JP2009150640A - パッケージ型空調機による空調システムの冷房能力測定方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】容量制御型の圧縮機と室外側熱交換器を備えた室外機と、室内側熱交換器を備えた室内機を冷媒配管で接続してなるシステムの冷房能力を次のように測定する。室外機から室内機に冷媒が送られる送液管を所定の熱量で加熱または冷却する。それに応じた室外機の前記圧縮機の運転状態の変化、すなわち動力(消費電力)、凝縮圧力、蒸発圧力の変化のデータに基づいて、冷房能力を推定する。データを得るに際しては、送液管を加熱または冷却した後の加熱量または冷却量分のエンタルピー差を用い、このエンタルピー差の算出にあたり、凝縮器での放熱量、冷媒流量、冷媒状態、冷媒流量に係わる凝縮器の伝熱性能から増倍係数α(i)を定義する。
【選択図】図1
Description
(1)建物の竣工後見込みと比べての負荷の増減、例えば真夏日の増加など気象条件の急変や建物が店舗であれば来客数、工場であれば計画に対する生産実績の乖離などが生じる場合。
(2)間仕切り変更や室割りや模様替え等の建物の使い勝手の変更が生じた場合。また、近時コミッショニングという考え方が注目されているが、引渡しの時点で負荷に対して期待された性能が出ていることを施主や設備運用者自身が確認できれば、責任負担が明瞭化される。
負荷に対して適正な能力のPACが設置されまたは設置され続けているかを検証し評価ができれば、PACの増設や機種変更、運転法の変更など改善策を適切に講じることができる。なおPACが設置された後PACシステムの稼動後に性能を相対的に確認するには、温度計や湿度計の計測値により空調された室の負荷状態を把握することが考えられるが、室ごとに計測する必要があり、労力がかかる。
(A)冷媒の温度・エンタルピー・流量から求める方法、
(B)空気の温度・エンタルピー・流量から求める方法、
(C)上記(A)、(B)を複合した方法
がある。
この中で、(A)の冷媒側から求める方法は高精度ではあるが、PACシステムが設置された現地での運用中においては、特に冷媒の流量を計測することが非常に困難である。冷媒の状態を計測するには、いったんPACシステムを停止して配管内に計器を挿入する必要があるためである。
一方、(B)の空気側から求める方法は、その温度分布の形成などにより、高精度に熱量を求めることは難しい.冷蔵倉庫用のユニットクーラーについては、PACから吹き出される空気側からの正確な能力測定の試みもなされているが(特許文献1)、センサを配置した計測用ダクトの脱着などの作業が必要となるため、多数のPACによる個別空調システムには適用し難い。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、PACシステムの運転を停止することなく、大掛かりな設備を必要とせずに、しかも高精度に運転中のPACシステムの能力、特に冷房能力を測定することを目的とする。
手順1A:蒸発器でのエンタルピー差から送液管を加熱または冷却した後の加熱量または冷却量分のエンタルピー差を除いたエンタルピー差Δh(i)を、増倍係数α(i)を用いて次式のように定義する。
Δh(i)=α(i)・Δh(0)
Δh(0)は通常運転の場合の室内機の蒸発器でのエンタルピー差
手順1B:冷凍サイクルの一般的な特性から、増倍係数α(i)を高圧ガスの圧力の変化割合PH(0)/PH(i)と指数βを用いて次式のように定義する。
α(i)=(PH(0)/PH(i))β
但しPHは,凝縮圧力である。
手順3:手順1Aの式を用いて、送液管に冷熱量を付加しない場合の空調システムの運転状態を表す冷房能力Q(0)と動力W(0)と圧縮機の効率η(0)と圧縮機理論エンタルピー差Δhc(0)、
送液管に加熱量または冷熱量Qin(i)を付加した場合の空調システムの運転状態を表す冷房能力Q(i)と動力W(i)と圧縮機の効率η(i)と圧縮機理論エンタルピー差Δhc(i)
とを整理して、、Q(0)=Q(i)の条件の下、下記の式を得る。
Q(0)=Qin(i)/{1−α(i)・(W(i)/W(0))・(η(i)/η(0))・(Δhc(0)/Δhc(i))}
手順4:手順1Bの式と圧縮機の効率η(i)の一般的な関数形(=a・(PH/PL)b)から次の式を得る。
Q(0)=Qin(i)/{1−(PH(0)/PH(i))β・(W(i)/W(0))・(χ(i)/χ(0))b・(Δhc(0)/Δhc(i))}
aおよびbは、圧縮機で定まる固有の係数、PHは凝縮圧力,PLは蒸発圧力、χは圧縮比(PH/PL)である。である。
前記した手順1〜4は、請求項2の実施に用いる冷房能力Q(0)の推定式である、
Q(0)=Qin(i)/{1−(PH(0)/PH(i))β・(W(0)/W(i))・(χ(0)/χ(i))b・(Δhc(0)/Δhc(i))}
ここで、i=1〜n(nは3以上)
を得るための手順である。
請求項3の発明では、動力W(0)とW(i)、凝縮圧力PH(0)とPH(i)、蒸発圧力PL(0)とPL(i)の測定値と、W(0)、W(i)、PH(0)、PH(i)、PL(0)、PL(i)から求められるχ(0)、χ(i)、Δhc(0)、Δhc(i)を上記推定式に代入して連立方程式を解いて冷房能力Q(0)を推定することになる。
したがって、たとえばプログラム化されてパソコン等で利用する場合には、以下のものをプログラム化して、パソコンのハードディスクや適宜の記憶媒体に記録される。
(1) 測定した動力W(0)とW(i)、凝縮圧力PH(0)とPH(i)、蒸発圧力PL(0)とPL(i)の入力方法、
(2) (1)で入力したW(0)、W(i)、PH(0)、PH(i)、PL(0)、PL(i)からχ(0)、χ(i)、Δhc(0)、Δhc(i)を計算するための冷媒の物性データと計算式、
(3) (1)で入力したW(0)、W(i)、PH(0)、PH(i)と、(2)で計算したχ(0)、χ(i)、Δhc(0)、Δhc(i)の上記推定式への代入方法、
(4) 上記推定式のi=1〜nの連立方程式を満足するβとbの最確値を求める解法(例えば最小二乗法)
まず熱源装置2とつながるチューブ3を送液管1cの適所、この場合は送液管1cが分岐する前の箇所、すなわち主管部分Mに組み付ける。運用中のPACの能力の推定は、朝方や夕方のように外気負荷の変動が大きい時刻は避け、外気温度Toutの変動が少ない時間帯、例えば10時から14時間で実施時期を選定する。能力推定の実施中は、中間階の2フロアや1フロアの東側と西側など、同一用途の室で室外機が異なる二系統を測定し、一方は送液管に冷熱量を付加した運転を実施して冷房能力を推定し、他方は通常の運転を実施する。すなわち、別の室外機の送液管に対して、前述と同様圧縮機の消費電力量と凝縮圧力と蒸発圧力を計測する。室外機は同一用途の居室や上または下の階を空調する室外機は近接して配置されるのが一般のため、測定値を目視して負荷をかけた側の系統と見比べることも容易である。
外気温度Toutが変動していないで、かつ通常の運転をする側のPACの動力が変動していないときに、空調負荷が変化してないと判断する.そして、室外機機内にある圧縮機吐出管の圧力計と圧縮機吸込管の圧力計廻りの弁をそれぞれ開き、表示装置を接続する。なお消費電力は既存の盤から目視することもできる。通常の運転をする側のPACに急激な変動、または徐々にではあるが大幅な変動がでたら、負荷をかけた側のPACの測定を中止する。
まず、冷房能力推定を実施する系統ともう一方の別の系統の負荷変動が、能力推定の精度に影響を及ぼさない状態にあることを確認する。すなわち、外気温度Toutと室温TRを測定し(ステップS1)、外気温度Toutの経時変化率(δTout/δt)と室温TRの経時変化率(δTR/δt)が予め定めた閾値以下となることを確認した後に(ステップS2)、運用中のPACの凝縮圧力(高圧)PH(0)、蒸発圧力(低圧)PL(0)、動力(消費電力)W(0)を測定する(ステップS3)。
次に熱源装置2を用いて、図3に示すように段階的に3通り(i=1〜3)の熱量Qin(i)を送液管1cに加熱または冷却する(ステップS4)。例えば、室外機1aの圧縮機(図示せず)を出た50℃の液冷媒に対して、20℃(i=1)、17℃(i=2)、14℃(i=3)の冷熱を付与する。3通りの熱の付与は、後述の能力推定式の未知の数値3つを連立方程式で解くためである。
次に、後述の能力推定式の未知の数値3つをパラメータとした収束計算を行い連立解を求める。その結果、求めた解である数値3つの内の1つであるPACの冷房能力Q(0)を推定できる。以上の閾値は要求される推定精度による。
すなわち、本発明においては、高い推定精度が要求されるほど、「閾値」を小さく定める必要がある。i=1から3(またはそれ以上)のQin(i)を付加して,動力,凝縮圧力,蒸発圧力を計測している時間中は,冷房負荷(冷房能力Q(0))が不変であることが前提条件であり,測定時間中のQ(0)の変動は推定精度の低下につながる。ここでは,Q(0)が測定時間中に変化していないことを,外気温度と室温の経時変化率(δTout/δt,δTR/δt)によって判断する(δTout/δt,δTR/δtが大きいことは,冷房負荷変動が大きいことを意味する)。測定時間中のδTout/δt=0(零),δTR/δt=0(零)が理想であるが、現実的には困難なので閾値を定めることにした。この「閾値」を小さくすることで,冷房負荷変動が小さい場合での測定データが得られるため,推定精度が向上する。なお、この一連の推定手順を実施している間は、通常の運転を実施している同一用途の室の別系統の運転状態の測定も実施し、空調負荷が変化してないことの確認を行なう。
ここでは、図2と図3の冷房能力の推定式算出のステップの前提として、室外機1aの圧縮機(図示せず)の凝縮圧力と蒸発圧力とエンタルピー差の関連を説明する。
図4のように、送液管1cに熱量Qin(i)を付加(冷却の場合はプラス、加熱の場合はマイナス)すると、動力(消費電力)はW(0)からW(i)に変化する。
図5は、このときの冷媒状態をモリエル線図上に示したものである。同図では、通常運転の場合(図5(a))と比較して、送液管を冷却した場合(Qin(i)はプラスの場合:図5(b))の冷媒状態を例示する。
図5(b)に示したように、送液管1cを冷却すると、送液(膨張弁の入口)のエンタルピーはh3(0)からh4(i)に変化する.また、凝縮圧力(高圧)はPH(0)からPH(i)に変化し、蒸発圧力(低圧)はPL(0)からPL(i)に変化する。この高圧や低圧の変化に応じて、室外機1aの圧縮機(図示せず)吐出のエンタルピーはh1(0)’からh1(i)’に変化する。同時に、冷媒流量はG(0)からG(i)に変化し、圧縮機の効率(総合効率)はη(0)からη(i)に変化する。図5(a)に示すように、通常運転の場合、蒸発器でのエンタルピー差Δh(0)、ならびに圧縮機でのエンタルピー差Δhc(0)’は、下記の(1−1)式と(1−2)式である。
Δh(0)=h2(0)−h3(0) ・・・・(1−1)式
Δhc(0)’=h1(0)’−h2(0) ・・・・(1−2)式
また、図5(b)に示すように、送液管1cに冷熱量Qin(i)を付加した場合、Qin(i)分のエンタルピー差Δhin(i)、冷房力能力Q(0)からQin(i)を引いた冷熱量分のエンタルピー差Δh(i)、ならびに圧縮機でのエンタルピー差Δhc(i)’は、下記の(2−1)式、(2−2)式、(2−3)式である。
Δh(i)=h2(i)−h3(i) ・・・・(2−1)式
Δhc(i)’=h1(i)’−h2(i) ・・・・(2−2)式
Δhin(i)’=h3(i)−h4(i) ・・・・(2−3)式
Δh(i)=α(i)・Δh(0) ・・・・(3)式
圧縮機理論エンタルピー差(エントロピーsが一定の下でのエンタルピー差)は、高圧、低圧、および蒸発器出口の過熱度制御(過熱度=一定)から、冷媒の物性値を用いて求めることができる.
通常運転の場合の圧縮機理論エンタルピー差をΔhc(0)、冷熱量Qin(i)を付加した場合の圧縮機理論エンタルピー差をΔhc(i)と書くと、(1−2)式と(2−2)式のΔhc(0)’とΔhc(i)’は下記の(4−1)式と(4−2)式のように書くことができる。
Δhc(0)’= Δhc(0)/η(0) ・・・・(4−1)式
Δhc(i)’= Δhc(i)/η(i) ・・・・(4−2)式
ここで、η(0)は通常運転の場合の圧縮機効率であり、η(i)は冷熱量Qin(i)を付加した場合の圧縮機効率である。
送液管1cに冷熱量を付加しない場合、冷房能力Q(0)と動力W(0)は、下記の(5−1)式と(5−2)式となる。
Q(0)=G(0)・Δh(0) ・・・・(5−1)式
W(0)=G(0)・Δhc(0)’= G(0)・Δhc(0)/η(0) ・・・・(5−2)式
また、送液管1cに冷熱量Qin(i)を付加した場合、冷房能力Q(0)と動力W(i)は下記の(6−1)式と(6−2)式となる。
Q(0)=Qin(i)+G(i)・Δh(i)= Qin(i)+G(i)・α(i)・Δh(0) ・・・・(6−1)式
W(i)=G(i)・Δhc(i)’= G(i)・Δhc(i) /η(i) ・・・・(6−2)式
これらの(5−1)式、(5−2)式、(6−1)式、(6−2)式を整理すると、下記の(7)式を得る。
Q(0)=Qin(i)/{1−α(i)・(W(i) /W(0))・(η(i)/η(0))・(Δhc(0)/Δhc(i))} ・・・・(7)式
圧縮機の効率ηをa・(PH/PL)bの一般的な関数形とする。また、PH/PLを圧縮比χとおくと下記の(8)式を得る。
η(i)/η(0)=(χ(i)/η(0))b ・・・・(8)式
ここで、aおよびbは、圧縮機で定まる固有の係数である。
エンタルピー差Δh(i)の増倍係数α(i)は、ここでは仮に、冷熱量Qin(i)が冷房能力Q(0)に比べて十分に小さい場合には、α(i)は測定値や理論値から定まることを想定する。なお、ここでの課題は、圧縮機の効率のように、エンタルピー差の増倍係数の関数形を定めることにある。
以降の説明を簡単にするため下記の(9)式のように、高圧の変化割合PH(0)/PH(i)を用いて定めることとする。
α(i)=f(PH(0)/PH(i)) ・・・・(9)式
ここで、f(PH(0)/PH(i))の関数形を、下記の(9−1)式のように定めることとする。
f(PH(0)/PH(i))=(PH(0)/PH(i))β ・・・・(9−1)式
なお、低圧および蒸発器出口での過熱度制御(過熱度=一定)から、Δh(i)を定めるための一方のエンタルピー(圧縮機吸入のエンタルピーh2(i))およびΔh(0)を定めるための一方のエンタルピー(圧縮機吸入のエンタルピーh2(0))は、冷媒の物性値を用いて求めることができる。したがって、今まで説明してきたように、(3)式に基づいてΔh(i)を定めるための増倍係数α(i)でなく、加熱・冷却前のエンタルピーh3(i)を定める増倍係数を採用しても良い。
以上の(8)式および(9)式を(7)式に代入すると、下記の(10)式を得る。
Q(0)=Qin(i)/{1−(PH(0)/PH(i))β・(W(i)/W(0))・(χ(i)/χ(0))b・(Δhc(0)/Δhc(i))} ・・・・(10)式
上記の(10)式において、ここで求めるべき冷房能力Q(0)と指数のbとβの3つが未知であるため、送液管1cに冷熱量を付加しない運転とともに、冷熱量Qin(1)、冷熱量Qin(2)、冷熱量Qin(3)の3種類の冷熱量を送液管1cに付加した運転を実施すれば、次の3元連立方程式を解くことで冷房能力Q(0)を推定することができる。
Q(0)=Qin(1)/{1−(PH(0)/PH(1))β・(W(1)/W(0))・(χ(1)/χ(0))b・(Δhc(0)/Δhc(1))}
Q(0)=Qin(2)/{1−(PH(0)/PH(2))β・(W(2)/W(0))・(χ(2)/χ(0))b・(Δhc(0)/Δhc(2))}
Q(0)=Qin(3)/{1−(PH(0)/PH(3))β・(W(3)/W(0))・(χ(3)/χ(0))b・(Δhc(0)/Δhc(3))}
これを解くことによって、冷房能力Q(0)、b、βを求めることができる。演算装置によって解く場合のフローを図3に示した。これらは予めプログラム化してパソコン等にインストールしたり、適宜の記憶媒体に記録しておくことができる。
以上の結果が定格能力よりも低く算出されればPACの増設やOA機器等の発熱への対策を検討し、逆に高く算出されればPACの別の負荷域への移設等、負荷と空調が適切となるよう対策を検討することができる。
表1の実際の運用としては以下が考えられる。表1のうち計測値が埋まればあとの計算は短時間で済む。そこで、計測をPACシステム試運転中や稼動中の現場(現地)で行い、前記方程式を事務所等で解いてもよい。または、携帯電話等の移動端末に測定値を手入力し、遠隔地のサーバに計算させて結果の送信を前記移動端末に戻し受けても良い。なお、図2の「能力推定式を算出」の処理は判断子(外気温度Toutと室温TRのしきい値との比較)の前に行ってもよい。
以上の方法によって求めた冷房能力の推算精度、とくにエンタルピー差の増倍係数の関数形の妥当性を推定精度によって確認するために、室外機1aのかわりに水熱源ヒートポンプ(水冷チラー)を用いた試験装置で実施した結果を説明する。
図6に汎用水冷チラーを用いた試験装置40の系統を示す。また、表2に構成機器の仕様を示す。
図6は,試験装置40における各機器と冷媒配管との系統を模式的に示したものであり、送液管41を冷却や加熱するために、図1に示したような熱源装置(ヒートポンプ装置)42を用いている。また図1のチューブ3に代えて熱交換器42aを用いている。そして熱交換器42aを経た冷媒は膨張弁43を経て蒸発器44から、アキュムレータ45、圧縮機46、凝縮器47を巡るようになっている。送液管41を流れる冷媒の流量は質量流量計48によって計測される。蒸発器44で冷却された冷水は,冷房モードでの模擬負荷となる電気ヒータ49で熱交換器50加熱され蒸発器44に戻される。なお送液管41を流れる汎用水冷チラーの凝縮圧力は,圧力計51によって計測され,また蒸発圧力は圧力計52によって計測され,蒸発器入口温度は温度計53によって計測され,蒸発器出口温度は温度計54によって計測され,圧縮機46の電力は電力計55によって計測される。
そして熱交換器42aを介して汎用水冷チラーに付加した冷熱量Qinは、熱源水の流量計(図示せず)および温度計(図示せず)によって求めた。ここで推定すべき冷凍能力Q(真値)は、蒸発器44の冷水の出入口温度差と流量から求めることができる。
1a 室外機
1b 室内機
1c 送液管
2 熱源装置
3 チューブ
Claims (4)
- 容量制御型の圧縮機と室外側熱交換器を備えた室外機と、室内側熱交換器を備えた室内機を冷媒配管で接続してなるパッケージ型空調機を用いた空調システムの冷房能力を測定する方法であって、
室外機から室内機に冷媒が送られる送液管を加熱または冷却し、それに応じた前記圧縮機の消費電力、凝縮圧力および蒸発圧力の変化のデータに基づいて、冷房能力を推定することを特徴とする、パッケージ型空調機による空調システムの冷房能力測定方法。 - 前記変化のデータを得るに際しては、送液管を加熱または冷却した後の加熱量または冷却量分のエンタルピー差を用い、少なくとも蒸発器でのエンタルピー差から前記送液管を加熱または冷却した後の加熱量または冷却量分のエンタルピー差を除いたエンタルピー差から、増倍係数α(i)を定義しその関数形を定めて行うことを特徴とする、請求項1に記載のパッケージ型空調機による空調システムの冷房能力測定方法。
- 次の演算を、手順1Aと手順1Bの一方→手順1Aと手順1Bの残りの一方→手順3→手順4の順で実行するプロセスを有することを特徴とする、請求項2に記載のパッケージ型空調機による空調システムの冷房能力測定方法。
手順1A:蒸発器でのエンタルピー差から送液管を加熱または冷却した後の加熱量または冷却量分のエンタルピー差を除いたエンタルピー差Δh(i)を、増倍係数α(i)を用いて次式のように定義する。
Δh(i)=α(i)・Δh(0)
Δh(0)は通常運転の場合の室内機の蒸発器でのエンタルピー差
手順1B:冷凍サイクルの一般的な特性から、増倍係数α(i)を高圧ガスの圧力の変化割合PH(0)/PH(i)と指数βを用いて次式のように定義する。
α(i)=(PH(0)/PH(i))β
但しPHは,凝縮圧力である。
手順3:手順1Aの式を用いて、送液管に冷熱量を付加しない場合の空調システムの運転状態を表す冷房能力Q(0)と動力W(0)と圧縮機の効率η(0)と圧縮機理論エンタルピー差Δhc(0)、
送液管に加熱量または冷熱量Qin(i)を付加した場合の空調システムの運転状態を表す冷房能力Q(i)と動力W(i)と圧縮機の効率η(i)と圧縮機理論エンタルピー差Δhc(i)、
とを整理して、Q(0)=Q(i)の条件の下、下記の式を得る。
Q(0)=Qin(i)/{1−α(i)・(W(i)/W(0))・(η(i)/η(0))・(Δhc(0)/Δhc(i))}
手順4:手順1Bの式と圧縮機の効率η(i)の一般的な関数形であるa・(PH/PL)bから次の式を得る。
Q(0)=Qin(i)/{1−(PH(0)/PH(i))β・(W(i)/W(0))・(χ(i)/χ(0))b・(Δhc(0)/Δhc(i))}
但し、aおよびbは、圧縮機で定まる固有の係数、PHは凝縮圧力,PLは蒸発圧力、χは圧縮比(PH/PL)である。 - 圧縮機に電力を供給する電力線に設けた電力計、圧縮機の冷媒吐出管に設けた圧力計、圧縮機の冷媒吸込管に設けた圧力計で計測した、圧縮機の消費電力、凝縮圧力、蒸発圧力のそれぞれの値を用いて、
少なくとも送液管に対する加熱量または冷熱量Qin(i)とβとbの関係を求めることを特徴とする、請求項3に記載のパッケージ型空調機による空調システムの冷房能力測定方法。
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