JP2009152278A - ヘテロ接合バイポーラトランジスタ - Google Patents

ヘテロ接合バイポーラトランジスタ Download PDF

Info

Publication number
JP2009152278A
JP2009152278A JP2007327063A JP2007327063A JP2009152278A JP 2009152278 A JP2009152278 A JP 2009152278A JP 2007327063 A JP2007327063 A JP 2007327063A JP 2007327063 A JP2007327063 A JP 2007327063A JP 2009152278 A JP2009152278 A JP 2009152278A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
semiconductor layer
bipolar transistor
heterojunction bipolar
emitter
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2007327063A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5133043B2 (ja
Inventor
Kenji Kurishima
賢二 栗島
Norihide Kayao
典秀 柏尾
Shoji Yamahata
章司 山幡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Telegraph and Telephone Corp
Original Assignee
Nippon Telegraph and Telephone Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Telegraph and Telephone Corp filed Critical Nippon Telegraph and Telephone Corp
Priority to JP2007327063A priority Critical patent/JP5133043B2/ja
Publication of JP2009152278A publication Critical patent/JP2009152278A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5133043B2 publication Critical patent/JP5133043B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Bipolar Transistors (AREA)

Abstract

【課題】電流利得、高周波特性が良好であり、かつ微細化することができるようにする。
【解決手段】基板1上に、コレクタ層3、ベース層4、エミッタ層およびキャップ層9を順次積層する。エミッタ層が、ベース層4に接したバリア層14とキャップ層9に接したキャリア供給層13との積層構造から形成されている。バリア層14のバンドギャップが、キャリア供給層13のバンドギャップよりも大きく、バリア層14とキャリア供給層13とが、タイプI型のヘテロ接合を形成している。キャリア供給層13を構成する半導体が、不純物添加によって縮退している。
【選択図】 図1

Description

本発明は、基板上に、コレクタ層、ベース層、エミッタ層およびキャップ層が順次積層されたヘテロ接合バイポーラトランジスタに関するものである。
HBT(Heterojunction Bipolar Transistor:ヘテロ接合バイポーラトランジスタ)の高周波性能を向上させるには、素子の薄層化を進めることによって、キャリア走行時間の短縮と電流駆動力の増加を図ることが重要である。さらに、薄層化によってもたらされる寄生容量の増加を回避するために、積極的な微細化も行う必要がある。また、微細化による寄生抵抗の増加を抑制するために、コンタクト層の高濃度化や狭バンドギャップ化を実施し、電極とのコンタクト抵抗を低減させる必要もある。すなわち、薄層化、微細化、そして寄生抵抗削減という3つの要素を同時に進めることが重要である。一方、素子の信頼性を確保するには、外部ベースにおける再結合電流を抑制することが必要となっている。このため、エミッタメサとベース電極との間に、いわゆるレッジ構造を形成する必要がある。このように、高性能なHBTを実現するには、複雑な微細構造を精度良く加工することが要求される。
図11は、従来のHBT構造(以下、単に「従来のHBT」という)の一例を示す図であり、図12は、従来のHBTのエミッタメサ領域を示す図である。同図に示すように、半絶縁性InPからなる基板1上に高濃度に不純物が添加されたn型のInGaAs/InPからなるサブコレクタ層2が形成され、サブコレクタ層2上にn型のInGaAsからなるコレクタ層3が形成され、コレクタ層3上に高濃度に不純物が添加されたp型のInGaAsからなるベース層4が形成され、ベース層4上にn型のInPからなるエミッタ層5が形成され、エミッタ層5上に高濃度に不純物が添加されたn型のInPからなるキャップ層6が形成され、キャップ層6上に高濃度に不純物が添加されたn型のInGaAsからなるキャップ層9が形成され、キャップ層9上にエミッタ電極23が形成されている。また、サブコレクタ層2上にコレクタ電極21が形成され、ベース層4上にベース電極22が形成されている。また、エミッタ層5にレッジ部11が形成され、レッジ部11上にエミッタ層5などからなるエミッタメサの側面を覆い、シリコン窒化膜(SiN)からなるレッジ保護膜31が形成されている。さらに、素子全体を保護するためのbenzocyclobutene(BCB)などからなる絶縁保護膜32が形成されている。
図13は、図11に示したHBTの製造工程の一例である。まず、キャップ層9上にTi/Pt/Au/Pt/Tiなどからなるエミッタ電極23を、リストオフ法により形成する(図13(a))。次に、エミッタ電極23をマスクにして、誘導結合型プラズマ反応性イオンエッチング(ICP−RIE)などのドライエッチング法を用いて、キャップ層9の途中までエッチングする。そして、クエン酸系ウェットエッチング溶液を用いて、残されたキャップ層9を除去し、キャップ層6を暴露する(図13(b))。ここで、クエン酸系ウェットエッチング溶液は、InPに対して、InGaAsを選択的に除去できる。次に、再びエミッタ電極23をマスクにして、ICP−RIE法により、キャップ層6と、エミッタ層5の一部を除去する(図13(c))。残されたエミッタ層5の層厚は数十nm程度であり、外部ベース領域においてレッジ部11が形成されることになる。ちなみに、上記工程において、ICP−RIE法を用いて、いっきに、エミッタメサ構造を形成しなかった理由は、数十nm程度のエミッタ層5を残すことが困難なためである。ICP−RIE法によるエッチング速度の安定性や精度を考慮して、まず、不要なキャップ層9のみを完全に除去し、しかる後に、エミッタ層5の一部をドライエッチング法により除去するような工夫を行っている。次に、残されたエミッタ層5(レッジ層)表面を保護するために、シリコン窒化膜を化学気相堆積法(CVD法)を用いて堆積する。そして、レッジ部11を形成するためにフォトレジストをパターニングし、外部ベース領域のシリコン窒化膜をRIE法により除去してレッジ保護膜31を形成する。そして、塩酸系ウェットエッチング溶液により、レッジ保護膜31をマスクに用いてエミッタ層5のレッジ層の一部を除去し、レッジ部11を形成する(図13(d))。その後、ベース電極22、コレクタ層3とベース層4からなるコレクタメサ、コレクタ電極21を順次形成し、素子間分離エッチングにより不要なサブコレクタ層2を除去する(図13(e))。そして、スピン塗布法によりBCBを堆積し、RIE法を用いてエッチバックすることによって、微細なエミッタ電極23を暴露する(図13(f))。ベース電極22やコレクタ電極21に対しては、RIE法によりビアホールを形成し配線との導通を図る。
図14は、図12記載の破線A−A’部におけるキャップ層9からコレクタ層3までのバンド図である。通常、HBTを構成するInGaAsのInAs組成は、InPと格子整合させるために53%程度に設定されている。しかしながら、エミッタ電極23とキャップ層9とのコンタクト抵抗を低減させるために、キャップ層9のInAs組成をエミッタ電極23に向けて意図的に増大させている。これにより、エミッタ電極23の電極金属とキャップ層9のInGaAs半導体との伝導帯端障壁の影響を低減させることができる。ちなみに、InAs組成を増大し過ぎると、格子不整合が大きくなり欠陥などが発生する結果、キャリアが補償されてしまい逆効果となる。従って、むやみに組成を変化させることはできない。また、キャップ層9とエミッタ層5との間にも伝導帯端エネルギ差に基づくヘテロ接合障壁が生じてしまい、寄生抵抗発生の一因になる。このため、キャップ層9とエミッタ層5との間には、高濃度に不純物添加されたキャップ層6が設けられており、このようなヘテロ接合障壁の影響を無くすような工夫が施されている。
前述したように、従来のHBTのエミッタメサ構造は、キャップ層9、キャップ層6、そして、エミッタ層5から構成される。キャップ層9は、エミッタ電極23とのコンタクト寄生抵抗を低減する上で重要である。このキャップ層9とエミッタ層5との間には、InGaAs/InP伝導帯端不連続によるエネルギ障壁が発生するが、キャップ層6を挟むことによって、このエネルギ障壁にもとづく寄生抵抗を削除することができる。
しかしながら、ここで注意すべきことは、このような層構造を用いてエミッタメサを形成する場合、エミッタ層5の途中までドライエッチングを実施し、残されたエミッタ層5を用いてレッジ部11を形成しなければならない、ということである。高濃度に不純物が添加されたキャップ層6が残ってしまうと、レッジ部11は通常のエミッタとして機能してしまうので、レッジ部11を設ける意味を失ってしまう。従って、確実にキャップ層6を除去する必要があり、自ずと、エミッタ層5の途中までエッチングを進める必要があるわけである。加えて、レッジ部11は適当に薄くしておく必要がある。レッジ部11が厚すぎると、レッジ部11を介した漏れ電流が無視できなくなり、レッジ部11の端における再結合電流の増加と電流利得の低下を招くことになる。さらに、レッジ部11の端においては、InP表面とInGaAs表面が暴露された状態で接しているので、結晶欠陥の前駆体が多数存在していることが危惧されている。このようなポイントで再結合電流が発生すると欠陥増殖を促すことになり、素子の初期劣化や経時劣化を招くことになる。すなわち、レッジ部11が厚すぎると再結合電流の抑制効果が薄れてしまい、わざわざレッジ部11を設ける意義も失われてしまうわけである。通常、レッジ部11は数十nm程度の薄さが要求されており、これを実現するには、高精度なドライエッチング技術が必要である。
さらに、素子の微細化を進めた場合、レッジ部11を高精度に形成することがますます困難になる。素子の微細化は、当然、レッジ部11の層幅の縮小を要求し、レッジ部11自体の抵抗の低下を招く。従って、レッジ部11を介する漏れ電流を抑制するためには、レッジ部11をさらに薄層化し、レッジ部11の空乏化を促進させなければならない。
特開2003−249502号公報 M.Yanagisawa, K.Kotani, T.Kawasaki,R.Yamabi, S.Yaegassi, and H.Yano, "A Robust All-Wet-Etching Process for MesaFormation of InGaAs-InP HBT Featuring High Uniformity and High Reproducibility," IEEE Transactions on Electron Devices, Vol.51, No.8, August 2004,pp.1234-1240. K.Kotani, R.Yamabi, T.Kawasaki,M.Yanagisawa, S.Yaegassi, and H.Yano, "High-Speed and Uniform Self-AlignedInGaAs/InP HBTs for 40 Gb/s Fiber Optic Communications Applications," JapaneseJournal of Applied Physics, Vol.42, Part 1, No.4B, April 2003, pp.2352-2358.
しかしながら、図12〜図14で示したHBT構造では、このような微細なレッジ部11を、高精度に形成することは極めて困難といえる。図15に、実際にドライエッチング法により加工したレッジ部11の断面図を模式的に示す。一般に、ドライエッチング法は、基板1に対して垂直なメサ面を形成しやすいものとされている。しかしながら、InPのようにインジウムを多量に含む半導体では、ドライエッチングで使用される反応性ガス(例えば、塩素など)とインジウムの反応生成物の蒸気圧が低いために、理想的なメサ形状を得ることが難しいことが知られている。例えば、図15に示すように、順メサ形状が現れたり、メサ際においてノッチなどの異常構造12が形成されたりする。順メサ形状は、実効的なレッジ部11の層幅を減少させることになるので、素子の微細化を進める上で不利となる。また、ノッチなどが形成される場合は、メサ際においてベース層4までエッチングが進行してしまう恐れがあるので、残すべきレッジ層を厚めに設定して加工する必要に迫られる。以上のような理由から、薄く狭いレッジ部11を高精度に形成することは極めて困難となる。我々の経験では、図13に示す2段階エッチング手法を用いても、再現性や均一性の観点から、レッジ部11の層厚は30nm程度までしか制御できない。
そこで、キャップ層6を用いる代わりに、トンネリング・エミッタ層構造を採用し、InPトンネルバリアをそのままレッジ層に適用する提案がなされている(特許文献1、非特許文献1、2参照)。図16は、前記提案のHBT構造(以下、単に「従来の他のHBT」という)を示す図であり、図17は、図16記載の破線A−A’部におけるキャップ層9からコレクタ層3までのバンド図である。図16に示すように、このHBT構造は、図12に示すHBT構造のエミッタ層5、キャップ層6に代えて、n型のInPからなるトンネルバリア層7、n型のInGaAsからなるエミッタ層8を用いている。このようにすれば、ウェットエッチングにより選択的にトンネルバリア層7を暴露するだけで、レッジ部16を形成することができる。従って、当然、メサ際においてノッチなどの異常構造が形成されることもなく、理想的なレッジ形状が実現されることになる。
ここで、電流輸送の観点からいえば、図16に示す従来の他のHBTは、エミッタ層8からベース層4への直接的なトンネル注入を活用することにより、InGaAs/InP伝導帯端不連続の影響を回避しているともいえる。このようにエミッタ層8からのトンネル注入を用いる場合、使用するトンネルバリア層7は、トンネル確率を確保するために十分薄くしておく必要がある。しかしながら、トンネルバリア層7の薄層化を進めると、高濃度に不純物が添加されたベース層4からの正孔トンネル注入が無視できなくなり、エミッタ注入効率の低下、すなわち、電流利得の低下を招く。また、トンネルバリア層7が薄いためにエミッタ接合容量が増大してしまい、HBTの高周波性能を劣化させてしまうという問題もある。図16に示す従来の他のHBTでは、こうした問題を解決するために、トンネルバリア層7と接するエミッタ層8の不純物濃度を低く抑えて、空乏化がトンネルバリア層7からエミッタ層8まで浸透するような層構造設計を実施している。
図16に示す従来の他のHBTは、理想的なレッジ部16を実施する上で有利ではあるが、以下に記す別の課題が懸念される。HBTの高性能化を目指した場合、電流駆動力を向上させるために動作電流密度を増大させることが必須となる。しかしながら、トンネル注入を用いて電流密度を増大させるためには、トンネルバリア層7のより一層の薄層化や高濃度化が必要となる。場合によっては、トンネルバリア層7の層厚(すなわち、レッジ部16の層厚)を数nm程度まで薄くする必要がある。しかしながら、外部ベース領域においてはInGaAs空乏層が存在していないので、行き過ぎたトンネルバリア層7の薄層化は、ベース層4からレッジ部16への正孔注入を促す危険性がある。そうなると、メサ際において再結合電流が発生し、電流利得の劣化を招くことになる。このように、トンネリング・エミッタ層構造を用いて高電流密度動作を目指した場合、層構造の設計マージンが小さく、最適なトンネルバリアとレッジ構造とを両立して実現することが困難と考えられる。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、電流利得、高周波特性が良好であり、かつ微細化することができるヘテロ接合バイポーラトランジスタを提供することを目的とする。
この目的を達成するため、本発明においては、基板上に、コレクタ層、ベース層、エミッタ層およびキャップ層が順次積層されたヘテロ接合バイポーラトランジスタにおいて、前記エミッタ層が、前記ベース層に接した第1の半導体層と前記キャップ層に接した第2の半導体層との積層構造から形成されており、前記第1の半導体層のバンドギャップが、前記第2の半導体層のバンドギャップよりも大きく、前記第1の半導体層と前記第2の半導体層とが、タイプI型のヘテロ接合を形成しており、前記第2の半導体層を構成する半導体が、不純物添加によって縮退していることを特徴とする。
この場合、前記第2の半導体層が、前記第1の半導体層に対して、ウェットエッチング法により選択的に除去できるような半導体材料によって形成されている
ことを特徴としてもよい。
この場合、前記第1の半導体層と前記第2の半導体層が、n型の半導体から構成されており、前記第1の半導体層と前記第2の半導体層のヘテロ接合界面が、InP、InAlP、InGaP、InGaAsPのいずれかと、InGaAs、InAlGaAs、GaAsSb、InGaAsSb、AlGaAsSbのいずれかによって形成されていることを特徴としてもよい。
また、前記第1の半導体層の材料としてInPが用いられており、前記第2の半導体層の材料としてInGaAsが用いられており、かつ、前記第2の半導体層の不純物濃度が1.5×1019cm−3以上であることを特徴としてもよい。
この場合、前記第1の半導体層の層厚が5nm以上10nm以下であり、かつ、前記第1の半導体層の不純物濃度が3×1018cm−3以下であることを特徴としてもよい。
また、前記第1の半導体層の層厚が10nmより大きく20nm以下であり、かつ、前記第1の半導体層の不純物濃度が6×1017cm−3以下であることを特徴としてもよい。
また、前記第1の半導体層の層厚が20nmより大きく30nm以下であり、かつ、前記第1の半導体層の不純物濃度が2×1017cm−3以下であることを特徴としてもよい。
また、前記第1の半導体層の層厚が30nmより大きく40nm以下であり、かつ、前記第1の半導体層の不純物濃度が1×1017cm−3以下であることを特徴としてもよい。
また、前記第1の半導体層の層厚が40nmより大きく50nm以下であり、かつ、前記第1の半導体層の不純物濃度が6×1016cm−3以下であることを特徴としてもよい。
これらの場合、前記第1の半導体層が、外部ベース領域におけるレッジ部を形成するために用いられていることを特徴としてもよい。
本発明に係るヘテロ接合バイポーラトランジスタにおいては、第2の半導体層から第1の半導体層に十分な量の伝導電子を注入させることが可能であるから、電流利得、高周波特性が良好であり、かつ微細化することができる。
また、第2の半導体層を、第1の半導体層に対して、ウェットエッチング法により選択的に除去できるような半導体材料によって形成したときには、容易に製造することができる。
また、第1の半導体層の材料としてInPが用いられており、第2の半導体層の材料としてInGaAsが用いられており、かつ、第2の半導体層の不純物濃度が1.5×1019cm−3以上であるときには、フェルミ準位をInGaAs/InP伝導帯端エネルギ障壁程度まで上昇させることができるから、十分な電流注入量を確保するとともに、電流利得の低下も防止することができる。
また、第1の半導体層が、外部ベース領域におけるレッジ部を形成するために用いられているときには、外部ベース領域における再結合電流を抑制することができる。
具体的には、第1の半導体層の層厚が5nm以上10nm以下であり、かつ、第1の半導体層の不純物濃度が3×1018cm−3以下であるときには、外部ベースにおける再結合電流による電流利得低下を防止することができる。
また、第1の半導体層の層厚が10nmより大きく20nm以下であり、かつ、第1の半導体層の不純物濃度が6×1017cm−3以下であるときには、外部ベースにおける再結合電流による電流利得低下を防止することができる。
また、第1の半導体層の層厚が20nmより大きく30nm以下であり、かつ、第1の半導体層の不純物濃度が2×1017cm−3以下であるときには、外部ベースにおける再結合電流による電流利得低下を防止することができる。
また、第1の半導体層の層厚が30nmより大きく40nm以下であり、かつ、第1の半導体層の不純物濃度が1×1017cm−3以下であるときには、外部ベースにおける再結合電流による電流利得低下を防止することができる。
また、第1の半導体層の層厚が40nmより大きく50nm以下であり、かつ、第1の半導体層の不純物濃度が6×1016cm−3以下であるときには、外部ベースにおける再結合電流による電流利得低下を防止することができる。
図1に、本発明に係るHBT構造の一例を示す。同図に示すように、このHBT構造は、図12に示した従来のHBTにおけるキャップ層6を用いる代わりに、エミッタ層を、高濃度に不純物添加することによって十分に縮退させたInGaAsからなるキャリア供給層13(第2の半導体層)と、層厚と不純物濃度を最適化したInPからなるバリア層14(第1の半導体層)から構成している。すなわち、ベース層4上にバリア層14が形成され、バリア層14上にキャリア供給層13が形成され、キャリア供給層13上にキャップ層9が形成されている。また、バリア層14にレッジ部15が形成され、レッジ部15上にレッジ保護膜31が形成されている。なお、その他の構成については、図11と図12に示すものと同様のため、ここでは説明を省略する。
また、HBTの作製方法を説明すると以下のようになる。まず、キャップ層9上に、Ti/Pt/Au/Pt/Tiなどからなるエミッタ電極23をリフトオフ法により形成する。次に、エミッタ電極23をマスクにして、ICP−RIE法によりキャリア供給層13の途中までエッチングする。そして、クエン酸系ウェットエッチング溶液を用いて残されたキャリア供給層13を除去し、バリア層14を暴露する。その後、バリア層14(レッジ層)表面を保護するためにシリコン窒化膜を堆積し、フォトレジストをパターニングした後に、外部ベース領域のシリコン窒化膜をRIE法により除却してレッジ保護膜31を形成する。そして、塩酸系ウェットエッチング溶液により、レッジ保護膜31をマスクに用いてバリア層14をエッチング除却し、レッジ部15を完成させる。その後、ベース電極22、コレクタメサ、コレクタ電極21を順次形成し、素子間分離エッチングにより不要なサブコレクタ層2を除却する。そして、スピン塗布法によりBCBを堆積し、RIE法を用いてエッチバックすることによって、微細なエミッタ電極23を暴露する。ベース電極22やコレクタ電極21に対しては、RIE法によりビアホールを形成し配線との導通を図る。
図2は、図1記載の破線A−A’部におけるキャップ層9からコレクタ層3までのバンド図である。エミッタ層は、キャリア供給層13とバリア層14から構成されており、バリア層14のバンドギャップがキャリア供給層13のバンドギャップよりも大きく、また、キャリア供給層13とバリア層14はタイプI型のヘテロ接合を形成している。キャリア供給層13におけるフェルミ準位を十分上昇させることができれば、キャリア供給層13とバリア層14との伝導帯端エネルギ障壁の影響は実質上消滅し、十分な量の伝導電子をバリア層14へと注入させることが可能となる。すなわち、このようなバンド構造が実現されれば、キャップ層6を、あえて設ける必要はないことになる。また、エミッタ層からの直接的なトンネル注入を活用する必要もない。
以下、本発明を実施する上で重要な、キャリア供給層13とバリア層14の最適層構造パラメータ(層厚、不純物濃度)について、詳細に調査した結果について述べる。
最初に、n型縮退InGaAsにおけるフェルミ準位が、実際、どの程度上昇しているのかを実験的に求めた結果について説明する。ここで、n型縮退InGaAsは、有機金属気相成長法(MOVPE法)や分子線エピタキシー法(MBE法)などの結晶成長技術を用いることによって比較的容易に実現できる。図3(a)は、n型InGaAsの、液体窒素温度77Kにおけるフォトルミネッセンス(PL)スペクトルを示したものである。使用した試料は、MOVPE法を用いてSiドーピングを実施することによって作製している。n型ドーピングにはSi以外にSe、Sを用いることができる。同図から、不純物濃度を増加しキャリア(電子)濃度を増加させると、PL発光ピーク波長が高エネルギ側にシフトしていく様子が分かる。これは、InGaAsにおけるフェルミ準位が伝導帯端以上に上昇し(すなわち縮退し)、その分、発光に関与する電子の遷移エネルギが増加するためである。不純物を添加していない真性InGaAsからの発光スペクトル(図3(a)において、キャリア濃度が、n=2.1×1013cm−3のもの)と比較すれば、縮退したInGaAsのフェルミ準位がどの程度まで上昇しているかを見積もることができる。図3(b)に、このようにして見積もったフェルミ準位を、キャリア濃度の関数としてプロットしたものを示す。例えば、キャリア濃度が1.5×1019cm−3程度あれば、フェルミ準位は、InGaAs/InP伝導帯端エネルギ障壁(約240mV)程度まで上昇することが分かる。この発見は、まさしく、図2に示すバンド構造を実現できることを支持している。
次に、キャリア供給層13の電子濃度がどの程度あれば実用的なHBT特性を実現することができるか、シミュレーションを用いて明らかにした結果について説明する。図4は、シミュレーションで用いた代表的なモデルパラメータである。ここでは、InGaAs組成としてInPに格子整合する値を用いているが、InGaAs層厚が薄ければ格子緩和が生じない範囲でInGaAs組成を変化させることができる。あるいは、基板1上に格子緩和させたバッファ層を形成し、その上にHBT層構造を積層すれば、比較的広い範囲でInGaAs組成を変化させることもできる。図5(a)、(b)に、キャリア供給層13における伝導帯端からのフェルミ準位上昇が70mV、あるいは、240mVのときの電流輸送特性(ガンメル・プロット)と電流利得特性を示す。ここで、バリア層厚を50nm、バリア不純物濃度を1×1016cm−3と仮定している。同図から、フェルミ準位上昇が小さい場合は、コレクタ電流注入が十分ではなく、かつ、電流利得も小さいことが分かる。これは、フェルミ準位上昇が小さいと、電流注入が伝導帯端障壁における電子輸送に律則されてしまい、十分な伝導電子をバリア層14に供給することができないためである。ある意味、伝導帯端障壁が原因で非線形な寄生抵抗が働いている状態ともいえる。また、電流利得が小さい理由は、伝導電子がレッジ部15に対して感じるエネルギ障壁が、エミッタメサ内部のバリア層14に対して感じるエネルギ障壁よりも十分大きな値となっていないために、キャリア供給層13からレッジ部15への電流注入が相対的に増加し、レッジ部15の端や外部ベース領域における再結合電流が無視できなくなるためである。
図6(a)、(b)は、ベース/エミッタ間に印加される電圧が0.95Vにおけるコレクタ電流密度と、低電流領域(電流密度0.1mA/μm)における電流利得を、キャリア供給層13におけるフェルミ準位上昇量の関数としてプロットしたものである。同図から、フェルミ準位の上昇とともに電流注入量と電流利得は増加し、フェルミ準位が伝導帯端障壁を超えると、電流注入量と電流利得は飽和する様子が伺える。上述したように、フェルミ準位上昇が小さい領域では、電流注入はキャリア供給層13とバリア層14との界面における電子輸送に律則され、電流利得はキャリア供給層13からレッジ部15への漏れ電流に律則されることになる。フェルミ準位上昇が十分大きくなると、電流注入は、バリア層14に注入された伝導電子のベース層4への熱電子放出やトンネル注入に律則されるようになり、単純に、ベース/エミッタ接合間の内蔵電位に依存して決定されるようになる。また、フェルミ準位上昇が大きくなると、伝導電子がレッジ層に対して感じるエネルギ障壁が相対的に高くなるために、レッジ層への漏れ電流が抑制される。その結果、電流利得は、エミッタメサ内部の中性領域における再結合電流で決定されるようになる。ちなみに、フェルミ準位が伝導帯端障壁を超えても電流注入量が微増しているのは、バリア層14からベース層4へのトンネル注入成分が増加するためである。フェルミ準位が伝導帯端障壁を超えると、フェルミ準位近傍にある電子がバリア層14に染み込むため、実効的なバリア層14の層厚が若干縮小するわけである。以上をまとめると、実用的な電流注入特性と電流利得特性を得るには、フェルミ準位を、InGaAs/InP伝導帯端障壁(約240mV)以上まで上昇させる必要がある。これは、キャリア供給層13の不純物濃度を、1.5×1019cm−3以上にすれば達成される。なお、シミュレーション上は、フェルミ準位上昇の上限値については明確な制限はない。もっとも、経験的には、4×1019cm−3以上のドーピングを行うと結晶品質が劣化しキャリアが補償されてしまうことが分かっている。従って、実際は、フェルミ準位上昇量としては、400mV程度が上限ということになる。フェルミ準位を確実に伝導帯端障壁以上まで上昇させ、かつ、高濃度ドーピングによる結晶品質劣化を回避するためには、(2〜3)×1019cm−3程度の不純物濃度を用いることが望ましいことになる。
次に、バリア層14をレッジ層に併用した場合、再結合電流を抑制する上で有効な層構造パラメータを提示する。図7(a)、(b)は、バリア層14の層厚が30nm、バリア層14の不純物濃度が1×1017、1×1018、あるいは、5×1018cm−3の場合の電流輸送特性(ガンメル・プロット)と電流利得性を示したものである。ここで、キャリア供給層13におけるフェルミ準位上昇を240mV(不純物濃度1.5×1019cm−3に対応)と仮定している。同図から、バリア層14の不純物濃度が増加すると、コレクタ電流曲線が低電圧側にシフトし、同時に、電流利得も低下することが分かる。コレクタ電流曲線が低電圧側にシフトするのは、不純物濃度の増加によってベース/エミッタ間内蔵電位が低下するためである。また、電流利得が低下するのは、不純物濃度の増加とともにレッジ部15の空乏化が不十分となり、レッジ部15を介した漏れ電流が発生するためである。
図8は、バリア層14の層厚が10、20、30、40、あるいは、50nmのHBTについて、低電流領域(電流密度0.1mA/μm)における電流利得を、バリア層不純物濃度の関数としてプロットしたものである。例えば、図7と同様、バリア層14の層厚が30nmの場合についてみると、不純物濃度が2×1017cm−3までは高い電流利得が確保されており、レッジ機能が有効に働いていることが分かる。しかしながら、不純物濃度が2×1017cm−3を超えると電流利得は減少傾向を呈するようになる。これは、不純物濃度の増加とともにレッジ部15の空乏化が不十分となり、レッジ部15を介した漏れ電流が発生するためである。ちなみに、電流利得の低下は、不純物濃度が1×1018cm−3程度で一旦緩やかになるが、不純物濃度が3×1018cm−3を超えると再び顕著な減少傾向を呈するようになる。電流利得の低下が一旦緩やかになるのは、レッジ部15の層厚が限られているために、レッジ部15を介した漏れ電流量が飽和傾向を示すためである。そして、高濃度領域において再び電流利得が低下するのは、レッジ部15に中性領域が出現する結果、レッジ部15がエミッタメサ内部のバリア層14と同様の役割を果たすようになり、レッジ機能が完全に消失してしまうためである。このとき、エミッタ層の空乏化領域(あるいは、空間電荷領域)は、バリア層14の層厚ではなくバリア層14の不純物濃度によって決定される。
以上をまとめると、バリア層14の不純物濃度には許容上限が存在し、具体的には以下の様にまとめられる。
(1)バリア層14の層厚が10nm以下の場合は、不純物濃度は3×1018cm−3以下、
(2)バリア層14の層厚が20nm以下の場合は、不純物濃度は6×1017cm−3以下
(3)バリア層14の層厚が30nm以下の場合は、不純物濃度は2×1017cm−3以下
(4)バリア層14の層厚が40nm以下の場合は、不純物濃度は1×1017cm−3以下、
そして、
(5)バリア層14の層厚が50nm以下の場合は、不純物濃度は6×1016cm−3以下
にするのが望ましい。
ちなみに、バリア層14の層厚が50nmよりも大きい場合は、レッジ部15が厚くなりすぎる結果、レッジ機能が効果的に働かなくなる。この様子は、図8において、不純物濃度1×1016cm−3における電流利得が、レッジ部15の層厚の増加とともに減少していく様子からも伺い知ることができる。従って、バリア層14の層厚を50nm以下にするのが望ましい。また、バリア層14の層厚が5nmよりも小さい場合は、レッジ部15において、ベース層4からの正孔注入とそれによる電流利得劣化が懸念されるようになる。従って、バリア層14の層厚は5nm以上が望ましいことになる。
実際に本発明を用いる場合、最適なバリア層14の構造パラメータをどのように決定すればよいか、一例を紹介しておく。まず、HBTを回路に応用する上で重要な動作電流密度を決めておく。この動作電流密度は、実現すべき回路の動作速度や消費電力、さらには、HBT素子の(予想)性能などから決定されることになる。HBTの高周波性能を最大源に引き出すためには、設定した動作電流密度において、電流利得遮断周波数fが最大値を示すように各層構造を決定すればよい。エミッタ層に関していえば、バリア層14が厚すぎると、比較的低い電流密度領域でも、空間電荷の影響でエミッタ接合容量が急激に増加したり、あるいは、微分コンダクタンスが飽和傾向を示したりする。よって、電流注入によるエミッタ充電時間の短縮効果が緩慢となり、fピークを与える電流密度は低く抑えられる。逆に、バリア層14が薄すぎると、全体的にエミッタ接合容量は高くなるものの、比較的高い電流密度領域まで空間電荷の影響が現れなくなり、高電流注入による接合容量の増大効果が回避される。また、微分コンダクタンスも減少し続けることになる。その結果、fピークを与える電流密度は高くなってしまう。このように、あらかじめ設定した動作電流密度に対して、最適なバリア層14の層厚が存在することになるわけである。我々が実施したシミュレーションや実験結果から、例えば、fピークが得られる電流密度として1.5mA/μmを設定すると、バリア層14の層厚は50nm程度が最適となる。また、5mA/μmを設定すると25nm程度が最適となり、10mA/μmを設定すると15nm程度が最適となる。さらに、10mA/μmを超える超高電流密度動作を実現する場合は、10nm程度のバリア層14の層厚が最適となる。バリア層14の層厚が決定すれば、バリア層14の不純物濃度は、前述した許容上限よりも小さくなるように設定すればよい。もしHBTに対して高信頼性動作を強く求めるのならば、レッジ機能を最大限に高めるために、バリア層14の不純物濃度を低くしておくことが望ましい。あるいは、例えば、回路の動作速度マージンを向上させるために、HBTの最大電流注入量を大目に取っておきたいのならば、バリア層14の不純物濃度を高めに設定すればよい。不純物を添加すると、静電効果により、バリア層14の伝導電子のトンネル注入量を増加させることができる。概算では、不純物添加を実施しない場合に比べて、電流注入量を数十%程度まで増加させることが可能である。
図9に、本発明を用いて実際に作製したHBTの電流輸送特性(ガンメル・プロット)を示す。ここで、作製したHBTの素子構造パラメータは、図4に記載されている値と同じである。ただし、キャリア供給層13の不純物濃度は3×1019cm−3、バリア層14の層厚は25nmとしている。さらに、バリア層14には意図的な不純物添加は施しておらず、残留不純物濃度は1×1016cm−3程度である。図9に示す電流輸送特性から、本発明を用いて作製したHBTは、10mA/μm以上の高電流密度注入が可能であり、キャリア供給層13とバリア層14との界面におけるInGaAs/InP伝導帯端障壁が、寄生抵抗として働いていないことが分かる。これは、高濃度n型縮退InGaAsのキャリア供給層13の有効性を直接証明するものである。
図10(a)には、本発明を用いて作製したHBTの電流利得性を示す。レッジ部15の幅として0.2μmと0.5μmのものを示している。さらに同図(b)には、本発明の有用性が分かるように、図12や図14に示す従来のHBT構造の電流利得特性を示している。ここで、従来のHBTのエミッタ層5は、層厚40nm、不純物濃度4×1017cm−3であり、キャップ層9とエミッタ層5との間に、層厚20nm、不純物濃度2×1019cm−3のキャップ層6を設けている。また、レッジ部11の層厚は30nm程度としている。同図から、従来のHBTでは、レッジ部11の幅の縮小とともに電流利得特性が劣化していることが分かる。これに対して、本発明によるHBTでは、レッジ部15の幅が0.5μmから0.2μmに縮小しても顕著な劣化が現れていない。これは、本発明によるHBTでは、レッジ層構造が意図したとおりに実現されており、かつ、再結合電流に対する抑制効果が優れていることを実証している。すなわち、本発明によるHBTは、素子微細化に対して有利であることを意味している。
本発明は上記のとおり、キャップ層6やトンネリング・エミッタ層構造を用いる代わりに、エミッタ層を、高濃度に不純物添加することによって十分に縮退させたInGaAsのキャリア供給層13と、層厚と不純物濃度を最適化したInPのバリア層14から構成している。そして、バリア層14をそのままレッジ層として活用している。このようにすれば、ウェットエッチングにより選択的にバリア層14を暴露するだけで、理想的なレッジ部15を形成することができる。また、エミッタ電流輸送が、エミッタ層からの直接的なトンネル注入ではなく、バリア層14に注入された伝導電子の熱電子放出やトンネル注入によって実現されるため、高電流密度動作を図る上で有利となる。その結果、バリア層14の設計パラメータに対する自由度が高くなり、最適なバリア層14とレッジ部15を両立して実現することが可能となる。すなわち、HBTの用途に応じて、バリア層14の層厚を比較的広い範囲で選択することが可能である。
従来、キャップ層6を設けないと、伝導帯端エネルギ障壁に基づく寄生抵抗が生じてしまい、HBTの高電流注入特性や電流駆動力が劣化するものと懸念されていた。しかしながら、InGaAsは、電子有効質量が小さいために比較的低いキャリア濃度でも縮退してしまうことから、さらにキャリア濃度を増加すれば、フェルミ準位が伝導帯端障壁に匹敵するほど上昇することが期待される。本発明は、この点に着目し、n型縮退InGaAsにおけるフェルミ準位を実験的に求め、さらに、2次元デバイスシミュレータ(Synopsys社製TCAD(Technology Computer Aided Design))を使用することによって、実用的な高電流注入特性と優れたレッジ機能(再結合電流の抑制効果)を併せ持つエピタキシャル層構造パラメータを提供する。
上述した実施の形態から、ウェットエッチングにより選択的にバリア層14を暴露するだけで、優れたレッジ機能(再結合電流の抑制効果)を発揮することができ、また、エミッタ電流輸送が、バリア層14に注入された伝導電子の熱電子放出やトンネル注入によって実現されるため、実用的な高電流注入特性を有するという本発明によるHBT層構造の効果が分かる。本発明を用いることによって理想的なレッジ部15が得られ、レッジ機能を損なうことなく素子の微細化を進めることが可能となる。すなわち、薄層化、微細化、高信頼化を両立させる上で有利となる。また、本発明によるHBT層構造は、高電流密度注入による高速動作を図る上でも有利となる。
また、キャリア供給層13が、バリア層14に対して、ウェットエッチング法により選択的に除去できるような半導体材料によって形成されているから、HBTを容易に製造することができる。
なお、本発明では、超高速回路を実現する上で有望なnpn型InP/InGaAs系HBTについて詳細に述べたが、同様な効果は、ベース層に狭バンドギャップ材料であるGaAsSb系材料を用いた、InP/GaAsSb系HBTに対しても有効である。この場合も、本発明で示したInGaAs/InPエミッタ層構造をそのまま適用することができる。
さらに、本発明では、バリア層14の材料にInPを、また、キャリア供給層13の材料にInGaAsを用いた場合について詳細に述べたが、同様な効果は、バリア層材料にInAlP、InGaP、あるいは、InGaAsPを用いた場合に対しても有効である。また、キャリア供給層材料にInAlGaAs、GaAsSb、InGaAsSb、あるいは、AlGaAsSbを用いた場合に対しても有効である。
また、本発明は上述した実施の形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは勿論である。
本発明に係るHBTの構造を示す図である。 本発明に係るHBTのバンド図である。 n型InGaAsのフォトルミネッセンスのスペクトルとフェルミ準位を示す図である。 本発明に係るHBTにおけるモデルパラメータを示す図である。 本発明に係るHBTのシミュレーション結果を示す図である。 本発明に係るHBTのシミュレーション結果を示す図である。 本発明に係るHBTのシミュレーション結果を示す図である。 本発明に係るHBTのシミュレーション結果を示す図である。 実際に作製した、本発明に係るHBTの測定結果を示す図である。 実際に作製した、本発明に係るHBTと従来のHBTの測定結果を示す図である。 従来のHBTの構造を示す図である。 従来のHBTのエミッタメサ領域を示す図である。 従来のHBTの製造工程を示す図である。 従来のHBTのバンド図である。 従来のHBTのエミッタメサ領域を拡大した図である。 従来の他のHBTのエミッタメサ領域を示す図である。 従来の他のHBTのバンド図である。
符号の説明
1…基板
2…サブコレクタ層
3…コレクタ層
4…ベース層
5…エミッタ層
6…キャップ層
7…トンネルバリア層
8…エミッタ層
9…キャップ層
11…レッジ部
12…異常構造
13…キャリア供給層(第2の半導体層)
14…バリア層(第1の半導体層)
15…レッジ部
16…レッジ部
21…コレクタ電極
22…ベース電極
23…エミッタ電極
31…レッジ保護膜
32…絶縁保護膜

Claims (10)

  1. 基板上に、コレクタ層、ベース層、エミッタ層およびキャップ層が順次積層されたヘテロ接合バイポーラトランジスタにおいて、
    前記エミッタ層が、前記ベース層に接した第1の半導体層と前記キャップ層に接した第2の半導体層との積層構造から形成されており、
    前記第1の半導体層のバンドギャップが、前記第2の半導体層のバンドギャップよりも大きく、
    前記第1の半導体層と前記第2の半導体層とが、タイプI型のヘテロ接合を形成しており、
    前記第2の半導体層を構成する半導体が、不純物添加によって縮退している
    ことを特徴とするヘテロ接合バイポーラトランジスタ。
  2. 請求項1記載のヘテロ接合バイポーラトランジスタにおいて、
    前記第2の半導体層が、前記第1の半導体層に対して、ウェットエッチング法により選択的に除去できるような半導体材料によって形成されている
    ことを特徴とするヘテロ接合バイポーラトランジスタ。
  3. 請求項2記載のヘテロ接合バイポーラトランジスタにおいて、
    前記第1の半導体層と前記第2の半導体層が、n型の半導体から構成されており、
    前記第1の半導体層と前記第2の半導体層のヘテロ接合界面が、
    InP、InAlP、InGaP、InGaAsPのいずれかと、
    InGaAs、InAlGaAs、GaAsSb、InGaAsSb、AlGaAsSbのいずれかによって形成されている
    ことを特徴とするヘテロ接合バイポーラトランジスタ。
  4. 請求項2記載のヘテロ接合バイポーラトランジスタにおいて、
    前記第1の半導体層の材料としてInPが用いられており、
    前記第2の半導体層の材料としてInGaAsが用いられており、かつ、
    前記第2の半導体層の不純物濃度が1.5×1019cm−3以上である
    ことを特徴とするヘテロ接合バイポーラトランジスタ。
  5. 請求項4記載のヘテロ接合バイポーラトランジスタにおいて、
    前記第1の半導体層の層厚が5nm以上10nm以下であり、かつ、前記第1の半導体層の不純物濃度が3×1018cm−3以下である
    ことを特徴とするヘテロ接合バイポーラトランジスタ。
  6. 請求項4記載のヘテロ接合バイポーラトランジスタにおいて、
    前記第1の半導体層の層厚が10nmより大きく20nm以下であり、かつ、前記第1の半導体層の不純物濃度が6×1017cm−3以下である
    ことを特徴とするヘテロ接合バイポーラトランジスタ。
  7. 請求項4記載のヘテロ接合バイポーラトランジスタにおいて、
    前記第1の半導体層の層厚が20nmより大きく30nm以下であり、かつ、前記第1の半導体層の不純物濃度が2×1017cm−3以下である
    ことを特徴とするヘテロ接合バイポーラトランジスタ。
  8. 請求項4記載のヘテロ接合バイポーラトランジスタにおいて、
    前記第1の半導体層の層厚が30nmより大きく40nm以下であり、かつ、前記第1の半導体層の不純物濃度が1×1017cm−3以下である
    ことを特徴とするヘテロ接合バイポーラトランジスタ。
  9. 請求項4記載のヘテロ接合バイポーラトランジスタにおいて、
    前記第1の半導体層の層厚が40nmより大きく50nm以下であり、かつ、前記第1の半導体層の不純物濃度が6×1016cm−3以下である
    ことを特徴とするヘテロ接合バイポーラトランジスタ。
  10. 請求項1乃至9のいずれかに記載のヘテロ接合バイポーラトランジスタにおいて、
    前記第1の半導体層が、外部ベース領域におけるレッジ部を形成するために用いられている
    ことを特徴とするヘテロ接合バイポーラトランジスタ。
JP2007327063A 2007-12-19 2007-12-19 ヘテロ接合バイポーラトランジスタ Active JP5133043B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007327063A JP5133043B2 (ja) 2007-12-19 2007-12-19 ヘテロ接合バイポーラトランジスタ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007327063A JP5133043B2 (ja) 2007-12-19 2007-12-19 ヘテロ接合バイポーラトランジスタ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009152278A true JP2009152278A (ja) 2009-07-09
JP5133043B2 JP5133043B2 (ja) 2013-01-30

Family

ID=40921106

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007327063A Active JP5133043B2 (ja) 2007-12-19 2007-12-19 ヘテロ接合バイポーラトランジスタ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5133043B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012151340A (ja) * 2011-01-20 2012-08-09 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> ヘテロ接合バイポーラトランジスタ

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6247157A (ja) * 1985-08-27 1987-02-28 Nec Corp 半導体装置
JPH05243256A (ja) * 1992-03-02 1993-09-21 Matsushita Electric Ind Co Ltd ヘテロ接合バイポーラトランジスタおよびその製造方法
JP2005093976A (ja) * 2003-08-08 2005-04-07 Nec Corp ヘテロ接合バイポーラトランジスタ及びその製造方法

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6247157A (ja) * 1985-08-27 1987-02-28 Nec Corp 半導体装置
JPH05243256A (ja) * 1992-03-02 1993-09-21 Matsushita Electric Ind Co Ltd ヘテロ接合バイポーラトランジスタおよびその製造方法
JP2005093976A (ja) * 2003-08-08 2005-04-07 Nec Corp ヘテロ接合バイポーラトランジスタ及びその製造方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012151340A (ja) * 2011-01-20 2012-08-09 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> ヘテロ接合バイポーラトランジスタ

Also Published As

Publication number Publication date
JP5133043B2 (ja) 2013-01-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20050121695A1 (en) Semiconductor device with Schottky electrode including lanthanum and boron, and manufacturing method thereof
JP4439955B2 (ja) 半導体装置及び半導体レーザ装置の製造方法
JP2010016089A (ja) 電界効果トランジスタ、その製造方法、及び半導体装置
JP6348451B2 (ja) ヘテロ接合バイポーラトランジスタ
EP0575247A1 (fr) Procédé de réalisation de transistor bipolaire à hétérojonction et transistor obtenu
JP4794899B2 (ja) ヘテロ接合バイポーラトランジスタ
Mochizuki et al. GaInP/GaAs collector-up tunneling-collector heterojunction bipolar transistors (C-up TC-HBTs): Optimization of fabrication process and epitaxial layer structure for high-efficiency high-power amplifiers
JP5133043B2 (ja) ヘテロ接合バイポーラトランジスタ
JP2687897B2 (ja) 電界効果型トランジスタ及びその製造方法
JP5329315B2 (ja) ヘテロ接合バイポーラトランジスタ
JP3345293B2 (ja) ヘテロ接合型バイポーラトランジスタ
JP2005251820A (ja) ヘテロ接合型電界効果トランジスタ
JP2001077204A (ja) 半導体集積回路とその製造方法
JP2010183054A (ja) ヘテロ接合バイポーラトランジスタ及びその製造方法
JP2011228720A (ja) 半導体装置
JP3688952B2 (ja) ヘテロ接合バイポーラトランジスタ集積化受光回路及びその製造方法
Hsin et al. Electron saturation velocity of GaInP deduced in a GaInP/GaAs/GaInP double heterojunction bipolar transistor
JP2010287603A (ja) 化合物半導体素子及びその製造方法
JP5681031B2 (ja) ヘテロ接合バイポーラトランジスタ
JP2013030604A (ja) 電界効果トランジスタ
JP5701805B2 (ja) 窒化物半導体ショットキダイオードの製造方法
JP2005159112A (ja) 半導体装置および半導体装置の製造方法
KR102008460B1 (ko) 초정렬 바이폴라 트랜지스터의 제조방법
JP5946136B2 (ja) ヘテロ接合バイポーラトランジスタおよびその製造方法
JP5519542B2 (ja) ヘテロ接合バイポーラトランジスタ

Legal Events

Date Code Title Description
RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20090527

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20090527

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100113

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120525

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20120530

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20120530

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120605

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120724

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20121106

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20121107

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151116

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 5133043

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350