JP2009152524A - 光源装置、照明装置、モニタ装置及び画像表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡易な構成により高い効率で安定した光量の光を射出することが可能な光源装置、その光源装置を用いる照明装置、モニタ装置及び画像表示装置を提供すること。
【解決手段】光を共振させる共振構造を備える光源装置10であって、光を射出する光源部である半導体素子11と、光源部から射出した光の波長を変換する波長変換素子であるSHG素子12と、共振構造において共振させる光の波長を選択する波長選択素子であるVHG13と、波長変換素子の温度を計測する第1温度計測部である第1サーミスタ21と、波長選択素子の温度を計測する第2温度計測部である第2サーミスタ22と、第1温度計測部による計測結果、及び第2温度計測部による計測結果に基づいて、波長変換素子及び波長選択素子のいずれか一方の温度を調節する温度調節部であるヒータ20と、を有する。
【選択図】図1
【解決手段】光を共振させる共振構造を備える光源装置10であって、光を射出する光源部である半導体素子11と、光源部から射出した光の波長を変換する波長変換素子であるSHG素子12と、共振構造において共振させる光の波長を選択する波長選択素子であるVHG13と、波長変換素子の温度を計測する第1温度計測部である第1サーミスタ21と、波長選択素子の温度を計測する第2温度計測部である第2サーミスタ22と、第1温度計測部による計測結果、及び第2温度計測部による計測結果に基づいて、波長変換素子及び波長選択素子のいずれか一方の温度を調節する温度調節部であるヒータ20と、を有する。
【選択図】図1
Description
本発明は、光源装置、照明装置、モニタ装置及び画像表示装置、特に、波長変換素子と外部共振器とを備える光源装置の技術に関する。
近年、プロジェクタ等の画像表示装置の光源装置として、レーザ光源を用いる技術が提案されている。レーザ光源は、高出力化及び多色化に伴い、画像表示装置の光源として開発されている。画像表示装置の光源として従来用いられているUHPランプと比較すると、レーザ光源は、高い色再現性、瞬時点灯が可能、長寿命等の利点がある。レーザ光源としては、波長変換素子により波長が変換された高調波光を射出するものが知られている。波長変換素子を用いることで、容易に入手可能な汎用の発光素子を用いて、所望の波長かつ十分な光量のレーザ光を供給することが可能となる。波長変換素子としては、例えば第二高調波発生(Second−Harmonic Generation;SHG)素子を用いることができる。また、レーザ光源は、光を共振させる外部共振器を用いることで、レーザ光の波長を狭帯域化でき、レーザ光の高出力化が可能となる。外部共振器としては、回折により光を反射する体積ホログラム、例えば、VHG(Volume Holographic Grating)を用いることができる。SHG素子が位相整合条件を満たす位相整合波長は、SHG素子の温度に応じて変動する。体積ホログラムが選択的に反射する光の波長である選択波長は、体積ホログラムの温度に応じて変動する。特定波長の光についてSHG素子の位相整合条件を満足し、かつ体積ホログラムで選択的に反射させるために、SHG素子と体積ホログラムとにそれぞれ温度制御手段を設けると、光源装置の構成が複雑になる上、高コストとなってしまう。そこで従来、波長変換素子及び波長選択素子を共通の温度制御手段によって、波長変換素子の位相整合波長及び波長選択素子の選択波長が一致する同一温度に制御する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
温度制御手段は、温度計測部により計測された温度に基づいて、温度調節のための温度調節部を制御する。波長変換素子及び波長選択素子について共通の温度計測部を用いる場合、波長変換素子及び波長選択素子の少なくとも一方が、温度計測部で計測された温度とは異なる温度となる場合があり得る。例えば、当初の設定から外部環境、例えばプロジェクタの周辺気温が変動した場合に、波長変換素子と波長選択素子とで温度の変化量が異なることにより、波長変換素子と波長選択素子との間に温度差が生じることがある。このため、従来の技術によると、波長変換素子及び波長選択素子の温度制御が正確になされず効率良く光を射出することが困難な場合があるという問題を生じる。本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、簡易な構成により高い効率で安定した光量の光を射出することが可能な光源装置、その光源装置を用いる照明装置、モニタ装置及び画像表示装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る光源装置は、光を共振させる共振構造を備える光源装置であって、光を射出する光源部と、光源部から射出した光の波長を変換する波長変換素子と、共振構造において共振させる光の波長を選択する波長選択素子と、波長変換素子の温度を計測する第1温度計測部と、波長選択素子の温度を計測する第2温度計測部と、第1温度計測部による計測結果、及び第2温度計測部による計測結果に基づいて、波長変換素子及び波長選択素子のいずれか一方の温度を調節する温度調節部と、を有することを特徴とする。
波長変換素子の位相整合波長と波長選択素子の選択波長とが同一であるときの、波長変換素子の温度と波長選択素子の温度との関係は、予め求めることができる。かかる相関関係を利用することにより、温度調節部による温度調節の対象である素子の目標温度を決定する。例えば、温度調節部による温度調節の対象が波長変換素子である場合、波長変換素子の目標温度は、第1温度計測部の計測結果に基づいて決定する。温度調節部は、第2温度計測部の計測結果に基づいて、波長変換素子を目標温度に調節する。第1温度計測部及び第2温度計測部を用いることにより、波長変換素子の温度、及び波長選択素子の温度を正確に計測可能とし、温度調節部による正確な温度調節により高い効率で光を射出することが可能となる。波長選択素子及び波長変換素子のいずれに対しても温度調節部及び温度制御部を設ける場合と比較して、光源装置を簡易な構成にできる。これにより、簡易な構成により高い効率で安定した光量の光を射出することが可能な光源装置を得られる。なお、「波長変換素子及び波長選択素子のいずれか一方の温度を調節する」とは、一方の素子の温度を調節する温度調節部による熱の影響が他方の素子に及ぶ可能性を排除するものではない。
また、本発明の好ましい態様としては、波長変換素子の温度変化に対する波長変換素子の位相整合波長の変化率を波長変換素子の温度依存変化率、波長選択素子の温度変化に対する波長選択素子の選択波長の変化率を波長選択素子の温度依存変化率、とすると、温度調節部は、波長変換素子及び波長選択素子のうち、温度依存変化率が高いほうの温度を調節することが望ましい。温度依存変化率が高い素子について温度を調節することにより、温度調節部の制御を容易にできる。また、位相整合波長及び選択波長の変動をできるだけ少なくできる。
また、本発明の好ましい態様としては、温度調節部は、波長変換素子の温度を調節することが望ましい。従来用いられる波長変換素子及び波長選択素子では、通常、波長変換素子のほうが温度依存変化率は高い。これにより、従来用いられる波長変換素子及び波長選択素子に対して、安定した光量の光を射出するための制御を容易にできる。
また、本発明の好ましい態様としては、温度調節部の駆動を制御する温度制御部を有し、温度制御部は、第2温度計測部による計測結果に基づいて決定された波長変換素子の目標温度と、第1温度計測部による計測結果との差分に応じて、温度調節部の駆動を制御することが望ましい。これにより、第1温度計測部による計測結果、及び第2温度計測部による計測結果に基づいて、温度調節部による温度調節ができる。
また、本発明の好ましい態様としては、波長選択素子は、共振構造を構成する体積ホログラムであることが望ましい。波長選択素子、及び外部共振器として機能する体積ホログラムにより、光の共振と波長選択とを同時にできる。
また、本発明の好ましい態様としては、波長選択素子は、特定の波長の光を選択的に透過させる透過フィルタを備え、共振構造を構成する第1反射構造体及び第2反射構造体の間の光路中に設けられることが望ましい。透過フィルタを用いることで、共振構造において共振させる光の波長選択ができる。
さらに、本発明に係る照明装置は、上記の光源装置を有し、光源装置からの光を用いて被照射物を照明することを特徴とする。上記の光源装置を用いることにより、簡易な構成により高い効率で安定した光量の光を射出できる。これにより、簡易な構成により高い効率で安定した光量の光を供給可能な照明装置を得られる。
さらに、本発明に係るモニタ装置は、上記の照明装置と、照明装置により照明された被写体を撮像する撮像部と、を有することを特徴とする。上記の照明装置を用いることにより、簡易な構成により高い効率で安定した光量の光を供給できる。これにより、簡易な構成により明るい像をモニタすることが可能なモニタ装置を得られる。
さらに、本発明に係る画像表示装置は、上記の光源装置を有し、光源装置からの光を用いて画像を表示することを特徴とする。上記の光源装置を用いることにより、簡易な構成により高い効率で安定した光量の光を射出できる。これにより、簡易な構成により明るい画像を表示可能な画像表示装置を得られる。
以下に図面を参照して、本発明の実施例を詳細に説明する。
図1は、本発明の実施例1に係る光源装置10の概略構成を示す。光源装置10は、レーザ光を射出するレーザ光源である。半導体素子11は、基本波光を射出する光源部である。基本波光は、例えば赤外光である。
図2は、半導体素子11の断面構成を模式的に表したものである。半導体素子11は、面発光型の半導体素子である。基板24は、例えば、半導体ウエハからなる。ミラー層25は、基板24の上に形成されている。ミラー層25は、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)により形成された、高屈折率の誘導体と低屈折率の誘導体との積層体によって構成されている。ミラー層25を構成する各層の厚さ、各層の材料、層の数は、基本波光に対して最適化され、反射光が干渉し強め合う条件に設定されている。レーザ媒体26は、ミラー層25の表面に積層させて設けられている。レーザ媒体26は、不図示の電流供給部に接続されている。電流供給部から所定量の電流が供給されると、レーザ媒体26は光を射出する。
SHG素子12は、半導体素子11から射出した光が入射する位置に配置されている。SHG素子12は、半導体素子11からの基本波光を入射させることにより、基本波光の波長の半分に相当する波長の高調波光を射出する。SHG素子12は、半導体素子11から射出した光の波長を変換する波長変換素子である。高調波光は、例えば可視光である。SHG素子12は、直方体形状をなしている。
SHG素子12としては、例えば、非線形光学結晶を用いることができる。非線形光学
結晶としては、例えば、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)の分極反転結晶(Periodically Poled Lithium Niobate;PPLN)を用いることができる。SHG素子12は、
基本波光の第1波長に対応するピッチの分極反転構造を有する。SHG素子12を用いることで、容易に入手可能な汎用の光源を用いて、所望の波長かつ十分な光量のレーザ光を供給することが可能となる。
結晶としては、例えば、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)の分極反転結晶(Periodically Poled Lithium Niobate;PPLN)を用いることができる。SHG素子12は、
基本波光の第1波長に対応するピッチの分極反転構造を有する。SHG素子12を用いることで、容易に入手可能な汎用の光源を用いて、所望の波長かつ十分な光量のレーザ光を供給することが可能となる。
分極反転構造は、コヒーレント長ごとに非線形光学定数の符号を反転させて構成されている。SHG素子12は、分極反転構造のピッチに対応する波長の光を波長変換する。分極反転構造の形成には、自発分極を持つ非線形光学結晶へ電圧を印加する手法が多く用いられている。分極反転構造は、例えば、ニオブ酸リチウム(LN)基板上に絶縁層の微細なパターンを形成し、金属膜或いは電解液を介して電圧を印加することにより得られる。SHG素子12は、温度が上昇するに従って膨張することにより、分極反転構造のピッチが広くなる。従って、SHG素子12の位相整合波長は、SHG素子12の温度が上昇するに従って長波長側にシフトする。
体積ホログラムであるVHG13は、SHG素子12から射出した光が入射する位置に設けられている。VHG13は、共振構造を構成する外部共振器である。ミラー層25及びVHG13は、基本波光を共振させる共振構造を構成する。VHG13は、回折により基本波光を反射する。VHG13は、赤外領域において、特定波長を中心に半値幅が数nm以下となる反射特性を持つ狭帯域反射ミラーとして機能する。VHG13は、ミラー層25及びVHG13の間で共振させる光の波長を選択する波長選択素子としての機能も果たす。VHG13を用いることにより、ミラー層25及びVHG13の間で共振させる光の狭帯域化ができる。また、VHG13は、可視領域において、高調波光の波長を含む広い波長域の光を透過させる。
VHG13は、LiNbO3、BGO等のフォトリフラクティブ結晶、ポリマー等を用
いて形成できる。VHG13には、二方向から入射させた入射光によって生じた干渉縞が記録されている。干渉縞は、高屈折率部分と低屈折率部分とが周期的に配列された周期構造として記録される。VHG13は、干渉縞とブラッグ条件が適合する光のみを、回折により選択的に反射する。VHG13は、温度が上昇するに従って膨張することにより、干渉縞のピッチが広くなる。従って、VHG13の選択波長は、VHG13の温度が上昇するに従って長波長側にシフトする。
いて形成できる。VHG13には、二方向から入射させた入射光によって生じた干渉縞が記録されている。干渉縞は、高屈折率部分と低屈折率部分とが周期的に配列された周期構造として記録される。VHG13は、干渉縞とブラッグ条件が適合する光のみを、回折により選択的に反射する。VHG13は、温度が上昇するに従って膨張することにより、干渉縞のピッチが広くなる。従って、VHG13の選択波長は、VHG13の温度が上昇するに従って長波長側にシフトする。
半導体素子11は、ベース14上に実装されている。ベース14は、金属部材、例えば銅部材を用いて構成されている。支柱15は、ベース14上に設けられている。SHG素子用マウント16及びVHG用マウント17は、支柱15に取り付けられている。SHG素子12は、SHG素子用マウント16に取り付けられている。SHG素子用マウント16には、ヒータ20及び第1サーミスタ21が設けられている。ヒータ20は、SHG素子12の温度を調節する温度調節部として機能する。ヒータ20としては、例えば電熱ヒータを用いることができる。第1サーミスタ21は、SHG素子12の温度を計測する第1温度計測部として機能する。VHG13は、VHG用マウント17に取り付けられている。VHG用マウント17には、第2サーミスタ22が設けられている。第2サーミスタ22は、VHG13の温度を計測する第2温度計測部として機能する。
半導体素子11からの基本波光は、SHG素子12へ入射する。SHG素子12へ基本波光を入射させることにより生じた高調波光は、VHG13を透過する。VHG13を透過した高調波光は、光源装置10外へ射出する。VHG13へ入射した基本波光は、VHG13で反射する。VHG13で反射した後、SHG素子12を透過した基本波光は、半導体素子11へ入射する。半導体素子11へ入射した基本波光は、ミラー層25で反射し、SHG素子12の方向へ進行する。ミラー層25及びVHG13の間で基本波光を共振させることにより、レーザ媒体26は、基本波光を増幅させる。また、ミラー層25及びVHG13で反射した基本波光は、レーザ媒体26により新たに射出された基本波光と共振して増幅される。
図3は、SHG素子12の位相整合波長とVHG13の選択波長とが同一であるときの、SHG素子12の温度T1とVHG13の温度T2との関係の例を示す。SHG素子12の温度変化に対するSHG素子12の位相整合波長の変化率を、SHG素子12の温度依存変化率とすると、SHG素子12の温度依存変化率は、例えば0.1nm/℃である。VHG13の温度変化に対するVHG13の選択波長の変化率を、VHG13の温度依存変化率とすると、VHG13の温度依存変化率は、例えば0.01nm/℃である。このように、SHG素子12の温度依存変化率は、VHG13の温度依存変化率に対して10倍程度高い。
例えば、SHG素子12の温度T1が25℃、VHG13の温度T2が25℃であるとき、SHG素子12の位相整合波長とVHG13の選択波長とは同一となる。VHG13の温度T2が、25℃から55℃へ上昇したとする。温度T2が上昇することにより、VHG13の選択波長は、0.3nm(=(55−25)℃×0.01nm/℃)だけ長波長側にシフトする。VHG13の選択波長にSHG素子12の位相整合波長を一致させるには、SHG素子12の位相整合波長を0.3nm長波長側へシフトさせる必要がある。このため、温度T1を25℃から3℃(=0.3nm÷0.1nm/℃)上昇させ28℃にする。SHG素子12の位相整合波長とVHG13の選択波長とが同一であるときの、SHG素子12の温度T1とVHG13の温度T2との関係は、予め求めることができる。
図4は、第1サーミスタ21による計測結果、及び第2サーミスタ22による計測結果に基づいてSHG素子12の温度を調節するためのブロック構成を示す。第1サーミスタ21は、SHG素子12の温度の変化を抵抗値の変化として温度制御部28へ出力する。第2サーミスタ22は、VHG13の温度の変化を抵抗値の変化として温度制御部28へ出力する。温度制御部28は、ヒータ20の駆動を制御する。
温度制御部28は、図3に示すSHG素子12の温度T1とVHG13の温度T2との関係を参照することにより、第2サーミスタ22により計測されたVHG13の温度に対応するSHG素子12の目標温度を決定する。温度制御部28は、SHG素子12の目標温度と、第1サーミスタ21により計測されたSHG素子12の温度との差分に応じて、ヒータ20へ供給する電力量を計算し、計算された電力量に応じた電力をヒータ20へ供給する。温度制御部28は、SHG素子12の目標温度と第1サーミスタ21の計測結果との偏差をなくすように、ヒータ20へ供給する電力量を調整する。このように、温度制御部28は、第2サーミスタ22による計測結果に基づいて決定されたSHG素子12の目標温度と、第1サーミスタ21による計測結果との差分に応じて、ヒータ20の駆動を制御する。ヒータ20は、第1サーミスタ21による計測結果、及び第2サーミスタ22による計測結果に基づいて、SHG素子12の温度を調節する。
SHG素子12の温度を計測する第1サーミスタ21、及びVHG13の温度を計測する第2サーミスタ22を用いることにより、SHG素子12の温度、及びVHG13の温度を正確に計測できる。SHG素子12の温度、及びVHG13の温度を正確に計測可能とすることで、ヒータ20によるSHG素子12の正確な温度調節ができる。VHG13の選択波長とSHG素子12の位相整合波長とが同一となるようにSHG素子12の温度を調節することにより、VHG13を用いて共振させる光をSHG素子12で効率良く波長変換させ、高い効率で光を射出することが可能となる。また、SHG素子12及びVHG13のいずれに対しても温度調節部及び温度制御部を設ける場合と比較して、光源装置10を簡易な構成にできる。これにより、簡易な構成により高い効率で安定した光量の光を射出できるという効果を奏する。
光源装置10は、ヒータ20によりSHG素子12及びVHG13のいずれか一方の温度を調節する構成であれば良い。SHG素子12及びVHG13のうち温度依存変化率が高いSHG素子12について温度を調節することにより、ヒータ20の制御を容易にできる。また、位相整合波長及び選択波長の変動をできるだけ少なくできる。光源装置10は、波長選択素子として機能する体積ホログラムを用いる他、波長選択素子としてバンドパスフィルタを用いる構成としても良い。狭帯域透過フィルタであるバンドパスフィルタを用いる光源装置は、共振構造を構成する外部共振器として広帯域反射ミラーを用いる構成にできる。
温度調節部としては、ヒータ20に代えて他の素子、例えばペルチェ素子や、薄膜状の抵抗体等を用いても良い。光源装置10は、VHG13にも温度調節部を設け、VHG13の温度を調節することとしても良い。光源装置10は、例えば、半導体レーザ励起固体(Diode Pumped Solid State;DPSS)レーザとしても良い。光源装置10は、必要に応じて、偏光選択用フィルタ等の光学素子を設けても良い。
図5は、本実施例の変形例に係る光源装置30の概略構成を示す。半導体素子11、SHG素子用マウント16、VHG用マウント17は、ベース32上に実装されている。ベース32は、金属部材、例えば銅部材を用いて構成されている。三角プリズム31は、半導体素子11及びSHG素子12に対向する位置に設けられている。三角プリズム31は、直角三角形形状の断面を持つプリズムである。
半導体素子11から射出した光は、三角プリズム31へ入射する。三角プリズム31へ入射した光は、三角プリズム31の斜面で全反射することにより、光路が折り曲げられる。三角プリズム31の斜面で全反射した光は、三角プリズム31から射出した後、SHG素子12へ入射する。SHG素子12から三角プリズム31へ入射した光は、三角プリズム31の斜面で全反射することにより光路が折り曲げられ、半導体素子11の方向へ進行する。本変形例においても、簡易な構成により高い効率で安定した光量の光を射出できる。
図6は、本発明の実施例2に係る光源装置35の概略構成を示す。本実施例に係る光源装置35は、バンドパスフィルタ36を有する。上記実施例1と同一の部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。バンドパスフィルタ36は、SHG素子12及び広帯域反射ミラー37の間の光路中に設けられている。バンドパスフィルタ36は、共振構造において共振させる光の波長を選択する波長選択素子として機能する。バンドパスフィルタ36は、赤外領域において、基本波光を選択的に透過させる透過特性を持つ。バンドパスフィルタ36は、特定の波長の光を選択的に透過させる狭帯域透過フィルタとして機能する。また、バンドパスフィルタ36は、可視領域において、高調波光の波長を含む広い波長域の光を透過させる。バンドパスフィルタ36は、透明部材を用いて構成された板状部材に誘電体多層膜を蒸着させて構成されている。バンドパスフィルタ36の選択波長は、光線の角度や、バンドパスフィルタ36の温度に応じて変化する。
ミラー層25(図2参照)は、共振構造を構成する第1反射構造体として機能する。広帯域反射ミラー37は、共振構造を構成する第2反射構造体であって、外部共振器として機能する。広帯域反射ミラー37は、赤外領域において広い波長域の光を反射する反射特性を持つ。また、広帯域反射ミラー37は、可視領域において、高調波光の波長を含む広い波長域の光を透過させる。広帯域反射ミラー37は、透明部材を用いて構成された板状部材に誘電体多層膜を蒸着させて構成されている。
バンドパスフィルタ用マウント38及び広帯域反射ミラー37は、支柱15に取り付けられている。バンドパスフィルタ36は、バンドパスフィルタ用マウント38に取り付けられている。バンドパスフィルタ用マウント38には、第2サーミスタ22が設けられている。第2サーミスタ22は、バンドパスフィルタ36の温度を計測する第2温度計測部として機能する。なお、広帯域反射ミラー37は、支柱15に直接取り付けられる他、マウントを介して支柱15に取り付けることとしても良い。
半導体素子11からSHG素子12へ基本波光を入射させることにより生じた高調波光は、バンドパスフィルタ36及び広帯域反射ミラー37を透過する。広帯域反射ミラー37を透過した高調波光は、光源装置35外へ射出する。バンドパスフィルタ36を透過した基本波光は、広帯域反射ミラー37で反射する。広帯域反射ミラー37で反射した基本波光は、バンドパスフィルタ36を透過し、SHG素子12へ入射する。広帯域反射ミラー37及びミラー層25の間で共振する光は、バンドパスフィルタ36により狭帯域化される。
ヒータ20は、バンドパスフィルタ36の選択波長とSHG素子12の位相整合波長とが同一となるようにSHG素子12の温度を調節する。本実施例に係る光源装置35は、上記実施例1の場合と同様に、簡易な構成により高い効率で安定した光量の光を射出することができる。なお、バンドパスフィルタ36は、ミラー層25及び広帯域反射ミラー37の間の光路中のいずれの位置に設けることとしても良い。
図7は、本発明の実施例3に係るモニタ装置40の概略構成を示す。モニタ装置40は、装置本体41と、光伝送部42とを有する。装置本体41は、上記実施例1の光源装置10(図1参照)を備える。光伝送部42は、2つのライトガイド44、45を有する。光伝送部42のうち被写体(不図示)側の端部には、拡散板46及び結像レンズ47が設けられている。第1ライトガイド44は、光源装置10からの光を被写体へ伝送する。拡散板46は、第1ライトガイド44の射出側に設けられている。第1ライトガイド44内を伝播した光は、拡散板46を透過することにより、被写体側にて拡散する。光源装置10から拡散板46までの光路中の各部は、被写体を照明する照明装置を構成する。
第2ライトガイド45は、被写体からの光をカメラ43へ伝送する。結像レンズ47は、第2ライトガイド45の入射側に設けられている。結像レンズ47は、被写体からの光を第2ライトガイド45の入射面へ集光させる。被写体からの光は、結像レンズ47により第2ライトガイド45へ入射した後、第2ライトガイド45内を伝播してカメラ43へ入射する。
第1ライトガイド44、第2ライトガイド45としては、多数の光ファイバを束ねたものを用いることができる。光ファイバを用いることで、光を遠方へ伝送させることができる。カメラ43は、装置本体41内に設けられている。カメラ43は、光源装置10からの光により照明された被写体を撮像する撮像部である。第2ライトガイド45から入射した光をカメラ43へ入射させることで、カメラ43による被写体の撮像ができる。上記実施例1の光源装置10を用いることにより、簡易な構成により高い効率で安定した光量の光を供給できる。これにより、簡易な構成により明るい像をモニタできるという効果を奏する。モニタ装置40は、上記実施例1の変形例に係る光源装置30(図5参照)、又は上記実施例2に係る光源装置35(図6参照)を備える構成としても良い。
図8は、本発明の実施例4に係るプロジェクタ50の概略構成を示す。プロジェクタ50は、スクリーン59に光を投写し、スクリーン59で反射する光を観察することで画像を鑑賞するフロント投写型のプロジェクタである。プロジェクタ50は、赤色(R)光用光源装置51R、緑色(G)光用光源装置51G、青色(B)光用光源装置51Bを有する。各色光用光源装置51R、51G、51Bは、いずれも上記実施例1の光源装置10(図1参照)と同様の構成を有する。プロジェクタ50は、各色光用光源装置51R、51G、51Bからの光を用いて画像を表示する画像表示装置である。
R光用光源装置51Rは、R光を射出する光源装置である。拡散素子52は、照明領域の整形、拡大、照明領域における光量分布の均一化を行う。拡散素子52としては、例えば、回折光学素子である計算機合成ホログラム(Computer Generated Hologram;CGH)を用いることができる。フィールドレンズ53は、R光用光源装置51Rからの光を平行化させ、R光用空間光変調装置54Rへ入射させる。R光用光源装置51R、拡散素子52、及びフィールドレンズ53は、R光用空間光変調装置54Rを照明する照明装置を構成する。R光用空間光変調装置54Rは、照明装置からのR光を画像信号に応じて変調する空間光変調装置であって、透過型液晶表示装置である。R光用空間光変調装置54Rで変調されたR光は、色合成光学系であるクロスダイクロイックプリズム55へ入射する。
G光用光源装置51Gは、G光を射出する光源装置である。拡散素子52及びフィールドレンズ53を経た光は、G光用空間光変調装置54Gへ入射する。G光用光源装置51G、拡散素子52、及びフィールドレンズ53は、G光用空間光変調装置54Gを照明する照明装置を構成する。G光用空間光変調装置54Gは、照明装置からのG光を画像信号に応じて変調する空間光変調装置であって、透過型液晶表示装置である。G光用空間光変調装置54Gで変調されたG光は、クロスダイクロイックプリズム55のうちR光が入射する面とは異なる面へ入射する。
B光用光源装置51Bは、B光を射出する光源装置である。拡散素子52及びフィールドレンズ53を経た光は、B光用空間光変調装置54Bへ入射する。B光用光源装置51B、拡散素子52、及びフィールドレンズ53は、B光用空間光変調装置54Bを照明する照明装置を構成する。B光用空間光変調装置54Bは、照明装置からのB光を画像信号に応じて変調する空間光変調装置であって、透過型液晶表示装置である。B光用空間光変調装置54Bで変調されたB光は、クロスダイクロイックプリズム55のうちR光が入射する面、及びG光が入射する面とは異なる面へ入射する。透過型液晶表示装置としては、例えば高温ポリシリコンTFT液晶パネル(High Temperature Polysilicon;HTPS)を用いることができる。
クロスダイクロイックプリズム55は、互いに略直交させて配置された2つのダイクロイック膜56、57を有する。第1ダイクロイック膜56は、R光を反射し、G光及びB光を透過させる。第2ダイクロイック膜57は、B光を反射し、R光及びG光を透過させる。クロスダイクロイックプリズム55は、それぞれ異なる方向から入射したR光、G光及びB光を合成し、投写レンズ58の方向へ射出する。投写レンズ58は、クロスダイクロイックプリズム55で合成された光をスクリーン59に向けて投写する。
上記の光源装置10と同様の構成を有する各色光用光源装置51R、51G、51Bを用いることにより、簡易な構成により高い効率で安定した光量の光を射出できる。これにより、簡易な構成により明るい画像を表示できるという効果を奏する。各色光用光源装置51R、51G、51Bは、上記実施例1の変形例に係る光源装置30(図5参照)と同様の構成、又は上記実施例2に係る光源装置35(図6参照)と同様の構成としても良い。プロジェクタ50は、R光用光源装置51R、G光用光源装置51G、B光用光源装置51Bがいずれも上記実施例の光源装置10、30と同様の構成である場合に限られない。例えば、R光用光源装置51Rは、SHG素子を用いず光源部からの基本波光をそのまま射出するものとしても良い。
プロジェクタは、空間光変調装置として透過型液晶表示装置を用いる場合に限られない。空間光変調装置としては、反射型液晶表示装置(Liquid Crystal On Silicon;LCOS)、DMD(Digital Micromirror Device)、GLV(Grating Light Valve)等を用いても良い。プロジェクタは、色光ごとに空間光変調装置を備える構成に限られない。プロジェクタは、一の空間光変調装置により2つ又は3つ以上の色光を変調する構成としても良い。プロジェクタは、空間光変調装置を用いる場合に限られない。プロジェクタは、ガルバノミラー等の走査手段により光源装置からのレーザ光を走査させ、被照射面において画像を表示するレーザスキャン型のプロジェクタであっても良い。プロジェクタは、画像情報を持たせたスライドを用いるスライドプロジェクタであっても良い。プロジェクタは、スクリーンの一方の面に光を供給し、スクリーンの他方の面から射出する光を観察することで画像を鑑賞する、いわゆるリアプロジェクタであっても良い。
本発明の光源装置は、画像表示装置である液晶ディスプレイに適用しても良い。本発明の光源装置と導光板とを組み合わせることにより、液晶パネルを照明する照明装置として用いることができる。この場合も、明るく高品質な画像を表示することができる。本発明の光源装置は、モニタ装置や画像表示装置に適用される場合に限られない。本発明の光源装置は、例えば、レーザ光を用いた露光のための露光装置やレーザ加工装置等の光学系に用いても良い。
以上のように、本発明に係る光源装置は、モニタ装置や画像表示装置に用いる場合に適している。
10 光源装置、11 半導体素子、12 SHG素子、13 VHG、14 ベース、15 支柱、16 SHG素子用マウント、17 VHG用マウント、20 ヒータ、21 第1サーミスタ、22 第2サーミスタ、24 基板、25 ミラー層、26 レーザ媒体、28 温度制御部、30 光源装置、31 三角プリズム、32 ベース、35 光源装置、36 バンドパスフィルタ、37 広帯域反射ミラー、38 バンドパスフィルタ用マウント、40 モニタ装置、41 装置本体、42 光伝送部、43 カメラ、44 第1ライトガイド、45 第2ライトガイド、46 拡散板、47 結像レンズ、50 プロジェクタ、51R R光用光源装置、51G G光用光源装置、51B B光用光源装置、52 拡散素子、53 フィールドレンズ、54R R光用空間光変調装置、54G G光用空間光変調装置、54B B光用空間光変調装置、55 クロスダイクロイックプリズム、56 第1ダイクロイック膜、57 第2ダイクロイック膜、58 投写レンズ、59 スクリーン
Claims (9)
- 光を共振させる共振構造を備える光源装置であって、
光を射出する光源部と、
前記光源部から射出した光の波長を変換する波長変換素子と、
前記共振構造において共振させる光の波長を選択する波長選択素子と、
前記波長変換素子の温度を計測する第1温度計測部と、
前記波長選択素子の温度を計測する第2温度計測部と、
前記第1温度計測部による計測結果、及び前記第2温度計測部による計測結果に基づいて、前記波長変換素子及び前記波長選択素子のいずれか一方の温度を調節する温度調節部と、を有することを特徴とする光源装置。 - 前記波長変換素子の温度変化に対する前記波長変換素子の位相整合波長の変化率を前記波長変換素子の温度依存変化率、前記波長選択素子の温度変化に対する前記波長選択素子の選択波長の変化率を前記波長選択素子の温度依存変化率、とすると、
前記温度調節部は、前記波長変換素子及び前記波長選択素子のうち、前記温度依存変化率が高いほうの温度を調節することを特徴とする請求項1に記載の光源装置。 - 前記温度調節部は、前記波長変換素子の温度を調節することを特徴とする請求項2に記載の光源装置。
- 前記温度調節部の駆動を制御する温度制御部を有し、
前記温度制御部は、前記第2温度計測部による計測結果に基づいて決定された前記波長変換素子の目標温度と、前記第1温度計測部による計測結果との差分に応じて、前記温度調節部の駆動を制御することを特徴とする請求項3に記載の光源装置。 - 前記波長選択素子は、前記共振構造を構成する体積ホログラムであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の光源装置。
- 前記波長選択素子は、特定の波長の光を選択的に透過させる透過フィルタを備え、前記共振構造を構成する第1反射構造体及び第2反射構造体の間の光路中に設けられることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の光源装置。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載の光源装置を有し、前記光源装置からの光を用いて被照射物を照明することを特徴とする照明装置。
- 請求項7に記載の照明装置と、
前記照明装置により照明された被写体を撮像する撮像部と、を有することを特徴とするモニタ装置。 - 請求項1〜6のいずれか一項に記載の光源装置を有し、前記光源装置からの光を用いて画像を表示することを特徴とする画像表示装置。
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WO2014208533A1 (ja) * | 2013-06-27 | 2014-12-31 | 日本碍子株式会社 | ボリューム・ホログラム・グレーティング素子、光源デバイスおよび接続構造 |
WO2017122611A1 (ja) * | 2016-01-14 | 2017-07-20 | 株式会社アマダミヤチ | レーザ装置 |
CN109073181A (zh) * | 2016-04-20 | 2018-12-21 | 黑拉有限责任两合公司 | 用于车辆的照明装置 |
-
2008
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