −
〃 4 54 93 96 111 101 −
〃 5 33 84 140 114 104 −
〃 6 60 94 89 113 98 −
実施例6 42 89 102 111 102 −
以上の結果から、次のようなことがいえる。
(1) 標準例に対して瀝青炭粉砕物を添加すると、同量のカーボンブラック添加よりもムーニー粘度上昇が小さい割に硬度が増加し、さらに破断伸びが増加し(実施例2〜3−比較例1〜2)、ややアンダーキュア条件である160℃、20分間(150℃、40分間に相当)という条件下でのゴム付着率の改善効果が大きく、適正加硫条件の160℃、40分間でもゴム付着率は高い値を示しており(実施例1〜4)、さらにタイヤの室内ビード耐久試験での耐久性向上効果もみられる(実施例1,3,4)。
(2) 充填剤合計量が140重量部以上(180重量部以下)では、実施例1〜4と同様の効果がみられる(実施例5〜6)。
(3) 標準例に対してカーボンブラック量を増加させると、ムーニー粘度の上昇、硬度の増加はみられるが、破断伸びの大きな低下、ゴム付着率の低下がみられ、またタイヤでは室内ビード耐久試験での向上効果がみられない(比較例1〜2)。
(4) 標準例に対して瀝青炭粉砕物配合量が5重量部未満では、格別の改善効果もみられず、一方38重量部を超える瀝青炭粉砕物の配合では、ムーニー粘度が上昇し、破断伸びが低下する(比較例3〜4)。
(5) 充填剤合計量が140重量部未満では、ムーニー粘度、硬度および破断伸びがいずれも低下する(比較例5)。
(6) 充填剤合計量が180重量部を超えると、ムーニー粘度が上昇し、硬度および破断伸びが低下する(比較例6)。
ビードコア部(a)およびその周辺部分(b)の断面図である。
符号の説明
1 ビードコア
2 カーカス
3 ビードコアカバーゴム
4 コード補強層
5 インナーライナー
6 ビードワイヤ
7 ビードインシュレーションゴム

Claims (5)

  1. ジエン系ゴム100重量部に対し、瀝青炭粉砕物5〜38重量部を含め、瀝青炭粉砕物、カーボンブラックおよびこれら以外の充填剤を合計140〜180重量部の配合量で配合してなるジエン系ゴム組成物。
  2. 瀝青炭粉砕物およびカーボンブラック以外の充填剤が白色充填剤である請求項1記載のジエン系ゴム組成物。
  3. 160℃、20〜40分間で硫黄加硫が可能である請求項1または2記載のジエン系ゴム組成物。
  4. 空気入りタイヤビードコア部のビードインシュレーションゴムおよび/またはビードコアカバーゴムの加硫成形材料として用いられる請求項1、2または3記載のジエン系ゴム組成物。
  5. 請求項4記載のジエン系ゴム組成物を加硫成形して得られたビードコア部ビードインシュレーションゴムおよび/またはビードコアカバーゴムを有する空気入りタイヤ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009161650A (ja) * 2008-01-07 2009-07-23 Yokohama Rubber Co Ltd:The 空気入りタイヤ用ゴム組成物

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