JP2009152247A - 接合方法、接合体、半導体装置および光電変換素子。 - Google Patents

接合方法、接合体、半導体装置および光電変換素子。 Download PDF

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Abstract

【課題】接合される部材の構成材料によらず、比較的低温下で、2つの部材同士を高い寸法精度で強固に接合可能な接合方法、かかる接合方法により、2つの部材同士を強固に接合してなる接合体および半導体装置、および、前記半導体装置を備え、光電変換効率が高く容易に製造可能な光電変換素子を提供すること。
【解決手段】本発明の接合方法は、第1の基材21と第1の接合膜31とを備える第1の被着体41と、第2の基材22と第2の接合膜32とを備える第2の被着体42とを用意する工程と、各接合膜31、32にエネルギーを付与して、表面のSi−H結合を切断することにより、各接合膜31、32に接着性を発現させる工程と、各接合膜31、32同士が密着するように、第1の被着体41と第2の被着体42とを貼り合わせ、接合体を得る工程とを有する。各接合膜31、32は、それぞれSi−H結合を含むアモルファスシリコンで構成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、接合方法、接合体、半導体装置および光電変換素子に関する。
2つの部材(基材)同士を接合(接着)する際には、従来、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤、シリコーン系接着剤等の接着剤を用いて行う方法が多く用いられている。
接着剤は、種々の材料で構成された部材同士を、様々な組み合わせで接着することができる。
例えば、インクジェットプリンタが備える液滴吐出ヘッド(インクジェット式記録ヘッド)は、樹脂材料、金属材料、シリコン系材料等の異種材料で構成された部品同士を、接着剤を用いて接着することにより構成されている。
このように接着剤を用いて部材同士を接着する際には、液状またはペースト状の接着剤を接着面に塗布し、塗布された接着剤を介して部材同士を貼り合わせる。その後、熱または光の作用により接着剤が硬化すると、部材同士がアンカー効果のような物理的相互作用や、化学結合のような化学的相互作用に基づいて接着される。
ところが、部材の接着面に接着剤を塗布する際には、印刷法等の煩雑な方法を用いる必要がある。
また、接着面の一部の領域に対して選択的に接着剤を塗布する場合、塗布された接着剤の位置精度や厚さを制御することは、極めて困難である。このため、接着剤では、例えば、前述の液滴吐出ヘッドにおいて、部品の接着面の一部を選択的に、高い寸法精度で接着することができず、プリンタの印字結果に悪影響を及ぼす等の問題を引き起こすおそれがある。
また、接着剤の硬化時間が非常に長くなるため、接着に長時間を要するという問題もある。
さらに、多くの場合、接着強度を高めるためにプライマーを用いる必要があり、そのためのコストと手間が接着工程を複雑化している。
一方、接着剤を用いない接合方法として、固体接合による方法がある。
固体接合は、接着剤等の中間層が介在することなく、部材同士を直接接合する方法である(例えば、特許文献1参照)。
このような固体接合によれば、接着剤のような中間層を用いないので、寸法精度の高い接合体を得ることができる。
しかしながら、部材の材質に制約があるという問題がある。具体的には、一般に、固体接合は、同種材料同士の接合しか行うことができない。また、接合可能な材料は、シリコン系材料や一部の金属材料等に限られている。
また、固体接合を行う雰囲気が減圧雰囲気に限られる上、高温(700〜800℃程度)の熱処理を必要とする等、接合プロセスにおける問題もある。
さらに、固体接合では、2つの部材の各接合面のうち、互いに接触している面全体が接合してしまい、一部を部分的に接合することができない。したがって、例えば、熱膨張率の異なる異種材料同士を接合面全体で接合する場合、熱膨張率差に伴って接合界面に大きな応力が発生し、接合体の反りや剥離等の問題を引き起こすおそれがある。
特開平5−82404号公報
本発明は、接合される部材の構成材料によらず、比較的低温下で、2つの部材同士を高い寸法精度で強固に接合可能な接合方法、かかる接合方法により、2つの部材同士を強固に接合してなる接合体および半導体装置、および、前記半導体装置を備え、光電変換効率が高く容易に製造可能な光電変換素子を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の接合方法は、各々、基材と、該基材上の少なくとも一部の領域に設けられ、Si−H結合を含むアモルファスシリコンで構成された接合膜とを備える第1の被着体および第2の被着体を用意する第1の工程と、
前記各接合膜のうち、少なくとも一部の所定領域に対してエネルギーを付与して、前記各接合膜の表面の前記Si−H結合を切断することにより、前記各接合膜に接着性を発現させる第2の工程と、
前記各接合膜の前記所定領域同士が密着するように、前記第1の被着体と前記第2の被着体とを貼り合わせ、接合体を得る第3の工程とを有することを特徴とする。
これにより、接合される部材の構成材料によらず、比較的低温下で、2つの部材同士を高い寸法精度で強固に接合することができる。また、2つの部材間に半導体素子を構築することができる。
本発明の接合方法では、前記接合膜は、シラン系ガスを主成分とする原料ガスを用い、水素雰囲気下において化学蒸着法によって形成されたものであることが好ましい。
これにより、各接合膜に水素原子が均一に分布することができる。この水素原子は、アモルファスシリコン中のダングリングボンド(未結合手)を終端化する。その結果、各接合膜は、接合に寄与するSi−H結合を均一に含有するとともに、膜中においてキャリア移動度が向上し、各接合膜の半導体としての特性をより高めることができる。
本発明の接合方法では、前記シラン系ガスは、モノシランガスであることが好ましい。
これにより、緻密で十分な接着性を発現し得るアモルファスシリコン膜を効率よく形成することができる。
本発明の接合方法では、前記接合膜は、アモルファスシリコンで構成された膜に対し、フッ酸含有液によるエッチングおよび水素プラズマ処理のうちの少なくとも一方を施してなるものであることが好ましい。
これにより、各接合膜により多くのSi−H結合を付加することができ、各接合膜の表面に露出するSi−H結合の数がより多くなる。その結果、たとえ水素の含有率が低い膜に対しても、十分な数のSi−H結合を付与し、各接合膜に十分な接着性を発現させることができる。
本発明の接合方法では、前記接合膜中の水素原子の含有率は、1〜40原子%であることが好ましい。
これにより、各接合膜中のSi−H結合の含有率が最適化されるので、各接合膜に、部材間の接合に必要かつ十分な接着性を発現させるとともに、各接合膜のダングリングボンドが確実に終端化され、優れた半導体特性を示すものとなる。
本発明の接合方法では、前記接合膜の平均厚さは、10nm〜10μmであることが好ましい。
これにより、接合体の寸法精度が著しく低下するのを防止しつつ、2つの部材をより強固に接合することができる。
本発明の接合方法では、前記第2の工程において、前記各接合膜の一部の所定領域に対してエネルギーを付与し、
前記第3の工程において、前記各接合膜の前記所定領域同士が重なり合うように、前記第1の被着体と前記第2の被着体とを貼り合わせ、これらを部分的に接合することが好ましい。
これにより、一部の領域のみを選択的に接合することができる。そして、所定領域を制御することのみで、接合される領域を簡単に選択することができる。その結果、接合部の面積や形状を制御することによって、接合体の接合強度を容易に調整することができる。また、接合部の面積や形状を制御することにより、接合部に生じる応力の局所集中を緩和することができる。
本発明の接合方法では、前記接合膜に対するエネルギーの付与は、前記接合膜にエネルギー線を照射する方法、前記接合膜を加熱する方法、および前記接合膜に圧縮力を付与する方法のうちの少なくとも1つの方法により行われることが好ましい。
これにより、接合膜に対して比較的簡単に効率よくエネルギーを付与することができる。
本発明の接合方法では、前記エネルギー線は、波長126〜300nmの紫外線であることが好ましい。
これにより、付与されるエネルギー量が最適化されるので、各接合膜中の骨格をなす分子結合が必要以上に破壊されるのを防止しつつ、各接合膜においてSi−H結合を選択的に切断することができる。その結果、Si−Si結合が不本意に切断されるのを防止しつつ、各接合膜に接着性を確実に発現させることができる。
本発明の接合方法では、前記加熱の温度は、25〜100℃であることが好ましい。
これにより、各基材が熱によって変質・劣化するのを確実に防止しつつ、各接合膜を確実に活性化させることができる。
本発明の接合方法では、前記圧縮力は、0.2〜100MPaであることが好ましい。
これにより、単に圧縮するのみで、各接合膜に対して適度なエネルギーを簡単に付与することができ、各接合膜に十分な接着性を発現させることができる。
本発明の接合体は、本発明の接合方法により、2つの基材を接合してなることを特徴とする。
これにより、2つの部材を強固に接合してなる接合体が得られる。
本発明の半導体装置は、前記第1の被着体が備える前記接合膜は、Si−H結合を含むp型のアモルファスシリコンで構成されており、前記第2の被着体が備える前記接合膜は、Si−H結合を含むn型のアモルファスシリコンで構成されており、
これらの前記第1の被着体と前記第2の被着体とが、本発明の接合方法により接合されたことにより、前記第1の被着体と前記第2の被着体との接合界面が、pn接合になっていることを特徴とする。
これにより、pn接合の密着性が高くなり、接合界面におけるキャリア(電子または正孔)移動が妨げられることが抑制される。その結果、整流性を示すダイオードとして機能する半導体素子が得られる。
本発明の半導体装置は、前記第1の被着体が備える前記接合膜は、Si−H結合を含むp型のアモルファスシリコンまたはSi−H結合を含むn型のアモルファスシリコンで構成されており、前記第2の被着体が備える前記接合膜は、Si−H結合を含むi型のアモルファスシリコンで構成されており、
これらの前記第1の被着体と前記第2の被着体とが、本発明の接合方法により接合されたことにより、前記第1の被着体と前記第2の被着体との接合界面が、pi接合またはni接合になっていることを特徴とする。
これにより、pi接合およびni接合の密着性が高くなり、接合界面におけるキャリア(電子または正孔)移動が妨げられることが抑制される。その結果、例えば、感度に優れ、容易に作製可能なフォトダイオード(半導体素子)が得られる。
本発明の光電変換素子は、本発明の半導体装置を備えることを特徴とする。
これにより、製造が容易で、かつ光電変換効率の高い光電変換素子が得られる。
以下、本発明の接合方法、接合体、半導体装置および光電変換素子を添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
<接合方法>
≪第1実施形態≫
まず、本発明の接合方法の第1実施形態について説明する。
図1ないし図4は、それぞれ本発明の接合方法の第1実施形態を説明するための模式図(縦断面図)である。なお、以下の説明では、図1ないし図4中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
本発明の接合方法は、第1の基材21と第2の基材22とを、水素化アモルファスシリコン(Si−H結合を含むアモルファスシリコン)で構成された接合膜31、32を介して接合する方法である。
具体的には、本発明の接合方法は、[1]第1の基材21と第1の接合膜31とを備える第1の被着体41と、第2の基材22と第2の接合膜32とを備える第2の被着体42とを用意する第1の工程と、[2]各接合膜31、32にエネルギーを付与して、各接合膜31、32の表面のSi−H結合を切断することにより、各接合膜31、32に接着性を発現させる第2の工程と、[3]各接合膜31、32同士が密着するように、第1の被着体41と第2の被着体42とを貼り合わせ、接合体1を得る第3の工程とを有する。以下、各工程について順次説明する。
[1]まず、第1の基材21および第2の基材22を用意する。
このような第1の基材21および第2の基材22の各構成材料は、それぞれ特に限定されないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン、環状ポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、アイオノマー、アクリル系樹脂、ポリメチルメタクリレート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリオキシメチレン、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキサンテレフタレート(PCT)等のポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンオキシド、変性ポリフェニレンオキシド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、その他フッ素系樹脂、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、アラミド系樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン樹脂、ポリウレタン等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等の樹脂系材料、Fe、Ni、Co、Cr、Mn、Zn、Pt、Au、Ag、Cu、Pd、Al、W、Ti、V、Mo、Nb、Zr、Pr、Nd、Smのような金属、またはこれらの金属を含む合金、炭素鋼、ステンレス鋼、インジウム錫酸化物(ITO)、ガリウムヒ素のような金属系材料、単結晶シリコン、多結晶シリコン、非晶質シリコンのようなシリコン系材料、ケイ酸ガラス(石英ガラス)、ケイ酸アルカリガラス、ソーダ石灰ガラス、カリ石灰ガラス、鉛(アルカリ)ガラス、バリウムガラス、ホウケイ酸ガラスのようなガラス系材料、アルミナ、ジルコニア、フェライト、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化チタン、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、炭化タングステンのようなセラミックス系材料、グラファイトのような炭素系材料、またはこれらの各材料の1種または2種以上を組み合わせた複合材料等が挙げられる。
また、第1の基材21および第2の基材22は、それぞれ、その表面に、Niめっきのようなめっき処理、クロメート処理のような不働態化処理、または窒化処理等を施したものであってもよい。
なお、第1の基材21の構成材料と第2の基材22の構成材料とは、それぞれ同じでも、異なっていてもよい。
また、第1の基材21の熱膨張率と第2の基材22の熱膨張率は、ほぼ等しいのが好ましい。これらの熱膨張率がほぼ等しければ、第1の基材21と第2の基材22とを接合した際に、その接合界面に熱膨張に伴う応力が発生し難くなる。その結果、最終的に得られる接合体1において、剥離を確実に防止することができる。
なお、後に詳述するが、第1の基材21の熱膨張率と第2の基材22の熱膨張率が互いに異なる場合でも、後述する工程において、第1の基材21と第2の基材22とを接合する際の条件を最適化することにより、これらを高い寸法精度で強固に接合することができる。
また、2つの基材21、22は、互いに剛性が異なるのが好ましい。これにより、2つの基材21、22をより強固に接合することができる。
また、2つの基材21、22のうち、少なくとも一方の構成材料は、樹脂材料であるのが好ましい。樹脂材料は、その柔軟性により、2つの基材21、22を接合した際に、その接合界面に発生する応力(例えば、熱膨張に伴う応力等)を緩和することができる。このため、接合界面が破壊し難くなり、結果的に、接合強度の高い接合体1を得ることができる。
なお、上記のような観点から、2つの基材21、22のうちの少なくとも一方は、可撓性を有しているのが好ましい。これにより、接合体1の接合強度のさらなる向上を図ることができる。さらに、2つの基材21、22の双方が可撓性を有している場合には、全体として可撓性を有し、機能性の高い接合体1が得られる。
また、各基材21、22の形状は、それぞれ、各接合膜31、32を支持する面を有するような形状であればよく、例えば、板状(層状)、塊状(ブロック状)、棒状等とされる。
なお、本実施形態では、図1に示すように、各基材21、22がそれぞれ板状をなしている。これにより、各基材21、22は撓み易くなり、2つの基材21、22を重ね合わせたときに、互いの形状に沿って十分に変形し得るものとなる。このため、2つの基材21、22を重ね合わせたときの密着性が高くなり、最終的に得られる接合体1における接合強度が高くなる。
また、各基材21、22が撓むことによって、接合界面に生じる応力を、ある程度緩和する作用が期待できる。
この場合、各基材21、22の平均厚さは、特に限定されないが、0.01〜10mm程度であるのが好ましく、0.1〜3mm程度であるのがより好ましい。
次に、必要に応じて、第1の基材21の接合面23に第1の接合膜31との密着性を高める表面処理を施す。これにより、接合面23を清浄化および活性化され、接合面23に対して第1の接合膜31が化学的に作用し易くなる。その結果、後述する工程において、接合面23上に第1の接合膜31を形成したとき、接合面23と第1の接合膜31との接合強度を高めることができる。
この表面処理としては、特に限定されないが、例えば、スパッタリング処理、ブラスト処理のような物理的表面処理、酸素プラズマ、窒素プラズマ等を用いたプラズマ処理、コロナ放電処理、エッチング処理、電子線照射処理、紫外線照射処理、オゾン暴露処理のような化学的表面処理、または、これらを組み合わせた処理等が挙げられる。
なお、表面処理を施す第1の基材21が、樹脂材料(高分子材料)で構成されている場合には、特に、コロナ放電処理、窒素プラズマ処理等が好適に用いられる。
また、表面処理として、特にプラズマ処理または紫外線照射処理を行うことにより、接合面23を、より清浄化および活性化することができる。その結果、接合面23と第1の接合膜31との接合強度を特に高めることができる。
また、第1の基材21の構成材料によっては、上記のような表面処理を施さなくても、第1の接合膜31との接合強度が十分に高くなるものがある。このような効果が得られる第1の基材21の構成材料としては、例えば、前述したような各種金属系材料、各種シリコン系材料、各種ガラス系材料等を主材料とするものが挙げられる。
このような材料で構成された第1の基材21は、その表面が酸化膜で覆われており、この酸化膜の表面には、水酸基が結合している。したがって、このような酸化膜で覆われた第1の基材21を用いることにより、上記のような表面処理を施さなくても、第1の基材21の接合面23と第1の接合膜31との接合強度を高めることができる。
なお、この場合、第1の基材21の全体が上記のような材料で構成されていなくてもよく、少なくとも接合面23付近が上記のような材料で構成されていればよい。
また、表面処理に代えて、第1の基材21の接合面23に、あらかじめ、中間層を形成しておいてもよい。
この中間層は、いかなる機能を有するものであってもよく、例えば、第1の接合膜31との密着性を高める機能、クッション性(緩衝機能)、応力集中を緩和する機能等を有するものが好ましい。このような中間層上に第1の接合膜31を成膜することにより、最終的に、信頼性の高い接合体1を得ることができる。
かかる中間層の構成材料としては、例えば、アルミニウム、チタンのような金属系材料、金属酸化物、シリコン酸化物のような酸化物系材料、金属窒化物、シリコン窒化物のような窒化物系材料、グラファイト、ダイヤモンドライクカーボンのような炭素系材料、シランカップリング剤、チオール系化合物、金属アルコキシド、金属−ハロゲン化合物のような自己組織化膜材料、樹脂系接着剤、樹脂フィルム、樹脂コーティング材、各種ゴム材料、各種エラストマーのような樹脂系材料等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、これらの各材料で構成された中間層の中でも、酸化物系材料で構成された中間層によれば、第1の基材21と第1の接合膜31との間の接合強度を特に高めることができる。
一方、第1の基材21と同様、第2の基材22の接合面24にも、必要に応じて、あらかじめ第2の接合膜32との密着性を高める表面処理を施してもよい。これにより、接合面24を清浄化および活性化する。その結果、第2の基材22の接合面24と第2の接合膜32との接合強度を高めることができる。
この表面処理としては、特に限定されないが、前述の第1の基材21の接合面23に対する表面処理と同様の処理を用いることができる。
また、第1の基材21の場合と同様に、第2の基材22の構成材料によっては、上記のような表面処理を施さなくても、第2の接合膜32との密着性が十分に高くなるものがある。このような効果が得られる第2の基材22の構成材料としては、例えば、前述したような各種金属系材料、各種シリコン系材料、各種ガラス系材料等を主材料とするものが挙げられる。
すなわち、このような材料で構成された第2の基材22は、その表面が酸化膜で覆われており、この酸化膜の表面には、水酸基が結合している。したがって、このような酸化膜で覆われた第2の基材22を用いることにより、上記のような表面処理を施さなくても、第2の基材22の接合面24と第2の接合膜32との接合強度を高めることができる。
なお、この場合、第2の基材22の全体が上記のような材料で構成されていなくてもよく、少なくとも接合面24付近が上記のような材料で構成されていればよい。
また、表面処理に代えて、第2の基材22の接合面24に、あらかじめ、中間層を形成しておいてもよい。
この中間層は、いかなる機能を有するものであってもよく、例えば、前記第1の基材21の場合と同様に、第2の接合膜32との密着性を高める機能、クッション性(緩衝機能)、応力集中を緩和する機能等を有するものが好ましい。このような中間層上に第2の接合膜32を成膜することにより、最終的に、信頼性の高い接合体1を得ることができる。
かかる中間層の構成材料には、例えば、前記第1の基材21の接合面23に形成する中間層の構成材料と同様の材料を用いることができる。
なお、上記のような表面処理および中間層の形成は、必要に応じて行えばよく、特に高い接合強度を必要としない場合には、省略することができる。
[2]次に、図1(a)〜(b)に示すように、第1の基材21の接合面23のうち、一部に設定された所定領域310に第1の接合膜31を形成する。これにより、第1の基材21と第1の接合膜31とを有する第1の被着体41を得る。また、図1(a)〜(b)に示すように、第2の基材22の接合面24のうち、一部に設定された所定領域310に第2の接合膜32を形成する。これにより、第2の基材22と第2の接合膜32とを有する第2の被着体42を得る。
各接合膜31、32は、第1の基材21と第2の基材22との間に位置し、これらの接合を担うものである。
この各接合膜31、32は、前述したように、水素化アモルファスシリコン(Si−H結合を含むアモルファスシリコン)で構成されている。また、各接合膜31、32の内部および表面には、Si−H結合が含まれている。このような各接合膜31、32にエネルギーが付与されると、各接合膜31、32の表面31a、32a付近に存在するSi−H結合が切断され、H原子が脱離した後には、各接合膜31、32の表面31a、32aに接着性が発現する。
なお、第1の基材21の接合面23のうち、一部の所定領域310に第1の接合膜31を形成する場合には、図1(a)に示すように、所定領域310の形状に対応する形状の窓部61を有するマスク6を介して第1の接合膜31を成膜するようにすればよい。また、第2の接合膜32についても同様である。
これらの接合膜31、32については、後に詳述する。
[3]次に、第1の接合膜31の表面31aおよび第2の接合膜32の表面32aに対してそれぞれエネルギーを付与する。
各接合膜31、32にエネルギーを付与すると、各接合膜31、32では、図3および図4に示すように、Si−H結合301が切断され、各接合膜31、32の表面31a、32aに活性手302が生じる。これにより、各接合膜31、32に接着性が発現する。なお、図3および図4には、第1の接合膜31を代表に示している。
このような状態の第1の被着体41および第2の被着体42は、化学的結合に基づいて互いに強固に接合可能なものとなる。
ここで、各接合膜31、32に付与するエネルギーは、いかなる方法を用いて付与されるものであってもよいが、例えば、各接合膜31、32にエネルギー線を照射する方法、各接合膜31、32を加熱する方法、各接合膜31、32に圧縮力(物理的エネルギー)を付与する方法、各接合膜31、32をプラズマに曝す(プラズマエネルギーを付与する)方法、各接合膜31、32をオゾンガスに曝す(化学的エネルギーを付与する)方法等が挙げられる。中でも、各接合膜31、32にエネルギーを付与する方法として、特に、各接合膜31、32にエネルギー線を照射する方法、各接合膜31、32を加熱する方法、および各接合膜31、32に圧縮力を付与する方法のうちの少なくとも1つの方法を用いるのが好ましい。かかる方法は、各接合膜31、32に対して比較的簡単に効率よくエネルギーを付与することができるので、エネルギーを付与する方法として好適に用いられる。
このうち、エネルギー線としては、例えば、紫外線、レーザ光のような光、X線、γ線のような電磁波、電子線、イオンビームのような粒子線等や、またはこれらのエネルギー線を2種以上組み合わせたものが挙げられる。
これらのエネルギー線の中でも、特に、波長126〜300nm程度の紫外線を用いるのが好ましい(図1(c)参照)。かかる範囲内の紫外線によれば、付与されるエネルギー量が最適化されるので、各接合膜31、32中の骨格をなす分子結合が必要以上に破壊されるのを防止しつつ、各接合膜31、32においてSi−H結合を選択的に切断することができる。これにより、Si−Si結合が不本意に切断されるのを防止しつつ、各接合膜31、32に接着性を確実に発現させることができる。
また、紫外線によれば、広い範囲をムラなく短時間に処理することができるので、Si−H結合の切断を効率よく行わせることができる。さらに、紫外線には、例えば、UVランプ等の簡単な設備で発生させることができるという利点もある。
なお、紫外線の波長は、より好ましくは、126〜200nm程度とされる。
また、UVランプを用いる場合、その出力は、各接合膜31、32の面積に応じて異なるが、1mW/cm〜1W/cm程度であるのが好ましく、5mW/cm〜50mW/cm程度であるのがより好ましい。なお、この場合、UVランプと各接合膜31、32との離間距離は、3〜3000mm程度とするのが好ましく、10〜1000mm程度とするのがより好ましい。
また、紫外線を照射する時間は、各接合膜31、32の表面31a、32a付近のSi−H結合を選択的に切断し得る程度の時間とするのが好ましい。具体的には、紫外線の光量、波長等に応じて若干異なるものの、1秒〜30分程度であるのが好ましく、1秒〜10分程度であるのがより好ましい。
また、紫外線は、時間的に連続して照射されてもよいが、間欠的(パルス状)に照射されてもよい。
一方、レーザ光としては、例えば、エキシマレーザのようなパルス発振レーザ(パルスレーザ)、炭酸ガスレーザ、半導体レーザのような連続発振レーザ等が挙げられる。中でも、パルスレーザが好ましく用いられる。パルスレーザでは、各接合膜31、32のレーザ光が照射された部分に経時的に熱が蓄積され難いので、蓄積された熱による各接合膜31、32の変質・劣化を確実に防止することができる。すなわち、パルスレーザによれば、各接合膜31、32の内部にまで蓄積された熱の影響がおよぶのを、防止することができる。
また、パルスレーザのパルス幅は、熱の影響を考慮した場合、できるだけ短い方が好ましい。具体的には、パルス幅が1ps(ピコ秒)以下であるのが好ましく、500fs(フェムト秒)以下であるのがより好ましい。パルス幅を前記範囲内にすれば、レーザ光照射に伴って各接合膜31、32に生じる熱の影響を、的確に抑制することができる。なお、パルス幅が前記範囲内程度に小さいパルスレーザは、「フェムト秒レーザ」と呼ばれる。
また、レーザ光の波長は、特に限定されないが、例えば、200〜1200nm程度であるのが好ましく、400〜1000nm程度であるのがより好ましい。
また、レーザ光のピーク出力は、パルスレーザの場合、パルス幅によって異なるが、0.1〜10W程度であるのが好ましく、1〜5W程度であるのがより好ましい。
さらに、パルスレーザの繰り返し周波数は、0.1〜100kHz程度であるのが好ましく、1〜10kHz程度であるのがより好ましい。パルスレーザの周波数を前記範囲内に設定することにより、レーザ光を照射した部分の温度が著しく上昇して、各接合膜31、32のSi−Si結合が切断されてしまうのを防止しつつ、Si−H結合を選択的に切断することができる。
なお、このようなレーザ光の各種条件は、レーザ光を照射された部分の温度が、好ましくは常温(室温)〜600℃程度、より好ましくは200〜600℃程度、さらに好ましくは300〜400℃程度になるように適宜調整されるのが好ましい。これにより、各接合膜3a、3bの骨格をなすSi−Si結合までもが切断されてしまうのを防止しつつ、Si−H結合を選択的に切断することができる。
また、各接合膜31、32に照射するレーザ光は、その焦点を、各接合膜31、32の表面31a、32aに合わせた状態で、この各表面31a、32aに沿って走査されるようにするのが好ましい。これにより、レーザ光の照射によって発生した熱が、各表面31a、32a付近に局所的に蓄積されることとなる。その結果、各接合膜31、32の表面31a、32aに存在するSi−H結合を選択的に切断させることができる。
また、各接合膜31、32に対するエネルギー線の照射は、いかなる雰囲気中で行うようにしてもよく、具体的には、大気、酸素のような酸化性ガス雰囲気、水素のような還元性ガス雰囲気、窒素、アルゴンのような不活性ガス雰囲気、またはこれらの雰囲気を減圧した減圧(真空)雰囲気等が挙げられるが、中でも、特に、大気雰囲気中で行うのが好ましい。これにより、雰囲気を制御することに手間やコストをかける必要がなくなり、エネルギー線の照射をより簡単に行うことができる。
このように、エネルギー線を照射する方法によれば、各接合膜31、32に対して選択的にエネルギーを付与することが容易に行えるため、例えば、エネルギーの付与による各基材21、22の変質・劣化を防止することができる。
また、エネルギー線を照射する方法によれば、付与するエネルギーの大きさを、精度よく簡単に調整することができる。このため、各接合膜31、32において切断されるSi−H結合の切断量を調整することが可能となる。このようにSi−H結合の切断量を調整することにより、第1の被着体41と第2の被着体42との間の接合強度を容易に制御することができる。
すなわち、Si−H結合の切断量を多くすることにより、各接合膜31、32の表面31a、32aおよび内部に、より多くの活性手が生じるため、各接合膜31、32に発現する接着性をより高めることができる。一方、Si−H結合の切断量を少なくすることにより、各接合膜31、32の表面31a、32aおよび内部に生じる活性手を少なくし、各接合膜31、32に発現する接着性を抑えることができる。
なお、付与するエネルギーの大きさを調整するためには、例えば、エネルギー線の種類、エネルギー線の出力、エネルギー線の照射時間等の条件を調整すればよい。
さらに、エネルギー線を照射する方法によれば、短時間で大きなエネルギーを付与することができるので、エネルギーの付与をより効率よく行うことができる。
なお、各接合膜31、32を加熱する方法、および、各接合膜31、32に圧縮力を付与する方法については、後述する第2実施形態において説明する。
ここで、エネルギーが付与される前の各接合膜31、32は、図3に示すように、その表面31a、32a付近および内部にSi−H結合301を有している。かかる各接合膜31、32にエネルギーを付与すると、Si−H結合301が切断され、各接合膜31、32から水素原子が脱離する。これにより、図4に示すように、各接合膜31、32の表面31a、32aに活性手302が生じ、活性化される。その結果、各接合膜31、32の表面31a、32aに、活性手302に基づく接着性が発現する。
ここで、本明細書中において、各接合膜31、32が「活性化された」状態とは、上述のように各接合膜31、32の表面31a、32aおよび内部のSi−H結合が切断され、各表面31a、32aに終端化されていない結合手(以下、「未結合手」または「ダングリングボンド」とも言う。)が生じた状態のことを言う。
したがって、活性手302とは、図4に示すように、未結合手(ダングリングボンド)のことを言う。このような活性手302同士が再結合することによって、第1の接合膜31と第2の接合膜32とが強固に接合される。
[4]次に、第1の接合膜31と第2の接合膜32とが密着するように、第1の被着体41と第2の被着体42とを貼り合わせる(図1(d)参照)。これにより、前記工程[3]において、各接合膜31、32に接着性が発現していることから、第1の接合膜31と第2の接合膜32とが化学的に結合する。その結果、所定領域310において、第1の被着体41と第2の被着体42とが部分的に接合され、図2(e)に示すような接合体1が得られる。すなわち、接合体1は、所定領域310において部分的に接合されている。
このようにして得られた接合体1では、従来の接合方法で用いられていた接着剤のように、主にアンカー効果のような物理的結合に基づく接着ではなく、共有結合のような短時間で生じる強固な化学的結合に基づいて、2つの基材21、22が接合されている。このため、接合体1は短時間で形成することができ、かつ、極めて剥離し難く、接合ムラ等も生じ難いものとなる。
また、このような接合方法によれば、従来の固体接合のように、高温(例えば、700℃以上)での熱処理を必要としないことから、耐熱性の低い材料で構成された第1の基材21および第2の基材22をも、接合に供することができる。
また、各接合膜31、32を介して第1の基材21と第2の基材22とを接合しているため、各基材21、22の構成材料に制約がないという利点もある。
以上のことから、本発明によれば、第1の基材21および第2の基材22の各構成材料の選択の幅をそれぞれ広げることができる。
また、固体接合では、接合に際して接合層を介していないため、第1の基材21と第2の基材22との間の熱膨張率に大きな差がある場合、その差に基づく応力が接合界面に集中し易く、剥離等が生じるおそれがあったが、接合体(本発明の接合体)1では、各接合膜31、32によって応力の集中が緩和され、剥離の発生を的確に抑制または防止することができる。
また、第1の基材21の熱膨張率と第2の基材22の熱膨張率が互いに異なっている場合には、できるだけ低温下で接合を行うのが好ましい。接合を低温下で行うことにより、接合界面に発生する熱応力のさらなる低減を図ることができる。
具体的には、第1の基材21と第2の基材22との熱膨張率の差にもよるが、第1の基材21および第2の基材22の温度が25〜50℃程度である状態下で、第1の被着体41と第2の被着体42とを貼り合わせるのが好ましく、25〜40℃程度である状態下で貼り合わせるのがより好ましい。このような温度範囲であれば、第1の基材21と第2の基材22との熱膨張率の差がある程度大きくても、接合界面に発生する熱応力を十分に低減することができる。その結果、接合体1における反りや剥離等の発生を確実に抑制または防止することができる。
また、この場合、具体的な第1の基材21と第2の基材22との間の熱膨張係数の差が、5×10−5/K以上あるような場合には、上記のようにして、できるだけ低温下で接合を行うことが特に推奨される。
また、本実施形態によれば、第1の基材21と第2の基材22とを接合する際に、これらの接合面(互いに対向する面)全体を接合するのではなく、一部の領域(所定領域310)のみを選択的に接合する。この接合の際、各接合膜31、32を形成する領域(所定領域310)を制御することのみで、接合される領域を簡単に選択することができる。これにより、例えば、第1の基材21と第2の基材22との接合部の面積や形状を制御することができるので、接合体1の接合強度を容易に調整することができる。その結果、例えば、接合部を容易に分離可能な接合体1が得られる。
すなわち、接合体1の接合強度を調整可能であると同時に、接合体1を分離する際の強度(割裂強度)を調整可能である。
かかる観点から、容易に分離可能な接合体1を作製する場合には、接合体1の接合強度は、人の手で容易に分離可能な程度の大きさであるのが好ましい。これにより、接合体1を分離する際、装置等を用いることなく、簡単に行うことができる。
なお、所定領域310は、各基材21、22の接合面の一部のみでなく、全部であってもよいことは言うまでもない。
また、第1の基材21と第2の基材22との接合部の面積や形状を制御することにより、接合部に生じる応力の局所集中を緩和することができる。これにより、例えば、第1の基材21と第2の基材22との間で熱膨張率差が大きい場合でも、各基材21、22を確実に接合することができる。
さらに、本実施形態にかかる接合方法によれば、図2(e)、(f)に示すように、接合される所定領域310以外の領域では、第1の基材21と第2の基材22との間に、第1の接合膜31の厚さと第2の接合膜32の厚さとの和に相当する距離(高さ)の空間33が形成される。このような空間33を活かすため、所定領域310の形状を適宜調整することにより、第1の基材21と第2の基材22との間に、閉空間や流路を形成したりすることができる。
ここで、本工程において、第1の被着体41と第2の被着体42とを接合するメカニズムについて説明する。
また、第1の被着体41の第1の接合膜31の表面や内部、および、第2の被着体42の第2の接合膜32の表面や内部に、それぞれ終端化されていない結合手すなわち未結合手(ダングリングボンド)が存在していると、第1の被着体41と第2の被着体42とを貼り合わせた時、これらの未結合手同士が再結合する。そして、接合界面にSi−Si結合が生じる。このSi−Si結合は、互いに重なり合う(絡み合う)ように複雑に生じることから、接合界面にネットワーク状の結合が形成されることとなる。これにより、第1の被着体41と第2の被着体42とが強固に接合される。また、接合界面は、Si−Si結合の形成に伴って、キャリア移動が可能となる。
なお、前記工程[3]で活性化された各接合膜31、32の表面31a、32aは、その活性状態が経時的に緩和してしまう。このため、前記工程[3]の終了後、できるだけ早く本工程[4]を行うようにするのが好ましい。具体的には、前記工程[3]の終了後、60分以内に本工程[4]を行うようにするのが好ましく、5分以内に行うのがより好ましい。かかる時間内であれば、各接合膜31、32の表面が十分な活性状態を維持しているので、第1の被着体41と第2の被着体42とを貼り合わせたとき、これらの間に十分な接合強度を得ることができる。
換言すれば、活性化させる前の各接合膜31、32は、Si−H結合を有している、すなわち、未結合手が水素原子で終端化されているため、化学的に比較的安定であり、耐候性に優れている。このため、活性化させる前の各接合膜31、32は、数日程度の比較的長期にわたる保存に適したものとなる。したがって、そのような各接合膜31、32を備えた各被着体41、42を多量に製造または購入して保存しておき、本工程の貼り合わせを行う直前に、必要な個数のみに前記工程[3]に記載したエネルギーの付与を行うようにすれば、接合体1の製造効率の観点から有効である。
以上のようにして、図2(e)に示す接合体(本発明の接合体)1を得ることができる。
このようにして得られた接合体1は、第1の基材21と第2の基材22の間の接合強度が5MPa(50kgf/cm)以上であるのが好ましく、10MPa(100kgf/cm)以上であるのがより好ましい。このような接合強度を有する接合体1は、その剥離を十分に防止し得るものとなる。
なお、従来のシリコン基板同士を直接接合するような固体接合では、接合に供される基板の表面を活性化させても、その活性状態は、大気中で数秒〜数十秒程度の極めて短時間しか維持することができなかった。このため、表面の活性化を行った後、接合する2つの基板を貼り合わせる等の作業に要する時間を、十分に確保することができないという問題があった。
これに対し、本発明によれば、比較的長時間にわたって活性状態を維持することができる。このため、貼り合わせ作業に要する時間を十分に確保することができ、接合作業の効率化を高めることができる。
なお、接合体1を得る際、または、接合体1を得た後に、この接合体1に対して、必要に応じ、以下の2つの工程([5A]および[5B])のうちの少なくとも1つの工程(接合体1の接合強度を高める工程)を行うようにしてもよい。これにより、接合体1の接合強度のさらなる向上を容易に図ることができる。
[5A] 図2(f)に示すように、得られた接合体1を、第1の基材21と第2の基材22とが互いに近づく方向に加圧する。
これにより、各接合膜31、32の表面31a、32aが互いにより近接し、接合体1における接合強度をより高めることができる。
また、接合体1を加圧することにより、接合体1中の接合界面に残存していた隙間を押し潰して、接合面積をさらに広げることができる。これにより、接合体1における接合強度をさらに高めることができる。
なお、この圧力は、第1の基材21および第2の基材22の各構成材料や各厚さ、接合装置等の条件に応じて、適宜調整すればよい。具体的には、第1の基材21および第2の基材22の各構成材料や各厚さ等に応じて若干異なるものの、0.2〜100MPa程度であるのが好ましく、1〜50MPa程度であるのがより好ましい。これにより、接合体1の接合強度を確実に高めることができる。なお、この圧力が前記上限値を上回っても構わないが、第1の基材21および第2の基材22の各構成材料によっては、各基材21、22に損傷等が生じるおそれがある。
また、加圧する時間は、特に限定されないが、10秒〜30分程度であるのが好ましい。なお、加圧する時間は、加圧する際の圧力に応じて適宜変更すればよい。具体的には、接合体1を加圧する際の圧力が高いほど、加圧する時間を短くしても、接合強度の向上を図ることができる。
[5B] 図2(f)に示すように、得られた接合体1を加熱する。
これにより、接合体1における接合強度をより高めることができる。
このとき、接合体1を加熱する際の温度は、室温より高く、接合体1の耐熱温度未満であれば、特に限定されないが、好ましくは25〜100℃程度とされ、より好ましくは50〜100℃程度とされる。かかる範囲の温度で加熱すれば、接合体1が熱によって変質・劣化するのを確実に防止しつつ、接合強度を確実に高めることができる。
また、加熱時間は、特に限定されないが、1〜30分程度であるのが好ましい。
また、前記工程[5A]、[5B]の双方を行う場合、これらを同時に行うのが好ましい。すなわち、図2(f)に示すように、接合体1を加圧しつつ、加熱するのが好ましい。これにより、加圧による効果と、加熱による効果とが相乗的に発揮され、接合体1の接合強度を特に高めることができる。
以上のような工程を行うことにより、接合体1における接合強度のさらなる向上を容易に図ることができる。
ここで、第1の基材21と第2の基材22との接合を担う各接合膜31、32の形成方法について詳述する。
まず、各接合膜31、32の形成方法を説明するのに先立って、各接合膜31、32の形成に用いられる成膜装置について説明する。
図5は、接合膜の形成に用いられる成膜装置を模式的に示す縦断面図である。なお、以下の説明では、図5中の上側を「上」、下側を「下」と言う。また、以下では、第1の接合膜31の形成方法を例に説明する。
図5に示す成膜装置100は、プラズマCVD(化学蒸着:Chemical Vapor Deposition)法により、第1の接合膜31を形成する装置である。プラズマCVD法は、原料ガスを放電によってプラズマ状態とし、ラジカルやイオン等の反応活性種を生成・堆積させることによって、低温で成膜する方法である。
この成膜装置100は、チャンバー101と、第1の基材21の下面を支持する下部電極130と、第1の基材21を介して下部電極130と対向して配置された上部電極140と、各電極130、140間に高周波電圧を印加する電源回路180とを備えている。
また、チャンバー101の側面には、第1の接合膜31の原料となるガスを導入するための供給口102と、チャンバー101内のガスを排気するための排気口103が設けられている。そして、供給口102には、図示しないガス供給手段が接続されており、これにより、チャンバー101内にガスを供給することができる。また、排気口103には、図示しない排気ポンプが接続されており、これにより、チャンバー101内のガスを排気して、チャンバー101内を減圧することができる。以下、成膜装置100の各部の構成について詳述する。
チャンバー101は、内部の気密を保持し得る容器であり、内部を減圧(真空)状態に保持し得るものである。
図5に示すチャンバー101の形状は、軸線が鉛直方向に沿うよう配置された、ほぼ円筒形をなしている。
下部電極130は、チャンバー101内の下面に載置されている。この下部電極130は、その上面が平面状であり、第1の基材21の下面全体を支持するとともに、第1の基材21と電気的接触が図られている。
また、下部電極130には、アース線131が接続され、接地されている。
一方、上部電極140は、チャンバー101内の上面に設けられている。この上部電極140も、その下面が平面状をなしており、第1の基材21の全体を覆うよう構成されている。
上部電極140には、配線184の一端が接続されており、他端は接地している。また、配線184の途中には、高周波電源182とコンデンサ183とが設けられている。
このような高周波電源182、コンデンサ183および配線184により、電源回路180が構成されている。そして、電源回路180は、上部電極140と下部電極130との間に高周波電圧を印加し、これにより、上部電極140と下部電極130との間には、高い周波数で向きが反転する電界が誘起される。
次に、成膜装置100を用いて、第1の基材21上に第1の接合膜31を形成する方法について説明する。
まず、チャンバー101内に第1の基材21を収納して封止状態とした後、排気ポンプによってチャンバー101内を減圧状態とする。
次に、ガス供給手段により、チャンバー101内に原料ガス、キャリアガス等の混合ガスを供給する。供給された混合ガスは、チャンバー101内に充填される。
混合ガス中における原料ガスの占める割合(混合比)は、原料ガスやキャリアガスの種類や目的とする成膜速度等によって若干異なるが、例えば、混合ガス中の原料ガスの割合を20〜70%程度に設定するのが好ましく、30〜60%程度に設定するのがより好ましい。これにより、接合膜の形成(成膜)の条件の最適化を図ることができる。
また、供給するガスの流量は、ガスの種類や目的とする成膜速度、膜厚等によって適宜決定され、特に限定されるものではないが、通常は、原料ガスおよびキャリアガスの流量を、それぞれ、1〜1000sccm程度に設定するのが好ましく、10〜600sccm程度に設定するのがより好ましい。
次いで、電源回路180を作動させ、一対の電極130、140間に高周波電圧を印加する。これにより、一対の電極130、140間に存在するガスの分子が電離し、ラジカルやイオン等の反応活性種が発生する。この反応活性種は、拡散作用または高周波電圧の印加に伴う電界による静電引力によって第1の基材21上に堆積し、第1の接合膜31を形成する(図1(a)参照)。
用いる原料ガスとしては、例えば、モノシラン(SiH)、ジシラン(Si)、ジクロルシラン(SiHCl)、三塩化シラン(SiHCl)等のシラン系ガスが挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を混合して用いることができる。このうち、原料ガスとしては、モノシランガスであるのが好ましい。これにより、緻密で十分な接着性を発揮し得る水素化アモルファスシリコン膜を効率よく形成することができる。
なお、このようなシラン系ガスを用いて形成された第1の接合膜31は、キャリア密度が低く、真性半導体(i型半導体)となる。
また、i型半導体に3価原子または5価原子の不純物イオンを導入(ドープ)することにより、i型半導体中のキャリア密度が高くなり、i型半導体をp型半導体またはn型半導体に変化させることができる。
不純物イオンの導入方法としては、例えば、熱拡散法、イオン注入法、またはこれらを組み合わせた方法等が挙げられる。
熱拡散法では、3価原子または5価原子を含む不純物ガス存在下で、i型半導体に熱処理を施すことにより、i型半導体中に不純物イオンを導入することができる。このような不純物ガスとしては、例えば、ジボラン(B)、三フッ化ホウ素(BF)、三塩化ホウ素(BCl)、三臭化ホウ素(BBr)のような3価原子を含むガス、アルシン(AsH)、三フッ化ヒ素(AsF)、五フッ化ヒ素(AsF)、三塩化ヒ素(AsCl)、五塩化ヒ素(AsCl)、ホスフィン(PH)、三フッ化リン(PF)、五フッ化リン(PF)、三塩化リン(PCl)、五塩化リン(PCl)、オキシ塩化リン(POCl)のような5価原子を含むガス等が挙げられる。
また、イオン注入法(イオン・インプランテーション)では、3価原子または5価原子のイオンに高電界をかけ、これにより加速されたイオンをi型半導体に衝突させることによって不純物イオンを導入する。導入する不純物イオンとしては、例えば、ホウ素イオン、アルミニウムイオン等の3価イオン、リン、ヒ素等の5価イオン等が挙げられる。
なお、このような不純物イオンの導入を、第1の接合膜31の一部領域に選択的に行うことにより、i型半導体の一部領域にp型半導体やn型半導体の領域を作り込むこともできる。
また、シラン系ガスを用いて第1の接合膜31を形成する際に、原料ガスとして、シラン系ガスと上記のような不純物ガスとの混合ガスを用いることにより、p型半導体やn型半導体で構成された第1の接合膜31を直接成膜することもできる。
この場合、追加する不純物ガスの混合量は、シラン系ガスの流量をFSi、不純物ガスの流量をFとしたとき、FSi/Fが0.5〜5程度であるのが好ましく、1〜3程度であるのがより好ましい。これにより、p型半導体またはn型半導体におけるキャリア密度を最適化して、キャリア移動度を特に高めることができる。
一方、キャリアガスとしては、例えば、水素(H)、窒素(N)、一酸化炭素(CO)、ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を混合して用いることができる。
このうち、キャリアガスには、水素が好ましく用いられる。原料ガス中に水素ガスを混合することにより、製造される水素化アモルファスシリコン中のダングリングボンド(未結合手)が確実に終端化される。これにより、水素化アモルファスシリコン中のキャリア移動度が向上して、半導体特性の向上を図ることができる。
また、一対の電極130、140間に印加する高周波電圧の周波数は、特に限定されないが、1kHz〜100MHz程度であるのが好ましく、10〜60MHz程度であるのがより好ましい。
また、高周波の出力密度は、特に限定されないが、0.01〜10W/cm程度であるのが好ましく、0.1〜1W/cm程度であるのがより好ましい。
処理時間は、1〜10分程度であるのが好ましく、4〜7分程度であるのがより好ましい。
また、第1の基材21の温度は、25℃以上であるのが好ましく、25〜500℃程度であるのがより好ましい。
さらに、成膜中のチャンバー101内の圧力は、大気による第1の基材21の汚染を考慮した場合、できるだけ低いのが好ましく、具体的には1kPa以下であるのが好ましく、500Pa以下であるのがより好ましい。これにより、第1の基材21の汚染が確実に防止され、第1の基材21と第1の接合膜31との密着性をより高めることができる。
以上のようにして、第1の接合膜31を成膜することができる。なお、第2の接合膜32についても、第1の接合膜31と同様にして成膜することができる。
このようにして形成された各接合膜31、32は、前述したように、それぞれ水素化アモルファスシリコン(Si−H結合を含むアモルファスシリコン)で構成されたものとなる。アモルファスシリコンは、その無秩序な原子配置に起因して、粒界がほとんど存在しないため、亀裂やへき開等が生じ難いという特徴を有する。すなわち、アモルファスシリコンは、靭性に富んだ材料である。このため、このような各接合膜31、32を介して接合された2つの基材21、22は、接合界面における剥離が生じ難く、信頼性の高い接合体1を構築する。
各接合膜31、32における水素原子の含有率は、1〜40原子%であるのが好ましく、3〜30原子%であるのがより好ましい。これにより、各接合膜31、32中のSi−H結合の含有率が最適化されるので、各接合膜31、32に、部材間の接合に必要かつ十分な接着性を発現させるとともに、各接合膜31、32のダングリングボンドが確実に終端化され、優れた半導体特性を示すものとなる。
また、前述したように、各接合膜31、32は、その製造方法を適宜選択することにより、電気的特性(キャリアの特性)を設定することができ、pn接合に基づく半導体特性を有するものとなる。したがって、各接合膜31、32は、2つの基材21、22を接合するとともに、これらの基材21、22の間に、半導体素子を構築することができる。なお、このような半導体素子については、後に詳述する。
また、各接合膜31、32の平均厚さは、10nm〜10μm程度であるのが好ましく、50nm〜5μm程度であるのがより好ましい。各接合膜31、32の平均厚さを前記範囲内とすることにより、接合体1の寸法精度が著しく低下するのを防止しつつ、より強固に接合することができる。
なお、各接合膜31、32の平均厚さが前記下限値を下回った場合は、十分な接合強度が得られないおそれがある。一方、各接合膜31、32の平均厚さが前記上限値を上回った場合は、接合体1の寸法精度が著しく低下するおそれがある。
さらに、各接合膜31、32の平均厚さが前記範囲内であれば、各接合膜31、32にある程度の形状追従性が確保される。このため、例えば、第1の基材21の接合面(第1の接合膜31に隣接する面)に凹凸が存在している場合でも、その凹凸の高さにもよるが、凹凸の形状に追従するように第1の接合膜31を被着させることができる。その結果、第1の接合膜31は、凹凸を吸収して、その表面に生じる凹凸の高さを緩和することができる。
なお、上記のような形状追従性の程度は、第1の接合膜31の厚さが厚いほど顕著になる。したがって、形状追従性を十分に確保するためには、第1の接合膜31の厚さをできるだけ厚くすればよい。
また、本実施形態では、プラズマCVD法により各接合膜31、32を形成する方法について説明したが、各接合膜31、32の形成方法は特に限定されず、例えば、熱CVD法、光CVD法、触媒CVD法等の各種化学蒸着法、スパッタリング法等の各種物理蒸着法等が挙げられる。このうち、各接合膜31、32は、化学蒸着法により形成されたものであるのが好ましい。これにより、各接合膜31、32中に水素原子が均一に分布することができる。この水素原子は、アモルファスシリコン中のダングリングボンド(未結合手)を終端化する。その結果、各接合膜31、32は、接合に寄与するSi−H結合を均一に含有するとともに、膜中においてキャリア移動度が向上し、各接合膜31、32の半導体としての特性をより高めることができる。
また、前述したような化学蒸着法によって形成された膜に対し、フッ酸含有液によるエッチングおよび水素プラズマ処理のうちの少なくとも一方を施すことにより、前記各接合膜31、32を形成するようにしてもよい。このような方法によれば、各接合膜31、32により多くのSi−H結合を付加することができ、各接合膜31、32の表面に露出するSi−H結合の数がより多くなる。その結果、たとえ水素の含有率が低い膜に対しても、十分な数のSi−H結合を付与し、各接合膜31、32に十分な接着性を発現させることができる。
フッ酸含有液としては、例えば、フッ酸(HF)溶液、バッファードフッ酸(フッ酸とフッ化アンモニウム(NHF)との混合液)等が挙げられる。フッ酸含有液によれば、化学蒸着法によって形成された膜の表面を清浄化するとともに、清浄化に伴って膜の表面に露出した未結合手を、フッ酸含有液中の水素イオンによって瞬時に終端化することができる。その結果、各接合膜31、32の表面に多くのSi−H結合を付加することができる。
また、水素プラズマ処理は、タングステンフィラメント法またはマイクロ波を用いる方法等により発生した水素プラズマに、前述の化学蒸着法によって形成された膜を曝すことによって行うことができる。この水素プラズマ処理によっても、各接合膜31、32の表面に多くのSi−H結合を付加することができる。
なお、この方法によれば、水素を全く含有していない膜に対しても、Si−H結合を付与することができる。すなわち、例えば、物理蒸着法によって形成された水素を含まないアモルファスシリコンで構成された膜に対しても、上述したような方法でSi−H結合を付与することにより、各接合膜31、32を形成することができる。
≪第2実施形態≫
次に、本発明の接合方法の第2実施形態について説明する。
図6および図7は、本発明の接合方法の第2実施形態を説明するための模式図(縦断面図)である。なお、以下の説明では、図6および図7中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
以下、接合方法の第2実施形態について説明するが、前記第1実施形態にかかる接合方法との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本実施形態にかかる接合方法では、第1の被着体41と第2の被着体42とを、各接合膜31、32にエネルギーを付与する前に重ね合わせて仮接合体5とした後、この仮接合体5にエネルギーを付与して、接合体1を得るようにした以外は、前記第1実施形態と同様である。
すなわち、本実施形態にかかる接合方法は、第1の基材21と第2の基材22とを用意し、第1の基材21の接合面23の一部に設定された所定領域310に第1の接合膜31を形成し、第1の被着体41を作製するとともに、第2の基材22の接合面24の一部に設定された所定領域310に第2の接合膜32を形成し、第2の被着体42を作製する工程と、第1の接合膜31と第2の接合膜32とが密着するように、第1の被着体41と第2の被着体42とを重ね合わせて、仮接合体5を得る工程と、仮接合体5にエネルギーを付与して、接合体1を得る工程とを有する。
以下、本実施形態にかかる接合方法の各工程について順次説明する。
[1]まず、前記第1実施形態と同様にして、図6(a)〜(b)に示すように、第1の基材21上に第1の接合膜31を形成する。また、それと同様に、第2の基材22上に第2の接合膜32を形成する。これにより、第1の被着体41と第2の被着体42とを得る。
[2]次に、図6(c)に示すように、第1の接合膜31と第2の接合膜32とが密着するように、2つの被着体41、42を重ね合わせる。これにより、仮接合体5を得る。
なお、この仮接合体5の状態では、第1の被着体41と第2の被着体42との間は接合されていない。このため、前記第1実施形態と同様に、第1の被着体41と第2の被着体42とをずらすことにより、これらの相対的な位置を容易に微調整することができる。
[3]次に、得られた仮接合体5中の各接合膜31、32に対してエネルギーを付与する。
具体的には、図7(d)に示すように、仮接合体5に紫外線を照射することにより、エネルギーを付与する。これにより、仮接合体5において、各接合膜31、32の界面の分子結合の一部が切断され、活性化される。その結果、各接合膜31、32に接着性が発現する。そして、この接着性により、第1の接合膜31と第2の接合膜32とが重なった部分において、すなわち、所定領域310において、第1の被着体41と第2の被着体42とが部分的に接合される。これにより、図7(e)に示す接合体1が得られる。
なお、仮接合体5に付与するエネルギーは、いかなる方法で付与されてもよく、例えば、前記第1実施形態で挙げたような方法で付与される。
ここでは、仮接合体5にエネルギーを付与する方法として、仮接合体5中の各接合膜31、32を加熱する方法、および、各接合膜31、32に圧縮力を付与する方法を例に説明する。
各接合膜31、32を加熱する場合、加熱温度を25〜100℃程度に設定するのが好ましく、50〜100℃程度に設定するのがより好ましい。かかる範囲の温度で加熱すれば、第1の基材21および第2の基材22が熱によって変質・劣化するのを確実に防止しつつ、各接合膜31、32を確実に活性化させることができる。
また、加熱時間は、各接合膜31、32のSi−H結合を切断し得る程度の時間とすればよく、具体的には、加熱温度が前記範囲内であれば、1〜30分程度であるのが好ましい。
また、各接合膜31、32は、いかなる方法で加熱されてもよいが、例えば、ヒータを用いる方法、赤外線を照射する方法、火炎に接触させる方法等の各種方法で加熱することができる。
なお、赤外線を照射する方法を用いる場合には、第1の基材21または第2の基材22は、光吸収性を有する材料で構成されているのが好ましい。これにより、赤外線を照射された第1の基材21または第2の基材22は効率よく発熱する。その結果、各接合膜31、32を効率よく加熱することができる。
また、ヒータを用いる方法または火炎に接触させる方法を用いる場合には、第1の基材21または第2の基材22は、熱伝導性に優れた材料で構成されているのが好ましい。これにより、第1の基材21または第2の基材22を介して、各接合膜31、32に対して効率よく熱を伝えることができ、各接合膜31、32を効率よく加熱することができる。
また、各接合膜31、32に圧縮力を付与することにより、各接合膜31、32に対してエネルギーを付与する場合には、第1の基材21と第2の基材22とが互いに近づく方向に、仮接合体5を0.2〜100MPa程度の圧力で圧縮するのが好ましく、1〜50MPa程度の圧力で圧縮するのがより好ましい。これにより、単に圧縮するのみで、各接合膜31、32に対して適度なエネルギーを簡単に付与することができ、第1の接合膜31と第2の接合膜32とに、互いに十分な接着性が発現する。なお、この圧力が前記上限値を上回っても構わないが、第1の基材21と第2の基材22の各構成材料によっては、各基材21、22に損傷等が生じるおそれがある。
また、圧縮力を付与する時間は、特に限定されないが、10秒〜30分程度であるのが好ましい。なお、圧縮力を付与する時間は、圧縮力の大きさに応じて適宜変更すればよい。具体的には、圧縮力の大きさが大きいほど、圧縮力を付与する時間を短くすることができる。
本実施形態にかかる接合方法では、前記第1実施形態にかかる接合方法と同様の作用・効果が得られる。
≪第3実施形態≫
次に、本発明の接合方法の第3実施形態について説明する。
図8および図9は、本発明の接合方法の第3実施形態を説明するための模式図(縦断面図)である。なお、以下の説明では、図8および図9中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
以下、第3実施形態にかかる接合方法について説明するが、前記第1実施形態または前記第2実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本実施形態にかかる接合方法は、第1の基材21上の全面に第1の接合膜31を備える第1の被着体41と、第2の基材22上の全面に第2の接合膜32を備える第2の被着体42とを用意し、第1の接合膜31の一部に設定された所定領域310と、第2の接合膜32の一部に設定された所定領域310とに、エネルギーを付与するようにした以外は、前記第1実施形態と同様である。
すなわち、本実施形態にかかる接合方法は、各基材21、22の接合面23、24の全面に各接合膜31、32を形成し、これにより第1の被着体41および第2の被着体42を得る工程と、第1の接合膜31の一部に設定された所定領域310と、第2の接合膜32の一部に設定された所定領域310とに、それぞれエネルギーを付与する工程と、第1の接合膜31と第2の接合膜32とが密着するように、第1の被着体41と第2の被着体42とを貼り合わせて、接合体1を得る工程とを有する。
以下、本実施形態にかかる接合方法の各工程について順次説明する。
[1]まず、図8(a)〜(b)に示すように、第1の基材21の接合面23の全面に第1の接合膜31を形成する。これにより、第1の被着体41を得る。また、それと同様に、第2の基材22の接合面24の全面に第2の接合膜32を形成する。これにより、第2の被着体42を得る。
なお、各接合膜31、32の形成方法は、マスクを用いないようにした以外は、前記第1実施形態と同様である。
[2]次に、図8(c)に示すように、第1の被着体41の第1の接合膜31の表面31aのうち、一部に設定された所定領域310に対して選択的にエネルギーを付与する。また、それと同様にして、第2の被着体42の第2の接合膜32の表面32aの一部に設定された所定領域310に対して選択的にエネルギーを付与する。以下、第1の接合膜31について代表に説明する。
エネルギーが付与されると、第1の接合膜31では、所定領域310が部分的に活性化される。これにより、第1の接合膜31のうちの所定領域310に接着性が発現する。一方、第1の接合膜31の所定領域310以外の領域には、この接着性はほとんど発現しない。
このような方法によれば、エネルギーを付与する領域を選択することのみで、接合部の領域を容易に制御することができる。
ここで、第1の接合膜31に付与するエネルギーは、いかなる方法で付与されてもよいが、例えば、前記第1実施形態で挙げたような方法で付与される。
また、本実施形態では、第1の接合膜31にエネルギーを付与する方法として、特に、第1の接合膜31にエネルギー線を照射する方法を用いるのが好ましい。この方法は、第1の接合膜31に対して比較的簡単に効率よくエネルギーを付与することができるので、エネルギー付与方法として好適である。
また、本実施形態では、エネルギー線として、特に、レーザー光、電子線のような指向性の高いエネルギー線を用いるのが好ましい。かかるエネルギー線であれば、目的の方向に向けて照射することにより、所定領域310に対してエネルギー線を選択的にかつ簡単に照射することができる。
また、指向性の低いエネルギー線であっても、第1の接合膜31の表面31aのうち、エネルギー線を照射すべき所定領域310以外の領域を覆うように(隠すように)して照射すれば、所定領域310に対してエネルギー線を選択的に照射することができる。
具体的には、図8(c)に示すように、第1の接合膜31の表面31aの上方に、エネルギー線を照射すべき所定領域310の形状に対応する形状をなす窓部61を有するマスク6を設け、このマスク6を介してエネルギー線を照射すればよい。このようにすれば、所定領域310に対して、エネルギー線を選択的に照射することが容易に行える。また、それと同様にして、第2の接合膜32の表面32aの上方に、エネルギー線を照射すべき所定領域310の形状に対応する形状をなす窓部61を有するマスク6を設け、このマスク6を介してエネルギー線を照射すればよい。このようにすれば、第2の接合膜32の所定領域310に対して、エネルギー線を選択的に照射することが容易に行える。
[3]次に、図9(d)に示すように、第1の接合膜31と第2の接合膜32とが密着するように、2つの被着体41、42を貼り合わせる。これにより、所定領域310において、第1の被着体41と第2の被着体42とが部分的に接合される。これにより、図9(e)に示す接合体1を得る。
なお、接合体1では、第1の被着体41と第2の被着体42との間隙のうち、接合している所定領域310以外の領域では、わずかな間隙が生じている(残存している)。したがって、この所定領域310の形状を適宜調整することにより、第1の被着体41と第2の被着体42との間に、閉空間や流路等を容易に形成することができる。
以上のような前記各実施形態にかかる接合方法は、種々の複数の部材同士を接合するのに用いることができる。
このような接合に供される部材としては、例えば、トランジスタ、ダイオード、メモリのような半導体素子(半導体装置)、水晶発振子のような圧電素子、反射鏡、光学レンズ、回折格子、光学フィルターのような光学素子、太陽電池のような光電変換素子、半導体基板とそれに搭載される半導体素子、絶縁性基板と配線または電極、インクジェット式記録ヘッド、マイクロリアクタ、マイクロミラーのようなMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)部品、圧力センサ、加速度センサのようなセンサ部品、半導体素子や電子部品のパッケージ部品、磁気記録媒体、光磁気記録媒体、光記録媒体のような記録媒体、液晶表示素子、有機EL素子、電気泳動表示素子のような表示素子用部品、燃料電池用部品等が挙げられる。
<半導体装置および光電変換素子>
ここでは、本発明の接合体をフォトダイオード(本発明の半導体装置および光電変換素子)に適用した場合の実施形態について説明する。
図10は、本発明の半導体装置の一例として、フォトダイオードの構成を示す模式図(縦断面図)である。なお、以下の説明では、図10中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
図10(b)に示すフォトダイオード200は、陰極(カソード)210と、陰極210上に設けられたn型半導体層220と、n型半導体層220上に設けられたi型半導体層230と、i型半導体層230上に設けられたp型半導体層240と、p型半導体層240上に設けられた陽極(アノード)250とを有する。
このようなフォトダイオード200は、図10(a)に示すように、陰極210上にn型半導体層220とi型半導体層230とをこの順で成膜してなる第1の被着体270と、陽極250の下面にp型半導体層240を成膜してなる第2の被着体280とを用意し、これらを、前述した本発明の接合方法によって接合してなるものである。すなわち、i型半導体層230とp型半導体層240は、いずれも水素化アモルファスシリコンで構成されており、その各接合界面にエネルギーを付与してSi−H結合を切断することによって発現した接着性によって互いに接合されている。
これにより、陰極210と陽極250との間には、n型半導体層220、i型半導体層230およびp型半導体層240がこの順で積層してなるpin接合が形成される。かかるpin接合においては、陽極250側から光が入射すると、i型半導体層230において、電子と正孔が発生する。発生した電子は陰極210側に拡散し、一方、正孔は陽極250側に拡散する。その結果、陰極210と陽極250との間に設けられた外部回路260に電流が流れる。この電流は、i型半導体層230に入射する光の光量に応じて変化するため、電流量を測定することによって、フォトダイオード200に入射する光の光量を検出することができる。
また、このようにして得られたフォトダイオード200は、本発明の接合方法によりpi接合界面が接合されていることから、pi接合の密着性が高くなり、接合界面におけるキャリア(電子または正孔)移動を妨げられることが抑制される。したがって、本発明によれば、感度に優れたフォトダイオード200を容易に作製することができる。
なお、陽極250側から光が入射するため、陽極250は実質的に透明な材料で構成される。かかる観点から、陽極250は、酸化インジウム錫(ITO)、フッ素原子を含有する酸化錫(FTO)、酸化インジウム(InO)、酸化錫(SnO)のような金属酸化物材料で構成される。また、陽極250は、光透過性を確保するための平面視形状(例えば、格子状、メッシュ状等)をなすAl、Cu、Agのような金属材料で構成されていてもよい。
また、図10に示すフォトダイオード200は、i型半導体層230とp型半導体層240とを接合して作製されるが、n型半導体層220とi型半導体層230との界面の接合に、本発明の接合方法を適用するようにしてもよい。
また、i型半導体層230は省略されてもよい。この場合、本発明の接合方法により、n型半導体層220とp型半導体層240とが接合され、接合界面にpn接合が形成される。このようにして形成された半導体素子も整流性を示し、ダイオードとして機能する。
また、このフォトダイオード200の光の入射面積を大きくとることにより、フォトダイオード200は、受光に伴って光起電力を発生する電源として利用することができる。すなわち、フォトダイオード200は、太陽電池(本発明の光電変換素子)としても利用することができる。
このようにして得られた太陽電池は、同種の材料であるアモルファスシリコン同士を接合することによって製造されている。これにより、接合界面では、シリコン原子同士の接合が生成されることから、接合強度が強固になるとともに、接合界面のキャリアの移動が容易になる。その結果、光電変換効率の高い太陽電池が得られる。
また、このフォトダイオード200(太陽電池)は、陰極210上にn型半導体層220およびi型半導体層230を積層してなる第1の被着体270と、陽極250の下面にp型半導体層240を成膜してなる第2の被着体280とを個別に製造した後、これらを接合することによって製造することができる。したがって、陰極上にn型半導体層、i型半導体層、p型半導体層および陽極を順次成膜する従来の製造方法に比べて、第1の被着体と第2の被着体とを並行して製造することが可能であるため、フォトダイオード200の製造タクトタイムの短縮を図ることができる。
さらに、前述したように、エネルギーを付与してSi−H結合を切断する前のi型半導体層230およびp型半導体層240は、それぞれ、表面の未結合手が水素原子で終端化されているため、化学的に比較的安定であり、耐候性に優れている。したがって、第1の被着体270と第2の被着体280とを、それぞれ個別に多量に製造しておき、フォトダイオード200の製造計画にしたがって必要な個数の各被着体270、280のみにエネルギー付与の工程を行うようにすれば、フォトダイオード200の製造効率や在庫管理の観点から有効である。すなわち、フォトダイオード200は、容易に製造可能なものとなる。
以上、本発明の接合方法、接合体、半導体装置および光電変換素子を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、本発明の接合方法は、前記各実施形態のうち、任意の1つまたは2つ以上を組み合わせたものであってもよい。
また、本発明の接合方法は、必要に応じて、1以上の任意の目的の工程を追加してもよい。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.フォトダイオード(接合体)の製造
(実施例1)
まず、第1の基材として、縦20mm×横20mm×平均厚さ1mmのステンレス鋼基板を用意し、第2の基材として、縦20mm×横20mm×平均厚さ1mmの石英ガラス基板を用意した。
次いで、ステンレス鋼基板上に、真空蒸着法によりアルミニウムを成膜した。一方、石英ガラス基板上には、真空蒸着法によりアルミニウムを格子状に成膜した。
次に、ステンレス鋼基板上に成膜したアルミニウム膜上に、以下の条件でn型半導体層(平均厚さ300nm)を形成した。
<n型半導体層の成膜条件>
・成膜方法 :プラズマCVD法
・原料ガスの組成 :モノシラン+ホスフィン
・キャリアガスの組成:水素
・高周波電力の周波数:13.56MHz
・チャンバー内圧力 :100Pa
・高周波電力の出力 :100W
続いて、n型半導体層上に、以下の条件でi型半導体層(平均厚さ1000nm)を形成した。
<i型半導体層の成膜条件>
・成膜方法 :プラズマCVD法
・原料ガスの組成 :モノシラン
・キャリアガスの組成:水素
・高周波電力の周波数:13.56MHz
・チャンバー内圧力 :100Pa
・高周波電力の出力 :100W
一方、石英ガラス基板上に成膜したアルミニウム膜上に、以下の条件でp型半導体層(平均厚さ300nm)を形成した。
<p型半導体層の成膜条件>
・成膜方法 :プラズマCVD法
・原料ガスの組成 :モノシラン+ジボラン
・キャリアガスの組成:水素
・高周波電力の周波数:13.56MHz
・チャンバー内圧力 :100Pa
・高周波電力の出力 :100W
次に、得られたi型半導体層の表面とp型半導体層の表面に、それぞれ以下に示す条件で紫外線を照射した。
<紫外線照射条件>
・雰囲気の組成 :窒素ガス
・雰囲気の温度 :20℃
・雰囲気の圧力 :100Pa
・紫外線の波長 :172nm
・紫外線の照射時間 :5分
次に、紫外線を照射した面同士が接触するように、ステンレス鋼基板と石英ガラス基板とを重ね合わせ、これらを接合した。
次いで、ステンレス鋼基板と石英ガラス基板とを3MPaで加圧しつつ、80℃で加熱し、15分間維持した。これにより、ステンレス鋼基板と石英ガラス基板との接合強度の向上を図り、フォトダイオード(接合体)を得た。
(実施例2)
まず、実施例1と同様にして、アルミニウム膜を備えたステンレス鋼基板と、格子状のアルミニウム膜を備えた石英ガラス基板とを用意した。
次に、ステンレス鋼基板上に成膜したアルミニウム膜上に、実施例1と同様の条件で、i型半導体層と同様の半導体層(平均厚さ300nm)を形成した。次いで、ホスフィンガス存在下でこの半導体層に熱処理を施し、半導体層中にリンイオンを熱拡散させた。これにより、アルミニウム膜上にn型半導体層を形成した。
次いで、n型半導体層上に、実施例1と同様の条件で、i型半導体層(平均厚さ1000nm)を形成した。
一方、石英ガラス基板上に成膜されたアルミニウム膜上にも、実施例1と同様の条件で、i型半導体層と同様の半導体層(平均厚さ300nm)を形成した。次いで、ジボランガス存在下でこの半導体層に熱処理を施し、半導体層中にホウ素イオンを熱拡散させた。これにより、格子状のアルミニウム膜上にp型半導体層を形成した。
以下、実施例1と同様にして、i型半導体層の表面とp型半導体層の表面にそれぞれ紫外線を照射した後、これらの表面同士が密着するように、ステンレス鋼基板と石英ガラス基板とを重ね合わせ、これらを接合した。
次いで、ステンレス鋼基板と石英ガラス基板とを3MPaで加圧しつつ、80℃で加熱し、15分間維持した。これにより、ステンレス鋼基板とガラス基板との接合強度の向上を図り、フォトダイオード(接合体)を得た。
(実施例3)
まず、実施例1と同様にして、アルミニウム膜を備えたステンレス鋼基板と、格子状のアルミニウム膜を備えた石英ガラス基板とを用意した。
次に、ステンレス鋼基板上に成膜したアルミニウム膜上に、実施例1と同様の条件で、n型半導体層およびi型半導体層を形成した。
一方、石英ガラス基板上に成膜したアルミニウム膜上にも、実施例1と同様の条件で、p型半導体層を形成した。
次に、i型半導体層の表面およびp型半導体層の表面に、フッ酸含有液を用いたエッチング処理を施した。
以下、実施例1と同様にして、i型半導体層の表面とp型半導体層の表面にそれぞれ紫外線を照射した後、これらの表面同士が密着するように、ステンレス鋼基板と石英ガラス基板とを重ね合わせ、これらを接合した。
次いで、ステンレス鋼基板と石英ガラス基板とを3MPaで加圧しつつ、80℃で加熱し、15分間維持した。これにより、ステンレス鋼基板と石英ガラス基板との接合強度の向上を図り、フォトダイオード(接合体)を得た。
(実施例4)
フッ酸含有液を用いたエッチング処理に代えて、水素プラズマ処理を行うようにした以外は、前記実施例3と同様にしてフォトダイオード(接合体)を得た。
2.フォトダイオードの評価
2.1 接合強度(割裂強度)の評価
各実施例で得られたフォトダイオードについて、それぞれ層間の接合強度を測定した。
その結果、層間の接着強度が5MPa以上であり、フォトダイオードは十分な接合強度を有していた。
2.2 光電変換特性の評価
各実施例で得られたフォトダイオードに光を照射した。その結果、各フォトダイオードにおいて、電流を検出することができた。
本発明の接合方法の第1実施形態を説明するための模式図(縦断面図)である。 本発明の接合方法の第1実施形態を説明するための模式図(縦断面図)である。 本発明の接合方法の第1実施形態を説明するための模式図(縦断面図)である。 本発明の接合方法の第1実施形態を説明するための模式図(縦断面図)である。 接合膜の形成に用いられる成膜装置を模式的に示す縦断面図である。 本発明の接合方法の第2実施形態を説明するための模式図(縦断面図)である。 本発明の接合方法の第2実施形態を説明するための模式図(縦断面図)である。 本発明の接合方法の第3実施形態を説明するための模式図(縦断面図)である。 本発明の接合方法の第3実施形態を説明するための模式図(縦断面図)である。 本発明の半導体装置の一例として、フォトダイオードの構成を示す模式図(縦断面図)である。
符号の説明
1……接合体 21……第1の基材 22……第2の基材 23、24……接合面 31……第1の接合膜 32……第2の接合膜 301……Si−H結合 302……活性手 33……空間 31a、32a……表面 310……所定領域 41……第1の被着体 42……第2の被着体 5……仮接合体 6……マスク 61……窓部 100……成膜装置 101……チャンバー 102……供給口 103……排気口 130……下部電極 131……アース線 140……上部電極 180……電源回路 182……高周波電源 183……コンデンサ 184……配線 200……フォトダイオード 210……陰極 220……n型半導体層 230……i型半導体層 240……p型半導体層 250……陽極 260……外部回路 270……第1の被着体 280……第2の被着体

Claims (15)

  1. 各々、基材と、該基材上の少なくとも一部の領域に設けられ、Si−H結合を含むアモルファスシリコンで構成された接合膜とを備える第1の被着体および第2の被着体を用意する第1の工程と、
    前記各接合膜のうち、少なくとも一部の所定領域に対してエネルギーを付与して、前記各接合膜の表面の前記Si−H結合を切断することにより、前記各接合膜に接着性を発現させる第2の工程と、
    前記各接合膜の前記所定領域同士が密着するように、前記第1の被着体と前記第2の被着体とを貼り合わせ、接合体を得る第3の工程とを有することを特徴とする接合方法。
  2. 前記接合膜は、シラン系ガスを主成分とする原料ガスを用い、水素雰囲気下において化学蒸着法によって形成されたものである請求項1に記載の接合方法。
  3. 前記シラン系ガスは、モノシランガスである請求項2に記載の接合方法。
  4. 前記接合膜は、アモルファスシリコンで構成された膜に対し、フッ酸含有液によるエッチングおよび水素プラズマ処理のうちの少なくとも一方を施してなるものである請求項1に記載の接合方法。
  5. 前記接合膜中の水素原子の含有率は、1〜40原子%である請求項1ないし4のいずれかに記載の接合方法。
  6. 前記接合膜の平均厚さは、10nm〜10μmである請求項1ないし5のいずれかに記載の接合方法。
  7. 前記第2の工程において、前記各接合膜の一部の所定領域に対してエネルギーを付与し、
    前記第3の工程において、前記各接合膜の前記所定領域同士が重なり合うように、前記第1の被着体と前記第2の被着体とを貼り合わせ、これらを部分的に接合する請求項1ないし6のいずれかに記載の接合方法。
  8. 前記接合膜に対するエネルギーの付与は、前記接合膜にエネルギー線を照射する方法、前記接合膜を加熱する方法、および前記接合膜に圧縮力を付与する方法のうちの少なくとも1つの方法により行われる請求項1ないし7のいずれかに記載の接合方法。
  9. 前記エネルギー線は、波長126〜300nmの紫外線である請求項8に記載の接合方法。
  10. 前記加熱の温度は、25〜100℃である請求項8または9に記載の接合方法。
  11. 前記圧縮力は、0.2〜100MPaである請求項8ないし10のいずれかに記載の接合方法。
  12. 請求項1ないし11のいずれかに記載の接合方法により、2つの基材を接合してなることを特徴とする接合体。
  13. 前記第1の被着体が備える前記接合膜は、Si−H結合を含むp型のアモルファスシリコンで構成されており、前記第2の被着体が備える前記接合膜は、Si−H結合を含むn型のアモルファスシリコンで構成されており、
    これらの前記第1の被着体と前記第2の被着体とが、請求項1ないし11のいずれかに記載の接合方法により接合されたことにより、前記第1の被着体と前記第2の被着体との接合界面が、pn接合になっていることを特徴とする半導体装置。
  14. 前記第1の被着体が備える前記接合膜は、Si−H結合を含むp型のアモルファスシリコンまたはSi−H結合を含むn型のアモルファスシリコンで構成されており、前記第2の被着体が備える前記接合膜は、Si−H結合を含むi型のアモルファスシリコンで構成されており、
    これらの前記第1の被着体と前記第2の被着体とが、請求項1ないし11のいずれかに記載の接合方法により接合されたことにより、前記第1の被着体と前記第2の被着体との接合界面が、pi接合またはni接合になっていることを特徴とする半導体装置。
  15. 請求項13または14に記載の半導体装置を備えることを特徴とする光電変換素子。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113410128A (zh) * 2014-12-23 2021-09-17 Ev 集团 E·索尔纳有限责任公司 用于预固定衬底的方法和装置

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