JP2009151022A - 低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光システム、及び蛍光観察又は蛍光測光方法 - Google Patents

低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光システム、及び蛍光観察又は蛍光測光方法 Download PDF

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Abstract

【課題】自家蛍光によるノイズの影響を効率良く低減し、高精度、高品質な蛍光観察、蛍光計測、更には微弱蛍光の観察や計測が可能であり、さらに、低屈折率や高屈折率での観察・計測にも対応しうるように設計された顕微鏡を用いた生物細胞の長期間にわたる蛍光観察・計測に際し、細胞から得られるシグナルを極力多く得て観察・計測の精度を向上させることの可能な低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光システム、及び蛍光観察又は蛍光測光方法を提供する。
【解決手段】d線での屈折率ndが1.3≦nd≦1.9、d線でのアッベ数νdが15≦νd≦100の光学特性を有する低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用い、且つ、蛍光観察・計測可能に構成された光学機器を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光システム、及び蛍光観察又は蛍光測光方法に関し、より詳しくは、例えば、カバーガラス(シート)、ディッシュ、ウェルプレート、セルなど、対物レンズと試料との間に該試料と接触した状態で配置して用いられる、低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光システム、及び蛍光観察又は蛍光測光方法に関する。
近年の顕微鏡分野、蛍光顕微鏡分野、タンパク質・DNA解析装置分野などにおける測定機器と装置の発展により、これらの分野における観察・計測の傾向が変化している。その傾向の変化としては、次の2つの大きな流れがある。
その一つは、固定された細胞の観察・計測から生細胞の観察・計測といった観察・計測対象の変貌である。ポストゲノムの時代に入り、蛍光色素一分子蛍光測定、蛍光色素の多色化による生体機能の同時解析など、微弱な蛍光を広帯域で正確に観察・計測できる技術に関する重要性が増してきている。特に、近年、最先端のリサーチ分野では、生体の機能解明やタンパク質の挙動解析・相互作用の解析などを目的として、細胞を生かしたまま、長時間(数日から数週間)に渡り観察しつづけたいというニーズが高まっており、そのような観察をする手法が種々開発されて来ている。細胞の観察手法としては、蛍光タンパク
質を所望の細胞に発現させたり、蛍光色素を導入して、その蛍光を観察する手法がよく用いられている。そして、最近の技術として、究極の微弱蛍光観察といえる一分子蛍光観察などがあり、より一層の微弱蛍光の観察、計測がトレンドとなっている。また、一般の蛍光観察においても、蛍光物質を励起するための光(励起光)が強すぎると細胞へダメージを与えてしまう。このため、長時間細胞を生かしつづけるには、できるだけ励起光強度を弱くする必要がある。また、細胞観察に限らず、蛍光物質に励起光を照射するとその蛍光が褪色していくことが知られている。弱い励起光を照射することで褪色を抑制するためにも、微弱蛍光でS/N比よく観察できることは非常に有用である。
しかし、弱い励起光を用いると、検出される蛍光強度も弱くなり、S/N比の高い画像を得ることが困難となる。究極の微弱蛍光観察である一分子蛍光観察をはじめとして、蛍光が微弱であればあるほどノイズの寄与が大きくなり、S/N比を下げることになる。ここで、ノイズとは主に光学系や試料からの自家蛍光などを指す。
もう一つは、従来の顕微鏡装置のような観察する機能のみを備えた装置から、さらに蛍光強度、波長、被検出物の局在などを計測し定量化する手段を備えた装置への変貌である。ノイズも含めた正確な定量性が必要とされてきている。
ところで、蛍光顕微鏡等の蛍光観察装置やゲノム/タンパク質分析装置などの蛍光計測装置では、紫外〜赤外の広い範囲でさまざまな波長を観察・計測する。特に、U励起、B励起、G励起と呼ばれる3つの励起による蛍光観察・計測が代表的であり、U励起では、365nm付近の波長で励起し450nm付近の蛍光を、B励起では、488nm付近の波長で励起し540nm付近の蛍光を、G励起では、550nm付近の波長で励起し600nm付近の蛍光を、それぞれ観察・計測する。
従来の蛍光観察装置及び蛍光計測装置としては、例えば、次の特許文献1,2に記載のものが提案されている。
特開平08−320437号公報 特開平08−178849号公報
また、従来、蛍光観察を行う顕微鏡としては、例えば、次の特許文献3に、通常の落射照明による蛍光観察と全反射照明による蛍光観察とを切り替えて行うように構成された顕微鏡が記載されている。
特許文献3に記載の顕微鏡など、従来の蛍光顕微鏡を介した蛍光検出システムでは、蛍光物質に励起光を照射し、蛍光物質の発する蛍光を検出器で検出することで試料を観察するように構成されている。
特開2001−83318号公報
また、生細胞の蛍光顕微鏡観察・計測において、細胞は基板に付着させて観察・計測するが、対物レンズと試料との間に該試料と接触した状態で配置される光学基材としては、カバーガラスやプラスチックディッシュ等が用いられている。
しかし、一般に、ガラスは細胞が着床しにくい。このため、ガラス基板で細胞の活性を維持することは難しい。従って、カバーガラス等、ガラス製の光学基材を用いた生細胞の蛍光観察では、シグナルとして得られる蛍光量が観察・計測当初から少ない、あるいは経時で著しく減少してしまい、その結果、観察が困難であり、あるいは、経時変化を追う計測が難しいという課題があった。
そこで、従来、基材への細胞の付着性を向上させるための表面処理を行った光学基材が、例えば、次の特許文献4〜8に開示されている。これらの特許文献に記載のものはガラス基材の表面に親細胞性を有するアミノ基を含有する化合物をコーティングしている。
特開2007‐20444号公報 特開2006‐55157号公報 特開平5‐227944号公報 特開2006‐189355号公報 特開2006‐258805号公報
しかし、特許文献1や特許文献2に開示されているような、従来の蛍光観察装置や蛍光計測装置は、蛍光観察における見えのよさや、蛍光測定における定量性に関し、装置に用いられている光学素子に含まれる不純物(遷移金属元素、希土類元素、白金コロイドなど)から発した自家蛍光や、カバーガラスから発した自家蛍光や、低屈折率オイルから発した自家蛍光によるノイズの影響を大きく受けて、品質が下げられたものとなっていた。
また、特許文献3に記載の顕微鏡など、従来の蛍光顕微鏡を介した蛍光検出システムにおいては、検出器で検出される信号は、所望の深度からの蛍光のみならず、蛍光顕微鏡観察に使用する対物レンズやイマージョン物質自体など光学系や試料から発せられる自家蛍光なども検出され、これがノイズとなりS/N比を低下させる原因となる。
特に、高倍率・高NAの(油浸)対物レンズで観察する際には、対物レンズと試料との間にイマージョン物質として、水などに比べて自家蛍光の大きなイマージョン物質を塗布する必要があり、また、一分子観察など微弱な蛍光を検出する際には、これらのノイズの寄与が大きくなるので、S/N比の劣化が顕著となっていた。
また、特許文献3に記載の顕微鏡など全反射照明による蛍光観察を行うことのできる顕微鏡では、全反射照明することにより、ノイズとなる試料の所望深度以外の他の深さからの蛍光を抑えることができるという利点がある一方、全反射照明できる範囲が非常に狭く、光学調整が煩雑であるという問題があった。
また、特許文献4〜8に記載のものは、顕微鏡観察に応じた光学基材について光学特性の最適化がされていないため、一分子蛍光などの高NAを必要とするもの、低屈折利率を必要とするものには収差が発生し、精度よく観察・計測することができなかった。
さらに、特許文献4〜8に記載のガラス基材の表面をコーティングしている親細胞性を有するアミノ基を含有する化合物は、観察・計測に先立ち表面の塵を落とすための洗浄を行うと、ガラス基材の表面から剥離する等の不具合が発生する場合があった。
一方、プラスチックのディッシュは、その価格の安さから汎用品として用いられており、ポリスチレン(PS)を用いたものが多い。しかし、顕微鏡が一般的にカバーガラスの光学定数である屈折率1.525、アッベ数56程度を想定して設計されているのに対し、ポリスチレンを用いたディッシュは、屈折率が1.59、アッベ数が31程度の光学定数を有している。このため、ポリスチレン製ディッシュを用いて顕微鏡観察・計測を行うと、ポリスチレンと顕微鏡の双方の光学定数の差に起因して収差が大きく発生する。このため、ポリスチレン製ディッシュの使用は、高精度な観察・計測には適さないという欠点があった。
また、ポリスチレンなどのプラスチックは、その主成分や、酸化防止剤などの添加剤に二重結合持つ有機物を含んでいるものが多いため、ガラスに比べて自家蛍光が大きくなるという欠点があった。さらに、蛍光観察をする際に位相差観察を併用するような場合があるが、プラスチックは複屈折性を持つものが多いため位相差観察が十分にできないという欠点があった。
こうした事情から、従来、対物レンズと試料との間に該試料と接触した状態で配置される光学基材としては、大量処理が必要なスクリーニング用途にはプラスチック製のものを用い、少量・高精度の高精度の観察・測定にはガラス製のものを用いるというように、観察・計測の用途に応じて使い分けがされてきた。
また、近年の観察対象の広がりから、顕微鏡において、細胞の屈折率1.37〜1.38に近いものから、一分子蛍光などではNAを大きくとるため屈折率1.8のものまで、光学定数の最適化を広い範囲で行うことが提案されている
例えば、高NA対物レンズを用いた顕微鏡システムでは、対物レンズの先玉に、例えば、 HYPERLINK "http://www.olympus.co.jp/jp/lisg/bio-micro/product/tirfm/sf03.cfm" http://www.olympus.co.jp/jp/lisg/bio-micro/product/tirfm/sf03.cfmに記載されている高屈折率の光学ガラス製の製品を用い、特願2006-175494に記載のような一分子蛍光などの測定手法が実施されている。また、低NA対物レンズを用いた顕微鏡システムでは、ウォーター対物レンズや、グリセリン対物レンズなどがよく知られ、製品化されている。
これに対して、一般的に使用されているガラス基材からなるカバーガラスは、e線での屈折率ne=1.5255±0.0015、アッベ数νe=56±2(JIS規格R3702)である。そして、顕微鏡は、上述のように、一般的にカバーガラスの光学定数である屈折率1.525、アッベ数56程度を想定して設計されている。このため、上述のような高屈折率や低屈折率を必要とする観察・計測では、光学的な収差が大きくなり、観察・計測の精度が悪くなる場合や観察・計測自体が不可能となる場合が発生するという問題があった。
しかるに、このような低屈折率や高屈折率での観察・計測に対応する光学定数を有する素材は存在するものの、低屈折率や高屈折率での観察・計測に対応するカバーガラスやプラスチックシートなどの光学基材としては製品化されていない。
そして、従来、低屈折率や高屈折率での観察・計測にも対応しうるように設計された顕微鏡を用いた生物細胞の長期間にわたる蛍光観察・計測に際し、観察・計測の精度を向上させることの可能な光学基材を用いた蛍光観察・計測システムは提案されていない。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、自家蛍光によるノイズの影響を効率良く低減し、高精度、高品質な蛍光観察、蛍光計測、更には微弱蛍光の観察や計測が可能であり、さらに、低屈折率や高屈折率での観察・計測にも対応しうるように設計された顕微鏡を用いた生物細胞の長期間にわたる蛍光観察・計測に際し、細胞から得られるシグナルを極力多く得て観察・計測の精度を向上させることの可能な低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光システム、及び蛍光観察又は蛍光測光方法を提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、本発明による低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光システムは、d線での屈折率ndが1.3≦nd≦1.9、d線でのアッベ数νdが15≦νd≦100の光学特性を有する低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用い、且つ、蛍光観察・計測可能に構成された光学機器を備えたことを特徴としている。
また、本発明による低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光システムは、d線での屈折率ndが1.6≦nd≦1.9、d線でのアッベ数νdが35≦νd≦65の光学特性を有する低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用い、且つ、蛍光観察・計測可能に構成された光学機器を備えたことを特徴としている。
また、本発明による低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光システムは、d線での屈折率ndが1.7≦nd≦1.8、d線でのアッベ数νdが40≦νd≦60の光学特性を有する低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用い、且つ、蛍光観察・計測可能に構成された光学機器を備えたことを特徴としている。
また、本発明による低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光システムは、d線での屈折率ndが1.35≦nd≦1.5、d線でのアッベ数νdが30≦νd≦100の光学特性を有する低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用い、且つ、蛍光観察・計測可能に構成された光学機器を備えたことを特徴としている。
また、本発明による本発明による低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光システムは、d線での屈折率ndが1.37≦nd≦1.48、d線でのアッベ数νdが35≦νd≦75の光学特性を有する低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用い、且つ、蛍光観察・計測可能に構成された光学機器を備えたことを特徴としている。
また、本発明の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光システムにおいては、前記低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材が、表面に電荷がプラスであるアミノ基含有シランカップリング剤をコーティングされてなるのが好ましい。
また、本発明の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光システムにおいては、前記低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材が、前記低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材が、ガラス基材に前記シランカップリング剤をコーティングされてなるのが好ましい。
また、本発明の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光システムにおいては、前記低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材が、次の条件式(1-1)を満足するのが好ましい。
CG’/BCG≦0.7 …(1-1)
但し、BCG’は低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材の自家蛍光の強度の平均値、BCGは従来一般的に使用されているカバーガラスの自家蛍光の強度の平均値である。
また、本発明による低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法は、蛍光観察又は蛍光測光方法において、次の工程(A),(B),(C)からなることを特徴としている。
(A)生細胞を用いた蛍光を発する試料を選択する工程。
(B)前記工程(A)で選択した試料を観察又は測光するためのアプリケーション、及び次の条件式(1-1)を満足する上記本発明のいずれかの低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いてなる蛍光観察又は蛍光測光システムを選択する工程。
(C)前記工程(B)で選択したアプリケーション及びシステムを用いて、前記工程(A)で選択した試料を蛍光観察又は蛍光測光する工程。
CG’/BCG≦0.7 …(1-1)
但し、BCG’は低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材の自家蛍光の強度の平均値、BCGは従来一般的に使用されているカバーガラスの自家蛍光の強度の平均値である。
また、本発明の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法においては、前記工程(A)で選択する生細胞を用いた蛍光を発する試料が、次の条件式(2-1),(3-1)の少なくとも一方を満足するのが好ましい。
(S−s)/(B+b)≦5 …(2-1)
3BCG/B≧0.2 …(3-1)
但し、Sは前記試料が発する蛍光の強度の平均値、sは該蛍光の強度の揺らぎ幅、Bは試料が存在しない背景ノイズの強度の平均値、bは該背景ノイズの強度の揺らぎ幅、BCGは従来一般的に使用されているカバーガラスの自家蛍光の強度の平均値である。
また、本発明の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法においては、前記工程(B)で選択したアプリケーションがFRET(Fluorescence Resonance Energy Transfer:蛍光共鳴エネルギー移動)であるのが好ましい。
また、本発明の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法においては、前記工程(B)で選択したアプリケーションが動画観察又はタイムラプス観察であるのが好ましい。
また、本発明の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法においては、前記工程(B)で選択したシステムが蛍光顕微鏡システムであるのが好ましい。
また、本発明の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法においては、前記工程(B)で選択したシステムが蛍光顕微鏡システムであるのが好ましい。
また、本発明の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法においては、前記工程(B)で選択したシステムが全反射顕微鏡システムであるのが好ましい。
また、本発明の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法においては、前記工程(B)で選択したシステムが蛍光顕微鏡と全反射顕微鏡のいずれか一方を2つ又は両方を1つずつ有し、前記試料を挟んで対物光学系が対向配置された顕微鏡システムとして構成されているのが好ましい。
本発明によれば、自家蛍光によるノイズの影響を効率良く低減し、高精度、高品質な蛍光観察、蛍光計測、更には微弱蛍光の観察や計測が可能であり、さらに、低屈折率や高屈折率での観察・計測にも対応しうるように設計された顕微鏡を用いた生物細胞の長期間にわたる蛍光観察・計測に際し、細胞から得られるシグナルを極力多く得て観察・計測の精度を向上させることの可能な低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光システム、及び蛍光観察又は蛍光測光方法が得られる。
本発明における低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材とは、蛍光観察標本を顕微鏡ステージ上に保持するための光学部材であり、かつ、結像性能に影響を与えるとともに、それ自体で発生する自家蛍光が蛍光観察画像に影響を与える光学部材であって、低自家蛍光かつ良細胞付着性を付与されたものを指す。「蛍光観察標本を顕微鏡ステージ上に保持するための光学部材であり、かつ、結像性能に影響を与えるとともに、それ自体で発生する自家蛍光が蛍光観察画像に影響を与える光学部材」には、具体的には、例えば、カバーガラスやガラスボトムディッシュなどが含まれ、スライドガラスのように結像性能に影響を与えないものは含まれない。
実施例の説明に先立ち、本発明を想到するに至った経緯を説明する。
(試料の明るさに着目した蛍光画像S/N比のランク分け)
まず、本発明者は、高精度、高品質な蛍光観察、蛍光測光、更には微弱蛍光観察や微弱蛍光測光などのアプリケーション(検鏡法)が可能な蛍光観察装置及び蛍光測光装置に要求されるノイズレベルに関して、観察・測光に用いられる試料ごとに後述する如くランク分けすることを試みた。
ここで、ランク分けに用いる式を定義する。被観察物(又は被測光物)の蛍光強度の平均値をS、背景(観察領域において被観察物、又は被測光物が存在しない部分)の自家蛍光の強度の平均値をB、それらの強度の揺らぎをそれぞれs,bとしたとき、アプリケーションのS/N比を次式(2-0)により定義した。
(S−s)/(B+b) …(2-0)
(1)一分子蛍光観察
まず、最も自家蛍光の影響を受けやすい試料として、いわゆる一分子蛍光観察のS/N比について考察した。一分子蛍光観察では、観察光学系または測光光学系の自家蛍光が主たるノイズ成分である。一分子蛍光観察では、S/N比は次の条件式(2-3)を満たす。
(S−s)/(B+b)≦2 …(2-3)
(2)暗い試料の蛍光観察
次に、生細胞を用いた蛍光観察(又は測光)について考察した。生細胞観察では、細胞の活性を長時間に亘って維持する必要がある。一般に、細胞へのダメージを軽減するため、蛍光物質の量を少なくすることや、励起光の生細胞への照射強度を弱めることが行われる。したがって、蛍光の強度も小さくなり易い傾向にある。暗い試料の蛍光観察ではS/N比は次の条件式(2-2)を満たす。
(S−s)/(B+b)≦3 …(2-2)
(3)通常の明るさの試料の蛍光観察
最後に、一般的な固定細胞を用いた蛍光観察(又は測光)、あるいは、生細胞を用いた蛍光観察のうち、蛍光強度が強い場合について考察した。固定細胞の場合、細胞の活性を維持する必要がないため、蛍光物質の濃度を高くしたり、励起光強度を強めたりすることができる。従って、蛍光強度を高めることができる。また、生細胞を用いる場合でも、活性を維持する期間が短くてもよい場合や、細胞への影響が少ない部位に蛍光タンパクを発現させる場合などもこれに該当する。この場合、S/N比は次の条件式(2-1)を満たす。
(S−s)/(B+b)≦5 …(2-1)
以上のように、本発明者は、蛍光観察(又は測光)に用いられている試料の明るさについて、アプリケーションのS/N比に応じて3つに分類した。
(アプリケーションの種類)
次に、本発明者は、これらの試料を蛍光観察(又は測光)するためのアプリケーションの種類について考察した。
(1)FRET観察
蛍光試料を観察又は測光する手法として、良く利用される手法の一つにFRET(Fluorescence Resonance Energy Transfer:蛍光共鳴エネルギー移動)がある。
FRETはドナー物質とアクセプタ物質の2つの蛍光物質を用い、ドナー物質の蛍光波長とアクセプタ物質の励起波長とが略一致するようにしている。そのため、FRETにおける励起光の波長は、アクセプタ物質を単独で用いる場合の励起光の波長よりも、短波長側に離れている。一方、観察または測光光学系の自家蛍光は、励起光の波長が短くなるほど強くなる傾向を有する。従って、FRETでは、同じ蛍光波長を観察または測光する場合であっても、観察または測光光学系からの自家蛍光が大きくなるという問題がある。
(2)カルシウムイオンイメージング
また、細胞内、あるいは、細胞間の信号の伝達に大きな役割を果たしている物質にカルシウムイオンがある。このカルシウムイオンの濃度勾配や濃度の変化を観察、測光することは細胞の機能解明において極めて重要である。カルシウムイオンの濃度を検出する場合によく用いられる試薬として、Fura-2、Indo-1がある。これらの試薬には励起光として波長300〜400nmのUV光が利用される。そのため、観察または測光光学系からの自家蛍光が大きくなるという問題があった。近年、UV光を用いないCameleonという蛍光試薬が提供されているが、Cameleonは上述のFRETを応用した試薬であるため、FRETと同様の問題が起こる。
(3)動画、タイムラプス観察
細胞膜上の一分子を観察する場合や、前記FRET、カルシウムイオンイメージングにおいては、その強度の比だけでなく、強度比の時間変化を調べることが重要である。変化のスピードが速い場合には、ビデオレートあるいはそれ以上の高速度カメラによる動画観察が行われる。動画観察の場合、変化の速い現象を検出するため、1コマ当たりのカメラの露光時間が必然的に短くなり、蛍光の輝度レベルが低くなる。従って、動画観察では、一般的な蛍光観察または測光に比べて蛍光が弱いため、S/N比の良い画像データを得ることが難しい。
一方、変化のスピードが遅い場合には、数時間から数日にわたり間欠的に観察を続けるタイムラプス観察が行われる。タイムラプス観察においては、細胞の活性を長時間にわたって維持する必要があるため、試料細胞へ照射する励起光の強度を可能な限り小さくすることが要求される。このため、タイムラプス観察では、一般的な蛍光観察または測光に比べて、蛍光が弱いため、S/N比の良い画像データを得ることが難しい。
以上述べたように、蛍光試料を観察する種々のアプリケーションにおいても、アプリケーションに応じたS/N比劣化要因が存在する。
実際には、上記条件式(2-1)〜(2-3)の少なくともいずれかの明るさの条件に当てはまる試料と、上記(1)〜(3)の各アプリケーションとの組み合わせによって蛍光観察または蛍光測光が行われており、S/N比も上記条件式(2-1)〜(2-3)と前記アプリケーション(1)〜(3)との組み合わせに応じて決まる。
(自家蛍光の割合の調査)
次に、本発明者は、従来の一般的な対物レンズ、イマージョン物質、カバーガラスを用いた顕微鏡や測光装置などの光学システムにおける各々の自家蛍光の割合を調べた。
蛍光顕微鏡システムにおけるノイズは、試料からの自家蛍光と、光学系からの自家蛍光とに大別できる。本発明者は、正立顕微鏡BX51(OLYMPUS(株)製)を用いて測定した場合において、ノイズ成分のうち、試料からの自家蛍光と、光学系からの自家蛍光との割合を調査した。
光源から発した光はフィルタ(例えばU-MWIB3(OLYMPUS(株)製)のフィルタユニット)により、観察目的に応じた適切な波長が選択され、照明光学系を通り、励起光として試料に照射される。その際、照明光学系中に配置された対物レンズ、イマージョン物質、カバーガラスや、試料と一緒に封入されている物質が励起され、ノイズとなる自家蛍光を発する。本発明者は、この自家蛍光の量を、観察光学系に取り付けられたフォトマルチプライヤ(浜松ホトニクス(株)製)や冷却CCDであるCoolSNAP HQ(Photometrics社製)などの検出器を用いて測定した。
まず、通常の落射蛍光観察方法で試料の背景からの自家蛍光を測定し、次に試料を除いた状態で同測定を行う。これらの値の差が試料からの自家蛍光であり、残りが光学系からの自家蛍光として算出される。
算出されたノイズのうち、試料からの自家蛍光は、例えば、後述する如く試料の洗浄法や、試料作製条件によって大きく変動することが判明した。その結果、本発明者は、試料の作製条件により、試料からの自家蛍光のノイズのノイズ全体に及ぼす影響の度合の傾向が大きく3つに分類できることを見出した。これをノイズ全体に対する光学系からの自家蛍光のノイズの割合で示すと、次のように表すことができる。
普通の(洗浄しない)試料
(光学系からの自家蛍光のノイズ)/B≧0.2 …(3'-1)
洗浄した試料
(光学系からの自家蛍光のノイズ)/B≧0.4 …(3'-2)
極めて綺麗に洗浄した試料
(光学系からの自家蛍光のノイズ)/B≧0.6 …(3'-3)
但し、上記条件式(3'-1)〜(3'-3)において、Bは背景(観察領域において被観察物、又は被測光物が存在しない部分)の自家蛍光の強度の平均値である。
上記条件式(3'-1)〜(3'-3)において、下限値が大きいほど光学系からの自家蛍光のノイズの占める割合が大きくなり、光学系からの自家蛍光を改善すれば、その効果がより顕著に現れる。
S/N比向上のためには光学系からの自家蛍光のノイズの内訳を知る必要がある。そこで、本発明者は、対物レンズとイマージョン物質とカバーガラスのそれぞれのノイズ(自家蛍光)値の割合を調査した。測定方法は、上述した試料からの自家蛍光と光学系からの自家蛍光の割合を調査したときと同様の方法を用いた。
まず、照明光学系に対物レンズ、イマージョン物質、カバーガラスを適切に配置した状態(実使用状態)で検出される自家蛍光量を測定する。その後、カバーガラスを光学系から除いて測定、次にイマージョンオイルを光学系から除いた状態での自家蛍光を測定し、それぞれの値の差分を取ることによって、対物レンズ、イマージョンオイル、カバーガラスのそれぞれからの自家蛍光値を算出した。
UPLSAPO60XO(OLYMPUS(株)製),イマージョンオイル(OLYMPUS(株)製),カバーガラス(松浪ガラス工業(株)製)のそれぞれからの自家蛍光値について測定したところ、対物レンズとイマージョンオイルとカバーガラスの自家蛍光値は同程度であった。
また、さらに対物レンズを光学系から除いた状態での自家蛍光を測定し、対物レンズが光学系に配置されている状態での自家蛍光の測定値との差分を取ることによって、その他の光学部材の自家蛍光値を求めたところ、照明光学系に対物レンズ、イマージョン物質、カバーガラスを適切に配置した状態(実使用状態)で検出される自家蛍光量の1割程度であった。
その結果、光学システムの観察光学系(又は測光光学系)全体のノイズに占める自家蛍光は、対物レンズが約3割、イマージョン物質が約3割、カバーガラスが約3割を占め、その他が約1割であることが分かった。そして、微弱蛍光観察(又は計測)にとってこれら対物レンズ、イマージョン物質、カバーガラスからの自家蛍光は、品質の低下を招き、システム全体の性能維持において無視できないレベルにあることが明らかとなった。
そして、本発明者は、精査の結果、S/N比を5%向上するためには、対物レンズ、イマージョン物質、カバーガラスの3つの自家蛍光のうち少なくともひとつの自家蛍光を30%低減、あるいはこれら3つの自家蛍光全体で10%低減することが必要であることをつきとめた。
その上で、本発明者は、このカバーガラス等の「蛍光観察標本を顕微鏡ステージ上に保持するための光学部材であり、かつ、結像性能に影響を与えるとともに、それ自体で発生する自家蛍光が蛍光観察画像に影響を与える光学部材」を低自家蛍光かつ良細胞付着性となるように構成すると、細胞のシグナルが増えるため、レンズやオイルなどの自家蛍光が多少増えても観察・計測の精度を保つことが可能であるとの着想より、本発明を想到するに至った。
即ち、本発明の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光システムは、前記低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材が、次の条件式(1-1)を満足する。
CG’/BCG≦0.7 …(1-1)
但し、BCG’は低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材の自家蛍光の強度の平均値、BCGは従来一般的に使用されているカバーガラスの自家蛍光の強度の平均値である。
上記条件式(1-1)の上限値は、上述した「S/N比を5%向上するためには、S/N比を5%向上するためには、対物レンズ、イマージョン物質、カバーガラスの3つの自家蛍光のうち少なくともひとつの自家蛍光を30%低減させる必要がある」ということより導出したものである。
また、本発明の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光システムにおいては、次の条件式(1-2)を満足するのがより好ましい。
CG’/BCG≦0.5 …(1-2)
但し、BCG’は低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材の自家蛍光の強度の平均値、BCGは従来一般的に使用されているカバーガラスの自家蛍光の強度の平均値である。
さらには、本発明の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光システムにおいては、次の条件式(1-3)を満足するのがより一層好ましい。
CG’/BCG≦0.5 …(1-2)
但し、BCG’は低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材の自家蛍光の強度の平均値、BCGは従来一般的に使用されているカバーガラスの自家蛍光の強度の平均値である。
また、本発明の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法は、蛍光観察又は蛍光測光方法において、次の工程(A),(B),(C)からなる。
(A)生細胞を用いた蛍光を発する試料を選択する工程。
(B)前記工程(A)で選択した試料を観察又は測光するためのアプリケーション、及び次の条件式(1-1)を満足する上記本発明のいずれかの低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いてなる蛍光観察又は蛍光測光システムを選択する工程。
(C)前記工程(B)で選択したアプリケーション及びシステムを用いて、前記工程(A)で選択した試料を蛍光観察又は蛍光測光する工程。
CG’/BCG≦0.7 …(1-1)
但し、BCG’は低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材の自家蛍光の強度の平均値、BCGは従来一般的に使用されているカバーガラスの自家蛍光の強度の平均値である。
上記条件式(1-1)の上限値は、上述した「S/N比を5%向上するためには、S/N比を5%向上するためには、対物レンズ、イマージョン物質、カバーガラスの3つの自家蛍光のうち少なくともひとつの自家蛍光を30%低減させる必要がある」ということより導出したものである。
また、本発明の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法においては、前記工程(B)で用いる前記低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材が次の条件式(1-2)を満足するのがより好ましい。
CG’/BCG≦0.5 …(1-2)
但し、BCG’は低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材の自家蛍光の強度の平均値、BCGは従来一般的に使用されているカバーガラスの自家蛍光の強度の平均値である。
さらには、本発明の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法においては、前記工程(B)で用いる前記低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材が次の条件式(1-3)を満足するのがより一層好ましい。
CG’/BCG≦0.3 …(1-3)
但し、BCG’は低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材の自家蛍光の強度の平均値、BCGは従来一般的に使用されているカバーガラスの自家蛍光の強度の平均値である。
また、本発明の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法においては、前記工程(A)で選択する生細胞を用いた蛍光を発する試料が、次の条件式(2-1),(3-1)の少なくとも一方を満足するのが好ましい。
(S−s)/(B+b)≦5 …(2-1)
3BCG/B≧0.2 …(3-1)
但し、Sは前記試料が発する蛍光の強度の平均値、sは該蛍光の強度の揺らぎ幅、Bは試料が存在しない背景ノイズの強度の平均値、bは該背景ノイズの強度の揺らぎ幅、BCGは従来一般的に使用されているカバーガラスの自家蛍光の強度の平均値である。
上記条件式(2-1)の上限値は、上述した試料の明るさのランク分けにおける「通常の明るさの試料」を蛍光観察・蛍光測光する場合に求められるアプリケーションのS/N比に対応させたものである。
上記条件式(3-1)の下限値は、上述したノイズ全体に対する光学系からの自家蛍光のノイズの割合における「普通の(洗浄しない)試料」についての条件式(3'-1)に対応させたものである。また、上記条件式(3-1)の左辺は、上述した「光学システムの観察光学系(又は測光光学系)全体のノイズに占める自家蛍光は、対物レンズが約3割、イマージョン物質が約3割、カバーガラスが約3割を占め」、対物レンズ、イマージョン物質、カバーガラスのそれぞれの光学系全体に占めるノイズの割合が同じであること、及び条件式(3'-1)より、光学系からの自家蛍光のノイズのうちの対物レンズ及びイマージョン物質の自家蛍光のノイズの割合をカバーガラスの自家蛍光のノイズの割合に置き換えることによって導出したものである。
また、本発明の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法においては、前記工程(A)で選択する生細胞を用いた蛍光を発する試料が、次の条件式(2-2),(3-2)の少なくとも一方を満足するのが好ましい。
(S−s)/(B+b)≦3 …(2-2)
3BCG/B≧0.4 …(3-2)
但し、Sは前記試料が発する蛍光の強度の平均値、sは該蛍光の強度の揺らぎ幅、Bは試料が存在しない背景ノイズの強度の平均値、bは該背景ノイズの強度の揺らぎ幅、BCGは従来一般的に使用されているカバーガラスの自家蛍光の強度の平均値である。
上記条件式(2-2)の上限値は、上述した試料の明るさのランク分けにおける「暗い試料」を蛍光観察・蛍光測光する場合に求められるアプリケーションのS/N比に対応させたものである。
上記条件式(3-2)の下限値は、上述したノイズ全体に対する光学系からの自家蛍光のノイズの割合における「洗浄した試料」についての条件式(3-2') に対応させたものである。また、上記条件式(3-2)の左辺は、上述した上述した「光学システムの観察光学系(又は測光光学系)全体のノイズに占める自家蛍光は、対物レンズが約3割、イマージョン物質が約3割、カバーガラスが約3割を占め」、対物レンズ、イマージョン物質、カバーガラスのそれぞれの光学系全体に占めるノイズの割合が同じであること、及び条件式(3'-2)より、光学系からの自家蛍光のノイズのうちの対物レンズ及びイマージョン物質の自家蛍光のノイズの割合をカバーガラスの自家蛍光のノイズの割合に置き換えることによって導出したものである。
また、本発明の蛍光観察低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法においては、前記工程(A)で選択する生細胞を用いた蛍光を発する試料が、次の条件式(2-3),(3-3)の少なくとも一方を満足するのが好ましい。
(S−s)/(B+b)≦2 …(2-3)
3BCG/B≧0.6 …(3-3)
但し、Sは前記試料が発する蛍光の強度の平均値、sは該蛍光の強度の揺らぎ幅、Bは試料が存在しない背景ノイズの強度の平均値、bは該背景ノイズの強度の揺らぎ幅、BCGは従来一般的に使用されているカバーガラスの自家蛍光の強度の平均値である。
上記条件式(2-3)の上限値は、上述した試料の明るさのランク分けにおける「一分子」を蛍光観察・蛍光測光する場合に求められるアプリケーションのS/N比に対応させたものである。
上記条件式(3-3)の下限値は、上述したノイズ全体に対する光学系からの自家蛍光のノイズの割合における「極めて綺麗に洗浄した試料」についての条件式(3'-3)に対応させたものである。また、上記条件式(3-3)の左辺は、上述した「光学システムの観察光学系(又は測光光学系)全体のノイズに占める自家蛍光は、対物レンズが約3割、イマージョン物質が約3割、カバーガラスが約3割を占め」、対物レンズ、イマージョン物質、カバーガラスのそれぞれの光学系全体に占めるノイズの割合が同じであること、及び条件式(3'-3)より、光学系からの自家蛍光のノイズのうちの対物レンズ及びイマージョン物質の自家蛍光のノイズの割合をカバーガラスの自家蛍光のノイズの割合に置き換えることによって導出したものである。
また、本発明の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法においては、前記工程(B)で選択したアプリケーションがFRET(Fluorescence Resonance Energy Transfer:蛍光共鳴エネルギー移動)であるのが好ましい。
また、本発明の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法においては、前記工程(B)で選択したシステムが蛍光顕微鏡システムであるのが好ましい。
また、本発明の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法においては、前記工程(B)で選択したシステムが全反射顕微鏡システムであるのが好ましい。
また、本発明の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法においては、前記工程(B)で選択したシステムが蛍光顕微鏡と全反射顕微鏡のいずれか一方を2つ又は両方を1つずつ有し、前記試料を挟んで対物光学系が対向配置された顕微鏡システムとして構成されているのが好ましい。
そして、本発明において低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いれば、細胞から得られるシグナルが増えるため、蛍光観察・計測の精度をより高精度なものとすることができる。また、対物レンズやイマージョン物資などの光学部材において自家蛍光のノイズが多少多く生じる部材を用いた場合であっても、本発明における低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いたことによるシグナル値の向上によって、(S−s)/(B+b)で示される値が上述した夫々の条件式の上限値2(条件式(2-3)),3(条件式(2-2)),5(条件式(2-1))以下となる関係を保てば、蛍光観察・計測を精度よく行うことができる。
本発明では、高屈折領域をd線での屈折率ndが1.6≦nd≦1.9の範囲にある領域と定義する。そして、本発明の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光システムは、高屈折領域では、d線での屈折率ndが1.6≦nd≦1.9、d線でのアッベ数νdが35≦νd≦65の光学特性を有する低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いる。
光学基材のd線での屈折率ndが下限値(1.6)を下回ると、設計を工夫しても開口数NAが1.49程度しか得られなくなる。実際、屈折率が1.52のカバーガラスを用いる設計では、開口数NA=1.49程度が限界である。しかし、一分子蛍光観察・計測などのアプリケーションに所望されている開口数は、NA=1.5以上であって、例えば2など、極力大きい値ほど好ましい。このため、光学基材のd線での屈折率ndが1.6以上でないと一分子蛍光観察の観察・計測アプリケーションには適さない。
d線での屈折率ndが1.8の光学基材を用いると、NAは1.7程度を得ることができる。また、d線での屈折率ndが1.9の光学基材を用いると、NAは1.8程度を得ることができる。
なお、これ以上のNAを得られるようにしても、それに対応しうる実質的に透明で無害且つ揮発性などの問題のないイマージョン物質が存在しないことや、光学ガラスの種類の多さに対応しうる設計自由度を持たせる観点から、光学基材のd線での屈折率ndの好ましい範囲は、1.6≦nd≦1.9、特に好ましくは1.7≦nd≦1.8となる。
また、このときの光学基材のd線でのアッベ数νdは、検討の結果、35≦νd≦65、特に好ましくは、40≦νd≦60の範囲であれば、精度よく観察・計測できることを見出した。
また、本発明では、低屈折領域をd線での屈折率ndが1.35≦nd≦1.5と定義する。そして、本発明の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察・計測システムは、低屈折領域では、d線での屈折率ndが1.35≦nd≦1.5、特に好ましくは、1.37≦nd≦1.48の範囲が、精度よく観察・計測できることを見出した。
また、このときの光学基材のd線でのアッベ数νdは、検討の結果、30≦νd≦100、特に好ましくは、35≦νd≦75の範囲が、精度よく観察・計測できることを見出した。
なお、低屈折率な対物レンズ、オイル、カバーガラスを使った観察・測定装置では、全反射条件を満たさない場合がある。一方、高屈折率な対物レンズ、オイル、カバーガラスを使った観察・計測装置では、低屈折率な対物レンズ、オイル、カバーガラスを使った観察・測定装置に比べて全反射条件を満たし易いため、上述の一分子蛍光観察・計測などのアプリケーションに適している。
また、本発明の蛍光観察・計測システムに用いる光学基材においては、良細胞付着性を付与するために、基材表面に電荷がプラスであるアミノ基含有シランカップリング剤をコーティングする。
また、本発明の蛍光観察・計測システムに用いる光学基材において、電荷がプラスであるアミノ基含有シランカップリング剤をコーティングする基材の材質には、一般的には、上記光学特性を有するガラスや、プラスチックを用いる。なお、ガラスや、プラスチック以外にも、上記光学特性を有するものであれば、結晶材料など所望の波長に対して透過性を有するものを用いることができる。
本発明の蛍光観察・計測システムに用いる光学基材における上記基材の作製に好適な硝材としては、例えば、ガラス基材の場合には、(株)オハラ製 SCHOTT D263、B270などのガラスや、光学ガラスとしてよく使用される屈折率のものとして(株)オハラ製 S−BSL7、高屈折率のものとして(株)オハラ製 S−PFL53など、上記光学特性を満たす種々の硝材が挙げられる。これらは、いずれも、通常はカバーガラスやディッシュに使用されていないものであるため、好適な形状に加工する必要がある。
また、上記基材をプラスチックで作製する場合には、よく使用される屈折率のものとしてポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、シクロオレフィンポリマー、アクリル樹脂、低屈折率のものとしてフッ素樹脂などが挙げられる。
また、本発明の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、カバーガラス、プレート、シート、ディッシュ、扁平セルなどが挙げられる。
また、本発明の蛍光観察・計測システムに用いる低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材の製造方法においては、上記光学特性を満たす基材の表面に表面電荷がプラスである基材の表面に表面電荷がプラスであるシランカップリング剤をコーティングする工程が含まれる。シランカップリング剤のコーティング方法としては、シランカップリング剤の溶液を基材表面に接触させる方法、シランカップリング剤とポリマーとの混合溶液を基材表面に接触させる方法、基材表面に中間層を設けた後にシランカップリング剤の溶液を基材表面に接触させる方法、などを採用することができる。
ここで、上記光学特性を満たす基材がガラスの場合には、シランカップリング剤の溶液を基材表面に接触させる方法を採用するのが好ましい。一方、上記光学特性を満たす基材がプラスチックの場合には、上述したいずれの方法を採用することもできるが、特に、シランカップリング剤とポリマーとの混合溶液を基材表面に接触させる方法、又は基材表面に中間層を設けた後にシランカップリング剤の溶液に接触させる方法を採用するのが好ましい。
なお、シランカップリング剤でコーティングされる基材は、コーティング前に十分に洗浄しておくことが好ましい。洗浄工程を経ることで、蛍光観察・計測の阻害要因となる有機物を除去することができる。洗浄方法としては、コーティングを効率的に行うことができれば特に限定しないが、例えば、酸洗浄、アルカリ洗浄、純水などの液体洗浄や、例えば、低温酸素プラズマや低温空気プラズマ、コロナ放電などのプラズマ処理などを用いることができる。
また、上記光学特性を満たす基材に用いるガラスは、表面のゼータ電位が比較的大きなマイナスの値を持つことが多い。そして、上述のような洗浄を行うと、この傾向は強くなり、例えば、−100mvなどの値を持ちやすい。一方、基材の表面への細胞の生えは、一般的にゼータ電位がプラスに近づいている方が生えやすい。即ち、上述した洗浄処理は、ガラス基材への細胞の生えを悪くする一因となる。
しかるに、表面電荷がプラスのシランカップリング剤をガラス基材にコーティングすれば、基材を洗浄しても基材表面のゼータ電位が大きなマイナスの値を持たないように、例えば、−100mvから例えば−30mvや10mvへと相対的にプラスの方向に近づけることができ、表面電荷がプラスのシランカップリング剤をコーティングされていないガラス基材に比べて細胞の生えが向上する。
本発明で用いるシランカップリング剤としては、本発明の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材の表面にプラスの電荷が付与できるものであれば特に限定されない。具体的には、例えば、(3−アミノプロピル)トリメトキシシラン、(3−アミノプロピル)トリエトキシシラン、[3−(メチルアミノ)プロピル]トリメトキシシラン、[3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル]トリメトキシシラン、[3−(N,N−ジエチルアミノ)プロピル]トリメトキシシラン、3−[N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]プロピルトリエトキシシラン、(3−アニリノプロピル)トリメトキシシラン、[3−(2−イミダゾリン−1−イル)プロピル]トリエトキシシラン、塩化トリメチル[3−(トリエトキシシリル)プロピル]アンモニウム、塩化ジメチルオクタデシル[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アンモニウム、[3−(2−アミノエチルアミノ)プロピル]トリメトキシシラン、[3−(2−アミノエチルアミノ)プロピル]トリエトキシシラン、N−3−(トリメトキシシリルプロピル)−N’−(4−ビニルベンジル)エチレンジアミン塩酸塩、3−[2−(2−アミノエチルアミノ)エチルアミノ]プロピル−トリメトキシシラン、ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アミン、ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]アミン、ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]メチルアミン、N,N’−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、(3−アミノプロピル)ジエトキシメチルシラン、3−アミノプロピルエトキシジメチルアミン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルジメトキシメチルシランなどを採用することができる。
シランカップリング剤の溶液を基材表面に接触させる方法を採る場合、溶液の溶媒は、シランカップリング剤を安定に溶解することが可能であれば特に限定されない。例えば、水、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、ベンゼン、トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、およびこれらを任意の割合で混合した溶媒を採用することができるが、90〜99%エタノール水溶液が特に好ましい。
シランカップリング剤の溶液の濃度は、0.1〜5%が好ましく、1〜3%がより好ましい。基材とシランカップリング剤の溶液とを接触させる時間は、1分〜24時間が好ましく、10分〜2時間がより好ましい。基材とシランカップリング剤の溶液とを接触させる温度は、0℃〜150℃が好ましく、20〜30℃がより好ましい。
また、シランカップリング剤とポリマーとの混合溶液を基材表面に接触させる方法を採る場合、ポリマーは、基材との親和性が高いものであることが好ましく、例えば、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、シクロオレフィンポリマー、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、などを採用することができる。
溶液の溶媒は、シランカップリング剤とポリマーとを共に安定に溶解することが可能であれば特に限定されない。例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、およびこれらを任意の割合で混合した溶媒を採用することができる。
基材表面に中間層を設けた後にシランカップリング剤の溶液を基材表面に接触させる方法を採用する場合、中間層の材質は、基材との親和性が高いものであることが好ましく、例えば、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、シクロオレフィンポリマー、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレンなどを採用することができる。
中間層の形成方法は、特に限定されず、例えば、スピンコート、ディップコートなどを採用することができる。
また、本発明の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材は、上述のように基材の表面にシランカップリング剤をコーティングされた後に、さらに硬化処理を行うこともできる。硬化処理条件は特に限定されないが、処理温度は120〜200℃が好ましく、処理時間は10分〜2時間が好ましい。
また、本発明の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材は、使用直前に滅菌処理を行うこともできる。滅菌処理方法は、ガンマ線滅菌、電子線滅菌、エックス線滅菌などの放射線滅菌法や、低温で浸透力に優れたEOG(エチレンオキサイドガス)滅菌、高温乾熱滅菌、高圧蒸気滅菌などを採用することができる。操作の手軽ささとプラスチックの変質を避けるため一般的には放射線滅菌が多用される。
また、本発明において被検物となる細胞としては、Hela、NG、PC12、CHO、COS、NIH3T3など、一般的に使われているものが挙げられる。これらの細胞の基材への付着の度合は様々である。例えば、NG細胞はHela細胞に比べて基材へ付着しにくい。
次に、本発明の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察・計測システムを用いた蛍光観察・計測方法について述べる。
本発明の蛍光観察に使用する顕微鏡としては、正立、倒立いずれの蛍光顕微鏡も用いることができる。対物レンズ、イマージョン物質、カバーガラス、スライドガラスとしては、低自家蛍光な光学ガラスを用いた対物レンズ、低自家蛍光なイマージョンオイル、本発明の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材として構成されたカバーガラス、低自家蛍光なスライドガラスを用いるのが良い。
低屈折領域でのアプリケーションとして、厚みのある細胞を観察するアプリケーションや、グリセリン封入の標本を観察するアプリケーションの場合には、グリセリン対物レンズを用いる。グリセリン対物レンズの浸液は、グリセリン+水で、屈折率は1.44〜1.48に調製する。また、カバーガラスは、一般的に厚さに数十〜数百ミクロンのバラツキがあることが多い。このため、水、グリセリン対物レンズを使用する際には、カバーガラスの厚さに対応した補正環対物レンズを用いるとよい。
また、本発明のシステムにおいて、エバネッセント光を測光するためには、例えば、レーザ光源と、レーザ光源から発振されたレーザ光を光ファイバへ導入する導入光学系と、光ファイバを射出した光を試料に照射する照射光学系と、光ファイバの配置を光軸上からエバネッセント照明可能な(光軸からずれた)位置まで位置調整可能な機構を備えた照明光学系を用いた構成とする。
また、エバネッセント光を測光する場合に用いるレーザ光源には、通常は、青のレーザ(アルゴンレーザ、波長488nm)と緑のレーザ(He−Neグリーン、波長543nm)、(YAG1064nmの第二高調波、波長532nm)を用いる。
以下、本発明の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察・計測システムの実施例を具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
まず、本発明の実施例及び比較例の蛍光観察・蛍光測光システムに用いた従来の蛍光顕微鏡装置の一構成例を示す。
図1、図2は従来の倒立蛍光顕微鏡装置の一構成例を示す側面図であって、図1はレーザ光源を用いた落射蛍光顕微鏡装置の概略図、図2は白色アーク光源を用いた落射蛍光顕微鏡装置の概略図である。図3は図1の蛍光顕微鏡装置における照明光学系の要部の配置を示す概略図であり、(a)は通常蛍光観察時の光学部材の配置、(b)は全反射蛍光観察時の光学部材の配置を示している。
なお、ここでは、便宜上、図1の顕微鏡装置について説明することとする。図2の顕微鏡装置は、光源部にアーク光源1’を用いて落射投光管6に直接接続しているが、それ以外の構成は図1の顕微鏡装置とほぼ同じである。
図1に示す蛍光顕微鏡装置は、レーザ光源1と、レーザ光源1から発振されたレーザ光を光ファイバ3へ導入する導入光学系を備えたレーザ導入機構2と、光ファイバ3を射出した光を試料8に照射する照射光学系としての、落射投光管6から対物レンズ7に至る光学部材と、光ファイバ3の配置を光軸上からエバネッセント照明可能な光軸から所定量ずれた位置まで位置調整可能な機構としてのアダプタ4及びファイバ位置調整摘み5を備えた照明光学系を備えた顕微鏡として構成されている。なお、図1中、9はダイクロイックミラー、10は吸収フィルタ、11は顕微鏡本体、12は観察鏡筒である。
照射光学系15は、図3に示すように、試料8側に配置された対物レンズ7と、光ファイバ3側(例えば、落射投光管6)に配置された集光レンズ14を有している。なお、図3中、16は光軸、17はカバーガラスである。また、FBは対物レンズ7の後側焦点位置である。なお、図3では、便宜上、ダイクロイックミラー9は省略し、光ファイバ3から対物レンズ7までを直線的に示している。
集光レンズ14は、対物レンズ7の後側焦点位置あるいはその近傍に光ファイバ3から射出された光を集光させるように構成されている。
アダプタ4は、光ファイバ3の出射端を接続するとともに、落射投光管6に接続されており、光ファイバ3から出射したレーザ光を落射投光管6に導くようになっている。また、アダプタ4内においては、光ファイバ3の出射端が、ファイバ位置調整摘み5に保持されている。また、アダプタ4内には、ファイバ位置調整摘み5を外部より操作することにより、光ファイバ3の出射端を、光軸上(図3(a)参照)や、エバネッセント照明可能な光軸から所定量ずれた位置(図3(b)参照)に、移動させることができる公知の機構を備えている。そして、図1の顕微鏡では、ファイバ位置調整摘み5を操作することにより、光ファイバ3を照射光学系の光軸上に位置させた通常の落射照明(図3(a)参照)と、光ファイバ3を照射光学系の光軸から所定量離れて位置させた全反射照明(図3(b)参照)とに、切り替え可能に構成されている。
また、対物レンズ7と試料8との間は、イマージョン物質13で満たされている。
次に、本発明の実施例及び比較例の蛍光観察・蛍光測光システムについて説明する。本発明の実施例及び比較例の蛍光観察・蛍光測光システムにおける蛍光顕微鏡装置の基本的な概略構成は図1及び図2に示した従来の蛍光顕微鏡装置と同じである。以下は、実施例と比較例とで異なる構成部分のみを説明し、同一の構成部分についての説明は省略する。
実施例1
実施例1の蛍光観察・蛍光測光システムにカバーガラスとして用いる低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を次の手順で作製した。
d線での屈折率nd=1.77、d線でのアッベ数νd=50の光学特性を有する(株)オハラ製 S−LAH66の光学ガラスブロックを購入し、研磨加工をすることで縦18mm、横18mm、厚み0.15mmのガラス板を81枚作製した。作製したガラス板を0.1mol/Lの水酸化カリウム水溶液に浸漬して室温で20分間超音波洗浄し、そのまま一晩静置した。その後、再度室温で20分間超音波洗浄した後、蒸留水で洗浄し、さらにエタノールに浸漬して室温で20分間超音波洗浄し、そのまま2時間静置した。その後、クリーンベンチ内で風乾した。
風乾したガラス板81枚を、エタノール2000mLに浸漬し、次の構造式(化1)で示される[3−(2−アミノエチルアミノ)プロピル]トリメトキシシラン4.0g、蒸留水60mLを加え、室温で17時間攪拌した。その後、反応液を取り除きエタノール2000mLを加え、3時間攪拌した。その後、ガラス板を取り出しクリーンベンチ内で風乾した。
Figure 2009151022
上記手順で作製した低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材に、NG細胞を生やし、蛍光試薬であるAlexa Fluor 488を使用して、細胞を染色した。
そして、図1及び図2に示した蛍光顕微鏡装置を用いて観察を行った。このとき、観察光学系のNAを大きくすることによって、より微弱な蛍光を観察するために、対物レンズとしてOLYMPUS社製Apo100‐OHR(NA1.65)、イマージョン物質としてCargille社製の屈折率1.78のもの、倒立顕微鏡としてOLYMPUS社製IX71、検出器として浜松ホトニクス社製EM-CCDを用いて、通常の落射蛍光による一分子蛍光観察を行った。実施例1の光学基材は、後述の比較例2に記載のOHARA社製ガラスS-LAH66(屈折率1.77)から研磨して作製したカバーガラスと同じ屈折率、アッベ数を持ち、且つ自家蛍光の比が条件式(1-1)(即ち、実施例1のカバーガラスの自家蛍光をB'CGとし、比較例1で用いたカバーガラスの自家蛍光をBCGとしたとき、BCG’/BCG≦0.7)を満たす。
また、通常の蛍光観察だけでなく、図3に示す全反射蛍光観察装置による全反射蛍光観察も行った。さらに、FRETおよび動画観察も行った。この試料は上述の条件式(2-3)(即ち、(S−s)/(B+b)≦2)及び条件式(3-3)(即ち、3BCG/B≧0.6)を満たす。
実施例1の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察では、収差の発生を抑え、細胞の生えが良く、観察対象の信号が多く得られ、S/N比が良く、高精度な観察をすることができた。
なお、実施例1の蛍光観察・蛍光測光システムで用いる低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材は、比較例2との自家蛍光の比が条件式(1-1)を満たすものに限定されるものではない。例えば、条件式(1-2) (即ち、BCG’/BCG≦0.5)、さらには条件式(1-3)(即ち、BCG’/BCG≦0.3)を満たす光学基材を用いれば、よりS/N比改善効果が高くなる。
また、実施例1の蛍光観察・蛍光測光システムでは、倒立顕微鏡を用いて説明したが、倒立顕微鏡に限定されるものではなく、本発明は正立顕微鏡においても同様の効果が発揮できる。
また、本発明に用いる顕微鏡としては、倒立顕微鏡と正立顕微鏡とを試料を挟んで配置した上下顕微鏡として構成してもよい。上下顕微鏡の場合は正立顕微鏡側、倒立顕微鏡側のいずれか一方に本発明の実施例に示したカバーガラスが用いられていれば本発明の効果が発揮できる。また、正立顕微鏡側、倒立顕微鏡側は、それぞれ独立に駆動する構成、あるいは連動して駆動する構成のどちらでもよい。さらに、正立顕微鏡側で通常蛍光観察、倒立顕微鏡側で全反射蛍光観察というように、上下の顕微鏡で異なる観察方法を用いてもよい。
比較例1
比較例1の蛍光観察・蛍光測光システムにカバーガラスとして用いる光学基材を次の手順で作製した。
d線での屈折率nd=1.53、d線でのアッベ数νd=54の光学特性を有するSHOTT社製 D263の光学ガラスブロックを購入し、研磨加工をすることで縦18mm、横18mm、厚み0.15mmのガラス板を81枚作製した。作製したガラス板を0.1mol/Lの水酸化カリウム水溶液に浸漬して室温で20分間超音波洗浄し、そのまま一晩静置した。その後、再度室温で20分間超音波洗浄した後、蒸留水で洗浄し、さらにエタノールに浸漬して室温で20分間超音波洗浄し、そのまま2時間静置した。その後、クリーンベンチ内で風乾した。
上記手順で作製した比較例1の光学基材に、NG細胞を生やし、実施例1と同様の蛍光試薬、顕微鏡、対物レンズ、イマージョン物質、検査器を用いて、実施例1と同様に蛍光観察を試みた。
比較例1の光学基材を用いた蛍光観察では、対物レンズの屈折率1.78との屈折率差により収差が大きく発生し、細胞を観察することができなかった。
比較例2
比較例2の蛍光観察・蛍光測光システムにカバーガラスとして用いる光学基材を次の手順で作製した。
d線での屈折率nd=1.77、d線でのアッベ数νd=50の光学特性を有する(株)オハラ製 S−LAH66の光学ガラスブロックを購入し、研磨加工をすることで縦18mm、横18mm、厚み0.15mmのガラス板を81枚作製した。作製したガラス板を洗浄しないでそのまま比較例2の光学基材とした。
この比較例2の光学基材に、NG細胞を生やし、実施例1と同様の蛍光試薬、顕微鏡、対物レンズ、イマージョン物質、検査器を用いて、実施例1と同様に蛍光観察を試みた。
比較例2の光学基材を用いた蛍光観察では、細胞の付着が悪く、得られる蛍光の信号が少なく、観察像が見えにくかった。
比較例3
比較例3の蛍光観察・蛍光測光システムにカバーガラスとして用いる光学基材を次の手順で作製した。
d線での屈折率nd=1.77、d線でのアッベ数νd=50の光学特性を有する(株)オハラ製 S−LAH66の光学ガラスブロックを購入し、研磨加工をすることで縦18mm、横18mm、厚み0.15mmのガラス板を81枚作製した。作製したガラス板を、0.1mol/Lの水酸化カリウム水溶液に浸漬して室温で20分間超音波洗浄し、そのまま一晩静置した。その後、再度室温で20分間超音波洗浄した後、蒸留水で洗浄し、さらにエタノールに浸漬して室温で20分間超音波洗浄し、そのまま2時間静置した。その後、クリーンベンチ内で風乾した。
上記手順で作製した比較例3の光学基材に、NG細胞を生やし、実施例1と同様の蛍光試薬、顕微鏡、対物レンズ、イマージョン物質、検査器を用いて、実施例1と同様に蛍光観察を試みた。
比較例3の光学基材を用いた蛍光観察では、細胞の付着が悪く、得られる蛍光の信号が少なく、観察像が見えにくかった。
比較例4
比較例4の蛍光観察・蛍光測光システムにカバーガラスとして用いる光学基材を次の手順で作製した。
d線での屈折率nd=1.77、d線でのアッベ数νd=50の光学特性を有する(株)オハラ製 S−LAH66の光学ガラスブロックを購入し、研磨加工をすることで縦18mm、横18mm、厚み0.15mmのガラス板を81枚作製した。作製したガラス板を、中性洗剤に浸漬して室温で20分間超音波洗浄した後、濃硫酸に浸漬しそのまま一晩静置した。その後、蒸留水で洗浄し、さらにエタノールに浸漬して室温で20分間超音波洗浄し、そのまま2時間静置した。その後、クリーンベンチ内で風乾した。
上記手順で作製した比較例4の光学基材に、NG細胞を生やし、実施例1と同様の蛍光試薬、顕微鏡、対物レンズ、イマージョン物質、検査器を用いて、実施例1と同様に蛍光観察を試みた。
比較例4の光学基材を用いた蛍光観察では、細胞の付着が悪く、得られる蛍光の信号が少なく、観察像が見えにくかった。
実施例2
実施例2の蛍光観察・蛍光測光システムにカバーガラスとして用いる低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を次の手順で作製した。
実施例1と同様の手順で作製・風乾した縦18mm、横18mm、厚み0.15mmのガラス板81枚を、エタノール700mLに浸漬し、次の構造式(化2)で示される(3−アミノプロピル)トリメトキシシラン2.0g、蒸留水20mLを加え、室温で17時間攪拌した。その後、反応液を取り除きエタノール700mLを加え、3時間攪拌した。その後、ガラス板を取り出しクリーンベンチ内で風乾した。
Figure 2009151022
上記手順で作製した実施例2の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材に、Hela細胞を生やし、実施例1と同様の蛍光試薬、顕微鏡、対物レンズ、イマージョン物質、検査器を使用して、実施例1と同様に蛍光観察を行った。
実施例2の生物の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察では、収差の発生を抑え、細胞の生えが良く、観察対象の信号が多く得られ、S/N比が良く、高精度な観察をすることができた。
実施例3
実施例3の蛍光観察・蛍光測光システムにカバーガラスとして用いる低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を次の手順で作製した。
d線での屈折率nd=1.53、d線でのアッベ数νd=54の光学特性を有するSHOTT社製 D263の光学ガラスブロックを購入し、研磨加工をすることで縦18mm、横18mm、厚み0.15mmのガラス板を81枚作製した。作製したガラス板を0.1mol/Lの水酸化カリウム水溶液に浸漬して室温で20分間超音波洗浄し、そのまま一晩静置した。その後、再度室温で20分間超音波洗浄した後、蒸留水で洗浄し、さらにエタノールに浸漬して室温で20分間超音波洗浄し、そのまま2時間静置した。その後、クリーンベンチ内で風乾した。
風乾したガラス板81枚を、エタノール2000mLに浸漬し、[3−(2−アミノエチルアミノ)プロピル]トリメトキシシラン4.0g、蒸留水60mLを加え、室温で17時間攪拌した。その後、反応液を取り除きエタノール2000mLを加え、3時間攪拌した。その後、ガラス板を取り出しクリーンベンチ内で風乾した。
上記手順で作製した実施例3の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材に、NG細胞を生やした。対物レンズとしてオリンパス製UPLSAP60‐XOを使用した以外は、実施例1と同様の蛍光試薬、顕微鏡、イマージョン物質、検査器を用いて、実施例1と同様に蛍光観察を行った。
実施例3の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察では、細胞の生えが良く、観察対象の信号が多く得られ、S/N比が良く、高精度な観察をすることができた。
実施例4
実施例4の蛍光観察・蛍光測光システムにカバーガラスとして用いる低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を次の手順で作製した。
実施例3と同様の手順で作製・風乾した縦18mm、横18mm、厚み0.15mmのガラス板81枚を、エタノール700mLに浸漬し、次の構造式(化3)で示される3−[2−(2−アミノエチルアミノ)エチルアミノ]プロピル−トリメトキシシラン4.0g、蒸留水20mLを加え、室温で17時間攪拌した。その後、反応液を取り除きエタノール700mLを加え、3時間攪拌した。その後、ガラス板を取り出しクリーンベンチ内で風乾した。
Figure 2009151022
上記手順で作製した実施例4の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材に、NG細胞を生やし、実施例3と同様の蛍光試薬、顕微鏡、対物レンズ、イマージョン物質、検査器を用いて、実施例1と同様に蛍光観察を行った。
実施例4の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察では、細胞の生えが良く、観察対象の信号が多く得られ、S/N比が良く、高精度な観察をすることができた。
実施例5
実施例5の蛍光観察・蛍光測光システムにカバーガラスとして用いる低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を次の手順で作製した。
アセトン700mLにポリスチレンペレット30gを溶解した。また、縦22mm、横22mm、厚み0.20mmの塩化ビニル板81枚に低温酸素プラズマによる表面洗浄、親水化を施した。上記溶液に、この洗浄・親水化を施したポリ塩化ビニル板81枚を浸漬し、[3−(2−アミノエチルアミノ)プロピル]トリメトキシシラン4.0g、蒸留水2mLを加え、室温で17時間攪拌した。その後、反応液からポリ塩化ビニル板を取り出しクリーンベンチ内で風乾した。その後、エタノール700mLに浸漬し、3時間攪拌した。その後、ポリ塩化ビニル板を取り出しクリーンベンチ内で風乾した。
上記手順で作製した実施例5の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材に、NG細胞を生やし、実施例3と同様の蛍光試薬、顕微鏡、対物レンズ、イマージョン物質、検査器を用いて、実施例1と同様に蛍光観察を行った。
実施例5の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察では、細胞の生えが良く、観察対象の信号が多く得られ、S/N比が良く、高精度な観察をすることができた。
比較例5
縦22mm、横22mm、厚み20mmの塩化ビニル板に低温酸素プラズマにより、表面洗浄、親水化を施し、これを比較例5の蛍光観察・蛍光測光システムにカバーガラスとして用いる光学基材とした。
上記手順で作製した比較例5の光学基材に、NG細胞を生やし、実施例3と同様の蛍光試薬、顕微鏡、対物レンズ、イマージョン物質、検査器を用いて、実施例1と同様に蛍光観察を試みた。
比較例5の光学基材を用いた蛍光観察では、細胞の付着が悪く、得られる蛍光の信号が少なく、観察像が見えにくかった。
実施例6
実施例6の蛍光観察・蛍光測光システムにカバーガラスとして用いる低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を次の手順で作製した。
東ソー製 石英ガラスブロックを購入し、研磨加工をすることで縦18mm、横18mm、厚み0.15mmの石英ガラス板を81枚作製した。作製したガラス板を0.1mol/Lの水酸化カリウム水溶液に浸漬して室温で20分間超音波洗浄し、そのまま一晩静置した。その後、再度室温で20分間超音波洗浄した後、蒸留水で洗浄し、さらにエタノールに浸漬して室温で20分間超音波洗浄し、そのまま2時間静置した。その後、クリーンベンチ内で風乾した。
風乾した石英ガラス板81枚を、エタノール2000mLに浸漬し、[3−(2−アミノエチルアミノ)プロピル]トリメトキシシラン4.0g、蒸留水60mLを加え、室温で17時間攪拌した。その後、反応液を取り除きエタノール2000mLを加え、3時間攪拌した。その後、石英ガラス板を取り出しクリーンベンチ内で風乾した。
上記手順で作製した実施例6の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材に、NG細胞を生やした。対物レンズとしてオリンパス製UPLSAP60‐XWを使用した以外は、実施例1と同様の蛍光試薬、顕微鏡、イマージョン物質、検査器を用いて、実施例1と同様に蛍光観察を行った。なお、観察の際には補正環による補正を行った。
実施例6の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察では、収差の発生を抑え、細胞の生えが良く、観察対象の信号が多く得られ、S/N比が良く、高精度な観察をすることができた。
実施例7
実施例7の蛍光観察・蛍光測光システムにカバーガラスとして用いる低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を次の手順で作製した。
実施例6と同様の手順で作製・風乾した縦18mm、横18mm、厚み0.15mmの石英ガラス板81枚を、エタノール2000mLに浸漬し、次の構造式(化4)で示される[3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル]トリメトキシシラン4.0g、蒸留水60mLを加え、室温で17時間攪拌した。その後、反応液を取り除きエタノール2000mLを加え、3時間攪拌した。その後、石英ガラス板を取り出しクリーンベンチ内で風乾した。
Figure 2009151022
上記手順で作製した実施例7の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材に、NG細胞を生やし、実施例6と同様の蛍光試薬、顕微鏡、対物レンズ、イマージョン物質、検査器を用いて、実施例1と同様に蛍光観察を行った。
実施例7の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察では、細胞の生えが良く、観察対象の信号が多く得られ、S/N比が良く、高精度な観察をすることができた。
実施例8
実施例8の蛍光観察・蛍光測光システムにカバーガラスとして用いる低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を次の手順で作製した。
サイトップ溶液を乾燥固化して作製した縦22mm、横22mm、厚み0.20mmのサイトップ基材(nd=1.35、νd=90)81枚に対し、低温酸素プラズマにより表面洗浄、親水化を施した。
また、パーフルオロ−2−ブチルテトラヒドロフラン700mLに旭硝子製 サイトップのペレット30gを溶解した。この溶液に[3−(2−アミノエチルアミノ)プロピル]トリメトキシシラン4.0gを加え、室温で3時間攪拌し、中間層を形成する溶液を調整した。
この中間層を形成する溶液に、上記洗浄、親水化を施したサイトップ基材81枚を5時間浸漬した。その後、反応液からサイトップ基材を取り出し、クリーンベンチ内で風乾した。その後、エタノール700mLに浸漬し、3時間攪拌した。その後、サイトップ基材を取り出し、クリーンベンチ内で風乾した。得られたサイトップ基材は、d線での屈折率ndが1.34程度、d線でのアッベ数が90程度であった。
上記手順で作製した実施例8の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材に、NG細胞を生やし、実施例6と同様の蛍光試薬、顕微鏡、対物レンズ、イマージョン物質、検査器を用いて、実施例1と同様に蛍光観察を行った。
実施例8の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察では、細胞の生えが良く、観察対象の信号が多く得られ、S/N比が良く、高精度な観察をすることができた。
比較例6
サイトップ溶液を乾燥固化して作製した縦22mm、横22mm、厚み0.20mmのサイトップ基材(nd=1.35、νd=90)に対し、低温酸素プラズマにより表面洗浄、親水化を施し、これを比較例6の蛍光観察・蛍光測光システムにカバーガラスとして用いる光学基材とした。
上記手順で作製した比較例6の光学基材に、NG細胞を生やし、実施例6と同様の蛍光試薬、顕微鏡、対物レンズ、イマージョン物質、検査器を使用して、実施例1と同様に蛍光観察を試みた。
比較例6の光学基材を用いた蛍光観察では、細胞の付着が悪く、得られる蛍光の信号が少なく、観察像が見えにくかった。
実施例9
実施例9では、実施例1と同様に作製した低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いて、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)の方法により、細胞中のカルシウムイオン濃度の計測を行った。
実施例1と同様に作製した実施例9の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材に、NG細胞を生やし、蛍光タンパクであるカメレオン(cameleon)を付与し、顕微鏡としてオリンパス製蛍光顕微鏡IX-71-SIP-FRET、対物レンズとしてオリンパス製超高開口数対物レンズApo100‐OHRを使用するとともに、レーザ、シングルモードファイバを使用し、実施例1と同様のイマージョン物質、検査器を用いて485nmと530nmの2つの蛍光画像を取得した。
カメレオン(cameleon)は、CFP、YFPという2種類の蛍光タンパクをカルモジュリンMなどのタンパク質でつながった構造を持っている。細胞内のカルシウムイオンが低い状態では442nmの励起光が照射されると485nmのCFPの蛍光しかでてこないが、カルシウムイオン濃度が高くなると、CFPからYFPにエネルギー転移が起こり、YFPの蛍光である530nmの蛍光が観察される。CFPとYFPの蛍光強度の比をとることにより、カルシウムイオン濃度を測定した。
実施例9の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光計測では、細胞の生えが良く、カルシウムイオン濃度の信号が多く得られ、S/N比が良くカルシウムイオン濃度を測光することができ、高精度な測定ができた。
細胞の生えの比較
実施例1,2の蛍光観察・蛍光測光システムに用いる低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材及び比較例2の蛍光観察・蛍光測光システムに用いる光学基材についての細胞の生えを次のようにして比較した。
(基材の洗浄・滅菌)
各光学基材をエタノールに30分間浸漬した後、取り出した。その後、光学基材の表面に付着しているエタノールをシルボン紙で拭き取った。その後、180℃のオーブンに投入し2時間乾熱滅菌を行った。
(細胞付着・培養)
上記洗浄・滅菌処理を行った各光学基材を、BDファルコン社製セルカルチャーインサート6穴ウェル容器の穴の中央に設置し、NG細胞を含む培養溶液(濃度=5×104cells/mL)を注いだ。そのとき、光学基材に均一に細胞が広がるようにするために、容器を振って細胞を分散させた。その後、6穴ウェルをCO2インキュベータ(温度37℃、CO2濃度5%)に投入し、光学基材への細胞の付着及び培養を行った。細胞の付着及び培養の計時変化を観察するために、光学顕微鏡で単位面積あたり(カバーガラスの中央付近の1.7mm×2.2mmの長方形のエリア)の細胞数を数えた。観察のタイミングは、3時間、24時間、48時間、72時間、96時間とした。これらの観察タイミングとした細胞培養時間における付着細胞数を図4に示す。図4に示すように、実施例1、2の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた場合は、比較例2の光学基材を用いた場合に比べて、細胞の生えが向上していることがわかる。
窒素含量の測定
実施例1,2の蛍光観察・蛍光測光システムに用いる低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材の窒素含量を、日本電子株式会社製電子銃 マイクロアナライザーJXA−8200を用いて測定した。測定結果を次の表1に示す。なお、表1には、比較例2の蛍光観察・蛍光測光システムに用いる光学基材はガラスからなるため、アミノ基を示す窒素含量は0として示してある。これに対し、実施例1,2の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材では、ガラス板の表面に電荷がプラスのシランカップリング剤をコーティングすることによって、窒素有量が夫々4.1%、10.8%というようにアミノ基を付着させており、親細胞性を有するように基板を改質できている。
Figure 2009151022
ゼータ電位の測定
実施例1,2の蛍光観察・蛍光測光システムに用いる低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材及び比較例2の蛍光観察・蛍光測光システムに用いる光学基材について、大塚電子製電気泳動光散乱光度計 ELS‐800を使用して、pH7におけるゼータ電位を測定した。測定結果を次の表2に示す。測定の結果、比較例2の光学基材では、ゼータ電位が−104mVというように大きなマイナスの値を示した。これに対して、実施例1,2の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材では、ゼータ電位が−35mV,10mVであり、比較例1の光学基材に比べて、ゼータ電位が相対的にプラスの方向に改質できていることが示された。
Figure 2009151022
以上のように、本発明の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光システム、及び蛍光観察又は蛍光測光方法は、特許請求の範囲に記載された発明の他にも、次に示すような特徴を有している。
(1)前記低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材が、次の条件式(1-2)を満足することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光システム。
CG’/BCG≦0.5 …(1-2)
但し、BCG’は低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材の自家蛍光の強度の平均値、BCGは従来一般的に使用されているカバーガラスの自家蛍光の強度の平均値である。
(2)前記低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材が、次の条件式(1-3)を満足することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光システム。
CG’/BCG≦0.3 …(1-3)
但し、BCG’は低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材の自家蛍光の強度の平均値、BCGは従来一般的に使用されているカバーガラスの自家蛍光の強度の平均値である。
(3)前記工程(A)で選択する生細胞を用いた蛍光を発する試料が、次の条件式(2-2),(3-2)の少なくとも一方を満足することを特徴とする請求項9に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(S−s)/(B+b)≦3 …(2-2)
3BCG/B≧0.4 …(3-2)
但し、Sは前記試料が発する蛍光の強度の平均値、sは該蛍光の強度の揺らぎ幅、Bは試料が存在しない背景ノイズの強度の平均値、bは該背景ノイズの強度の揺らぎ幅、BCGは従来一般的に使用されているカバーガラスの自家蛍光の強度の平均値である。
(4)前記工程(B)で選択したアプリケーションがFRET(Fluorescence Resonance Energy Transfer:蛍光共鳴エネルギー移動)であることを特徴とする上記(3)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(5)前記工程(B)で選択したシステムが蛍光顕微鏡システムであることを特徴とする上記(4)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(6)前記工程(B)で選択したシステムが全反射顕微鏡システムであることを特徴とする上記(4)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(7)前記工程(B)で選択したシステムが蛍光顕微鏡と全反射顕微鏡のいずれか一方を2つ又は両方を1つずつ有し、前記試料を挟んで対物光学系が対向配置された顕微鏡システムとして構成されていることを特徴とする上記(4)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(8)前記工程(B)で選択したアプリケーションがカルシウムイオンイメージングであることを特徴とする上記(3)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(9)前記工程(B)で選択したシステムが蛍光顕微鏡システムであることを特徴とする上記(8)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(10)前記工程(B)で選択したシステムが全反射顕微鏡システムであることを特徴とする上記(8)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(11)前記工程(B)で選択したシステムが蛍光顕微鏡と全反射顕微鏡のいずれか一方を2つ又は両方を1つずつ有し、前記試料を挟んで対物光学系が対向配置された顕微鏡システムとして構成されていることを特徴とする上記(8)に記載の蛍光観察又は蛍光測光方法。
(12)前記工程(B)で選択したアプリケーションが動画観察又はタイムラプス観察であることを特徴とする上記(3)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(13)前記工程(B)で選択したシステムが蛍光顕微鏡システムであることを特徴とする上記(12)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(14)前記工程(B)で選択したシステムが全反射顕微鏡システムであることを特徴とする上記(12)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(15)前記工程(B)で選択したシステムが蛍光顕微鏡と全反射顕微鏡のいずれか一方を2つ又は両方を1つずつ有し、前記試料を挟んで対物光学系が対向配置された顕微鏡システムとして構成されていることを特徴とする上記(12)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(16)前記工程(A)で選択する生細胞を用いた蛍光を発する試料が、次の条件式(2-3),(3-3)の少なくとも一方を満足することを特徴とする請求項9に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(S−s)/(B+b)≦2 …(2-3)
3BCG/B≧0.6 …(3-3)
但し、Sは前記試料が発する蛍光の強度の平均値、sは該蛍光の強度の揺らぎ幅、Bは試料が存在しない背景ノイズの強度の平均値、bは該背景ノイズの強度の揺らぎ幅、BCGは従来一般的に使用されているカバーガラスの自家蛍光の強度の平均値である。
(17)前記工程(B)で選択したアプリケーションがFRET(Fluorescence Resonance Energy Transfer:蛍光共鳴エネルギー移動)であることを特徴とする上記(16)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(18)前記工程(B)で選択したシステムが蛍光顕微鏡システムであることを特徴とする上記(17)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(19)前記工程(B)で選択したシステムが全反射顕微鏡システムであることを特徴とする上記(17)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(20)前記工程(B)で選択したシステムが蛍光顕微鏡と全反射顕微鏡のいずれか一方を2つ又は両方を1つずつ有し、前記試料を挟んで対物光学系が対向配置された顕微鏡システムとして構成されていることを特徴とする上記(17)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(21)前記工程(B)で選択したアプリケーションがカルシウムイオンイメージングであることを特徴とする上記(16)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(22)前記工程(B)で選択したシステムが蛍光顕微鏡システムであることを特徴とする上記(21)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(23)前記工程(B)で選択したシステムが全反射顕微鏡システムであることを特徴とする上記(21)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(24)前記工程(B)で選択したシステムが蛍光顕微鏡と全反射顕微鏡のいずれか一方を2つ又は両方を1つずつ有し、前記試料を挟んで対物光学系が対向配置された顕微鏡システムとして構成されていることを特徴とする上記(21)に記載の蛍光観察又は蛍光測光方法。
(25)前記工程(B)で選択したアプリケーションが動画観察又はタイムラプス観察であることを特徴とする上記(16)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(26)前記工程(B)で選択したシステムが蛍光顕微鏡システムであることを特徴とする上記(25)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(27)前記工程(B)で選択したシステムが全反射顕微鏡システムであることを特徴とする上記(25)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(28)前記工程(B)で選択したシステムが蛍光顕微鏡と全反射顕微鏡のいずれか一方を2つ又は両方を1つずつ有し、前記試料を挟んで対物光学系が対向配置された顕微鏡システムとして構成されていることを特徴とする上記(25)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(29)蛍光観察又は蛍光測光方法において、次の工程(A),(B),(C)からなることを特徴とする低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(A)生細胞を用いた蛍光を発する試料を選択する工程。
(B)前記工程(A)で選択した試料を観察又は測光するためのアプリケーション、及び次の条件式(1-2)を満足する請求項1〜7のいずれかに記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いてなる蛍光観察又は蛍光測光システムを選択する工程。
(C)前記工程(B)で選択したアプリケーション及びシステムを用いて、前記工程(A)で選択した試料を蛍光観察又は蛍光測光する工程。
CG’/BCG≦0.5 …(1-2)
但し、BCG’は低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材の自家蛍光の強度の平均値、BCGは従来一般的に使用されているカバーガラスの自家蛍光の強度の平均値である。
(30)前記工程(A)で選択する生細胞を用いた蛍光を発する試料が、次の条件式(2-1),(3-1)の少なくとも一方を満足することを特徴とする上記(29)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(S−s)/(B+b)≦5 …(2-1)
3BCG/B≧0.2 …(3-1)
但し、Sは前記試料が発する蛍光の強度の平均値、sは該蛍光の強度の揺らぎ幅、Bは試料が存在しない背景ノイズの強度の平均値、bは該背景ノイズの強度の揺らぎ幅、BCGは従来一般的に使用されているカバーガラスの自家蛍光の強度の平均値である。
(31)前記工程(B)で選択したアプリケーションがFRET(Fluorescence Resonance Energy Transfer:蛍光共鳴エネルギー移動)であることを特徴とする上記(30)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(32)前記工程(B)で選択したシステムが蛍光顕微鏡システムであることを特徴とする上記(31)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(33)前記工程(B)で選択したシステムが全反射顕微鏡システムであることを特徴とする上記(31)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(34)前記工程(B)で選択したシステムが蛍光顕微鏡と全反射顕微鏡のいずれか一方を2つ又は両方を1つずつ有し、前記試料を挟んで対物光学系が対向配置された顕微鏡システムとして構成されていることを特徴とする上記(31)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(35)前記工程(B)で選択したアプリケーションがカルシウムイオンイメージングであることを特徴とする上記(30)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(36)前記工程(B)で選択したシステムが蛍光顕微鏡システムであることを特徴とする上記(35)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(37)前記工程(B)で選択したシステムが全反射顕微鏡システムであることを特徴とする上記(35)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(38)前記工程(B)で選択したシステムが蛍光顕微鏡と全反射顕微鏡のいずれか一方を2つ又は両方を1つずつ有し、前記試料を挟んで対物光学系が対向配置された顕微鏡システムとして構成されていることを特徴とする上記(35)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(39)前記工程(B)で選択したアプリケーションが動画観察又はタイムラプス観察であることを特徴とする上記(30)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(40)前記工程(B)で選択したシステムが蛍光顕微鏡システムであることを特徴とする上記(39)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(41)前記工程(B)で選択したシステムが全反射顕微鏡システムであることを特徴とする上記(39)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(42)前記工程(B)で選択したシステムが蛍光顕微鏡と全反射顕微鏡のいずれか一方を2つ又は両方を1つずつ有し、前記試料を挟んで対物光学系が対向配置された顕微鏡システムとして構成されていることを特徴とする上記(39)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(43)前記工程(A)で選択する生細胞を用いた蛍光を発する試料が、次の条件式(2-2),(3-2)の少なくとも一方を満足することを特徴とする上記(29)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(S−s)/(B+b)≦3 …(2-2)
3BCG/B≧0.4 …(3-2)
但し、Sは前記試料が発する蛍光の強度の平均値、sは該蛍光の強度の揺らぎ幅、Bは試料が存在しない背景ノイズの強度の平均値、bは該背景ノイズの強度の揺らぎ幅、BCGは従来一般的に使用されているカバーガラスの自家蛍光の強度の平均値である。
(44)前記工程(B)で選択したアプリケーションがFRET(Fluorescence Resonance Energy Transfer:蛍光共鳴エネルギー移動)であることを特徴とする上記(43)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(45)前記工程(B)で選択したシステムが蛍光顕微鏡システムであることを特徴とする上記(44)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(46)前記工程(B)で選択したシステムが全反射顕微鏡システムであることを特徴とする上記(44)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(47)前記工程(B)で選択したシステムが蛍光顕微鏡と全反射顕微鏡のいずれか一方を2つ又は両方を1つずつ有し、前記試料を挟んで対物光学系が対向配置された顕微鏡システムとして構成されていることを特徴とする上記(44)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(48)前記工程(B)で選択したアプリケーションがカルシウムイオンイメージングであることを特徴とする上記(43)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(49)前記工程(B)で選択したシステムが蛍光顕微鏡システムであることを特徴とする上記(48)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(50)前記工程(B)で選択したシステムが全反射顕微鏡システムであることを特徴とする上記(48)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(51)前記工程(B)で選択したシステムが蛍光顕微鏡と全反射顕微鏡のいずれか一方を2つ又は両方を1つずつ有し、前記試料を挟んで対物光学系が対向配置された顕微鏡システムとして構成されていることを特徴とする上記(48)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(52)前記工程(B)で選択したアプリケーションが動画観察又はタイムラプス観察であることを特徴とする上記(43)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(53)前記工程(B)で選択したシステムが蛍光顕微鏡システムであることを特徴とする上記(52)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(54)前記工程(B)で選択したシステムが全反射顕微鏡システムであることを特徴とする上記(52)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(55)前記工程(B)で選択したシステムが蛍光顕微鏡と全反射顕微鏡のいずれか一方を2つ又は両方を1つずつ有し、前記試料を挟んで対物光学系が対向配置された顕微鏡システムとして構成されていることを特徴とする上記(52)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(56)前記工程(A)で選択する生細胞を用いた蛍光を発する試料が、次の条件式(2-3),(3-3)の少なくとも一方を満足することを特徴とする上記(29)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(S−s)/(B+b)≦2 …(2-3)
3BCG/B≧0.6 …(3-3)
但し、Sは前記試料が発する蛍光の強度の平均値、sは該蛍光の強度の揺らぎ幅、Bは試料が存在しない背景ノイズの強度の平均値、bは該背景ノイズの強度の揺らぎ幅、BCGは従来一般的に使用されているカバーガラスの自家蛍光の強度の平均値である。
(57)前記工程(B)で選択したアプリケーションがFRET(Fluorescence Resonance Energy Transfer:蛍光共鳴エネルギー移動)であることを特徴とする上記(56)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(58)前記工程(B)で選択したシステムが蛍光顕微鏡システムであることを特徴とする上記(57)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(59)前記工程(B)で選択したシステムが全反射顕微鏡システムであることを特徴とする上記(57)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(60)前記工程(B)で選択したシステムが蛍光顕微鏡と全反射顕微鏡のいずれか一方を2つ又は両方を1つずつ有し、前記試料を挟んで対物光学系が対向配置された顕微鏡システムとして構成されていることを特徴とする上記(57)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(61)前記工程(B)で選択したアプリケーションがカルシウムイオンイメージングであることを特徴とする上記(56)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(62)前記工程(B)で選択したシステムが蛍光顕微鏡システムであることを特徴とする上記(61)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(63)前記工程(B)で選択したシステムが全反射顕微鏡システムであることを特徴とする上記(61)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(64)前記工程(B)で選択したシステムが蛍光顕微鏡と全反射顕微鏡のいずれか一方を2つ又は両方を1つずつ有し、前記試料を挟んで対物光学系が対向配置された顕微鏡システムとして構成されていることを特徴とする上記(61)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(65)前記工程(B)で選択したアプリケーションが動画観察又はタイムラプス観察であることを特徴とする上記(56)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(66)前記工程(B)で選択したシステムが蛍光顕微鏡システムであることを特徴とする上記(65)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(67)前記工程(B)で選択したシステムが全反射顕微鏡システムであることを特徴とする上記(65)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(68)前記工程(B)で選択したシステムが蛍光顕微鏡と全反射顕微鏡のいずれか一方を2つ又は両方を1つずつ有し、前記試料を挟んで対物光学系が対向配置された顕微鏡システムとして構成されていることを特徴とする上記(65)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(69)蛍光観察又は蛍光測光方法において、次の工程(A),(B),(C)からなることを特徴とする低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(A)生細胞を用いた蛍光を発する試料を選択する工程。
(B)前記工程(A)で選択した試料を観察又は測光するためのアプリケーション、及び次の条件式(1-3)を満足する請求項1〜7のいずれかに記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いてなる蛍光観察又は蛍光測光システムを選択する工程。
(C)前記工程(B)で選択したアプリケーション及びシステムを用いて、前記工程(A)で選択した試料を蛍光観察又は蛍光測光する工程。
CG’/BCG≦0.3 …(1-3)
但し、BCG’は低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材の自家蛍光の強度の平均値、BCGは従来一般的に使用されているカバーガラスの自家蛍光の強度の平均値である。
(70)前記工程(A)で選択する生細胞を用いた蛍光を発する試料が、次の条件式(2-1),(3-1)の少なくとも一方を満足することを特徴とする上記(69)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(S−s)/(B+b)≦5 …(2-1)
3BCG/B≧0.2 …(3-1)
但し、Sは前記試料が発する蛍光の強度の平均値、sは該蛍光の強度の揺らぎ幅、Bは試料が存在しない背景ノイズの強度の平均値、bは該背景ノイズの強度の揺らぎ幅、BCGは従来一般的に使用されているカバーガラスの自家蛍光の強度の平均値である。
(71)前記工程(B)で選択したアプリケーションがFRET(Fluorescence Resonance Energy Transfer:蛍光共鳴エネルギー移動)であることを特徴とする上記(70)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(72)前記工程(B)で選択したシステムが蛍光顕微鏡システムであることを特徴とする上記(71)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(73)前記工程(B)で選択したシステムが全反射顕微鏡システムであることを特徴とする上記(71)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(74)前記工程(B)で選択したシステムが蛍光顕微鏡と全反射顕微鏡のいずれか一方を2つ又は両方を1つずつ有し、前記試料を挟んで対物光学系が対向配置された顕微鏡システムとして構成されていることを特徴とする上記(71)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(75)前記工程(B)で選択したアプリケーションがカルシウムイオンイメージングであることを特徴とする上記(70)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(76)前記工程(B)で選択したシステムが蛍光顕微鏡システムであることを特徴とする上記(75)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(77)前記工程(B)で選択したシステムが全反射顕微鏡システムであることを特徴とする上記(75)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(78)前記工程(B)で選択したシステムが蛍光顕微鏡と全反射顕微鏡のいずれか一方を2つ又は両方を1つずつ有し、前記試料を挟んで対物光学系が対向配置された顕微鏡システムとして構成されていることを特徴とする上記(75)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(79)前記工程(B)で選択したアプリケーションが動画観察又はタイムラプス観察であることを特徴とする上記(70)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(80)前記工程(B)で選択したシステムが蛍光顕微鏡システムであることを特徴とする上記(79)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(81)前記工程(B)で選択したシステムが全反射顕微鏡システムであることを特徴とする上記(79)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(82)前記工程(B)で選択したシステムが蛍光顕微鏡と全反射顕微鏡のいずれか一方を2つ又は両方を1つずつ有し、前記試料を挟んで対物光学系が対向配置された顕微鏡システムとして構成されていることを特徴とする上記(79)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(83)前記工程(A)で選択する生細胞を用いた蛍光を発する試料が、次の条件式(2-2),(3-2)の少なくとも一方を満足することを特徴とする上記(69)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(S−s)/(B+b)≦3 …(2-2)
3BCG/B≧0.4 …(3-2)
但し、Sは前記試料が発する蛍光の強度の平均値、sは該蛍光の強度の揺らぎ幅、Bは試料が存在しない背景ノイズの強度の平均値、bは該背景ノイズの強度の揺らぎ幅、BCGは従来一般的に使用されているカバーガラスの自家蛍光の強度の平均値である。
(84)前記工程(B)で選択したアプリケーションがFRET(Fluorescence Resonance Energy Transfer:蛍光共鳴エネルギー移動)であることを特徴とする上記(83)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(85)前記工程(B)で選択したシステムが蛍光顕微鏡システムであることを特徴とする上記(84)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(86)前記工程(B)で選択したシステムが全反射顕微鏡システムであることを特徴とする上記(84)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(87)前記工程(B)で選択したシステムが蛍光顕微鏡と全反射顕微鏡のいずれか一方を2つ又は両方を1つずつ有し、前記試料を挟んで対物光学系が対向配置された顕微鏡システムとして構成されていることを特徴とする上記(84)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(88)前記工程(B)で選択したアプリケーションがカルシウムイオンイメージングであることを特徴とする上記(83)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(89)前記工程(B)で選択したシステムが蛍光顕微鏡システムであることを特徴とする上記(88)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(90)前記工程(B)で選択したシステムが全反射顕微鏡システムであることを特徴とする上記(88)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(91)前記工程(B)で選択したシステムが蛍光顕微鏡と全反射顕微鏡のいずれか一方を2つ又は両方を1つずつ有し、前記試料を挟んで対物光学系が対向配置された顕微鏡システムとして構成されていることを特徴とする上記(88)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(92)前記工程(B)で選択したアプリケーションが動画観察又はタイムラプス観察であることを特徴とする上記(83)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(93)前記工程(B)で選択したシステムが蛍光顕微鏡システムであることを特徴とする上記(92)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(94)前記工程(B)で選択したシステムが全反射顕微鏡システムであることを特徴とする上記(92)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(95)前記工程(B)で選択したシステムが蛍光顕微鏡と全反射顕微鏡のいずれか一方を2つ又は両方を1つずつ有し、前記試料を挟んで対物光学系が対向配置された顕微鏡システムとして構成されていることを特徴とする上記(92)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(96)前記工程(A)で選択する生細胞を用いた蛍光を発する試料が、次の条件式(2-3),(3-3)の少なくとも一方を満足することを特徴とする上記(69)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(S−s)/(B+b)≦2 …(2-3)
3BCG/B≧0.6 …(3-3)
但し、Sは前記試料が発する蛍光の強度の平均値、sは該蛍光の強度の揺らぎ幅、Bは試料が存在しない背景ノイズの強度の平均値、bは該背景ノイズの強度の揺らぎ幅、BCGは従来一般的に使用されているカバーガラスの自家蛍光の強度の平均値である。
(97)前記工程(B)で選択したアプリケーションがFRET(Fluorescence Resonance Energy Transfer:蛍光共鳴エネルギー移動)であることを特徴とする上記(96)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(98)前記工程(B)で選択したシステムが蛍光顕微鏡システムであることを特徴とする上記(97)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(99)前記工程(B)で選択したシステムが全反射顕微鏡システムであることを特徴とする上記(97)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(100)前記工程(B)で選択したシステムが蛍光顕微鏡と全反射顕微鏡のいずれか一方を2つ又は両方を1つずつ有し、前記試料を挟んで対物光学系が対向配置された顕微鏡システムとして構成されていることを特徴とする上記(97)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(101)前記工程(B)で選択したアプリケーションがカルシウムイオンイメージングであることを特徴とする上記(96)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(102)前記工程(B)で選択したシステムが蛍光顕微鏡システムであることを特徴とする上記(101)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(103)前記工程(B)で選択したシステムが全反射顕微鏡システムであることを特徴とする上記(101)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(104)前記工程(B)で選択したシステムが蛍光顕微鏡と全反射顕微鏡のいずれか一方を2つ又は両方を1つずつ有し、前記試料を挟んで対物光学系が対向配置された顕微鏡システムとして構成されていることを特徴とする上記(101)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(105)前記工程(B)で選択したアプリケーションが動画観察又はタイムラプス観察であることを特徴とする上記(96)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(106)前記工程(B)で選択したシステムが蛍光顕微鏡システムであることを特徴とする上記(105)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(107)前記工程(B)で選択したシステムが全反射顕微鏡システムであることを特徴とする上記(105)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
(108)前記工程(B)で選択したシステムが蛍光顕微鏡と全反射顕微鏡のいずれか一方を2つ又は両方を1つずつ有し、前記試料を挟んで対物光学系が対向配置された顕微鏡システムとして構成されていることを特徴とする上記(105)に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
本発明の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察・計測システムは、微弱な蛍光を広帯域で正確に観察・計測できる技術に関する重要性が増し、ノイズも含めた正確な定量性が必要とされる顕微鏡分野、蛍光顕微鏡分野、タンパク質・DNA解析装置分野に有用である。
本発明の実施例の蛍光観察又は蛍光測光システムを適用可能な従来の倒立蛍光顕微鏡装置の一構成例を示す側面図であって、レーザ光源を用いた落射蛍光顕微鏡装置の概略図である。 本発明の実施例の蛍光観察又は蛍光測光システムを適用可能な従来の倒立蛍光顕微鏡装置の一構成例を示す側面図であって、白色アーク光源を用いた落射蛍光顕微鏡装置の概略図である。 図1の蛍光顕微鏡装置における照明光学系の要部を示す説明図であり、(a)は通常の落射照明時の光学部材の配置、(b)は全反射照明時の光学部材の配置を示している。 実施例1,2の蛍光観察・蛍光測光システムに用いる低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材及び比較例2の蛍光観察・蛍光測光システムに用いる光学基材のそれぞれにおける所定細胞培養時間における付着細胞数を示すグラフである。
符号の説明
1 レーザ光源
2 レーザ導入機構
3 光ファイバ
4 アダプタ
5 ファイバ位置調整摘み
6 落射投光管
7 対物レンズ
8 試料
9 ダイクロイックミラー
10 吸収フィルタ
11 顕微鏡本体
12 観察鏡筒
13 イマージョン物質
14 集光レンズ
15 照明光学系
16 光軸
17 カバーガラス
B 対物レンズの後側焦点位置

Claims (22)

  1. d線での屈折率ndが1.3≦nd≦1.9、d線でのアッベ数νdが15≦νd≦100の光学特性を有する低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用い、且つ、蛍光観察・計測可能に構成された光学機器を備えたことを特徴とする低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光システム。
  2. d線での屈折率ndが1.6≦nd≦1.9、d線でのアッベ数νdが35≦νd≦65の光学特性を有する低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用い、且つ、蛍光観察・計測可能に構成された光学機器を備えたことを特徴とする低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光システム。
  3. d線での屈折率ndが1.7≦nd≦1.8、d線でのアッベ数νdが40≦νd≦60の光学特性を有する低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用い、且つ、蛍光観察・計測可能に構成された光学機器を備えたことを特徴とする低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光システム。
  4. d線での屈折率ndが1.35≦nd≦1.5、d線でのアッベ数νdが30≦νd≦100の光学特性を有する低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用い、且つ、蛍光観察・計測可能に構成された光学機器を備えたことを特徴とする低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光システム。
  5. d線での屈折率ndが1.37≦nd≦1.48、d線でのアッベ数νdが35≦νd≦75の光学特性を有する低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用い、且つ、蛍光観察・計測可能に構成された光学機器を備えたことを特徴とする低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光システム。
  6. 前記低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材が、表面に電荷がプラスであるアミノ基含有シランカップリング剤をコーティングされてなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光システム。
  7. 前記低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材が、ガラス基材に前記シランカップリング剤をコーティングされてなることを特徴とする請求項6に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光システム。
  8. 前記低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材が、次の条件式(1-1)を満足することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光システム。
    CG’/BCG≦0.7 …(1-1)
    但し、BCG’は低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材の自家蛍光の強度の平均値、BCGは従来一般的に使用されているカバーガラスの自家蛍光の強度の平均値である。
  9. 蛍光観察又は蛍光測光方法において、次の工程(A),(B),(C)からなることを特徴とする低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
    (A)生細胞を用いた蛍光を発する試料を選択する工程。
    (B)前記工程(A)で選択した試料を観察又は測光するためのアプリケーション、及び次の条件式(1-1)を満足する請求項1〜7のいずれかに記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いてなる蛍光観察又は蛍光測光システムを選択する工程。
    (C)前記工程(B)で選択したアプリケーション及びシステムを用いて、前記工程(A)で選択した試料を蛍光観察又は蛍光測光する工程。
    CG’/BCG≦0.7 …(1-1)
    但し、BCG’は低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材の自家蛍光の強度の平均値、BCGは従来一般的に使用されているカバーガラスの自家蛍光の強度の平均値である。
  10. 前記工程(A)で選択する生細胞を用いた蛍光を発する試料が、次の条件式(2-1),(3-1)の少なくとも一方を満足することを特徴とする請求項9に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
    (S−s)/(B+b)≦5 …(2-1)
    3BCG/B≧0.2 …(3-1)
    但し、Sは前記試料が発する蛍光の強度の平均値、sは該蛍光の強度の揺らぎ幅、Bは試料が存在しない背景ノイズの強度の平均値、bは該背景ノイズの強度の揺らぎ幅、BCGは従来一般的に使用されているカバーガラスの自家蛍光の強度の平均値である。
  11. 前記工程(B)で選択したアプリケーションがFRET(Fluorescence Resonance Energy Transfer:蛍光共鳴エネルギー移動)であることを特徴とする請求項10に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
  12. 前記工程(B)で選択したシステムが蛍光顕微鏡システムであることを特徴とする請求項11に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
  13. 前記工程(B)で選択したシステムが全反射顕微鏡システムであることを特徴とする請求項11に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
  14. 前記工程(B)で選択したシステムが蛍光顕微鏡と全反射顕微鏡のいずれか一方を2つ又は両方を1つずつ有し、前記試料を挟んで対物光学系が対向配置された顕微鏡システムとして構成されていることを特徴とする請求項11に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
  15. 前記工程(B)で選択したアプリケーションがカルシウムイオンイメージングであることを特徴とする請求項10に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
  16. 前記工程(B)で選択したシステムが蛍光顕微鏡システムであることを特徴とする請求項15に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
  17. 前記工程(B)で選択したシステムが全反射顕微鏡システムであることを特徴とする請求項11に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
  18. 前記工程(B)で選択したシステムが蛍光顕微鏡と全反射顕微鏡のいずれか一方を2つ又は両方を1つずつ有し、前記試料を挟んで対物光学系が対向配置された顕微鏡システムとして構成されていることを特徴とする請求項15に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
  19. 前記工程(B)で選択したアプリケーションが動画観察又はタイムラプス観察であることを特徴とする請求項10に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
  20. 前記工程(B)で選択したシステムが蛍光顕微鏡システムであることを特徴とする請求項19に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
  21. 前記工程(B)で選択したシステムが全反射顕微鏡システムであることを特徴とする請求項19に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
  22. 前記工程(B)で選択したシステムが蛍光顕微鏡と全反射顕微鏡のいずれか一方を2つ又は両方を1つずつ有し、前記試料を挟んで対物光学系が対向配置された顕微鏡システムとして構成されていることを特徴とする請求項19に記載の低自家蛍光かつ良細胞付着性な光学基材を用いた蛍光観察又は蛍光測光方法。
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